IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オルタナティブ ジーン エクスプレッション, エセ.エレ.の特許一覧

<>
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図1
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図2
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図3
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図4
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図5
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図6
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図7
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図8
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図9
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図10
  • 特許-蛹を輸送および接種するための容器 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】蛹を輸送および接種するための容器
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022507327
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2020068777
(87)【国際公開番号】W WO2021023446
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】19382690.6
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518085933
【氏名又は名称】オルタナティブ ジーン エクスプレッション, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルチネス エスクリバノ ホセ アンヘル
(72)【発明者】
【氏名】シッド フェルナンデス ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】レイトル サアベドラ イーデル
(72)【発明者】
【氏名】アルヴァラド フラドゥア カルメン
(72)【発明者】
【氏名】モレノ ダルトン ロミー
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208113813(CN,U)
【文献】カナダ国特許出願公開第02399521(CA,A1)
【文献】中国実用新案第205441242(CN,U)
【文献】国際公開第2014/171829(WO,A1)
【文献】特表2019-505178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛹を輸送および接種するための容器(1)であって、
実質的に平坦な表面(5)と、前記表面(5)上に形成された複数のウェル(4)とを有するトレイ(2)であって、各ウェル(4)は、蛹(8)を収容するように構成される、トレイと、
複数の開口部(6)を有する蓋(3)とを備え、
前記トレイ(2)および前記蓋(3)が、前記平坦な表面(5)上に前記蓋(3)が少なくとも部分的に配置され、前記ウェル(4)を閉じるように、互いに結合されるように構成され、
前記ウェル(4)および前記開口部(6)が、前記トレイ(2)および前記蓋(3)が互いに結合されたとき、各ウェル(4)が開口部(6)を介してアクセス可能であるように配置され、
前記トレイ(2)および前記蓋(3)には、係合された状態で前記トレイ(2)および前記蓋(3)を機械的に保持するための連結手段(9、10)が設けられ
各ウェル(4)が、細長く、凹状の底面と、傾斜した側面と、開いた上側ベースとを有する略角錐台形状の構成を有し、前記ウェル(4)の真上の対応する開口部(6)に対して固定位置に一つの蛹(8)を保持するように構成されている、容器。
【請求項2】
前記容器(1)が、2つ以上の容器(1)が、容器の上部を別の容器の前記トレイ内に少なくとも部分的に下方から挿入することによって互いの上部に積み重ね可能であるように積み重ね可能な容器として構成され、空気室(18)が、前記容器(1)の前記ウェル(4)を流体連通させて、連続して積み重ねられた容器(1)の各対の間に形成される、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器(1)が、積み重ねられた容器(1)間に通気通路(17、16、16’)を画定するようにさらに構成され、前記通気通路(17、16、16’)が、前記空気室(18)を外部環境と流体連通させ、そのため、各ウェル(4)は、前記通気通路(17、16、16’)を介して前記外部環境と流体連通する、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記通気通路が、前記容器の前記蓋(3)および前記トレイ(2)内に形成された重なり合う通気開口部(16、16’)を備え、および/または前記通気通路(17)が、積み重ねられた容器(1)の間に横方向に形成される、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記トレイ(2)および前記蓋(3)が、角錐台構成を有し、前記トレイ(2)が、前記平坦な表面(5)を画定し、4つの側部を有するベース(11)と、前記ベースから横断方向に突出し、前記ベースの前記4つの側部に沿って延びる側壁(12a、12b、12c、12d)とを有し、前記蓋(3)が、4つの側部を有するベース(7)と、前記ベース(7)から横断方向に突出し、前記ベースの前記4つの側部に沿って延びる側壁(13a、13b、13c、13d)とを有し、前記トレイ(2)および前記蓋(3)が、これらが結合されると、前記ベース(7、11)および側壁(12a、13a、12b、13b、12c、13c、12d、13d)が重なり合うように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記ウェル(4)および前記開口部(6)が、直交行列を構成する列および行に分布する、請求項1から5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記容器を追跡するための、および/または前記蛹に接種するための情報を有する情報コードを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記情報コードが、電子的、電磁的または光学的に読み取り可能なコードである、請求項7に記載の容器。
【請求項9】
前記情報コードを含む無線周波数識別(RFID)タグ(14)をさらに備える、請求項7または8に記載の容器。
【請求項10】
前記トレイ(2)および/または前記蓋(3)が、前記トレイおよび/または前記蓋をそれぞれ構造的に補強する補強手段(19、19’、20、20’、21、22)を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の容器。
【請求項11】
前記連結手段(9、10)が、前記トレイおよび前記蓋の前記側壁に設けられ、雄型および雌型のスナップ嵌合部材として構成される、請求項に記載の容器。
【請求項12】
前記トレイ(2)および前記蓋(3)が、プラスチックシートを熱成形することによって得られる、請求項1から11のいずれか一項に記載の容器。
【請求項13】
前記補強手段が、前記トレイ(2)のベースにある少なくとも1つの溝(19、19’)と、前記蓋(3)のベースにある少なくとも1つの溝(20、20’)とを備え、前記溝が、前記トレイの前記ベースおよび前記蓋の前記ベースからそれぞれ窪められ、前記溝が、前記トレイおよび前記蓋に対して横断方向に延び、前記トレイおよび前記蓋が結合されたときに重なり合うように配置される、請求項10に記載の容器。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の積み重ねられた容器のセットであって、通気通路が、任意の2つの連続して積み重ねられた容器の間に横方向に形成され、通気通路が、連続して積み重ねられた容器の各対の間に形成される空気室を外部環境と流体連通させる、積み重ねられた容器のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、生きている昆虫を貯蔵および輸送するための容器に関する。
【0002】
本発明の目的は、好ましくは感染した昆虫蛹からの組換えタンパク質の自動化された工業生産のために、昆虫、特に絹を含まない蛹を貯蔵、輸送および接種するために使用することができる多目的容器を提供することである。
【0003】
本発明の容器物体は、最適で費用効率が高く安全な輸送のために積み重ね可能であり、同時に、貯蔵および輸送中に蛹が温度および湿度に関して適切な環境に曝されることを確実にする。
【0004】
さらに、本発明の容器物体は、使い捨てであり、低コストで大量に製造することができる。
【背景技術】
【0005】
例えば、ワクチン、治療用分子または診断用試薬を生成するために、組換えタンパク質を発現させるために生きているバイオファクトリとして幼虫を使用することが知られている。
【0006】
例えば、PCT公開の国際公開第WO2017/046415号パンフレットには、昆虫蛹における組換えタンパク質の工業的生産を最適化するための手段および方法が記載されている。このPCT公報に記載されている方法では、昆虫幼虫は、絹繭で覆われた蛹になるまで、飼育モジュール内で大量に成長させられる。繭に溶解液を浸漬または噴霧することによって蛹を絹除去プロセスに供し、その後、絹を含まない蛹を洗浄して溶解液の痕跡を除去する。
【0007】
蛹を乾燥させた後、絹を含まない蛹に組換えウイルスベクタを接種するか、または後で使用するために冷蔵(例えば4℃で)で保存する準備が整う。典型的には、蛹は包装され、工業生産研究所に出荷(冷蔵)され、そこで、蛹は、インキュベート期間後に感染した蛹から精製された組換えタンパク質を得るために接種(感染)される。
【0008】
蛹に接種するために、蛹は小孔のマトリックスまたはアレイ内に配置され、1つまたは複数の針を備えたロボットが、ウイルスベクタを含む所定量の溶液を各蛹に注入し、蛹はマトリックスまたはアレイ内に配置されるので、ロボットのプログラミングは簡単である。
【0009】
ベクタの接種前および接種後の蛹の輸送および貯蔵のプロセスは、それらが脆弱な生きている生物であり、それらの備蓄がバイオリアクターとしてのそれらの生存率または生産性に影響を及ぼし得るので、複雑である。従来技術では、再使用可能なプラスチックマトリックスに昆虫蛹を手動で割り当てていた。この方法論は時間がかかり、自動化することはできない。さらに、再使用可能なプラスチックマトリックスの使用により、異なるベクタを使用して同じ接種機内で異なる生成物を生み出すとき、交差汚染が引き起こされ得る。
【0010】
自動化されたプロセスにおける組換えタンパク質の工業生産の最適化のために、蛹の効率的な輸送および取り扱いがプロセスの必須部分である。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、添付の独立請求項に定義されており、先行技術の欠点を、積み重ね可能であり、蛹の手作業による取り扱いを回避する完全に自動化されたプロセスで、蛹を貯蔵、輸送および接種するために使用することができる容器を提供することによって、うまく解決する。
【0012】
したがって、本発明の一態様は、蛹を輸送および接種するための容器であって、実質的に平坦な表面を有するトレイと、表面に形成された複数のウェルとを備え、各ウェルが蛹を収容するように構成される、容器に関する。容器はまた、ウェルを少なくとも部分的に閉じるための蓋を含み、トレイおよび蓋は、ウェル内に封入された蛹を保持するトレイの平坦な表面上に蓋が配置されるように、互いに結合されるように構成される。
【0013】
蓋は、ウェルの位置に対応して配置された複数の開口部として配置されているので、蓋およびトレイが互いに結合されると、開口部はウェルの上に個別に配置され、各ウェルは開口部を介してアクセス可能である。開口部は、面積がウェルよりも小さいため、ウェルに受け入れられた絹を含まない蛹は、開口部を通過することができず、すなわち、蛹は、これが置かれたウェルの内部に保持される。
【0014】
ウェルおよび開口部は規則的な配置で分布しており、好ましくは、ウェルおよび開口部は、直交行列を構成する列および行に分布している。
【0015】
さらに、トレイおよび蓋には、プロセスのすべての段階、すなわち貯蔵、輸送、接種およびインキュベーションの間に係合されたトレイおよび蓋を確実に保持するための連結手段が設けられている。好ましくは、連結手段は、トレイおよび蓋に一体的に形成され、蓋がトレイの平坦な表面と重なり合うように、トレイおよび蓋に機械的に係合するように構成される。
【0016】
容器は積み重ね可能に構成されているので、2つ以上の容器を互いに積み重ねて容器の山を形成することができ、この山は、さらに、共通の容器、好ましくは冷蔵容器に包装される。容器のこの積み重ね可能な特徴は、容器を保管および出荷するためのスペースの使用を最適化するために非常に便利である。
【0017】
容器の上部を別の容器のトレイ内に少なくとも部分的に下方から挿入することによって、2つ以上の容器を積み重ねることができる。好ましくは、トレイは、平坦な表面を画定し、4つの側面を有するベースと、ベースから横断方向に突出し、ベースの4つの側面に沿って延びる側壁とによって形成される。
【0018】
同様に、蓋は、4つの側部を有するベースと、ベースから横断方向に突出し、ベースの4つの側部に沿って延びる側壁とを有する。トレイおよび蓋は、それらが結合されると、それらのベースおよび側壁が少なくとも部分的に重なり合うように構成される。
【0019】
好ましくは、トレイおよび蓋は、容器の上部を別の容器のトレイ内に少なくとも部分的に下方から挿入することによって2つの容器の積み重ねを容易にするために角錐台形構成を有する。
【0020】
同じトレイのウェルを流体連通させるために、連続して積み重ねられた容器の各対の間に空気室が形成される。さらに、容器は、積み重ねられたトレイの間に通気通路を画定するように構成され、それによって空気室を外部環境と連通させるので、すべてのウェルは、適切な通気のために外部環境と流体連通し、例えば、最適な条件で蛹を保存するのに適した温度および湿度に関して制御された環境内にある。
【0021】
これらの通気通路は、各容器の蓋およびトレイのベース内に形成された重なり合う通気開口部として形成されているため、蓋およびトレイとが結合されると、これらの通気開口部は重複して空気室および外部を空気が流れ抜けることが可能になる。
【0022】
さらに、通気通路は、積み重ねられた容器の各対の側壁間の空洞または分離部の形態で、積み重ねられた容器に横方向にも設けられる。
【0023】
好ましい実施形態では、容器は、容器を追跡するためおよび/または蛹に接種するための情報を有する情報コードを組み込む。この情報コードは、接種ロボットによって読み取ることができる電子的、電磁的または光学的に読み取り可能なコードである。好ましくは、コンテナは、情報コードを含む無線周波数識別(RFID)タグを有する。
【0024】
したがって、容器は、蛹に接種するための命令データをロボットに手動で導入する必要がないため、接種ロボットと互換性がある。
【0025】
本発明はまた、上記のような積み重ねられた容器のセットに言及し、通気通路が、任意の2つの連続した積み重ねられた容器の間に横方向に形成され、空気室を連通する通気通路が、一対の連続した積み重ねられた容器によって形成される。
【0026】
本発明はまた、一緒に積み重ねられてパッケージ内に配置された2つ以上の上記の容器を備える温度および/または湿度制御されたパッケージにも言及し、パッケージ内の保存空気は、通気通路を通って各蛹に到達する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【0028】
図1】トレイおよび蓋が結合されていない状態で示されている、本発明の容器の好ましい実施形態の上方からの斜視図である。
【0029】
図2図1の同じ実施形態の下方からの斜視図である。
【0030】
図3】蓋の下方からの斜視図である。
【0031】
図4】トレイの上面図である。
【0032】
図5】互いに結合された蓋およびトレイの上面図である。
【0033】
図6図5の平面A-Aにおける断面立面図である。
【0034】
図7図5の平面B-Bに沿った断面立面図である。
【0035】
図8】互いに結合されたトレイおよび蓋の斜視図である。
【0036】
図9】互いに結合されたトレイおよび蓋の正面図である。
【0037】
図10】いくつかの積み重ねられた容器の断面立面図、および容器の拡大詳細図であり、積み重ねられた容器間の空気循環が矢印によって示されている。
【0038】
図11】適合するバキュロウイルスベクタ接種ロボットに配置されている間の使用中の容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に示すように、本発明による容器(1)は、蛹を貯蔵および輸送するために互いに結合することができるトレイ(2)および蓋(3)を備える。トレイ(2)は、平坦な表面(5)と、表面(5)上に形成された複数のウェル(4)とを有し、各ウェル(4)は、蛹を受け入れて保持するように構成される。
【0040】
蓋(3)は、トレイ内のウェル(4)の位置に対応して配置された複数の開口部(6)を有する平坦な表面(7)を有するので、トレイ(2)および蓋(3)が互いに結合されると、蓋(3)は、蛹を封入するウェル(4)を部分的に閉じ、各ウェル(4)は、例えば図10に示すように、開口部(6)を介してアクセス可能である。
【0041】
図4および図5に示すように、好ましくは、ウェル(4)および開口部(6)は、直交行列を構成する列および行に分布している。
【0042】
各ウェル(4)の内部形状が、図5図6および図10に示される。より具体的には、各ウェル(4)は、略角錐台形の構成を有する細長いレセプタクルであり、凹状の底面と、傾斜した側面と、開いた上側ベースとを有する。各ウェル(4)のこの内部形状は、蛹(8)がウェル(4)の真上の対応する開口部(6)に対して固定位置に保持され、接種プロセス中にこの開口部を通して針が挿入され、それによって針が蛹に貫通する間の蛹(8)の望ましくない変位を防ぐという利点を有する。
【0043】
トレイ(2)は、ウェル(4)が形成された平坦な表面(5)を画定する矩形のベース(11)と、ベース(11)の4つの側部のそれぞれにあり、ベース(11)から横断方向に突出する4つの側壁(12a、12b、12c、12d)とを有する。同様に、蓋(3)は、矩形のベース(21)と、ベース(21)の4つの側面のそれぞれから横断方向にそれぞれ突出する4つの側壁(13a、13b、13c、13d)とを有する。
【0044】
トレイ(2)と蓋(3)の両方は、例えば図6および図7に示すように、互いに結合されるように成形され寸法決めされた角錐台形状の構成を有するため、これらが結合されると、ベース(5、21)および側壁(12a、13a、12b、13b、12c、13c、12d、13d)は重なり合う。
【0045】
貯蔵および輸送中に係合された状態でトレイおよび蓋を確実に保持するために、トレイ(2)および蓋(3)には、トレイ(2)および蓋(3)の側壁(12a、13a、12b、13b、12c、13c、12d、13d)に配置された協働する連結手段(9、10)が設けられる。この好ましい実施形態では、連結手段は、トレイ(2)および蓋(3)とそれぞれ一体的に形成され、容器(1)の四隅の近くに設けられた相補的な形状の雄型スナップ嵌合部材(9)および雌型スナップ嵌合部材(10)として構成される。トレイおよび蓋を結合するために、これらの雄型スナップ嵌合部材(9)および雌型スナップ嵌合部材(10)は、雄部材(9)が雌部材(10)と係合するまで一緒に押圧される。
【0046】
図10に示すように、容器(1)は、容器の上部を別の容器のトレイに挿入することによって積み重ね可能であるように構成される。
【0047】
空気室(18)が、同じトレイ(1)のウェル(4)を流体連通させて、連続して積み重ねられた容器(1)の各対の間に形成される。容器(1)は、図10に示すように、積み重ねられた容器(1)間に通気通路(17)を画定するようにさらに構成され、通気通路(17)は、空気室(18)を外部環境と流体連通させ、そのため、各ウェル(4)は、通気通路(17)を介して外部環境と流体連通する。
【0048】
さらに、追加の通気通路は、蓋およびトレイが結合されたときに容器の蓋(3)およびトレイ(2)内に形成された重なり合う通気開口部(16、16’)を備える。
【0049】
さらに、容器(1)には、容器に組み込まれた蛹を追跡するためおよび/または蛹に接種するためのデータおよび命令を含む情報コードが提供される。このコードは、電子的、電磁的または光学的に読み取り可能なコードである。好ましくは、コードは、トレイ(3)に取り付けられた、例えばトレイ(3)内に形成され、蓋(3)によって閉じられた凹部(15)内に接着された無線自動識別(RFID)タグ(14)内に記憶され、それにより、タグ(14)は、蓋(3)を通して読み取り可能である。コードは、好ましくは、蛹の有効期限、接種データ、追跡番号などの情報を含む。
【0050】
トレイおよび/または蓋は、トレイおよび/または蓋をそれぞれ構造的に補強する補強手段を含む。これらの補強手段は、トレイ(2)のベース(11)にある少なくとも1つのチャネルまたは溝(19、19’)と、蓋(3)のベース(21)にある少なくとも1つのチャネルまたは溝(20、20’)とを備える。溝(19、19’、20、20’)は、トレイ(2)のベース(11)および蓋(2)のベース(21)からそれぞれ窪められ、トレイおよび蓋に対して横断方向に延び、トレイおよび蓋が結合されると、図7に示すように、蓋(3)の溝(20、20’)がトレイ(2)の溝(19、19’)の内側に受け入れられるように配置される。
【0051】
トレイ(2)および蓋(3)の側壁(12a、13a、12b、13b、12c、13c、12d、13d)にも補強溝(21、22)が形成される。
【0052】
好ましい実施形態では、トレイ(2)および蓋(3)は、従来、適切なプラスチック材料のそれぞれのシートを熱成形することによって得られる。
【0053】
図11は、バキュロウイルスベクタ(1)を容器内の蛹に接種するために適合するロボット(24)に配置されている間に使用される容器(1)を示す。接種ロボット(24)は、接種ユニット(23)を含み、この接種ユニットは、接種ユニット(23)に設置された針(図示せず)によって接種される蛹の上方の孔のマトリックス分布に従って特定の位置に変位可能である。接種ユニットは、所望の体積のバキュロウイルスベクタを蛹に分注する精密ポンプに接続される。
【0054】
接種ロボット(24)は、さらに、容器(1)内に提供された情報コード、この場合は(RFID)タグを読み取るように適合された読み取りユニット(25)をさらに組み込み、それにより、蛹の有効期限、接種命令データ、および/または容器追跡番号などのコード内に含まれた情報が、接種ロボット(24)にロードされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11