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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】触媒装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20250204BHJP
【FI】
F01N13/08 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022000501
(22)【出願日】2022-01-05
(65)【公開番号】P2023100093
(43)【公開日】2023-07-18
【審査請求日】2024-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100805
【氏名又は名称】アイシン高丘株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山中 憲征
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克也
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-091150(JP,A)
【文献】特表2012-532278(JP,A)
【文献】特開2019-199873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00-3/00、3/02、3/04-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒と、
前記触媒を収容するケースと、
前記ケースの外面に溶接されるとともにステーを介してエンジンに接続されるブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、板部と、前記板部から立設するとともに前記ステーが接続される立設部とを有し、
前記板部の縁部は、前記立設部と繋がる内縁部と、前記ケースの外面に溶接された外縁部と、前記内縁部と前記外縁部とを接続する接続縁部とを有し、
前記接続縁部は、前記内縁部と繋がる第1縁部と、前記第1縁部が延びる方向とは異なる方向に延びるとともに、前記外縁部と繋がる第2縁部と、前記第1縁部と前記第2縁部とを接続する角部とを有し、
前記第2縁部は、前記ケースの外面に溶接されておらず、
前記角部は、前記ケースの外面と接触していないことを特徴とする触媒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された触媒コンバータは、ステーを介してエンジンに支持されている。詳しくは、ステーの一端は、触媒コンバータのケースに形成されたブラケットに連結されているとともに、ステーの他端は、エンジンのシリンダブロックと連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平3-43527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブラケットがケースに溶接されている場合、エンジンの振動は、ステー、ブラケット、及び溶接部を介してケースに伝わる。すると、ケースにおける溶接部及びその周辺に応力が集中することで、ケースに亀裂が生じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための触媒装置は、触媒と、前記触媒を収容するケースと、前記ケースの外面に溶接されるとともにステーを介してエンジンに接続されるブラケットと、を備え、前記ブラケットは、板部と、前記板部から立設するとともに前記ステーが接続される立設部とを有し、前記板部の縁部は、前記立設部と繋がる内縁部と、前記ケースの外面に溶接された外縁部と、前記内縁部と前記外縁部とを接続する接続縁部とを有し、前記接続縁部は、前記内縁部と繋がる第1縁部と、前記第1縁部が延びる方向とは異なる方向に延びるとともに、前記外縁部と繋がる第2縁部と、前記第1縁部と前記第2縁部とを接続する角部とを有し、前記第2縁部は、前記ケースの外面に溶接されておらず、前記角部は、前記ケースの外面と接触していない。
【0006】
発明者は、ブラケットの外縁部及び第2縁部をケースに溶接した場合に、ケースにおける角部と対向する部分及びその周辺に特に応力が集中することを見出した。このため、第2縁部をケースに溶接せず、かつ角部をケースの外面に接触させないことで、エンジンの振動が角部を介してケースに伝わることを抑制する。その結果、ケースにおける角部と対向する部分及びその周辺に応力が集中することが回避されるため、ケースに亀裂が生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】排気ユニットの側面図である。
図2】触媒装置の側面図である。
図3】触媒装置の側面図である。
図4】ブラケットの第1接続縁部を示す写真である。
図5】触媒装置を図2の矢印Aから見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、触媒装置を具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。
<排気ユニット>
図1に示すように、排気ユニット10は、エキゾーストマニホールド11と、触媒装置12とを備えている。エキゾーストマニホールド11は、上流側配管13と、下流側配管14とを有している。上流側配管13は、4本の分岐管13aと、集合管13bとを有している。触媒装置12は、上流側配管13の集合管13bと下流側配管14との間に配置されている。
【0009】
排気ユニット10は、エンジン15に固定されている。エキゾーストマニホールド11は、エンジン15のシリンダヘッドに固定されている。触媒装置12は、長板状のステー16を介してエンジン15のシリンダブロックに固定されている。
【0010】
エンジン15から排出された排気は、上流側配管13を通って触媒装置12に流入する。触媒装置12は、流入した排気ガスを浄化する。浄化された排気は、下流側配管14に流出する。
【0011】
<触媒装置>
触媒装置12は、触媒21と、ケース22と、ブラケット23とを有している。ケース22は、触媒21を収容している。ブラケット23は、ケース22の外面22aに溶接されている。
【0012】
<ケース>
ケース22は、円筒状である。ケース22は、第1リブ221と、第2リブ222とを有している。第1リブ221及び第2リブ222はそれぞれ、ケース22の外面22aから突出した部分である。第1リブ221は、集合管13bに接続されている。第2リブ222は、下流側配管14に接続されている。
【0013】
<ブラケット>
図2及び図3に示すように、ブラケット23は、板部24と、板部24から板部24の略板厚方向に立設された板状の立設部25とを有する。
【0014】
板部24の縁部は、内縁部31と、外縁部32と、第1接続縁部33と、第2接続縁部34とを有している。
内縁部31は、立設部25と繋がる縁部である。外縁部32は、ケース22の外面22aに溶接された縁部である。触媒装置12は、ケース22とブラケット23の外縁部32とが溶接された溶接部26を有している。溶接部26は、第2リブ222に繋がっている。
【0015】
内縁部31は、U字状である。内縁部31は、一対の第1縁部構成部311と、第2縁部構成部312とを有している。外縁部32は、L字状である。外縁部32は、ケース22の軸線に沿って延びる第3縁部構成部321と、ケース22の周方向に延びる第4縁部構成部322とを含んでいる。一対の第1縁部構成部311はそれぞれ、第3縁部構成部321が延びる方向に対して傾斜している。また、一対の第1縁部構成部311はそれぞれ、第4縁部構成部322が延びる方向に対して傾斜している。一対の第1縁部構成部311は、略平行に延びている。第2縁部構成部312は、第1縁部構成部311を接続している。第2縁部構成部312は、一対の第1縁部構成部311と直交している。
【0016】
第1接続縁部33は、内縁部31の第1端31aと外縁部32の第1端32aとを接続している。第1接続縁部33は、第1縁部33aと、第2縁部33bと、角部33cとを有している。第1縁部33aは、内縁部31の第1端31aと繋がっている。第2縁部33bは、外縁部32の第1端32aと繋がっている。第2縁部33bは、第1縁部33aが延びる方向とは異なる方向に延びている。角部33cは、第1縁部33aと第2縁部33bとを接続している。第2接続縁部34は、内縁部31の第1端31aとは反対側の端である第2端31bと、外縁部32の第1端32aとは反対側の端である第2端32bとを接続している。
【0017】
図4に示すように、第2縁部33bは、ケース22の外面22aに溶接されていない。
図4及び図5に示すように、角部33cは、ケース22の外面22aから浮いている。角部33cは、ケース22の外面22aと接触していない。角部33cにおいて、板部24とケース22の外面22aとの間には間隙Sが存在している。
【0018】
<ステー>
図1に示すように、ステー16は、第1端部16a及び第2端部16bを有している。図2に示すように、ステー16の第1端部16aは、第1ボルトB1によって、ブラケット23の立設部25に接続されている。詳しくは、ステー16の第1端部16aは、ブラケット23の立設部25のうち、内縁部31の第2縁部構成部312から立設した部分に接続されている。第1ボルトB1の軸線は、内縁部31の第1縁部構成部311と略平行に延びている。第1ボルトB1の軸線は、内縁部31の第2縁部構成部312と直交する方向に延びている。ステー16の第2端部16bは、第2ボルトB2によって、エンジン15に接続されている。
【0019】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)発明者は、ブラケット23の外縁部32及び第2縁部33bをケース22に溶接した場合に、ケース22における角部33cと対向する部分及びその周辺に特に応力が集中することを見出した。このため、第2縁部33bをケース22に溶接せず、かつ角部33cをケース22の外面22aに接触させないことで、エンジン15の振動が角部33cを介してケース22に伝わることを抑制する。その結果、ケース22における角部33cと対向する部分及びその周辺に応力が集中することが回避されるため、ケース22に亀裂が生じることを抑制できる。
【0020】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ケース22の形状は、円筒状に限定されない。ケース22は、例えば、四角筒状であってもよい。
【0021】
・内縁部31は、U字状でなくてもよい。
・外縁部32は、L字状でなくてもよい。
・ブラケット23の第2接続縁部34は、内縁部31の第2端31bに繋がる第3縁部と、第3縁部が延びる方向とは異なる方向に延びるとともに外縁部32の第2端32bに繋がる第4縁部と、第3縁部と第4縁部とを接続する第2の角部とを有していてもよい。この場合も、上記実施形態と同様、第4縁部をケース22の外面22aに溶接せず、かつ第2の角部をケース22の外面22aに接触させない。
【0022】
・溶接部26は、第2リブ222に繋がっていなくてもよい。
【符号の説明】
【0023】
10…排気ユニット
11…エキゾーストマニホールド
12…触媒装置
13…上流側配管
13a…分岐管
13b…集合管
14…下流側配管
15…エンジン
16…ステー
16a…第1端部
16b…第2端部
21…触媒
22…ケース
22a…外面
23…ブラケット
24…板部
25…立設部
26…溶接部
31…内縁部
31a…第1端
31b…第2端
32…外縁部
32a…第1端
32b…第2端
33…第1接続縁部
33a…第1縁部
33b…第2縁部
33c…角部
34…第2接続縁部
221…第1リブ
222…第2リブ
311…第1縁部構成部
312…第2縁部構成部
321…第3縁部構成部
322…第4縁部構成部
B1…第1ボルト
B2…第2ボルト
S…間隙
図1
図2
図3
図4
図5