(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】湿潤性シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20250204BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20250204BHJP
【FI】
G02C7/04
G02B1/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023198110
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2022529944の分割
【原出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-11-22
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520000722
【氏名又は名称】アルコン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ツェン,イン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,ジャン-シン
(72)【発明者】
【氏名】ドウ,ジンボ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユアン
(72)【発明者】
【氏名】グゥー,ジュンハオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,スティーブ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,リ
(72)【発明者】
【氏名】センテル,カレン・ベリンダ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,イエ
【審査官】酒井 康博
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-507908(JP,A)
【文献】特開2013-065026(JP,A)
【文献】特表2019-531515(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0355112(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
C08L 71/02
C08L 39/06
C08G 77/20
C08F 290/06
G02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートクレーブ処理後のパッケージング溶液と、その中に浸漬されたすぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズとを含む、密封されオートクレーブ滅菌されたパッケージを含む眼科用製品であって、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも25μg/レンズの高分子界面活性剤を含み、前記高分子界面活性剤が少なくとも1種の親水性ポリ(オキシエチレン)セグメントと少なくとも1種の疎水性ポリ(オキシブチレン)セグメントとを含み、11~16のHLB値及び800~20,000ダルトンの数平均分子量を有し、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのポリマーマトリックス内に物理的に分布している、眼科用製品の製造方法であって、
a)その上に
プラズマであるエネルギーによる表面処理によって得られるコーティングを有さず、前記高分子界面活性剤を含まない、予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを得る工程であって、前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、38重量%~80重量%の平衡含水率、0.2MPa~1.5MPaの弾性率、及び少なくとも50barrerの酸素透過性を有する工程、
b)前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをオートクレーブ処理前のパッケージング溶液を含む容器に入れる工程であって、前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が、6.0~8.0のpHを有する緩衝生理食塩水であり、且つ高分子界面活性剤を含み、前記高分子界面活性剤が、前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液中に、0.009重量%~0.032重量%の量で存在し、
(i) 少なくとも25μg/レンズの前記高分子界面活性剤が前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに前記オートクレーブ処理中に浸透し、次いでオートクレーブ処理後に得られるすぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのポリマーマトリックス内に拡散すること、及び
(ii) 前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズと、前記高分子界面活性剤を含まないリン酸緩衝生理食塩水中でオートクレーブ処理された予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである対照のレンズとの間のレンズ直径の差が0.20mm未満であること
を確保するように選択される工程、
c)前記容器を密封して、前記オートクレーブ処理後のパッケージング溶液中に浸漬された前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを含む密封されたパッケージを得る工程、並びに
d)前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを中に含む前記密封されたパッケージを少なくとも30分間オートクレーブ処理して、オートクレーブ処理中に、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの前記ポリマーマトリックス内に少なくとも25μg/レンズの前記高分子界面活性剤を浸透させ、物理的に分散させる工程であって、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.2μg/レンズ/24時間の量で前記高分子界面活性剤を放出する能力を有し、前記高分子界面活性剤を放出する能力が、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルの最後のサイクルで使用された抽出媒体に24時間かけて1レンズあたりの放出された前記高分子界面活性剤の量であり、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、前記密封されたパッケージから直接取り出して液滴法によって測定される75°以下の第1の静的水接触角、WCA
OOPと、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを行った直後に液滴法で測定される85°以下の第2の静的水接触角、WCA
7_S1DWとを更に有する工程
を含む眼科用製品の製造方法。
【請求項2】
前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.4μg/レンズ/24時間の量で前記高分子界面活性剤を放出する能力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高分子界面活性剤がPEO-PBOと呼ばれるジブロックコポリマー又はPEO-PBO-PEO若しくはPBO-PEO-PBOと呼ばれるトリブロックコポリマーであり、前記PEOはポリ(オキシエチレン)セグメントを表し、PBOはポリ(オキシブチレン)セグメントを表す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記高分子界面活性剤が式(S1)のジブロックコポリマーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法:
RO-(EO)
m(BO)
n-H(S1)
(式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、及びブチルからなる群から選択され;EOはエチレンオキシド-C
2H
4O-であり;BOはブチレンオキシド-C
4H
8O-であり;mは10~250の平均値を有する整数であり;nは5~125の平均値を有する整数であるが、m/nの値は2:1~10:1であることを条件とする)。
【請求項5】
前記高分子界面活性剤が式(S2)のジブロックコポリマーである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法:
【化1】
(式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、及びブチルからなる群から選択され;mは10~250の平均値を有する整数であり;nは5~125の平均値を有する整数であるが、前記m/nの値は2:1~10:1であることを条件とする)。
【請求項6】
前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも40μg/レンズの高分子界面活性剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が、さらに、少なくとも100,000ダルトンの数平均分子量を有する親水性ポリマーを0.1重量%~2重量%含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドン又はN-ビニルピロリドンと少なくとも1種のアミノ含有ビニルモノマーとのコポリマーであり、前記アミノ含有ビニルモノマーが、8~15個の炭素原子を有するアルキルアミノアルキルメタクリレート、7~15個の炭素原子を有するアルキルアミノアルキルアクリレート、8~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキルメタクリレート、7~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキルアクリレート、及び3~10個の炭素原子を有するN-ビニルアルキルアミドからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、本質的に湿潤性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、(1)少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーの繰り返し単位及び/又は少なくとも1種のポリシロキサンビニル架橋剤の繰り返し単位と、(2)少なくとも1種の親水性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含むシリコーンヒドロゲル材料からなり、前記少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーが、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基を有するビニルモノマー、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有するビニルモノマー、ポリシロキサンビニルモノマー、3-メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、t-ブチルジメチル-シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、及びトリメチルシリルメチルビニルカーボネート、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記シリコーンヒドロゲル材料が少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤の繰り返し単位を含み、前記少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤が、式(I)
【化2】
(式中、
ω1/υ1が0.035~0.15であることを条件として、υ1は、30~500の整数であり、ω1は、1~75の整数であり;
X
01は、O又はNR
Nであり、R
Nは、水素又はC
1~C
10-アルキルであり;
R
oは、水素又メチルであり;
R
I1及びR
I2は、互いに独立して、置換若しくは無置換C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであるか、又は-R
I4-O-R
I5-の二価ラジカルであり、R
I4及びR
I5は、互いに独立して、置換若しくは無置換C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであり;
R
I3は、式(Ia)~(Ie)
【化3】
のいずれか1つの一価ラジカルであり;
p1は、ゼロ又は1であり;m1は、2~4の整数であり;m2は、1~5の整数であり;m3は、3~6の整数であり;m4は、2~5の整数であり;
R
I6は、水素又はメチルであり;
R
I7は、(m2+1)の価数を有するC
2~C
6炭化水素ラジカルであり;
R
I8は、(m4+1)の価数を有するC
2~C
6炭化水素ラジカルであり;
R
I9は、エチル又はヒドロキシメチルであり;
R
I10は、メチル又はヒドロメチルであり;
R
I11は、ヒドロキシル又はメトキシであり;
X
I1は、-S-の硫黄結合又は-NR
I12-の三級アミノ結合であり、R
I12は、C
1~C
1アルキル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又は2,3-ジヒドロキシプロピルであり;
X
I2は、
【化4】
のアミド結合であり、R
I13は、水素又はC
1~C
10アルキルである)
のビニル系架橋剤を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シリコーンヒドロゲル材料が少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤の繰り返し単位を含み、前記少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤が、式(1)~(7)
【化5】
(式中、
υ1は、30~500の整数であり;
υ2は、5~50の整数であり;
υ3は、5~100の整数であり;
ω2及びω3は、互いに独立して、1~15の整数であり;
a1及びg1は、互いに独立して、ゼロ又は1であり;
h1は、1~20の整数であり、h2は、0~20の整数であり;
m1及びm3は、互いに独立して、0又は1であり、m2は、1~6の整数であり、m4は、1~5の整数であり、m5は、2又は3であり;
q1は、1~20の整数であり、q2は、0~20の整数であり、q3は、0~2の整数であり、q4は、2~50の整数であり、q5及びq6は、互いに独立して、0~35の数であるが、(q4+q5+q6)は、2~50の整数であることを条件とし;
x+yは、10~30の整数であり;
e1は、5~100の整数であり、p1及びb1は、互いに独立して、0~50の整数であるが、(p1+b1)≧1である場合、(e1+p1+b1)≧10、且つ
【数1】
であることを条件とし;
R
oは、H又はメチルであり;
R
1、R
1n、R
2n、R
3n及びR
4nは、互いに独立して、Hであるか、又は0~2つのヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキルであり;
R
n5は、H又はC
1~C
10アルキルであり;
R
2は、C
4~C
14の炭化水素二価ラジカルであり;
R
3は、C
2~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
R
4及びR
5は、互いに独立して、C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであるか、又はC
1~C
6アルキレン-オキシ-C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
R
6及びR
7は、互いに独立して、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル又はC
1~C
6アルコキシ-C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
R
8及びR
9は、互いに独立して、置換又は無置換C
1~C
12アルキレン二価ラジカルであり;
X
o、X
1’、X
o1、X
02及びX
03は、互いに独立して、O又はNR
1であり;
X
1は、O、NR
1、NHCOO、OCONH、CONR
1又はNR
1COであり;
X
o4は、-COO-又は-CONR
n5-であり;
X
o5及びX
o7は、互いに独立して、直接結合、-COO-又は-CONR
n5-であり;
X
o6は、直接結合、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、C
1~C
6アルキレンオキシ二価ラジカル、-COO-又は-CONR
n5-であり;
X
o8は、直接結合又は-COO-であり;
X
o9は、O又はNR
n5であり;
X
10は、直接結合、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、-COO-又は-CONR
n5-であり;
E
1’は、
【化6】
の一価のラジカルであり;
E
2は、
【化7】
の一価のラジカルであり;
E
3は、
【化8】
の一価のラジカルであり;
E
4は、
【化9】
の一価のラジカルであり;
L
1は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであるか、又は
【化10】
の二価のラジカルであり;
L
1’は、0又は1つのヒドロキシル基を有するC
2~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
1”は、0又は1つのヒドロキシル基を有するC
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
3は、
【化11】
の二価ラジカルであり;
PEは、
【化12】
の二価ラジカルであり;
L
3’は、C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
4は、
【化13】
の二価ラジカルであり;
hpL
1は、
【化14】
の二価ラジカルであり;
hpL
2は、
【化15】
の二価ラジカルであり;
hpL
3は、
【化16】
の二価ラジカルであり;
hpL
4は、
【化17】
の二価ラジカルであり;
pOAlkは、
【化18】
の二価ラジカルであり、
EOは、オキシエチレン単位(-CH
2CH
2O-)であり、POは、オキシプロピレン単位
【化19】
であり、BOは、オキシブチレン単位
【化20】
であり;
M
0は、C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
M
1は、C
4~C
14炭化水素二価ラジカルであり;
M
2及びM
3は、互いに独立して、C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
J
0は、0~2つのヒドロキシル基又はカルボキシル基を有するC
1~C
12炭化水素ラジカルであり;
G1は、直接結合、C
1~C
4アルキレン二価ラジカル、又は
【化21】
の二価のラジカルであり、
ここで、M
oは、Si原子に結合しており、X
04~X
10は、式(7)の-CH
2-の基に結合しており、式(7)のJ
0及びG1の少なくとも1つは、ヒドロキシル基、-OCONH-のウレタン結合、-NHR
oのアミノ基、-NH-のアミノ結合、-CONH-のアミド結合、カルボキシル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部位を含み;
G
2は、C
1~C
4アルキレン二価ラジカルであるか、又は
【化22】
の二価ラジカルであり;
G
3は、
【化23】
の二価ラジカルであり;
ここで、h3及びh4は、互いに独立して、1又は0であり;
G4は、(a)-NR
3’-(式中、R
3’は、水素又はC
1~C
3アルキルである)、
(b)
【化24】
、(c)-NR
0-G
5-NR
0-(式中、G
5は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、2-ヒドロキシルプロピレン二価ラジカル、2-(ホスホニルオキシ)プロピレン二価ラジカル、1,2-ジヒドロキシエチレン二価ラジカル、2,3-ジヒドロキシブチレン二価ラジカルである)、及び(d)-O-G
6-O-、式中、G
6は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、
【化25】
の二価ラジカル
(式中、h4’は、1又は2である)、
【化26】
の二価ラジカル、
【化27】
の二価ラジカル
(式中、h5は、1~5である)、
【化28】
の二価ラジカル
(式中、h6は、2又は3である)又はヒドロキシル基若しくはホスホニルオキシ基を有する置換C
3~C
8アルキレン二価ラジカルのいずれか1つの二価ラジカルであり;
Y
1は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、2-ヒドロキシルプロピレン二価ラジカル、2-(ホスホニルオキシ)プロピレン二価ラジカル、1,2-ジヒドロキシエチレン二価ラジカル、
【化29】
の二価ラジカル、又は
【化30】
の二価ラジカルであり;
Y
2は、
【化31】
の二価ラジカルであり;
Y
3は、
【化32】
の二価ラジカルであり;
Z
0は、直接結合又はC
1~C
12アルキレン二価ラジカルであり;
Z
1は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、ヒドロキシ若しくはメトキシ置換C
1~C
6アルキレン二価ラジカル又は置換若しくは無置換フェニレン二価ラジカルであり、
Z
2は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、ヒドロキシル若しくはメトキシ-置換C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、ジヒドロキシル若しくはジメトキシ-置換C
2~C
6アルキレン二価ラジカル、-C
2H
4-(O-C
2H
4)
m2-の二価ラジカル、-Z
4-S-S-Z
4-の二価ラジカル、ヒドロキシル-若しくはメトキシ置換C
1~C
6アルキレン二価ラジカル又は置換若しくは無置換フェニレン二価ラジカルであり、
Z
3は、(a)-NR
n3-、(b)
【化33】
、(c)-NR
0-Z
5-NR
0-、及び(d)-O-Z
6-O-のいずれか1つの二価ラジカルであり、
Z
4は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり、
Z
5は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、2-ヒドロキシルプロピレン二価ラジカル、2-(ホスホニルオキシ)プロピレン二価ラジカル、1,2-ジヒドロキシエチレン二価ラジカル、2,3-ジヒドロキシブチレン二価ラジカルであり、
Z
6は、(a)C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、(b)
【化34】
の二価ラジカル、又は(c)ヒドロキシル基又はホスホニルオキシ基を有する置換C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり、
Z
7は、
【化35】
の二価のラジカルである)
のいずれか1つのビニル系架橋剤を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記シリコーンヒドロゲル材料が少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤の繰り返し単位を含み、前記少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤が、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシ-イソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルアミドエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-プロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミド-ブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-エトキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-N-エチルアミノプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-アミノプロピル]-ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-カルボニルオキシ-エトキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-カルボニルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、又はこれらの組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーが、(1)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルキル(メタ)アクリルアミド;(2)N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるヒドロキシル含有アクリルモノマー;(3)2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-2-メチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-3-メチルブタン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチル-3,3-ジメチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸、4-(メタ)アクリルアミド-3,3-ジメチルヘキサン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるカルボキシル含有アクリルモノマー;(4)N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ含有アクリルモノマー;(5)N-ビニルピロリドン(別名N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、及びそれらの混合物からなる群から選択されるN-ビニルアミドモノマー;(6)1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメチレン含有ピロリドンモノマー;(7)C
1~C
4アルコキシエトキシ基を有し、且つエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するC
1~C
4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアクリルモノマー;(8)エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビニルエーテルモノマー;(9)エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアリルエーテルモノマー;(10)(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるホスホリルコリン含有ビニルモノマー;(11)アリルアルコール;(12)N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート;(13)N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL);(14)N-カルボキシビニル-α-アラニン;(15)又はそれらの組み合わせ;を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記シリコーンヒドロゲル材料が、(a)少なくとも1種の非シリコーン系ビニル系架橋剤の繰り返し単位、(b)少なくとも1種のブレンドビニルモノマーの繰り返し単位、並びに/又は(c)少なくとも1種のUV吸収性ビニルモノマー及び/若しくは少なくとも1種のUV/HEVL吸収性ビニルモノマーの繰り返し単位、を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記密封されオートクレーブ滅菌されたパッケージから直接取り出された、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの前記静的水接触角が、前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの静的水接触角よりも少なくとも10°小さい、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が、0.010重量%~0.030重量%の前記高分子界面活性剤を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記高分子界面活性剤が800~10,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記高分子界面活性剤が1,000~8,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記密封されたパッケージを少なくとも45分間オートクレーブ処理する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、強化された持続性の湿潤性を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平衡状態でシリコーンと一定量の水とをレンズポリマーマトリックス内に含む、水和した架橋ポリマー系材料から製造されたシリコーンヒドロゲル(SiHy)コンタクトレンズは、それらの高い酸素透過性のため角膜の健康への悪影響が最小限であるため、ますます人気が高まっている。しかしながら、シリコーンは疎水性であり、空気にさらされているレンズ表面に移動する傾向が大きいため、コンタクトレンズ材料にシリコーンを配合すると、SiHyコンタクトレンズの親水性及び湿潤性に望ましくない影響を与える場合がある。コンタクトレンズのメーカーは、親水性且つ湿潤性の表面を有するSiHyコンタクトレンズの開発に多大な努力を払ってきた。
【0003】
SiHyコンタクトレンズの親水性及び湿潤性を修正するための1つの分類の手法は、SiHyコンタクトレンズに対して成形後に表面処理を行うことである。成形後の表面処理の例としては、プラズマ処理(例えば市販のレンズである、AlconのAIR OPTIX(登録商標)、MeniconのPremiO(商標)、及びBausch&LombのPUREVISION(商標)を参照);様々なメカニズムによるSiHyコンタクトレンズへの親水性ポリマーの共有結合(例えば米国特許第6099122号明細書、同第6436481号明細書、同第6440571号明細書、同第6447920号明細書、同第6465056号明細書、同第6521352号明細書、同第6586038号明細書、同第6623747号明細書、同第6730366号明細書、同第6734321号明細書、同第6835410号明細書、同第6878399号明細書、同第6923978号明細書、同第6440571号明細書、及び同6500481号明細書、並びに米国特許出願公開第2009/0145086A1号明細書、同第2009/0145091A1号明細書、同第2008/0142038A1号明細書、及び同第2007/0122540A1号明細書を参照);レイヤー-バイ-レイヤー(LbL)ポリイオン系材料堆積技術(例えば米国特許第6451871号明細書、同第6719929号明細書、同第6793973号明細書、同第6884457号明細書、同第6896926号明細書、同第6926965号明細書、同第6940580号明細書、同第7297725号明細書、同第8044112号明細書、同第7858000号明細書、及び同第8158192号明細書を参照);SiHyコンタクトレンズ上でのLbLコーティングの架橋(例えば米国特許第8147897号明細書及び同第8142835号明細書);SiHyコンタクトレンズへの非シリコーンヒドロゲルコーティングの塗布(例えば米国特許第8480227号明細書、同第8529057号明細書、同第8939577号明細書、同第8944592号明細書、同第9239409号明細書、同第9244200号明細書、同第9411171号明細書、同第9505184号明細書、同第9507173号明細書、同第9738813号明細書、同第9816009号明細書、同第10131815号明細書、同第1022509号明細書、及び同第10308835号明細書;並びに米国特許出願公開第2019/0055427号明細書、同第2019/0179055号明細書、及び同第2019/0309188号明細書を参照)が挙げられる。
【0004】
1つの異なる手法は、米国特許第6867245号明細書、同第7268198号明細書、同第7540609号明細書、同第7572841号明細書、同第7750079号明細書、同第7934830号明細書、同第8231218号明細書、同第8367746号明細書、同第8445614号明細書、同第8481662号明細書、同第8487058号明細書、同第8513325号明細書、同第8703891号明細書、同第8820928号明細書、同第8865789号明細書、同第8937110号明細書、同第8937111号明細書、同第9057821号明細書、同第9057822号明細書、同第9121998号明細書、同第9,125,808号明細書、同第9140825号明細書、同第9140908号明細書、同第9156934号明細書、同第9164298号明細書、同第9170349号明細書、同第9188702号明細書、同第9217813号明細書、同第9296159号明細書、同第9322959号明細書、同第9322960号明細書、同第9360594号明細書、同第9529119号明細書、同第6,367,929号明細書、同第6,822,016号明細書、同第7,052,131号明細書、及び同第7,249,848号明細書、並びに米国出願公開(例えば第2018-0355112号明細書及び同第2018-0356562号明細書を参照)で提案されているように、モノマー系湿潤剤(例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミドなど)又は高分子量親水性ポリマー(例えば相互貫入ネットワーク形成のためのMw≧100,000ダルトンのポリビニルピロリドン)を、天然に湿潤性のSiHyコンタクトレンズ(すなわち成形後の表面処理なしの湿潤性SiHyレンズ)を製造するためにレンズ配合物に配合することである。Biofinity(登録商標)(CooperVision、Dk=128barrer、48%H2O)、Avaira(登録商標)(CooperVision、Dk=100barrer、46%H2O)、Clariti(登録商標)(CooperVision、Dk=60barrer、56%H2O)、MyDay(登録商標)(CooperVision、Dk=80barrer、54%H2O)、ULTRA(商標)(Bausch&Lomb、Dk=114barrer、46%H2O)、Acuvue(登録商標)Oasys(登録商標)(Johnson&Johnson、Dk約105barrer、38%H2O);Acuvue(登録商標)Advance(登録商標)(Johnson&Johnson、Dk約65Barrer、47%H2O);Acuvue(登録商標)TruEye(商標)(Johnson&Johnson、Dk約100Barrer、46%H2O);などの市販のSiHyレンズの生産プロセスで、この手法を利用することができる。この手法は、十分に親水性の表面を有する新鮮な(未使用の)SiHyレンズを提供するために市販用SiHyレンズの製造で使用され得るが、例えば重合性シリコーン成分とモノマー系湿潤剤及び他の親水性成分との非相溶性に起因するわずかに高い濁り;より高い表面シリコーン含有量;空気曝露、脱水-再水和サイクル、まぶたの剪断力、表面へのシリコーンの移動、及び/又はシリコーンの曝露の防止の部分的な失敗に起因して形成された乾燥スポット及び/又は疎水性表面積の形成しやすさ;並びに不十分な潤滑性などの複数の制限が存在する。
【0005】
米国特許第9829723号明細書には、ポリオキシエチレン-ポリオキシブチレンブロックコポリマー、及びN-ビニルピロリドンと少なくとも1種のアミノ含有ビニルモノマーとの高分子量コポリマーを含む、パッケージング溶液中に浸漬されオートクレーブ処理された、プラズマコーティングされたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをそれぞれ含む、改良されたコンタクトレンズ製品が開示されている。この特許によれば、N-ビニルピロリドンとアミノ含有ビニルモノマーとのコポリマー及びポリオキシエチレン-ポリオキシブチレンブロックコポリマーを比較的高濃度で(例えば実施例で使用される400ppm)含む緩衝生理食塩水に浸漬されているプラズマコーティングされたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのオートクレーブ処理の間に、プラズマコーティングされたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ上に比較的安定な膜を形成して、得られるプラズマコーティングされたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの改善された持続可能な湿潤性を提供することができる。
【0006】
したがって、向上した持続する表面湿潤性を有しており、且つ7日間連続して装着するのに適しているコーティングフリーのシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、及びそのようなシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを効率的に製造する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一態様では、オートクレーブ処理後のパッケージング溶液と、その中に浸漬されたすぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズとを含む、密封されオートクレーブ滅菌されたパッケージを含む眼科用製品を提供し、この中で、オートクレーブ処理後のパッケージング溶液は約6.0~約8.0のpHを有する緩衝生理食塩水であり、高分子界面活性剤を含み、高分子界面活性剤は、少なくとも1種の親水性ポリ(オキシエチレン)セグメントと少なくとも1種の疎水性ポリ(オキシブチレン)セグメントとを含み、約11~約16のHLB(親水性-親油性バランス)値及び約800~約20,000ダルトンの数平均分子量を有し、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、パッケージ内に高分子界面活性剤を含むオートクレーブ処理前のパッケージング溶液の中に、予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを配置し、密封し、オートクレーブ処理することによって得られ、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.2μg/レンズ/24時間の量で高分子界面活性剤を放出する能力を有することによって証明される、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのポリマーマトリックス内に物理的に分布している高分子界面活性剤を含み、高分子界面活性剤を放出する能力は、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルの最後のサイクルで使用された抽出媒体に24時間かけて1レンズあたりの放出された高分子界面活性剤の量であり、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、密封されたパッケージから直接取り出して液滴法によって測定される約75°以下の第1の静的水接触角、WCAOOPと、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを行った直後に液滴法で測定される約85°以下の第2の静的水接触角、WCA7_S1DWと、少なくとも50barrerの酸素透過性と、約0.2MPa~約1.5MPaの弾性率と、約38重量%~約80重量%の平衡含水率とをさらに有する。
【0008】
本発明は、別の態様では、眼科用製品を製造するための方法を提供する。本発明の方法は、a)予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをオートクレーブ処理前のパッケージング溶液を含む容器に入れて密封して、密封されたパッケージを形成する工程であって、予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、コーティングを有さず、少なくとも50barrerの酸素透過性、約0.2MPa~約1.5MPaの弾性率、及び約38重量%~約80重量%の平衡含水率を有し、オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が、約6.0~約8.0のpHを有する緩衝生理食塩水であり、且つ高分子界面活性剤を含み、高分子界面活性剤は、少なくとも1種の親水性ポリ(オキシエチレン)セグメントと少なくとも1種の疎水性ポリ(オキシブチレン)セグメントとを含み、約11~約16のHLB値及び約800~約20,000ダルトンの数平均分子量を有する工程;並びにb)予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを中に含む密封されたパッケージを少なくとも約30分間オートクレーブ処理して眼科用製品を得る工程であって、眼科用製品は、密封及びオートクレーブ処理されたパッケージ内にすぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを含み、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.2μg/レンズ/24時間の量で高分子界面活性剤を放出する能力を有することによって証明される、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのポリマーマトリックス内に物理的に分布している高分子界面活性剤を含み、且つ密封されたパッケージから直接取り出して液滴法によって測定される約75°以下の第1の静的水接触角、WCAOOPと、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを行った直後に液滴法で測定される約85°以下の第2の静的水接触角、WCA7_S1DWとを有し、高分子界面活性剤を放出する能力が、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルの最後のサイクルで使用された抽出媒体に24時間かけて1レンズあたりの放出された高分子界面活性剤の量である工程;を含む。
【0009】
本発明のこれら及び他の態様は、現時点で好ましい実施形態の以降の説明から明らかになるであろう。以下の詳細な説明は、本質的に単なる実例にすぎず、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲及びその均等物を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】コンタクトレンズの水切れ時間の測定方法の概略である。
【
図3A】本発明の好ましい実施形態による、高分子界面活性剤を含むパッケージ溶液中にパッケージングされ、オートクレーブ処理された、すぐに使用可能なSiHyレンズの断面の蛍光画像である。
【
図3B】
図3Aに示されている線に沿った断面の共焦点顕微鏡ラインスキャンの結果である。
【
図4A】
図3Aで使用されたものと同じパッケージ溶液であるがオートクレーブ処理されていない溶液にパッケージングされたSiHyレンズの断面の蛍光画像である。
【
図4B】
図4Aに示される線に沿った断面の共焦点顕微鏡ラインスキャンの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書において使用される命名法及び実験室手順は、当業者に公知であり、一般的に採用されている。それらの手順では、従来の方法、例えば当業者により実施され、各種の一般的に引用される方法が使用される。用語が単数形で与えられている場合、本発明者らは、その用語の複数形も想定している。本明細書において使用される命名法及び以下で記載される実験室手順は、当技術分野で周知であり、一般的に採用されているものである。
【0012】
本出願において、略語「SiHy」はシリコーンヒドロゲルを意味し;略語「EO」はオキシエチレン-C2H4O-を意味し;略語「BO」はオキシブチレン-C4H8O-を意味し;略語「PEO」、「PBO」、及び「PEO」は、それぞれ、ポリ(オキシエチレン)、ポリ(オキシブチレン)、及びポリ(オキシエチレン)を意味し;略語「PEG」はポリエチレングリコールを意味する。
【0013】
本出願において、本明細書で使用される「約」という用語は、「約」として言及された数が、記載されている数プラス又はマイナス記載されている数の1~10%を含むことを意味する。
【0014】
「コンタクトレンズ」とは、装着者の目上又は内に配置することができる構造体を指す。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正、改善又は変更することができるものの、そうである必要はない。コンタクトレンズは、当技術分野で公知の又は後に開発される任意の適切な材料のものであり得、それらは、ハードレンズ、硬質ガス透過性レンズ、ソフトレンズ又はハイブリッドレンズであり得る。
【0015】
「ソフトコンタクトレンズ」は、2.5MPa未満の弾性率(すなわちヤング率)を有するコンタクトレンズを指す。
【0016】
「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル系材料」は、三次元ポリマーネットワーク(すなわちポリマーマトリックス)を有し、水に不溶性であるが、完全に水和されたときにそのポリマーマトリックス中に少なくとも10重量パーセントの水を保持することができる架橋ポリマー系材料を指す。
【0017】
本出願で使用される「シリコーンヒドロゲル」又は「SiHy」という用語は、相互に言い換え可能であり、シリコーンを含むヒドロゲルを指す。シリコーンヒドロゲル(SiHy)は、典型的には、少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマー、又は少なくとも1種のシリコーン含有ビニルマクロマー、又はエチレン性不飽和基を有する少なくとも1種のシリコーン含有プレポリマーを含む重合性組成物の共重合によって得られる。
【0018】
本出願で使用される「非シリコーンヒドロゲル」又は「非SiHy」という用語は、相互に言い換え可能であり、理論上ケイ素を含まないヒドロゲルを指す。
【0019】
シロキサンは、しばしばシリコーンとも呼ばれ、-Si-O-Si-の部位、又は少なくとも1つの-Si-O-Si-の部位を有する分子を指し、各Si原子は置換基として2つの有機基を有する。
【0020】
本出願で使用される「すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズ」は、患者が直接使用できる、完全に水和されオートクレーブ滅菌されたSiHyコンタクトレンズを指す。
【0021】
本明細書で使用される「親水性」は、脂質よりも水と会合し易い材料又はその一部を表す。
【0022】
「ビニルモノマー」は、1つの唯一のエチレン性不飽和基を有し、溶媒に可溶であり、化学的又は熱的に重合することができる化合物を指す。
【0023】
本出願で使用される「エチレン性不飽和基」という用語は、本明細書では、広い意味で用いられ、少なくとも1つの>C=C<基を含む任意の基を包含することが意図されている。例示的なエチレン性不飽和基としては、限定されないが、(メタ)アクリロイル
【化1】
、アリル、ビニル、スチレニル、又は他のC=C含有基が挙げられる。
【0024】
「末端(メタ)アクリロイル基」という用語は、当業者に知られているように、有機化合物の主鎖(又は骨格)の2つの末端のうちの1つにある1つの(メタ)アクリロイル基を指す。
【0025】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、メタクリルアミド及び/又はアクリルアミドを指す。
【0026】
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。
【0027】
本明細書で使用される、重合性組成物、プレポリマー又は材料の硬化、架橋又は重合に関する「化学的に」とは、硬化(例えば、架橋及び/又は重合)が例えばUV/可視照射、電離放射線(例えば、ガンマ線又はX線照射)、マイクロ波照射などの化学線照射によって行われることを意味する。熱硬化又は化学硬化の方法は、当業者に周知である。
【0028】
本明細書で使用される「親水性ビニルモノマー」は、ホモポリマーとして、水溶性であるか又は少なくとも10重量パーセントの水を吸収することができるポリマーを典型的に生じるビニルモノマーを指す。
【0029】
本明細書で使用される「疎水性ビニルモノマー」は、ホモポリマーとして、非水溶性であるか又は10重量パーセント未満の水を吸収することができるポリマーを典型的に生じるビニルモノマーを指す。
【0030】
「ブレンドビニルモノマー」は、重合性組成物の親水性と疎水性との両方の成分を溶解して溶液を形成することができるビニルモノマーを指す。
【0031】
「アクリルモノマー」という用語は、1つの単独の(メタ)アクリロイル基を有するビニル系モノマーを指す。
【0032】
「N-ビニルアミドモノマー」とは、アミド基の窒素原子に直接結合しているビニル基
【化2】
を有するアミド化合物を指す。
【0033】
「マクロマー」又は「プレポリマー」は、エチレン性不飽和基を含み、且つ700ダルトンを超える数平均分子量を有する化合物又はポリマーを指す。
【0034】
本出願において使用される「ビニル系架橋剤」という用語は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する有機化合物を指す。「ビニル系架橋剤」は、700ダルトン以下の分子量を有するビニル系架橋剤を指す。
【0035】
本出願において使用される場合、「ポリマー」という用語は、1種若しくはそれ以上のモノマー、又はマクロマー、又はプレポリマー、又はそれらの組み合わせを重合/架橋させることにより形成される物質を意味する。
【0036】
本出願において使用されるポリマー系材料(モノマー系材料又はマクロマー系材料を含む)の「分子量」という用語は、別段の明記がない限り又は別の試験条件が示されていない限り、数平均分子量を指す。当業者は、公知の方法、例えば、屈折率検出器、低角レーザー光散乱検出器、マルチアングルレーザー光散乱検出器、示差粘度測定検出器、UV検出器、及び赤外線(IR)検出器のうちの1つ以上備えたGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー);MALDI-TOF MS(マトリックス支援脱離/イオン化飛行時間型質量分析);1H NMR(プロトン核磁気共鳴)分光法などに従ってポリマーの分子量を決定する方法を認識している。
【0037】
「ポリシロキサンセグメント」は、下記式
【化3】
(式中、R
1’及びR
2’は、C
1~C
10アルキル、C
1~C
4アルキル-若しくはC
1~C
4-アルコキシ置換フェニル、C
1~C
10フルオロアルキル、C
1~C
10フルオロエーテル、C
6~C
18アリールラジカル、-alk-(OC
2H
4)
γ1-OR
o(式中のalkは、C
1~C
6アルキルジラジカルであり、R
oは、H又はC
1~C
4アルキルであり、γ1は1~10の整数である)からなる群から独立して選択される2つの置換基であり、C
2~C
40有機ラジカルは、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、-NR
3’R
4’,-NR
3’-のアミノ結合、-CONR
3’-のアミド結合、-CONR
3’R
4’のアミド、-OCONH-のウレタン結合、及びC
1~C
4アルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有し、R
3’及びR
4’は、互いに独立して、水素又はC
1~C
15アルキルである)
を有する、それぞれ互いに独立した少なくとも3つの連続的に及び直接結合したシロキサン単位(二価ラジカル)からなるポリマー鎖を指す。
【0038】
「ポリシロキサンビニル系架橋剤」は、少なくとも1つのポリシロキサンセグメントと、少なくとも2つのエチレン性不飽和基とを含む化合物を指す。
【0039】
「直鎖ポリシロキサンビニル系架橋剤」は、少なくとも1つのポリシロキサンセグメントを含み、主鎖の2つの末端のそれぞれで1つのエチレン性不飽和基で終端する主鎖を含む化合物を指す。
【0040】
「鎖延長ポリシロキサンビニル系架橋剤」は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基と、少なくとも2つのポリシロキサンセグメントとを含み、そのそれぞれの対が1つの二価ラジカルによって連結されている化合物を指す。
【0041】
「アルキル」という用語は、直鎖状又は分岐状のアルカン化合物から水素原子を除去することにより得られる一価のラジカルを指す。アルキル基(ラジカル)は、有機化合物中で他の1つの基と1つの結合を作る。
【0042】
「アルキレン二価基」、又は「アルキレンジラジカル」、又は「アルキルジラジカル」という用語は、相互に言い換え可能であり、アルキルから1つの水素原子を除去することにより得られる二価のラジカルを指す。アルキレンの二価の基は、有機化合物中で他の基と2つの結合を形成する。
【0043】
「アルコキシ」又は「アルコキシル」という用語は、直鎖状又は分岐状のアルキルアルコールのヒドロキシル基から水素原子を除去することにより得られる一価のラジカルを指す。アルコキシ基(ラジカル)は、有機化合物中で他の1つの基と1つの結合を形成する。
【0044】
本出願で使用される「アミノ基」という用語は、式-NHR’の一級又は二級アミノ基を指し、式中、R’は、別段の明記がない限り、水素又はC1~C20無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐のアルキル基を指す。
【0045】
本出願において、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルに関する「置換された」という用語は、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルが、アルキルジラジカル又はアルキルラジカルの1つの水素原子を置き換える少なくとも1つの置換基を含み、これが、ヒドロキシ(-OH)、カルボキシ(-COOH)、-NH2、スルフヒドリル(-SH)、C1~C4アルキル、C1~C4アルコキシ、C1~C4アルキルチオ(アルキルスルフィド)、C1~C4アシルアミノ、C1~C4アルキルアミノ、ジ-C1~C4アルキルアミノ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを意味する。
【0046】
本出願において使用される「ホスホリルコリン」という用語は、
【化4】
(式中、nは、1~5の整数であり、R
1、R
2及びR
3は、互いに独立して、C
1~C
8アルキル又はC
1~C
8ヒドロキシアルキルである)
の双性イオン性の基を指す。
【0047】
フリーラジカル開始剤は、光開始剤又は熱開始剤のいずれかであり得る。「光開始剤」は、光を使用することによりフリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。「熱開始剤」は、熱エネルギーを使用することによりラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。
【0048】
材料の固有の「酸素透過性」Dkiは、酸素が材料を通過する割合である。本出願で使用される、ヒドロゲル(シリコーン又は非シリコーン)又はコンタクトレンズに関する「酸素透過性(Dk)」という用語は、補正された酸素透過性(Dkc)を意味し、これは、約34~35℃で測定され、ISO 18369-4に記載されている手順に従い、境界層効果によって引き起こされる酸素流量に対する表面抵抗について補正される。酸素透過性は、通常、barrerの単位で表され、「barrer」は、[(cm3酸素)(mm)/(cm2)(秒)(mmHg)]×10-9として定義される。
【0049】
レンズ又は材料の「酸素透過率」Dk/tは、測定される領域全体で平均厚さt[mm単位]の特定のレンズ又は材料を酸素が通過する割合である。酸素透過率は、通常、barrer/mmの単位で表され、「barrer/mm」は、[(cm3酸素)/(cm2)(秒)(mmHg)]×10-9として定義される。
【0050】
本明細書で使用される「眼に適合性を有する」とは、眼の環境に重大な損傷を与えることなく且つ使用者に著しい不快感を与えることなく、眼の環境と長期間密接に接触することができる材料又は材料の表面を指す。
【0051】
コンタクトレンズ又は材料に関する「モジュラス」又は「弾性率」という用語は、引張弾性率、すなわちヤング率を意味し、これは、張力下のコンタクトレンズ又は物質の剛性の尺度である。当業者は、好ましくは実施例1に記載の手順に従って、SiHy材料又はコンタクトレンズの弾性率を決定する方法をよく認識している。
【0052】
HLBは、両親媒性分子の親水性-親油性バランス(HLB)を表し、その値は、親水性部分の重量パーセントを5で割ることによって得られる。
【0053】
本出願では、「シミュレートされた1日装着抽出の7サイクル」又は「S1DW抽出の7サイクル」は、相互に言い換え可能であり、(a)密封されたパッケージから1~3個のすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズを取り出して拭き取り、拭き取ったすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズを、1つのバイアルの中の抽出媒体としての1.0mLの新鮮なリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(25℃でpH7.2±0.2、約0.076重量%のNaH2PO4・H2O、約0.31重量%のNa2HPO4・2H2O、及び約0.77重量%nNaClを含有)の中に入れて35℃で24時間撹拌しながら一緒に浸漬し、バイアルからのS1DW抽出の1サイクル目で使用した全てのPBSをピペットで取り出し、S1DW抽出の1サイクル目で使用したピペットで取り出されたPBSを分析すること、を含むシミュレートされた1日装着抽出の1サイクル目;並びに(b)S1DW抽出の先行するサイクルを行ったすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズが入っているバイアルの中に、抽出媒体としての1.0mLの新鮮なPBSを添加し、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズを、35℃で24時間撹拌しながら抽出媒体としての添加された1mLの新鮮なPBSの中に浸漬し、S1DW抽出のその時点のサイクルで使用した全てのPBSをバイアルからピペットで取り出し、S1DW抽出のその時点のサイクルで使用したピペットで取り出されたPBSを分析すること、をそれぞれ含むS1DW抽出の2~7サイクル目;からなる水性抽出プロセスを指す。S1DW抽出の7サイクルのそれぞれで使用される各抽出媒体は、当業者に公知の任意の方法によって、好ましくはUPLC法によって分析することができる。
【0054】
本発明によれば、1個のすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズを1.0mLの新鮮なPBSに35℃で24時間浸漬するステップは、患者が1日(8~24時間)すぐに使用可能なSiHyレンズを眼に装着することをシミュレートすることを意図している。各サイクルにおける新鮮なPBSの量は、1日あたりの目による通常の平均の涙液生成物に相当するように選択されていることを指摘する必要がある。Schirmerは、1903年の涙液分泌に関する彼の古典的な研究で、基本的な状況下で16時間の覚醒時間に生成される涙の量を0.5~0.75グラムと見積もった(Schirmer,O.Graefes Arhiv fuer Ophthalmologie 1903,56:197-291)。
【0055】
シミュレートされた1日装着抽出研究の7サイクルで使用されるすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの数は、選択した分析方法(例えばUPLC)の検出限界と24時間あたりの1レンズあたりの高分子界面活性剤の浸出量に依存することが理解される。当業者に知られているように、試験の精度及び信頼性を高めるために、より多くの数のすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズを、シミュレートされた1日装着抽出研究の7サイクルで使用することができる。
【0056】
「UVA」は、315~380ナノメートルの波長で発生する放射を指し;「UVB」は、280~315ナノメートルの範囲で発生する放射を指し;「バイオレット」は、380~440ナノメートルの波長で発生する放射を指す。
【0057】
「UVA透過率」(又は「UVA%T」)、「UVB透過率」又は「UVB%T」、及び「バイオレット透過率」又は「バイオレット%T」は、以下の式で計算される。
UVA%T=315nm~380nmの平均%透過率×100
UVB%T=280nm~315nmの平均%透過率×100
Violet%T=380nm~440nmの平均%透過率×100
【0058】
SiHyコンタクトレンズに関しての「本質的に湿潤性」又は「天然に湿潤性」という用語は、相互に言い換え可能であり、SiHyレンズ配合物を熱的又は化学的に重合(すなわち硬化)することによってSiHyコンタクトレンズを形成した後に、表面処理をせずにSiHyが約5秒以上の水切れ時間(WBUT)と約90°以下の静的液滴法による水接触角(WCAs)とを有することを意味する。本発明によれば、WBUT及びWCAsは、実施例1に記載の手順に従って測定される。
【0059】
コンタクトレンズに関しての「コーティング」は、コンタクトレンズが、その表面上に、コンタクトレンズのバルク材料とは異なる材料であってコンタクトレンズに表面処理を施すことによって得られる材料の薄層を有することを意味する。
【0060】
本明細書で使用される「表面改質」又は「表面処理」とは、物品が表面処理プロセスで処理されたことを意味し、このプロセスでは、(1)物品の表面にコーティングが設けられるか、(2)化学種が物品の表面上に吸着されるか、(3)物品の表面の化学基の化学的性質(例えば静電荷)が変更されるか、又は(4)物品の表面特性が他の方法で変更される。例示的な表面処理プロセスとしては、限定するものではないが、エネルギー(例えば、プラズマ、静電荷、照射又は他のエネルギー源)による表面処理、化学処理、物品表面上への親水性ビニルモノマー又はマクロマーのグラフト化、米国特許第6719929号明細書に開示されているモールドトランスファーコーティング、米国特許第6367929号明細書及び同第6822016号明細書で提案されているコンタクトレンズを作製するためのレンズ配合物への湿潤剤の配合、米国特許第7858000号明細書に開示されている強化モールドトランスファーコーティング並びに米国特許第8147897号明細書及び同第8409599号明細書並びに米国特許出願公開第2011/0134387号明細書、同第2012/0026457号明細書及び同第2013/0118127号明細書に開示されている1種以上の親水性ポリマーの1つ以上の層のコンタクトレンズ表面への共有結合又は物理的堆積による親水性コーティングが挙げられる。
【0061】
「硬化後表面処理」は、SiHyコンタクトレンズに関し、SiHyレンズ配合物を硬化(すなわち熱的又は化学的に重合)することによってSiHyコンタクトレンズが形成された後に行われる表面処理プロセスを意味する。「SiHyレンズ配合物」は、当業者に周知なように、SiHyコンタクトレンズ又はSiHyレンズバルク材料を製造するために必要な全ての重合性成分を含む重合性組成物を指す。
【0062】
本発明は、概して、パッケージング溶液とパッケージング溶液の中に浸漬されたすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズとを含む、密封されオートクレーブ滅菌されたレンズパッケージを含む眼科用製品に関する。パッケージング溶液は、約11~約16のHLB値と、約800~約20,000ダルトンの数平均分子量とを有する高分子界面活性剤を含む。すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズは、その上にそのような高分子界面活性剤(すなわち表面に結合しているか表面に吸着された高分子界面活性剤)を含み、レンズパッケージから直接取り出されたすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズに優れた湿潤性を提供する。レンズ表面に吸着された高分子界面活性剤の少なくともかなりの部分が、眼に挿入された直後に眼の涙液中に放出され得ると考えられる。通常の平均涙液量が6.2±2.0μLであることを考慮すると(S.Mishima et al.,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.1966,5:264-276)、涙液中の高分子界面活性剤の濃度はレンズが目に挿入された直後に非常に高くなることができ、目に優れた湿潤性を提供する。すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズは、オートクレーブ処理中にSiHyコンタクトレンズによって物理的に取り込まれ(吸収され)て、SiHyコンタクトレンズのポリマーマトリックス中に物理的に分布する浸出可能な高分子界面活性剤も含む。すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズに物理的に吸収されて分布する高分子界面活性剤は、少なくとも毎日7日間の装着で患者の目に放出され、レンズの表面に結合する高分子界面活性剤を補充し、それによってコンタクトレンズと目に持続可能な湿潤性を提供する。これら2つの機能を備えたすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズは、少なくとも1週間の装着の間患者に快適な装着を提供することができる。そのため、本発明のSiHyコンタクトレンズは、毎週使い捨て可能なコンタクトレンズとしての使用に適している。
【0063】
本発明は、比較的高い平衡含水率(少なくとも38%、好ましくは少なくとも40%)、比較的低い弾性率(例えば1.5MPa未満)、及び比較的高い酸素透過性(例えば少なくとも50Barrer)を有し、その上にコーティングがないSiHyコンタクトレンズを、高分子界面活性剤が入っているレンズパッケージの中に単にパッケージングし、オートクレーブ処理することによって、SiHyコンタクトレンズに上述した2つの望ましい特徴を持たせることができるという驚くべき発見に一部基づいており、この高分子界面活性剤は、少なくとも1種の親水性ポリ(オキシエチレン)セグメントと少なくとも1種の疎水性ポリ(オキシブチレン)セグメントとをから構成され、約11~約16のHLB値及び約800~約20,000ダルトンの数平均分子量を有し、且つレンズの直径を有意に増加させないのに十分に低い量であるがSiHyコンタクトレンズに2つの望ましい特徴を提供するのに十分である量でレンズパッケージング溶液の中に存在する。
【0064】
SiHyコンタクトレンズが少なくとも50barrerの酸素透過性を有する場合、それは、顕微鏡スケールで親水性領域と混ざり合った疎水性(すなわシリコーン)領域を有し得ると考えられている。そのような微視的な疎水性領域の数は、約11~約16のHLB値を有する多量の高分子界面活性剤を溶解させるのに十分に多いであろう。
【0065】
また、SiHyコンタクトレンズが約0.2MPa~約1.5MPaの弾性率及び約38重量%~約80重量%の平衡含水率を有する場合、それは、オートクレーブ処理及び保管中にSiHyコンタクトレンズの内部に浸透し、その後眼に装着したときにSiHyコンタクトレンズから浸出するのに十分な量の、約800~約20,000ダルトンの数平均分子量を有する高分子界面活性剤のために十分に大きいサイズの細孔を有することができるとも考えられる。
【0066】
さらに、本発明の高分子界面活性剤のユニークな固有の両親媒性のため、それを上述したSiHyコンタクトレンズの表面に物理的に付着させ、上述したSiHyコンタクトレンズのポリマーマトリックス内に物理的に分布させることができると考えられる。高分子界面活性剤の疎水性ポリ(オキシブチレン)セグメントは、レンズ表面のシリコーンパッチ及び表面のすぐ下のシリコーン並びにSiHyコンタクトレンズ内部の微視的な疎水性領域と、疎水性相互作用を有することができる。そのような疎水性-疎水性相互作用は、高分子界面活性剤がレンズ表面に物理的に結合し(表面層を形成し)、レンズに浸透するための推進力を提供する。さらに、高分子界面活性剤は、その両親媒性の性質により表面エネルギーを最小限に抑えるために、微視的な疎水性領域と親水性領域との間の界面に配置され、それによって、SiHyコンタクトレンズの内部から装着中の眼の環境への高分子界面活性剤の移動速度を低下させると考えられる。
【0067】
典型的には、水和されパッケージング溶液中にパッケージングされたコンタクトレンズは、患者に提供する前に滅菌されなければならない。製造及びパッケージング中の水和したレンズの滅菌は、典型的には、オートクレーブ処理によって行われる。オートクレーブプロセスは、コンタクトレンズのパッケージを約118℃~約125℃の温度に約20~50分間加圧下で加熱することを含む。オートクレーブ処理中に、パッケージング溶液中に存在するそのような高分子界面活性剤が、SiHyコンタクトレンズの表面に物理的に付着することができるだけでなく、SiHyコンタクトレンズのポリマーマトリックス内に分布するようにSiHyコンタクトレンズの中に深く浸透もできることが見出されている。オートクレーブ処理中の上述したSiHyコンタクトレンズへの高分子界面活性剤の浸透の効率は、少なくとも毎日7日間の装着で患者の目に放出してコンタクトレンズに持続可能な湿潤性を提供することができる、十分な量の浸出性高分子界面活性剤が取り込まれたままでありながらも、レンズパッケージング溶液中の高分子界面活性剤の濃度を下げるように、十分に高いであろう。
【0068】
疎水性相互作用(力)は温度に強く依存し、温度が高いほど、疎水性-疎水性相互作用が強くなり、高分子界面活性剤がSiHyコンタクトレンズの中に浸透(拡散)する駆動力が強くなることが知られている。オートクレーブ処理中に、パッケージング溶液中に存在する高分子界面活性剤のSiHyコンタクトレンズへの浸透が大幅に加速され、その結果、多量の高分子界面活性剤をSiHyコンタクトレンズに取り込ませることができると考えられている。
【0069】
オートクレーブプロセスは高分子界面活性剤の浸透プロセスを加速することができるものの、高分子界面活性剤がパッケージング溶液とシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズとの間の分布平衡を達成するのには依然として十分ではない場合があることを指摘する必要がある。すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズを中に含む密封されオートクレーブ処理されたレンズパッケージの室温での保管中に、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズによって取り込まれる高分子界面活性剤の量は、平衡に到達するまでの時間にわたって増加する可能性が高いと考えられる。密封されたレンズパッケージ内のパッケージング溶液に浸漬されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズによる高分子界面活性剤のそのようなオートクレーブ処理後の遅い取り込みプロセスは、より大量の高分子界面活性剤をシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズによって確実に取り込ませ、その後目に装着したときにより多くの量の高分子界面活性剤を確実に放出させるであろう。
【0070】
SiHyコンタクトレンズの製造に必要なレンズ抽出及び水和プロセス中に、得られるSiHyコンタクトレンズから高分子界面活性剤が除去される可能性が非常に高いため、本発明のSiHyコンタクトレンズは、約800~約20,000ダルトンの数平均分子量を有する高分子界面活性剤を含むSiHyレンズ配合物から調製できないことも指摘すべきである。
【0071】
本発明の方法を使用することにより、SiHyコンタクトレンズの製造において、レンズ表面への高分子界面活性剤の吸着及びレンズへの高分子界面活性剤の取り込みを、滅菌工程(オートクレーブ処理)と組み合わせることができる。得られるコンタクトレンズは、比較的高い酸素透過性、比較的高い含水量、比較的低い弾性率、及び良好な表面湿潤性などの望まれるコンタクトレンズ特性の組み合わせを有するのみならず、上述した2つの特徴も有することができる。
【0072】
本発明は、一態様では、オートクレーブ処理後のパッケージング溶液と、その中に浸漬されたすぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズとを含む、密封されオートクレーブ滅菌されたパッケージを含む眼科用製品を提供し、この中で、オートクレーブ処理後のパッケージング溶液は約6.0~約8.0(好ましくは約6.5~約7.5)のpHを有する緩衝生理食塩水であり、高分子界面活性剤を含み、高分子界面活性剤は、少なくとも1種の親水性ポリ(オキシエチレン)セグメントと少なくとも1種の疎水性ポリ(オキシブチレン)セグメントとを含み、約11~約16のHLB値及び約800~約20,000ダルトン(好ましくは約800~約10,000ダルトン、より好ましくは約1,000~約8,000ダルトン)の数平均分子量を有し、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、パッケージ内に高分子界面活性剤を含むオートクレーブ処理前のパッケージング溶液の中に、予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを配置し、密封し、オートクレーブ処理することによって得られ、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズはその上にコーティングを有さず、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.2μg/レンズ/24時間(好ましくは少なくとも0.4μg/レンズ/24時間、より好ましくは少なくとも0.6μg/レンズ/24時間、さらに好ましくは少なくとも0.8μg/レンズ/24時間、最も好ましくは少なくとも1.0μg/レンズ/24時間)の量で高分子界面活性剤を放出する能力を有することによって証明される、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのポリマーマトリックス内に物理的に分布している高分子界面活性剤を含み、高分子界面活性剤を放出する能力は、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルの最後のサイクルで使用された抽出媒体に24時間かけて1レンズあたりの放出された高分子界面活性剤の量であり、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、密封されたパッケージから直接取り出して液滴法によって測定される約75°以下(好ましくは約70°以下、より好ましくは約65°以下、さらに好ましくは約60°以下)の第1の静的水接触角、WCAOOPと、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを行った直後に液滴法で測定される約85°以下(好ましくは約80°以下、より好ましくは75°以下、さらに好ましくは70°以下)の第2の静的水接触角、WCA7_S1DWと、少なくとも50barrerの酸素透過性と、約0.2MPa~約1.5MPaの弾性率と、約38重量%~約80重量%の平衡含水率とをさらに有する。
【0073】
本発明は、別の態様では、眼科用製品を製造するための方法を提供する。本発明の方法は、a)予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをオートクレーブ処理前のパッケージング溶液を含む容器に入れて密封する工程であって、予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、コーティングを有さず、少なくとも50barrerの酸素透過性、約0.2MPa~約1.5MPaの弾性率、及び約38重量%~約80重量%の平衡含水率を有し、オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が、約6.0~約8.0のpH(好ましくは約6.5~約7.5)を有する緩衝生理食塩水であり、且つ高分子界面活性剤を含み、高分子界面活性剤は、少なくとも1種の親水性ポリ(オキシエチレン)セグメントと少なくとも1種の疎水性ポリ(オキシブチレン)セグメントとを含み、約11~約16のHLB値及び約800~約20,000ダルトン(好ましくは約800~約10,000ダルトン、より好ましくは約1,000~約8,000ダルトン)の数平均分子量を有する工程;並びにb)予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを中に含む密封されたパッケージを少なくとも約30分間オートクレーブ処理して眼科用製品を得る工程であって、眼科用製品は、密封及びオートクレーブ滅菌されたパッケージ内にすぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを含み、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.2μg/レンズ/24時間(好ましくは少なくとも0.4μg/レンズ/24時間、より好ましくは少なくとも0.6μg/レンズ/24時間、さらに好ましくは少なくとも0.8μg/レンズ/24時間、最も好ましくは少なくとも1.0μg/レンズ/24時間)の量で高分子界面活性剤を放出する能力を有することによって証明される、すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのポリマーマトリックス内に物理的に分布している高分子界面活性剤を含み、且つ密封されたパッケージから直接取り出して液滴法によって測定される約75°以下(好ましくは約70°以下、より好ましくは約65°以下、さらに好ましくは約60°以下)の第1の静的水接触角、WCAOOPと、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを行った直後に液滴法で測定される約85°以下(好ましくは約80°以下、より好ましくは75°以下、さらに好ましくは70°以下)の第2の静的水接触角、WCA7_S1DWとを有し、高分子界面活性剤を放出する能力が、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルの最後のサイクルで使用された抽出媒体に24時間かけて1レンズあたりの放出された高分子界面活性剤の量である工程;を含む。
【0074】
本発明によれば、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの第1の静的水接触角、WCAOOPは、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの表面に吸着された、及びオートクレーブ処理中のレンズ表面のすぐ下の領域に吸着された、高分子界面活性剤に由来する一方で、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの第2の静的水接触角、WCA7_S1DWは、オートクレーブ処理中にすぐに使用可能なSiHyのポリマーマトリックスに物理的に吸収されて分布した、及びシミュレートされた1日装着抽出の7サイクルの最後のサイクルの最中にレンズの内側深くの領域からレンズ表面のすぐ下の表面領域及びレンズ表面上に移動した、高分子界面活性剤に由来する。
【0075】
レンズパッケージ(又は容器)は、コンタクトレンズをオートクレーブ処理及び保管するための当業者に周知である。本発明では、任意のレンズパッケージを使用することができる。好ましくは、レンズパッケージは、ベースとカバーとを含むブリスターパッケージであり、カバーは、ベースに取り外し可能に密封され、ベースは、滅菌パッケージング溶液とコンタクトレンズとを受け入れるためのキャビティを含む。
【0076】
レンズは、個別のパッケージの中にパッケージングされ、密封され、使用者に分配される前にオートクレーブ滅菌される(例えば、約120℃以上のオートクレーブにより、加圧下で約30分間~約45分間滅菌)。当業者は、レンズパッケージの密封及びオートクレーブ滅菌の方法をよく理解するであろう。
【0077】
本発明によれば、オートクレーブ処理前又はオートクレーブ処理後のパッケージング溶液は、眼に適合性を有しており、当業者に知られているコンタクトレンズの保管に使用される任意の水性溶液である。
【0078】
本発明のオートクレーブ処理前又はオートクレーブ処理後のパッケージング溶液は、緩衝生理食塩水である。
【0079】
本出願では、「緩衝生理食塩水」という用語は、約0.15重量%~0.95重量%の1種以上の塩(例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、又当業者に公知の眼と適合性のある塩)と、生理食塩水のpHを維持するための1種以上の緩衝剤とを含む水溶液を指す。
【0080】
オートクレーブ処理前又はオートクレーブ処理後のパッケージング溶液は、パッケージング溶液のpHを約6~約8(好ましくは約6.5~約7.5)の生理学的に許容される範囲に維持するための1種以上の緩衝剤を含む。生理的に適合性のある任意の既知の緩衝剤を使用することができる。本発明によるコンタクトレンズケア組成物の構成成分としての適切な緩衝剤は、当業者に公知である。例は、ホウ酸、ホウ酸塩、例えばホウ酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸塩、例えばクエン酸カリウム、重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウム、TRIS(2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール)、Bis-Tris(ビス-(2-ヒドロキシエチル)-イミノ-トリス-(ヒドロキシメチル)-メタン)、ビス-アミノポリオール、トリエタノールアミン、ACES(N-(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3-[N-モルホリノ]-プロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)、TES(N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-2-アミノエタンスルホン酸)、その塩、リン酸緩衝液(例えばNa2HPO4、NaH2PO4及びKH2PO4)、又はそれらの混合物である。好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝液及びリン酸緩衝液である。各緩衝剤の量は、約6.5~約7.5の組成物のpHの達成に効果的であるのに必要な量である。典型的には、それは、0.001重量%~2重量%、好ましくは0.01重量%~1重量%、最も好ましくは約0.05重量%~約0.30重量%の量で存在する。
【0081】
本発明によれば、オートクレーブ処理前及びオートクレーブ処理後のパッケージング溶液は、高分子界面活性剤を含み、これは、親水性成分としての少なくとも1種のポリ(オキシエチレン)セグメントと疎水性成分としてのポリ(オキシブチレン)セグメントとを含まなければならない。これは、PEO-PBOとして示されるジブロックコポリマー、PEO-PBO-PEO又はPBO-PEO-PBOとして示されるトリブロックコポリマー、又は他のブロックタイプの構成であってよい。明示的に反対の指示がない限り、本明細書における「PEO-PBOブロックコポリマー」への全ての言及は、前述した形態の全てを含む。これらのコポリマーは、それぞれの繰り返し基に割り当てられた近似値又は平均値の観点から説明することもできる。例えば、R-(EO)20(BO)5-Hであり、オキシエチレン(EO)基の平均値は20であり、オキシブチレン(BO)基の平均値は5である。
【0082】
本発明の好ましい高分子界面活性剤は、以下の一般式のジブロックコポリマーである:
R-(EO)m(BO)n-H(S1)
(式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、及びブチルからなる群から選択され;mは10~250の平均値を有する整数であり、nは5~125の平均値を有する整数であるが、m/nの値が約2:1~約10:1、好ましくは約3:1~約6:1であることを条件とする)。
【0083】
以下の一般式のPEO-PBOジブロックコポリマーが特に好ましい:
【化5】
(式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、及びブチルからなる群から選択され;mは10~250の平均値を有する整数であり、nは5~125の平均値を有する整数であるが、m/nの値が約2:1~約10:1、好ましくは約3:1~約6:1であることを条件とする)。
【0084】
最も好ましいものは、Rがメチルであり、mの平均値が45であり、nの平均値が10である式(S2)のコポリマーである。
【0085】
本発明で利用されるPEO-PBOブロックコポリマーは、800~約10,000ダルトンの範囲、より好ましくは1,000~約8,000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0086】
本発明によれば、高分子界面活性剤の数平均分子量は、1H NMR分光法に従って決定される。ポリマーの分子量の決定における1H NMR分光法の使用は、例えばJ.U.Izunobi&C.L.Higginbotham,J.Chem.Edu.2011,88:1098-1104;S C.Shit and S.Maiti,Eur.Polym.J.1986,22:1001-1008;K.J.Liu,Makromol.Chem.1968,116:146-151;F.W.Yeager&J.W.Becker,Anal.Chem.1977,49:722-724;E.G.Brame,R.C.Ferguson,G.J.Thomas,Anal.Chem.1967,39:517-521;T.F.Page&W.E.Bresler,Anal.Chem.1964,36:1981-1985;T.Cosgrove et al.,Langmuir 2015,31:8469-8477;G.B.Shah,exPRESS Polm.Lett.2008,2:829-834;K.J.Liu,Macromecules,1968,1:213-217;K.Paulsen&D.Frasco,ThermoFisher Application Note Pub.No.AN52907_E_11/16M(2016)などの刊行物の中で報告されている。
【0087】
上述したPEO-PBOブロックコポリマーは、米国特許第8318144号明細書(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている手順に従って合成することができる。
【0088】
オートクレーブ処理前のパッケージング溶液中の高分子界面活性剤の濃度が高すぎる場合、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズは、かなりの量の高分子界面活性剤がレンズに浸透ことに起因して、レンズの直径が大幅に変化する可能性があることが見出された。本発明によれば、オートクレーブ処理前のパッケージング溶液中の高分子界面活性剤の量は、本発明による高分子界面活性剤を含むパッケージング溶液中でオートクレーブ処理されたすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズと、高分子界面活性剤を含まないリン酸緩衝生理食塩水中でオートクレーブ処理された予め形成されたSiHyコンタクトレンズである対照のレンズとの間のレンズ直径の差が、確実に約0.20mm未満(好ましくは約0.17mm、より好ましくは約0.14mm、さらに好ましくは約0.11mm)であるように、及びすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズが、少なくとも約25μg/レンズ(好ましくは少なくとも約30μg/レンズ、より好ましくは少なくとも約35μg/レンズ、さらに好ましくは少なくとも約40μg/レンズ、最も好ましくは少なくとも約50又は60又は70又は80又は90μg/レンズ)の高分子界面活性剤を確実に含むように、選択される。
【0089】
好ましい実施形態では、オートクレーブ処理前のパッケージング溶液中の高分子界面活性剤の量は、約0.005重量%~約0.038重量%(好ましくは約0.007重量%~約0.036重量%、より好ましくは約0.008重量%~0.034重量%、さらに好ましくは約0.009重量%~0.032重量%、最も好ましくは約0.010重量%~0.030重量%)である。
【0090】
本発明によれば、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズ中の高分子界面活性剤の量は、5個のすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズ中の高分子界面活性剤の量を平均することによって得られる平均値である。それぞれのすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズ中の高分子界面活性剤の量は、最初に、抽出媒体(例えば1:1のアセトン/ヘキサンの混合物)を用いて、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズから高分子界面活性剤を完全に抽出し、その後抽出媒体中の高分子界面活性剤の量を測定することによって決定される。
【0091】
オートクレーブ処理の継続時間も、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズによって取り込まれる高分子界面活性剤の量に影響を与える可能性があることも理解される。オートクレーブ処理時間が長いほど、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズに取り込まれる高分子界面活性剤の量が多くなる。
【0092】
本発明によるオートクレーブ処理前のパッケージング溶液は、好ましくは、それらが涙液と等張であるように処方される。涙液と等張性の溶液は、通常、その濃度が0.9%の塩化ナトリウム溶液の濃度(308mOsm/kg)に相当する溶液であると理解される。この濃度からの逸脱は、全体を通して可能である。
【0093】
涙液との等張性、又はさらに別の望まれる張度は、張度に影響を与える有機又は無機物質を添加することによって調整することができる。眼科的に許容される好適な等張化剤としては、限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール、プロピレングリコール、ポリオール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、及びそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、溶液の張度の大部分は、非ハロゲン化物含有電解質(例えば重炭酸ナトリウム)及び非電解質化合物からなる群から選択される1種以上の化合物によって提供される。溶液の張度は、典型的には、約200~約450ミリオスモル(mOsm)、好ましくは約250~350mOsmの範囲に調整される。
【0094】
好ましい実施形態では、オートクレーブ処理前のパッケージング溶液は、約0.1重量%~約2重量%の高分子量親水性ポリマー(すなわち、少なくとも100,000ダルトン、好ましくは少なくとも200,000ダルトンの数平均分子量を有する)を含む。好ましくは、高分子量親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、又はより好ましくは、N-ビニルピロリドンと少なくとも1種のアミノ含有ビニルモノマーとのコポリマーであり、アミノ含有ビニルモノマーは、8~15個の炭素を有するアルキルアミノアルキルメタクリレート、7~15個の炭素原子を有するアルキルアミノアルキルアクリレート、8~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキルメタクリレート、7~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノ-アルキルアクリレート、及び3~10個の炭素原子を有するN-ビニルアルキルアミドからなる群から選択される。
【0095】
本発明によれば、高分子量親水性ポリマーの数平均分子量は、以下の条件下でGPC/RI(屈折率)/LS(光散乱)法によって決定される:
【0096】
【0097】
アミノ含有ビニルモノマーの例としては、限定するものではないが、8~15個の炭素原子を有するアルキルアミノアルキルメタクリレート、7~15個の炭素原子を有するアルキルアミノアルキルメタクリレート、8~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキルメタクリレート、7~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキルアクリレート、3~10個の炭素原子を有するN-ビニルアルキルアミドが挙げられる。好ましいN-ビニルアルキルアミドの例としては、限定するものではないが、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、及びN-ビニル-N-メチルアセトアミドが挙げられる。
【0098】
好ましいコポリマーの例としては、限定するものではないが、N-ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマーが挙げられる。そのような好ましいコポリマーは市販されており、例えばISPからのCopolymer845及びCopolymer937である。
【0099】
コーティングのない予め形成されたSiHyコンタクトレンズをパッケージング及びオートクレーブ処理するためのオートクレーブ処理前のパッケージング溶液中では、高分子量親水性ポリマーは、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの静的水接触角の低減において高分子界面活性剤と相乗効果を有することができる(すなわち、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの湿潤性を改善する)と考えられる。高分子量親水性ポリマー、特にポリビニルピロリドン、又はより好ましくはN-ビニルピロリドンと少なくとも1種のアミノ含有ビニルモノマーとのコポリマーは、高分子界面活性剤の担体として機能するために、シリコーンヒドロゲルコンタクトの表面上又はその近傍で高分子界面活性剤と複合体を形成し、それによってシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのポリマーマトリックスによる高分子界面活性剤の取り込みを促進し得るとも考えられている。
【0100】
本発明のオートクレーブ処理前のパッケージング溶液は、任意選択的に、水溶性セルロース由来ポリマー、水溶性ポリビニルアルコール(PVA)、又はそれらの組み合わせであってよい増粘ポリマーを含むことができる。有用なセルロース由来のポリマーの例としては、限定するものではないが、セルロースエーテルが挙げられる。例示的な好ましいセルロースエーテルは、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、又はそれらの混合物である。より好ましくは、セルロースエーテルは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びそれらの混合物である。セルロースエーテルは、パッケージング溶液の総量を基準として、好ましくは約0.1重量%~約1重量%の量で組成物中に存在する。
【0101】
本発明によれば、オートクレーブ処理前のパッケージング溶液は、ムチン様材料、眼科的に有益な材料、及び/又は追加の界面活性剤をさらに含むことができる。
【0102】
例示的なムチン様材料としては、限定するものではないが、ポリグリコール酸及びポリラクチドが挙げられる。
【0103】
例示的な眼に有益な材料としては、限定するものではないが、2-ピロリドン-5-カルボン酸(PCA)、アミノ酸(例えばタウリン、グリシンなど)、アルファヒドロキシル酸(例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、及びクエン酸、並びにそれらの塩など)、リノール酸及びガンマリノール酸、並びにビタミン(例えばB5、A、B6など)が挙げられる。
【0104】
追加的な界面活性剤としての好ましい界面活性剤の例としては、限定するものではないが、ポロキサマー(例えばPluronic(登録商標)F108、F88、F68、F68LF、F127、F87、F77、P85、P75、P104、及びP84)、ポロアミン(例えばTetronic(登録商標)707、1107、及び1307、脂肪酸のポリエチレングリコールエステル(例えばTween(登録商標)20、Tween(登録商標)80)、C12~C18アルカンのポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンエーテル(例えばBrij(登録商標)35)、ステアリン酸ポリオキシエチレン(Myrj(登録商標)52)、ステアリン酸ポリオキシエチレンプロピレングリコール(Atlas(登録商標)G2612)、並びに商品名Mirataine(登録商標)及びMiranol(登録商標)の両性界面活性剤が挙げられる。
【0105】
本発明の全ての様々な態様によれば、本発明の予め形成されたSiHyコンタクトレンズは、任意のレンズ製造プロセスに従って製造された後、その上にコーティングを形成するための表面処理を受けていない任意のSiHyコンタクトレンズであってよい。当業者は、SiHyコンタクトレンズを作製する方法を非常によく知っている。例えば、SiHyコンタクトレンズは、例えば、米国特許第3408429号明細書に記載されているような従来の「スピンキャスティングモールド」において又は米国特許第4347198号明細書;同第5508317号明細書;同第5583163号明細書;同第5789464号明細書;及び同第5849810号明細書に記載されている静的形態での完全キャストモールドプロセス若しくはカスタマイズされたコンタクトレンズの作製に使用されるようなポリマー系材料ボタンの旋盤切削によって製造することができる。キャスト成形では、重合性組成物(すなわちSiHyレンズ配合物)は、典型的には、モールドに分注され、SiHyコンタクトレンズを製造するためにモールド内で硬化(すなわち重合及び/又は架橋)される。
【0106】
SiHyコンタクトレンズなどのコンタクトレンズを作製するためのレンズモールドは、当業者に周知であり、例えばキャストモールド又はスピンキャストに使用される。例えば、モールド(キャストモールド用)は、通常、少なくとも2つのモールド片(又は部分)又はモールド半体、すなわち第1及び第2のモールド半体を含む。第1のモールド半体は、第1の成形(又は光学)面を画定し、第2のモールド半体は、第2の成形(又は光学)面を画定する。第1及び第2のモールド半体は、第1の成形面と第2の成形面との間にレンズ形成キャビティが形成されるように、互いに受け入れられるように構成される。モールド半体の成形面は、モールドのキャビティ形成面であり、重合性組成物と直接接触する。
【0107】
コンタクトレンズをモールドキャストするためのモールド片を製造する方法は、一般的に当業者に周知である。本発明の方法は、モールドを形成する特定の方法に限定されない。実際、本発明では、モールドを形成する任意の方法を使用することができる。第1及び第2のモールド半体は、射出成形又は旋盤などの様々な手法により成形することができる。モールド半体を形成するための適切なプロセスの例は、米国特許第4444711号明細書;同第4460534号明細書;同第5843346号明細書;及び同第5894002号明細書に記載されている。
【0108】
コンタクトレンズを作製するためのモールドを作製するために、モールドを作製するための当技術分野で知られている事実上全ての材料を使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(Frankfurt,Germany and Summit,New JerseyのTicona GmbHのエチレンとノルボルネンとの透明なアモルファスコポリマー)などのポリマー系材料を使用することができる。石英ガラス及びサファイアなど、UV光の透過を可能にする他の材料を使用することもできる。
【0109】
好ましい実施形態では、再利用可能なモールドが使用され、レンズ形成組成物は、化学線の空間的制限下で化学的に硬化されて、コンタクトレンズを形成する。好ましい再利用可能なモールドの例は、米国特許第6627124号明細書、同第6800225号明細書、同第7384590号明細書及び同第7387759号明細書に開示されているものである。再利用可能なモールドは、石英、ガラス、サファイア、CaF2、環状オレフィンコポリマー(例えば、Frankfurt,Germany及びSummit,New JerseyのTicona GmbHのTopas(登録商標) COCグレード8007-S10(エチレンとノルボルネンとの透明なアモルファスコポリマー)、Zeon Chemicals LP,Louisville,KYのZeonex(登録商標)及びZeonor(登録商標))、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、DuPont(Delrin)のポリオキシメチレン、G.E.PlasticsのUltem(登録商標)(ポリエーテルイミド)、PrimoSpire(登録商標)などで作製することができる。
【0110】
本発明によれば、重合性組成物は、任意の公知の方法に従い、モールドによって形成されたキャビティに導入(分配)することができる。
【0111】
重合性組成物がモールド内に分配された後、これは、重合されてSiHyコンタクトレンズを生成する。架橋は、熱的又は化学的に、好ましくは、モールド内の重合性組成物を化学線の空間的制限に曝して重合性組成物中の重合性成分を架橋することによって開始することができる。
【0112】
成形されたSiHyコンタクトレンズをモールドから取り外すことができるようにモールドを開けることは、それ自体公知の方法で行うことができる。
【0113】
成形されたSiHyコンタクトレンズに対して、未重合の重合性成分を除去するためにレンズ抽出が行われ、次いでレンズの水和が行われる。抽出溶媒は、当業者に公知の任意の溶媒であり得る。適切な抽出溶媒の例は、以下に記載されているものである。
【0114】
予め形成されたSiHyコンタクトレンズは、任意の市販のSiHyコンタクトレンズであり得るか、又は任意の公知の方法に従って製造され得る。例えば、予め形成されたSiHyコンタクトレンズの製造では、キャスト成形若しくはスピンキャスト成形又はコンタクトレンズの旋盤切削に使用されるSiHyロッドを作製するためのSiHyレンズ配合物は、通常、当業者に周知のように、シリコーン含有ビニルモノマー、ポリシロキサンビニル系架橋剤、シリコーン含有プレポリマー、親水性ビニルモノマー、疎水性ビニルモノマー、非シリコーン系ビニル系架橋剤、フリーラジカル開始剤(光開始剤又は熱開始剤)、シリコーン含有プレポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の成分を含む。その後、得られたSiHyコンタクトレンズは、当業者に知られているように、得られたレンズから未重合成分を除去するために抽出溶媒で抽出され、水和プロセスに供され得る。加えて、予め形成されたSiHyコンタクトレンズは、カラーコンタクトレンズ(すなわち当業者に周知であるように少なくとも1つの着色パターンが上に印刷されたSiHyコンタクトレンズ)であり得る。
【0115】
本発明によれば、シリコーン含有ビニルモノマーは、当業者に公知の任意のシリコーン含有ビニルモノマーであり得る。好ましいシリコーン含有ビニルモノマーの例としては、限定するものではないが、それぞれビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有するビニルモノマー、ポリシロキサンビニルモノマー、3-メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、t-ブチルジメチル-シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート及びトリメチルシリルメチルビニルカーボネート並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0116】
式(M1)のものを含む好ましいポリシロキサンビニルモノマーは、本出願で後に記載されており、また商業的供給元(例えば、信越、Gelestなど)から入手することができ、また例えば米国特許第5070215号明細書、同第6166236号明細書、同第6867245号明細書、同第8415405号明細書、同第8475529号明細書、同第8614261号明細書及び同第9217813号明細書に記載の手順に従って調製することができ;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルオキシポリエチレングリコールをモノエポキシプロピルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができ;グリシジル(メタ)アクリレートをモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサン、モノアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン又はモノエチルアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができるか;又は当業者に周知のカップリング反応に従い、イソシアナトエチル(メタ)アクリレートをモノカルビノール末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調製することができる。
【0117】
式(M2)のものを含む、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基又はトリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基をそれぞれ有する好ましいシリコーン含有ビニルモノマーは、本出願で後に記載されており、また商業的供給元(例えば、信越、Gelestなど)から入手することができ、また例えば米国特許第5070215号明細書、同第6166236号明細書、同第7214809号明細書、同第8475529号明細書、同第8658748号明細書、同第9097840号明細書、同第9103965号明細書及び同第9475827号明細書に記載の手順に従って調製することができる。
【0118】
任意の適切なポリシロキサンビニル系架橋剤を本発明で使用することができる。好ましいポリシロキサンビニル系架橋剤の例は、ジ-(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサン;ジビニルカーボネート末端ポリジメチルシロキサン;ジビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン;N,N,N’,N’-テトラキス(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル)-アルファ,オメガ-ビス-3-アミノプロピル-ポリジメチルシロキサン;米国特許第5,760,100号明細書に記載されているマクロマーA、マクロマーB、マクロマーC及びマクロマーDからなる群から選択されるポリシロキサン含有マクロマー;米国特許第4136250号明細書、同第4153641号明細書、同第4182822号明細書、同第4189546号明細書、同第4343927号明細書、同第4254248号明細書、同第4355147号明細書、同第4276402号明細書、同第4327203号明細書、同第4341889号明細書、同第4486577号明細書、同第4543398号明細書、同第4605712号明細書、同第4661575号明細書、同第4684538号明細書、同第4703097号明細書、同第4833218号明細書、同第4837289号明細書、同第4954586号明細書、同第4954587号明細書、同第5010141号明細書、同第5034461号明細書、同第5070170号明細書、同第5079319号明細書、同第5039761号明細書、同第5346946号明細書、同第5358995号明細書、同第5387632号明細書、同第5416132号明細書、同第5451617号明細書、同第5486579号明細書、同第5962548号明細書、同第5981675号明細書、同第6039913号明細書及び同6762264号明細書に開示されているポリシロキサン含有マクロマー;米国特許第4259467号明細書、同第4260725号明細書及び同第4261875号明細書に記載されているポリシロキサン含有マクロマーである。
【0119】
好ましいポリシロキサンビニル系架橋剤の1つの分類は、ジメチルシロキサン単位と、1つのメチル置換基と2~6つのヒドロキシル基を有する1つの一価C4~C40有機ラジカル置換基とをそれぞれ有する親水化シロキサン単位と、を有するジ-(メタ)アクリロイルオキシ末端ポリシロキサンビニル系架橋剤、より好ましくは式(I)のポリシロキサンビニル系架橋剤であり、これらは、本出願で後に記載されており、また米国特許第10081697号明細書に開示されている手順に従って調製することができる。
【0120】
好ましいポリシロキサンビニル系架橋剤の別の分類は、式(1)のビニル系架橋剤であり、これは、本出願で後に記載されており、また商業的供給元から入手することができ;またグリシジル(メタ)アクリレート(メタ)アクリロイルクロリドをジアミノ末端ポリジメチルシロキサン又はジヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることによって調整することができ;イソシアナトエチル(メタ)アクリレートをジヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることにより調製することができ、カップリング剤(カルボジイミド)の存在下でアミノ含有アクリルモノマーをジカルボキシル末端ポリジメチルシロキサンと反応させることにより調製することができ;カップリング剤(カルボジイミド)の存在下でカルボキシル含有アクリルモノマーをジアミノ末端ポリジメチルシロキサンと反応させることにより調製することができるか;又はジイソシアネート又はジエポキシカップリング剤の存在下でヒドロキシル含有アクリルモノマーをジヒドロキシ末端ポリジシロキサンと反応させることによって調製することができる。
【0121】
他の分類の好ましいポリシロキサンビニル系架橋剤は、式(2)~(7)のいずれか1つの鎖延長ポリシロキサンビニル系架橋剤であり、これは、本出願で後に記載されており、米国特許第5034461号明細書、同第5416132号明細書、同第5449729号明細書、同第5760100号明細書、同第7423074号明細書、同第8529057号明細書、同第8835525号明細書、同第8993651号明細書及び同第10301451号明細書並びに米国特許出願公開第20180100038 A1号明細書に記載されている手順に従って調製することができる。
【0122】
本発明では、任意の親水性ビニルモノマーを使用することができる。好ましい親水性ビニル系モノマーの例は、アルキル(メタ)アクリルアミド(本出願で後述)、ヒドロキシル含有アクリルモノマー(本出願で後述)、アミノ含有アクリルモノマー(本出願で後述)、カルボキシル含有アクリルモノマー(本出願で後述)、N-ビニルアミドモノマー(本出願で後述)、メチレン含有ピロリドンモノマー(すなわち3-又は5-位でピロリドン環に連結したメチレン基をそれぞれ有するピロリドン誘導体)(本出願で後述)、C1~C4アルコキシエトキシ基を有するアクリルモノマー(本出願で後述)、ビニルエーテルモノマー(本出願で後述)、アリルエーテルモノマー(本出願で後述)、ホスホリルコリン含有ビニル系モノマー(本出願で後述)、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン及びこれらの組み合わせである。
【0123】
本発明によれば、任意の疎水性ビニルモノマーを本発明に含めることができる。好ましい疎水性ビニルモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル、1-ブテン、ブタジエン、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルエチル-チオ-カルボニル-アミノエチル-メタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0124】
本発明によれば、任意の非シリコーン系ビニル系架橋剤を本発明に含めることができる。好ましい非シリコーン系ビニル系架橋剤の例は、本出願で後に記載されている。
【0125】
本発明では、任意の熱重合開始剤を使用することができる。適切な熱重合開始剤は、当業者に公知であり、例えばペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アゾ-ビス(アルキル-又はシクロアルキルニトリル)、過硫酸塩、過炭酸塩又はそれらの混合物を含む。好ましい熱重合開始剤の例としては、限定するものではないが、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシド、t-アミルペルオキシベンゾエート、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチル-ジペロキシフタレート、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(Perkadox 16S)、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t-ブチルペルオキシピバレート(Lupersol 11);t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21-C50)、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO33)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩(VAZO44)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO50)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO52)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO64又はAIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(VAZO67)、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO88);2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレート)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、熱開始剤は、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN又はVAZO64)である。
【0126】
適切な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン並びにDarocur及びIrgacurタイプ、好ましくはDarocur1173(登録商標)及びDarocur2959(登録商標)、ゲルマニウム系のNorrish Type I光開始剤(例えば、米国特許第7,605,190号明細書に記載されているもの)である。ベンゾイルホスフィン開始剤の例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-ブチルフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。例えば、マクロマーに組み込むことができる反応性光開始剤又は特殊なモノマーとして使用することができる反応性光開始剤も適している。反応性光開始剤の例は、欧州特許第632329号明細書に開示されているものである。
【0127】
SiHyコンタクトレンズ配合物は、例えば、当業者に公知のUV吸収性ビニルモノマー、高エネルギー紫外光(「HEVL」)吸収性ビニルモノマー、可視性着色剤(例えば、当業者に周知の反応性染料、重合性染料、顔料、又はそれらの混合物)、抗菌剤(例えば、好ましくは銀ナノ粒子)、生物活性剤、浸出性高分子潤滑剤(例えば、非重合性親水性ポリマーなど)、浸出性涙液安定剤(例えば、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、糖脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質など)、及びそれらの混合物など、当業者に公知の他の必要な成分も含むことができる。
【0128】
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)は、当業者に知られているように、全ての重合性成分と他の必要な成分とを混合することによって調製される無溶媒の透明な液体であり得るか、又は水と水混和性の1種以上の溶媒との混合物、有機溶媒若しくは1種以上の有機溶媒の混合物などの任意の適切な溶媒中に所望の成分の全てを溶解することによって調製される溶液であり得る。「溶媒」という用語は、フリーラジカル重合反応に関与できない化学物質を指す。
【0129】
無溶媒のレンズSiHyレンズ配合物は、典型的には、無溶媒のSiHyレンズ配合物の他の全ての重合性成分を溶解するための反応性溶媒として少なくとも1種のブレンドビニルモノマーを含む。好ましいブレンドビニルモノマーの例は、本出願で後に記載されている。好ましくは、無溶媒のSiHyレンズ配合物の調製におけるブレンドビニルモノマーとしてメチルメタクリレートが使用される。
【0130】
本発明では、任意の溶媒を使用することができる。好ましい有機溶媒の例としては、限定するものではないが、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸i-プロピル、塩化メチレン、2-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール及びエキソノルボルネオール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、3-メチル-2-ブタノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、2-ノナノール、2-デカノール、3-オクタノール、ノルボルネオール、tert-ブタノール、tert-アミルアルコール、2-メチル-2-ペンタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-メチルシクロヘキサノール、2-メチル-2-ヘキサノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-クロロ-2-メチル-2-プロパノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、2-2-メチル-2-ノナノール、2-メチル-2-デカノール、3-メチル-3-ヘキサノール、3-メチル-3-ヘプタノール、4-メチル-4-ヘプタノール、3-メチル-3-オクタノール、4-メチル-4-オクタノール、3-メチル-3-ノナノール、4-メチル-4-ノナノール、3-メチル-3-オクタノール、3-エチル-3-ヘキサノール、3-メチル-3-ヘプタノール、4-エチル-4-ヘプタノール、4-プロピル-4-ヘプタノール、4-イソプロピル-4-ヘプタノール、2,4-ジメチル-2-ペンタノール、1-メチルシクロペンタノール、1-エチルシクロペンタノール、1-エチルシクロペンタノール、3-ヒドロキシ-3-メチル-1-ブテン、4-ヒドロキシ-4-メチル-1-シクロペンタノール、2-フェニル-2-プロパノール、2-メトキシ-2-メチル-2-プロパノール、2,3,4-トリメチル-3-ペンタノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、2-フェニル-2-ブタノール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及び3-エチル-3-ペンタノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0131】
多数のSiHyレンズ配合物が、本出願の出願日までに公開された多数の特許及び特許出願に記載されており、市販のSiHyコンタクトレンズの製造において使用されてきた。市販のSiHyコンタクトレンズの例としては、限定するものではないが、アスモフィルコンA、バラフィルコンA、コンフィルコンA、デレフィルコンA、エフロフィルコンA、エンフィルコンA、ファンフィルコンA、ガリフィルコンA、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB、ナラフィルコンA、ナラフィルコンB、セノフィルコンA、セノフィルコンB、セノフィルコンC、スマフィルコンA、ソモフィルコンA及びステンフィルコンAが挙げられる。
【0132】
SiHyレンズ配合物(すなわち重合性組成物)は、当業者に知られているように、好ましくはコンタクトレンズのキャスト成形用モールド内で熱的又は化学的に硬化(重合)することができる。
【0133】
熱重合は、例えば、25~120℃、好ましくは40~100℃の温度で都合よく行われる。反応時間は、広い範囲内で変動し得るが、例えば1~24時間又は好ましくは2~12時間が好都合である。重合反応に使用される成分及び溶媒を予め脱気し、不活性雰囲気下、例えば窒素又はアルゴンの雰囲気下で前記共重合反応を行うことが有利である。
【0134】
その後、化学線重合は、化学線、例えば光、特に適切な波長のUV光又は可視光によって引き起こすことができる。必要に応じて、適切な光増感剤を添加することにより、スペクトル要件を適宜制御することができる。
【0135】
特定の用語、デバイス、及び方法を使用して本発明の種々の実施形態が記載されたが、そのような記載は、例証目的のみのためのものである。使用される用語は、限定する意味よりも、むしろ説明のための用語である。当業者に明らかなように、本開示の新規な概念の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって本発明の多くの変形形態及び修正形態がなされ得る。加えて、以下に示すように、本発明の様々な実施形態の態様は、全体的又は部分的に交換され得るか、又はいずれかの様式で組み合わされ得、且つ/又は一緒に使用され得ることが理解されるべきである:
【0136】
1.オートクレーブ処理後のパッケージング溶液と、その中に浸漬されたすぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズとを含む、密封されオートクレーブ滅菌されたパッケージを含む眼科用製品であって、
前記オートクレーブ処理後のパッケージング溶液が、約6.0~約8.0のpHを有する緩衝生理食塩水であり、高分子界面活性剤を含み、前記高分子界面活性剤は、少なくとも1種の親水性ポリ(オキシエチレン)セグメントと少なくとも1種の疎水性ポリ(オキシブチレン)セグメントとを含み、約11~約16のHLB値及び約800~約20,000ダルトンの数平均分子量を有し、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、パッケージ内に前記高分子界面活性剤を含むオートクレーブ処理前のパッケージング溶液の中に、予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを配置し、密封し、オートクレーブ処理することによって得られ、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズはその上にコーティングを有さず、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.2μg/レンズ/24時間の量で前記高分子界面活性剤を放出する能力を有することによって証明される、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのポリマーマトリックス内に物理的に分布している前記高分子界面活性剤を含み、前記高分子界面活性剤を放出する能力は、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルの最後のサイクルで使用された抽出媒体に24時間かけて1レンズあたりの放出された前記高分子界面活性剤の量であり、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、前記密封されたパッケージから直接取り出して液滴法によって測定される約75°以下の第1の静的水接触角、WCA
OOPと、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを行った直後に液滴法で測定される約85°以下の第2の静的水接触角、WCA
7_S1DWと、少なくとも50barrerの酸素透過性と、約0.2MPa~約1.5MPaの弾性率と、約38重量%~約80重量%の平衡含水率とをさらに有する、眼科用製品。
2.
a)予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをオートクレーブ処理前のパッケージング溶液を含む容器に入れて密封する工程であって、前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、コーティングを有さず、少なくとも50barrerの酸素透過性、約0.2MPa~約1.5MPaの弾性率、及び約38重量%~約80重量%の平衡含水率を有し、前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が、約6.0~約8.0のpHを有する緩衝生理食塩水であり、且つ高分子界面活性剤を含み、前記高分子界面活性剤は、少なくとも1種の親水性ポリ(オキシエチレン)セグメントと少なくとも1種の疎水性ポリ(オキシブチレン)セグメントとを含み、約11~約16のHLB値及び約800~約20,000ダルトンの数平均分子量を有する工程;並びに
b)前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを中に含む前記密封されたパッケージを少なくとも約30分間オートクレーブ処理して眼科用製品を得る工程であって、前記眼科用製品は、前記密封及びオートクレーブ処理されたパッケージ内のオートクレーブ処理後のパッケージング溶液中に浸漬されたすぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを含み、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.2μg/レンズ/24時間の量で前記高分子界面活性剤を放出する能力を有することによって証明される、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの前記ポリマーマトリックス内に物理的に分布している前記高分子界面活性剤を含み、且つ前記密封されたパッケージから直接取り出して液滴法によって測定される約75°以下の第1の静的水接触角、WCA
OOPと、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを行った直後に液滴法で測定される約85°以下の第2の静的水接触角、WCA
7_S1DWとを有し、前記高分子界面活性剤を放出する能力が、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルの最後のサイクルで使用された抽出媒体に24時間かけて1レンズあたりの放出された前記高分子界面活性剤の量である工程;
を含む眼科用製品の製造方法。
3.前記高分子界面活性剤が約800~約10,000ダルトンの数平均分子量を有する、実施形態1に記載の眼科用製品又は実施形態2に記載の方法。
4.前記高分子界面活性剤が約1,000~約8,000ダルトンの数平均分子量を有する、実施形態1に記載の眼科用製品又は実施形態2に記載の方法。
5.前記オートクレーブ処理後のパッケージング溶液が約6.5~約7.5のpHを有する、実施形態1、3、又は4に記載の眼科用製品又は実施形態2~4のいずれか1つに記載の方法。
6.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、前記密封されたパッケージから直接取り出して液滴法によって測定される約70°以下のWCA
OOPを有し、任意選択的には、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを行った直後に液滴法で測定される約80°以下のWCA
7_S1DWを有する、実施形態1及び3~5のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~5のいずれか1つに記載の方法。
7.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、前記密封されたパッケージから直接取り出して液滴法によって測定される約65°以下のWCA
OOPを有し、任意選択的には、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを行った直後に液滴法で測定される約75°以下のWCA
7_S1DWを有する、実施形態1及び3~5のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~5のいずれか1つに記載の方法。
8.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、前記密封されたパッケージから直接取り出して液滴法によって測定される約60°以下のWCA
OOPを有し、任意選択的には、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを行った直後に液滴法で測定される約70°以下のWCA
7_S1DWを有する、実施形態1及び3~5のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~5のいずれか1つに記載の方法。
9.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる前記水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.4μg/レンズ/24時間の量で前記高分子界面活性剤を放出する能力を有する、実施形態1及び3~8のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~8のいずれか1つに記載の方法。
10.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる前記水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.6μg/レンズ/24時間の量で前記高分子界面活性剤を放出する能力を有する、実施形態1及び3~8のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~8のいずれか1つに記載の方法。
11.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる前記水性抽出プロセスで測定される少なくとも0.8μg/レンズ/24時間の量で前記高分子界面活性剤を放出する能力を有する、実施形態1及び3~8のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~8のいずれか1つに記載の方法。
12.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、前記シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルからなる前記水性抽出プロセスで測定される少なくとも1.0μg/レンズ/24時間の量で前記高分子界面活性剤を放出する能力を有する、実施形態1及び3~8のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~8のいずれか1つに記載の方法。
13.前記高分子界面活性剤がPEO-PBOと呼ばれるジブロックコポリマー又はPEO-PBO-PEO若しくはBO-PEO-PBOと呼ばれるトリブロックコポリマーであり、PEOはポリ(オキシエチレン)セグメントを表し、PBOはポリ(オキシブチレン)セグメントを表す、実施形態1及び3~12のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~12のいずれか1つに記載の方法。
14.前記高分子界面活性剤が式(S1)のジブロックコポリマーである、実施形態1及び3~12のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~12のいずれか1つに記載の方法
RO-(EO)
m(BO)
n-H(S1)
(式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、及びブチルからなる群から選択され;EOはエチレンオキシド-C
2H
4O-であり;BOはブチレンオキシド-C
4H
8O-であり;mは10~250の平均値を有する整数であり;nは5~125の平均値を有する整数であるが、m/nの値は約2:1~約10:1であることを条件とする)。
15.式(S1)において、前記m/nの値が約3:1~約6:1である、実施形態14に記載の眼科用製品又は方法。
16.前記高分子界面活性剤が式(S2)のジブロックコポリマーである、実施形態1及び3~12のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~12のいずれか1つに記載の方法
【化6】
(式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、及びブチルからなる群から選択され;mは10~250の平均値を有する整数であり;nは5~125の平均値を有する整数であるが、前記m/nの値は約2:1~約10:1であることを条件とする)。
17.式(S1)において、前記m/nの値が約3:1~約6:1である、実施形態16に記載の眼科用製品又は方法。
18.式(S1)においてRがメチルである、実施形態16又は17に記載の眼科用製品又は方法。
19.式(S1)において、mが45の平均値を有し、nが10の平均値を有する、実施形態16~18のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
20.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも約25μg/レンズの前記高分子界面活性剤を含む、実施形態1及び3~19のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~19のいずれか1つに記載の方法。
21.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも約30μg/レンズの前記高分子界面活性剤を含む、実施形態1及び3~19のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~19のいずれか1つに記載の方法。
22.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも約35μg/レンズの前記高分子界面活性剤を含む、実施形態1及び3~19のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~19のいずれか1つに記載の方法。
23.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも約40μg/レンズの前記高分子界面活性剤を含む、実施形態1及び3~19のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~19のいずれか1つに記載の方法。
24.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも約50μg/レンズの前記高分子界面活性剤を含む、実施形態1及び3~19のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~19のいずれか1つに記載の方法。
25.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも約60μg/レンズの前記高分子界面活性剤を含む、実施形態1及び3~19のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~19のいずれか1つに記載の方法。
26.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも約70μg/レンズの前記高分子界面活性剤を含む、実施形態1及び3~19のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~19のいずれか1つに記載の方法。
27.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも約80μg/レンズの前記高分子界面活性剤を含む、実施形態1及び3~19のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~19のいずれか1つに記載の方法。
28.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが少なくとも約90μg/レンズの前記高分子界面活性剤を含む、実施形態1及び3~19のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~19のいずれか1つに記載の方法。
29.前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が、さらに、少なくとも100,000ダルトンの数平均分子量を有する親水性ポリマーを約0.1重量%~約2重量%含む、実施形態1及び3~28のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~28のいずれか1つに記載の方法。
30.前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が、さらに、少なくとも200,000ダルトンの数平均分子量を有する親水性ポリマーを約0.1重量%~約2重量%含む、実施形態1及び3~28のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~28のいずれか1つに記載の方法。
31.前記親水性ポリマーがポリビニルピロリドンである、実施形態29又は30に記載の眼科用製品又は方法。
32.前記親水性ポリマーが、N-ビニルピロリドンと少なくとも1種のアミノ含有ビニルモノマーとのコポリマーであり、前記アミノ含有ビニルモノマーが、8~15個の炭素原子を有するアルキルアミノアルキルメタクリレート、7~15個の炭素原子を有するアルキルアミノアルキルアクリレート、8~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキルメタクリレート、7~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキルアクリレート、及び3~10個の炭素原子を有するN-ビニルアルキルアミドからなる群から選択される、実施形態29又は30に記載の眼科用製品又は方法。
33.前記アミノ含有ビニルモノマーがジメチルアミノエチルメタクリレート又はジメチルアミノエチルアクリレートである、実施形態31又は32に記載の眼科用製品又は方法。
34.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが約60~約180barrerの酸素透過性を有する、実施形態1及び3~33のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~33のいずれか1つに記載の方法。
35.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが約70~約180barrerの酸素透過性を有する、実施形態1及び3~33のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~33のいずれか1つに記載の方法。
36.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが約80~約180barrerの酸素透過性を有する、実施形態1及び3~33のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~33のいずれか1つに記載の方法。
37.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが約90~約180barrerの酸素透過性を有する、実施形態1及び3~33のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~33のいずれか1つに記載の方法。
38.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが約40重量%~約80重量%の平衡含水率を有する、実施形態1及び3~37のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~37のいずれか1つの方法。
39.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが約45重量%~約80重量%の平衡含水率を有する、実施形態1及び3~37のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~37のいずれか1つの方法。
40.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが0.3MPa~約1.3MPaの弾性率を有する、実施形態1及び3~39のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~39のいずれか1つに記載の方法。
41.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが0.4MPa~約1.2MPaの弾性率を有する、実施形態1及び3~39のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~39のいずれか1つに記載の方法。
42.前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、本質的に湿潤性のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである、実施形態1及び3~41のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~41のいずれか1つに記載の方法。
43.前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、ビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基を有するビニルモノマー、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基を有するビニルモノマー、ポリシロキサンビニルモノマー、3-メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、t-ブチルジメチル-シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、及びトリメチルシリルメチルビニルカーボネート、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーの繰り返し単位を含むシリコーンヒドロゲル材料から構成される、実施形態1及び3~42のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~42のいずれか1つに記載の方法。
44.前記少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーが、式(M1)又は(M2)
【化7】
(式中、a1は、ゼロ又は1であり;R
oは、H又はメチルであり;X
oは、O又はNR
1であり;L
1は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであるか、又は
【化8】
の二価ラジカルであり;L
1’は、0又は1つのヒドロキシル基を有するC
2~C
8アルキレン二価ラジカルであり;L
1”は、0又は1つのヒドロキシル基を有するC
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;X
1は、O、NR
1、NHCOO、OCONH、CONR
1又はNR
1COであり;R
1は、Hであるか、又は0~2つのヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキルであり;R
t1及びR
t2は、互いに独立して、C
1~C
6アルキルであり;X
1’は、O又はNR
1であり;q1は、1~30の整数であり;q2は、0~30の整数であり;n1は、3~40の整数であり;r1は、2又は3の整数である)
のビニルモノマーを含む、実施形態43に記載の眼科用製品又は方法。
45.前記少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーが、トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、[3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ]プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、[3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ]プロピルビス(トリメチルシロキシ)ブチルシラン、3-(メタ)アクリルオキシ-2-(2-ヒドロキシエトキシ)-プロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、N-[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]-(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)-プロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ))シリル)プロピルオキシ)プロピル)-2-メチルアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)シリルプロピル]-(メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N-[トリス(ジメチルエチルシロキシ)-シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)-プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ビス[2-ヒドロキシ-3-(3-(t-ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]-2-メチル(メタ)アクリルアミド、N-2-(メタ)アクリルオキシエチル-O-(メチル-ビス-トリメチルシロキシ-3-プロピル)シリルカルバメート、3-(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3-(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル-トリス(トリメチル-シロキシ)シラン、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態43又は44に記載の眼科用製品又は方法。
46.前記少なくとも1種のシリコーン含有ビニルモノマーが、α-(メタ)アクリルオキシプロピル末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(2-ヒドロキシル-メタクリロキシプロピルオキシプロピル)-ω-C
1~C
4-アルキル-デカメチルペンタシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシ-プロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルオキシプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロキシ-ブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリロキシ(ポリエチレンオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-エトキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-N-エチルアミノプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-アミノプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-(メタ)アクリロイルアミドプロピルオキシプロピル末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-N-メチル-(メタ)アクリロイルアミドプロピルオキシプロピル末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-プロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキルポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリルアミドブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-[3-(メタ)アクリロイルアミド-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキルポリジメチルシロキサン、α-[3-[N-メチル-(メタ)アクリロイルアミド]-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、N-メチル-N’-(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)(メタ)アクリルアミド、N-(2,3-ジヒドロキシプロパン)-N’-(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルアミドプロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン、α-ビニルカーボネート-末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、α-ビニルカルバメート末端ω-C
1~C
4-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、又はこれらの混合物を含む、実施形態43~45のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
47.前記シリコーンヒドロゲル材料が、少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤の繰り返し単位を含む、実施形態43~46のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
48.前記少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤が、ジ-(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサン、ジビニルカーボネート末端ポリジメチルシロキサン、ジビニルカルバメート末端ポリジメチルシロキサン;N,N,N’,N’-テトラキス(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル)-アルファ,オメガ-ビス-3-アミノプロピル-ポリジメチルシロキサン、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態47に記載の眼科用製品又は方法。
49.前記少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤が、式(I)
【化9】
(式中、
υ1/ω1が約0.035~約0.15(好ましくは約0.040~約0.12、さらに好ましくは約0.045~約0.10)であることを条件として、υ1は、30~500の整数であり、ω1は、1~75の整数であり;
X
01は、O又はNR
Nであり、R
Nは、水素又はC
1~C
10-アルキルであり;
R
oは、水素又メチルであり;
R
I1及びR
I2は、互いに独立して、置換若しくは無置換C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであるか、又は-R
I4-O-R
I5-の二価ラジカルであり、R
I4及びR
I5は、互いに独立して、置換若しくは無置換C
1~C
10アルキレン二価ラジカルであり;
R
I3は、式(Ia)~(Ie)
【化10】
のいずれか1つの一価ラジカルであり;
p1は、ゼロ又は1であり;m1は、2~4の整数であり;m2は、1~5の整数であり;m3は、3~6の整数であり;m4は、2~5の整数であり;
R
I6は、水素又はメチルであり;
R
I7は、(m2+1)の価数を有するC
2~C
6炭化水素ラジカルであり;
R
I8は、(m4+1)の価数を有するC
2~C
6炭化水素ラジカルであり;
R
I9は、エチル又はヒドロキシメチルであり;
R
I10は、メチル又はヒドロメチルであり;
R
I11は、ヒドロキシル又はメトキシであり;
X
I1は、-S-の硫黄結合又は-NR
I12-の三級アミノ結合であり、R
I12は、C
1~C
1アルキル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル又は2,3-ジヒドロキシプロピルであり;
X
I2は、
【化11】
のアミド結合であり、R
I13は、水素又はC
1~C
10アルキルである)
のビニル系架橋剤を含む、実施形態47に記載の眼科用製品又は方法。
50.前記少なくも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤が、式(1)~(7)
【化12】
(式中、
υ1は、30~500の整数であり;
υ2は、5~50の整数であり;
υ3は、5~100の整数であり;
ω2及びω3は、互いに独立して、1~15の整数であり;
a1及びg1は、互いに独立して、ゼロ又は1であり;
h1は、1~20の整数であり、h2は、0~20の整数であり;
m1及びm3は、互いに独立して、0又は1であり、m2は、1~6の整数であり、m4は、1~5の整数であり、m5は、2又は3であり;
q1は、1~20の整数であり、q2は、0~20の整数であり、q3は、0~2の整数であり、q4は、2~50の整数であり、q5及びq6は、互いに独立して、0~35の数であるが、(q4+q5+q6)は、2~50の整数であることを条件とし;
x+yは、10~30の整数であり;
e1は、5~100の整数であり、p1及びb1は、互いに独立して、0~50の整数であるが、(p1+b1)≧1である場合、(e1+p1+b1)≧10、且つ
【数1】
(好ましくは約2:1~約10:1、より好ましくは約3:1~約6:1)であることを条件とし;
R
oは、H又はメチルであり;
R
1、R
1n、R
2n、R
3n及びR
4nは、互いに独立して、Hであるか、又は0~2つのヒドロキシル基を有するC
1~C
4アルキルであり;
R
n5は、H又はC
1~C
10アルキルであり;
R
2は、C
4~C
14の炭化水素二価ラジカルであり;
R
3は、C
2~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
R
4及びR
5は、互いに独立して、C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであるか、又はC
1~C
6アルキレン-オキシ-C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
R
6及びR
7は、互いに独立して、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル又は
1~C
6アルコキシ-C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
R
8及びR
9は、互いに独立して、置換又は無置換C
1~C
12アルキレン二価ラジカルであり;
X
o、X
1’、X
o1、X
02及びX
03は、互いに独立して、O又はNR
1であり;
X
1は、O、NR
1、NHCOO、OCONH、CONR
1又はNR
1COであり;
X
o4は、-COO-又は-CONR
n5-であり;
X
o5及びX
o7は、互いに独立して、直接結合、-COO-又は-CONR
n5-であり;
X
o6は、直接結合、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、C
1~C
6アルキレンオキシ二価ラジカル、-COO-又は-CONR
n5-であり;
X
o8は、直接結合又は-COO-であり;
X
o9は、O又はNR
n5であり;
X
10は、直接結合、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、-COO-又は-CONR
n5-であり;
E
1’は、
【化13】
の一価のラジカルであり;
E
2は、
【化14】
の一価のラジカルであり;
E
3は、
【化15】
の一価のラジカルであり;
E
4は、
【化16】
の一価のラジカルであり;
L
1は、C
2~C
8アルキレン二価ラジカルであるか、又は
【化17】
の二価のラジカルであり;
L
1’は、0又は1つのヒドロキシル基を有するC
2~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
1”は、0又は1つのヒドロキシル基を有するC
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
3は、
【化18】
の二価ラジカルであり;
PEは、
【化19】
の二価ラジカルであり;
L
3’は、C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
L
4は、
【化20】
の二価ラジカルであり;
hpL
1は、
【化21】
の二価ラジカルであり;
hpL
2は、
【化22】
の二価ラジカルであり;
hpL
3は、
【化23】
の二価ラジカルであり;
hpL
4は、
【化24】
の二価ラジカルであり;
pOAlkは、
【化25】
の二価ラジカルであり、
EOは、オキシエチレン単位(-CH
2CH
2O-)であり、POは、オキシプロピレン単位(
【化26】
)であり、BOは、オキシブチレン単位(
【化27】
)であり;
M
0は、C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり;
M
1は、C
4~C
14炭化水素二価ラジカルであり;
M
2及びM
3は、互いに独立して、C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり;
J
0は、0~2つのヒドロキシル基又はカルボキシル基を有するC
1~C
12炭化水素ラジカルであり;
G1は、直接結合、C
1~C
4アルキレン二価ラジカル、又は
【化28】
の二価のラジカルであり、
ここで、M
oは、Si原子に結合しており、X
04~X
10は、式(7)の-CH
2-の基に結合しており、式(7)のJ
0及びG1の少なくとも1つは、ヒドロキシル基、-OCONH-のウレタン結合、-NHR
oのアミノ基、-NH-のアミノ結合、-CONH-のアミド結合、カルボキシル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部位を含み;
G
2は、C
1~C
4アルキレン二価ラジカルであるか、又は
【化29】
の二価ラジカルであり;
G
3は、
【化30】
の二価ラジカルであり、
h3及びh4は、互いに独立して、1又は0であり;
G4は、(a)-NR
3’-(式中、R
3’は、水素又はC
1~C
3アルキルである)、(b)
【化31】
、(c)-NR
0-G
5-NR
0-(式中、G
5は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、2-ヒドロキシルプロピレン二価ラジカル、2-(ホスホニルオキシ)プロピレン二価ラジカル、1,2-ジヒドロキシエチレン二価ラジカル、2,3-ジヒドロキシブチレン二価ラジカルである)、及び(d)-O-G
6-O-、式中、G
6は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、
【化32】
の二価ラジカル
(式中、h4’は、1又は2である)、
【化33】
の二価ラジカル、
【化34】
の二価ラジカル
(式中、h5は、1~5である)、
【化35】
の二価ラジカル
(式中、h6は、2又は3である)又はヒドロキシル基若しくはホスホニルオキシ基を有する置換C
3~C
8アルキレン二価ラジカルのいずれか1つの二価ラジカルであり;
Y
1は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、2-ヒドロキシルプロピレン二価ラジカル、2-(ホスホニルオキシ)プロピレン二価ラジカル、1,2-ジヒドロキシエチレン二価ラジカル、
【化36】
の二価ラジカル、又は
【化37】
の二価ラジカルであり;
Y
2は、
【化38】
の二価ラジカルであり;
Y
3は、
【化39】
の二価ラジカルであり;
Z
0は、直接結合又はC
1~C
12アルキレン二価ラジカルであり;
Z
1は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、ヒドロキシ若しくはメトキシ置換C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、又は置換若しくは無置換フェニレン二価ラジカルであり、
Z
2は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、ヒドロキシル若しくはメトキシ-置換C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、ジヒドロキシル若しくはジメトキシ-置換C
2~C
6アルキレン二価ラジカル、-C
2H
4-(O-C
2H
4)
m2-の二価ラジカル、-Z
4-S-S-Z
4-の二価ラジカル、ヒドロキシル-若しくはメトキシ置換C
1~C
6アルキレン二価ラジカル又は置換若しくは無置換フェニレン二価ラジカルであり、
Z
3は、(a)-NR
n3-、(b)
【化40】
、(c)-NR
0-Z
5-NR
0-、及び(d)-O-Z
6-O-のいずれか1つの二価ラジカルであり、
Z
4は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカルであり、
Z
5は、C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、2-ヒドロキシルプロピレン二価ラジカル、2-(ホスホニルオキシ)プロピレン二価ラジカル、1,2-ジヒドロキシエチレン二価ラジカル、2,3-ジヒドロキシブチレン二価ラジカルであり、
Z
6は、(a)C
1~C
6アルキレン二価ラジカル、(b)
【化41】
の二価ラジカル、又は(c)ヒドロキシル基又はホスホニルオキシ基を有する置換C
3~C
8アルキレン二価ラジカルであり、
Z
7は、
【化42】
の二価のラジカルである)
のいずれか1つのビニル系架橋剤を含む、実施形態47に記載の眼科用製品又は方法。
51.前記少なくとも1種のポリシロキサンビニル系架橋剤が、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシ-イソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドエトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドイソプロピルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルオキシブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルアミドエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-プロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミドプロピルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[3-(メタ)アクリルアミド-ブチルアミノ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-エトキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-N-エチルアミノプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-アミノプロピル]-ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-カルボニルオキシ-エトキシプロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス[(メタ)アクリルオキシエチルアミノ-カルボニルオキシ-(ポリエチレンオキシ)プロピル]-末端ポリジメチルシロキサン、又はこれらの組み合わせである、実施形態47に記載の眼科用製品又は方法。
52.前記シリコーンヒドロゲル材料が、少なくとも1種の親水性ビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態43~51のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
53.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーが、(1)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルキル(メタ)アクリルアミド;(2)N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるヒドロキシル含有アクリルモノマー;(3)2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピオン酸、5-(メタ)アクリルアミドペンタン酸、4-(メタ)アクリルアミドブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-2-メチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミド-3-メチルブタン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチル-3,3-ジメチルブタン酸、3-(メタ)アクリルアミドヘキサン酸、4-(メタ)アクリルアミド-3,3-ジメチルヘキサン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるカルボキシル含有アクリルモノマー;(4)N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルアンモニウム2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ含有アクリルモノマー;(5)N-ビニルピロリドン(別名N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、及びそれらの混合物からなる群から選択されるN-ビニルアミドモノマー;(6)1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメチレン含有ピロリドンモノマー;(7)C
1~C
4アルコキシエトキシ基を有し、且つエチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するC
1~C
4-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアクリルモノマー;(8)エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビニルエーテルモノマー;(9)エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるアリルエーテルモノマー;(10)(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるホスホリルコリン含有ビニルモノマー;(11)アリルアルコール;(12)N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート;(13)N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL);(14)N-カルボキシビニル-α-アラニン;(15)又はそれらの組み合わせ;を含む、実施形態52に記載の眼科用製品又は方法。
54.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーが、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態52又は53に記載の眼科用製品又は方法。
55.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーが、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドを含む、実施形態52~54のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
56.前記少なくとも1種の親水性ビニルモノマーが、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド材料、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態52~55のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
57.前記シリコーンヒドロゲル材料が、少なくとも1種の非シリコーン系ビニル系架橋剤の繰り返し単位を含む、実施形態43~56のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
58.前記少なくとも1種の非シリコーン系ビニル系架橋剤が、エチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、グリセロールジ-(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート、グリセロール1,3-ジグリセロレートジ-(メタ)アクリレート、エチレンビス[オキシ(2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイル)]ジ-(メタ)アクリレート、ビス[2-(メタ)アクリルオキシエチル]ホスフェート、トリメチロールプロパンジ-(メタ)アクリレート、及び3,4-ビス[(メタ)アクリロイル]テトラヒドロフラン、ジアクリルアミド、ジメタクリルアミド、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-メチルアミン、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-エチルアミン、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2-ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2,3-ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3-ビス(メタ)アクリルアミドプロパン-2-イルリン酸二水素塩、ピペラジンジアクリルアミド、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、N-アリル-メタアクリルアミド、N-アリル-アクリルアミド、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態57に記載の眼科用製品又は方法。
59.前記シリコーンヒドロゲル材料が、少なくとも1種のブレンドビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態43~58のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
60.前記少なくとも1種のブレンドビニルモノマーが、C
1~C
10アルキル(メタ)アクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、4,6-トリメチルスチレン(TMS)、t-ブチルスチレン(TBS)、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-イソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態43~58のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
61.前記少なくとも1種のブレンドビニルモノマーがメタクリル酸メチルを含む、実施形態43~58のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
62.前記シリコーンヒドロゲル材料が、少なくとも1種のUV吸収性ビニルモノマーの繰り返し単位及び/又は少なくとも1種のUV/HEVL吸収性ビニルモノマーの繰り返し単位を含む、実施形態43~61のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
63.前記シリコーンヒドロゲル材料が、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(2-メタクリロキシエチル)フェニル)]-2H-ベンゾトリアゾール(Norbloc)の繰り返し単位と、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-2H-ベンゾトリアゾール、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール(UV13)、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール(UV28)、2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(3’-アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]-5-トリフルオロメチル-2H-ベンゾトリアゾール(UV23)、又はそれらの組み合わせである少なくとも1種のUV/HEVL吸収性ビニルモノマーの繰り返し単位とを含む、実施形態43~61のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
64.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、280~315ナノメートルで約10%以下のUVB透過率、315~380ナノメートルで約30%以下のUVA透過率、及び380nm~440nmで約70%以下、好ましくは約60%以下、より好ましくは約50%以下、さらに好ましくは約40%以下のバイオレット透過率を有する、実施形態1及び3~63のいずれか1つに記載の眼科用製品若しくは方法、又は実施形態3~63のいずれか1つに記載の方法。
65.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、280~315ナノメートルで約5%以下のUVB透過率を有する、実施形態64に記載の眼科用製品又は方法。
66.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、280~315ナノメートルで約2.5%以下のUVB透過率を有する、実施形態63に記載の眼科用製品又は方法。
67.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、280~315ナノメートルで約1%以下のUVB透過率を有する、実施形態64に記載の眼科用製品又は方法。
68.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、315~380ナノメートルで約20%以下のUVA透過率を有する、実施形態64~67のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
69.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、315~380ナノメートルで約10%以下のUVA透過率を有する、実施形態64~67のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
70.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、315~380ナノメートルで約5%以下のUVA透過率を有する、実施形態64~67のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
71.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、380nm~440nmで約60%以下のバイオレット透過率を有する、実施形態64~67のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
72.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、380nm~440nmで約50%以下のバイオレット透過率を有する、実施形態64~67のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
73.前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、380nm~440nmで約40%以下のバイオレット透過率を有する、実施形態64~67のいずれか1つに記載の眼科用製品又は方法。
74.前記密封されオートクレーブ滅菌されたパッケージから直接取り出された、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの前記静的水接触角が、前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの静的水接触角よりも少なくとも10°小さい、実施形態1及び3~73のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~73のいずれか1つに記載の方法。
75.前記密封されオートクレーブ滅菌されたパッケージから直接取り出された、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの前記静的水接触角が、前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの静的水接触角よりも少なくとも15°小さい、実施形態1及び3~73のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~73のいずれか1つに記載の方法。
76.前記密封されオートクレーブ滅菌されたパッケージから直接取り出された、前記すぐに使用可能なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの前記静的水接触角が、前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの静的水接触角よりも少なくとも20°小さい、実施形態1及び3~73のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~73のいずれか1つに記載の方法。
77.前記すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズと、前記高分子界面活性剤を含まないリン酸緩衝生理食塩水中でオートクレーブ処理された予め形成されたSiHyコンタクトレンズである対照のレンズとの間のレンズ直径の差が、確実に約0.20mm未満であるように選択された量で、前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液中に前記高分子界面活性剤が存在する、実施形態1及び3~76のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~76のいずれか1つに記載の方法。
78.前記すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズと、前記高分子界面活性剤を含まないリン酸緩衝生理食塩水中でオートクレーブ処理された予め形成されたSiHyコンタクトレンズである対照のレンズとの間のレンズ直径の差が、確実に約0.17mm未満であるように選択された量で、前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液中に前記高分子界面活性剤が存在する、実施形態1及び3~76のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~76のいずれか1つに記載の方法。
79.前記すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズと、前記高分子界面活性剤を含まないリン酸緩衝生理食塩水中でオートクレーブ処理された予め形成されたSiHyコンタクトレンズである対照のレンズとの間のレンズ直径の差が、確実に約0.15mm未満であるように選択された量で、前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液中に前記高分子界面活性剤が存在する、実施形態1及び3~76のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~76のいずれか1つに記載の方法。
80.前記すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズと、前記高分子界面活性剤を含まないリン酸緩衝生理食塩水中でオートクレーブ処理された予め形成されたSiHyコンタクトレンズである対照のレンズとの間のレンズ直径の差が、確実に約0.12mm未満であるように選択された量で、前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液中に前記高分子界面活性剤が存在する、実施形態1及び3~76のいずれか1つに記載の眼科用製品又は実施形態2~76のいずれか1つに記載の方法。
81.前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が約0.005重量%~約0.038重量%の前記高分子界面活性剤を含む、実施形態2~80のいずれか1つに記載の方法又は実施形態1及び3~80のいずれか1つの眼科用製品。
82.前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が約0.007重量%~約0.036重量%の前記高分子界面活性剤を含む、実施形態2~80のいずれか1つに記載の方法又は実施形態1及び3~80のいずれか1つの眼科用製品。
83.前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が約0.008重量%~約0.034重量%の前記高分子界面活性剤を含む、実施形態2~80のいずれか1つに記載の方法又は実施形態1及び3~80のいずれか1つの眼科用製品。
84.前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が約0.009重量%~約0.032重量%の前記高分子界面活性剤を含む、実施形態2~80のいずれか1つに記載の方法又は実施形態1及び3~80のいずれか1つの眼科用製品。
85.前記オートクレーブ処理前のパッケージング溶液が約0.010重量%~約0.030重量%の前記高分子界面活性剤を含む、実施形態2~80のいずれか1つに記載の方法又は実施形態1及び3~80のいずれか1つの眼科用製品。
86.前記予め形成されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを中に含む前記密封されたパッケージが少なくとも約45分間オートクレーブ処理される、実施形態2~85のいずれか1つに記載の方法又は実施形態1及び3~85のいずれか1つの眼科用製品。
【0137】
上記本開示により、当業者が本発明を実施することが可能となる。本明細書に記載される種々の実施形態に対する種々の修正形態、変更形態及び組み合わせがなされ得る。読者が特定の実施形態及びその利点を理解することをよりよく可能にするために、以下の実施例の参照が提案される。本明細書及び実施例は、例示的であると考えられることが意図される。
【実施例】
【0138】
実施例1
酸素透過性の測定
指定がない限り、酸素透過性(Dk/t)、レンズ及びレンズ材料の固有の(又はエッジ補正された)酸素透過性(Dki又はDkc)は、ISO 18369-4に記載の手順に従って決定する。
【0139】
表面湿潤試験。
コンタクトレンズの水接触角(WCA)は、コンタクトレンズの表面湿潤性の一般的な尺度である。特に、低い水接触角は、より濡れやすい表面に対応する。コンタクトレンズの平均接触角(液滴)は、AST,Inc.,located in Boston,MassachusettsのVCA2500XE接触角測定装置を使用して測定する。この装置は、前進接触角(θa)又は後退接触角(θr)又は液滴(静的)接触角を測定することができる。別段の指定のない限り、水接触角は、コンタクトレンズの前面での液滴(静的)接触角である。測定は、完全に水和したコンタクトレンズで、拭き取り乾燥の直後に行う。その後、拭き取り乾燥したレンズを前面を上にして接触角測定台座に取り付け、メーカーが提供するソフトウェアを使用して液滴接触角を自動で測定する。水接触角の測定に使用される脱イオン水(超純水)の抵抗率は>18MΩcmであり、使用された液滴の体積は2μlである。ピンセット及び台座はイソプロパノールでよく洗浄し、コンタクトレンズと接触する前に脱イオン水ですすぎ洗いする。各静的水接触角は、左右の水接触角の平均である。コンタクトレンズを基準とした静的水接触角は、少なくとも5つのコンタクトレンズで測定された静的水接触角を平均することによって得られる平均水接触角である。
【0140】
水切れ時間(WBUT)試験
レンズの表面親水性(オートクレーブ処理後)は、水膜がレンズ表面で壊れ始めるのに要する時間を測定することによって評価する。WBUT≧5秒を示すレンズは、親水性の表面を有すると見なされ、眼に十分な湿潤性(涙液膜を支持する能力)を示すことが期待される。
【0141】
レンズは、柔らかいプラスチックのピンセット(Menicon)を用いてブリスター(又は容器)からレンズを取り出し、リン酸緩衝生理食塩水が入っているビーカーの中にレンズを入れることにより、水切れ測定のために準備する。ビーカーには、レンズごとに少なくとも20mLのリン酸緩衝生理食塩水が入っており、1つのビーカーあたり最大3個のレンズが含まれる。レンズを最低30分から最大24時間浸漬した後、柔らかいプラスチックのピンセットを用いて、新鮮なリン酸緩衝生理食塩水が入っている96ウェルのプラスチックトレイにレンズを移す。
【0142】
水切れ時間は、以下の通りに室温で測定する:生理食塩水から取り出された後にレンズがウェルの側面に触れないように注意しながら、ベースカーブが測定者に向くようにして、レンズ端部に可能な限り近くで、レンズを柔らかいプラスチックのピンセットでつまみ上げる。
図1に概略的に示されているように、レンズ(101)が1回振られて過剰の生理食塩水が除去され、タイマーが開始される。理想的には、レンズのベースカーブ面の水膜(120)は、ピンセットの先端(111)との接触点から均一な円形パターン(125)で後退する。水和領域(125)の約30%が後退したときにタイマーが停止され、この時間を水切れ時間(WBUT)として記録する。理想的な後退パターンを示さないレンズは、少なくとも30秒間再水和した後、トレイに戻し、再測定することができる。
【0143】
平衡含水率
コンタクトレンズの平衡含水率(EWC)は、以下の通りに決定する。生理食塩水で完全に平衡化された水和ヒドロゲルコンタクトレンズ中に存在する水の量(重量パーセントで表される)は、室温で測定する。レンズを迅速に積み重ね、レンズを布で拭った後、レンズのスタックを分析天びんのアルミパンに移す。各サンプルパンのレンズの数は、典型的には、5つである。パン+レンズの水和重量を記録する。パンをアルミニウムホイルで被う。パンを100±2℃の実験室用オーブンの中に入れ、16~18時間乾燥させる。パン+レンズをオーブンから取り出し、デシケーター内で少なくとも30分間冷却する。デシケーターから1つのパンを取り出し、アルミニウムホイルを捨てる。分析天びんでパン+乾燥レンズサンプルを秤量する。全てのパンについて繰り返す。レンズサンプルの湿潤重量及び乾燥重量は、空の秤量パンの重量を差し引くことで計算することができる。
【0144】
弾性率
コンタクトレンズの弾性率は、MTSインサイト装置を使用して決定する。コンタクトレンズを、最初にPrecision Conceptの2ステージカッターを使用して幅3.12mmのストリップにカットする。6.5mm以内のゲージ長で5つの厚さの値を測定する。ストリップを装置のグリップに取り付け、21±2℃に制御された温度でPBS(リン酸緩衝生理食塩水)中に沈める。典型的には、5Nのロードセルが試験に使用される。サンプルが破損するまで、一定の力及び速度をサンプルに加える。力及び変位のデータをTestWorksソフトウェアによって収集する。弾性率の値は、TestWorksソフトウェアによって計算され、これは、弾性変形領域における、ゼロの伸び近傍での応力対ひずみ曲線の傾き又は接線である。
【0145】
透過率
コンタクトレンズを、目の上に乗せたときと同じようにレンズの形状を維持できる特別に製造されたサンプルホルダーなどに手作業で配置する。次いで、このホルダーを、参照としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH約7.0~7.4)が入っている1cmの光路長の石英セルの中に浸漬する。この測定では、LabSphere DRA-CA-302ビームスプリッターなどを備えたVarian Cary 3E UV-Visible分光光度計などのUV/可視分光光度計を使用することができる。パーセント透過スペクトルは、250~800nmの波長範囲で収集され、%T値は0.5nm間隔で収集される。このデータはExcelスプレッドシートに移され、レンズがクラス1のUV吸光度に一致しているか否かを判断するために使用される。透過率は、以下の式を使用して計算される:
UVA%T=315nm~380nmの平均%透過率×100
UVB%T=280nm~315nmの平均%透過率×100
バイオレット%T=380nm~440nmの平均%透過率×100。
【0146】
水和コンタクトレンズの直径の決定
図2は、コンタクトレンズ製造業者によって通常決定される一般的なレンズ寸法を概略的に示している。一般的な寸法には、中心の厚さ(CT)(210)、前面サジタルハイト(ASag)(220)、後面サジタルハイト(PSag)(240)、ベースカーブ相当(BCE)(250)、エッジ厚さ(ET)(260)、及び直径(280)が含まれる。一般的なレンズ寸法の測定は、HeidemanaとGreivenkampinの論文(Optical Engineering 55(3),034106(March 2016))に記載されているものと同様の低コヒーレンス干渉計を使用して、ウェットセル内の完全に水和したコンタクトレンズで行うことができる。
【0147】
測定のために、リン酸緩衝生理食塩水で満たされたウェットセルの平らな底面にコンタクトレンズを固定し、モーションコントローラーを使用してレンズの幾何学的中心に低コヒーレンス干渉計を配置する。干渉計によって、異なる材料表面間の反射に基づいた材料の厚さが測定される。レンズの中心は、カメラによる測定によって決定する。
【0148】
直径は、レンズの上から見たレンズの最も外側のエッジとして定義する。エッジポイントを楕円にフィッティングし、直径は長楕円と短楕円の直径の平均として計算する。典型的には、コンタクトレンズは高度に真円の直径を有しており、円形と楕円形のフィッティングのいずれでも同様の値が得られる。ただし、レンズがわずかに真円から外れている場合には、円よりも楕円がコンタクトレンズの直径の形状をより正確に表す。コンタクトレンズの単一のバッチからの3~10個のコンタクトレンズのレンズ直径を測定し、平均化して、そのバッチのコンタクトレンズの平均レンズ直径を得る。
【0149】
シミュレートされた1日装着抽出の7サイクル
シミュレートされた1日装着抽出の7サイクル(S1DW抽出)は、以下の通りに行う。S1DW抽出の1サイクル目では、1~3個のすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズを密封されたパッケージから取り出し、拭き取る。全ての拭き取ったすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズを、35℃の水浴の中で24時間振とうされながら保持されている1つのバイアルの中で、抽出媒体としての1.0mLの新鮮なリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に一緒に浸漬する。次いで、S1DW抽出の1サイクル目で使用した全てのPBSをバイアルからピペットで取り出し、後のUPLC(超高速液体クロマトグラフィー)分析のために保存する。S1DW抽出の2回目から7回目のサイクルでは、抽出媒体としての1.0mLのフリーのPBSを、S1DW抽出の先行するサイクルが行われたすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズが入っているバイアルに添加する。すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズを、35℃の水浴の中で24時間振とうされながら保持されているバイアルの中で、添加された1.0mLの新鮮PBSに一緒に浸漬する。その後、S1DW抽出のその時点のサイクルで使用された全てのPBSをバイアルからピペットで取り出し、後のUPLC分析のために保存する。
【0150】
化学物質
以下の実施例では、以下の略語が使用される:TFAはトリフルオロ酢酸を表し:UPWは、>18MΩcmの抵抗率を有する超純水を表し:UPLCは超高性能液体クロマトグラフィーを表し:NVPはN-ビニルピロリドンを表し;MMAはメタクリル酸メチルを表し;TEGDMAはトリエチレングリコールジメタクリレートを表し;VAZO 64は2,2’-ジメチル-2,2’アゾジプロピオノニトリルを表し;NoblocはAldrichの2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレートを表し;UV28は、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾールを表し;RB247はReactive Blue247を表し;TAAはtert-アミルアルコールを表し;PrOHは1-プロパノールを表し;IPAはイソプロパノールを表し;PBSは、25℃で7.2±0.2のpHを有し、且つ約0.077重量%のNaH
2PO
4・H
2Oと、約0.31重量%のNa
2HPO
4・2H
2Oと、約0.77重量%のNaClとを含むリン酸緩衝生理食塩水を表し;重量%は重量パーセントを表し;D9は、モノブチル末端モノメタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Shin-EtsuからのMw約984g/mol)を表し;「G4」マクロマーは、式(A)のジメタクリロイルオキシプロピル末端ポリシロキサン(Mn約13.5Kg/mol、OH含有量約1.8meq/g)を表す。
【化43】
【0151】
実施例2
重合性組成物の調製
レンズ配合物(重合性組成物)、I~IVは、表1に示す組成(単位:部)を有するように調製される。
【0152】
【0153】
配合物は、記載の成分をそれらの目標量で清浄な瓶内に入れ、撹拌子を用いて室温において30分間600rpmで混合することによって調製する。全ての固形物が溶解した後、2.7μmのグラスマイクロファイバーフィルターを使用することにより、配合物の濾過を行う。
【0154】
キャストモールドされたSiHyコンタクトレンズ
レンズ配合物を、室温で30~35分間窒素でパージする。N2パージしたレンズ配合物をポリプロピレン製モールド内に入れ、以下の硬化条件下でオーブン内で熱硬化させる:室温から第1の温度まで昇温し、次いで第1の温度で第1の硬化時間保持;第1の温度から第2の温度まで昇温し、第2の温度で第2の硬化時間保持;任意選択的に、第2の温度から第3の温度まで昇温し、第3の温度で第3の硬化時間保持;及び任意選択的に、第3の温度から第4の温度まで昇温し、第4の温度で第4の硬化時間保持。
【0155】
レンズモールドは、プッシュピン付きの離型機を使用して開ける。レンズを、プッシュピンでベースカーブモールドに押し込み、次いでモールドをベースカーブハーフモールドとフロントカーブハーフモールドとに分ける。上にレンズを有するベースカーブハーフモールドを、超音波装置(例えばDukaneのシングルホーン超音波装置)の中に入れる。一定のエネルギー力で、乾いた状態のレンズをモールドから取り出す。乾燥状態のレンズを、設計された抽出トレイに入れる。或いは、レンズは、浮き上がることによって(すなわち超音波なしで、有機溶媒、例えばIPAに浸漬することによって)、ベースカーブハーフモールドから取り出すことができる。
【0156】
モールドから取り出した後、キャストモールドされたSiHyコンタクトレンズをPrOHで180分間抽出してレンズを抽出し、水(55/45)で約25分間すすぎ洗いし、PB(約0.077重量%のNaH2PO4・H2O及び約0.31重量%のNa2HPO4・2H2Oを含むリン酸緩衝液)で約50~60分間すすぎ洗いし、その後、以下の実施例に記載されるように、0.65mLのパッケージング溶液と共にポリプロピレン(PP)レンズパッケージングシェル(ブリスター)に包装/密封する。密封されたレンズパッケージを、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。得られるSiHyコンタクトレンズは、手順に従って以下の特性を有すると特性評価される:Dkc約105barrer~118barrer;EWC約54%~57%;弾性率約0.45MPa~0.62MPa;WBUT約23秒~40秒;キャプティブバブルによる水接触角約47°~52°、摩擦等級約2.0。
【0157】
後続の実施例では、別段の指定がない限り、配合物IVから作製したSiHyコンタクトレンズを使用する。
【0158】
実施例3
パッケージング溶液の調製
Copolymer 845は、N-ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー(ポリエチレンオキシド標準に対してGPCでMw約700,000~1,200,000g/mol、Mw/Mn約5.7~8.5)であり、ISPから入手する。
【0159】
Rがメチルであり、mの平均値が45であり、nの平均値が10である、式(S2)のPEO-PBOブロックコポリマー(「EO
45BO
10」)は、米国特許第8318144号明細書に記載の手順に従って調製する。この高分子界面活性剤のHLBは約14.7であり、下記式
【数2】
(式中、W
EOは、コポリマーEO
45BO
10中の親水性ポリ(オキシエチレン)部分の総重量であり、
W
EO45BO10は、コポリマーEO
45BO
10の分子量である)
に基づいて計算する。
【0160】
表2に示す様々な成分を1Lの水に溶解して、4つのパッケージング溶液を調製する。濃度は重量パーセントである。
【0161】
【0162】
レンズのパッケージング
実施例2で作製したSiHyコンタクトレンズを、それぞれ0.65mLのパッケージング溶液(上で調製したパッケージング溶液I~IVのうちの1つ)が入っているPPブリスターパッケージの中に個別にパッケージング及び密封する。密封されたレンズパッケージを、約121℃で45分間オートクレーブ処理する。
【0163】
すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの湿潤性
室温で約12ヶ月間保管した後、パッケージから直接取り出したすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの静的水接触角(WCAOOP)を、実施例1に記載の手順に従って決定する。結果を表3に報告する。
【0164】
【0165】
表3は、高分子界面活性剤(EO45BO10)を含むパッケージング溶液の中にパッケージングされオートクレーブ処理されてから室温で約12か月間保管された、すぐに使用可能なSiHyレンズの湿潤性が、EO45BO10を含まないパッケージング溶液(対照としてのパッケージング溶液I)にパッケージングされたすぐに使用可能なSiHyレンズ(すなわち元の予め形成されたSiHyコンタクトレンズに対応)と比較して大幅に改善されたこと、及びCopolymer-845単独でも、Copolymer-845を含むパッケージング溶液の中にパッケージングされたすぐに使用可能なSiHyレンズの湿潤性をわずかに改善することができるものの、EO45BO10と高分子量親水性ポリマー(Copolymer-845)との組み合わせは、EO45BO10とCopolymer-845との混合物を含むパッケージング溶液中にパッケージングされたすぐに使用可能なSiHyレンズの水接触角を下げる(すなわち湿潤性を改善する)相乗効果をある程度有することができることを示している。
【0166】
実施例4
すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズにおける高分子界面活性剤の有効時間は、蛍光標識高分子界面活性剤(NBD標識(EO45BO10、NBDはニトロベンゾオキサジアゾールでありEO45BO10は式(S2)のPEO-PBOブロックコポリマーであり、Rはメチルであり、mの平均値は45であり、nの平均値は10である)(EO45BO10と表す)を使用して推定する。蛍光標識(NBD)により、コンタクトレンズ内の高分子界面活性剤の共焦点可視化が可能になり、高分子界面活性剤が、シミュレートされた1日装着及び洗浄抽出の7サイクル(すなわち7日間の毎日の装着及び洗浄のルーチンを模倣)後も存在したままであることが実証される。
【0167】
NBD-EO
45BO
10の合成
NBD-EO
45BO
10は、以下のスキームに従って調製する。
【化44】
【0168】
100mgのNBD-COCl(4-(N-クロロホルミルメチル-N-メチルアミノ)-7-ニトロ-2,1,3-ベンゾオキサジアゾール)を0.5mLのヘキサンと2.5mLの塩化メチレンとに溶解する。次いで、約1gのEO45BO10(Mn約3000g/mol)及び0.7gの乾燥K2CO3を添加する。反応を、N2下で室温で48時間以上実施する。K2CO3を遠心分離し、溶媒を留去する。NBD-EO45BO10の精製は、透析又はSECカラムを使用する。高純度のNBD-EO45BO10(99.5重量%)を得るために、HPLCカラムフラクションの回収によるさらなる精製を行う。
【0169】
このNBD標識高分子界面活性剤のHLBは約13.4であり、以下の式に基づいて計算される:
【数3】
(式中、W
EOはコポリマーEO
45BO
10中の親水性ポリ(オキシエチレン)の総重量であり、
W
NBD-EO45BO10は、NBD標識コポリマーNBD-EO
45BO
10の分子量である。
【0170】
パッケージング溶液の調製
パッケージング溶液は、上で調製した精製したNBD-EO45BO10、Copolymer 845、及びその他の必要な成分を水に溶解して、以下の組成:150ppmのNBD-O45BO10、1重量%のcopolymer 845、0.77重量%のNaCl、0.076重量%のNaH2PO4・H2O、及び0.47重量%のNa2HPO4・7H2Oを有するように調製する。
【0171】
レンズのパッケージング
実施例2に記載の手順に従って作製したSiHyコンタクトレンズを、個別にパッケージングし、0.65mLの調製されたパッケージング溶液をそれぞれ含むPPブリスターパッケージに密封する。密封されたレンズパッケージを、約121℃で45分間オートクレーブ処理する。
【0172】
NBD-EO45BO10の取り込み
オートクレーブ処理前後のパッケージング溶液中のNBD-EO45BO10の濃度をHPLC法で測定する。
【0173】
パッケージング溶液中のNBD-EO45BO10の分析は、蛍光検出器と直径150×2.1mm、粒径1.9μmのUPLCカラム(例えばThermoScientific Hypersil GOLDなど)とが取り付けられた逆相Waters UPLCシステムを使用して行う。移動相は、移動相:A-50:30:19.8:0.2(v/v)メタノール/アセトニトリル/水/ギ酸及び移動相:B-59.8:40:0.2(v/v)メタノール/アセトン/ギ酸との混合物として調製する。移動相を0.45μmナイロンフィルターでろ過する。流量は毎分0.3mLである。カラム温度は60℃に設定する。分析時間は30分である。蛍光NBD-EO45BO10(励起λ=460nm;発光λ=510nm)は、保持時間(RT)4分からRT12分の範囲で検出される。
【0174】
すぐに使用可能なSiHyの中に取り込まれたNBD-EO45BO10の量は、(Cbefore autoclave-Cafter autoclave)*0.65mLで計算される。すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズに取り込まれたNBD-EO45BO10の平均量を得るために、5個のすぐに使用可能なレンズを使用する。NBD-EO45BO10の取り込み量は、約100μg/レンズと決定される。
【0175】
また、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズに取り込まれたNBD-EO45BO10の量は、抽出媒体としてのアセトン/ヘキサン1:1混合物で完全に抽出し、抽出媒体中のNBD-EO45BO10の量を決定することによって決定することができる。同様に、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの中に取り込まれたNBD-EO45BO10の平均量を得るために、5個のすぐに使用可能なレンズが使用される。
【0176】
NBD-EO45BO10の取り込みの可視化
すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズに取り込まれたNBD-EO45BO10は、共焦点顕微鏡によって視覚化される。対照として、オートクレーブ処理工程を受けずにパッケージング溶液に浸漬されたSiHyコンタクトレンズも共焦点顕微鏡で調べる。なお、PBS(NBD-EO45BO10を含まない)中でオートクレーブ処理されたSiHyコンタクトレンズを調べる場合、ベースライン蛍光として機能する蛍光がないことに留意する。
【0177】
すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズと対照のレンズを、直交するように断面切断し、Nikon蛍光顕微鏡を使用して画像化する。NBD-EO
45BO
10を励起するために488nmのレーザーを選択する。この実験では63倍の倍率を使用する。スケールバーは50μmである。すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズのレンズ断面の蛍光画像は、NBD-EO
45BO
10がレンズ表面に吸着され、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズのバルク材料の中に深く浸透することを示している(
図3A)。対照的に、対照コンタクトレンズNBD-EO
45BO
10のレンズ断面の蛍光画像は、NBD-EO
45BO
10がほとんどレンズ表面に吸着され、コンタクトレンズの表面領域のバルク材料の中に浸透することを示している(
図4A)。共焦点顕微鏡ラインスキャン(
図3B及び4B)は、視覚的観察を裏付ける。
【0178】
これらの実験は、かなりの量のNBD-EO45BO10が表面及び表面近傍の領域に位置し、オートクレーブ処理工程が高分子界面活性剤をSiHyコンタクトレンズの奥深くに取り込ませるために重要であることを示している。
【0179】
シミュレートされた1日装着及び洗浄抽出の7サイクル
シミュレートされた1日装着及び洗浄抽出(S1DWC抽出)の7サイクルは以下の通りに行う。1サイクル目では、各レンズを密封されたパッケージから取り出し、拭き取り、その後35℃の水浴の中で8時間振とうされながら保持されているバイアルの中で、1mLの新鮮なPBSに浸漬する。8時間浸漬した後、レンズを優しく拭き取り、バイアル内の2mLの新鮮なOpti-Free補充(OFR)液の中に室温で16時間浸漬する。2サイクル目では、レンズを1サイクル目で使用したOFR溶液から取り出し、再度優しく拭き取り、35℃の水浴の中で8時間振とうされながら保持されているバイアルの中で、1mLの新鮮なPBSに浸漬する。8時間浸漬した後、レンズを優しく拭き取り、バイアル内の2mLの新鮮なOFRの中に室温で16時間浸漬する。3~6サイクル目では、2サイクル目と同様に抽出を行う。7サイクル目では、6サイクル目で使用したOFR溶液からレンズを取り出し、再度優しく拭き取り、35℃の水浴の中で8時間振とうされながら保持されているバイアルの中で、1mLの新鮮なPBSに浸漬する。7サイクル目ではOFR溶液の中に浸漬されない。
【0180】
浸漬後の全てのPBS及びOFR溶液は、HPLC注入まで冷凍庫に保管する。
【0181】
1個のSiHyコンタクトレンズを1mLの新鮮なPBSの中に35℃で8時間浸漬する工程は、患者による眼へのコンタクトレンズの通常の毎日の装着(約8時間)をシミュレートすることを目的としている一方で、2mLのOFRの中に1個のSiHyコンタクトレンズを浸漬する工程は、通常のレンズケア方法に従う患者の日常的な行為をシミュレートすることを目的としていることを指摘しておく必要がある。
【0182】
NBD-EO45BO10と共にオートクレーブ処理した後のレンズをバタフライカットし、Nikonの従来の顕微鏡を使用して、時間0及びシミュレートされた1日装着及び洗浄抽出の7サイクル後に画像化する。蛍光量は、画像解析ソフトウェアImageJを使用して積算することにより推定する。結果は、7日後もコンタクトレンズに少なくとも約70%の蛍光が残存していることを示している。
【0183】
表4は、上述したHPLC法によって決定された、各抽出媒体へのNBD-EO45BO10の放出の結果を示している。
【0184】
【0185】
表4の結果は、この実施例のすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズが少なくとも3.1μg/レンズ/8時間、つまり0.00646μg/レンズ/分のNBD-EO45BO10を放出できることを示している。6.2±2.0μLの通常の平均涙液量では(S.Mishima et al.,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.1966,5:264-276)、上述した高分子界面活性剤の放出速度により、眼の涙液において0.00646μg・分-1/6.2μL=1.04μg/mLの高分子活性剤濃度が得られる。
【0186】
実施例5
この実施例は、シミュレートされた1日装着抽出の7サイクルを示している。
【0187】
パッケージング溶液の調製
パッケージング溶液は、上の実施例3で調製した、式(S2)のPEO-PBOブロックコポリマー(Rはメチルであり、mの平均値は45であり、nの平均値は10である)を有する精製したEO45BO10、ISPのCopolymer 845(GPCによるポリエチレンオキシド標準に対するMw約700,000~1,200,000g/mol、Mw/Mn約5.7~8.5)、及び水中で以下の組成を有するために必要なその他の成分を溶解することによって調製する:150ppmのEO45BO10、1重量%のCopolymer 845、0.77重量%のNaCl、0.076重量%のNaH2PO4・H2O、及び0.47重量%のNa2HPO4・7H2O。
【0188】
レンズのパッケージング
実施例2で作製したSiHyコンタクトレンズを、個別にパッケージングし、0.65mLの上記調製したパッケージング溶液をそれぞれ含むPPブリスターパッケージに密封する。密封されたレンズパッケージを、約121℃で45分間オートクレーブ処理する。
【0189】
すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズに取り込まれたEO45BO10の量は、(Cbefore autoclave-Cafter autoclave)*0.65mLによって計算される。Cbefore autoclaveは、オートクレーブ処理前のパッケージング溶液中のEO45BO10の濃度であり、150ppmであると決定され;Cafter autoclaveは、オートクレーブ処理後のパッケージング溶液中のEO45BO10の濃度であり、84~91ppmであると決定され;すぐに使用可能なSiHyレンズに取り込まれたEO45BO10の量は、38~43μg/レンズであると決定される。
【0190】
UPLC法
UPLC分析は、ELSD(蒸発光散乱検出器)及びPDA(フォトダイオードアレイ検出器)を備えたWaters H-Classシステムで、カラムヒーター又は同等のものを用いて行う。カラムは5μmのC-4300Å;50mm×4.6mm(例えばPhenomenex Jupiter又は同等のものなど)であり、ソフトウェアはEmpower3である。ELSD検出器は、以下の設定でEO45BO10を検出するためのものである:ガス(50psi);ネブライザー(モード-加熱)。PDA検出器は、227nmのUV波長でのCopolymer 845検出用である。注入量は250.0μLである。サンプルコンパートメント温度は25℃に設定される。カラム条件は:カラム温度:60℃;圧力:約2000PSIである。移動相Aは0.5Mのギ酸アンモニウムであり;移動相Bは0.04%のTFA(トリフルオロ酸)/メタノールである。実行時間は30分である。
【0191】
システムの適合性は、1.0%のCo-845及び150ppmのEO45BO10の注入の最初の5つの目標濃度のピーク面積%RSD(相対標準偏差)を計算することによって確認する。各分析物の%RSDは全て1.0%未満であり、最大有効仕様である10%を下回っている。ピーク位置も、1分間の保持時間変動の仕様の範囲内である。
【0192】
UPLC分析用のサンプルは以下の通りに調製する。7サイクルのそれぞれで使用する各抽出媒体の分析では、溶媒(水)を留去し、高分子界面活性剤(EO45BO10)を含む物質をUPLC分析のために500μLのUPWに再溶解する。
【0193】
当業者は、UPLCサンプル調製においてより少量(例えば0.25mL)のUPWを使用することによって、高分子界面活性剤の濃度を増加させ、それにより分析精度を上げることができることを理解するであろう。
【0194】
7サイクルのそれぞれで使用される各抽出媒体の分析では、UPLC分析のための溶媒(PBS又はOFR)を直接注入する。
【0195】
24時間の水性抽出の7サイクル
密封及びオートクレーブ処理されたレンズパッケージを室温で約12か月間保管した後、SiHyコンタクトレンズの24時間の水性抽出を7サイクルを以下の通りに行う。1サイクル目では、各10個のレンズを密封されたパッケージから取り出し、拭き取り、その後35℃の水浴の中で24時間振とうされながら保持されているバイアルの中で、10個の拭き取った1つのレンズを2mLの新鮮なPBS(又はこの実施例では比較のみ水)に一緒に浸漬する。2サイクル目では、1サイクル目で使用した全てのPBS(又は水)をバイアルからピペットで取り出し、後のUPLC分析のために保存する。2mLの新鮮なPBS(又は水)をバイアルに添加し、次に10個レンズを35℃で24時間浸漬するために水浴中で振とうしながら保持する。3~7サイクル目では、2サイクル目と同様に抽出を行う。浸漬後の全ての抽出媒体(PBS又は水)は、UPLC分析まで冷凍庫に保管する。
【0196】
すぐに使用可能なSiHyレンズ1個あたりに放出されるEO
45BO
10の量(W
released)は、次式で計算される:
【数4】
(式中、C
UPLCは、7サイクルのそれぞれで使用された各抽出媒体から調製された注入したUPLCサンプル中のEO
45BO
10の濃度であり、V
UPLCは、UPLCサンプルの調製に使用したUPW又はPBSの量(UPWについては0.5mL、PBSについては1.0mL)であり、N
lensは、24時間の水性抽出の7サイクルで使用されたレンズの数(10)である。24時間で1個のレンズあたりの放出されたEO
45BO
10及びCopolymer-845(Co-845)の量が表5に報告されている。
【0197】
【0198】
2mLのPBSの中に放出された10個のレンズについては、24時間の水性抽出を7サイクル行った後、各レンズに約35.8~38μgのEO45BO10が残存する。
【0199】
すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズによって、検出可能な量のCopolymer-845は放出されないことが見出された。これは、Copolymer-845がオートクレーブ処理中にSiHyレンズの中に浸透できず、1サイクル目で抽出媒体中に放出されるのに十分な量で表面に結合できなかった可能性を示唆している。
【0200】
また、すぐに使用可能なSiHyレンズが、35℃で水中よりもPBS中でEO45BO10を多く放出できることも見出された。PBSは、後のシミュレートされた1日装着(S1DW)抽出の7サイクルで使用される抽出媒体として選択される。
【0201】
さらに、1サイクル目の抽出媒体中で放出されるEO45BO10の量が、他のサイクルの抽出媒体中よりも大幅に多いことが見出された。これは、表面上及び表面のすぐ下の領域に位置する高分子界面活性剤が1サイクル目の抽出媒体中に放出されることを示唆している。
【0202】
シミュレートされた1日装着抽出の7サイクル
この実施例では、密封及びオートクレーブ処理されたレンズパッケージを室温で約12か月間保管した後、1個のレンズを使用することを除いて、SiHyコンタクトレンズのS1DW抽出の7サイクルを実施例1に記載の手順に従って実行する。S1DW抽出の各サイクル後の抽出媒体としての全てのPBSは、UPLC分析まで冷凍庫に保管する。密封されたレンズパッケージは
【0203】
すぐに使用可能なSiHyレンズ1個あたりに放出されるEO
45BO
10 の量(W
released)は、以下の式で計算される:
【数5】
(式中、C
UPLCは、7サイクルのそれぞれで使用される各抽出媒体から調製された注入したUPLCサンプル中のEO
45BO
10の濃度であり、V
UPLCは、UPLCサンプルの調製に使用したPBSの量(1.0mL)であり、N
lensは、この実施例のS1DW抽出の7サイクルで使用されたレンズの数(1)である。24時間で1個のレンズあたりの放出されたEO
45BO
10及びCopolymer-845(Co-845)の量が表6に報告されている。
【0204】
【0205】
表7は、S1DW抽出の7サイクル後、各レンズに約27.8μgのEO45BO10が残っていること、及びすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズが検出可能な量のCopolymer-845を放出できないことを示しており、これは、Copolymer-845がオートクレーブ処理中にSiHyレンズの中に浸透できず、1サイクル目で抽出媒体に放出されるのに十分な量で表面に結合できなかった可能性があることを示唆しており、また、1サイクル目の抽出媒体中に放出されたEO45BO10の量が他のサイクルの抽出媒体よりも大幅に多く、このことは表面及び表面のすぐ下の領域にある高分子界面活性剤が1サイクル目の抽出媒体に放出されることを示唆している。
【0206】
実施例6
パッケージング溶液の調製
5つのパッケージング溶液は、上の実施例3で調製した、式(S2)のPEO-PBOブロックコポリマー(Rはメチルであり、mの平均値は45であり、nの平均値は10である)を有する精製したEO45BO10、ISPのCopolymer 845(ポリエチレンオキシド標準に対するGPCによるMw 約700,000~1,200,000g/mol、Mw/Mn約5.7~8.5)、及び水中で以下の組成を有するために必要なその他の成分を溶解することによって調製する:5つの異なる濃度(50ppm、100ppm、150ppm、250ppm、及び400ppm)のうちの1つのEO45BO10、1重量%のcopolymer 845、0.77重量%のNaCl、0.076重量%のNaH2PO4・H2O、及び0.47重量%のNa2HPO4・7H2O。
【0207】
レンズのパッケージング
2種類のSiHyレンズ:実施例2で記載した手順に従って作製したSiHyコンタクトレンズと、約33重量%の平衡含水率(EWC)を有し、米国特許第9829723号明細書の実施例3に記載の手順に従って製造したプラズマ処理されたSiHyコンタクトレンズを、個別にパッケージングし、0.65mLの上記調製した5つのパッケージング溶液のうちの1つをそれぞれ含むPPブリスターパッケージに密封する。密封されたレンズパッケージを、約121℃で45分間オートクレーブ処理する。密封されたレンズパッケージの中のオートクレーブ処理された得られたレンズに対して、以下の調査及び特性評価を行う。密封及びオートクレーブ処理されたレンズパッケージは、以下で説明する試験の前に3週間未満室温で保管する。
【0208】
シミュレートされた1日装着抽出の7サイクル
新たに作製したSiHyコンタクトレンズのS1DW抽出の7サイクル(室温での保存時間は約3週間未満である)は、実施例5に記載の手順に従って実行される。実施例5と同様に、この実施例では1つのレンズがS1DW抽出の7サイクルにおいて使用される。
【0209】
S1DW抽出の7サイクル後のレンズ直径の変化
レンズの直径は、実施例1に記載の手順に従って決定される。実施例2に記載の手順に従って作製されたSiHyコンタクトレンズであり、それぞれ0.65mLのPBSを含むPPブリスターパッケージ中のPBSの中で個別に密封及びオートクレーブ処理された対照のレンズは、14.04±0.02mmの平均レンズ直径(DIAcontrol)を有すると決定される。実施例2に記載の手順に従って作製された、レンズパッケージ中の上記調製した5つのパッケージング溶液のうちの1つの中で密封及びオートクレーブ処理された試験用SiHyコンタクトレンズは、パッケージから直接取り出したレンズ直径の値(DIAOOP)(表7に報告)及びS1DW抽出の7サイクル後のレンズ直径(DIA7S1DW extraction)を有していると決定される。
【0210】
【0211】
結果は、約54重量%のEWCを有し、EO45BO10を含むパッケージング溶液中でオートクレーブ処理される前にコーティングがないSiHyコンタクトレンズのレンズ直径が、オートクレーブ処理後に増加できることを示している。これは、EO45BO10がSiHyコンタクトレンズの中に浸透することができ、EO45BO10を含むパッケージング溶液中でのオートクレーブ処理中にポリマーマトリックス内に分布できることを示唆している。
【0212】
結果は、本発明のすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズのレンズ直径が、S1DW抽出の7サイクル(すなわち7日間の連続装着にほぼ対応)後に減少し得ることも示しており、これは、EO45BO10がはっきりとは捕らえられてはおらず、本発明のすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズのポリマーマトリックス中に分布しており、レンズが眼に装着されたときに涙液に放出され得ることを示唆している。
【0213】
実施例7
パッケージング溶液の調製
Copolymer 845(ポリエチレンオキシド標準に対するGPCによるMw約700,000~1,200,000g/mol、Mw/Mn約5.7~8.5)は、ISPから入手する。式(S2)のPEO-PBOブロックコポリマー(Rはメチルであり、mの平均値は45であり、nの平均値は10である)を有する高分子活性剤であるコポリマーEO45BO10は、米国特許第8318144号明細書に記載の手順に従って調製する。
【0214】
4つのパッケージング溶液(パッケージング溶液I~IV)は、実施例3に記載の手順に従って、表2に示す通りに様々な成分を水に溶解することによって調製する。
【0215】
レンズのパッケージング
実施例2で作製したSiHyコンタクトレンズを、それぞれ0.65mLのパッケージング溶液III又はIV(上で調製)を含むPPブリスターパッケージの中に、又はそれぞれ約2mLのパッケージング溶液I又はII(上で調製)を含むバイアルの中に、個別にパッケージング及び密封する。密封されたレンズパッケージを、約121℃で約45分間オートクレーブ処理する。密封及びオートクレーブ処理されたレンズパッケージは、以下で説明する試験の前に3週間未満室温で保管する。
【0216】
シミュレートされた1日装着抽出の7サイクル
新たに作製したSiHyコンタクトレンズのS1DW抽出の7サイクル(室温での保存時間は約3週間未満である)は、実施例5に記載の手順に従って行う。実施例5と同様に、この実施例では1つのレンズをS1DW抽出の7サイクルにおいて使用する。
【0217】
すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの湿潤性
パッケージから直接取り出した、すぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの静的水接触角(WCAOOP)と、S1DW抽出の7サイクル後のすぐに使用可能なSiHyコンタクトレンズの静的水接触角(WCA7_S1DW)は、実施例1に記載の手順に従って決定する。結果を表8に報告する。
【0218】
【0219】
本出願において上記に引用された刊行物、特許及び特許出願の刊行物の全ては、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。