(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】連鎖端子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 43/16 20060101AFI20250204BHJP
【FI】
H01R43/16
(21)【出願番号】P 2022128235
(22)【出願日】2022-08-10
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】松浦 敬介
(72)【発明者】
【氏名】加山 忍
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 充浩
(72)【発明者】
【氏名】竹島 直弘
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-082588(JP,A)
【文献】特開2002-270327(JP,A)
【文献】特開2013-094782(JP,A)
【文献】特開2001-043952(JP,A)
【文献】特開2017-123318(JP,A)
【文献】特開2016-119227(JP,A)
【文献】特開2006-127775(JP,A)
【文献】特開2015-165151(JP,A)
【文献】特開2020-017472(JP,A)
【文献】特開2010-010072(JP,A)
【文献】特開2007-035562(JP,A)
【文献】特開2018-063869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属板を打ち抜き加工して、帯板状の連鎖部と、該連鎖部と繋ぎ部を介して繋がった複数の端子と、を有する連鎖端子を形成する連鎖端子形成工程と、
前記第1金属板よりも板厚の小さい第2金属板よりなる帯板状の別の連鎖用板材に、板厚方向にダボ加工により凸部を形成する凸部形成工程と、
前記各端子を前記繋ぎ部を含めた形で前記連鎖部から切り離し、前記繋ぎ部を前記別の連鎖用板材に接合して連鎖化する連鎖化工程と、
を備え、
前記連鎖端子形成工程では、前記繋ぎ部に小孔を形成し、
前記連鎖化工程では、前記凸部と前記繋ぎ部の小孔とをダボ加締めにより接合して連鎖化
し、
前記第1金属板と前記第2金属板とは、同じ材質により構成される、
連鎖端子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端子が帯板状の連鎖部(キャリア)に連なって設けられた連鎖端子の製造装置および連鎖端子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気接続のため端子として、連鎖端子が広く知られている(特許文献1参照)。連鎖端子は、複数の端子が帯板状の連鎖部(キャリア)に連なって設けられたものである。この種の連鎖端子を製造する工場では、製造した連鎖端子の連鎖部を巻き取りドラムに巻き取った上で、別の工程(メッキ等の工程)に運ぶことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高圧用端子などのように、連鎖部および端子を形成する金属板が厚くなると、連鎖部の剛性が高くなる。そのため、巻き取り負担が大きくなる上、巻き取った後に次の工程(連続メッキ工程など)に搬入した段階で、連鎖部に付いた巻き癖(湾曲癖)を直すのに手間がかかるという不都合があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、連鎖端子の巻き取りおよび巻き戻しの際の不都合を解消することのできる連鎖端子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る連鎖端子の製造方法は、下記を特徴としている。
【0008】
第1金属板を打ち抜き加工して、帯板状の連鎖部と、該連鎖部と繋ぎ部を介して繋がった複数の端子と、を有する連鎖端子を形成する連鎖端子形成工程と、
前記第1金属板よりも板厚の小さい第2金属板よりなる帯板状の別の連鎖用板材に、板厚方向にダボ加工により凸部を形成する凸部形成工程と、
前記各端子を前記繋ぎ部を含めた形で前記連鎖部から切り離し、前記繋ぎ部を前記別の連鎖用板材に接合して連鎖化する連鎖化工程と、を備え、
前記連鎖端子形成工程では、前記繋ぎ部に小孔を形成し、
前記連鎖化工程では、前記凸部と前記繋ぎ部の小孔とをダボ加締めにより接合して連鎖化し、
前記第1金属板と前記第2金属板とは、同じ材質により構成される、
連鎖端子の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端子を構成する部分よりも連鎖部(連鎖用板材)を構成する部分の剛性を小さくすることができるので、連鎖部を巻き取る際の負担を軽減することができる。また、巻き癖の発生を軽減できるので、後工程において巻き癖を直す際の負担を軽減または無くすことができる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態の要部平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態の側断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態の工程説明用の要部平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態の要部平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態の側断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3実施形態の工程説明用の要部平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3実施形態の工程説明用の側断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第4実施形態の平面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第4実施形態の連鎖部の側面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第7実施形態の工程説明用の側面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第8実施形態の工程説明用の側面図および断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の第9実施形態の板幅低減加工前の状態を示す平面図である。
【
図20】
図20は、本発明の第9実施形態の板幅低減加工後の状態を示す平面図である。
【
図22】
図22は、本発明の第9実施形態の製品の巻き取りの様子を示す側面図である。
【
図23】
図23は、本発明の第10実施形態の工程説明用の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0013】
以下の実施形態では、端子が、板厚の大きい高圧端子である場合を例に挙げる。
【0014】
<第1実施形態>
図1~
図4を参照して、本発明の第1実施形態の連鎖端子の製造装置について説明する。
この実施形態の製造装置は、連鎖端子一次加工手段と連鎖端子二次加工手段とを有している。
まず、連鎖端子一次加工手段は、
図1~
図3に示すように、板厚の大きい第1金属板から、帯板状の連鎖部10と、該連鎖部10に繋ぎ部2を介して繋がった複数の端子1と、を有する連鎖端子をプレス加工する。このプレス加工の際、連鎖部10には、一つの端子1につき、2つのパイロット孔(小孔)12を加工しておく。
【0015】
次に、連鎖端子二次加工手段は、連鎖端子一次加工手段の加工した連鎖端子の連鎖部10を、その長手方向に各端子1ごとに切り離す(
図1~
図3の形態)。そして、切り離した各連鎖部10を、第1金属板よりも板厚の小さい第2金属板よりなる帯板状の別の連鎖用板材20に、板厚方向に形成した凸部と小孔の嵌合加締めにより接合して、改めて連鎖化する。
【0016】
即ち、連鎖用板材20の加工時に、連鎖用板材20に、前記連鎖部10のパイロット孔12に対応する凸部22を設けておく。そして、これら2つの凸部22に2つのパイロット孔12をそれぞれ嵌めて凸部22を加締める。こうすることにより、切り離した各連鎖部10を介して、新たな連鎖用板材20と端子1とを結合する。
【0017】
なお、切り離した連鎖部10の付いた端子1は、
図3に示すように、押し部材N1により押し移動して新たな連鎖用板材20の上に位置させる。そして、連鎖部10に設けられている2つのパイロット孔12を、新たな連鎖用板材20の2つの凸部22に嵌め、その状態で、加締め部材N2、N3により凸部22を加締めることにより、端子1を、切り離した連鎖部10を介して、連鎖用板材20に接続することができる。こうすることで、端子1は板厚の大きい第1金属板で構成され、連鎖部(連鎖用板材20)は板厚の小さい第2金属板で構成された、複合材よりなる連鎖端子ができあがる。ここで、凸部22は、バーリング加工で形成してもよいし、ダボ加工で構成してもよい。
【0018】
図4は、実施形態の製造装置を含む製造システム200のブロック図である。
製造システム200は、
図4(a)に示すように、実施形態の連鎖端子の製造装置としての順送金型タイプのプレス装置100を中心に構成され、材料供給装置101、材料送り装置102、製品排出装置104、及び製品巻き取り装置105を備えている。材料供給装置101は、端子1用の材料を供給する。本実施形態では、端子1用の材料に加え、連鎖用板材20の材料を供給する。材料送り装置102は、材料供給装置101により供給された材料をプレス装置100に送る。プレス装置100は、本製造システム200により製造される製品である連鎖端子を形成する。プレス装置100で製造された製品は、製品排出装置104により排出され、製品巻き取り装置105により巻き取られる。本実施形態では、
図4(b)に示すように、プレス装置100において、連鎖端子一次加工手段としての端子形成部131と、連鎖端子二次加工手段としてのバーリング部132および結合部133と、が設けられている。端子形成部131は、連鎖部10に繋ぎ部2を介して繋がった複数の端子1を形成する。バーリング部132は、連鎖用板材20に凸部22を形成する。結合部133は、端子形成部131に加工された連鎖端子を、その長手方向に各端子1ごとに切り離し、2つの凸部22に連鎖部10の2つのパイロット孔12を嵌めた状態で加締める(
図2、
図3参照)。このように、プレス装置100において連鎖端子が製造される。
【0019】
上記構成によれば、連鎖端子一次加工手段としての端子形成部131で加工した端子1よりも板厚の小さい連鎖用板材20を用いて端子1を連鎖化するので、端子1を構成する部分よりも連鎖部(連鎖用板材20)を構成する部分の剛性を小さくすることができる。従って、連鎖部(連鎖用板材20)を巻き取る際の負担を軽減することができる。また、板厚の小さい連鎖部(連鎖用板材20)を巻き取ることで、巻き癖の発生を軽減できるので、後工程において巻き癖を直す際の負担を軽減または無くすことができる。つまり、連続メッキ等の後工程に、端子1が連鎖した状態での供給が可能になる。また、巻き癖のつかない巻き取りが可能になるため、巻き癖を修正する工程を不要にすることも可能になる。また、実施形態のように、2つのパイロット孔12と2つの凸部22を嵌合加締めすることにより、パイロット孔12や凸部22が円形であっても、端子1の回転規制を行うことができる。
【0020】
なお、製品である端子1と連鎖用板材20の材質は、別に設定することも可能であるが、同一にする方がよい。
【0021】
<第2実施形態>
図5および
図6を参照して、本発明の第2実施形態の連鎖端子の製造装置について説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
この第2実施形態では、
図5および
図6に示すように、連鎖端子一次加工手段は、板厚の大きい第1金属板から、帯板状の連鎖部10と、該連鎖部10に繋ぎ部2を介して繋がった複数の端子1と、を有する連鎖端子をプレス加工する。このプレス加工の際、連鎖部10に、一つの端子1につき、1つの角形の小孔15を加工しておく。角形の小孔15の位置は、端子1の延長上に設けるのがよい。
【0022】
次に、連鎖端子二次加工手段では、連鎖端子一次加工手段の加工した連鎖端子の連鎖部10を、各端子1ごとに適当な幅で切り離す。そして、切り離した各連鎖部10を、第1金属板よりも板厚の小さい第2金属板よりなる帯板状の別の連鎖用板材20に、板厚方向に形成した凸部と小孔の嵌合加締めにより接合して、改めて連鎖化する。
【0023】
即ち、連鎖用板材20の加工時に、連鎖用板材20に、前記連鎖部10の角形の小孔15に対応する角形の凸部25を設けておく。そして、角形の凸部25に角形の小孔15を嵌めて凸部25を加締め部材により加締める。こうすることにより、切り離した各連鎖部10を介して、新たな連鎖用板材20と端子1とを結合することができる。
【0024】
この場合も、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、角形の凸部25に角形の小孔15を嵌合して加締めることにより、1個の凸部25と小孔15の組み合わせで、端子1の回転規制を行うことができる。従って、1個の小孔15を含む寸法で連鎖部10を切り離せばよくなるため、連鎖部10の切り離し寸法を最小にすることができる。その結果、連鎖用板材20に接合した際の、切り離し連鎖部10が重なる寸法を小さくすることができ、連鎖用板材20を巻き取るときの板厚大の切り離し連鎖部10による抵抗が小さくなる。
【0025】
<第3実施形態>
図7および
図8を参照して、本発明の第3実施形態の連鎖端子の製造装置について説明する。なお、
図7のA-A矢視断面、B-B矢視断面、C-C矢視断面が、
図8のA-A、B-B、C-Cの各図に対応している。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0026】
第3実施形態におけるプレス装置100は、
図4(b)とほぼ同じであるが、ダボ加工を行う場合には、バーリング部132がダボ加工部に置き換わる。
この第3実施形態では、
図7および
図8に示すように、連鎖端子一次加工手段は、板厚の大きい第1金属板から、帯板状の連鎖部10と、該連鎖部10に繋ぎ部2を介して繋がった複数の端子1と、を有する連鎖端子をプレス加工する。このプレス加工の際、繋ぎ部2に小孔13を加工しておく。
【0027】
次に、連鎖端子二次加工手段では、連鎖端子一次加工手段の加工した連鎖端子の繋ぎ部2を、連鎖部10に近い位置で切断し、繋ぎ部2を残した端子1を、連鎖部10から切り離す。そして、切り離した繋ぎ部2を、第1金属板よりも板厚の小さい第2金属板よりなる帯板状の別の連鎖用板材20に、板厚方向にダボ加工により形成した凸部と小孔の嵌合加締めにより接合して、改めて連鎖化する。
【0028】
即ち、連鎖用板材20の加工時に、連鎖用板材20に、前記繋ぎ部2の小孔13に対応する角形の凸部23をダボ加工により設けておく。そして、凸部23に小孔13を嵌めて凸部23を加締め部材によりダボ加締めする。こうすることにより、繋ぎ部2を介して、新たな連鎖用板材20と端子1とを結合することができる。
【0029】
この場合も、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、連鎖部10で端子1を切り離すのではなく、繋ぎ部2で切り離すので、連鎖用板材20を巻き取るときの抵抗をより小さくすることができる。また、第1実施形態と同様、バーリング加工により凸部25を形成してもよい。
【0030】
なお、上記第1実施形態~第4実施形態においては、凸部22、23、25を板厚の小さい連鎖用板材20に形成し、小孔12、13、15を板厚の大きい連鎖部10や繋ぎ部2に形成する場合を示したが、逆にしてもよい。即ち、凸部22、23、25を板厚の大きい連鎖部10や繋ぎ部2に形成し、小孔12、13、15を板厚の小さい連鎖用板材20に形成してもよい。
【0031】
<第4実施形態>
図9および
図10を参照して、本発明の第4実施形態の連鎖端子の製造装置について説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態の製造装置は、端子形成手段と溝形成手段とを有する。これらの手段は、1つのプレス装置に組み込むことができる。
【0032】
まず、端子形成手段は、
図9に示すように、1枚の金属板から、帯板状の連鎖部10と、該連鎖部10に繋ぎ部2を介して繋がった複数の端子1と、を有する連鎖端子を形成する。
【0033】
次に、溝形成手段は、帯板状の連鎖部10の表面に、
図10に示すように、幅方向に沿った多数のV溝(凹溝)17を長手方向に連続して形成することで、連鎖部10の長手方向に沿った湾曲剛性を減じる。つまり、連鎖部10に多数のV溝17を形成することで、連結部に局部的に薄くなる部分を長さ方向に断続的に設ける。これにより、プレス前の板厚が大きくても、連鎖部10が湾曲しやすくなり、巻き癖がつかない巻き取りが可能となる。
【0034】
<第5実施形態>
図11を参照して、本発明の第5実施形態の連鎖端子の製造装置について説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態の製造装置は、端子形成手段と開口形成手段とを有する。これらの手段は、1つのプレス装置に組み込むことができる。
【0035】
まず、端子形成手段は、
図11に示すように、1枚の金属板から、帯板状の連鎖部10と、該連鎖部10に繋ぎ部2を介して繋がった複数の端子1と、を有する連鎖端子を形成する。
【0036】
次に、溝形成手段は、帯板状の連鎖部10に該連鎖部10の長手方向に沿った湾曲剛性を減じるための多数の肉抜き開口16を形成する。こうすることにより、プレス前の板厚が大きくても、連鎖部10が湾曲しやすくなり、巻き癖がつかない巻き取りが可能となる。肉抜き開口16を設けるのは、連鎖部10から所定形状を抜くだけだから負荷が少ない。なお、肉抜き開口16を設ける位置は限定されないが、バランスよく肉抜き開口16を設けることで、応力を少なくすることができる。この肉抜き開口16は、パイロット孔とは別に設ける。
【0037】
<第6実施形態>
図12、
図13を参照して、本発明の第6実施形態の連鎖端子の製造装置について説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態の製造装置は、板材接合手段と端子形成手段とを有する。
まず、板材接合手段は、
図12、
図13に示すように、板厚の大きい第1金属板10Sと、第1金属板10Sより板厚の小さい第2金属板20Sと、の側縁同士をレーザー接合(接合箇所Ls)して、板厚の異なる2領域を有する1枚の板材を形成する。そして,端子形成手段としてのプレス装置は、第2金属板20Sから帯板状の連鎖部20Pを形成すると共に、第1金属板10Sから、連鎖部20Pに繋ぎ部2を介して繋がった複数の端子1を形成する。こうすることにより、連鎖部20Pが湾曲しやすくなり、巻き癖がつかない巻き取りが可能となる。
【0038】
<第7実施形態>
図14~
図16を参照して、本発明の第7実施形態の連鎖端子の製造装置について説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態の製造装置は、端子形成手段と板厚削減手段とを有する。
まず、端子形成手段は、
図14に示すように、一定の板厚の金属板から、帯板状の連鎖部10と、連鎖部10に繋ぎ部2を介して繋がった複数の端子1と、を有する連鎖端子を形成する。次に、
図15に示すように、板厚削減手段としての切削装置または研磨装置110により、ドラム80に連鎖端子を巻き取る前段階で、帯板状の連鎖部10の板厚を減じる加工を実行する。これにより、
図16に示すように薄くなった連鎖部10Aが、ドラム80に巻き取られるので、連鎖部10Aが湾曲しやすくなり、巻き癖がつかない巻き取りが可能となる。
【0039】
<第8実施形態>
図17を参照して、本発明の第8実施形態の連鎖端子の製造装置について説明する。
この実施形態の製造装置では、板厚削減手段として、圧延ローラ71、72、73のセット70を使用して連鎖部10の板厚を小さくする点が、第7実施形態と異なるだけで、効果は同じである。
【0040】
<第9実施形態>
図18~
図22を参照して、本発明の第9実施形態の連鎖端子の製造装置について説明する。
図19は
図18のA-A矢視断面図、
図21は
図20のB-B矢視断面図である。
この実施形態の製造装置は、端子形成手段と板幅削減手段とを有する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
まず、端子形成手段は、
図18、
図19に示すように、一定の板厚の金属板から、帯板状の連鎖部10と、連鎖部10に繋ぎ部2を介して繋がった複数の端子1と、を有する連鎖端子を形成する。次に、板幅削減手段は、
図20、
図21に示すように、帯板状の連鎖部10の板幅を減じる加工をする。つまり、最初の連鎖部10の板幅HB1を、板幅削減手段により、板幅HB2の連鎖部10Bに整形する。
これにより、帯板状の連鎖部10の湾曲剛性が低下することになるため、
図22に示すように、連鎖部10Bが湾曲しやすくなり、巻き癖がつかない巻き取りが可能となる。
【0041】
<第10実施形態>
図23を参照して、本発明の第10実施形態の連鎖端子の製造装置について説明する。
本実施形態の装置は、プレス装置50により製造された、帯板状の連鎖部10と該連鎖部に繋ぎ部を介して繋がった複数の端子とを有する連鎖端子を、巻き取りドラム80に巻き取る巻き取り装置である。この巻き取り装置は、巻き取りドラム80の前段に、複数のローラ61、62、63により連鎖部10に巻き取りのための湾曲癖を付ける湾曲癖付加手段60を設けたものである。このように、複数のローラ61、62、63の配置によって、湾曲癖の半径Rを調整することができるので、巻き取りの際に連鎖部10の板厚の大きい場合でも、容易に巻き取りができるようになる。また、巻き戻しの際には、同じローラ61、62、63を湾曲癖除去手段として用いることにより湾曲癖を直すことができる。なお、この第10実施形態の装置は、単独で採用してもよいが、例えばプレス装置50をプレス装置100に置き換える等、上述の第1~第9実施形態の製造装置と組み合わせて使用すれば、より高い効果を得ることができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0043】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る連鎖端子の製造装置および製造方法の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 第1金属板(10S)を打ち抜き加工して、帯板状の連鎖部と、該連鎖部と繋ぎ部を介して繋がった複数の端子と、を有する連鎖端子を形成する端子形成部(131)と、
前記第1金属板よりも板厚の小さい第2金属板(20S)よりなる帯板状の別の連鎖用板材(連鎖用板材20)に、板厚方向にダボ加工により凸部(23)を形成するダボ加工部と、
前記連鎖端子をその長手方向に各端子ごとに切り離し、前記各端子を前記別の連鎖用板材に接合して連鎖化する結合部(133)と、
を備え、
前記結合部(133)は、前記各端子と前記別の連鎖用板材(連鎖用板材20)とをダボ加締めにより接合して連鎖化する、
連鎖端子の製造装置。
【0044】
所定厚さ以上の厚みを有する複数の端子を連鎖部(キャリア)で接続してリールに巻き取ると、巻き癖がついてしまうが、上記[1]の構成の製造装置によれば、端子よりも厚みの小さい連鎖用部材を用いて端子を接続することで、連続メッキ等の後工程に、端子が連鎖した状態での供給が可能になる。また、巻き癖のつかない巻取が可能になるため、巻き癖を修正する工程が不要となる。
【0045】
[2] 前記結合部(133)は、前記各端子を前記繋ぎ部を含めた形で前記連鎖部から切り離し、
前記端子形成部(131)は、前記繋ぎ部に小孔(13)を形成し、
前記結合部(133)は、前記凸部と前記繋ぎ部の小孔とを接合する、
上記[1]に記載の連鎖端子の製造装置。
【0046】
上記[2]の構成の製造装置によれば、各端子は繋ぎ部のみにより別の連鎖用板材に接合されるので、後工程における別の連鎖用板材の巻き取り時に当該別の連鎖用板材をより簡単に巻き取ることができる。
【0047】
[3] 第1金属板(10S)を打ち抜き加工して、帯板状の連鎖部と、該連鎖部と繋ぎ部を介して繋がった複数の端子と、を有する連鎖端子を形成する連鎖端子形成工程と、
前記第1金属板よりも板厚の小さい第2金属板(20S)よりなる帯板状の別の連鎖用板材(連鎖用板材20)に、板厚方向にダボ加工により凸部(23)を形成する凸部形成工程と、
前記各端子を前記繋ぎ部を含めた形で前記連鎖部から切り離し、前記繋ぎ部を前記別の連鎖用板材に接合して連鎖化する連鎖化工程と、
を備え、
前記連鎖端子形成工程では、前記繋ぎ部に小孔(13)を形成し、
前記連鎖化工程では、前記凸部(23)と前記繋ぎ部の小孔(13)とをダボ加締めにより接合して連鎖化する、
連鎖端子の製造方法。
【0048】
所定厚さ以上の厚みを有する複数の端子を連鎖部(キャリア)で接続してリールに巻き取ると、巻き癖がついてしまうが、上記[3]の構成の製造方法によれば、端子よりも厚みの小さい連鎖用部材を用いて端子を接続することで、連続メッキ等の後工程に、端子が連鎖した状態での供給が可能になる。また、巻き癖のつかない巻取が可能になるため、巻き癖を修正する工程が不要となる。
【符号の説明】
【0049】
1 端子
2 繋ぎ部
10 連鎖部
12 パイロット孔(小孔)
13 小孔
15 角形の小孔
16 肉抜き開口
17 V溝
20 連鎖用板材
22 凸部
23 凸部
25 角形の凸部
10A、10B 連鎖部
10S 第1金属板
20S 第2金属板
20P 連鎖部
61~63 ローラ
70 圧延ローラのセット(板厚削減手段)
100 プレス装置
110 切削装置または研削装置(板厚削減手段)