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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】光学式内面測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20250205BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
G01B11/24 B
G01B11/30 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021059810
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022156224
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2024-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】Orbray株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大志
(72)【発明者】
【氏名】成田 憲士
(72)【発明者】
【氏名】舘山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】淺田 隆文
(72)【発明者】
【氏名】森本 正人
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-232539(JP,A)
【文献】特開2009-160658(JP,A)
【文献】特開2019-191050(JP,A)
【文献】国際公開第2017/168628(WO,A1)
【文献】特表2001-519026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0080588(US,A1)
【文献】特開2017-187335(JP,A)
【文献】特表2006-504095(JP,A)
【文献】特開平06-194149(JP,A)
【文献】特開平03-206947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に設けられた穴にプローブを挿入して該穴の内周面に光線を照射する光学式内面測定装置であって、
前記穴の内周面に照射した光線の反射光の強弱により前記穴の内周面の表面欠陥の有無を検出する検出手段と、
干渉光学法により前記穴の内周面を測定する測定手段と、
前記穴の内周面に照射する光線を、前記検出手段のための波長帯の第一照射光線と前記測定手段のための波長帯の第二照射光線とに分ける分光手段と、を備えることを特徴とする光学式内面測定装置。
【請求項2】
前記第二照射光線の波長は、前記第一照射光線の波長よりも100nm以上長いことを特徴とする請求項1記載の光学式内面測定装置。
【請求項3】
前記分光手段は、ショートパスダイクロイックミラーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学式内面測定装置。
【請求項4】
前記分光手段によって分光された前記第一照射光線は、前記プローブの先端側に配置された光路変換手段によって向きを変えて、前記穴の内周面に直接照射することを特徴とする請求項1~3何れか1項に記載の光学式内面測定装置。
【請求項5】
前記分光手段によって分光された前記第二照射光線は、前記分光手段の周囲を囲むように前記プローブに配置された透光性部材を介して前記穴の内周面に照射することを特徴とする請求項1~4何れか1項に記載の光学式内面測定装置。
【請求項6】
前記第一照射光線及び前記第二照射光線は、前記穴の内周面に対して回転照射され、
前記検出手段によって前記表面欠陥のあることを検出した後、
前記第二照射光線を前記表面欠陥に照射し、前記測定手段によって前記表面欠陥を含む前記内周面を測定することを特徴とする請求項1~5何れか1項に記載の光学式内面測定装置。
【請求項7】
前記透光性部材は略円筒形状であって、
前記透光性部材の断面形状寸法データを予めコンピュータに記憶させておき、
前記測定手段が前記穴の内周面を測定する際、回転放射した反射光を捉えて、前記透光性部材の内周面または外周表面から前記穴の内周面までの半径距離(ΔR1,ΔR2)と、予めコンピュータに記憶させておいた前記透光性部材の三次元形状の直径数値(D0)から、直径(D=D0+ΔR1+ΔR2)を計算し、
光路変換手段の回転振れおよび回転振動の影響を除外した補正後の三次元形状データを収集し計算する請求項5に記載の光学式内面測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式内面測定装置に関するものであって、特に、被測定物の穴の内面における傷などの検出、及び形状・深さ寸法及び幾何学精度を高精度に測定するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機械部品の内壁面のキズなどの表面欠陥を検出する方法として、検査対象物に光線を照射したときの反射光の強弱から検出する方法が一般的に知られている。この方法によれば、キズなどの有無を比較的高速で検出できるものの、そのキズなどの大きさ、深さ、形状等の寸法までを精度よく計測することはできない。
【0003】
上記、従来の方法に対して、機械部品の内壁面のキズなどを、その寸法を含め高精度に測定できる手段として、固定された透光性パイプを介して測定対象に光を照射し、その反射光と参照光との干渉光を解析するとともに透光性パイプを基準として補正する光学式内面測定装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示される光学式内面測定装置では高精度な測定を行える一方で、反射光の強弱からキズなどを検出する場合と比較して、測定結果を得るのに時間を要する。仮に、特許文献1に開示される光学式内面測定装置を用いて、反射光の強弱からキズなどの表面欠陥を検出しようとした場合、透光性パイプから反射して返ってきた光と検査対象物からの反射光とが、距離に応じて干渉を発生して光の強弱を生んでしまうので、正確な検出ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-232539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、被測定物の穴の内周面における傷などを、高精度且つ短時間で測定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための一手段は、被測定物に設けられた穴にプローブを挿入して該穴の内周面に光線を照射する光学式内面測定装置が、穴の内周面に照射した光線の反射光の強弱により穴の内周面の表面欠陥の有無を検出する検出手段と、干渉光学法により穴の内周面を測定する測定手段と、穴の内周面に照射する光線を検出手段のための波長帯の第一照射光線と前記測定手段のための波長帯の第二照射光線とに分ける分光手段とを備えることにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光学式内面測定装置は、被測定物の穴内周面の表面欠陥を検出して詳細に測定する場合の測定時間を、従来よりも大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明光学式測定装置のプローブでの測定のイメージを示す図である。
図1B】本発明光学式測定装置のプローブでの測定のイメージを示す図である。
図1C】本発明光学式測定装置のプローブでの測定のイメージを示す図である。
図2】本発明光学式測定装置の光学系構成イメージを示す図である。
図3】本発明光学式測定装置の実施例に係るプローブ部の構造図である。
図4】本発明光学式測定装置の実施例に係る全体構成図である。
図5】本発明光学式測定装置の実施例に係る動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態の特徴の一つは、被測定物に設けられた穴にプローブを挿入して該穴の内周面に光線を照射する光学式内面測定装置を、次のように構成したことにある。
穴の内周面に照射した光線の反射光の強弱により穴の内周面の表面欠陥の有無を検出する検出手段と、干渉光学法により穴の内周面を測定する測定手段と、穴の内周面に照射する光線を、検出手段のための波長帯の第一照射光線と測定手段のための波長帯の第二照射光線とに分ける分光手段とを備えるように構成したものである。
この構成によれば、被測定物の穴内周面に対して、同一プローブで欠陥検出と計測が可能となる為、表面欠陥を検出して詳細に測定する場合の測定時間を、従来よりも大幅に短縮することができる。
【0011】
他の特徴としては、上記の特徴に加え、第二照射光線の波長を、第一照射光線の波長よりも100nm以上長くしたことにある。
この構成によれば、第一照射光線と第二照射光線とを波長によって容易に分けることができる。
【0012】
他の特徴としては、上記の特徴に加え、第一照射光線と測定手段のための波長帯の第二照射光線とに分ける分光手段に、ショートパスダイクロイックミラーを用いたことにある。
この構成によれば、比較的簡易な構造によって分光することができるので、プローブの小型化を図ることができる。
【0013】
他の特徴としては、上記の特徴に加え、分光手段によって分光された第一照射光線は、プローブの先端側に配置された光路変換手段によって向きを変えて、測定対象である穴の内周面に直接照射するようにしたことにある。
この構成によれば、測定対象との間に透光性部材がある場合と比べて寸法差による干渉(光の強弱)が生じないので、被測定物の穴内周面における欠陥検出をより正確に行うことができる。
【0014】
他の特徴としては、上記の特徴に加え、分光手段によって分光された第二照射光線は、分光手段の周囲を囲むようにプローブに配置された透光性部材を介して穴の内周面に照射することにある。
この構成によれば、内周面の三次元形状データの取得において透光性パイプを基準とすることができるので、振動の影響やノイズを除去し、正しい内周面の三次元形状データが取得できる。
【0015】
他の特徴としては、上記の特徴に加え、第一照射光線及び前記第二照射光線は、穴の内周面に対して回転照射され、検出手段によって表面欠陥のあることを検出した後、第二照射光線を表面欠陥に照射し、測定手段によって前記表面欠陥を含む前記内周面を測定することにある。
この構成によれば、表面欠陥を含む、円筒内周面の状態の測定を短時間で行うことができる。
【0016】
他の特徴としては、上記の特徴に加え、測定手段が測定を行う際に、透光性部材の断面形状寸法データを予め校正段階で計測してコンピュータに記憶させておく。そして、被測定物の寸法測定を行う際は、回転放射した反射光を捉えて、透光性パイプ(透光性部材)内周面または外周表面から被測定物の内周面までの半径距離(ΔR1,ΔR2)と、予めコンピュータに記憶させておいた、透光性パイプ(透光性部材)三次元形状の直径数値(D0)から、直径(D=D0+ΔR1+ΔR2)を計算することにより、光路変換手段の回転振れおよび回転振動の影響を除外した、補正後の三次元形状データを収集し計算するものである。
この構成によれば、測定手段の内周面測定は、常に寸法が精密に校正された透光性パイプ基準との比較測定を行う事が可能になり、測定繰り返し再現性が大変良好な測定機が得られる。

【0017】
ここから、本実施の形態のイメージを図1A~Cと図2を参照しながら説明する。
図1A~Cは、本実施の形態の光学式測定装置のプローブ部における測定イメージを示す図である。
図2は、本実施の形態の光学式測定装置の光学系構成イメージを示す図である。
【0018】
まず、図1A~Cを用いて、プローブ部における測定イメージを説明する。
図1Aは、被測定物(O)の穴の内周面(Os)に対して、プローブ(P)から欠陥検出用レーザのレーザ光(La)と計測用レーザのレーザ光(Lb)を照射している状態を示す。
図1Bは、被測定物(O)の穴の内周面(Os)におけるキズなどの欠陥部分(sd)に対して、欠陥検出用レーザのレーザ光(La)を照射している状態を示す。
図1Cは、被測定物(O)の穴の内周面(Os)におけるキズなどの欠陥部分(sd)に対して、計測用レーザのレーザ光(Lb)を照射している状態を示す。
【0019】
プローブ(P)は、被測定物(O)の穴の軸方向に沿って移動可能である。
図1Aに示す状態のように、プローブを被測定物(O)の穴に挿入し、穴の内周面に対して、欠陥検出用レーザのレーザ光(La)と計測用レーザのレーザ光(Lb)を回転しながら照射する。
プローブ(P)は、被測定物(O)の穴の内周面(Os)に対して、レーザ光(La,Lb)を回転照射しながら、穴の軸方向に沿って移動する〔図1A図1B〕。
図1Bに示す状態のように、穴の内周面におけるキズなどの欠陥部分に欠陥検出用レーザのレーザ光(La)が照射されることによって、欠陥検出を行うことができる。
欠陥検出を行うと、欠陥部分(sd)に計測用レーザのレーザ光(Lb)を照射できる位置にプローブ(P)が移動する〔図1B図1C〕。
図1Cに示す状態のように、欠陥部分(sd)に計測用レーザのレーザ光(Lb)を照射して、詳細に測定する。
【0020】
次に、図2を用いて、測定における光学系の構成について説明する。
尚、図2において、図1と対応する構成部位については、図1と同じ符号を用いている。
【0021】
欠陥検出用レーザ波長帯のレーザ装置と計測用レーザ波長帯のレーザ装置とを別々に用意する。欠陥検出用レーザ波長帯のレーザ装置としては、例えば、赤色発振のHe-Neレーザ(波長632.8 nm)装置を用いる。また、計測用レーザ波長帯のレーザ装置は、例えば、波長を欠陥検出用レーザの波長よりも100nm以上長く設定した広帯域光源(SLD光源)装置を用いる。より具体的には、波長が632.8 nmのHe-Neレーザ装置を欠陥検出用レーザに用いた場合は、波長を732.8 nm以上に設定した広帯域光源装置を計測用レーザに用いる。
【0022】
欠陥検出用レーザのレーザ光(La)と計測用レーザのレーザ光(Lb)は、各々別の光ファイバーに導入する。
【0023】
欠陥検出用レーザのレーザ光(La)は1本の光ファイバー内を伝搬し、光カプラ(c1)によって2本の光ファイバーに分岐される。
【0024】
光カプラ(c1)によって分岐されたレーザ光(La)の一方は、フォトダイオード(f1)に取り込まれる。そして、このときのフォトダイオード(f1)の出力値をコンピュータ(PC)に記憶する。
【0025】
光カプラ(c1)によって分岐されたレーザ光(La)のもう一方は、光カプラ(c2)によって、計測用レーザのレーザ光(Lb)と結合されて、1本の光ファイバーに導入される。
【0026】
光カプラ(c2)によって、1本の光ファイバーに導入された、レーザ光(La)とレーザ光(Lb)は、光カプラ(c3)を介してプローブ(P)につながる1本の光ファイバーに導入される。
【0027】
光カプラ(c3)によって、1本の光ファイバーに導入された、レーザ光(La)とレーザ光(Lb)は、プローブ(P)内のダイクロイックミラー(d1)に対して45度で入射する。
【0028】
プローブ(P)内のダイクロイックミラー(d1)に対して45度で入射したレーザ光の内、欠陥検出用レーザのレーザ光(La)は、ダイクロイックミラー(d1)を透過する。一方、計測用レーザのレーザ光(Lb)は、ダイクロイックミラー(d1)によって45度で反射する。
【0029】
ダイクロイックミラー(d1)を透過したレーザ光(La)は、ミラー(m)に45度で入射して反射する。ミラー(m)で反射したレーザ光(La)は、被測定物の対象表面に向かって照射される。レーザ光(La)は、被測定物の対象表面で反射して、戻り光がミラー(m)に45度で入射して反射することで、レーザ光(La)は、再びダイクロイックミラー(d1)に向かう。そして、レーザ光(La)は、再びダイクロイックミラー(d1)を透過する。
【0030】
ダイクロイックミラー(d1)で反射した計測用レーザのレーザ光(Lb)は、透光性部材(t1)を透過して被測定物の対象表面に向かって照射される。レーザ光(Lb)は、被測定物の対象表面で反射した光線と透光性部材(t1)を基準として一部反射した光線との干渉光として、再びダイクロイックミラー(d1)に向かう。そして、レーザ光(Lb)は、再びダイクロイックミラー(d1)に45度で入射して反射する。
【0031】
再びダイクロイックミラー(d1)を透過したレーザ光(La)と、再びダイクロイックミラー(d1)で反射されたレーザ光(Lb)は、光カプラ(c3)につながる1本の光ファイバーに再び導入される。
【0032】
被測定物の対象表面(Os)で反射した戻り光のレーザ光(La)とレーザ光(Lb)は、光カプラ(c3)を介して、光源のレーザ装置からプローブ(P)に向けた出射時とは別の光ファイバーに導入される。そして、この光ファイバーに導入された、レーザ光(La)とレーザ光(Lb)は、光学式測定装置本体(B)内のダイクロイックミラー(d2)に入射される。
【0033】
ダイクロイックミラー(d2)によって、レーザ光(La)とレーザ光(Lb)は分離される。
【0034】
ダイクロイックミラー(d2)によって分離されたレーザ光(La)は、フォトダイオード(f2)に取り込まれる。そして、このときのフォトダイオード(f2)の出力値をコンピュータ(PC)に記憶する。
【0035】
ダイクロイックミラー(d2)によって分離されたレーザ光(Lb)は、干渉光解析用の分光器(s1)に導入される。そして、レーザ光(Lb)を分光器(s1)で波長ごとに分光し、各波長の光強度を得る。ここで得られる各波長の光強度の波形データをコンピュータ(PC)に取り込んで解析する。
【実施例
【0036】
次に、より具体的な実施例を、図3~5に基づいて詳細に説明する。
【0037】
図3は、本実施例の光学式測定装置におけるプローブ1の構造図である。プローブ1の内部構造を示すために一部を断面で表している。
【0038】
プローブ1は主に、モータ10、光路変換ユニット20、光ファイバーユニット30、透光性パイプユニット40で構成されている。
【0039】
モータ10は、ハウジング11、ロータマグネット12、中空回転軸13、軸受14a、14b、コイル15などによって構成されている。
ロータマグネット12は、長尺円筒状であって、円筒外周面にN極とS極が交互に現れるように配置した永久磁石である。中空回転軸13は、マグネット11の中心部に貫通状に挿通され、その前後端部側を、それぞれロータマグネット12の前後端部から突出させている。ロータマグネット12と中空回転軸13とは、一体に固定されており、モータ10のロータ部を構成している。軸受14a、14bによって、中空回転軸13を軸方向の両側で回転自在に支持している。ロータマグネット12の円筒外周面に対向するように、3つのコイル15がハウジング11と一体に固定配置されている。3つのコイル15に順次通電することにより、ロータ部であるロータマグネット12と中空回転軸13とを回転させることができる。
【0040】
光路変換ユニット20は、ミラー保持部材21、接続フランジ22、ダイクロイックミラー23、反射ミラー24などによって構成されている。
ミラー保持部材21は、接続フランジ22、ダイクロイックミラー23、反射ミラー24を固定保持している。接続フランジ22は段付き円筒形状をしており、その中心部を中空回転軸13が貫通するように位置して、光路変換ユニット20とモータ10とを接続している。ダイクロイックミラー23は、光の波長域に応じて透過帯域と反射帯域を備えるショートパスダイクロイックミラーであって、分光手段として機能する。例えば、ショートパスダイクロイックミラーには、カットオフ波長が650nmで、透過帯域を410nm~633nm、反射帯域を685nm~1600nmとしたものがあって、これを使用できる。反射ミラー24は、プローブ1の先端側に位置するように、ミラー保持部材21に固定されている。
【0041】
光ファイバーユニット30は、光ファイバー31、第一レンズ32、第二レンズ33、レンズ保持部材34などによって構成されている。
光ファイバー31の一端側は、中空回転軸13に挿通されている。
第一レンズ32は、光ファイバー31の一端に接合されている。この第一レンズ32は、光ファイバー31からの光線を拡大して第二レンズ33に向かって出射するとともに、被測定物からの戻り光を集光して光ファイバーに導入する機能を有する。
第二レンズ33は、レンズ保持部材34を介して、第一レンズ32に対向する位置に配置されている。この第二レンズ33は、光ファイバー31から第一レンズ32を通過してきた光線を概ね平行にして、ダイクロイックミラー23に向かって出射するとともに、被測定物からの戻り光を集光して、第一レンズ32に向かって出射する機能を有する。
レンズ保持部材34は、ミラー保持部材21の内側にあって、光ファイバー31と一体に固定されている。
【0042】
透光性パイプユニット40は、透光性パイプ41、上カバー42、下カバー43、支柱44、固定板45、接続板46などによって構成されている。
透光性パイプ41は、透光性の部材によって中空円筒形状に形成されており、その内周面が、光路変換ユニット20のダイクロイックミラー23に対向するように配置されている。透光性パイプ41の軸方向両側には、上カバー42、下カバー43が備わる。上カバー42及び下カバー43は、光路変換ユニット20を挿通できるように穴が開いた円盤形状をしている。上カバー42には、複数の支柱44が取り付けられている。複数の支柱44は、上カバー42の反対側で固定板45に固定されている。更に固定板45と一体に固定されている接続板46を介して、モータ10のハウジング11に固定されている。
【0043】
図4は本実施例の光学式内面測定装置の全体構成図である。主要な構成要素として、プローブ1、装置本体50、測定台60がある。
【0044】
プローブ1は、測定台60に固定されている。また、プローブ1のモータ10の反出力側からチューブ35が装置本体50に接続されている。チューブ35は、可撓性のチューブであって、内部に光ファイバー31が通っている。
【0045】
装置本体50は、欠陥検出用レーザ装置、計測用レーザ装置、光カプラ、ダイクロイックミラー、分光器などの図2で説明した各光学系要素、解析用のコンピュータ、プローブ1のモータ10の駆動回路などを内部に収納している。また、解析結果を表示するモニタ51を備える。
【0046】
測定台60は、ベース61にスタンド62が固定され、スライダ用モータ63によりスライダ64がプローブ1と共に上下に移動する。被測定物70はベース61に固定された芯合わせ冶具65にセットされており、光プローブ1が被測定物70の深穴70hに出入りする。
【0047】
図5は、本実施例の光学式内面測定装置における測定方法及び測定装置の動作フロー図である。
測定は以下の手順で行われる。
【0048】
〔1〕ワークセット
芯合わせ治具65に被測定物70をセットする。
【0049】
〔2〕欠陥検出用レーザ光の走査
スライダ用モータ63を動作させる事で、プローブ1を被測定物70の穴70hに挿入させる。プローブ1が穴70hの軸方向に移動しながら穴70hの内周面に欠陥検出用レーザのレーザ光を回転照射することで、穴70hの内周面に対して欠陥検出用レーザ光を走査する。
【0050】
〔3〕欠陥部の検出
予め装置本体50のコンピュータに記憶していた欠陥検出用レーザのレーザ光のフォトダイオードによる出力値と、穴70hの内周面に対して照射したレーザ光の戻り光を受けたフォトダイオードの出力値との比較によって、穴70hの内周面における凹凸傷などの欠陥部位の有無と位置を特定する。
【0051】
〔4〕スライダ早送り
特定した欠陥部位に対して、計測用レーザのレーザ光を照射できる位置に、スライダ用モータ63によりスライダ64を早送りしてプローブ1を移動する。
【0052】
〔5〕光干渉による内周面測定
欠陥部位を含む内周面に対して、計測用レーザのレーザ光を照射し、その戻り光から光干渉法により精密な立体データを取得する。
穴70hの内周面に、複数の欠陥部位がある場合には、〔4〕のステップに戻り、次の欠陥部位に対して、計測用レーザのレーザ光を照射できる位置にプローブ1を移動した上で、同様に計測する。
全ての欠陥部位について、測定を完了したら次のステップに移る。
【0053】
〔6〕結果表示
取得した光干渉による測定データから、凹凸傷などの欠陥部位の面積の大きさ、深さ等の解析結果をモニタ51表示する。
【0054】
〔7〕測定データの保存
測定結果データをコンピュータ内の記憶装置に保存し終了する。
【0055】
ここで、本実施例の光学式内面測定装置において、図3に示すように、透光性パイプ41を、その内周面が、光路変換ユニット20のダイクロイックミラー23に対向するように配置したことによる作用効果について説明する。
透光性パイプ41の内周面または外周面の直径と三次元形状データまたは二次元断面形状データは、予めコンピュータに記憶させている。被測定物70(図4)の穴70hの内周面測定を行う際、プローブ1から回転放射した計測用レーザのレーザ光の反射光を捉えて、透光性パイプ41の内周面または外周表面から被検査対象物の内周面までの半径方向の距離を得る。予めコンピュータに記憶させた透光性パイプ41の内周面(外周面)の直径をD0とし、直径D0方向における、透光性パイプ41の内周面(外周面)から被検査対象物の内周面までの距離をΔR1、ΔR2としたとき、穴70hの内周の直径(D=D0+ΔR1+ΔR2)を計算することができる。これにより、光路変換手段の回転振れおよび回転振動の影響を除外し正しい寸法データを収集する。
本出願人は、透光性パイプなど透光性部材の断面形状寸法データを予め校正段階でコンピュータに記憶させておき、これを基準として、測定対象の内周面を高精度に測定することについて、特願2020-060327などにおいて、より詳細に記載している。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:プローブ
10:モータ
11:ハウジング
12:ロータマグネット
13:中空回転軸
14a,14b:軸受
15:コイル
20:光路変換ユニット
21:ミラー保持部材
22:接続フランジ
23:ダイクロイックミラー(分光手段)
24:反射ミラー
30:光ファイバーユニット
31:光ファイバー
32:第一レンズ
33:第二レンズ
34:レンズ保持部材
35:チューブ
40:透光性パイプユニット
41:透光性パイプ(透光性部材)
42:上カバー
43:下カバー
44:支柱
45:固定板
46:接続板
50:装置本体
51:モニタ
60:測定台
61:ベース
62:スタンド
63:スライダ用モータ
64:スライダ
70:被測定物



図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5