(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】コンパクト型拡張現実用光学装置及び光学手段の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20250205BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20250205BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20250205BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20250205BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/22
G02B5/18
G02B5/32
G02C11/00
(21)【出願番号】P 2023519983
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 KR2021008698
(87)【国際公開番号】W WO2022080627
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0133225
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518374631
【氏名又は名称】レティノル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】ハ ジョン フン
【審査官】福田 知喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-109435(JP,A)
【文献】特開2014-126753(JP,A)
【文献】特開2008-022364(JP,A)
【文献】国際公開第2020/171338(WO,A1)
【文献】特開2009-031708(JP,A)
【文献】特表2019-529981(JP,A)
【文献】特開2018-036608(JP,A)
【文献】特表2003-536102(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150461(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/155357(WO,A1)
【文献】特表2020-510849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01、02
G02B 5/22
G02B 5/18
G02B 5/32
G02C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパクト型拡張現実用光学装置であって、
実際事物画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させる光学手段と、
前記光学手段の内部に埋め込まれて配置され、画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光である拡張現実画像光を第2反射手段に伝達する第1反射手段と、
前記第1反射手段から伝達される拡張現実画像光を使用者の目の瞳孔に向かって反射させて伝達するように前記光学手段の内部に埋め込まれて配置される複数の反射部を含む第2反射手段と、
を含み、
前記光学手段は、実際事物画像光が入射する第1面及び前記第2反射手段を通して伝達される拡張現実画像光及び実際事物画像光が使用者の目の瞳孔に向かって出射する第2面を有し、
前記第2反射手段は、前記光学手段の内部に埋め込まれて配置されるサイズ4mm以下の複数の反射部を含み、
前記光学手段を使用者の瞳孔の正面に配置し、瞳孔から正面の方向をx軸とするとき、前記画像出射部は、前記x軸と直交する直線上に位置するように光学手段の外部または内部に配置され、
前記画像出射部からx軸への垂直線のう
ち光学手段の第1面と第2面との間を通
るいずれか
の垂直線をy軸とし、前記x軸及びy軸と直交する線分をz軸とするとき、
前記複数の反射部のうちの少なくとも二つ以上の反射部は、外部から前記z軸に垂直な面に向かって前記光学手段を見たとき、その中心が第1直線上に位置するように前記光学手段の内部に配置される第1反射部グループを形成し、
前記複数の反射部のうち、前記第1反射部グループを形成する反射部を除いた残りの反射部のうちの少なくとも二つ以上の反射部は、外部から前記z軸に垂直な面に向かって前記光学手段を見たとき、その中心が前記第1直線に平行でない第2直線上に位置するように前記光学手段の内部に配置される第2反射部グループを形成し、
前記第1反射部グループを形成する反射部は、第1反射手段からの距離が大きいほど前記光学手段の第2面に段々近く位置するように前記光学手段の内部に配置され、
前記第1反射部グループは前記第2反射部グループよりも前記第1反射手段に近く位置するように配置され
、
前記第2反射手段は複数から構成され、前記複数の第2反射手段は前記z軸方向に沿って平行に間隔を置いて配置されることを特徴とするコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項2】
前記第2反射部グループを構成する反射部は、前記第1反射手段からの距離に関係なく前記光学手段の第2面に対して同じ距離を有することを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項3】
前記第2反射部グループを形成する反射部は、前記第1反射手段からの距離が大きいほど前記光学手段の第2面
から段々
遠く配置されることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項4】
前記第1直線及び第2直線は前記z軸に垂直ないずれか一平面に含まれることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項5】
前記画像出射部から出射する拡張現実画像光は、前記光学手段の内部を通して前記第1反射手段に直接伝達されるか、または前記光学手段の内面で少なくとも1回以上全反射された後、前記第1反射手段に伝達されることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項6】
前記第1反射手段は、拡張現実画像光を直接第2反射手段に伝達するか、または前記光学手段の内面で少なくとも1回以上全反射させた後、第2反射手段に伝達することを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項7】
前記拡張現実画像光を反射させる第1反射手段の反射面は、実際事物画像光が入射する光学手段の第1面に向かうように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項8】
前記第1反射手段の反射面は、前記光学手段の第1面側に凹んでいるように形成された曲面として形成されることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項9】
前記第1反射手段は、瞳孔から正面の方向に向かって光学手段を見たとき、中央部分から左右の両端部側に行くほど第2反射手段に段々近くなるように延設されることを特徴とする、請求項8に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項10】
前記第1反射手段の幅方向の長さは4mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項11】
前記各第2反射手段は、それぞれの第2反射手段を構成するそれぞれの反射部が、隣接した第2反射手段を構成する反射部のうちのいずれか一つとz軸に平行な仮想の直線に沿って整列されるように配置されることを特徴とする、請求項
1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項12】
前記各第2反射手段は、それぞれの第2反射手段を構成するそれぞれの反射部が、隣接した第2反射手段を構成するすべての反射部とz軸に平行な仮想の直線に沿って整列されないように配置されることを特徴とする、請求項
1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項13】
前記複数の反射部は、前記z軸に平行な仮想の直線に沿って延びたバー(bar)状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項14】
それぞれの第2反射手段と前記光学手段の第2面との距離が全部同一ではないように配置される第2反射手段が少なくとも一つ以上存在することを特徴とする、請求項
1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項15】
前記第1反射手段は、x軸に垂直な面に向かって光学手段を見たとき、中央部分から左右の両端部側に行くほど第2反射手段に段々近くなるように延設されることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項16】
前記画像出射部から出射した拡張現実画像光が光学手段に入射する第3面が屈折力を有するように曲面として形成されることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項17】
前記画像出射部と前記第3面との間に補助光学手段が配置されることを特徴とする、請求項
16に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項18】
前記複数の反射部のうちの少なくとも一部はハーフミラーまたは屈折素子から形成されることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項19】
前記複数の反射部のうちの少なくとも一部は、拡張現実画像光を反射させる面の反対面に光を反射せずに吸収する材質でコートされていることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項20】
前記複数の反射部のうちの少なくとも一部の表面は曲面として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項21】
請求項1~
20のいずれか一項に記載の光学手段を製造する方法であって、
下部ベース基板の表面に第1方向に沿って反射部を形成する第1段階と、
複数の第1基板のそれぞれの表面に前記第1方向に平行な方向に沿って反射部を形成し、前記複数の第1基板のそれぞれの表面に前記第1方向に平行な方向に沿って反射部を形成する第2段階と、
前記下部ベース基板の表面上に複数の第1基板を順次接着して積層する第3段階と、
前記第3段階の後、最上部の第1基板上に複数の第2基板を順次接着して積層することで第2反射手段を構成する第4段階と、
前記最上部の第2基板上に第1反射手段を含む上部ベース基板を接着して積層することで光学手段母材を形成する第5段階と、
前記光学手段母材を加工して光学手段を形成する第6段階と、
を含み、
前記第2段階は、外部から前記第1方向に垂直な面に向かって前記第1基板及び第2基板を見たとき、前記第1基板のそれぞれの表面に形成された反射部の中心を連結した線が直線を成し、前記第2基板のそれぞれの表面に形成された反射部の中心を連結した線が直線を成すように、前記第1基板及び第2基板のそれぞれの表面に反射部を形成し、
前記第1基板に形成された反射部の中心を連結した直線と前記第2基板に形成された反射部の中心を連結した直線とは互いに平行でなく、
前記第6段階は、前記第1方向に垂直な面に向かって前記光学手段母材を見たとき、前記反射部がその間に全部含まれるようにする互いに平行な2本の直線に沿って前記第1方向に平行な方向に前記光学手段母材を切削して光学手段を形成することを特徴とする、光学手段製造方法。
【請求項22】
請求項1~
20のいずれか一項に記載の光学手段を製造する方法であって、
下部ベース基板の表面に第1方向に沿って反射部を形成する第1段階と、
前記下部ベース基板の表面上に複数の第1基板を順次接着して積層するにあたり、複数の第1基板のそれぞれの表面に前記第1方向に平行な方向に沿って反射部を形成する第2段階と、
前記第2段階の後、最上部の第1基板上に複数の第2基板を順次接着して積層するにあたり、複数の第2基板のそれぞれの表面に前記第1方向に平行な方向に沿って反射部を形成して第2反射手段を構成する第3段階と、
前記最上部の第2基板上に第1反射手段を含む上部ベース基板を接着して積層して光学手段母材を形成する第4段階と、
前記光学手段母材を加工して光学手段を形成する第5段階と、
を含み、
前記第2段階は、外部から前記第1方向に垂直な面に向かって前記第1基板を見たとき、前記第1基板のそれぞれの表面に形成された反射部の中心を連結した線が直線を成すように前記第1基板のそれぞれの表面に反射部を形成し、
前記第3段階は、外部から前記第1方向に垂直な面に向かって前記第2基板を見たとき、前記第2基板のそれぞれの表面に形成された反射部の中心を連結した線が直線を成すように前記第2基板のそれぞれの表面に反射部を形成し、
前記第1基板に形成された反射部の中心を連結した直線と前記第2基板に形成された反射部の中心を連結した直線とは互いに平行でなく、
前記第5段階は、前記第1方向に垂直な面に向かって前記光学手段母材を見たとき、前記反射部がその間に全部含まれるようにする互いに平行な二つの直線に沿って前記第1方向に平行な方向に前記光学手段母材を切削することを特徴とする、光学手段製造方法。
【請求項23】
前記複数の第1基板は互いに同じ形状を有し、前記複数の第2基板は互いに同じ形状を有し、前記複数の第1基板と前記複数の第2基板とは互いに異なる形状を有することを特徴とする、請求項
21または22に記載の光学手段製造方法。
【請求項24】
前記第1方向に垂直な面に向かって前記光学手段母材を見たとき、前記複数の第1基板の両端部及び前記複数の第2基板の両端部のうちのいずれか一端部の高さは他端部の高さより高いことを特徴とする、請求項
23に記載の光学手段製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張現実用光学装置及び光学手段の製造方法に関するものであり、より詳しくは画像出射部から出射する拡張現実画像光を瞳孔に伝達する光学構造を直線配置構造に形成することにより、光効率を改善し、製造工程を単純化することができるコンパクト型拡張現実用光学装置及びこれに使用される光学手段の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
拡張現実(AR:Augmented Reality)とは、周知のように、現実世界の実際映像にコンピュータなどによって提供される仮想の映像またはイメージを重ねて提供することを意味する。
【0003】
このような拡張現実を具現するためには、コンピュータのようなデバイスによって生成される仮想の映像またはイメージを現実世界の映像に重ねて提供することができるようにする光学系を必要とする。このような光学系としては、HMD(Head Mounted Display)やメガネ型の装置を用いて仮想映像を反射または屈折させるプリズムなどのような光学手段を使う技術が知られている。
【0004】
しかし、このような従来の光学系を用いた装置は、その構成が複雑であって重さ及び体積が相当であるので、使用者が着用するのに不便さがあり、製造工程も複雑であって製造コストが高いという問題がある。
【0005】
また、従来の装置は、使用者が現実世界を見つめるときに焦点距離を変更する場合、仮想映像の焦点が合わなくなるという限界がある。
【0006】
これを解決するために、仮想映像に対する焦点距離を調節することができるプリズムのような構成を用いるか焦点距離の変更によって可変型焦点レンズを電気的に制御するなどの技術が提案されている。しかし、このような技術も焦点距離を調節するために使用者が別に操作しなければならないかまたは焦点距離の制御のための別途のプロセッサなどのようなハードウェア及び別途のソフトウェアを必要とするという点で問題がある。
【0007】
このような従来技術の問題点を解決するために、本出願人は特許文献1に記載されているように、ヒトの瞳孔より小さいサイズの反射部を用いて仮想映像を瞳孔を通して網膜に投映することによって拡張現実を具現することができる装置を開発したことがある。
【0008】
図1は特許文献1に開示されたような拡張現実用光学装置100を示す図である。
【0009】
図1の拡張現実用光学装置100は、光学手段10、反射部30、画像出射部40及びフレーム部60を含む。
【0010】
光学手段10は実際事物から出射した画像光である実際事物画像光の少なくとも一部を透過させる手段であり、例えばメガネレンズであってもよく、その内部には反射部30が埋め込まれて配置されている。また、光学手段10は反射部30から反射された拡張現実画像光を瞳孔に伝達するように透過させる機能も果たす。
【0011】
フレーム部60は、画像出射部40と光学手段10とを固定及び支持する手段であり、例えばメガネの枠のようなものであり得る。
【0012】
画像出射部40は、拡張現実用画像に相応する画像光である拡張現実画像光を出射する手段であり、例えば拡張現実用画像を画面に表示して拡張現実画像光を放射する小型ディスプレイ装置と、ディスプレイ装置から放射される画像光を平行光に視準するためのコリメーター(collimator)とを備えることができる。
【0013】
反射部30は、画像出射部40から出射した拡張現実用画像光を使用者の瞳孔に向けて反射させることによって拡張現実用画像を提供する。
【0014】
図1の反射部30は、ヒトの瞳孔のサイズより小さいサイズ、すなわち8mm以下に形成されている。このように、反射部30を瞳孔のサイズより小さく形成すれば、反射部30を通して瞳孔に入射する光に対する深度をほぼ無限大に近く、すなわち深度を非常に深くすることができる。
【0015】
ここで、深度(Depth of Field)とは、焦点が合うものと認識される範囲を言う。深度が深くなるというのは拡張現実用画像に対する焦点距離も深くなることを意味する。
【0016】
したがって、使用者が実際世界を見つめながら実際世界に対する焦点距離を変更しても、それに関係なく使用者は拡張現実用画像の焦点が常に合っているものと認識するようになる。これは一種のピンホール効果(pinhole effect)と言える。
【0017】
したがって、使用者が実際事物を見つめながら焦点距離を変更しても、使用者は拡張現実用画像に対しては常に鮮明な仮想映像を見ることができる。
【0018】
しかし、このような技術は、画像出射部40に平行光のためのコリメーターなどのような追加的な光学手段を使うので、装置のサイズ、厚さ及び体積が大きくなるという限界がある。
【0019】
このような問題を解決するために、画像出射部40にコリメーターを使わず、光学手段10の内部に凹面鏡のような反射部を埋め込んで配置することにより、コリメーターの機能を果たすようにする方法を思うことができる。
【0020】
図2は、画像出射部40にコリメーターが備えられた
図1の拡張現実用光学装置100の側面図及びコリメーターの機能を果たす補助反射部20が内部に配置された拡張現実用光学装置100-1の側面図を比較して示す図である。
【0021】
図2の左側に示す
図1の拡張現実用光学装置100は、画像出射部40がディスプレイ装置41及びコリメーター42から構成されており、
図2の右側の拡張現実用光学装置100-1は、画像出射部40がコリメーター42なしにディスプレイ装置41のみから構成されていることが分かる。
【0022】
図2の右側の拡張現実用光学装置100-1は、画像出射部40にコリメーター42を使わない代わりに、光学手段10の内部にコリメーターの機能を果たすことができる凹面鏡形態の補助反射部20が配置されており、画像出射部40から出射した拡張現実画像光は補助反射部20によって反射された後、反射部30に伝達され、反射部30は伝達された拡張現実画像光を瞳孔に伝達するようになる。
【0023】
このように、
図2の右側に示すような拡張現実用光学装置100-1は
図1の拡張現実用光学装置100と同じ機能を果たしながらも、画像出射部40にコリメーターのような構成を使わないので、
図2の左側に示すような外装型コリメーターを使う拡張現実用光学装置100に比べて、サイズ、体積、厚さ、重さなどのフォームファクターを著しく減らすことができる利点がある。
【0024】
しかし、
図2の右側に示すような拡張現実用光学装置100-1は、ゴーストイメージを発生させる意図せぬ実際事物画像光も瞳孔に伝達することがあるという問題がある。
【0025】
図3は、拡張現実用光学装置100-1においてゴーストイメージが発生する現象を説明するための図である。
【0026】
図3を参照すると、実際事物から出射する画像光である実際事物画像光は、光学手段10を通して瞳孔に直接伝達される一方で、補助反射部20によって反射されて瞳孔に伝達される雑光を有する。このような雑光によって、瞳孔に伝達された実際事物画像光は光学手段10を通して瞳孔に直接伝達された実際事物画像光と異なる位置に像が形成されるので、ゴーストイメージを発生させるようになる。
【0027】
したがって、フォームファクターを減らすために、
図2のような補助反射部20である内装型コリメーターを使う拡張現実用光学装置100-1で発生し得るゴーストイメージの問題を解決するとともに、前述したように、視野角(FOV、Field of View)を拡張させ、装置のサイズ、厚さ、重さ及び体積を減らすことができ、拡張現実画像光に対する光効率を高めることができるコンパクト型拡張現実用光学装置が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明は、画像出射部から出射する拡張現実画像光を瞳孔に伝達する光学構造を直線配置構造に形成することにより、光効率を改善し、製造工程を単純化することができるコンパクト型拡張現実用光学装置及びこれに使用される光学手段の製造方法を提供することを目的とする。
【0030】
また、本発明は、サイズ、厚さ、重さ及び体積を著しく減らすことができ、広い視野角を提供することができ、ゴーストイメージを発生させ得る実際世界の画像光が使用者の瞳孔側に流出することを最小化することで、シースルー(see-through)性をより極大化するとともに鮮明な仮想イメージを提供することができる拡張現実用光学装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
前述したような課題を解決するために、本発明は、実際事物画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させる光学手段と、前記光学手段の内部に埋め込まれて配置され、画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光である拡張現実画像光を第2反射手段に伝達する第1反射手段と、前記第1反射手段から伝達される拡張現実画像光を使用者の目の瞳孔に向かって反射させて伝達するように前記光学手段の内部に埋め込まれて配置される複数の反射部を含む第2反射手段とを含み、前記光学手段は、実際事物画像光が入射する第1面及び前記第2反射手段を通して伝達される拡張現実画像光及び実際事物画像光が使用者の目の瞳孔に向かって出射する第2面を有し、前記第2反射手段は、前記光学手段の内部に埋め込まれて配置されるサイズ4mm以下の複数の反射部を含み、前記光学手段を使用者の瞳孔の正面に配置し、瞳孔から正面の方向をx軸とするとき、前記画像出射部は、前記x軸と直交する直線上に位置するように光学手段の外部または内部に配置され、前記画像出射部からx軸への垂直線のうちx軸に沿って平行でありながら光学手段の第1面と第2面との間を通る線分のうちのいずれか一つをy軸とし、前記x軸及びy軸と直交する線分をz軸とするとき、前記複数の反射部のうちの少なくとも二つ以上の反射部は、外部から前記z軸に垂直な面に向かって前記光学手段を見たとき、その中心が第1直線上に位置するように前記光学手段の内部に配置される第1反射部グループを形成し、前記複数の反射部のうち、前記第1反射部グループを形成する反射部を除いた残りの反射部のうちの少なくとも二つ以上の反射部は、外部から前記z軸に垂直な面に向かって前記光学手段を見たとき、その中心が前記第1直線に平行でない第2直線上に位置するように前記光学手段の内部に配置される第2反射部グループを形成し、前記第1反射部グループを形成する反射部は、第1反射手段からの距離が大きいほど前記光学手段の第2面に段々近く位置するように前記光学手段の内部に配置され、前記第1反射部グループは前記第2反射部グループよりも前記第1反射手段に近く位置するように配置されることを特徴とするコンパクト型拡張現実用光学装置を提供する。
【0032】
ここで、前記第2反射部グループを構成する反射部は、前記第1反射手段からの距離に関係なく前記光学手段の第2面に対して同じ距離を有することができる。
【0033】
また、前記第2反射部グループを形成する反射部は、前記第1反射手段からの距離が大きいほど前記光学手段の第2面に段々多く配置されることができる。
【0034】
また、前記第1直線及び第2直線は前記z軸に垂直ないずれか一平面に含まれることができる。
【0035】
また、前記画像出射部から出射する拡張現実画像光は、前記光学手段の内部を通して前記第1反射手段に直接伝達されるか、または前記光学手段の内面で少なくとも1回以上全反射された後、前記第1反射手段に伝達されることができる。
【0036】
また、前記第1反射手段は、拡張現実画像光を直接第2反射手段に伝達するか、または前記光学手段の内面で少なくとも1回以上全反射させた後、第2反射手段に伝達することができる。
【0037】
また、前記拡張現実画像光を反射させる第1反射手段の反射面は、実際事物画像光が入射する光学手段の第1面に向かうように配置されることができる。
【0038】
また、前記第1反射手段の反射面は、前記光学手段の第1面側に凹んでいるように形成された曲面として形成されることができる。
【0039】
また、前記第1反射手段は、瞳孔から正面の方向に向かって光学手段を見たとき、中央部分から左右の両端部側に行くほど第2反射手段に段々近くなるように延設されることができる。
【0040】
また、前記第1反射手段の幅方向の長さは4mm以下とすることができる。
【0041】
また、前記第2反射手段は複数から構成され、前記複数の第2反射手段は前記z軸方向に沿って平行に間隔を置いて配置されることができる。
【0042】
また、前記各第2反射手段は、それぞれの第2反射手段を構成するそれぞれの反射部が、隣接した第2反射手段を構成する反射部のうちのいずれか一つとz軸に平行な仮想の直線に沿って整列されるように配置されることができる。
【0043】
また、前記各第2反射手段は、それぞれの第2反射手段を構成するそれぞれの反射部が、隣接した第2反射手段を構成するすべての反射部とz軸に平行な仮想の直線に沿って整列されないように配置されることができる。
【0044】
また、前記複数の反射部は、前記z軸に平行な仮想の直線に沿って延びたバー(bar)状に形成されることができる。
【0045】
また、それぞれの第2反射手段と前記光学手段の第2面との距離が全部同一ではないように配置される第2反射手段が少なくとも一つ以上存在することができる。
【0046】
また、前記第1反射手段は、x軸に垂直な面に向かって光学手段を見たとき、中央部分から左右の両端部側に行くほど第2反射手段に段々近くなるように延設されることができる。
【0047】
また、前記画像出射部から出射した拡張現実画像光が光学手段に入射する第3面が屈折力を有するように曲面として形成されることができる。
【0048】
また、前記画像出射部と前記第3面との間に補助光学手段が配置されることができる。
【0049】
また、前記複数の反射部のうちの少なくとも一部はハーフミラーまたは屈折素子から形成されることができる。
【0050】
また、前記複数の反射部のうちの少なくとも一部は、拡張現実画像光を反射させる面の反対面に光を反射せずに吸収する材質でコートされることができる。
【0051】
また、前記複数の反射部のうちの少なくとも一部の表面は曲面として形成されることができる。
【0052】
また、前記複数の反射部のうちの少なくとも一部は、回折光学素子(Diffractive Optical Element、DOE)またはホログラフィック光学素子(Holographic Optical Element、HOE)から形成されることができる。
【0053】
本発明の他の側面によれば、前記のような拡張現実用光学装置の光学手段を製造する方法であって、下部ベース基板の表面に第1方向に沿って反射部を形成する第1段階と、複数の第1基板及び複数の第2基板のそれぞれの表面に前記第1方向に平行な方向に沿って反射部を形成する第2段階と、前記下部ベース基板の表面上に複数の第1基板を順次接着して積層する第3段階と、前記第3段階の後、最上部の第1基板上に複数の第2基板を順次接着して積層することで第2反射手段を構成する第4段階と、前記最上部の第2基板上に第1反射手段を含む上部ベース基板を接着して積層することで光学手段母材を形成する第5段階と、前記光学手段母材を加工して光学手段を形成する第6段階とを含み、前記第2段階は、外部から前記第1方向に垂直な面に向かって前記第1基板及び第2基板を見たとき、前記第1基板のそれぞれの表面に形成された反射部の中心を連結した線が直線を成し、前記第2基板のそれぞれの表面に形成された反射部の中心を連結した線が直線を成すように、前記第1基板及び第2基板のそれぞれの表面に反射部を形成し、前記第1基板に形成された反射部の中心を連結した直線と前記第2基板に形成された反射部の中心を連結した直線とは互いに平行でなく、前記第6段階は、前記第1方向に垂直な面に向かって前記光学手段母材を見たとき、前記反射部がその間に全部含まれるようにする互いに平行な2本の直線に沿って前記第1方向に平行な方向に前記光学手段母材を切削して光学手段を形成することを特徴とする光学手段製造方法を提供する。
【0054】
また、本発明のさらに他の側面によれば、前記のような拡張現実用光学装置の光学手段を製造する方法であって、下部ベース基板の表面に第1方向に沿って反射部を形成する第1段階と、前記下部ベース基板の表面上に複数の第1基板を順次接着して積層するにあたり、複数の第1基板のそれぞれの表面に前記第1方向に平行な方向に沿って反射部を形成する第2段階と、前記第2段階の後、最上部の第1基板上に複数の第2基板を順次接着して積層するにあたり、複数の第2基板のそれぞれの表面に前記第1方向に平行な方向に沿って反射部を形成して第2反射手段を構成する第3段階と、前記最上部の第2基板上に第1反射手段を含む上部ベース基板を接着して積層して光学手段母材を形成する第4段階と、前記光学手段母材を加工して光学手段を形成する第5段階とを含み、前記第2段階は、外部から前記第1方向に垂直な面に向かって前記第1基板を見たとき、前記第1基板のそれぞれの表面に形成された反射部の中心を連結した線が直線を成すように前記第1基板のそれぞれの表面に反射部を形成し、前記第3段階は、外部から前記第1方向に垂直な面に向かって前記第2基板を見たとき、前記第2基板のそれぞれの表面に形成された反射部の中心を連結した線が直線を成すように前記第2基板のそれぞれの表面に反射部を形成し、
前記第1基板に形成された反射部の中心を連結した直線と前記第2基板に形成された反射部の中心を連結した直線とは互いに平行でなく、前記第5段階は、前記第1方向に垂直な面に向かって前記光学手段母材を見たとき、前記反射部がその間に全部含まれるようにする互いに平行な二つの直線に沿って前記第1方向に平行な方向に前記光学手段母材を切削することを特徴とする光学手段製造方法を提供する。
【0055】
ここで、前記複数の第1基板は互いに同じ形状を有し、前記複数の第2基板は互いに同じ形状を有することができ、前記複数の第1基板と前記複数の第2基板とは互いに異なる形状を有することができる。
【0056】
また、前記第1方向に垂直な面に向かって前記光学手段母材を見たとき、前記複数の第1基板の両端部及び前記複数の第2基板の両端部のうちのいずれか一端部の高さは他端部の高さより高くてもよい。
【0057】
本発明のさらに他の側面によれば、直線配置光学構造を有する拡張現実用光学装置であって、実際事物画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させる光学手段と、前記光学手段の内部に埋め込まれて配置され、画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光である拡張現実画像光を光学素子に伝達する第1反射手段と、前記第1反射手段から伝達される拡張現実画像光を使用者の目の瞳孔に向かって反射させて伝達するように前記光学手段の内部に埋め込まれて配置される光学素子とを含み、前記光学手段は、実際事物画像光が入射する第1面、及び前記光学素子を通して伝達される拡張現実画像光及び実際事物画像光が使用者の目の瞳孔に向かって出射する第2面を有し、前記光学素子は、回折光学素子またはホログラフィック光学素子であり、前記光学手段を使用者の瞳孔の正面に配置し、瞳孔から正面の方向をx軸とするとき、前記画像出射部は前記x軸と直交する直線上に位置するように光学手段の外部または内部に配置され、前記画像出射部からx軸への垂直線のうちx軸に沿って平行でありながら光学手段の第1面と第2面との間を通る線分のうちのいずれか一つをy軸とし、前記x軸及びy軸と直交する線分をz軸とするとき、前記光学素子は、単一の平面状に形成され、前記z軸に垂直な面に向かって前記光学手段を見たとき、互いに平行でない少なくとも二つ以上の直線が連結された形態に折り曲げられて見えるように前記光学手段の内部に配置されることを特徴とする、直線配置光学構造を有するコンパクト型拡張現実用光学装置を提供する。
【0058】
本発明のさらに他の側面によれば、直線配置光学構造を有するコンパクト型拡張現実用光学装置であって、実際事物画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させる光学手段と、前記光学手段の内部に埋め込まれて配置され、画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光である拡張現実画像光を第2反射手段に伝達する第1反射手段と、前記第1反射手段から伝達される拡張現実画像光を使用者の目の瞳孔に向かって反射させて伝達するように前記光学手段の内部に埋め込まれて配置される複数の反射部を含む第2反射手段とを含み、前記光学手段は、実際事物画像光が入射する第1面及び前記第2反射手段を通して伝達される拡張現実画像光及び実際事物画像光が使用者の目の瞳孔に向かって出射する第2面を有し、前記第2反射手段は、前記光学手段の内部に埋め込まれて配置されるサイズ4mm以下の複数の反射部を含み、前記光学手段を使用者の瞳孔の正面に配置し、瞳孔から正面の方向をx軸とするとき、前記画像出射部は、前記x軸と直交する直線上に位置するように光学手段の外部または内部に配置され、前記画像出射部からx軸への垂直線のうちx軸に沿って平行でありながら光学手段の第1面と第2面との間を通る線分のうちのいずれか一つをy軸とし、前記x軸及びy軸と直交する線分をz軸とするとき、前記複数の反射部は、外部から前記z軸に垂直な面に向かって前記光学手段を見たとき、その中心が単一の直線上に位置するように前記光学手段の内部に配置されることを特徴とする直線配置光学構造を有するコンパクト型拡張現実用光学装置を提供する。
【0059】
ここで、前記第2反射手段は複数から構成され、前記複数の第2反射手段は前記z軸方向に沿って平行に間隔を置いて配置されることができる。
【0060】
本発明のさらに他の側面によれば、直線配置光学構造を有するコンパクト型拡張現実用光学装置であって、実際事物画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させる光学手段と、前記光学手段の内部に埋め込まれて配置され、画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光である拡張現実画像光を光学素子に伝達する第1反射手段と、前記第1反射手段から伝達される拡張現実画像光を使用者の目の瞳孔に向かって反射させて伝達するように前記光学手段の内部に埋め込まれて配置される光学素子とを含み、前記光学手段は、実際事物画像光が入射する第1面及び前記光学素子を通して伝達される拡張現実画像光及び実際事物画像光が使用者の目の瞳孔に向かって出射する第2面を有し、前記光学素子は回折光学素子またはボログラフィック光学素子であり、前記光学手段を使用者の瞳孔正面に配置し、瞳孔から正面の方向をx軸とするとき、前記画像出射部は前記x軸と直交する直線上に位置するように光学手段の外部または内部に配置され、前記画像出射部からx軸への垂直線のうちx軸に平行でありながら光学手段の第1面と第2面との間を通る線分のうちのいずれか一つをy軸とし、前記x軸及びy軸と直交する線分をz軸とするとき、前記光学素子は単一の平面形態に形成され、前記z軸に垂直な面に向かって前記光学手段を見たとき、単一の直線形態として見えるように前記光学手段の内部に配置されることを特徴とする直線配置光学構造を有するコンパクト型拡張現実用光学装置を提供する。
【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、画像出射部から出射する拡張現実画像光を瞳孔に伝達する光学構造を直線配置構造に形成することにより、光効率を改善し、製造工程を単純化することができるコンパクト型拡張現実用光学装置及びこれに使用される光学手段の製造方法を提供することができる。
【0062】
また、本発明は、サイズ、厚さ、重さ及び体積を著しく減らすことができ、広い視野角を提供することができ、ゴーストイメージを発生させ得る実際世界の画像光が使用者の瞳孔側に流出することを最小化することで、シースルー(see-through)性をより極大化するとともに、鮮明な仮想イメージを提供することができる拡張現実用光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】特許文献1に開示したような拡張現実用光学装置(100)を示す図である。
【
図2】画像出射部(40)にコリメーターが備えられた
図1の拡張現実用光学装置(100)の側面図及びコリメーターの機能を果たす補助反射部(20)が配置された拡張現実用光学装置(100-1)の側面図を比較して示す図である。
【
図3】拡張現実用光学装置(100-1)においてゴーストイメージが発生する現象を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施例による直線配置光学構造を有するコンパクト型拡張現実用光学装置(200)の側面図である。
【
図5】本発明の一実施例による直線配置光学構造を有するコンパクト型拡張現実用光学装置(200)の斜視図である。
【
図6】本発明の一実施例による直線配置光学構造を有するコンパクト型拡張現実用光学装置(200)の正面図である。
【
図7】第1反射手段(20)がゴーストイメージを遮断する原理を説明するための図である。
【
図8】
図4~
図6で説明した反射部(31~39)の配置構造を説明するための図である。
【
図9】第2反射手段(30)の他の配置構造を示す図である。
【
図10】第2反射手段(30)の他の配置構造を示す図である。
【
図11】光学手段(10)の内部での全反射構造を説明するための図である。
【
図12】光学手段(10)の内部での全反射構造を説明するための図である。
【
図13】光学手段(10)の内部での全反射構造を説明するための図である。
【
図14】光学手段(10)の内部での全反射構造を説明するための図である。
【
図15】光学手段(10)の内部での全反射構造を説明するための図である。
【
図16】光学手段(10)の内部での全反射構造を説明するための図である。
【
図17】本発明の他の実施例による拡張現実用光学装置(300)の斜視図である。
【
図18】本発明の他の実施例による拡張現実用光学装置(300)の正面図である。
【
図19】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(400)の斜視図である。
【
図20】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(400)の正面図である。
【
図21】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(500)の斜視図である。
【
図22】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(500)の正面図である。
【
図23】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(600)を示す図であって、z軸に垂直な平面に向かって拡張現実用光学装置(600)を見た側面図である。
【
図24】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(700)を示す図であって、z軸に垂直な平面に向かって拡張現実用光学装置(700)を見た側面図である。
【
図25】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(800)の正面図である。
【
図26】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(800)の側面図である。
【
図27】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(800)の平面図である。
【
図28】下部ベース基板(10A)の斜視図である。
【
図31】第1基板(10B)及び第2基板(10C)の側面図である。
【
図32】光学手段母材(10E)を切削して光学手段(10)を形成する方法を説明するための図である。
【
図33】本発明のさらに他の実施例による直線配置反射構造を有する拡張現実用光学装置(900)の斜視図である。
【
図34】本発明のさらに他の実施例による直線配置反射構造を有する拡張現実用光学装置(900)の正面図である。
【
図35】本発明のさらに他の実施例による直線配置反射構造を有する拡張現実用光学装置(900)の側面図である。
【
図36】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(1000)の斜視図である。
【
図37】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(1000)の側面図である。
【
図38】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(1000)の正面図である。
【
図39】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(1100)の斜視図である。
【
図40】本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置(1100)の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、添付図面に基づいて本発明による実施例を詳細に説明する。
【0065】
図4~
図6は本発明の一実施例による直線配置光学構造を有するコンパクト型拡張現実用光学装置200(以下、簡単に“拡張現実用光学装置200”と言う)の側面図、斜視図及び正面図である。
【0066】
図4~
図6を参照すると、本実施例の拡張現実用光学装置200は、光学手段10、第1反射手段20、及び第2反射手段30を含む。
【0067】
光学手段10は実際事物から出射した画像光である実際事物画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔50に向けて透過させる手段である。
【0068】
ここで、実際事物画像光の少なくとも一部を瞳孔50に向けて透過させるというのは、実際事物画像光の光透過率が必ずしも100%である必要はないという意味である。
【0069】
光学手段10は、互いに対向するように配置された第1面11及び第2面12を備える。第1面11は実際事物画像光が入射する面であり、第2面12は第2反射手段30で反射された拡張現実用画像に相応する拡張現実画像光及び第1面11を通過した実際事物画像光が使用者の目の瞳孔50に向かって出射する面である。
【0070】
図4~
図6の実施例で、光学手段10の第1面11と第2面12とは互いに平行に配置されているが、これは例示的なものであるだけで、互いに平行でないように配置されることもできるというのは言うまでもない。
【0071】
図4~
図6で、点線は画像出射部40から出射した拡張現実画像光が瞳孔50を通して網膜に到逹するときまでの光経路を示すものである。
【0072】
図示のように、
図4~
図6の実施例では、画像出射部40から出射する拡張現実画像光は光学手段10の第1面11で全反射されて第1反射手段20に伝達され、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は第1面11に向かって出射し、第1面11で全反射されて第2反射手段30に伝達される。
【0073】
また、第2反射手段30で反射された拡張現実画像光は光学手段10の第2面12を通して瞳孔50に出射し、瞳孔50を通して網膜に到逹して拡張現実用画像に対する像を形成するように構成されている。
【0074】
図4~
図6の実施例では、画像出射部40から出射する拡張現実画像光が光学手段10の第1面11で1回全反射されて第1反射手段20に伝達されるものとして示したが、これは例示的なものであり、画像出射部40から出射する拡張現実画像光は全反射されずまたは2回以上全反射されて第1反射手段20に伝達されることもできる。
【0075】
また、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は光学手段10の第1面11で1回全反射されて第2反射手段30に伝達されるものとして示したが、これも例示的なものであり、全反射されずまたは2回以上全反射されて第2反射手段30に伝達されることもできる。
【0076】
ここで、第2反射手段30は複数の反射部31~37から構成される。本明細書で、第2反射手段30は複数の反射部31~37を通称するものとする。第2反射手段30の詳細構成については後述する。
【0077】
画像出射部40は拡張現実用画像に相応する画像光である拡張現実画像光を出射する手段であり、例えば小型LCDのようなディスプレイ装置であり得る。
【0078】
このような画像出射部40自体は本発明の直接的な目的ではなく、従来技術に知られているものであるので、ここでは詳細説明は省略する。ただし、本実施例の画像出射部40は先に背景技術で説明したようなコリメーターのような構成は含まない。
【0079】
一方、拡張現実用画像とは、画像出射部40、光学手段10、第1反射手段20、及び第2反射手段30を通して使用者の瞳孔50に伝達される仮想画像(virtual image)を意味し、例えばイメージ形態の静止映像や動画のようなものであり得る。
【0080】
このような拡張現実用画像は、画像出射部40、光学手段10、第1反射手段20及び第2反射手段30によって使用者の瞳孔50に伝達されることによって使用者に仮想画像として提供され、これと同時に、使用者は実際世界に存在する実際事物から出射する実際事物画像光を光学手段10を通して受けることで、拡張現実サービスを受けることができるようになる。
【0081】
次に、第1反射手段20について説明する。
【0082】
第1反射手段20は、光学手段10の内部に埋め込まれて配置され、画像出射部40から出射した拡張現実画像光を第2反射手段30に伝達する手段である。
【0083】
図4~
図6の実施例では、前述したように、画像出射部40は光学手段10の第1面11に向けて拡張現実画像光を出射し、光学手段10の第1面11で全反射された拡張現実画像光は第1反射手段20に伝達される。
【0084】
その後、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は光学手段10の第1面11でさらに全反射されてから第2反射手段30に伝達され、第2反射手段30でさらに反射されて瞳孔50に向かって出射する。
【0085】
第1反射手段20は、
図4~
図6に示すように、第2反射手段30を間に挟んで画像出射部40と対向するように光学手段10の内部に埋め込まれて配置される。
【0086】
また、第1反射手段20は、拡張現実用画像光を第2反射手段30に伝達することができるように、光学手段10の第1面11と第2面12との間の内部に埋め込まれて配置される。
【0087】
すなわち、第1反射手段20は、画像出射部40から出射して光学手段10の第1面11で全反射されて入射する拡張現実画像光を光学手段10の第1面11に向けて出射し、光学手段10の第1面11で全反射された拡張現実画像光が第2反射手段30に伝達されるように、画像出射部40、第2反射手段30及び瞳孔50の相対的な位置を考慮して、光学手段10の第1面11と第2面12との間の光学手段10の内部の適切な位置に配置される。
【0088】
このために、
図4~
図6の実施例では、第1反射手段20は、拡張現実画像光を反射させる第1反射手段20の反射面21が実際事物画像光が入射する面、すなわち、光学手段10の第1面11に向かうように、光学手段10の内部に埋め込まれて配置される。
【0089】
ここで、第1反射手段20が光学手段10の内部に埋め込まれて配置されるというのは、第1反射手段20の端部が光学手段10の第1面11及び第2面12からそれぞれ離隔して光学手段10の内部に配置されることを意味する。
【0090】
このような配置構造により、第1反射手段20が拡張現実画像光を第1面11に向けて出射する一方で、実際事物から出射してゴーストイメージを発生させることができる雑光が瞳孔50側に伝達されることを遮断することができる。
【0091】
第1反射手段20の反射面21は曲面として形成されることができる。例えば、第1反射手段20の反射面21は光学手段10の第1面11の方向に凹んでいるように形成された凹面鏡であり得る。このような構成により、第1反射手段20は画像出射部40から出射した拡張現実画像光を視準させるコリメーター(collimator)としての役割を果たすことができ、よって画像出射部40にコリメーターのような構成を使う必要がない。
【0092】
図7は第1反射手段20がゴーストイメージを遮断する原理を説明するための図である。
【0093】
図7では、説明の便宜のために、第2反射手段30は省略した。
【0094】
図7を参照すると、前述したように、第1反射手段20は、実際事物画像光が入射する光学手段10の第1面11に向かうように配置されている。よって、実際事物から出射して第1反射手段20に入射するゴーストイメージを発生させることができる実際事物画像光(雑光)は第1面11に向かって凹んでいるように配置された第1反射手段20の反射面21で反射されて光学手段10の第2面12に向かって出射し、光学手段10の第2面12でさらに全反射されて画像出射部40の方向に伝達されることが分かる。
【0095】
したがって、実際事物から出射してゴーストイメージを発生させることができる雑光は光学手段10の内部で消滅し、瞳孔50側に流出しないことが分かる。
【0096】
ただ、このような原理は第1反射手段20で反射された実際事物画像光(雑光)が光学手段10の外部に流出しないための基本的な原理を例示的に説明したものであり、実際には、光学手段10の形態、屈折率、目及び第1反射手段20の位置、瞳孔50のサイズ及びアイレリーフ(eye relief)などを考慮して、第1反射手段20で反射されて瞳孔50に入る雑光を最小化させるように、第1反射手段20の位置及び方向を適切に調節しなければならない。
【0097】
一方、後述するように、第2反射手段30のサイズはヒトの一般的な瞳孔のサイズである8mm以下に、より好ましくは4mm以下に形成される。このような点を考慮して、第1反射手段20の幅方向の長さは第2反射手段30のサイズに相応するように8mm以下に、より好ましくは4mm以下に形成する。
【0098】
ここで、第1反射手段20の幅方向とは、
図4~
図6では光学手段10の第1面11と第2面12との間の方向を意味する。
図5を参照すると、第1反射手段20の幅方向の長さはz軸に垂直な平面に向かって光学手段10を見たときの第1反射手段20の長さに相当する。
【0099】
また、第1反射手段20は、使用者がなるべく認識することができないようにするために、使用者が瞳孔50を通して正面から見たときの厚さを非常に薄くすることが好ましい。
【0100】
また、第1反射手段20は、光を部分的に反射させるハーフミラー(half mirror)のような手段から構成することもできる。
【0101】
また、第1反射手段20は、反射手段の他の他屈折素子または回折光学素子から形成することもできる。
【0102】
また、第1反射手段20は、光を波長によって選択的に透過させるノッチフィルター(notch filter)などのような光学素子から形成することもできる。
【0103】
また、第1反射手段20の拡張現実画像光を反射させる反射面21の反対面を光を反射せずに吸収する材質でコーティングすることもできる。
【0104】
次に、第2反射手段30について説明する。
【0105】
第2反射手段30は光学手段10の内部に埋め込まれて配置され、第1反射手段20から伝達される拡張現実画像光を使用者の目の瞳孔50に向けて反射させて伝達することで使用者に拡張現実用画像を提供する手段であり、複数の反射部31~37から形成される。
【0106】
図4~
図6の実施例では、前述したように、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は光学手段10の第1面11に向かって出射し、光学手段10の第1面11でさらに全反射されてから第2反射手段30に伝達される。
【0107】
第2反射手段30を構成する複数の反射部31~37は、第1反射手段20から伝達される拡張現実画像光をそれぞれ反射させて使用者の瞳孔50に伝達することができるように光学手段10の内部に埋め込まれて配置される。
【0108】
ここで、第2反射手段20を構成する複数の反射部31~37が光学手段10の内部に埋め込まれて配置されるというのは、複数反射部31~37のそれぞれの端部が光学手段10の第1面11及び第2面12からそれぞれ離隔して光学手段10の内部に配置されることを意味する。
【0109】
前述したように、画像出射部40から出射した拡張現実画像光は第1反射手段20及び光学手段10の第1面11を通して第2反射手段30に伝達されるので、第2反射手段30を構成する複数の反射部31~37は第1反射手段20及び瞳孔50の位置を考慮して、光学手段10の第2面12に対して適切な傾斜角を有するように配置される。
【0110】
複数の反射部31~37のそれぞれは、背景技術で説明したように、深度を深くしてピンホール効果を得ることができるように、ヒトの瞳孔のサイズより小さいサイズ、すなわち、8mm以下、より好ましくは4mm以下に形成される。
【0111】
すなわち、複数の反射部31~37のそれぞれは、ヒトの一般的な瞳孔のサイズより小さいサイズに形成される。これにより、それぞれの反射部31~37を通して瞳孔50に入射する光の深度(Depth of Field)をほとんど無限大に近く、すなわち、深度を非常に深くすることができる。したがって、使用者が実際世界を見つめながら実際世界に対する焦点距離を変更しても、これに関係なく拡張現実用画像の焦点は常に合うものとして認識するようにするピンホール効果(pinhole effect)を発生させることができる。
【0112】
ここで、複数の反射部31~37のそれぞれのサイズとは、それぞれの反射部31~37の縁境界線上の任意の2点の間の最大長を意味するものと定義する。
【0113】
また、複数の反射部31~37のそれぞれのサイズは、瞳孔50と反射部31~37との間の直線に垂直でありながら瞳孔50の中心を含む平面にそれぞれの反射部31~37を投映した正射影の縁境界線上の任意の2点の間の最大長であり得る。
【0114】
一方、本発明で、反射部31~37のサイズがあまりにも小さい場合には、反射部31~37での回折(diffraction)現象が大きくなるので、反射部31~37のそれぞれのサイズは、例えば0.3mmよりは大きいことが好ましい。
【0115】
また、反射部31~37のそれぞれの形状は円形であることが好ましい。ここで、反射部31~37の形状は瞳孔50から反射部31~37を見たとき、円形と見えるように形成することもできる。
【0116】
一方、複数反射部31~37のそれぞれは、第1反射手段20から伝達される拡張現実画像光が他の反射部31~37によって遮断されないように配置される。このために、第2反射手段30及び複数の反射部31~37を次のように構成する。
【0117】
まず、
図4~
図6に示すように、光学手段10を使用者の瞳孔50の正面に配置し、瞳孔50から正面の方向をx軸とするとき、画像出射部40はx軸と直交する直線のうちのいずれか一つ上に位置するように光学手段10の外部または内部に配置される。
【0118】
ここで、画像出射部40からx軸への垂直線のうちx軸に沿って平行でありながら光学手段10の第1面11と第2面12との間を通る線分のうちの一つをy軸とし、x軸及びy軸と直交する線分をz軸とするとき、複数の反射部31~37のうちの少なくとも二つ以上の反射部35~37は、外部から前記z軸に垂直な面に向かって光学手段10を見たとき、その中心が一直線(これを“第1直線”という)上に位置するように光学手段10の内部に配置される第1反射部グループ30Aを形成する。
【0119】
また、前記第1反射部グループ30Aを形成する反射部35~37を除いた残りの反射部31~33のうちの少なくとも二つ以上の反射部31~34は、外部からz軸に垂直な面に向かって光学手段10を見たとき、その中心が前記第1直線に平行でないさらに他の直線(これを“第2直線”という)上に位置するように光学手段10の内部に配置される第2反射部グループ30Bを形成する。
【0120】
ここで、前記第1反射部グループ30Aを構成する反射部35~37は、第1反射手段20からの距離が大きいほど光学手段10の第2面12に段々近く配置される。
【0121】
また、前記第2反射部グループ30Bを構成する反射部31~34は、第1反射手段20からの距離に関係なく光学手段10の第2面12に対して同じ距離を有するか、または第1反射手段20からの距離が遠いほど光学手段10の第2面12から段々多く配置されることができる。
【0122】
ここで、光学手段10の第1面11及び第2面12のうちの少なくとも一つが曲面に形成されるかまたは瞳孔50の中心から正面の方向への直線(x軸)に対する垂直平面に平行でなく傾斜角を有するように形成される場合があり得るので、第1反射手段20からの距離が遠いほど光学手段10の第2面12に段々近く配置されるというのは、第1反射手段20からの距離が遠いほど瞳孔50から正面の方向への直線に対する垂直平面であって、第2面12と瞳孔50との間に存在する垂直平面に段々近く配置されることを意味する。
【0123】
同様に、第1反射手段20からの距離が遠いほど光学手段10の第2面12から段々遠く配置されるというのは、第1反射手段20からの距離が遠いほど瞳孔50から正面の方向への直線に対する垂直平面であって、第2面12と瞳孔50との間に存在する垂直平面から段々遠く位置するように配置されることを意味する。
【0124】
ここで、前記第1直線及び第2直線は前記z軸に垂直ないずれか一平面に含まれることができる。これは、第1反射部グループ30A及び第2反射部グループ30Bを形成する複数の反射部31~37がz軸に垂直ないずれか同一平面に全部含まれるように光学手段10の内部に配置されることを意味する。
【0125】
すなわち、
図4~
図6の実施例を参照すると、光学手段10を瞳孔50の正面に配置し、
図4のように、外部からz軸に垂直な面に向かって光学手段10を見たとき(光学手段10を
図4の紙面方向に見たとき)、反射部グループ30Aを構成する反射部35~37の中心を連結した線が第1直線を形成し、反射部グループ30Bを構成する反射部31~34の中心を連結した線も第2直線を形成し、第1直線と第2直線とは互いに平行でないように配置される。
【0126】
また、第2反射部グループ30Bは第1反射部グループ30Aよりも第1反射手段20から遠く位置するように配置される。これは、
図4で第1反射部グループ30Aが第2反射部グループ30Bよりも下側に位置して第1反射手段10側にもっと近く配置されることを意味する。
【0127】
一方、
図4~
図6では、第1反射部グループ30Aを構成するそれぞれの反射部35~37は隣接した反射部35~37によって連続的に構成されたものとして示しているが、これは例示的なものであり、例えば、隣接しない反射部から第1反射部グループ30Aを構成することもできる。これは、第2反射部グループ30Bの場合にも同様である。
【0128】
また、第1反射部グループ30A及び第2反射部グループ30Bのうちの少なくとも一方は複数から構成することもできるというのは言うまでもない。
【0129】
また、第2反射手段30を構成する複数の反射部31~37の全部が第1反射部グループ30A及び第2反射部グループ30Bのいずれか一方に必ずしも含まれなければならないものではなく、第2反射手段30を構成する複数の反射部31~37の一部のみで第1反射部グループ30A及び第2反射部グループ30Bを構成することができるというのは言うまでもない。
【0130】
図8は
図4~
図6で説明した反射部31~39の配置構造を説明するための図であり、
図8では、説明の便宜のために、反射部31~39が9個配置されたものとして示した。
【0131】
図8を参照すると、前述したように、第2反射手段30は第1反射部グループ30A及び第2反射部グループ30Bの二つの反射部グループの集合から構成され、第1反射部グループ30Aは複数の反射部36~39を含み、第2反射部グループ30Bも複数の反射部31~35をそれぞれ含む。
【0132】
図8に示すように、第1反射部グループ30Aを構成する反射部36~39の中心を仮想線で連結すると直線A(第1直線)を成し、第2反射部グループ30Bを構成する反射部31~35の中心を仮想線で連結すると直線B(第2直線)を成し、直線Aと直線Bとは互いに平行でないように反射部31~39が光学手段10の内部で第1面11と第2面12との間の空間に配置されることが分かる。
【0133】
ここで、第1反射部グループ30Aを構成する反射部36~39は、第1反射手段20からの距離が大きいほど光学手段10の第2面12に段々近く配置されており、第2反射部グループ30Bを構成する反射部31~35は、第1反射手段20からの距離に関係なく光学手段10の第2面12に対して同じ距離を有するように配置されていることが分かる。
【0134】
図8では二つの反射部グループ30A、30Bから反射手段30が構成された場合を示したが、これは例示的なものであり、三つ以上の反射部グループから第2反射手段30を構成し、反射部31~39の中心を連結した直線が三つ以上になるように形成することもできるというのは言うまでもない。
【0135】
図9及び
図10は第2反射手段30の他の配置構造を示した図である。
【0136】
図9では、説明の便宜のために、第1反射手段20は省略し、第2反射手段30のみを示す。
【0137】
図9を参照すると、第2反射手段30は3個の反射部グループ30A、30B、30Cの集合から構成され、それぞれの反射部グループ30A、30B、30Cを構成する反射部はいずれも、光学手段10の側面、すなわち、z軸に垂直な面に向かって光学手段10を見るとき、それぞれの反射部の中心を連結した線が互いに平行でない3本の直線を成すように配置されていることが分かる。
【0138】
ここで、反射部グループ30Cを構成する反射部は、第1反射手段20からの距離にかかわらず、光学手段10の第2面12に対して同じ距離を有するが、反射部グループ30Bを構成する反射部は、反射部グループ30Aを構成する反射部と同様に、第1反射手段20からの距離が遠いほど光学手段10の第2面12に段々近く配置されていることが分かる。
【0139】
この場合は、第1反射手段20からの距離が遠いほど光学手段10の第2面12に段々近く配置される反射部から構成される反射部グループ30Aが複数存在する場合と見なすことができる。ただ、この場合にも、それぞれの反射部グループ30A、30Bを構成する直線は互いに平行でないように配置される。
【0140】
図10の場合にも、第2反射手段30は3個の反射部グループ30A、30B、30Cの集合から構成され、それぞれの反射部グループ30A、30B、30Cを構成する反射部はいずれも、光学手段10の側面から見るとき、それぞれの反射部の中心を連結した線が3個の直線を成すように配置されていることが分かる。
【0141】
図10では、反射部グループ30Aを構成する反射部は第1反射手段20からの距離が遠いほど光学手段10の第2面12に段々近く配置されており、反射部グループ30Bを構成する反射部は、第1反射手段20からの距離にかかわらず、光学手段10の第2面12に対して同じ距離を有するように配置されている。
【0142】
また、反射部グループ30Cを構成する反射部は、第1反射手段20からの距離が遠いほど光学手段10の第2面12から段々遠くなるように配置されていることが分かる。
【0143】
一方、前記実施例において、それぞれの反射部グループ30A、30B、30Cの反射部の中心を連結した直線は互いに連結されるように反射部が配置されることが好ましいが、必ずしも互いに連結されている必要はない。
【0144】
一方、
図4~
図6の実施例では、画像出射部40から出射した拡張現実画像光が光学手段10の第1面11で1回全反射されてから第1反射手段20に伝達されるものとして説明したが、全反射されないかまたは2回以上全反射される構成も可能である。
【0145】
また、
図4~
図6の実施例では、第1反射手段20と第2反射手段30との間の拡張現実画像光は光学手段10の第1面11によって1回全反射されるものとして示したが、直接伝達されるかまたは2回以上全反射されて伝達される構成も可能である。
【0146】
図11~
図16は、光学手段10の内部での全反射構造を説明するための図である。
【0147】
図11は、光学手段10の内面で全反射されない場合を示す図である。図示のように、画像出射部40から出射する拡張現実画像光は全反射なしに第1反射手段20に光学手段10の内部を通して直接伝達され、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は第2反射手段30、すなわち、複数の反射部31~37に直接伝達され、それぞれの反射部31~37で反射されて瞳孔50に伝達されることが分かる。
【0148】
図12は、光学手段10の内面で2回全反射される場合を示す図である。図示のように、画像出射部40から出射する拡張現実画像光は光学手段10の第1面11で全反射されて第1反射手段20に伝達され、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光はさらに光学手段10の第1面11側に出射し、第1面11でさらに全反射されてから第2反射手段30に伝達され、ここでさらに反射されて瞳孔50に伝達されることが分かる。
【0149】
図12は、
図4~
図6で説明した実施例と同様であり、
図11の光学手段10を、
図4~
図6で説明したように、x軸上で二等分した後、二等分線を第1面11とし、これを基準に
図11の第1反射手段20を対称移動させたものと実質的に同一であることが分かる。
【0150】
図13は、光学手段10の内面で全反射されないさらに他の場合を示す図である。図示のように、画像出射部40から出射する拡張現実画像光は全反射されず、第1反射手段20に光学手段10の内部を通して直接伝達され、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は第2反射手段30、すなわち、複数の反射部31~37に直接伝達された後、複数の反射部31~37で反射されて瞳孔50に伝達されることが分かる。
図13の例は
図11と類似しているが、画像出射部40の位置及び第1反射手段20の位置に違いがある。
【0151】
図14は、光学手段10の内面で1回全反射されるさらに他の場合を示す図である。図示のように、画像出射部40から出射する拡張現実画像光は第1反射手段20に直接伝達され、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は光学手段10の第1面11側に出射し、第1面11で全反射されてから第2反射手段30に伝達され、ここでさらに反射されて瞳孔50に伝達されることが分かる。
【0152】
図14は、
図4~
図6で説明したように、z軸方向に
図13の光学手段10を見るとき、光学手段10をx軸上で二等分した後、二等分線を第1面11とし、これを基準に
図13の第1反射手段20を対称移動させたものと実質的に同一であることが分かる。
【0153】
図15は、光学手段10の内面で全反射されないさらに他の例を示す図である。図示のように、画像出射部40から出射する拡張現実画像光は全反射されず、第1反射手段20に光学手段10の内部を通して直接伝達され、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は第2反射手段30、すなわち、複数の反射部31~37に直接伝達され、ここでさらに反射されて瞳孔50に伝達されることが分かる。
図15の例は
図11及び
図13と類似しているが、画像出射部40の位置及びサイズと第1反射手段20の位置及び角度に違いがある。
【0154】
図16は、光学手段10の内面で2回全反射されるさらに他の場合を示す図である。図示のように、画像出射部40から出射する拡張現実画像光は第1反射手段20に直接伝達され、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は光学手段10の第2面12側に出射し、第2面12で全反射されてから第1面11に伝達され、第1面11でさらに全反射されて第2反射手段30に伝達され、ここでさらに反射されて瞳孔50に伝達されることが分かる。
【0155】
図16は、
図4~
図6で説明したように、z軸方向に
図15の光学手段10を見るとき、光学手段10をx軸上で三等分した後、三等分線のうち瞳孔50側に近い線を第1面11とし、三等分線を基準に
図15の第1反射手段20を2回対称移動させたものと実質的に同一であることが分かる。
【0156】
図11~
図16は、光学手段10の内部で全反射されないかまたは少なくとも1回以上全反射される構造を例示的に示す図であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の回数の全反射によって拡張現実画像光を第1反射手段20及び第2反射手段30に伝達することができるその他の多様な構造が可能であるというのは言うまでもない。
【0157】
図17及び
図18は、本発明の他の実施例による拡張現実用光学装置300の構成を示す図である。
図17は拡張現実用光学装置300の斜視図であり、
図18は拡張現実用光学装置300の正面図である。
【0158】
図17及び
図18の拡張現実用光学装置300は、
図4~
図6を参照して説明した実施例の拡張現実用光学装置200と基本的な構成は同一であるが、複数の反射部31~37から構成される第2反射手段301~305が複数から形成されたことを特徴とする。
【0159】
ここで、複数の第2反射手段301~305は次のような配置構造を有する。すなわち、前述したように、光学手段10を使用者の瞳孔50の正面に配置したとき、瞳孔50から正面の方向をx軸とし、画像出射部40からx軸への垂直線のうちx軸に平行でありながら光学手段10の内面の間を通る線分のうちのいずれか一つをy軸とするとき、z軸は前記x軸及びy軸と直交しながら光学手段10の内面の間を通る線分になる。ここで、複数の第2反射手段301~305は前記z軸に平行な仮想の直線に沿って平行に互いに間隔を置いて配置される。
【0160】
ここで、それぞれの第2反射手段301~305を構成する複数の反射部31~37のそれぞれは、隣接した第2反射手段301~305、すなわち、両側の第2反射手段301~305を構成する複数の反射部31~37のうちのいずれか一つとz軸に平行な仮想の直線に沿って整列されるように並んで配置されることができる。
【0161】
したがって、複数の第2反射手段301~305をz軸方向に見たとき、
図4と同一に見えるようになる。
【0162】
図17及び
図18の実施例によれば、
図4~
図6を参照して説明したような作用効果を有しながらz軸方向の視野角及びアイボックス(eye box)を広げることができる利点がある。
【0163】
図19及び
図20は、本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置400の構成を示す図である。
図19は拡張現実用光学装置400の斜視図であり、
図20は拡張現実用光学装置400の正面図である。
【0164】
図19及び
図20の実施例の拡張現実用光学装置400は、
図17及び
図18で説明した実施例の拡張現実用光学装置300と基本的に同一であるが、複数の第2反射手段301~305のそれぞれを構成する複数の反射部31~37のうちの少なくとも一部が、隣接した第2反射手段301~305を構成する複数の反射部31~37に対してz軸に平行な仮想の直線に沿って並んで整列されないように配置されることを特徴とする。
【0165】
すなわち、
図19及び
図20に示すように、z軸の右側方向から互いに隣接する一番目第2反射手段301の反射部31~37と二番目第2反射手段302の反射部31~36とをy軸方向の上側(画像出射部40側)から順に比較して見ると、一番目第2反射手段301のそれぞれの反射部31~37は二番目第2反射手段302のすべての反射部31~36とz軸に平行な仮想の直線に沿って整列されように配置されていることが分かる。
【0166】
すなわち、一番目第2反射手段301の反射部31~37と二番目第2反射手段302の反射部31~36とは、x軸方向に見るとき、z軸に平行な仮想の直線に沿って並んで整列されておらず、互いにずれるように配置されていることが分かる。
【0167】
図21及び
図22は、本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置500の構成を示す図である。
図21は拡張現実用光学装置500の斜視図であり、
図22は拡張現実用光学装置500の正面図である。
【0168】
図21及び
図22の拡張現実用光学装置500は
図4~
図6を参照して説明した実施例と基本的な構成は同一であるが、複数の反射部31~37のそれぞれがz軸に平行な仮想の直線に沿って延びたバー(bar)状に形成されたことを特徴とする。
【0169】
ここで、複数の反射部31~37のそれぞれは次のような配置構造を有する。すなわち、前述したように、拡張現実用光学装置500を使用者の瞳孔50の正面に配置したとき、瞳孔50から正面の方向をx軸とし、画像出射部40からx軸への垂直線のうちx軸に平行でありながら光学手段10の内面の間を通る線分のうちのいずれか一つをy軸とするとき、z軸は前記x軸及びy軸と直交しながら光学手段10の内面の間を通る線分になる。ここで、複数の反射部31~37は前記z軸に平行な仮想の直線に沿って延びるバー(bar)状に形成される。
【0170】
本実施例の場合にも、光学手段10をz軸に垂直な平面に向かって見たとき、複数の反射部31~37は
図4に示したものと同一に見えるようになる。
【0171】
一方、
図4~
図22の実施例において、第1反射手段20は、瞳孔50から正面の方向、すなわち、x軸に垂直な面に向かって光学手段10を見たとき、第1反射手段20は中央部分から左右の両端部側に行くほど第2反射手段301~305に段々近くなるように延設されることで、全体的に緩やかな「U」字形のバー(bar)状に形成されている。これは、第1反射手段20がコリメーターとしての機能をよりうまく果たすことができるようにするためである。
【0172】
第1反射手段20のz軸方向への全長は、複数の第2反射手段301~305の全部のz軸方向への長さに相応するように形成される。
【0173】
この場合にも、前述したように、第1反射手段20の幅方向の長さは4mm以下に形成されることが好ましい。
【0174】
その他にも、先に
図4~
図6で説明した第1反射手段20の他の特徴も
図17~
図22の実施例にそのまま適用することができる。
【0175】
図23は、本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置600を示す図であって、z軸に垂直な平面に向かって拡張現実用光学装置600を見た側面図である。
【0176】
図23の実施例は、
図4~
図6の実施例と基本的に同一であるが、画像出射部40から出射した拡張現実画像光が光学手段10に入射する第3面13が屈折力(refractive power)を有するように曲面として形成されたことを特徴とする。
【0177】
このような第3面13は画像出射部40側に突出した屈曲面として形成されることで、画像出射部40から入射する拡張現実画像光に対するコリメーターとしての機能を果たすことができる。よって、コリメーターとしての機能を果たす第1反射手段20と一緒に第3面13を補助的なコリメーターとして使うことができるので、コリメーターとしての全体的な性能を向上させることができる。
【0178】
図23において、第3面13は、第1面11と第2面12との間に形成されたものとして示したが、これに限定されるものではない。第3面13は画像出射部40から出射した拡張現実画像光が光学手段40に入射する面を意味するという点に気を付けなければならない。
【0179】
図24は本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置700を示す図であって、z軸に垂直な平面に向かって拡張現実用光学装置700を見た側面図である。
【0180】
図24の実施例は
図23の実施例と基本的に同一であるが、画像出射部40と第3面13との間に補助光学手段70がさらに配置されたことを特徴とする。
【0181】
図24では、補助光学手段70は凸レンズから形成されているが、これは例示的なものであり、その他の多様な反射手段、屈折手段または回折手段のうちの少なくとも一つ以上の組合せを使うことができる。このような補助光学手段70を適切に活用することで、拡張現実用光学装置700の全体的な性能を向上させることができる。
【0182】
図25~
図27は、本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置800を説明するための図である。
図25は拡張現実用光学装置800を瞳孔50側から見た正面図であり、
図26は拡張現実用光学装置800を前述したようなz軸に垂直な平面に向かって見た側面図であり、
図27は拡張現実用光学装置800を前述したようなy軸に垂直な面に向かって見た平面図である。
【0183】
図25~
図27に示した拡張現実用光学装置800は
図18の拡張現実用光学装置300と基本的な構成は同一であるが、複数の第2反射手段301~305のそれぞれと光学手段10の第2面12との距離が全部同一ではないように配置される第2反射手段301~305が少なくとも一つ以上存在するという点に違いがある。
【0184】
すなわち、前述したように、拡張現実用光学装置800を使用者の瞳孔50の正面に配置したとき、瞳孔50から正面の方向をx軸とし、画像出射部40からx軸への垂直線のうちx軸に平行でありながら光学手段10の内面の間を通る線分のうちのいずれか一つをy軸とし、前記x軸及びy軸と直交しながら光学手段10の内面の間を通る線分をz軸とするとき、それぞれの第2反射手段301~305と光学手段10の第2面12との距離が全部同一ではないように配置される第2反射手段301~305が少なくとも一つ以上存在するように第2反射手段301~305が配置される。
【0185】
これは、言い換えれば、
図26に示すように、z軸に垂直な面に向かって拡張現実用光学装置800を見たとき、複数の第2反射手段301~305のうちの少なくとも一部は重なって見えないように配置される第2反射手段301~305が少なくとも一つ以上存在することを意味する。
【0186】
図25~
図27の実施例では、点線で示す2個の第2反射手段301、305と光学手段10の第2面12との距離、黒色で示す2個の第2反射手段302、304と光学手段10の第2面12との距離、及び白色で示す1個の第2反射手段303と光学手段10の第1面12との距離は互いに異なるように配置される。
【0187】
ここで、点線で示す2個の第2反射手段301、305のそれぞれと光学手段10の第2面12との距離は同一であり、黒色で示す2個の第2反射手段302、304のそれぞれと光学手段10の第2面12との距離は同一であるものとして示したが、これは例示的なものであり、すべての第2反射手段301~305と光学手段10の第2面12との距離が全部異なるように配置することもできるというのは言うまでもない。
【0188】
一方、前記実施例において、複数反射部31~37のサイズは全部同一である必要はなく、少なくとも一部のサイズは他の反射部31~37と異なるように構成することができる。このような場合にも、それぞれの反射部31~37のサイズは、前述したように、4mm以下に形成することが好ましい。
【0189】
また、複数の反射部31~37は互いに同じ間隔を置いて配置されることが好ましいが、少なくとも一部の反射部31~37の間隔を他の反射部31~37の間隔と異なるように配置することもできる。
【0190】
また、少なくとも一部の反射部31~37のx軸に対する傾斜角が他の反射部31~37と異なるように構成することもできる。
【0191】
また、複数反射部31~37のうちの少なくとも一部は光を部分的に反射させるハーフミラー(half mirror)のような手段から構成することもできる。
【0192】
また、複数の反射部31~37のうちの少なくとも一部は、反射手段以外の他屈折素子から形成することもできる。
【0193】
また、複数反射部31~37のうちの少なくとも一部は光を波長によって選択的に透過させるノッチフィルター(notch filter)などのような光学素子から構成することができる。
【0194】
また、複数の反射部31~37のうちの少なくとも一部に対して、拡張現実画像光を反射させる面の反対面を、光を反射せずに吸収する素材でコーティングすることもできる。
【0195】
また、複数の反射部31~37のうちの少なくとも一部の表面を曲面として形成することもできる。ここで、前記曲面は凹面または凸面であり得る。
【0196】
また、反射部31~37のうちの少なくとも一部は、回折光学素子(Diffractive Optical Element、DOE)またはボログラフィック光学素子(Holographic Optical Element、HOE)のような光学素子から形成することもできる。
【0197】
次に、
図28~
図32を参照して前記実施例で説明した拡張現実用光学装置200~800の光学手段10を製造する方法について説明する。
【0198】
図28は下部ベース基板10Aの斜視図であり、
図29は光学手段母材10Eの側面図であり、
図30は光学手段母材10Eの斜視図であり、
図31は第1基板10B及び第2基板10Cの側面図であり、
図32は光学手段母材10Eを切削して光学手段10を形成する方法を説明するための図である。
【0199】
前記実施例で説明した拡張現実用光学装置200~800の光学手段10は、下部ベース基板10A、第1基板10B、第2基板10C、及び上部ベース基板10Dを積層して光学手段母材10Eを形成し、光学手段母材10Eを切削する工程によって製造される。
【0200】
このために、まず、
図28に示すように、下部ベース基板10Aの表面に第1方向に沿って複数の反射部30-1を形成する。
【0201】
ここで、下部ベース基板10Aは略直方体形状を有するが、これに限定されるものではない。
【0202】
また、
図29及び
図30に示すような複数の第1基板10Bの表面に前記第1方向に平行な方向に沿って複数の反射部30-2~30-11を形成し、複数第2基板10Cの表面にも前記第1方向に平行な方向に沿って複数の反射部30-12~30-22を形成する。
【0203】
そして、
図29及び
図30に示すように、前記下部ベース基板10Aの表面上に複数の第1基板10Bを順次接着して積層し、積層された第1基板10Bのうちの最上部の第1基板10B上に複数の第2基板10Cを順次接着して積層することで第2反射手段30を構成する。
【0204】
ここで、複数の第1基板10Bのそれぞれに形成される反射部30-2~30-11は、外部から第1方向に垂直な面に向かって第1基板10Bを見たとき、すなわち、
図29の紙面方向に第1基板10Bを見たときに見える最前方の反射部30-1~30-11の中心を連結した線が直線を成すように第1基板10Bのそれぞれの表面に形成される。
【0205】
また、複数の第2基板10Cのそれぞれに形成される反射部30-12~30-22は、外部から前記第1方向に垂直な面に向かって前記第2基板10Cを見たとき、すなわち、
図29の紙面方向に第2基板10Cを見たときに見える最前方の反射部30-12~30-22の中心を連結した線が直線を成すように第2基板10Cのそれぞれの表面に形成される。
【0206】
ここで、反射部30-12~30-22は、前記反射部30-1~30-11の中心を連結した直線と前記反射部30-12~30-22の中心を連結した直線とが互いに平行でないように配置される。
【0207】
このような過程によって、反射部30-1~30-22から第2反射手段30を構成する。
【0208】
一方、複数の第1基板10Bは互いに同じ形状を有し、複数の第2基板10Cも互いに同じ形状を有する。
【0209】
また、複数の第1基板10Bと複数の第2基板10Cとは互いに異なる形状を有する。
【0210】
また、
図31の(a)に示すように、第1基板10Bは、第1方向に垂直な面に向かって第1基板10Bを見たとき、それぞれの第1基板10Bの両端部E1、E2のうちのいずれか一端部E2の高さHB2は他端部E1の高さHB1よりも高くなるように形成されている。
【0211】
また、
図31の(b)に示すように、第2基板10Cは、第1方向に垂直な面に向かって第2基板10Cを見たとき、それぞれの第2基板10Cの両端部E1、E2のうちのいずれか一端部E2の高さHC2は他端部E1の高さHC1よりも高くなるように形成されている。
【0212】
ここで、第1基板10Bと第2基板10Cとは互いに異なる形状なので、HB1≠HC1であり、HB2≠HC2である。また、HB1≠HC1であり、HB2=HC2であることもでき、HB1=HC1であり、HB2≠HC2であることもできる。
【0213】
一方、反射部30-1~30-22を下部ベース基板10A、第1基板10B及び第2基板10Cに形成するのに、例えばマスク蒸着方式などを用いるかまたは接着剤による接着方式を用いることができる。これは従来技術に知られているものであり、本発明の直接的な目的ではないので、詳細な説明は省略する。
【0214】
このように、第2基板10Cの積層を完了すると、積層された第2基板10Cのうちの最上部の第2基板上に第1反射手段20を含む上部ベース基板10Dを接着して積層することで、
図29及び
図30に示したような光学手段母材10Eを形成する。
【0215】
ここで、上部ベース基板10Dの内部には、
図29、
図30及び
図32に示すように、第1反射手段20が配置されている。第1反射手段20は、前述した実施例のように、画像出射部40の位置、第1反射手段30の位置及び瞳孔50の位置を考慮して、上部ベース基板10Dの内部の適切な位置に配置される。
【0216】
一方、下部ベース基板10A、第1基板10B、第2基板10C、及び上部ベース基板10Dの各基板の間の接着には、例えば基板の間に接着剤を投与し、両基板を密着して固定する方式を使うことができる。これもやはり従来技術に知られているものであり、本発明の直接的な目的ではないので、詳細な説明は省略する。
【0217】
また、下部ベース基板10A、第1基板10B、第2基板10C、及び上部ベース基板10Dは互いに同じ屈折率を有するガラス材またはプラスチック材から形成されることが好ましい。
【0218】
このような過程によって光学手段母材10Eが形成されれば、これを切削して光学手段10を形成する。
【0219】
すなわち、
図32に示すように、第2反射手段30を構成する複数の反射部31~37が配置された第1方向に垂直な面に向かって光学手段母材10Eを見たとき、反射部31~37がその間に全部含まれるようにする互いに平行な二つの直線L1、L2に沿って第1方向に平行な方向に光学手段母材10Eを切削する。
【0220】
ここで、直線L1に沿って第1方向に平行な方向に切削された面は前述したような光学手段10の第1面11になり、直線L2に沿って第1方向に平行な方向に切削された面は前述したような光学手段10の第2面12になる。
【0221】
このような二つの直線L1、L2に垂直な法線の方向に瞳孔50が位置するように光学手段10を配置すると、例えば、
図4のような形態の拡張現実用光学装置200を得ることができる。
【0222】
したがって、それぞれの反射部31~37が瞳孔50から正面の方向(
図4で、x軸方向)に対してなす傾斜角はそれぞれの基板10A、10B、10Cの境界面によって規定することができる。
【0223】
そして、二つの直線L3、L4に沿って第1方向に平行な方向にさらに光学手段母材10Eを切削することで、最終的に光学手段10を形成する。ここで、前記二つの直線L3、L4に沿って第1方向に平行な方向に切削された面は、光学手段10を瞳孔50の正面に配置したとき、光学手段10の上面及び下面に相応する面になる。
【0224】
このような製造方法によると、互いに同じ形状を有する複数の第1基板10B及び互いに同じ形状を有する複数の第2基板10Cを用いて光学手段10を形成することができ、従来の製造方式に比べて製造工程が単純であるので、不良率を著しく減らすことができるという利点がある。
【0225】
一方、
図28~
図32の実施例では、下部ベース基板10A、複数の第1基板10B、及び複数の第2基板10Cに反射部30-1~30-22を形成した後、これらの基板10A、10B、10Cを接着するものとして説明したが、これは例示的なものである。
【0226】
例えば、下部ベース基板10Aに反射部30-1を形成した後、複数の第1基板10Bのそれぞれに反射部30-2~30-11を形成しながら第1基板10Bを順次接着して積層する方式を使うことができる。これは第2基板10Cの場合にも同様である。
【0227】
次に、
図33~
図35を参照して本発明の他の実施例による拡張現実用光学装置900について説明する。
【0228】
図33~
図35は、本発明のさらに他の実施例による直線配置反射構造を有する拡張現実用光学装置900を示す図である。
図33は拡張現実用光学装置900を瞳孔50の正面に配置したときの斜視図であり、
図34は拡張現実用光学装置900を瞳孔50の正面に配置したときの正面図であり、
図35は拡張現実用光学装置900を瞳孔50の正面に配置したときの側面図である。
【0229】
図33~
図35の実施例による拡張現実用光学装置900は、前述した実施例の拡張現実用光学装置200~800と基本的に同一であるが、複数の反射部31~37の代わりに、単一の面から形成された光学素子80を使うという点に違いがある。
【0230】
図33~
図35の実施例において、光学素子80は、第1反射手段20から伝達される拡張現実画像光を使用者の目の瞳孔50に向かって伝達することによって使用者に拡張現実用画像を提供するように、光学手段10内に埋め込まれて配置される。
【0231】
図35で、矢印は拡張現実画像光の光経路を示す図である。図示のように、画像出射部40から出射した拡張現実画像光は光学手段10の第1面11で全反射されて第1反射手段20に伝達され、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は光学手段10の第1面11でさらに全反射されてから光学素子80に伝達され、光学素子80を通して瞳孔50に伝達される。
【0232】
このような光学素子80は、先に
図17~
図20を参照して説明した拡張現実用光学装置300、400内で複数の第2反射手段301~305を構成する複数の反射部31~37が配置された仮想の平面に相応する形態を有し、回折光学素子(DOE、Diffractive Optical Element)またはホログラフィック光学素子(HOE、Holographic Optical Element)から形成される。
【0233】
光学素子80は、
図33~
図35に示すように、単一の平面状に形成され、前記単一の平面状の光学素子は、z軸に垂直な面に向けて光学手段10を見たとき、互いに平行でない少なくとも二つ以上の直線が連結された形態に折り曲げられて見えるように、光学手段10の内部に配置される。
【0234】
回折光学素子(DOE)またはホログラフィック光学素子(HOE)は実際事物画像光を透過及び反射させる性質を有するので、光学素子80は拡張現実画像光を瞳孔50に伝達するとともに光学素子80を透過して実際事物画像光を瞳孔50に伝達することができる。ただし、実際事物画像光に対する光効率はちょっと落ちることがある。
【0235】
このような光学素子80を使う場合、不連続的に一定した周期で配置される前述した実施例の第2反射手段30よりも均一な拡張現実画像を提供することができ、光学素子80の平面構造に沿って延びた線によって構成される二枚の基板のみを使用して製造することができるので、製造工程がずっと簡便であるという利点を有する。
【0236】
図36~
図38は、本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置1000を説明するための図である。
図36は拡張現実用光学装置1000を瞳孔50の正面に配置したときの斜視図であり、
図37は拡張現実用光学装置1000を瞳孔50の正面に配置したときの側面図であり、
図38は拡張現実用光学装置1000を瞳孔50の正面から見た正面図である。
【0237】
図36~
図38の実施例の拡張現実用光学装置1000は、
図17~
図20を参照して説明した実施例の拡張現実用光学装置300、400と基本的に同一であるが、複数の第2反射手段301~305のそれぞれを構成する複数の反射部31~37の中心が単一の直線上に位置するように光学手段10の内部に配置されるという点に違いがある。
【0238】
すなわち、
図36~
図38の実施例の拡張現実用光学装置1000は、光学手段10を使用者の瞳孔50の正面に配置し、瞳孔50から正面の方向をx軸とし、画像出射部40からx軸への垂直線のうちx軸に平行でありながら光学手段10の第1面11と第2面12との間を通る線分のうちのいずれか一つをy軸とし、前記x軸及びy軸と直交する線分をz軸とするとき、それぞれの第2反射手段301~305を構成するすべての複数の反射部31~37は、外部から前記z軸に垂直な面に向かって光学手段10を見たとき、その中心が単一の直線上に位置するように、光学手段10の内部に配置される。
【0239】
図36~
図38では、第2反射手段301~305が複数形成されたものとして示したが、第2反射手段は、
図4~
図6に示すように、一つのみ形成されることもできるというのは言うまでもない。
【0240】
図37でも、矢印は拡張現実画像光の光経路を示すものであり、
図35で説明したものと同様に、画像出射部40から出射した拡張現実画像光は光学手段10の第1面11で全反射されて第1反射手段20に伝達され、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は光学手段10の第1面11でさらに全反射されてから第2反射手段30に伝達され、第2反射手段30で反射されて瞳孔50に伝達されることが分かる。
【0241】
図39及び
図40は、本発明のさらに他の実施例による拡張現実用光学装置1100を示す図である。
図39は拡張現実用光学装置1100を瞳孔50の正面に配置したときの斜視図であり、
図40は拡張現実用光学装置1100を瞳孔50の正面に配置したときの側面図である。
【0242】
図39及び
図40の実施例の拡張現実用光学装置1100は、
図33~
図35を参照して説明した拡張現実用光学装置900と基本的に同一であるが、光学素子80は、z軸に垂直な面に向かって光学手段10を見たとき、単一の直線形態として見えるように光学手段10の内部に配置される単一の平面形態に形成されるという点に違いがある。
【0243】
すなわち、
図39及び
図40に示すように、光学手段10を使用者の瞳孔50の正面に配置し、瞳孔50から正面の方向をx軸とし、画像出射部40からx軸への垂直線のうちx軸に平行でありながら光学手段10の第1面11と第2面12との間を通る線分のうちのいずれか一つをy軸とし、前記x軸及びy軸と直交する線分をz軸とするとき、光学素子80は、前記z軸に垂直な面に向かって前記光学手段10を見たとき、単一の直線形態として見えるように光学手段10の内部に配置される単一の平面形態に形成される。
【0244】
図40でも、矢印は拡張現実画像光の光経路を示すものであり、前述したものと同様に、画像出射部40から出射した拡張現実画像光は光学手段10の第1面11で全反射されて第1反射手段20に伝達され、第1反射手段20で反射された拡張現実画像光は光学手段10の第1面11でさらに全反射されてから光学素子80に伝達され、光学素子80を通して瞳孔50に伝達されることが分かる。
【0245】
その他の構成は
図33~
図35で説明したものと同様であるので、その詳細説明は省略する。
【0246】
以上で、本発明の好適な実施例を参照して本発明の構成を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多様な修正及び変形実施が可能であるというのは言うまでもない。
【0247】
例えば、近視または遠視を有する屈折異常の使用者のために、凹レンズまたは凸レンズを光学手段10の第2面12に付着する方法を使うことができる。ここで、付着される凹レンズまたは凸レンズは光学手段10と一体に形成するかまたは別途のモジュールとして構成して着脱式で結合できるように構成することができる。