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特許7629246ゴルフクラブ用指標作成方法及びゴルフクラブ用指標作成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】ゴルフクラブ用指標作成方法及びゴルフクラブ用指標作成システム
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/00 20150101AFI20250205BHJP
   A63B 57/30 20150101ALI20250205BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20250205BHJP
【FI】
A63B53/00 E
A63B57/30
A63B102:32
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024148306
(22)【出願日】2024-08-30
【審査請求日】2024-10-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516002004
【氏名又は名称】株式会社アプライド・モレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(74)【代理人】
【識別番号】100231038
【弁理士】
【氏名又は名称】正村 智彦
(72)【発明者】
【氏名】森 利隆
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0013539(US,A1)
【文献】米国特許第05839970(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0118035(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0048770(KR,A)
【文献】特開2007-215832(JP,A)
【文献】特開2022-150186(JP,A)
【文献】特開2009-189749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00
A63B 57/30
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブに取り付けられた第1光源から射出される光によって、床面にフェース面が向く方角に沿って延びる第1光線を描くとともに、前記第1光線が所定の方角を向くように使用者が前記ゴルフクラブを構える第1工程と、
前記ゴルフクラブを構えた使用者の頭部前方に設置された第2光源から射出される光によって、クラブヘッドに前記第1光線と平行な又は重なる第2光線を描く第2工程と、
前記第2光線に基づいて前記クラブヘッドに指標を作成する第3工程とを備えることを特徴とするゴルフクラブ用指標作成方法。
【請求項2】
前記所定の方角が、前記ゴルフクラブを構えた使用者のスタンスと目標方角とに基づいて定まるものである請求項1記載のゴルフクラブ用指標作成方法。
【請求項3】
前記指標を、前記第2光線に沿った直線状をなすように連続的又は間欠的に印す請求項1記載のゴルフクラブ用指標作成方法。
【請求項4】
前記指標の少なくとも一部を、前記クラブヘッドの湾曲又は屈曲した表面に沿って印す請求項3記載のゴルフクラブ用指標作成方法。
【請求項5】
前記第1光源が、前記ゴルフクラブを構えた状態で、鉛直面に沿ってライン光を射出するものである請求項1記載のゴルフクラブ用指標作成方法。
【請求項6】
前記第2光源が、前記ゴルフクラブを構えて前記クラブヘッドを目視する使用者の目元前方に設置され目視方向へ光を射出する請求項1記載のゴルフクラブ用指標作成方法。
【請求項7】
ゴルフクラブに取り付けられ、床面にフェース面が向く方角に沿って延びる第1光線を描く第1光源を備えた第1光線描画装置と、
使用者の頭部前方に設置され、前記第1光線が所定の方角を向くように当該使用者が前記ゴルフクラブを構えた状態で、クラブヘッドに前記第1光線と平行な又は重なる第2光線を描く第2光源を備えた第2光線描画装置とを備えていることを特徴とするゴルフクラブ用指標作成システム。
【請求項8】
前記第1光線描画装置が、前記フェース面に取り付けられる球状の本体をさらに備え、前記本体に第1光源が設置されている請求項7記載のゴルフクラブ用指標作成システム。
【請求項9】
前記第2光線描画装置が、前記使用者と前記第2光源との間に介在し、前記第2光源を前記使用者の目元前方に取り付けるための取付機構をさらに備えている請求項7記載のゴルフクラブ用指標作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブ用指標作成方法及びゴルフクラブ用指標作成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、スクエアスタンスでゴルフクラブを構え、ボールを飛ばしたい方角(以下、目標方角ともいう)へ飛ばすためには、フェース面を目標方角に向けることが好ましい。なぜなら、この時、フェース面が目標方角を向いていないと、インパクト時にフェース面が傾き真っ直ぐに飛ばないからである。このため、フェース面を目標方角に合わせるための指標を有するゴルフクラブがある。
【0003】
特許文献1には、クラブヘッド上面にフェース面が向く方向に延びる中心線を印したゴルフクラブが開示されている。この中心線は、クラブヘッドを真上から見ると、フェイス面に対して直交する直線に見える。
【0004】
しかしながら、例えばアイアンやドライバーなどのゴルフクラブを構えた際、使用者はクラブヘッドを斜め上から見下ろすことになるため、この場合、特許文献1の中心線は、クラブヘッドの湾曲した上面に沿って曲がって見え、目標方角に合わせ難いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平09-262323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、ゴルフクラブを構えた使用者がフェース面を所定の方角に合わせ易い指標を作成することを主な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るゴルフクラブ用指標作成方法は、ゴルフクラブに取り付けられた第1光源から射出される光によって、床面にフェース面が向く方角に沿って延びる第1光線を描くとともに、前記第1光線が所定の方角を向くように使用者が前記ゴルフクラブを構える第1工程と、前記ゴルフクラブを構えた使用者の頭部前方に設置された第2光源から射出される光によって、クラブヘッドに前記第1光線と平行な又は重なる第2光線を描く第2工程と、前記第2光線に基づいて前記クラブヘッドに指標を作成する第3工程とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、クラブヘッドに描かれた第2光線に沿って指標を印すことにより、クラブヘッドの湾曲又は屈曲した表面に、フェース面が所定の方角に向くようにゴルフクラブを構えた使用者から見て、所定の方角に沿った直線状をなす指標を作成できる。その結果、ゴルフクラブを構える際に、指標の延伸方向を所定の方角に合わせるだけで、フェース面を所定の方角に向けられる。
【0009】
また、クラブヘッドの湾曲又は屈曲した表面に指標を印した場合、指標を所定の方角に合わせるだけで、クラブヘッドの姿勢が一定になる。このため、クラブヘッドの姿勢を一定にして構える癖付けができる。さらに、この場合、仮にゴルフクラブを構えた状態でフェース面が所定の方角に向いていないと、指標が直線状に見えないので、フェース面が所定の方向に向いているか否かを直感的に判断できる。
【0010】
ところで、例えば、第2工程において、一般的に、使用者がスクエアスタンスで構えた場合、フェース面を目標方角に向けることが好ましい。一方、使用者がオープンスタンスやクローズスタンスで構えた場合、ボールを目標方角に飛ばすためには、フェース面を目標方角から時計回り又は反時計回りに傾けた方角に向けることが好ましい。つまり、フェース面を向けるべき方角は、スタンスと目標方角によって定まる。
【0011】
そこで、前記所定の方角を、前記ゴルフクラブを構えた使用者のスタンスと目標方角とに基づいて定めればよい。
【0012】
第三工程の具体的な実施態様としては、前記指標を、前記第2光線に沿って直線状をなすように連続的又は間欠的に印す態様が挙げられる。
【0013】
また、第三工程のより具体的な実施態様としては、前記指標の少なくとも一部を、前記クラブヘッドの湾曲又は屈曲した表面に沿って印す態様が挙げられる。
【0014】
例えば部屋の床面に所定の方角を示す的が設置されている場合、第1光線を的に合わせるだけで、第1光線を所定の方角に向けられるが、壁面等の床面よりも高い位置に的が設置されている場合、第1光線を的に合わせ難い。
【0015】
そこで、前記第1光源が、前記ゴルフクラブを構えた状態で、鉛直面に沿ってライン光を射出するものでもよい。このような構成によれば、例えば床面よりも高い位置に的が設置されている場合であっても、ライン光を的に当て易くなる。
【0016】
第2光源の具体的な実施態様としては、前記第2光源が、前記ゴルフクラブを構えて前記クラブヘッドを目視する使用者の目元前方に設置され目視方向へ光を射出するものが挙げられる。
【0017】
本発明に係るゴルフクラブ用指標作成システムは、ゴルフクラブに取り付けられ、フェース面前方の床面に当該フェース面が向く方角へ延びる第1光線を描く第1光源を備えた第1光線描画装置と、使用者に取り付けられ、前記第1光線が所定の方角を向くように当該使用者が前記ゴルフクラブを構えた状態で、クラブヘッドに前記第1光線と平行な又は重なる第2光線を描く第2光源を備えた第2光線描画装置とを備えていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明によれば、例えばクラブヘッドの湾曲又は屈曲した表面に対し、フェース面が所定の方角に向くようにゴルフクラブを構えた使用者から見て、所定の方角に沿った直線状をなす指標を作成できる。その結果、ゴルフクラブを構える際に、直線状をなす指標の延伸方向を所定の方角に合わせるだけで、フェース面を所定の方角に向けられる。
【0019】
また、前記第1光線描画装置が、前記フェース面に取り付けられる球状の本体をさらに備え、前記本体に第1光源が設置されているものでもよい。
【0020】
このような構成によれば、第1光源描画装置がゴルフボール状になり、実際にボールを打つイメージでゴルフクラブを構えられる。
【0021】
また、前記第2光線描画装置が、前記使用者と前記第2光源との間に介在し、前記第2光源を前記使用者の目元前方に取り付ける取付機構をさらに備えているものでもよい。このような構成によれば、使用者の視線に沿って光を射出できる。
【0022】
本発明に係るゴルフクラブは、クラブヘッドに、フェース面が所定の方角を向くようにゴルフクラブを構えた使用者から見て、当該所定の方角に沿った直線状をなすように連続的又は間欠的に印された指標が設けられていることを特徴とするものである。
【0023】
本発明によれば、指標が延びる方向を所定の方角に合わせるように構えるだけで、フェース面を所定の方角に向けられる。
【0024】
また、前記指標の少なくとも一部が、前記クラブヘッドの湾曲又は屈曲した表面に沿って印されているものが好ましい。
【0025】
このような構成によれば、フェース面が所定の方角に向いていないと、ゴルフクラブを構えた使用者からは、指標が直線状に見えない。したがって、フェース面が所定の方角に向いていないことを直感的に判断できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ゴルフクラブを構えた使用者がフェース面を所定の方角に合わせ易い指標を得られる。その結果、使用者が、フェース面を所定の方角に向けて構えた姿勢を癖付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態の指標作成システムの使用状態を模式的に示す斜視図である。
図2】実施形態の指標作成システムの第1光線描画装置を模式的に示す斜視図である。
図3】実施形態の指標作成システムの第2光線描画装置を模式的に示す斜視図である。
図4】実施形態の指標作成システムによる指標の作成手順を示す模式図である。
図5】実施形態の指標作成システムによる指標の作成手順においてゴルフクラブを構えた使用者から見えるクラブヘッドを示す模式図である。
図6】実施形態の指標作成システムによる指標の作成手順においてゴルフクラブを構えた使用者から見えるクラブヘッドを示す模式図である。
図7】実施形態の指標作成システムによる指標の作成手順で作成した指標が印されたクラブヘッドをゴルフクラブを構えた使用者から見た状態を示す模式図である。
図8】実施形態の指標作成システムによる指標の作成手順においてゴルフクラブを構えた使用者から見えるクラブヘッドを示す模式図である。
図9】変形例の指標が印されたクラブヘッドを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る指標作成システム、指標作成方法及びゴルフクラブの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
本発明に係る指標作成システム及び指標作成方法は、ゴルフクラブに対し、アドレス時などにおいて、フェース面を所定の方角に向ける際に使用する指標を作成するためのものである。この指標は、特に構えた際に、使用者が斜め上からクラブヘッドを見下ろすゴルフクラブ、具体的には、パター以外のゴルフクラブ(ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン又はウェッジ)で効果を発揮するが、パターに使用してもよい。
【0030】
<実施形態> 本実施形態に係る指標作成システム100は、図1に示すように、ゴルフクラブXに取り付けられる第1光線描画装置10と、使用者Aに取り付けられる第2光線描画装置20とを備えている。
【0031】
前記第1光線描画装置10は、クラブヘッドX1の床面Sにそのフェース面Xsが向く方角に沿って延びる第1光線L1を描く第1光源11を備えている。本実施形態では、フェース面Xs前方の床面Sにそのフェース面Xsが向く方角へ延びる第1光線L1を描く。この第1光源11は、扇状に広がるライン光l1を射出する。なお、床面Sには、地面も含まれる。
【0032】
この第1光線描画装置10は、図2に示すように、第1光源11をゴルフクラブXに取り付けるための取付具12をさらに備えている。本実施形態の取付具12は、第1光源11をフェース面Xsに取り付けるようになっているが、これに限定されず、ゴルフクラブXのフェース面Xs以外の場所、例えばクラブヘッドX1の上面Xaやシャフトに取り付けるようにしてもよい。
【0033】
本実施形態の取付具12は、具体的には、球状の本体13と、本体13表面から突出した台座14とを備えている。本体13は、ゴルフボールと同一直径を有しており、台座14が突出した半球面と反対側の半球面から光を射出するように第1光源11を保持する。台座14には、磁石が内蔵されており、この磁石の磁力によってフェース面Xsに着脱可能に磁着する。
【0034】
なお、本実施形態の取付具12は、本体13と台座14も磁力によって着脱可能に磁着するようになっている。そして、この本体13と台座14との間に介在するように、第1光源11から射出される光の床面Sに対する角度を調整するための角度調整機構15をさらに備えている。この角度調整機構15は、具体的には、本体13を中心及び光射出口を通るように切断する円周に沿って延びる凸状のガイド15aと、台座14の本体13との接触面に形成され、ガイド15aが嵌まり込む溝15bとを備えており、本体13を台座14に対してガイド15aを溝15bに嵌めながらスライドさせることにより、光の角度を調整できるようになっている。
【0035】
前記第2光線描画装置20は、図1に示すように、使用者Aの頭部前方、より具体的には目元前方に設置される第2光源21を備えている。この第2光源21は、頭部前方、より具体的には目元前方へ光を射出する。なお、第2光源21も、扇状に広がるライン光l2を射出する。
【0036】
この第2光線描画装置20は、図3に示すように、第2光源21を使用者Aに取り付けるための取付機構22をさらに備えている。本実施形態の取付機構22は、第2光源21を使用者Aが着用する帽子の鍔に取り付けるようになっているが、これに限定されず、例えば眼鏡などの他の着用物や使用者自身に取り付けるようにしてもよい。そして、取付機構22は、第2光源21の位置を使用者の目元前方に合わせるための位置調整機構と、第2光源21から射出される光の向きを調整するための向き調整機構とを備えている。
【0037】
本実施形態の取付機構22は、具体的には、鍔を挟むクリップ23と、第2光源21を保持する筒状の保持体24と、クリップ23と保持体24とを互いに接続する軸体25とを備えている。軸体25は、内筒体25aと外筒体25bとを備え、これらを互いにスライドさせることにより、第2光源21の位置を調整できるようになっており、これが位置調整機構としての役割を果たす。また、保持体24と軸体25との間にはボールジョイント26が介在し、このボールジョイント26で保持体24の向きを調整することにより、第2光源21から射出される光の向きを調整できるようになっており、これが向き調整機構としての役割を果たす。
【0038】
次に、本実施形態に係る指標作成システム100を用いた指標の作成手順を図4図6に基づいて説明する。なお、本実施形態では、使用者がスクエアスタンスで構えた場合について説明する。この場合、ゴルフクラブを構えた際に、フェース面Xsを目標方角に向けることが好ましい。
【0039】
先ず、第1光線描画装置10をフェース面Xsに取り付けるとともに、第2光線描画装置20を使用者Aが着用した帽子に取り付ける。
【0040】
次に、第1光源11を点灯し、第1光源11から射出された光によって、フェース面Xs前方の床面Sにそのフェース面Xsが向く方角へ延びる第1光線L1を描くとともに、第1光線11が目標方角に向くように使用者AがゴルフクラブXを構える(第1工程)。
【0041】
具体的には、図3(a)に示すように、第1光源11から射出されたライン光l1を、目標方角にある壁面に設置された的Pに当てるとともに、そのライン光l1が鉛直面に沿って射出されるように第1光源11の向きを調整する。これにより、図5に示すように、フェース面Xs前方の床面Sに目標方角へ向かって延びる第1光線L1が描かれる。なお、この際、角度調整機構15を用いて、ライン光11が的Pに当たりながら床面Sに第1光線L1を描くように、第1光源11から射出される光の角度を調整する。
【0042】
次に、第2光源21を点灯し、第2光源21から射出される光によって、クラブヘッドX1に第1光線L1と平行な又は重なる第2光線L2を描く(第2工程)。
【0043】
具体的には、図3(b)に示すように、使用者Aが、ゴルフクラブXを構えた状態でクラブヘッドX1を目視し、この状態で、位置調整機構によって第2光源21が目元前方、より具体的には両目の間つまり眉間前方に位置するように調整する。そして、向き調整機構によって第2光源21から射出されたライン光l2が、クラブヘッドXを通過し、かつ、第1光線L1と平行又は重なるように第2光源21の向きを調整する。この状態において、第2光源21は、クラブヘッドX1を目視する使用者Aの目視方向へ光を射出する。より具体的には、第2光源21は、使用者Aの目元とクラブヘッドX1とを結ぶ仮想線上に位置し、その仮想線に沿ってライン光l2を射出する。これにより、図6に示すように、クラブヘッドXを通過し、かつ、第1光線L1と平行又は重なる第2光線L2が描かれる。本実施形態では、ライン光l2がクラブヘッドX1のフェース面Xs及び上面Xaを通過する。
【0044】
そして、図7(a)に示すように、クラブヘッドXに第2光線L2に沿った直線状をなす指標Lを印す。この指標Lは、ゴルフクラブXを構えた使用者Aから見て、第2光線L2上に沿って印され、かつ、この第2光線L2が描く直線を認識できるようなものであればよい。本実施形態では、クラブヘッドX1の湾曲又は屈曲した表面を通過するように、フェース面Xsから上面Xaに亘って第2光線L2上に連続的に印された直線としたが、これに限定されない。例えば第2光線L2上に間欠的に印された複数の点としてもよい。また、この指標Lは、クラブヘッドXに直接印すことが好ましく、例えばインクなどで書き込んでもよく、刻印してよい。
【0045】
ところで、第2光線L2上に指標Lを描く作業は、使用者一人では困難である。なぜなら、使用者が指標Lを描こうとしゃがんだ際に第2光線L2がずれるためである。そこで、予めクラブヘッドXに第2光線L2が通過する位置を使用者が記憶するために目安となる目安部30を設けてもよい。本実施形態の目安部30は、図8に示すように、クラブヘッドX表面にその表面上の座標を記憶し易くするための座標シールであり、この座標シールには、格子状の模様が印されている。これにより、使用者は、第2工程において、第2光線L2が座標シールのどの位置を通過したか模様を参考に記憶しておき、その記憶に基づいて指標Lを描けば、使用者一人でも指標Lを描ける。
【0046】
本実施形態によれば、クラブヘッドX1の湾曲又は屈曲した表面に、フェース面Xsが所定の方角に向くようにゴルフクラブXを構えた使用者から見て、所定の方角に沿った直線状をなす指標を作成できる。その結果、ゴルフクラブを構える際に、直線状をなす指標の延伸方向を所定の方角に合わせるだけで、フェース面を所定の方角に向けられる。
【0047】
また、ゴルフクラブXを構えた使用者から見て、フェース面Xsが目標方角を向いているか否かが直感的に分かる。つまり、このようにクラブヘッドXの湾曲又は屈曲した表面に印した指標Lであれば、図7(b)に示すように、フェース面Xsが目標方角に向いていないと、ゴルフクラブXを構えた使用者から指標Lが曲がって見える。これにより、フェース面Xsが目標方角を向いているか否かが直感的に分かる。
【0048】
<その他の実施形態> 本発明に係る指標作成システム及び指標作成方法は、前記実施形態に限定されない。例えば、前記実施形態では、指標として線を印したが、これに限定されず、点であってもよい。具体的には、図9(a)に示すように、クラブヘッドX1の湾曲又は屈曲した表面に印された3点以上の点であってもよい。指標Lをクラブヘッドの湾曲又は屈曲した表面に印された3つ以上の点とした場合、使用者がゴルフクラブを構えた状態で見える、それらの点を結んでできる直線を所定の方角に向ければよい。また、前記実施形態では、指標をクラブヘッドに新たに印したが、クラブヘッドが元々持つ構造を利用して指標を印しても良い。具体的には、図9(b)に示すように、フェース面Xsに形成される複数のフェースラインXLを、一端が第2光線l2上に並ぶように形成し、その一端を指標Lの一部として利用してもよい。この場合、各フェースラインXLの一端が、間欠的に印された指標となる。なお、指標Lは、その一部がクラブヘッドX1の湾曲又は屈曲した表面に印されたものに限定されず、その全部がクラブヘッドX1の湾曲又は屈曲した表面に印されたものでもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、使用者がスクエアスタンスで構えた場合について説明したが、例えば使用者がオープンスタンスやクローズスタンスで構えた場合、ボールを目標方角に飛ばすためには、フェース面を目標方角から時計回り又は反時計回りに傾けた方角に向けることが好ましい。そこで、スクエアスタンス以外のスタンスで構えた場合には、第1工程において、第1光線L1をそのスタンスに適した所定の方角にフェース面を向ければよく、他は実施形態と同様の手順でそれぞれのスタンスに合った指標を作成できる。
【0050】
また、前記取付機構の位置調整機構や向き調整機構は、前記実施形態のものに限定されない。例えば、クリップと保持体とを複数の関節を備えたアームで連結し、このアームが、位置調整機構及び向き調整機構としての役割を果たすようにしてもよい。なお、複数の関節をボールジョイント式にすることで、位置や向きの調整の自由度が増す。
【0051】
また、前記実施形態では、第1光線描画装置をフェース面に取り付ける構成を採用したが、この態様では、第1光線描画装置を取り付けた状態でボールを試打できない。そこで、第1光線描画装置をゴルフクラブのフェース面以外の場所、例えばクラブヘッドの上面やシャフトに取り付けてもよい。この場合、例えば前記実施形態のようにフェース面に取り付けられた光源を利用して当該フェース面が向く方角に沿って延びる光線を描いた後、シャフトに取り付けられた第1光源描画装置によって前記光源と平行な又は重なる光線を描き、この光線を第1光線としてもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、第2光線描画装置を使用者に取り付ける取付機構を備えた態様としたが、これに限定されない。例えば第2光源を支持するスタンドを備え、このスタンドによって使用者の頭部前方に第2光源を設置できる構成としてもよい。この場合、スタンドに位置調整機構及び向き調整機構を設ければよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の一部同士の組み合わせや、変形等を行っても構わない。
【符号の説明】
【0054】
100 指標作成システム
A 使用者
X ゴルフクラブ
X1 クラブヘッド
Xs フェース面
P 的
10 第1光線描画装置
11 第1光源
12 取付具
20 第2光線描画装置
21 第2光源
22 取付機構

【要約】
【課題】ゴルフクラブを構えた使用者がフェース面を所定の方角に合わせ易い指標を作成する。
【解決手段】ゴルフクラブに取り付けられた第1光源から射出される光によって、フェース面前方の床面に当該フェース面が向く方向へ延びる第1光線を描くとともに、前記第1光線が所定の方角を向くように使用者が前記ゴルフクラブを構える第1工程と、前記ゴルフクラブを構えた使用者に取り付けられた第2光源から頭部前方へ射出される光によって、クラブヘッドに前記第1光線と平行な又は重なる第2光線を描く第2工程と、前記第2光線に基づいて前記クラブヘッドに指標を作成する第3工程とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9