(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】コヒーレントビーム合成のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20250204BHJP
G02F 1/29 20060101ALI20250204BHJP
G02B 26/06 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
G02F1/01 B
G02F1/29
G02B26/06
(21)【出願番号】P 2022578870
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 IL2021050730
(87)【国際公開番号】W WO2022003669
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2024-06-11
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522492495
【氏名又は名称】エルビット システムズ エレクトロ-オプティックス-エロップ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】シッファー,ジーヴ
(72)【発明者】
【氏名】ナザロフ,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】リーヴィ,ダニエル
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/041839(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/196447(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0201429(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0134310(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0138618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-1/39
H01S 3/00-3/30
G02B 26/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレントビーム合成(CBC)のための方法であって、
-光源を使用してソース光学ビームを発生させることと、
-前記ソース光学ビームを、時間的にコヒーレントな入力光学ビームのM×N個のアレイおよび参照光学ビームに分割することと、
-前記M×N個の入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、前記出力光学ビームが第1の伝播方向に沿って伝播するように発生させることと、
-前記出力光学ビームの各々の第1の部分が前記第1の伝播方向に向かって方向付けられ、前記出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、前記出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用されるように、前記出力光学ビームの各々を分割することと、
-前記参照光学ビームが前記サンプル光学ビームと干渉し、複数の対応する光学干渉信号を発生させるように、前記参照光学ビームを方向付けることと、
-各々が、それぞれの光学干渉信号の強度を測定し、前記それぞれの光学干渉信号の全体的な強度を示すパワー出力値を生成するように配置および構成される、複数のM×N個の光学検出器を提供することと、
-前記入力光学ビームの各々の位相を、その
対応する光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器によって生成された
パワー出力値で以前に測定された
少なくとも1つのパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させることであって、各入力光学ビームの位相を変化させることは、正確な位相を計算もしくは推定することなく、かつ/またはそれと関連する任意の他の信号を生成することなく、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行され
ることと、
-そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、前記入力光学ビームの位相をロックすることと、
を含む、方法であり、
前記光学干
渉信号の発生、前記多数の光学検出器のパワー出力値の測定、および位相ロックは、すべてのM×N個の入力および出力光学ビームならびに光学干渉信号について連続的かつ同時に実行される、方法。
【請求項2】
各入力光学ビームの位相を変化させることは、M×N個の位相シフタ(PS)であって、各PSは、それぞれの入力光学ビームの位相を変化させるように構成される、位相シフタと、
M×N個の制御モジュール(CM)であって、各CMは、異なるPSおよび対応する光学検出器と関連付けられ、前記それぞれの光学検出器から受信されたパワー出力値に基づいて、その関連するPSに制御コマンドを繰り返し送信するように構成される、制御モジュールと、
を使用して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各入力PSのための制御コマンドは、各PSが、前記それぞれの入力光学ビームの位相を、所定のかつ/または制御可能な位相シフトスパンΔφだけ増減させるような、前記それぞれの位相の方向の増減のみを指示する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記出力光学ビームを発生させるステップは、前記入力光学ビームの各々を別々にコリメートするためのM×N個のコリメート要素のアレイを使用して実行される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性を制御することをさらに含
み、
前記合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性は、
-前記波面の遠方界(FF)分布、
-前記合成出力光学ビームによって形成可能な中心ローブのFF位置、
-中心ローブの合焦特性、
-波面の空間的構成、
-光学収差補正
の1つ以上を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の波面特性の制御は、前記参照光学ビームの波面の方向を制御することによって実行される、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記参照光学ビームの波面の制御は、
-前記参照光学ビームが出力される光導波路の出力端を機械的に移動させること、および/または
-前記参照光学ビームが出力される光導波路の出力端と、前記参照光学ビームの経路内に位置する合焦レンズとの間の相対的な配置を機械的に変化させること
によって実行される、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の波面特性の制御は、位相制御モジュール(PCM)のM×N個のアレイを使用して実行され、各PCMは、それぞれのサンプル光学ビームと干渉する参照光学ビーム
の位相を制御するように配置および構成される、請求項
5に記載の方法。
【請求項9】
前記PCMのM×N個のアレイは、電子制御可能および/またはデジタル制御可能である、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記PCMのM×N個のアレイは、空間光変調器のM×N個のアレイを備える、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性の制御は、ターゲットのFF位置に従って行われる、請求項5~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記入力光学ビームの各々の偏光を、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に基づいて制御することをさらに含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記入力光学ビームの各々の偏光の制御は、
-前記入力光学ビームの各々の偏光を、前記それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値を前記それぞれの光学検出器からの少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させるステップと、
-前記それぞれの光学検出器からの極値パワー出力値に到達した時に
、それぞれの入力光学ビームの偏光をロックするステップと
を含み、
各入力光学ビームの偏光を変化させることは、正確な偏光を計算もしくは推定することなく、かつ/またはそれと関連する任意の他の信号を生成することなく、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行される、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
制御可能な出力ビームコリメートデバイスを使用して、前記合成出力光学ビームを制御可能に合焦させることをさらに含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
コヒーレントビーム合成(CBC)のためのシステムであって、
-ソース光学ビームを発生させる光源と、
-前記ソース光学ビームを、M×N個の時間的にコヒーレントな入力光学ビームのアレイおよび参照光学ビームに分割するように構成されたビームスプリッティング機構と、
-前記入力光学ビームの各々を方向付けて別個のコリメート要素に通すように構成されたM×N個のコリメート要素のアレイであって、前記コリメート要素に通された入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、前記出力光学ビームが互いに平行であり、第1の伝播方向を画定するように発生させる、コリメート要素と、
-前記出力光学ビームの各々の第1の部分が前記第1の伝播方向に向かって方向付けられ、前記出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、前記出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用されるように、前記出力光学ビームの各々を分割するよう構成されたビームスプリッティング要素と、
-各々が、それぞれの光学干渉信号の強度を測定し、前記それぞれの光学干渉信号の全体的な強度に対応するパワー出力値を出力するように配置および構成される、M×N個の光学検出器のアレイと、
-測定されたパワー出力値を前記光学検出器の各々から連続的に受信し、前記入力光学ビームの各々の位相を、前記それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値を前記それぞれの光学検出器から
の以前に測定された
少なくとも1つのパワー出力値と比較しながら変化させ、そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、前記入力光学ビームの位相をロックするように構成された、制御サブシステムと、
を備える、システムであり、
各入力光学ビームの位相を変化させることは、正確な位相を計算もしくは推定することなく、かつ/またはそれと関連する任意の他の信号を生成することなく、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行され、
前記光学干
渉信号の発生、前記多数の光学検出器の出力の測定、および位相ロックは、すべてのM×N個の入力および出力光学ビームならびに光学干渉信号について連続的かつ同時に実行される、システム。
【請求項16】
前記制御サブシステムは、
-M×N個の位相シフタ(PS)であって、各PSは、異なる入力光学ビームの位相を変化させるように構成される、位相シフタと、
-M×N個の処理モジュール(PM)であって、各PMは、異なる光学検出器のパワー出力値を受信し、それと関連するPSを繰り返し制御するように構成される、制御モジュールと、
の1つ以上を備える、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
-前記参照
光学ビームを誘導するための参照光ファイバであって、前記光ファイバは、光を前記光源から入力するための入力端、および前記参照
光学ビームが放出される出力端を有する、参照光ファイバと、
-前記サンプル光学ビームと干渉する前に、前記参照光学ビームをコリメートするように配置された参照ビームコリメータと、
の1つ以上をさらに備える、請求項
15~
16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性を制御するように構成された波面制御機構をさらに備え
、
前記合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性は、
-前記波面の遠方界(FF)分布、
-前記合成出力光学ビームによって形成可能な中心ローブのFF位置、
-中心ローブの合焦特性、
-波面の空間的構成、
-光学収差補正
の1つ以上を含む、請求項15~
17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
位相制御モジュール(PCM)のM×N個のアレイをさらに備え、各PCMは、それぞれのサンプル光学ビームと干渉する参照光学ビーム
の位相を制御するように配置および構成される、請求項
18に記載のシステム
【請求項20】
前記PCMのM×N個のアレイは、前記制御サブシステムまたは別個のコントローラによって電子制御可能および/またはデジタル制御可能である、請求項
19に記載のシステム。
【請求項21】
前記PCMのM×N個のアレイは、空間光変調器(SLM)のM×N個のアレイを備える、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性の制御は、ターゲットのFF位置に従って行われる、請求項
18~
21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
M×N個の偏光コントローラ(PC)をさらに備え、各PCは、異なるPMと関連付けられ、前記入力光学ビームの各々の偏光を
、それぞれの測定されたパワー出力
値に基づいて制御するように構成される、請求項
15~
22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記入力光学ビームの各々の偏光の制御は、
-前記入力光学ビームの各々の偏光を、前記それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値を前記それぞれの光学干渉信号の少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させることと、
-そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、各それぞれの入力光学ビームの偏光をロックすることと、
を含み、
各入力光学ビームの偏光を変化させることは、正確な偏光を計算もしくは推定することなく、かつ/またはそれと関連する任意の他の信号を生成することなく、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行される、請求項
23に記載のシステム。
【請求項25】
前記合成出力光学ビームを制御可能に合焦させるように構成および配置された合焦デバイスをさらに備える、請求項
15~
24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
各々が、それを通して異なる入力光学ビームおよび/または出力光学ビームを誘導するように構成される、M×N個の光導波路のアレイをさらに備える、請求項
15~
25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記光導波路は、光ファイバ、ファイバ増幅器、ドープされたファイバである、請求項
26に記載のシステム。
【請求項28】
コヒーレントビーム合成(CBC)のための方法であって、
時間的にコヒーレントな入力光学ビームのM×N個のアレイを提供することと、
-参照光学ビームを提供することと、
-前記M×N個の入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、前記出力光学ビームが第1の伝播方向に沿って伝播するように発生させることと、
-前記出力光学ビームの各々の第1の部分が前記第1の伝播方向に向かって方向付けられ、前記出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、前記出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用されるように、前記出力光学ビームの各々を分割することと、
-前記参照光学ビームが前記サンプル光学ビームと干渉し、複数の光学干渉信号を発生させるように、前記参照光学ビームを方向付けることと、
-各々が、前記複数の光学干渉信号の各光学干渉信号のそれぞれの強度を測定し、前記それぞれの光学干渉信号の全体的な強度に対応するパワー出力値を生成するように配置および構成される、複数のM×N個の光学検出器を提供することと、
-前記入力光学ビームの各々の位相を、
それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値を、それぞれの光学検出器によって生成されたパワー出力値で以前に測定された少なくとも1つのパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させることであって、各入力光学ビームの位相を変化させることは、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行され
ることと、
-そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、前記入力光学ビームの位相をロックすることと、
を含む、方法であり、
前記光学干
渉信号の発生、前記多数の光学検出器の出力の測定、および位相ロックは、すべてのM×N個の入力および出力光学ビームならびに光学干渉信号について連続的かつ同時に実行される、方法。
【請求項29】
コヒーレントビーム合成(CBC)のためのシステムであって、
-M×N個の時間的にコヒーレントな入力光学ビームのアレイと、
-参照光学ビームと、
-前記入力光学ビームの各々を方向付けて別個のコリメート要素に通すように構成されたM×N個のコリメート要素のアレイであって、前記コリメート要素に通された入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、前記出力光学ビームが互いに平行であり、第1の伝播方向を画定するように発生させる、コリメート要素と、
-前記出力光学ビームの各々の第1の部分が前記第1の伝播方向に向かって方向付けられ、前記出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、前記出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用され、前記参照光学ビームと干渉するように方向付けられ、複数の光学干渉信号を発生させるように、前記出力光学ビームの各々を分割するよう構成されたビームスプリッティング要素と、
-各々が、それぞれの光学干渉信号の強度を測定し、前記それぞれの光学干渉信号の全体的な強度に対応するパワー出力値を出力するように配置および構成される、複数の光学検出器と、
-測定されたパワー出力値を前記光学検出器の各々から連続的に受信し、前記入力光学ビームの各々の位相を、前記それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値を前記それぞれの光学検出器から
の以前に測定された
少なくとも1つのパワー出力値と比較しながら変化させ、そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、前記入力光学ビームの位相をロックするように構成された、制御サブシステムと、
を備え、
各入力光学ビームの位相を変化させることは、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行され、
前記光学干
渉信号の発生、前記多数の光学検出器の出力の測定、および位相ロックは、すべてのM×N個の入力および出力光学ビームならびに光学干渉信号について連続的かつ同時に実行される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、位相ロックおよび/または偏光ロック機構を組み込んだコヒーレントビーム合成のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
増幅ファイバレーザ(ファイバ増幅器)などの回折限界付近の高パワーレーザは、様々な科学的および工業的実装を有し、優れたビーム品質を有する高パワー出力光信号の達成を可能とする。しかしながら、単一のファイバレーザでは、その回折限界付近のビーム品質を維持することは、主に3つの物理現象:誘導ブリルアン散乱、誘導ラマン散乱、およびモード熱不安定性により制限され得る。これらの制限を克服するために、多数の光学ビームを合成するための技術が使用され、これは、多数のファイバレーザから発せられる多数の光学ビームを単一の合成光学ビームに合成する。
【0003】
多数の光学ビームの合成に使用される技術およびシステムレイアウトは、とりわけ、これらの光学ビームのスペクトルコヒーレント性に依存し、コヒーレントビーム合成(CBC)として知られるスペクトルコヒーレント光学ビームの合成は、別個の光学ビームを各々コリメートするコリメータのアレイなどの、フェーズドアレイ(「サイドバイサイドCBC」としても知られる)を使用することによって実行され得る。CBCのための他の技術は、1つ以上の回折格子要素(「フィールドアパーチャ技術」としても知られる)の使用を伴う。
【0004】
図は、本文書で論じられる様々な実施形態を、限定ではなく例として一般的に示している。
【0005】
図を簡潔かつ明確にするために、図に示されている要素は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。例えば、要素の一部の寸法は、提示を明確にするために他の要素に比べて誇張されている場合がある。さらに、参照番号は、対応するまたは類似の要素を示すために図の間で繰り返され得る。以前に提示された要素への言及は、それらが現れる図面または説明を必ずしもさらに引用することなく示唆されている。図は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】非同期の位相およびランダムに配向した偏光を有する多数の入力光学ビームのCBCの遠方界(FF)ビーム分布を示す。
【
図1B】同期した位相および規則的に配向した偏光を有する多数の入力光学ビームのCBCのFFビーム分布を示す。
【
図2】いくつかの実施形態による、高速位相および偏光ロック機構を使用して、M×N個の時間的にコヒーレントな入力光学ビームを合成するためのCBCシステム1000を示す。
【
図3A】非同期の位相およびランダムに配向した偏光を有する多数の入力光学ビームのCBCのFFビーム分布を示す。
【
図3B】いくつかの実施形態による、位相および偏光ロック機構を備えるCBCシステムを使用してロックされた同期した位相およびロックされた規則的に配向した偏光を有する多数の入力光学ビームのCBCのFFビーム分布を示す。
【
図4A】参照光学ビームが平面波面を有し、合成出力光学ビームがゼロステアリング角に操作されるように伝播される場合の、位相および/または偏光ロックを有するCBCシステムを使用した参照光学ビームステアリングに基づく、いくつかの実施形態による、合成出力光学ビームステアリングを示す。
【
図4B】参照光学ビームが平面波面を有し、合成出力光学ビームがゼロでないステアリング角に操作されるように伝播される場合の、位相および/または偏光ロックを有するCBCシステムを使用した参照光学ビームステアリングに基づく、いくつかの実施形態による、合成出力光学ビームステアリングを示す。
【
図4C】参照光学ビームが放物線波面を有し、合成出力光学ビームがゼロステアリング角に操作されるように伝播される場合の、位相および/または偏光ロックを有するCBCシステムを使用した参照光学ビームステアリングに基づく、いくつかの実施形態による、合成出力光学ビームステアリングを示す。
【
図4D】参照光学ビームが放物線波面を有し、合成出力光学ビームがゼロでないステアリング角に操作されるように伝播される場合の、位相および/または偏光ロックを有するCBCシステムを使用した参照光学ビームステアリングに基づく、いくつかの実施形態による、合成出力光学ビームステアリングを示す。
【
図5A】いくつかの実施形態による、多数の位相制御モジュールを含む制御可能なフェーズドアレイ波面制御機構を有する、位相および/または偏光ロックを可能とするように構成されたCBCシステムを示す。
【
図5B】いくつかの実施形態による、波面ステアリング制御に使用される、
図5AのCBCシステムを示す。
【
図5C】いくつかの実施形態による、波面コリメーション制御に使用される、
図5AのCBCシステムを示す。
【
図6】いくつかの実施形態による、CBC位相ロックのためのプロセスを示す。
【
図7】いくつかの実施形態による、CBC偏光ロックのためのプロセスを示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、波面制御を備えるCBCシステムを使用する、合成出力光学ビーム波面制御プロセスを示す。
【
図9】受信されたターゲットデータに基づく、CBCシステム位相ロックおよび合成出力光学ビーム波面制御のプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
コヒーレントビーム合成(CBC)は、同じ光波長または重なり合う波長帯域を有する複数の時間的にコヒーレントな入力光学ビームを、単一波長または狭波長帯域の単一のコヒーレント合成光学ビームに合成することを目的とする。CBCの実装は、例えば、高い、遠方界(FF)の空間的および/またはスペクトル的ビームコヒーレンスを可能とする、高いビーム品質の維持をしばしば必要とする。
【0008】
場合によっては、ファイバレーザ(例えば、ドープされたファイバ)などの複数の光増幅器は、入力光学ビームを提供するのに使用され得、1つ以上の光源から発せられる光の誘導、およびそれを通って誘導される光のパワースケーリングを可能とする。
【0009】
「ドープされた光ファイバ」または「ドープされたファイバ」という用語は、エルビウム、ジスプロシウム、イッテルビウム、ネオジム、ツリウム、プラセオジム、および/またはホルミウムなどであるが、これらに限定されない1つ以上の元素でドープされた任意のタイプの光ファイバに関する。
【0010】
本明細書で(交換可能に)使用される「光学ビーム」、「光ビーム」、および/または「ビーム」という用語は、光波長範囲の任意の伝播電磁信号、場、および/または波を指し得る。
【0011】
「ビーム品質」という用語は、波面(プロファイル)品質、ビームウエスト、ビーム半径、ビーム発散、ビーム強度/振幅、ビーム明るさレベル(放射輝度)、位相偏移(位相コヒーレンス)などであるが、これらに限定されない任意の1つ以上のビーム特性、ならびに/またはこれらのビーム特性の経時的および/もしくは距離的な維持に関し得る。
【0012】
本明細書で使用される「時間的にコヒーレントな光学ビーム」または「時間的にコヒーレントな入力光学ビーム」という用語は、例えば、光学ビームの周波数帯域幅Δfが時間的コヒーレンス時間に反比例する相関電磁場を有する、複数の光学ビームに関し得る。例えば、コヒーレントな光学ビームは、同じ信号変調、同じかもしくは重なり合う周波数/波長、および/または同じかもしくは重なり合う周波数/波長帯域幅を有することによって、時間的にコヒーレントであり得る。
【0013】
FF高ビーム品質のCBCを達成するために、合成されることになる入力光学ビームの位相および偏光は、位相/偏光がすべての入力光学ビームについて同一であるように、または入力光学ビームの位相が互いに所望の特定の差にあるように(例えば、FFビームステアリングの場合)、制御されるべきである。
【0014】
多くの場合、入力光学ビームは、位相および/または偏光が不明であり、各入力光学ビームの位相および/または偏光は、不安定、すなわち、急速に経時変化し得、入力光学ビーム間の位相非同期を引き起こし、これは、それらの合成光学ビームのFFビーム品質に劇的な影響を及ぼす。
【0015】
入力光学ビームの供給源として使用される、ファイバレーザなどの、光源(単数もしくは複数)および光導波路は、環境条件および/または震え、揺れ、温度などのそれらの条件の変化に非常に敏感であり得、その結果、いくつかの環境条件下で、入力光学ビームの位相は、数ミリ秒ごと~数マイクロ秒ごとの範囲で著しく変化し得る。典型的には、偏光は、不安定条件下で、数秒ごと~10分の1秒ごとの範囲で変化する。入力光学ビームの位相は、典型的には、不安定条件下にある時、偏光の変化のペースより数倍速いペースで変化する。
【0016】
図1Aは、非同期の位相およびランダムに配向した偏光を有する多数の入力光学ビームのCBCのFFビーム分布を示す。この場合、合成ビームのFF波面が、中心ローブのない散乱された光の分布を示すようになることは明らかである。
【0017】
図1Bは、同期した位相および規則的に配向した偏光を有する多数の入力光学ビームのCBCのFFビーム分布を示す。この場合、合成ビームのFF波面が、合成光学ビームのFFパワーの大部分をはるかに小さい角度のスポットサイズに集中させる中心ローブを示し、高品質な波面空間分布を行うようになることは明らかである。
【0018】
開示される実施形態の態様は、急速な位相および/または偏光の変化を引き起こす様々な環境および他の条件ならびにそのような条件の変化に耐えることができる、高品質および高パワーのCBCを提供するための高速位相および/または偏光ロックを提供する、閉ループの並列位相ロック機構および/または並列偏光ロック機構を組み込んだCBCのためのシステムおよび方法に関する。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、CBCシステムおよび方法は、例えば、1つ以上の参照光学ビームおよび多数の光学検出器を使用することによる、自動多チャネル閉ループ位相および/または偏光ロックを備える、(多数のチャネルを画定する)多数の入力光学ビームの合成を可能とし、ここで、位相および/または偏光ロックは、完全に光学検出器からの強度読取値に基づき、各チャネルのための最適な位相および/または偏光の計算を必要とせず、それにより迅速な位相および/または偏光ロックを可能とする。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、システムは、M×N個のチャネルを画定する多数の時間的にコヒーレントな入力光学ビームのM×N個のアレイのCBCのために構成され、各チャネルは、それぞれの単一入力光学ビームのすべての変換と定義され得、Mおよび/またはNはゼロでない整数であり、Mはアレイ中の行の数を示し、Nはアレイ中の列の数を示す。
【0021】
位相/偏光ロックは、例えばすべてのチャネルに同時かつ別々に、継続的並列閉ループ方式で行われ得る。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、CBCシステムおよび方法は、
時間的にコヒーレントな入力光学ビームのM×N個のアレイおよび参照光学ビームを提供し、
M×N個の入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、(例えば、コリメート要素のM×N個のアレイを使用することによって)出力光学ビームが第1の伝播方向に沿って平行に伝播するように発生させ、
出力光学ビームの各々の第1の部分が第1の伝播方向に向かって方向付けられ、出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用されるように、出力光学ビームの各々を分割し、
参照光学ビームがサンプル光学ビームと干渉し、複数の対応する光学干渉信号を発生させるように、参照光学ビームを方向付け、
各々が、各光学干渉信号のそれぞれの全体的な強度を測定して、そのそれぞれの光学干渉信号の検出された強度を示すパワー出力値を同時かつ連続的に生成するように配置および構成される、複数のM×N個の光学検出器を提供し、
入力光学ビームの各々の位相を、その対応する光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器によって生成された少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させ、
そのそれぞれの光学干渉信号の極値(最大または最小)パワー出力値に到達した時に、入力光学ビームの位相をロックする
ように構成され得る。
【0023】
上記プロセスは、参照光学ビームとそれぞれのサンプル光学ビームとの間の建設的干渉の場合に引き起こされる、そのそれぞれの干渉光信号の最大強度に到達した時に、または参照光学ビームとそれぞれのサンプル光学ビームとの間の相殺的干渉の場合に引き起こされる、そのそれぞれの干渉光信号の最小強度に到達した時に、システムが各チャネルを別々に位相ロックするように行われ得る。
【0024】
開示される実施形態の態様は、コヒーレントビーム合成(CBC)のためのシステムであって、
ソース光学ビームを発生させる光源と、
ソース光学ビームを、M×N個の時間的にコヒーレントな入力光学ビームのアレイおよび参照光学ビームに分割するように構成されたビームスプリッティング機構と、
入力光学ビームの各々を方向付けて別個のコリメート要素に通すように構成されたM×N個のコリメート要素のアレイであって、コリメート要素に通された入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、出力光学ビームが互いに平行であり、第1の伝播方向を画定するように発生させる、コリメート要素と、
出力光学ビームの各々の第1の部分が第1の伝播方向に向かって方向付けられ、出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用されるように、出力光学ビームの各々を分割するよう構成されたビームスプリッティング要素と、
各々が、それぞれの光学干渉信号の全体的な強度を測定し、対応するパワー出力値を出力するように配置および構成される、複数の光学検出器と、
測定されたパワー出力値を光学検出器の各々から連続的に受信し、入力光学ビームの各々の位相を、それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器からの少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら変化させ、そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、入力光学ビームの位相をロックするように構成された、制御サブシステムと
を含み得る、システムを提供する。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、各入力光学ビームの位相を変化させることは、正確な位相を計算もしくは推定することなく、かつ/またはそれと関連する任意の他の信号を生成することなく、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行され得る。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、システムは、すべてのチャネルに対して、単一の極値タイプのみについて各それぞれのチャネルの位相および/または偏光をロックするように設定され得、すなわち、それらのそれぞれの最大強度に到達した時に、またはそれらのそれぞれの最小強度に到達した時に、すべてのチャネルをロックする。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、各入力光学ビームの位相および/または偏光を変化させることは、正確な位相/偏光の計算、推定、または事前知識なしで、かつ/またはそれと関連する任意の他の信号を生成することなく、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行される。これは、それぞれのチャネルの最大/最小強度の(例えば、比較による)特定のみが、それぞれのチャネルの位相/偏光を自動的にロックするのに使用されることを意味する。例えば、各入力光信号の位相は、位相シフトスパンΔφだけ互いに異なる等しい位相ステップで上方または下方にシフトされ得、各位相シフトについて、チャネルのそれぞれの干渉光信号の強度が測定されて、時間スパン内でそれぞれのチャネルの強度の極値を見つける。いくつかの実施形態によれば、位相シフトスパンΔφは、選択的に制御可能および/または調節可能であり得る。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、位相/偏光ロック機構は、更新された強度読取値(すなわち、それぞれの検出器の最後のパワー出力値)が、それぞれのチャネルのそれぞれの光学検出器の1つの連続した以前に測定されたいくつかの強度読取値とだけ比較されるように構成され得る。他の実施形態では、所定の検出時間スパン内のそれぞれのチャネルの以前に測定されたいくつかの強度読取値は、極値強度値を特定するのに使用され得る。
【0029】
「読取値」、「検出器(単数または複数)読取値」、「強度読取値(単数または複数)」、「強度値」などの用語は、光学検出器(単数または複数)の「パワー出力値(単数または複数)」という用語を指すことができ、それと交換可能に使用され得る。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、極値は、位相が、特定の(短い)時間スパン(例えば、マイクロ秒)内で数回シフトされた後にのみ特定され得、極値は、それらのいくつかの測定された強度から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、特定の入力光学ビームの位相をロックするために、システムは、例えば、(所望の最大極値を達成する場合)強度が増大したかどうかをチェックしながら、最大強度の検出器読取値を提供する位相の場所(ここでは「極値位相」)に到達するために、位相シフトスパンΔφで位相を増減させることによって、位相をその最後の状態から上方または下方にシフトさせるように構成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、入力光学ビームの偏光は、直線または楕円偏光であり得、偏光制御機構(すなわち、「偏光ロック機構」)は、直線または楕円偏光制御のために構成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、CBCのプロセスは、波面の遠方界(FF)分布、合成出力光学ビームによって形成可能な中心ローブのFF位置、中心ローブの合焦特性、波面の空間的構成、環境光学収差補正などの、合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性を制御することをさらに含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、1つ以上の波面特性の制御は、参照光学ビームの波面の方向を制御すること(ビームステアリング)によって実行され得る。ビームステアリングは、例えば、参照光学ビームが出力される光導波路の出力端を機械的に移動させること、および/または光導波路の出力端と、参照光学ビームの経路内に位置する合焦レンズとの間の相対的な配置を機械的に変化させることによって実行され得る。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の波面特性の制御は、位相制御モジュール(PCM)のM×N個のアレイを使用して実行され得、各PCMは、それぞれのサンプル光学ビームと干渉する参照光学ビームの異なる部分の位相を制御するように配置および構成され得る。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、使用されるPCMは、電子制御可能および/またはデジタル制御可能であり得る。例えば、液晶空間光変調器(SLM)が、低電力の電子制御可能なPCMを提供するために、フェーズドアレイ波面制御用PCMとして使用され得る。他の場合では、電子的および/または機械的に制御可能なステアリングミラーのアレイが使用され得る。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性の制御は、合成光学ビームが方向付けられることになるターゲットのFF位置に従って行われ得る。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、合成出力ビーム位置に対するターゲットの位置(例えば、距離および角度配置)は、例えば、少なくともターゲットの位置(例えば、3D検出器)、および随意にターゲットタイプ、速度、材料組成などのターゲットの他の特性値を検出し、ターゲット特性値を示すターゲット関連データ(本明細書では「ターゲットデータ」とも)を、少なくとも受信されたターゲット関連データに基づく波面制御のために、CBCシステムに送信するように構成されたターゲット検出デバイスまたはシステムを使用することによって、検出可能であり得る。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、参照光学ビームの位相および/もしくは偏光(それぞれφrefおよびPref)は、一定であり得、すなわち、入力光学ビームの位相および/もしくは偏光の変化速度より実質的に遅い変化速度を有するか、または位相および/もしくは偏光の経時変化を示さない。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、位相ロックは、すべての入力光学ビームの位相を参照光学ビームの位相と同期させ、例えば参照光学ビームの位相φrefに等しくすることによって、または波面ステアリングの場合、各チャネルの各位相を、1つ以上の隣接チャネルに対して所望のシフト率Δφsteerでシフトさせることによって、実行され得る。
【0041】
例えば、放射角θ
beam,xが望まれる場合(x方向のみが処理され、隣接セグメント間の距離が、x方向およびy方向に沿ってM×N個のアレイ全体で等しいと仮定すると)、以下の位相分布が要求される:
【数1】
【0042】
式中、Δx
segは、アレイシステム出力でのセグメントのサイズであり、λ
laserは、レーザ(光源)の波長である。同じことが、傾斜ビームθ
beam,yがy方向に望まれる場合について成り立つ:
【数2】
【0043】
ここで、隣接セグメント間の最大位相差の値は、2πより小さいべきである。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、入力光学ビームおよび参照光学ビームは、同じ単一の光源または異なる光源から発せられ得る。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、入力光学ビームは、単一の光源または多数の光源から発せられ得る。
【0046】
ここで、
図2を参照すると、いくつかの実施形態による、高速位相および偏光ロック機構を使用して、M×N個の時間的にコヒーレントな入力光学ビーム(IOB)を合成するためのCBCシステム1000が概略的に示される。
【0047】
CBCシステム1000は、
単一波長λ0または狭波長帯域Λλ0の光を出力するように構成された、単一の光源1100、
光源1100からの出力光を参照光学ビーム(ROB)1210およびM×N個のIOB 1110に分割するための、ビームスプリッティング機構、
M×N個の位相シフタ(PS)1800のアレイであって、各PSijは、それぞれのijチャネルのそれぞれの(異なる)IOBijの位相を制御するために構成される、位相シフタ、
M×N個の偏光コントローラ(PC)1850のアレイであって、各PCijは、それぞれのijチャネルのそれぞれの(異なる)IOBijの偏光を制御するために構成される、偏光コントローラ、
コリメート要素(CE)1300のM×N個のアレイであって、各CEijは、異なるそれぞれのijチャネルのそれぞれのIOBijをコリメートするように配置および構成される、コリメート要素、
入射するM×N個のIOB 1110を、M×N個のサンプル光学ビーム(SOB)1221および合成出力光学ビーム(COOB)1900に同時に分割するように構成および配置された、ビームスプリッタ1400であって、COOB 1900は、軸xを画定する第1の伝播方向に向かって方向付けられ、SOB 1221は、軸xに対して角度をなす軸y(ここでは、xはyに垂直であり得る)を画定する第2の伝播方向に向かって方向付けられ、ROB 1210は、SOB 1221がROB 1210と光学的に干渉するのを可能とするように、SOB 1221の伝播方向によって画定されたy軸に沿って方向付けられ得る、ビームスプリッタ、
点検出器(PD)1600などの光学検出器のM×N個のアレイであって、各PDijは、それぞれのSOBijとROB 1210との間の光学干渉により形成される信号であるそれぞれの光学干渉信号(OIS)、すなわちOISijの強度を検出するように構成および配置され、各PDijは、それぞれの時間におけるそれぞれのチャネルijの測定された強度を示すパワー出力値を出力するように構成され得る、光学検出器のM×N個のアレイ、
各PD 1600からのパワー出力値の継続的かつ並列の受信を可能とし、そのそれぞれの受信されたパワー出力値に基づいて各チャネルの位相および/または偏光を制御するために、PD 1600、PS 1800、およびPC 1850のM×N個のアレイと関連付けられる、制御サブシステム1700
を含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、制御サブシステム1700は、M×N個の処理モジュール(PM)のアレイを含み得、各PMijは、それぞれのPDijのパワー出力値を受信し、それぞれのPDijから受信されたパワー出力値に基づいて、それぞれのPCijおよびPSijを介してそれぞれのIOBijの位相および偏光を制御するように構成される。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、それぞれのIOBijの位相および/または偏光の制御は、最大干渉光信号値に到達した時に位相および/または偏光をロックするために、例えば、PDij読取値における強度(パワー出力値)の増大を提供するように、位相を徐々に増減させること、および/または偏光状態を徐々に変化させることによって実行され得る。これは、現在のPDij読取値を、それぞれのijチャネルの1つ以上の以前に測定された強度と比較することによって行われ得る。いくつかの実施形態によれば、これは、強度極値を通過すると、現在の位相および/または偏光の値から後退することを求められ得る。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、制御サブシステム1700は、各PDの現在のおよび以前に測定されたパワー出力値の(一時的および/もしくは長期)記憶を可能とし、受信されたパワー出力値を各チャネルの極値位相および/もしくは偏光の特定のために処理し、かつ/または最適(ロック)位相/偏光の特定、および、例えば位相/偏光シフトの方向の増/減のみを指示する制御コマンドを送信することによる各チャネルの位相/偏光ロックのために、少なくともPC 1850および/もしくはPS 1800を制御するための、1つ以上の処理、制御、および/もしくはメモリモジュールを含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、位相および/または偏光制御は、位相および/または偏光シフトスパンを制御することも含み得る。例えば、位相シフトスパンは、位相ロックを微調整するために、極値強度が存在する領域が特定されると低減され得る。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、
図2に示すように、CBCシステム1000は、
光ファイバであり得る第1の光導波路1101であって、光源1100の1つの出力ノードに接続し、光を、光源1100から、第1の光導波路1101によって誘導された光を、例えばM×N個のIOB 1110を誘導するM×N個の光ファイバを有することによって、M×N個のIOB 1110に分割するように構成されたビーム分割デバイス1102に誘導するように構成された、第1の光導波路と、
第2の光ファイバなどの第2の光導波路1201であって、光源1100の第2の出力ノードに接続し、光を、ROB 1210を出力するためにフェルールホルダ要素1203によって保持され得るその遠位ファイバ端に誘導するために構成された、第2の光導波路と、
1つ以上のコリメートレンズ、ミラー、および/または回折光学素子(DOE)などの、参照ビームコリメータ1205であって、(例えば、参照ビームコリメータ1205を、参照ビームコリメータ1205の焦点面および/または焦点に配置することによって)ROB 1210がコリメートされることになるように、第2の光導波路の出力端、例えば、ホルダ要素1203のエッジの配置に対して配置される、参照ビームコリメータと
をさらに含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、
図2に示すように、CBCシステム1000は、サンプリングコリメート要素(SCE)1500のM×N個のアレイをさらに含み得、各SCEijは、それぞれのijチャネルの、SOBijとROB 1210との干渉から生じる、それぞれのPDij上に受信される光信号を、(例えば、合焦させることによって)増強するように配置および構成される。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、光源1100は、発光ダイオード(LED)、単色および/または波長可変レーザデバイスなどの、単一波長および/または単一の狭波長帯域で光を出力することができる任意のタイプの光源を含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、各PSijは、電子制御および/またはコンピュータ制御されることによって、例えば、そのそれぞれのPMijが、それぞれのPSijに適用される受信された信号パワー値、入力電圧、または電流値などに基づいて、位相を変化させるように構成されることによって、それぞれのIOBijの位相を制御するように構成され得る。受信された信号パワー値は、位相のシフト方向(増加または減少)のみを示し得る。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、各PMijは、電子制御および/またはコンピュータ制御されることによって、例えば、そのそれぞれのPMijが、それぞれのPMijに適用される受信された信号パワー値、入力電圧、または電流値などに基づいて、偏光を変化させるように構成されることによって、それぞれのIOBijの偏光を制御するように構成され得る。受信された信号パワー値は、偏光偏移状態(例えば、楕円偏光の場合、楕円率および/または偏光ベクトル(単数または複数)の角度の変化)のみを示し得る。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、各PSijは、制御コマンド(例えば、入力電力/電圧変化)を受信し、それに応じて、それぞれのIOBijの位相を、好ましくは自然なIOBの位相の時間変化率より速い時間スパン内でシフトさせるように構成された、任意のタイプの位相シフトデバイスおよび/または要素を含み得る。PS 1800は、例えば、空間光変調器(SLM)、電気/電子制御可能な可変形ミラーを含むデバイス、微小電気機械光学系(例えば、ミラー)などの微小電気機械システム(MEMS)などを含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、各PCijは、制御コマンド(例えば、入力電力/電圧変化)を受信し、それに応じて、それぞれのIOBijの偏光状態を、好ましくはIOBの自然な偏光の時間変化率より速い時間スパン内で変化させるように構成された、任意のタイプの偏光制御デバイスおよび/または要素を含み得る。PC 1850は、例えば、圧電素子(単数または複数)ベースのコントローラ、LiNO2(LN)コントローラなどを含み得る。
【0059】
図3Aおよび
図3Bは、上に示されたような位相ロック機構を有する高速CBCシステムを使用した結果生じる効果を示す。
図3Aは、非同期の位相および偏光を有する多数の入力光学ビームのCBCの結果として生じるFFビーム分布を示し、
図3Bは、位相ロック機構を有する高速CBCシステムを使用した結果を示す。
【0060】
ここで、
図4A、4B、4C、および4Dを参照すると、いくつかの実施形態による、参照ビームコリメータ1205と、参照光学ビーム(ROB)を誘導する第2の光導波路1201の出力ノードを保持するホルダ要素1203との間の相対的な配置を制御することによるCOOB 1900のビームステアリングを可能とする、COOB 1900の波面制御機構が示される。
【0061】
図4Aは、y軸に沿って伝播される、平面波面を有するROBを示す。この場合、ホルダ要素1203および参照ビームコリメータ1205は両方とも、平面ROBが、参照ビームコリメータ1205の焦点も位置する軸yに沿って伝播されるように配置される。この構成では、すべてのSOBは、同じ光路長(OPL)を通って、ROBの伝播方向に平行に方向付けられ、CBCシステム1000の動作時、すべてのチャネルの位相および/または偏光は、同じ位相および/または偏光に自動的にロックすることになり、(ROBの方向に垂直な)x軸に平行に操作される(方向付けられる)、平面波面を有するCOOB 1900をもたらす。
【0062】
図4Bは、y軸に角度をなして、例えば、y軸に対してゼロでない角度βで伝播される、平面波面を有するROBを示す。その場合、結果として生じるCOOBは、角度βに傾くことになる。
【0063】
この場合、ホルダ要素1203は、例えば、ホルダ要素1203および/または参照ビームコリメータ1205をx軸に沿ってシフトさせることによって、参照ビームコリメータ1205の焦点によって画定される軸からある距離シフトされて位置する。この構成では、M×N個のチャネルの各j列の各SOBは、異なる光路長(OPL)を通って方向付けられ、角度的にシフトされたROBと干渉する。この場合、CBCシステム1000の動作時、それぞれの列jの隣接チャネルの位相および/または偏光は、
Δx
steering=F
l・β
に従って、異なる位相および/または偏光に自動的にロックすることになる。式中、F
lは、ビームコリメータ1205の焦点距離である。隣接チャネル(セグメント)間の自動的な位相差は、
【数3】
となり、x軸に角度をなして操作される(方向付けられる)、平面波面を有するCOOB 1900をもたらし、異なる位相および/または偏光は、それらのそれぞれのPDからの極値強度読取値に到達した時に、(それらを計算する必要なく)自動的にロックされることになり、それにより、最適な波面ステアリングを有する高速自動位相/偏光ロックを提供する。
【0064】
図4Cは、y軸に関して放物線対称に伝播される、放物線波面を有するROBを示す。この場合、ホルダ要素1203および参照ビームコリメータ1205は両方とも、放物線ROBが、参照ビームコリメータ1205の焦点も位置する軸yに関して対称に伝播されるように配置される。この構成では、CBCシステム1000の動作時、すべてのチャネルの位相および/または偏光は、最適な位相および/または偏光に自動的にロックすることになり、(ROBの方向に垂直な)x軸に平行に操作される(方向付けられる)、放物線波面を有するCOOB 1900をもたらす。
【0065】
図4Dは、y軸とゼロでない角度βを形成する軸wに関して対称に伝播される、放物線波面を有するROBを示す。この場合、ホルダ要素1203および参照ビームコリメータ1205の焦点は、軸xに沿ってsh1および軸yに沿ってsh2だけ互いからシフトされ得る。これは、ホルダ要素1203および/または参照ビームコリメータ1205を、x軸およびy軸に沿ってシフト(移動)させることによって達成され得る。
【0066】
この構成では、CBCシステム1000の動作時、それぞれの列jのチャネルの位相および/または偏光は、最適な位相および/または偏光に自動的にロックすることになり、x軸および/またはy軸に対して角度をなして操作される(方向付けられる)、放物線波面を有するCOOB 1900をもたらす。
【0067】
いくつかの実施によれば、波面制御の操作を可能とするために、CBCシステム1000は、参照ビームコリメータ1205の焦点軸と、参照ビーム光導波路出力ノードを出る時のROB初期出力方向との間の相対的な配置を物理的に変化させるための1つ以上の機械要素および/またはデバイスの制御(例えば、電子ベースおよび/またはコンピュータベースの制御)を可能とする、ステアリング機構をさらに含み得る。
【0068】
ここで、
図5A、5B、および5Cを参照すると、いくつかの実施形態による、多数のPCM 2850を含む電子制御可能なフェーズドアレイ波面制御機構を使用することによって、位相および/または偏光ロックを可能とし、合成出力光学ビームの波面を制御するように構成された、CBCシステム2000が示される。
【0069】
CBCシステム2000は、IOB 2110のM×N個のアレイを提供および制御し、各別個のIOBの各位相および/または偏光を、それぞれPS 2800およびPC 2850のM×N個のアレイを介して、例えばそれらと動作可能に関連付けられた制御サブシステム2700を使用することによって制御しながら、IOB 2110を、x’軸に沿った第1の伝播方向に伝播するCOOB 2900、および(例えば、第1の伝播方向に垂直で、軸y’に平行な)第2の伝播方向に沿って伝播されるM×N個のSOBのアレイに分割するために、(例えば、コリメート要素2300のM×N個のアレイを使用することによって)、ビームスプリッタ2400に向かってそれらを方向付けるための、いずれかの機構を含み得る。
【0070】
CBCシステム2000は、電子制御および/またはコンピュータ制御されるPCM 2001のM×N個のアレイ、PD 2600のM×N個のアレイ、参照光学ビーム源2201、参照ビームコリメータ2205、ならびにCOOB 2900を合焦させるように構成された出力コリメータ2002をさらに含み得る。
【0071】
PCM 2001は、例えば、COOB 2900のビームステアリングを可能とするために、参照光学ビームの各部分(ここでは、各ijチャネルの参照光学ビーム(ROB)(すなわちROBij))を、別々に制御可能な方法で位相シフトさせるように、ビームスプリッタ2400と参照ビーム源2201との間(例えば、参照ビームコリメータ2205の後)に位置し得る。
【0072】
PCM 2001は、例えば、COOB 2900のビームステアリングを可能とするために、例えば、各々が別々に電子制御可能であり、各チャネルの各ROBに異なる位相を設定することを可能とする、液晶SLMを含み得る。
【0073】
位相および/または偏光ロックは、チャネルのそれぞれのPDijの強度読取値が最大/最小強度値となる時に、各チャネルijの位相および/または偏光がロックされるような、その関連するPDijからの強度読取値に基づく、各IOBijの位相および/または偏光の閉ループ反復変更によって実行され得る。例えば、各チャネルijの最大強度値は、それぞれのIOBijとROBijとの干渉が完全に建設的であり、OISijのそれぞれの最大強度を生成する場合に達成され得る。
【0074】
例えば、ターゲット20が、CBCシステム2000からFFにおいて、(
図5Bに示されるように)x’z’平面上に位置し、ターゲットが、x’y’z’軸(ここで、例えばx’は、COOB 2900の伝播方向によって画定される)の0,0,0位置にある場合、すべてのIOBの位相は、互いに等しくなるはずである。この場合、PCMは、CBCシステム2000が、IOB 2110の各々を、それらのそれぞれのOISの極値強度値に到達した時に自動的にロックすることを可能とするために、すべてのROBのすべての位相が互いに等しくなるように設定され得る。ターゲットがシフトされた位置、例えば、x’y’z’軸の0,0,0位置からdだけシフトされた位置(例えば、
図5Bに示されるような、0,d,0の位置)にある場合、各列NのROBの位相は、それらの対応するOISの最大/最小強度値に到達した時に、IOB 2110の各々を最適な(異なる)位相値に自動的にロックさせることによってCOOB 2900の波面をターゲット20の位置0,d,0に操作するために、異なる値に各々設定され得る。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の合焦レンズなどの出力ビームコリメートデバイス2002が、COOB 2900の焦点距離などの合焦位置決めの制御を可能とするために使用され得る。
【0076】
COOB 2900の波面制御が、さらにまたは代わりに、例えばCOOB 2900の焦点または焦点面を制御することによる、COOB波面の合焦制御を必要とする場合、出力ビームコリメートデバイス2002は、その1つ以上のコリメート要素(例えば、レンズ)の相対的な配置を、電子制御可能および/またはコンピュータ制御可能な方法で機械的にシフトさせることを可能とし得る。
【0077】
図5Cは、ターゲット20が、x’軸に沿って、出力ビームコリメートデバイス2002の焦点距離D1に配置され得るか、またはx’軸に沿って距離D2だけシフトされ得る例示的な場合を示し、後者の場合、出力ビームコリメートデバイス2002は、COOB 2900を焦点距離D2に合焦させるために、(例えば、いくつかのレンズの相対的な配置を電子制御することによって)調節され得る。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、CBCシステム2000は、サンプリングコリメート要素(SCE)2500のM×N個のアレイをさらに含み得、各SCEijは、それぞれのijチャネルの、SOBijとROBij 1210との干渉から生じる光を、それぞれのPDij上に合焦させるように配置および構成される。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、IOB 2110およびROBはすべて、光源2100などの単一の単色光源から生じ得る。
【0080】
ここで、
図6を参照すると、いくつかの実施形態による、CBC位相ロックのためのプロセスが示される。プロセスは、
時間的にコヒーレントな入力光学ビームのM×N個のアレイおよび参照光学ビームを提供すること(61)と、
M×N個の入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、出力光学ビームが第1の伝播方向に沿って伝播するように発生させること(62)と、
出力光学ビームの各々の第1の部分が第1の伝播方向に向かって方向付けられ、出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用されるように、出力光学ビームの各々を分割すること(63)と、
参照光学ビームがサンプル光学ビームと干渉し、複数の光学干渉信号を発生させるように、参照光学ビームを方向付けること(64)と、
各々が、複数の光学干渉信号の各光学干渉信号のそれぞれの強度を測定して、対応するパワー出力値を同時かつ連続的に生成するように配置および構成される、複数のM×N個の光学検出器を提供すること(65)と、
入力光学ビームの各々の位相を、それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器によって生成された少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させることであって、各入力光学ビームの位相を変化させることは、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行される、変化させること(66)と、
そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、各それぞれの入力光学ビームの位相をロックすること(67)と
を含み得る。
【0081】
ここで、
図7を参照すると、いくつかの実施形態による、CBC偏光ロックのためのプロセスが示される。プロセスは、
時間的にコヒーレントな入力光学ビームのM×N個のアレイおよび参照光学ビームを提供すること(71)と、
M×N個の入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、出力光学ビームが第1の伝播方向に沿って伝播するように発生させること(72)と、
出力光学ビームの各々の第1の部分が第1の伝播方向に向かって方向付けられ、出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用されるように、出力光学ビームの各々を分割すること(73)と、
参照光学ビームがサンプル光学ビームと干渉し、複数の光学干渉信号を発生させるように、参照光学ビームを方向付けること(74)と、
各々が、複数の光学干渉信号の各光学干渉信号のそれぞれの強度を測定して、対応するパワー出力値を同時かつ連続的に生成するように配置および構成される、複数のM×N個の光学検出器を提供すること(75)と、
入力光学ビームの各々の偏光を、それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器によって生成された少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させることであって、各入力光学ビームの偏光を変化させることは、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行される、変化させること(76)と、
そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、各それぞれの入力光学ビームの偏光をロックすること(77)と
を含み得る。
【0082】
図8を参照すると、いくつかの実施形態による、波面制御を備えるCBCシステムを使用する、波面制御プロセスが示される。このプロセスは、
例えば、ターゲット配置、(速度などの)運動特性値などの、1つ以上のターゲット特性値を示す、ターゲットデータを受信すること(81)と、
COOB波面制御のための制御パラメータ(単数もしくは複数)の値(単数もしくは複数)を決定すること(例えば、ターゲット配置ターゲットデータに基づいてCOOBをターゲットに向かって合焦および/または操作するための、合焦および/またはステアリング関連パラメータ値を決定すること)(82)と、
例えば、参照光学ビームの各部分または各参照光学ビームの位相を制御可能に変化させることができる合焦デバイスおよび/またはステアリング機構の、電子/コンピュータ制御のための制御コマンドおよび/または制御信号を生成および送信することによって、決定された制御パラメータ(単数もしくは複数)の値(単数もしくは複数)に基づいて、COOBの波面を制御すること(83)と、
入力光学ビームの各々の位相および/または偏光を、それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器によって生成された少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させることであって、各入力光学ビームの位相/偏光を変化させることは、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行される、変化させること(84)と、
そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、各それぞれの入力光学ビームの位相および/または偏光をロックすること(85)と
を含み得る。
【0083】
図9を参照すると、M×N個のチャネルおよびM×N個のPCMを使用する、受信されたターゲットデータに基づく、CBCシステム位相ロックおよびCOOB波面制御のプロセスの実施形態が示される。このプロセスは、
ターゲットデータを受信し、受信されたターゲットデータに基づいて、例えばPCMのM×N個のアレイを使用して、参照光学ビームの各々の位相を設定すること(91)と、
各ijチャネルについて、
(時間tcにおける)PDijの現在の強度読取値を受信すること(92)と、
受信されたPDijの現在の読取値を記憶すること(93)と、
それぞれのチャネルの強度読取値が最初ではない場合(94)、受信されたPDij強度読取値を、1つ以上の以前に受信されたPDij強度読取値(例えば、限られた時間スパン内で取得された限られた数の以前の強度読取値)と比較し(95)、現在の強度読取値が、それぞれのチャネルのijの1つ以上の以前に受信された強度読取値の少なくとも1つより高いか低いかをチェックすることと(96)と、
時間スパン内で極値強度読取値を提供するIOBijの最適な位相が特定された場合(96)、最適な位相がロックされ(97)、
最適な位相が特定されなかった場合、位相の変化方向(例えば、増加または減少)が決定され、IOBijのそれぞれの位相が変更されること(98)
を含み得る。
【0084】
ステップ92~98は、高速かつ効率的な方法でそれぞれのチャネルごとの最適な位相にロックするために、各チャネルについて、所定の時間スパンごとに、繰り返され得る。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、上記のすべての位相および/または偏光ロック機構は、入力光学ビームの位相/偏光値不安定性(例えば、変化、および/または位相/偏光値変動率)に影響する環境または他の条件に関係なく、入力光学ビームの位相/偏光の変化速度より速いかまたはそれに等しいロック時間Tlock内で、位相/偏光をロックすることを可能とし得るような、極めて高速かつ効率的な位相/偏光ロックを可能とする。
【0086】
実施例
実施例1は、コヒーレントビーム合成(CBC)のための方法であって、
光源を使用してソース光学ビームを発生させることと、
ソース光学ビームを、時間的にコヒーレントな入力光学ビームのM×N個のアレイおよび参照光学ビームに分割することと、
M×N個の入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、出力光学ビームが第1の伝播方向に沿って伝播するように発生させることと、
出力光学ビームの各々の第1の部分が第1の伝播方向に向かって方向付けられ、出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用されるように、出力光学ビームの各々を分割することと、
参照光学ビームがサンプル光学ビームと干渉し、複数の対応する光学干渉信号を発生させるように、参照光学ビームを方向付けることと、
各々が、それぞれの光学干渉信号の全体的な強度を測定し、そのそれぞれの光学干渉信号の検出された全体的な強度を示すパワー出力値を生成するように配置および構成される、複数のM×N個の光学検出器を提供することと、
入力光学ビームの各々の位相を、その対応する光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器によって生成された少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させることであって、各入力光学ビームの位相を変化させることは、正確な位相を計算もしくは推定することなく、かつ/またはそれと関連する任意の他の信号を生成することなく、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行される、変化させることと、
そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、入力光学ビームの位相をロックすることと
を含み、
光学干渉光信号の発生、多数の光学検出器のパワー出力値の測定、および位相ロックは、すべてのM×N個の入力および出力光学ビームならびに光学干渉信号について連続的かつ同時に実行される、
方法である。
【0087】
実施例2において、実施例1の主題は、各入力光学ビームの位相を変化させることは、M×N個の位相シフタ(PS)であって、各PSは、それぞれの入力光学ビームの位相を変化させるように構成される、位相シフタと、M×N個の制御モジュール(CM)であって、各CMは、異なるPSおよび対応する光学検出器と関連付けられ、それぞれの光学検出器から受信されたパワー出力値に基づいて、その関連するPSに制御コマンドを繰り返し送信するように構成される、制御モジュールとを使用して実行されることを含み得る。
【0088】
実施例3において、実施例2の主題は、各入力PSのための制御コマンドは、各PSが、それぞれの入力光学ビームの位相を、所定のかつ/または制御可能な位相シフトスパンΔφだけ増減させるような、それぞれの位相の方向の増減のみを指示することを含み得る。
【0089】
実施例4において、実施例1~3のいずれか1つ以上の主題は、出力光学ビームを発生させるステップは、入力光学ビームの各々を別々にコリメートするためのM×N個のコリメート要素のアレイを使用して実行されることを含み得る。
【0090】
実施例5において、実施例1~4のいずれか1つ以上の主題は、方法が、合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性を制御することをさらに含み得ることを含み得る。
【0091】
実施例6において、実施例5の主題は、合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性は、
波面の遠方界(FF)分布、
合成出力光学ビームによって形成可能な中心ローブのFF位置、
中心ローブの合焦特性、
波面の空間的構成、
環境光学収差補正
の1つ以上を含むことを含む。
【0092】
実施例7において、実施例5~6のいずれか1つ以上の主題は、記1つ以上の波面特性の制御は、参照光学ビームの波面の方向を制御することによって実行されることを含み得る。
【0093】
実施例8において、実施例7の主題は、参照光学ビームの波面の制御は、
参照光学ビームが出力される光導波路の出力端を機械的に移動させること、および/または
光導波路の出力端と、参照光学ビームの経路内に位置する合焦レンズとの間の相対的な配置を機械的に変化させること
によって実行されることを含み得る。
【0094】
実施例9において、実施例5~6のいずれか1つ以上の主題は、1つ以上の波面特性の制御は、位相制御モジュール(PCM)のM×N個のアレイを使用して実行され、各PCMは、それぞれのサンプル光学ビームと干渉する参照光学ビームの異なる部分の位相を制御するように配置および構成されることを含み得る。
【0095】
実施例10において、実施例9の主題は、PCMのM×N個のアレイは、電子制御可能および/またはデジタル制御可能であることを含み得る。
【0096】
実施例11において、実施例10の主題は、PCMのM×N個のアレイは、空間光変調器のM×N個のアレイを備えることを含み得る。
【0097】
実施例12において、実施例5~11のいずれか1つ以上の主題は、合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性の制御は、ターゲットのFF位置に従って行われることを含み得る。
【0098】
実施例13において、実施例1~12のいずれか1つ以上の主題は、方法が、入力光学ビームの各々の偏光を、そのそれぞれの光学干渉信号の受信されたパワー出力値に基づいて制御することをさらに含み得ることを含み得る。
【0099】
実施例14において、実施例13の主題は、入力光学ビームの各々の偏光の制御は、
入力光学ビームの各々の偏光を、それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器からの少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させるステップと、それぞれの光学検出器からの極値パワー出力値に到達した時に、各それぞれの入力光学ビームの偏光をロックするステップとを含み、各入力光学ビームの偏光を変化させることは、正確な偏光を計算もしくは推定することなく、かつ/またはそれと関連する任意の他の信号を生成することなく、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行されること
を含み得る。
【0100】
実施例15において、実施例1~14のいずれか1つ以上の主題は、方法が、制御可能な出力ビームコリメートデバイスを使用して、合成出力光学ビームを制御可能に合焦させることをさらに含むことを含み得る。
【0101】
実施例16は、コヒーレントビーム合成(CBC)のためのシステムであって、
-ソース光学ビームを発生させる光源と、
-ソース光学ビームを、M×N個の時間的にコヒーレントな入力光学ビームのアレイおよび参照光学ビームに分割するように構成されたビームスプリッティング機構と、
-入力光学ビームの各々を方向付けて別個のコリメート要素に通すように構成されたM×N個のコリメート要素のアレイであって、コリメート要素に通された入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、出力光学ビームが互いに平行であり、第1の伝播方向を画定するように発生させる、コリメート要素と、
-出力光学ビームの各々の第1の部分が第1の伝播方向に向かって方向付けられ、出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用されるように、出力光学ビームの各々を分割するよう構成されたビームスプリッティング要素と、
-各々が、それぞれの光学干渉信号の全体的な強度を測定し、それぞれの光学干渉信号の全体的な強度に対応するパワー出力値を出力するように配置および構成される、M×N個の光学検出器のアレイと、
-測定されたパワー出力値を光学検出器の各々から連続的に受信し、入力光学ビームの各々の位相を、それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器からの少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら変化させ、そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、入力光学ビームの位相をロックするように構成された、制御サブシステムと
を備え、
各入力光学ビームの位相を変化させることは、正確な位相を計算もしくは推定することなく、かつ/またはそれと関連する任意の他の信号を生成することなく、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行され、
光学干渉光信号の発生、多数の光学検出器の出力の測定、および位相ロックは、すべてのM×N個の入力および出力光学ビームならびに光学干渉信号について連続的かつ同時に実行される、
システムである。
【0102】
実施例17において、実施例16の主題は、制御サブシステムは、
M×N個の位相シフタ(PS)であって、各PSは、異なる入力光学ビームの位相を変化させるように構成される、位相シフタと、
M×N個の処理モジュール(PM)であって、各PMは、異なる光学検出器のパワー出力値を受信し、それと関連するPSを繰り返し制御するように構成される、制御モジュールと
の1つ以上を備えることを含み得る。
【0103】
実施例18において、実施例16~17のいずれか1つ以上の主題は、システムが、
参照ビームを誘導するための参照光ファイバであって、光ファイバは、光を光源から入力するための入力端、および参照ビームが放出される出力端を有する、参照光ファイバと、
サンプル光学ビームと干渉する前に、参照光学ビームをコリメートするように配置された参照ビームコリメータと
の1つ以上をさらに含み得ることを含み得る。
【0104】
実施例19において、実施例16~18のいずれか1つ以上の主題は、合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性を制御するように構成された波面制御機構をさらに含むことを含み得る。
【0105】
実施例20において、実施例19の主題は、合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性は、
波面の遠方界(FF)分布、
合成出力光学ビームによって形成可能な中心ローブのFF位置、
中心ローブの合焦特性、
波面の空間的構成、
環境光学収差補正
の1つ以上を含むことを含み得る。
【0106】
実施例21において、実施例19~20のいずれか1つ以上の主題は、波面制御機構は、合成出力光学ビームのステアリング制御のために、参照光ファイバ出力端と参照ビームコリメータとの間の相対的な配置を制御するように構成されることを含み得る。
【0107】
実施例22において、実施例19~20のいずれか1つ以上の主題は、システムが、位相制御モジュール(PCM)のM×N個のアレイをさらに含み、各PCMは、それぞれのサンプル光学ビームと干渉する参照光学ビームの異なる部分の位相を制御するように配置および構成されることを含み得る。
【0108】
実施例23において、実施例22の主題は、PCMのM×N個のアレイは、制御サブシステムまたは別個のコントローラによって電子制御可能および/またはデジタル制御可能であることを含み得る。
【0109】
実施例24において、実施例23の主題は、PCMのM×N個のアレイは、空間光変調器(SLM)のM×N個のアレイを備えることを含み得る。
【0110】
実施例25において、実施例19~24のいずれか1つ以上の主題は、合成出力光学ビームの波面の1つ以上の特性の制御は、ターゲットのFF位置に従って行われることを含み得る。
【0111】
実施例26において、実施例16~25のいずれか1つ以上の主題は、システムが、M×N個の偏光コントローラ(PC)をさらに含み得、各PCは、異なるPMと関連付けられ、入力光学ビームの各々の偏光を、そのそれぞれの測定されたパワー出力値の受信されたパワー出力値に基づいて制御するように構成されることを含み得る。
【0112】
実施例27において、実施例26の主題は、入力光学ビームの各々の偏光の制御は、
入力光学ビームの各々の偏光を、それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学干渉信号の少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させることと、
そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、各それぞれの入力光学ビームの偏光をロックすることと
を含み、
各入力光学ビームの偏光を変化させることは、正確な偏光を計算もしくは推定することなく、かつ/またはそれと関連する任意の他の信号を生成することなく、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行される
ことを含み得る。
【0113】
実施例28において、実施例16~27のいずれか1つ以上の主題は、システムが、合成出力光学ビームを制御可能に合焦させるように構成および配置された合焦デバイスをさらに含み得ることを含み得る。
【0114】
実施例29において、実施例16~28のいずれか1つ以上の主題は、システムが、各々が、それを通して異なる入力光学ビームおよび/または出力光学ビームを誘導するように構成される、M×N個の光導波路のアレイをさらに含み得ることを含み得る。
【0115】
実施例30において、実施例29の主題は、光導波路は、光ファイバ、ファイバ増幅器、ドープされたファイバであることを含み得る。
【0116】
実施例31は、コヒーレントビーム合成(CBC)のための方法であって、
時間的にコヒーレントな入力光学ビームのM×N個のアレイを提供することと、
参照光学ビームを提供することと、
M×N個の入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、出力光学ビームが第1の伝播方向に沿って伝播するように発生させることと、
出力光学ビームの各々の第1の部分が第1の伝播方向に向かって方向付けられ、出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用されるように、出力光学ビームの各々を分割することと、
参照光学ビームがサンプル光学ビームと干渉し、複数の光学干渉信号を発生させるように、参照光学ビームを方向付けることと、
各々が、複数の光学干渉信号の各光学干渉信号のそれぞれの全体的な強度を測定して、それぞれの光学干渉信号の全体的な強度に対応するパワー出力値を生成するように配置および構成される、複数のM×N個の光学検出器を提供することと、
入力光学ビームの各々の位相を、それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器によって生成された少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら、自動的かつ別々に変化させることであって、各入力光学ビームの位相を変化させることは、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行される、変化させることと、
そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、入力光学ビームの位相をロックすることと
を含み、
光学干渉光信号の発生、多数の光学検出器の出力の測定、および位相ロックは、すべてのM×N個の入力および出力光学ビームならびに光学干渉信号について連続的かつ同時に実行される、
方法である。
【0117】
実施例32は、コヒーレントビーム合成(CBC)のためのシステムであって、
M×N個の時間的にコヒーレントな入力光学ビームのアレイと、
参照光学ビームと、
入力光学ビームの各々を方向付けて別個のコリメート要素に通すように構成されたM×N個のコリメート要素のアレイであって、コリメート要素に通された入力光学ビームに対応するM×N個の出力光学ビームを、出力光学ビームが互いに平行であり、第1の伝播方向を画定するように発生させる、コリメート要素と、
出力光学ビームの各々の第1の部分が第1の伝播方向に向かって方向付けられ、出力光学ビームのすべての第1の部分が合成出力光学ビームを形成し、出力光学ビームの各々の第2の部分が第2の伝播方向に向かって方向付けられ、サンプル光学ビームとして使用され、参照光学ビームと干渉するように方向付けられ、複数の光学干渉信号を発生させるように、出力光学ビームの各々を分割するよう構成されたビームスプリッティング要素と、
各々が、それぞれの光学干渉信号の全体的な強度を測定し、それぞれの光学干渉信号の全体的な強度に対応するパワー出力値を出力するように配置および構成される、複数の光学検出器と、
測定されたパワー出力値を光学検出器の各々から連続的に受信し、入力光学ビームの各々の位相を、それぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値をそれぞれの光学検出器からの少なくとも1つの以前に測定されたパワー出力値と比較しながら変化させ、そのそれぞれの光学干渉信号の極値パワー出力値に到達した時に、入力光学ビームの位相をロックするように構成された、制御サブシステムと
を備え、
各入力光学ビームの位相を変化させることは、そのそれぞれの光学干渉信号の測定されたパワー出力値に直接基づいて実行され、
光学干渉光信号の発生、多数の光学検出器の出力の測定、および位相ロックは、すべてのM×N個の入力および出力光学ビームならびに光学干渉信号について連続的かつ同時に実行される、
システムである。
【0118】
本発明は限られた数の実施形態に関して説明されてきたが、これらは、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ実施形態のいくつかの例示として解釈されるべきである。
【0119】
本明細書に例示されたいずれかのデジタルコンピュータシステム、ユニット、デバイス、モジュール、および/またはエンジンは、本明細書に開示された方法を実装するように構成され得るか、またはその他の方法でプログラムされ得、システム、モジュール、および/またはエンジンがそのような方法を実装するように構成される限り、それは本開示の範囲および趣旨に含まれる。システム、モジュール、および/またはエンジンが、本明細書に開示された方法を実装するプログラムソフトウェアからのコンピュータ可読かつ実行可能な命令に従って特定の機能を行うようにプログラムされると、それは事実上、特に本明細書に開示された方法の実施形態に専用のコンピュータになる。本明細書に開示された方法および/またはプロセスは、例えば、非一時的有形コンピュータ可読および/または非一時的有形機械可読記憶デバイスを含む情報担体に有形に具現化され得る、コンピュータプログラム製品として実装され得る。コンピュータプログラム製品は、デジタルコンピュータの内部メモリに直接ロード可能であり得、本明細書に開示されたような方法および/またはプロセスを行うためのソフトウェアコード部分を含む。
【0120】
さらに、または代わりに、本明細書に開示された方法および/またはプロセスは、コンピュータ可読信号媒体によって無形に具現化され得るコンピュータプログラムとして実装され得る。コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドに、または搬送波の一部として、その中に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを備える伝播データ信号を含み得る。そのような伝播信号は、電磁気、光、またはそれらの任意の好適な組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない様々な形態のいずれかを取り得る。コンピュータ可読信号媒体は、非一時的なコンピュータまたは機械可読記憶デバイスではなく、本明細書で論じられた装置、システム、プラットフォーム、方法、動作、および/またはプロセスによって、またはそれらに関連して使用されるプログラムを通信、伝播、または移送することができる、任意のコンピュータ可読媒体であり得る。
【0121】
「非一時的コンピュータ可読記憶デバイス」および「非一時的機械可読記憶デバイス」は、分配媒体、中間記憶媒体、コンピュータの実行メモリ、および本明細書に開示された方法の実施形態を実装するコンピュータプログラムによって後で読み取るために記憶することができる任意の他の媒体またはデバイスを包含する。コンピュータプログラム製品は、1つのコンピュータまたは複数のコンピュータ上で、1つの場所に、または複数の場所にまたがって分配され、1つ以上の通信ネットワークによって相互接続されて、実行されるように配備され得る。
【0122】
これらのコンピュータ可読かつ実行可能な命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または機械を作るための他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供され得、その結果、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(単数もしくは複数)に指定された機能/作用を実装するための手段を作り出す。これらのコンピュータ可読かつ実行可能なプログラム命令はまた、コンピュータ、プログラム可能データ処理装置、および/または他のデバイスに特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得、その結果、その中に記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(単数もしくは複数)に指定された機能/作用の態様を実装する命令を含む、製造品を含む。
【0123】
コンピュータ可読かつ実行可能な命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスにロードされ、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で行わせ、コンピュータ実装プロセスを作り出し得、その結果、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で実行される命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(単数もしくは複数)に指定された機能/作用の態様を実装する。
【0124】
モジュール、デバイス、機構、ユニット、およびまたはサブシステムは、各々、機械(単数または複数)実行可能な命令(例えば、コマンド)を含み得る。モジュールは、システムに、本明細書に開示されたような方法、プロセス、および/または動作を実装させるようにプログラムされた回路またはコントローラによって具現化され得る。例えば、モジュールは、例えば、カスタマイズされた超大規模集積(VLSI)回路またはゲートアレイ、特定用途向け集積回路(ASIC)、ロジックチップ、トランジスタ、および/または他のディスクリート部品などの既製の半導体を含む、ハードウェア回路として実装され得る。モジュールはまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイスなどの、プログラム可能なハードウエアデバイスに実装され得る。
【0125】
考察において、別途明記されない限り、本発明の実施形態の特徴(単数もしくは複数)の状態または関係特性を変更する「実質的に」および「約」などの形容詞は、状態または特性が、意図された用途のための実施形態の動作に許容される許容範囲内に定義されることを意味すると理解されるべきである。
【0126】
別途指定されない限り、大きさまたは数値に関する「実質的に」、「約」、および/または「近い」という用語は、それぞれの大きさまたは値の-10%~+10%の範囲(両端を含む)内にあることを示唆し得る。
【0127】
方法が含み得るものは、図または対応する説明に限定されないことに留意することが重要である。例えば、方法は、図に記載されているものと比較して、追加の、またはより少ない、プロセスまたは動作を含み得る。加えて、方法の実施形態は、本明細書に示され、説明されたような時系列に必ずしも限定されない。
【0128】
例えば、「処理する」、「コンピューティングする」、「計算する」、「決定する」、「確立する」、「分析する」、「チェックする」、「推定する」、「導出する」、「選択する」、「推測する」などの用語を利用した本明細書の考察は、コンピュータのレジスタおよび/もしくはメモリ内の物理的な(例えば、電子的な)量として表されたデータを、コンピュータのレジスタおよび/もしくはメモリ、または動作および/もしくはプロセスを行う命令を記憶し得る他の情報記憶媒体内の物理量として同様に表された他のデータに操作または変換する、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、または他の電子コンピューティングデバイスの動作(単数もしくは複数)ならびに/またはプロセス(単数もしくは複数)を指し得る。決定するという用語はまた、該当する場合、「ヒューリスティックに決定すること」を指し得る。
【0129】
実施形態が「閾値超」の条件を指す場合、これは、「閾値以上」の条件指す実施形態を除外すると解釈されるべきではないことに留意すべきである。同様に、実施形態が「閾値未満」の条件を指す場合、これは、「閾値以下」の条件指す実施形態を除外すると解釈されるべきではない。所与のパラメータの値が閾値超である場合に、ある条件が満たされていると解釈されるならば、所与のパラメータの値が所与の閾値以下である場合に、同じ条件は満たされていないと見なされることは明らかである。逆に、所与のパラメータの値が閾値以上である場合に、ある条件が満たされていると解釈されるならば、所与のパラメータの値が所与の閾値未満(それより下のみ)である場合に、同じ条件は満たされていないと見なされる。
【0130】
特許請求の範囲または明細書が「一」または「一つの」要素および/または特徴に言及する場合、そのような言及は、それらの要素の1つのみが存在すると解釈されるべきではないことを理解すべきである。したがって、例えば、「一つの要素」または「少なくとも1つの要素」への言及は、「1つ以上の要素」も包含し得る。
【0131】
単数形で使用される用語には、明示的に別途明記される場合、または文脈上、明白に他の意味に解釈すべき場合を除き、複数形も含まれるものとする。
【0132】
本出願の説明および特許請求の範囲において、動詞「備える」、「含む」、および「有する」の各々、ならびにそれらの活用形は、動詞の目的語(単数もしくは複数)が必ずしも動詞の主語(単数もしくは複数)の構成要素、要素、または部分の完全な列挙ではないことを示すために使用される。
【0133】
別途明記されない限り、選択オプションの列挙の最後の2つのメンバー間で「および/または」という表現を使用することは、列挙されたオプションの1つ以上を選択することが適切であり、実行することができることを示している。さらに、「および/または」という表現の使用は、「以下の少なくとも1つ」、「以下のいずれか1つ」、または「以下の1つ以上」という表現と交換可能に使用され得、その後に様々なオプションの列挙が続く。
【0134】
明確にするために、別個の実施形態または例の文脈で説明される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態、例、および/もしくはオプションの文脈で説明される本発明の様々な特徴はまた、別個に、または任意の好適なサブコンビネーションで、または本発明の任意の他の説明された実施形態、例、もしくはオプションで好適なものとして、提供され得る。様々な実施形態、例、および/または随意の実装の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態、例、および/または随意の実装がそれらの要素なしでは動作しない場合を除いて、それらの実施形態の必須の特徴と見なされるべきではない。
【0135】
本明細書では、「いくつかの実施形態では」、「いくつかの実施形態による」、「本発明のいくつかの実施形態による」、「例えば」、「一例として」、「例せば」、および「随意に」という用語を交換可能に使用することができることに留意されたい。
【0136】
図に示される要素の数は、決して限定的なものとして解釈されるべきではなく、単に例示を目的とするものである。
【0137】
「ように動作可能な」という用語は、「ように変更または構成される」という用語の意味を包含し得ることに留意されたい。言い換えれば、タスクを行う「ように動作可能な」機械は、いくつかの実施形態では、機能を行う(例えば、そのように変更される)単なる能力、およびいくつかの他の実施形態では、機能を行うように実際に作られる(例えば、構成される)機械を含み得る。
【0138】
本出願を通じて、様々な実施形態が、範囲形式で提示され、かつ/または範囲形式に関連し得る。範囲形式での説明は、単に便宜上および簡潔にするためのものであり、実施形態の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0139】
第1の指示数と第2の指示数と「の間に及ぶ」、ならびに第1の指示数「から」第2の指示数「に及ぶ」という語句は、本明細書では交換可能に使用され、第1および第2の指示数、ならびにそれらの間のすべての分数および整数を含むことを意図する。