(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20250204BHJP
【FI】
A63F5/04 651
A63F5/04 620
(21)【出願番号】P 2022139674
(22)【出願日】2022-09-02
【審査請求日】2024-01-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(73)【特許権者】
【識別番号】598098526
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末岡 直也
(72)【発明者】
【氏名】折井 瑛彦
(72)【発明者】
【氏名】田村 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】小谷 佑紀
【審査官】鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-067798(JP,A)
【文献】特開2014-064750(JP,A)
【文献】特開2020-195593(JP,A)
【文献】特開2018-192157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技進行を制御する遊技制御部と、遊技進行に伴って遷移する遷移順序が予め定まっている複数のカットのうち1つのカット単位での演出が実行可能な演出制御部と、を備え、
前記複数のカットそれぞれに、複数の演出カテゴリのうちの1つの演出カテゴリが対応付けられており、
前記複数の演出カテゴリそれぞれに、複数の演出内容が対応付けられており、
前記複数のカットからなるカットセットが複数種類あり、前記複数種類のカットセットそれぞれに、前記複数のカットの前記遷移順序が設定されており、前記複数種類のカットセットそれぞれに含まれる前記複数のカットそれぞれに、前記複数の演出カテゴリのうちの1つの演出カテゴリが対応付けられており、
前記演出制御部は、前記複数のカットのうち、前記遷移順序に沿って遷移したカットの前記演出カテゴリに対応する前記複数の演出内容から選択された1つの演出内容で演出を実行可能であり、
前記演出カテゴリと、前記複数の演出内容とが対応付けられた関連データを有し、
前記演出制御部は、前記関連データを用いて、演出する前記演出内容を、演出を実行するカットの前記演出カテゴリに対応する前記複数の演出内容の中から決定可能であり、
異なる前記カットセットにおける同一の演出カテゴリが対応付けられたカットでの演出内容を決定する際に、同一の前記関連データを用いる、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機は、遊技進行に応じた演出が実行される。例えば、特許文献1には、一連の演出が複数のカットに分割されており、カット単位で演出が出力されることが開示されている(段落0204,0205参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、一連の演出を一種類のみ設けるとの記載があるが、演出の種類が少なければ、遊技者が演出に飽きてしまい、遊技続行の意欲が低下するおそれが考えられる。かといって、多種多様な一連の演出を実行可能にするためには、データ容量が膨大となってしまう。
【0005】
本開示は、データ容量を削減しつつも多種多様な演出を実行可能な遊技機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面は、遊技進行を制御する遊技制御部と、遊技進行に伴って遷移する遷移順序が予め定まっている複数のカットのうち1つのカット単位での演出が実行可能な演出制御部と、を備え、前記複数のカットそれぞれに、複数の演出カテゴリのうちの1つの演出カテゴリが対応付けられており、前記複数の演出カテゴリそれぞれに、複数の演出内容が対応付けられており、前記演出制御部は、前記複数のカットのうち、前記遷移順序に沿って遷移したカットの前記演出カテゴリに対応する前記複数の演出内容から選択された1つの演出内容で演出を実行可能である、遊技機である。
【0007】
また、第1の側面において、前記複数のカットからなるカットセットが複数種類あり、前記複数種類のカットセットそれぞれに、前記複数のカットの前記遷移順序が設定されており、前記複数種類のカットセットそれぞれに含まれる前記複数のカットそれぞれに、前記複数の演出カテゴリのうちの1つの演出カテゴリが対応付けられている、ことが好ましい。
【0008】
また、第1の側面において、前記複数種類のカットセットは、第1カットセット及び第2カットセットを含み、前記複数の演出カテゴリのうちの少なくとも1つの演出カテゴリは、前記第1カットセットを構成する複数のカットのうちの少なくとも1つのカットに対応付けられていると共に、前記第2カットセットを構成する複数のカットのうちの少なくとも1つのカットに対応付けられている、ことが好ましい。
【0009】
また、第1の側面において、前記第1カットセットにおいて前記遷移順序に基づきN番目(Nは1以上の自然数)に遷移するカットに対応付けられた前記演出カテゴリと、前記第2カットセットにおいて前記遷移順序に基づき前記N番目に遷移するカットに対応付けられた前記演出カテゴリとが同一である、ことが好ましい。
【0010】
また、第1の側面において、前記第1カットセットにおいて前記遷移順序に基づきM番目(Mは1以上の自然数)に遷移するカットに対応付けられた前記演出カテゴリと、前記第2カットセットにおいて前記遷移順序に基づき前記M番目に遷移するカットに対応付けられた前記演出カテゴリとが異なる、ことが好ましい。
【0011】
また、第1の側面において、前記第1カットセットにおいて前記遷移順序に基づきN番目(Nは1以上の自然数)に遷移するカットに対応付けられた前記演出カテゴリと、前記第2カットセットにおいて前記遷移順序に基づき前記N番目に遷移するカットに対応付けられた前記演出カテゴリとが同一であり、前記第1カットセットにおいて前記遷移順序に基づきM番目(Mは1以上の自然数であり前記Nと異なる数である)に遷移するカットに対応付けられた前記演出カテゴリと、前記第2カットセットにおいて前記遷移順序に基づき前記M番目に遷移するカットに対応付けられた前記演出カテゴリとが異なる、ことが好ましい。
【0012】
また、第1の側面において、前記演出カテゴリと、前記複数の演出内容とが対応付けられた関連データを有し、前記演出制御部は、前記関連データを用いて、演出する前記演出内容を、演出を実行するカットの前記演出カテゴリに対応する前記複数の演出内容の中から決定可能であり、異なる前記カットセットにおける同一の演出カテゴリが対応付けられたカットでの演出内容を決定する際に、同一の前記関連データを用いる、ことが好ましい。
【0013】
また、第1の側面において、前記演出制御部は、演出する前記演出内容を、演出を実行するカットの前記演出カテゴリに対応する前記複数の演出内容の中から抽せん処理で決定可能である、ことが好ましい。
【0014】
また、第1の側面において、前記演出制御部は、前記演出内容と前記カットセットとの組み合わせにより、前記カットでの演出に出力する画像を決定する処理が実行可能である、ことが好ましい。
【0015】
また、第1の側面において、前記遊技制御部は、第1区間および前記第1区間よりも遊技者に有利な遊技状態である第2区間を含む複数の区間のうち少なくとも1つの区間で遊技を進行する処理を実施可能であり、前記複数種類のカットセットそれぞれに、前記第1区間から前記第2区間へ移行する移行期待度が互いに異ならせて設定されている、ことが好ましい。
【0016】
第2の側面は、遊技進行を制御する遊技制御部と、遊技進行に伴って遷移する遷移順序が予め定まっている複数のカットのうち1つのカット単位での演出が実行可能な演出制御部と、を備え、前記複数のカットからなるカットセットが複数種類設けられており、前記複数種類のカットセットそれぞれに含まれる前記複数のカットそれぞれに対して、前記複数種類のカットセットに亘って共通して対応付けされる複数の演出カテゴリのうちのいずれか1つの演出カテゴリが対応付けされており、前記演出制御部は、演出する演出内容を、遊技進行に伴って遷移した前記カットセットに含まれる前記カットの前記演出カテゴリを用いて決定する、遊技機である。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、データ容量を削減しつつも多種多様な演出を実行可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】スロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
【
図4】第1遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図5】第2遊技状態における状態遷移を説明する図である。
【
図7】内部抽せんテーブルにおける押し順ごとの入賞可能役を説明するための図である。
【
図8】本実施形態のスロットマシンの遊技フローを示す図である。
【
図9】演出ステージを構成する複数のカットおよびその遷移順序を示す図である。
【
図10】演出カテゴリと演出内容とが対応付けられた演出テーブルを示す図である。
【
図11】演出カテゴリと演出内容とが対応付けられた演出テーブルを示す図である。
【
図12】演出ステージの演出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態]
本開示の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。
【0020】
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0021】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0022】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ102、および電飾部(図示略)が設けられている。液晶画面3、スピーカ102および電飾部は、報知部に相当する。
【0023】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0024】
リール窓200の側方には、遊技に関する各種の演出を表示可能なサブ液晶画面30が設けられている。
【0025】
スピーカ102は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0026】
電飾部は、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。
【0027】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、複数のストップスイッチ40、投入口が設けられたメダル投入部41、ベットスイッチ42、レバー43、媒体表示部44、精算スイッチ45および演出ボタン46などを含む。
【0028】
各ストップスイッチ40は、各回転リール20に対応して設けられている。各ストップスイッチ40は、回転リール20が回転している間に、各回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付ける。
【0029】
メダル投入部41の投入口には、遊技媒体に相当するメダルが投入される。投入口付近には、メダルセンサが設けられている。メダルセンサは、投入口へのメダルの投入を検出し、検出信号を制御部6に出力する。
【0030】
ベットスイッチ42は、メダルをベットする際に用いられる。
【0031】
レバー43は、各回転リール20を回転させるための操作を受け付けるスタートスイッチとして機能する。
【0032】
媒体表示部44は、メダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数、メダルのベット数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される。また、媒体表示部44は、遊技区間が有利区間であって特定の条件が満たされている場合に、遊技区間が有利区間であることを表示してもよい。具体的に、媒体表示部44における7セグメントの一部が点灯することにより、遊技区間が有利区間であることが告知される。
【0033】
精算スイッチ45は、遊技者による遊技が終了して、払出口51からメダルが払い出される際に用いられる。
【0034】
演出ボタン46は、遊技者が遊技を行う際に、音量設定、遊技データの確認などを行うために用いられるボタンである。また、演出ボタン46は、遊技中、演出に応じて遊技者により押下されることがある。遊技中に演出ボタン46が押下された場合、演出に変化が生じる。
【0035】
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0036】
筐体10のうち、操作部4の下方には、メダルの払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。また、筐体10の内部には、メダルの受け入れおよび払い出しを行うホッパーユニット50が設けられている(
図2参照)。
【0037】
図2に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72を備える。回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0038】
回転リールユニット2は、
図1および
図2に示すように、3つの回転リール20と、3つのステッピングモータ21とを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。回転リール20それぞれには、
図3に示すように、複数の図柄が、当該回転リール20の周方向に沿って間隔を開けて配置されている。ステッピングモータ21は、各回転リール20に対応して設けられており、対応する回転リール20を駆動させる。
【0039】
ステッピングモータ21は、回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。ステッピングモータ21は、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20は、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0040】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
【0041】
RAMクリアボタン71は、制御部6を構成するRAMを初期化するための操作を受け付けるためのボタンである。設定変更ボタン72は、複数段階の設定値のうちのいずれか1つをスロットマシン1に設定する際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。
【0042】
設定値とは、スロットマシン1に投入されたメダルの投入総数に対する、ホッパーユニット50から払い出されたメダルの払出総数の割合を示す出玉率、の期待値を表した値である。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。設定値に応じて、リプレイやベルなどの、各種役の当せん確率が異なるからである。設定値は、店舗開店前に、店舗スタッフによって設定される。すなわち、設定値は、遊技者にとっての有利度、具体的には遊技者への出玉に関する恩恵、を規定するともいえる。
【0043】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、必要に応じて、演出ボタン46を押下してスピーカ102から出力される音量調整、液晶画面3の光度調整を行う。
【0044】
遊技者は、メダル投入部41の投入口からメダルを投入しまたはベットスイッチ42を操作することにより貯留(クレジット)されているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー43の操作、すなわち遊技開始が可能となる。
【0045】
図1では、有効ラインLが、右下がりライン、右上がりライン、中段ラインの3本で構成されている場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。本実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、3本のラインLが有効化される。
【0046】
以下では、ベルやスイカなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、特殊リプレイ、チャンス目、ボーナスなどの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。
【0047】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ42、レバー43およびストップスイッチ40を操作して、メダルの払い出し処理を含む遊技の結果を得る一連の動作を云う。
【0048】
具体的には、遊技開始可能な状態でレバー43が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0049】
遊技者は、上記ゲームを繰り返し行う。ゲームが繰り返されることに応じて遊技が進行していき、液晶画面3およびサブ液晶画面30の表示やスピーカ102からの音の出力は、遊技進行に応じて変化していく。
【0050】
<遊技状態について>
遊技中は、遊技区間および遊技状態の各種類が設定され、設定された遊技区間および遊技状態の各種類に基づいて内部抽せんが行われる。遊技状態には、
図4および
図5に示すように、第1遊技状態および第2遊技状態が含まれる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
【0051】
第1遊技状態は、
図4に示すように、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態を含む。特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態は、排他的に成立する関係にある。
【0052】
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役(一種BBおよび二種BB)の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、RAMクリアボタン71を用いてRAMが初期化された場合、特別役実施状態に移行してから払い出しメダルの枚数が所定枚数(例えば180枚)を超えた場合などの、所定条件を満たした場合に設定される。特別役持ち越し状態にて特別役が入賞した場合(すなわち所定条件を満たした場合)、第1遊技状態は、一時的ではあるが特別役非持ち越し状態に設定される。
【0053】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしてはいるものの、当該特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、特別役持ち越し状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、当該特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、よって特別役が未だ入賞していない状態をいう。
【0054】
ここで、一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置であって、ビッグボーナスなどが該当する。一種BBは、3枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。二種BBは、二種特別役物に係る役物連続作動装置であって、例えば2枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。特別役では、任意の特別役(例えば一種BB)の入賞が持ち越された状態にある場合、他の特別役(例えば二種BB)の抽せんは行われない。
【0055】
第1遊技状態が特別役非持ち越し状態である場合に特別役が当せんすると、第1遊技状態は、特別役非持ち越し状態から、当せんした当該特別役の入賞が持ち越された状態(特別役持ち越し状態)に移行する。
【0056】
当せんした特別役が入賞すると、第1遊技状態は、特別役持ち越し状態から、特別役非持ち越し状態を一時的に介して特別役実施状態に移行する。一種BBまたは二種BBが入賞したことによって第1遊技状態が特別役実施状態に移行すると、一種BBまたは二種BBによるメダルの払い出し枚数が所定枚数を超えるまで、特別役実施状態が維持される。
【0057】
さらに詳細に、特別役実施状態には、一種BB実施状態、二種BB実施状態、およびRB実施状態が含まれる。一種BBが実施されている一種BB実施状態の間に、内部抽せんによってRBが当せんし入賞した場合、特別役実施状態は、一種BB実施状態からRB実施状態に移行する。RB実施状態において12ゲーム消化または所定の役が8回入賞することで、特別役実施状態は、一種BB実施状態に移行する。
【0058】
第2遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、一般遊技状態および特別遊技状態を含む。特別遊技状態には、AT状態および特別役実施状態が含まれる。
図5では、第2遊技状態が、一般遊技状態と、チャンスゾーンと、特別遊技状態としてのAT状態とで切り替えられる場合を例示する。一般遊技状態とチャンスゾーンと特別遊技状態(AT状態)とは、排他的に成立する関係にある。
【0059】
一般遊技状態とは、AT状態および特別役実施状態などの特別遊技状態でない状態であって且つチャンスゾーンでもない状態、つまりアシスト機能が発生しない状態である。例えば、RAMクリア後やAT終了後などからAT抽せんに当せんするまでの間、第2遊技状態は一般遊技状態に設定され得る。一例として、遊技区間が有利区間である場合に、AT抽せんは、内部抽せんにより当せんした役(レア役など)に応じて行われる。
【0060】
AT状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役以外の役のストップスイッチ40の正解押し順(正解操作順)を、液晶画面3やスピーカ102などを介して知らせるアシスト機能(AT機能)、が働いている状態である。遊技区間が有利区間である間に、AT抽せんにてATが当せんした場合や、有利区間でのゲーム数が所定ゲーム数(天井ゲーム数)に到達したり遊技の過程で蓄積してきたポイントが所定数(天井ポイント)に到達したりしたことでAT実施が決定した場合、第2遊技状態は、一般遊技状態またはチャンスゾーンからAT状態へと移行する。有利区間への移行後からのゲーム数が規定ゲーム数に到達した場合、または、有利区画への移行時からのメダルの払い出し差枚数(メダル払出枚数から投入枚数を減算したものの累積値)が有利区間における定められた所定枚数に達した場合に(いずれも有利区間の強制終了条件)、第2遊技状態は、AT状態から一般遊技状態へと移行する。また、有利区間の強制終了条件が満たされずとも、決められたATでの遊技期間が経過したものの当該ATの遊技期間の延長が決定されなかった場合にも、第2遊技状態は、AT状態から一般遊技状態へと移行する。これにより、AT状態は終了する。AT状態は、一般遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態の1つである。
チャンスゾーンについては後述する。
【0061】
<遊技区間について>
上述した遊技区間とは、アシスト機能に関する処理が行われるか否かを決定するための区間である。アシスト機能に関する処理には、アシスト機能を発揮する処理(即ち、押し順をアシストする処理)の他、後述するCZ(チャンスゾーン)のように、アシスト機能を発揮させるか否かを決定する処理、が含まれる。
図6に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とを有する。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかを採り得る。
【0062】
通常区間とは、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行できないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて遊技が行われた結果、内部当せんした役に応じて、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。なお、第2遊技状態が一般遊技状態である間に、遊技区間は通常区間を採ることができる。
【0063】
有利区間は、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、AT状態などの特別遊技状態で進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件を満たすまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。有利区間にてATが継続されていた状態で、当該有利区間の強制終了条件が満たされると、遊技区間は有利区間から通常区間に移行される。この際、ATは終了し、第2遊技状態は、AT状態から一般遊技状態に移行する。
【0064】
<制御部の構成>
図2に示すように、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部63を有する。メイン制御部61は、内部抽せんや回転リール20の制御など、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部63は、メイン制御部61から送信された信号や演出ボタン46が押下されたことに基づいて、演出に関する制御を行う。
【0065】
メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれのROMには、遊技進行に必要なプログラムが記憶されている。メイン制御部61のRAMには、上述した遊技に関するデータに含まれる、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、現在ゲーム数の他、各遊技状態および遊技区間がどの状態または区間であるかを示すデータなどが含まれる。サブ制御部63のRAMには、演出制御に関する各種データなどが記憶される。
【0066】
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、媒体管理部613、遊技進行制御部614、区間制御部615、遊技状態制御部616として機能する。サブ制御部63は、演出制御部630として機能する。
【0067】
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、レバー43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる。具体的に、内部抽せん部610は、レバー43が操作された時の第1遊技状態に基づいて、内部抽せんテーブルおよびレバー43が操作された時に取得される乱数に従って内部抽せんを行う。内部抽せん部610は、後述する様々な抽せんを同時に行う。様々な抽せんには、例えば、AT状態に移行するかを決定する抽せん、AT状態を継続するかを決定する抽せん、アシスト機能を発揮させるか否かを決定する抽せんなどが挙げられる。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、内部抽せん部610から回転リール制御部611および遊技進行制御部614などに送信される。
【0068】
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルを基に、レバー43操作時のRT状態、特別役(ボーナス)中か否か、設定値、の組み合わせに応じて内部抽せんを行う。なお、内部抽せんテーブルに示された役の情報には、図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。当該役には、メダルの払い出しが行われないはずれ役の他、メダルの払い出しのある押し順役などが含まれる。
【0069】
AT状態で遊技が行われる場合には、押し順役が内部抽せんにより当せんする場合がある。押し順役が当せんし、その押し順通りにストップスイッチ40が押下された場合には、当該押し順役が入賞し、その役に応じた複数枚(例えば13枚)のメダルが払い出される。押し順役が当せんしたにも関わらず、押し順通りにストップスイッチ40が押下されなかった場合には、当該押し順役は入賞しないか、またはその他の役(1枚役など)が入賞する。
【0070】
なお、押し順役は、一般遊技状態中にも当せんしている。一般遊技状態中に押し順役が成立した場合、正解押し順の報知はされないため、偶然にも正解押し順が押されない限り、押し順役は取りこぼされたり払い出しが1枚となったりする。AT状態中は、正解押し順が報知されるため、報知された正解押し順通りにストップスイッチ40を押すことができ、その結果複数枚(例えば13枚)のメダルが払い出される。
【0071】
次に、内部抽せんテーブルの一例を説明する。
図7に示すように、内部抽せんテーブルに記憶されている役のフラグには、所定の順序でストップスイッチ40が操作された場合に入賞する押し順役フラグ、および押し順に関係なく入賞可能な押し順不問役フラグが含まれる。
図7に示すように、小役は、入賞した場合に一定枚数のメダルの払い出しが行われる図柄の組み合わせの役またはリプレイが含まれる。また、リプレイは、入賞した場合にメダルをベットすることなく次の遊技が可能となる図柄の組み合わせであって、再遊技役である。純はずれは、内部抽せんにおいていずれの役にも当せんしないことである。
【0072】
図7に示す一例において押し順役フラグは、「押し順ベル 1~6」に関する役のフラグである。
図7に示すように、押し順役の情報には、設定されている押し順役フラグの識別情報、および、対応するストップスイッチ40の押し順に関する情報が含まれる。
【0073】
図7では、押し順役が入賞可能となるストップスイッチ40の押し順が、テーブルの上部の3つの文字で示されている。例えば、「左中右」は、左のストップスイッチ40、中のストップスイッチ40、右のストップスイッチ40の順にストップスイッチ40が操作されることを示している。
図7において、「左中右」の下方に“こぼし目”と表記されずに役の名称が表記されている部分については、ストップスイッチ40が「左中右」の順で操作されれば、表記されている役の図柄がリール窓200に停止表示され、対応するフラグの役が入賞されることを示している(すなわち正解押し順)。押し順役の押し順(具体的には正解押し順)は、所定の条件が満たされた場合(例えば、遊技区間が有利区間であって、第2遊技状態がAT状態である場合や、AT状態中にアシスト抽せんで当せんした場合)に、アシストされる。
【0074】
役のフラグ「押し順ベル 1~6」は、1通りのストップスイッチ40の正解押し順によって複数枚(例えば13枚)のメダルが払い出される中段ベルと、5通りのストップスイッチ40の不正解押し順によって例えば1枚のメダルが払いだされるベルこぼし目とで構成される。本明細書で記載する払い出し枚数は例示であり、遊技機の仕様によって払出枚数を適切な値に設定可能である。
なお、押し順役に当選している場合において、実際の押し順が不正解である場合には、払い出しを受けられず(払い出しは0枚)、押し順役が非入賞(はずれ)となる場合がある。
【0075】
チェリー、スイカなどのレア役は、遊技者によるストップスイッチ40の押下タイミングによって入賞する場合と入賞しない場合とがある、いわゆる目押しが必要な当せん役(目押し役)である。レア役は、目押しによって入賞の可否がある役である。レア役以外の役、例えば共通ベルは、リール窓200から視認できる回転リール20の位置に、ベル図柄が右下がり配置にて目押し不要で揃う役である。
【0076】
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、レバー43または各ストップスイッチ40の操作に基づいて、ステッピングモータ21の駆動を制御し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0077】
具体的には、回転リール20全ての回転が停止している状態にて、レバー43が操作された場合、回転リール制御部611は、回転リール20全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20の回転中に、回転中の回転リール20に対応するストップスイッチ40が操作された場合、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。
【0078】
回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40の操作に基づいて、当せんフラグが示す役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることができる。
【0079】
また、回転停止制御では、回転リール制御部611は、当せんした役と、各ストップスイッチ40操作時の回転リール20の位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
【0080】
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部612は、内部抽せんおよび回転リール20の回転停止制御の各結果に基づいて遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かが判定された結果を意味する。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部612は、当せん役が入賞したと判定する。
【0081】
―媒体管理部―
媒体管理部613は、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御を行う。
【0082】
具体的に、媒体管理部613は、メダルがベットされた場合には、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させ、メダルがクレジットされた場合には、クレジット数を増加させる。
【0083】
内部抽せんによって当せんした役が遊技者の操作に基づいて入賞した場合、媒体管理部613は、入賞した役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に基づいて、クレジット数を増加させる。
【0084】
また、媒体管理部613は、遊技結果判定部612が判定した遊技結果の他、精算スイッチ45の操作により出力された操作信号に基づいて、ホッパーユニット50を制御する。
【0085】
具体的に、当せんした役の入賞により得られたメダルは、先ずはクレジットとして貯留される。メダルを貯留した結果、クレジット数がその上限(例えば50枚)を超えた場合には、上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、貯留中のメダルが一枚以上ある状態で精算スイッチ45が操作された場合、貯留中のメダルの少なくとも一部がホッパーユニット50から払い出される。
【0086】
さらに、媒体管理部613は、有利区間において、メダルの払い出し枚数からメダルのベット数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数、および差枚数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。メダルの差枚数およびレンジ(MY)は、区間制御部615に送信される。なお、媒体管理部613は、有利区間終了後に、メダルの差枚数およびレンジ(MY)をリセットする。
【0087】
―遊技進行制御部―
遊技進行制御部614は、遊技者の操作に基づいて遊技進行を制御する。その際、遊技進行制御部614は、店舗スタッフにより設定された設定値に基づいて、当該遊技者による遊技進行を制御する。
【0088】
また、遊技進行制御部614は、RAMクリアボタン71が押下された場合、メイン制御部61のRAMを初期化することで、遊技データをリセットする。遊技進行制御部614は、設定変更ボタン72が押下された場合、現在の設定値を他の設定値に変更する。
【0089】
―区間制御部―
区間制御部615は、遊技者による遊技の際、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
【0090】
具体的には、区間制御部615は、遊技区間が通常区間である場合に、通常区間の状態を維持するか、それとも有利区間に移行するかの区間移行抽せんを行う。所定の抽せん対象役が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。区間移行抽せんに当せんした場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間に設定(移行)する。
【0091】
なお、区間移行抽せんの当せん確率は、設定度に応じて異なっていてもよい。一例としては、設定値に応じて、前記所定の抽せん対象役の当せん確率が異なっているか、または、前記所定の当せん対象役の当せん時に行われる、区間移行抽せんの当せん確率が異なっている。
【0092】
また、区間制御部615は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するかを決定する。例えば、区間制御部615は、遊技区間が有利区間の時に、第2遊技状態がAT状態から一般遊技状態に移行させることを決定したか否かを判定する。一般遊技状態に移行させると決定された場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させる。
【0093】
また、区間制御部615は、有利区間の状態での消化ゲーム数が規定ゲーム数(例えば3000ゲーム)に達した場合、または、有利区間の間にメダルの差枚数が所定枚数(例えば2400枚)に達した場合(即ち、有利区間の強制終了条件が満たされた場合)、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。
【0094】
また、区間制御部615は、遊技データがリセットされた場合、リセット直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
【0095】
なお、区間制御部615は、設定(移行)した区間の種類を表す信号を、媒体表示部44に送信してもよい。つまり、媒体表示部44には、有利区間か否かが表示されてもよい。
【0096】
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部616は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
【0097】
具体的には、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を、一般遊技状態または特別遊技状態(例えばAT状態)に設定する。
【0098】
一例として、
図4に示すように、遊技状態制御部616は、メイン制御部61のRAMクリアなどの所定条件が満たされた場合は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。内部抽せんにより特別役が当せんした直後、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役持ち越し状態に設定する。その特別役が入賞した場合、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役実施状態(特別遊技状態)に設定する。
【0099】
また、
図5に示すように、遊技状態制御部616は、内部抽せん部610によるAT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をAT状態に設定するか否か(すなわち、ATに当せんしたか否か)を判定する。有利区間の間にAT抽せんに当せんした場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態(特別遊技状態)に設定する。逆に、AT抽せんに当せんしなかった場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態を一般遊技状態やチャンスゾーンに設定することができる。また、ATが終了した場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態から一般遊技状態やチャンスゾーンに移行させる。すなわち、遊技状態制御部616は、第2遊技状態を、一般遊技状態、チャンスゾーンおよび特別遊技状態のいずれにするかを決定する。
【0100】
―演出制御部―
演出制御部630は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3またはサブ液晶画面30に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGMなどをスピーカ102から出力させる。例えば、演出制御部630は、ATやボーナスが当せんした場合、その旨を液晶画面3またはサブ液晶画面30に表示させるための演出パターンを選択し、当該演出パターンに従って液晶画面3またはサブ液晶画面30の表示制御およびスピーカ102の音声出力制御を行う。
【0101】
演出制御部630は、AT中、逐次当せんする押し順役の正解押し順の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる(アシスト機能)。演出制御部630は、メイン制御部61からの信号に応じて、アシスト機能を発揮する。なお、演出制御部630によるアシスト機能の発揮と同時にまたは別のタイミングで、メイン制御部61が、7セグメント等の表示部にアシスト機能を発揮させることが可能である。
【0102】
<設定示唆演出>
また、遊技中に、設定値を示唆する演出(以下、設定示唆演出ともいう)の報知条件が満たされた場合、演出制御部630は、当該演出の報知を、液晶画面3、サブ液晶画面30およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。この演出を、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1がどのような設定値なのかを、把握する材料の1つとすることができる。報知条件としては、通常区間か有利区間かを問わず一般遊技状態や特別遊技状態などでのレア役当せん時、ボーナスゲームの終了時、AT終了時、所定遊技区間(例えばセット)等の区間の開始時などが挙げられる。
【0103】
-遊技フロー(ゲームフロー)-
図8は、本実施形態のスロットマシン1の遊技フローを示す図である。本実施形態では、通常区間における一般遊技状態、有利区間における一般遊技状態(第1区間と表記する場合がある)、有利区間におけるチャンスゾーン(CZ)(第2区間と表記する場合がある)、および有利区間におけるAT状態での遊技が実行可能に構成されている。
【0104】
なお、CZ(チャンスゾーン)とは、AT状態(特別遊技状態)への移行期待度が一般遊技状態よりも高い第2遊技状態である。AT状態への移行期待度が高いとは、CZからのAT状態への移行抽せん確率が高いといった直接的なものや、その後のAT状態への移行抽せん確率を高めていくような間接的なものも含む。従って、CZは、一般遊技状態よりも遊技者にとって遊技が有利となる状態、といえる。一般遊技状態よりも遊技者にとって遊技が有利な状態という点では、CZおよびAT状態は共通しているが、CZよりも、AT状態の方がさらに有利度合が大きいといえる。AT状態では、CZに比べて遊技者のメダル所持数が増加し易いからである。なお、AT状態は、一種BBまたは二種BB等のボーナスが内部当せんしているが、非入賞の状態(特別役持越し状態)で進行する。
【0105】
図8に示すように、通常区間における一般遊技状態において有利区間への移行条件が成立すれば、遊技区間は通常区間から有利区間に移行する。
【0106】
本実施形態の有利区間における一般遊技状態(第1区間)では、CZへの移行期待度が異なる複数(本実施形態では4つ)の演出ステージのうちの1つの演出ステージでの遊技進行が可能である。各演出ステージには、CZへの移行期待度が紐づけされている。有利区間における一般遊技状態では、CZ移行決定処理、演出ステージ変更処理が実行可能に構成されている。演出ステージに紐づいているCZ移行期待度がCZ移行決定処理で用いられるため、遊技者は、演出ステージをCZ移行期待度の高いものにランクアップさせたり、逆にCZ移行期待度の低いものにランクダウンさせたりして、演出ステージを変動させながら、一般遊技状態中は遊技を進める。複数の演出ステージは、駅ビルをフィールド(場面、舞台、背景、光景)とする「演出ステージ 1(CZ移行期待度:低)」、地下施設をフィールドとする「演出ステージ 2(CZ移行期待度:中)」、商業施設をフィールドとする「演出ステージ 3(CZ移行期待度:高)」、タワーをフィールドとする「演出ステージ 4(CZ移行期待度:最高)」を含む。通常区間から有利区間に移行した場合には、複数種類の演出ステージのうちの初期値としての演出ステージ 1が選択される。
【0107】
CZ移行決定処理では、進行中の演出ステージに対応するCZ移行期待度に基づきCZへ移行するか否かを決定する処理であり、CZ移行期待度が高ければ、CZへ移行すると決定される確率が高くなる。具体例として、演出ステージごとにCZ移行決定処理で用いるCZ移行テーブルが紐づけてある。CZ移行テーブルが有するCZ当せん確率(CZ移行期待度に相当)がCZ移行テーブルごとに異なっている。現在の演出ステージに対応するCZ移行テーブルを用いて抽せん処理を実行し、CZ当せんか非当せんかを決定する。CZへ移行すると決定された場合には、CZへ移行する。CZへ移行しないと決定された場合には、現在の状態、すなわち一般遊技状態が維持される。
【0108】
CZ移行決定処理は、一般遊技状態中における所定条件の成立により実行される。所定条件は、例えば、レア役に当せんまたは入賞したことなどの所定役の当せんまたは入賞することや、50ゲーム等の所定ゲーム数が消化されたこと、遊技の過程において蓄積したポイントが所定ポイントに到達したことなどの周期的条件が成立することなどが挙げられる。
【0109】
演出ステージ変更処理は、レア役に当せんまたは入賞したことなどの変更判定条件の成立を契機として、演出ステージを1ランクアップする処理と、CZ移行決定処理においてCZに移行決定されなかった(CZに非当せん)場合に演出ステージを1ランクダウンする処理とを含む。なお、ラックアップする数またはランクダウンする数は原則として1つであるが、これに限定されず、アップまたはダウンする数を抽せん処理で決定してもよい。
【0110】
本実施形態のCZでは、AT状態への移行条件が成立するか否かを決定するための遊技を実行する。CZにおいて、AT状態へ移行することが決定されれば、AT状態へ移行し、AT状態へ移行しないことが決定されれば、有利区間における一般遊技状態へ移行する。
【0111】
-演出ステージにおける演出制御-
演出制御部630は、遊技進行に伴って1つのカット単位での演出を実行可能に構成されている。本実施形態では、1ゲームあたり1つのカット単位で演出が実行される。カット単位は、演出の最小単位である。
図9は、演出ステージ(カットセットと表記する場合がある)を構成する複数のカットおよびその遷移順序を示す図である。
図9に示すように、複数のカットから1つのカットセットが構成され、1つの演出ステージに対して1つのカットセットが対応している。演出ステージにおける一連の演出がカット単位に分割されているともいえる。1つのカットセットを構成する複数のカットは、遊技進行に伴って遷移する遷移順序が予め定まっている。例えば、
図9に示すように、「演出ステージ 1(駅ビル)」は、カット 1~11の11個のカットで構成されるカットセット 1に紐づいており、各カットは数字の順序で遷移する。1遊技(1ゲーム)消化のためにレバー43を操作するごとに、数字の順序に従ってカットが遷移していく。カット 1から順番にゲームを消化し、カット 11の演出を出力したゲームの次のゲームでは、演出ステージが変化していなければ始めのカット 1に戻り、ループする。カットセットは複数種類あり、それぞれ演出ステージ 1~4に紐づけられている。「演出ステージ 2(地下施設)」は、カット 1~10の10個のカットで構成されるカットセット 2に紐づいており、カット 10の次はカット 1に戻りループする。「演出ステージ 3(商業施設)」は、カット 1~6の6個のカットで構成されるカットセット 3に紐づいており、カット 6の次はカット 1に戻りループする。「演出ステージ 4(タワー)」は、カット 1~3の3個のカットで構成されるカットセット 4に紐づいており、カット 3の次はカット 1に戻りループする。
【0112】
演出ステージ 1~4を構成するカット数は、順に11個、10個、6個、3個である。本実施形態では、演出ステージ(カットセット)を構成するカット数は、演出ステージ(カットセット)のCZ移行期待度が高いほど、少なくなるようにしている。これは、CZ移行期待度の低い演出ステージに留まる期間よりも、CZ移行期待度が高い演出ステージに留まる期間が比較的短いため、CZ移行期待度が高い演出ステージにおいては低い演出ステージほどに多彩な演出を用意しなくても遊技者が飽きにくく、且つ、データ容量削減になるからである。換言すれば、複数の演出ステージは、第1演出ステージと、第1演出ステージのCZ移行期待度よりもCZ移行期待度が高い第2演出ステージとを含み、第2演出ステージを構成するカット数は第1演出ステージを構成するカット数よりも少ない、としてもよい。
【0113】
図9に示すように、複数のカットそれぞれに、複数の演出カテゴリ(1~6)のうち1つの演出カテゴリが対応付けられている。演出カテゴリは、演出内容を分類した概念であり、少なくとも1つの演出内容が紐づけられている(
図10、
図11参照)。具体的には、複数の演出カテゴリは、窓に関連する演出内容が紐づけられた「演出カテゴリ 1(窓)」、建物内外の入り口に関連する演出内容が紐づけられた「演出カテゴリ 2(エントランス)」、買い物店に関連する演出内容が紐づけられた「演出カテゴリ 3(ショッピング)」、食事サービスを提供するレストランに関連する演出内容が紐づけられた「演出カテゴリ 4(レストラン)」、エレベータに関連する演出内容が紐づけられた「演出カテゴリ 5(エレベータ)」、景色に関連する演出内容が紐づけられた「演出カテゴリ 6(景色)」を含む。「演出カテゴリ 1~5」は、「演出ステージ 1~3」を構成する少なくとも1つのカットに対応付けられており、共用されている。「演出カテゴリ 6」は「演出ステージ 4」を構成するカットのみに対応付けられている。
【0114】
演出ステージ 4のように、演出ステージを構成する全てのカットの演出カテゴリが同一(統一)であってもよいが、演出ステージ 1~3のように、全てのカットの演出カテゴリが同一でない(非統一な)演出ステージを含むことが好ましい。換言すれば、演出ステージ 1~3間では、演出上の土台ともいえるステージがそれぞれ「駅ビル」「地下施設」「商業施設」で異なっているものの、各カットでは共通した演出カテゴリ 1~5が用いられている。演出の多彩性を確保するためである。また、異なる演出ステージにおいて、同一の演出カテゴリが出現するカットの順序も異なることが好ましい。具体的には、「演出ステージ 1(駅ビル)」において遷移順序に基づいて2番目に遷移するカット 2の演出カテゴリ 2と、「演出ステージ 2(地下施設)」において遷移順序に基づいて2番目に遷移するカット 2の演出カテゴリ 4とは異なる。また、「演出ステージ 1(駅ビル)」において遷移順序に基づいて1番目に遷移するカット 1の演出カテゴリ 1と、「演出ステージ 2(地下施設)」において遷移順序に基づいて1番目に遷移するカット 1の演出カテゴリ 1とは同一としてもよい。
【0115】
図10および
図11は、演出カテゴリと演出内容とが対応付けられた演出テーブル 1~6を示す図である。
図10および
図11に示すように、1つの演出カテゴリに2つ以上の演出内容が対応付けられている演出テーブル 1~6(関連データとも表記する場合がある)を有する。また、演出テーブル 1~6では、演出内容それぞれに当該演出内容の当せん確率が設定されている。本実施形態では、各演出内容の当せん確率は同一であるが、異なっていてもよい。具体例として、「演出テーブル 1(関連データ 1)」の「演出カテゴリ 1(窓)」には、「1つの大きい窓」、「2つの小さい窓」および「多数の窓」という窓に関連する3つの演出内容が紐づけられている。「演出テーブル 2(関連データ 2)」の「演出カテゴリ 2(エントランス)」には、「2つのエントランス」、「怪しいエントランス」および「豪華なエントランス」というエントランスに関連する3つの演出内容が紐づけられている。「演出テーブル 3(関連データ )」の「演出カテゴリ 3(ショッピング)」には、「服屋」、「雑貨屋」および「家電量販店」というショッピングに関連する3つの演出内容が紐づけられている。「演出テーブル 4(関連データ 4)」の「演出カテゴリ 4(レストラン)」には、「焼肉店」、「和食店」および「洋食店」というレストランに関連する3つの演出内容が紐づけられている。「演出テーブル 5(関連データ 5)」の「演出カテゴリ 5(エレベータ)」には、「金色エレベータ」、「普通のエレベータ」および「汚いエレベータ」というエレベータに関連する3つの演出内容が紐づけられている。「演出テーブル 6(関連データ 6)」の「演出カテゴリ 6(景色)」には、「肉眼で見る景色」、「望遠鏡で見る景色」および「360度展望景色」という景色に関連する3つの演出内容が紐づけられている。各々の演出内容は、映像や画像を出力するためのデータが関連付けられている。
【0116】
演出制御部630は、レバー43により遊技が開始されることを契機として、現在の演出ステージにおける遷移順序(
図9参照)に基づいて遷移先のカットを特定する。演出制御部630は、現在の演出ステージにおける遷移順序に従って、現在のカットからの遷移先のカットの演出カテゴリを特定し、特定した演出カテゴリに対応する複数の演出内容から1つの演出内容を、演出テーブル 1~6(関連データ 1~6)を用いて決定する。本実施形態では、どの演出内容とするかを、演出テーブルにある当せん確率を用いて抽せん処理で決定する。演出制御部630は、決定した演出内容とカットセット(現在の演出ステージ)との組み合わせにより、カットでの演出にて出力する画像を決定する処理を実行する。例えば、決定された演出内容が「普通のエレベータ」であっても、滞在中の演出ステージが「駅ビル」であれば、駅ビルにあるプラットフォームから延びるエレベータの画像が用いられ、滞在中の演出ステージが「地下施設」であれば、薄暗い地下空間を移動するエレベータの画像が用いられる。
【0117】
-遊技フロー:詳細-
次に、フローチャートを用いて、第1区間(有利区間における一般遊技状態)での遊技進行処理、第2区間(CZ)での遊技進行処理の動作を説明する。
【0118】
図12は、演出ステージの演出処理を示すフローチャートである。
まず、ステップST1において、レバー43の操作によって1ゲーム(1遊技)が開始されたかを判定し、1ゲーム(1遊技)が開始された場合(ST1:YES)には、次のステップST2において、演出制御部630は、現在の演出ステージにおける遷移順序に基づいて次のカットを特定する。例えば、直前のゲーム(直前の遊技)が演出ステージ 1のカット 1の演出を実行した場合には、演出制御部630は、次のカットが演出ステージ 1の「カット 2」であると特定する。ステップST3において、演出制御部630は、演出ステージ 1のカット 2の演出カテゴリ 2に対応する複数の演出内容のうち1つの演出内容を、演出テーブル2を用いて決定する。次のステップST4において、演出制御部630は、ステップST3で決定した演出内容とレバー43の操作時に滞在している現在の演出ステージ(カットセット)との組み合わせにより、演出の画像や映像を決定する。次のステップST5において、演出制御部630は、決定した演出の画像や映像を1カット演出する。
【0119】
ステージ数×カット遷移順序×演出テーブルにより抽せんで決定される演出内容の組み合わせが膨大な数になるため、複数のカットを一連の演出データとして生成すると、データが膨大になってしまう。一方、本実施形態のように、カットセットのカット及びその遷移順序、カットと演出カテゴリとを紐づけるデータ、演出カテゴリと演出内容とを紐づけるデータがあれば、多彩な演出が実行可能となる。
【0120】
以上をまとめると、本実施形態のように、スロットマシン1(遊技機)は、遊技進行を制御する遊技制御部(内部抽せん部610、遊技結果判定部612、媒体管理部613、遊技進行制御部614の総称)と、遊技進行に伴って遷移する遷移順序が予め定まっている複数のカットのうち1つのカット単位での演出が実行可能な演出制御部630と、を備え、複数のカットそれぞれに、複数の演出カテゴリ 1~6のうちの1つの演出カテゴリが対応付けられており、複数の演出カテゴリ 1~6それぞれに、複数の演出内容が対応付けられており、演出制御部630は、複数のカットのうち、遷移順序に沿って遷移したカットの演出カテゴリに対応する複数の演出内容から選択された1つの演出内容で演出を実行可能である、としてもよい。
【0121】
<発明の効果>
本実施形態によれば、遊技進行に実行する演出をカット単位で実行し、遊技進行に伴って遷移順序に沿って遷移したカットの演出カテゴリに対応する複数の演出内容から選択した1つの演出内容が実行される。よって、全てのカットの組み合わせパターンの演出データを予め用意する場合に比べてデータを削減可能となる。
【0122】
[2]
上記[1]に記載の遊技機において、複数のカットからなるカットセット(演出ステージ 1~4)が複数種類あり、複数種類のカットセット(演出ステージ 1~4)それぞれに、複数のカットの遷移順序が設定されており、複数種類のカットセット(演出ステージ 1~4)それぞれに含まれる複数のカットそれぞれに、複数の演出カテゴリ 1~6のうちの1つの演出カテゴリが対応付けられている、としてもよい。
この構成によれば、カットセットが複数種類あることによって、データ容量を削減しつつ多彩な演出を実現可能となる。
【0123】
[3]
上記[1]または[2]に記載の遊技機において、前記複数種類のカットセットは、第1カットセット(例えば演出ステージ 1:カットセット 1)及び第2カットセット(例えば演出ステージ 2:カットセット 2)を含み、複数の演出カテゴリのうちの少なくとも1つの演出カテゴリ(1~5)は、第1カットセットを構成する複数のカットのうちの少なくとも1つのカットに対応付けられていると共に、第2カットセットを構成する複数のカットのうちの少なくとも1つのカットに対応付けられている、としてもよい。
このように、演出カテゴリは、第1カットセット及び第2カットセットの両方のカットに対応付けられており、共通利用されている。よって、演出カテゴリを共用して、データ削減可能となる。
【0124】
[4]
上記[3]に記載の遊技機において、第1カットセット(例えば演出ステージ 1:カットセット 1)において遷移順序に基づきN番目(例えばN=1)に遷移するカット 1に対応付けられた演出カテゴリ 1と、第2カットセット(例えば演出ステージ 2:カットセット 2)において遷移順序に基づきN番目に遷移するカット 1に対応付けられた演出カテゴリ 1とが同一である、としてもよい。
このように、カットセット(演出ステージ)が異なっていても同じ順番に出現するカットに同一の演出カテゴリが設定されるので、演出を多彩にできる。なお、N=1を例にしているが、Nは1以上の自然数であればよい。
【0125】
[5]
上記[3]に記載の遊技機において、第1カットセット(例えば演出ステージ 1:カットセット 1)において遷移順序に基づきM番目(例えばM=2)に遷移するカット 2に対応付けられた演出カテゴリ 2と、第2カットセット(例えば演出ステージ 2:カットセット 2)において遷移順序に基づきM番目に遷移するカット 2に対応付けられた演出カテゴリ 4とが異なる、としてもよい。
このように、カットセット間において同じ順番に出現するカットであっても異なる演出カテゴリが設定されるので、演出を多彩にできる。なお、M=2を例にしているが、Mは1以上の自然数であればよい。
【0126】
[6]
上記[3]に記載の遊技機において、第1カットセット(例えば演出ステージ 1:カットセット 1)において遷移順序に基づきN番目(例えばN=1)に遷移するカット 1に対応付けられた演出カテゴリ 1と、第2カットセット(例えば演出ステージ 2:カットセット 2)において遷移順序に基づきN番目に遷移するカット 1に対応付けられた演出カテゴリ 1とが同一であり、第1カットセット(例えば演出ステージ 1:カットセット 1)において遷移順序に基づきM番目(例えばM=2)に遷移するカット 2に対応付けられた演出カテゴリ 2と、第2カットセット(例えば演出ステージ 2:カットセット 2)において遷移順序に基づきM番目に遷移するカット 2に対応付けられた演出カテゴリ 4とが異なる、としてもよい。
この構成によれば、演出を多彩にできる。なお、N=1を例にしているが、Nは1以上の自然数であればよい。また、M=2を例にしているが、MはNとは異なり且つ1以上の自然数であればよい。
【0127】
[7]
上記[2]~[6]のいずれかの遊技機において、演出カテゴリ(1~6)と、複数の演出内容とが対応付けられた関連データ(演出テーブル 1~6)を有し、演出制御部630は、関連データ(演出テーブル 1~6)を用いて、演出する演出内容を、演出を実行するカットの演出カテゴリに対応する複数の演出内容の中から決定可能であり、異なるカットセットにおける同一の演出カテゴリが対応付けられたカットでの演出内容を決定する際に、同一の関連データを用いる、としてもよい。
同一の関連データを用いるので、データ容量を削減可能となる。
【0128】
[8]
上記[2]~[6]のいずれかの遊技機において、演出制御部630は、演出する演出内容を、演出を実行するカットの演出カテゴリに対応する複数の演出内容の中から抽せん処理で決定可能である、としてもよい。演出内容が抽せんで決定されるため、演出ステージと演出カテゴリとが同じである場面が複数回登場したとしても、抽せん結果によっては異なる演出内容が出力され得る。従って、遊技者にとって飽きにくい演出を、遊技機は出力することができる。
【0129】
[9]
上記[2]~[8]のいずれかの遊技機において、演出制御部630は、演出内容とカットセットとの組み合わせにより、カットでの演出に出力する画像を決定する処理が実行可能である、としてもよい。これにより、遊技機は、カットセット(演出ステージ)における一連の全カットの演出データを予め用意しておく場合に比して多彩な演出を出力することができる。
【0130】
[10]
上記[2]~[9]のいずれかの遊技機において、演出制御部630は、第1区間(有利区間の一般遊技状態)および第1区間よりも遊技者に有利な遊技状態である第2区間(CZ)を含む複数の区間のうち少なくとも1つの区間で遊技を進行する処理を実施可能であり、複数種類のカットセット(演出ステージ 1~4)それぞれに、第1区間から第2区間へ移行する移行期待度(CZ移行期待度)が互いに異ならせて設定されている、としてもよい。これにより、遊技者は、各カットセットから第2区間への移行期待度を推測しつつ遊技を行うことができる。
【0131】
[11]
本実施形態のように、スロットマシン1(遊技機)は、遊技進行を制御する遊技制御部(内部抽せん部610、遊技結果判定部612、媒体管理部613、遊技進行制御部614の総称)と、遊技進行に伴って遷移する遷移順序が予め定まっている複数のカットのうち1つのカット単位での演出が実行可能な演出制御部630と、を備え、複数のカットからなるカットセット(演出ステージ 1~4)が複数種類設けられており、複数種類のカットセットそれぞれに含まれる複数のカットそれぞれに対して、複数種類のカットセットに亘って共通して対応付けされる複数の演出カテゴリ(1~5)のうちのいずれか1つの演出カテゴリが対応付けされており、演出制御部630は、演出する演出内容を、遊技進行に伴って遷移したカットセットに含まれるカットの演出カテゴリを用いて決定する、としてもよい。この構成によれば、カットセットが複数種類あることによって、データ容量を削減しつつ多彩な演出を実現可能となる。
【0132】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0133】
(A)上記実施形態では、1ゲーム(1遊技)あたり1つのカット単位で演出が実行されるが、1ゲームあたり1つ以上のカットをまとめて演出してもよい。
【0134】
(B)上記実施形態では、全ての演出ステージのカット数が、CZ移行期待度が高くなるほど、減少するようにしているが、これに限定されない。少なくとも2つの演出ステージのカット数が同数であってもよいし、
【0135】
(C)上記実施形態では、1つの演出カテゴリに2つ以上の演出内容が対応付けられているが、これに限定されない。1つの演出カテゴリに1つの演出内容だけが対応付けられていてもよい。
【0136】
(D)上記実施形態では、演出カテゴリに対応する複数の演出内容から1つの演出内容を決定する処理を、演出テーブル 1~6(関連データ 1~6)を用いた抽せん処理で決定しているが、これに限定されない。抽せん処理でなくても、演出内容の所定実行順に沿って決定してもよい。
【0137】
(E)前記実施形態では、一般遊技状態とチャンスゾーンを分けているが、特別遊技状態をATとした場合、CZは一般遊技状態の一部であるとしてもよい。つまり、指示機能が発生する状態(ナビが発生する状態)が特別遊技状態であり、特別遊技状態以外を一般遊技状態としてもよい。
また、CZを一般遊技状態とした場合にCZでナビ(指示機能)を実行してもよい。この場合、CZは、CZよりもより有利な状態(AT状態)への移行期待度が一般遊技状態における非CZよりも高い状態であるといえる。その場合、より有利な状態であるAT状態は、ナビの頻度が高い、ナビされる役の種類が多い、よりナビされる区間がより長いなどの何かしらの遊技者にとって有利な区間となる。
【0138】
(F)複数の演出内容の抽せん確率が均一である演出カテゴリと、複数の演出内容の抽せん確率に偏りがある演出カテゴリとが含まれていてもよい。
【0139】
(G)演出制御部630は、キャラクタの画像と演出ステージの画像とを合成して演出の画像を生成してもよい。データ削減に効果的である。
【0140】
(H)前記実施形態では、通常区間から有利区間に移行した場合に初期値として演出ステージ 1が選択されるが、これに限定されない。例えば、演出ステージの初期値を、演出ステージ 1~4の中から抽せん処理で決定してもよい。
また、別の例として、AT状態への移行が確定する天井ゲーム数が異なるモード(AT移行期待度が異なるモード)が複数種類ある場合には、滞在中のモードに応じて演出ステージの初期値を決定するようにしてもよい。例えば、AT状態への移行が確定する天井ゲーム数が低いモードに滞在中の場合にはCZ移行期待度が高い演出ステージが決定されやすくなるとしてもよい。
また、別の例として、設定値に応じて演出ステージの初期値が決定されてもよい。例えば、店舗スタッフによって設定された設定値が遊技者にとって有利なものであるほど、CZ移行期待度の高いステージが演出ステージの初期値として決定されやすくなるとしてもよい。
前記実施形態では、初期値として演出ステージが選択されるのは、通常区間から有利区間に移行した場合であるが、初期値としての演出ステージが選択されるタイミングは、これに限定されない。例えば、CZに移行したものの、AT状態への移行に失敗して一般遊技状態に戻った場合に、再び初期値としての演出ステージを選択する、としてもよい。
【0141】
(I)演出ステージ変更処理において、ステージがランクアップする数が、設定値によって傾向があってもよい(設定差があってもよい)。例えば、強チェリー当せん時において、ステージが2つランクアップする確率が、設定値が偶数に設定されている場合に比べて設置値が奇数に設定される場合の方が高い、としてもよい。同様に、演出ステージ変更処理において、ステージがランクダウンする数が、設定値によって傾向があってもよい。
【0142】
(J)演出ステージ変更処理において、AT状態への移行が確定する天井ゲーム数が異なるモード(AT移行期待度が異なるモード)が複数種類ある場合には、滞在中のモードに応じてステージがランクアップする数を決定してもよい。例えば、AT状態への移行が確定する天井ゲーム数が低いモードに滞在中の場合には、2つランクアップする確率を他のモードよりも高くしてもよい。
【0143】
(K)前記実施形態では、演出制御部630は、演出内容とカットセットとの組み合わせに基づく画像を出力しているが、これに限定されない。例えば、レバー43を操作した際に、演出内容とカットセットとの組み合わせに基づく画像に他の画像を重畳させて出力してもよい。他の画像は、例えば、レバー43の操作に応じて内部的に当せんした役を示唆する画像であってもよいし、AT当せん期待度やCZ当せん期待度を示す画像であってもよいし、設定値を示唆する画像であってもよいし、滞在モードを示唆する画像であってもよいし、演出ボタン46などの特定の操作部の操作を促す画像(「PUSH」を押せ!等)であってもよいし、ナビ画像であってもよい。
演出内容とカットセットとの組み合わせに基づく画像に他の画像を重畳させて出力する場合、演出内容とカットセットとの組み合わせに基づく画像のレイヤーが下になり、他の画像のレイヤーが上となって、上のレイヤーの画像が手前に表示(優先して表示)されるとしてもよい。
【0144】
前記実施形態では、媒体管理部613がレンジ(MY)を算出しているが、これに限定されない。例えば、媒体管理部613がレンジ(MY)を算出しない、としてもよい。
【0145】
前記実施形態において、メダルを投入する機種であるが、これに限定されない。例えば、メダルレス機(物理媒体レス機)であってもよい。メダルレス機は、物理媒体を用いないため、ホッパーユニット50を設けずともよい。メダルレス機は、所有メダル数のデータがあり、そのからベットされることで遊技可能となる機種である。遊技機が、遊技するための投入する紙幣を受け付ける装置と電気的に接続され、メダルを利用せずに遊技価値を追加したり、払い出された遊技価値を遊技機から引き出したりすることができる。
【0146】
ホールコンピュータ、データカウンタ、遊技履歴を表示する装置などの外部装置に対して、特別遊技の当選回数(AT当せん回数、ボーナス当せん回数など)、払出の差枚数、これまでベットされた累積枚数などの遊技に関するデータが遊技機から出力可能としてもよい。データの外部装置への出力はメイン制御部61が実行可能である。また、遊技機には、メイン制御部61から得た情報を外部装置に出力するための通信インターフェースが設けられていてもよい。メイン制御部61は、データの出力は可能であるが、データを入力することはできない。データの送信タイミングは、データ更新時を契機としてもよい。更新したデータはメイン制御部61の内部のRWM(リードライトメモリ)やレジスタに書き込まれ記憶される。
【0147】
前記実施形態では、RT状態の遷移の説明を省略した。AT機では、所定役が当せんしたが入賞していない状態の下でATでの遊技が行われるものであり、その状態の下では、RT状態が遷移しないためである。しかし、所定役が持ち越されていない状態の下では、RT状態は遷移することができることは、言うまでもない。
【0148】
前記実施形態では、ベットスイッチ42が設けられている場合を例示したが、ベットスイッチ42はなくてもよい。
【0149】
前記実施形態では、特別遊技状態として、ATやボーナスを例示したが、特別遊技状態には、ARTが含まれてもよい。この場合のCZとは、リプレイ確率がCZでない場合よりも高い遊技状態である。ARTは、リプレイ確率が一般遊技状態時よりも高く、かつ、押し順役の正解押し順を報知する遊技状態である。
また、設定値に応じて、AT、CZおよびARTの少なくとも1つへの突入確率が変化してもよい。設定値に応じて、AT、CZおよびARTの性能が変化してもよい。
【0150】
スロットマシン1の機種の仕様によっては、有利区間が最大3000ゲームに至る前や、遊技者の出玉の獲得枚数が2400枚に至るよりも前に、ATなどである特別遊技状態や有利区間が任意のタイミングにて終了することがあってもよい。
【0151】
設定値を示唆する演出には、画像によるものの他、回転リール20の回転を停止した際に、リール窓200を介して視認できる図柄が特殊な図柄となることなどが、さらに含まれてもよい。
【0152】
前記実施形態では、遊技機がATタイプのスロットマシンである場合を例示した。しかし、遊技機は、ARTタイプのスロットマシン、ボーナスのみを搭載したノーマルタイプのスロットマシン、有利区間および通常区間を有さないタイプのスロットマシンなど、AT機以外であっても実現できる。また、遊技機は、スロットマシンに限定されることはなく、パチンコであっても実現可能である。
【0153】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0154】
610 内部抽せん部(遊技制御部)
612 遊技結果判定部(遊技制御部)
614 遊技進行制御部(遊技制御部)
630 演出制御部