(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20250204BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20250204BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20250204BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20250204BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250204BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1343
G02F1/1347
F21V9/40 400
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2023573874
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 JP2022043044
(87)【国際公開番号】W WO2023135937
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】P 2022003964
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸次朗
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/157225(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0050076(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1343
G02F 1/1347
F21S 2/00
F21V 9/40
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源、
前記光源上の第1の液晶パネル
、
前記第1の液晶パネル上の第2の液晶パネル
、
前記第2の液晶パネル上の第3の液晶パネル、および
前記第3の液晶パネル上の第4の液晶パネルを備え、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々は、
基板、
前記基板上にストライプ状に配置された複数の下部電極、
前記複数の下部電極上の第1の配向膜、
前記第1の配向膜上の液晶層、
前記液晶層上に配置され、前記第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、
前記第2の配向膜上に配置され、前記複数の下部電極と直交し、ストライプ状に配置された複数の上部電極、および
前記複数の上部電極上の対向基板を有し、
前記第1の液晶パネルの前記複数の下部電極の延伸方向と前記第2の液晶パネルの前記複数の下部電極の延伸方向がなす第1の角度は、0°以上5°以下であり、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、
前記複数の下部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の下部電極について、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極の間隔は、前記第2の下部電極と前記第3の下部電極の間隔と異なり、
前記複数の上部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の上部電極について、前記第1の上部電極と前記第2の上部電極の間隔は、前記第2の上部電極と前記第3の上部電極の間隔と異な
り、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルは、いずれも前記第1の液晶パネルまたは前記第2の液晶パネルと同一の構成を有し、
前記第3の液晶パネルの複数の下部電極の延伸方向と前記第4の液晶パネルの複数の下部電極の延伸方向は、それぞれ前記第1の液晶パネルの前記複数の下部電極の前記延伸方向と直交する、照明装置。
【請求項2】
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、
前記第1から第3の下部電極は、互いに異なる幅を有し、
前記第1から第3の上部電極は、互いに異なる幅を有する、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、
前記第1の下部電極と前記第2の下部電極間のピッチは、前記第2の下部電極と前記第3の下部電極間のピッチと異なり、
前記第1の上部電極と前記第2の上部電極間のピッチは、前記第2の上部電極と前記第3の上部電極間のピッチと異なる、請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1の角度は、0°よりも大きく5°以下である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第3の液晶パネルの前記複数の下部電極の前記延伸方向と前記第4の液晶パネルの前記複数の下部電極の前記延伸方向がなす第2の角度は、0°よりも大きく10°以下である、請求項
1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第2の角度は、前記第1の角度よりも大きい、請求項
5に記載の照明装置。
【請求項7】
光源、および
前記光源上に順に積み重ねられた第1から第4の液晶パネルを備え、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々は、
基板、
前記基板上にストライプ状に配置された複数の下部電極、
前記複数の下部電極上に配置される第1の配向膜、
前記第1の配向膜上の液晶層、
前記液晶層上に配置され、前記第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、および
前記第2の配向膜上の対向基板を有し、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの少なくとも一つは、前記第2の配向膜と前記対向基板の間に、前記複数の下部電極と重なる単一の上部電極をさらに備え、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々は、
基板、
前記基板上の第1の配向膜、
前記第1の配向膜上の液晶層、
前記液晶層上に配置され、前記第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、
前記第2の配向膜上にストライプ状に配置された複数の上部電極、および
前記複数の上部電極上の対向基板を有し、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの前記複数の下部電極は、前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの前記複数の上部電極の延伸方向と直交し、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、前記複数の下部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の下部電極について、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極の間隔は、前記第2の下部電極と前記第3の下部電極の間隔と異なり、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々において、前記複数の上部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の上部電極について、前記第1の上部電極と前記第2の上部電極の間隔は、前記第2の上部電極と前記第3の上部電極の間隔と異なる、照明装置。
【請求項8】
光源、および
前記光源上に順に積み重ねられた第1から第4の液晶パネルを備え、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々は、
基板、
前記基板上にストライプ状に配置された複数の下部電極、
前記複数の下部電極上に配置される第1の配向膜、
前記第1の配向膜上の液晶層、
前記液晶層上に配置され、前記第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、および
前記第2の配向膜上の対向基板を有し、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々は、
基板、
前記基板上の第1の配向膜、
前記第1の配向膜上の液晶層、
前記液晶層上に配置され、前記第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、
前記第2の配向膜上にストライプ状に配置された複数の上部電極、および
前記複数の上部電極上の対向基板を有し、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの少なくとも一つは、前記基板と前記第1の配向膜の間に、前記複数の上部電極と重なる単一の下部電極をさらに備え、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの前記複数の下部電極は、前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの前記複数の上部電極の延伸方向と直交し、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、前記複数の下部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の下部電極について、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極の間隔は、前記第2の下部電極と前記第3の下部電極の間隔と異なり、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々において、前記複数の上部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の上部電極について、前記第1の上部電極と前記第2の上部電極の間隔は、前記第2の上部電極と前記第3の上部電極の間隔と異なる、照明装置。
【請求項9】
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、前記第1から第3の下部電極は、互いに異なる幅を有し、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々において、前記第1から第3の上部電極は、互いに異なる幅を有する、請求項
7または8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極間のピッチは、前記第2の下部電極と前記第3の下部電極間のピッチと異なり、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々において、前記第1の上部電極と前記第2の上部電極間のピッチは、前記第2の上部電極と前記第3の上部電極間のピッチと異なる、請求項
7または8に記載の照明装置。
【請求項11】
光源、および
前記光源上に順に積み重ねられた第1から第4の液晶パネルを備え、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々は、
基板、
前記基板上に配置される第1の配向膜、
前記第1の配向膜上の液晶層、
前記液晶層上に配置され、前記第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、
前記第2の配向膜上にストライプ状に配置された複数の上部電極、および、
前記複数の上部電極上の対向基板を有し、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの少なくとも一つは、前記基板と前記第1の配向膜の間に、前記複数の上部電極と重なる単一の下部電極をさらに備え、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々は、
基板、
前記基板上にストライプ状に配置された複数の下部電極、
前記複数の下部電極上に配置される第1の配向膜、
前記第1の配向膜上の液晶層、
前記液晶層上に配置され、前記第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、および
前記第2の配向膜上の対向基板を有し、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの前記複数の上部電極の延伸方向は、前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの前記複数の下部電極の延伸方向と直交し、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、前記複数の上部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の上部電極について、前記第1の上部電極と前記第2の上部電極の間隔は、前記第2の上部電極と前記第3の上部電極の間隔と異なり、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々において、前記複数の下部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の下部電極について、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極の間隔は、前記第2の下部電極と前記第3の下部電極の間隔と異なる、照明装置。
【請求項12】
光源、および
前記光源上に順に積み重ねられた第1から第4の液晶パネルを備え、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々は、
基板、
前記基板上に配置される第1の配向膜、
前記第1の配向膜上の液晶層、
前記液晶層上に配置され、前記第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、
前記第2の配向膜上にストライプ状に配置された複数の上部電極、および、
前記複数の上部電極上の対向基板を有し、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々は、
基板、
前記基板上にストライプ状に配置された複数の下部電極、
前記複数の下部電極上に配置される第1の配向膜、
前記第1の配向膜上の液晶層、
前記液晶層上に配置され、前記第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、および
前記第2の配向膜上の対向基板を有し、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの少なくとも一つは、前記第2の配向膜と前記対向基板の間に、前記複数の下部電極と重なる単一の上部電極をさらに備え、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの前記複数の上部電極の延伸方向は、前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの前記複数の下部電極の延伸方向と直交し、
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、前記複数の上部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の上部電極について、前記第1の上部電極と前記第2の上部電極の間隔は、前記第2の上部電極と前記第3の上部電極の間隔と異なり、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々において、前記複数の下部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の下部電極について、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極の間隔は、前記第2の下部電極と前記第3の下部電極の間隔と異なる、照明装置。
【請求項13】
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、前記第1から第3の上部電極は、互いに異なる幅を有し、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々において、前記第1から第3の下部電極は、互いに異なる幅を有する、請求項
11または12に記載の照明装置。
【請求項14】
前記第1の液晶パネルと前記第2の液晶パネルの各々において、前記第1の上部電極と前記第2の上部電極間のピッチは、前記第2の上部電極と前記第3の上部電極間のピッチと異なり、
前記第3の液晶パネルと前記第4の液晶パネルの各々において、前記第1の下部電極と前記第2の下部電極間のピッチは、前記第2の下部電極と前記第3の下部電極間のピッチと異なる、請求項
11または12に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、照明装置に関する。例えば、本発明の実施形態の一つは、照射範囲を任意に制御できる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源から出射される光を液晶レンズを用いて制御することにより、光源の照射範囲や照射距離を制御できる照明装置が開発されている。例えば特許文献1から3に開示された照明装置は、液晶層を挟持する電極を有する液晶パネル、および液晶パネルと重なる光源を備えている。これらの照明装置では、液晶層内の液晶分子の配向を電極間の電界で制御することで液晶パネルをレンズとして機能させ、これにより配光が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-230887号公報
【文献】特開2016-057541号公報
【文献】特開2019-169435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の一つは、光源の照射範囲を任意に変化させることが可能な照明装置を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、光源の照射範囲を多様に変化させることが可能であり、かつ、光の色付きやモアレの発生を抑制可能な照明装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つは、照明装置である。この照明装置は、光源、光源上の第1の液晶パネル、および第1の液晶パネル上の第2の液晶パネルを備える。第1の液晶パネルと第2の液晶パネルの各々は、基板、基板上にストライプ状に配置された複数の下部電極、複数の下部電極上の第1の配向膜、第1の配向膜上の液晶層、液晶層上に配置され、第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、第2の配向膜上に配置され、複数の下部電極と直交し、ストライプ状に配置された複数の上部電極、および複数の上部電極上の対向基板を有する。第1の液晶パネルの複数の下部電極の延伸方向と第2の液晶パネルの複数の下部電極の延伸方向がなす第1の角度は、0°以上5°以下である。第1の液晶パネルと第2の液晶パネルの各々において、複数の下部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の下部電極について、第1の下部電極と第2の下部電極の間隔は、第2の下部電極と第3の下部電極の間隔と異なる。同様に、第1の液晶パネルと第2の液晶パネルの各々において、複数の上部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の上部電極について、第1の上部電極と第2の上部電極の間隔は、第2の上部電極と第3の上部電極の間隔と異なる。
【0006】
本発明の実施形態の一つは、照明装置である。この照明装置は、光源、および光源上に順に積み重ねられた第1から第4の液晶パネルを備える。第1の液晶パネルと第2の液晶パネルの各々は、基板、基板上にストライプ状に配置された複数の下部電極、複数の下部電極上に配置される第1の配向膜、第1の配向膜上の液晶層、液晶層上に配置され、第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、および第2の配向膜上の対向基板を有する。第3の液晶パネルと第4の液晶パネルの各々は、基板、基板上の第1の配向膜、第1の配向膜上の液晶層、液晶層上に配置され、第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、第2の配向膜上にストライプ状に配置された複数の上部電極、および複数の上部電極上の対向基板を有する。第1の液晶パネルと第2の液晶パネルの複数の下部電極は、第3の液晶パネルと第4の液晶パネルの複数の上部電極の延伸方向と直交する。第1の液晶パネルと第2の液晶パネルの各々において、複数の下部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の下部電極について、第1の下部電極と第2の下部電極の間隔は、第2の下部電極と第3の電極の間隔と異なる。第3の液晶パネルと第4の液晶パネルの各々においては、複数の上部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の上部電極について、第1の上部電極と第2の上部電極の間隔は、第2の上部電極と第3の上部電極の間隔と異なる。
【0007】
本発明の実施形態の一つは、照明装置である。この照明装置は、光源、および光源上に順に積み重ねられた第1から第4の液晶パネルを備える。第1の液晶パネルと第2の液晶パネルの各々は、基板、基板上に配置される第1の配向膜、第1の配向膜上の液晶層、液晶層上に配置され、第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、第2の配向膜上にストライプ状に配置された複数の上部電極、および、複数の上部電極上の対向基板を有する。第3の液晶パネルと第4の液晶パネルの各々は、基板、基板上にストライプ状に配置された複数の下部電極、複数の下部電極上に配置される第1の配向膜、第1の配向膜上の液晶層、液晶層上に配置され、第1の配向膜と配向方向が直交する第2の配向膜、および第2の配向膜上の対向基板を有する。第1の液晶パネルと第2の液晶パネルの複数の上部電極の延伸方向は、第3の液晶パネルと第4の液晶パネルの複数の下部電極の延伸方向と直交する。第1の液晶パネルと第2の液晶パネルの各々において、複数の上部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の上部電極について、第1の上部電極と第2の上部電極の間隔は、第2の上部電極と第3の上部電極の間隔と異なる。第3の液晶パネルと第4の液晶パネルの各々においては、複数の下部電極から任意に選択される、連続的に配置された第1から第3の下部電極について、第1の下部電極と第2の下部電極の間隔は、第2の下部電極と第3の下部電極の間隔と異なる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の実施形態に係る照明装置の模式的斜視図。
【
図1B】本発明の実施形態に係る照明装置の光源の模式的端面図。
【
図2A】本発明の実施形態に係る照明装置の光源の模式的上面図。
【
図2B】本発明の実施形態に係る照明装置の光源の模式的端面図。
【
図3】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的端面図。
【
図4A】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的上面図。
【
図4B】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的上面図。
【
図5】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的上面図。
【
図6】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的上面図。
【
図7】本発明の実施形態に係る照明装置の動作原理を説明する模式的斜視図。
【
図8A】本発明の実施形態に係る照明装置の動作挙動を示す模式図。
【
図8B】本発明の実施形態に係る照明装置の動作挙動を示す模式図。
【
図9A】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的上面図。
【
図9B】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的上面図。
【
図10】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的斜視図。
【
図11A】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的上面図。
【
図11B】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的上面図。
【
図12A】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルにおける下部電極の配置を示す模式図。
【
図12B】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルにおける下部電極の配置を示す模式図。
【
図12C】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルにおける下部電極の配置を示す模式図。
【
図13】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的斜視図。
【
図14】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的斜視図。
【
図15】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的端面図。
【
図16】本発明の実施形態に係る照明装置の液晶パネルの模式的上面図。
【
図17A】実施例の照明装置で得られる照射面の写真。
【
図17B】実施例の照明装置で得られる照射面の写真。
【
図17C】実施例の照明装置で得られる照射面の写真。
【
図17D】実施例の照明装置で得られる照射面の写真。
【
図17E】実施例の照明装置で得られる照射面の写真。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面などを参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。同一、あるいは類似する複数の構造を総じて表す際にはこの符号が用いられ、これらを個々に表す際には符号の後にハイフンと自然数が加えられる。
【0011】
本明細書および請求項において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りのない限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
本明細書および請求項において、二つの構造体が「直交する」という表現は、二つの構造体が垂直(90°)に交差する状態のみならず、90°±10°の角度で交差する状態も含む。同様に、二つの構造体が「平行である」という表現は、二つの構造体の延伸方向がなす角度が0°の場合だけでなく、0°±10°の角度の場合も含む。
【0013】
<第1実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つである照明装置100について説明する。
【0014】
図1Aに照明装置100の模式的斜視図を示す。
図1Aに示すように、照明装置100は、基本的な構成として、光源110、および光源110と重なり、光源110上に設けられる二つの光学素子を有する。一方の光学素子は光源110上の第1の液晶パネル120-1であり、他方は第1の液晶パネル120-1上に設けられる第2の液晶パネル120-2である。第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2は、直接接してもよく、あるいは図示しない接着剤などを用いて互いに固定される。
図1Aを含む以下の図面では、便宜上、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2の主面をxy平面とし、この平面に直交する方向をz方向とする。x方向とy方向は互いに直交するが、上述した定義に従い、x方向とy方向がなす角度は90°±10°の範囲である。例えばx方向とy方向は、後述する基板122または対向基板124の辺と平行な方向である。以下、各構成について詳述する。
【0015】
1.光源
光源110は、指向性の高いコリメート光を第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2に照射するように構成される。具体的には、
図1Aの鎖線A-A´に沿った端面の模式図(
図2B)に示すように、光源110は凹部112aを有する反射板112、および凹部112a内に設けられる一つまたは複数の発光素子114を備える。反射板112のxy平面における形状に制約はなく、照明装置100が設けられる環境に応じて適宜設定すればよい。例えば、
図1Aに示すように、反射板112のxy平面における形状は正方形でもよく、図示しないが円、楕円、多角形でもよい。
【0016】
反射板112を構成する材料は任意に選択することができるが、例えばアルミニウムやステンレスなどの金属、ポリイミドやポリカーボネート、アクリル樹脂などの高分子、あるいはガラスなどの無機酸化物でもよい。ただし、
図1Bの矢印で示すように、反射板112は、発光素子114からの光を反射させて集光し、コリメート光を液晶パネル120へ提供する。このため、ガラスや高分子などの可視光を透過する材料を用いて反射板112を構成する場合には、凹部112aの表面を可視光に対する反射率が高い膜で構成することが好ましい。このような膜としては、アルミニウムや銀、金、クロム、ステンレスなどの金属を含む膜、酸化チタンや酸化タンタルなどの高屈折材料を含む薄膜と酸化ケイ素やフッ化マグネシウムなどの低屈折率材料を含む薄膜の積層体などが例示される。凹部112aの形状は、凹部112a内の発光素子114からの光を反射して指向性の高い光が得られるよう、適宜調整される。
【0017】
反射板112には、複数の凹部112aが設けられてもよい。例えば
図2Aの模式的上面図と
図2Aの鎖線B-B´に沿った端面の模式図(
図2B)に示すように、反射板112は、複数の凹部112aを備えてもよい。反射板112の上面(液晶パネル120に近い方の上面)における凹部112aの平面形状にも制約はなく、
図2Aに示すように円でもよく、四角形に例示される多角形でもよい。凹部112aには一つまたは複数の発光素子114が配置される。複数の凹部112aを設ける場合には、各凹部112aからの光は、液晶パネル120の一部を照射する。
【0018】
発光素子114は、電流を供給することで発光する機能を有する素子であり、その構造に制約はない。典型的な例として、発光ダイオード(LED)が挙げられる。発光ダイオードは、例えば窒化ガリウム、インジウムを含む窒化ガリウムなどの無機発光体を一対の電極で挟持した電界発光素子、および電界発光素子を保護する保護膜を基本的な構造として有し、電界発光(Electroluminescence)によって可視光を発光するように構成される。各発光素子114の発光色も任意に選択することができる。例えば、各凹部112aに白色発光を与える発光素子114を一つまたは複数設けてもよい。あるいは凹部112aに赤色発光の発光素子114、緑色発光の発光素子114、青色発光の発光素子114を設け、凹部112aから種々の色の発光が得られるように光源110を構成してもよい。
【0019】
各発光素子114の大きさに制約はなく、例えばそれぞれの占有面積が1.0×104μm2以上1.0×106μm2以下、4.0×104μm2以上5.0×105μm2以下、あるいは9.0×104μm2以上2.5×105μm2以下の発光ダイオードを用いることができる。一例として大きさが320μm×300μm程度の所謂マイクロLEDを発光素子114として用いることができる。
【0020】
2.液晶パネル
二つの液晶パネル120は、互いに同一の構造を有することができる。一つの液晶パネル120(ここでは第1の液晶パネル120-1)の部分的な端面模式図を
図3に示す。
図3に示されるように、各液晶パネル120は、基本的な構成として、互いに対向する基板122と対向基板124とともに、これらに挟持される複数の下部電極130、複数の下部電極130上の第1の配向膜134、第1の配向膜上の液晶層138、液晶層138上の第2の配向膜136、および第2の配向膜136上の複数の上部電極132を備える。各液晶パネル120は、任意の構成として、液晶層138への不純物の混入を防止する保護膜として機能するアンダーコート126やオーバーコート128をそれぞれ基板122と下部電極130の間、上部電極132と対向基板124の間に有してもよい。
【0021】
2-1.基板と対向基板
基板122と対向基板124は、枠状に設けられる封止材を介して互いに接合されており、それぞれ複数の下部電極130と複数の上部電極132を支持するための基材として機能するとともに、液晶層138を封止する。基板122と対向基板124は、光源110からの光を透過させて照明機能を発現するため、発光素子114からの光に対して高い透過率を示す材料を含むことが好ましい。したがって、例えばガラスや石英、またはポリイミドやポリカルボナート、ポリエステル、アクリル樹脂などの高分子材料を含むように基板122と対向基板124を構成することが好ましい。
【0022】
2-2.下部電極と上部電極
(1)概要
複数の下部電極130は、基板122と接するように、あるいはアンダーコート126を介して基板122上に設けられる(
図3)。アンダーコートは、窒化ケイ素や酸化ケイ素などのケイ素含有無機化合物を含む一つまたは複数の膜によって形成することができる。下部電極130は、液晶パネル120に高い透光性を付与するため、インジウム-スズ酸化物(ITO)やインジウム-亜鉛酸化物(IZO)などの可視光に対して高い透過率を示す導電性酸化物で形成することが好ましい。
【0023】
基板122上に配置される複数の下部電極130の模式的上面図を
図4Aに示す。
図3と
図4Aから理解されるように、複数の下部電極130は、互いに同一の方向に延伸するとともに、ストライプ状に配置される。各下部電極130の長さ(下部電極130延伸する方向(ここではx方向)の長さ)は、例えば5cm以上15cm以下または1cm以上10cm以下の範囲から選択すればよい。
【0024】
ここで、複数の下部電極130は、一つまたは複数の下部電極群140に分割することができる。複数の下部電極群140は、下部電極130が延伸する方向(ここではx方向)に配列する。一つの下部電極群140に着目すると、複数の下部電極130は、下部電極130が延伸するx方向に直交するy方向に一列で配置される。各下部電極群のy方向の長さも任意に設定でき、例えば3cm以上30cm以下または10cm以上20cm以下の範囲から選択すればよい。各下部電極群140において、y方向で一つ置きに選択される複数の下部電極130-1は、配線144-1に接続され、互いに電気的に接続される。したがって、これらの下部電極130-1には、同一の電位が同時に印加される。一方、残りの下部電極130-2は配線144-2に接続され、互いに電気的に接続される。このため、これらの下部電極130-2にも同一の電位が同時に印加されるとともに、下部電極130-1と下部電極130-2が電気的に独立する。また、y方向において、下部電極130-1と下部電極130-2は交互する。
【0025】
複数の上部電極132は、
図3に示すように、対向基板124と接するように、あるいはオーバーコート128を介して対向基板124上(
図3では対向基板124の下)に設けられる。対向基板124側に配置される複数の上部電極132の模式的上面図を
図4Bに示す。
図4Bは、上部電極132を対向基板124側から見た(上方から平面視した)模式図である。複数の上部電極132も下部電極130と同様に可視光に対して高い透過率を示す導電性酸化物で形成され、ストライプ状に配置される。しかしながら、その延伸方向が異なる。具体的には、
図4Bに示すように、複数の上部電極132は、いずれも下部電極130が延伸するx方向に対して直交するy方向に延伸する。下部電極130と同様、複数の上部電極132も一つまたは複数の上部電極群142に分割することができる。複数の上部電極群142は、上部電極132が延伸するy方向に配列する。一つの上部電極群142に着目すると、複数の上部電極132は、上部電極132が延伸するy方向に直交するx方向に一列で配置される。各上部電極群142において、x方向で一つ置きに選択される複数の上部電極132-1は配線146-1に接続され、互いに電気的に接続される。したがって、これらの上部電極132-1には、同一の電位が同時に印加される。一方、残りの上部電極132-2は配線146-2に接続され、互いに電気的に接続される。このため、これらの上部電極132-2にも同一の電位が同時に印加されるとともに、上部電極132-1と上部電極132-2は電気的に独立する。また、x方向において、上部電極132-1と上部電極132-2は交互する。
【0026】
(2)下部電極の配置
下部電極130の配置の詳細について、
図5を用いて説明する。
図5は一つの下部電極群140の一部の模式的上面図である。
図5に示されるように、それぞれの下部電極群140は、隣接する下部電極130の間隔S
L、下部電極130の幅(延伸方向に対して垂直な方向の長さ)W
L、および下部電極130のピッチP
Lの少なくとも一つがばらつくように構成される。
【0027】
隣接する下部電極130の間隔がばらつくとは、y方向に隣接する二つの下部電極130の間隔SLが、一つの下部電極群140内で一定ではないということを意味する。例えば、一つの下部電極群140内で任意に選択され、y方向において連続的に配置される三つの下部電極130a、130b、130cについては、下部電極130aと130bの間隔SLは、下部電極130bと130cの間隔SLと異なる。一つの下部電極群140において、隣接する二つの下部電極130の間隔SLの変動係数CVLSは、0.18以上0.35以下または0.20以上0.30以下であってもよい。変動係数CVLSは、下部電極130の間隔SLの標準偏差をその平均値で除すことによって得られる。隣接する二つの下部電極130の間隔SLは、例えば1μm以上30μmまたは3μm以上20μmの範囲から選択すればよい。
【0028】
下部電極130の幅がばらつくとは、一つの下部電極群140において、下部電極130の幅WLが一定ではないという意味である。例えば上記三つの下部電極130a、130b、130cの幅が全て異なる、または少なくとも一つが他の二つと異なる。一つの下部電極群140において、下部電極130の幅WLの変動係数CVLWは、0.13以上0.35以下または0.15以上0.30以下であってもよい。変動係数CVLWは、下部電極130の幅WLの標準偏差をその平均値で除すことによって得られる。下部電極130の幅WLは、3μm以上20μm以下または5μm以上15μm以下の範囲から選択すればよい。
【0029】
下部電極130のピッチPLとは、隣接する下部電極130のそれぞれのy方向における中心点を結ぶy方向に平行な直線の長さである。下部電極130のピッチがばらつくとは、一つの下部電極群140内において、任意に選択される二つの隣接下部電極130間のピッチPLが一定ではないという意味である。例えば上記三つの下部電極130a、130b、130cについて見ると、下部電極130aと130b間のピッチPLが下部電極130bと130c間のピッチPLと異なる。一つの下部電極群140において、隣接する下部電極130間のピッチPLの変動係数CVLPは、0.08以上0.25以下または0.09以上0.20以下であってもよい。変動係数CVLPは、隣接する下部電極130間のピッチPLの標準偏差をその平均値で除すことによって得られる。ピッチPLは、2μm以上30μmまたは3μm以上25μm以下の範囲から選択すればよい。
【0030】
各下部電極群140では、間隔SLと幅WLが一定であるが、ピッチPLがばらついてもよい。あるいは、間隔SLがばらつき、幅WLとピッチPLが一定でもよく、幅WLがばらつき、間隔SLとピッチPLが一定でもよい。あるいは、幅WLは一定であるが、間隔SLとピッチPLがばらついてもよい。あるいは、間隔SLは一定であるが、幅WLとピッチPLがばらついてもよい。あるいは、ピッチPLは一定であるが、幅WLと間隔SLがばらついてもよい。あるいは、間隔SL、幅WL、ピッチPLの全てがばらついてもよい。
【0031】
なお、一つの下部電極群140においては、幅W
L、間隔S
L、およびピッチP
Lに関して全ての下部電極130が周期的規則性を有さなくてもよく、あるいはy方向に連続する複数(例えば10、20、24)の下部電極130の幅W
L、間隔S
L、およびピッチP
Lのパターン(
図5におけるパターンA)が周期的に繰り返されてもよい。
【0032】
(3)上部電極の配置
上部電極132の配置も同様である。
図6に一つの上部電極群142の一部の模式的上面図を示す。
図6に示されるように、それぞれの上部電極群142は、隣接する上部電極132の間隔S
U、上部電極132の幅(延伸方向に対して垂直な方向の長さ)W
U、および上部電極132のピッチP
Uの少なくとも一つがばらつくように構成される。
【0033】
隣接する上部電極132の間隔がばらつくとは、x方向に隣接する二つの上部電極132の間隔SUが、一つの上部電極群142内で一定ではないということを意味する。例えば、一つの上部電極群142内で任意に選択され、x方向において連続的に配置される三つの上部電極132a、132b、132cについては、上部電極132aと132bの間隔SUは、上部電極132bと132cの間隔SUと異なる。一つの上部電極群142において、隣接する二つの上部電極132の間隔SUの変動係数CVUSは、0.18以上0.35以下または0.20以上0.30以下であってもよい。変動係数CVUSは、上部電極132の間隔SUの標準偏差をその平均値で除すことによって得られる。隣接する二つの上部電極の間隔SUは、例えば1μm以上30μmまたは3μm以上20μmの範囲から選択すればよい。
【0034】
上部電極132の幅がばらつくとは、一つの上部電極群142において、上部電極132の幅WUが一定ではないという意味である。例えば上記三つの上部電極132a、132b、132cの幅が全て異なる、または少なくとも一つが他の二つと異なる。一つの上部電極群142において、上部電極132の幅WUの変動係数CVUWは、0.13以上0.35以下または0.15以上0.30以下であってもよい。変動係数CVUWは、上部電極132の幅WUの標準偏差をその平均値で除すことによって得られる。上部電極132の幅WUは、3μm以上20μm以下または5μm以上15μm以下の範囲から選択すればよい。
【0035】
上部電極132のピッチPUとは、隣接する上部電極132のそれぞれのx方向における中心点を結ぶx方向に平行な直線の長さである。上部電極132のピッチがばらつくとは、一つの上部電極群142内において、任意に選択される二つの上部電極132間のピッチPUが一定ではないという意味である。例えば上記三つの上部電極132a、132b、132cについて見ると、上部電極132aと132b間のピッチPUが上部電極132bと132c間のピッチPUが異なる。一つの上部電極群142において、隣接する上部電極132間のピッチPUの変動係数CVUPは、0.08以上0.25以下または0.09以上0.20以下であってもよい。変動係数CVUPは、隣接する上部電極132間のピッチPUの標準偏差をその平均値で除すことによって得られる。ピッチPUは、2μm以上30μmまたは3μm以上25μm以下の範囲から選択すればよい。
【0036】
下部電極群140と同様、各上部電極群142では、間隔SUと幅WUが一定であるが、ピッチPUがばらついてもよい。あるいは、間隔SUがばらつき、幅WUとピッチPUが一定でもよく、幅WUがばらつき、間隔SUとピッチPUが一定でもよい。あるいは、幅WUは一定であるが、間隔SUとピッチPUがばらついてもよい。あるいは、間隔SUは一定であるが、幅WUとピッチPUがばらついてもよい。あるいは、ピッチPUは一定であるが、幅WUと間隔SUがばらついてもよい。あるいは、間隔SU、幅WU、ピッチPUの全てがばらついてもよい。
【0037】
なお、一つの上部電極群142においては、幅W
U、間隔S
U、およびピッチP
Uに関して全ての上部電極132が周期的規則性を有さなくてもよく、あるいはx方向に連続する複数(例えば10、20、24)の上部電極132の幅W
U、間隔S
U、およびピッチP
Uのパターン(
図6におけるパターンB)が周期的に繰り返されてもよい。
【0038】
2-3.第1の配向膜、第2の配向膜、および液晶層
複数の下部電極130上には第1の配向膜134が設けられ、複数の上部電極132上(
図3では上部電極132の下)には第2の配向膜136が設けられる。基板122と対向基板124は図示しない封止材によって貼り合わされ、固定される。基板122、対向基板124、および封止材によって形成される空間には液晶層138が充填される。
【0039】
第1の配向膜134と第2の配向膜136は、ポリイミドやポリエステルなどの高分子を含み、これらの表面はラビング処理される。ラビング処理は、第1の配向膜134の配向方向が下部電極130が延伸する方向に直交し(
図4Aの矢印参照)、第2の配向膜136の配向方向が上部電極132が延伸する方向と直交するように行われる(
図4Bの矢印参照)。したがって、第1の配向膜134の配向方向と第2の配向膜136の配向方向は直交する。ここで、配向方向とは、配向膜の影響によって液晶分子が配向するときの液晶分子の長軸方向である。なお、ラビング処理に替えて、光配向によって第1の配向膜134と第2の配向膜136の配向方向を形成してもよい。光配向は、光を用いたラビングレスの配向処理であり、例えば、紫外領域の偏光を所定方向からラビング処理していない配向膜に照射する。これによって配向膜中で光反応を生じさせ、その配向膜表面に異方性を導入して液晶配向制御能を付与する。
【0040】
液晶層138には液晶分子が含まれる。液晶分子の構造は限定されない。したがって、液晶分子はネマチック液晶でもよく、あるいはスメクチック液晶、コレステリック液晶、キラルスメチック液晶でもよい。
【0041】
液晶層138の厚さT
LC(
図3参照)、すなわち、第1の配向膜134と第2の配向膜136との間の距離も任意であるが、下部電極130や上部電極132のピッチP
L、P
Uよりも大きいことが好ましい。例えば、液晶層138の厚さT
LCは、下部電極130または上部電極132のピッチP
L、P
Uに対して2倍以上10倍以下、2倍以上5倍以下、または2倍以上3倍以下に設定することが好ましい。具体的な液晶層138の厚さは、例えば10μm以上60μm以下または10μm以上50μm以下の範囲から選択すればよい。図示しないが、この厚さを照明装置100の全体に亘って維持するためのスペーサを液晶層138内に設けてもよい。なお、上述した液晶層138の厚さを液晶表示装置において採用した場合、動画を表示するために必要な高い応答性を得ることができず、液晶表示装置としての機能を発現することが著しく困難となる。
【0042】
2-4.その他の構成
図4Aに示すように、下部電極130は、配線144を介して基板122上に設けられる駆動回路116に接続される。駆動回路116はさらに複数の端子118と接続され、図示しない外部回路から端子118を介して照明装置100を駆動するための信号が駆動回路116に供給される。駆動回路116はこの信号に基づき、下部電極130に対して電圧を供給する。配線146はコンタクト148を介して基板122上の図示しない配線に接続される(
図4B参照。)。この配線も駆動回路116に接続され、外部回路から端子118を介して供給される信号に基づいて駆動回路116は上部電極132に対しても電圧を供給する。
【0043】
駆動回路116は、基板122上でパターニングされた種々の導電膜、半導体膜、導電膜を適宜組み合わせることで形成してもよく、あるいは半導体基板上に形成される集積回路を備えるICチップを基板122に搭載することで形成してもよい。あるいは、駆動回路116を基板122上に設けず、端子118に接続されるフレキシブル印刷基板(FPC)にICチップを駆動回路116として設けてもよい。
【0044】
3.動作原理
照明装置100の駆動原理について、
図7の模式的斜視図を用いて説明する。ここでは、楕円で示された液晶分子の挙動を示すため、下部電極130と上部電極132は点線で示されており、その他の構成は省略されている。
【0045】
液晶パネル120の駆動時には、複数の下部電極130に対し、隣接する下部電極130間で位相が反転するようにパルス状の交流電圧が印加される。同様に、複数の上部電極132に対し、隣接する上部電極132間で位相が反転するようにパルス状の交流電圧が印加される。それぞれの液晶パネル120内で、これらの交流電圧の周波数は同一である。交流電圧は、例えば3V以上50V以下、または3V以上30V以下の範囲から選択すればよい。下部電極130と上部電極132の延伸する方向は直交しているので、交流電圧の印加により、隣接する下部電極130間および隣接する上部電極132間に、互いに直交する電界(横電界)が発生する(
図7の曲線矢印参照)。なお、下部電極130と上部電極132間でも電界(縦電界)が発生するが、液晶層138の厚さT
CLは、隣接する下部電極130間や上部電極132間の間隔S
L、S
Uと比較して大きい。このため、縦電界は横電界に対して著しく小さく、無視することができるので、各液晶分子は横電界に従って配向する。
【0046】
液晶層138内に横電界が発生すると、基板122側の液晶分子は、上に凸の円弧状に配向する。対向基板124側でも同様であり、液晶分子は下に凸の円弧状に配向する(
図7)。このような液晶分子の配向変化によって屈折率分布が生じ、その結果、第1の液晶パネル120-1の下部電極130側から液晶層138に入射した光のうち下部電極130が形成する横電界に平行な成分(偏光成分)150が拡散する。また、液晶分子の配向方向は、基板122から対向基板124に近づくにつれてz方向を中心軸として旋回して90°捻じれる。その結果、拡散した成分150は、液晶層138を透過して90°旋光する。さらに拡散・旋光した成分150は、対向基板124側の円弧状に配向した液晶分子の屈折率分布に従って拡散し、成分(偏光成分)152を与える。一方、成分150に直交する成分(偏光成分)156は、第1の液晶パネル120-1の下部電極130が形成する横電界に対して偏光軸が垂直であるため拡散せず、液晶層138内で90°旋光する。旋光した成分156の偏光軸は、対向基板124側の横電界の方向にも垂直であるため拡散せず、単に偏光軸が90°旋回した成分158(偏光成分)を与える。このように、第1の液晶パネル120-1は、入射光の一方の成分(ここでは成分150)を拡散するレンズとして機能する。
【0047】
同様の原理が第2の液晶パネル120-2においても働く。詳細は割愛するが、第2の液晶パネル120-2は、成分158を旋光・拡散し、成分152を拡散せずに旋光する。すなわち、第2の液晶パネル120-2は、第1の液晶パネル120-1が拡散しなかった成分156を拡散するレンズとして機能する。小括すると、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2により、入射光の全ての成分の光を拡散することができる。
【0048】
液晶パネル120を駆動しない場合には、横電界は生じない。このため、非駆動時には、液晶分子は第1の配向膜134と第2の配向膜136の配向方向に従って配向するので、液晶分子の配向方向は、基板122付近では第1の配向膜134の配向方向(すなわち、下部電極130の延伸方向に直交する方向)となり、対向基板124に近づくにつれてz方向を中心軸として旋回し、90°捻じれる。その結果、光源110から出射した指向性の高いコリメート光は、液晶パネル120の非駆動時には拡散せずに旋光するに留まるので、比較的狭い範囲を選択的に照射することができる(
図8A)。一方、液晶パネル120を駆動させると光源110から光が拡散するので、液晶パネル120の非駆動時に照明装置100が与える照射面162よりも広い面積を有する照射面164を与える(
図8B)。また、拡散の程度は横電界の強さに依存するので、下部電極130と上部電極132に印加する電位を調整することで、光源110からの光の拡散を制御することが可能である。したがって、照明装置100は、照射範囲を任意に制御可能な照明装置として機能する。
【0049】
しかしながら、複数の下部電極130や上部電極132が高い規則性を持つように配置すると、液晶の屈折率分布に周期性が発生する。例えば、幅WL、WU、間隔SL、SU、およびピッチPL、PUを各下部電極群140または各上部電極群142内で一定になるように下部電極130や上部電極132を配置すると、液晶パネル120の駆動時に液晶の屈折率分布に周期性が発生する。その結果、照射面164に干渉縞(モアレ)が発生する。また、白色を与える発光素子114を用いても、周期的な屈折率分布に起因し、光が着色する。拡散シートを液晶パネル120の上または下に配置することでモアレの発生は抑制できるものの、液晶パネル120非駆動時にも光が拡散してしまい、照射面162が意図せず広がってしまう。
【0050】
一方、照明装置100では、上述したように、各下部電極群140では、間隔SL、幅WL、およびピッチPLの少なくとも一つがばらつくように構成される。同様に、各上部電極群142でも間隔SU、幅WU、およびピッチPUの少なくとも一つがばらつくように構成される。このため、後述する実施例からも示されるように、液晶の屈折率分布の周期性が大幅に低減し、その結果、拡散シートを用いなくてもモアレの発生や光の着色を効果的に抑制することができる。また、拡散シートを用いなくても良いので、液晶パネル120の非駆動時における光の拡散も回避することができる。
【0051】
このように、本発明の実施形態の一つを適用することで、モアレの発生や光の着色が防止でき、照射範囲を任意に制御可能な照明装置を提供することができる。
【0052】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態で述べた照明装置100の変形例について述べる。第1実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については、割愛することがある。
【0053】
本変形例では、
図9Aと
図9Bの模式的上面図に示すように、下部電極130と上部電極132がそれぞれ傾くように配置される。より具体的には、下部電極130が延伸する方向が第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2間で異なる。同様に、上部電極132が延伸する方向が第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2間で異なる。第1の液晶パネル120-1の下部電極130が延伸する方向と第2の液晶パネル120-2の下部電極130が延伸する方向がなす角度(第1の角度)は、0°よりも大きく、5°以下または3°以下とすればよい。本実施例においては第1の角度は2°に設定されており、第1の液晶パネル120-1の下部電極130が延伸する方向はx方向に対して-1°傾き、第2の液晶パネル120-2の下部電極130が延伸する方向はx方向に対して+1°傾いている。各液晶パネル120において下部電極130と上部電極132は互いに直交するので、第1の液晶パネル120-1の上部電極132が延伸する方向と第2の液晶パネル120-2の上部電極132が延伸する方向がなす角度も第1の角度となる。なお、基板122と対向基板124が四角形である場合には、それぞれの液晶パネル120の下部電極130と上部電極132の少なくとも一方は基板122と対向基板124のいずれかの辺から傾く。
【0054】
このように、二つの液晶パネル120間において上部電極132の延伸方向が互いにずれ、かつ、下部電極130の延伸方向が互いにずれるように照明装置100を構成することにより、液晶の屈折率分布の周期性が大幅に低減し、モアレの発生をより効果的に抑制することができる。
【0055】
<第3実施形態>
本実施形態では、照明装置100とは異なる構造を有する照明装置170について述べる。第1、第2実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については、割愛することがある。照明装置170が照明装置100と異なる点の一つは、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2に加え、これらと同一の構成を有する第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4をさらに有する点である(
図10)。第3の液晶パネル120-3は、第2の液晶パネル120-2と第4の液晶パネル120-4の間に配置される。
【0056】
第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4の間では、下部電極130の延伸方向は互いに平行であり、また、上部電極132の延伸方向も平行である。ただし、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4の下部電極130の延伸方向は、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2の下部電極130の延伸方向と直交する。同様に、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4の上部電極132の延伸方向も、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2の上部電極132の延伸方向と直交する。例えば、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2に各々において下部電極130と上部電極132の延伸方向がそれぞれx方向とy方向である場合(
図4A、
図4B)、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4の各々において下部電極130と上部電極132の延伸方向は、それぞれy方向とx方向となる(
図11A、
図11B)。さらに、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4の第1の配向膜134の配向方向(
図11Aの白抜き矢印参照。)も第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2の第1の配向膜134のそれ(
図4Aの白抜き矢印参照。)と直交する。また、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4の第2の配向膜136の配向方向(
図11Bの白抜き矢印参照。)も第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2の第2の配向膜136のそれ(
図4Bの白抜き矢印参照。)と直交する。
【0057】
このように四つの液晶パネル120を積層することで、二つの液晶パネル120を積層した照明装置100と比較してさらに光を拡散することができるので、より広い範囲を照射可能な照明装置を提供することができる。また、詳細な説明は割愛するが、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4も、各下部電極群140において、下部電極130の間隔SL、下部電極130の幅WL、および下部電極130のピッチPLの少なくとも一つがばらつくように構成される。また、各上部電極群142において、上部電極132の間隔SU、上部電極132の幅WU、および上部電極132のピッチPLの少なくとも一つがばらつく。したがって、モアレの発生や光の着色を効果的に抑制できるとともに、照射範囲を任意に制御することができる。
【0058】
図12Aは、第1の液晶パネル120-1から第4の液晶パネル120-4からそれぞれ選択される一つの下部電極130をx方向とy方向に平行移動させてz方向に積層した模式図である。第2実施形態の変形例と同様に、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2の下部電極130の延伸方向V
L1とV
L2のなす角が第1の角度θ
1(
図12B参照。)となるように照明装置170を構成してもよい。さらに、照明装置170では、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4の下部電極130も、これらの延伸方向V
L3とV
L4がずれるように配置してもよい。延伸方向V
L3とV
L4がなす角度を第2の角度θ
2とすると(
図12A、
図12C参照。)、第1の角度θ
1と第2の角度θ
2は同一でもよく、異なってもよい。後者の場合、第2の角度θ
2は第1の角度θ
1よりも大きくてもよい。例えば、第2の角度θ
2は、0°よりも大きく10°以下の範囲から選択することができる。説明は割愛するが、各液晶パネル120において下部電極130と直交する上部電極132についても同様である。本実施形態においては第1の角度θ
1は2°に設定されており、第1の液晶パネル120-1の下部電極130が延伸する方向はx方向に対して-1°傾き、第2の液晶パネル120-2の下部電極130が延伸する方向はx方向に対して+1°傾いている。また、第2の角度θ
1は6°に設定されており、第3の液晶パネル120-3の下部電極130が延伸する方向はy方向に対して-3°傾き、第4の液晶パネル120-4の下部電極130が延伸する方向はy方向に対して+3°傾いている。
【0059】
このように、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4間においても下部電極130や上部電極132の延伸方向をずらすことにより、さらに効果的にモアレの発生を防止することができる。ここで、これら4枚の液晶パネルについて、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2とによって主として互いに交差する偏光成分を旋光、拡散させる。さらに、拡散させた偏光成分を第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4によって補助的に再度旋光、拡散させて色づきを低減させ、かつ拡散性を向上させる。これらの点を踏まえると、第1の角度θ1は入射光の最初の旋光と拡散に影響するため、上記第1の角度θ1を大きな角度とすると旋光と拡散が十分になされず、結果的に出射光の品質が劣化する。一方、第2の角度θ2をある程度の大きさに設定することにより、出射光の拡散性が増す。これらの点を踏まえ、特に第2の角度θ2を第1の角度θ1よりも大きくし、かつ、第2の角度θ2を0°~10°、より好ましくは3°~7°とすることにより、出射光の品質を維持しつつ、拡散性を向上させ、かつ色づきを抑制することができる。
【0060】
<第4実施形態>
本実施形態では、照明装置100、170と異なる構成を有する照明装置180について説明する。第1から第3実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については、説明を割愛することがある。照明装置180は、照明装置170と同様に、光源110上に順に積層される第1から第4の液晶パネル120-4を有するが、照明装置170と異なる点の一つとして、各液晶パネル120において、下部電極130と上部電極132の一方が単一の電極で構成される点が挙げられる。
【0061】
図13に照明装置180の模式的斜視図を示す。この図では、見やすさを考慮し、各液晶パネル120の下部電極130と上部電極132の一部だけが模式的に示されている。
図13に示すように、照明装置180では、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2のそれぞれの下部電極130が単一の下部電極130で構成される。第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2の各々において、単一の下部電極130は全ての上部電極132と重なってもよい。一方、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4では、それぞれの上部電極132が単一の上部電極132で構成される。第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4の各々においても、単一の上部電極132は全ての下部電極130と重なってもよい。
【0062】
このような構成においても、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2では、液晶層138の下部電極130側には屈折率分布は生じないが、上部電極132側に屈折率分布が生じる。このため、
図13に示すように、第1の液晶パネル120-1によって入射光の一方の成分(例えばS偏光成分)が拡散され、第2の液晶パネル120-2によって他方の成分(P偏光成分)が拡散する。同様に、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4では液晶層138の上部電極132側には屈折率分布は生じないが、下部電極130側に屈折率分布が生じるので、第3の液晶パネル120-3によって入射光の一方の成分(P偏光成分)が拡散され、第4の液晶パネル120-4によって他方の成分(S偏光成分)が拡散する。
【0063】
なお、
図14に示すように、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2のそれぞれの上部電極132を単一の上部電極132で構成し、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4のそれぞれの下部電極130を単一の下部電極130で構成してもよい。この場合でも、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2の各々において、単一の上部電極132は全ての下部電極130と重なってもよく、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4の各々において、単一の下部電極130は全ての上部電極132と重なってもよい。このような構成でも、
図14に示すように、
図13で示された構成と同様の光拡散が生じる。
【0064】
あるいは、
図15の模式的端面図に示すように、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2において上部電極132を設けず、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4に下部電極130を設けなくてもよい。この場合、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2において、第2の配向膜136は直接対向基板124と接してもよい。また、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4において、第1の配向膜134は直接基板122と接してもよい。
【0065】
あるいは、
図16に示すように、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2において下部電極130を設けず、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4に上部電極132を設けなくてもよい。この場合、第1の液晶パネル120-1と第2の液晶パネル120-2において、第1の配向膜134は直接基板122と接してもよく、第3の液晶パネル120-3と第4の液晶パネル120-4において、第2の配向膜136は直接対向基板124と接してもよい。
【0066】
図15、
図16に示す照明装置180においても、各液晶パネル120では、液晶層138の下部電極130側または上部電極132側で屈折率分布を発生させることができるので、照明装置170と同様に、入射光の両成分を拡散させることができる。また、各液晶パネル120では、下部電極130または上部電極132側のみを駆動すればよいため、液晶層138の厚さT
LCを低減することができ、このことは照明装置の厚さの低減に寄与する。また、光源110からの光が透過する電極数が1/2となるので、各液晶パネル120の光透過率が向上する。さらに、電極数を削減することができるので、より短時間かつ低コストで照明装置を提供することが可能となる。
【0067】
また、詳細は割愛するが、照明装置100と同様に、照明装置180においても、複数の下部電極130は、それぞれ各下部電極群140において間隔SL、幅WL、およびピッチPLの少なくとも一つがばらつくように配置され、複数の上部電極132もそれぞれ各上部電極群142において間隔SU、幅WU、およびピッチPUの少なくとも一つがばらつくように配置される。したがって、光の着色が防止されると同時に、拡散シートを用いることなくモアレの発生も防止することができる。
【実施例】
【0068】
本実施例では、照明装置100において下部電極130や上部電極132の間隔、幅、またはピッチにばらつきを持たせることにより、モアレの発生や色付きを抑制できることを予備的に証明した結果を示す。
【0069】
1.実験
液晶パネルとして、
図14に示す第1の液晶パネル120-1を作製した。具体的には、酸化ケイ素を含むアンダーコート(厚さ:200nm)が設けられた5cm×5cmのガラス基板上に、ITOを含むストライプ状に配列した合計250本の下部電極(長さ:40mm、厚さ:77nm)をスパッタリング法により作製した。対向基板としては、酸化ケイ素を含むオーバーコート(厚さ:200nm)が形成された5cm×5cmのガラス基板を用いた。上部電極として、下部電極と重なる単一のITO電極(40mm×40mm、厚さ:77nm)を対向基板のオーバーコート上にスパッタリング法を用いて形成した。基板と対向基板を光硬化性樹脂を含む封止剤を用いて固定し、これらの間にTN液
晶を注入した。液晶パネルにおける下部電極の幅を5μmから11μmの範囲で、間隔を5μmから15μmの範囲で、ピッチを10μmから20μmの範囲で変動させ、合計5つの液晶パネルを作製した。これらの液晶パネルの変動係数は表1の通りである。
【表1】
【0070】
作製した液晶パネルの隣接する下部電極間で位相が反転するように±15Vの交流電圧(周波数:60Hz)を印加し、この状態で白色光源を液晶パネルに照射した。光が液晶パネルを透過して白色紙上に形成する照射面を観察した。
【0071】
2.結果と考察
照射面の写真を
図17Aから
図17Eに示す。これらの図に示すように、作製した液晶パネルでは横電界は下部電極側だけに発生するので、一方向だけに光が拡散する。しかしながら、下部電極の間隔、幅、およびピッチのばらつきの着色やモアレの発生に対する効果を検証することは十分に可能である。
【0072】
図17Aに示すように、下部電極の間隔、幅、およびピッチにばらつきのない比較例であるパネルNo.1の場合には、光の着色が明確に観察され、かつ、モアレも明瞭に確認される。これに対し、幅を固定しつつ(変動係数が0.00)間隔とピッチにばらつきのあるパネルNo.2では、わずかに着色が観察されるものの、モアレは殆ど確認できなかった。さらに、幅、間隔、ピッチの全てにばらつきを与えたパネルNo.3から5では、着色とモアレのいずれも観察できなかった。以上の結果は、ストライプ状に配列される複数の下部電極の幅、間隔、ピッチの少なくとも一つにばらつきを持たせることにより、光の着色やモアレの発生を効果的に抑制できることを示している。上部電極の幅、間隔、ピッチのばらつきの影響は本実施例では検討されていないが、同様の結果が得られることが容易に予想される。
【0073】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0074】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0075】
100:照明装置、110:光源、112:反射板、112a:凹部、114:発光素子、116:駆動回路、118:端子、120:液晶パネル、120-1:第1の液晶パネル、120-2:第2の液晶パネル、120-3:第3の液晶パネル、120-4:第4の液晶パネル、122:基板、124:対向基板、126:アンダーコート、128:オーバーコート、130:下部電極、130-1:下部電極、130-2:下部電極、130a:下部電極、130b:下部電極、130c:下部電極、132:上部電極、132-1:上部電極、132-2:上部電極、132a:上部電極、132b:上部電極、132c:上部電極、134:第1の配向膜、136:第2の配向膜、138:液晶層、140:下部電極群、142:上部電極群、144:配線、144-1:配線、144-2:配線、146:配線、146-1:配線、146-2:配線、148:コンタクト、150:成分、152:成分、156:成分、158:成分、162:照射面、164:照射面、170:照明装置、180:照明装置