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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20250205BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
B65H5/00 B
H04N1/00 567Q
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021100515
(22)【出願日】2021-06-16
(65)【公開番号】P2022191968
(43)【公開日】2022-12-28
【審査請求日】2024-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】角谷 健吾
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-254867(JP,A)
【文献】特開2000-127064(JP,A)
【文献】特開2010-215321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0067107(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0039497(KR,A)
【文献】独国実用新案第202011110612(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される媒体とともに移動する磁性体を引き付ける磁力を発生する磁石と、
前記磁石に引き付けられた磁性体を収容する収容部と、
前記磁石を、前記搬送路に設けられた開口部と対向する第1位置から、前記収容部と対向する第2位置へ移動させる移動部と、
前記磁石に引き付けられた磁性体を、前記移動部による前記磁石の移動に応じて案内する案内面を有する案内部と、を有し、
前記第2位置における前記磁石と前記案内面との距離は、前記第1位置における前記磁石と前記案内面との距離より大きくなるように設定されている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記案内部は、前記案内面の反対側に設けられ、且つ、前記磁石を、前記第1位置から前記第2位置まで案内する第2案内面をさらに有し、
前記案内面は、前記第2位置に近いほど、前記第2案内面から離れるように設けられる、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記開口部には、間仕切りが設けられる、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記搬送部によって搬送された媒体を撮像する撮像部をさらに有し、
前記開口部は、媒体搬送方向において、前記搬送部と前記撮像部の間に配置される、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記収容部は、前記媒体搬送装置から着脱可能に設けられている、請求項1~4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記案内部は、前記案内面上で、前記収容部と対向する位置に形成された突起部をさらに有する、請求項1~5の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記磁石を前記第1位置と前記第2位置の間で移動させるための駆動力を発生させる駆動力発生部と、
媒体搬送開始時に前記磁石を前記第1位置に配置させ、媒体搬送完了時に前記磁石を前記第2位置に移動させるように、前記駆動力発生部を制御する制御部と、をさらに有する、請求項1~6の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の媒体を搬送しながら撮像するスキャナ等の媒体搬送装置では、複数の媒体を綴じていたステイプル又はクリップ等の磁性体が、まとめて搬送される複数の媒体の間に混入し、媒体とともに移動する可能性がある。ステイプル又はクリップ等が搬送されると、媒体の搬送路又は撮像装置の撮像面等が傷付いてしまう可能性がある。
【0003】
クリップ、ステイプル針等の磁性体を磁石により除去する原稿搬送装置が開示されている(特許文献1)。
【0004】
用紙束からステイプル針を除去する綴じ部材除去装置が開示されている(特許文献2)。この綴じ部材除去装置は、除去された綴じ部材を移動させる移動ベルトと、移動ベルトによって運ばれたステイプル針を回収する回収ボックスとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-362754号公報
【文献】特開2000-127064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
媒体搬送装置では、搬送される媒体とともに移動する磁性体を適切に取り除くことが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、搬送される媒体とともに移動する磁性体を適切に取り除くことが可能な媒体搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、搬送路に沿って媒体を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される媒体とともに移動する磁性体を引き付ける磁力を発生する磁石と、磁石に引き付けられた磁性体を収容する収容部と、磁石を、搬送路に設けられた開口部と対向する第1位置から、収容部と対向する第2位置へ移動させる移動部と、磁石に引き付けられた磁性体を、移動部による磁石の移動に応じて案内する案内面を有する案内部と、を有し、第2位置における磁石と案内面との距離は、第1位置における磁石と案内面との距離より大きくなるように設定されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体搬送装置は、搬送される媒体とともに移動する磁性体を適切に取り除くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】媒体搬送装置100を示す斜視図である。
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】除去機構117について説明するための模式図である。
図4】除去機構117について説明するための模式図である。
図5】(a)は距離と吸引力の関係を示すグラフであり、(b)は距離と磁束密度の関係を示すグラフである。
図6】除去機構117の動作について説明するための模式図である。
図7】除去機構117の動作について説明するための模式図である。
図8】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
図9】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
図10】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図11】他の実施形態に係る処理回路250の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0012】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。カードは、例えばISO(International Organization for Standardization)/IEC(International Electrotechnical Commission)7810で規定されるID(Identification)カードである。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0013】
媒体搬送装置100は、第1筐体101、第2筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0014】
第1筐体101は、媒体搬送装置100の上側に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第2筐体102に係合している。
【0015】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に第2筐体102に係合している。載置台103は、第2筐体102の媒体供給側の側面に、不図示のモータによって略鉛直方向(高さ方向)A1に移動可能に設けられる。載置台103は、媒体を搬送していないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置され、媒体を搬送するときは最も上側に載置された媒体が後述するピックローラと接触する位置まで上昇する。排出台104は、排出口107から排出された媒体を保持可能に第1筐体101上に形成され、排出された媒体を積載する。
【0016】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0017】
図1において矢印A2は媒体搬送方向を示し、矢印A3は媒体排出方向を示し、矢印A4は媒体搬送方向と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の下流のことをいう。
【0018】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0019】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第8搬送ローラ115a~h、第1~第8従動ローラ116a~h、除去機構117、第2媒体センサ118及び撮像装置119等を有している。
【0020】
なお、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第8搬送ローラ115a~h及び/又は第1~第8従動ローラ116a~hのそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数のピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1~第8搬送ローラ115a~h及び/又は第1~第8従動ローラ116a~hは、それぞれ幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。
【0021】
第1筐体101の、第2筐体102と対向する面は媒体の搬送路の第1ガイド101aを形成し、第2筐体102の、第1筐体101と対向する面は媒体の搬送路の第2ガイド102aを形成する。
【0022】
第1媒体センサ111は、載置台103に、即ち給送ローラ113及び分離ローラ114より上流側に配置され、載置台103における媒体の載置状態を検出する。第1媒体センサ111は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを判別する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、第1媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0023】
ピックローラ112は、第1筐体101に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台103に載置された媒体と接触して、その媒体を下流側に向けて給送する。
【0024】
給送ローラ113は、第1筐体101内に、ピックローラ112より下流側に設けられ、載置台103に載置されてピックローラ112により給送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。分離ローラ114は、第2筐体102内に、給送ローラ113と対向して配置される。給送ローラ113及び分離ローラ114は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ113は、分離ローラ114に対して上側に配置されており、媒体搬送装置100は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。
【0025】
第1~第8搬送ローラ115a~h及び第1~第8従動ローラ116a~hは、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側に設けられ、給送ローラ113及び分離ローラ114により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。第1~第8搬送ローラ115a~h及び第1~第8従動ローラ116a~hは、それぞれ媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置される。ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114、第1搬送ローラ115a及び第1従動ローラ116aは、搬送路に沿って媒体を搬送する搬送部の一例である。
【0026】
第2媒体センサ118は、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側且つ撮像装置119より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第2媒体センサ118は、給送ローラ113及び分離ローラ114より下流側であれば、搬送経路内の何れの位置に配置されてもよい。第2媒体センサ118は、媒体搬送路に対して一方の側(第1筐体101)に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置(第2筐体102)に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED(Light Emitting Diode)等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第2媒体センサ118と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。受光器は、受光する光の強度に基づいて、第2媒体センサ118の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。
【0027】
なお、導光管の代わりに、ミラー等の反射部材が使用されてもよい。また、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第2媒体センサ118は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0028】
撮像装置119は、撮像部の一例であり、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを含む。第1撮像装置119aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置119aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置119aは、搬送部によって搬送された媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0029】
同様に、第2撮像装置119bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置119bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、A/D変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置119bは、搬送部によって搬送された媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0030】
媒体搬送装置100は、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0031】
載置台103に載置された媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113がそれぞれ媒体給送方向A5、A6に回転することによって、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を媒体搬送方向A2に向かって搬送される。媒体搬送装置100は、給送モードとして、媒体を分離しながら給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有する。給送モードは、利用者により操作装置105又は媒体搬送装置100と通信接続する情報処理装置を用いて設定される。給送モードが分離モードに設定されている場合、分離ローラ114は、媒体給送時、矢印A7の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ113及び分離ローラ114の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ113と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される(重送の防止)。一方、給送モードが非分離モードに設定されている場合、分離ローラ114は、矢印A7の反対方向、即ち媒体給送方向に回転する。
【0032】
媒体は、第1ガイド101aと第2ガイド102aによりガイドされながら、第1~第2搬送ローラ115a~bが矢印A8~A9の方向に回転することによって、撮像装置119の撮像位置に送り込まれ、撮像装置119によって撮像される。さらに、媒体は、第3~第8搬送ローラ115c~hがそれぞれ矢印A10~A15の方向に回転することによって排出台104上に排出される。排出台104は、第8搬送ローラ115hによって排出された媒体を積載する。
【0033】
図3及び図4は、除去機構117について説明するための模式図である。図3は、除去機構117の周辺部分を側方から見た模式図である。図4は、第1筐体101における除去機構117の周辺部分を第2筐体102側から見た模式図である。
【0034】
図3及び図4に示すように、除去機構117は、第1筐体101内に、即ち媒体搬送路の上面を形成する第1ガイド101aより上方に設けられる。除去機構117は、開口部121、磁石ユニット122、収容部123、移動部124及び案内部125等を有する。
【0035】
開口部121は、搬送部によって搬送される媒体とともに移動するステイプル又はクリップ等の磁性体を磁石ユニット122に向けて通過させるように、第1ガイド101a上に設けられる。開口部121は、磁石ユニット122を案内する案内部125の一端と対向する位置に形成される。例えば、開口部121は、媒体搬送方向A2において、第1搬送ローラ115aと第2搬送ローラ115bの間、即ち搬送部と撮像装置119の間に配置される。これにより、媒体搬送装置100は、ステイプル又はクリップ等の磁性体が撮像装置119の位置まで移動することを抑制し、媒体の搬送を停止させることなく、磁性体により撮像装置119の撮像面(ガラス面)が傷付くことを抑制できる。結果として、媒体搬送装置100は、媒体が撮像された画像において、撮像面の傷等によるノイズが発生することを抑制でき、画像の品質を良好に保つことが可能となる。
【0036】
また、図4に示すように、開口部121は、媒体搬送方向と直交する幅方向A4において、搬送路の両端にわたって形成される。なお、開口部121は、搬送路の両端にわたっていなくてもよく、少なくとも第1ガイド101aの一部に形成されていればよい。また、複数の開口部121が、相互に離間するように形成されていてもよい。
【0037】
開口部121には、リブ121aが間仕切りとして設けられる。図4に示す例では、媒体搬送方向A2に延伸する複数のリブ121aが、幅方向A4において間隔を空けて並べて配置されている。なお、幅方向A4に延伸する複数のリブ121aが、媒体搬送方向A2において間隔を空けて並べて配置されてもよい。各リブ121aは、一定間隔毎に配置される。なお、各リブ121aは、それぞれ異なる間隔で配置されてもよい。また、リブ121aの数は、一つでもよい。リブ121aは、開口部121内で、リブ121aによって分割される領域の一辺が、一般的なステイプル又はクリップのサイズより大きく、且つ、IDカードの短辺より小さくなるように配置される。
【0038】
リブ121aが設けられることにより、媒体搬送装置100は、ステイプル又はクリップ等が開口部121を介して磁石ユニット122に引き付けられることを許容しつつ、IDカードが開口部121を介して磁石ユニット122に引き付けられることを制限する。したがって、媒体搬送装置100は、IDカードが磁石ユニット122に接近して、IDカードの磁気ストライプに記憶されたデータの破損が発生することを抑制できる。また、リブ121aが設けられることにより、媒体搬送装置100は、端部が上方にカールした媒体又は撓んだ媒体が搬送された場合に、媒体のカールした部分又は撓んだ部分が開口部121に進入して、媒体のジャムが発生することを抑制できる。なお、リブ121aは、省略されてもよい。
【0039】
磁石ユニット122は、磁石122a、シート122b及びラック122c等を含む。
【0040】
磁石122aは、ネオジム磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石等の永久磁石である。磁石122aは、案内部125上に、移動可能に設けられる。磁石122aは、搬送部によって搬送される媒体とともに移動するステイプル又はクリップ等の磁性体を引き付ける磁力を発生する。磁石122aは、開口部121と対向する位置に配置された場合に、鉛直方向から見て開口部121全体を覆うように設けられる。例えば、開口部121が幅方向A4において搬送路の両端にわたって形成されている場合、磁石122aも搬送路の両端にわたるように設けられる。以下では、案内部125上で磁石122aが開口部121と対向する位置を第1位置と称する場合がある。
【0041】
シート122bは、磁石122aが案内部125上を移動する際に、磁石122aと案内部125の間に発生する摩擦を低減させるために、磁石122aの下面に貼り付けられるシートである。媒体搬送装置100は、シート122bが設けられることにより、磁石122aをスムーズに移動させることが可能となり、磁石122aが損傷することを抑制するとともに、磁石122aが移動時に発する音の大きさを低減させることが可能となる。シート122bは、省略されてもよい。
【0042】
ラック122cは、案内部125に沿って延伸し且つ一定間隔毎に歯切りがされた平板部材である。ラック122cとともに磁石122aが移動するように、ラック122cは磁石122aに固定される。図4に示す例では、磁石122aの幅方向A4における両端に、それぞれラック122cが設けられている。
【0043】
収容部123は、磁石122aに引き付けられた磁性体を収容するダストボックスである。収容部123は、磁石122aを案内する案内部125の、開口部121側の端部とは反対側の端部と対向する位置に設けられる。収容部123は、案内部125側に、即ち上方に開口123aを有する。開口123aは、磁石122aが開口123aと対向する位置に配置された場合に、鉛直方向から見て磁石122a全体を覆うように設けられる。例えば、磁石122aが幅方向A4において搬送路の両端にわたって設けられている場合、開口123aも搬送路の両端にわたるように設けられる。以下では、案内部125上で磁石122aが収容部123と対向する位置を第2位置と称する場合がある。
【0044】
収容部123は、媒体搬送装置100から着脱可能に設けられている。例えば、第1筐体101には、幅方向A4に延伸し且つ収容部123の下端部と係合するレール部材が設けられる。媒体搬送装置100において第1筐体101を開いた状態で、収容部123の下端部をレール部材に沿って摺動させることにより、収容部123は幅方向A4に移動可能に設けられている。これにより、利用者は、収容部123から磁性体を取り除き、媒体搬送装置100を清掃することが可能となる。なお、収容部123の収容スペースが十分に大きく、十分な量の磁性体を収容部123に収容できる場合、収容部123は、媒体搬送装置100内に固定されていてもよい。
【0045】
また、収容部123は、媒体搬送方向A2において、撮像装置119より下流側に配置される。媒体搬送装置100は、ローラ、センサ等の様々な部品を配置する必要がある撮像装置119より上流側の領域から離れた位置に収容部123を配置することにより、磁性体の収容スペースを十分に確保することが可能となる。
【0046】
移動部124は、第1モータ124a、ベルト124b及びピニオン124c等を含む。
【0047】
第1モータ124aは、駆動力発生部の一例である。第1モータ124aは、後述する処理回路からの制御信号によって、磁石122aを、開口部121と対向する第1位置と、収容部123と対向する第2位置との間で移動させるための駆動力を発生させる。
【0048】
ベルト124bは、第1モータ124aの回転軸と、ピニオン124cの回転軸であるシャフトとの間に吊架され、第1モータ124aからの駆動力をピニオン124cに伝達する。
【0049】
ピニオン124cは、磁石122aに固定されたラック122cと歯合するように設けられ、第1モータ124aからの駆動力によって回転し、ラック122cを介して、磁石122aを案内部125に沿って移動させる。なお、図4に示すように、磁石122aの幅方向A4における両端に、二つのラック122cが設けられている場合、各ラック122cと歯合するように、二つのピニオン124cが設けられる。
【0050】
これにより、移動部124は、磁石122aを開口部121と対向する第1位置から、収容部123と対向する第2位置へ移動させる。
【0051】
案内部125は、第1案内面125a、第2案内面125b、第1ストッパ125c、第2ストッパ125d及び突起部125e等を含む。案内部125は、樹脂又はアルミニウム等の非磁性体で形成される。
【0052】
第1案内面125aは、案内面の一例である。第1案内面125aは、案内部125の下面に設けられ、磁石122aに引き付けられた磁性体を、移動部124による磁石122aの移動に応じて案内する。第2案内面125bは、案内部125の上面に、即ち第1案内面125aの反対側に設けられ、磁石122aを第1位置から第2位置まで案内する。第1案内面125aは、第2位置に近いほど、第2案内面125bから離れるように設けられる。即ち、第2位置における磁石122aと第1案内面125aとの距離は、第1位置における磁石122aと第1案内面125aとの距離より大きくなるように設定されている。これにより、第1案内面125a上で第2位置と対向する位置に配置された磁性体にかかる磁力は、第1案内面125a上で第1位置と対向する位置に配置された磁性体にかかる磁力より小さくなる。
【0053】
第1ストッパ125cは、移動部124によって移動される磁石122aを第1位置に停止させるように、第2案内面125bの第1位置側の端部に設けられる。第2ストッパ125dは、移動部124によって移動される磁石122aを第2位置に停止させるように、第2案内面125bの第2位置側の端部に設けられる。
【0054】
突起部125eは、移動部124による磁石122aの移動に応じて第1案内面125aに沿って案内された磁性体を収容部123に落下させるように、第1案内面125a上で、収容部123と対向する位置に形成される。図3に示す例では、磁石122aが第2位置に到達する前に磁性体が落下するように、突起部125eは、第1案内面125aの第2位置側の端部より第1位置側に配置されている。なお、突起部125eは、第1案内面125aの第2位置側の端部に配置されてもよい。また、突起部125eは、省略されてもよい。
【0055】
また、図3に示すように、移動部124及び案内部125は、第1搬送ローラ115a、第2搬送ローラ115b及び撮像装置119より上方に配置される。媒体搬送装置100は、ローラ、センサ等の様々な部品を配置する必要がある媒体搬送路の近傍から離れた位置に移動部124及び案内部125を配置することにより、筐体のスペースを効率良く使用することが可能となる。したがって、媒体搬送装置100は、装置サイズの増大を抑制させることが可能となる。
【0056】
以下、磁石122aの配置位置について説明する。
【0057】
磁石と磁性体の間の距離が大きくなるほど、磁性体の位置における磁石による磁力(磁束密度)は減少する。円柱型の磁石の底面から距離X[mm]離れた位置における磁束密度B(X)[G(ガウス)]は、以下の式(1)により算出される。
【数1】
ここで、Brは、磁石の残留磁束密度[G]であり、Rは磁石の半径[mm]であり、Lは磁石の厚さ[mm]である。
【0058】
また、円柱型の磁石の底面から距離X[mm]離れた位置における吸引力F(X)[kgf]は、以下の式(2)により算出される。
【数2】
ここで、Aは磁石の底面の面積[mm2]である。αは係数(7.6×10-6)である。
【0059】
図5(a)は、磁石と磁性体の間の距離と、磁石により磁性体にかかる吸引力との関係を示すグラフである。
【0060】
図5(a)の横軸は磁石と磁性体の間の距離[mm]を示し、縦軸は磁石により磁性体にかかる吸引力[gf]を示す。グラフG1は、直径が3mmであり、厚さが12mmであり、残留磁束密度が13,200[G]である円柱型のネオジム磁石による吸引力を示すグラフである。
【0061】
国内で一般的に使用されるステイプルは、0.05[gf]以上の力があれば引き付けることができた。したがって、磁石122aとしてこのネオジム磁石が用いられる場合、図5(a)に示すように、第1位置に配置された磁石122aと媒体搬送路の間の距離が22.5[mm]以下であればステイプルは良好に引き付けられる。但し、磁石と媒体搬送路の間の距離は、磁石の製品毎の公差(1.0[mm]程度)及び使用年数による減磁(10年で2.0[mm]程度)の影響を考慮して設定されることが好ましい。したがって、磁石122aとしてこのネオジム磁石が用いられる場合、第1位置に配置された磁石122aと媒体搬送路の間の距離は、22.5[mm]からマージンM1(3.0[mm])を減じた19.5[mm]以下となるように設定される。
【0062】
また、給送モードを非分離モードに設定し、ステイプルで綴じられた媒体を搬送する実験において、媒体にかかる吸引力が0.45[gf]より大きい場合に、ステイプルが磁石に引き付けられて、媒体が浮き上がり、媒体のジャムが発生した。そのため、磁石122aとしてこのネオジム磁石が用いられる場合、図5(a)に示すように、第1位置に配置された磁石122aと媒体搬送路の間の距離は、14.8[mm]以上に設定されることが好ましい。但し、磁石と媒体搬送路の間の距離は、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間の距離(3.2[mm]程度)、磁石の取り付け位置の公差(0.3[mm]程度)及びガイドの製品毎の公差(0.2[mm]程度)の影響を考慮して設定されることが好ましい。即ち、磁石と媒体搬送路の間の距離は、14.8[mm]にマージンM2(3.7[mm])を加えた18.5[mm]以上となるように設定される。
【0063】
これにより、媒体搬送装置100は、媒体のジャムの発生を抑制しつつ、媒体とともに搬送された磁性体を適切に取り除くことが可能となる。
【0064】
図5(b)は、磁石と磁性体の間の距離と、磁性体の位置における磁石による磁束密度との関係を示すグラフである。
【0065】
図5(b)の横軸は磁石と磁性体の間の距離[mm]を示し、縦軸は磁性体の位置における磁石による磁束密度[Oe(エルステッド)]を示す。グラフG2は、グラフG1に示したネオジム磁石による磁束密度の最大値を示すグラフであり、グラフG3は、グラフG1に示したネオジム磁石による磁束密度の最小値を示すグラフである。
【0066】
クレジットカード又は通帳等に設けられた磁気ストライプに記憶されたデータは、その磁気ストライプの位置における磁力(磁束密度)が大きい場合、破損する可能性がある。磁気ストライプを有する一般的なカードにおいて、磁気ストライプに記憶されたデータは、その位置における磁束密度が300[Oe]以上である場合に破損する可能性がある。したがって、磁石122aとしてこのネオジム磁石が用いられる場合、図5(b)に示すように、第1位置に配置された磁石122aと媒体搬送路の間の距離は、11.0[mm]以上より大きくなるように設定される。上記したように、第1位置に配置された磁石122aと媒体搬送路の間の距離が18.5[mm]以上且つ19.5[mm]以下となるように設定されることにより、媒体搬送装置100は、磁気ストライプに記憶されたデータの破損が発生することを抑制できる。
【0067】
これにより、媒体搬送装置100は、搬送される媒体に応じて磁力を変更できるように、磁性体を引き付ける磁石として、磁力を変更可能な電磁石等を使用する必要がなくなり、装置コストが増大することを抑制できる。
【0068】
また、案内部125において第2位置に対応する領域以外の領域では、第1案内面125aと第2案内面125bの間の距離が、磁石122aによって磁性体にかかる磁力が、磁性体にかかる重力より大きくなり、磁性体が落下しないような長さに設定される。一方、案内部125において第2位置に対応する領域では、第1案内面125aと第2案内面125bの間の距離が、磁性体にかかる重力が、磁石122aによって磁性体にかかる磁力より大きくなり、磁性体が落下するような長さに設定されることが好ましい。これにより、媒体搬送装置100は、磁性体を収容部123まで適切に移動させることが可能となる。
【0069】
図6及び図7は、除去機構117の動作について説明するための模式図である。図6及び図7は、除去機構117の周辺部分を側方から見た模式図である。図6は、磁石122aが突起部125eと対向する位置に移動した状態を示し、図7は、磁石122aが第2位置に移動した状態を示す。
【0070】
図3に示したように、媒体搬送開始前に、磁石122aは第1位置に配置される。搬送される媒体の上にステイプルSが載っている場合、ステイプルSは、開口部121と対向する位置を通過する時に、開口部121を介して、第1位置に配置された磁石122aに引き付けられ、案内部125の第1案内面125aに張り付けられる。
【0071】
載置台103に載置された複数の媒体の間に挟まれたステイプル又はクリップ等の磁性体は、その磁性体を挟んでいる媒体の内、下側の媒体が搬送される時に、その媒体の上に載って移動する。磁石122aが媒体搬送路より上方に配置されることにより、媒体搬送装置100は、媒体の上に載って移動する磁性体を取り除くことが可能となる。
【0072】
その後、媒体搬送完了後に、磁石122aは、移動部124によって、第1位置から第2位置に向かって移動する。第1案内面125aに張り付いていたステイプルSは、磁石122aの移動に伴って、第1案内面125aに沿って移動していく。第1案内面125aは、第2位置に近いほど第2案内面125bから離れるように設けられているため、磁石122aによりステイプルSが引き付けられる力は、磁石122aが第2位置に近付くほど小さくなる。
【0073】
図6に示すように、磁石122aが突起部125eと対向する位置に移動した時に、ステイプルSは突起部125eにより停止する。
【0074】
図7に示すように、その後、磁石122aは第2位置まで移動し、第2ストッパ125dにより停止する。これにより、第2位置まで移動した磁石122aと、突起部125eにより停止したステイプルSとの間の距離はさらに大きくなり、磁石122aによりステイプルSが引き付けられる力はさらに小さくなる。そのため、ステイプルSは、落下して収容部123に収容される。
【0075】
その後、磁石122aは、移動部124によって第2位置から第1位置に向かって移動し、第1ストッパ125cによって停止することにより、第1位置に再配置される。
【0076】
上記したように、第1案内面125aは、第2位置に近いほど第2案内面125bから離れるように設けられているため、磁石122aによりステイプルSが引き付けられる力は、磁石122aが第2位置に近付くほど小さくなる。そのため、突起部125eが省略された場合でも、ステイプルSは、落下して収容部123に収容され得る。但し、突起部125eが設けられることにより、媒体搬送装置100は、ステイプルSをより確実に落下させて収容部123に収容させることが可能となる。
【0077】
図8は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0078】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、第2モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0079】
第2モータ131は、一又は複数のモータを含み、処理回路150からの制御信号によって、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114及び第1~第8搬送ローラ115a~hを回転させて媒体を搬送させる。なお、第1~第8従動ローラ116a~hは、各搬送ローラの回転に従って従動回転するのでなく、モータからの駆動力によって回転するように設けられてもよい。
【0080】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0081】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0082】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0083】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ111、第2媒体センサ118、撮像装置119、第1モータ124a、第2モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、第2モータ131を制御して媒体を搬送し、撮像装置119を制御して入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路150は、第1モータ124aを駆動して除去機構117を制御し、搬送される媒体とともに移動する磁性体を取り除く。
【0084】
図9は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0085】
図9に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141及び画像取得プログラム142等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部151及び画像取得部152として機能する。
【0086】
図10は、媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0087】
以下、図10に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
【0088】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0089】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から第1媒体信号を取得し、取得した第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0090】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、第1モータ124aを駆動し、磁石122aを第1位置に配置させるように除去機構117を制御する(ステップS103)。これにより、以降に搬送される媒体に磁性体が載っている場合、磁性体は磁石122aに引き付けられる。なお、磁石122aが既に第1位置に配置されている場合、ステップS103の処理は省略されてもよい。
【0091】
次に、制御部151は、載置台103を移動させるためのモータを駆動し、媒体を給送可能な位置に載置台103を移動させる。また、制御部151は、第2モータ131を駆動し、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114又は第1~第8搬送ローラ115a~hを回転させ、載置台103に載置された媒体を搬送させる(ステップS104)。
【0092】
次に、制御部151は、媒体の後端が撮像装置119の撮像位置を通過するまで待機する(ステップS105)。制御部151は、第2媒体センサ118から第2媒体信号を定期的に受信し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から存在しないことを示す値に変化した場合、媒体の後端が第2媒体センサ118の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第2媒体センサ118の位置を通過したと判定してから所定時間が経過した時に、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定する。所定時間は、媒体が第2媒体センサ118から撮像位置まで移動するまでに要する時間にマージンを加えた値に設定される。なお、制御部151は、媒体の給送を開始してから一定時間が経過した時に、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定してもよい。
【0093】
次に、制御部151は、撮像装置119から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置へ送信することにより出力する(ステップS106)。
【0094】
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS107)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS105へ処理を戻し、ステップS105~S107の処理を繰り返す。
【0095】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、第2モータ131を停止し、ピックローラ112、給送ローラ113、分離ローラ114又は第1~第8搬送ローラ115a~hを停止させる(ステップS108)。
【0096】
次に、制御部151は、第1モータ124aを駆動し、磁石122aを第1位置から第2位置に移動させるように除去機構117を制御する(ステップS109)。これにより、磁石122aに磁性体が引き付けられていた場合、磁性体は、磁石122aの移動に伴って移動し、収容部123に収容される。
【0097】
このように、制御部151は、媒体搬送開始時に磁石122aを第1位置に配置させ、媒体搬送完了時に磁石122aを第2位置に移動させるように、第1モータ124aを制御する。これにより、制御部151は、磁石122aにより引き付けられた磁性体を、載置台103にまとめて載置されて順次搬送される媒体の搬送が完了したタイミングにおいて、収容部123に収容できる。したがって、制御部151は、磁石122aの移動によって媒体搬送に要する時間が増大することを防止しつつ、案内部125に張り付いた磁性体の数が増大し過ぎて磁石122aによる吸着力が低減することを抑制できる。なお、制御部151は、一つの媒体の搬送が完了するたびに、磁石122aを第2位置に移動させてもよい。
【0098】
次に、制御部151は、第1モータ124aを駆動し、磁石122aを第2位置から第1位置に移動させるように除去機構117を制御し(ステップS110)、一連のステップを終了する。これにより、磁石122aは、初期位置に再配置される。
【0099】
なお、ステップS109~S110の処理は、媒体搬送開始前に、即ちステップS103の処理とステップS104の処理の間に実行されてもよい。
【0100】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、ステイプル又はクリップ等の磁性体を引き付ける磁石122aを、収容部123に近付くほど、引き付けた磁性体から離れて磁力が弱くなるように、移動可能に設ける。これにより、媒体搬送装置100は、搬送される媒体とともに移動する磁性体を適切に取り除くことが可能となった。
【0101】
また、媒体搬送装置100は、開口部121と対向する位置に配置された磁石122aにより、搬送される媒体とともに移動する磁性体を引き付けることにより、磁性体を取り除く。これにより、媒体搬送装置100は、複数の磁石を用いることなく、一つの磁石122aのみを用いて、磁性体を適切に取り除くことが可能となり、装置サイズ及び装置コストを低減させることが可能となった。
【0102】
図11は、他の実施形態に係る媒体搬送装置の処理回路250の概略構成を示す図である。
【0103】
処理回路250は、媒体搬送装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路250は、制御回路251及び画像取得回路252等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0104】
制御回路251は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路251は、操作装置105又はインタフェース装置132から操作信号を、第1媒体センサ111から第1媒体信号を、第2媒体センサ118から第2媒体信号を受信する。制御回路251は、受信した各情報に基づいて第1モータ124a及び第2モータ131を制御する。
【0105】
画像取得回路252は、画像取得部の一例であり、画像取得部152と同様の機能を有する。画像取得回路252は、撮像装置119から入力画像を取得し、インタフェース装置132に出力する。
【0106】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路250によって媒体読取処理を実行する場合も、搬送される媒体とともに移動する磁性体を適切に取り除くことが可能となった。
【0107】
なお、上述した各実施形態では、駆動力発生部として、第1モータ124aが使用されたが、駆動力発生部として、第1モータ124aの代わりに、ソレノイド等の他の駆動源が使用されてもよい。その場合も、媒体搬送装置は、搬送される媒体とともに移動する磁性体を適切に取り除くことが可能となる。
【符号の説明】
【0108】
100 媒体搬送装置、112 ピックローラ、113 給送ローラ、114 分離ローラ、115a 第1搬送ローラ、116a 第1従動ローラ、119 撮像装置、121 開口部、121a リブ、122a 磁石、123 収容部、124 移動部、124a 第1モータ、125 案内部、125a 第1案内面、125b 第2案内面、125e 突起部、151 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11