IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図1
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図2
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図3
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図4
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図5
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20250204BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20250204BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20250204BHJP
【FI】
H04W48/18
H04W64/00 150
H04W64/00 173
H04W84/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023139696
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2022155398の分割
【原出願日】2022-09-28
(65)【公開番号】P2024049340
(43)【公開日】2024-04-09
【審査請求日】2023-08-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】足立 崇
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-521344(JP,A)
【文献】国際公開第2022/162850(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/162849(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/162848(WO,A1)
【文献】特開2022-125679(JP,A)
【文献】特開2018-127034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体の飛行予定経路を示す情報を取得する取得部と、
飛行中の前記飛行体が行う通信を、地上の通信設備を利用した地上通信と、通信衛星を利用した衛星通信と、の間で切り替える切替処理が行われることを検知する検知部と、
前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路と、前記切替処理が完了した後の前記飛行体の位置と、の間の差を用いて、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置を前記切替処理が完了した後に特定する特定部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路に基づいて、前記切替処理が行われている間であって、前記飛行体が前記地上通信及び前記衛星通信を行うことができない間の前記飛行体の位置を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路上の位置を、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置として特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記切替処理が完了した後の前記飛行体の位置を示す切替後位置情報を、前記切替処理が完了した後の通信手段を介して前記飛行体から取得する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記飛行体に関連付けられた情報端末において、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置に対応する画像と、前記切替後位置情報が示す前記飛行体の位置に対応する画像と、を異なる表示態様で地図上に表示させる表示制御部をさらに有する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路と、前記切替処理が開始される前の前記飛行体の位置と、前記切替処理が完了した後の前記飛行体の位置と、に基づいて、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置を特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記飛行体を含む領域における気象を示す気象情報を取得し、
前記特定部は、前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路に加えて、前記切替処理が行われている間の前記気象情報に基づいて、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置を特定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記切替処理が開始されたことを示す情報を前記飛行体が出力したことを条件として、前記切替処理が開始されたことを検知する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記検知部は、前記地上通信の信号の電波強度と閾値との関係が切替基準を満たしたことを条件として、前記切替処理が開始されたことを検知する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
プロセッサが実行する、
飛行体の飛行予定経路を示す情報を取得するステップと、
飛行中の前記飛行体が行う通信を、地上の通信設備を利用した地上通信と、通信衛星を利用した衛星通信と、の間で切り替える切替処理が行われることを検知するステップと、
前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路と、前記切替処理が完了した後の前記飛行体の位置と、の間の差を用いて、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置を前記切替処理が完了した後に特定するステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に関する情報を処理するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地上の基地局を介した地上通信と通信衛星を介した衛星通信とを切り替えて通信できる通信端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-168898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛行体は、通信によってサーバとの間で情報を送受信しながら飛行する。しかしながら、飛行体が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替えるために数秒~数十秒間の時間が掛かる場合があり、その間に飛行体は通信できない。飛行体が通信できない状況では、飛行体は位置情報を通信により外部に送信することができなくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、飛行体が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える際に、飛行体の位置を特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、飛行体の飛行予定経路を示す情報を取得する取得部と、飛行中の前記飛行体が行う通信を、地上の通信設備を利用した地上通信と、通信衛星を利用した衛星通信と、の間で切り替える切替処理が行われることを検知する検知部と、前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路と、前記切替処理が開始される前又は前記切替処理が完了した後の前記飛行体の位置と、に基づいて、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置を特定する特定部と、を有する。
【0007】
前記特定部は、前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路に基づいて、前記切替処理が行われている間であって、前記飛行体が前記地上通信及び前記衛星通信を行うことができない間の前記飛行体の位置を特定してもよい。
【0008】
前記特定部は、前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路上の位置を、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置として特定してもよい。
【0009】
前記取得部は、前記切替処理が開始される前の前記飛行体の位置を示す切替前位置情報を、前記切替処理が開始される前の通信手段を介して前記飛行体から取得してもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、前記飛行体に関連付けられた情報端末において、前記切替前位置情報が示す前記飛行体の位置に対応する画像と、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置に対応する画像と、を異なる表示態様で地図上に表示させる表示制御部をさらに有してもよい。
【0011】
前記取得部は、前記切替処理が完了した後の前記飛行体の位置を示す切替後位置情報を、前記切替処理が完了した後の通信手段を介して前記飛行体から取得してもよい。
【0012】
前記情報処理装置は、前記飛行体に関連付けられた情報端末において、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置に対応する画像と、前記切替後位置情報が示す前記飛行体の位置に対応する画像と、を異なる表示態様で地図上に表示させる表示制御部をさらに有してもよい。
【0013】
前記特定部は、前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路と、前記切替処理が開始される前の前記飛行体の位置と、前記切替処理が完了した後の前記飛行体の位置と、に基づいて、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置を特定してもよい。
【0014】
前記取得部は、前記飛行体を含む領域における気象を示す気象情報を取得し、前記特定部は、前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路に加えて、前記切替処理が行われている間の前記気象情報に基づいて、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置を特定してもよい。
【0015】
前記検知部は、前記切替処理が開始されたことを示す情報を前記飛行体が出力したことを条件として、前記切替処理が開始されたことを検知してもよい。
【0016】
前記検知部は、前記地上通信の信号の電波強度と閾値との関係が切替基準を満たしたことを条件として、前記切替処理が開始されたことを検知してもよい。
【0017】
【0018】
【0019】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、飛行体の飛行予定経路を示す情報を取得するステップと、飛行中の前記飛行体が行う通信を、地上の通信設備を利用した地上通信と、通信衛星を利用した衛星通信と、の間で切り替える切替処理が行われることを検知するステップと、前記切替処理が開始された後の前記飛行予定経路と、前記切替処理が開始される前又は前記切替処理が完了した後の前記飛行体の位置と、に基づいて、前記切替処理が行われている間の前記飛行体の位置を特定するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、飛行体が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える際に、飛行体の位置を特定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る飛行管理システムの模式図である。
図2】実施形態に係る飛行管理システムのブロック図である。
図3】切替処理が行われることを検知部が検知する方法を説明するための模式図である。
図4】特定部が飛行体の位置を特定する方法を説明するための模式図である。
図5】表示制御部が飛行体の位置を情報端末に表示させる方法を説明するための模式図である。
図6】実施形態に係る飛行管理サーバが実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[飛行管理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る飛行管理システムSの模式図である。飛行管理システムSは、飛行管理サーバ1と、飛行体2と、情報端末3と、を含む。飛行管理システムSは、その他の端末、装置等を含んでもよい。
【0023】
飛行管理サーバ1は、飛行体2の飛行に関する情報を管理するコンピュータである。飛行管理サーバ1は、単一のコンピュータ、又は複数のコンピュータである。また、飛行管理サーバ1は、コンピュータ資源の集合であるクラウド上で動作する一又は複数の仮想的なサーバであってもよい。
【0024】
飛行体2は、空中を飛行するドローン等の無人飛行装置である。また、飛行体2は、航空機や飛行可能車両等の有人飛行装置であってもよい。飛行体2は、予め設定された飛行予定経路に沿って飛行する。飛行体2は、所定の通信手段を介して飛行管理サーバ1の間で無線通信により情報を送受信するための通信部を有する。
【0025】
飛行体2は、飛行中に用いる通信手段を、地上の通信設備4を利用した地上通信と、通信衛星5を利用した衛星通信と、の間で切り替えることができる。通信設備4は、例えば、飛行管理サーバ1及び飛行体2それぞれが送信した通信信号を中継する、地上に設置された基地局である。通信設備4は、3G(Generation)、4G/LTE(Long Term Evolution)、5G等の通信規格に対応する。通信衛星5は、例えば、飛行管理サーバ1及び飛行体2それぞれが送信した通信信号を中継する、宇宙空間に配置された人工衛星である。通信衛星5は、所定の衛星通信の規格に対応する。
【0026】
情報端末3は、ユーザが使用するコンピュータである。情報端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末である。ユーザは、例えば、飛行体2を操縦する操縦者である。また、ユーザは、複数の飛行体2の飛行を管理する管理者(オペレータ等)であってもよい。情報端末3は、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、ユーザによる操作を受け付けるためのタッチパネル等の操作部と、を有する。情報端末3は、通信によって飛行管理サーバ1との間で情報を送受信する。
【0027】
本実施形態に係る飛行管理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。飛行管理サーバ1は、飛行中の飛行体2の位置を示す位置情報を取得する(図1の(1))。
【0028】
飛行管理サーバ1は、飛行中の飛行体2が行う通信を、地上通信と衛星通信との間で切り替える切替処理が行われることを検知する(図1の(2))。飛行管理サーバ1は、例えば、飛行体2が切替処理が開始されたことを示す情報を出力したこと、又は飛行体2が受信する通信信号の電波強度が所定の切替基準を満たしたことを条件として、切替処理が行われることを検知する。
【0029】
飛行管理サーバ1は、切替処理が開始された後の飛行予定経路に基づいて、切替処理が行われている間の飛行体2の位置を特定する(図1の(3))。飛行管理サーバ1は、例えば、切替処理が開始された後の飛行予定経路上のいずれかの位置を、切替処理が行われている間の飛行体2の位置として特定する。
【0030】
飛行管理サーバ1は、特定した飛行体2の位置を表示するための表示情報を、飛行体2に関連付けられた情報端末3に送信する(図1の(4))。情報端末3は、飛行管理サーバ1から受信した表示情報に従って、飛行体2の位置に対応する画像を地図上に表示する。
【0031】
このように、飛行管理システムSは、飛行体2の通信手段が地上通信と衛星通信との間で切り替えられる際に、切替処理が行われている間の飛行予定経路に基づいて飛行体2の位置を特定する。これにより、飛行管理システムSは、飛行体2が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える際に、飛行体2が通信できない状況になったとしても、飛行体2の位置を特定できる。
【0032】
[飛行管理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る飛行管理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0033】
飛行管理サーバ1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部11は、飛行管理サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部12との間でデータの授受を行ってもよい。
【0034】
制御部12は、取得部121と、検知部122と、特定部123と、表示制御部124と、切替制御部125と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部121、検知部122、特定部123、表示制御部124及び切替制御部125として機能する。制御部12の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部12の機能の少なくとも一部は、制御部12がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0035】
以下、飛行管理システムSが実行する処理について詳細に説明する。飛行中の飛行体2は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して自機の位置を特定し、特定した位置を示す位置情報を、地上通信又は衛星通信により飛行管理サーバ1に繰り返し送信する。また、飛行体2は、地上通信又は衛星通信のどちらの通信手段を用いているかと、受信している通信信号の電波強度と、を示す通信情報を、地上通信又は衛星通信により飛行管理サーバ1に繰り返し送信する。
【0036】
飛行管理サーバ1において、取得部121は、飛行体2が送信した位置情報及び通信情報を取得し、送信元の飛行体2を識別するための飛行体ID(Identification)と関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0037】
取得部121は、例えば、切替処理が開始される前の飛行体2の位置を示す切替前位置情報を、切替処理が開始される前の通信手段である地上通信又は衛星通信を介して飛行体2から取得する。取得部121は、切替処理が完了した後の飛行体2の位置を示す切替後位置情報を、切替処理が完了した後の通信手段である地上通信又は衛星通信を介して飛行体2から取得する。取得部121は、飛行体2から位置情報を直接取得してもよく、その他の装置を介して位置情報を取得してもよい。切替処理が行われている間には、取得部121は、位置情報及び通信情報を取得しなくてもよい。
【0038】
また、取得部121は、飛行体2が飛行する予定の飛行予定経路(各時刻における飛行予定位置等)を示す飛行予定情報を取得する。取得部121は、例えば、記憶部11に予め記憶されている飛行予定情報を取得し、又は飛行体2の飛行予定情報を保持しているその他の装置から飛行予定情報を取得する。
【0039】
また、取得部121は、飛行体2を含む領域における気象を示す気象情報を取得する。気象情報は、実測された気象を示す情報、又は予測された気象(天気予報等)を示す情報である。気象情報は、例えば、上空の各位置における風向及び風速を含む。取得部121は、例えば、記憶部11に予め記憶されている気象情報を取得し、又は気象情報を提供するその他の装置から気象情報を取得する。
【0040】
また、取得部121は、飛行体2の飛行速度を取得する。飛行速度は、飛行体2が実際に飛行した速度(所定期間の速度の平均値等)、又は飛行体2の仕様上の速度である。取得部121は、例えば、記憶部11に予め記憶されている飛行速度を取得し、又は飛行体2から飛行速度を取得する。
【0041】
また、取得部121は、記憶部11に予め記憶された電波マップを取得する。電波マップは、例えば、上空の各位置における地上通信及び衛星通信それぞれの信号の電波強度を示す情報である。電波マップは、上空の各位置における高度ごとの電波強度を示す3次元の電波マップであってもよい。電波マップは、例えば、上空の各位置における通信信号の電波強度をシミュレーションすることによって生成され、又は上空の各位置における通信信号の電波強度を実測することによって生成される。
【0042】
検知部122は、飛行中の飛行体2が行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える切替処理が行われることを検知する。図3は、切替処理が行われることを検知部122が検知する方法を説明するための模式図である。
【0043】
検知部122は、切替処理が開始されたことを検知する。検知部122は、例えば、切替処理が開始されたことを示す開始情報を飛行体2が出力したことを条件として、切替処理が開始されたことを検知する。この場合に、飛行体2は、例えば、切替処理を開始する直前に、切替処理が開始される前の通信手段である地上通信又は衛星通信を介して飛行管理サーバ1に開始情報を送信する。検知部122は、飛行体2から開始情報を受信したことを条件として、切替処理が開始されたことを検知する。
【0044】
また、検知部122は、例えば、地上通信の信号の電波強度と所定の閾値との関係が切替基準を満たしたことを条件として、切替処理が開始されたことを検知してもよい。地上通信の信号の電波強度は、取得部121が取得した電波マップが示す飛行体2の位置における電波強度、又は取得部121が取得した通信情報が示す飛行体2が受信した通信信号の電波強度である。電波マップが3次元の電波マップである場合に、検知部122は、飛行中の飛行体2の位置及び高度に対応する電波マップ上の電波強度を用いてもよい。
【0045】
飛行体2が衛星通信を行っている場合に、検知部122は、例えば、地上通信の信号の電波強度が閾値以上であることを条件として、切替処理が開始されたことを検知する。飛行体2が地上通信を行っている場合に、検知部122は、例えば、地上通信の信号の電波強度が閾値以下であることを条件として、切替処理が開始されたことを検知する。検知部122は、その他の切替基準に基づいて、切替処理が開始されたことを検知してもよい。
【0046】
切替処理が開始されると、飛行体2は切替処理が完了するまで通信できない。そして検知部122は、切替処理が完了したことを検知する。検知部122は、例えば、切替処理が完了したことを示す完了情報を飛行体2が出力したことを条件として、切替処理が完了したことを検知する。この場合に、飛行体2は、例えば、切替処理を完了した直後に、切替処理が完了した後の通信手段である地上通信又は衛星通信を介して飛行管理サーバ1に完了情報を送信する。検知部122は、飛行体2から完了情報を受信したことを条件として、切替処理が完了したことを検知する。
【0047】
特定部123は、取得部121が取得した情報に基づいて、飛行体2の位置を特定する。図4は、特定部123が飛行体2の位置を特定する方法を説明するための模式図である。
【0048】
特定部123は、切替処理が開始されたことを検知部122が検知する前に、取得部121が取得した切替前位置情報が示す位置を、切替処理が開始される前の飛行体2の位置として特定する。
【0049】
特定部123は、切替処理が開始されたことを検知部122が検知したことを条件として、切替処理が開始された後の飛行体2の飛行予定経路に基づいて、切替処理が行われている間であって、飛行体2が地上通信及び衛星通信を行うことができない間の飛行体2の位置である推定位置を推定する。特定部123は、推定位置を、飛行体2の位置として特定する。
【0050】
特定部123は、例えば、取得部121が取得した飛行予定情報が示す飛行予定経路のうち、切替処理が開始された後の飛行予定経路上のいずれかの位置を、推定位置として推定する。これにより、飛行管理システムSは、飛行体2が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える際に、飛行体2が通信できない状況になったとしても、飛行予定経路から飛行体2の位置を推定できる。
【0051】
特定部123は、切替処理が開始された後の飛行予定経路に加えて、飛行体2の飛行速度と、切替処理が行われている間の気象情報と、のうち少なくとも一方に基づいて、推定位置を推定してもよい。特定部123は、例えば、切替処理が開始されたことを検知部122が検知した時刻から現在時刻までの経過時間の間、取得部121が取得した飛行速度で飛行体2が飛行予定経路上を飛行した場合の位置を、推定位置として推定する。これにより、飛行管理システムSは、飛行体2の飛行速度を考慮して、飛行体2の位置を推定する精度を向上できる。また、特定部123は、飛行体2の飛行速度以外のスペックを、推定位置の推定に用いてもよい。
【0052】
特定部123は、取得部121が取得した切替処理が行われている間の気象情報が示す風向及び風速に応じて、推定位置の推定に用いる飛行速度を変更してもよい。特定部123は、例えば、飛行体2が進む向きに対して向かい風である場合に飛行速度を風速に対応する値だけ小さくし、追い風である場合に飛行速度を風速に対応する値だけ大きくする。これにより、飛行管理システムSは、飛行体2を含む領域における気象を考慮して、飛行体2の位置を推定する精度を向上できる。
【0053】
特定部123は、切替前位置情報が示す切替処理が開始される前の飛行体2の位置と、切替処理が開始された後の飛行予定経路と、に基づいて、推定位置を推定してもよい。特定部123は、例えば、切替処理が開始される前の飛行体2の位置と飛行予定経路とのずれを示すずれベクトルを算出し、切替処理が開始された後の飛行予定経路上の位置にずれベクトルを加えた位置を、推定位置として推定する。これにより、飛行管理システムSは、切替処理が開始される前の飛行体2の位置と飛行予定経路とのずれを考慮して、飛行体2の位置を推定する精度を向上できる。
【0054】
特定部123は、切替後位置情報が示す切替処理が完了した後の飛行体2の位置と、切替処理が開始された後の飛行予定経路と、に基づいて、推定位置を推定してもよい。特定部123は、例えば、切替処理が完了した後の飛行体2の位置と飛行予定経路とのずれを示すずれベクトルを算出し、切替処理が開始された後の飛行予定経路上の位置にずれベクトルを加えた位置を、推定位置として推定する。これにより、飛行管理システムSは、例えば切替処理が完了した後に切替処理が行われている間の飛行体2の位置を事後的に特定する場合に、切替処理が完了した後の飛行体2の位置と飛行予定経路とのずれを考慮して、飛行体2の位置を推定する精度を向上できる。
【0055】
また、特定部123は、切替前位置情報が示す切替処理が開始される前の飛行体2の位置と、切替後位置情報が示す切替処理が完了した後の飛行体2の位置と、の両方を用いて、推定位置を推定してもよい。これにより、飛行管理システムSは、飛行体2の位置を推定する精度をさらに向上できる。
【0056】
特定部123は、切替処理が完了したことを検知部122が検知した後に、取得部121が取得した切替後位置情報が示す位置を、切替処理が完了した後の飛行体の位置として特定する。
【0057】
表示制御部124は、飛行体2に関連付けられた情報端末3において、特定部123が特定した飛行体2の位置を、地図上に表示させる。情報端末3のユーザは、例えば、飛行体2を操縦する操縦者、又は飛行体2の飛行を管理する管理者である。
【0058】
表示制御部124は、特定部123が特定した飛行体2の位置を表示するための表示情報を、飛行体2に関連付けられた情報端末3に送信する。表示情報は、例えば、特定部123が特定した飛行体2の位置(座標等)と、飛行体2の位置の表示態様を示す情報と、飛行体2の飛行予定経路と、を含む情報である。表示情報が含む飛行体2の位置は、飛行体2の最新の1つの位置であってもよく、飛行体2の飛行中に特定された複数の位置であってもよい。
【0059】
図5は、表示制御部124が飛行体2の位置を情報端末3に表示させる方法を説明するための模式図である。情報端末3は、飛行管理サーバ1から受信した表示情報に従って、飛行体2の位置に対応する画像を地図上に表示する。情報端末3は、情報端末3の記憶部に予め記憶された地図を表示部に表示してもよく、飛行管理サーバ1又はその他の装置から受信した地図を表示部に表示してもよい。
【0060】
表示制御部124は、例えば、情報端末3において、飛行予定経路31と、飛行体2の位置に対応する位置画像32と、飛行体2の位置を基準としたリスク範囲33と、を地図上に重畳して表示させる。位置画像32は、飛行体2の位置に対応する地図上の位置に表示されたアイコン等の画像である。図5の例では、表示制御部124は、飛行体2の飛行中に特定された複数の位置に対応する複数の位置画像32を地図上に表示させているが、飛行体2の最新の1つの位置に対応する位置画像32のみを地図上に表示させてもよい。
【0061】
表示制御部124は、情報端末3において、切替前位置情報が示す切替処理が開始される前の飛行体2の位置に対応する位置画像32と、切替処理が行われている間の飛行体2の位置(すなわち、特定部123が推定した推定位置)に対応する位置画像32と、を異なる表示態様(色、模様、大きさ等)で地図上に表示させてもよい。また、表示制御部124は、情報端末3において、切替処理が行われている間の飛行体2の位置(すなわち、特定部123が推定した推定位置)に対応する位置画像32と、切替後位置情報が示す切替処理が完了した後の飛行体2の位置に対応する位置画像32と、を異なる表示態様(色、模様、大きさ等)で地図上に表示させてもよい。これにより、飛行管理システムSは、表示された飛行体2の位置が推定位置か否かをユーザが容易に区別可能にすることができる。
【0062】
リスク範囲33は、飛行体2に接近する可能性がある範囲である。リスク範囲33は、例えば、飛行体2の位置を中心とした所定の半径の円である。表示制御部124は、情報端末3において、切替処理が行われている間のリスク範囲33を、切替処理が開始される前又は後のリスク範囲33よりも大きくする。これにより、飛行管理システムSは、切替処理により飛行体2の実際の位置が表示されていないことを、ユーザが地図上の範囲として把握しやすくすることができる。また、表示制御部124は、気象情報又は飛行体2のスペック(大きさ等)に応じて、リスク範囲33の大きさを変更してもよい。
【0063】
切替制御部125は、所定の条件が満たされたことに応じて、飛行中の飛行体2が行う通信を、地上通信と衛星通信との間で切り替える制御をする。切替制御部125は、例えば、通信手段を地上通信と衛星通信との間で切り替えるための制御情報を地上通信又は衛星通信によって飛行体2に送信することによって、飛行体2が行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える。飛行体2は、飛行管理サーバ1から受信した制御情報に従って、通信手段を地上通信と衛星通信との間で切り替える。
【0064】
切替制御部125は、例えば、地上通信の信号の電波強度と所定の閾値との関係が切替基準を満たしたことを条件として、飛行体2が行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える制御をする。地上通信の信号の電波強度は、取得部121が取得した電波マップが示す飛行体2の位置における電波強度、又は取得部121が取得した通信情報が示す飛行体2が受信した通信信号の電波強度である。電波マップが3次元の電波マップである場合に、検知部122は、飛行中の飛行体2の位置及び高度に対応する電波マップ上の電波強度を用いてもよい。
【0065】
飛行体2が衛星通信を行っている場合に、切替制御部125は、例えば、地上通信の信号の電波強度が閾値以上であることを条件として、飛行体2が行う通信を衛星通信から地上通信に切り替える制御をする。飛行体2が地上通信を行っている場合に、切替制御部125は、例えば、地上通信の信号の電波強度が閾値以下であることを条件として、飛行体2が行う通信を地上通信から衛星通信に切り替える制御をする。検知部122は、その他の切替基準に基づいて、飛行体2が行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える制御をしてもよい。
【0066】
[情報処理方法のフロー]
図6は、本実施形態に係る飛行管理サーバ1が実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。飛行管理サーバ1において、取得部121は、飛行体2が送信した位置情報及び通信情報を取得し、送信元の飛行体2を識別するための飛行体IDと関連付けて記憶部11に記憶させる(S11)。また、取得部121は、切替処理の検知及び飛行体2の位置の表示に用いる、飛行予定情報、気象情報、飛行速度、電波マップ等の情報を取得する。
【0067】
検知部122は、飛行中の飛行体2が行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える切替処理が行われることを検知する(S12)。検知部122は、例えば、飛行体2が開始情報を出力したこと又は地上通信の信号の電波強度と所定の閾値との関係が切替基準を満たしたことに応じて、切替処理が開始されたことを検知する。また、検知部122は、例えば、飛行体2が完了情報を出力したことに応じて、切替処理が完了したことを検知する。
【0068】
特定部123は、切替処理が開始されたことを検知部122が検知した場合に(S13のYES)、切替処理が開始された後の飛行体2の飛行予定経路に基づいて、切替処理が行われている間であって、飛行体2が地上通信及び衛星通信を行うことができない間の飛行体2の位置である推定位置を推定する(S14)。特定部123は、推定位置を、飛行体2の位置として特定する。
【0069】
特定部123は、切替処理が開始されたことを検知部122が検知しなかった場合又は切替処理が完了したことを検知部122が検知した場合に(S13のNO)、飛行体2の実際の位置(例えば、取得部121が取得した切替前位置情報又は切替後位置情報が示す位置)を、飛行体2の位置として特定する(S15)。
【0070】
表示制御部124は、飛行体2に関連付けられた情報端末3において、特定部123が特定した飛行体2の位置を、地図上に表示させる(S16)。
【0071】
所定の終了条件(例えば、ユーザが終了操作を行ったこと)が満たされていない場合に(S17のNO)、飛行管理サーバ1はステップS11~S16を繰り返す。所定の終了条件が満たされた場合に(S17のYES)、飛行管理サーバ1は処理を終了する。
【0072】
[実施形態の効果]
飛行体2が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える際に通信できない時間が生じると、飛行体2は現在の位置情報を外部に送信することができない。本実施形態に係る飛行管理システムSは、飛行体2の通信手段が地上通信と衛星通信との間で切り替えられる際に、切替処理が行われている間の飛行予定経路に基づいて飛行体2の位置を特定する。これにより、飛行管理システムSは、飛行体2が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える際に、飛行体2が通信できない状況になったとしても、飛行体2の位置を特定できる。
【0073】
[第1変形例]
上述の実施形態では飛行管理サーバ1が飛行体2の位置を特定するための処理を行う情報処理装置として機能するのに対して、本変形例では飛行管理システムSが含む複数の飛行体2のいずれかが飛行体2の位置を特定するための処理を行う情報処理装置として機能する。
【0074】
この場合に、飛行体2のプロセッサは、例えば、取得部121、検知部122、特定部123、表示制御部124及び切替制御部125として機能する。本変形例に係る飛行管理システムSによれば、飛行管理サーバ1がない場合であっても、いずれかの飛行体2が飛行体2の位置を特定するための処理を行うことができる。
【0075】
[第2変形例]
上述の実施形態では飛行管理サーバ1が飛行体2の位置を特定するための処理を行う情報処理装置として機能するのに対して、本変形例では飛行管理サーバ1と飛行体2とが共同して飛行体2の位置を特定するための処理を行う情報処理装置として機能する。
【0076】
この場合に、例えば、飛行体2のプロセッサは取得部121、検知部122及び切替制御部125として機能し、飛行管理サーバ1のプロセッサは特定部123及び表示制御部124として機能する。飛行体2において、検知部122は飛行体2が行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える切替処理が行われることを検知し、その後に、飛行管理サーバ1において、飛行体2における検知結果に基づいて、特定部123は飛行体2の飛行予定経路に基づいて切替処理が行われている間の推定位置を推定し、表示制御部124は情報端末3において飛行体2の位置を地図上に表示させる。本変形例に係る飛行管理システムSによれば、処理の負荷を飛行管理サーバ1及び飛行体2に分散できる。
【0077】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0078】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0079】
飛行管理サーバ1及び飛行体2のプロセッサは、図6に示す情報処理方法に含まれる各ステップ(工程)を実行する。飛行管理サーバ1及び飛行体2のプロセッサは、例えば、図6に示す情報処理方法を実行するためのプログラムを実行することによって、図6に示す情報処理方法を実行する。図6に示す情報処理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0080】
S 飛行管理システム
1 飛行管理サーバ
11 記憶部
12 制御部
121 取得部
122 検知部
123 特定部
124 表示制御部
125 切替制御部
2 飛行体
3 情報端末
4 通信設備
5 通信衛星
図1
図2
図3
図4
図5
図6