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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】電子部品組立体
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/02 20060101AFI20250205BHJP
   H01H 13/04 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
H01H9/02 C
H01H13/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021090720
(22)【出願日】2021-05-29
(65)【公開番号】P2022183398
(43)【公開日】2022-12-09
【審査請求日】2024-05-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年12月14日に株式会社北電子(本社 東京都豊島区西池袋1-7-7 東京西池袋ビル12F)にて販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000114271
【氏名又は名称】ミヤマ電器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166187
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】三木 亨
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-097963(JP,A)
【文献】実開昭54-067272(JP,U)
【文献】国際公開第2014/017325(WO,A1)
【文献】特開2008-066194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/02
H01H 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケースと、
前記ケース内において、一方側に配置される電子部品と、
前記ケース内において、前記電子部品の他方側に配置されるベースと、
前記ケース内において、前記ベースの他方側に配置されるカバーと、
を備え、
軸方向において、前記ケース及び前記ベースは係合し、前記ベース及び前記カバーは係合し、
前記ケース及び前記カバーの係合部分と、前記ベース及び前記カバーの係合部分とは、外部から隠蔽されている
ことを特徴とする電子部品組立体。
【請求項2】
前記ベース及び前記カバーは、径方向において相対的にスライドすることで嵌合し、嵌合状態において軸方向に係合している
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品組立体。
【請求項3】
前記ベース及び前記カバーは、径方向において前記ケースに当接し拘束されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電子部品組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載のスイッチ(電子部品組立体)が知られている。このようなスイッチは、筒状のケースと、ケース内を往復運動し可動接点が組み付けられたボタンと、可動接点の接離する固定接点が組み付けられたベースと、ベース等を封印するカバーと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-66194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスイッチは、カバーがケースにスナップフィット結合した構成であり、カバーの係合爪が外部に臨んでいた。したがって、スイッチの使用中、係合爪を外してカバーをケースから脱離し、ベース等が改造される虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、カバーが脱離不能である電子部品組立体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、筒状のケースと、前記ケース内において、一方側に配置される電子部品と、前記ケース内において、前記電子部品の他方側に配置されるベースと、前記ケース内において、前記ベースの他方側に配置されるカバーと、を備え、軸方向において、前記ケース及び前記ベースは係合し、前記ベース及び前記カバーは係合し、前記ケース及び前記カバーの係合部分と、前記ベース及び前記カバーの係合部分とは、外部から隠蔽されていることを特徴とする電子部品組立体である。
【0007】
このような構成によれば、ケース及びカバーの係合部分と、ベース及びカバーの係合部分とは、外部から隠蔽されているので、各係合部分に外部からにアクセスできない。これにより、カバーがケースから脱離不能である。したがって、ベース及びカバーを取り出し、ベース及び/又は電子部品を改造等できない。
【0008】
また、前記ベース及び前記カバーは、径方向において相対的にスライドすることで嵌合し、嵌合状態において軸方向に係合している構成としてもよい。
【0009】
このような構成によれば、ベース及びカバーは、径方向において相対的にスライドすること嵌合し、嵌合状態において軸方向に係合しているので、ベース及びカバーが軸方向において相対的に脱離し難くなる。
【0010】
また、前記ベース及び前記カバーは、径方向において前記ケースに当接し拘束されている構成としてもよい。
【0011】
このような構成によれば、ベース及びカバーは、径方向においてケースに当接し拘束されているので、相対的に離れる方向に移動できない。すなわち、カバーはベースから脱離できず、カバー及びベースの嵌合状態を維持できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カバーが脱離不能である電子部品組立体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るスイッチの斜視図である。
図2】本実施形態に係るスイッチの縦断面図(図1のX1-X1線断面図)である。
図3】本実施形態に係るスイッチの分解斜視図である。
図4】本実施形態に係るケースの縦断面図である。
図5】本実施形態に係るベースの斜視図である。
図6】本実施形態に係るベースの右側面図(図5のX2矢視図)である。
図7】本実施形態に係るベースの縦断面図(図5のX3-X3線断面図)である。
図8】本実施形態に係るベース及びカバーの縦断面図(図5のX4-X4線断面図、図9のX6-X6線断面図)である。
図9】本実施形態に係るカバーの斜視図である。
図10】本実施形態に係るカバーの右側面図(図9のX5矢視図)である。
図11】本実施形態に係るベース及びカバーの組み付け状況を示す一部断面斜視図(図2のX7-X7線断面に相当)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について、図1図11を参照して説明する。なお、図1図11に示す「前(FRONT)、後(REAR)、左(LEFT)、右(RIGHT)、上(TOP)、下(BOTTOM)」を基準とする。ただし、スイッチ1の使用向きはこれに限定されることはない。
【0015】
≪スイッチの構成≫
本実施形態に係るスイッチ1(電子部品組立体)は、パチスロ装置(図示しない)の清算スイッチ(清算ボタン)であり、上側がパチスロ装置の正面側(遊戯者側)であり、下側がパチスロ装置の内部側である。ただし、スイッチ1の用途・使用態様はこれに限定されることはない。
【0016】
スイッチ1は、外形が略円柱状であり、上下方向に延びる軸線O1を中心としている(図1参照)。ただし、スイッチ1の外形は、その他に例えば、略四角柱状でもよい。また、スイッチ1の軸方向は上下方向であり、スイッチ1の径方向は軸方向と直交する方向(左右方向、前後方向を含む)である。
【0017】
スイッチ1は、ケース100と、ボタン200(電子部品)と、ベース300と、カバー400と、2つの固定接点500、500と、ハーネス600と、を備えている(図3参照)。ボタン200はケース100内において上側(一方側)に配置され(図2図3参照)、ベース300はボタン200の下側(他方側)に配置され、カバー400はベース300の下側(他方側)に配置されている。
【0018】
ケース100、ボタン200、ベース300、カバー400は、合成樹脂製である。したがって、ケース100、ボタン200、ベース300、カバー400の各部分は、適宜に弾性変形可能となっている。また、ケース100等は、不透明、透明のいずれでもよいが、内部を隠蔽するために少なくともケース100は着色されていることが好ましい。さらに、ケース100等が組み付いた状態において、スイッチ1の中心線である軸線O1、ケース100の軸線O11、ボタン200の軸線O12、ベース300の軸線O13、カバー400の軸線O14は、一致している。
【0019】
<ケース>
ケース100は、ボタン200等を収容する円筒状の筐体である(図2図4参照)。ただし、ケース100は円筒状に限定されず、その他に例えば、正四角筒状、正六角筒状でもよい。ケース100は、円筒状の周壁部110と、中間壁部120と、を備えている。中間壁部120は、軸方向(上下方向)において周壁部110内を仕切り、その上側の第1収容室101と、その下側の第2収容室102とに仕切っている。
【0020】
第1収容室101は、主に、ボタン200を収容する空間である(図2図4参照)。第2収容室102は、主に、ベース300、カバー400、固定接点500、ハーネス600を収容する空間である。そして、周壁部110は、第1収容室101を囲む第1周壁部111と、第2収容室102を囲む第2周壁部112と、を備えている。
【0021】
<ケース-周壁部>
第2周壁部112の内周面には、径方向内向きに突出する2つの突部113、113が形成されている(図4参照)。2つの突部113、113は、軸線O11を中心として対向しており、左右方向を通る直径線上に配置されている。各突部113は、ベース300の係合爪332(図5図7参照)が軸方向において係合する部分である(図2参照)。
【0022】
また、組み付いた状態において、突部113及び係合爪332の係合部分は、外部から隠蔽されており、つまり、外部に臨んでいない。これにより、外部から突部113及び係合爪332の係合部分にアクセスできず、そして、外部から係合爪332を工具等で縮径させることもできず、係合爪332を突部113から脱離不能である。
【0023】
突部113の下面113aは、下方に向かうにつれて徐々に拡径するテーパ面である(図4参照)。これにより、ベース300をケース100内に下方から差し込む場合、脚部330が径方向内側に容易に弾性変形し、係合爪332が突部113を容易に乗り越えるようになっている。
【0024】
第2周壁部112の上側には、2つの貫通孔114、114が形成されている。2つの貫通孔114、114は、第2周壁部112を左右方向に貫通する孔であって、軸線O11を中心として対向しており、左右方向を通る直径線上に配置されている。各貫通孔114は、ボタン200の係合爪242が差し込まれる孔であって(図2図3参照)、係合爪242を軸方向においてガイドしている。
【0025】
<ケース-中間壁部>
中間壁部120は、周壁部110と一体成形された壁部であって、軸方向においてケース100の中間位置よりも若干上側に配置されている(図4参照)。中間壁部120は、内側の第1円筒部121と、第1円筒部121の外側に形成された第2円筒部122と、を備えている。
【0026】
第1円筒部121内には、ガイド孔123が形成されている。ガイド孔123は、ボタン200の軸部230が挿通される挿通孔であり、軸部230を軸方向にガイドしている(図2図4参照)。第1円筒部121は、第2円筒部122よりも長く形成されており、軸部230を安定してガイドしている。
【0027】
第1円筒部121と第2円筒部122との間には、復帰コイルばね261が介装されている(図2図4参照)。すなわち、第1円筒部121及び第2円筒部122は、復帰コイルばね261の姿勢を軸方向で支持している。
【0028】
第2円筒部122の径方向外側であって中間壁部120の左側及び右側には、挿通孔124がそれぞれ形成されている(図4参照)。挿通孔124は、アーム240が挿通される貫通孔である(図2参照)。すなわち、2つの挿通孔124、124は、軸線O11を中心として対称であって、左右方向を通る直径線上に配置されている。なお、各挿通孔124は、軸方向視において、円弧状である。
【0029】
<ボタン>
ボタン200は、遊戯者がクレジットの貯留/払い出しを切り替える際に押すボタンである。ボタン200は、ケース100内において上側の初期位置(図2参照)と下側の押込位置との間を往復するボタン本体210と、可動接点251と、復帰コイルばね261と、を備えている(図2図3参照)。
【0030】
ボタン本体210は、遊戯者が操作する円板状の操作部220と、操作部220の下面中心から下方に延びる軸部230と、操作部220の左側及び右側からそれぞれ下方に延びるアーム240、240と、を備えている。
【0031】
操作部220は、第1周壁部111内に軸方向において摺動自在に配置されている。操作部220と中間壁部120との間には、復帰コイルばね261が縮設されている。復帰コイルばね261は、操作部220(ボタン本体210)が初期位置に復帰するように、操作部220を上方に付勢している。
【0032】
軸部230は、円筒状を呈しており、ガイド孔123(図4参照)に挿通されている。軸部230の下端部には、前後方向に貫通すると共に上下方向に長孔である保持孔231が形成されている。保持孔231には前後方向に延びる棒状の可動接点251が装着されており、保持孔231は可動接点251を軸方向においてスライド可能に保持している。
【0033】
軸部230内には、可動接点251の上面に当接すると共に可動接点251を下方に付勢するコイルばね252が設けられている。すなわち、コイルばね252は、操作部220と可動接点251との間に縮設されている。
【0034】
そして、ボタン本体210が押し下げられると、コイルばね252が若干縮退し、可動接点251は、保持孔231内を若干上方にスライドしつつ、好適な接触圧で固定接点500、500に接触するようになっている。なお、ボタン本体210が押し下げられた後、遊戯者の押し下げ力が解除されると、ボタン本体210は復帰コイルばね261により初期位置に復帰するようになっている。
【0035】
アーム240は、操作部220の左側/右側から下方に延びる細長の板状片であり、径方向内側に弾性変形可能である。アーム240は挿通孔124に挿通され、アーム240の下端部241は挿通孔124から下方に突出している。
【0036】
下端部241の外周面から径方向外側に突出するように係合爪242が形成されている。係合爪242は、貫通孔114に差し込まれ、貫通孔114内を上下方向にスライド自在となっている(図2参照)。すなわち、軸方向において、係合爪242が貫通孔114の内上面114aに係合(当接)することで、ボタン本体210が上方の初期位置で保持(係止)されるようになっている。
【0037】
下端部241及び係合爪242の外周面243は、下方に向かうにつれて縮径したテーパ面となっている。これにより、ボタン本体210をケース100の上方から挿入する場合、外周面243がケース100に摺接しつつ、アーム240が良好に縮径し、ボタン本体210がケース100に良好に組み付けられるようになっている。
【0038】
<ベース>
ベース300は、カバー400をケース100に取り付けるための部材であって、固定接点500、500を保持する部材であると共に、第1プラグ610が差し込まれるソケットである(図5図8参照)。
【0039】
ベース300は、略円板状の基部310と、基部310の左側及び右側から上方延びる2つの被差込部320、320と、基部310の左側及び右側から下方に延びる2つの脚部330、330と、基部310の中央から下方に延びるソケット部340と、を備えている。ただし、被差込部320、脚部330の数は、これに限定されず、3つ以上でもよい。
【0040】
<ベース-基部>
基部310は、ベース300の中間高さに配置されている。基部310の中央には、固定接点500、500が挿通され保持される2つの挿通孔311、311が形成されている(図7参照)。
【0041】
基部310の下面は、左側の略半円状である第1下面312と、右側の略半円状であって一段下側に形成された第2下面313と、第1下面312及び第2下面313の間に形成された上下方向及び前後方向に延びる段差面314と、を備えている(図5参照)。
【0042】
第1下面312は、カバー400の第1上面423(図9参照)と合わさる面である。第2下面313は、カバー400の第2上面424(図9参照)と合わさる面である。
【0043】
段差面314は、ベース300及びカバー400が嵌合した際に、左右方向(組み付け方向、嵌合方向)において、カバー400の段差面425(図9参照)と当接する面である。
【0044】
このように、ベース300の段差面314とカバー400の段差面425とが当接し、さらに、後記する前側の鍔部344(図5図8参照)が、前係合溝427の左内面427bに当接することで、ベース300の中心を通る軸線O13(図5図8参照)と、カバー400の中心を通る軸線O14(図8図10参照)とが一致するようになっている。すなわち、左右方向において当接する段差面314及び段差面425と、鍔部344及び左内面427bとは、嵌合状態においてベース300の軸線O13とカバー400の軸線O14とを一致させる軸線合わせ機構を構成している。
【0045】
また、ベース300及びカバー400が嵌合したものが、ケース100内に組み付けられると、軸線O13及び軸線O14が、ケース100の軸線O11と一致するように構成されている(図2参照)。
【0046】
さらに、ベース300及びカバー400が嵌合したものは、左右方向においてケース100の内面に当接し、左右方向において拘束されている(図2参照)。これにより、ベース300及びカバー400が、左右方向において相対的に遠ざかる方向に移動せず、分離しないようになっている。
【0047】
<ベース-被差込部>
2つの被差込部320、320は、ベース300がケース100に組み付けられた状態で、ケース100の第1円筒部121とボタン200のアーム240との間に差し込まれる部分である(図2参照)。これにより、アーム240が径方向内側に弾性変形できず、係合爪242が貫通孔114から脱離しないようになっている。したがって、ボタン本体210が、ケース100から脱離することはない。
【0048】
各被差込部320は、平断面視において略1/4円弧状を呈しており、略1/4円弧状の本体部321と、本体部321の周方向両端から径方向外側にそれぞれ肉厚で形成されたガイド部322、322と、を備えている(図5参照)。そして、2つのガイド部322、322の間には、アーム240(図3参照)を周方向に規制しつつ、軸方向にガイドするガイド溝323が形成されている。これにより、ボタン本体210は周方向において非回転状態で維持されている。
【0049】
<ベース-脚部>
2つの脚部330、330は、ケース100の内周面に係合すると共に、カバー400に係合する部分である。各脚部330は、本体部331と、本体部331の外周面に径方向外向きに突出形成された係合爪332と、を備えている。
【0050】
本体部331は、薄板状であって径方向内側に弾性変形可能である。また、本体部331は、左右方向視において略L字形を呈しており(図6参照)、基部310側かつ後側に切欠部333が形成されている。すなわち、本体部331は、その下側に後方に突出する係合部334を備えている。係合部334は、カバー400の後係合溝428に係合(嵌合)する部分である(図8図10参照)。
【0051】
係合爪332は、軸方向においてケース100の突部113(図4参照)と係合する部分である。係合爪332と突部113とが係合することで、ベース300がケース100から脱離しないようになっている。
【0052】
係合爪332の上面332aは、上方に向かうにつれて徐々に縮径するテーパ面である。これにより、ベース300をケース100の下側開口から挿入し組み付ける場合、係合爪332及び脚部330が径方向内側に弾性変形し、係合爪332が突部113を容易に乗り越えるようになっている。
【0053】
係合爪332の下面332b(係合面)は、下方に向かうにつれて拡径するテーパ面である(図7参照)。つまり、下面332b(係合面)は、径方向外側に向かうにつれて下方に傾斜した傾斜面である。これにより、ベース300をケース100から取り外すため、ベース300に下向きの力が作用した場合、テーパ面(傾斜面)である下面332bに沿って係合爪332が摺接しつつ拡径することになり、つまり、脚部330が径方向外側に開くことになり、係合爪332が突部113から脱離することはない。
【0054】
<ベース-ソケット部>
ソケット部340は、後記する第1プラグ610(図3参照)が差し込まれる部分である。ソケット部340は、概ね四角筒状を呈しており、その中心に第1プラグ610が差し込まれるソケット穴341が形成されている。
【0055】
ソケット部340は、前側のハーフ342と、後側のハーフ342と、を備えている。前側のハーフ342と、後側のハーフ342とは、軸線O13を中心として前後方向において対称である。そして、第1プラグ610が差し込まれると、ソケット部340が前後方向において開き、つまり、前側のハーフ342が前側に弾性変形し、後側のハーフ342が後側に弾性変形し、第1プラグ610がソケット部340に装着されるようになっている。
【0056】
各ハーフ342は、平断面視でU字形のハーフ本体343と、ハーフ本体343の下端部外周面から前方(後方)に延出する鍔部344と、ハーフ本体343の前面(後面)の右上角部に突出形成された係合爪345(図5参照)と、を備えている。
【0057】
前側の鍔部344は、カバー400の前係合溝427に係合(嵌合)する部分である(図8図10参照)。後側の鍔部344は、カバー400の後係合溝428に係合(嵌合)する部分である。
【0058】
すなわち、ベース300及びカバー400が左右方向(径方向)において相対的に近づくようにスライドすることで、前側の鍔部344が前係合溝427に嵌合(係合)すると共に、後側の鍔部344及び脚部330の係合部334が後係合溝428に嵌合(係合)する嵌合状態となるように構成されている(図8参照)。そして、この嵌合状態において、ベース300及びカバー400が上下方向において、係合している。
【0059】
ここで、前側の鍔部344と前係合溝427との係合(嵌合)部分、後側の鍔部344及び脚部330の係合部334と後係合溝428との係合(嵌合)部分は、外部から隠蔽されている。すなわち、これらの係合(嵌合)部分に、外部から工具等によってアクセスできない。したがって、スイッチ1の組み立て後において、ベース300とカバー400とを分離できない。
【0060】
2つの係合爪345、345は、左右方向において、カバー400の係合穴426、426に係合する部分である。すなわち、ベース300及びカバー400が係合(嵌合)した状態において、ベース300のハーフ342とカバー400の側壁部420とは、それぞれの弾性力に基づいて、スナップフィット結合している。このように、係合爪345が係合穴426に係合しスナップフィット結合することで、ベース300及びカバー400が左右方向及び上下方向において脱離しないようになっている。
【0061】
各係合爪345の左面345a(カバー側面)は、左側に向かって軸線O13側に近づくテーパ面となっている(図5参照)。これにより、ベース300をカバー400に組み付ける場合(図11、矢印A1参照)、カバー400の側壁部420、420が、前側/後側に容易に弾性変形するようになっている(図11、矢印A2参照)。
【0062】
<カバー>
カバー400は、ケース100の下側開口に蓋をすることで、ベース300の下方を覆う部材である。カバー400は、円板状の基部410と、基部410の前側及び後側から上方に延びる2つの側壁部420、420と、を備えている。2つの側壁部420、420の間には、ベース300が差し込まれる差込溝430が形成されている。すなわち、カバー400は、左右方向視において、略U字形である(図10参照)。差込溝430の前側及び後側は、外部に開口している。
【0063】
<カバー-基部>
基部410の右側には、ハーネス600のリード線630を外部に案内する切欠部411が形成されている。
【0064】
<カバー-側壁部>
2つの側壁部420、420は、左右方向視において、軸線O14を中心として概ね対称である(図10参照)。2つの側壁部420、420は、カバー400及びベース300の組み付け時、径方向外側(前側/後側)に弾性変形するようになっている(図11、矢印A2参照)。各側壁部420は、概ね、1/2円柱状であり、下側1/3部分の台座部421と、その上側に形成された側壁部本体422と、を備えている。
【0065】
各側壁部本体422の上面の左側には1/4円状の第1上面423が形成されており、右側には1/4円状の第2上面424が形成されている(図9参照)。第2上面424は第1上面423から一段下がっている。そして、第1上面423と第2上面424との間には、前後方向及び上下方向に延びる段差面425が形成されている。
【0066】
各第2上面424の内側(軸線O14側)かつ上側には、内側およひ上側に開口する係合穴426が形成されている。
【0067】
前側の側壁部本体422の内側(軸線O14側)には、前係合溝427が形成されている。前係合溝427の右側(嵌合口側)は外部に開口しているが、前係合溝427の左側(嵌合口の反対側)は外部に開口しておらず閉じている。また、前係合溝427の前側かつ下側の角部は、斜めに傾斜した傾斜面427aとなっている。そして、カバー400及びベース300の嵌合状態において、ベース300の前側の鍔部344が前係合溝427の左内面427bに当接するようになっている。
【0068】
後側の側壁部本体422の内側には、後係合溝428が形成されている。後係合溝428の右側(嵌合口側)及び左側(嵌合口の反対側)は外部に開口している。
【0069】
このように、前係合溝427の形状と後係合溝428の形状とは異なるので、カバー400の向きを把握し易くなっている。これにより、カバー400とベース300との誤組み付けが防止されている。
【0070】
<固定接点>
2つの固定接点500、500は、ボタン200の操作に応じて、可動接点251が接触/離間する金属製の導電部材である。各固定接点500は、可動接点251が接触/離間する接触部510と、接触部510から下方に延びる端子部520と、を備えている。
【0071】
端子部520は、ベース300の挿通孔311に挿通され保持されている。
【0072】
<ハーネス>
ハーネス600は、ボタン200の操作に基づく固定接点500からの信号を、外部回路(図示しない)に伝達する配線である。ハーネス600は、第1プラグ610と、第2プラグ620と、リード線630と、を備えている。
【0073】
第1プラグ610は、前記したソケット部340に差し込まれる部分である。第2プラグは外部回路(図示しない)に差し込まれる部分である。リード線630は、第1プラグ610と第2プラグ620とを接続する配線である。
【0074】
≪スイッチの組立方法≫
スイッチ1の一組立方法を説明する。
ボタン本体210に可動接点251等が組み付けられたボタン200を、周方向の位置合わせした状態でケース100の上側開口から差し込む。そうすると、アーム240が径方向内側に弾性変形した後、係合爪242が貫通孔114に係合し、ボタン200がケース100に組み付けられる。
【0075】
次いで、ベース300の脚部330及びソケット部340を、カバー400の差込溝430に右側から差し込む(図11、矢印A1参照)。そうすると、2つの側壁部420、420が開いた後(図11、矢印A2参照)、2つの係合爪345、345が、2つの係合穴426、426に収容され、ベース300及びカバー400が嵌合し、さらに左右方向において係合する。
【0076】
次いで、ベース300及びカバー400が係合したものを、ケース100の下側開口から差し込む。そうすると、ベース300の脚部330、330が径方向内側に弾性変形した後、ベース300の係合爪332、332がケース100の突部113、113に軸方向において係合する。これにより、ベース300及びカバー400がケース100に軸方向において係合し、ケース100に組み付けられる。
【0077】
≪スイッチの作用効果≫
スイッチ1の作用効果を説明する。
(1)ケース100の突部113とベース300の係合爪332との係合部分、(2)ベース300の係合部334、鍔部344とカバー400の前係合溝427、後係合溝428との係合部分は、外部から隠蔽されているので、これらの係合部分に外部からアクセスできない。これにより、組み付け後において、ケース100からベース300及びカバー400を脱離できない。
【0078】
ベース300及びカバー400は、ケース100内で左右方向において拘束されているので、ベース300及びカバー400が左右方向において相対的に遠ざかる方向に移動できない。これにより、ベース300及びカバー400が脱離することはなく、軸方向におけるベース300及びカバー400の係合状態は維持され、カバー400がベース300から脱離することはない。
【0079】
≪変形例≫
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、次のように変更してもよい。
【0080】
前記した実施形態では、電子部品組立体がスイッチ1であり、電子部品がボタン200である構成を例示したが、その他に例えば、電子部品組立体がLED(Light Emitting Diode)照明装置であり、電子部品がLEDである構成としてもよい。
【0081】
前記した実施形態では、ケース100及びベース300の係合構成について、ケース100が弾性変形しない突部113を備え、ベース300が弾性変形する脚部330及び係合爪332を備える構成を例示したが、これに限定されない。例えば、ケース100が径方向に弾性変形する係合爪を備え、ベース300が弾性変形せず前記係合爪に係合する突部を備える構成としてもよい。
【0082】
前記した実施形態では、ベース300及びカバー400の係合構成について、ベース300が弾性変形しない係合爪345を備え、カバー400が弾性変形する係合穴426を備える構成を例示したが、これに限定されない。例えば、ベース300が弾性変形する係合穴を備え、カバー400が弾性変形しない係合爪を備える構成としてもよい。
【0083】
前記した実施形態では、ベース300とカバー400とが左右方向(径方向)において相対的にスライドすることで嵌合する構成を例示したが、その他に例えば、ベース300とカバー400とが上下方向(軸方向)において相対的にスライドすることで係合する構成としてもよい。
【0084】
前記した実施形態では、ベース300の脚部330の後側のみに係合部334が形成された構成を例示したが、その他に例えば、これに代えて又は加えて、脚部330の前側に前係合溝427(図8参照)に係合(嵌合)する係合部を備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 スイッチ(電子部品組立体)
100 ケース
113 突部
200 ボタン(電子部品)
300 ベース
310 基部
330 脚部
332 係合爪
334 係合部
340 ソケット部
342 ハーフ
344 鍔部
345 係合爪
400 カバー
420 側壁部
427 前係合溝
428 後係合溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11