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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】粉粒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/04 20060101AFI20250205BHJP
   F26B 3/04 20060101ALI20250205BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20250205BHJP
   B04C 5/20 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
F26B21/04 A
F26B21/04 C
F26B3/04
B01D53/26 230
B04C5/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020190006
(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公開番号】P2022079058
(43)【公開日】2022-05-26
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】野 龍平
(72)【発明者】
【氏名】大島 英範
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-025635(JP,A)
【文献】特開2016-070635(JP,A)
【文献】特開2017-190921(JP,A)
【文献】実開昭54-095558(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0105806(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 21/04
F26B 3/04
B01D 53/26
B04C 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を収容する収容部と、
前記収容部に供給される気流を加熱する加熱部と、
前記収容部に供給される気流が通過し、その通過の際に当該気流に含まれる水分を吸着する吸着部と、
正転動作および逆転動作が可能であり、前記正転動作および前記逆転動作の一方により、前記収容部に供給される気流を生じさせ、その他方により、前記吸着部を通過して前記吸着部を低湿状態に再生する再生気流を生じさせる気流生成部と、
前記収容部から排出される気流から、前記収容部に収容されている粉粒体から揮発した揮発成分を回収する回収部と、
前記再生気流を前記吸着部への供給前に加熱する再生加熱部と、
前記収容部から排出される気流を前記回収部に導入する導入部と、
前記吸着部と前記導入部とに接続されて、前記吸着部を通過後の前記再生気流である再生排気を前記導入部に流入させる接続部と、を含み、
前記再生排気が前記導入部を流通することにより、前記導入部が加熱される、粉粒体処理装置。
【請求項2】
前記回収部は、前記収容部から排出される気流を旋回させつつ冷却し、前記揮発成分を回収して、前記揮発成分が除去された気流を排出する冷却サイクロンである、請求項1に記載の粉粒体処理装置。
【請求項3】
前記冷却サイクロンは、
前記収容部から排出される気流を旋回させるサイクロン本体と、
前記サイクロン本体を外部から冷却する冷却機構と、を備える、請求項2に記載の粉粒体処理装置。
【請求項4】
前記冷却機構は、前記サイクロン本体の外部に設けられて、前記サイクロン本体に向けて冷却風を送る冷却ファンであり、
前記導入部は、前記サイクロン本体に対して前記冷却ファンと反対側に、前記冷却ファンからの冷却風が通り抜ける位置に配置されている、請求項3に記載の粉粒体処理装置。
【請求項5】
前記導入部が加熱されるときには、前記冷却機構による冷却が停止される、請求項3または4に記載の粉粒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材料などの粉粒体を処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、プラスチック材料(樹脂材料)が成形機に投入される前には、プラスチック材料から水分を除去するための予備乾燥が行われる。
【0003】
予備乾燥に用いられる乾燥機は、種々提供されているが、その中でも脱湿乾燥機は、乾燥性能が高いため、広く利用されている。脱湿乾燥機では、ヒータで加熱された乾燥エアがプラスチック材料に供給されることにより、プラスチック材料から乾燥エアに水分が奪われる。そして、その水分が吸着材に吸着されることにより、乾燥エアが再生され、乾燥エアがヒータで再び加熱されて、加熱された乾燥エアがプラスチック材料に再び供給される。このように、脱湿乾燥機では、循環管路内を循環するエアが加熱された低湿度の乾燥エアとなってプラスチック材料に供給されるため、乾燥性能が高い。
【0004】
ところで、プラスチック材料には、紫外線防止剤や難燃剤などの種々の添加剤が混合されている。添加剤には、揮発性のものが含まれており、プラスチック材料の乾燥により、その揮発性の添加剤の一部が揮発する。脱湿乾燥機を停止した後に、プラスチック材料からの揮発成分を含むエアが循環管路内に残留していると、循環管路の壁面や吸着材などに揮発成分が液化または固化して付着し、その揮発成分の付着や堆積により、循環管路にエアを循環させるブロワの動作不良や、プラスチック材料に要求される乾燥エアの風量の低下などを招き、乾燥性能が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、プラスチック材料が収容される乾燥ホッパと吸着材との間の管路上に、揮発成分を除去するための機構が設置されることがある。たとえば、冷却サイクロン方式の機構では、プラスチック材料からの揮発成分を含むエアがサイクロン状の容器内に導入され、その容器内で旋回するエアが冷却されて、揮発成分が液化することにより液滴となって回収され、揮発成分が除去されたエアが容器から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-190921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、脱湿乾燥機では、吸着材に吸着された水分を吸着材から除去して、吸着材を低湿状態に再生する必要がある。吸着材の再生時には、たとえば、吸着材を経由する再生ラインに外気が取り込まれる。そして、外気がヒータで加熱されて、その加熱された外気が吸着材を通過する際に吸着材から外気に水分が奪われて、吸着材が吸湿可能な低湿状態に再生される。吸着材から水分を奪った外気は、大気に放出される。
【0008】
脱湿乾燥機の機種によっては、プラスチック材料を乾燥させる乾燥運転が停止されて、吸着材を再生する再生運転が行われる。乾燥運転が停止されると、乾燥ホッパと吸着材との間の管路内に揮発成分を含むエアが残るので、再生運転中に、その残ったエアが冷えて、揮発成分が管路の壁面などに付着して堆積するおそれがある。
【0009】
また、乾燥運転と再生運転とが並行して行われる機種であっても、脱湿乾燥機全体の運転が停止されたときに、乾燥ホッパと吸着材との間の管路内に揮発成分を含むエアが残っていると、運転停止中に、その残ったエアが冷えて、揮発成分が管路の壁面などに付着して堆積するおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、粉粒体から揮発した揮発成分が管路の壁面などに液化または固化して付着や堆積することを抑制できる、粉粒体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る粉粒体処理装置は、粉粒体を収容する収容部と、収容部に供給される気流を加熱する加熱部と、収容部に供給される気流が通過し、その通過の際に当該気流に含まれる水分を吸着する吸着部と、正転動作および逆転動作が可能であり、正転動作および逆転動作の一方により、収容部に供給される気流を生じさせ、その他方により、吸着部を通過して吸着部を低湿状態に再生する再生気流を生じさせる気流生成部と、収容部から排出される気流から、収容部に収容されている粉粒体から揮発した揮発成分を回収する回収部とを含む。
【0012】
この構成によれば、気流生成部は、正転動作および逆転動作が可能である。正転動作および逆転動作の一方により、収容部に供給される気流が生じ、その気流が加熱部により加熱される。また、収容部に供給される気流は、吸着部を通過し、その際に吸着部に水分が吸着されることにより低湿状態の気流となる。その結果、収容部には、低露点(低湿高温)の気流が供給される。そのため、収容部に収容されている粉粒体から気流に水分が奪われて、粉粒体が乾燥する。
【0013】
一方、気流生成部の正転動作および逆転動作の他方により、再生気流が生じる。再生気流が吸着部を通過することにより、吸着部から再生気流に水分が奪われて、吸着部が低湿状態に再生される。
【0014】
たとえば、粉粒体の添加剤に揮発性のものが含まれている場合、その揮発性の成分が粉粒体の乾燥に伴って揮発するため、収容部から排出される気流には、粉粒体から揮発した揮発成分が含まれる。そのため、回収部が設けられており、収容部から排出される気流に含まれる揮発成分が回収部に回収される。これにより、気流が流通する管路内に揮発成分を含む気体が残留することを抑制でき、管路の壁面などに揮発成分が液化または固化して付着や堆積することを抑制できる。
【0015】
よって、気流生成部が正転動作および逆転動作する方式の粉粒体処理装置、たとえば、正転逆転脱湿乾燥機であっても、管路の壁面などに粉粒体から揮発した揮発成分が液化または固化して付着や堆積することを抑制できる。
【0016】
粉粒体処理装置は、再生気流を吸着部への供給前に加熱する再生加熱部と、収容部から排出される気流を回収部に導入する導入部とをさらに含み、吸着部を通過後の再生気流である再生排気により導入部が加熱される構成であってもよい。
【0017】
この構成によれば、吸着部を通過する再生気流は、吸着部への供給前に加熱される。これにより、再生気流が吸着部から水分を良好に奪うことができ、吸着部を良好な低湿状態に再生することができる。
【0018】
ところが、吸着部を再生する再生運転時には、収容部から気流が排出されない。そのため、再生運転が停止されると、収容部から排出される気流を回収部に導入する導入部に揮発成分を含む気体が残留し、再生運転の停止中に、導入部の管路の壁面などに揮発成分が液化または固化して付着するおそれがある。加熱された再生気流が吸着部を通過することにより再生排気となり、その再生排気により導入部が加熱されることにより、導入部における揮発成分の液化および固化を抑制することができる。
【0019】
粉粒体処理装置は、吸着部と導入部とに接続されて、再生排気を導入部に流入させる接続部をさらに含み、導入部を再生排気が流通することにより導入部が加熱されることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、接続部により吸着部と導入部とが接続されており、再生排気が接続部を流通して導入部に流入し、導入部を再生排気が流通する。これにより、導入部が加熱されて、導入部における揮発成分の固化を抑制できるとともに、その揮発成分を含む気体を再生排気で導入部から押し出すことができる。そのため、導入部に揮発成分を含む気体が残留することを抑制でき、導入部における揮発成分の液化および固化を一層抑制することができる。
【0021】
本発明の他の局面に係る粉粒体処理装置は、粉粒体を収容する収容部と、収容部に供給される気流を加熱する加熱部と、収容部に供給される気流が通過し、その通過の際に当該気流に含まれる水分を吸着する吸着部と、収容部に供給される気流を生じさせる第1気流生成部と、吸着部を通過して吸着部を低湿状態に再生する再生気流を生じさせる第2気流生成部と、収容部から排出される気流から、収容部に収容されている粉粒体から揮発した揮発成分を回収する回収部と、再生気流を吸着部への供給前に加熱する再生加熱部と、収容部から排出される気流を回収部に導入する導入部とを含み、吸着部を通過後の再生気流である再生排気により、導入部が加熱される。
【0022】
この構成によれば、第1気流生成部の動作により、収容部に供給される気流が生じ、その気流が加熱部により加熱される。また、収容部に供給される気流は、吸着部を通過し、その際に吸着部に水分が吸着されることにより低湿状態の気流となる。その結果、収容部には、低露点(低湿高温)の気流が供給される。そのため、収容部に収容されている粉粒体から気流に水分が奪われて、粉粒体が乾燥する。
【0023】
たとえば、粉粒体の添加剤に揮発性のものが含まれている場合、その揮発性の成分が粉粒体の乾燥に伴って揮発するため、収容部から排出される気流には、粉粒体から揮発した揮発成分が含まれる。そのため、回収部が設けられており、収容部から排出される気流に含まれる揮発成分が回収部に回収される。これにより、気流が流通する管路内に揮発成分を含む気体が残留することを抑制でき、管路の壁面などに揮発成分が液化または固化して付着や堆積することを抑制できる。
【0024】
一方、第2気流生成部の動作により、再生気流が生じる。再生気流が吸着部を通過することにより、吸着部から再生気流に水分が奪われて、吸着部が低湿状態に再生される。
【0025】
また、加熱された再生気流が吸着部を通過することにより再生排気となり、その再生排気により導入部が加熱される。これにより、導入部における揮発成分の液化および固化を抑制することができる。
【0026】
よって、導入部を含む各部の管路の壁面などに粉粒体から揮発した揮発成分が液化または固化して付着や堆積することを抑制できる。
【0027】
粉粒体処理装置は、再生排気を導入部に向けて流通させる加熱経路と、再生排気の経路を加熱経路と再生排気が大気に放出される経路とに切り替える切替弁とをさらに含む構成であってもよい。
【0028】
この構成によれば、切替弁の切り替えにより、再生排気で導入部を加熱するときには、再生排気を加熱経路に流通させ、それ以外のときには、再生排気を大気に放出させることができる。これにより、回収部による揮発成分の回収時に導入部が加熱されることを抑制でき、回収部による揮発成分の回収効率の向上を図ることができる。
【0029】
粉粒体処理装置は、所定のタイミングで所定の期間、再生排気により導入部が加熱されるように切替弁を切り替える制御部をさらに含む構成であってもよい。
【0030】
回収部は、収容部から排出される気流を旋回させつつ冷却し、揮発成分を回収して、揮発成分が除去された気流を排出する冷却サイクロンであってもよい、
【0031】
その場合、冷却サイクロンは、収容部から排出される気流を旋回させるサイクロン本体と、サイクロン本体を外部から冷却する冷却機構とを備えることが好ましい。
【0032】
この構成により、サイクロン本体がその外部から冷却機構により冷却されるので、サイクロン本体内で旋回する気流を良好に冷却することができる。
【0033】
冷却機構は、サイクロン本体の外部に設けられて、サイクロン本体に向けて冷却風を送る冷却ファンであり、導入部は、サイクロン本体に対して冷却ファンと反対側に、冷却ファンからの冷却風が通り抜ける位置に配置されていてもよい。
【0034】
この構成によれば、冷却ファンからの冷却風が導入部を通り抜けることにより、揮発成分を含む気流が導入部を流通している段階から、その気流を冷却することができる。その結果、サイクロン本体内での揮発成分の液化を促進させることができ、冷却サイクロンによる揮発成分の回収性能を高めることができる。
【0035】
導入部が加熱されるときには、冷却機構による冷却が停止されることが好ましい。
【0036】
これにより、導入部が加熱されるときに、冷却機構によりサイクロン本体とともに導入部が冷却されるという無駄を省くことができる。
【0037】
本発明のさらに他の局面に係る冷却サイクロンの運転方法は、サイクロン本体と、サイクロン本体を外部から冷却する冷却機構とを備え、粉粒体から気化した水分および揮発成分を含む気流から揮発成分を回収する冷却サイクロンを運転する方法であって、サイクロン本体内で粉粒体から気化した水分および揮発成分を含む気流を旋回させつつ、冷却機構によりサイクロン本体を外部から冷却して、旋回している気流をサイクロン本体を介して冷却し、揮発成分を液化して回収する回収工程を行い、回収工程を行わないときに、冷却機構による冷却を停止する。
【0038】
この方法によれば、サイクロン本体がその外部から冷却機構により冷却されるので、サイクロン本体内で旋回する気流を良好に冷却することができる。その結果、サイクロン本体内での揮発成分の液化を促進させることができ、冷却サイクロンによる揮発成分の回収性能を高めることができる。
【0039】
一方、揮発成分の回収が行われていないときには、冷却機構による冷却が停止されるので、無駄なエネルギの消費を抑制できる。また、揮発成分の回収が行われないときに、粉粒体から気化した水分および揮発成分を含む気流をサイクロン本体に導入する導入部が加熱されることにより、導入部の管路の壁面などに粉粒体から揮発した揮発成分が固化して固着や堆積することが抑制される構成では、導入部が加熱されるときに、冷却機構によりサイクロン本体とともに導入部が冷却されるという無駄を省くことができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、粉粒体から揮発した揮発成分が管路の壁面や吸着材などに液化または固化して付着や堆積することを抑制でき、その固着や堆積による性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一実施形態(第1の実施形態)に係る粉粒体処理装置の構成を示す図解的な断面図である。
図2図1に示される粉粒体処理装置の運転動作の流れを示すフローチャートである。
図3】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る粉粒体処理装置の構成を示す図解的な断面図である。
図4図1に示される粉粒体処理装置の運転動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0043】
<粉粒体処理装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)に係る粉粒体処理装置1の構成を示す図解的な断面図である。
【0044】
粉粒体処理装置1は、プラスチック製品の材料となる樹脂ペレットなどの粉粒体を処理するための装置であり、具体的には、粉粒体から水分を除去して粉粒体を乾燥させるための装置である。
【0045】
粉粒体処理装置1は、粉粒体を貯留する乾燥ホッパ11を備えている。乾燥ホッパ11の上方には、ローダホッパ12が設けられている。ローダホッパ12には、吸引ライン13の一端が接続されている。吸引ライン13の他端は、輸送ブロワ(図示せず)の吸込口に接続されている。また、ローダホッパ12には、粉粒体供給ライン14の一端が接続されている。粉粒体供給ライン14は、粉粒体を貯留した外部材料タンクに向けて延び、その他端は、外部材料タンク内に配置される吸入管15に接続されている。
【0046】
輸送ブロワが駆動されると、ローダホッパ12内のエアが吸引ライン13内に吸い出されて、空気輸送により、外部材料タンク内の粉粒体が吸入管15および粉粒体供給ライン14を介してローダホッパ12内に供給される。そして、乾燥ホッパ11とローダホッパ12との間に設けられた供給バルブが開かれると、ローダホッパ12から乾燥ホッパ11に粉粒体が供給される。
【0047】
乾燥ホッパ11の下端には、粉粒体排出口16が形成されており、その粉粒体排出口16を開閉するゲートシャッタ17が設けられている。ゲートシャッタ17が閉じられた状態で、ローダホッパ12から供給される粉粒体を乾燥ホッパ11内に貯留することができる。ゲートシャッタ17が開かれると、乾燥ホッパ11内の粉粒体が粉粒体排出口16から排出される。粉粒体排出口16から排出される粉粒体は、成形機へ送られる。
【0048】
乾燥ホッパ11には、乾燥ホッパ11の内外でエアを循環させる循環管路21が接続されている。具体的には、乾燥ホッパ11の上部には、エア排出管22が側壁を貫通して設けられている。エア排出管22の一端および他端は、それぞれ乾燥ホッパ11の内外で開放されている。循環管路21の一端は、エア排出管22の他端に接続されている。また、乾燥ホッパ11内には、エア供給管23が設けられている。エア供給管23の一端は、乾燥ホッパ11の側壁を貫通して外部に引き出されており、循環管路21の他端は、エア供給管23の一端に接続されている。エア供給管23の他端部は、下方に拡がる円錐状に形成されており、その先端(下端)は、エア供給口24として開放されている。
【0049】
循環管路21には、吸着器31、乾燥・再生ブロワ32および乾燥ヒータ33がエア供給管23に対して遠い側からこの順に介装されている。
【0050】
吸着器31は、円筒状の周壁を有する吸着筒34を備えている。循環管路21を流通するエアは、吸着筒34内を吸着筒34の中心線方向に流れる。吸着筒34内には、吸着材35が収容されている。吸着材35の材料には、吸着筒34内を流れるエアから水分を吸着し、加熱により水分を分離する性質を有するもの、たとえば、ゼオライトが用いられる。
【0051】
乾燥・再生ブロワ32には、正転動作および逆転動作可能なブロワが採用されている。乾燥・再生ブロワ32の正転動作により、吸着器31側から乾燥・再生ブロワ32にエアが吸い込まれて、そのエアが乾燥・再生ブロワ32から乾燥ヒータ33側に吹き出される。一方、乾燥・再生ブロワ32の逆転動作により、乾燥ヒータ33側から乾燥・再生ブロワ32にエアが吸い込まれて、そのエアが乾燥・再生ブロワ32から吸着器31側に吹き出される。
【0052】
乾燥ヒータ33は、循環管路21の他端部、つまりエア供給管23との接続部の近傍に配置されている。乾燥ヒータ33は、乾燥・再生ブロワ32の正転動作時に、乾燥・再生ブロワ32から乾燥ホッパ11(エア供給管23)に向けて乾燥ヒータ33側に送風されるエアを加熱する。
【0053】
乾燥・再生ブロワ32の正転動作により、循環管路21をエアが乾燥・再生ブロワ32から乾燥ヒータ33を経由して乾燥ホッパ11に向けて流れる。これにより、乾燥ホッパ11内では、乾燥ヒータ33により加熱されたエアがエア供給口24から下方に向けて拡がりつつ吹き出す。エアの温度は、たとえば、60~180℃である。エア供給口24から下方に吹き出すエアは、乾燥ホッパ11内に貯留されている粉粒体の間を通り、その貯留されている粉粒体の上方に抜ける。これにより、粉粒体の水分がエアに奪われて、粉粒体が乾燥し、湿気を含むエアがエア排出管22を通して循環管路21に排出される。
【0054】
循環管路21に排出された湿気を含むエアは、循環管路21を流れて、吸着器31に流入する。吸着器31(吸着筒34)内をエアが流れる際に、エアが吸着材35の表面に接し、エアに含まれる水分が吸着材35に吸着される。これにより、エアが低湿で低露点のエアとなる。乾燥・再生ブロワ32の正転動作時には、そのエアが乾燥・再生ブロワ32に吸い込まれ、乾燥・再生ブロワ32から乾燥ヒータ33に向けて吹き出される。そして、エアが乾燥ヒータ33で加熱されることにより、乾燥ホッパ11には、飽和水蒸気量が大きく、かつ低湿で低露点のエアが乾燥エアとして供給される。そのため、脱湿乾燥機である粉粒体処理装置1は、粉粒体を乾燥させる性能に優れている。
【0055】
吸着器31の吸着材35に吸着された水分を吸着材35から除去して、吸着材35を低湿状態に再生するために、吸着器31には、乾燥・再生ブロワ32側に、再生ヒータ41が結合されている。また、乾燥・再生ブロワ32と乾燥ヒータ33との間の循環管路21には、外気導入管路42が分岐して接続されている。
【0056】
乾燥・再生ブロワ32の逆転動作により、外部のエア(外気)が再生フィルタ43を通して外気導入管路42に吸い込まれ、外気導入管路42から循環管路21を経由して乾燥・再生ブロワ32に吸い込まれる。そして、その吸い込まれたエアが乾燥・再生ブロワ32から吸着器31側に吹き出され、循環管路21を吸着器31に向けて流れるエアが再生ヒータ41で加熱されて再生エアとなり、その再生エアが吸着器31を通過する。これにより、吸着材35に吸着されている水分が再生エアに奪われて、吸着材35が低湿状態に再生される。再生エアの温度は、たとえば、180~250℃である。
【0057】
循環管路21における外気導入管路42の分岐点と乾燥ヒータ33との間には、逆止弁44が介装されている。逆止弁44は、乾燥ヒータ33側へのエアの流通を許容し、その逆方向、つまり乾燥・再生ブロワ32側へのエアの流通を阻止する。これにより、乾燥・再生ブロワ32の逆転動作による吸着材35の再生時に、乾燥ホッパ11内のエアがエア供給口24からエア供給管23に吸い出されることを抑制できる。
【0058】
また、外気導入管路42には、再生フィルタ43側へのエアの流通を阻止する逆止弁45が介装されている。これにより、乾燥・再生ブロワ32の逆転動作による吸着材35の再生時には、乾燥・再生ブロワ32側へのエアの流通が許容され、乾燥・再生ブロワ32の正転動作による粉粒体の乾燥時には、乾燥・再生ブロワ32から吹き出されるエアが外部に放出されることを抑制できる。
【0059】
なお、再生エアの加熱に乾燥ヒータ33を兼用し、再生ヒータ41を省略してもよい。この場合、たとえば、外気導入管路42(再生フィルタ43、逆止弁45を含む。)および逆止弁44を省略して、乾燥ヒータ33と乾燥ホッパ11との間の管路に外気を取り込む外気取込ラインを当該管路に分岐して接続し、その外気取込ラインが乾燥・再生ブロワ32の正転動作による粉粒体の乾燥時に閉鎖され、乾燥・再生ブロワ32の逆転動作による吸着材35の再生時に開放されて、外気取込ラインに外気が取り込まれるように構成すればよい。たとえば、外気取込ラインに管路から当該ラインへのエアの流通を阻止する逆止弁を設け、当該管路における外気取込の分岐接続点と乾燥ホッパ11との間に乾燥ホッパ11から乾燥・再生ブロワ32側へのエアの流通を阻止する逆止弁を設けることにより、外気取込ラインが乾燥・再生ブロワ32の正転動作による粉粒体の乾燥時に閉鎖され、乾燥・再生ブロワ32の逆転動作による吸着材35の再生時に開放される構成を得ることができる。
【0060】
循環管路21上にはさらに、冷却サイクロン51および乾燥フィルタ52が設けられている。冷却サイクロン51および乾燥フィルタ52は、エア排出管22と吸着器31との間で、エア排出管22側からその順で循環管路21に介装されている。
【0061】
冷却サイクロン51は、サイクロン本体53と、エア排出管22から循環管路21に排出されるエアをサイクロン本体53内に導入するサイクロン導入管54と、サイクロン本体53を外部から冷却する冷却機構55とを備えている。
【0062】
サイクロン本体53の上部側壁56は、円筒状に形成され、その上部側壁56の下方に連続する下部側壁57は、下側ほど縮径する略円錐状に形成されている。上部側壁56には、サイクロン導入口が形成されている。サイクロン本体53の上壁58には、サイクロン排出管59が貫通して設けられている。サイクロン排出管59の下端は、サイクロン本体53内で下方に向けて開口している。サイクロン本体53の上方に、乾燥フィルタ52が配置されており、サイクロン排出管59の上端は、乾燥フィルタ52のフィルタ導入口に接続されている。
【0063】
サイクロン導入管54は、アルミニウム製の配管からなる。サイクロン導入管54は、その管路長を稼ぐために、螺旋状に形成されて上下に延び、サイクロン本体53のサイクロン導入口からエアが上部側壁56の接線方向に吹き出すように、その接線方向に延びてサイクロン導入口に接続されている。サイクロン導入口から接線方向に吹き出すエアは、サイクロン本体53の内面に沿って旋回しつつ下降した後、サイクロン本体53の中央線付近を上昇し、サイクロン排出管59を通して排出される。
【0064】
冷却機構55は、サイクロン本体53に向けて冷却風を送る冷却ファン61と、冷却ファン61を駆動するモータMとを備えている。冷却ファン61からの冷却風がサイクロン本体53に当たることにより、サイクロン本体53が冷却され、サイクロン本体53を介して、サイクロン本体53の内面に沿って旋回するエアが冷却される。また、サイクロン導入管54の螺旋状に形成された部分は、サイクロン本体53に対して冷却ファン61と反対側に、冷却ファン61からの冷却風が螺旋状の中心線に沿って通り抜ける位置に配置されている。これにより、サイクロン導入管54が冷却され、循環管路21からサイクロン導入管54を通してサイクロン本体53内に導入されるエアは、サイクロン導入管54を通過する際にも、サイクロン導入管54を介して冷却される。
【0065】
サイクロン排出管59から排出されるエアは、乾燥フィルタ52を通過し、乾燥フィルタ52で異物が除去された後、乾燥フィルタ52のフィルタ排出口から循環管路21に排出される。
【0066】
吸着器31には、再生エアを排出する再生エア排出管62の一端が接続されている。再生エア排出管62の他端は、乾燥ホッパ11のエア排出管22と冷却サイクロン51との間で循環管路21に分岐接続されている。再生エア排出管62には、吸着器31側へのエアの流通を阻止する逆止弁63が介装されている。これにより、乾燥・再生ブロワ32の正転動作による粉粒体の乾燥時に、エア排出管22から循環管路21に排出されるエアが再生エア排出管62を流通することを抑制できる。乾燥・再生ブロワ32の逆転動作による吸着材35の再生時には、再生エアが再生エア排出管62を流通し、その再生エアが再生エア排出管62から循環管路21に流入する。
【0067】
循環管路21には、乾燥ホッパ11のエア排出管22と再生エア排出管62の分岐接続点との間に、エア排出管22側へのエアの流通を阻止する逆止弁64が介装されている。これにより、再生エア排出管62から循環管路21に流入する再生エアは、循環管路21を冷却サイクロン51に向けて流れる。
【0068】
また、循環管路21には、吸着器31と乾燥フィルタ52との間において、大気開放管65が分岐して接続されている。大気開放管65の先端には、外部から大気開放管65にエア(外気)が取り込まれることを阻止する逆止弁66が設けられている。
【0069】
さらに、循環管路21には、吸着器31と乾燥フィルタ52との間に、乾燥フィルタ52側へのエアの流通を阻止する逆止弁67が介装されている。
【0070】
また、粉粒体処理装置1は、マイコン(マイクロコントローラ)を含む構成の制御部71を備えている。マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。制御部71により、乾燥・再生ブロワ32、乾燥ヒータ33、再生ヒータ41および冷却ファン61のモータMなど、粉粒体処理装置1の各部の動作が制御される。
【0071】
<運転動作>
図2は、粉粒体処理装置1の運転動作の流れを示すフローチャートである。
【0072】
粉粒体処理装置1の運転時には、粉粒体を乾燥させる乾燥運転(ステップS11)と、吸着器31の吸着材35を低湿状態に再生させる再生運転(ステップS12)とが交互に行われる。
【0073】
乾燥運転時には、乾燥・再生ブロワ32が正転動作するよう、その駆動が制御される。乾燥・再生ブロワ32の正転動作により、乾燥・再生ブロワ32から乾燥ヒータ33に向けてエアが吹き出される。乾燥・再生ブロワ32の正転動作時には、乾燥ヒータ33がオンにされる。これにより、乾燥ヒータ33で加熱されたエアが乾燥エアとして、エア供給管23から乾燥ホッパ11内に供給される。乾燥ホッパ11内で粉粒体から水分を奪ったエアは、エア排出管22を通して、循環管路21に排出される。循環管路21に排出されたエアは、循環管路21を冷却サイクロン51に向けて流れ、冷却サイクロン51のサイクロン導入管54を通して、サイクロン本体53内に導入される。
【0074】
粉粒体の添加剤に揮発性のものが含まれている場合、その揮発性の成分が粉粒体の乾燥に伴って揮発する。そのため、乾燥ホッパ11から循環管路21に排出されるエアには、粉粒体から揮発した揮発成分が含まれる。乾燥・再生ブロワ32の正転動作時には、冷却ファン61のモータMが駆動されて、冷却ファン61からサイクロン本体53に向けて冷却風が送られる。これにより、サイクロン導入管54からサイクロン本体53内に導入されるエアは、サイクロン導入管54を通過する際にサイクロン導入管54を介して冷却され、さらに、サイクロン本体53の内面に沿って旋回する際にサイクロン本体53を介して冷却される。エアが冷却されることにより、エアに含まれる揮発成分や水蒸気が液化し、サイクロン本体53内で旋回するエアの遠心力の作用により、その液化した揮発成分などがエアの流れの外側に集まって液滴となる。液滴は、重力の作用により下降し、サイクロン本体53の下端に接続された回収ボックス72に回収される。
【0075】
サイクロン本体53からサイクロン排出管59を通して排出されるエアは、乾燥フィルタ52を通過した後、循環管路21を吸着器31に向けて流れる。そして、吸着器31をエアが通過することにより、エアに含まれる水分が吸着材35に吸着される。吸着器31を通過したエアは、乾燥・再生ブロワ32に吸い込まれ、乾燥・再生ブロワ32から乾燥ヒータ33に向けて吹き出されて、乾燥ヒータ33で再び加熱された後、エア供給管23から乾燥ホッパ11内に供給される。こうして、乾燥ホッパ11と循環管路21とをエアが循環し、そのエアが乾燥ホッパ11内の粉粒体から水分を奪い、循環管路21上の吸着材35がエアから水分を奪うという作用が繰り返されることにより、粉粒体が乾燥する。
【0076】
乾燥運転が所定時間にわたって行われると、再生運転が行われる。再生運転時には、乾燥・再生ブロワ32が逆転動作するよう、その駆動が制御される。乾燥・再生ブロワ32の逆転動作により、外部のエアが外気導入管路42を通して乾燥・再生ブロワ32に吸い込まれ、乾燥・再生ブロワ32から吸着器31に向けてエアが吹き出される。乾燥・再生ブロワ32の逆転動作時には、再生ヒータ41がオンにされる。これにより、エアは、吸着器31を通過する前に、再生ヒータ41で加熱されて再生エアとなる。再生エアの温度は、たとえば、180~230℃とされる。加熱された再生エアが吸着器31を通過することにより、吸着材35に吸着されている水分が再生エアに奪われて、吸着材35が低湿状態に再生される。
【0077】
吸着器31を通過後の再生エアは、適度な高温状態を保っており、再生エア排出管62を通して循環管路21に流入し、循環管路21から冷却サイクロン51のサイクロン導入管54に流入する。これにより、乾燥運転の停止後に循環管路21およびサイクロン導入管54に残留しているエアが循環管路21およびサイクロン導入管54から追い出される。また、高温状態の再生エアが循環管路21およびサイクロン導入管54を流通するので、循環管路21およびサイクロン導入管54が加熱され、サイクロン導入管54などの壁面に液化して付着している揮発成分などが気化する。再生エアは、サイクロン本体53、サイクロン排出管59および乾燥フィルタ52を順に通過し、大気開放管65を通して大気に放出される。これにより、サイクロン導入管54などに揮発成分を含むエアが残ることを抑制でき、また、サイクロン導入管54などの壁面に付着している揮発成分を除去することができ、壁面などに揮発成分が固化して固着や堆積することを抑制できる。
【0078】
再生運転が所定時間にわたって行われると、再生運転が終了となり、粉粒体処理装置1の運転が継続される場合には(ステップS13のNO)、乾燥運転が再び行われる(ステップS11)。粉粒体処理装置1の運転が終了される場合には(ステップS13のYES)、再生運転の終了とともに、粉粒体処理装置1の運転が終了される。
【0079】
<効果>
以上のように、乾燥運転時には、乾燥ホッパ11内の粉粒体を良好に乾燥させることができる。また、冷却サイクロン51により、乾燥ホッパ11から循環管路21に排出されるエアに含まれる揮発成分を回収することができ、循環管路21に揮発成分を含むエアが残留することを抑制でき、管路の壁面や吸着材などに揮発成分が液化または固化して付着や堆積することを抑制できる。
【0080】
そして、再生運転時には、再生ヒータ41で加熱された再生エアが吸着器31を通過することにより、吸着材35を良好な低湿状態に再生させることができる。しかも、高温状態の再生エアが循環管路21およびサイクロン導入管54などの揮発成分を含む乾燥エアが通過する管路を流通することにより、サイクロン導入管54などに揮発成分を含むエアが残ることを抑制でき、また、サイクロン導入管54などの壁面に付着している揮発成分を除去することができ、壁面などに揮発成分が液化または固化して付着や堆積することを抑制できる。
【0081】
<他の実施形態>
図3は、本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る粉粒体処理装置101の構成を示す図解的な断面図である。図3において、図1に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号が付された部分の説明を省略し、図3に示される構成について、図1に示される構成との相違点のみを説明する。
【0082】
図1に示される粉粒体処理装置1では、乾燥・再生ブロワ32が設けられて、乾燥・再生ブロワ32の正転動作および逆転動作により、それぞれ乾燥運転および再生運転が行われる。これに対し、図3に示される粉粒体処理装置101には、乾燥・再生ブロワ32に代えて、乾燥ブロワ111および再生ブロワ112が設けられている。
【0083】
循環管路21には、乾燥ブロワ111、吸着器31および乾燥ヒータ33がエア供給管23に対して遠い側からこの順に介装されている。吸着器31では、吸着筒34が存在する領域が吸着領域、再生領域および冷却領域に分けられている。また、吸着筒34には、回転機構が設けられており、この回転機構により、吸着筒34は、中心線まわりに吸着領域、再生領域および冷却領域を横切って回転される。
【0084】
乾燥ブロワ111は、乾燥フィルタ52側から吸い込んだエアを吸着器31に向けて吹き出す。乾燥ブロワ111から吹き出されるエアは、吸着器31の吸着領域を通過する。その際、吸着領域において、エアに含まれる水分が吸着材35に吸着されて、エアが低湿で低露点のエアとなる。そして、その低湿で低露点のエアが乾燥ヒータ33で加熱された後、乾燥ホッパ11に乾燥エアとして供給される。
【0085】
再生ブロワ112は、外部から再生フィルタ43および外気導入管路42を通してエア(外気)を吸い込み、そのエアを吸着器31に向けて吹き出す。再生ブロワ112から吹き出されるエアは、再生ヒータ41で加熱されて再生エアとなり、吸着器31の再生領域を通過する。これにより、再生領域において、吸着材35に吸着されている水分が再生エアに奪われて、吸着材35が低湿状態に再生される。
【0086】
再生領域で加熱再生された部分は、回転機構による吸着筒34の回転に伴って、冷却領域に移動する。冷却領域では、冷却ガスの供給により、吸着材35における再生領域で加熱再生された部分が冷却される。この冷却により、吸着材35における加熱再生された部分の水分の吸着性能が向上するので、その部分が吸着領域に配置されることにより、エアに含まれる水分を吸着材35に良好に吸着することができる。なお、冷却ガスは、乾燥ブロワ111からのエアを一部分岐させて導入するものであってもよい。
【0087】
なお、冷却領域は、乾燥対象や運転条件によっては省略されてもよい。
【0088】
吸着器31には、再生領域から再生エアを排出する再生エア排出管113の一端が接続されている。再生エア排出管113の他端は、大気に開放されている。また、再生エア排出管113は、冷却サイクロン51のサイクロン導入管54の周囲を囲むように螺旋状に巻回されている。再生エア排出管113には、その螺旋状に巻回された部分と吸着器31との間に、再生エアの流通先を螺旋状に巻回された部分と大気とに切り替えるための切替弁114が介装されている。
【0089】
なお、再生エア排出管113は、螺旋状の管に限定されず、循環管路21およびサイクロン導入管54などの揮発成分を含む乾燥エアが通過する管路を加熱できるように構成されていれば他の構造であってもよい。再生エア排出管113は、たとえば、二重管構造であってもよく、再生エアおよび乾燥エアのそれぞれを熱交換器を通過させるものであってもよい。
【0090】
また、粉粒体処理装置101には、デミスタ115が設けられている。デミスタ115は、乾燥フィルタ52と乾燥ブロワ111との間において、循環管路21に介装されている。
【0091】
<運転動作>
図4は、粉粒体処理装置101の運転動作の流れを示すフローチャートである。
【0092】
粉粒体処理装置101の運転時には、粉粒体を乾燥させる乾燥運転と、吸着器31の吸着材35を低湿状体に再生させる再生運転とが並行して行われる(ステップS21)。
【0093】
すなわち、粉粒体処理装置101の運転時には、乾燥ブロワ111および再生ブロワ112がともに駆動される。乾燥ブロワ111の動作により、乾燥ブロワ111から乾燥ヒータ33に向けて乾燥エアが吹き出される。乾燥ブロワ111からのエアが吸着器31を通過することにより、エアに含まれる水分が吸着材35に吸着される。乾燥ブロワ111の駆動時には、乾燥ヒータ33がオンにされる。これにより、吸着器31を通過後のエアが乾燥ヒータ33で加熱されて、乾燥エアとなり、その乾燥エアがエア供給管23から乾燥ホッパ11内に供給される。乾燥ホッパ11内で粉粒体から水分を奪ったエアは、エア排出管22を通して、循環管路21に排出される。循環管路21に排出されたエアは、循環管路21を冷却サイクロン51に向けて流れ、冷却サイクロン51のサイクロン導入管54を通して、サイクロン本体53内に導入される。
【0094】
冷却サイクロン51の冷却ファン61のモータMが駆動されており、冷却ファン61からサイクロン本体53に向けて冷却風が送られている。これにより、サイクロン導入管54からサイクロン本体53内に導入されるエアは、サイクロン導入管54を通過する際にサイクロン導入管54を介して冷却され、さらに、サイクロン本体53の内面に沿って旋回する際にサイクロン本体53を介して冷却される。エアが冷却されることにより、エアに含まれる揮発成分や水蒸気が液化し、サイクロン本体53内で旋回するエアの遠心力の作用により、その液化した揮発成分などがエアの流れの外側に集まって液滴となる。液滴は、重力の作用により下降し、サイクロン本体53の下端に接続された回収ボックス72に回収される。
【0095】
サイクロン本体53からサイクロン排出管59を通して排出されるエアは、乾燥フィルタ52を通過した後、循環管路21をデミスタ115に向けて流れる。そして、デミスタ115をエアが通過することにより、エアに含まれる液体の微粒子がデミスタ115で除去される。デミスタ115を通過したエアは、乾燥ブロワ111に吸い込まれ、乾燥ブロワ111から乾燥ヒータ33に向けて吹き出されて、吸着器31で再び除湿され、乾燥ヒータ33で再び加熱された後、エア供給管23から乾燥ホッパ11内に供給される。こうして、乾燥ホッパ11と循環管路21とをエアが循環し、そのエアが乾燥ホッパ11内の粉粒体から水分を奪い、循環管路21上の吸着材35がエアから水分を奪うという作用が繰り返されることにより、粉粒体が乾燥する。なお、必要に応じて、デミスタ115は省略されてもよい。
【0096】
一方、再生ブロワ112の動作により、外部のエアが外気導入管路42を通して再生ブロワ112に吸い込まれ、再生ブロワ112から吸着器31の再生領域に向けてエアが吹き出される。再生ブロワ112の動作時には、再生ヒータ41がオンにされる。これにより、エアは、吸着器31を通過する前に、再生ヒータ41で加熱されて再生エアとなる。加熱された再生エアが吸着器31を通過することにより、吸着材35に吸着されている水分が再生エアに奪われて、吸着材35が低湿状態に再生される。このとき、切替弁114により、再生エアの流通先が大気に設定され、吸着器31を通過した再生エアは、大気に放出される。
【0097】
粉粒体処理装置1の運転が継続される場合には(ステップS22のNO)、乾燥運転および再生運転が継続して行われる(ステップS21)。粉粒体処理装置1の運転が終了される場合には(ステップS22のYES)、乾燥運転が終了された後、再生運転が所定時間継続される。このとき、切替弁114により、再生エアの流通先が螺旋状に巻回された部分に設定され、吸着器31を通過した再生エアは、その螺旋状に巻回された部分を流通し、再生エア排出管113の先端から大気に放出される。
【0098】
吸着器31を通過後の再生エアは、適度な高温状態を保っている。そのため、再生エア排出管62の螺旋状に巻回された部分を再生エアが流通することにより、冷却サイクロン51のサイクロン導入管54が加熱される(ステップS23)。このとき、冷却ファン61の駆動は停止される。サイクロン導入管54が加熱されることにより、サイクロン導入管54などの壁面に付着している揮発成分を除去することができ、壁面などに揮発成分が液化または固化して付着や堆積することを抑制できる。特に乾燥運転の終了時に管内に残留する揮発成分が冷えて管内に付着することを抑えることができる。
【0099】
<効果>
粉粒体処理装置101においても、粉粒体処理装置1と同様の効果を奏することができる。
【0100】
<変形例>
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0101】
たとえば、第2の実施形態では、粉粒体処理装置1の運転終了時に、再生運転が所定時間継続され、切替弁114により再生エアの流通先が大気から螺旋状に巻回された部分に切り替えられることにより、冷却サイクロン51のサイクロン導入管54が加熱されるとしたが、粉粒体処理装置1の運転開始時に、再生運転が所定時間にわたって行われてもよい。これにより、サイクロン導入管54などからの揮発成分の除去とともに、乾燥運転およびそれと並行して行われる再生運転に備えて、吸着器31を暖めることができる。
【0102】
また、粉粒体処理装置1の運転開始前および運転終了時の両方で、再生運転が所定時間にわたって行われてもよい。
【0103】
さらには、乾燥運転が所定時間にわたって行われる度に、乾燥運転が停止されるとともに、切替弁114により再生エアの流通先が大気から螺旋状に巻回された部分に切り替えられて、冷却サイクロン51のサイクロン導入管54が加熱されてもよい。
【0104】
また、冷却サイクロン51に備えられる冷却機構55は、冷却ファン61を含む構成に限らず、冷却水が流通する通路(ウォータジャケット)を含む構成であってもよい。
【0105】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0106】
1,101:粉粒体処理装置
11:乾燥ホッパ(収容部)
31:吸着器(吸着部)
32:乾燥・再生ブロワ(気流生成部)
33:乾燥ヒータ(加熱部)
41:再生ヒータ(再生加熱部)
51:冷却サイクロン
53:サイクロン本体
54:サイクロン導入管(導入部)
55:冷却機構
61:冷却ファン
71:制御部
111:乾燥ブロワ(第1気流生成部)
112:再生ブロワ(第2気流生成部)
113:再生エア排出管(加熱経路)
114:切替弁
図1
図2
図3
図4