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特許7629089車両の動作のためのパラメータのパラメータ推定の信頼性に関する情報を提供する方法
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  • 特許-車両の動作のためのパラメータのパラメータ推定の信頼性に関する情報を提供する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】車両の動作のためのパラメータのパラメータ推定の信頼性に関する情報を提供する方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20250204BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023518808
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2021075748
(87)【国際公開番号】W WO2022063713
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102020212042.0
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】レーナ シンドラー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ リンベアガー
(72)【発明者】
【氏名】エレーナ スガルツ
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028028(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018222663(DE,A1)
【文献】特開2019-174191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(3)の動作のためのパラメータのパラメータ推定の信頼性に関する情報(1,2)を提供するための、コンピュータにより実施される方法であって、少なくとも、
a)推定されたパラメータが最小確率で存在する範囲を記述する、パラメータ推定のための完全性範囲(1)を算定するステップと、
b)ステップa)で算定された完全性範囲(1)の有効性を記述する有効性指標(2)を算定するステップと、
c)ステップa)で算定された完全性範囲(1)とステップb)で算定された有効性指標(2)とを提供するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
ステップa)による前記完全性範囲(1)を算定するステップ、及び/又は、ステップb)による前記有効性指標(2)を算定するステップは、前記車両(3)の少なくとも1つのセンサ(12)のセンサデータ(4)に基づいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップa)における前記完全性範囲(1)は、前記パラメータ推定に関する統計的な信頼度情報(5)に基づいて算定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記有効性指標(2)は、前記車両(3)周囲の環境に関する少なくとも1つの環境情報(6)を使用して算定される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有効性指標(2)は、前記車両(3)の状態又は前記車両(3)の構成要素の状態に関する少なくとも1つの状態情報(7)を使用して算定される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記有効性指標(2)は、ステップa)で算定された前記完全性範囲(1)を使用して算定される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記有効性指標(2)を予め定められた値集合からの値として提供する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法を実施するためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムを記憶した機械可読記憶媒体。
【請求項10】
車両(3)用の制御装置(8)であって、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている制御装置(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の動作のためのパラメータのパラメータ推定の信頼性に関する情報を提供する方法、当該方法を実施するためのコンピュータプログラム、機械可読記憶媒体、及び、車両用の制御装置に関する。本発明は、特に自律運転に関連して使用することに適している。
【背景技術】
【0002】
従来技術
自律運転の最重要課題の1つは、自律型車両の自車位置を可能な限り正確に高い信頼性で特定することである。自律型車両は、通常、例えば、慣性センサ、ホイールセンサ、環境センサ、GNSSセンサ、光学センサ、及び/又は、音響センサなどの複数のセンサを備えており、これらのセンサを用いて自車位置を推定することができる。これに関連して、算定された自車位置に対して(予測される)推定精度に関する情報も出力されると、有用である。これに関連して、例えば、算定された自車位置の信頼度は、いわゆる「保護レベル」(「PL」と略する)によって示すことができる。当該PLは、この場合、統計的なエラー限界を記述することができ、その計算は、通常、統計的な考察及び場合により付加的に推定アルゴリズムの適当な調整に基づいている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特に航空業界においては、保護レベルを提供するというコンセプトが普及している。ただし、ここで開発されている解決手段は、自律運転の適用範囲に簡単に転用できるものではない。特に、例えば建物の狭間及びその衛星信号への影響は、航空業界の用途では発生しない問題である。したがって、特に例えば都市部のような困難な環境においても信頼性の高い結果を送出することができる、可能な限り信頼性の高い保護レベルを計算するための改善された方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の開示
本明細書においては、請求項1による、車両(自動車)の動作のためのパラメータのパラメータ推定の信頼性に関する情報を提供する方法であって、少なくとも、
a)推定されたパラメータが最小確率で存在する範囲を記述する、パラメータ推定のための完全性範囲を算定するステップと、
b)ステップa)で算定された完全性範囲の有効性を記述する有効性指標を算定するステップと、
c)ステップa)で算定された完全性範囲とステップb)で算定された有効性指標とを提供するステップと、
を含む方法を説明する。
【0005】
ステップa)乃至ステップc)は、方法を実施するために、記載の順序で少なくとも1回又は複数回連続して実行可能である。さらに、ステップa)及びステップb)は、少なくとも部分的に並行して実行することができ、又は、同時に実行することもできる。
【0006】
パラメータは、安全性に関連するパラメータ、及び/又は、少なくとも部分的に自動化された運転動作及び/又は自律運転動作に関連する若しくは必要なパラメータであり得る。パラメータは、車両の運転動作に関連する情報を提供することができるものであり、及び/又は、車両の運転動作の記述に寄与するもの若しくはこれに適するものであり得る。基本的には、1つ又は複数の(種々の)パラメータを推定することができる。パラメータは、例えば、自車位置、自車速度、自車加速度などであり得る。好ましくは、パラメータは、車両の自車位置に関する。
【0007】
パラメータは、車両(自動車)の運転動作パラメータであり得る。運転動作パラメータとは、本明細書においては特に、車両の空間的な運転動作又は空間内の車両の操縦の記述に寄与するパラメータであると理解することができる。特に、運転動作パラメータは、少なくとも車両の自己運動及び/又は自車位置の記述に寄与する。運転動作パラメータは、例えば、(自車)位置、(自車)速度、(自車)加速度又は車両の姿勢(若しくは向き)であり得る。好適には、運転動作パラメータは車両の自車位置である。方法は(したがって)、例えば、車両位置の位置推定に関連して使用することができる。この場合、完全性範囲は、車両の推定された自車位置が最小確率で(実際に)存在する範囲を記述することができる。
【0008】
パラメータ推定の信頼性に関する提供されるべき情報は、例えば少なくとも2つの情報を含み得る。これらの情報は、好適には、パラメータ推定のための少なくとも1つの完全性範囲と、有効性指標とを含む。少なくともこれら2つの情報の提供は、有利には、(特に少なくとも部分的に自動化された又は自律的に走行可能な)車両の自車位置の特定の信頼性を改善することに寄与する。方法のさらなる利点は、完全性範囲の形態の完全性情報に加えて、有効性指標の形態の有効性情報が提供されることに見出され得る。このことにより、完全性範囲自体を変更する必要なく、完全性範囲によって与えられる情報を増強する手段が得られる。これにより、様々なコンテキストで使用するための完全性範囲の決定の設計を、有利には不変のまま維持することができ、又は、有効性指標の形態の有効性情報から独立して維持することができる。したがって、さらに、完全性範囲を、数学的に定義された統計的エラー情報又はエラー限界として出力することができる。このことは、特に一体的なインタフェースの観点において有利な利用可能性を提供する。なぜなら、完全性範囲の元の意味/定義を変化させる必要がないからである。これにより、モジュール設計のための手段も改善可能である。したがってまた、提供される完全性範囲は、場合によっては有効性指標から独立して利用可能であり、これにより、その適用可能性を有利に拡大することができる。
【0009】
ステップa)においては、パラメータ推定のための完全性範囲が算定され、ここで、完全性範囲は、推定されたパラメータ(値)が最小確率で(実際に)存在する範囲を記述する。推定されたパラメータ(値)は、ここでは基本的に、パラメータ推定の(個々の、特に現在の)推定結果を記述する。このことは、換言すれば、特に、推定されたパラメータの現実の値又は実際の値が最小確率で存在する範囲を完全性範囲が記述することを意味する。こうした完全性範囲は、いわゆる「保護レベル」と称することもできる。
【0010】
最小確率とは、通常、予め定められた最小確率である。好ましくは、最小確率は90%であり、特に好ましくは、95%であり、又は、99%であるものとしてもよい。
【0011】
好適には、完全性範囲は保護レベルである。保護レベルは、この場合、一般に、推定されたパラメータ(値)が最小確率で(実際に)存在する(空間的な、特に2次元又は3次元の)範囲を記述する。推定されたパラメータ(値)は、ここでは基本的に、パラメータ推定の(個々の、特に現在の)推定結果を記述する。このことは、換言すれば、特に、保護レベルが、推定されたパラメータの現実の値又は実際の値が最小確率で存在する範囲を記述することを意味する。
【0012】
さらに換言すれば、保護レベルは、特に、推定されたパラメータの真の値が最小確率で存在する信頼度区間又は(空間的な)信頼度範囲を記述する。この場合、パラメータの推定値は通常、信頼度区間又は信頼度範囲の中心又は中央にある。
【0013】
推定されたパラメータの現実の値又は実際の値が実際に保護レベルに存在する最小確率は、「通常の」完全性範囲の場合よりもさらにはるかに高い。最小確率は、ここでは通常99.99%超であり、特に好ましくは、99.999%超であり、又は、99.9999%超であるものとしてもよい。また、最小確率は、保護レベルにおいてはパーセンテージで表すことはできず、所定の時間間隔で生じ得るエラーで表され得る。保護レベルは、例えば、問題のパラメータが最大で10年に1回保護レベルを外れるように定義され得る。保護レベルは、例えば、単位のない確率又はレート、すなわち、ある時間間隔にわたるエラー発生確率として表すことができる。
【0014】
パラメータ推定は、基本的に、(同一の)パラメータを推定するための1つ又は複数の手法を含み得る。好適には、推定の完全性に関する完全性情報又は推定結果の信頼度に関する信頼度情報をさらに提供及び/又は決定し得る、パラメータを推定するための少なくとも1つの手法が使用される。例えば、パラメータ推定は、カルマンフィルタを用いて行うことができる。当該カルマンフィルタは、通常、(本来の)推定結果に加えて、ここでの完全性範囲の算定に利用可能な、パラメータ推定に関する信頼度情報(例えば共分散行列)も提供する。
【0015】
ステップb)においては、ステップa)で算定された完全性範囲の有効性を記述する有効性指標が算定される。有効性指標は、二値(有効である/有効でない)であるものとしてよく、又は、様々な「デジタル中間状態」を含むものとしてもよい。可能な「中間状態」は、例えば、その時点で所定の完全性リスク数(例えば都市部のシナリオでの1e-3、高速道路での1e-5)が適用可能であることを示すものであり得る。さらに、有効性指標は、例えば、算定された完全性範囲の有効性又は信頼性を記述する値(数値)を含み得る。当該算定には、例えば、様々な(入力)情報の組合せ、特に様々なセンサ情報及び/又は(例えば、車両の安全性に関連するシステム及び/又は車両の診断装置からの)状態情報の組合せが含まれ得る。例えば、少なくとも1つの(入力)情報が利用できないことは、有効性指標への(特に負の)影響を有し得る。
【0016】
有効性指標は、例えば、特に車両側の条件若しくは情報及び/又は車両外部の条件若しくは情報及び/又は完全性範囲に関する情報に依存して算定することができる。例えば、車両側の条件及び/又は車両外部の条件は、算定された完全性範囲を程度の多寡に関わらず良好に信頼できるようにすることに寄与し得る。車両側の条件若しくは情報とは、例えば、所定の走行状況、例えば定義された限界を超える縦方向加速度及び/又は横方向加速度に関する条件若しくは情報、及び/又は、所定の(安全性に関連する)車両状態及び/又は車両システムのシステム状態、例えば少なくとも部分的なシステム故障及び/又はセンサ故障に関する条件若しくは情報であり得る。車両外部の条件若しくは情報とは、例えば気象条件及び/又はセンサ影などの環境の影響に関する条件若しくは情報であり得る。相応の条件又は情報には、例えば、対応する条件が存在する場合に有効性指標の算定に導入可能な値(数値)を対応付けることができる。複数の条件若しくは情報が存在する場合、例えば、有効性指標を計算するために、これらの条件若しくは情報を相互に乗算及び/又は加算することができ、又は、相互に論理的に結合することができる。
【0017】
ステップc)においては、ステップa)で算定された完全性範囲と、ステップb)で算定された有効性指標とが提供される。この場合、算定された完全性範囲と算定された有効性指標とを、好適には一緒に提供することができる。これに関連して、これら2つの情報は、例えば値対の形態で提供することができる。これらの情報は、例えば、車両の自車位置特定のために構成された車両のシステムに提供可能である。このようなシステムの例は、車両の運動センサ及びポジションセンサ、及び/又は、車両の少なくとも部分的に自動化された運転若しくは自律運転のための制御装置であり得る。こうしたシステムは、例えば、算定された完全性範囲及び/又は算定された有効性指標に依存して、対応するパラメータ推定を位置の算定に使用するかどうか、及び、特に場合によりどの程度の重み付けで使用するかを決定することができる。
【0018】
有利な構成によれば、ステップa)による完全性範囲の算定及び/又はステップb)による有効性指標の算定は、車両の少なくとも1つのセンサのセンサデータに基づいて行われることが提案される。少なくとも1つのセンサは、例えば、通常GNSS(全地球航法衛星システム)データ(例えばGNSS補正データ及び/又はGNSS位置データ)を受信し、場合により(予め)処理したうえで提供することができるGNSSセンサを含み得る。選択的に又は付加的に、少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの環境センサを含むものとしてもよい。少なくとも1つの環境センサは、例えば、カメラ、レーダセンサ、LiDARセンサ、及び/又は、超音波センサであり得る。さらに、他の(又は選択的な)センサデータ及び/又は入力データも、ステップa)による完全性範囲の算定の際に、及び/又は、ステップb)による有効性指標の算定の際に考慮することができ、例えば、車両パラメータ(例えば速度、加速度、操舵角など)に関するセンサデータ、及び/又は、車両状態を記述する入力データ、例えば、付加的な構成要素、例えばトレーラ、自転車キャリアなどが車両に接続されているかどうかを記述する入力データを考慮することができる。
【0019】
さらなる有利な構成によれば、ステップa)における完全性範囲が、パラメータ推定に関する統計的信頼度情報に基づいて算定されることが提案される。統計的な信頼度情報とは、例えば、パラメータ推定の分散及び/又は残差であり得る。さらに、信頼度情報とは、(選択的に)分散及び/又は残差及び/又は推定の信用度の(他の)指標に依存して算定される情報であるものとしてもよい。信頼度情報として、特に残差、分散、共分散などが考慮される。例えば、信頼度情報は、共分散行列の形態で又は共分散行列から形成され得る。
【0020】
特にこれに関連して、完全性範囲は、例えば信頼度区間であり得る。信頼度区間(信用範囲又は信用区間及び予測範囲とも称される)は、パラメータ(例えば平均値など)の状態推定の精度を示す統計間隔である。信頼度区間は、ランダムな実験がある程度の確率で無限に反復される場合に(信頼度レベルに対して)パラメータの真の状態を含む範囲を示している。
【0021】
さらなる有利な構成によれば、車両周囲の環境に関する少なくとも1つの環境情報を使用して有効性指標を算定することが提案される。環境情報は、特に車両の環境センサからのデータの形態で提供することができる。環境センサは、例えば、カメラ、レーダセンサ、LiDARセンサ、及び/又は、超音波センサであり得る。
【0022】
さらなる有利な構成によれば、有効性指標を、車両の状態又は車両の構成要素の状態に関する少なくとも1つの状態情報を使用して算定することが提案される。状態情報は、例えば、所定の走行状況の発生に関する情報、例えば特に定義された限界を超える縦方向加速度及び/又は横方向加速度に関する情報を含み得る。状態情報は、例えば、所定の(安全性に関連する)車両状態の発生に関する情報、及び/又は、車両システムのシステム状態の発生に関する情報、例えば少なくとも部分的なシステム故障及び/又はセンサ故障の発生に関する情報を含み得る。
【0023】
さらなる有利な構成によれば、有効性指標を、ステップa)で算定された完全性範囲を使用して算定することが提案される。したがって、完全性範囲は、例えば、有効性指標への影響を有し得る。
【0024】
さらなる有利な構成によれば、有効性指標を、予め定められた値集合からの値として提供することが提案される。したがって、例えば、所定の有効性段階を設定して、この有効性段階のうちのいずれがその時点で又は対応する完全性範囲において存在しているかを算定することができる。値集合は、例えば2であるものとしてよく、したがって、有効性指標は、バイナリである。
【0025】
さらなる態様によれば、本明細書に記載の方法を実施するためのコンピュータプログラムも提案される。このことは、換言すれば、特に、コンピュータによりプログラムが実行されるときに、当該コンピュータに本明細書に記載の方法を実施させるための命令を含むコンピュータプログラム(製品)に関する。
【0026】
さらなる態様によれば、本明細書に記載のコンピュータプログラムを記憶した機械可読記憶媒体も提案される。一般的に、機械可読記憶媒体は、コンピュータ可読データ担体である。
【0027】
さらなる態様によれば、本明細書に記載の方法を実施するように構成された車両(自動車)用の制御装置も提案される。制御装置は、例えば、車両の自車位置特定のための装置(又はコンピュータ)であり得る。
【0028】
制御装置は、例えば、完全性範囲を算定するための完全性モジュールと、有効性指標を算定するための有効性モジュールとを含み得る。モジュールは、基本的に、制御装置の物理的な構成要素として、又は、コンピュータプログラムの一部として実現することができる。完全性モジュールは、ここでは例えば、完全性範囲を少なくとも1つの信頼度情報に依存して算定するように構成可能である。信頼度情報は、例えばカルマンフィルタ推定から得ることができる。有効性モジュールは、例えば、特に車両側の条件若しくは情報及び/又は車両外部の条件若しくは情報及び/又は完全性範囲に依存して有効性指標を算定するように構成可能である。このために、有効性モジュールは、例えば、車両側の条件若しくは情報及び/又は車両外部の条件若しくは情報及び/又は完全性範囲に関する情報のような様々な情報を有効性指標に結合することができ、又は、これらの情報を(前)処理して続いて有効性指標に結合することができる、結合器を含み得る。これらの様々な情報は、例えば、センサデータ、少なくとも1つの環境情報、及び/又は、少なくとも1つの状態情報、及び/又は、少なくとも1つの完全性範囲に関する情報を含み得る。
【0029】
さらに、本明細書に記載の制御装置を備えた自動車も提示することができる。自動車は、基本的に乗用自動車であり、好適には、少なくとも部分的に自動化され及び/又は自律的に動作する乗用自動車、特に自律型乗用自動車である。
【0030】
方法に関連して論じた詳細、特徴及び有利な構成は、本明細書に提示するコンピュータプログラム、記憶媒体、制御装置及び/又は車両においても相応に生じ得るものであり、また、その逆も成り立つ。この点において、本明細書の実施形態は、各特徴をより詳細に特徴付けるために全てが参照されるものとする。
【0031】
以下においては、ここに提示する解決手段及びその技術的環境を、図面に則してより詳細に説明する。本発明は、図示の実施例に限定されるものではないことを指摘しておく。特に、別段の明示的な指示がない限り、図面に説明している事実内容の部分的な態様を抽出して、他の図面及び/又は本明細書の他の構成要素及び/又は知識と組み合わせることも可能である。図面には、次のことが概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本明細書において説明する方法の例示的なシーケンスを示す図である。
図2】本明細書において説明する制御装置の例示的な構造を示す図である。
図3】本明細書において説明する制御装置を備えた車両を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、本明細書において説明する方法の例示的なシーケンスが概略的に示されている。方法は、車両3の動作のためのパラメータのパラメータ推定の信頼性に関する情報1,2を提供するために使用される。ブロック110,120及び130により示される方法ステップa)、方法ステップb)及び方法ステップc)の順序は、通常、規則的な動作シーケンスにおいて設定される。特に、ステップa)及びステップb)は、少なくとも部分的に並行して実行可能であり、同時に実行することもできる。
【0034】
ブロック110においては、ステップa)に従って、パラメータ推定のための完全性範囲1が算定され、ここで、完全性範囲1は、推定されたパラメータが最小確率で存在する範囲を記述する。ブロック120においては、ステップb)に従って、ステップa)で算定された完全性範囲1の有効性を記述する有効性指標2が算定される。ブロック130においては、ステップc)に従って、ステップa)で算定された完全性範囲1とステップb)で算定された有効性指標2とが提供される。
【0035】
図2には、本明細書において説明する制御装置8の例示的な構造が概略的に示されている。制御装置8は、本明細書において説明する方法を実施するように構成されている。制御装置8は、例えば、完全性範囲1(ここでは保護レベル)を算定する完全性モジュール9と、有効性指標2を算定する有効性モジュール10とを含む。各モジュールは、ここでは基本的に、制御装置8の物理的な構成要素として、又は、コンピュータプログラムの一部として、実現することができる。
【0036】
完全性モジュール9は、例示的に、少なくとも1つの信頼度情報5に依存して完全性範囲1を算定するように構成されている。信頼度情報5は、例えばカルマンフィルタ推定から得ることができる。これに関連して、信頼度情報5は、例えば、共分散行列の形態で、又は、共分散行列から形成することができる。カルマンフィルタ推定は、車両センサのセンサデータに基づくものとしてよい。したがって、図2は、ステップa)において完全性範囲1がパラメータ推定を介した統計的な信頼度情報5に基づいて算定可能であること及び場合により当該算定の手法についての例も示している。
【0037】
有効性モジュール10は、例示的に、特に車両側の条件若しくは情報及び/又は車両外部の条件若しくは情報及び/又は完全性範囲1に関する情報に依存して有効性指標を算定するように構成されている。このために、有効性モジュール10は例えば結合器11を含み、この結合器11により、例えば車両側の条件若しくは情報及び/又は車両外部の条件若しくは情報及び/又は完全性範囲1に関する情報のような様々な情報を有効性指標2に結合することができ、又は、(前)処理された情報を処理に続いて有効性指標2に結合することができる。こうした様々な情報は、例えばセンサデータ4、少なくとも1つの環境情報6、及び/又は、少なくとも1つの状態情報7を含み得る。もちろんさらなる情報を考慮することも可能である。これらの情報は、センサ12(図3を参照)及び/又は完全性モジュール9から提供可能である。
【0038】
このように、図2は、有効性指標2が車両3周囲の環境に関する少なくとも1つの環境情報6を使用して算定可能であること及び場合によりその算定手法についての例も示している。したがって、さらに、図2は、有効性指標2が車両3の状態又は車両3の構成要素の状態に関する少なくとも1つの状態情報7を使用して算定可能であること、及び、場合によりその算定手法についての例も示している。したがって、図2はさらに、有効性指標2がステップa)で算定された完全性範囲1を使用して算定可能であること、及び、場合によりその算定手法についての例も示している。
【0039】
図3には、本明細書において説明する制御装置8を備えた車両3の例示的な図が概略的に示されている。車両3はさらに、例えば、制御装置8にデータ又は情報を提供することができる複数のセンサ12を含む。情報は、例えば、車両3周囲の環境に関する環境情報6及び/又は車両3の状態に関する状態情報7であり得る。したがって、図3は、ステップa)に従って完全性範囲1を算定可能であること、及び、場合によりその算定手法及び/又はステップb)に従って車両3の少なくとも1つのセンサ12のセンサデータ4に基づいて有効性指標2を算定可能であること、及び、場合によりその算定手法についての例も示している。特に、有効性指標2は、予め定められた値集合からの値として提供することができる。
図1
図2
図3