(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】空調システム、決定装置、及び決定方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/62 20180101AFI20250205BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20250205BHJP
F24F 11/72 20180101ALI20250205BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20250205BHJP
F24F 11/33 20180101ALI20250205BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20250205BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20250205BHJP
F24F 110/70 20180101ALN20250205BHJP
F24F 120/10 20180101ALN20250205BHJP
【FI】
F24F11/62
F24F11/64
F24F11/72
F24F11/77
F24F11/33
F24F11/46
F24F110:12
F24F110:70
F24F120:10
(21)【出願番号】P 2024139466
(22)【出願日】2024-08-21
【審査請求日】2024-08-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】長廣 剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/151363(WO,A1)
【文献】特開2020-071010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/62
F24F 11/64
F24F 11/72
F24F 11/77
F24F 11/33
F24F 11/46
F24F 110/12
F24F 110/70
F24F 120/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得する取得部と、
前記予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測する人数予測部と、
前記空調空間に関する過去の測定結果に応じたベースラインの二酸化炭素濃度を、当該ベースラインの二酸化炭素濃度が測定された際の前記空調空間の人数情報である基準人数情報と、前記人数予測部によって予測された人数情報
との比較結果に応じて修正することによって、前記予測期間における前記空調空間の二酸化炭素濃度を予測する二酸化炭素濃度予測部と、
前記取得部によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、前記二酸化炭素濃度予測部によって予測された二酸化炭素濃度とを用いて、前記空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、前記空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する、決定装置。
【請求項2】
前記二酸化炭素濃度予測部は、前記予測期間と同じ属性を有するベースラインの二酸化炭素濃度を、前記人数予測部によって予測された人数情報を用いて修正することによって二酸化炭素濃度を予測する、請求項
1記載の決定装置。
【請求項3】
所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得する取得部と、
前記予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測する人数予測部と、
前記予測期間における前記空調空間の換気量を取得する換気量取得部と、
前記空調空間に関する過去の測定結果に応じたベースラインの二酸化炭素濃度を、
当該ベースラインの二酸化炭素濃度が測定された際の前記空調空間の人数情報及び換気量である基準人数情報及び基準換気量と、前記人数予測部によって予測された人数情報
、及び前記換気量取得部によって取得された換気量と
の比較結果に応じて修正することによって
、前記予測期間における前記空調空間の二酸化炭素濃度を予測する
二酸化炭素濃度予測部と、
前記取得部によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、前記二酸化炭素濃度予測部によって予測された二酸化炭素濃度とを用いて、前記空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、前記空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する、決定装置。
【請求項4】
所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得する取得部と、
前記予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測する人数予測部と、
前記人数予測部によって予測された人数情報を用いて、前記予測期間における前記空調空間の二酸化炭素濃度を予測する二酸化炭素濃度予測部と、
前記取得部によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、前記二酸化炭素濃度予測部によって予測された二酸化炭素濃度とを用いて、前記空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値を超えている場合に、前記取得部によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーが所定の範囲である期間のうち、前記予測期間における二酸化炭素濃度が最大となる時点より以前の時期であり、当該時点に最も近い時期を外気の導入時期に決定
し、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になるように外気の導入量を決定する、決定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか記載の決定装置と、
前記空調空間に外気を導入する空調装置と、
前記決定部によって決定された外気の導入時期及び導入量に応じて前記空調空間に外気が導入されるように前記空調装置を制御する制御部と、を備えた空調システム。
【請求項6】
取得部と、人数予測部と、二酸化炭素濃度予測部と、決定部とを用いて処理される決定方法であって、
前記取得部が、所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップと、
前記人数予測部が、前記予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測するステップと、
前記二酸化炭素濃度予測部が、
前記空調空間に関する過去の測定結果に応じたベースラインの二酸化炭素濃度を、当該ベースラインの二酸化炭素濃度が測定された際の前記空調空間の人数情報である基準人数情報と、前記人数情報を予測するステップにおいて予測された人数情報
との比較結果に応じて修正することによって、前記予測期間における前記空調空間の二酸化炭素濃度を予測するステップと、
前記決定部が、前記外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップにおいて取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、前記二酸化炭素濃度を予測するステップにおいて予測された二酸化炭素濃度とを用いて、前記空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定するステップと、を備え、
前記外気の導入時期及び導入量を決定するステップでは、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、前記空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する、決定方法。
【請求項7】
取得部と、人数予測部と、換気量取得部と、二酸化炭素濃度予測部と、決定部とを用いて処理される決定方法であって、
前記取得部が、所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップと、
前記人数予測部が、前記予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測するステップと、
前記換気量取得部が、前記予測期間における前記空調空間の換気量を取得するステップと、
前記二酸化炭素濃度予測部が、前記空調空間に関する過去の測定結果に応じたベースラインの二酸化炭素濃度を、当該ベースラインの二酸化炭素濃度が測定された際の前記空調空間の人数情報及び換気量である基準人数情報及び基準換気量と、前記人数情報を予測するステップにおいて予測された人数情報、及び前記換気量を取得するステップにおいて取得された換気量との比較結果に応じて修正することによって、前記予測期間における前記空調空間の二酸化炭素濃度を予測するステップと、
前記決定部が、前記外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップにおいて取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、前記二酸化炭素濃度を予測するステップにおいて予測された二酸化炭素濃度とを用いて、前記空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定するステップと、を備え、
前記外気の導入時期及び導入量を決定するステップでは、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、前記空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する、決定方法。
【請求項8】
取得部と、人数予測部と、二酸化炭素濃度予測部と、決定部とを用いて処理される決定方法であって、
前記取得部が、所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップと、
前記人数予測部が、前記予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測するステップと、
前記二酸化炭素濃度予測部が、前記人数情報を予測するステップにおいて予測された人数情報を用いて、前記予測期間における前記空調空間の二酸化炭素濃度を予測するステップと、
前記決定部が、前記外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップにおいて取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、前記二酸化炭素濃度を予測するステップにおいて予測された二酸化炭素濃度とを用いて、前記空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定するステップと、を備え、
前記外気の導入時期及び導入量を決定するステップでは、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値を超えている場合に、前記外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップにおいて取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーが所定の範囲である期間のうち、前記予測期間における二酸化炭素濃度が最大となる時点より以前の時期であり、当該時点に最も近い時期を外気の導入時期に決定し、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になるように外気の導入量を決定する、決定方法。
【請求項9】
コンピュータに、
所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップと、
前記予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測するステップと、
前記空調空間に関する過去の測定結果に応じたベースラインの二酸化炭素濃度を、当該ベースラインの二酸化炭素濃度が測定された際の前記空調空間の人数情報である基準人数情報と、前記人数情報を予測するステップにおいて予測された人数情報
との比較結果に応じて修正することによって、前記予測期間における前記空調空間の二酸化炭素濃度を予測するステップと、
前記外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップにおいて取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、前記二酸化炭素濃度を予測するステップにおいて予測された二酸化炭素濃度とを用いて、前記空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定するステップと、を実行させ、
前記外気の導入時期及び導入量を決定するステップでは、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、前記空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する、プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップと、
前記予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測するステップと、
前記予測期間における前記空調空間の換気量を取得するステップと、
前記空調空間に関する過去の測定結果に応じたベースラインの二酸化炭素濃度を、当該ベースラインの二酸化炭素濃度が測定された際の前記空調空間の人数情報及び換気量である基準人数情報及び基準換気量と、前記人数情報を予測するステップにおいて予測された人数情報、及び前記換気量を取得するステップにおいて取得された換気量との比較結果に応じて修正することによって、前記予測期間における前記空調空間の二酸化炭素濃度を予測するステップと、
前記外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップにおいて取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、前記二酸化炭素濃度を予測するステップにおいて予測された二酸化炭素濃度とを用いて、前記空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定するステップと、を実行させ、
前記外気の導入時期及び導入量を決定するステップでは、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、前記空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する、プログラム。
【請求項11】
コンピュータに、
所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップと、
前記予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測するステップと、
前記人数情報を予測するステップにおいて予測された人数情報を用いて、前記予測期間における前記空調空間の二酸化炭素濃度を予測するステップと、
前記外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップにおいて取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、前記二酸化炭素濃度を予測するステップにおいて予測された二酸化炭素濃度とを用いて、前記空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定するステップと、を実行させ、
前記外気の導入時期及び導入量を決定するステップでは、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値を超えている場合に、前記外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップにおいて取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーが所定の範囲である期間のうち、前記予測期間における二酸化炭素濃度が最大となる時点より以前の時期であり、当該時点に最も近い時期を外気の導入時期に決定し、前記予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になるように外気の導入量を決定する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調空間に外気を導入する時期等を決定する決定装置、及びその決定結果に応じて外気を空調空間に導入する空調システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外への開放部を有する空調空間の空調を行う空調システムにおいて、屋外の空気の温度が、空調空間の温度に対して温度調整の目標側にある場合に、開放部から空調空間に空気が流入するように空調システムを制御することが行われていた(例えば、特許文献1参照)。そのような方法によって、省エネルギー化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の空調システムでは、制御時における屋内、屋外の温度差に応じて外気を導入するかどうかを決定している。そのため、省エネルギー化の効果が限定的になるという課題がある。例えば、従来の空調システムでは、空調空間の二酸化炭素濃度が閾値を超えないように外気を導入するため、空調空間における二酸化炭素濃度のピークと、外気温のピークとが重なる場合には、その二酸化炭素濃度のピーク時に外気を空調空間に導入することによって、空調の効率が悪くなるという課題があった。例えば、商業施設などでは、外気温がピークになる昼の時間帯に二酸化炭素濃度もピークとなることが多いため、そのような課題がより顕著になる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、二酸化炭素濃度を考慮した省エネルギーな外気の導入時期や導入量を決定する決定装置、及びその決定結果に応じて外気を空調空間に導入する空調システム等に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による決定装置は、所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得する取得部と、予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測する人数予測部と、人数予測部によって予測された人数情報を用いて、予測期間における空調空間の二酸化炭素濃度を予測する二酸化炭素濃度予測部と、取得部によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、二酸化炭素濃度予測部によって予測された二酸化炭素濃度とを用いて、空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定する決定部と、を備え、決定部は、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する、ものである。
【0007】
このような構成により、空調空間における二酸化炭素濃度の予測結果を用いて外気の導入時期及び導入量を決定することができる。そのため、例えば、二酸化炭素濃度がピークになる前に、空調空間に対する熱負荷がより低い外気をあらかじめ導入することによって、より省エネルギーな外気の導入を実現することができるようになる。また、そのような外気の空調空間への事前導入によって、空調空間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下となるようにすることができる。
【0008】
また、本発明の一態様による決定装置では、二酸化炭素濃度予測部は、空調空間に関する過去の測定結果に応じたベースラインの二酸化炭素濃度を、人数予測部によって予測された人数情報を用いて修正することによって二酸化炭素濃度を予測してもよい。
【0009】
このような構成により、空調空間の特性を考慮した二酸化炭素濃度の予測を行うことができるようになる。
【0010】
また、本発明の一態様による決定装置では、二酸化炭素濃度予測部は、予測期間と同じ属性を有するベースラインの二酸化炭素濃度を、人数予測部によって予測された人数情報を用いて修正することによって二酸化炭素濃度を予測してもよい。
【0011】
このような構成により、予測期間に適したベースラインの二酸化炭素濃度を用いることによって、より高精度な二酸化炭素濃度の予測を行うことができるようになる。
【0012】
また、本発明の一態様による決定装置では、予測期間における空調空間の換気量を取得する換気量取得部をさらに備え、二酸化炭素濃度予測部は、人数予測部によって予測された人数情報と、換気量取得部によって取得された換気量とを用いて二酸化炭素濃度を予測してもよい。
【0013】
このような構成により、例えば、予測期間に対応する換気量がベースラインの二酸化炭素濃度に対応する換気量と異なっている場合であっても、その予測期間に対応する換気量に応じた二酸化炭素濃度を予測することができるようになる。
【0014】
また、本発明の一態様による決定装置では、二酸化炭素濃度予測部は、空調空間に関する過去の測定結果に応じたベースラインの二酸化炭素濃度を、人数予測部によって予測された人数情報と、換気量取得部によって取得された換気量とを用いて修正することによって二酸化炭素濃度を予測してもよい。
【0015】
このような構成により、空調空間の特性を考慮した二酸化炭素濃度の予測を行うことができるようになる。
【0016】
また、本発明の一態様による決定装置では、決定部は、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値を超えている場合に、取得部によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーが所定の範囲である期間のうち、予測期間における二酸化炭素濃度が最大となる時点より以前の時期であり、その時点に最も近い時期を外気の導入時期に決定してもよい。
【0017】
このような構成により、空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期を決定することができる。
【0018】
また、本発明の一態様による決定装置では、人数情報は人密度であってもよい。
【0019】
また、本発明の一態様による空調システムは、決定装置と、空調空間に外気を導入する空調装置と、決定部によって決定された外気の導入時期及び導入量に応じて空調空間に外気が導入されるように空調装置を制御する制御部と、を備えたものである。
【0020】
このような構成により、空調システムにおいて、二酸化炭素濃度を考慮した外気の導入を行うことができるようになる。
【0021】
また、本発明の一態様による決定方法は、取得部と、人数予測部と、二酸化炭素濃度予測部と、決定部とを用いて処理される決定方法であって、取得部が、所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップと、人数予測部が、予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測するステップと、二酸化炭素濃度予測部が、人数情報を予測するステップにおいて予測された人数情報を用いて、予測期間における空調空間の二酸化炭素濃度を予測するステップと、決定部が、外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップにおいて取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、二酸化炭素濃度を予測するステップにおいて予測された二酸化炭素濃度とを用いて、空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定するステップと、を備え、外気の導入時期及び導入量を決定するステップでは、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する、ものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様による空調システム、及び決定装置等によれば、空調空間における二酸化炭素濃度の予測結果を用いて外気の導入時期及び導入量を決定することができ、例えば、二酸化炭素濃度がピークになる前に、空調空間に対する熱負荷がより低い外気をあらかじめ導入することによって、より省エネルギーな外気の導入を実現することができる。また、そのような外気の空調空間への事前導入によって、空調空間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下となるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態による空調装置の構成を示す模式図
【
図2】同実施の形態による空調システムの制御に関する構成を示す機能ブロック図
【
図3】同実施の形態における外気の予測温度の変化を示す図
【
図6】同実施の形態における二酸化炭素濃度の変化を示す図
【
図7】同実施の形態における二酸化炭素濃度の予測について説明するための図
【
図8】同実施の形態による決定装置の動作を示すフローチャート
【
図9】同実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明による決定装置、その決定装置を有する空調システム、及び決定方法について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による空調システムは、所定の予測期間における空調空間に存在する人の人数に関する予測された人数情報と、その予測期間における空調空間の換気量とを用いて、その予測期間における二酸化炭素濃度を予測し、その二酸化炭素濃度と、外気の予測温度または予測比エンタルピーとを用いて、空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定するものである。
【0025】
図1は、本実施の形態による空調装置10の構成を示す模式図であり、
図2は、本実施の形態による空調システム1の制御に関する構成を示す機能ブロック図である。空調システム1は、空調装置10と、決定装置20と、制御部30とを備え、必要に応じて、空調空間3への給気(SA)用のダクト61と、空調空間3からの還気(RA)用のダクト62とをさらに備えてもよい。決定装置20は、取得部21と、人数予測部22と、換気量取得部23と、二酸化炭素濃度予測部24と、決定部25と、出力部26と、記憶部27とを備える。空調空間3は、空調システム1が空調を行う対象となる空間、特に外気の導入を行う対象となる空間である。空調空間3は特に限定されないが、例えば、オフィスや、商業施設、店舗、駅、空港、地下街などであってもよい。
【0026】
空調装置10は、
図1で示されるように、外気導入口51から取り入れた外気(OA)を空調空間3に導入する。また、空調装置10は、例えば、空調空間3に供給する空気の温度を調整してもよい。本実施の形態では、空調装置10が空調空間3への外気の導入と、空調空間3の空気の温度調整との両方を行う場合について主に説明する。
【0027】
空調装置10は、一例として、送風機11、12と、コイル13と、還気用のダクト14aと、外気の導入用のダクト14bと、排気(EA)用のダクト14cと、ダクト14a~14cにそれぞれ設けられたダンパ15a~15cとを備えてもよい。排気用のダクト14cの一端は、一例として、還気用のダクト14aにおけるダンパ15aと送風機12との間の位置においてダクト14aに連結されていてもよい。外気は、外気導入口51からダクト14bに取り入れられる。また、排気は、ダクト14cを介して排気排出口52から排出される。
【0028】
送風機11は、還気または外気を空調空間3に送る。また、コイル13によって空気の温度や湿度が調整される場合には、その調整後の空気が送風機11によって空調空間3に送られることになる。
【0029】
送風機12は、空調空間3からの還気について、排気及び送風機11への送風の少なくとも一方を行う。排気と送風機11への送風の割合は、例えば、ダンパ15a、15cの風量が調整されることによって変更されてもよい。
【0030】
コイル13は、空気の温度を調整するための熱交換器である。コイル13には、例えば、ボイラーや冷凍機を有している熱源機器9から、冷水や温水が供給されてもよい。空調装置10によって冷房が行われる場合には、熱源機器9からコイル13に冷水が供給され、空調装置10によって暖房が行われる場合には、熱源機器9からコイル13に温水が供給されてもよい。コイル13は、例えば、空気の湿度の調整、すなわち除湿も行ってもよい。この場合には、コイル13を通過する空気の露点温度以下の温度の冷水がコイル13に供給されてもよい。
【0031】
空調空間3に供給される供給空気の風量は、例えば、送風機11によって調整されてもよく、供給空気の通過するダクト61に設けられた可変風量装置(VAV:Variable Air Volume)によって調整されてもよい。送風機11によって風量を調整する場合には、空調装置10において、風量を調整できる送風機11、例えば、インバータ制御される送風機11や、DCモータを用いた送風機11が用いられてもよい。
【0032】
ダンパ15a~15cは、例えば、モータダンパであり、制御部30によって風量を調整できてもよい。例えば、ダンパ15a、15cの風量が調整されることによって、還気のうち、排気される割合が変更される。また、例えば、ダンパ15bの風量が調整されることによって、外気の風量が変更される。このように、ダンパ15a~15cの風量が調整されることによって、空調空間3への外気の導入量や、空調空間3の換気量などが調整されてもよい。
【0033】
取得部21は、所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得する。予測温度または予測比エンタルピーは、空調空間3の存在する位置や地域における予測された気温や、予測された比エンタルピーであってもよい。取得部21が取得する予測温度や予測比エンタルピーは、予測期間に応じたものである。この予測期間に、空調空間3に外気を取り込むのに適した時間帯が含まれていることが好適である。予測期間は、例えば、24時間や18時間などのようにあらかじめ決められた時間的長さの期間であってもよい。予測期間は、例えば、午前0時から午後12時までの24時間のように1日に相当する時間帯であってもよく、午前4時から午後10時までの18時間などのように1日の一部の時間帯であってもよい。取得部21によって取得される外気の予測温度は、例えば、
図3で示されるように、外気の温度の経時的な変化が分かるものであることが好適である。外気の予測温度は、所定の時間ごと、例えば、1時間ごとや15分ごとの外気の予測温度であってもよい。外気の予測比エンタルピーなどのように、経時的に変化する他の情報についても同様である。
【0034】
取得部21は、例えば、気象情報を提供している気象庁や民間の会社などから外気の予測温度や予測比エンタルピーを取得してもよい。一例として、取得部21は、インターネットなどの通信回線を介して、空調空間3が存在する位置や地域における外気の予測温度や予測比エンタルピーを取得してもよい。比エンタルピーは、例えば、乾球温度、湿球温度、相対湿度、絶対湿度のうち、2個の値を用いて算出することができる。そのため、一例として、取得部21は、例えば、予測乾球温度、予測湿球温度、予測相対湿度、予測絶対湿度のうち、2個の値を取得し、その取得した2個の値を用いて予測比エンタルピーを計算してもよい。また、他の一例として、取得部21は、空調空間3の存在する位置における過去の外気の温度などの気象情報や、空調空間3の存在する地域における今後の天気などの気象情報を用いて、空調空間3の存在する位置における外気の温度や湿度を予測することによって、外気の予測温度や予測比エンタルピーを取得してもよい。なお、本実施の形態では、取得部21が外気の予測温度を取得する場合について主に説明する。
【0035】
人数予測部22は、予測期間における空調空間3に存在する人の人数に関する人数情報を予測する。人数情報は、例えば、空調空間3に存在する人の人数そのものを示す情報であってもよく、空調空間3の人密度を示す情報であってもよい。人密度は、例えば、空調空間3の人数を、空調空間3の面積で除算することによって求めることができる。なお、空調空間3の面積は決まっているため、人数そのものと人密度とは換算可能な情報である。そのため、人数情報は、どちらを示す情報であってもよい。本実施の形態では、人数情報が人密度である場合について主に説明する。人数予測部22によって予測される予測期間の人数情報は、例えば、
図4で示される人密度102のように、人数情報の経時的な変化が分かるものであることが好適である。
【0036】
ある空間に存在する人の人数の変化には、1週間周期や1年周期などの周期性があるというモデルに基づいて、人数予測部22は、例えば、空調空間3の人数情報の履歴を用いて、予測期間の人数情報を取得してもよい。この場合には、人数予測部22は、例えば、予測期間の1週間前や1年前の空調空間3の予測期間に相当する時間帯の人数情報を、予測した人数情報として取得してもよい。
【0037】
また、人数予測部22は、例えば、学習器、すなわち学習モデルを用いて人数情報を予測してもよい。人数情報の予測で用いる学習器は、例えば、ある期間に関する属性情報を入力として、その期間の人数情報を出力とする学習器であってもよい。この学習器に、予測期間に関する属性情報を入力することによって、その予測期間に対応する空調空間3の人数情報が出力されることになる。この学習器は、例えば、ニューラルネットワーク(NN:Neural Network)の学習結果であってもよく、サポートベクターマシン(SVM:Support Vector Machine)やサポートベクター回帰(SVR:Support Vector Regression)の学習結果であってもよく、または、それ以外の機械学習の学習結果であってもよい。ニューラルネットワークは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)であってもよく、それ以外のニューラルネットワーク(例えば、全結合層から構成されるニューラルネットワーク等)であってもよい。本実施の形態では、学習器がニューラルネットワークの学習結果である場合について主に説明する。
【0038】
学習器に入力される属性情報は、例えば、期間に関する情報である期間情報を含んでいてもよく、天候に関する情報である天候情報を含んでいてもよく、イベントに関する情報であるイベント情報を含んでいてもよく、その他の情報を含んでいてもよい。なお、天候情報や、イベント情報は、空調空間3の位置または空調空間3の近傍における情報であることが好適である。
【0039】
期間情報は、例えば、春、夏、冬、秋などを示す季節を含んでいてもよく、1月、2月などの月を含んでいてもよく、月曜、火曜などの曜日を含んでいてもよく、平日か休日かを示す情報を含んでいてもよく、期間に関するその他の情報を含んでいてもよい。休日は、例えば、日曜日や土曜日、祝日を含んでいてもよい。人数予測部22は、例えば、図示しないカレンダー部などから、予測期間に関する期間情報を取得してもよい。
【0040】
天候情報は、例えば、晴、曇、雨などの天気を含んでいてもよく、温度を含んでいてもよく、湿度を含んでいてもよく、風速を含んでいてもよく、日照時間を含んでいてもよく、天候に関するその他の情報を含んでいてもよい。予測期間は将来の期間であるため、予測期間に対応する天候情報は、予測された情報である。天候情報は、天気や温度、湿度等の時系列に応じた変化を示す情報であってもよい。人数予測部22は、予測期間に関する天候情報を、例えば、気象庁などのウェブサイトから取得してもよく、天気や温度等を取得するセンサ等から取得してもよい。
【0041】
イベント情報は、例えば、空調空間3内におけるイベントに関する情報を含んでいてもよく、空調空間3外におけるイベントに関する情報を含んでいてもよく、イベントに関するその他の情報を含んでいてもよい。空調空間3外におけるイベントは、空調空間3の近くにおいて開催されるイベントであることが好適である。空調空間3内におけるイベントに関する情報や、空調空間3外におけるイベントに関する情報は、例えば、イベントがあるかどうかを示すイベントの有無や、大規模や中規模、小規模などのイベントの規模、花火大会、祭り、野球の試合、サッカーの試合などのイベントの種類などを含んでいてもよい。人数予測部22は、予測期間に関するイベント情報を、例えば、イベントに関する情報が掲載されているウェブサイトやサーバ等から取得してもよく、管理者等が手入力した情報を読み出すことによって取得してもよい。
【0042】
学習器は、所定の期間の属性情報である訓練用入力情報と、その所定の期間における空調空間3の人数情報である訓練用出力情報との複数の組を用いて学習されることによって生成されたものである。その所定の期間は、予測期間と同じ時間帯であることが好適である。訓練用入力情報である属性情報や、訓練用出力情報である人数情報としては、実際の測定結果が用いられてもよい。例えば、ある期間の空調空間3の付近の天候情報や、その期間に対応する期間情報、その期間の空調空間3に関するイベント情報が訓練用入力情報である属性情報に含まれていてもよい。また、その期間において、空調空間3において測定された人数に応じた人数情報が訓練用出力情報として用いられてもよい。また、訓練用出力情報は、所定の期間における人数情報の時系列に応じた変化を示す情報であってもよい。この場合には、予測期間に対応する属性情報が学習器に入力されると、その予測期間における時系列に応じた人数情報が出力されることになる。
【0043】
学習器は、例えば、記憶部27で記憶されていてもよい。学習器が記憶部27で記憶されているとは、例えば、学習器そのもの(例えば、入力に対して値を出力する関数や学習結果のモデル等)が記憶されていることであってもよく、学習器を構成するために必要なパラメータ等の情報が記憶されていることであってもよい。後者の場合であっても、そのパラメータ等の情報を用いて学習器を構成できるため、実質的に学習器が記憶部27で記憶されていると考えることができるからである。本実施の形態では、学習器そのものが記憶部27で記憶されている場合について主に説明する。
【0044】
人数予測部22は、予測期間に対応する属性情報を取得し、その取得した属性情報を学習器に適用することによって、人数情報の予測結果を取得する。取得された人数情報の予測結果は、予測期間に対応するものであり、時系列に応じた人数情報の変化を示すものであってもよい。このようにして、人数予測部22は、学習器を用いて、予測期間における人数情報を予測することができる。
【0045】
換気量取得部23は、予測期間における空調空間3の換気量を取得する。換気量取得部23は、例えば、空調装置10の運転計画によって示される予測期間における空調空間3の換気量を取得してもよい。この場合には、換気量取得部23は、例えば、年月日に対応付けられて記憶されている換気量から、予測期間の年月日に対応する換気量を取得してもよい。換気量取得部23によって取得される予測期間の換気量は、例えば、
図5で示される換気量202のように、換気量の経時的な変化が分かるものであることが好適である。換気量取得部23によって取得される予測期間における換気量は、例えば、モーニングパージなどを考慮した後の換気量であってもよく、または、そうでなくてもよい。
【0046】
二酸化炭素濃度予測部24は、人数予測部22によって予測された人数情報と、換気量取得部23によって取得された換気量とを用いて、予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度を予測する。二酸化炭素濃度予測部24が予測期間の二酸化炭素濃度を予測する方法は問わないが、例えば、空調空間3に関するベースラインの二酸化炭素濃度を、人数予測部22によって予測された人数情報と、換気量取得部23によって取得された換気量とを用いて修正することによって二酸化炭素濃度を予測してもよい。ベースラインの二酸化炭素濃度は、例えば、空調空間3に関する、予測期間に相当する時間帯における二酸化炭素濃度の変化を示す情報であってもよい。すなわち、予測期間の時間的な長さと、ベースラインの二酸化炭素濃度の時間的な長さとは同じであってもよい。例えば、予測期間が午前0時から午後12時までの期間である場合には、ベースラインの二酸化炭素濃度も、その時間帯の二酸化炭素濃度の変化を示す情報であることが好適である。ベースラインの二酸化炭素濃度は、二酸化炭素濃度を予測する際の基準として用いられる。ベースラインの二酸化炭素濃度は、空調空間3に関する過去の測定結果に応じたものであってもよい。すなわち、ベースラインの二酸化炭素濃度は、過去の計測結果に基づいて設定されてもよい。ベースラインの二酸化炭素濃度は、通常、空調空間3において測定された結果であるが、例えば、複数の測定結果が統合されたものであってもよい。複数の測定結果が統合されたベースラインの二酸化炭素濃度は、例えば、複数の測定結果の平均値などであってもよい。
【0047】
ベースラインの二酸化炭素濃度は、空調空間3の特性に応じた基準となる二酸化炭素濃度である。理論的には、空調空間3の容積や、空調空間3に存在する人の人数、換気量などが分かっていれば、過去の測定結果などを用いなくても、空調空間3の二酸化炭素濃度を計算することができる。しかしながら、実際の空調空間3には、例えば、出入り口などからの空気の出入りなどがあり、それに応じて、理論的に計算した結果である二酸化炭素濃度と、実際の空調空間3の二酸化炭素濃度とは異なる値になることがある。一方、空調空間3において測定された二酸化炭素濃度に応じたベースラインの二酸化炭素濃度は、そのような空調空間3の特性に応じたものであるため、ベースラインの二酸化炭素濃度を修正することによって空調空間3の二酸化炭素濃度を予測することにより、空調空間3の特性を考慮した二酸化炭素濃度の予測を行うことができるようになり、二酸化炭素濃度の予測の精度を向上させることができる。
【0048】
ベースラインの二酸化炭素濃度には、その二酸化炭素濃度が測定された際の空調空間3の人数情報や換気量が対応付けられているものとする。なお、ベースラインの二酸化炭素に対応付けられている人数情報及び換気量を、それぞれ基準人数情報及び基準換気量と呼ぶものとする。ベースラインの二酸化炭素濃度が、複数の測定結果が統合されたものである場合には、そのベースラインの二酸化炭素濃度に対応する基準人数情報や基準換気量も、複数の人数情報や複数の換気量が統合されたものであってもよい。統合された複数の人数情報や複数の換気量は、例えば、複数の人数情報や複数の換気量の平均値などであってもよい。二酸化炭素濃度予測部24は、例えば、予測された人数情報と基準人数情報との比較結果(例えば、両者の比や差など)、及び、取得された換気量と基準換気量との比較結果(例えば、両者の差や比など)に応じて、ベースラインの二酸化炭素濃度を修正することによって、予測期間における二酸化炭素濃度を取得してもよい。この処理の詳細については後述する。
【0049】
決定部25は、取得部21によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、二酸化炭素濃度予測部24によって予測された二酸化炭素濃度とを用いて、空調空間3への外気の導入時期及び導入量を決定する。決定部25は、二酸化炭素濃度予測部24によって予測された、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、空調空間3の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する。二酸化炭素濃度の閾値は、例えば、1000ppmや、950ppmであってもよい。また、決定された導入時期と異なる時点、例えば、二酸化炭素濃度が最大となる時点に外気を導入するよりも、空調空間3の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期を決定することによって、空調の効率を向上させることができる。冷房を行う時期においては、例えば、二酸化炭素濃度が最大となる時点の外気よりも、より温度の低い外気や、より比エンタルピーの低い外気が空調空間3に導入されるように、外気の導入時期が決定されてもよい。一例として、決定部25は、二酸化炭素濃度予測部24によって予測された、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値を超えている場合に、取得部21によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーが所定の範囲である期間のうち、二酸化炭素濃度予測部24によって予測された、予測期間における二酸化炭素濃度が最大となる時点より以前の時期であり、その時点に最も近い時期を外気の導入時期に決定してもよい。空調空間3に人がいる場合には、通常、二酸化炭素濃度は経時的に徐々に増加することになる。そのため、予測された二酸化炭素濃度のピークよりも大幅に前の時点において外気を大量に導入したとしても、その外気の導入の効果は、二酸化炭素濃度のピークの時点にはなくなってしまうこともある。したがって、二酸化炭素濃度のピーク以前における、そのピークにより近い時期に外気を導入することが有効になる。なお、例えば、取得部21によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーが所定の範囲である期間に、二酸化炭素濃度が最大となる時点が含まれていない場合に、上記したような導入時期の決定を行ってもよい。また、決定部25は、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になるように、導入時期における外気の導入量を決定してもよい。空調空間3への外気の導入量の決定は、例えば、空調空間3の換気量の決定であってもよい。両者は実質的に同じであると考えられるからである。一例として、所定の期間(例えば、15分間とする)における外気の追加の導入量がα(m3)に決定された場合には、その期間に対応する換気量(m3/h)は、換気量取得部23によって取得された、その期間に対応する換気量に、4×αを加算した値となる。なお、決定部25によって決定される外気の導入量は、例えば、運転計画の換気量に追加される導入量、すなわち上記αの値であってもよく、または、運転計画の換気量を含む外気の導入量であってもよい。
【0050】
外気の予測温度または予測比エンタルピーの所定の範囲は、その範囲内の温度や比エンタルピーの外気が空調空間3に導入されることによって、その範囲外の温度や比エンタルピーの外気が空調空間3に導入される場合よりも、空調空間3の熱負荷を低減できるように決定されることが好適である。予測温度や予測比エンタルピーの所定の範囲は、例えば、あらかじめ決められていてもよく、または、空調空間3における目標温度や目標比エンタルピーとの関係で決まる値であってもよい。前者の場合には、予測温度の所定の範囲は、例えば、25℃以下などのように決められていてもよく、5℃から25℃のように決められていてもよい。後者の場合、すなわち、目標温度との関係で所定の範囲が決まる場合には、予測温度の所定の範囲は、(目標温度-2℃)以下や、(目標温度-22℃)から(目標温度-2℃)などのように設定されている範囲に、空調装置10から取得した目標温度を代入することによって決定されてもよい。
【0051】
決定部25は、通常、予測期間内において、外気の導入時期を決定することになる。また、予測された二酸化炭素濃度に閾値を超える2以上のピークが存在する場合には、決定部25は、まず、最大値のピークが閾値以下となるように外気の導入時期及び導入量を決定し、その後にも閾値を超えるピークが存在するときには、その時点の最大値のピークが閾値以下となるように外気の導入時期及び導入量をさらに決定することを、閾値を超えるピークが存在しなくなるまで繰り返してもよい。
【0052】
なお、決定部25は、外気の事前導入を行わない場合には、上記のように、外気の導入時期や導入量の決定を行わなくてもよい。すなわち、決定部25は、外気の事前導入を行う場合に、上記したように、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、空調空間3の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定してもよい。決定部25は、例えば、取得された外気の予測温度の日較差が閾値より小さい場合、または取得された外気の予測比エンタルピーの日較差が閾値より小さい場合には、外気の事前の導入を行わないことに決定してもよい。予測温度の日較差に関する閾値は、例えば、2℃や、3℃などであってもよい。この場合には、二酸化炭素濃度がピークとなる前に外気をあらかじめ空調空間3に導入したとしても、省エネルギー化を促進することにならないか、または、その促進の程度が非常に低いことになるからである。また、決定部25は、例えば、予測された二酸化炭素濃度が最大となる時点においても、予測温度や予測比エンタルピーが所定の範囲である場合には、外気の事前の導入を行わないことに決定してもよい。二酸化炭素濃度が最大となる時点に外気を導入したとしても、温度や比エンタルピーが所定の範囲内である外気、すなわち空調空間3に対する熱負荷の低い外気を導入することができるからである。このように、外気の事前導入を行わない場合には、例えば、空調空間3の二酸化炭素濃度が測定され、その測定された二酸化炭素濃度が閾値を超えないようにするため、リアルタイムでのフィードバック制御による外気の導入が行われてもよい。
【0053】
また、決定部25は、予測期間における二酸化炭素濃度のピークが閾値を超えない場合にも、外気の事前の導入を行わないことに決定してもよい。この場合には、空調空間3について、換気量取得部23が取得された換気量、すなわち、あらかじめ決められた運転計画によって示される換気量に応じた換気が行われてもよい。この場合には、二酸化炭素濃度が閾値を超えていないため、運転計画に応じた換気に対してさらに余分な外気導入を行う必要がないからである。
【0054】
出力部26は、決定部25によって決定された外気の導入時期及び外気の導入量を出力する。この出力は、例えば、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。本実施の形態では、出力部26が、決定部25による決定結果を記憶部27に蓄積する場合について主に説明する。なお、出力部26は、出力を行うデバイス(例えば、通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部26は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。なお、例えば、決定部25から直接、制御部30に決定結果が渡されるような場合には、決定装置20は、出力部26を必ずしも備えていなくてもよい。
【0055】
記憶部27では、上記したように、決定部25による決定結果が記憶される。また、記憶部27では、人数情報の予測に用いられる学習器や、二酸化炭素濃度の予測に用いられるベースラインの二酸化炭素濃度、及びそれに対応する基準人数情報や基準換気量などが記憶されていてもよい。
【0056】
記憶部27に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が記憶部27で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が記憶部27で記憶されるようになってもよく、または、入力デバイスを介して入力された情報が記憶部27で記憶されるようになってもよい。また、出力部26によって情報が記憶部27に蓄積されてもよい。記憶部27は、不揮発性の記録媒体によって実現されることが好適であるが、揮発性の記録媒体によって実現されてもよい。記録媒体は、例えば、半導体メモリや磁気ディスクなどであってもよい。
【0057】
制御部30は、決定部25によって決定された外気の導入時期及び導入量に応じて空調空間3に外気が導入されるように空調装置10を制御する。一例として、制御部30は、空調装置10の運転計画に応じた換気量が、外気の導入時期及び導入量に応じて変更された換気量に応じて外気の導入、すなわち換気が行われるように、空調装置10を制御してもよい。なお、決定部25によって外気の導入時期や導入量の決定が行われなかった場合には、制御部30は、例えば、空調空間3において測定された現在の二酸化炭素濃度が閾値を超えないように、リアルタイムで換気量を変更するように空調装置10を制御してもよく、あらかじめ決められた運転計画である換気量に応じて空調空間3における換気が行われるように空調装置10を制御してもよい。前者の場合には、制御部30は、空調空間3の現在の二酸化炭素濃度が閾値を超えていないときには、運転計画の換気量に応じた換気が行われるように空調装置10を制御し、現在の二酸化炭素濃度が閾値を超えたときには、現在の二酸化炭素濃度が閾値以下となるまで換気量を増やした換気を行い、現在の二酸化炭素濃度が閾値以下となった後に、運転計画の換気量に応じた換気が行われるように空調装置10を制御してもよい。
【0058】
次に、二酸化炭素濃度を予測する処理、並びに、外気の導入時期及び導入量を決定する処理の一例について説明する。この例では、ベースラインの二酸化炭素濃度が、
図6で示されるベースラインの二酸化炭素濃度301であり、それに対応する基準人数情報、及び基準換気量が、それぞれ
図4で示される基準人密度101、及び
図5で示される基準換気量201であるとする。
【0059】
また、人数予測部22によって予測された人数情報である人密度が、
図4で示される人密度102であり、換気量取得部23によって取得された換気量が、
図5で示される換気量202であるとする。なお、
図5では、複数の換気量を区別することができるように少しずらして記載しているが、実際には、複数の換気量は、一部の時間において重なっているものとする。
【0060】
図6で示されるベースラインの二酸化炭素濃度301において、最低値は、通常、外気の二酸化炭素濃度であると考えられる。ここでは、外気の二酸化炭素濃度を400ppmとする。また、ベースラインの二酸化炭素濃度301において、最低値を超える部分については、単純化したモデルでは、空調空間3に存在する人の人数に応じて線形に増加すると考えられる。その結果、ある時点の二酸化炭素濃度(ppm)は、その時点の予測された人密度(人/m
2)、その時点の基準人密度(人/m
2)、その時点のベースラインの二酸化炭素濃度(ppm)、外気の二酸化炭素濃度(=400ppm)などを用いて、次式のように計算することができる。このように、二酸化炭素濃度予測部24は、例えば、予測された人密度と基準人密度との比を用いて、予測された人密度に応じた二酸化炭素濃度を予測してもよい。
二酸化炭素濃度=(予測された人密度)×(ベースラインの二酸化炭素濃度-400)/(基準人密度)+400
【0061】
なお、上式を用いて二酸化炭素濃度を計算することができるのは、基準人密度が0ではない時間帯のみである。基準人密度が0である時間帯においては、予測された人密度が0である場合には、二酸化炭素濃度を外気の二酸化炭素濃度とし、予測された人密度が0でない場合には、二酸化炭素濃度を、予測された人密度にあらかじめ決められた係数を乗算した値に外気の二酸化炭素濃度を加算した値としてもよい。また、上式の右辺の第1項目に、1に近いあらかじめ決められた係数を乗算してもよい。この係数は、例えば、過去の測定値などを用いて決められてもよい。
【0062】
このように、決定部25は、予測された予測期間の人密度、基準人密度、ベースラインの二酸化炭素濃度等を用いて、予測期間における各時点または各時間間隔の二酸化炭素濃度を計算することができる。このようにして取得された二酸化炭素濃度が、
図6で示される二酸化炭素濃度302であるとする。この二酸化炭素濃度302は、ベースラインの二酸化炭素濃度301を予測された人数情報である人密度を用いて修正したものである。
【0063】
また、空調空間3において換気される空気の容量がA(m3)であり、換気前の空調空間3の二酸化炭素濃度がC(ppm)であり、空調空間3の容積がD(m3)であるとすると、換気後の空調空間3の二酸化炭素濃度は、次式で示されるようになる。ここでも、換気によって空調空間3に導入された外気の二酸化炭素濃度を400ppmとしている。また、実際の換気では、空調空間3の空気が徐々に入れ替わることになるが、次式では、空調空間3の容量A(m3)の空気の二酸化炭素濃度が、C(ppm)から400ppmに一気に入れ替わるという単純なモデルで換気後の二酸化炭素濃度を計算している。
換気後の二酸化炭素濃度=((D-A)×C+A×400)/D
【0064】
したがって、時間tkにおける空調空間3の二酸化炭素濃度Ckは、時間tk-1における空調空間3の二酸化炭素濃度Ck-1等を用いて、次式のように計算することができる。
Ck=((D-Ak-1)×Ck-1+Ak-1×400)/D+βk-1
=(D×Ck-1+Ak-1×(400-Ck-1))/D+βk-1
【0065】
なお、上式において、kは、時間を示す整数のインデックスであり、時間tkは、kが大きくなるほど、後の時点になるものとする。また、Ak-1は、時間tk-1から時間tkまでに空調空間3において換気される空気の容量であり、βk-1(ppm)は、時間tk-1から時間tkまでに空調空間3内で発生した二酸化炭素に応じた二酸化炭素濃度の増加分である。
【0066】
次に、時間tk-1から時間tkまでに換気される空気の容量がAk-1から、Ak-1+αk-1に変化したとする。なお、αk-1(m3)は、換気される空気の容量の変化量であり、例えば、取得された換気量と、基準換気量との差に応じた値である。例えば、換気量が単位時間あたりに換気される空気の容量である場合には、αk-1(m3)は、換気量と基準換気量との差に、時間tk-1から時間tkまでの時間的な長さを乗算した値であってもよい。換気される空気の容量が変化した際の時間tkにおける空調空間3の二酸化炭素濃度CM
kは、時間tk-1における換気される空気の容量が変化した際の空調空間3の二酸化炭素濃度CM
k-1等を用いて、次式のように計算することができる。
CM
k=(D×CM
k-1+(Ak-1+αk-1)×(400-CM
k-1))/D+βk-1
=(D×CM
k-1+(Ak-1+αk-1)×(400-CM
k-1))/D
+Ck-(D×Ck-1+Ak-1×(400-Ck-1))/D
【0067】
このように、二酸化炭素濃度予測部24は、例えば、取得された換気量と基準換気量との差を用いて、取得された換気量に応じた二酸化炭素濃度を予測してもよい。ここで、上式におけるC
k等やC
M
k等の関係は、例えば、
図7で示されるとおりであり、C
k等は、
図6で示される二酸化炭素濃度302に対応している。したがって、換気量が、ベースラインの二酸化炭素濃度に対応する基準換気量201から、換気量取得部23によって取得された換気量202になった場合には、二酸化炭素濃度予測部24は、それに応じたα
k-1や、予測された人密度を用いて修正された二酸化炭素濃度302によって示されるC
k等や、上式を用いることによって、換気量の変更後の二酸化炭素濃度C
M
kについて、換気される空気の容量の変化量が0である時間から順番に算出することができる。すなわち、C
M
N=C
Nとなる時間t
Nから、時間に沿って順番に換気量の変更後の二酸化炭素濃度C
M
kを算出できることになる。このようにして算出された、換気量取得部23によって取得された換気量を考慮した二酸化炭素濃度が、
図6で示される二酸化炭素濃度303であるとする。すなわち、二酸化炭素濃度303が、ベースラインの二酸化炭素濃度を、予測された人数情報及び取得された換気量を用いて修正した予測結果の二酸化炭素濃度となる。
【0068】
決定部25は、予測された二酸化炭素濃度303の最大値が閾値TH2を超えているかどうか判断する。閾値TH2は、上記したように、例えば、950ppmや、1000ppmなどであってもよい。そして、決定部25は、例えば、
図6で示されるように、予測された二酸化炭素濃度303の最大値が閾値TH2を超えている場合には、取得部21によって取得された外気の予測温度が所定の範囲である期間のうち、予測された二酸化炭素濃度303が最大となる時点より以前の時期であり、予測された二酸化炭素濃度303が最大となる時点に最も近い時期を外気の導入時期に決定してもよい。例えば、取得された予測温度が
図3で示される場合であって、所定の範囲が、予測温度が閾値TH1よりも低い範囲である場合には、時間T1より以前の期間が、取得された外気の予測温度が所定の範囲である期間となる。この場合には、決定部25は、予測された二酸化炭素濃度303が最大となる時点よりも以前の時点であり、予測された二酸化炭素濃度303が最大となる時点に最も近い時期である時間T1の時期を、外気の導入時期に決定する。外気の導入時期は、時間T1を含んでいればよいが、ここでは、一例として、外気の導入時期の終期が、時間T1となるように外気の導入時期を決定するものとする。したがって、
図5で示される換気量203のように、時間T1の直前の時期が、換気量を増やす外気の導入時期に決定されることになる。なお、
図5の換気量203では、外気の導入量も決定されていることになるが、この時点では、また外気の導入量は決定されていない。
【0069】
次に、決定部25は、外気の導入量を決定する。具体的には、決定部25は、空調空間3における二酸化炭素濃度の最大値が閾値TH2以下となるまで、外気の導入時期における外気の導入量を段階的に増やしてもよい。決定部25は、例えば、外気の導入量をあらかじめ決められた容量γ(m
3)ずつ増加させ、その導入量を増加させるごとに、増加後の導入量に応じた換気量を用いた二酸化炭素濃度の計算を二酸化炭素濃度予測部24によって行うようにしてもよい。そして、決定部25は、増加後の導入量に応じた二酸化炭素濃度の最大値が閾値TH2以下となった際の外気の導入量を、最終的な外気の導入量に決定してもよい。なお、最大値が閾値TH2以下となった二酸化炭素濃度は、
図6で示される二酸化炭素濃度304であるとする。また、決定された外気の導入量に応じた換気量は、
図5で示される換気量203であるとする。換気量203は、時間T1の直前で換気量が増えている以外は、換気量202と同じ換気量である。なお、通常、換気量には上限がある。したがって、例えば、ある導入時期の換気量を上限まで増やしても二酸化炭素濃度の最大値が閾値TH2以下にならない場合には、その導入時期の時間的な長さをより長くするようにしてもよい。
【0070】
次に、決定装置20の動作について
図8のフローチャートを用いて説明する。本フローチャートでは、外気の予測温度が取得される場合について説明する。
【0071】
(ステップS101)取得部21は、予測期間に対応する外気の予測温度を取得する。
【0072】
(ステップS102)決定部25は、ステップS101で取得された外気の予測温度の日較差が閾値を超えるかどうか判断する。そして、外気の予測温度の日較差が閾値を超える場合には、ステップS103に進み、そうでない場合には、外気の導入時期や導入量を決定することなく処理は終了となる。外気の導入時期や導入量が決定されなかった場合には、例えば、空調空間3の二酸化炭素濃度が閾値を超えた際に、追加の外気導入を行うことによって二酸化炭素濃度が閾値以下となるように制御されてもよい。
【0073】
(ステップS103)人数予測部22は、予測期間に対応する空調空間3の人数情報を予測する。
【0074】
(ステップS104)換気量取得部23は、予測期間に対応する空調空間3の換気量を取得する。
【0075】
(ステップS105)二酸化炭素濃度予測部24は、ステップS103で予測された空調空間3の人数情報と、ステップS104で取得された空調空間3の換気量とを用いて、予測期間に対応する空調空間3の二酸化炭素濃度を予測する。
【0076】
(ステップS106)決定部25は、ステップS105で取得された二酸化炭素濃度の最大値が閾値を超えているかどうか判断する。そして、閾値を超えている場合には、ステップS107に進み、そうでない場合には、外気の導入時期や導入量を決定することなく処理は終了となる。二酸化炭素濃度の最大値が閾値を超えていない場合には、追加の外気の導入を行わなくてもよいからである。
【0077】
(ステップS107)決定部25は、予測期間における空調空間3の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期を決定する。一例として、決定部25は、ステップS101で取得された外気の予測温度が閾値以下である期間において、二酸化炭素濃度の最大値の時点以前であり、二酸化炭素濃度の最大値の時点に最も近い時期を特定し、その特定した時期を導入時期に決定してもよい。
【0078】
(ステップS108)決定部25は、予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になるように外気の導入量を決定する。一例として、決定部25は、外気の導入時期における外気の導入量を段階的に増加させ、その外気の導入量に対応する二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になった際の導入量を、最終的な外気の導入量に決定してもよい。そして、外気の導入時期及び導入量を決定するための一連の処理は終了となる。決定された外気の導入時期や導入量は、例えば、出力部26によって記憶部27に蓄積されてもよい。
【0079】
なお、
図8のフローチャートにおいて、予測された二酸化炭素濃度が最大となる時点においても、予測温度や予測比エンタルピーが所定の範囲である場合には、外気の事前の導入を行わないことに決定し、外気の導入時期や導入量の決定を行わなくてもよい。また、
図8のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。例えば、換気量を取得した後に、人数情報の予測が行われてもよい。また、
図8のフローチャートには含まれていないが、空調システム1の制御部30は、決定された外気の導入時期及び導入量に応じて、空調空間3に外気を導入するように空調装置10を制御するものとする。また、
図8のフローチャートには含まれていないが、空調空間3に供給される空気の温度の調整が、適宜、空調装置10によって行われてもよい。この温度の調整によって、空調空間3の空気の温度が、所望の温度となるように調整されてもよい。空気の温度調整は、例えば、外気の導入と同時に行われてもよく、または、外気の導入とは別に行われてもよい。
【0080】
次に、本実施の形態による空調システム1の動作について、具体例を用いて説明する。本具体例では、予測期間は、午前0時から午後12時までの24時間であり、その予測期間に対応する日の前日の午後10時に、予測期間である日の二酸化炭素濃度が予測され、それを用いて外気の導入時期や導入量が決定される場合について説明する。
【0081】
午後10時になると、取得部21は、翌日である予測期間の予測温度を取得し、決定部25に渡す(ステップS101)。決定部25は、その予測温度を図示しない記録媒体や記憶部27などに蓄積してもよい。取得された予測温度は、
図3で示されるものであり、日較差が閾値を超えていたとする(ステップS102)。すると、決定部25は、図示しない経路により、人数予測部22及び換気量取得部23に、それぞれ人数情報を取得する旨の指示、及び換気量を取得する旨の指示を渡す。
【0082】
人数情報を取得する旨の指示を受け取ると、人数予測部22は、翌日の空調空間3に関する属性情報を取得する。この属性情報には、上記したように、期間情報や、天候情報、イベント情報が含まれていてもよい。そして、人数予測部22は、記憶部27で記憶されている学習器に、取得した属性情報を適用することによって、その学習器からの出力である、翌日の空調空間3に関する人数情報である人密度を取得し、二酸化炭素濃度予測部24に渡す(ステップS103)。このようにして取得された人密度は、
図4で示される人密度102であったとする。二酸化炭素濃度予測部24は、受け取った人密度を図示しない記録媒体や記憶部27などに蓄積してもよい。
【0083】
また、換気量を取得する旨の指示を受け取ると、換気量取得部23は、空調装置10の翌日の運転計画を、その運転計画を記憶している記録媒体やサーバなどから取得し、二酸化炭素濃度予測部24に渡す(ステップS104)。このようにして取得された換気量は、
図5で示される換気量202であったとする。二酸化炭素濃度予測部24は、受け取った換気量を図示しない記録媒体や記憶部27などに蓄積してもよい。
【0084】
その後、二酸化炭素濃度予測部24は、
図6で示されるベースラインの二酸化炭素濃度301を、ベースラインの二酸化炭素濃度301に対応する、
図4で示される基準人密度101と、
図4で示される予測された人密度102とを用いて、上記のように修正することによって、翌日の空調空間3に関する二酸化炭素濃度を取得する。このようにして取得された二酸化炭素濃度は、
図6で示される二酸化炭素濃度302であったとする。二酸化炭素濃度予測部24は、取得した二酸化炭素濃度を、図示しない記録媒体や記憶部27などに蓄積してもよい。
【0085】
また、二酸化炭素濃度予測部24は、二酸化炭素濃度302を、ベースラインの二酸化炭素濃度301に対応する、
図5で示される基準換気量201と、
図5で示される取得された換気量202とを用いて、上記したように修正することによって、翌日の空調空間3に関する二酸化炭素濃度を取得し、決定部25に渡す(ステップS105)。このようにして取得された二酸化炭素濃度は、
図6で示される二酸化炭素濃度303であったとする。決定部25は、受け取った二酸化炭素濃度を、図示しない記録媒体や記憶部27などに蓄積してもよい。
【0086】
決定部25は、受け取った二酸化炭素濃度303の最大値が閾値TH2を超えているかどうか判断する(ステップS106)。この場合には、
図6で示されるように、二酸化炭素濃度303の最大値は閾値TH2を超えているため、決定部25は、翌日の予測気温が閾値TH1以下である期間、すなわち、時間T1よりも以前の期間のうち、二酸化炭素濃度303が最大となる時点よりも前の時期であり、二酸化炭素濃度303が最大となる時点に最も近い時期である時間T1を含む時期を外気の導入時期に決定する(ステップS107)。なお、本具体例では、時間T1が終期である時期であり、あらかじめ決められた時間的な長さの時期が外気の導入時期に決定されたものとする。
【0087】
また、決定部25は、決定した外気の導入時期における換気量を、換気量202よりも段階的に増やすごとに、その増やした後の換気量を用いた二酸化炭素濃度の算出を二酸化炭素濃度予測部24に実行させる。そして、その算出後の二酸化炭素濃度の最大値が閾値TH2以下になるまで、外気の導入時期における換気量の増加と、その増加後の換気量を用いた二酸化炭素濃度の算出とが繰り返されることになる。算出された二酸化炭素濃度の最大値が閾値TH2以下になると、決定部25は、外気の導入時期におけるその時点の換気量を最終的な換気量とする(ステップS108)。このようにして、外気の導入量が決定されたことになる。決定された外気の導入量に応じた換気量は、
図5で示される換気量203であったとする。そして、決定部25は、外気の導入時期と外気の導入量を示す換気量203を出力部26に渡す。すると、出力部26は、受け取った換気量203を記憶部27に蓄積する。
【0088】
その翌日に、制御部30は、記憶部27で記憶されている換気量203を読み出し、その換気量203に応じて外気の空調空間3への導入、すなわち空調空間3の換気が行われるように空調装置10を制御する。このようにして、空調空間3の二酸化炭素濃度がピークになる前に、空調空間3の熱負荷がより低くなるように外気をあらかじめ導入することによって、空調空間3の二酸化炭素濃度が閾値TH2を超えないようにすることができると共に、空調の効率を上げることができ、省エネルギー化を促進することができるようになる。
【0089】
以上のように、本実施の形態による決定装置20及び空調システム1によれば、空調空間3における二酸化炭素濃度の予測結果を用いて外気の導入時期及び導入量を決定することができる。そのため、空調空間3の二酸化炭素濃度が閾値を超えないように、二酸化炭素濃度のピークより以前に外気を導入することができる。また、空調空間3の熱負荷がより低くなるように外気を事前に導入することができるため、省エネルギー化を促進することができる。また、二酸化炭素濃度予測部24が、ベースラインの二酸化炭素濃度を用いて予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度を予測することによって、空調空間3の特性に応じた二酸化炭素濃度の予測を行うことができるようになる。
【0090】
また、予測された人数情報を用いて二酸化炭素濃度の予測を行うことによって、空調空間3の予測された人数に応じた、より精度の高い二酸化炭素濃度の予測を行うことができる。また、取得された換気量をも用いて二酸化炭素濃度の予測を行うことによって、例えば、予測期間における空調空間3の換気量がベースラインの二酸化炭素濃度に対応する換気量と異なっている場合であっても、その予測期間における換気量に応じた二酸化炭素濃度の予測を行うことができるようになり、より精度の高い二酸化炭素濃度の予測を行うことができるようになる。
【0091】
なお、本実施の形態では、ベースラインの二酸化炭素濃度を用いて、予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度を予測する場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。上記したように、二酸化炭素濃度予測部24は、空調空間3の容積や、空調空間3に存在する人の人数に関する人数情報、空調空間3の換気量などを用いて、空調空間3の二酸化炭素濃度を計算することによって、二酸化炭素濃度を予測してもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、予測期間における空調空間3の換気量を取得し、それを用いて予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度を予測する場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。例えば、空調空間3の換気量がいつでも一定であるような場合には、換気量の取得を行わなくてもよい。この場合には、決定装置20は、換気量取得部23を備えていなくてもよい。また、二酸化炭素濃度予測部24は、例えば、換気量を用いないで、予測された人数情報を用いて、予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度を予測してもよい。例えば、二酸化炭素濃度予測部24は、人数予測部22によって予測された人数情報を用いて二酸化炭素濃度を予測してもよく、空調空間3に関するベースラインの二酸化炭素濃度を、人数予測部22によって予測された人数情報を用いて修正することによって二酸化炭素濃度を予測してもよい。一例として、換気量が変わらない場合には、ベースラインの二酸化炭素濃度を、取得された人数情報を用いて修正した結果である二酸化炭素濃度が、予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度となる。したがって、決定部25は、そのようにして予測された二酸化炭素濃度を用いて、外気の導入時期や導入量を決定してもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、ベースラインの二酸化炭素濃度が1つだけ存在し、それを用いて予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度が予測される場合について説明したが、そうでなくてもよい。ベースラインの二酸化炭素濃度に対応する期間の属性ごとのベースラインの二酸化炭素濃度が複数存在してもよい。この場合には、二酸化炭素濃度予測部24は、複数のベースラインの二酸化炭素濃度のうち、予測期間と同じ属性を有するベースラインの二酸化炭素濃度を、人数予測部22によって予測された人数情報を用いて修正することによって、または、人数予測部22によって予測された人数情報と、換気量取得部23によって取得された換気量とを用いて修正することによって、予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度を予測してもよい。
【0094】
より具体的には、ベースラインの二酸化炭素濃度と、それに対応する期間の属性を示す属性情報とを対応付ける複数の対応情報が記憶部27で記憶されていてもよい。そして、二酸化炭素濃度予測部24は、予測期間の属性情報を取得し、その取得した属性情報に対応付けられているベースラインの二酸化炭素濃度を用いて、予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度を予測してもよい。属性情報は、例えば、上記したように、期間情報を含んでいてもよく、天候情報を含んでいてもよく、イベント情報を含んでいてもよい。期間情報、天候情報、イベント情報については、上記したとおりであり、それらの説明を省略する。季節や、平日と休日の違い、天気、温度、イベントの有無などに応じて、空調空間3の二酸化炭素濃度の経時的な変化は異なっていると考えられるため、予測期間の属性情報に対応したベースラインの二酸化炭素濃度を用いることによって、予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度を、より高精度に予測することができるようになる。
【0095】
また、本実施の形態では、ベースラインの二酸化炭素濃度を用いて、予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度を予測する際に、ベースラインの二酸化炭素濃度を、予測された人数情報や、取得された換気量を用いて、上記したように所定のモデルに応じた計算式を用いて修正する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、空調空間3において、人数情報や、換気量が、ベースラインの二酸化炭素濃度に対応する基準人数情報や基準換気量からずれた場合の二酸化炭素濃度も測定し、その測定結果を用いて、人数情報の基準人数情報からのずれや、換気量の基準換気量からのずれと、そのずれに応じたベースラインの二酸化炭素濃度のずれとの対応関係をあらかじめ取得しておき、人数情報が予測され、換気量が取得された際に、予測された人数情報と基準人数情報とのずれや、取得された換気量と基準換気量とのずれに応じたベースラインの二酸化炭素濃度のずれを特定し、その特定したずれを用いて、ベースラインの二酸化炭素濃度を修正することによって、予測期間における空調空間3の二酸化炭素濃度を予測してもよい。なお、上記した対応関係は、例えば、回帰分析等を用いて取得されてもよい。
【0096】
また、本実施の形態においては、決定部25が、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値を超えている場合に、取得部21によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーが所定の範囲である期間のうち、予測期間における二酸化炭素濃度が最大となる時点より以前の時期であり、その二酸化炭素濃度が最大となる時点に最も近い時期を外気の導入時期に決定する場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。決定部25は、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、空調空間3の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定できるのであれば、別の方法によって外気の導入時期及び導入量を決定してもよい。
【0097】
また、本実施の形態において、経時的に変化する情報、例えば、予測温度や、予測比エンタルピー、人数情報、換気量、二酸化炭素濃度などは、所定の単位期間(例えば、1時間や、15分、10分、5分、1分など)ごとの情報であり、その所定の単位期間は、それらすべての情報について共通していることが好適である。一方、その所定の単位期間が複数の情報について共通していない場合には、例えば、複数の連続した単位期間の情報を平均などによって統合することによって、複数の情報の単位期間を、より長い単位期間に合わせてもよく、複数の連続した単位期間の情報を内挿などによって分割することによって、複数の情報の単位期間を、より短い単位期間に合わせてもよい。
【0098】
また、上記実施の形態では、決定装置20が空調システム1に含まれる場合について説明したが、決定装置20は、空調システム1に含まれていなくてもよい。この場合には、決定装置20は、外気の導入時期や導入量を決定し、その決定結果を、空調装置10の制御部30に出力してもよい。一例として、決定装置20は、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。そして、予測期間において空調空間3に外気を導入する時期やその外気の導入量を決定して、その決定結果を空調装置10の制御部30に送信してもよい。この場合には、出力部26は、例えば、決定結果を制御部30に送信してもよい。
【0099】
また、本実施の形態では、空調装置10において、空調空間3に供給される空気の温度の調整も行われる場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。空調装置10は、外気を空調空間3に導入するためのものであり、空調空間3に供給される空気の温度の調整は、別途、他の空調装置によって行われてもよい。この場合には、空調装置10は、コイル13を備えていなくてもよい。
【0100】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0101】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0102】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0103】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0104】
また、上記実施の形態において、決定装置20に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
【0105】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、上記実施の形態における決定装置20を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータに、所定の予測期間における外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップと、予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測するステップと、人数情報を予測するステップにおいて予測された人数情報を用いて、予測期間における空調空間の二酸化炭素濃度を予測するステップと、外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップにおいて取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーと、二酸化炭素濃度を予測するステップにおいて予測された二酸化炭素濃度とを用いて、空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定するステップと、を実行させ、外気の導入時期及び導入量を決定するステップでは、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する、プログラムであってもよい。
【0106】
なお、上記プログラムにおいて、情報を取得する取得ステップなどでは、ハードウェアでしか行われない処理、例えば、取得ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理は少なくとも含まれない。
【0107】
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD-ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
【0108】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
【0109】
図9は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。
図9において、コンピュータシステム900は、コンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。コンピュータ901は、CD-ROMドライブ905と、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANやWAN等への接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0110】
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による決定装置20の機能を実行させるプログラムは、CD-ROM921に記憶されて、CD-ROMドライブ905に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD-ROM921、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。また、CD-ROM921に代えて他の記録媒体(例えば、DVD等)を介して、プログラムがコンピュータシステム900に読み込まれてもよい。
【0111】
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による決定装置20の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0112】
また、以上の実施の形態は、本発明を具体的に実施するための例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲及び均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1 空調システム
3 空調空間
10 空調装置
20 決定装置
21 取得部
22 人数予測部
23 換気量取得部
24 二酸化炭素濃度予測部
25 決定部
26 出力部
27 記憶部
30 制御部
【要約】
【課題】空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定する決定装置を提供する。
【解決手段】決定装置20は、所定の予測期間における外気の予測温度を取得する取得部21と、予測期間における外気を導入する空調空間に存在する人の人数に関する人数情報を予測する人数予測部22と、予測された人数情報を用いて、予測期間における空調空間の二酸化炭素濃度を予測する二酸化炭素濃度予測部24と、取得された外気の予測温度と、予測された二酸化炭素濃度とを用いて、空調空間への外気の導入時期及び導入量を決定する決定部25とを備え、決定部25は、予測期間における二酸化炭素濃度の最大値が閾値以下になると共に、空調空間の熱負荷がより低くなるように外気の導入時期及び導入量を決定する。
【選択図】
図2