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特許7629026車輪の回転周波数を決定する方法および装置
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  • 特許-車輪の回転周波数を決定する方法および装置 図1
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  • 特許-車輪の回転周波数を決定する方法および装置 図3A
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  • 特許-車輪の回転周波数を決定する方法および装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】車輪の回転周波数を決定する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 3/489 20060101AFI20250204BHJP
   G01D 5/244 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
G01P3/489 A
G01D5/244 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022562723
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2021059208
(87)【国際公開番号】W WO2021213812
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】102020204974.2
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】シューイング,ヤン
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-536588(JP,A)
【文献】特開平02-156467(JP,A)
【文献】特開平11-344501(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0101890(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 3/481 ~ 3/489
G01D 5/244 ~ 5/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に付属するセンサホイール(2)と前記センサホイール(2)に付属するセンサ素子(3)とを備えた回転数センサ(1)によって、前記車輪の回転周波数を決定する方法であって、前記センサホイール(2)はその円周にわたって均等に相互間隔をおいて配分されて配置されたパルス発生器(4)を有し、該パルス発生器のエッジ(5)が前記センサホイール(2)の回転周波数を決定するために前記センサ素子(3)によって検出される、方法において、偏心性によって引き起こされる回転周波数の変調を補償するために前記センサホイール(2)がセグメント(I~IV)に区分され、各々の前記セグメント(I~IV)において検出された信号パルスのパルス周波数(f1~f4)が平均化され、平均化されたパルス周波数(f1~f4)に依存して回転周波数を修正するための変調パラメータ(AR,AI)が決定され、
互いに直径上で向かい合うセグメント(I,III;II,IV)の平均化されたパルス周波数から偏心性のないパルス周波数(f1~f4)が判定され、
隣接するセグメント(I,II,III,IV)の平均化されたパルス周波数から偏心性を含むパルス周波数が判定され、
平均化された偏心性を含むパルス周波数と偏心性のないパルス周波数との比率から前記変調パラメータ(AR,AI)が決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
それぞれの前記セグメント(I~IV)のパルス周波数(f1~f4)を平均化するために、それぞれの前記セグメント(I~IV)について設定可能な時間帯にわたって、または前記センサホイールの設定された回転数にわたって、パルス周波数(f1~f4)が複数回検出されてから平均化されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサホイール(2)が等しい大きさの、または異なる大きさのセグメント(I~IV)に区分されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサホイール(2)が少なくとも3つのセグメント(I~IV)に区分されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記変調パラメータ(AR,AI)は前記センサホイールの偏心性の値および位相位置を記述することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
求項1から5までのいずれか1項に記載の方法を実施するためにセットアップされた制御装置を有することを特徴とする自動車の車輪の回転周波数を決定する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪に付属するセンサホイールとセンサホイールに付属するセンサ素子とを備えた回転数センサによって、特に自動車の車輪の回転周波数を決定する方法に関し、センサホイールはその円周にわたって均等に相互間隔をおいて配分されて配置されたパルス発生器を有し、該パルス発生器はたとえばセンサホイールから径方向に突出するとともに、そのエッジがセンサホイールの回転周波数を決定するためにセンサ素子によって周方向で検出される。
【0002】
さらに本発明は、用途に即した使用時に上に説明した方法を実施する制御装置を備えた装置に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車の安全ブレーキシステムでは、たとえば車輪のロックなどを認識して防止できるようにするために、自動車の1つまたは複数の車輪の回転数ないし回転周波数が監視される。ABSシステムやESPシステムの制御装置では、回転数センサを利用して回転周波数が決定される。回転数センサは、車輪と連結されたセンサホイールと、センサホイールに付属する、ボディに固定されたセンサ素子とを有している。センサホイールは、たとえばセンサホイールから歯状に径方向に突出する、および/または磁極として構成される、円周にわたって均等に配分されて配置された多数のパルス発生器を有している。それぞれのパルス発生器は相互に間隔をおいて配置され、それにより、センサ素子によって各々のパルス発生器のうち2つのエッジを検出可能である。このときセンサホイールをセンサ素子によって光学式および/または電磁式に走査することができる。回転周波数の決定のために、規定された測定インターバルを通じて検知されたエッジの数が、前回の測定インターバルおよび今回の測定インターバルのそれぞれ最後に検知されたエッジの間の、制御装置によって測定される時間差に関連づけられる。
【0004】
しかしながら製造技術上、センサホイールが偏心性を有している可能性があり、そのため、検知されたそれぞれのエッジの間の時間差に対して、正弦波形にモデル化されるピッチ誤差が影響を及ぼす。このとき振幅と位相位置は個別のセンサホイールに依存するが、速度依存的ではない。センサホイールの静的アンバランスも偏心性の影響につながる可能性があり、それは、当該アンバランスがホイール周期的な径方向力を引き起こし、この径方向力がホイールの支承部の機械系統を介して動的負荷半径のホイール周期的な変調につながって、正弦波形にモデル化されるピッチ誤差と同じ影響を及ぼすときである。ただしこの場合には製造技術上の偏心性とは異なり、典型的には、回転速度に依存して振幅と位相位置の変化も生じる。
【0005】
さらに、出願人のまだ公開されていない特許文献1より、偏心性によって引き起こされる変調を補償するために最適フィルタが利用され、シーケンシャルな最小二乗法によって最適フィルタの変調パラメータが適合化される方法が知られている。この方法は比較的緩慢な挙動につながり、そのため、定常動作のときに補償信号の速度依存的な位相遅れが生じる可能性があり、アンバランス共振領域の動的通過の際に過補償が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】ドイツ特許出願第102018221713号明細書
【発明の概要】
【0007】
請求項1の構成要件を有する本発明による方法は、上に挙げた欠点が克服され、時間等間隔に走査される周波数信号で偏心性またはホイールアンバランスによって引き起こされる回転周期的な変調の変調パラメータを判定するための改良された方法が創出されるという利点を有する。このことは本発明によると、偏心性によって引き起こされる回転周波数の変調を補償するためにセンサホイールがセグメントに区分され、各々のセグメントについて検出された信号パルスのパルス周波数が判定されて平均化され、平均化されたパルス周波数に依存して回転周波数を修正するための変調パラメータが決定されることによって実現される。本件においてセグメントとは、特に、角度によって定義または限定されるセグメント、すなわち角度セグメントであると理解される。したがってセンサホイールの所定の(角度)セグメントについて、パルス発生器によって生成される、ないしはセンサ素子によって検出される、検出された信号パルスからもたらされるパルス周波数がそれぞれ判定される。さらに、これらのパルス周波数が時間にわたって平均化される。平均化されたパルス周波数からセンサホイールの偏心性を推定することができ、それにより、これらのパルス周波数を変調パラメータの決定のために援用することができる。
【0008】
本発明の好ましい発展例では、それぞれのセグメントのパルス周波数を平均化するために、それぞれのセグメントについて設定可能な時間帯にわたって、またはセンサホイールの設定可能な回転数にわたって、パルス周波数が複数回検出されてから平均化される。単純算術平均化によってパルス周波数がアルゴリズムで平均化されるのが特別に好ましく、その代替または追加として、重みづけあるいは幾何学平均法を適用可能である。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、センサホイールが等しい大きさのセグメントに区分される。4つの等しい大きさのセグメント(四分円)にセンサホイールが区分されるのが特別に好ましく、それにより、セグメントのうちそれぞれ2つが直径上で向かい合うように、センサホイールの対称な分割が成立する。その代替として、センサホイールが異なる大きさのセグメントに区分され、たとえば4つの異なる大きさのセグメントに区分され、そのうちたとえばそれぞれ2つが等しい大きさを有する。原則として、これよりも少ない数のセグメント、たとえば3つのセグメント、あるいは4つより多いセグメントも可能である。
【0010】
本発明の好ましい発展例では、互いに直径上で向かい合うセグメントの平均化されたパルス周波数から偏心性のないパルス周波数が判定される。すなわち、向かい合うセグメントのパルス周波数の平均値または平均化されたパルス周波数は、偏心性がないとみなされるという想定がなされる。
【0011】
隣接するセグメントの、すなわち回転方向で互いに連続するセグメントの、平均化されたパルス周波数から、偏心性を含むパルス周波数が判定されるのが好ましい。このとき特に、瞬時の偏心性のないパルス周波数の、ならびに偏心性を含むパルス周波数の、良好な見積りを可能にする線形加速度が想定される。
【0012】
さらに、平均化された偏心性を含むパルス周波数と偏心性のないパルス周波数との比率から、変調パラメータが決定されることが意図されるのが好ましい。特に、偏心性を含む平均セグメント周波数と偏心性のない平均セグメント周波数との比率から、ないしは平均化されたパルス周波数の比率から、そのつど1つのセグメントを離れるときにセグメント交互的に変調パラメータが見積られる。
【0013】
変調パラメータは、センサホイールの偏心性の値と位相位置を記述するのが好ましい。その代替として、変調パラメータは複素値の振幅A+iAを記述する。
【0014】
さらに、特にPT1フィルタによって、変調パラメータが平滑化フィルタリングを施されることが意図されるのが好ましい。それにより、特に、変調パラメータが回転のたびに複数回、全面的に新たに見積られるのではなく、前回の見積りが利用されて今回の評価により適合化されることが実現される。
【0015】
請求項10の構成要件を有する本発明による装置は、用途に即した使用時に本発明による方法を実施するために制御装置が特別にセットアップされることを特徴とする。それにより、すでに上に挙げた利点がもたらされる。
【0016】
次に、図面を参照しながら本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】自動車のための回転数センサを示す簡略化した図である。
図2】回転数センサを作動させる好ましい方法を説明するための模式的なモデルである。
図3A】計算モデルを示す簡略化した図である。
図3B】計算モデルを示す簡略化した図である。
図4】計算モデルを示す幾何学的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、自動車のための回転数センサ1を簡略化した図面で示している。回転数センサ1は、センサ素子3が付属するセンサホイール2を有している。ここではセンサ素子3は径方向にセンサホイール2の外側円周に付属しており、ハウジング固定されて配置されている。センサホイール2は、たとえば自動車の駆動輪のシャフトと回転不能に連結される。センサホイール2は、その円周にわたって配分されて互いに均等に間隔をおいて配置された複数のパルス発生器4を有している。これらは本実施例では、それぞれ周方向で2つのエッジ5によって区切られる、径方向に突出する円環セグメントまたは歯として構成されている。その代替としてパルス発生器4は、たとえば磁気的な多極ホイールの磁極、軸方向の歯、および/または穴付き板として構成される。本例ではセンサホイール2は、特に1つまたは複数の永久磁石によって形成される多数の磁極対Nを有する磁極ホイールである。ホイールないしセンサホイール2の瞬時の回転周波数fは、特に制御装置によって、特にABS/ESP制御装置によって、時点nΔTのとき、規定された測定インターバルΔTでたとえばΔT=5msをもってセンサ素子3により検知されるセンサホイール2ないしパルス発生器4のエッジ5の数eが、前回および今回の測定インターバルのそれぞれ最後に検知されたエッジの間の、制御装置により測定される時間差t(n)-t(n-1)に関連づけられることによって決定される。本実施例では、測定インターバルΔTの内部で6つのエッジ5_1から5_6がセンサ素子3によって検出され、このときセンサホイール2は矢印6で示す時計回りに紙面で回転する。
【0019】
以下に説明する、図2に簡略化して示す形態の計算モデルにより、時間等間隔の周波数信号で偏心性によって引き起こされる悪影響ないし変調が補償されるという利点がある。
【0020】
これに関して図2は、特に回転数センサの制御装置によって、または回転数センサに付属する制御装置によって実行されるモデルを簡略化して示している。
【0021】
センサ素子3により、パルス発生器4のエッジおよび回転速度からもたらされるパルス周波数fが判定され、次いで、これがエンコーダホイール極数Nを通じて角周波数にスケーリングされる:
【数1】
【0022】
まだ公開されていない特許文献1より、アンバランスまたは偏心性によって生成される変調を、その複素値の振幅A+iAの見積り後にモデル12によって、または代替的にその値と位相位置によって、補償することがすでに知られている。そのために、前掲の特許出願に記載されているとおり、次の修正信号g(n)が利用される:
【数2】
【0023】
ここでパラメータfは時間的に平均化されたパルス周波数を表し、s(n)は、エッジ数の積算によって決定される瞬時のホイール角を表す:
【数3】
【0024】
それに対して、図2に簡略化して示す方法ないしモデルによって、測定された周波数信号が、測定の時点でのホイール角に応じてセグメントないし角セグメントに、特にセンサホイール2の四分円に、割り当てられて、セグメントを離れたときに変調パラメータのうちのそれぞれ1つが、セグメントごとに計算された周波数平均値の関係から判定される。それにより、時間的に平均化された周波数を必要としない、それに伴って速度変化に対して動的に反応する、わずかな位相ずれしか生じず、それによって変調の補償が改善される。それと同時にアルゴリズムのコストが削減される。
【0025】
図3Aおよび図3Bを参照して、図2に示すモデルについて詳しく検討する。瞬時のパルス周波数は、本例ではホイール角度依存的であると理解される。ホイール角周波数で回転するポインタ7は、その長さがパルス周波数fを反映するとともに、その角度位置がホイール角度位置を反映し、一定の速度と同心的なセンサホイール2のもとでは、図3Aに示すように、座標原点8に対して同心的な円を描く。このように、ポインタ7はホイール角非依存的に同一の長さを有する。
【0026】
しかし、図3Bに示すようにセンサホイールに偏心性がある場合、円の中心点は座標原点8から変位し、その結果、ホイール角に応じてポインタ7の長さが変わり、それに伴って測定されるパルス周波数fが回転周期的に変調する。加速運動のとき、ポインタは円形の螺旋を描く。偏心性は、原点8からの螺旋中心点の変位によって特徴づけられる。
【0027】
エッジ数を積算することで、上ですでに説明したとおり、瞬時のホイール角s(n)が計算される。測定された瞬時のパルス周波数は次式、
【数4】
から求められ、それぞれセグメントI~IVに割り当てられる。このとき割当は、次の表に示すように行われるのが好ましい:
【表1】
【0028】
それにより、複素平面における複素ポインタをcos s(n)+I sin s(n)と表すと、セグメント平均値は正の実部の軸、正の虚部の軸、負の実部の軸、ないし負の虚部の軸に位置することになる。このことは、適合化された変調パラメータに対するセグメントの割当を簡易化する。本実施例では、等しい大きさの4つの(角)セグメントI~IV(四分円)にセンサホイールが分割されるのに対して、別の実施例では、セグメントがそれぞれ異なる大きさであることが意図され、あるいは、異なる数のセグメントが存在し、ただし少なくとも3つが存在することが意図され、ただし、これらは変調パラメータへの割当の際に重みづけを必要とする。
【0029】
パルス周波数の平均のホイール角度への割当が行われるのが好ましく、すなわち、時間インターバルnの終了時における上記のホイール角度計算が次のように修正される:
【数5】
【0030】
各々のセグメントを通過するたびに測定される瞬時のパルス周波数f1~f4が平均化されるのが好ましい。そのために、アルゴリズムを特別に簡易に具体化することができる算術平均が行われ、その代替として別の重みづけや、たとえば幾何学平均も可能である。たとえばセグメントK(K=1~4)が時点n,...,nで通過され、その場合には、時点nで平均の周波数f(n)がセグメントkについて形成される:
【数6】
【0031】
向かい合うセグメント1,3および2,4のパルス周波数の平均値は、偏心性がないものと想定することができる。上に挙げた一定の回転速度での割当のもとでは、(f1+f3)/2と(f2+f4)/2は、いずれも偏心性のないパルス周波数の良好な見積りである。
【0032】
半分のホイール回転の内部で通常は十分に近似される線形加速度の想定のもとで、隣接するセグメントのパルス周波数の平均値は、偏心性のない瞬時のパルス周波数の良好な見積りとなり、偏心性を含む瞬時周波数fに、偏心性のないパルス周波数(f-1+f+1)/2を割り当てることができる。
【0033】
変調パラメータAおよびAは、好ましくはセグメント交互的にそのつど1つのセグメントから離れるときに、平均化された偏心性を含むパルス周波数と偏心性のないパルス周波数との比率から見積られる。
【0034】
【表2】
【0035】
このとき、直近に測定された平均化されたパルス周波数がそのつど利用される。上で示したとおり評価が4分の1回転だけ遅延されるのが好ましく、それにより、たとえばセグメントIVを離れたときには、直近に通過されたセグメントII,IIIおよびIVの平均化されたパルス周波数が利用される。
【0036】
この方法は、図4に示すように幾何学的に説明することができる。原点8を中心としてプロットされている瞬時のパルス周波数が、4つのセグメントI~IVのうちの1つに割り当てられる。セグメントI~IVは、図4では一点鎖線と二重矢印によって表示されている。各々のセグメントI~IVについて、平均化されたパルス周波数f~fが判定される。破線で示されているように、向かい合うセグメントの平均化されたそれぞれのパルス周波数の間の割線の二等分線は、近似的に、偏心性のないパルス周波数を表す円半径の長さを有する。割線二等分線の直交線から、パルス周波数円の中心点9を決定することができる。円半径に関する原点8と円中心点9との変位が、振幅と位相ないし実部と虚部における見積られるべき変調パラメータに相当する。
【0037】
上に説明した評価に、図2に示すようにフィルタ10による平滑化フィルタリングがさらに後続するのが好ましく、たとえばPT1フィルタが新たな評価のそれぞれ30%の割合をもって後続し、それにより、センサホイール2が1回転するたびに変調パラメータをそのつど2回完全に新たに見積らなくてすむ。その代わりに、前回の見積りが評価によって適合化されるという利点がある。このように、見積られた変調パラメータおよび瞬時測定されたパルス周波数からモデル11によって修正信号gが計算され、それにより、修正された信号fcorr(n)=f(n)-g(n)で回転周期的な変調が補償される。
【0038】
そして、このように変調されて修正された信号から、速度vと加速度aを簡易な従来式の方式で決定することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 回転数センサ
2 センサホイール
3 センサ素子
4 パルス発生器
5 エッジ
10 PT1フィルタ
I~IV セグメント
~f パルス周波数
図1
図2
図3A
図3B
図4