IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コボ プロダクツ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】日焼け止め組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20250205BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20250205BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/27
A61Q17/04
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2018563115
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 US2017035410
(87)【国際公開番号】W WO2017210406
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】62/344,795
(32)【優先日】2016-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510270764
【氏名又は名称】コボ プロダクツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュロスマン,デーヴィット
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ファシーナ,ルナ
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】関 美祝
【審判官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-520757(JP,A)
【文献】特表2010-508230(JP,A)
【文献】特表2007-503373(JP,A)
【文献】特開2015-44879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽放射に対する広域スペクトル保護のための日焼け止め組成物であって、
唯一の無機日焼け止め活性成分として非ナノZnOを1~20重量%および唯一の有機日焼け止め活性成分としてビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)を0.2~1.8重量%含み、
前記非ナノZnOは、100nm~300nmのメジアン一次粒子径(median primary particle size)を有し、
前記日焼け止め組成物の日焼け止め指数(SPF)値が少なくとも25であり、UVA保護係数(PFA)値が少なくとも15である、日焼け止め組成物。
【請求項2】
前記非ナノZnOは、100nm~200nmのメジアン一次粒子径(median primary particle size)を有する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項3】
前記非ナノZnOは、200nm~300nmのメジアン一次粒子径(median primary particle size)を有する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項4】
前記非ナノZnOは、粒子径100nm以下の粒子を1.5%未満有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項5】
前記非ナノZnOが被覆されていない、請求項1~4のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項6】
前記非ナノZnOが異なる酸化物化合物で被覆されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項7】
前記異なる酸化物化合物がシリカである、請求項6に記載の日焼け止め組成物。
【請求項8】
前記非ナノZnOが、シラン類、シリコーン類、有機チタネート類、脂肪酸類、金属石鹸類、ポリオール類、ジメチコン類、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有機材料でさらに被覆されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項9】
非ナノZnOが2重量%および15重量%の間のレベルである、請求項1~8のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項10】
非ナノZnOが3重量%および10重量%の間のレベルである、請求項1~8のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項11】
BEMTが0.5重量%および1.5重量%の間のレベルである、請求項1~10のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項12】
皮膚、毛髪または爪のケアのために無着色(unpigmented)である、請求項1~11のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項13】
ローションまたはクリームである、請求項1~12のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項14】
ファンデーション、口紅、マニキュア、およびプレストパウダー(pressed powder)からなる群より選択される色彩化粧料(color cosmetic)である、請求項1~11のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項15】
有機または無機UVフィルターをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項16】
前記無機UVフィルターは、二酸化チタン、酸化鉄、およびシリカである、請求項15に記載の日焼け止め組成物。
【請求項17】
前記有機UVフィルターが、ベンゾフェノン-3(BP3)およびベンゾフェノン-4(BP4)などのベンゾフェノン類;ホモサレート(HMS)、2-エチルヘキシルサリチレート(EHS)などのサリチル酸塩類;エチルヘキシルジメチルPABA(OD-PABA)、4-p-アミノ安息香酸(PABA)などのp-アミノ安息香酸類(PABAs);フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PMDSA)、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(ビスジスチリゾール二ナトリウム)などのベンズイミダゾール類;エチルヘキシルトリアゾン(OT)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(DBT)、ベンゾトリアゾール類、ドロメトリゾールトリシロキサン(DRT)、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノ(ビスコトリアゾール)(MBP)などのトリアジン類;ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BM-DBM)などのジベンゾイルメタン類;エチルヘキシルメトキシシンナメート(OMC)、イソアミルp-メトキシシンナメート(IMC)などのケイ皮酸エステル類;ならびにテレフタリデンジカンファースルホン酸(PDSA)、3-ベンジリデンカンファー(3BC)、ベンジリデンカンファースルホン酸(BCSA)、4-メチルベンジリデンカンファー(4-MBC)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(PBC)、およびカンファーベンザルコニウムメトサルフェート(CBM)などのカンファー類からなる群より選択される、請求項15に記載の日焼け止め組成物。
【請求項18】
前記有機UVフィルターが、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイル-エタン、4-イソプロピルジベンゾイル-メタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、および2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンからなる群より選択されるジベンゾイルメタン誘導体である、請求項15に記載の日焼け止め組成物。
【請求項19】
サンレスタンニング剤、抗菌剤、脱色素剤、老化防止剤、抗真菌剤、防虫剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される局所活性剤をさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項20】
非ナノZnO 1~20重量%、BEMT 0.2~1.8重量%、ポリソルベート20、メチルパラベンまたはプロピルパラベン、グリセリン、キサンタンガム、安息香酸C12-15アルキル、ミリスチン酸イソプロピル、ポリヒドロキシステアリン酸、ステアラルコニウムヘクトライト、ハイドロゲンジメチコン、グリセリルベヘネート/エイコサン二酸、プロピレンカーボネート、PEG-100ステアレート、グリセリルステアレート、シリカ、ポリアクリルアミド、C13-14イソパラフィン、ラウレス-7カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸およびステアリン酸からなる群より選択される3つの脂肪酸残基を有するトリグリセリドと、を含み、前記組成物のSPF値が少なくとも25であり、前記組成物のPFA値が少なくとも18である、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項21】
非ナノ酸化亜鉛(ZnO)、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)、ポリソルベート20、メチルパラベンまたはプロピルパラベン、グリセリン、キサンタンガム、安息香酸C12-15アルキル、ミリスチン酸イソプロピル、ポリヒドロキシステアリン酸、ステアラルコニウムヘクトライト、ハイドロゲンジメチコン、グリセリルベヘネート/エイコサン二酸、プロピレンカーボネート、PEG-100ステアレート、グリセリルステアレートと、シリカ、ポリアクリルアミド、C13-14イソパラフィンと、ラウレス-7と、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸およびステアリン酸からなる群より選択される3つの脂肪酸残基を有するトリグリセリドと、を含み、
前記非ナノZnOおよびBEMTは、前記日焼け止め組成物が、対応する数学的に計算されたSPF値および/またはPFA値と比較して、増加した日焼け止め指数(SPF)値、増加したUVA保護係数(PFA)値、またはその両方を有する量で存在する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項22】
無機日焼け止め活性成分1~20重量%、有機日焼け止め活性成分0.2~1.8重量%、および1以上の化粧料またはパーソナルケア成分を含み、前記無機日焼け止め活性成分および前記有機日焼け止め活性成分は、それぞれ、非ナノ酸化亜鉛(ZnO)およびビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)であり、前記組成物のSPF値が少なくとも25であり、前記組成物のPFA値が少なくとも18である、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物を含む化粧料またはパーソナルケア製剤。
【請求項24】
請求項1~22のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、35 U.S.C. §109(e)の下、2016年6月2日に出願された米国仮出願第62/344,795号の優先権を主張するものであり、その全体の内容が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
(本発明の技術分野)
本発明は、化粧用の日焼け止め組成物および原料用途の技術分野に属し、特に、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)および非ナノ酸化亜鉛を含有する広域スペクトル日焼け止め組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽放射は、約5%の紫外線(UV)放射を含み、これは200nm~400nmの範囲の波長を有し、3つの領域に分類することができる:320~400nm(UV-A)、290~320nm(UV-B)、200~290nm(UV-C)。大部分のUVCはオゾン層に吸収されて地球上には到達しないが、UVAおよびUVBの両方は大気圏を貫通しうる。かつてはUVBのみが懸念されると考えられていたが、UVAによって引き起こされうる人体へのダメージについての行われた研究や得られた知識の増加に伴い、UVAおよびUVBの両方がさまざまな健康関連の問題を引き起こすことが認識された。短時間のUV-AおよびUV-Bへの曝露は皮膚の赤みおよび刺激を引き起こし、長時間の曝露は日焼け、早期の皮膚老化、髪の損傷、眼の損傷(白内障を含む)、ならびに黒色腫および他の皮膚癌を引き起こす可能性がある。したがって、大量のUV-AおよびUV-B照射からの保護は、パーソナルケアの重要な部分である。
【0004】
UV照射からの保護における安全な使用のために、多くのUV-B日焼け止め剤が知られ、承認されている一方、UVA照射から保護する新たな方法の探索は、UV-A照射およびUV-B照射の両方から保護することができる広域スペクトルのサンケア製品を開発することを目標として、この分野における重要な試みであることが明らかになった。日焼け止め指数(SPF)およびUVA保護係数(PFA)は、一般的に測定される光防護組成物の性質であり、UV-B照射およびUV-A照射の両方の曝露から皮膚が受けるそれぞれの保護を示す。
【0005】
酸化亜鉛は、不活性であり、敏感肌の消費者にアレルギーまたは刺痛を引き起こさないため、世界的に認可された日焼け止め活性成分であり、日焼け止め製剤に広く使用されている。酸化亜鉛は、主にUVAを吸収するUVA日焼け止め成分であることが認められている。研究によれば、マイクロZnOは、インビボでの持続型即時黒化(persistent pigment darkening)法によって測定されるPFA値によって示されるように、十分なUVA保護を提供することができる。しかしながら、ZnOは弱いUVB保護しか提供できない(D.SchlossmanおよびY.Shao、「Sunscreens:Regulations and Commercial Development、第3版、N.Saath、TaylorおよびFrancis、2005年3月」の「無機紫外線フィルター」)。特に、非ナノ領域(D50>100nm)のように、ZnOの一次サイズが大きくなると、UVA領域およびUVB領域の両方における保護効果は、ナノZnO相当物よりも効果が小さくなる。したがって、広域スペクトル保護を備えたSPF30以上の性能要求を満たすために、ZnOは、他の有機日焼け止め剤および/または二酸化チタンと共にしばしば使用される。
【0006】
Tinosorb(登録商標)Sの商品名でのビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)は、日焼け止め製剤におけるUVA保護のためにBASF(旧称Ciba)によって製造されている。しかしながら、BASFの科学者による研究(Uli Osterwalderら、2007年4月17-19日、パリ、In-Cosmetics、新規のUVA保護基準を達成する方法)において、BEMTの性能は、以下のように平凡なものであった:
アクティブ:BEMT 4%
SPF インビボ=7.3±1.2
UVA-PF インビボ=7.6±2.2。
【0007】
したがって、BEMTおよび酸化亜鉛の両方が日焼け止め製品の日焼け止め活性成分として使用されてきたという事実にもかかわらず、これら二つの一般的に有用な日焼け止め成分を有用な製剤にいかに最良に使用するかは、特にZnOのサイズが大きい場合において、依然として課題となっている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、UVA照射およびUVB照射の両方に対する保護における、BEMTおよび非ナノZnOの間の相乗効果の驚くべき発見に基づく。BEMTの使用レベルが2重量%を超えない場合、その組み合わせは広スペクトルかつ高いUV保護を提供する。特に、本発明は、BEMTの100nmを超えるメディアン一次粒子径を有する非ナノZnOとの使用を提供し、非ナノZnOのレベルは25重量%以下である。
【0009】
したがって、一態様において、本発明は、非ナノZnOおよびビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、および任意に他の有機または無機UVフィルターを含む日焼け止め組成物を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明の組成物は、本明細書に開示される、いずれかの実施形態に係る日焼け止め組成物、またはその組み合わせを含む化粧料またはパーソナルケア製剤を提供する。
【0011】
別の態様において、本発明の組成物は、本明細書に開示される、いずれかの実施形態に係る日焼け止め組成物またはその組み合わせを含む物品を提供する。
【0012】
本発明の他の態様または利点は、以下に記載する詳細な説明および特許請求の範囲においてより良く理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
通常、大粒径のZnOは、効果の低いUV保護を提供するという従来の考えとは対照的に、非ナノZnOがBMETと組み合わされたときに相乗効果が存在することが発見された。本発明の日焼け止め組成物は、ZnO、特にメディアン一次粒子径が100nmを超える非ナノZnOと、BEMTとを含有する。
【0014】
非ナノZnOを25重量%まで、およびBEMTを2重量%まで使用した場合において、驚くべきことにZnOおよびBEMTの高い相乗効果が発見された。上記文献に報告されている性能データによれば、計算されたSPFおよびPFAは、それぞれ15未満および8未満であると予想される。このようなSPFを有する日焼け止め製品は、パッケージ上に警告ラベルを付けることが要求され、したがって市場性に影響を及ぼす。対照的に、本発明の非ナノZnOおよびBEMTの組み合わせは、それぞれ、SPFが35より高くPFAが25より高くなるよう試験された。
【0015】
したがって、一態様において、本発明は、日焼け止め組成物を製造するためのZnOおよびBEMTの組み合わせの適用を目的としている。
【0016】
一態様において、本発明は、UV保護において相乗効果が得られる比で、非ナノZnOおよびBEMTを含む日焼け止め組成物を提供する。
【0017】
一実施形態において、相乗効果は、2つの個々の成分の値に基づく、対応する数学的に計算されたSPF値および/またはPFA値と比較して、インビボで測定される、増加した日焼け止め指数(SPF)値、増加したUVA保護係数(PFA)値、または両方で表される。
【0018】
いくつかの実施形態において、増加したSPF値は、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20である。いくつかの実施形態において、SPF値は少なくとも25、少なくとも30、または少なくとも35である。
【0019】
いくつかの実施形態において、増加したPFA値は、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、または少なくとも15である。いくつかの実施形態において、PFA値は、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、または少なくとも24である。
【0020】
当業者は、本開示に基づいて、所望のSPF値およびPFA値の組み合わせを達成するために、非ナノZnOおよびBMETの量および割合を調節することができるであろう。
【0021】
一実施形態において、ZnOは、約20~300nmの範囲のメディアン一次粒子径(median primary particle size)を有する。
【0022】
別の実施形態において、ZnOは、約20~100nmの範囲のメディアン一次粒子径を有する。
【0023】
別の実施形態において、ZnOは、メディアン一次粒子径が約100nm以上(「非ナノZnO」)である。
【0024】
別の実施形態において、ZnOは、約100~300nmの範囲のメディアン一次粒子径を有する。
【0025】
別の実施形態において、ZnOは、約100~200nmの範囲のメディアン一次粒子径を有する。
【0026】
別の実施形態において、ZnOは、約200~300nmの範囲のメディアン一次粒子径を有する。
【0027】
一実施形態において、ZnOは被覆されていない。
【0028】
別の実施形態において、ZnOは異なる酸化物化合物で被覆されている。
【0029】
別の実施形態において、前記異なる酸化物化合物はシリカである。
【0030】
別の実施形態において、ZnOは、シラン類、シリコーン類、有機チタネート類、脂肪酸類、金属石鹸類、ポリオール類、ジメチコン類、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される有機材料でさらに被覆されている。
【0031】
別の実施形態において、ZnO含量は約25重量%以下のレベルである。
【0032】
別の実施形態において、ZnO含量は、約0.1重量%~約25重量%の範囲のレベルである。
【0033】
別の実施形態において、ZnO含量は、約1重量%~約20重量%の範囲のレベルである。
【0034】
別の実施形態において、ZnO含量は、約2重量%~約15重量%の範囲のレベルである。
【0035】
別の実施形態において、ZnO含量は、約3重量%~約10重量%の範囲のレベルである。
【0036】
別の実施形態において、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)含量は、約2重量%以下のレベルである。
【0037】
別の実施形態において、BEMT含量は、約0.1重量%~約2重量%の範囲のレベルである。
【0038】
別の実施形態において、BEMT含量は、約0.2重量%~約1.8重量%の範囲のレベルである。
【0039】
別の実施形態において、BEMT含量は、約0.3重量%~約1.6重量%の範囲のレベルである。
【0040】
別の実施形態において、BEMT含量は、約0.5重量%~約1.5重量%の範囲のレベルである。
【0041】
別の実施形態において、日焼け止め組成物は、皮膚、毛髪または爪のケアのために無着色(unpigmented)である。
【0042】
別の実施形態において、日焼け止め組成物は、ファンデーション、口紅、マニキュア、およびプレストパウダー(pressed powder)などからなる群より選択される色彩化粧料(a color cosmetic)である。
【0043】
別の実施形態において、日焼け止め組成物は、追加の有機または無機UVフィルターをさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、日焼け止め組成物は、サンレスタンニング剤、抗菌剤、脱色素剤、老化防止剤、抗真菌剤、防虫剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される局所活性剤をさらに含む。
【0045】
別の態様において、本発明は、表1に記載されるように、特に一実施形態において、実質的に記載されおよび示された日焼け止め組成物を提供する。
【0046】
別の態様において、本発明の組成物は、本明細書に開示される、いずれかの実施形態に係る日焼け止め組成物またはその組み合わせを含む化粧料またはパーソナルケア製剤を提供する。
【0047】
別の態様において、本発明の組成物は、本明細書に開示される、いずれかの実施形態に係る日焼け止め組成物またはその組み合わせを含む物品を提供する。物品は、特に制限されないが、チューブ、ボトル、ケース、ボックス、バッグ、噴霧装置などの、日焼け止め組成物の容器の形態であってもよく、いかなる形状、スタイル、または色であってもよく、日焼け止め組成物を収容するのに適したいかなる材料で製造されてもよい。
【0048】
別の態様において、本発明の組成物は、本明細書に開示される、いずれかの実施形態に係る日焼け止め組成物、またはその組み合わせの用途を提供する。
【0049】
別の態様において、本発明は、15より高いSPFを得るための、本発明の第1の態様の組成物を提供する。SPFは、好ましくは20より高く、より好ましくは25より高く、さらにより好ましくは30より高い。実施例の表1で調製される組成物は、38の高いSPF値を示した。
【0050】
したがって、本発明は、比較的少量の日焼け止め化合物および低コスト材料を含む高SPF日焼け止め組成物を提供し、ゆえに低コストで全体の利益を達成する。
【0051】
本発明の日焼け止め製剤は、当業者が理解するように、非ナノZnOおよびBEMTの相乗効果が保持される限り、1以上の他の有機または無機UVフィルターを含むことができる。
【0052】
無機UVフィルターは、二酸化チタン(TiO)、酸化鉄(例えば、Fe)、およびシリカなどを含むことができるが、これらに限定されない。
【0053】
数多くの有機UVフィルターが化粧品分野で報告されている。これらに限定されないが、ベンゾフェノン-3(BP3)およびベンゾフェノン-4(BP4)などのベンゾフェノン類;ホモサレート(HMS)、2-エチルヘキシルサリチレート(EHS)などのサリチル酸塩類;エチルヘキシルジメチルPABA(OD-PABA)、4-p-アミノ安息香酸(PABA)などのp-アミノ安息香酸(PABA)および誘導体;フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PMDSA)、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(ビスジスチリゾール二ナトリウム)などのベンズイミダゾール誘導体;エチルヘキシルトリアゾン(OT)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(DBT)、ベンゾトリアゾール類、ドロメトリゾールトリシロキサン(DRT)、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノ(ビスコトリアゾール)(MBP)などのトリアジン類;ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BM-DBM)などのジベンゾイルメタン誘導体類;エチルヘキシルメトキシシンナメート(OMC)、イソアミルp-メトキシシンナメート(IMC)などのケイ皮酸エステル類;ならびにテレフタリデンジカンファースルホン酸(PDSA)、3-ベンジリデンカンファー(3BC)、ベンジリデンカンファースルホン酸(BCSA)、4-メチルベンジリデンカンファー(4-MBC)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(PBC)、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート(CBM)などのカンファー誘導体類などが挙げられる。
【0054】
有機UVフィルターの中でも、特に有用なジベンゾイルメタンクラスの化合物が存在し、以下に限定されないが、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイル-エタン、4-イソプロピルジベンゾイル-メタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタンなどが挙げられる。
【0055】
本発明では、所望のUV保護効果をさらに高めるまたは調節するために、上記の有機UVフィルターなどの全てを用いることができる。
【0056】
また、日焼け止め製剤は、美容のために許容される基剤、界面活性剤、希釈剤、およびその他の任意の成分など、当業者に一般的に知られ、パーソナルケアおよび化粧品産業によって受け入れられるような様々な他の成分を含むことができる。例えば、国際公開第96/41614号、米国特許出願公開第2013/0266527号、および米国特許第9649263号を参照されたい。これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0057】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の日焼け止め製剤は、表1に列挙した成分、またはそれらの機能的等価物および/または変異体を含有する。
【0058】
本発明の日焼け止め製剤は、限定しようとするものではないが、好ましくは、使用される基剤に応じて、クリーム、ローション、ゲルまたはエマルションの形態で調製される。組成物の好ましい固体形態は、クリームまたはローションである。クリームは、典型的には、逆さまにした際に、25℃で容器から流出しない組成物として定義される。一方、ローションは、逆さまにした際に、25℃で容器から流出する組成物である(例えば、Brummer,R.;化粧品および食品エマルションのレオロジーエッセンシャル,Springer-Verlag Berline Heidelberg,81-83(2006)参照)。
【0059】
本発明の日焼け止め組成物は、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、増粘剤、ポリマー、収斂剤、香料、湿潤剤、乳白剤、コンディショナー、ピーリング剤、pH調整剤、防腐剤、天然抽出物、精油、皮膚感覚物質(skin sensate)、皮膚鎮静剤、皮膚治癒剤など、広範囲の他の任意成分を含んでもよい。例えば、本発明の組成物に使用するのに適した、スキンケア産業において一般的に使用される様々な非限定的な化粧品および医薬品成分を記載している、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第2版、1992年を参照されたい。
【0060】
本明細書で使用される「非ナノZnO」という用語は、ZnOのメディアン一次粒子径(median primary particle size)が100nmよりも大きいことを意味する。粒子径は、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて得られた写真の粒子を測定することによって算出される。適用可能な場合、最短次元の数加重分布が、本願でのサイズ分析および議論に使用される。
【0061】
本明細書で使用する「約」という用語は、数が最大±20%、好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内で変化し得ることを意味する。範囲の前に使用する「約」は、範囲の上限と下限の両方に適用される。本明細書で使用される用語「a」、「an」または「the」は、単数形および複数形の両方を表す。一般に、名詞の単数形または複数形のいずれかが使用される場合、名詞の単数形および複数形の両方を意味する。
【0062】
以下の非限定的な実施例は、本発明の特定の態様をさらに説明する。
【実施例
【0063】
驚くべきことに、インビボで試験された7.15%の非ナノZnOおよび1.4%のBEMTを含む表1に例示された処方は、38.89のSPF(表2)、25.27のPFAおよび377nmの臨界波長を示した(表3)。このような日焼け止め製剤は、高いSPF30+であり、すなわち、FDAおよびCosmetic Europeの規定に従った広スペクトルのUV保護、および日本の規定による++++ UVA保護等級を有する。
【0064】
【表1】
【0065】
手順:
1.パート1および2を混合し、80℃に加熱した
2.パート3の成分をスラリー状にし、混合しながらパート1および2に加えた
3.パート4の成分を混合し、80℃に加熱した
4.ホモジナイズしながら、パート1~3の混合物とパート4の混合物を混合した
5.50℃に冷却し、パート1~4の混合物にパート5を加えた。
【0066】
試験結果の要約:
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
前述の実施例または好ましい実施形態は、例示のために提供されたものであり、本発明を限定するものではない。上記の特徴を有する数多くのバリエーションおよび組み合わせは、特許請求の範囲に記載された本発明から逸脱せずに、利用することができる。引用された全ての文献は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。