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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/50 20230101AFI20250205BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20250205BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20250205BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20250205BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20250205BHJP
【FI】
H04N23/50
G02B7/04 E
G03B5/00 J
H04N23/54
H04N23/68
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021006273
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2022110703
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】武田 正
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-174790(JP,A)
【文献】特開2005-037865(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0042794(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0144126(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
G02B 7/04
G03B 5/00
H04N 23/54
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールと、
前記カメラモジュールを前記カメラモジュールの光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記カメラモジュールを前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記カメラモジュールを支持する固定体と、を有し、
前記カメラモジュールは、レンズホルダと、前記レンズホルダの外周側を囲むケースと、前記ケースにおける前記光軸方向の反被写体側の端部に固定される基板と、前記基板に配置される撮像素子と、を備え、
前記ケースは、前記カメラモジュールの外装ケースであり、
前記ケースおよび前記基板は、前記光軸方向から見て円形であることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記カメラモジュールは、前記レンズホルダを内側に保持する円筒形のスリーブと、前記スリーブと前記ケースとの径方向の隙間に配置されるレンズ駆動機構と、前記ケースに対して前記スリーブを前記光軸方向に移動可能に支持するレンズ支持機構と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記レンズ駆動機構は、前記スリーブと前記ケースの一方に固定されるレンズ駆動用磁石、および、前記スリーブと前記ケースの他方に固定されるレンズ駆動用コイルを備え、
前記レンズ駆動用磁石と前記レンズ駆動用コイルは、前記スリーブを全周で囲む環状部材であり、前記光軸方向に並んでいることを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記レンズ支持機構は、前記レンズ駆動機構の前記光軸方向の両側において前記スリーブと前記ケースとを接続する一対の板ばねであることを特徴とする請求項2または3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記撮像素子は、前記光軸方向から見て矩形であり、
前記撮像素子の対角方向の寸法は、前記基板の直径よりも小さいことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記固定体は、前記ケースの外周側を囲む筐体を備え、
前記カメラモジュールを前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、
前記振れ補正用磁気駆動機構および前記揺動支持機構は、前記ケースと前記筐体との間に配置されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールを揺動させて振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールを備えた可動体を、光軸回り、あるいは、光軸と交差する軸線回りに揺動させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが開示される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、撮像ユニット(カメラモジュール)を備える可動体と、固定体と、固定体に対して可動体を光軸と交差する軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有する。撮像ユニットは、角形ケースと、角形ケースの内側に保持されるレンズホルダと、レンズホルダを光軸方向に移動させるレンズ駆動機構と、角形ケースの光軸方向の後ろ側の端部に固定される素子ホルダと、素子ホルダに保持される撮像素子を備える。振れ補正用駆動機構のコイルに通電すると、可動体の光軸方向の後ろ側に設けられた揺動支点部を中心として可動体が揺動して、撮像ユニットの振れ補正が行われる。
【0004】
特許文献1では、撮像ユニットが光軸方向から見て矩形であるため、可動体が揺動した際、揺動支点部から径方向に最も離間した角部が光軸方向に大きく変位する。そこで、可動体の光軸方向の変位量が大きくなることを避けるため、角形ケースの角部には、光軸方向に凹む凹部が形成されている。このように、撮像ユニットの角部を凹んだ形状にすると、凹部の段差の分だけ可動体の光軸方向の変位量が小さくなる。従って、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の製品高さを小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-130822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、撮像ユニットにおいて光軸方向の変位が大きい部分だけを凹んだ形状にすると、撮像ユニットの外形が複雑化し、部品形状が複雑化する。そのため、製造コストが増大するという問題がある。
【0007】
また、特許文献1の撮像ユニットは、レンズホルダの平面形状が円形であるにも関わらず、角形ケースの平面形状は矩形であるため、素子ホルダの面積が大きい。そのため、部品サイズが大きく、材料コストが大きい。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の製品高さを小さくするとともに、カメラモジュールの形状を単純化し、カメラモジュールの平面形状を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールと、前記カメラモジュールを前記カメラモジュールの光軸と交差する第1軸回りに
揺動可能に支持すると共に、前記カメラモジュールを前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記カメラモジュールを支持する固定体と、を有し、前記カメラモジュールは、レンズホルダと、前記レンズホルダの外周側を囲むケースと、前記ケースにおける前記光軸方向の反被写体側の端部に固定される基板と、前記基板に配置される撮像素子と、を備え、前記ケースおよび前記基板は、前記光軸方向から見て円形であることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、カメラモジュールの外形が光軸方向から見て円形である。従って、カメラモジュールには、光軸と交差する軸回りに回転したときに光軸方向の変位量が大きい角部が存在しない。よって、カメラモジュールを揺動させて振れ補正を行うときのカメラモジュールの光軸方向の変位量が小さいので、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の製品高さを小さくすることができる。
【0011】
また、本発明によれば、カメラモジュールの外装部品であるケースは単純な円筒形状でよく、複雑な凹凸形状を設ける必要がない。従って、部品形状を単純化できるので、製造コストを下げることができる。さらに、カメラモジュールの角部をなくしたことにより、基板の面積を小さくすることができる。従って、基板の材料コストを下げることができる。また、角部がない分だけカメラモジュールの平面形状を小さくできるので、カメラモジュールの外周側に、揺動支持機構などの部品を配置するスペースを確保しやすい。よって、振れ補正機能付き光学ユニットの平面形状を小さくすることができる。
【0012】
本発明において、前記カメラモジュールは、前記レンズホルダを内側に保持する円筒形のスリーブと、前記スリーブと前記ケースとの径方向の隙間に配置されるレンズ駆動機構と、前記ケースに対して前記スリーブを前記光軸方向に移動可能に支持するレンズ支持機構と、を備えることが好ましい。このようにすると、カメラモジュールにオートフォーカス機能を持たせることができる。
【0013】
本発明において、前記レンズ駆動機構は、前記スリーブと前記ケースの一方に固定されるレンズ駆動用磁石、および、前記スリーブと前記ケースの他方に固定されるレンズ駆動用コイルを備え、前記レンズ駆動用磁石と前記レンズ駆動用コイルは、前記スリーブを全周で囲む環状部材であり、前記光軸方向に並んでいることが好ましい。このようにすると、コイルと磁石とを径方向に対向させる構成と比較して、レンズ駆動機構の径方向の幅を小さくすることができる。従って、カメラモジュールの平面形状を小さくすることができる。
【0014】
本発明において、前記レンズ支持機構は、前記レンズ駆動機構の前記光軸方向の両側において前記スリーブと前記ケースとを接続する一対の板ばねであることが好ましい。このように、スリーブの両端を板ばねによって吊る構造にすることで、スリーブの光軸方向の移動が安定する。また、板ばねを用いることで、レンズ支持機構の配置スペースを小さくすることができる。
【0015】
本発明において、前記撮像素子は、前記光軸方向から見て矩形であり、前記撮像素子の対角方向の寸法は、前記基板の直径よりも小さいことが好ましい。このようにすると、汎用品の撮像素子を使用できる。また、基板をケースの内側に収容せずにケースに対して反被写体側から当接させて固定した場合に、ケースが撮像素子に干渉することを避けることができる。
【0016】
本発明において、前記固定体は、前記ケースの外周側を囲む筐体を備え、前記カメラモジュールを前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構を有し、前記振れ補正用磁気駆動機構および前記揺動支持機構は、前記ケースと前記筐体と
の間に配置されることが好ましい。このようにすると、筐体の光軸方向の高さは、カメラモジュールを収容できる高さがあればよいので、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の製品高さを小さくすることができる。また、本発明では、カメラモジュールの平面形状を小さくできるので、カメラモジュールの外周側に振れ補正用磁気駆動機構および揺動支持機構の配置スペースを確保しやすい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カメラモジュールの外形が光軸方向から見て円形であり、カメラモジュールには、光軸と交差する軸回りに回転したときに光軸方向の変位量が大きい角部が存在しない。よって、カメラモジュールを揺動させて振れ補正を行うときのカメラモジュールの光軸方向の変位量が小さいので、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の製品高さを小さくすることができる。
【0018】
また、本発明によれば、カメラモジュールの外装部品であるケースは単純な円筒形状でよく、複雑な凹凸形状を設ける必要がない。従って、部品形状を単純化できるので、製造コストを下げることができる。さらに、カメラモジュールの角部をなくしたことにより、基板の平面形状を小さくできる。従って、基板の材料コストを下げることができる。また、角部がない分だけカメラモジュールの平面形状を小さくできるので、カメラモジュールの外周側に、揺動支持機構などの部品を配置するスペースを確保しやすい。よって、振れ補正機能付き光学ユニットの平面形状を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図2】カメラモジュールの斜視図である。
図3】カメラモジュールの分解斜視図である。
図4】振れ補正用磁気駆動機構、筐体、およびカメラモジュールを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の断面図である。図2は、カメラモジュール4の斜視図である。図3は、カメラモジュール4の分解斜視図である。図4は、振れ補正用磁気駆動機構6、筐体9、およびカメラモジュール4を模式的に示す平面図である。
【0022】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子3を備えたカメラモジュール4を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、カメラモジュール4の傾きを補正する。
【0023】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2の光軸Lと直交する第1軸X回りにカメラモジュール4を回転させるとともに、光軸Lおよび第1軸Xと直交する第2軸Y回りにカメラモジュール4を回転させて振れ補正を行う。以下の説明では、光軸Lに沿う方向を
光軸方向とし、第1軸Xに沿う方向を第1軸X方向とし、第2軸Yに沿う方向を第2軸Y方向とする。また、光軸方向の一方側をL1方向とし、光軸方向の他方側をL2方向とする。L1方向は、カメラモジュール4の被写体側であり、L2方向は、カメラモジュール4の反被写体側である。
【0024】
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備える可動体5と、振れ補正用磁気駆動機構6と、揺動支持機構7と、揺動支持機構7を介して可動体5を支持する固定体8を備える。揺動支持機構7は、可動体5を第1軸X回りおよび第2軸Y回りに揺動可能に支持する。可動体5は、第1軸X回りのピッチング方向、および、第2軸Y回りのヨーイング方向に回転可能である。振れ補正機能付き光学ユニット1は、ピッチング補正およびヨーイング補正を行う。
【0025】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮像素子3の信号を出力するためのフレキシブルプリント基板(図示せず)と、振れ補正用磁気駆動機構6への給電用のフレキシブルプリント基板(図示せず)を備える。
【0026】
(固定体)
図1図4に示すように、固定体8は、可動体5の外周側を囲む筐体9を備える。本形態では、筐体9は、可動体5の第2軸Y方向の両側で第1軸X方向に平行に延びる第1側壁91および第2側壁92と、可動体5の第1軸X方向の両側で第2軸Y方向に平行に延びる第3側壁93および第4側壁94を備える。また、筐体9は、第1側壁91、第2側壁92、第3側壁93、および第4側壁94によって構成される角筒状の筒部の反被写体側L2の端部を塞ぐ底板部95と、第1側壁91、第2側壁92、第3側壁93、および第4側壁94の被写体側L1の端部から内周側へ延びる前板部96を備える。可動体5は、前板部96の中央に形成された開口部97から被写体側L1へ突出するレンズホルダ10を備える。
【0027】
なお、本形態では、光軸方向から見た筐体9の平面形状は矩形であるが、光軸方向から見た筐体9の平面形状は、矩形に限定されるものではない。例えば、八角形であってもよいし、円形であってもよい。
【0028】
(振れ補正用磁気駆動機構)
図4に示すように、振れ補正用磁気駆動機構6は、可動体5と第1側壁91、第2側壁92、第3側壁93、および第4側壁94との間に配置される。振れ補正用磁気駆動機構6は、可動体5に対して第1軸X回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構6Xと、可動体5に対して第2軸Y回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構6Yを備える。
【0029】
本形態では、第1振れ補正用磁気駆動機構6Xは、可動体5の第2軸Y方向の両側に配置される。また、第2振れ補正用磁気駆動機構6Yは、可動体5の第1軸X方向の両側に配置される。第1振れ補正用磁気駆動機構6Xは、可動体5に固定される磁石61Xと、筐体9の第1側壁91および第2側壁92に配置されるコイル62Xを備える。第2振れ補正用磁気駆動機構6Yは、可動体5に固定される磁石61Yと、筐体9の第3側壁93および第4側壁94に配置されるコイル62Yを備える。
【0030】
なお、第1振れ補正用磁気駆動機構6Xは、可動体5の第2軸Y方向の一方側にのみ配置されていてもよい。また、第2振れ補正用磁気駆動機構6Yは、可動体5の第1軸X方向の一方側にのみ配置されていてもよい。さらに、第1振れ補正用磁気駆動機構6Xと第2振れ補正用磁気駆動機構6Yは、コイルと磁石の配置が本形態とは逆であってもよい。すなわち、可動体5に配置されるコイルと、固定体8に配置される磁石を備えた構成であ
ってもよい。
【0031】
(揺動支持機構)
図1に示すように、揺動支持機構7は、可動体5と筐体9とを接続する一対の板ばね71、72によって可動体5を吊る構造である。揺動支持機構7は、可動体5の被写体側L1の端部に接続される板ばね71と、可動体5の反被写体側L2の端部に接続される板ばね72を備える。本形態では、一対の板ばね71、72が同一形状であり、振れ補正用磁気駆動機構6の光軸方向の両側に配置される。板ばね71、72の各々は、可動体5の外周面に固定される可動体側連結部73と、筐体9の内周面に接続される固定体側連結部74と、可動体側連結部73と固定体側連結部74とを接続する複数のアーム部75を備える。各アーム部75は、周方向に延びており、径方向に撓むことが可能な形状である。複数のアーム部75は、光軸Lを中心として周方向に均等配置される。
【0032】
なお、揺動支持機構7は、本形態の構成に限定されるものではない。例えば、揺動支持機構7は、ジンバル機構もしくはピボット機構であってもよい。
【0033】
(カメラモジュール)
図1図2図3に示すように、カメラモジュール4は、レンズホルダ10と、レンズホルダ10を内側に保持する円筒形のスリーブ11と、スリーブ11の外周側を囲むケース12と、ケース12とスリーブ11との間に配置されるレンズ駆動機構13およびレンズ支持機構14と、ケース12の反被写体側L2の端部に固定される基板15を備える。レンズ2は、レンズホルダ10に保持される。図2図3に示すように、レンズホルダ10は、被写体側L1の端部に開口部16を備えている。
【0034】
ケース12は、円筒形の筒部17と、筒部17の被写体側L1の端部から内周側へ延びる端板部18を備える。端板部18の中央には、円形の開口部19が設けられている。レンズホルダ10の先端部は、開口部19から被写体側L1へ突出する。
【0035】
撮像素子3は、基板15に固定される。図3に示すように、撮像素子3は、光軸方向から見た平面形状が矩形であり、基板15は、光軸方向から見た平面形状が円形である。撮像素子の対角方向の寸法は、基板15の直径よりも小さい。本形態では、基板15の外周端部にケース12の反被写体側L2の端部が当接する。撮像素子3の対角方向の寸法は、基板15に当接する筒部17の内径よりも小さい。従って、ケース12は、撮像素子3とは干渉しない。
【0036】
図1図3に示すように、レンズ駆動機構13は、スリーブ11の外周面に固定されるレンズ駆動用磁石20と、レンズ駆動用磁石20の光軸方向の両側に配置される一対のレンズ駆動用コイル21、22を備える。レンズ駆動用磁石20とレンズ駆動用コイル21、22は、いずれも、スリーブ11を全周で囲む環状部材である。レンズ駆動用コイル21、22は、筒部17の内周面に固定されており、同一方向に巻かれている。
【0037】
レンズ支持機構14は、スリーブ11とケース12とを接続する一対の板ばね23、24によってスリーブ11を吊る構造である。レンズ支持機構14は、スリーブ11の被写体側L1の端部に接続される板ばね23と、スリーブ11の反被写体側L2の端部に接続される板ばね24を備える。本形態では、一対の板ばね23、24が同一形状であり、レンズ駆動機構13の光軸方向の両側に配置される。
【0038】
板ばね23、24の各々は、スリーブ11の外周面に固定されるスリーブ側連結部25と、ケース12の内周面に接続されるケース側連結部26と、スリーブ側連結部25とケース側連結部26とを接続する複数のアーム部27を備える。図3に示すように、スリー
ブ側連結部25およびケース側連結部26は環状である。図1に示すように、ケース12の端板部18とスリーブ側連結部25との間、および、レンズ駆動用コイル21とスリーブ側連結部25との間には、環状のスペーサ28が配置される。
【0039】
各アーム部27は、周方向に延びており、光軸方向に撓むことが可能な形状である。複数のアーム部27は、光軸Lを中心として周方向に均等配置される。本形態では、3本のアーム部27によってスリーブ側連結部25とケース側連結部26が接続されている。
【0040】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4と、カメラモジュール4を光軸Lと交差する第1軸X回りに揺動可能に支持すると共に、カメラモジュール4を光軸Lおよび第1軸Xと交差する第2軸Y回りに揺動可能に支持する揺動支持機構7と、揺動支持機構7を介してカメラモジュール4を支持する固定体8と、を有する。カメラモジュール4は、レンズホルダ10と、レンズホルダ10の外周側を囲むケース12と、ケース12における光軸方向の反被写体側L2の端部に固定される基板15と、基板15に配置される撮像素子3と、を備える。ケース12および基板15は、光軸方向から見て円形である。
【0041】
本形態によれば、カメラモジュール4の外形が光軸方向から見て円形である。従って、カメラモジュール4には、光軸Lと交差する軸に回転したときに光軸方向の変位量が大きい角部が存在しない。よって、カメラモジュール4を揺動させて振れ補正を行うときのカメラモジュール4の光軸方向の変位量が小さいので、振れ補正機能付き光学ユニット1の光軸方向の製品高さを小さくすることができる。
【0042】
また、本形態によれば、カメラモジュール4の外装部品であるケース12は単純な円筒形状でよく、複雑な凹凸形状を設ける必要がない。従って、部品形状を単純化できるので、製造コストを下げることができる。さらに、カメラモジュール4の角部をなくしたことにより、基板15の面積を小さくできる。従って、基板15の材料コストを下げることができるため、カメラモジュール4の製品コストを下げることができる。また、角部がない分だけカメラモジュール4の平面形状を小さくできるので、カメラモジュール4の外周側に、揺動支持機構7などの部品を配置するスペースを確保しやすい。よって、振れ補正機能付き光学ユニット1の平面形状を小さくすることができる。
【0043】
本形態では、カメラモジュール4は、レンズホルダ10を内側に保持する円筒形のスリーブ11と、スリーブ11とケース12との径方向の隙間に配置されるレンズ駆動機構13と、ケース12に対してスリーブ11を光軸方向に移動可能に支持するレンズ支持機構14と、を備えている。従って、カメラモジュール4にオートフォーカス機能を持たせることができる。
【0044】
本形態では、レンズ駆動機構13は、スリーブ11に固定されるレンズ駆動用磁石20、および、ケース12の内周面に固定されるレンズ駆動用コイル21、22を備えている。レンズ駆動用磁石20とレンズ駆動用コイル21、22は、スリーブ11を全周で囲む環状部材であり、光軸方向に並んでいる。このような構成では、コイルと磁石とを径方向に対向させる構成と比較して、レンズ駆動機構13の径方向の幅を小さくすることができる。従って、カメラモジュール4の平面形状を小さくすることができる。
【0045】
なお、レンズ駆動機構13は、上記の構成に限定されるものではない。例えば、レンズ駆動用コイル21、22を固定し、ケース12の内周面にレンズ駆動用磁石20を固定してもよい。また、上記構成では、2個のレンズ駆動用コイル21、22を備えているが、レンズ駆動用コイルの数は1個でもよい。また、レンズ駆動機構13として、コイルと磁
石とを径方向に対向させる構成を採用してもよい。
【0046】
本形態では、レンズ支持機構14は、レンズ駆動機構13の光軸方向の両側においてスリーブ11とケース12とを接続する一対の板ばね23、24である。このように、スリーブ11の両端を板ばね23、24によって吊る構造にすることで、スリーブ11の光軸方向の移動が安定する。また、板ばね23、24を用いることで、レンズ支持機構14の配置スペースを小さくすることができる。
【0047】
本形態では、撮像素子3は、光軸方向から見て矩形であり、撮像素子3の対角方向の寸法は、基板15の直径よりも小さい。従って、汎用品の撮像素子3を使用できる。また、基板15をケース12の内側に収容せずにケース12に対して反被写体側L2から当接させて固定した場合に、ケース12が撮像素子3に干渉することを避けることができる。
【0048】
本形態では、固定体8は、ケース12の外周側を囲む筐体9を備え、カメラモジュール4を第1軸X回りおよび第2軸Y回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構6を有し、振れ補正用磁気駆動機構6および揺動支持機構7は、ケース12と筐体9との間に配置されることが好ましい。このようにすると、振れ補正機能付き光学ユニット1の光軸方向の製品高さを小さくすることができる。また、本形態では、カメラモジュール4の平面形状を小さくできるので、カメラモジュール4の外周側に振れ補正用磁気駆動機構6および揺動支持機構7の配置スペースを確保しやすい。よって、振れ補正機能付き光学ユニット1の平面形状を小さくすることができる。
【0049】
(他の実施形態)
上記形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、スリーブ11とケース12との間にレンズ駆動機構13およびレンズ支持機構14を配置したオートフォーカス機能付きのカメラモジュール4を備えているが、カメラモジュール4は、レンズ駆動機構13およびレンズ支持機構14を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…撮像素子、4…カメラモジュール、5…可動体、6…振れ補正用磁気駆動機構、6X…第1振れ補正用磁気駆動機構、6Y…第2振れ補正用磁気駆動機構、7…揺動支持機構、8…固定体、9…筐体、10…レンズホルダ、11…スリーブ、12…ケース、13…レンズ駆動機構、14…レンズ支持機構、15…基板、16…開口部、17…筒部、18…端板部、19…開口部、20…レンズ駆動用磁石、21、22…レンズ駆動用コイル、23、24…板ばね、25…スリーブ側連結部、26…ケース側連結部、27…アーム部、28…スペーサ、61X、61Y…磁石、62X、62Y …コイル、71、72…板ばね、73…可動体側連結部、74…固定体側連結部、75…アーム部、91…第1側壁、92…第2側壁、93…第3側壁、94…第4側壁、95…底板部、96…前板部、97…開口部、L…光軸、L1…被写体側、L2…反被写体側、X…第1軸、Y…第2軸
図1
図2
図3
図4