(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-03
(45)【発行日】2025-02-12
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20250204BHJP
H10D 30/66 20250101ALI20250204BHJP
H10D 84/80 20250101ALI20250204BHJP
H10D 84/83 20250101ALI20250204BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
H01L21/92 602J
H01L21/92 602Q
H01L21/92 602R
H10D30/66 102E
H10D30/66 102G
H10D30/66 103Q
H10D30/66 201C
H10D84/80 202A
H10D84/83 A
(21)【出願番号】P 2024562919
(86)(22)【出願日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2023045572
【審査請求日】2024-10-23
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩尚
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃
(72)【発明者】
【氏名】江口 宗博
(72)【発明者】
【氏名】油井 隆
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-129308(JP,A)
【文献】国際公開第2019/244384(WO,A1)
【文献】特開2009-266972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H10D 30/66
H10D 84/40
H10D 84/80-80/83
H10D 30/01
H10D 12/00-12/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、
前記半導体装置は、前記半導体装置の平面視において、第1の方向に長辺が延伸し、第2の方向に短辺が延伸する長方形の半導体チップを備え、
前記半導体チップは、
半導体基板を有する半導体層と、
前記平面視において、前記半導体チップを面積で二等分する一方である第1の領域の前記半導体層に形成された第1の縦型MOSトランジスタと、他方である第2の領域の前記半導体層に形成された第2の縦型MOSトランジスタとを備え、
前記半導体基板は、前記第1の縦型MOSトランジスタおよび前記第2の縦型MOSトランジスタの共通ドレイン領域として機能し、
前記第1の領域と前記第2の領域との境界線は、前記第2の方向に延伸する線分であり、
前記第1の縦型MOSトランジスタは、前記第1の領域における前記半導体チップの上面に、第1のゲートパッドと、複数の第1のソースパッドとを備え、
前記第2の縦型MOSトランジスタは、前記第2の領域における前記半導体チップの上面に、第2のゲートパッドと、複数の第2のソースパッドとを備え、
前記平面視において、前記第1のゲートパッド、前記複数の第1のソースパッド、前記第2のゲートパッド、および、前記複数の第2のソースパッドは、直径378[μm]未満の円形であって、
前記半導体チップの上面に、前記平面視において、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドのうちの、4個以上2nx個以下のソースパッドが、それぞれの中心が前記第1の方向に直線状に並んで配置される複数の第1の列状配置領域と、前記複数の第1のソースパッド、または、前記複数の第2のソースパッドのうちの、2個以上ny個以下のソースパッドが、それぞれの中心が前記第2の方向に直線状に並んで配置される複数の第2の列状配置領域とが配置され、
前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれの幅は、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドの直径のうちの最大の直径と等しく、前記複数の第2の列状配置領域のそれぞれの幅は、当該第2の列状配置領域に配置された前記2個以上ny個以下のソースパッドの直径のうちの最大の直径と等しく、
前記平面視において、前記長辺の長さをLx[μm]、前記短辺の長さをLy[μm]、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドの直径のうちの最大の直径をrs[μm]とすると、
nxは、nx<1/3×(Lx/rs-3)の関係が成立する最大の2以上の整数であり、
nyは、ny<2/3×(Ly/rs-1)の関係が成立する最大の2以上の整数であり、
前記平面視において、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドの最近接距離、ならびに、前記複数の第2の列状配置領域の最近接距離は、rs/2[μm]以上であり、前記第1のゲートパッドの直径、および、前記第2のゲートパッドの直径は、rs[μm]であり、
前記第1のゲートパッドは、前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のうちの、前記第1の領域において前記境界線に最近接する第2の列状配置領域よりも、前記境界線から離れて配置され、
前記第2のゲートパッドは、前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のうちの、前記第2の領域において前記境界線に最近接する第2の列状配置領域よりも、前記境界線から離れて配置され、
前記半導体装置は、さらに、前記第1のゲートパッド、前記複数の第1のソースパッド、前記第2のゲートパッド、および、前記複数の第2のソースパッドのそれぞれの真上の位置においてそれぞれに1対1で接触して接続された複数のボール型のバンプ電極を備える
半導体装置。
【請求項2】
前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域の最近接距離は、rs/2[μm]以上である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記平面視において、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドの直径は、rs[μm]である
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドの直径は、前記第1の領域において、前記境界線から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に減少し、前記第2の領域において、前記境界線から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に減少する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドの最近接距離は、前記第1の領域において、前記境界線から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に増加し、前記第2の領域において、前記境界線から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に増加する
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のうち、前記境界線を挟んで最近接で対向する第2の列状配置領域のそれぞれにおいて、前記2個以上ny個以下のソースパッドの直径は、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドの直径のうちの最小の直径と等しい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、前記複数のボール型のバンプ電極のうちの、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドのそれぞれの真上に位置するボール型のバンプ電極の、前記半導体チップの上面からの高さは、前記第1の領域において、前記境界線から最も離れたボール型のバンプ電極から、最も近いボール型のバンプ電極に向かう方向において、単調に増加し、前記第2の領域において、前記境界線から最も離れたボール型のバンプ電極から、最も近いボール型のバンプ電極に向かう方向において、単調に増加する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、前記複数のボール型のバンプ電極のうちの、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドのそれぞれの真上に位置するボール型のバンプ電極の表面積は、前記第1の領域において、前記境界線から最も離れたボール型のバンプ電極から、最も近いボール型のバンプ電極に向かう方向において、単調に増加し、前記第2の領域において、前記境界線から最も離れたボール型のバンプ電極から、最も近いボール型のバンプ電極に向かう方向において、単調に増加する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のうち、前記境界線を挟んで最近接で対向する第2の列状配置領域のそれぞれにおいて、前記2個以上ny個以下のソースパッドは、ny個である
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記平面視において、
前記第1のゲートパッドと、前記複数の第1のソースパッドのうち、前記第1のゲートパッドに最近接する第1のソースパッドとの距離は、rs
[μm]以上であり、かつ、前記複数の第1のソースパッドの最近接距離よりも大きく、
前記第2のゲートパッドと、前記複数の第2のソースパッドのうち、前記第2のゲートパッドに最近接する第2のソースパッドとの距離は、rs
[μm]以上であり、かつ、前記複数の第2のソースパッドの最近接距離よりも大きい
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記平面視において、
前記複数の第2の列状配置領域のそれぞれにおける、前記2個以上ny個以下のソースパッドのうちの、互いに隣接するソースパッド間の距離のうちの最長の距離である隣接最長距離は、前記第1の領域において、前記複数の第2の列状配置領域のうちの、前記境界線から最も離れた第2の列状配置領域から、最も近い第2の列状配置領域に向かう方向において単調に減少し、前記第2の領域において、前記複数の第2の列状配置領域のうちの、前記境界線から最も離れた第2の列状配置領域から、最も近い第2の列状配置領域に向かう方向において単調に減少し、
前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおける、前記4個以上2nx個以下のソースパッドの数は、前記複数の第1の列状配置領域のうちの、(1)前記長辺のうちの一方の長辺までの距離の方が、他方の長辺までの距離よりも短い2以上の第1の列状配置領域については、前記一方の長辺に最も近い第1の列状配置領域から、最も遠い第1の列状配置領域に向かう方向において、単調に減少し、(2)前記他方の長辺までの距離の方が、前記一方の長辺までの距離よりも短い2以上の第1の列状配置領域については、前記他方の長辺に最も近い第1の列状配置領域から、最も遠い第1の列状配置領域に向かう方向において、単調に減少する
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記平面視において、
前記複数の第1の列状配置領域のうちの、互いに隣接する第1の列状配置領域の一方の第1の列状配置領域における、前記4個以上2nx個以下のソースパッドのそれぞれの前記第2の方向における位置は、前記互いに隣接する第1の列状配置領域の他方の第1の列状配置領域における、前記4個以上2nx個以下のソースパッドのいずれの前記第2の方向における位置とも一致しない
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
rsは、196以上226以下、または、250以上280以下である
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドのうち、前記第1の領域において前記境界線から最も離れたソースパッドの直径、および、前記第2の領域において前記境界線から最も離れたソースパッドの直径は、250[μm]以上280[μm]以下であり、前記第1の領域において前記境界線に最も近いソースパッドの直径、および、前記第2の領域において前記境界線に最も近いソースパッドの直径は、196[μm]以上226[μm]以下である
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項15】
rsは150よりも大きく、
前記複数のボール型のバンプ電極の、前記半導体チップの上面からの高さは、70[μm]以上130[μm]以下であり、
前記複数のボール型のバンプ電極の、前記半導体チップの上面と平行な平面による断面積は、前記半導体チップの上面に近い方から遠い方へ向けて単調に減少する
請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体チップを実装基板に実装し、半導体チップと実装基板との間にアンダーフィル材を充填するケースが増えている。
【0005】
そこで、本開示は、半導体チップを備える半導体装置であって、半導体装置を実装基板に実装した後で、半導体チップと実装基板との間にアンダーフィル材を充填することに適した半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る半導体装置は、フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、前記半導体装置は、前記半導体装置の平面視において、第1の方向に長辺が延伸し、第2の方向に短辺が延伸する長方形の半導体チップを備え、前記半導体チップは、半導体基板を有する半導体層と、前記平面視において、前記半導体チップを面積で二等分する一方である第1の領域の前記半導体層に形成された第1の縦型MOSトランジスタと、他方である第2の領域の前記半導体層に形成された第2の縦型MOSトランジスタとを備え、前記半導体基板は、前記第1の縦型MOSトランジスタおよび前記第2の縦型MOSトランジスタの共通ドレイン領域として機能し、前記第1の領域と前記第2の領域との境界線は、前記第2の方向に延伸する線分であり、前記第1の縦型MOSトランジスタは、前記第1の領域における前記半導体チップの上面に、第1のゲートパッドと、複数の第1のソースパッドとを備え、前記第2の縦型MOSトランジスタは、前記第2の領域における前記半導体チップの上面に、第2のゲートパッドと、複数の第2のソースパッドとを備え、前記平面視において、前記第1のゲートパッド、前記複数の第1のソースパッド、前記第2のゲートパッド、および、前記複数の第2のソースパッドは、直径378[μm]未満の円形であって、前記半導体チップの上面に、前記平面視において、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドのうちの、4個以上2nx個以下のソースパッドが、それぞれの中心が前記第1の方向に直線状に並んで配置される複数の第1の列状配置領域と、前記複数の第1のソースパッド、または、前記複数の第2のソースパッドのうちの、2個以上ny個以下のソースパッドが、それぞれの中心が前記第2の方向に直線状に並んで配置される複数の第2の列状配置領域とが配置され、前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれの幅は、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドの直径のうちの最大の直径と等しく、前記複数の第2の列状配置領域のそれぞれの幅は、当該第2の列状配置領域に配置された前記2個以上ny個以下のソースパッドの直径のうちの最大の直径と等しく、前記平面視において、前記長辺の長さをLx[μm]、前記短辺の長さをLy[μm]、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドの直径のうちの最大の直径をrs[μm]とすると、nxは、nx<1/3×(Lx/rs-3)の関係が成立する最大の2以上の整数であり、nyは、ny<2/3×(Ly/rs-1)の関係が成立する最大の2以上の整数であり、前記平面視において、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドの最近接距離、ならびに、前記複数の第2の列状配置領域の最近接距離は、rs/2[μm]以上であり、前記第1のゲートパッドの直径、および、前記第2のゲートパッドの直径は、rs[μm]であり、前記第1のゲートパッドは、前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のうちの、前記第1の領域において前記境界線に最近接する第2の列状配置領域よりも、前記境界線から離れて配置され、前記第2のゲートパッドは、前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のうちの、前記第2の領域において前記境界線に最近接する第2の列状配置領域よりも、前記境界線から離れて配置され、前記半導体装置は、さらに、前記第1のゲートパッド、前記複数の第1のソースパッド、前記第2のゲートパッド、および、前記複数の第2のソースパッドのそれぞれの真上の位置においてそれぞれに1対1で接触して接続された複数のボール型のバンプ電極を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る半導体装置によると、半導体装置を実装基板に実装した後で、半導体チップと実装基板との間にアンダーフィル材を充填することに適した半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る半導体装置の構造の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る半導体装置が実施の形態に係る実装基板に実装されている様子の一例を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る半導体装置の構造の一例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る半導体チップの典型例の平面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係るパッドの直径と、実施の形態に係る熱処理後のボール型のバンプ電極の高さとの関係を示す模式図である。
【
図7A】
図7Aは、実施の形態に係る、第1のゲートパッドと複数の第1のソースパッドとの位置関係の一例、および、第2のゲートパッドと複数の第2のソースパッドとの位置関係の一例を示す平面図である。
【
図7B】
図7Bは、実施の形態に係る、第1のゲートパッドと複数の第1のソースパッドとの位置関係の一例、および、第2のゲートパッドと複数の第2のソースパッドとの位置関係の一例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る第2の列状配置領域における、ソースパッドの隣接最長距離を示す平面図である。
【
図9A】
図9Aは、実施の形態に係る熱処理後のボール型のバンプ電極の断面の一例を示す断面図である。
【
図9B】
図9Bは、実施の形態に係る熱処理後のボール型のバンプ電極の断面の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る、パッドの直径と、熱処理後のボール型のバンプ電極の高さと、熱処理前のボール型のバンプ電極の直径との関係を示す一覧表である。
【
図11A】
図11Aは、実施の形態に係る、ソースパッドの直径と、第2の列状配置領域に配置可能なソースパッドの個数との関係を示す折れ線グラフである。
【
図11B】
図11Bは、実施の形態に係る、ソースパッドの直径と、半導体チップの上面の面積に対する、ソースパッドの総面積の占有率との関係を示す折れ線グラフである。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る半導体装置の構造の他の一例を示す平面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態に係る半導体装置の構造の他の一例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、実施の形態に係る半導体装置の構造の他の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
従来、リチウムイオン電池の過充電保護、または/および、過放電保護の目的で使用される、ドレインを共有するデュアル構成の縦型MOSトランジスタからなる半導体チップが知られている。
【0010】
このような半導体チップには、比較的大きな電流が流れる。このため、半導体チップに流れる電流の電流経路の抵抗の低減、および、半導体チップの放熱性の向上が望まれる。
【0011】
一方で、上述したように、近年、半導体チップを実装基板に実装した後で、半導体チップと実装基板との間にアンダーフィル材を充填するケースが増えている。
【0012】
半導体チップと実装基板との間にアンダーフィル材を適切に充填するためには、半導体チップの実装面に、ボール型のバンプ電極を設置することが有効な施策となる。
【0013】
しかしながら、アンダーフィル材の浸透性を高めるために、ボール型のバンプ電極の間隔を広げると、半導体チップに流れる電流の電流経路の抵抗が大きくなり、また、半導体チップの放熱性が低下してしまう。逆に、半導体チップに流れる電流の電流経路の抵抗を低減するために、または/および、半導体チップの放熱性を向上させるために、ボール型のバンプ電極の間隔を狭めると、アンダーフィル材の浸透性が低下してしまう。
【0014】
そこで、発明者らは、ドレインを共有するデュアル構成の縦型MOSトランジスタからなる半導体チップを実装基板に実装した後の、アンダーフィル材の浸透を高めると共に、半導体チップに流れる電流の電流経路の高抵抗化を抑制し、半導体チップの放熱性の低下を抑制することができる半導体装置について、鋭意、実験、検討を行った。
【0015】
その結果、発明者らは、下記本開示に係る半導体装置に想到した。
【0016】
本開示の一態様に係る半導体装置は、フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、前記半導体装置は、前記半導体装置の平面視において、第1の方向に長辺が延伸し、第2の方向に短辺が延伸する長方形の半導体チップを備え、前記半導体チップは、半導体基板を有する半導体層と、前記平面視において、前記半導体チップを面積で二等分する一方である第1の領域の前記半導体層に形成された第1の縦型MOSトランジスタと、他方である第2の領域の前記半導体層に形成された第2の縦型MOSトランジスタとを備え、前記半導体基板は、前記第1の縦型MOSトランジスタおよび前記第2の縦型MOSトランジスタの共通ドレイン領域として機能し、前記第1の領域と前記第2の領域との境界線は、前記第2の方向に延伸する線分であり、前記第1の縦型MOSトランジスタは、前記第1の領域における前記半導体チップの上面に、第1のゲートパッドと、複数の第1のソースパッドとを備え、前記第2の縦型MOSトランジスタは、前記第2の領域における前記半導体チップの上面に、第2のゲートパッドと、複数の第2のソースパッドとを備え、前記平面視において、前記第1のゲートパッド、前記複数の第1のソースパッド、前記第2のゲートパッド、および、前記複数の第2のソースパッドは、直径378[μm]未満の円形であって、前記半導体チップの上面に、前記平面視において、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドのうちの、4個以上2nx個以下のソースパッドが、それぞれの中心が前記第1の方向に直線状に並んで配置される複数の第1の列状配置領域と、前記複数の第1のソースパッド、または、前記複数の第2のソースパッドのうちの、2個以上ny個以下のソースパッドが、それぞれの中心が前記第2の方向に直線状に並んで配置される複数の第2の列状配置領域とが配置され、前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれの幅は、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドの直径のうちの最大の直径と等しく、前記複数の第2の列状配置領域のそれぞれの幅は、当該第2の列状配置領域に配置された前記2個以上ny個以下のソースパッドの直径のうちの最大の直径と等しく、前記平面視において、前記長辺の長さをLx[μm]、前記短辺の長さをLy[μm]、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドの直径のうちの最大の直径をrs[μm]とすると、nxは、nx<1/3×(Lx/rs-3)の関係が成立する最大の2以上の整数であり、nyは、ny<2/3×(Ly/rs-1)の関係が成立する最大の2以上の整数であり、前記平面視において、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドの最近接距離、ならびに、前記複数の第2の列状配置領域の最近接距離は、rs/2[μm]以上であり、前記第1のゲートパッドの直径、および、前記第2のゲートパッドの直径は、rs[μm]であり、前記第1のゲートパッドは、前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のうちの、前記第1の領域において前記境界線に最近接する第2の列状配置領域よりも、前記境界線から離れて配置され、前記第2のゲートパッドは、前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のうちの、前記第2の領域において前記境界線に最近接する第2の列状配置領域よりも、前記境界線から離れて配置され、前記半導体装置は、さらに、前記第1のゲートパッド、前記複数の第1のソースパッド、前記第2のゲートパッド、および、前記複数の第2のソースパッドのそれぞれの真上の位置においてそれぞれに1対1で接触して接続された複数のボール型のバンプ電極を備える。
【0017】
上記構成の半導体装置によると、半導体装置をフェイスダウンで実装基板に実装した状態において、半導体チップと実装基板との間に、第2の方向に延伸するストレートな隙間が確保される。これにより、これらストレートな隙間を通って、半導体チップと実装基板との間にアンダーフィル材を流し込むことができる。
【0018】
また、一般に、長方形状である半導体チップを備える半導体装置を、リフローによりフェイスダウンで実装基板に実装する場合には、リフロー時の熱により、半導体チップが、半導体チップの長辺方向である第1の方向に沿って中央部が実装基板から離れる方向に湾曲することがあることが知られている。
【0019】
これに対して、上記構成の半導体装置によると、確保されるストレートな隙間は、第1の方向に直交する第2の方向に延伸する。このため、例えば、半導体装置を実装基板に実装する際に、半導体チップが第1の方向に沿って中央部が実装基板から離れる方向に湾曲したとしても、第1の方向に直交する第2の方向に延伸するストレートな隙間を通って、半導体チップと実装基板との間にアンダーフィル材を流し込むことができる。
【0020】
このため、上記構成の半導体装置によると、半導体装置を実装基板に実装する際に、半導体チップが湾曲するかしないかに関わらず、アンダーフィル材の浸透を高めることができる。
【0021】
また、上記構成の半導体装置によると、複数の第1のソースパッドおよび複数の第2のソースパッドの真上に備える複数のボール型のバンプ電極を比較的多く確保することができる。
【0022】
このため、上記構成の半導体装置によると、半導体装置を実装基板に実装した後で、半導体チップに流れる電流の電流経路の高抵抗化を抑制すること、および、半導体チップの放熱性の低下を抑制することができる。
【0023】
このように、上記構成の半導体装置によると、半導体装置を実装基板に実装した後の、アンダーフィル材の浸透を高めると共に、半導体チップに流れる電流の電流経路の高抵抗化を抑制し、半導体チップの放熱性の低下を抑制することができる。
【0024】
したがって、上記構成の半導体装置によると、半導体装置を実装基板に実装した後で、半導体チップと実装基板との間にアンダーフィル材を充填することに適した半導体装置が提供される。
【0025】
また、前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域の最近接距離は、rs/2[μm]以上であるとしてもよい。
【0026】
これにより、半導体装置をフェイスダウンで実装基板に実装した状態において、半導体チップと実装基板との間に、さらに、第1の方向に延伸するストレートな隙間が確保される。
【0027】
したがって、半導体装置を実装基板に実装した後で、さらに、アンダーフィル材の浸透を高めることができる。
【0028】
また、前記平面視において、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドの直径は、rs[μm]であるとしてもよい。
【0029】
これにより、半導体装置をフェイスダウンで実装基板に実装した状態において、さらに、半導体チップに流れる電流の電流経路の高抵抗化を抑制し、半導体チップの放熱性の低下を抑制することができる。
【0030】
また、前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドの直径は、前記第1の領域において、前記境界線から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に減少し、前記第2の領域において、前記境界線から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に減少するとしてもよい。
【0031】
一般に、ボール型のバンプ電極を円形のパッドの上に配置した状態で、ボール型のバンプ電極と円形のパッドとを接合させるために熱処理を行うと、熱処理後のボール型のバンプ電極の、半導体チップ表面からの高さは、円形のパッドの直径が減少すればするほど高くなる。
【0032】
このため、上記構成の半導体装置によると、半導体装置を実装基板に実装する際において、半導体チップが、第1の方向に沿って中央部が実装基板から離れる方向に湾曲する場合に、第1の方向と第2の方向とに直交する方向を第3の方向とすると、第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、ソースパッドのそれぞれの真上の位置のボール型のバンプ電極の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0033】
また、前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドの最近接距離は、前記第1の領域において、前記境界線から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に増加し、前記第2の領域において、前記境界線から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に増加するとしてもよい。
【0034】
上述した通り、一般に、ボール型のバンプ電極を円形のパッドの上に配置した状態で、ボール型のバンプ電極と円形のパッドとを接合させるために熱処理を行うと、熱処理後のボール型のバンプ電極の、半導体チップ表面からの高さは、円形のパッドの直径が減少すればするほど高くなる。また、円形のパッドの中心間の距離が等しい場合には、円形のパッドの最近接距離は、円形のパッドの直径が減少すればするほど大きくなる。すなわち、この場合、ボール型のバンプ電極の、半導体チップ表面からの高さは、パッドの最近接距離が増加すればするほど高くなると言える。
【0035】
このため、上記構成の半導体装置によると、半導体装置を実装基板に実装する際において、半導体チップが、第1の方向に沿って中央部が実装基板から離れる方向に湾曲する場合に、第1の方向と第2の方向とに直交する方向を第3の方向とすると、第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、ソースパッドのそれぞれの真上の位置のボール型のバンプ電極の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0036】
また、前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のうち、前記境界線を挟んで最近接で対向する第2の列状配置領域のそれぞれにおいて、前記2個以上ny個以下のソースパッドの直径は、前記複数の第1のソースパッド、および、前記複数の第2のソースパッドの直径のうちの最小の直径と等しいとしてもよい。
【0037】
上述した通り、一般に、ボール型のバンプ電極を円形のパッドの上に配置した状態で、ボール型のバンプ電極と円形のパッドとを接合させるために熱処理を行うと、熱処理後のボール型のバンプ電極の、半導体チップ表面からの高さは、円形のパッドの直径が減少すればするほど高くなる。
【0038】
このため、上記構成の半導体装置によると、半導体装置を実装基板に実装する際において、半導体チップが、第1の方向に沿って中央部が実装基板から離れる方向に湾曲する場合に、第1の方向と第2の方向とに直交する方向を第3の方向とすると、第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、ソースパッドのそれぞれの真上の位置のボール型のバンプ電極の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0039】
また、前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、前記複数のボール型のバンプ電極のうちの、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドのそれぞれの真上に位置するボール型のバンプ電極の、前記半導体チップの上面からの高さは、前記第1の領域において、前記境界線から最も離れたボール型のバンプ電極から、最も近いボール型のバンプ電極に向かう方向において、単調に増加し、前記第2の領域において、前記境界線から最も離れたボール型のバンプ電極から、最も近いボール型のバンプ電極に向かう方向において、単調に増加するとしてもよい。
【0040】
これにより、半導体装置を実装基板に実装する際において、半導体チップが、第1の方向に沿って中央部が実装基板から離れる方向に湾曲する場合に、第1の方向と第2の方向とに直交する方向を第3の方向とすると、第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、ソースパッドのそれぞれの真上の位置のボール型のバンプ電極の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0041】
また、前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、前記複数のボール型のバンプ電極のうちの、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドのそれぞれの真上に位置するボール型のバンプ電極の表面積は、前記第1の領域において、前記境界線から最も離れたボール型のバンプ電極から、最も近いボール型のバンプ電極に向かう方向において、単調に増加し、前記第2の領域において、前記境界線から最も離れたボール型のバンプ電極から、最も近いボール型のバンプ電極に向かう方向において、単調に増加するとしてもよい。
【0042】
上述した通り、一般に、ボール型のバンプ電極を円形のパッドの上に配置した状態で、ボール型のバンプ電極と円形のパッドとを接合させるために熱処理を行うと、熱処理後のボール型のバンプ電極の、半導体チップ表面からの高さは、円形のパッドの直径が減少すればするほど高くなる。また、一般に、ボール型のバンプ電極は、半導体チップ表面のからの高さが高くなるほど、その表面積が増加する。すなわち、ボール型のバンプ電極は、表面積が大きければ大きいほど、半導体チップ表面からの高さは高くなると言える。
【0043】
このため、上記構成の半導体装置によると、半導体装置を実装基板に実装する際において、半導体チップが、第1の方向に沿って中央部が実装基板から離れる方向に湾曲する場合に、第1の方向と第2の方向とに直交する方向を第3の方向とすると、第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、ソースパッドのそれぞれの真上の位置のボール型のバンプ電極の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0044】
また、前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のうち、前記境界線を挟んで最近接で対向する第2の列状配置領域のそれぞれにおいて、前記2個以上ny個以下のソースパッドは、ny個であるとしてもよい。
【0045】
上記構成の半導体装置において、半導体チップに流れる電流の電流経路のうち、複数の第2の列状配置領域のうち、境界線を挟んで最近接で対向する第2の列状配置領域に配置されたソースパッドを介して半導体チップに流れる電流の電流経路が、半導体チップ内において最も短い。
【0046】
このため、上記構成のように、複数の第2の列状配置領域のうち、境界線を挟んで最近接で対向する第2の列状配置領域に配置されたソースパッドの個数を、2個以上ny個以下のうちの最大の個数であるnyとすることで、半導体装置を実装基板に実装した後で、半導体チップに流れる電流の電流経路の高抵抗化を抑制することができる。
【0047】
また、前記平面視において、前記第1のゲートパッドと、前記複数の第1のソースパッドのうち、前記第1のゲートパッドに最近接する第1のソースパッドとの距離は、rs[μm]以上であり、かつ、前記複数の第1のソースパッドの最近接距離よりも大きく、前記第2のゲートパッドと、前記複数の第2のソースパッドのうち、前記第2のゲートパッドに最近接する第2のソースパッドとの距離は、rs[μm]以上であり、かつ、前記複数の第2のソースパッドの最近接距離よりも大きいとしてもよい。
【0048】
これにより、第1のゲートパッドと複数の第1のソースパッドのいずれかとの短絡、および、第2のゲートパッドと複数の第2のソースパッドのいずれかとの短絡を抑制することができる。
【0049】
また、前記平面視において、前記複数の第2の列状配置領域のそれぞれにおける、前記2個以上ny個以下のソースパッドのうちの、互いに隣接するソースパッド間の距離のうちの最長の距離である隣接最長距離は、前記第1の領域において、前記複数の第2の列状配置領域のうちの、前記境界線から最も離れた第2の列状配置領域から、最も近い第2の列状配置領域に向かう方向において単調に減少し、前記第2の領域において、前記複数の第2の列状配置領域のうちの、前記境界線から最も離れた第2の列状配置領域から、最も近い第2の列状配置領域に向かう方向において単調に減少し、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおける、前記4個以上2nx個以下のソースパッドの数は、前記複数の第1の列状配置領域のうちの、(1)前記長辺のうちの一方の長辺までの距離の方が、他方の長辺までの距離よりも短い2以上の第1の列状配置領域については、前記一方の長辺に最も近い第1の列状配置領域から、最も遠い第1の列状配置領域に向かう方向において、単調に減少し、(2)前記他方の長辺までの距離の方が、前記一方の長辺までの距離よりも短い2以上の第1の列状配置領域については、前記他方の長辺に最も近い第1の列状配置領域から、最も遠い第1の列状配置領域に向かう方向において、単調に減少するとしてもよい。
【0050】
また、前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のうちの、互いに隣接する第1の列状配置領域の一方の第1の列状配置領域における、前記4個以上2nx個以下のソースパッドのそれぞれの前記第2の方向における位置は、前記互いに隣接する第1の列状配置領域の他方の第1の列状配置領域における、前記4個以上2nx個以下のソースパッドのいずれの前記第2の方向における位置とも一致しないとしてもよい。
【0051】
また、rsは、196以上226以下、または、250以上280以下であるとしてもよい。
【0052】
また、前記平面視において、前記複数の第1の列状配置領域のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域に配置された前記4個以上2nx個以下のソースパッドのうち、前記第1の領域において前記境界線から最も離れたソースパッドの直径、および、前記第2の領域において前記境界線から最も離れたソースパッドの直径は、250[μm]以上280[μm]以下であり、前記第1の領域において前記境界線に最も近いソースパッドの直径、および、前記第2の領域において前記境界線に最も近いソースパッドの直径は、196[μm]以上226[μm]以下であるとしてもよい。
【0053】
また、rsは150よりも大きく、前記複数のボール型のバンプ電極の、前記半導体チップの上面からの高さは、70[μm]以上130[μm]以下であり、前記複数のボール型のバンプ電極の、前記半導体チップの上面と平行な平面による断面積は、前記半導体チップの上面に近い方から遠い方へ向けて単調に減少するとしてもよい。
【0054】
以下、本開示の一態様に係る半導体装置の具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ならびに、ステップ(工程)およびステップの順序等は、一例であって本開示を限定する趣旨ではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0055】
本開示において、第1の要素と第2の要素との距離とは、第1の要素の外周上の任意の点と、第2の要素の外周上の任意の点との間の距離のうちの、最も短い距離のことをいう。
【0056】
また、本開示において、複数の要素間の最近接距離とは、複数の要素のうちの、全ての2つの要素の組み合わせのそれぞれにおける当該2つの要素間の距離のうちの、最も短い距離のことをいう。
【0057】
また、本開示において、単調に変化するとは、広義の単調増加する関数であるまたは広義の単調減少する関数であることを意味する。すなわち、広義の単調増加する関数とは、x1<x2の場合にf(x1)≦f(x2)となる関数f(x)のことを言い、広義の単調減少する関数とは、x1<x2の場合にf(x1)≧f(x2)となる関数f(x)のことをいう。
【0058】
(実施の形態)
<半導体装置の構造>
以下、実施の形態に係る半導体装置の構造について説明する。実施の形態に係る半導体装置は、ドレインを共有する2個の縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが形成されたデュアル構成の半導体チップと、複数のボール型のバンプ電極とを備える半導体デバイスである。上記2個の縦型MOSトランジスタは、例えば、いわゆるトレンチ型MOSトランジスタである。ここでは、上記2個の縦型MOSトランジスタが、いわゆるトレンチ型MOSトランジスタであるとして説明する。
【0059】
図1は、実施の形態に係る半導体装置1の構造の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、半導体装置1は、半導体チップ2と、半導体チップ2の上面に配置された複数のボール型のバンプ電極3とを備える。
【0060】
より具体的には、半導体装置1は、半導体チップ2の上面において、後述する第1のゲートパッド119、後述する複数の第1のソースパッド111、後述する第2のゲートパッド129、および、後述する複数の第2のソースパッド121のそれぞれの真上の位置においてそれぞれに1対1で接触して接続された、すなわち、接合された複数のボール型のバンプ電極3を備える。
【0061】
複数のボール型のバンプ電極3は、例えば、はんだボール材を熱処理して形成される。
【0062】
図2は、半導体装置1が実装基板500に実装されている様子の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、半導体装置1は、実装基板500にフェイスダウン実装される。
【0063】
図2に示すように、半導体装置1が半導体チップ2の上面に複数のボール型のバンプ電極3を備えることにより、半導体装置1が実装基板500に実装された状態において半導体チップ2と実装基板500との間に隙間が確保される。このため、半導体装置1が実装基板500に実装された状態において、半導体チップ2と実装基板500との間に、アンダーフィル材を浸透させることができる。
【0064】
図3は、半導体装置1の構造の一例を示す平面図である。但し、
図3は、複数のボール型のバンプ電極3の図示を省略した図面となっている。このため、
図3は、半導体チップ2の平面図でもある。
【0065】
図3に示すように、半導体チップ2は、半導体装置1の平面視において、すなわち、半導体チップ2の平面視において、第1の方向(
図3中のX軸方向)に長辺が延伸し、第2の方向(
図3中のY軸方向)に短辺が延伸する長方形である。
【0066】
図4は、半導体装置1の構造の一例を示す断面図である。
図4は、
図3のI-Iにおける切断面を示す。
【0067】
図3、
図4に示すように、半導体チップ2は、金属層30と、半導体層40と、酸化膜34と、保護膜35と、半導体チップ2の平面視において半導体チップ2を面積で二等分する一方である第1の領域A1の半導体層40に形成された第1の縦型MOSトランジスタ10と、他方である第2の領域A2の半導体層40に形成された第2の縦型MOSトランジスタ20とを備える。
【0068】
ここで、半導体装置1の平面視において、第1の領域A1と第2の領域A2との境界線90は、第2の方向(
図3中のY軸方向)に延伸する線分である。
【0069】
境界線90とは、第1のソース電極11の部分13と、第2のソース電極21の部分23との間隔の中央位置をたどる仮想線と捉えてよい。また、有限の幅となるが、当該間隔そのものと捉えてよい。当該間隔の場合であっても、肉眼あるいは低倍率での外観では線として認識することができる。
【0070】
また、ここで、第1の縦型MOSトランジスタ10は、第1の領域A1に、第1のソース電極11と、
図3、
図4において図示されない第1のゲート電極19(後述する
図5において図示される)とを備え、第2の縦型MOSトランジスタ20は、第2の領域A2に、第2のソース電極21と、
図3、
図4において図示されない第2のゲート電極29(後述する
図5において図示される)とを備える。
【0071】
また、ここで、第1の縦型MOSトランジスタ10は、第1の領域A1における半導体チップ2の上面に、第1のゲートパッド119と、複数の第1のソースパッド111とを備え、第2の縦型MOSトランジスタ20は、第2の領域A2における半導体チップ2の上面に、第2のゲートパッド129と、複数の第2のソースパッド121とを備える。
【0072】
また、ここで、半導体装置1の平面視において、第1のゲートパッド119と、複数の第1のソースパッド111と、第2のゲートパッド129と、複数の第2のソースパッド121とは、直径378[μm]未満の円形である。
【0073】
本開示においては、半導体チップ2は、金属層30を備えるとして説明をするが、半導体チップ2は、必ずしも金属層30を備える構成に限定される必要はない。
【0074】
半導体層40は、半導体基板32と低濃度不純物層33とが積層されて構成される。
【0075】
半導体基板32は、半導体層40の下面側に配置され、第1導電型の不純物を含むシリコンからなる。
【0076】
低濃度不純物層33は、半導体層40の上面側に配置され、半導体基板32に接触して形成され、半導体基板32の第1導電型の不純物の濃度より低い濃度の第1導電型の不純物を含む。低濃度不純物層33は、例えば、エピタキシャル成長により半導体基板32上に形成されてもよい。
【0077】
酸化膜34は、半導体層40の上面に配置され、低濃度不純物層33に接触して形成される。
【0078】
保護膜35は、第1の縦型MOSトランジスタ10の上面、および、第2の縦型MOSトランジスタ20の上面を被覆する保護膜であって、複数の開口部を有する。
【0079】
ここで、保護膜35が、第1の縦型MOSトランジスタ10の上面、および、第2の縦型MOSトランジスタ20の上面を被覆するとは、半導体層40の平面視において、開口部を除く半導体チップ2のほぼ全面で保護膜35が製膜されている状態のことをいう。ここで、半導体チップ2のほぼ全面とは、半導体チップ2をウェーハからダイシングして切り出す際のダイシングマージンとして確保されたウェーハの領域のうち、ダイシング後の半導体チップ2の四辺にわずかに残った外周領域を除く、半導体チップ2の全面のことをいう。このため、この外周領域では、例外的に酸化膜34が半導体チップ2の上面に露出している。
【0080】
また、本開示でいう保護膜35の開口部とは、半導体装置1の平面視において、開口部の外周の全長が保護膜35で閉じている形状のことをいう。このため、半導体装置1の平面視において、開口部の外周の一部が、上記例外的に酸化膜34が半導体チップ2の上面に露出している外周領域と重複する形状は、本開示でいう保護膜35の開口部には該当しない。
【0081】
金属層30は、半導体基板32の下面に接触して形成され、銀、銅、ニッケル、または、これらの合金からなってもよいし、電極として機能することが可能な、導電率の良好な金属材料からなってもよい。なお、金属層30には、金属材料の製造工程において不純物として混入する金属以外の元素が微量に含まれていてもよい。
【0082】
第1の領域A1の低濃度不純物層33には、第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第1のボディ領域18が形成されている。第1のボディ領域18には、第1のゲート導体15、第1のゲート絶縁膜16、および、第1導電型の不純物を含む第1のソース領域14が形成されている。
【0083】
第1のソース電極11は部分12と部分13とからなり、部分12は、部分13を介して第1のソース領域14および第1のボディ領域18に接続されている。
【0084】
第1のゲート導体15は、
図3、
図4において図示されない第1のゲート電極19(後述する
図5において図示される)に、
図3、
図4において図示されない第1のゲート配線61(後述する
図5において図示される)を介して電気的に接続される。
【0085】
部分12は、ボール型のバンプ電極3に接触して接続される、すなわち、ボール型のバンプ電極3に接合される層であり、限定されない一例として、ニッケル、チタン、タングステン、パラジウムのうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。部分12の上面には、金などのめっきが施されてもよい。
【0086】
部分12の上面には、保護膜35の複数の開口部のそれぞれを介して半導体チップ2の上面に露出する複数の露出部を有している。これら複数の露出部のそれぞれが、複数の第1のソースパッド111に該当する。すなわち、複数の第1のソースパッド111のそれぞれは、部分12の複数の露出部のそれぞれである。
【0087】
部分13は、部分12と第1のソース領域14および第1のボディ領域18とを接続する層であり、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
【0088】
また、
図3、
図4において図示されない第1のゲート電極19(後述する
図5において図示される)の上面には、保護膜35の開口部を介して半導体チップ2の上面に露出する露出部を有している。この露出部が第1のゲートパッド119に該当する。すなわち、第1のゲートパッド119は、
図3、
図4において図示されない第1のゲート電極19(後述する
図5において図示される)の露出部である。
【0089】
第2の領域A2の低濃度不純物層33には、第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第2のボディ領域28が形成されている。第2のボディ領域28には、第1導電型の不純物を含む第2のソース領域24、第2のゲート導体25、および第2のゲート絶縁膜26が形成されている。
【0090】
第2のソース電極21は部分22と部分23とからなり、部分22は、部分23を介して第2のソース領域24および第2のボディ領域28に接続されている。
【0091】
第2のゲート導体25は、
図3、
図4において図示されない第2のゲート電極29(後述する
図5において図示される)に、
図3、
図4において図示されない第2のゲート配線62(後述する
図5において図示される)を介して電気的に接続される。
【0092】
部分22は、ボール型のバンプ電極3に接触して接続される、すなわち、ボール型のバンプ電極3に接合される層であり、限定されない一例として、ニッケル、チタン、タングステン、パラジウムのうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。部分22の上面には、金などのめっきが施されてもよい。
【0093】
部分22の上面には、保護膜35の複数の開口部のそれぞれを介して半導体チップ2の上面に露出する複数の露出部を有している。これら複数の露出部のそれぞれが、複数の第2のソースパッド121に該当する。すなわち、複数の第2のソースパッド121のそれぞれは、部分22の複数の露出部のそれぞれである。
【0094】
部分23は、部分22と第2のソース領域24および第2のボディ領域28とを接続する層であり、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
【0095】
また、
図3、
図4において図示されない第2のゲート電極29(後述する
図5において図示される)の上面には、保護膜35の開口部を介して半導体チップ2の上面に露出する露出部を有している。この露出部が第2のゲートパッド129に該当する。すなわち、第2のゲートパッド129は、
図3、
図4において図示されない第2のゲート電極29(後述する
図5において図示される)の露出部である。
【0096】
第1の縦型MOSトランジスタ10および第2の縦型MOSトランジスタ20の上記構成により、低濃度不純物層33の一部と半導体基板32とは、第1の縦型MOSトランジスタ10の第1のドレイン領域、および、第2の縦型MOSトランジスタ20の第2のドレイン領域が共通化された、共通ドレイン領域として機能する。すなわち、半導体基板32は、第1の縦型MOSトランジスタ10および第2の縦型MOSトランジスタ20の共通ドレイン領域として機能する。
【0097】
半導体チップ2において、例えば、第1導電型をN型、第2導電型をP型として、第1のソース領域14、第2のソース領域24、半導体基板32、および、低濃度不純物層33はN型半導体であり、かつ、第1のボディ領域18、および、第2のボディ領域28はP型半導体であってもよい。
【0098】
また、半導体チップ2において、例えば、第1導電型をP型、第2導電型をN型として、第1のソース領域14、第2のソース領域24、半導体基板32、および、低濃度不純物層33はP型半導体であり、かつ、第1のボディ領域18、および、第2のボディ領域28はN型半導体であってもよい。
【0099】
本開示においては、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20とが、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした、いわゆるNチャネル型トランジスタであるとして説明する。
【0100】
また、本開示においては、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20とが同様であるとして説明する。さらに言えば、本開示においては、第1の縦型MOSトランジスタ10の構造と第2の縦型MOSトランジスタ20の構造とが、半導体装置1の平面視において、境界線90を対称軸とする線対称の関係にあるとして説明する。
【0101】
図3に示すように、半導体チップ2の上面に、半導体装置1の平面視において、複数の第1のソースパッド111、および、複数の第2のソースパッド121のうちの、4個以上2nx(nxの定義については後述、
図3に示す例では、nxは4)個以下のソースパッドが、それぞれの中心が第1の方向に直線状に並んで配置される複数の第1の列状配置領域71(
図3中の第1の列状配置領域71A~第1の列状配置領域71Eに対応)と、複数の第1のソースパッド111、または、複数の第2のソースパッド121のうちの、2個以上ny(nyの定義については後述、
図3に示す例では、nyは4)個以下のソースパッドが、それぞれの中心が第2の方向に直線状に並んで配置される複数の第2の列状配置領域72(
図3中の第2の列状配置領域72A~第2の列状配置領域72Hに対応)とが配置される。
【0102】
ここで、半導体装置1の平面視において、複数の第1の列状配置領域71のそれぞれの幅は、当該第1の列状配置領域71に配置されたソースパッドの直径のうちの最大の直径と等しく、複数の第2の列状配置領域72のそれぞれの幅は、当該第2の列状配置領域72に配置されたソースパッドの直径のうちの最大の直径と等しい。
【0103】
また、ここで、半導体装置1の平面視において、半導体チップ2の長辺の長さをLx[μm]、短辺の長さをLy[μm]、複数の第1のソースパッド111、および、複数の第2のソースパッド121の直径のうちの最大の直径をrs[μm]とすると、nxは、nx<1/3×(Lx/rs-3)の関係が成立する最大の2以上の整数であり、nyは、ny<2/3×(Ly/rs-1)の関係が成立する最大の2以上の整数である。
【0104】
また、ここで、半導体装置1の平面視において、複数の第1のソースパッド111、および、複数の第2のソースパッド121の最近接距離、ならびに、複数の第2の列状配置領域72の最近接距離は、rs/2[μm]以上であり、第1のゲートパッド119の直径、および、第2のゲートパッド129の直径は、rs[μm]である。
【0105】
また、ここで、半導体装置1の平面視において、第1のゲートパッド119は、第1の領域A1において境界線90に最近接する第2の列状配置領域72よりも、境界線90から離れて配置され、第2のゲートパッド129は、第2の領域A2において境界線90に最近接する第2の列状配置領域72よりも、境界線90から離れて配置される。
【0106】
<半導体チップの典型例>
以下、半導体チップ2の典型例について説明する。
【0107】
図5は、半導体チップ2の典型例の平面図である。
図5において、第1のソース電極11、第1のゲート電極19、第1のゲート配線61、第2のソース電極21、第2のゲート電極29、および、第2のゲート配線62は、あたかも半導体チップ2の外部から視認することができるかの如く図示しているが、実際には、これらの構成要素を、半導体チップ2の外部から直接視認することはできない。
【0108】
図5に示すように、半導体チップ2は、典型的には、半導体装置1の平面視において、全てのパッドの直径が、同一の200[μm]であるとしてもよい。ここで、パッドとは、第1のゲートパッド119、複数の第1のソースパッド111、第2のゲートパッド129、および、複数の第2のソースパッド121のことをいう。
【0109】
また、半導体チップ2は、典型的には、半導体装置1の平面視において、長辺が3400[μm]であり、短辺が1960[μm]であるとしてもよい。
【0110】
また、半導体チップ2は、典型的には、複数の第1の列状配置領域71が5個であり、複数の第2の列状配置領域72が8個であるとしてもよい。
【0111】
また、半導体チップ2は、典型例には、全てのソースパッドが、複数の第1の列状配置領域71のうちのいずれか一つに配置され、かつ、複数の第2の列状配置領域72のうちのいずれか一つに配置されるとしてもよい。ここで、ソースパッドとは、複数の第1のソースパッド111、および、複数の第2のソースパッド121のことをいう。
【0112】
また、半導体チップ2は、典型例には、各第1の列状配置領域71に配置されるソースパッドの個数が、4個以上8個以下であり、各第2の列状配置領域72に配置されるソースパッドの個数が、2個以上5個以下であるとしてもよい。
【0113】
また、半導体チップ2は、典型的には、半導体装置1の平面視において、複数の第1の列状配置領域71の最近接距離は、150[μm]であり、複数の第2の列状配置領域72の最近接距離は、150[μm]であるとしてもよい。
【0114】
<考察>
以下、上記構成の半導体チップ2の構造について、
図2~
図4を参照しながら考察する。
【0115】
ボール型のバンプ電極3は、ボール型のバンプ電極3をパッドに接合させるための熱処理工程、および/または、実装基板への実装時において、半導体装置1の平面視において、パッドの外周から、最大でパッドの直径の1/4のはみ出し量のはみ出しが生じる可能性がある。このため、ボール型のバンプ電極3に熱処理を行ったとしても、互いに隣接するパッドの真上に位置するボール型のバンプ電極3同士が接触しないためには、パッドの配置位置は、このはみ出し量を加味して決定する必要がある。
【0116】
以下では、説明を必要以上に複雑なものとしないため、全てのソースパッドの直径が等しい、すなわち、最大の直径rs[μm]であるとして説明する。
【0117】
互いに隣接するソースパッドの双方において、それぞれの真上に位置するボール型のバンプ電極3からはみ出し量rs/4[μm]のはみ出しがあったとしても、それらボール型のバンプ電極3が接触しないようにするためには、互いに隣接するソースパッド間の距離は、(rs/4)×2=rs/2[μm]以上あればよい。
【0118】
互いに隣接するパッドの真上に位置するボール型のバンプ電極3同士が接触しなければ、アンダーフィル材の浸透が阻害されない。
【0119】
特に、互いに隣接する第2の列状配置領域72の距離がrs/2[μm]となることで、半導体チップ2と実装基板500との間に、第2の方向に延伸するストレートな隙間が確保される。これにより、これらストレートな隙間を通って、半導体チップ2と実装基板500との間にアンダーフィル材を流し込むことができる。
【0120】
半導体チップ2の長辺とボール型のバンプ電極3との間の距離は、第2の方向に沿ってボール型のバンプ電極3が半導体チップ2の外部に流動してしまうことを避けるために、rs/2[μm]以上あることが望ましい。さらに、先ほど述べた通り、ボール型のバンプ電極3は、ボール型のバンプ電極3をパッドに接合させるための熱処理工程、および/または、実装基板への実装時において、半導体装置1の平面視において、パッドの外周から、最大でパッドの直径の1/4のはみ出し量のはみ出しが生じる可能性があるため、半導体チップ2の長辺と、その近傍に位置するソースパッドとの距離は、rs/2+rs/4=rs×3/4[μm]以上であることが望ましい。
【0121】
これらのことから、第2の列状配置領域72において最大限に配置できるソースパッドの個数nyは、Ly-ny×rs≧(rs/2)×(ny-1)+rs×(3/4)×2の式が成立する最大の整数であればよいことがわかる。
【0122】
すなわち、nyは、ny<2/3×(Ly/rs-1)の関係が成立する最大の整数であればよいことがわかる。
【0123】
長方形状である半導体チップ2を備える半導体装置1を、リフローによりフェイスダウンで実装基板500に実装する場合には、リフロー時の熱により、半導体チップ2が、半導体チップ2の長辺方向である第1の方向に沿って中央部が実装基板500から離れる方向に湾曲することがあることが知られている。
【0124】
このため、半導体チップ2の短辺とボール型のバンプ電極3との間の距離は、第1の方向に沿ってボール型のバンプ電極3が半導体チップ2の外部に流動してしまうことを避けるためにrs×3/4[μm]以上あることが望ましい。
【0125】
また、半導体チップ2の中央部では、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20との短絡を防ぐために、境界線90とボール型のバンプ電極3との間の距離は、rs×3/4[μm]以上あることが望ましい。
【0126】
さらに、前述した通り、ボール型のバンプ電極3は、ボール型のバンプ電極3をパッドに接合させるための熱処理工程、および/または実装基板への実装時において、半導体装置1の平面視において、パッドの外周から、最大でパッドの直径の1/4のはみ出しが生じる可能性があるため、半導体チップ2の短辺と、その近傍に位置するソースパッドとの距離は、rs×3/4+rs/4=rs[μm]以上であることが望ましい。
【0127】
同様に、境界線90と、その近傍に位置するソースパッドとの距離は、rs×3/4+rs/4=rs[μm]以上であることが望ましい。
【0128】
これらのことから、第1の列状配置領域71において、第1の縦型MOSトランジスタ10の範囲だけを見たとき、最大限に配置できるソースパッド個数をnxとすると、nxは、Lx/2-nx×rs≧(rs/2)×(nx-1)+rs×2の式が成立する最大の整数であればよいことがわかる。
【0129】
第1の列状配置領域71において最大限に配置できるソースパッドの個数は、nxの2倍になるので、nx<1/3×(Lx/rs-3)の関係が成立する最大の整数nxの2倍であればよいことがわかる。
【0130】
半導体装置1の平面視において、境界線90を挟んで最近接で対向する2つの第2の列状配置領域72に挟まれる領域は、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20とが対向する対向領域であって、半導体チップ2に流れる電流の電流経路において、電流密度が最も高まる領域である。
【0131】
このため、この対向領域には、なるべく流れる電流を阻害する要因となるものを配置しないことが望ましい。
【0132】
したがって、半導体装置1の平面視において、第1のゲートパッド119は、第1の領域A1において境界線90に最近接する第2の列状配置領域72よりも、境界線90から離れて配置されることが望ましく、第2のゲートパッド129は、第2の領域A2において境界線90に最近接する第2の列状配置領域72よりも、境界線90から離れて配置されることが望ましい。
【0133】
上記構成の半導体装置1によると、半導体装置1をフェイスダウンで実装基板500に実装した状態において、半導体チップ2と実装基板500との間に、第2の方向に延伸するストレートな隙間が確保される。これにより、これらストレートな隙間を通って、半導体チップ2と実装基板500との間にアンダーフィル材を流し込むことができる。
【0134】
また、一般に、半導体装置1の平面視において長方形状である半導体チップ2を備える半導体装置1を、リフローによりフェイスダウンで実装基板500に実装する場合には、リフロー時の熱により、半導体チップ2が、半導体チップ2の長辺方向である第1の方向(
図3中のX軸方向)に沿って中央部が実装基板500から離れる方向に湾曲することがあることが知られている。
【0135】
これに対して、上記構成の半導体装置1によると、確保されるストレートな隙間は、第1の方向に直交する第2の方向(
図3中のY軸方向)に延伸する。このため、例え
ば、半導体装置1を実装基板500に実装する際に、半導体チップ2が第1の方向に沿って中央部が実装基板500から離れる方向に湾曲したとしても、第1の方向に直交する第2の方向に延伸するストレートな隙間を通って、半導体チップ2と実装基板500との間にアンダーフィル材を流し込むことができる。
【0136】
このため、上記構成の半導体装置1によると、半導体装置1を実装基板500に実装する際に、半導体チップ2が湾曲するかしないかに関わらず、アンダーフィル材の浸透を高めることができる。
【0137】
また、上記構成の半導体装置1によると、複数の第1のソースパッド111および複数の第2のソースパッド121の真上に備える複数のボール型のバンプ電極3を比較的多く、あるいは、可能な限り多く確保することができる。
【0138】
このため、上記構成の半導体装置1によると、半導体装置1を実装基板500に実装した後で、半導体チップ2に流れる電流の電流経路の高抵抗化を抑制すること、および、半導体チップ2の放熱性の低下を抑制することができる。
【0139】
このように、上記構成の半導体装置1によると、半導体装置1を実装基板500に実装した後の、アンダーフィル材の浸透を高めると共に、半導体チップ2に流れる電流の電流経路の高抵抗化を抑制し、半導体チップ2の放熱性の低下を抑制することができる。
【0140】
したがって、上記構成の半導体装置1によると、半導体装置1を実装基板500に実装した後で、半導体チップ2と実装基板500との間にアンダーフィル材を充填することに適した半導体装置が提供される。
【0141】
また、半導体装置1の平面視において、複数の第1の列状配置領域71の最近接距離は、rs/2[μm]以上であるとしてもよい。
【0142】
これにより、半導体装置1をフェイスダウンで実装基板500に実装した状態において、半導体チップ2と実装基板500との間に、さらに、第1の方向に延伸するストレートな隙間が確保される。
【0143】
また、半導体装置1の平面視において、複数の第1のソースパッド111、および、複数の第2のソースパッド121の直径は、rs[μm]であるとしてもよい。
【0144】
これにより、半導体装置1をフェイスダウンで実装基板500に実装した状態において、さらに、半導体チップ2に流れる電流の電流経路の高抵抗化を抑制し、半導体チップ2の放熱性の低下を抑制することができる。
【0145】
図6は、第1の方向(
図6中のX軸方向)と第2の方向(
図6中のY軸方向)とに直交する方向を第3の方向(
図6中のZ軸方向)とする場合において、パッド(
図6中の第1のゲートパッド119、複数の第1のソースパッド111、第2のゲートパッド129、および、複数の第2のソースパッド121)の直径と、熱処理後のボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2表面からの第3の方向における高さとの関係を示す模式図である。
【0146】
一般に、ボール型のバンプ電極3を形成するために使用するはんだボール材は、大きさの同じものを使用する。このため、熱処理を行うことでパッドの上面にボール型のバンプ電極3を接触して接続させる場合には、ボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2表面からの高さは、パッドの直径が減少すればするほど高くなる。
【0147】
したがって、
図6に示すように、半導体チップ2が第1の方向に沿って中央部が実装基板500から離れる方向に湾曲する場合には、パッドの直径を、境界線90からの距離が近ければ近い程小さくしておくことで、熱処理後のボール型のバンプ電極3の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0148】
すなわち、複数の第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域71に配置されたソースパッドの直径は、第1の領域A1において、境界線90から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に減少し、第2の領域A2において、境界線90から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に減少するとしてもよい。
【0149】
これにより、第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、ソースパッドのそれぞれの真上の位置のボール型のバンプ電極3の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0150】
ソースパッドの中心間の距離が等しい場合には、ソースパッドの最近接距離は、ソースパッドの直径が減少すればするほど大きくなる。すなわち、この場合、ソースパッドの直径は、ソースパッドの最近接距離が大きくなればなるほど小さくなる。
【0151】
このため、複数の第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域71に配置されたソースパッドの最近接距離は、第1の領域A1において、境界線90から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に増加し、第2の領域A2において、境界線90から最も離れたソースパッドから、最も近いソースパッドに向かう方向において、単調に増加するとしてもよい。
【0152】
これにより、第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、ソースパッドのそれぞれの真上の位置のボール型のバンプ電極3の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0153】
また、境界線90を挟んで最近接で対向する第2の列状配置領域72のそれぞれにおいて、ソースパッドの直径は、複数の第1のソースパッド111、および、複数の第2のソースパッド121の直径のうちの最小の直径と等しいとしてもよい。
【0154】
これにより、第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、ソースパッドのそれぞれの真上の位置のボール型のバンプ電極3の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0155】
また、複数の第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域71に配置されたソースパッドのそれぞれの真上に位置するボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2の上面からの高さは、第1の領域A1において、境界線90から最も離れたボール型のバンプ電極3から、最も近いボール型のバンプ電極3に向かう方向において、単調に増加し、第2の領域A2において、境界線90から最も離れたボール型のバンプ電極3から、最も近いボール型のバンプ電極3に向かう方向において、単調に増加するとしてもよい。
【0156】
これにより、第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、ソースパッドのそれぞれの真上の位置のボール型のバンプ電極3の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0157】
一般に、ボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2表面からの高さが高くなるほど、その表面積が増加する。すなわち、ボール型のバンプ電極3は、表面積が大きければ大きいほど、半導体チップ2表面からの高さは高くなる。
【0158】
このため、複数の第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域71に配置されたソースパッドのそれぞれの真上に位置するボール型のバンプ電極3の表面積は、第1の領域A1において、境界線90から最も離れたボール型のバンプ電極3から、最も近いボール型のバンプ電極3に向かう方向において、単調に増加し、第2の領域A2において、境界線90から最も離れたボール型のバンプ電極3から、最も近いボール型のバンプ電極3に向かう方向において、単調に増加するとしてもよい。
【0159】
これにより、第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、ソースパッドのそれぞれの真上の位置のボール型のバンプ電極3の、第3の方向における最高点の位置を比較的揃えることができる。
【0160】
また、半導体装置1において、境界線90を挟んで最近接で対向する第2の列状配置領域72に配置されたソースパッドを介して半導体チップ2に流れる電流が、半導体チップ2に流れる電流のうちで、半導体チップ2内における電流の流れる距離が最も小さくなる。
【0161】
このため、境界線90を挟んで最近接で対向する第2の列状配置領域72のそれぞれにおいて、ソースパッドはny個であるとしてもよい。すなわち、境界線90を挟んで最近接で対向する第2の列状配置領域72のそれぞれにおいて、ソースパッドの個数を、2個以上ny個以下のうちの最大の個数であるnyとしてもよい。
【0162】
これにより、半導体装置1を実装基板500に実装した後で、半導体チップ2に流れる電流の電流経路の高抵抗化を抑制することができる。
【0163】
図7A、
図7Bは、第1のゲートパッド119と複数の第1のソースパッド111との位置関係の一例、および、第2のゲートパッド129と複数の第2のソースパッド121との位置関係の一例を示す平面図である。
【0164】
図7A、
図7Bに示すように、第1のゲートパッド119と、第1のゲートパッド119に最近接する第1のソースパッド111との距離は、rs
[μm]以上であり、かつ、複数の第1のソースパッド111の最近接距離よりも大きく、第2のゲートパッド129と、第2のゲートパッド129に最近接する第2のソースパッド121との距離は、rs
[μm]以上であり、かつ、複数の第2のソースパッド121の最近接距離よりも大きいとしてもよい。
【0165】
これにより、第1のゲートパッドと複数の第1のソースパッドのいずれかとの短絡、および、第2のゲートパッドと複数の第2のソースパッドのいずれかとの短絡を抑制することができる。
【0166】
図8は、第2の列状配置領域72における、互いに隣接するソースパッド間の距離のうちの最長の距離である隣接最長距離を示す平面図である。
【0167】
図8に示すように、複数の第2の列状配置領域72における隣接最長距離は、第1の領域A1において、境界線90から最も離れた第2の列状配置領域72から、最も近い第2の列状配置領域72に向かう方向において単調に減少し、第2の領域A2において、境界線90から最も離れた第2の列状配置領域72から、最も近い第2の列状配置領域72に向かう方向において単調に減少し、複数の第1の列状配置領域71のそれぞれにおけるソースパッドの数は、(1)半導体チップ2の一方の長辺までの距離の方が、他方の長辺までの距離よりも短い2以上の第1の列状配置領域71については、一方の長辺に最も近い第1の列状配置領域71から、最も遠い第1の列状配置領域71に向かう方向において、単調に減少し、(2)他方の長辺までの距離の方が、一方の長辺までの距離よりも短い2以上の第1の列状配置領域71については、他方の長辺に最も近い第1の列状配置領域71から、最も遠い第1の列状配置領域71に向かう方向において、単調に減少するとしてもよい。
【0168】
さらには、
図8に示すように、複数の第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、最近接する半導体チップ2の長辺からの距離が1列ずつ遠くなるにつれて、当該第1の列状配置領域71に配置されるソースパッドの個数が2個ずつ減少するとしてもよい。
【0169】
これにより、
図8に示す位置に第1のゲートパッド119および第2のゲートパッド129を配置することで、第1のゲートパッド119と複数の第1のソースパッド111のいずれかとの短絡、および、第2のゲートパッド129と複数の第2のソースパッド121のいずれかとの短絡を抑制することができる。
【0170】
図9A、
図9Bは、熱処理を行うことでパッドの上面にボール型のバンプ電極3を接触して接続させた場合における、熱処理後のボール型のバンプ電極3の断面の一例を示す断面図である。
【0171】
図9Aは、ボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2の上面と平行な平面による断面積が、半導体チップ2の上面に近い方から遠い方へ向けて単調に減少する場合における断面図である。
【0172】
ここでは、
図9Aに示される形状のボール型のバンプ電極3のことを、ドーム状バンプ電極とも称する。
【0173】
図9Bは、ボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2の上面と平行な平面による断面積が、半導体チップ2の上面に近い方から遠い方へ向けて、一旦単調に増加した後において単調に減少する場合における断面図である。
【0174】
ここでは、
図9Bに示される形状のボール型のバンプ電極3のことを、非ドーム状バンプ電極とも称する。本開示では、ドーム
状バンプ電極も非ドーム
状バンプ電極も、共に、ボール型のバンプ電極3である。
【0175】
半導体装置1の製造上の困難を回避するためには、ボール型のバンプ電極3は、ドーム状バンプ電極であることが好ましいことがある。
【0176】
特に、熱処理を行うことでパッドの上面にボール型のバンプ電極3を接触して接続させた後の工程において、半導体チップ2の上面に水溶性の膜を形成する場合には、ボール型のバンプ電極3が、非ドーム状バンプ電極であるときには、水溶性の膜の形成が困難になることが知られている。
【0177】
また、半導体装置1が実装基板500に実装された状態における、半導体チップ2と実装基板500との間のアンダーフィル材の浸透性を確保する観点からは、熱処理後のボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2の上面からの高さが、70[μm]以上130[μm]以下であることが望ましい。
【0178】
熱処理を行うことでパッドの上面にボール型のバンプ電極3を接触して接続させた場合におけるパッドの半径をr[μm]とし、熱処理前のはんだボール材の半径をR[μm]とすると、熱処理後のボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2の上面からの高さH[μm]は、次の(式1)により表されることが知られている。
【0179】
【0180】
図10は、(式1)により求められる、パッドの直径(=2r)が、それぞれ、150[μm]、200[μm]、250[μm]、および、300[μm]である場合において、熱処理後のボール型のバンプ電極3の高さ(=H)を、70[μm]、100[μm]、および、130[μm]とするために必要となる、熱処理前のはんだボール材の直径(=2R)の値[μm]を示す一覧表である。
【0181】
図10に示されるように、パッドの直径が150[μm]である場合において、熱処理後のボール型のバンプ電極3の高さを130[μm]とするために必要となる、熱処理前のはんだボール材の直径は、164[μm]となる。すなわち、この場合には、熱処理後のボール型のバンプ電極3が非ドーム状バンプ電極になってしまう。
【0182】
このため、熱処理後のボール型のバンプ電極3がドーム状バンプ電極である範囲において、熱処理後のボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2の上面からの高さを、70[μm]以上130[μm]以下の所望の高さとするためには、パッドの直径は、150[μm]よりも大きくする必要がある。
【0183】
したがって、rsは150よりも大きく、複数のボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2の上面からの高さは、70[μm]以上130[μm]以下であり、複数のボール型のバンプ電極3の、半導体チップ2の上面と平行な平面による断面積は、半導体チップ2の上面に近い方から遠い方へ向けて単調に減少するとしてもよい。
【0184】
また、半導体チップ2が、半導体チップ2の長辺方向である第1の方向に沿って中央部が実装基板500から離れる方向に湾曲する場合には、その反り量は、30[μm]になることがあることが知られている。
【0185】
このため、このような場合において、半導体チップ2の短辺付近に位置するパッドの真上に配置されるボール型のバンプ電極3の高さを100[μm]にするときには、境界線90付近に位置するパッドの真上に配置されるボールの高さを130[μm]になるように、予め、パッドの直径を調整しておくことが望ましい。
【0186】
このため、このような場合には、
図10の矢印に示されるように、半導体チップ2の短辺付近に位置するパッドの直径を250[μm]程度とし、境界線90付近に位置するパッドの直径を、200[μm]程度と調整しておくことが望ましい。
【0187】
さらには、半導体チップ2の反り量に応じて、パッドの直径が、第1の方向において徐々に適切な値に変化するように調整しておくことが望ましい。
【0188】
図11Aは、半導体チップ2の長辺の長さLxが3400[μm]であり、短辺の長さLyが1960[μm]であり、全てのソースパッドの直径がrs1[μm]で揃っている場合における、ソースパッドの直径rs1[μm]と、第2の列状配置領域72に配置可能なソースパッドの個数ny1[個]との関係を示す折れ線グラフである。
【0189】
図11Aに示すように、1つの第2の列状配置領域72に配置可能なソースパッドの個数は、ソースパッドの直径に応じて、段階的に変化する。
【0190】
図11Aに示すように、ソースパッドの直径が378[μm]以上になると、1つの第2の列状配置領域72にソースパッドを1個しか配置することができなくなる。すなわち、第2の方向に列状にソースパッドを配置することができなくなる。このため、ソースパッドの直径は、378[μm]未満であることが望ましい。
【0191】
また、前述した通り、ソースパッドの直径は、150[μm]より大きくする必要がある。
【0192】
図11Bは、半導体チップ2の長辺の長さLxが3400[μm]であり、短辺の長さLyが1960[μm]であり、全てのソースパッドの直径がrs1[μm]で揃っている場合における、ソースパッドの直径rs1[μm]と、半導体チップ2の上面の面積に対する、半導体チップ2のソースパッドの総面積の占有率[%]との関係を示す折れ線グラフである。
【0193】
半導体チップ2に流れる電流の電流経路の高抵抗化を抑制するため、および、半導体チップ2の放熱性の低下を抑制するためには、半導体チップ2の上面の表面積に対する、半導体チップ2のソースパッドの総面積の占有率は、大きければ大きいほど望ましい。
【0194】
したがって、ソースパッドの直径は、
図11Bに示すように、半導体チップ2の上面の表面積に対する、半導体チップ2のソースパッドの総面積の占有率が極大となる226[μm]または280[μm]であることが望ましい。
【0195】
一方で、半導体チップ2を実際に製造する場合には、ソースパッドの直径は、製造バラツキにより、±15[μm]程度のバラツキが生じる。したがって、この製造バラツキを考慮して、ソースパッドの直径は、製造バラツキが発生したとしても226[μm]を超えない、または、280[μm]を超えないように、196[μm]以上226[μm]以下、または、250[μm]以上280[μm]以下であることが望ましい。
【0196】
さらには、半導体チップ2が第1の方向に沿って中央部が実装基板500から離れる方向に湾曲する可能性を考慮して、複数の第1の列状配置領域71のそれぞれにおいて、当該第1の列状配置領域71に配置されたソースパッドのうち、第1の領域A1において境界線90から最も離れたソースパッドの直径、および、第2の領域A2において境界線90から最も離れたソースパッドの直径は、250[μm]以上280[μm]以下であり、第1の領域A1において境界線90に最も近いソースパッドの直径、および、第2の領域A2において境界線90に最も近いソースパッドの直径は、196[μm]以上226[μm]以下であるとしてもよい。
【0197】
図12は、半導体装置1の構造の他の一例を示す平面図である。但し、
図12は、複数のボール型のバンプ電極3の図示を省略した図面となっている。このため、
図12は、半導体チップ2の平面図でもある。
【0198】
図12に示すように、半導体装置1の平面視において、第1のゲートパッド119および第2のゲートパッド129は、第2の列状配置領域72に配置されていなくてもよい。
【0199】
また、半導体装置1の平面視において、個々のソースパッドの最近接距離がrs/2[μm]以上であれば、第1の列状配置領域71の最近接距離は、rs/2[μm]未満であってもよい。
【0200】
また、半導体装置1の平面視において、複数の第1の列状配置領域71のうちの、互いに隣接する第1の列状配置領域71の一方の第1の列状配置領域71におけるソースパッドのそれぞれの第2の方向(
図12中のY軸方向)における位置は、互いに隣接する第1の列状配置領域71の他方の第1の列状配置領域71におけるソースパッドのいずれの第2の方向における位置とも一致しないとしてもよい。
【0201】
また、半導体装置1の平面視において、第1の列状配置領域71に配置されないソースパッドが存在していてもよい。すなわち、
図12に示すように、半導体装置1の平面視において、例えば、黒塗りされているソースパッドのように、4個より少ない2個のソースパッドが、それぞれの中心が第1の方向(
図12中のX軸方向)に直線状に並んで配置されるソースパッドが存在してもよい。
【0202】
図13は、半導体装置1の構造の他の一例を示す平面図である。但し、
図13は、複数のボール型のバンプ電極3の図示を省略した図面となっている。このため、
図13は、半導体チップ2の平面図でもある。
【0203】
図13に示すように、半導体装置1の平面視において、個々のソースパッドの最近接距離がrs/2
[μm]以上であれば、複数の第1の列状配置領域71のうちの、互いに隣接する第1の列状配置領域71の一方の第1の列状配置領域71と他方の第1の列状配置領域71とが重複していてもよい。
【0204】
また、半導体装置1の平面視において、同一の第2の列状配置領域72内において、互いに隣接するソースパッド間の最近接距離は同一でなくてもよい。すなわち、
図13に示すように、半導体装置1の平面視において、例えば、黒塗りされているソースパッド間の最近接距離は、それら黒塗りされているソースパッドを含む第2の列状配置領域72において、他の互いに隣接するソースパッド間の最近接距離よりも長くてもよい。
【0205】
図14は、半導体装置1の構造の他の一例を示す平面図である。但し、
図14は、複数のボール型のバンプ電極3の図示を省略した図面となっている。このため、
図14は、半導体チップ2の平面図でもある。
【0206】
図14に示すように、半導体装置1の平面視において、第2の列状配置領域72の最近接距離は、rs/2
[μm]と等しくてもよい。
【0207】
(補足)
以上、本開示の一態様に係る半導体装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、異なる変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本開示は、半導体装置等に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0209】
1 半導体装置
2 半導体チップ
3 ボール型のバンプ電極
10 第1の縦型MOSトランジスタ
11 第1のソース電極
12、13、22、23 部分
14 第1のソース領域
15 第1のゲート導体
16 第1のゲート絶縁膜
18 第1のボディ領域
19 第1のゲート電極
20 第2の縦型MOSトランジスタ
21 第2のソース電極
24 第2のソース領域
25 第2のゲート導体
26 第2のゲート絶縁膜
28 第2のボディ領域
29 第2のゲート電極
30 金属層
32 半導体基板
33 低濃度不純物層
34 酸化膜
35 保護膜
40 半導体層
61 第1のゲート配線
62 第2のゲート配線
71、71A、71B、71C、71D、71E 第1の列状配置領域
72、72A、72B、72C、72D、72E、72F、72G、72H 第2の列状配置領域
90 境界線
111 第1のソースパッド
119 第1のゲートパッド
121 第2のソースパッド
129 第2のゲートパッド
500 実装基板
A1 第1の領域
A2 第2の領域
【要約】
半導体装置(1)は、第1の方向に長辺が延伸し第2の方向に短辺が延伸する長方形の半導体チップ(2)を備え、半導体チップ(2)は、第1のゲートパッド(119)と複数の第1のソースパッド(111)とを備える第1の縦型MOSトランジスタ(10)と、第2のゲートパッド(129)と複数の第2のソースパッド(121)とを備える第2の縦型MOSトランジスタ(20)とを備え、半導体チップ(2)の上面に、ソースパッドが第1の方向に直線状に並んで配置される複数の第1の列状配置領域(71)と、ソースパッドが第2の方向に直線状に並んで配置される複数の第2の列状配置領域(72)とが形成され、半導体装置(1)は、さらに、第1のゲートパッド(119)、複数の第1のソースパッド(111)、第2のゲートパッド(129)、および、複数の第2のソースパッド(121)のそれぞれに接続する複数のボール型のバンプ電極(3)を備える。