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特許7629404RNA編集オリゴヌクレオチド及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】RNA編集オリゴヌクレオチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07H 21/04 20060101AFI20250205BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20250205BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
C07H21/04 Z
C12N15/11 Z ZNA
A61K31/7125
A61K47/61
A61K48/00
A61P1/00
A61P3/00
A61P7/00
A61P7/04
A61P7/06
A61P9/12
A61P11/00
A61P11/06
A61P17/00
A61P21/00
A61P21/04
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
A61P27/02
A61P35/00
A61P37/02
【請求項の数】 57
(21)【出願番号】P 2021541718
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 US2020014510
(87)【国際公開番号】W WO2020154342
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】62/900,019
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/822,472
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/795,357
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521317782
【氏名又は名称】コロ バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フレーリー, アンドリュー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ロビネット, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】バーミンガム, ネッサン
(72)【発明者】
【氏名】プッタ, マリカルジュナ レディ
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/067378(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/041973(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/213708(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/191388(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/170333(WO,A1)
【文献】Hala ABOU ASSI et al.,“Probing Synergistic Effects of DNA Methylation and 2′‐β‐Fluorination on i‐Motif Stability”,Chemistry A European Journal,2017年12月06日,Vol. 24, No. 2,p.471-477,DOI: 10.1002/chem.201704591
【文献】N T THUONG et al.,“Oligo(alpha-deoxynucleotide)s covalently linked to intercalating agents: differential binding to ribo- and deoxyribopolynucleotides and stability towards nuclease digestion.”,Proceedings of the National Academy of Sciences,1987年08月,Vol. 84, No. 15,p.5129-5133,DOI: 10.1073/pnas.84.15.5129
【文献】Haidong HUANG et al.,“Synthesis and Analysis of Oligonucleotides Containing Abasic Site Analogues”,The Journal of Organic Chemistry,2008年03月07日,Vol. 73, No. 7,p.2695-2703,DOI: 10.1021/jo702614p
【文献】Erin E. DOHERTY et al.,“Rational Design of RNA Editing Guide Strands: Cytidine Analogs atthe Orphan Position”,Journal of the American ChemicalSociety,2021年05月03日,Vol. 143, No. 18,p.6865-6876,DOI: 10.1021/jacs.0c13319
【文献】E. DE VROOM et al.,“Preparation of covalently linked DNA-RNA hybrids and arabinocytidine containing DNA fragments”,Nucleic Acids Research,1988年,Vol. 16, No. 7,p.2987-3003,DOI: 10.1093/nar/16.7.2987
【文献】Jack J. FOX et al.,“Nucleosides. XII. Direct Synthesis of 2'-Deoxycytidine and its α-Anomer”,Journal of the American Chemical Society,1961年10月,Vol. 83, No. 19,p.4066-4070,DOI: 10.1021/ja01480a027
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
C07H
C12N
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチドであって、構造:
[A]-X-X-X-[B
を含み、式中、A及びBの各々がヌクレオチドであり、
m及びnが各々、独立して1~50の整数であり、全て合わせたA及びBが、18~80個のヌクレオチドからなり、
[A]が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、
[B]が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、
、X、及びXが各々、独立してヌクレオチドであり、X、X、またはXのうち少なくとも1つが、式I:
の構造を有し、
式中、Nが、水素または核酸塩基であり、
が、ヒドロキシ、ハロゲン、またはC~Cアルコキシであり、
前記オリゴヌクレオチドが、1つ以上のRNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAR)動員ドメインを含み、
標的配列中のアデノシンとミスマッチを形成する、
前記オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
[A]及び/または[B]の前記ヌクレオチドの少なくとも80%が、核酸塩基、糖、及びヌクレオシド間結合を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
がヒドロキシ、ハロゲン、またはOCHである、請求項1または2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
及びXのうち少なくとも1つが、前記式Iの構造を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
が、前記式Iの構造を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
前記ハロゲンがフルオロである、請求項1~5のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
がフルオロであり、Nが核酸塩基である、請求項1~6のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
がヒドロキシであり、Nが核酸塩基である、請求項1~6のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
がメトキシであり、Nが核酸塩基である、請求項1~6のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
が、前記式Iの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、Xが、前記式Iの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、Xが、前記式Iの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式Iの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式Iの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式Iの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドである、請求項1~9のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
が、前記式Iの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、Xが、前記式Iの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、Xが、前記式Iの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式Iの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式Iの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式Iの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドである、請求項10に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
が、前記式Iの構造を有する場合、X及びXの各々がリボヌクレオチドであり、Xが、前記式Iの構造を有する場合、X及びXの各々がリボヌクレオチドであり、Xが、前記式Iの構造を有する場合、X及びXの各々がリボヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式Iの構造を有する場合、Xがリボヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式Iの構造を有する場合、Xがリボヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式Iの構造を有する場合、Xがリボヌクレオチドである、請求項11に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
が、ウラシルまたはチミン核酸塩基を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
がウラシル核酸塩基を含む、請求項13に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
がヒポキサンチン核酸塩基を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
がシトシン核酸塩基を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項17】
がグアニン核酸塩基を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項18】
がヒポキサンチン核酸塩基を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項19】
がアデニン核酸塩基を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項20】
が、シトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項21】
がシトシン核酸塩基を含む、請求項20に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項22】
が2’-O-メチルヌクレオチドではない、請求項1~21のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項23】
、X、及びXが、2’-O-メチルヌクレオチドではない、請求項22に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項24】
[A]が、少なくとも1個のヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
[A]が、少なくとも1個の2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、少なくとも1個の2’-アミノヌクレオチド、少なくとも1個のアラビノ核酸ヌクレオチド、少なくとも1個の二環式ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-F-ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、少なくとも1個の拘束エチル(cEt)ヌクレオチド、少なくとも1個のLNAヌクレオチド、及び/または少なくとも1個のDNAヌクレオチドを含む、請求項1~24のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項26】
[A]が、少なくとも1個の2’-O-メチルヌクレオチド、少なくとも1個の2’-F-ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、少なくとも1個のcEtヌクレオチド、少なくとも1個のLNAヌクレオチド、及び/または少なくとも1個のDNAヌクレオチドを含む、請求項25に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項27】
[A]が、少なくとも5個の末端2’-O-メチルヌクレオチドを含む、請求項1~26のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項28】
[A]が、少なくとも4つの末端ホスホロチオエート結合を含む、請求項1~27のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項29】
少なくとも1つのホスホロチオエート結合が立体的に純粋である、請求項28に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項30】
[B]が、少なくとも1個のヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む、請求項1~29のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項31】
[B]が、少なくとも1個の2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、少なくとも1個の2’-アミノヌクレオチド、少なくとも1個のアラビノ核酸ヌクレオチド、少なくとも1個の二環式ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-F-ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、少なくとも1個のcEtヌクレオチド、少なくとも1個のLNAヌクレオチド、及び/または少なくとも1個のDNAヌクレオチドを含む、請求項1~30のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項32】
[B]が、少なくとも1個の2’-O-メチルヌクレオチド、少なくとも1個の2’-F-ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、少なくとも1個のcEtヌクレオチド、少なくとも1個のLNAヌクレオチド、及び/または少なくとも1個のDNAヌクレオチドを含む、請求項31に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項33】
[B]が、少なくとも5個の末端2’-O-メチルヌクレオチドを含む、請求項1~32のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項34】
[B]が、少なくとも4つの末端ホスホロチオエート結合を含む、請求項1~33のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項35】
少なくとも1つのホスホロチオエート結合が立体的に純粋である、請求項34に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項36】
[A]及び[B]の全て合わせた前記ヌクレオチドの少なくとも20%が2’-O-メチルヌクレオチドである、請求項1~33のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項37】
前記オリゴヌクレオチドが、さらに5’キャップ構造を含む、請求項1~36のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項38】
前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも1個の代替核酸塩基を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項39】
5’末端ヌクレオチドが2’-アミノヌクレオチドである、請求項1~38のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項40】
mが5~40である、請求項1~39のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項41】
nが5~40である、請求項1~40のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項42】
m及びnが各々、独立して5~40の整数であり、X、X、及びXのうち少なくとも1つが、前記式Iの構造を有し、式中、Rがフルオロ、ヒドロキシ、もしくはメトキシであり、Nが核酸塩基であり、前記式Iの構造を有しないX、X、及びXの各々が、リボヌクレオチドであり、[A]及び[B]が各々、少なくとも5個の末端2’-O-メチルヌクレオチド及び少なくとも4つの末端ホスホロチオエート結合を含み、[A]及び[B]の全て合わせた前記ヌクレオチドの少なくとも20%が2’-O-メチルヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項43】
標的化部分に複合化された、請求項1~42のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含む、複合体。
【請求項44】
前記標的化部分が、脂質、ステロール、炭水化物、及び/またはペプチドである、請求項43に記載の複合体。
【請求項45】
複合物であって、
請求項1~42のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは請求項43もしくは44に記載の複合体と、
mRNAとを含み、
前記オリゴヌクレオチドまたは前記複合体及び前記mRNAが互いにハイブリダイズされ、前記複合物が、前記mRNAのアデノシンに第1ミスマッチを含む、前記複合物。
【請求項46】
前記複合物が、前記第1ミスマッチの5’側に4個のヌクレオチドである第2ミスマッチを含む、請求項45に記載の複合物。
【請求項47】
前記複合物が、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つのミスマッチを含む、請求項45または46に記載の複合物。
【請求項48】
前記mRNAが、治療結果をもたらすために脱アミノ化される可能性のあるアデノシンを含む、請求項45~47のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項49】
前記mRNAが、対応する天然mRNAと比較して、グアノシンからアデノシンへの変異を含む、請求項45~47のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項50】
前記グアノシンからアデノシンへの変異が、ミスセンス変異またはナンセンス変異である、請求項49に記載の複合物。
【請求項51】
前記第1ミスマッチが、前記mRNAの開始コドン中のアデノシンにある、請求項45~50のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項52】
前記第1ミスマッチが、前記mRNAの終止コドン中のアデノシンにある、請求項45~50のいずれか1項に記載の複合物。
【請求項53】
前記終止コドンが未成熟終止コドンである、請求項52に記載の複合物。
【請求項54】
請求項45~53のいずれか1項に記載の複合物の作製方法であって、細胞を請求項1~42のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは請求項43もしくは44に記載の複合体と接触させることを含む、前記方法。
【請求項55】
mRNA中のアデノシンの脱アミノ化方法であって、細胞を請求項1~42のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは請求項43もしくは44に記載の複合体と接触させることを含む、前記方法。
【請求項56】
障害の処置を必要とする対象の障害を処置するための医薬であって、有効量の請求項1~42のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたは請求項43もしくは44に記載の複合体を含む、医薬。
【請求項57】
前記障害が、嚢胞性線維症、白皮症、アルファ-1-アンチトリプシン欠損症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、喘息、11サラセミア、Cadasil症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性閉塞性肺疾患、遠位型脊髄性筋萎縮症、デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー、栄養障害型表皮水疱症、表皮水疱症、ファブリー病、第V因子ライデン関連障害、家族性大腸腺腫症、ガラクトース血症、ゴーシェ病、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、血友病、遺伝性ヘモクロマトーシス、ハンター症候群、ハンチントン病、ハーラー症候群、炎症性腸疾患、遺伝性多凝集症候群、レーバー先天性黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リンチ症候群、マルファン症候群、ムコ多糖症、筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィーI型及びII型、神経線維腫、ニーマン・ピック病A型、B型及びC型、NY-ESO-1関連がん、パーキンソン病、ポイツ・ジェガース症候群、フェニルケトン尿症、ポンペ病、原発性線毛疾患、プロトロンビン変異関連障害、肺高血圧症、網膜色素変性症、サンドホフ病、重症複合免疫不全症候群、鎌状赤血球貧血、脊髄性筋萎縮症、シュタルガルト病、テイ・サックス病、アッシャー症候群、X連鎖性免疫不全、スタージ・ウェーバー症候群、レット症候群、またはがんである、請求項56に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
RNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAR)は、二本鎖RNA(dsRNA)に結合し、脱アミノ化によってアデノシンをイノシンに変換する酵素である。RNAでは、イノシンは翻訳及び複製のためにグアノシンと同様に機能する。したがって、mRNA中におけるアデノシンからイノシンへの変換は、コードされたタンパク質及びその機能の変化につながる可能性のあるコドン変化をもたらし得る。ヒトで発現される既知のADARタンパク質には、ADAR1、ADAR2、及びADAR3の3つが存在する。ADAR1及びADAR2が全身で発現されるのに対して、ADAR3は脳でのみ発現される。ADAR1及びADAR2は触媒活性があるが、ADAR3は不活性であると考えられている。
【0002】
合成一本鎖オリゴヌクレオチドは、ADARタンパク質を利用して、標的RNA中の特定のアデノシンを脱アミノ化させることによって標的RNAを編集できることが示されている。オリゴヌクレオチドは、脱アミノ化されるアデノシンの反対側の少なくとも1つのミスマッチを除いて、標的RNAに相補的である。しかしながら、これまでに開示された方法は、療法としてそれらの使用を可能にするために必要な選択性及び/または安定性を有するとは示されていない。したがって、ADARタンパク質を利用して、治療上有効な手法で標的RNAを選択的に編集できる新規オリゴヌクレオチドが必要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、標的mRNA中でアデノシン、例えば、治療結果を必要とする対象に治療結果をもたらすように脱アミノ化される可能性のある、例えば、アデノシンを脱アミノ化するのに有用な組成物及び方法を特徴とする。
【0004】
RNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAR)は、二本鎖RNA(dsRNA)のある特定の構造モチーフを認識し、アデノシンをイノシンへと編集する編集酵素であり、コードされたタンパク質及びその機能の変化につながる可能性のあるアミノ酸コドンの再コード化をもたらす。編集部位の周囲の核酸塩基、特に編集部位のすぐ5’側にある核酸塩基及び編集部位のすぐ3’側にある核酸塩基は、編集部位と共にトリプレットと称され、アデノシンの脱アミノ化において重要な役割を果たす。編集部位に対して5’位のU及び3’位のGの優先度が、過剰発現したヒトADAR2及びADAR1によって効率的に編集された酵母RNAの分析から明らかとなった。Wang et al.(2018)Biochemistry,57:1640-1651、Eifler et al.(2013)Biochemistry,52:7857-7869、及びEggington et al.(2011)Nat.Commun.,319:1-9を参照のこと。選択された転写物の特定の部位にADARを動員し、隣接する塩基に関係なくアデノシンを脱アミノ化することは、疾患の処置に大いに期待できる。dsRNA/ADAR複合物の編集部位に関する構造的及びモデリング研究に基づいて、ガイドオリゴヌクレオチド中に組み込まれ得るいくつかの構造的特徴は、その特性によって、ADARの動員を増加させ、標的RNAの編集効率を増加させ得ると確認されている。化学修飾、例えば、アラビノシド(Ara)、2’-デオキシ-2’-フルオロ-アラビノシド(FANA)、2’-O-メチル-アラビノシド(Ara-OMe)、α-デオキシシチジン(α-dN)、DNA脱塩基、RNA脱塩基、及び2’-O-メチル脱塩基などを有する、ADARタンパク質を動員し、標的RNA中において異なる周囲の塩基組成を有するアデノシンを脱アミノ化できる新規オリゴヌクレオチドが示されている。加えて、構造活性相関(SAR)研究によって、トリプレット修飾に加えて、ガイドオリゴヌクレオチド中の全てではないが、一部のヌクレオシドのリボースに対する2’-O-メチル(2’-OMe)修飾が、効率的なADAR結合及び編集と相性が良いことが明らかとなった。
【0005】
本発明の例示的な実施形態が、以下に列挙される段落に記載される。
【0006】
E1.オリゴヌクレオチドであって、構造:
[A]-X-X-X-[B
を含み、式中、A及びBの各々がヌクレオチドであり、
m及びnが各々、独立して1~50の整数であり、
、X、及びXが各々、独立してヌクレオチドであり、X、X、またはXのうち少なくとも1つが、式I~V:
のいずれか1つの構造を有し、
式中、Nが、水素または核酸塩基であり、
が、ヒドロキシ、ハロゲン、またはC~Cアルコキシであり、
が、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、またはC~Cアルコキシであり、
が、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、またはC~Cアルコキシであり、
が、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、またはC~Cアルコキシであり、
が、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、またはC~Cアルコキシである、前記オリゴヌクレオチド。
【0007】
E2.Rが水素であり、Rが水素もしくはヒドロキシではないか、Rが水素であり、Rが水素ではないか、またはRがヒドロキシであり、Rが水素ではない、E1に記載のオリゴヌクレオチド。
【0008】
E3.[A]及び/または[B]のヌクレオチドの少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%)が、核酸塩基、糖、及びヌクレオシド間結合を含む、E1またはE2に記載のオリゴヌクレオチド。
【0009】
E4.Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含むか、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、あるいはXがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含む、E1~E3のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0010】
E5.Rが、ヒドロキシ、ハロゲン、またはOCHである、E1~E4のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0011】
E6.Rが水素である、E1~E5のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0012】
E7.X、X、またはXのうち少なくとも1つが、前記式I、式II、または式Vの構造を有し、X、X、またはXのいずれも、前記式IIIまたは式IVの構造を有しない、E1~E6のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0013】
E8.X、X、またはXのうち少なくとも1つが、前記式Iまたは式IIの構造を有し、X、X、またはXのいずれも、前記式III、式IV、または式Vの構造を有しない、E1~E7のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0014】
E9.前記ハロゲンがフルオロである、E1~E8のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0015】
E10.X、X、及びXのうち少なくとも1つが前記式Iの構造を有し、式中、Rがフルオロであり、Nが核酸塩基である、E1~E9のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0016】
E11.Xが前記式Iの構造を有し、式中、Rがフルオロであり、Nが核酸塩基である、E10に記載のオリゴヌクレオチド。
【0017】
E12.Xが前記式Iの構造を有し、式中、Rがフルオロであり、Nが核酸塩基である、E10またはE11に記載のオリゴヌクレオチド。
【0018】
E13.Xが前記式Iの構造を有し、式中、Rがフルオロであり、Nが核酸塩基である、E10~E12のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0019】
E14.X、X、及びXのうち少なくとも1つが前記式Iの構造を有し、式中、Rがヒドロキシであり、Nが核酸塩基である、E1~E9のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0020】
E15.Xが前記式Iの構造を有し、式中、Rがヒドロキシであり、Nが核酸塩基である、E14に記載のオリゴヌクレオチド。
【0021】
E16.Xが前記式Iの構造を有し、式中、Rがヒドロキシであり、Nが核酸塩基である、E14またはE15に記載のオリゴヌクレオチド。
【0022】
E17.Xが前記式Iの構造を有し、式中、Rがヒドロキシであり、Nが核酸塩基である、E14~E16のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0023】
E18.X、X、及びXのうち少なくとも1つが前記式Iの構造を有し、式中、Rがメトキシであり、Nが核酸塩基である、E1~E9のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0024】
E19.Xが前記式Iの構造を有し、式中、Rがメトキシであり、Nが核酸塩基である、E18に記載のオリゴヌクレオチド。
【0025】
E20.Xが前記式Iの構造を有し、式中、Rがメトキシであり、Nが核酸塩基である、E18またはE19に記載のオリゴヌクレオチド。
【0026】
E21.Xが前記式Iの構造を有し、式中、Rがメトキシであり、Nが核酸塩基である、E18~E20のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0027】
E22.X、X、及びXのうち少なくとも1つが前記式IIの構造を有し、式中、Rが水素であり、Nが核酸塩基であるか、またはRが水素であり、Nが水素である、E1~E9のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0028】
E23.Xが前記式IIの構造を有し、式中、Rが水素であり、Nが核酸塩基であるか、またはRが水素であり、Nが水素である、E22に記載のオリゴヌクレオチド。
【0029】
E24.X及びXのうち少なくとも1つが、前記式Vの構造を有する、E1~E8のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0030】
E25.Xが前記式Vの構造を有し、式中、Rが水素であり、Rが水素である、E24に記載のオリゴヌクレオチド。
【0031】
E26.Xが前記式Vの構造を有し、式中、Rが水素であり、Rがヒドロキシである、E24に記載のオリゴヌクレオチド。
【0032】
E27.Xが前記式Vの構造を有し、式中、Rが水素であり、Rが水素である、E24に記載のオリゴヌクレオチド。
【0033】
E28.Xが前記式Vの構造を有し、式中、Rが水素であり、Rがヒドロキシである、E24に記載のオリゴヌクレオチド。
【0034】
E29.Xが前記式Vの構造を有し、式中、Rが水素であり、Rがメトキシである、E24に記載のオリゴヌクレオチド。
【0035】
E30.Xが、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、Xが、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、Xが、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、2’-アミノヌクレオチド、アラビノ核酸ヌクレオチド、二環式ヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、拘束エチルヌクレオチド、LNAヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドである、E1~E29のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0036】
E31.Xが、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、Xが、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、Xが、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、X及びXの各々が、独立してリボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、Xが、リボヌクレオチド、2’-F-ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、またはDNAヌクレオチドである、E30に記載のオリゴヌクレオチド。
【0037】
E32.Xが、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、X及びXの各々がリボヌクレオチドであり、Xが、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、X及びXの各々がリボヌクレオチドであり、Xが、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、X及びXの各々がリボヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、Xがリボヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、Xがリボヌクレオチドであり、X及びXの各々が、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する場合、Xがリボヌクレオチドである、E31に記載のオリゴヌクレオチド。
【0038】
E33.X、X、及びXのいずれも、前記式IIの構造を有せず、式中、Nが核酸塩基である、E1~E22及びE24~E32のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0039】
E34.X、X、及びXのいずれも、前記式IIの構造を有せず、式中、Nがシトシン核酸塩基である、E33に記載のオリゴヌクレオチド。
【0040】
E35.Xが、ウラシルまたはチミン核酸塩基を含む、E1~E26及びE29~E34のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0041】
E36.Xがウラシル核酸塩基を含む、E35に記載のオリゴヌクレオチド。
【0042】
E37.Xがヒポキサンチン核酸塩基を含む、E1~E26及びE29~E34のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0043】
E38.Xがシトシン核酸塩基を含む、E1~E26及びE29~E34のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0044】
E39.Xがグアニン核酸塩基を含む、E1~E38のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0045】
E40.Xがヒポキサンチン核酸塩基を含む、E1~E38のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0046】
E41.Xがアデニン核酸塩基を含む、E1~E38のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0047】
E42.Xが、シトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含む、E1~E24、E27、E28、及びE30~E41のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0048】
E43.Xがシトシン核酸塩基を含む、E42に記載のオリゴヌクレオチド。
【0049】
E44.Xが、構造:
(式中、Rが、水素、トリフルオロメチル、場合により置換されるアミノ、ヒドロキシル、もしくは場合により置換されるC~Cアルコキシであり、
が、水素、場合により置換されるアミノ、もしくは場合により置換されるC~Cアルキルであり、
及びRが、独立して水素、ハロゲン、もしくは場合により置換されるC~Cアルキルである)
を有する核酸塩基、またはその塩を含む、E1~E24、E27、E28、及びE30~E41のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0050】
E45.Xが、前記式I~Vのいずれか1つの構造を有する、E1~E6のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0051】
E46.Xが2’-O-メチルヌクレオチドではない、E1~E45のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0052】
E47.X、X、及びXが、2’-O-メチルヌクレオチドではない、E46に記載のオリゴヌクレオチド。
【0053】
E48.[A]が、少なくとも1個のヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む、E1~E47のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0054】
E49.[A]が、少なくとも1個の2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、少なくとも1個の2’-アミノヌクレオチド、少なくとも1個のアラビノ核酸ヌクレオチド、少なくとも1個の二環式ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-F-ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、少なくとも1個の拘束エチル(cEt)ヌクレオチド、少なくとも1個のLNAヌクレオチド、及び/または少なくとも1個のDNAヌクレオチドを含む、E1~E48のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0055】
E50.[A]が、少なくとも1個の2’-O-メチルヌクレオチド、少なくとも1個の2’-F-ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、少なくとも1個のcEtヌクレオチド、少なくとも1個のLNAヌクレオチド、及び/または少なくとも1個のDNAヌクレオチドを含む、E49に記載のオリゴヌクレオチド。
【0056】
E51.[A]が、少なくとも5個の末端2’-O-メチルヌクレオチドを含む、E1~E50のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0057】
E52.[A]が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、E1~E51のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0058】
E53.[A]が、少なくとも4つの末端ホスホロチオエート結合を含む、E1~E52のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0059】
E54.少なくとも1つのホスホロチオエート結合が立体的に純粋である、E52またはE53に記載のオリゴヌクレオチド。
【0060】
E55.[B]が、少なくとも1個のヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む、E1~E54のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0061】
E56.[B]が、少なくとも1個の2’-O-C~Cアルキルヌクレオチド、少なくとも1個の2’-アミノヌクレオチド、少なくとも1個のアラビノ核酸ヌクレオチド、少なくとも1個の二環式ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-F-ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、少なくとも1個のcEtヌクレオチド、少なくとも1個のLNAヌクレオチド、及び/または少なくとも1個のDNAヌクレオチドを含む、E1~E55のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0062】
E57.[B]が、少なくとも1個の2’-O-メチルヌクレオチド、少なくとも1個の2’-F-ヌクレオチド、少なくとも1個の2’-O-メトキシエチルヌクレオチド、少なくとも1個のcEtヌクレオチド、少なくとも1個のLNAヌクレオチド、及び/または少なくとも1個のDNAヌクレオチドを含む、E56に記載のオリゴヌクレオチド。
【0063】
E58.[B]が、少なくとも5個の末端2’-O-メチルヌクレオチドを含む、E1~E57のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0064】
E59.[B]が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、E1~E58のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0065】
E60.[B]が、少なくとも4つの末端ホスホロチオエート結合を含む、E1~E59のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0066】
E61.少なくとも1つのホスホロチオエート結合が立体的に純粋である、E59またはE60に記載のオリゴヌクレオチド。
【0067】
E62.[A]及び[B]の全て合わせた前記ヌクレオチドの少なくとも20%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%)が、2’-O-メチルヌクレオチドである、E1~E61のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0068】
E63.前記オリゴヌクレオチドが、さらに5’キャップ構造を含む、E1~E62のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0069】
E64.前記5’キャップ構造が、2,2,7-トリメチルグアノシンキャップである、E63に記載のオリゴヌクレオチド。
【0070】
E65.前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも1個の代替核酸塩基を含む、E1~E64のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0071】
E66.前記代替核酸塩基が、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシシトシン、5-メトキシシトシン、N-メチルシトシン、N-メチルシトシン、N-エチルシトシン、シュードイソシトシン、5-フルオロシトシン、5-ブロモシトシン、5-ヨードシトシン、5-アミノシトシン、5-エチニルシトシン、5-プロピニルシトシン、ピロロシトシン、5-アミノメチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、ナフチリジン、5-メトキシウラシル、シュードウラシル、ジヒドロウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、2-チオチミン、4-チオチミン、5,6-ジヒドロチミン、5-ハロウラシル、5-プロピニルウラシル、5-アミノメチルウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、ヒポキサンチン、7-デアザグアニン、8-アザ-7-デアザグアニン、7-アザ-2,6-ジアミノプリン、チエノグアニン、N-メチルグアニン、N-メチルグアニン、6-チオグアニン、8-メトキシグアニン、8-アリルオキシグアニン、7-アミノメチル-7-デアザグアニン、7-メチルグアニン、イミダゾピリドピリミジン、7-デアザアデニン、3-デアザアデニン、8-アザ-7-デアザアデニン、8-アザ-7-デアザアデニン、N-メチルアデニン、2-メチルアデニン、N-メチルアデニン、7-メチルアデニン、8-メチルアデニン、または8-アジドアデニンである、E65に記載のオリゴヌクレオチド。
【0072】
E67.前記代替核酸塩基が、2-アミノ-プリン、2,6-ジアミノ-プリン、3-デアザ-アデニン、7-デアザ-アデニン、7-メチル-アデニン、8-アジド-アデニン、8-メチル-アデニン、5-ヒドロキシメチル-シトシン、5-メチル-シトシン、ピロロ-シトシン、7-アミノメチル-7-デアザ-グアニン、7-デアザ-グアニン、7-メチル-グアニン、8-アザ-7-デアザ-グアニン、チエノ-グアニン、ヒポキサンチン、4-チオ-ウラシル、5-メトキシ-ウラシル、ジヒドロ-ウラシル、またはシュードウラシルである、E65に記載のオリゴヌクレオチド。
【0073】
E68.前記代替核酸塩基が、5-メチル-シトシンまたは2-アミノ-プリンである、E65に記載のオリゴヌクレオチド。
【0074】
E69.前記5’末端ヌクレオチドが2’-アミノヌクレオチドである、E1~E68のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0075】
E70.全て合わせたA及びBが、18~80個のヌクレオチド(例えば、27~71個、36~62個、45~53個、または47~51個のヌクレオチド)からなる、E1~E69のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0076】
E71.mが、5~40(例えば、8~36、12~32、16~28、20~24、または30~40)である、E1~E70のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0077】
E72.nが、5~40(例えば、7~17、8~36、12~32、16~28、または20~24)である、E1~E71のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0078】
E73.m及びnが各々、独立して5~40の整数であり、X、X、及びXのうち少なくとも1つが、前記式Iの構造を有し、式中、Rがフルオロ、ヒドロキシ、もしくはメトキシであり、Nが核酸塩基であるか、または前記式Vの構造を有し、式中、Rが水素であり、Rが水素であり、前記式Iまたは式Vの構造を有しないX、X、及びXの各々が、リボヌクレオチドであり、[A]及び[B]が各々、少なくとも5個の末端2’-O-メチルヌクレオチド及び少なくとも4つの末端ホスホロチオエート結合を含み、[A]及び[B]の全て合わせた前記ヌクレオチドの少なくとも20%が2’-O-メチルヌクレオチドである、E1に記載のオリゴヌクレオチド。
【0079】
E74.Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含むか、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、あるいはXがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含む、E73に記載のオリゴヌクレオチド。
【0080】
E75.前記オリゴヌクレオチドが、1つ以上のRNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAR)動員ドメインをさらに含む、E1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0081】
E76.前記オリゴヌクレオチドが、1つのADAR動員ドメインを含む、E75に記載のオリゴヌクレオチド。
【0082】
E77.前記ADAR動員ドメインが、前記オリゴヌクレオチドの5’末端にある、E76に記載のオリゴヌクレオチド。
【0083】
E78.前記ADAR動員ドメインが、前記オリゴヌクレオチドの3’末端にある、E77に記載のオリゴヌクレオチド。
【0084】
E79.前記オリゴヌクレオチドが、第1ADAR動員ドメイン及び第2ADAR動員ドメインを含む、E78に記載のオリゴヌクレオチド。
【0085】
E80.前記第1ADAR動員ドメインが、前記オリゴヌクレオチドの前記5’末端にあり、前記第2ADAR動員ドメインが、前記オリゴヌクレオチドの前記3’末端にある、E79に記載のオリゴヌクレオチド。
【0086】
E81.前記オリゴヌクレオチドが、式VI:
C-L-D-L-[A]-X-X-X-[B
式VI
の構造を含み、式中:
[A]-X-X-X-[B]が、E1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドであり、
Cが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、
がループ領域であり、
Dが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、
が任意のリンカーであり、
前記オリゴヌクレオチドが、10~50個の連結ヌクレオシド長のC及びDによって形成される二本鎖構造を含み、前記二本鎖構造が、CのヌクレオチドとDのヌクレオチドとの間に少なくとも1つのミスマッチを含み、CまたはDが、少なくとも1個の代替核酸塩基を含む、E75~E80のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0087】
E82.C及びDが、少なくとも1個の代替核酸塩基を含む、E81に記載のオリゴヌクレオチド。
【0088】
E83.Lが連結ヌクレオシドを含む、E81またはE82に記載のオリゴヌクレオチド。
【0089】
E84.Lが連結ヌクレオシドからなる、E83に記載のオリゴヌクレオチド。
【0090】
E85.Lが、少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む、E81~E84のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0091】
E86.CまたはDが、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む、E81~E85のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0092】
E87.C及びDが、各々独立して少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む、E81~E85のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0093】
E88.前記オリゴヌクレオチドが、式VII:
C-L-D-L-[A]-X-X-X-[B
式VII
の構造を含み、式中:
[A]-X-X-X-[B]が、E1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドであり、
Cが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、
が、連結ヌクレオシドからならないループ領域であり、
Dが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、
が任意のリンカーであり、
前記オリゴヌクレオチドが、10~50個の連結ヌクレオシド長のC及びDによって形成される二本鎖構造を含み、前記二本鎖構造が、CのヌクレオチドとDのヌクレオチドとの間に少なくとも1つのミスマッチを含む、E81~E85のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0094】
E89.Lが、式VIII:
-(G-(H-(G-(I)-(G-(H-(G-F
式VIII
の構造を有し、式中、Fが前記ループ領域とCとの間の結合であり、FがDと[A]との間の結合またはDと場合により、前記リンカーとの間の結合であり、G、G、G、及びGが各々、独立して場合により置換されるC~Cアルキル、場合により置換されるC1~C3ヘテロアルキル、O、S、及びNRから選択され、Rが、水素、場合により置換されるC1~4アルキル、場合により置換されるC2~4アルケニル、場合により置換されるC2~4アルキニル、場合により置換されるC2~6ヘテロシクリル、場合により置換されるC6~12アリール、または場合により置換されるC1~7ヘテロアルキルであり、C及びCが各々、独立してカルボニル、チオカルボニル、スルホニル、またはホスホリルから選択され、j、k、m、n、p、及びqが各々、独立して0または1であり、Iが、場合により置換されるC1~10アルキル、場合により置換されるC2~10アルケニル、場合により置換されるC2~10アルキニル、場合により置換されるC2~6ヘテロシクリル、場合により置換されるC6~12アリール、場合により置換されるC~C10ポリエチレングリコール、もしくは場合により置換されるC1~10ヘテロアルキル、またはF-(G-(H-(G-(I)-(G-(H-(G-Fを連結する化学結合である、E83に記載のオリゴヌクレオチド。
【0095】
E90.Lが、炭水化物含有連結部分を含む、E88またはE89に記載のオリゴヌクレオチド。
【0096】
E91.CまたはDが各々、少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む、E88~E90のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0097】
E92.C及びDが各々、少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む、E88~E90のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0098】
E93.前記オリゴヌクレオチドが、式IX:
C-L-D-L-[A]-X-X-X-[B
式IX
の構造を含み、式中:
[A]-X-X-X-[B]が、E1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドであり、
Cが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、
が、少なくとも1個の代替核酸塩基または少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合を含むループ領域であり、
Dが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、
が任意のリンカーであり、
前記オリゴヌクレオチドが、10~50個の連結ヌクレオシド長のC及びDによって形成される二本鎖構造を含み、前記二本鎖構造が、CのヌクレオチドとDのヌクレオチドとの間に少なくとも1つのミスマッチを含む、E75~E80のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0099】
E94.Lが、少なくとも1個の代替核酸塩基及び少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合を含む、E93に記載のオリゴヌクレオチド。
【0100】
E95.前記オリゴヌクレオチドが、式X:
C-L-D-L-[A]-X-X-X-[B
式X
の構造を含み、式中:
[A]-X-X-X-[B]が、E1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドであり、
Cが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、
が、少なくとも1つの代替糖部分を含むループ領域であり、前記代替糖部分が、2’-O-C~Cアルキル糖部分、2’-アミノ糖部分、2’-フルオロ糖部分、2’-O-MOE糖部分、アラビノ核酸(ANA)糖部分、デオキシリボース糖部分、及び二環式核酸からなる群から選択され、
Dが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、
が任意のリンカーであり、
前記オリゴヌクレオチドが、10~50個の連結ヌクレオシド長のC及びDによって形成される二本鎖構造を含み、前記二本鎖構造が、CのヌクレオチドとDのヌクレオチドとの間に少なくとも1つのミスマッチを含む、E75~E80のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0101】
E96.前記二環式糖部分が、オキシ-LNA糖部分、チオ-LNA糖部分、アミノ-LNA糖部分、cEt糖部分、及びエチレン架橋型(ENA)糖部分、及びLNA糖部分から選択される、E95に記載のオリゴヌクレオチド。
【0102】
E97.前記ANA糖部分が、2’-フルオロ-ANA糖部分である、E95またはE96に記載のオリゴヌクレオチド。
【0103】
E98.CまたはDが、少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む、E95~E97のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0104】
E99.C及びDが各々、少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む、E95~E97のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0105】
E100.Cが、Dの少なくとも5個の隣接する核酸塩基に相補的である、E81~E99のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0106】
E101.Cの前記核酸塩基の少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)が、Dの前記核酸塩基と相補的である、E81~E99のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0107】
E102.Cが、配列番号.1、4、7、10、13、16、19、22、25、28、31、及び34のいずれか1つに示される核酸塩基配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する核酸塩基配列を含む、E81~E101のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0108】
E103.Dが、配列番号.2、5、8、11、14、17、20、23、26、29、32、及び35のいずれか1つに示される核酸塩基配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する核酸塩基配列を含む、E81~E102のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0109】
E104.C-L-Dが、配列番号.3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、及び36のいずれか1つに示される核酸塩基配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する核酸塩基配列を含む、E81~E103のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0110】
E105.前記少なくとも1個の代替核酸塩基が、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシシトシン、5-メトキシシトシン、N4-メチルシトシン、N3-メチルシトシン、N4-エチルシトシン、シュードイソシトシン、5-フルオロシトシン、5-ブロモシトシン、5-ヨードシトシン、5-アミノシトシン、5-エチニルシトシン、5-プロピニルシトシン、ピロロシトシン、5-アミノメチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、ナフチリジン、5-メトキシウラシル、シュードウラシル、ジヒドロウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、2-チオチミン、4-チオチミン、5,6-ジヒドロチミン、5-ハロウラシル、5-プロピニルウラシル、5-アミノメチルウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、ヒポキサンチン、7-デアザグアニン、8-アザ-7-デアザグアニン、7-アザ-2,6-ジアミノプリン、チエノグアニン、N1-メチルグアニン、N2-メチルグアニン、6-チオグアニン、8-メトキシグアニン、8-アリルオキシグアニン、7-アミノメチル-7-デアザグアニン、7-メチルグアニン、イミダゾピリドピリミジン、7-デアザアデニン、3-デアザアデニン、8-アザ-7-デアザアデニン、8-アザ-7-デアザアデニン、N1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、N6-メチルアデニン、7-メチルアデニン、8-メチルアデニン、または8-アジドアデニンからなる群から選択される、E81~E87、E93、E94、E98、及びE99のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0111】
E106.前記少なくとも1個の代替核酸塩基が、2-アミノ-プリン、2,6-ジアミノ-プリン、3-デアザ-アデニン、7-デアザ-アデニン、7-メチル-アデニン、8-アジド-アデニン、8-メチル-アデニン、5-ヒドロキシメチル-シトシン、5-メチル-シトシン、ピロロ-シトシン、7-アミノメチル-7-デアザ-グアニン、7-デアザ-グアニン、7-メチル-グアニン、8-アザ-7-デアザ-グアニン、チエノ-グアニン、ヒポキサンチン、4-チオ-ウラシル、5-メトキシ-ウラシル、ジヒドロ-ウラシル、またはシュードウラシルからなる群から選択される、E81~E87、E93、E94、E98、及びE99のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0112】
E107.前記少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、2’-アルコキシヌクレオシド間結合、及びアルキルホスフェートヌクレオシド間結合からなる群から選択される、E85~E87、E91~E94、E98、及びE99のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0113】
E108.前記少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合が、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、E107に記載のオリゴヌクレオチド。
【0114】
E109.前記少なくとも1つの代替糖部分が、2’-O-アルキル糖部分、2’-O-メチル糖部分、2’-アミノ糖部分、2’-フルオロ糖部分、2’-O-MOE糖部分、ANA糖部分、デオキシリボース糖部分、及び二環式核酸からなる群から選択される、E85~E87、E91、E92、及びE95~E99のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0115】
E110.前記二環式糖部分が、オキシ-LNA糖部分、チオ-LNA糖部分、アミノ-LNA糖部分、cEt糖部分、及びエチレン架橋型(ENA)糖部分、及びLNA糖部分から選択される、E109に記載のオリゴヌクレオチド。
【0116】
E111.前記ANA糖部分が、2’-フルオロ-ANA糖部分である、E109に記載のオリゴヌクレオチド。
【0117】
E112.前記少なくとも1つの代替糖部分が、2’-O-メチル糖部分、2’-フルオロ糖部分、または2’-O-MOE糖部分である、E109に記載のオリゴヌクレオチド。
【0118】
E113.前記少なくとも1つのミスマッチが、AからCの対のミスマッチ、GからGの対のミスマッチ、またはCからAの対のミスマッチである、E81~E112のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0119】
E114.前記オリゴヌクレオチドが、CのヌクレオチドとDのヌクレオチドとの間に少なくとも2つのミスマッチを含む、E113に記載のオリゴヌクレオチド。
【0120】
E115.前記少なくとも2つのミスマッチが、少なくとも3個の連結ヌクレオシドによって分離されている、E114に記載のオリゴヌクレオチド。
【0121】
E116.前記少なくとも2つのミスマッチが、3個の連結ヌクレオシドによって分離されている、E114に記載のオリゴヌクレオチド。
【0122】
E117.前記少なくとも1つのミスマッチが、代替核酸塩基を有するヌクレオシドを含む、E81~E116のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0123】
E118.前記代替核酸塩基が、構造:
(式中、Rが、水素、トリフルオロメチル、場合により置換されるアミノ、ヒドロキシル、もしくは場合により置換されるC~Cアルコキシであり、
が、水素、場合により置換されるアミノ、もしくは場合により置換されるC~Cアルキルであり、
及びRが、独立して水素、ハロゲン、もしくは場合により置換されるC~Cアルキルである)
を有するか、またはその塩である、E127に記載のオリゴヌクレオチド。
【0124】
E119.C-L-DがADAR動員ドメインである、E81~E118のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0125】
E120.前記1つ以上のADAR動員ドメインが、グルタミン酸イオンチャネル型受容体AMPA型サブユニット2(GluR2)ADAR動員ドメインである、E75~E80及びE119のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0126】
E121.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.37のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0127】
E122.前記オリゴヌクレオチドが、式XI:
式XI
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E121に記載のオリゴヌクレオチド。
【0128】
E123.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.38のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0129】
E124.前記オリゴヌクレオチドが、式XII:
式XII
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E123に記載のオリゴヌクレオチド。
【0130】
E125.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.39のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0131】
E126.前記オリゴヌクレオチドが、式XIII:
式XIII
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E125に記載のオリゴヌクレオチド。
【0132】
E127.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.40のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0133】
E128.前記1つ以上のADAR動員ドメインが、少なくとも1個のヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを含む、E75~E80またはE119~E127のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0134】
E129.前記ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが、2’-O-メチルヌクレオチドである、E128に記載のオリゴヌクレオチド。
【0135】
E130.前記1つ以上のADAR動員ドメインが、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合を含む、E75~E80またはE119~E127のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0136】
E131.前記代替ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、E130に記載のオリゴヌクレオチド。
【0137】
E132.前記オリゴヌクレオチドが、式XIV:
式XIV
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E81のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、*が2’-O-メチルヌクレオチドであり、sがホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E127~E131のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0138】
E133.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.41のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0139】
E134.前記オリゴヌクレオチドが、式XV:
式XV
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E133に記載のオリゴヌクレオチド。
【0140】
E135.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.42のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0141】
E136.前記オリゴヌクレオチドが、式XVI:
式XVI
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E135に記載のオリゴヌクレオチド。
【0142】
E137.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.43のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0143】
E138.前記オリゴヌクレオチドが、式XVII:
式XVII
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E137に記載のオリゴヌクレオチド。
【0144】
E139.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.44のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0145】
E140.前記オリゴヌクレオチドが、式XVIII:
式XVIII
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E139に記載のオリゴヌクレオチド。
【0146】
E141.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.45のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0147】
E142.前記オリゴヌクレオチドが、式XIX:
式XIX
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E148に記載のオリゴヌクレオチド。
【0148】
E143.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.46のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0149】
E144.前記オリゴヌクレオチドが、式XX:
式XX
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E143に記載のオリゴヌクレオチド。
【0150】
E145.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.47のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0151】
E146.前記オリゴヌクレオチドが、式XXI:
式XXI
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E145に記載のオリゴヌクレオチド。
【0152】
E147.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.48のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0153】
E148.前記オリゴヌクレオチドが、式XXII:
式XXII
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E153に記載のオリゴヌクレオチド。
【0154】
E149.前記GluR2 ADAR動員ドメインが、配列番号.49のヌクレオチド配列を有する、E120に記載のオリゴヌクレオチド。
【0155】
E150.前記オリゴヌクレオチドが、式XXIII:
式XXIII
の構造を含み、式中、[ASO]がE1~E74のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す、E149に記載のオリゴヌクレオチド。
【0156】
E151.前記1つ以上のADAR動員ドメインが、Z-DNA ADAR動員ドメインである、E75~E80のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0157】
E152.前記1つ以上のADAR動員ドメインが、MS2 ADAR動員ドメインである、E75~E80のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0158】
E153.前記MS2 ADAR動員ドメインが、配列番号.50のヌクレオチド配列を有する、E152に記載のオリゴヌクレオチド。
【0159】
E154.標的化部分に複合化されたE1~E153のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含む、複合体。
【0160】
E155.前記標的化部分が、脂質、ステロール、炭水化物、及び/またはペプチドである、E154に記載の複合体。
【0161】
E156.前記オリゴヌクレオチドが、ステロールに複合化される、E155に記載の複合体。
【0162】
E157.前記ステロールがコレステロールである、E156に記載の複合体。
【0163】
E158.前記オリゴヌクレオチドが、炭水化物に複合化される、E155~E157のいずれか1項に記載の複合体。
【0164】
E159.前記炭水化物が、N-アセチルガラクトサミンである、E158に記載の複合体。
【0165】
E160.E1~E137のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドが、ペプチドに複合化される、E155~E159のいずれか1項に記載の複合体。
【0166】
E161.前記ペプチドが細胞膜透過性ペプチドである、E160に記載の複合体。
【0167】
E162.前記オリゴヌクレオチドが、脂質に複合化される、E156~E161のいずれか1項に記載の複合体。
【0168】
E163.前記脂質が、リトコール酸、ドコサヘキサエン酸、またはドコサン酸である、E162に記載の複合体。
【0169】
E164.複合物であって、
E1~E153のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたはE154~E163のいずれか1項に記載の複合体と、
mRNAとを含み、
前記オリゴヌクレオチドまたは前記複合体及び前記mRNAが互いにハイブリダイズされ、前記複合物が、前記mRNAのアデノシンに第1ミスマッチを含む、前記複合物。
【0170】
E165.前記複合物が、前記第1ミスマッチの5’側に4個のヌクレオチドである第2ミスマッチを含む、E164に記載の複合物。
【0171】
E166.前記複合物が、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つのミスマッチを含む、E164またはE165に記載の複合物。
【0172】
E167.前記mRNAが、治療結果をもたらすために脱アミノ化される可能性のあるアデノシンを含む、E164~E166のいずれか1項に記載の複合物。
【0173】
E168.前記mRNAが、対応する天然mRNAと比較して、グアノシンからアデノシンへの変異を含む、E164~E166のいずれか1項に記載の複合物。
【0174】
E169.前記グアノシンからアデノシンへの変異が、ミスセンス変異またはナンセンス変異である、E168に記載の複合物。
【0175】
E170.前記第1ミスマッチが、前記mRNAの開始コドン中のアデノシンにある、E164~E169のいずれか1項に記載の複合物。
【0176】
E171.前記第1ミスマッチが、前記mRNAの終止コドン中のアデノシンにある、E164~E169のいずれか1項に記載の複合物。
【0177】
E172.前記終止コドンが未成熟終止コドンである、E171に記載の複合物。
【0178】
E173.E164~E172のいずれか1項に記載の複合物の作製方法であって、細胞をE1~E153のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたはE154~E163のいずれか1項に記載の複合体と接触させることを含む、前記方法。
【0179】
E174.mRNA中のアデノシンの脱アミノ化方法であって、細胞をE1~E153のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたはE154~E163のいずれか1項に記載の複合体と接触させることを含む、前記方法。
【0180】
E175.障害の処置を必要とする対象の障害の処置方法であって、有効量のE1~E153のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドまたはE154~E163のいずれか1項に記載の複合体を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【0181】
E176.前記障害が、嚢胞性線維症、白皮症、アルファ-1-アンチトリプシン欠損症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、喘息、11サラセミア、Cadasil症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性閉塞性肺疾患、遠位型脊髄性筋萎縮症、デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー、栄養障害型表皮水疱症、表皮水疱症、ファブリー病、第V因子ライデン関連障害、家族性大腸腺腫症、ガラクトース血症、ゴーシェ病、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、血友病、遺伝性ヘモクロマトーシス、ハンター症候群、ハンチントン病、ハーラー症候群、炎症性腸疾患、遺伝性多凝集症候群、レーバー先天性黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リンチ症候群、マルファン症候群、ムコ多糖症、筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィーI型及びII型、神経線維腫、ニーマン・ピック病A型、B型及びC型、NY-ESO-1関連がん、パーキンソン病、ポイツ・ジェガース症候群、フェニルケトン尿症、ポンペ病、原発性線毛疾患、プロトロンビン変異関連障害(例えば、プロトロンビンG20210A変異)、肺高血圧症、網膜色素変性症、サンドホフ病、重症複合免疫不全症候群、鎌状赤血球貧血、脊髄性筋萎縮症、シュタルガルト病、テイ・サックス病、アッシャー症候群、X連鎖性免疫不全、スタージ・ウェーバー症候群、レット症候群、またはがんである、E175に記載の方法。
【0182】
E177.前記方法が、ADAR融合タンパク質を前記細胞に、または前記対象に投与することをさらに含む、E174~E176のいずれか1項に記載の方法。
【0183】
E178.前記ADAR融合タンパク質が、ADAR融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター構築物を使用して、前記細胞に、または前記対象に投与される、E177に記載の方法。
【0184】
E179.前記ADAR融合タンパク質が、MS2バクテリオファージコートタンパク質に融合されたADARのデアミナーゼドメインを含む、E177またはE178に記載の方法。
【0185】
E180.前記ADARのデアミナーゼドメインが、ADAR1のデアミナーゼドメインである、E179に記載の方法。
【0186】
E181.前記ADARのデアミナーゼドメインが、ADAR2のデアミナーゼドメインである、E179に記載の方法。
【0187】
E182.投与が、非経口投与、髄腔内投与、または頭蓋内投与を含む、E175~E181のいずれか1項に記載の方法。
【0188】
化学用語
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態の記載を目的とし、限定することを意図するものではない。
【0189】
以下の化学的定義のいずれについても、原子記号に続く数字は、特定の化学部分に存在するその元素の原子の総数を示す。理解されることになるように、本明細書に記載されるようなH原子などの他の原子、または置換基は、原子の原子価を満たすために必要に応じて存在する場合がある。例えば、非置換Cアルキル基は、式-CHCHを有する。本明細書で定義される基と共に使用される場合、炭素原子の数への言及は、アセタール及びケタール基の二価炭素を含むが、アシル、エステル、カーボネート、またはカルバメート基のカルボニル炭素を含まない。ヘテロアリール基の酸素、窒素、または硫黄原子の数への言及は、複素環の一部を形成する原子のみを含む。
【0190】
特定の置換基が同じ構造内に複数回存在する可能性がある場合、置換基の各例は、その置換基の考え得る定義の一覧から独立して選択されてよい。
【0191】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、1~20個の炭素原子(例えば、1~16個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、または1~3個の炭素原子)の分岐鎖または直鎖一価飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。
【0192】
アルキレンは二価のアルキル基である。「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、単独でまたは他の基と組み合わせて、炭素-炭素二重結合を有し、2~20個の炭素原子(例えば、2~16個の炭素原子、2~10個の炭素原子、2~6個の炭素原子、または2個の炭素原子)を有する直鎖または分岐鎖炭化水素残基を指す。
【0193】
「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、またはヨウ素(ヨード)ラジカルを意味する。
【0194】
「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、構成炭素原子のうち1つ以上が、窒素、酸素、または硫黄で置き換えられている、本明細書で定義されるようなアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基は、アルキル基について本明細書に記載されるように、1個、2個、3個、または4個の置換基でさらに置換され得る。ヘテロアルキル基の例は「アルコキシ」であり、本明細書で使用される場合、アルキル-O-(例えば、メトキシ及びエトキシ)を指す。ヘテロアルキレンは、二価のヘテロアルキル基である。「ヘテロアルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、構成炭素原子のうち1つ以上が、窒素、酸素、または硫黄で置き換えられている、本明細書で定義されるようなアルケニル基を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基は、アルケニル基について本明細書に記載されるように、1個、2個、3個、または4個の置換基でさらに置換され得る。ヘテロアルケニル基の例は「アルケノキシ」であり、本明細書で使用される場合、アルケニル-Oを指す。ヘテロアルケニレンは、二価のヘテロアルケニル基である。「ヘテロアルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、構成炭素原子のうち1つ以上が、窒素、酸素、または硫黄で置き換えられている、本明細書で定義されるようなアルキニル基を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル基は、アルキニル基について本明細書に記載されるように、1個、2個、3個、または4個の置換基でさらに置換され得る。ヘテロアルキニル基の例は「アルキノキシ」であり、本明細書で使用される場合、アルキニル-O-を指す。ヘテロアルキニレンは、二価のヘテロアルキニル基である。
【0195】
「ヒドロキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、-OH基を表す。
【0196】
アルキル、ヘテロアルキル基は、置換または非置換であってよい。置換される場合、別段の指定がない限り、一般に1~4個の置換基が存在することになる。置換基としては、例えば、アルキル(例えば、非置換及び置換、置換基は、本明細書に記載される任意の基、例えば、アリール、ハロ、ヒドロキシを含む)、アリール(例えば、置換及び非置換フェニル)、カルボシクリル(例えば、置換及び非置換シクロアルキル)、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、ヘテロアルキル(例えば、置換及び非置換メトキシ、エトキシ、またはチオアルコキシ)、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アミノ(例えば、NHまたはモノもしくはジアルキルアミノ)、アジド、シアノ、ニトロ、あるいはチオールが挙げられる。アリール、カルボシクリル(例えば、シクロアルキル)、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル基もまた、アルキル(非置換及び置換アリールアルキル(例えば、置換及び非置換ベンジル)など)で置換されてよい。
【0197】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉炭素原子を有し得、光学的に純粋なエナンチオマー、例えば、ラセミ体などのエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、またはジアステレオマーラセミ体の混合物の形態で存在し得る。光学活性型は、例えば、ラセミ体の分割によって、不斉合成または不斉クロマトグラフィー(キラル吸着剤または溶離液を用いたクロマトグラフィー)によって得られ得る。すなわち、開示される化合物のいくつかは、様々な立体異性体形態で存在する場合がある。立体異性体は、それらの空間配置のみが異なる化合物である。エナンチオマーは、それらの鏡像を重ね合わせることができない立体異性体の対であり、最も一般的な理由としては、それらが、キラル中心として機能する不斉置換炭素原子を含有するためである。「エナンチオマー」は、互いの鏡像であり、重ね合わせることができない分子対の一方を意味する。ジアステレオマーは、鏡像のような関係ではない立体異性体であり、最も一般的な理由としては、それらが、2つ以上の不斉置換炭素原子を含有し、1つ以上のキラル炭素原子周囲の置換基の配置を表すためである。化合物のエナンチオマーは、1つ以上の周知の技術及び方法、例えば、キラルクロマトグラフィー及びそれに基づく分離方法などを使用して、例えば、ラセミ体からエナンチオマーを分離することによって調製され得る。本明細書に記載される化合物のエナンチオマーをラセミ混合物から分離する適切な技術及び/または方法は、当業者によって容易に決定され得る。「ラセミ体」または「ラセミ混合物」は、2つのエナンチオマーを含有する化合物を意味し、そのような混合物は光学活性を一切示さない、すなわち、それらは偏光面を回転させない。「幾何異性体」は、炭素-炭素二重結合との、シクロアルキル環との、または架橋二環式系との関係において置換基原子の配向が異なる異性体を意味する。炭素-炭素二重結合の両側の原子(H以外)は、E(置換基が炭素-炭素二重結合の反対側にある)配置またはZ(置換基が同じ側に配向されている)配置であってよい。「R」「S」「S*」、「R*」、「E」、「Z」、「シス」、及び「トランス」は、コア分子に対する配置を示す。開示される化合物のいくつかは、アトロプ異性形態で存在する場合がある。アトロプ異性体は、単結合周りの束縛回転から生じる立体異性体であり、回転に対する立体ひずみ障壁が、配座異性体の単離を可能にするのに十分なほど高い。本発明の化合物は、異性体特異的合成または異性体混合物からの分割のいずれかによって個々の異性体として調製されてよい。従来の分割技術としては、光学活性酸を使用して異性体対の各異性体における遊離塩基の塩を形成すること(続いて、遊離塩基の分別結晶及び再生)、光学活性アミンを使用して異性体対の各異性体における酸形態の塩を形成すること(続いて、遊離酸の分別結晶及び再生)、光学的に純粋な酸、アミンもしくはアルコールを使用して異性体対の各々の異性体におけるエステルもしくはアミドを形成すること(続いて、キラル補助基のクロマトグラフィー分離及び除去)、または様々な周知のクロマトグラフィー法を使用して出発物質もしくは最終生成物のいずれかの異性体混合物を分割することが挙げられる。開示される化合物の立体化学が構造によって命名または描写される場合、命名または描写される立体異性体は、他の立体異性体と比較して少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%、または99.9重量%である。単一のエナンチオマーが構造によって命名または描写される場合、描写または命名されるエナンチオマーは、少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%、または99.9重量%の光学純度である。単一のジアステレオマーが構造によって命名または描写される場合、描写または命名されるジアステレオマーは、少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%、または99.9重量%の純度である。光学純度パーセントは、エナンチオマーの重量の、エナンチオマーの重量とその光学異性体の重量に対する比である。重量によるジアステレオマー純度は、1つのジアステレオマー重量の、全てのジアステレオマーの重量に対する比である。開示される化合物の立体化学が構造によって命名または描写される場合、命名または描写される立体異性体は、他の立体異性体と比較して少なくとも60%、70%、80%、90%、99%、また99.9%のモル分率純度である。単一のエナンチオマーが構造によって命名または描写される場合、描写または命名されるエナンチオマーは、少なくとも60%、70%、80%、90%、99%、また99.9%のモル分率純度である。単一のジアステレオマーが構造によって命名または描写される場合、描写または命名されるジアステレオマーは、少なくとも60%、70%、80%、90%、99%、また99.9%のモル分率純度である。モル分率による純度パーセントは、エナンチオマーのモル数の、エナンチオマーのモル数とその光学異性体のモル数に対する比である。同様に、モル分率による純度パーセントは、ジアステレオマーのモル数の、ジアステレオマーのモル数とその異性体のモル数に対する比である。開示される化合物が立体化学を示すことなく構造によって命名または描写され、化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、名称または構造が、対応する光学異性体を含まない化合物のエナンチオマー、化合物のラセミ混合物、またはその対応する光学異性体と比較して1つのエナンチオマーで濃縮された混合物のいずれかを包含すると理解されるべきである。開示される化合物が立体化学を示すことなく構造によって命名または描写され、2つ以上のキラル中心を有する場合、名称または構造が、他のジアステレオマーを含まないジアステレオマー、他のジアステレオマー対を含まない多数のジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマー対の混合物、一方のジアステレオマーが他方のジアステレオマー(複数可)と比較して濃縮されているジアステレオマーの混合物、または1つ以上のジアステレオマーが他のジアステレオマーと比較して濃縮されているジアステレオマーの混合物を包含すると理解されるべきである。本発明は、これらの形態の全てを包含する。
【0198】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。方法及び材料は、本開示で使用するために本明細書に記載され、当該技術分野において既知の他の好適な方法及び材料も使用され得る。材料、方法、及び例は単に例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、及び他の参考文献は、それら全体が参照によって組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先されることになる。
【0199】
定義
便宜上、本明細書、実施例、及び添付の特許請求の範囲に使用されるいくつかの用語及び語句の意味が、以下に提供される。別段の記載がない限り、または文脈から暗に示されていない限り、以下の用語及び語句は、以下に提供される意味を含む。定義は、特定の実施形態について記載することを助けるために提供され、技術の範囲が特許請求の範囲によってのみ限定されるため、請求される技術を限定することを意図するものではない。別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語及び科学用語は、本技術が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。当該技術分野における用語の使用方法と本明細書で提供されるその定義との間に明らかな矛盾がある場合、本明細書内で提供される定義が優先されることとする。
【0200】
本出願では、文脈から特に明らかでない限り、(i)「a」という用語は「少なくとも1つ」を意味すると理解されてよく、(ii)「または」という用語は、「及び/または」を意味すると理解されてよく、(iii)「含む(including)」及び「含む(comprising)」という用語は、それ自体で提示されるか、または1つ以上の追加の構成要素もしくはステップと共に提示されるかにかかわらず、箇条書きにされている構成要素またはステップを包含すると理解されてよい。
【0201】
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、記載されている値の10%以内で上下する値を指す。例えば、「約5nM」という用語は、4.5~5.5nMの範囲を示す。
【0202】
数または一連の数の前の「少なくとも」という用語は、文脈から明らかなように、「少なくとも」という用語に隣接する数、及び論理的に含まれ得る後続の全ての数または整数を含むと理解される。例えば、核酸分子のヌクレオチド数は整数でなければならない。例えば、「21個のヌクレオチド核酸分子のうち少なくとも18個のヌクレオチド」は、18個、19個、20個、または21個のヌクレオチドが示された特性を有することを意味する。少なくともが、一連の数または範囲の前に存在する場合、「少なくとも」は、一連の数または範囲内の各数を変更できると理解される。
【0203】
本明細書で使用される場合、「以下」または「未満」は、語句に隣接する値及び論理的に下回る値または整数から、文脈から論理的である通り、ゼロまでとして理解される。例えば、「5個以下の非修飾ヌクレオチド」を有するオリゴヌクレオチドは、5個、4個、3個、2個、1個、または0個の非修飾ヌクレオチドを有する。「以下」が一連の数または範囲の前に存在する場合、「以下」は、一連の数または範囲内の各数を変更できると理解される。
【0204】
本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、対象またはシステムへの組成物(例えば、化合物または本明細書に記載されるような化合物を含む調製物)の投与を指す。動物対象への(例えば、ヒトへの)投与は、本明細書に記載される経路などの任意の適切な経路によるものであってよい。
【0205】
本明細書で使用される場合、「併用療法」または「組み合わせて投与される」とは、2つ(以上)の異なる薬剤または処置が、特定の疾患または状態に対して定義された処置レジメンの一部として対象に投与されることを意味する。処置レジメンは、対象に対する別個の薬剤の効果が重なるように、各薬剤の用量及び投与の周期を定義する。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤の送達は同時または並行であり、薬剤は共製剤化されてよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤は共製剤化されず、所定のレジメンの一部として逐次的手法で投与される。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤または処置を組み合わせて投与することは、症状、または障害に関連する他のパラメータの減少が、単独でまたは他のものが存在しない場合に送達される1つの薬剤または処置を用いて観察されるものよりも大きくなるようなものである。2つの処置の効果は、部分的に相加的、完全に相加的、または相加的を超えるもの(例えば、相乗的)であり得る。各治療剤の逐次的投与または実質的に同時投与は、任意の適切な経路、例えば、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、及び粘膜組織を介する直接吸収を含むが、これらに限定されない経路によって行われ得る。治療剤は同じ経路によって、または異なる経路によって投与され得る。例えば、組合せの第1治療剤が静脈内注射によって投与されてよい一方で、組合せの第2治療剤は経口投与されてよい。
【0206】
「G」、「C」、「A」、「T」、及び「U」は各々、それぞれグアニン、シトシン、アデニン、チミジン、及びウラシルを塩基として含有する天然に存在するヌクレオチドを一般に表す。しかしながら、「ヌクレオチド」という用語はまた、以下でさらに詳述されるような、代替ヌクレオチド、または代用置換部分を指し得ると理解されることになる。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン、及びウラシルが、そのような置換部分を持つヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性を実質的に変化させることなく、他の部分で置換され得ると十分に認識している。例えば、限定されないが、ヒポキサンチンをその塩基として含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン、またはウラシルを含有するヌクレオチドと塩基対合し得る。したがって、ウラシル、グアニン、またはアデニンを含有するヌクレオチドは、本発明で注目されるオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列中において、例えば、ヒポキサンチンを含有するヌクレオチドで置き換えられ得る。別の例では、オリゴヌクレオチド中におけるいずれかの箇所のアデニン及びシトシンが、それぞれグアニン及びウラシルで置き換えられ、標的mRNAとG-Uゆらぎ塩基対合を形成し得る。そのような置換部分を含有する配列は、本発明で注目される組成物及び方法に好適である。
【0207】
「核酸塩基」及び「塩基」という用語は、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成するヌクレオシド及びヌクレオチド中に存在するプリン(例えば、アデニン及びグアニン)ならびにピリミジン(例えば、ウラシル、チミン、及びシトシン)部分を含む。本発明の文脈においては、核酸塩基という用語はまた、天然に存在する核酸塩基とは異なる場合があるが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能する代替核酸塩基を包含する。この文脈においては、「核酸塩基」は、天然に存在する核酸塩基、例えば、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、及びヒポキサンチンなどに加えて、代替核酸塩基の両方を指す。そのようなバリアントは、例えば、Hirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45,page 2055及びBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に記載されている。
【0208】
いくつかの実施形態では、核酸塩基部分は、プリンまたはピリミジンを修飾プリンまたはピリミジン、例えば、置換プリンまたは置換ピリミジンなど、例えば、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル、5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、シュードウラシル、1-メチルシュードウラシル、5-メトキシウラシル、2’-チオ-チミン、ヒポキサンチン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される「代替核酸塩基」などに変化させることによって修飾される。
【0209】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基、例えば、A、T、G、C、またはUの文字コードによって示される場合があり、各文字は、場合により同等の機能を持つ代替核酸塩基を含む場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、ギャップマーについては、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが使用されてよい。
【0210】
「糖」または「糖部分」は、フラノース環を有する天然に存在する糖を含む。糖は、ヌクレオシドのフラノース環を置き換えできる構造として定義される「代替糖」も含む。ある特定の実施形態では、代替糖は、非フラノース(もしくは4’-置換フラノース)環または環系もしくは開放系である。そのような構造は、6員環などの天然のフラノース環と比較して単純な変化を含むか、またはペプチド核酸で使用される非環系の場合と同様により複雑な場合がある。代替糖はまた、フラノース環が、例えば、モルホリノまたはヘキシトール環系などの別の環系で置き換えられている糖代用物を含んでよい。モチーフを有するオリゴヌクレオチドの調製に有用な糖部分としては、β-D-リボース、β-D-2’-デオキシリボース、置換糖(2’、5’及びビス置換糖など)、4’-S-糖(4’-S-リボース、4’-S-2’-デオキシリボース及び4’-S-2’-置換リボースなど)、二環式代替糖(2’-O-CH-4’または2’-O-(CH-4’架橋リボース由来の二環式糖など)ならびに糖代用物(リボース環がモルホリノまたはヘキシトール環系で置き換えられている場合など)が挙げられるが、これらに限定されない。各位置で使用される複素環式塩基及びヌクレオシド間結合の種類は多様であり、モチーフを決定する要因ではない。代替糖部分を有する大半のヌクレオシドでは、複素環式核酸塩基は、一般にハイブリダイゼーションを可能にするために維持される。
【0211】
「ヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、ヌクレオシド及びヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのモノマー単位を指す。ヌクレオシド間結合は、リン酸結合を含む場合または含まない場合がある。同様に、「連結ヌクレオシド」は、リン酸結合によって連結されている場合または連結されていない場合がある。多くの「代替ヌクレオシド間結合」が当該技術分野において既知であり、ホスホロチオエート及びボロノホスフェート結合を含むが、これらに限定されない。代替ヌクレオシドとしては、二環式ヌクレオシド(BNA)(例えば、ロックドヌクレオシド(LNA)及び拘束エチル(cEt)ヌクレオシド)、ペプチドヌクレオシド(PNA)、ホスホトリエステル、ホスホロチオネート、ホスホルアミデート、ならびに本明細書に記載されるものを含む、天然ヌクレオシドのリン酸骨格に関する他のバリアントが挙げられる。
【0212】
「代替ヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、代替ヌクレオシドまたは代替糖、及びヌクレオシド間結合を有するヌクレオチドを指し、その結合は代替ヌクレオシド結合を含む場合がある。
【0213】
「ヌクレオシド」という用語は、核酸塩基及び糖部分を有するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのモノマー単位を指す。ヌクレオシドは、天然に存在するものに加えて、本明細書に記載されるものなどの、代替ヌクレオシドを含んでよい。ヌクレオシドの核酸塩基は、天然に存在する核酸塩基または代替核酸塩基であってよい。同様に、ヌクレオシドの糖部分は、天然に存在する糖または代替糖であってよい。
【0214】
「代替ヌクレオシド」という用語は、代替糖または代替核酸塩基、例えば、本明細書に記載されるものなどを有するヌクレオシドを指す。
【0215】
「ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ分解を制限するヌクレオチドを指す。ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドは、一般にヌクレアーゼの基質としては十分に機能しないことによってオリゴヌクレオチドの安定性を増加させる。ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドは、当該技術分野において既知であり、例えば、2’-O-メチルヌクレオチド及び2’-フルオロヌクレオチドである。
【0216】
「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、2つ以上の共有結合的に連結したヌクレオシドを含む分子として当業者によって一般に理解されるように定義される。そのような共有結合したヌクレオシドは、核酸分子またはオリゴマーと称される場合もある。オリゴヌクレオチドは通常、実験室において固相化学合成とそれに続く精製によって作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合、共有結合的に連結したヌクレオチドまたはヌクレオシドの核酸塩基部分、またはその修飾物の配列または順序を参照する。本発明のオリゴヌクレオチドは人工のものであってよく、化学的に合成され、典型的には精製または単離される。オリゴヌクレオチドはまた、(i)フラノース誘導体によって、もしくは塩基部分の共有結合点として使用される場合のある環式もしくは非環式の任意の構造によって置き換えられている1つ以上のフラノース部分を有する化合物、(ii)ホスホルアミデートもしくはホスホロチオエート結合の場合と同様に修飾されているか、もしくはホルムアセタールもしくはリボアセタール結合の場合と同様に好適な結合部分で完全に置き換えられているかのいずれかである1つ以上のホスホジエステル結合を有する化合物、及び/または(iii)塩基部分の共有結合点として使用される場合のある環式もしくは非環式の任意の構造によって置き換えられている1つ以上の連結フラノース-ホスホジエステル結合部分を有する化合物を含むことを意図する。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の代替ヌクレオシドまたはヌクレオチド(例えば、本明細書に記載されるものを含む)を含んでよい。オリゴヌクレオチドが、糖部分または核酸塩基を欠く組成物を含むが、依然として標的配列と対合を形成できるか、またはそれにハイブリダイズできるとさらに理解される。
【0217】
「オリゴヌクレオチド」は、短いポリヌクレオチド(例えば、100個以下の連結ヌクレオシド)を指す。
【0218】
オリゴヌクレオチドは、ADAR媒介経路を介して所望の標的RNAのアデノシンの脱アミノ化を可能にする任意の長さのものであってよく、約10~50塩基対長、例えば、約15~50塩基対長または約18~50塩基対長、例えば、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50塩基対長、例えば、約15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22塩基対長などの範囲であってよい。上に列挙される範囲及び長さに対して中間の範囲及び長さもまた、本発明の一部であると企図される。
【0219】
「ギャップマー」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上の親和性増強代替ヌクレオシド(ウイングまたはフランク)を含む領域が5’側及び3’側に隣接しているRNase H動員オリゴヌクレオチド(ギャップ)の領域を含むオリゴヌクレオチドを指す。様々なギャップマー設計が本明細書に記載される。ヘッドマー及びテイルマーは、ウイングの一方が欠けている、すなわち、オリゴヌクレオチドの一方の末端のみが親和性増強代替ヌクレオシドを含む、RNase Hを動員できるオリゴヌクレオチドである。ヘッドマーの場合、3’ウイングが欠けていて(すなわち、5’ウイングが親和性増強代替ヌクレオシドを含む)、テイルマーの場合、5’ウイングが欠けている(すなわち、3’ウイングが親和性増強代替ヌクレオシドを含む)。「混合ウイングギャップマー」は、ウイング領域が、少なくとも1個の代替ヌクレオシド、例えば、少なくとも1個のDNAヌクレオシドあるいは少なくとも1個の2’置換代替ヌクレオシドなど、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(2’-O-MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、2’-F-ANAヌクレオシド(複数可)、または二環式ヌクレオシド(例えば、ロックドヌクレオシドもしくはcEtヌクレオシド)などを含む、ギャップマーを指す。いくつかの実施形態では、混合ウイングギャップマーは、代替ヌクレオシドを含む一方のウイング(例えば、5’側または3’側)を有し、他方のウイング(それぞれ3’側または5’側)は、2’置換代替ヌクレオシド(複数可)を含む。
【0220】
「リンカー」または「連結基」という用語は、1つ以上の共有結合によって、目的の1つの化学基またはセグメントを別の目的の化学基またはセグメントに連結する2つの原子間における結合である。複合体部分は、直接または連結部分(例えば、リンカーもしくはテザー)を介してオリゴヌクレオチドに結合され得る。リンカーは、第3領域、例えば、複合体部分をオリゴヌクレオチド(例えば、領域AまたはCの末端)に共有結合させるのに役立つ。本発明のいくつかの実施形態では、本発明の複合体またはオリゴヌクレオチド複合体は場合により、オリゴヌクレオチドと複合体部分との間に配置されるリンカー領域を含んでよい。いくつかの実施形態では、複合体とオリゴヌクレオチドとの間のリンカーは、生化学的に切断可能である。生化学的に切断可能なリンカーを含有するホスホジエステルは、WO2014/076195により詳細に記載されいている(参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0221】
本明細書で使用される場合、「ADAR動員ドメイン」という用語は、本発明のオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結され、ADAR酵素の動員及び結合領域として機能するステムループ構造を形成する場合があるヌクレオチド配列を指す。そのようなADAR動員ドメインを含むオリゴヌクレオチドは、「axiomer AON」または「自己ループ化AON」と称されてよい。ADAR動員ドメイン部分は、細胞内に存在する内因性ADAR酵素を動員するように機能する可能性がある。そのようなADAR動員ドメインは、修飾組換えADAR酵素の複合化実体または存在を必要としない。あるいは、ADAR動員部分は、ADAR融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター構築物を介して細胞に、または対象に送達されている組換えADAR融合タンパク質を動員するように機能する場合がある。そのようなADAR融合タンパク質は、別のタンパク質に、例えば、MS2バクテリオファージコートタンパク質に融合されたADAR1またはADAR2酵素のデアミナーゼドメインを含む場合がある。ADAR動員ドメインは、天然基質(例えば、GluR2受容体プレmRNA、例えば、GluR2 ADAR動員ドメインなど)、Z-DNA構造、またはADAR融合タンパク質の一部である別のタンパク質を動員することで知られているドメイン、例えば、ADARのdsRNA結合領域によって認識されることで知られているMS2 ADAR動員ドメインに基づくヌクレオチド配列であってよい。ADAR動員ドメインのステムループ構造は、2つの別個の核酸鎖によって形成される分子間ステムループ構造、または単一の核酸鎖内で形成される分子内ステムループ構造であり得る。
【0222】
本明細書で使用される場合、「Z-DNA」という用語は、DNA二重らせんまたはRNAステムループ構造の左巻きコンフォメーションを指す。そのようなDNAまたはdsRNAヘリックスは、ジグザグパターンで左巻きになっている(より一般的に見られるB-DNA型のような右巻きとは対照的に)。Z-DNAは既知の高親和性ADAR結合基質であり、ヒトADAR1酵素に結合することが示されている。
【0223】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「相補的」という用語は、第2ヌクレオチドまたはヌクレオシド配列に関連して第1ヌクレオチドまたはヌクレオシド配列について記載するために使用される場合、当業者によって理解されることになるように、第1ヌクレオチドまたはヌクレオシド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、第2ヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと、ある特定の条件下でハイブリダイズして二本鎖構造を形成する能力を指す。そのような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であり得、ストリンジェントな条件としては、400mM NaCl、40mM PIPES(pH6.4)、1mM EDTA、50℃、または70℃で12~16時間、続いて洗浄が挙げられ得る(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrook,et al.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと)。生物内部で発生し得るような他の条件、例えば、生理学的に関連する条件などが適用され得る。当業者は、ハイブリダイズしたヌクレオチドまたはヌクレオシドの最終的な用途に従って、2つの配列の相補性試験に最適な条件のセットを決定できることになる。
【0224】
「相補的」配列はまた、本明細書で使用される場合、ハイブリダイズするそれらの能力に関して上記の要件が満たされる限り、非ワトソン・クリック塩基対及び/または非天然及び代替ヌクレオチドから形成される塩基対を含むか、またはそれらから完全に形成され得る。そのような非ワトソン・クリック塩基対としては、G:Uゆらぎ塩基対合またはフーグスティーン型塩基対合が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるようなオリゴヌクレオチドと標的配列との間の相補的配列は、第1ヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと、第2ヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとの、一方または両方のヌクレオチド配列の全長にわたる塩基対合を含む。そのような配列は、本明細書では互いに対して「完全に相補的」であると称され得る。しかしながら、第1配列が本明細書の第2配列に対して「実質的に相補的」と称される場合、それらの最終的な用途、例えば、アデノシンの脱アミノ化と最も関連性が高い条件下でハイブリダイズする能力を保持しながら、2つの配列は完全に相補的であり得るか、またはそれらは、最大で30塩基対の二本鎖へのハイブリダイゼーション時に1つ以上であるが、一般に5つ、4つ、3つもしくは2つ以下のミスマッチ塩基対を形成し得る。「実質的に相補的」はまた、目的のmRNA(例えば、標的アデノシンを有するmRNA)の隣接部分に実質的に相補的であるポリヌクレオチドを指し得る。例えば、ポリヌクレオチドは、配列が目的のmRNAの非中断部分に実質的に相補的である場合、目的のmRNAの少なくとも一部に相補的である。
【0225】
本明細書で使用される場合、「相補性の領域」という用語は、遺伝子、一次転写物、配列(例えば、標的配列、例えば、標的アデノシンを有する標的配列)、または内因性遺伝子の発現に干渉するようにプロセシングされたmRNAの全てまたは一部に実質的に相補的であるオリゴヌクレオチド上の領域を指す。相補性の領域が標的配列に完全に相補的ではない場合、ミスマッチは分子の内部または末端領域中に存在し得る。一般に、最も許容されるミスマッチは、末端領域中、例えば、オリゴヌクレオチドの5’及び/または3’末端の5個、4個、3個、または2個のヌクレオチド内に存在する。
【0226】
オリゴヌクレオチドなどの「細胞をオリゴヌクレオチドと接触させる」という語句は、本明細書で使用される場合、任意の可能な手段によって細胞を接触させることを含む。細胞をオリゴヌクレオチドと接触させることは、インビトロで細胞をオリゴヌクレオチドと接触させること、またはインビボで細胞をオリゴヌクレオチドと接触させることを含む。接触は直接的または間接的に行われてよい。したがって、例えば、オリゴヌクレオチドは、方法を実施する個体によって細胞と物理的に接触する場合があるか、または代わりに、オリゴヌクレオチド剤は、その後に細胞と接触することを可能にするか、もしくはそれを引き起こす状況になる場合がある。
【0227】
インビトロでの細胞との接触は、例えば、細胞をオリゴヌクレオチドと共にインキュベートすることによって行われてよい。インビボでの細胞との接触は、例えば、細胞が位置する組織中に、もしくはその近傍にオリゴヌクレオチドを注射することによって、またはオリゴヌクレオチド剤を別の領域、例えば、血流もしくは皮下腔に、薬剤がその後、接触する細胞が位置する組織に到達することになるように注射することによって行われてよい。例えば、オリゴヌクレオチドは、目的の部位、例えば、肝臓にオリゴヌクレオチドを誘導するリガンド、例えば、GalNAc3を含有してよい、及び/またはそれに結合されてよい。インビトロ及びインビボでの接触方法の組合せも可能である。例えば、細胞はまた、インビトロでオリゴヌクレオチドと接触し、その後、対象中に移植されてよい。
【0228】
一実施形態では、細胞をオリゴヌクレオチドと接触させることは、細胞中への取込みまたは吸収を促進またはもたらすことによってオリゴヌクレオチドを細胞中に「導入する」または「送達する」ことを含む。オリゴヌクレオチドの吸収または取込みは、補助されない拡散性もしくは活性な細胞プロセスを通じて、または補助剤もしくはデバイスによって行われ得る。細胞中へのオリゴヌクレオチドの導入は、インビトロ及び/またはインビボであってよい。例えば、インビボ導入では、オリゴヌクレオチドは、組織部位に注射され得るか、または全身投与され得る。細胞中へのインビトロ導入は、当該技術分野において既知の方法、例えば、エレクトロポレーション法及びリポフェクション法などを含む。さらなるアプローチが以下に記載されている、及び/または当該技術分野において既知である。
【0229】
本明細書で使用される場合、「脂質ナノ粒子」または「LNP」は、医薬活性分子、例えば、核酸分子、例えば、オリゴヌクレオチドなどを封入する脂質層を含む小胞である。LNPは、安定した核酸-脂質粒子を指す。LNPは通常、カチオン性のイオン性脂質、非カチオン性脂質、及び粒子の凝集を防ぐ脂質(例えば、PEG-脂質複合体)を含有する。LNPは、例えば、米国特許第6,858,225号、同第6,815,432号、同第8,158,601号、及び同第8,058,069号に記載されていて、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0230】
本明細書で使用される場合、「リポソーム」という用語は、少なくとも1つの二重層、例えば、1つの二重層または複数の二重層中に配置された両親媒性脂質で構成される小胞を指す。リポソームは、親油性材料から形成される膜及び水性内部を有する単層及び多層小胞を含む。水性部分は、オリゴヌクレオチド組成物を含有する。親油性材料は水性内部を水性外部から分離し、これは通常、オリゴヌクレオチド組成物を含まないが、いくつかの例では、それを含む場合がある。リポソームは「立体的に安定化した」リポソームも含み、本用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上の特殊な脂質を含むリポソームを指し、その脂質がリポソーム中に組み込まれる場合、そのような特殊な脂質を欠いているリポソームと比較して循環寿命の延長をもたらす。
【0231】
「ミセル」は、特定の種類の分子集合体として本明細書で定義され、その場合に親水性部分が周囲の水相と接触したままで、分子の全ての疎水性部分が内側に向くように、両親媒性分子が球状構造に配置されている。環境が疎水性である場合、逆の配置が存在する。
【0232】
「相補的」ポリヌクレオチドは、標準的なワトソン・クリック相補性規則に従って塩基対合できるものである。具体的には、プリンはピリミジンと塩基対合して、シトシンと対合したグアニン(G:C)の組合せ及びDNAの場合にはチミンと対合したアデニン(A:T)、またはRNAの場合にはウラシルと対合したアデニン(A:U)のいずれかの組合せを形成することになる。2つのポリヌクレオチドは、それらが互いに完全に相補的でなくとも、各々が他方に対して実質的に相補的である少なくとも1つの領域を有することを条件として、互いにハイブリダイズする可能性があると理解される。
【0233】
本明細書で使用される場合、本明細書に記載される(例えば、細胞または対象中において)治療効果をもたらす薬剤の「有効量」、「治療有効量」、及び「十分な量」という用語は、ヒトを含む対象に投与される場合、臨床結果を含む、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量を指し、したがって、「有効量」またはその同義語は、それが適用されている状況に依存する。例えば、障害を処置する状況では、それは、投与しない場合に得られる応答と比較した場合に、処置応答を達成するのに十分な量の薬剤である。所与の薬剤の量は、様々な要因、例えば、所与の薬剤、医薬製剤、投与経路、疾患または障害の種類、処置されている対象または宿主の識別情報(例えば、年齢、性別、及び/または体重)などに応じて変動することになるが、それにもかかわらず、当業者によって日常的に決定され得る。また、本明細書で使用される場合、薬剤の「治療有効量」は、対照と比較した場合に、対象に有益なまたは所望の結果をもたらす量である。本明細書で定義されるように、薬剤の治療有効量は、当該技術分野において既知の日常的な方法により、当業者によって容易に決定されてよい。投与レジメンは、最適な治療応答を提供するために調整されてよい。
【0234】
「予防有効量」は、本明細書で使用される場合、障害を有する、またはそれを有する素因のある対象に投与される場合、疾患または疾患の1つ以上の症状を予防または改善するのに十分な量のオリゴヌクレオチドを含むことを意図する。疾患の改善は、疾患の経過を遅らせること、または後に発症する疾患の重症度を減少させることを含む。「予防有効量」は、オリゴヌクレオチド、薬剤の投与方法、疾患リスクの程度、ならびに処置される患者の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、もしあれば、先行処置または併用処置の種類、及び他の個々の特性に応じて変動する場合がある。
【0235】
「治療有効量」または「予防有効量」はまた、任意の処置に適用できる合理的な利益/リスク比で、ある所望の局所的または全身的な効果をもたらすオリゴヌクレオチドの量(単回または複数回用量のいずれかで投与される)を含む。本発明の方法で用いられるオリゴヌクレオチドは、そのような処置に適用できる合理的な利益/リスク比をもたらすのに十分な量で投与されてよい。
【0236】
予防有効量はまた、例えば、ヒトを含む対象に投与される場合、本明細書に記載される障害のうち1つ以上の発症を、予測される発症と比較した場合に、少なくとも120日、例えば、少なくとも6か月、少なくとも12か月、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年またはそれを超えて遅延させるのに十分な量を指してよい。
【0237】
「タンパク質のレベルを決定する」とは、直接的または間接的のいずれかの、当該技術分野における既知の方法によるタンパク質、またはタンパク質をコードするmRNAの検出を意味する。「直接決定する」とは、物理的実体または値を得るためにプロセスを実施すること(例えば、試料でアッセイもしくは試験を実施すること、またはその用語が本明細書で定義されるように「試料を分析すること」)を意味する。「間接的に決定する」は、別の団体または供給源(例えば、物理的実体または値を直接取得した第三者の実験室)から物理的実体または値を受け取ることを指す。タンパク質レベルを測定する方法としては一般に、ウェスタンブロッティング、イムノブロッティング、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫沈降、免疫蛍光法、表面プラズモン共鳴、化学発光、蛍光偏光、リン光、免疫組織化学分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析、液体クロマトグラフィー(LC)質量分析、マイクロサイトメトリー、顕微鏡法、蛍光活性化細胞選別(FACS)、及びフローサイトメトリーに加えて、酵素活性または他のタンパク質パートナーとの相互作用を含むが、これらに限定されないタンパク質の特性に基づくアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。mRNAレベルを測定する方法は、当該技術分野において既知である。
【0238】
参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関する「配列同一性パーセント(%)」は、配列をアライメントし、最大の配列同一性パーセントを得るために必要であればギャップを導入した後、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列中における核酸またはアミノ酸と同一である、候補配列中における核酸またはアミノ酸のパーセンテージとして定義される。核酸またはアミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、当業者の能力の範囲内である様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、またはMegalignソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成され得る。当業者であれば、比較されている配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、配列をアライメントするための適切なパラメータを決定することができる。例えば、配列同一性パーセント値は、配列比較コンピュータプログラムのBLASTを使用して生成されてよい。実例として、所与の核酸またはアミノ酸配列Aの、所与の核酸またはアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対する配列同一性パーセント(これは、所与の核酸またはアミノ酸配列Bに、それと、またはそれに対してある特定の配列同一性パーセントを有する所与の核酸またはアミノ酸配列Aと言い換えられ得る)は、以下の通りに算出される:
100×(分数X/Y)
式中、Xは、配列アラインメントプログラム(例えば、BLAST)によって、A及びBのそのプログラムのアラインメントにおいて同一であると一致したスコアのヌクレオチドまたはアミノ酸の数であり、YはBの核酸の総数である。核酸またはアミノ酸配列Aの長さが核酸またはアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAの配列同一性パーセントは、Aに対するBの配列同一性パーセントと等しくなることはないと理解されることになる。
【0239】
「レベル」とは、参照と比較した場合、タンパク質、またはタンパク質をコードするmRNAのレベルまたは活性を意味する。参照は、本明細書で定義されるように、任意の有用な参照であり得る。タンパク質の「レベル減少」または「レベル増加」とは、参照と比較した場合に、タンパク質レベルの減少または増加(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約150%、約200%、約300%、約400%、約500%、もしくはそれを超える減少もしくは増加、参照と比較した場合に、約10%、約15%、約20%、約50%、約75%、約100%、もしくは約200%超の減少もしくは増加、約0.01倍、約0.02倍、約0.1倍、約0.3倍、約0.5倍、約0.8倍未満、もしくはそれ未満の減少もしくは増加、または約1.2倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.8倍、約2.0倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.5倍、約5.0倍、約10倍、約15倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約100倍、約1000倍超、もしくはそれを超える増加)を意味する。タンパク質のレベルは、質量/体積(例えば、g/dL、mg/mL、μg/mL、ng/mL)または試料中の総タンパク質もしくはmRNAと比較したパーセンテージで表されてよい。
【0240】
「医薬組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化され、好ましくは哺乳動物の疾患処置を目的とした治療レジメンの一部として政府の規制機関の承認によって製造または販売される、本明細書に記載される化合物を含有する組成物を表す。医薬組成物は、例えば、単位剤形(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ジェルキャップ、もしくはシロップ)で経口投与用に、局所投与用に(例えば、クリーム、ゲル、ローション、もしくは軟膏として)、静脈内投与用に(例えば、粒状塞栓物質を含まず、静脈内使用に好適な溶媒系中の滅菌溶液として)、髄腔内注射用に、脳室内注射用に、実質内注射用に、または任意の他の薬学的に許容される製剤で製剤化され得る。
【0241】
「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載される化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解できるビヒクル)を指し、患者において実質的に非毒性かつ非炎症性であるという性質を有する。賦形剤としては、例えば、抗接着剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、染料(色味)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、皮膜形成剤またはコーティング剤、香味料、芳香剤、流動化剤(流動促進剤)、滑沢剤、防腐剤、印刷インク、吸着剤、懸濁化剤または分散剤、甘味料、及び水和水が挙げられてよい。例示的な賦形剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0242】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載される化合物のいずれかに関する化合物の任意の薬学的に許容される塩を意味する。例えば、本明細書に記載される化合物のいずれかの薬学的に許容される塩としては、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答を引き起こすことなく、ヒト及び動物の組織との接触に使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比に見合うようなものが挙げられる。薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、薬学的に許容される塩は、Berge et al.,J.Pharmaceutical Sciences 66:1-19,1977に、及びPharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(Eds.P.H.Stahl and C.G.Wermuth),Wiley-VCH,2008に記載されている。塩は、本明細書に記載される化合物の最終的な単離及び精製中にその場で、または遊離塩基基を好適な有機酸と反応させることによって別々に調製され得る。
【0243】
本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容される塩として調製できるように、イオン性基を有してよい。これらの塩は、無機もしくは有機酸を含む酸付加塩であってよいか、または塩は、本明細書に記載される化合物の酸性形態の場合、無機もしくは有機塩基から調製されてよい。多くの場合、化合物は、薬学的に許容される酸または塩基の付加生成物として調製される薬学的に許容される塩として調製または使用される。好適な薬学的に許容される酸及び塩基ならびに適切な塩の調製方法は、当該技術分野において周知である。塩は、無機及び有機の酸及び塩基を含む、薬学的に許容される非毒性の酸及び塩基から調製されてよい。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、及び吉草酸塩が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムに加えて、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、及びエチルアミンを含むが、これらに限定されない非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、及びアミンカチオンが挙げられる。
【0244】
「参照」とは、タンパク質またはmRNAのレベルまたは活性を比較するために使用される任意の有用な参照を意味する。参照は、比較の目的で使用される任意の試料、標準物、検量線、またはレベルであり得る。参照は、正常参照試料または参照基準もしくはレベルであり得る。「参照試料」は、例えば、対照、例えば、「正常対照」などの所定の陰性対照値もしくは同じ対象から採取した以前の試料、正常で健康な対象、例えば、正常細胞もしくは正常組織などからの試料、疾患を有しない対象からの試料(例えば、細胞もしくは組織)、疾患と診断されているが、本明細書に記載される化合物ではまだ処置されていない対象からの試料、本明細書に記載される化合物によって処置されている対象からの試料、または既知の正常濃度の精製タンパク質(例えば、本明細書に記載されるいずれか)の試料であり得る。「参照基準またはレベル」とは、参照試料から得られる値または数を意味する。「正常対照値」は、非疾患状態を示す所定の値、例えば、健康な対照対象において予想される値である。典型的には、正常対照値は、範囲(「X~Y」)、高閾値(「X以下」)、または低閾値(「X以上」)として表される。特定のバイオマーカーに関する正常対照値内の測定値を有する対象は通常、そのバイオマーカーの「正常範囲内」と称される。正常参照基準またはレベルは、疾患または障害を有しない正常対象、本明細書に記載される化合物で処置されている対象から得られる値または数値であり得る。好ましい実施形態では、参照試料、基準、またはレベルは、以下の基準のうち少なくとも1つによって試料対象試料と一致する:年齢、体重、性別、疾患ステージ、及び全体的な健康状態。正常参照範囲内の精製タンパク質、例えば、本明細書に記載されるいずれかのレベルの検量線も参照として使用され得る。
【0245】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、本発明による組成物が、例えば、実験、診断、予防、及び/または治療目的で投与される場合がある任意の生物を指す。典型的な対象としては、任意の動物(例えば、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトなど)が挙げられる。対象は、処置を求めるか、もしくは処置の必要がある、処置を必要としている、処置を受けている、将来的に処置を受けている、または特定の疾患もしくは状態について訓練を受けた専門家によって管理下にあるヒトもしくは動物である場合がある。
【0246】
本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置される」、または「処置すること」という用語は、治療的処置及び予防または予防的手段の両方を意味し、その目的は、望ましくない生理学的状態、障害、もしくは疾患を予防もしくは鈍化(減少)させるか、または有益なもしくは所望の臨床結果を得ることである。有益なまたは所望の臨床結果としては、症状の軽減、状態、障害、もしくは疾患の程度の縮小、状態、障害、もしくは疾患の状態安定化(すなわち、悪化しない)、状態、障害、もしくは疾患発症の遅延もしくはそれらの進行の鈍化、検出可能もしくは検出不能かどうかにかかわらず、状態、障害、もしくは疾患状態の改善もしくは寛解(部分的もしくは全体的かどうかにかかわらない)、必ずしも患者が認識可能であるとは限らない、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善、または状態、障害、もしくは疾患の向上もしくは改善が挙げられるが、これらに限定されない。処置は、過度のレベルの副作用を引き起こすことなく、臨床的に重要な応答を誘発することを含む。処置はまた、処置を受けない場合の予想される生存期間と比較した場合に生存期間を延長することも含む。
【0247】
本明細書で使用される場合、「バリアント」及び「誘導体」という用語は交換可能に使用され、本明細書に記載される化合物、ペプチド、タンパク質、または他の物質の天然に存在する、合成、及び半合成の類似体を指す。本明細書に記載される化合物、ペプチド、タンパク質、または他の物質のバリアントまたは誘導体は、元の材料の生物活性を保持または改善する場合がある。
【0248】
本発明の1つ以上の実施形態に関する詳細が、以下の記載に示される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、記載から、及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0249】
本発明者らは、修飾オリゴヌクレオチドを利用して、mRNA中の標的アデノシンを脱アミノ化できることを見出した。したがって、本発明は、mRNA上で標的アデノシン、例えば、治療結果を必要とする対象に治療結果をもたらすように脱アミノ化される可能性のある、例えば、アデノシンを脱アミノ化するのに有用な組成物及び方法を特徴とする。
【0250】
I.障害
本発明はまた、本明細書に記載されるような、哺乳動物、好ましくはヒト細胞中において標的RNA配列を変化させる方法に使用するための本発明のオリゴヌクレオチドを提供する。同様に、本発明は、本明細書に記載されるような、哺乳動物、好ましくはヒト細胞中において標的RNA配列を変化させるための医薬の製造における本発明のオリゴヌクレオチド構築物の使用を提供する。
【0251】
本発明はまた、細胞中において標的RNA配列中に存在する少なくとも1個の特定の標的アデノシンを脱アミノ化する方法に関し、本方法は、細胞に、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドを提供するステップ、オリゴヌクレオチドの細胞による取込みを可能にするステップ、標的RNA配列へのオリゴヌクレオチドのアニーリングを可能にするステップ、野生型酵素に見られるような天然dsRNA結合ドメインを含む哺乳動物ADAR酵素が、標的RNA配列中の標的アデノシンをイノシンに脱アミノ化することを可能にするステップ、及び場合により、RNA配列中のイノシンの存在を同定するステップを含む。
【0252】
したがって、本発明はまた、互いに隣接する2個のアデノシンが、ADARなどのRNA編集酵素によって同時脱アミノ化されるオリゴヌクレオチド及び方法に関する。この特定の場合では、UAA終止コドンはUII Trpをコードするコドンに変換される。標的コドン内の標的アデノシンの脱アミノ化に起因する改変の他の例は、以下の表1及び2に提供される。
【0253】
アデノシンからイノシンへの脱アミノ化は、標的位置の変異型Aから影響を受けなくなるタンパク質をもたらす可能性があるため、イノシンへの脱アミノ化の同定は、機能的読取り、例えば、機能性タンパク質が存在するかどうかに関する評価、またはさらにアデノシンの存在によって引き起こされる疾患が(部分的に)逆転するという評価であってよい。本明細書で言及される疾患の各々に関する機能評価は一般に、当業者に既知の方法に従うことになる。標的アデノシンの存在が異常なスプライシングを引き起こす場合、読取りは、異常なスプライシングが依然として生じているか否か、または少ないかどうかに関する評価であってよい。一方で、標的アデノシンの脱アミノ化にスプライス部位の導入が望まれる場合には、必要な種類のスプライシングが実際に生じているかどうかを確認するために同様のアプローチが使用され得る。標的アデノシンの脱アミノ化後にイノシンの存在を同定するための非常に好適な手法は、当然のことながら、当業者に周知の方法を使用する、RT-PCR及びシーケンシングである。
【0254】
一般に、本発明によるオリゴヌクレオチド構築物を使用して逆転され得る任意の標的RNAの変異はGからAの変異であり、オリゴヌクレオチド構築物は、それに応じて設計され得る。本発明によるオリゴヌクレオチド構築物を使用して標的とされる可能性がある変異はまた、アデノシンデアミナーゼを動員する場合にCからA、UからA(DNAレベルでのTからA)を含む。後者の状況でのRNA編集は必ずしも変異を野生型に戻す場合があるとは限らないが、編集されたヌクレオチドは元の変異に対して改善をもたらす場合がある。例えば、インフレーム終止コドンを引き起こす変異(翻訳時に切断型タンパク質を生じさせる)は、その位置の元のアミノ酸ではない場合があるが、少なくともある機能性、少なくとも切断型タンパク質よりも多くの機能性を有する(全長)タンパク質を生じさせるアミノ酸をコードするコドンに変更される可能性がある。
【0255】
本発明は、遺伝子疾患、例えば、嚢胞性線維症、白皮症、アルファ-1-アンチトリプシン(A1AT)欠損症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、喘息、11サラセミア、Cadasil症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、遠位型脊髄性筋萎縮症(DSMA)、デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー、栄養障害型表皮水疱症、表皮水疱症、ファブリー病、第V因子ライデン関連障害、家族性大腸腺腫症、ガラクトース血症、ゴーシェ病、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、血友病、遺伝性ヘモクロマトーシス、ハンター症候群、ハンチントン病、ハーラー症候群、炎症性腸疾患(IBD)、遺伝性多凝集症候群、レーバー先天性黒内障、レッシュ・ナイハン症候群、リンチ症候群、マルファン症候群、ムコ多糖症、筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィーI型及びII型、神経線維腫、ニーマン・ピック病A型、B型及びC型、NY-ESO-1関連がん、パーキンソン病、ポイツ・ジェガース症候群、フェニルケトン尿症、ポンペ病、原発性線毛疾患、プロトロンビン変異関連障害(例えば、プロトロンビンG20210A変異)、肺高血圧症、網膜色素変性症、サンドホフ病、重症複合免疫不全症候群(SCID)、鎌状赤血球貧血、脊髄性筋萎縮症、シュタルガルト病、テイ・サックス病、アッシャー症候群、X連鎖性免疫不全、スタージ・ウェーバー症候群、レット症候群、ならびに様々ながん型(例えば、BRCA1及び2連鎖乳癌及び卵巣癌)などの処置に特に好適である。
【0256】
本発明のオリゴヌクレオチドは、アデノシン変異を脱アミノ化し、タンパク質活性の増加をもたらす可能性がある。
【0257】
ある特定の実施形態では、処置は、遺伝子の変異と診断されているが、まだ疾患症状を有しない対象(例えば、乳幼児、例えば、1か月~12か月齢の対象または2歳未満の対象など)に対して実施される。他の実施形態では、処置は、少なくとも1つの症状を有する個体に対して実施される。
【0258】
処置は、乳児期から始まり成人期までの、あらゆる年齢の対象で実施されてよい。対象は、例えば、出生時、6か月、または1歳、2歳、3歳、4歳、5歳、6歳、7歳、8歳、9歳、10歳、11歳、12歳、13歳、15歳、もしくは18歳で処置を開始してよい。
【0259】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、インビトロ及び/またはインビボでタンパク質活性を増加させる(例えば、100%、150%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%以上の増加、または1.2倍、1.4倍、1.5倍、1.8倍、2.0倍、3.0倍、3.5倍、4.5倍、5.0倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、100倍、1000倍超、もしくはそれを超える増加)。
【0260】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、脳内でのタンパク質活性を増加させる(例えば、100%、150%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%以上の増加、または1.2倍、1.4倍、1.5倍、1.8倍、2.0倍、3.0倍、3.5倍、4.5倍、5.0倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、100倍、1000倍超、もしくはそれを超える増加)。
【0261】
II.オリゴヌクレオチド剤
本発明のオリゴヌクレオチドは、ADAR酵素を動員して標的mRNA上の選択されたアデノシンを脱アミノ化できる少なくとも1つのミスマッチを除いて、標的mRNAに相補的である。いくつかの実施形態では、1個のアデノシンのみが脱アミノ化される。いくつかの実施形態では、1個、2個、または3個のアデノシンが脱アミノ化される。オリゴヌクレオチドは、標的アデノシンの反対側、例えば、Xにミスマッチを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、安定性を高めるための、及び/または脱アミノ化効率を高めるための修飾(例えば、代替ヌクレオチド)をさらに含んでよい。
【0262】
A.代替オリゴヌクレオチド
一実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドのうち1個以上が天然に存在し、当該技術分野において既知の、かつ本明細書に記載される、例えば、化学修飾及び/または複合化を含まない。別の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドのうち1個以上が、安定性または他の有益な特性を増強するために化学修飾される(例えば、代替ヌクレオチド)。理論に束縛されるものではないが、ある特定の修飾がヌクレアーゼ耐性及び/または血清安定性を増加させ得るか、または免疫原性を減少させ得ると考えられている。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、DNAもしくはRNA中において天然に存在することが見出されたヌクレオチド(例えば、アデニン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、もしくはイノシン)を含有してよいか、またはヌクレオチドの1つ以上の構成要素(例えば、核酸塩基、糖、もしくはホスホリンカー部分)に対して1つ以上の化学修飾を有するヌクレオチドを含有してよい。本発明のオリゴヌクレオチドは、天然に存在するホスホジエステル結合を介して互いに連結されてよいか、またはホスホロチオレート、3’-メチレンホスホネート、5’-メチレンホスホネート、3’-ホスホアミデート、2’-5’ホスホジエステル、グアニジニウム、S-メチルチオ尿素、もしくはペプチド結合を介して共有結合的に連結されるように修飾されてよい。
【0263】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドのうち1個以上が、式I~V:
のいずれか1つの構造を有する。
【0264】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドのうち1個以上が、式Iのいずれか1つの構造を有する、例えば、構造:
を有する。
【0265】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドのうち1個以上が、式IIのいずれか1つの構造を有する、例えば、構造:
を有する。
【0266】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドのうち1個以上が、式IIIのいずれか1つの構造を有する。
【0267】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドのうち1個以上が、式IVのいずれか1つの構造を有する、例えば、構造:
を有する。
【0268】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドのうち1個以上が、式Vのいずれか1つの構造を有する、例えば、構造:
を有する。
【0269】
本発明のある特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドの実質的に全てが、代替ヌクレオチドである。本発明の他の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドの全てが、代替ヌクレオチドである。「ヌクレオチドの実質的に全てが代替ヌクレオチドである」本発明のオリゴヌクレオチドは、完全にではないが、大部分が修飾されていて、5個、4個、3個、2個、または1個以下の天然に存在するヌクレオチドを含み得る。本発明のさらに他の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、5個、4個、3個、2個、または1個以下の代替ヌクレオチドを含み得る。
【0270】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、構造:
[A]-X-X-X-[B
を含み、式中、A及びBの各々がヌクレオチドであり、m及びnが各々、独立して5~40の整数であり、X、X、及びXのうち少なくとも1つが式Iの構造を有し、式中、Rがフルオロ、ヒドロキシ、もしくはメトキシであり、Nが核酸塩基であるか、または式Vの構造を有し、式中、Rが水素であり、Rが水素であり、式Iの構造を有しないX、X、及びXの各々が、リボヌクレオチドであり、[A]及び[B]が各々、少なくとも5個の末端2’-O-メチルヌクレオチド、少なくとも4つの末端ホスホロチオエート結合を含み、[A]及び[B]の全て合わせたヌクレオチドの少なくとも20%が、2’-O-メチルヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、Xがアデニン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含むか、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがアデニン核酸塩基を含むか、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがグアニンまたはヒポキサンチン核酸塩基を含むか、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがウラシルまたはチミン核酸塩基を含むか、あるいはXがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含み、Xがシトシン、5-メチルシトシン、ウラシル、もしくはチミン核酸塩基を含むか、または核酸塩基を含まず、Xがシトシンまたは5-メチルシトシン核酸塩基を含む。
【0271】
本発明の例示的なオリゴヌクレオチドが、以下の表3に示される。表3では、A、C、G及びUはリボヌクレオシドであり、mA、mC、mG及びmUは2’-O-メチルリボヌクレオシドであり、fCは2’-デオキシ-2’-フルオロアラビノシチジンを表し、fAは2’-デオキシ-2’-フルオロアラビノアデノシンを表し、aCはアラビノシチジンを表し、aAはアラビノアデノシンを表し、amCは2’-O-メチル-アラビノシチジンを表し、amAは2’-O-メチル-アラビノアデノシンを表し、αCはα-2’-デオキシシチジンを表し、dSは2’-デオキシリボース(脱塩基DNA)を表し、rSはリボース(脱塩基RNA)を表し、mSは2’-O-メチル-リボース(脱塩基2’-OMe-RNA)を表し、アスタリスクはホスホロチオエート結合を示す(残りの結合はホスホジエステル結合である)。
【0272】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ADAR酵素の動員ドメイン(例えば、ADAR動員ドメイン)として機能するステムループ構造を含む。そのようなオリゴヌクレオチドは、「axiomer AON」または「自己ループ化AON」と称されてよい。動員部分は、細胞内に存在する天然ADAR酵素を、標的配列と標的化部分とのハイブリダイゼーションによって形成されるdsRNAに動員するように機能する。動員部分は、天然基質(例えば、グルタミン酸イオンチャネル型受容体AMPA型サブユニット2(GluR2)受容体、例えば、GluR2 ADAR動員ドメインなど)またはADAR酵素のdsRNA結合領域によって認識されることで知られているZ-DNA構造(例えば、Z-DNA ADAR動員ドメイン)のいずれかを模倣するステムループ構造であってよい。GluR2及びZ-DNA ADAR動員ドメインは、ADARに対する高親和性結合パートナーであるため、修飾組換えADAR酵素の複合化実体または存在は必要ない。ステムループ構造は、2つの別個の核酸鎖によって形成される分子間ステムループ構造、または単一の核酸鎖内で形成される分子内ステムループ構造であり得る。動員部分のステムループ構造は、WO2016/097212、US2018/0208924、Merkle et al.Nature Biotechnology,37:133-8(2019)、Katrekar et al.Nature Methods,16(3):239-42(2019)、Fukuda et al.Scientific Reports,7:41478(2017)に記載されているステムループ構造であってよく、そのADAR動員部分のステムループ構造が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のADAR動員ドメイン(例えば、1つまたは2つのADAR動員ドメイン)を含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、式VI、VII、IX、またはXのいずれか1つの構造を有するものを含む。一実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、式XXIV:
C-L-D
式XXIV
の構造を有するADAR動員ドメインを含むものを含み、式中、Cが約10~50個の連結ヌクレオシド長(例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、46、47、48、49、または50個の連結ヌクレオシド長)の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、Lがループ領域であり、Dが約10~50個の連結ヌクレオシド長(例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、46、47、48、49、または50個の連結ヌクレオシド長)の一本鎖オリゴヌクレオチドである。
【0274】
いくつかの実施形態では、Cは、2本の鎖が好適な条件下でハイブリダイズし、二本鎖を形成するようにDに相補的である領域を含む。一般に、二本鎖構造は、5~50個の連結ヌクレオシド長、例えば、5~49個、5~45個、5~40個、5~35個、5~30個、5~25個、5~20個、5~15個、5~10個、5~6個、8~50個、8~45個、8~40個、8~35個、8~30個、8~25個、8~20個、8~15個、8~10個、15~50個、15~45個、15~40個、15~35個、15~30個、15~25個、15~20個、15~16個、20~50個、20~45個、20~40個、20~35個、20~30個、20~25個、25~50個、25~45個、25~40個、25~35個、または25~30個の連結ヌクレオシド長である。上に列挙される範囲及び長さに対して中間の範囲及び長さもまた、本発明の一部であると企図される。いくつかの実施形態では、Cは、Dの少なくとも5個の隣接する核酸塩基(例えば、5個、10個、15個、20個、25個、30個、またはそれを超える隣接する核酸塩基)に相補的であり、オリゴヌクレオチドは、10~50個の連結ヌクレオシド長(例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、46、47、48、49、または50個の連結ヌクレオシド長)の二本鎖構造を形成する。
【0275】
いくつかの実施形態では、二本鎖構造は、CのヌクレオチドとDのヌクレオチドとの間に少なくとも1つのミスマッチ(例えば、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのミスマッチ)を含む。いくつかの実施形態では、ミスマッチは、AからCの対のミスマッチである。いくつかの実施形態では、AからCのミスマッチのAヌクレオシドはC鎖上にあり、AからCのミスマッチのCヌクレオシドはD鎖上にある。いくつかの実施形態では、AからCのミスマッチのAヌクレオシドはD鎖上にあり、AからCのミスマッチのCヌクレオシドはC鎖上にある。他の実施形態では、ミスマッチは、GからGの対のミスマッチである。さらに他の実施形態では、ミスマッチは、CからAの対のミスマッチである。いくつかの実施形態では、CからAのミスマッチのCヌクレオシドはC鎖上にあり、CからAのミスマッチのAヌクレオシドはD鎖上にある。いくつかの実施形態では、CからAのミスマッチのCヌクレオシドはD鎖上にあり、CからAのミスマッチのAヌクレオシドはC鎖上にある。いくつかの実施形態では、ミスマッチは、IからIの対のミスマッチである。いくつかの実施形態では、ミスマッチは、IからGの対のミスマッチである。いくつかの実施形態では、IからGのミスマッチのIヌクレオシドはC鎖上にあり、IからGのミスマッチのGヌクレオシドはD鎖上にある。いくつかの実施形態では、IからGのミスマッチのIヌクレオシドはD鎖上にあり、IからGのミスマッチのGヌクレオシドはC鎖上にある。いくつかの実施形態では、ミスマッチは、GからIの対のミスマッチである。いくつかの実施形態では、GからIのミスマッチのGヌクレオシドはC鎖上にあり、GからIのミスマッチのIヌクレオシドはD鎖上にある。いくつかの実施形態では、GからIのミスマッチのGヌクレオシドはD鎖上にあり、GからIのミスマッチのIヌクレオシドはC鎖上にある。いくつかの実施形態では、ミスマッチは、代替核酸塩基を有するヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、代替核酸塩基は、構造:
(式中、Rが、水素、トリフルオロメチル、場合により置換されるアミノ、ヒドロキシル、もしくは場合により置換されるC~Cアルコキシであり、
が、水素、場合により置換されるアミノ、もしくは場合により置換されるC~Cアルキルであり、
及びRが、独立して水素、ハロゲン、もしくは場合により置換されるC~Cアルキルである)を有するか、またはその塩である。いくつかの実施形態では、Rは、水素結合供与基(例えば、ヒドロキシル基、アミノ基)である。いくつかの実施形態では、Rは、水素結合受容基(例えば、アルコキシ基)である。
【0276】
いくつかの実施形態では、二本鎖構造は2つのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、ミスマッチは、少なくとも3個の連結ヌクレオシド分だけ離れている。例えば、ミスマッチが「3個のヌクレオチドによって分離されている」場合、オリゴヌクレオチドは、構造M-N-N-N-Mを含み、式中、Mが第1ミスマッチであり、N、N、及びNが対合核酸塩基であり、Mが第2ミスマッチである。いくつかの実施形態では、MはAからCの対のミスマッチであり、MはGからGの対のミスマッチである。
【0277】
いくつかの実施形態では、ループ領域Lは、連結ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、Lは、少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む。
【0278】
他の実施形態では、ループ領域は、式VIII:
-(G-(H-(G-(I)-(G-(H-(G-F
式VIII
の構造を有し、式中、Fがループ領域とCとの間の結合であり、FがDとヌクレオチドとの間の結合またはDと場合により、リンカーとの間の結合であり、G、G、G、及びGが各々、独立して場合により置換されるC1~C2アルキル、場合により置換されるC1~C3ヘテロアルキル、O、S、及びNRから選択され、Rが、水素、場合により置換されるC1~4アルキル、場合により置換されるC2~4アルケニル、場合により置換されるC2~4アルキニル、場合により置換されるC2~6ヘテロシクリル、場合により置換されるC6~12アリール、または場合により置換されるC1~7ヘテロアルキルであり、C及びCが各々、独立してカルボニル、チオカルボニル、スルホニル、またはホスホリルから選択され、j、k、m、n、p、及びqが各々、独立して0または1であり、Iが、場合により置換されるC1~10アルキル、場合により置換されるC2~10アルケニル、場合により置換されるC2~10アルキニル、場合により置換されるC2~6ヘテロシクリル、場合により置換されるC6~12アリール、場合により置換されるC~C10ポリエチレングリコール、もしくは場合により置換されるC1~10ヘテロアルキル、またはF-(G-(H-(G-(I)-(G-(H-(G-Fを連結する化学結合である。いくつかの実施形態では、リンカーは任意である。
【0279】
いくつかの実施形態では、ループ領域Lは、炭水化物含有連結部分を含む。
【0280】
一実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドのうち1個以上が天然に存在し、当該技術分野において既知の、かつ本明細書に記載される、例えば、化学修飾及び/または複合化を含まない。別の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドのうち1個以上が、安定性または他の有益な特性を増強するために化学修飾される(例えば、代替ヌクレオチド)。理論に束縛されるものではないが、ある特定の修飾がヌクレアーゼ耐性及び/または血清安定性を増加させ得るか、または免疫原性を減少させ得ると考えられている。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、DNAもしくはRNA中において天然に存在することが見出されたヌクレオチド(例えば、アデニン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、もしくはイノシン)を含有してよいか、またはヌクレオチドの1つ以上の構成要素(例えば、核酸塩基、糖、もしくはホスホリンカー部分)に対して1つ以上の化学修飾を有するヌクレオチドを含有してよい。本発明のオリゴヌクレオチドは、天然に存在するホスホジエステル結合を介して互いに連結されてよいか、またはホスホロチオレート、3’-メチレンホスホネート、5’-メチレンホスホネート、3’-ホスホアミデート、2’-5’ホスホジエステル、グアニジニウム、S-メチルチオ尿素、もしくはペプチド結合を介して共有結合的に連結されるように修飾されてよい。
【0281】
いくつかの実施形態では、Cは、少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む。いくつかの実施形態では、Dは、少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む。いくつかの実施形態では、C及びDの両方とも、各々が少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む。
【0282】
本発明のある特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドの実質的に全てが、代替ヌクレオチドである。本発明の他の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチドの全てが、代替ヌクレオチドである。「ヌクレオチドの実質的に全てが代替ヌクレオチドである」本発明のオリゴヌクレオチドは、完全にではないが、大部分が修飾されていて、5個、4個、3個、2個、または1個以下の天然に存在するヌクレオチドを含み得る。本発明のさらに他の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、5個、4個、3個、2個、または1個以下の代替ヌクレオチドを含み得る。
【0283】
一実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、式XXIVの構造を有するADAR動員ドメインを含み、式中、Cが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、Lがループ領域であり、Dが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、Cは、Dの少なくとも5個の隣接する核酸塩基に相補的であり、オリゴヌクレオチドは、10~50個の連結ヌクレオシド長のC及びDによって形成される二本鎖構造を含む。いくつかの実施形態では、二本鎖構造は、少なくとも1つのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、CまたはDは、少なくとも1個の代替核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、C及びDは各々、少なくとも1個の代替核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、C及び/またはDは、独立して少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合及び/または少なくとも1つの代替糖部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、Lは連結ヌクレオチドを含む。他の実施形態では、Lは連結ヌクレオシドからなる。いくつかの実施形態では、Lは、少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む。
【0284】
別の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、式XXIVの構造を有するADAR動員ドメインを含み、式中、Cが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、Lが連結ヌクレオシドからならないループ領域であり、Dが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、Cは、Dの少なくとも5個の隣接する核酸塩基に相補的であり、オリゴヌクレオチドは、10~50個の連結ヌクレオシド長のC及びDによって形成される二本鎖構造を含む。いくつかの実施形態では、二本鎖構造は、少なくとも1つのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、Lは、本明細書に記載されるような、式VIIIの構造を有する。いくつかの実施形態では、Lは、炭水化物含有連結部分を含む。いくつかの実施形態では、C及び/またはDは、独立して少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む。
【0285】
別の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、式XXIVの構造を有するADAR動員ドメインを含み、式中、Cが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、Lが、少なくとも1個の代替核酸塩基または少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合を含むループ領域であり、Dが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、Cは、Dの少なくとも5個の隣接する核酸塩基に相補的であり、オリゴヌクレオチドは、10~50個の連結ヌクレオシド長のC及びDによって形成される二本鎖構造を含む。いくつかの実施形態では、二本鎖構造は、少なくとも1つのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、Lは、少なくとも1個の代替核酸塩基及び少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合を含む。
【0286】
別の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、式XXIVの構造を有するADAR動員ドメインを含み、式中、Cが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドであり、Lが、2’-O-メチル糖部分ではない少なくとも1つの代替糖部分(例えば、代替糖部分が、2’-O-C~Cアルキル糖部分、2’-アミノ糖部分、2’-フルオロ糖部分、2’-O-MOE糖部分、LNA糖部分、アラビノ核酸(ANA)糖部分、2’-フルオロ-ANA糖部分、デオキシリボース糖部分、及び二環式核酸からなる群から選択される)を含むループ領域であり、Dが、10~50個の連結ヌクレオシド長の一本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、Cは、Dの少なくとも5個の隣接する核酸塩基に相補的であり、オリゴヌクレオチドは、10~50個の連結ヌクレオシド長のC及びDによって形成される二本鎖構造を含む。いくつかの実施形態では、二本鎖構造は、少なくとも1つのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、C及び/またはDは、独立して少なくとも1個の代替核酸塩基、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合、及び/または少なくとも1つの代替糖部分を含む。
【0287】
いくつかの実施形態では、Cは、配列番号.1、4、7、10、13、16、19、22、25、28、31、及び34のいずれか1つに示される核酸塩基配列に対して少なくとも50%の配列同一性(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性)を有する核酸塩基配列を含み、Dは、Cの核酸塩基配列に相補的な核酸塩基配列を含み、配列は、本明細書に記載されるような少なくとも1つのミスマッチを含む。他の実施形態では、Dは、配列番号.2、5、8、11、14、17、20、23、26、29、32、及び35のいずれか1つに示される核酸塩基配列に対して少なくとも50%の配列同一性(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性)を有する核酸塩基配列を含み、Cは、Dの核酸塩基配列に相補的な核酸塩基配列を含み、配列は、本明細書に記載されるような少なくとも1つのミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、C-L-Dは、配列番号.3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、及び36のいずれか1つに示される核酸塩基配列に対して少なくとも50%の配列同一性(例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性)を有する核酸塩基配列を含み、配列は、本明細書に記載されるような少なくとも1つのミスマッチを含む。
【0288】
配列番号.1~36の核酸塩基配列が、以下に提供される:
【0289】
配列番号.1~36の配列は非修飾及び/または非複合化配列として記載されているが、本発明のオリゴヌクレオチドのRNAは、以下で詳細に記載されるように代替ヌクレオシドある、及び/または複合化されている、配列番号.1~36に示される配列のいずれか1つを含んでよいと理解されることになる。
【0290】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、5’キャップ構造をさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、5’キャップ構造は、2,2,7-トリメチルグアノシンキャップである。
【0291】
本発明のオリゴヌクレオチドは、以下でさらに述べられるように当該技術分野において既知の標準的な方法によって、例えば、自動DNA合成装置、例えば、Biosearch、Applied Biosystems,Incから市販されているものなどの使用によって合成され得る。
【0292】
オリゴヌクレオチド化合物は、液相もしくは固相有機合成またはその両方を使用して調製され得る。有機合成は、非天然または代替ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドが容易に調製され得るという利点を提供する。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、液相もしくは固相有機合成またはその両方を使用して調製され得る。
【0293】
さらに、本明細書で同定される任意の配列について、より長いまたはより短い配列を生成するために連結ヌクレオシドを系統的に付加または除去することのいずれかによって、さらなる最適化が達成され得ると企図される。さらに、そのような最適化配列は、例えば、本明細書に記載されるような、または当該技術分野において既知のような代替ヌクレオシド、代替糖部分、及び/または代替ヌクレオシド間結合、例えば、さらに分子を最適化する(例えば、血清安定性もしくは循環半減期の増加、熱安定性の増加、膜貫通送達の増強、特定の位置もしくは細胞型への標的化、及び/またはRNA編集酵素(例えば、ADAR)との相互作用の増加)ための、当該技術分野において既知のような、及び/または本明細書で述べられる代替ヌクレオシド、代替糖部分、及び/または代替ヌクレオシド間結合を含むものの導入によって調整され得る。
【0294】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つのADAR動員ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ADAR動員ドメインは、オリゴヌクレオチドの5’末端にある。いくつかの実施形態では、ADAR動員ドメインは、オリゴヌクレオチドの3’末端にある。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第1ADAR動員ドメイン及び第2ADAR動員ドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1ADAR動員ドメインは、オリゴヌクレオチドの5’末端にあり、第2ADAR動員ドメインは、オリゴヌクレオチドの3’末端にある。いくつかの実施形態では、1つ以上のADAR動員ドメインが、GluR2 ADAR動員ドメインである。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.37のヌクレオチド配列を有する:
GGUGAAUAGUAUAACAAUAUGCUAAAUGUUGUUAUAGUAUCCACC(配列番号.37)
【0295】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XI:
式XI
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.38のヌクレオチド配列を有する:
GGUGAAGAGGAGAACAAUAUGCUAAAUGUUGUUCUCGUCUCCACC(配列番号.38)
【0296】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XII:
式XII
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.39のヌクレオチド配列を有する:
GGUGUCGAGAAGAGGAGAACAAUAUGCUAAAUGUUGUUCUCGUCUCCUCGACACC(配列番号.39)
【0297】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XIII:
式XIII
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。
【0298】
いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.40のヌクレオチド配列を有する:
*s*s*G**GAGAAGAGGAGAA*AA*A*G**AAA*G**G*****G*******GA*A**(配列番号.40)
式中、*が2’-O-メチルヌクレオチドであり、sが2つの連結ヌクレオチド間のホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XIV:
式XIV
の構造を含み、式中、[ASO]が請求項1~38のいずれか1項または請求項45~49のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチドを含み、*が2’-O-メチルヌクレオチドであり、sがホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、ADAR動員ドメインは、少なくとも1個のヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド(例えば、2’-O-メチルヌクレオチド)をさらに含む。いくつかの実施形態では、ADAR動員ドメインは、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合(例えば、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合)を含む。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.41のヌクレオチド配列を有する:
GGGUGGAAUAGUAUAACAAUAUGCUAAAUGUUGUUAUAGUAUCCCACCU(配列番号.41)
【0299】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XV:
式XV
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.42のヌクレオチド配列を有する:
GUGGAAUAGUAUAACAAUAUGCUAAAUGUUGUUAUAGUAUCCCAC(配列番号.42)
【0300】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XVI:
式XVI
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.43のヌクレオチド配列を有する:
GGUGUCGAGAAUAGUAUAACAAUAUGCUAAAUGUUGUUAUAGUAUCCUCGACACC(配列番号.43)
【0301】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XVII:
式XVII
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.44のヌクレオチド配列を有する:
GGGUGGAAUAGUAUAACAAUAUGCUAAAUGUUGUUAUAGUAUCCCACCU(配列番号.44)
【0302】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XVIII:
式XVIII
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.45のヌクレオチド配列を有する:
GGGUGGAAUAGUAUACCAUUCGUGGUAUAGUAUCCCACCU(配列番号.45)
【0303】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XIX:
式XIX
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.46のヌクレオチド配列を有する:
GUGGGUGGAAUAGUAUACCAUUCGUGGUAUAGUAUCCCACCUAC(配列番号.46)
【0304】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XX:
式XX
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.47のヌクレオチド配列を有する:
UGGGUGGAAUAGUAUACCAUUCGUGGUAUAGUAUCCCACCUA(配列番号.47)
【0305】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XXI:
式XXI
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.48のヌクレオチド配列を有する:
GGUGGAAUAGUAUACCAUUCGUGGUAUAGUAUCCCACC(配列番号.48)
【0306】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XXII:
式XXII
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。いくつかの実施形態では、GluR2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.49のヌクレオチド配列を有する:
GUGGAAUAGUAUACCAUUCGUGGUAUAGUAUCCCAC(配列番号.49)
【0307】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下に示されるような、式XXIII:
式XXIII
の構造を含み、式中、[ASO]が、本発明のオリゴヌクレオチドのいずれかを含み、mがミスマッチヌクレオチドを示す。
【0308】
いくつかの実施形態では、ADAR動員ドメインは、Z-DNA ADAR動員ドメインである。いくつかの実施形態では、ADAR動員ドメインは、MS2 ADAR動員ドメインである。いくつかの実施形態では、MS2バクテリオファージステムループ構造は、ADAR動員ドメイン(例えば、MS2 ADAR動員ドメイン)として使用されてよい。MS2ステムループは、MS2バクテリオファージコートタンパク質に結合することが知られていて、それがADARのデアミナーゼドメインに融合される場合(例えば、ADAR融合タンパク質)、標的特異的脱アミノ化に使用され得る。いくつかの実施形態では、MS2 ADAR動員ドメインは、以下に示される通り、5’から3’の方向に配列番号.50のヌクレオチド配列を有する:
ACATGAGGATCACCCATGT(配列番号.50)
【0309】
いくつかの実施形態では、ADAR融合タンパク質は、ADAR融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター構築物を使用して、細胞に、または対象に投与される。いくつかの実施形態では、ADAR融合タンパク質は、MS2バクテリオファージコートタンパク質に融合されたADARのデアミナーゼドメインを含む。いくつかの実施形態では、ADARのデアミナーゼドメインは、ADAR1のデアミナーゼドメインである。いくつかの実施形態では、ADARのデアミナーゼドメインは、ADAR2のデアミナーゼドメインである。ADAR融合タンパク質は、Katrekar et al.Nature Methods,16(3):239-42(2019)に記載されている融合タンパク質であってよく、そのADAR融合タンパク質が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0310】
本発明で注目される核酸は、当該技術分野で十分に確立された方法、例えば、“Current protocols in nucleic acid chemistry,”Beaucage,S.L.et al.(Edrs.),John Wiley&Sons,Inc.,New York,N.Y.,USA(これは参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されているものなどによって合成及び/または修飾され得る。代替ヌクレオチド及びヌクレオシドとしては、修飾、例えば、末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、複合化、逆結合)もしくは3’末端修飾(複合化、DNAヌクレオチド、逆結合など)、塩基修飾、例えば、安定化塩基、不安定化塩基、もしくは広範囲なレパートリーのパートナーと塩基対合する塩基との置換、塩基(脱塩基ヌクレオチド)、もしくは複合化塩基の除去、糖修飾(例えば、2’位もしくは4’位の)もしくは糖の置換、及び/またはホスホジエステル結合の修飾もしくは置換を含む、骨格修飾を含むものが挙げられる。核酸塩基はまた、核酸塩基が糖部分のC1位から異なる位置(例えば、C2、C3、C4、またはC5)に移動しているイソヌクレオシドであってよい。本明細書に記載される実施形態に有用なオリゴヌクレオチド化合物の具体例としては、修飾骨格または非天然ヌクレオシド間結合を含有する代替ヌクレオシドが挙げられるが、これに限定されない。修飾骨格を有するヌクレオチド及びヌクレオシドは、とりわけ、骨格中にリン原子を有しないものを含む。本明細書の目的のために、及び当該技術分野において言及される時もあるように、RNAのヌクレオシド間骨格中にリン原子を有しない代替RNAもまた、オリゴヌクレオシドであると見なされ得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのヌクレオシド間骨格中にリン原子を有することになる。
【0311】
代替ヌクレオシド間結合としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネート、例えば、3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含むもの、ホスフィナート、ホスホルアミデート、例えば、3’-アミノホスホルアミデート及びアミノアルキルホスホルアミデートを含むもの、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびに通常の3’-5’結合を有するボロノホスフェート、これらの2’-5’結合類似体、及びヌクレオシド単位の隣接する対が、3’-5’~5’-3’または2’-5’~5’-2’で連結されている反転極性を有するものが挙げられる。様々な塩、混合塩、及び遊離酸形態も含まれる。
【0312】
上記のリン含有結合の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第3,687,808号、同第4,469,863号、同第4,476,301号、同第5,023,243号、同第5,177,195号、同第5,188,897号、同第5,264,423号、同第5,276,019号、同第5,278,302号、同第5,286,717号、同第5,321,131号、同第5,399,676号、同第5,405,939号、同第5,453,496号、同第5,455,233号、同第5,466,677号、同第5,476,925号、同第5,519,126号、同第5,536,821号、同第5,541,316号、同第5,550,111号、同第5,563,253号、同第5,571,799号、同第5,587,361号、同第5,625,050号、同第6,028,188号、同第6,124,445号、同第6,160,109号、同第6,169,170号、同第6,172,209号、同第6,239,265号、同第6,277,603号、同第6,326,199号、同第6,346,614号、同第6,444,423号、同第6,531,590号、同第6,534,639号、同第6,608,035号、同第6,683,167号、同第6,858,715号、同第6,867,294号、同第6,878,805号、同第7,015,315号、同第7,041,816号、同第7,273,933号、同第7,321,029号、及び米国特許第RE39464号が挙げられるが、これらに限定されず、その各々の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0313】
結合内にリン原子を含まない代替ヌクレオシド間結合は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子及びアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間結合によって形成される骨格を有する。これらとしては、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分から一部が形成される)、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、アミド骨格を有するもの、ならびに混合N、O、S、及びCH構成要素部分を有する他のものが挙げられる。
【0314】
上記のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,214,134号、同第5,216,141号、同第5,235,033号、同第5,64,562号、同第5,264,564号、同第5,405,938号、同第5,434,257号、同第5,466,677号、同第5,470,967号、同第5,489,677号、同第5,541,307号、同第5,561,225号、同第5,596,086号、同第5,602,240号、同第5,608,046号、同第5,610,289号、同第5,618,704号、同第5,623,070号、同第5,663,312号、同第5,633,360号、同第5,677,437号、及び同第5,677,439号が挙げられるが、これらに限定されず、その各々の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0315】
他の実施形態では、好適なオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド単位の糖及びヌクレオシド間結合の両方、すなわち、骨格が置換されているものを含む。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。1つのそのようなオリゴマー化合物である、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されている模倣物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物では、ヌクレオシドの糖は、アミド含有骨格、特にアミノエチルグリシン骨格で置換される。核酸塩基は保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号、及び同第5,719,262号が挙げられるが、これらに限定されず、その各々の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本発明のオリゴヌクレオチドでの使用に好適な追加のPNA化合物は、例えば、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497-1500に記載されている。
【0316】
本発明で注目されるいくつかの実施形態は、ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチド及びヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオチド、ならびに特に-CH-NH-CH-、-CH-N(CH)-O-CH-[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として知られる]、上述した米国特許第5,489,677号の-CH-O-N(CH)-CH-、-CH-N(CH)-N(CH)-CH-及び-N(CH)-CH-CH-[式中、天然のホスホジエステル骨格が-O-P-O-CH-として表される]、ならびに上述した米国特許第5,602,240号のアミド骨格を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で注目されるオリゴヌクレオチドは、上述した米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有する。他の実施形態では、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)を含み、その場合に、Summerton,et al.,Antisense Nucleic Acid Drug Dev.1997,7:63-70に記載されるように、デオキシリボース部分がモルホリン環によって置換され、荷電ホスホジエステルサブユニット間結合が、非荷電ホスホロジアミデート結合によって置換される。
【0317】
代替ヌクレオシド及びヌクレオチドはまた、1つ以上の置換糖部分を含有し得る。オリゴヌクレオチド、例えば、本明細書で注目されるオリゴヌクレオチドは、2’位に以下のうち1つを含み得る:OH、F、O-、S-、もしくはN-アルキル、O-、S-、もしくはN-アルケニル、O-、S-もしくはN-アルキニル、またはO-アルキル-O-アルキル、式中、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換または非置換C~C10アルキルまたはC~C10アルケニル及びアルキニルであり得る。例示的で好適な修飾としては、-O[(CHO]CH、-O(CHOCH、-O(CH-NH、-O(CHCH、-O(CH-ONH、及び-O(CH-ON[(CHCHが挙げられ、式中、n及びmが1~約10である。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’位に以下のうち1つを含む:C~C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリールもしくはO-アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、及び同様の特性を有する他の置換基。いくつかの実施形態では、修飾は、2’-メトキシエトキシ(2’-O-CHCHOCHであって、2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとしても知られる)(Martin et al.,Helv.Chin.Acta,1995,78:486-504)、すなわち、アルコキシ-アルコキシ基を含む。2’-O-MOEヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドに対していくつかの有益な特性を付与し、これらとしては非修飾オリゴヌクレオチドと比較した場合のヌクレアーゼ耐性の増加、薬物動態特性の改善、非特異的タンパク質結合の減少、毒性の減少、免疫賦活特性の減少、及び標的親和性の増強が挙げられるが、これらに限定されない。
【0318】
別の例示的な代替物は、本明細書中以下の実施例に記載されるような、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、2’-DMAOEとしても知られる-O(CHON(CH基、及び2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該技術分野において、2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’-DMAEOEとしても知られる)、すなわち、2’-O-(CH-O-(CH-N(CHを含有する。さらなる例示的な代替物としては、5’-Me-2’-Fヌクレオチド、5’-Me-2’-OMeヌクレオチド、5’-Me-2’-デオキシヌクレオチド(これらの3つのファミリーにおけるR及びS異性体の両方)、2’-アルコキシアルキル、及び2’-NMA(N-メチルアセトアミド)が挙げられる。
【0319】
他の代替物としては、2’-メトキシ(2’-OCH)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCHCHCHNH)及び2’-フルオロ(2’-F)が挙げられる。同様の修飾もまた、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド及びヌクレオチド上における他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上の、または2’-5’結合オリゴヌクレオチド中の糖の3’位及び5’末端ヌクレオチドの5’位で行われ得る。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル部分などの糖模倣物も有し得る。そのような修飾糖構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第4,981,957号、同第5,118,800号、同第5,319,080号、同第5,359,044号、同第5,393,878号、同第5,446,137号、同第5,466,786号、同第5,514,785号、同第5,519,134号、同第5,567,811号、同第5,576,427号、同第5,591,722号、同第5,597,909号、同第5,610,300号、同第5,627,053号、同第5,639,873号、同第5,646,265号、同第5,658,873号、同第5,670,633号、及び同第5,700,920号が挙げられるが、これらに限定されず、そのいくつかが本出願と所有者が共通である。前述した特許の各々の内容全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0320】
本発明のオリゴヌクレオチドは、核酸塩基(当該技術分野では単に「塩基」と称されることが多い)代替物(例えば、修飾物または置換物)も含み得る。非修飾または天然核酸塩基としては、プリン塩基のアデニン(A)及びグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)が挙げられる。代替核酸塩基としては、他の合成及び天然核酸塩基、例えば、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、5-ホルミルシトシン、5-カルボキシシトシン、ピロロシトシン、ジデオキシシトシン、ウラシル、5-メトキシウラシル、5-ヒドロキシデオキシウラシル、ジヒドロウラシル、4-チオウラシル、シュードウラシル、1-メチル-シュードウラシル、デオキシウラシル、5-ヒドロキシブチニル-2’-デオキシウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン、7-デアザ-キサンチン、チエノグアニン、8-アザ-7-デアザグアニン、7-メチルグアニン、7-デアザグアニン、6-アミノメチル-7-デアザグアニン、8-アミノグアニン、2,2,7-トリメチルグアニン、8-メチルアデニン、8-アジドアデニン、7-メチルアデニン、7-デアザアデニン、3-デアザアデニン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、8-アミノ-アデニン、チミン、ジデオキシチミン、5-ニトロインドール、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、ならびに3-デアザグアニンなどが挙げられる。さらなる核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号に開示されるもの、Modified Nucleosides in Biochemistry,Biotechnology and Medicine,Herdewijn,P.ed.Wiley-VCH,2008に開示されるもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,pages 858-859,Kroschwitz,J.L,ed.John Wiley&Sons,1990に開示されるもの、Englisch et al.,(1991)Angewandte Chemie,International Edition,30:613によって開示されるもの、及びSanghvi,Y S.,Chapter 15,Antisense Research and Applications,pages 289-302,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Ed.,CRC Press,1993によって開示されるものが挙げられる。これらの核酸塩基のいくつかは、本発明で注目されるオリゴマー化合物の結合親和性を増加させるのに特に有用である。これらとしては、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびにN-2、N-6及びO-6置換プリン、例えば、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、及び5-プロピニルシトシンを含むものが挙げられる。5-メチルシトシン置換は、核酸二本鎖安定性を0.6~1.2℃増加させることが示されていて(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,Antisense Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276-278)、とりわけ、2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わされる場合に、例示的な塩基置換である。
【0321】
上記した代替核酸塩基のいくつかに加えて、他の代替核酸塩基の調製を教示する代表的な米国特許としては、上記した米国特許第3,687,808号、同第4,845,205号、同第5,130,30号、同第5,134,066号、同第5,175,273号、同第5,367,066号、同第5,432,272号、同第5,457,187号、同第5,459,255号、同第5,484,908号、同第5,502,177号、同第5,525,711号、同第5,552,540号、同第5,587,469号、同第5,594,121号、同第5,596,091号、同第5,614,617号、同第5,681,941号、同第5,750,692号、同第6,015,886号、同第6,147,200号、同第6,166,197号、同第6,222,025号、同第6,235,887号、同第6,380,368号、同第6,528,640号、同第6,639,062号、同第6,617,438号、同第7,045,610号、同第7,427,672号、及び同第7,495,088号が挙げられるが、これらに限定されず、その各々の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0322】
他の実施形態では、ヌクレオチド中の糖部分はリボース分子であってよく、場合により2’-O-メチル、2’-O-MOE、2’-F、2’-アミノ、2’-O-プロピル、2’-アミノプロピル、または2’-OH修飾を有する。
【0323】
本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の二環式糖部分を含み得る。「二環式糖」は、2個の原子の架橋によって修飾されるフラノシル環である。「二環式ヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の2個の炭素原子を連結させる架橋を含む糖部分を有し、それによって二環式環系を形成するヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、架橋は、糖環の4’-炭素と2’-炭素とを連結させる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の薬剤は、1個以上のロックドヌクレオシドを含んでよい。ロックドヌクレオシドは修飾リボース部分を有するヌクレオシドであり、その場合にリボース部分は、2’及び4’炭素を連結させる追加の架橋を含む。言い換えれば、ロックドヌクレオシドは、4’-CH-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオシドである。この構造は、3’エンド構造コンフォメーション中のリボースを効果的に「ロック」する。オリゴヌクレオチドへのロックドヌクレオシドの付加は、血清中のオリゴヌクレオチド安定性を高め、オフターゲット効果を減少させることが示されている(Grunweller,A.et al.,(2003)Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。本発明のポリヌクレオチドに使用するための二環式ヌクレオシドの例としては、4’リボシル環原子と2’リボシル環原子との間に架橋を含むヌクレオシドが挙げられるが、これに限定されない。ある特定の実施形態では、本発明のポリヌクレオチド剤は、4’から2’の架橋を含む1個以上の二環式ヌクレオシドを含む。そのような4’から2’の架橋二環式ヌクレオシドの例としては、4’-(CH)-O-2’(LNA)、4’-(CH)-S-2’、4’-(CH-O-2’(ENA)、4’-CH(CH)-O-2’(「拘束エチル」または「cEt」とも称される)ならびに4’-CH(CHOCH)-O-2’(及びその類似体、例えば、米国特許第7,399,845号を参照のこと)、4’-C(CH)(CH)-O-2’(及びその類似体、例えば、米国特許第8,278,283号を参照のこと)、4’-CH-N(OCH)-2’(及びその類似体、例えば、米国特許第8,278,425号を参照のこと)、4’-CH-O-N(CH-2’(例えば、米国特許公報第2004/0171570号を参照のこと)、4’-CH-N(R)-O-2’(式中、RがH、C~C12アルキル、または保護基である)(例えば、米国特許第7,427,672号を参照のこと)、4’-CH-C(H)(CH)-2’(例えば、Chattopadhyaya et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118-134を参照のこと)、ならびに4’-CH-C(=CH)-2’(及びその類似体、例えば、米国特許第8,278,426号を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。前述した特許の各々の内容全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0324】
ロックド核酸ヌクレオチドの調製を教示する追加の代表的な米国特許及び米国特許公報としては、次の米国特許第6,268,490号、同第6,525,191号、同第6,670,461号、同第6,770,748号、同第6,794,499号、同第6,998,484号、同第7,053,207号、同第7,034,133号、同第7,084,125号、同第7,399,845号、同第7,427,672号、同第7,569,686号、同第7,741,457号、同第8,022,193号、同第8,030,467号、同第8,278,425号、同第8,278,426号、同第8,278,283号、US2008/0039618、及びUS2009/0012281が挙げられるが、これらに限定されず、その各々の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0325】
前述の二環式ヌクレオシドのいずれも、例えば、α-L-リボフラノース及びβ-D-リボフラノース(WO99/14226を参照のこと)を含む1つ以上の立体化学糖配置を有して調製され得る。
【0326】
本発明のオリゴヌクレオチドはまた、1個以上の拘束エチルヌクレオチドを含むように修飾され得る。本明細書で使用される場合、「拘束エチルヌクレオチド」または「cEt」は、4’-CH(CH3)-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むロックド核酸である。一実施形態では、拘束エチルヌクレオチドは、本明細書において「S-cEt」と称されるSコンフォメーションである。
【0327】
本発明のオリゴヌクレオチドはまた、1個以上の「立体配座的に制限されたヌクレオチド」(「CRN」)を含んでよい。CRNは、リボースのC2’及びC4’炭素またはリボースのC3及び--C5’炭素を連結させるリンカーを有するヌクレオチド類似体である。CRNは、リボース環を安定したコンフォメーションにロックし、mRNAに対するハイブリダイゼーション親和性を高める。リンカーは、安定性及び親和性のために酸素を最適な位置に配置するのに十分な長さであり、リボース環のパッカリングを低減させる。
【0328】
上記したCRNのいくつかの調製を教示する代表的な刊行物としては、米国特許公報第2013/0190383号、及びPCT公開WO2013/036868が挙げられるが、これらに限定されず、その各々の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0329】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、UNA(アンロックド核酸)ヌクレオチドである1つ以上のモノマーを含む。UNAはアンロックド非環式核酸であり、糖の結合のいずれかが除去されていて、アンロックされた「糖」残基を形成する。一例では、UNAはまた、C1’~C4’間の結合(すなわち、C1’炭素とC4’炭素との間の共有炭素-酸素-炭素結合)が除去されているモノマーを包含する。別の例では、糖のC2’-C3’結合(すなわち、C2’炭素とC3’炭素との間の共有炭素-炭素結合)が除去されている(Nuc.Acids Symp.Series,52,133-134(2008)及びFluiter et al.,Mol.Biosyst.,2009,10,1039を参照し、参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0330】
UNAの調製を教示する代表的な米国公報としては、米国特許第8,314,227号、ならびに米国特許公報第2013/0096289号、同第2013/0011922号、及び同第2011/0313020号が挙げられるが、これらに限定されず、その各々の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0331】
リボース分子はまた、シクロプロパン環で修飾されて、トリシクロデオキシ核酸(トリシクロDNA)を生成する場合がある。リボース部分は、1,5-アンヒドロヘキシトール、トレオースヌクレオシド(TNA)を生成するためのトレオース、またはアラビノヌクレオシドを生成するためのアラビノースなどの別の糖と置換される場合がある。リボース分子はまた、シクロヘキセンヌクレオシドを生成するためのシクロヘキセンまたはグリコールヌクレオシドを生成するためのグリコールなどの非糖で置換され得る。
【0332】
リボース分子はまた、シクロヘキセン核酸(CeNA)を生成するためのシクロヘキセンまたはグリコール核酸(GNA)を生成するためのグリコールなどの非糖で置換され得る。ヌクレオチド分子の末端に対する安定化修飾としては、可能性としてN-(アセチルアミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-NHAc)、N-(カプロイル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6)、N-(アセチル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-NHAc)、チミジン-2’-O-デオキシチミジン(エーテル)、N-(アミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-アミノ)、2-ドコサノイル-ウリジン-3’’-リン酸、逆塩基dT(idT)などが挙げられ得る。本修飾の開示は、PCT公開第WO2011/005861号に見出され得る。
【0333】
本発明のオリゴヌクレオチドに関する他の代替化学としては、オリゴヌクレオチドの5’リン酸または5’リン酸模倣物、例えば、5’末端リン酸またはリン酸模倣物が挙げられる。好適なリン酸模倣物は、例えば、米国特許公報第2012/0157511号に開示され、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0334】
本発明の例示的なオリゴヌクレオチドは、糖修飾ヌクレオシドを含み、DNAまたはRNAヌクレオシドも含む場合がある。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、糖修飾ヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを含む。本発明のオリゴヌクレオチド中への代替ヌクレオシドの組込みは、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増強する場合がある。その場合、代替ヌクレオシドは、親和性増強代替ヌクレオチドと称され得る。
【0335】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の代替ヌクレオシド、例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個または少なくとも16個などの代替ヌクレオシドを含む。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1~10個の代替ヌクレオシド、例えば、2~9個の代替ヌクレオシドなど、例えば、3~8個の代替ヌクレオシドなど、例えば、4~7個の代替ヌクレオシドなど、例えば、6個または7個の代替ヌクレオシドなどを含む。一実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは代替物を含んでよく、それらは、これらの3種類の代替物(代替糖部分、代替核酸塩基、及び代替ヌクレオシド間結合)、またはそれらの組合せから独立して選択される。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、代替糖部分を含む1個以上のヌクレオシド、例えば、2’糖代替ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、ANA、2’-フルオロ-ANA、及びBNA(例えば、LNA)ヌクレオシドからなる群から独立して選択される1個以上の2’糖代替ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、1個以上の代替ヌクレオシドがBNAである。
【0336】
いくつかの実施形態では、代替ヌクレオシドの少なくとも1個がBNA(例えば、LNA)である、例えば、代替ヌクレオシドの少なくとも2個など、例えば、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、または少なくとも8個などがBNAである。よりさらなる実施形態では、全ての代替ヌクレオシドがBNAである。
【0337】
さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの代替ヌクレオシド間結合を含む。いくつかの実施形態では、隣接するヌクレオチド配列内のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートまたはボロノホスフェートヌクレオシド間結合である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの隣接する配列中における全てのヌクレオチド間結合が、ホスホロチオエート結合である。いくつかの実施形態では、ホスホロチオエート結合は、立体化学的に純粋なホスホロチオエート結合である。いくつかの実施形態では、ホスホロチオエート結合は、Spホスホロチオエート結合である。他の実施形態では、ホスホロチオエート結合は、Rpホスホロチオエート結合である。
【0338】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、2’-O-MOE-RNAである少なくとも1個の代替ヌクレオシド、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個などの2’-O-MOE-RNAヌクレオシド単位を含む。いくつかの実施形態では、2’-O-MOE-RNAヌクレオシド単位は、ホスホロチオエート結合によって連結される。いくつかの実施形態では、代替ヌクレオシドの少なくとも1個が、2’-フルオロ-DNAである、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個などの2’-フルオロ-DNAヌクレオシド単位である。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1個のBNA単位及び少なくとも1個の2’置換代替ヌクレオシドを含む。本発明のいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシド及びDNA単位の両方を含む。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドまたはその隣接ヌクレオチド領域は、ギャップマーオリゴヌクレオチドである。
【0339】
B.リガンドに複合化されるオリゴヌクレオチド
本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞取込みを増強する1つ以上のリガンド、部分、または複合体に化学的に連結されてよい。そのような部分としては、脂質部分、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.,(1989)Proc.Natl.Acid.Sci.USA,86:6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,(1994)Biorg.Med.Chem.Let.,4:1053-1060)、チオエーテル、例えば、ベリル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.,660:306-309、Manoharan et al.,(1993)Biorg.Med.Chem.Let.,3:2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,(1992)Nucl.Acids Res.,20:533-538)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,(1991)EMBO J,10:1111-1118、Kabanov et al.,(1990)FEBS Lett.,259:327-330、Svinarchuk et al.,(1993)Biochimie,75:49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-ホスホネート(Manoharan et al.,(1995)Tetrahedron Lett.,36:3651-3654、Shea et al.,(1990)Nucl.Acids Res.,18:3777-3783)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,(1995)Nucleosides&Nucleotides,14:969-973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,(1995)Tetrahedron Lett.,36:3651-3654)、パルミチル部分(Mishra et al.,(1995)Biochim.Biophys.Acta 1264:229-237)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニルオキシコレステロール部分(Crooke et al.,(1996)J.Pharmacol.Exp.Ther.,277:923-937)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0340】
一実施形態では、リガンドは、それが組み込まれるオリゴヌクレオチド剤の分布、標的化、または寿命を変化させる。いくつかの実施形態では、リガンドは、例えば、そのようなリガンドが存在しない種と比較した場合に、選択された標的、例えば、分子、細胞もしくは細胞型、コンパートメント、例えば、細胞もしくは器官のコンパートメント、組織、器官、または体の部位に対して親和性増強をもたらす。
【0341】
リガンドとしては、天然に存在する物質、例えば、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、もしくはグロブリン)、炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、もしくはヒアルロン酸)、または脂質などが挙げられ得る。リガンドはまた、組換えまたは合成分子、例えば、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸などであり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリリジン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸)、N-イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンであるポリアミノ酸が挙げられる。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、シュードペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性のイオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、またはアルファヘリックスペプチドが挙げられる。
【0342】
リガンドはまた、標的化基、例えば、細胞または組織標的化剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質またはタンパク質、例えば、腎臓細胞などの特定の細胞型に結合する抗体も含み得る。標的化基は、チロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク、サーファクタントタンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチン、またはRGDペプチドもしくはRGDペプチド模倣物であり得る。
【0343】
リガンドの他の例としては、色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、もしくはフェノキサジン)及びペプチド複合体(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、リン酸塩、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾール複合体、テトラアザ大環状分子のEu3+錯体)、ジニトロフェニル、HRP、またはAPが挙げられる。
【0344】
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、またはペプチド、例えば、共リガンドに対して特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば、肝細胞などの特定の細胞型に結合する抗体であり得る。リガンドとしては、ホルモン及びホルモン受容体も挙げられ得る。それらとしては、非ペプチド種、例えば、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン、多価マンノース、または多価フコースなども挙げられ得る。
【0345】
リガンドは物質、例えば、薬物であり得、これは細胞中へのオリゴヌクレオチド剤の取込みを、例えば、細胞の細胞骨格を破壊することによって、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメント、及び/または中間径フィラメントを破壊することによって増加させ得る。薬物は、例えば、タキソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、またはミオセルビンであり得る。
【0346】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなオリゴヌクレオチドに結合したリガンドは、薬物動態モジュレーター(PKモジュレーター)として機能する。PKモジュレーターとしては、親油性物質、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的なPKモジュレーターとしては、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。複数のホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドは、血清タンパク質に結合することも知られていて、それゆえ、骨格中に複数のホスホロチオエート結合を含む、短オリゴヌクレオチド、例えば、約5塩基、10塩基、15塩基、または20塩基のオリゴヌクレオチドも、リガンドとして(例えば、PK調節リガンドとして)本発明に適している。加えて、血清成分(例えば、血清タンパク質)と結合するアプタマーもまた、本明細書に記載される実施形態においてPK調節リガンドとしての使用に好適である。
【0347】
本発明のリガンド複合化オリゴヌクレオチドは、ペンダント反応性官能基を有するオリゴヌクレオチド、例えば、オリゴヌクレオチド上への連結分子の結合から得られるもの(以下に記載される)などの使用によって合成されてよい。この反応性オリゴヌクレオチドは、市販のリガンド、様々な保護基のいずれかを有する合成されたリガンド、またはリガンドに結合した連結部分を有するリガンドと直接反応する場合がある。
【0348】
本発明の複合体に使用されるオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知の技術によって簡便かつ日常的に作製されてよい。そのような合成用の装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City,Calif.)を含むいくつかの供給業者によって販売されている。当該技術分野において既知のそのような合成を目的とした他の任意の手段が、追加で、または代わりに用いられてよい。同様の技術を使用して、ホスホロチオエート及びアルキル化誘導体などの他のオリゴヌクレオチドを調製することも知られている。
【0349】
本発明のリガンド複合化オリゴヌクレオチド、例えば、本発明の配列特異的連結ヌクレオシドを有するリガンド分子などでは、オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオシドは、標準的なヌクレオチドもしくはヌクレオシド前駆体、またはすでに連結部分を有しているヌクレオチドもしくはヌクレオシド複合体前駆体、すでにリガンド分子を有しているリガンド-ヌクレオチドもしくはヌクレオシド複合体前駆体、または非ヌクレオシドリガンド担持構成要素を利用して好適なDNA合成装置上で組み立てられてよい。
【0350】
すでに連結部分を有しているヌクレオチド複合体前駆体を使用する場合、配列特異的連結ヌクレオシドの合成は通常完了し、次いでリガンド分子が連結部分と反応してリガンド複合化オリゴヌクレオチドを形成する。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドまたは連結ヌクレオシドは、市販され、オリゴヌクレオチド合成において日常的に使用されている標準的なホスホロアミダイト及び非標準的なホスホロアミダイトに加えて、リガンド-ヌクレオシド複合体から得られるホスホロアミダイトを使用して、自動合成装置によって合成される。
【0351】
i.脂質複合体
一実施形態では、リガンドまたは複合体は、脂質または脂質ベースの分子である。そのような脂質または脂質ベースの分子は、好ましくは血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)と結合する。HSA結合リガンドは、標的組織、例えば、体内の非腎臓標的組織への複合体の分布を可能にする。例えば、標的組織は、肝臓の実質細胞を含む肝臓であり得る。HSAと結合し得る他の分子もまた、リガンドとして使用され得る。例えば、ネプロキシンまたはアスピリンが使用され得る。脂質または脂質ベースのリガンドは、(a)複合体の耐分解性を増加させ得る、(b)標的細胞もしくは細胞膜への標的化もしくは輸送を増加させ得る、及び/または(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するために使用され得る。
【0352】
脂質ベースのリガンドは、標的組織への複合体の結合を阻害する、例えば、制御するために使用され得る。例えば、より強力にHSAに結合する脂質または脂質ベースのリガンドは、腎臓を標的とする可能性が低いため、体内から排出される可能性が低いことになる。HSAにあまり強力に結合しない脂質または脂質ベースのリガンドは、複合体の標的を腎臓にするために使用され得る。
【0353】
別の態様では、リガンドは部分、例えば、ビタミンであり、これは標的細胞、例えば、増殖性細胞によって取り込まれる。例示的なビタミンとしては、ビタミンA、E、及びKが挙げられる。
【0354】
ii.細胞透過剤
別の態様では、リガンドは、細胞透過剤、好ましくはらせん状の細胞透過剤である。好ましくは、薬剤は両親媒性である。例示的な薬剤は、tatまたはアンテナペディアなどのペプチドである。薬剤がペプチドである場合、それは修飾され得、ペプチジル模倣物、逆転異性体、非ペプチドまたはシュードペプチド結合、及びD-アミノ酸の使用を含む。ヘリックス剤は、好ましくはアルファヘリックス剤であり、これは好ましくは親油性及び疎油性相を有する。
【0355】
リガンドは、ペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。ペプチド模倣物(本明細書ではオリゴペプチド模倣物とも称される)は、天然ペプチドと同様の定義された3次元構造に折り畳みできる分子である。オリゴヌクレオチド剤へのペプチド及びペプチド模倣物の結合は、細胞の認識及び吸収を増強することなどによって、オリゴヌクレオチドの薬物動態分布に影響を及ぼし得る。ペプチドまたはペプチド模倣物部分は、約5~50個のアミノ酸長、例えば、約5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、または50個のアミノ酸長であり得る。
【0356】
ペプチドまたはペプチド模倣物は、例えば、細胞透過性ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、または疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、Trp、もしくはPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束ペプチドまたは架橋ペプチドであり得る。別の代替案では、ペプチド部分は、疎水性膜移行配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号.87)を有するRFGFである。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号.88))もまた、標的化部分であり得る。ペプチド部分は「送達」ペプチドであり得、これはペプチド、オリゴヌクレオチド、及びタンパク質を含む大きな極性分子を、細胞膜を横断して運ぶことができる。例えば、HIV Tatタンパク質(GRKKRRQRRRPPQ、配列番号.89)及びショウジョウバエアンテナペディアタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK、配列番号.90)に由来する配列が、送達ペプチドとして機能できることが分かっている。ペプチドまたはペプチド模倣物は、DNAのランダム配列によってコードされる、例えば、ファージディスプレイライブラリー、または1ビーズ1化合物(OBOC)コンビナトリアルライブラリー(Lam et al.,Nature,354:82-84,1991)から同定されるペプチドなどであり得る。細胞標的化の目的で組み込まれたモノマー単位によってオリゴヌクレオチド剤につながれたペプチドまたはペプチド模倣物の例は、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチド、またはRGD模倣物である。ペプチド部分は、長さが約5個のアミノ酸~約40個のアミノ酸の範囲であり得る。ペプチド部分は、安定性を増加させるか、またはコンフォメーション特性を誘導するなどのために構造修飾を有し得る。以下に記載される構造修飾のいずれも、利用され得る。
【0357】
本発明の組成物及び方法に使用するためのRGDペプチドは、直鎖状または環状であってよく、特定の組織(複数可)に対する標的化を促進するために修飾、例えば、グリコシル化またはメチル化されてよい。RGD含有ペプチド及びペプチド模倣物は、D-アミノ酸に加えて、合成RGD模倣物を含んでよい。RGDに加えて、インテグリンリガンドを標的とする他の部分を使用できる。このリガンドのいくつかの複合体は、PECAM-1またはVEGFを標的とする。
【0358】
細胞透過性ペプチドは、細胞、例えば、微生物細胞、例えば、細菌もしくは真菌細胞など、または哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞などを透過できる。微生物細胞透過性ペプチドは、例えば、α-ヘリックス直鎖ペプチド(例えば、LL-37もしくはセクロピンP1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α-デフェンシン、β-デフェンシン、もしくはバクテネシン)、または1個もしくは2個の主要なアミノ酸のみを含有するペプチド(例えば、PR-39もしくはインドリシジン)であり得る。細胞透過性ペプチドはまた、核局在化シグナル(NLS)も含み得る。例えば、細胞透過性ペプチドは、MPGなどの2部構成の両親媒性ペプチドであり得、MPGはHIV-1 gp41の融合ペプチドドメイン及びSV40ラージT抗原のNLSから得られる(Simeoni et al.,Nucl.Acids Res.31:2717-2724,2003)。
【0359】
iii.炭水化物複合体
本発明の組成物及び方法のいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは炭水化物をさらに含む。炭水化物複合化オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載されるように、核酸のインビボ送達に加えて、インビボでの治療用途に好適な組成物に有利である。本明細書で使用される場合、「炭水化物」は、各炭素原子に結合した酸素、窒素もしくは硫黄原子を有する少なくとも6個の炭素原子(これは直鎖状、分岐状もしくは環状であり得る)を有する1つ以上の単糖単位から構成される炭水化物自体である化合物、または各炭素原子に結合した酸素、窒素もしくは硫黄原子を有する、少なくとも6個の炭素原子(これは直鎖状、分岐状もしくは環状であり得る)を有する1つ以上の単糖単位の各々から構成される炭水化物部分を、それらの一部として有する化合物のいずれかを指す。代表的な炭水化物としては、糖(約4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つの単糖単位を含有する単糖、二糖、三糖及びオリゴ糖)、ならびに多糖、例えば、デンプン、グリコーゲン、セルロース及び多糖ゴムなどが挙げられる。特定の単糖としては、C5以上(例えば、C5、C6、C7、またはC8)の糖が挙げられ、二糖及び三糖としては、2つまたは3つの単糖単位を有する糖(例えば、C5、C6、C7、またはC8)が挙げられる。
【0360】
一実施形態では、本発明の組成物及び方法に使用するための炭水化物複合体は単糖である。
【0361】
いくつかの実施形態では、炭水化物複合体は、上に記載されているような1つ以上の追加のリガンド、例えば、これらに限定されないが、PKモジュレーター及び/または細胞透過性ペプチドなどをさらに含む。
【0362】
本発明での使用に好適な追加の炭水化物複合体(及びリンカー)としては、PCT公開第WO2014/179620号及び同第WO2014/179627号に記載されているものが挙げられ、その各々の内容全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0363】
iv.リンカー
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される複合体またはリガンドは、切断可能または切断不可能であり得る様々なリンカーを用いてオリゴヌクレオチドに結合され得る。
【0364】
リンカーとしては通常、直接結合または原子、例えば、酸素または硫黄など、単位、例えば、NR、C(O)、C(O)NH、SO、SO、SONHなど、または原子鎖、例えば、これらに限定されないが、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリールなどが挙げられ、その1つ以上のメチレンが、O、S、S(O)、SO、N(R)、C(O)、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換複素環式(式中、Rが水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である)によって割り込み、または終結され得る。一実施形態では、リンカーは、約1~24個の原子、2~24個、3~24個、4~24個、5~24個、6~24個、6~18個、7~18個、8~18個の原子、7~17個、8~17個、6~16個、7~17個、または8~16個の原子である。
【0365】
切断可能な連結基は、細胞の外側で十分に安定しているが、標的細胞中に侵入すると切断されて、リンカーが一緒に保持している2つの部分を放出する連結基である。好ましい実施形態では、切断可能な連結基は、対象の血中、または第2参照条件下(これは例えば、血中もしくは血清中で見られる条件を模倣する、もしくは表すように選択され得る)よりも、標的細胞中または第1参照条件下(これは例えば、細胞内条件を模倣する、もしくは表すように選択され得る)で、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、もしくはそれを超えて、または少なくとも約100倍速く切断される。
【0366】
切断可能な連結基は、切断剤、例えば、pH、酸化還元電位、または分解性分子の存在の影響を受けやすい。一般に、切断剤は、血清または血中よりも細胞内部により行き渡っているか、またはより高いレベルもしくは活性で見られる。そのような分解剤の例としては、特定の基質に対して選択的であるか、または基質特異性を全く有しない酸化還元剤、例えば、酸化もしくは還元酵素または還元剤、例えば、還元によって酸化還元切断可能な連結基を分解し得る、細胞中に存在するメルカプタンなどを含むもの、エステラーゼ、酸性環境を引き起こし得るエンドソームまたは薬剤、例えば、5以下のpHをもたらすもの、一般酸、ペプチダーゼ(これは基質特異的であり得る)、及びホスファターゼとして機能することによって、酸切断可能な連結基を加水分解または分解し得る酵素が挙げられる。
【0367】
切断可能な連結基、例えば、ジスルフィド結合などは、pHの影響を受けやすい可能性がある。ヒト血清のpHは7.4である一方で、平均細胞内pHはわずかに低く、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームはより酸性のpHを有し、その範囲は5.5~6.0であり、リソソームはおよそ5.0のより一層酸性なpHを有する。いくつかのリンカーは、好ましいpHで切断される切断可能な連結基を有し、切断されることで細胞内部のリガンドから、または細胞の所望のコンパートメント中にカチオン性脂質を放出することになる。
【0368】
リンカーは、特定の酵素によって切断可能である切断可能な連結基を含み得る。リンカー中に組み込まれる切断可能な連結基の種類は、標的とされる細胞に依存し得る。例えば、肝臓を標的とするリガンドは、エステル基を含むリンカーを介してカチオン性脂質に連結され得る。肝臓細胞はエステラーゼが豊富であるため、リンカーはエステラーゼが豊富ではない細胞型におけるよりも、肝臓細胞中でより効率的に切断されることになる。エステラーゼが豊富な他の細胞型としては、肺、腎皮質、及び精巣の細胞が挙げられる。
【0369】
ペプチド結合を含有するリンカーは、ペプチダーゼが豊富な細胞型、例えば、肝臓細胞及び滑膜細胞などを標的とする場合に使用され得る。
【0370】
一般に、切断可能な候補連結基の適合性は、候補連結基を切断する分解剤(または条件)の能力を試験することによって評価され得る。血中で切断に抵抗する能力について、または他の非標的組織と接触する場合に、切断可能な候補連結基をさらに試験することも望ましいことになる。したがって、第1条件と第2条件との間の切断に対する相対的感受性を決定することができ、その場合に、第1条件は標的細胞中における切断を示すように選択され、第2条件は他の組織または生体液、例えば、血液または血清中における切断を示すように選択される。評価は、無細胞系で、細胞中で、細胞培養下で、臓器もしくは組織培養下で、または動物全体で実施され得る。無細胞または培養条件で初期評価を行い、動物全体でさらに評価することによって確認することが有用であり得る。好ましい実施形態では、有用な候補化合物は、血液もしくは血清(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下)と比較した場合に、細胞中(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下)で少なくとも約2倍、4倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または約100倍速く切断される。
【0371】
a.酸化還元切断可能な連結基
一実施形態では、切断可能な連結基は、還元または酸化時に切断される酸化還元切断可能な連結基である。還元的に切断可能な連結基の例は、ジスルフィド連結基(--S--S--)である。切断可能な候補連結基が好適な「還元的に切断可能な連結基」であるか、または例えば、特定のオリゴヌクレオチド部分及び特定の標的化剤と共に使用するのに適しているかどうかを決定するために、本明細書に記載される方法を用いることができる。例えば、候補は、ジチオスレイトール(DTT)との、または細胞、例えば、標的細胞中で観察されることになる切断速度を模倣する、当該技術分野において既知の試薬を使用する他の還元剤とのインキュベーションによって評価され得る。候補はまた、血液または血清条件を模倣するように選択された条件下でも評価され得る。一実施形態では、候補化合物は、血中において最大で約10%切断される。他の実施形態では、有用な候補化合物は、血液(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下)と比較した場合に、細胞中(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下)で少なくとも約2倍、4倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または約100倍速く分解される。候補化合物の切断速度は、細胞内媒体を模倣するように選択された条件下で標準的な酵素反応速度論アッセイを使用して決定され、細胞外媒体を模倣するように選択された条件と比較され得る。
【0372】
b.リン酸ベースの切断可能な連結基
別の実施形態では、切断可能なリンカーは、リン酸ベースの切断可能な連結基を含む。リン酸ベースの切断可能な連結基は、リン酸基を分解または加水分解する薬剤によって切断される。細胞中のリン酸基を切断する薬剤の例は、細胞中のホスファターゼなどの酵素である。リン酸ベースの連結基の例は、O-P(O)(OR)-O-、-O-P(S)(OR)-O-、-O-P(S)(SR)-O-、-S-P(O)(OR)-O-、-O-P(O)(OR)-S-、-S-P(O)(OR)-S-、-O-P(S)(OR)-S-、-S-P(S)(OR)-O-、-O-P(O)(R)-O-、-O-P(S)(R)-O-、-S-P(O)(R)-O-、-S-P(S)(R)-O-、-S-P(O)(R)-S-、-O-P(S)(R)-S-である。これらの候補は、上に記載されているものと同様の方法を使用して評価され得る。
【0373】
c.酸切断可能な連結基
別の実施形態では、切断可能なリンカーは、酸切断可能な連結基を含む。酸切断可能な連結基は、酸性条件下で切断される連結基である。好ましい実施形態では、酸切断可能な連結基は、約6.5以下(例えば、約6.0、5.75、5.5、5.25、5.0、もしくはそれ未満)のpHを有する酸性環境中において、または一般酸として機能し得る酵素などの薬剤によって切断される。細胞中では、特定の低pH細胞小器官、例えば、エンドソーム及びリソソームなどが、酸切断可能な連結基に切断環境を提供し得る。酸切断可能な連結基の例としては、ヒドラゾン、エステル、及びアミノ酸のエステルが挙げられるが、これらに限定されない。酸切断可能な基は、一般式-C=NN--、C(O)O、または--OC(O)を有し得る。好ましい実施形態は、エステルの酸素に結合した炭素(アルコキシ基)が、アリール基、置換アルキル基、または三級アルキル基、例えば、ジメチルペンチルもしくはt-ブチルなどの場合である。これらの候補は、上に記載されているものと同様の方法を使用して評価され得る。
【0374】
d.エステルベースの連結基
別の実施形態では、切断可能なリンカーは、エステルベースの切断可能な連結基を含む。エステルベースの切断可能な連結基は、細胞中のエステラーゼ及びアミダーゼなどの酵素によって切断される。エステルベースの切断可能な連結基の例としては、アルキレン、アルケニレン及びアルキニレン基のエステルが挙げられるが、これらに限定されない。エステル切断可能な連結基は、一般式--C(O)O--、または--OC(O)--を有する。これらの候補は、上に記載されているものと同様の方法を使用して評価され得る。
【0375】
e.ペプチドベースの切断基
さらに別の実施形態では、切断可能なリンカーは、ペプチドベースの切断可能な連結基を含む。ペプチドベースの切断可能な連結基は、細胞中のペプチダーゼ及びプロテアーゼなどの酵素によって切断される。ペプチドベースの切断可能な連結基は、アミノ酸間で形成されるペプチド結合であり、オリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)及びポリペプチドを生成する。ペプチドベースの切断可能な基は、アミド基(--C(O)NH--)を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン間で形成され得る。ペプチド結合は、アミノ酸間で形成される特殊な種類のアミド結合であり、ペプチド及びタンパク質を生成する。ペプチドベースの切断基は一般に、ペプチド及びタンパク質を生成する、アミノ酸間で形成されるペプチド結合(すなわち、アミド結合)に限定され、アミド官能基全体を含む訳ではない。ペプチドベースの切断可能な連結基は、一般式--NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)--を有し、式中、RA及びRBは2個の隣接アミノ酸のR基である。これらの候補は、上に記載されているものと同様の方法を使用して評価され得る。
【0376】
一実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、リンカーを介して炭水化物に複合化される。リンカーは、二価及び三価の分岐リンカー基を含む。本発明の組成物及び方法のリンカーを有する例示的なオリゴヌクレオチド炭水化物複合体としては、PCT公開第WO2018/195165号の式24~35に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0377】
オリゴヌクレオチド複合体の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第4,828,979号、同第4,948,882号、同第5,218,105号、同第5,525,465号、同第5,541,313号、同第5,545,730号、同第5,552,538号、同第5,578,717号、同第5,580,731号、同第5,591,584号、同第5,109,124号、同第5,118,802号、同第5,138,045号、同第5,414,077号、同第5,486,603号、同第5,512,439号、同第5,578,718号、同第5,608,046号、同第4,587,044号、同第4,605,735号、同第4,667,025号、同第4,762,779号、同第4,789,737号、同第4,824,941号、同第4,835,263号、同第4,876,335号、同第4,904,582号、同第4,958,013号、同第5,082,830号、同第5,112,963号、同第5,214,136号、同第5,082,830号、同第5,112,963号、同第5,214,136号、同第5,245,022号、同第5,254,469号、同第5,258,506号、同第5,262,536号、同第5,272,250号、同第5,292,873号、同第5,317,098号、同第5,371,241号、同第5,391,723号、同第5,416,203号、同第5,451,463号、同第5,510,475号、同第5,512,667号、同第5,514,785号、同第5,565,552号、同第5,567,810号、同第5,574,142号、同第5,585,481号、同第5,587,371号、同第5,595,726号、同第5,597,696号、同第5,599,923号、同第5,599,928号及び同第5,688,941号、同第6,294,664号、同第6,320,017号、同第6,576,752号、同第6,783,931号、同第6,900,297号、同第7,037,646号、同第8,106,022号が挙げられるが、これらに限定されず、その各々の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0378】
ある特定の場合では、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドは、非リガンド基によって修飾され得る。多数の非リガンド分子が、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞取込みを増強するためにオリゴヌクレオチドに複合化されていて、そのような複合化を実施するための手順が科学文献中で利用可能である。そのような非リガンド部分としては、脂質部分、例えば、コレステロール(Kubo,T.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm,2007,365(1):54-61、Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:6553)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306、Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20:533)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10:111、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259:327、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75:49)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14:969)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923)などが挙げられている。そのようなオリゴヌクレオチド複合体の調製を教示する代表的な米国特許は、上に列挙されている。典型的な複合化プロトコールは、配列の1つ以上の位置にアミノリンカーを有するオリゴヌクレオチドの合成を含む。次いで、アミノ基が、適切なカップリングまたは活性化試薬を使用して、複合化されている分子と反応する。複合化反応は、オリゴヌクレオチドが依然として固体支持体に結合している状態で、またはオリゴヌクレオチド切断後の溶液相中におけるいずれかで実施され得る。HPLCによるオリゴヌクレオチド複合体の精製は通常、純粋な複合体を提供する。
【0379】
III.医薬用途
本発明のオリゴヌクレオチドは、アデノシンの脱アミノ化によって処置される可能性がある任意の障害を処置するために使用されてよい。例えば、任意の障害は、グアノシンからアデノシンへの変異、未成熟終止コドンの導入、または望ましくないタンパク質の発現によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、対象に投与される場合、グアノシンからアデノシンへの変異の補正をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、所望のタンパク質が発現されるように、未成熟終止コドンの停止をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、望ましくないタンパク質の発現の阻害をもたらし得る。
【0380】
本発明によるオリゴヌクレオチドを使用して編集するための特に興味深い標的アデノシンは、同時または翻訳後修飾、例えば、グリコシル化、ヒドロキシル化、ミリストイル化、ならびにプロテアーゼによるタンパク質切断(タンパク質を成熟させるため、及び/または細胞内経路の一部として)などについて、重要な機能、または特性、例えば、触媒部位、他のタンパク質の結合部位、基質による結合、局在化ドメインなどを定義するアミノ酸残基のコドンの一部である標的アデノシンである。
【0381】
多くの遺伝子疾患がGからAの変異によって引き起こされ、変異した標的アデノシンでのアデノシン脱アミノ化が変異を野生型に逆転させることになるため、それらは本発明のオリゴヌクレオチドによって処置される可能性がある疾患である。しかしながら、野生型への復帰は、有益な効果を得るのに必ずしも必要とは限らない場合がある。野生型ヌクレオチドがG以外である場合、標的中におけるAからGへの修飾も有益な場合がある。ある特定の状況では、それが当てはまると予測される場合もあるが、他の状況ではある試験を要する場合もある。ある特定の状況では、野生型がGではない場合、標的RNA中のAからGへの修飾は、サイレント(異なるアミノ酸に翻訳されない)、もしくはさもなければ、重要ではない(例えば、アミノ酸が置換されるが、タンパク質構造及び機能を破壊しない保存的置換を構成する)場合があるか、またはアミノ酸が変化に対してある一定の耐性を有する機能ドメインの一部である。本発明に従って編集することによってもたらされるAからGの移行が非コードRNA、またはRNAの非コード部分にある場合、結果はまた重要ではないか、または元の変異よりも軽度な場合がある。当業者は、本発明の適用性が非常に広く、疾患の予防または処置に限定されることさえないと理解することになる。本発明はまた、転写物を修飾してその効果を試験するために使用されてよく、たとえ、そのような修飾が、例えば、細胞または非ヒト動物モデルにおいて疾患状態を誘発する場合であっても、または特にその場合に使用されてもよい。
【0382】
本発明によるオリゴヌクレオチドで予防及び/または処置され得る遺伝子疾患の例は、標的RNA中における1個以上のアデノシンの修飾が(可能性として)有益な変化をもたらすことになる任意の疾患である。
【0383】
本発明は変異の補正に限定されず、その理由としては、代わりに本発明によるオリゴヌクレオチドを適用することによって野生型配列を変異配列に変化させることが有用な場合があるからである。野生型アデノシンを修飾することが有利な場合がある一例は、例えば、エクソンのスプライシングに必要な分岐部位に存在するアデノシンを修飾することによって、エクソンのスキッピングをもたらすことである。別の例は、アデノシンがタンパク質結合の認識配列を定義する、もしくはその一部であるか、またはRNAの安定性を定義する二次構造に関与している場合である。上述の通り、それゆえ、本発明は疾患のための研究ツールを提供し、既存の変異よりも有害性が少ない新規変異を導入するために使用され得る。
【0384】
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドを使用するアデノシンの脱アミノ化は、任意のレベルのアデノシン脱アミノ化、例えば、標的配列内の少なくとも1個の脱アミノ化アデノシン(例えば、標的配列中の少なくとも1個、2個、3個、またはそれを超える脱アミノ化アデノシン)を含む。
【0385】
アデノシン脱アミノ化は、対照レベルと比較した、標的配列内のアデノシンの絶対または相対レベルの減少によって評価されてよい。対照レベルは、当該技術分野で利用される任意の種類の対照レベル、例えば、投薬前ベースラインレベル、または未処置もしくは対照(例えば、緩衝剤のみの対照もしくは不活性な薬剤対照など)で処置された同様の対象、細胞、もしくは試料から決定されるレベルであってよい。
【0386】
ADARの酵素活性によってアデノシンがイノシンに変換されるため、アデノシン脱アミノ化は、あるいは、対照レベルと比較した標的配列内のイノシンの絶対または相対レベルの増加によって評価され得る。同様に、対照レベルは、当該技術分野で利用される任意の種類の対照レベル、例えば、投薬前ベースラインレベル、または未処置もしくは対照(例えば、緩衝剤のみの対照もしくは不活性な薬剤対照など)で処置された同様の対象、細胞、もしくは試料から決定されるレベルであってよい。
【0387】
標的配列内のアデノシン及び/またはイノシンのレベルは、ポリヌクレオチド配列のヌクレオチド組成を決定する、当該技術分野において既知の方法のいずれかを使用して評価され得る。例えば、標的配列内のアデノシンまたはイノシンの相対または絶対レベルは、核酸シーケンシング技術、例えば、サンガーシーケンシング法、次世代シーケンシング(NGS、例えば、パイロシーケンシング、可逆的ターミネーター化学によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、及びリアルタイムシーケンシング)、例えば、市販のプラットフォーム(例えば、Illumina、Qiagen、Pacific Biosciences、Thermo Fisher、Roche、及びOxford Nanopore Technologies)上で提供されるものなどを含むが、これらに限定されない技術を使用して評価され得る。NGSの標的配列のクローン増幅は、Applied Biosystems、Roche、Stratagene、Cepheid、Eppendorf、またはBio-Rad Laboratoriesから市販されているプラットフォーム上でリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qPCRとしても知られる)を使用して実施されてよい。さらに、または代わりに、エマルジョンPCR法が、Bio-Rad LaboratoriesによるDroplet Digital PCRなどの市販のプラットフォームを使用する、標的配列の増幅に使用され得る。
【0388】
ある特定の実施形態では、代理マーカーは、標的配列内のアデノシン脱アミノ化を検出するために使用され得る。例えば、許容される診断及びモニタリング基準によって実証されるような、本開示のオリゴヌクレオチドを用いた、GからAの変異が関与する遺伝性障害を有する対象の効果的な処置は、臨床的に関連するアデノシン脱アミノ化を実証すると理解され得る。ある特定の実施形態では、本方法は、例えば、本開示のオリゴヌクレオチドで対象を処置した後の臨床的に関連する転帰によって実証されるような、臨床的に関連するアデノシン脱アミノ化を含む。
【0389】
目的の遺伝子におけるアデノシン脱アミノ化は、第1細胞または細胞群(そのような細胞が、例えば、対象に由来する試料中に存在する場合がある)によって発現されるmRNAのレベルの増加または減少によって現れる場合があり、その場合に目的の遺伝子が転写され、その細胞(複数可)が処理されていて(例えば、細胞(複数可)を本開示のオリゴヌクレオチドと接触させることによって、または細胞が存在する、もしくは存在していた対象に本発明のオリゴヌクレオチドを投与することによって)、脱アミノ化は、目的の遺伝子の発現が、第1細胞または細胞群と実質的に同一であるが、細胞(複数可)がそのように処理されていない第2細胞または細胞群(オリゴヌクレオチドで処理されていないか、または目的の遺伝子を標的とするオリゴヌクレオチドで処理されていない対照細胞(複数可))と比較した場合に、増加または減少するように現れる。目的の遺伝子に関するmRNAレベルの増加または減少の程度は、以下の式で表されてよい:
【0390】
他の実施形態では、遺伝子のレベル変化は、目的の遺伝子の発現、例えば、目的の遺伝子のタンパク質発現またはタンパク質下流のシグナル伝達に機能的に関連するパラメータの減少に関して評価されてよい。目的の遺伝子のレベル変化は、発現構築物から内因性または異種のいずれかで、目的の遺伝子を発現する任意の細胞中において、及び当該技術分野において既知の任意のアッセイによって決定されてよい。
【0391】
目的の遺伝子に関する発現レベルの変化は、細胞または細胞群によって発現される目的の遺伝子によって産生されるタンパク質のレベル(例えば、対象に由来する試料中で発現されるタンパク質のレベル)の増加または減少によって現れる場合がある。上で説明されるように、mRNA抑制の評価のために、処理細胞または細胞群におけるタンパク質発現のレベル変化は、対照細胞または細胞群におけるタンパク質レベルのパーセンテージとして同様に表されてよい。
【0392】
目的の遺伝子発現の変化を評価するために使用されてよい対照細胞または細胞群は、本開示のオリゴヌクレオチドとまだ接触していない細胞または細胞群を含む。例えば、対照細胞または細胞群は、オリゴヌクレオチドで対象を処置する前の個々の対象(例えば、ヒトまたは動物対象)に由来する場合がある。
【0393】
細胞または細胞群によって発現される目的の遺伝子に関するmRNAのレベルは、mRNA発現を評価する当該技術分野において既知の任意の方法を使用して決定されてよい。一実施形態では、試料中における目的の遺伝子の発現レベルは、転写されたポリヌクレオチド、またはその一部、例えば、目的の遺伝子のmRNAを検出することによって決定される。RNAは、例えば、酸性フェノール/グアニジンイソチオシアネート抽出(RNAzol B、Biogenesis)、RNEASY(商標)RNA調製キット(Qiagen)またはPAXgene(PreAnalytix、Switzerland)を使用することを含む、RNA抽出技術を使用して細胞から抽出されてよい。リボ核酸ハイブリダイゼーションを利用する典型的なアッセイ形式としては、核ランオンアッセイ、RT-PCR、RNase保護アッセイ、ノーザンブロッティング、in situハイブリダイゼーション、及びマイクロアレイ分析が挙げられる。目的の遺伝子の循環mRNAは、PCT公開WO2012/177906に記載されている方法を使用して検出されてよく、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、目的の遺伝子の発現レベルは、核酸プローブを使用して決定される。「プローブ」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の配列に、例えば、mRNAまたはポリペプチドに選択的に結合できる任意の分子を指す。プローブは当業者によって合成され得るか、または適切な生物学的調製物から得られ得る。プローブは、特に標識されるように設計されてよい。プローブとして利用され得る分子の例としては、RNA、DNA、タンパク質、抗体、及び有機分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0394】
単離mRNAは、サザンまたはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析、及びプローブアレイを含むが、これらに限定されないハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイに使用され得る。mRNAレベルを決定する1つの方法は、単離mRNAを、目的の遺伝子のmRNAにハイブリダイズし得る核酸分子(プローブ)と接触させることを含む。一実施形態では、mRNAは、例えば、単離mRNAをアガロースゲル上に泳動させ、mRNAをゲルからニトロセルロースなどの膜に移動させることによって、固体表面上に固定化され、プローブと接触する。代替の実施形態では、プローブ(複数可)が固体表面上に固定化され、mRNAは、例えば、AFFYMETRIX遺伝子チップアレイ中でプローブ(複数可)と接触する。当業者は、目的の遺伝子に関するmRNAレベルの決定に使用するために、既知のmRNA検出方法を容易に適合させ得る。
【0395】
試料中における目的の遺伝子の発現レベルを決定する代替方法は、試料中における、例えば、mRNAの核酸増幅及び/または逆転写酵素(cDNAを調製するため)のプロセスを含み、例えば、その手段とは、RT-PCR(Mullis,1987、米国特許第4,683,202号に記載されている実験的実施形態)、リガーゼ連鎖反応(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189-193)、自家持続配列複製法(Guatelli et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874-1878)、転写増幅システム(Kwoh et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173-1177)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardi et al.(1988)Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardi et al.、米国特許第5,854,033号)または任意の他の核酸増幅方法であり、それに続いて、当業者に周知の技術を使用して増幅した分子を検出することを含む。これらの検出スキームは、核酸分子が非常に少ない数で存在する場合、そのような分子の検出に特に有用である。本発明の特定の態様では、目的の遺伝子の発現レベルは、定量的蛍光発生RT-PCR(すなわち、TAQMAN(商標)システム)またはDUAL-GLO(登録商標)ルシフェラーゼアッセイによって決定される。
【0396】
目的の遺伝子のmRNA発現レベルは、膜ブロット(ノーザン、サザン、ドットなどのハイブリダイゼーション分析に使用されるものなど)、またはマイクロウェル、試料チューブ、ゲル、ビーズもしくは繊維(または結合した核酸を含む任意の固体支持体)を使用してモニターされてよい。米国特許第5,770,722号、同第5,874,219号、同第5,744,305号、同第5,677,195号、及び同第5,445,934号を参照し、それらは参照によって本明細書に組み込まれる。遺伝子発現レベルの決定はまた、溶液中で核酸プローブを使用することを含んでよい。
【0397】
いくつかの実施形態では、mRNA発現のレベルは、分岐DNA(bDNA)アッセイまたはリアルタイムPCR(qPCR)を使用して評価される。このPCR法の使用は、本明細書に提示される実施例に記載かつ例示されている。そのような方法は、目的の遺伝子の核酸検出にも使用され得る。
【0398】
目的の遺伝子の発現によって産生されるタンパク質のレベルは、タンパク質レベルを測定する、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して決定されてよい。そのような方法としては、例えば、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散クロマトグラフィー、流体またはゲル沈降反応、吸収分光法、比色アッセイ、分光光度アッセイ、フローサイトメトリー、免疫拡散法(単純または二重)、免疫電気泳動、ウェスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、電気化学発光アッセイなどが挙げられる。そのようなアッセイは、目的の遺伝子によって産生されるタンパク質の存在または複製を示すタンパク質の検出にも使用され得る。さらに、上記のアッセイは、タンパク質機能の回復または変化をもたらす目的のmRNA配列の変化を報告するために使用され、それによって、対象に治療効果及び利益を提供する、対象の障害を処置する、及び/または対象の障害の症状を減少させる場合がある。
【0399】
本発明の方法のいくつかの実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが対象内の特定の部位に送達されるように、対象に投与される。目的の遺伝子の発現変化は、対象内の特定の部位に由来する試料中における目的の遺伝子によって産生されるmRNAまたはタンパク質のレベルまたはレベル変化の測定値を使用して評価されてよい。
【0400】
他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下のうち1つ(またはそれを超えて、例えば、以下のうち2つ以上、3つ以上、4つ以上)をもたらすのに効果的な量及び時間で投与される:(a)目的の遺伝子の標的配列内でアデノシンの数を減少させること、(b)障害の発症遅延、(c)対象の生存期間の増加、(d)対象の無増悪生存期間の増加、(e)タンパク質機能の回復または変化、及び(f)症状の減少。
【0401】
GからAの変異と関連する障害の処置はまた、未処置集団と比較して、処置された対象の集団における死亡率の低下をもたらし得る。例えば、死亡率は、2%超(例えば、5%、10%、または25%超)低下する。処置された対象の集団における死亡率の低下は、任意の再現可能な手段によって、例えば、集団について、化合物または本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される塩を用いた処置開始後の、単位時間あたりの疾患関連死の平均数を算出することによって測定されてよい。集団の死亡率の低下はまた、例えば、集団について、化合物または本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される塩を用いた処置の第1ラウンドの完了後における、単位時間あたりの疾患関連死の平均数を算出することによって測定されてもよい。
【0402】
A.オリゴヌクレオチドの送達
本発明のオリゴヌクレオチドを細胞、例えば、対象、例えば、ヒト対象など(例えば、それを必要とする対象、例えば、障害を有する対象など)の細胞に送達することは、様々な異なる方法で達成され得る。例えば、送達は、インビトロまたはインビボのいずれかで、本発明のオリゴヌクレオチドと細胞を接触させることによって実施されてよい。インビボ送達はまた、オリゴヌクレオチドを含む組成物を対象に投与することによって直接実施されてもよい。あるいは、インビボ送達は、オリゴヌクレオチドの発現をコードし、誘導する1つ以上のベクターを投与することによって間接的に実施されてよい。細胞と接触するインビトロ及びインビボ方法の組合せも可能である。上で述べられるように、細胞との接触は直接的または間接的であってよい。さらに、細胞との接触は、本明細書に記載される、または当該技術分野において既知の任意のリガンドを含む、標的化リガンドを介して達成されてよい。いくつかの実施形態では、標的化リガンドは、炭水化物部分、例えば、GalNAcリガンド、または目的の部位にオリゴヌクレオチドを誘導する任意の他のリガンドである。細胞は中枢神経系、または筋細胞の細胞を含み得る。それらの代替物が以下でさらに述べられる。
【0403】
細胞とオリゴヌクレオチドとの接触は、インビトロまたはインビボで行われてよい。本発明のオリゴヌクレオチドと共に使用するために適合され得る(例えば、Akhtar S.and Julian R L.,(1992)Trends Cell.Biol.2(5):139-144及びWO94/02595を参照し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。インビボ送達の場合、オリゴヌクレオチド分子を送達するための考慮すべき要因としては、例えば、送達される分子の生物学的安定性、非特異的効果の防止、及び標的組織中における送達される分子の蓄積が挙げられる。オリゴヌクレオチドの非特異的効果は、局所投与によって、例えば、組織への直接注射もしくは移植または調製物を局所投与することによって最小限に抑えられ得る。処置部位への局所投与は、薬剤の局所濃度を最大化し、さもなければ薬剤によって害され得る、または薬剤を分解し得る、全身組織への薬剤の曝露を制限し、より低い総用量のオリゴヌクレオチド分子の投与を可能にする。
【0404】
疾患の処置を目的としてオリゴヌクレオチドを全身投与する場合、オリゴヌクレオチドは、代替核酸塩基、代替糖部分、及び/または代替ヌクレオシド間結合を含み得るか、または代わりに薬物送達システムを使用して送達され得、両方の方法は、インビボでのエンド及びエキソヌクレアーゼによるオリゴヌクレオチドの急速な分解を防ぐように機能する。オリゴヌクレオチドまたは医薬担体の修飾はまた、オリゴヌクレオチド組成物の標的組織に対する標的化を可能にし、望ましくないオフターゲット効果を回避し得る。オリゴヌクレオチド分子は、コレステロールなどの親油基への化学的結合によって修飾され、細胞取込みを増強し、分解を防止し得る。代替の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、薬物送達システム、例えば、ナノ粒子、脂質ナノ粒子、ポリプレックスナノ粒子、リポプレックスナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、またはカチオン性送達システムなどを使用して送達され得る。正荷電カチオン性送達システムは、オリゴヌクレオチド分子(負荷電)の結合を促進し、さらに負荷電細胞膜での相互作用を増強して、細胞によるオリゴヌクレオチドの効率的な取込みを可能にする。カチオン性脂質、デンドリマー、またはポリマーは、オリゴヌクレオチドに結合され得るか、またはオリゴヌクレオチドを包む小胞もしくはミセルを形成するように誘導され得るかのいずれかである。小胞またはミセルの形成は、全身に投与される場合にオリゴヌクレオチドの分解をさらに防止する。一般に、当該技術分野において既知の核酸の送達に関する任意の方法が、本発明のオリゴヌクレオチドの送達に適合可能であってよい。カチオン性オリゴヌクレオチド複合物の作製及び投与方法は、当業者の能力の範囲内で十分に行われる(例えば、Sorensen,D R.,et al.(2003)J.Mol.Biol 327:761-766、Verma,U N.et al.,(2003)Clin.Cancer Res.9:1291-1300、Arnold,A S et al.,(2007)J.Hypertens.25:197-205を参照し、それらの内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。オリゴヌクレオチドの全身送達に有用な薬物送達システムのいくつかの非限定的な例としては、DOTAP(Sorensen,D R.,et al(2003),上記、Verma,U N.et al.,(2003),上記)、Oligofectamine、「固体核酸脂質粒子」(Zimmermann,T S.et al.,(2006)Nature 441:111-114)、カルジオリピン(Chien,P Y.et al.,(2005)Cancer Gene Ther.12:321-328、Pal,A.et al.,(2005)Int J.Oncol.26:1087-1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet M E.et al.,(2008)Pharm.Res.Aug 16、印刷前に電子出版、Aigner,A.(2006)J.Biomed.Biotechnol.71659)、Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチド(Liu,S.(2006)Mol.Pharm.3:472-487)、及びポリアミドアミン(Tomalia,D A.et al.,(2007)Biochem.Soc.Trans.35:61-67、Yoo,H.et al.,(1999)Pharm.Res.16:1799-1804)が挙げられる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、全身投与のためにシクロデキストリンと複合物を形成する。オリゴヌクレオチド及びシクロデキストリンの投与方法及び医薬組成物は、米国特許第7,427,605号に見出され得、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ポリプレックスまたはリポプレックスナノ粒子によって送達される。オリゴヌクレオチドならびにポリプレックスナノ粒子及びリポプレックスナノ粒子の投与方法及び医薬組成物は、米国特許出願第2017/0121454号、同第2016/0369269号、同第2016/0279256号、同第2016/0251478号、同第2016/0230189号、同第2015/0335764号、同第2015/0307554号、同第2015/0174549号、同第2014/0342003号、同第2014/0135376号、及び同第2013/0317086号に見出され得、それら全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0405】
i.膜分子集合体の送達方法
本発明のオリゴヌクレオチドはまた、当該技術分野において既知のポリマー、生分解性微粒子、またはマイクロカプセル送達デバイスを含む、様々な膜分子集合体送達方法を使用して送達され得る。例えば、コロイド分散系は、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド剤の標的送達のために使用されてよい。コロイド分散系としては、高分子複合物、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、及び脂質ベース系、例えば、水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、及びリポソームを含むものが挙げられる。リポソームは、インビトロ及びインビボで送達ビヒクルとして有用な人工膜小胞である。サイズが0.2~4.0μmの範囲である、大型単層小胞(LUV)が、大きな巨大分子を含有する水性緩衝液のかなりの割合を封入し得ることが示されている。リポソームは、活性成分の作用部位への移送及び送達に有用である。リポソーム膜は生体膜と構造的に類似しているため、リポソームが組織に適用されると、リポソーム二重層が細胞膜の二重層と融合する。リポソームと細胞との融合が進むにつれて、オリゴヌクレオチドを含む内部の水性内容物が細胞中に送達され、そこでオリゴヌクレオチドは標的RNAに特異的に結合し得、RNase H媒介遺伝子サイレンシングを媒介し得る。いくつかの場合には、リポソームはまた、例えば、オリゴヌクレオチドを特定の細胞型に誘導するために、特異的に標的化される。リポソームの組成は通常、リン脂質の組合せであり、通常はステロイド、特にコレステロールとの組合せである。他のリン脂質または他の脂質も使用されてよい。リポソームの物理的特性は、pH、イオン強度、及び二価カチオンの存在に依存する。
【0406】
オリゴヌクレオチドを含有するリポソームは、様々な方法で調製され得る。一例では、リポソームの脂質成分は、脂質成分でミセルが形成されるように界面活性剤中に溶解される。例えば、脂質成分は、両親媒性カチオン性脂質または脂質複合体であり得る。界面活性剤は高い臨界ミセル濃度を有し得、非イオン性であってよい。例示的な界面活性剤としては、コール酸塩、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸塩、及びラウロイルサルコシンが挙げられる。次いで、オリゴヌクレオチド調製物が、脂質成分を含むミセルに添加される。脂質上のカチオン性基がオリゴヌクレオチドと相互作用し、オリゴヌクレオチドの周囲で凝集してリポソームを形成する。凝集後、例えば、透析によって界面活性剤が除去され、オリゴヌクレオチドのリポソーム調製物を生成する。
【0407】
必要に応じて、凝集を助ける担体化合物が、例えば、添加を制御することによって、凝集反応中に添加され得る。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミンまたはスペルミジン)であり得る。凝集を促すために、pHも調整され得る。
【0408】
送達ビヒクルの構造成分としてポリヌクレオチド/カチオン性脂質複合物を組み込んでいる、安定したポリヌクレオチド送達ビヒクルを作製する方法は、例えば、WO96/37194にさらに記載され、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。リポソーム形成としてはまた、Feigner,P.L.et al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:7413-7417、米国特許第4,897,355号、米国特許第5,171,678号、Bangham et al.,(1965)M.Mol.Biol.23:238、Olson et al.,(1979)Biochim.Biophys.Acta 557:9、Szoka et al.,(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.75:4194、Mayhew et al.,(1984)Biochim.Biophys.Acta 775:169、Kim et al.,(1983)Biochim.Biophys.Acta 728:339、及びFukunaga et al.,(1984)Endocrinol.115:757に記載される例示的な方法の1つ以上の態様が挙げられ得る。送達ビヒクルとしての使用を目的とした、適切なサイズの脂質凝集体を調製するために一般的に使用される技術としては、超音波処理及び凍結融解に加えて押出しが挙げられる(例えば、Mayer et al.,(1986)Biochim.Biophys.Acta 858:161を参照のこと)。顕微溶液化は、一貫して小さく(50~200nm)、比較的均一な凝集体が必要な場合に使用され得る(Mayhew et al.,(1984)Biochim.Biophys.Acta 775:169)。それらの方法は、オリゴヌクレオチド調製物をリポソーム中にパッケージングするために容易に適合される。
【0409】
リポソームは大きく2つのクラスに分類される。カチオン性リポソームは正荷電リポソームであり、これは負荷電核酸分子と相互作用して、安定した複合物を形成する。正荷電核酸/リポソーム複合物は、負荷電細胞表面に結合し、エンドソーム中に内在化される。エンドソーム内の酸性pHにより、リポソームは破裂し、その内容物を細胞質に放出する(Wang et al.(1987)Biochem.Biophys.Res.Commun.,147:980-985)。
【0410】
pH感受性または負に帯電したリポソームは、核酸と複合化するのではなく、核酸を捕捉する。核酸及び脂質の両方が同様に帯電しているため、複合物形成ではなく反発が生じる。それにもかかわらず、一部の核酸はそれらのリポソームの水性内部内に捕捉される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードする核酸を培養下で細胞単層に送達するために使用されている。外来遺伝子の発現が標的細胞中で検出された(Zhou et al.(1992)Journal of Controlled Release,19:269-274)。
【0411】
リポソーム組成物の1つの主な種類としては、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質が挙げられる。中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物は一般に、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成される一方で、アニオン性融合リポソームは、主にジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。別の種類のリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)、例えば、ダイズPC、及びタマゴPCなどから形成される。別の種類は、リン脂質及び/またはホスファチジルコリン及び/またはコレステロールの混合物から形成される。
【0412】
リポソームをインビトロ及びインビボで細胞中に導入する他の方法の例としては、米国特許第5,283,185号、米国特許第5,171,678号、WO94/00569、WO93/24640、WO91/16024、Feigner,(1994)J.Biol.Chem.269:2550、Nabel,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.90:11307、Nabel,(1992)Human Gene Ther.3:649、Gershon,(1993)Biochem.32:7143、及びStrauss,(1992)EMBO J.11:417が挙げられる。
【0413】
非イオン性リポソームシステムもまた、皮膚への薬物送達におけるそれらの有用性を決定するために検査されていて、特に非イオン性界面活性剤及びコレステロールを含むシステムが検査されている。NOVASOME(商標)I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)及びNOVASOME(商標)II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤が、シクロスポリン-Aをマウス皮膚の真皮に送達するために使用された。結果は、そのような非イオン性リポソームシステムが、皮膚の異なる層へのシクロスポリンAの沈着を促進するのに効果的であったことを示した(Hu et al.,(1994)S.T.P.Pharma.Sci.,4(6):466)。
【0414】
リポソームはまた、立体的に安定化したリポソーム、例えば、循環寿命の向上をもたらす特殊な脂質を欠くリポソームと比較して、1つ以上のそのような特殊な脂質を含むものであってよい。立体的に安定化したリポソームの例は、リポソームの小胞形成脂質部分の一部が、(A)モノシアロガングリオシドGM1などの、1つ以上の糖脂質を含むか、または(B)ポリエチレングリコール(PEG)部分などの、1つ以上の親水性ポリマーで誘導体化されているものである。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、少なくともガングリオシド、スフィンゴミエリン、またはPEG誘導体化脂質を含有する立体的に安定化したリポソームについて、それらの立体的に安定化したリポソームの循環半減期の向上は、細網内皮系(RES)の細胞中への取込み減少に起因すると、当該技術分野では考えられている(Allen et al.,(1987)FEBS Letters,223:42、Wu et al.,(1993)Cancer Research,53:3765)。
【0415】
1つ以上の糖脂質を含む様々なリポソームが、当該技術分野において既知である。Papahadjopoulos et al.(Ann.N.Y.Acad.Sci.,(1987),507:64)は、モノシアロガングリオシドGM1、硫酸ガラクトセレブロシド、及びホスファチジルイノシトールが、リポソームの血中半減期を改善する能力を報告した。これらの知見は、Gabizon et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,(1988),85:6949)によって詳述された。米国特許第4,837,028号及びWO88/04924は両方ともAllen et al.によるものであり、これらは(1)スフィンゴミエリン及び(2)ガングリオシドGM1または硫酸ガラクトセレブロシドエステルを含むリポソームを開示している。米国特許第5,543,152号(Webb et al.)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示している。1,2-sn-ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、WO97/13499(Lim et al)に開示されている。
【0416】
一実施形態では、カチオン性リポソームが使用される。カチオン性リポソームは、細胞膜に融合できるという利点を持つ。非カチオン性リポソームは、原形質膜と効率的に融合できないが、インビボでマクロファージによって取り込まれ、オリゴヌクレオチドをマクロファージに送達するために使用され得る。
【0417】
リポソームのさらなる利点としては、天然リン脂質から得られるリポソームは、生体適合性かつ生分解性であること、リポソームは、幅広い水溶性及び脂溶性薬物を組み込むことができること、リポソームは、それらの内部コンパートメント中に封入されたオリゴヌクレオチドを代謝及び分解から保護し得ること(Rosoffの“Pharmaceutical Dosage Forms,”Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,volume 1,p.245)が挙げられる。リポソーム製剤の調製における重要な考慮事項は、脂質表面電荷、小胞サイズ及びリポソームの水分量である。
【0418】
正荷電合成カチオン性脂質のN-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)は、小さなリポソームを形成するために使用され得、このリポソームは核酸と自然に相互作用し、組織培養細胞の細胞膜の負荷電脂質と融合してオリゴヌクレオチドを送達できる脂質-核酸複合物を形成する(例えば、DOTMA及びDNAとのその使用に関する記載については、Feigner,P.L.et al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8:7413-7417、及び米国特許第4,897,355号を参照のこと)。
【0419】
DOTMA類似体の1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)は、DNA複合化小胞を形成するためにリン脂質と組み合わせて使用され得る。LIPOFECTIN(商標)(Bethesda Research Laboratories,Gaithersburg,Md.)は、負荷電ポリヌクレオチドと自然に相互作用して複合物を形成する正荷電DOTMAリポソームを含む、生体組織培養細胞中への高アニオン性核酸の送達のための効果的な薬剤である。十分に正に帯電したリポソームが使用される場合、得られる複合物の正味電荷も正となる。そのようにして調製される正荷電複合物は、負荷電細胞表面に自然に結合し、原形質膜と融合して、機能性核酸を、例えば、組織培養細胞中に効率的に送達する。別の市販のカチオン性脂質である1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3,3-(トリメチルアンモニア)プロパン(「DOTAP」)(Boehringer Mannheim,Indianapolis,Ind.)は、オレオイル部分が、エーテル結合ではなくエステルによって連結されているという点でDOTMAとは異なる。
【0420】
報告された他のカチオン性脂質化合物としては、例えば、2種類の脂質のうち1つに複合化されているカルボキシスペルミンを含む、様々な部分に複合化されているものが挙げられ、これらとしては、5-カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイルアミド(「DOGS」)(TRANSFECTAM(商標)、Promega,Madison,Wis.)及びジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5-カルボキシスペルミル-アミド(「DPPES」)(例えば、米国特許第5,171,678号を参照のこと)などの化合物が挙げられる。
【0421】
別のカチオン性脂質複合体としては、DOPEと組み合わせてリポソームに製剤化されているコレステロールによる脂質の誘導体化(「DC-Chol」)が挙げられる(Gao,X.and Huang,L.,(1991)Biochim.Biophys.Res.Commun.179:280を参照のこと)。ポリリジンをDOPEに複合化させることによって作製されたリポポリリジンは、血清の存在下におけるトランスフェクションに効果的であると報告されている(Zhou,X.et al.,(1991)Biochim.Biophys.Acta 1065:8)。ある特定の細胞株では、複合化カチオン性脂質を含有するそれらのリポソームは、DOTMA含有組成物よりも低い毒性を呈し、より効率的なトランスフェクションを提供すると言われている。他の市販のカチオン性脂質製品としては、DMRIE及びDMRIE-HP(Vical,La Jolla,Calif.)ならびにLipofectamine(DOSPA)(Life Technology,Inc.,Gaithersburg,Md.)が挙げられる。オリゴヌクレオチドの送達に好適な他のカチオン性脂質は、WO98/39359及びWO96/37194に記載されている。
【0422】
リポソーム製剤は局所投与に特に適していて、リポソームは他の製剤に比べていくつかの利点を提示する。そのような利点としては、投与された薬物の高い全身吸収に関連する副作用の減少、所望の標的における投与された薬物の蓄積増加、及びオリゴヌクレオチドを皮膚に投与する能力が挙げられる。いくつかの実行では、リポソームは、オリゴヌクレオチドを表皮細胞に送達するために、また真皮組織、例えば、皮膚へのオリゴヌクレオチドの浸透を増強するために使用される。例えば、リポソームは局所的に適用され得る。リポソームとして製剤化された薬物の皮膚への局所送達が記録されている(例えば、Weiner et al.,(1992)Journal of Drug Targeting,vol.2,405-410及びdu Plessis et al.,(1992)Antiviral Research,18:259-265、Mannino,R.J.and Fould-Fogerite,S.,(1998)Biotechniques 6:682-690、Itani,T.et al.,(1987)Gene 56:267-276、Nicolau,C.et al.(1987)Meth.Enzymol.149:157-176、Straubinger,R.M.and Papahadjopoulos,D.(1983)Meth.Enzymol.101:512-527、Wang,C.Y.and Huang,L.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851-7855を参照のこと)。
【0423】
非イオン性リポソームシステムもまた、皮膚への薬物送達におけるそれらの有用性を決定するために検査されていて、特に非イオン性界面活性剤及びコレステロールを含むシステムが検査されている。NOVASOME I(ジラウリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)及びNOVASOME II(ジステアリン酸グリセリル/コレステロール/ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤が、薬物をマウス皮膚の真皮に送達するために使用された。オリゴヌクレオチドを含むそのような製剤は、皮膚障害を処置するのに有用である。
【0424】
リポソームの標的化はまた、例えば、器官特異性、細胞特異性、及び細胞小器官特異性に基づいて可能であり、当該技術分野において既知である。リポソーム標的送達システムの場合、リポソーム二重層との安定した会合中で標的化リガンドを維持するために、脂質基がリポソームの脂質二重層中に組み込まれ得る。様々な連結基が、脂質鎖を標的化リガンドに結合するために使用され得る。追加の方法が当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許出願公報第20060058255号に記載されていて、その連結基が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0425】
オリゴヌクレオチドを含むリポソームは、高度に変形可能に作製され得る。そのような変形能は、リポソームがリポソームの平均半径よりも小さい細孔を貫通することを可能にし得る。例えば、トランスファーソームはさらに別の種類のリポソームであり、薬物送達ビヒクルの魅力的な候補である高度に変形可能な脂質凝集体である。トランスファーソームは、非常に変形しやすいため、それらが液滴よりも小さい細孔を容易に貫通できる脂肪滴として記載され得る。トランスファーソームは、標準的なリポソーム組成物に表面縁活性化剤、通常は界面活性剤を添加することによって作製され得る。オリゴヌクレオチドを含むトランスファーソームは、オリゴヌクレオチドを皮膚のケラチノサイトに送達するために、例えば、感染によって皮下に送達され得る。無傷の哺乳動物の皮膚を通過するために、脂質小胞は、好適な経皮勾配の影響下で、各々の直径が50nm未満の一連の微細孔を通過しなければならない。さらに、脂質特性によって、それらのトランスファーソームは自己最適化(例えば、皮膚の細孔の形状に適応する)、自己修復でき、しばしば断片化することなくそれらの標的に到達し、多くの場合に自己充填し得る。トランスファーソームは、血清アルブミンを皮膚に送達するために使用されている。血清アルブミンのトランスファーソーム媒介送達は、血清アルブミンを含有する溶液の皮下注射と同じくらい効果的であることが示されている。
【0426】
本発明に適している他の製剤は、2008年1月2日出願の米国仮特許出願第61/018,616号、2008年1月2日出願の同第61/018,611号、2008年3月26日出願の同第61/039,748号、2008年4月22日出願の同第61/047,087号及び2008年5月8日出願の同第61/051,528号に記載されている。2007年10月3日出願のPCT出願第PCT/US2007/080331号も、本発明に適している製剤について記載している。
【0427】
界面活性剤は、エマルジョン(マイクロエマルジョンを含む)及びリポソームなどの製剤に幅広い用途を見出す。天然及び合成の両方である、多くの異なる種類の界面活性剤に関する特性を分類及びランク付けする最も一般的な方法は、親水性/親油性バランス(HLB)の使用によるものである。親水基(「ヘッド」としても知られる)の性質は、製剤に使用される異なる界面活性剤を分類するための最も有用な手段を提供する(RiegerのPharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
【0428】
界面活性剤分子がイオン化されていない場合、それは非イオン性界面活性剤として分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬品及び化粧品に幅広い用途を見出し、幅広いpH値に対して使用可能である。一般に、それらのHLB値は、それらの構造に応じて2~約18の範囲である。非イオン性界面活性剤としては、非イオン性エステル、例えば、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、及びエトキシル化エステルなどが挙げられる。非イオン性アルカノールアミド及びエーテル、例えば、脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコール、及びエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマーなども、このクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤クラスの最も一般的なメンバーである。
【0429】
界面活性剤分子が水中に溶解または分散している場合、それが負電荷を保有する場合に界面活性剤はアニオン性として分類される。アニオン性界面活性剤としては、石鹸などのカルボキシレート、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、アルキルサルフェート及びエトキシル化アルキルサルフェートなどの硫酸のエステル、アルキルベンゼンスルホネートなどのスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート及びスルホスクシネート、ならびにホスフェートが挙げられる。アニオン性界面活性剤クラスの最も重要なメンバーは、アルキルサルフェート及び石鹸である。
【0430】
界面活性剤分子が水中に溶解または分散している場合、それが正電荷を保有する場合に界面活性剤はカチオン性として分類される。カチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩及びエトキシル化アミンが挙げられる。第四級アンモニウム塩は、このクラスで最も使用されているメンバーである。
【0431】
界面活性剤分子が正または負電荷のいずれかを保有する能力を有している場合、界面活性剤は両性として分類される。両性界面活性剤としては、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N-アルキルベタイン、及びホスファチドが挙げられる。
【0432】
医薬品、製剤及びエマルジョンにおける界面活性剤の使用が概説されている(RiegerのPharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。
【0433】
本発明の方法に使用するためのオリゴヌクレオチドはまた、ミセル製剤として提供され得る。ミセルは特定の種類の分子集合体であり、その場合に親水性部分が周囲の水相と接触したままで、分子の全ての疎水性部分が内側に向くように、両親媒性分子が球状構造に配置されている。環境が疎水性である場合、逆の配置が存在する。
【0434】
ii.脂質ナノ粒子ベースの送達方法
本発明のオリゴヌクレオチドは、脂質製剤、例えば、脂質ナノ粒子(LNP)、または他の核酸-脂質粒子中に完全に封入されてよい。LNPは、それらが静脈内(i.v.)注射後に循環寿命の延長を示し、遠位部位(例えば、投与部位から物理的に離れている部位)に蓄積するため、全身投与に極めて有用である。LNPは「pSPLP」を含み、これはPCT公開第WO00/03683号に記載されるような封入された凝集剤-核酸複合物を含む。本発明の粒子は通常、約50nm~約150nm、より典型的には約60nm~約130nm、より典型的には約70nm~約110nm、最も典型的には約70nm~約90nmの平均直径を有し、実質的に非毒性である。加えて、本発明の核酸-脂質粒子中に存在する場合の核酸は、水溶液中でヌクレアーゼによる分解に対して耐性がある。核酸-脂質粒子及びそれらの調製方法は、例えば、米国特許第5,976,567号、同第5,981,501号、同第6,534,484号、同第6,586,410号、同第6,815,432号、米国公報第2010/0324120号及びPCT公開第WO96/40964号に開示されている。
【0435】
一実施形態では、脂質対薬物比(質量/質量比)(例えば、脂質対オリゴヌクレオチド比)は、約1:1~約50:1、約1:1~約25:1、約3:1~約15:1、約4:1~約10:1、約5:1~約9:1、または約6:1~約9:1の範囲内となる。上に列挙した範囲の中間の範囲もまた、本発明の一部であると企図される。
【0436】
カチオン性脂質の非限定的な例としては、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N--(1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、N--(1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレオイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、1,2-ジリノレイオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、もしくは3-(N,N-ジリノレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)もしくはそれらの類似体、(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニエテトラヒドロ--3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン(ALN100)、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、1,1’-(2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イエエチルアザンジイエジドデカン-2-オール(Tech G1)、またはそれらの混合物が挙げられる。カチオン性脂質は、例えば、粒子中に存在する総脂質の約20mol%~約50mol%または約40mol%を含み得る。
【0437】
イオン性/非カチオン性脂質は、アニオン性脂質または中性脂質であり得、これらとしては、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、コレステロール、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。非カチオン性脂質は、コレステロールが含まれる場合、例えば、粒子中に存在する総脂質の約5mol%~約90mol%、約10mol%、または約58mol%であり得る。
【0438】
粒子の凝集を阻害する複合化脂質は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)-脂質であり得、例えば、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、またはそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。PEG-DAA複合体は、例えば、PEG-ジラウリルオキシプロピル(Ci)、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(Ci)、PEG-ジパルミチルオキシプロピル(Ci)、またはPEG-ジステアリルオキシプロピル(C])であり得る。粒子の凝集を防止する複合化脂質は、例えば、粒子中に存在する総脂質の0mol%~約20mol%または約2mol%であり得る。
【0439】
いくつかの実施形態では、核酸-脂質粒子は、例えば、粒子中に存在する総脂質の約10mol%~約60mol%または約50mol%でコレステロールをさらに含む。
【0440】
B.併用療法
本発明の方法は単独で、または追加の治療剤、例えば、同じ障害もしくはそれと関連する症状を処置する他の薬剤と組み合わせて、または障害に対する他の種類の療法と組み合わせて使用され得る。併用処置では、治療化合物のうち1つ以上の投与量が、単独で投与される場合に標準的な投与量から減少してよい。例えば、用量は、薬物の組合せ及び順列から経験的に決定されてよいか、またはアイソボログラム分析によって推定されてよい(例えば、Black et al.,Neurology 65:S3-S6(2005))。この場合に、組み合わせた場合の化合物の投与量は治療効果を提供するはずである。
【0441】
いくつかの実施形態では、第2治療剤は、化学療法剤(例えば、障害の処置に有用な細胞傷害剤または他の化学化合物)である。
【0442】
第2薬剤は、非薬物治療である治療剤であってよい。例えば、第2治療剤は理学療法である。
【0443】
本明細書に記載される混合実施形態のいずれにおいても、第1及び第2治療剤は、同時にまたは連続していずれかの順序で投与される。第1治療剤は、第2治療剤の前後で即時に、最大1時間、最大2時間、最大3時間、最大4時間、最大5時間、最大6時間、最大7時間、最大8時間、最大9時間、最大10時間、最大11時間、最大12時間、最大13時間、14時間、最大16時間、最大17時間、最大18時間、最大19時間、最大20時間、最大21時間、最大22時間、最大23時間、最大24時間または最大1~7日、1~14日、1~21日もしくは1~30日で投与されてよい。
【0444】
IV.医薬組成物
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、好ましくは、インビボでの投与に好適な生体適合性形態でヒト対象に投与するための医薬組成物に製剤化される。
【0445】
本明細書に記載される化合物は、遊離塩基の形態で、塩、溶媒和物の形態で、及びプロドラッグとして使用されてよい。全ての形式が、本明細書に記載される方法の範囲内である。本発明の方法においては、記載される化合物またはその塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグは、当業者によって理解されることになるように、選択される投与経路に応じて様々な形式で患者に投与されてよい。本明細書に記載される化合物は、例えば、経口、非経口、髄腔内、脳室内、実質内、頬側、舌下、経鼻、直腸、パッチ、ポンプ、腫瘍内、または経皮投与によって投与され、医薬組成物はそれに応じて製剤化されてよい。非経口投与としては、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、経鼻、肺内、髄腔内、脳室内、実質内、直腸、及び局所投与方法が挙げられる。非経口投与は、選択される期間にわたって持続注入によって行われてよい。
【0446】
本明細書に記載される化合物は、例えば、不活性希釈剤と共に、もしくは吸収可能な食用担体と共に経口投与されてよいか、または化合物はハードもしくはソフトシェルゼラチンカプセル中に密封されてよいか、または化合物は錠剤へと圧縮されてよいか、または化合物は食事の食べ物に直接組み込まれてよい。経口治療投与の場合、本明細書に記載される化合物は賦形剤と共に組み込まれ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、及びウエハ剤の形態で使用されてよい。本明細書に記載される化合物はまた、非経口投与されてもよい。本明細書に記載される化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中で調製され得る。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSO、及びそれらの混合物中においてアルコールと共に、またはそれ無しで、ならびに油中で調製され得る。それらの調製物は、通常の保存及び使用条件下で、微生物の成長を阻止するために防腐剤を含有してよい。好適な製剤の選択及び調製を目的とした従来の手順及び成分は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(2012,22nd ed.)中に、及び2018年に公開されたThe United States Pharmacopeia:The National Formulary(USP 41 NF 36)中に記載されている。注射用途に好適な医薬形態としては、滅菌注射用溶液または分散液を即時調製するための、滅菌水溶液または分散液及び滅菌粉末が挙げられる。全ての場合で、本形式は無菌でなければならず、シリンジによって容易に投与される可能性がある程度まで流体でなければならない。経鼻投与用の組成物は、エアロゾル、点滴、ゲル、及び粉末として簡便に製剤化されてよい。エアロゾル製剤は通常、生理学的に許容される水性または非水性溶媒中における活性物質の溶液または微細懸濁液を含み、通常、噴霧デバイスで使用するためのカートリッジまたは詰め替えの形態を取り得る、密閉容器内に無菌形態で、単回または複数回用量で提示される。あるいは、密閉容器は、一体型の分注デバイス、例えば、単回用量の鼻吸入器または使用後の廃棄を目的とした絞り弁を備えたエアロゾルディスペンサーなどであってよい。剤形がエアロゾルディスペンサーを含む場合、それは噴射剤を含有することになり、これは圧縮ガス、例えば、圧縮空気または有機噴射剤など、例えば、フルオロクロロ炭化水素などであり得る。エアロゾル剤形はまた、ポンプ噴霧器の形態を取り得る。頬側または舌下投与に好適な組成物としては、錠剤、ロゼンジ剤、及びトローチ剤が挙げられ、活性成分が担体、例えば、糖、アカシア、トラガカント、ゼラチン、及びグリセリンなどと共に製剤化される。直腸投与用の組成物は、カカオバターなどの従来の坐剤基剤を含有する坐剤の簡便な形態である。本明細書に記載される化合物は、例えば、腫瘍内注射として腫瘍内に投与されてよい。腫瘍内注射は、腫瘍血管系への直接注射であり、個々の固形の到達可能な腫瘍に対して特に企図されている。局所、局部、または全身投与も適切な場合がある。本明細書に記載される化合物は、例えば、およそ1cmの間隔を空けて、腫瘍に注射または複数回注射を投与することによって有利に接触してよい。外科的介入の場合、本発明は、手術不能な腫瘍を切除の対象にするなどのために、術前に使用されてよい。連続投与はまた、該当する場合、例えば、腫瘍に、または腫瘍血管系にカテーテルを移植することによって適用されてよい。
【0447】
本明細書に記載される化合物は、本明細書で述べられるように、動物、例えば、ヒトに単独で、または薬学的に許容される担体と組み合わせて投与されてよく、その割合は、化合物の溶解度及び化学的性質、選択された投与経路、ならびに標準的な薬務によって決定される。
【0448】
V.投与量
本明細書に記載される組成物(例えば、オリゴヌクレオチドを含む組成物)の投与量は、多くの要因、例えば、化合物の薬力学的特性、投与方法、レシピエントの年齢、健康状態、及び体重、症状の性質及び程度、処置の頻度、及びもしあれば、併用処置の種類、ならびに処置される動物における化合物のクリアランス速度などに応じて変動し得る。当業者は、上記の要因に基づいて適切な投与量を決定できる。本明細書に記載される組成物は、臨床応答に応じて、適宜調整されてよい好適な投与量で最初に投与されてよい。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、オリゴヌクレオチドを含む組成物)の投与量は、予防または治療有効量である。
【0449】
VI.キット
本発明はまた、(a)本明細書に記載される細胞または対象中においてmRNA中のアデノシンの脱アミノ化をもたらすオリゴヌクレオチド剤を含む医薬組成物、及び(b)本明細書に記載される方法のいずれかを実施するための説明書を含む添付文書を含むキットを特徴とする。いくつかの実施形態では、キットは、(a)本明細書に記載される細胞または対象中においてmRNA中のアデノシンの脱アミノ化をもたらすオリゴヌクレオチド剤を含む医薬組成物、(b)追加の治療剤、及び(c)本明細書に記載される方法のいずれかを実施するための説明書を含む添付文書を含む。
【実施例
【0450】
一般的な方法
全てのガイドオリゴヌクレオチドを、標準的なβ-シアノエチルホスホロアミダイト化学及び汎用固体支持体、例えば、多孔性ガラス粉体(CPG)などを使用して、自動RNA/DNA合成装置上で化学的に合成した。ホスホロアミダイトのアラビノシド、2’-デオキシ-2’-フルオロ-アラビノシド(FANA)、2’-O-メチル-アラビノシド、α-2’-デオキシシチジン、DNA脱塩基、RNA脱塩基、及び2’-O-メチル脱塩基を、ChemGenes Corp.(Wilmington,MA)から購入した。RNAの他の5’-O-DMT-3’-ホスホロアミダイト、2’-O-メチル-RNA及びDNAモノマー、すなわち、A、C、G、U、及びTを、商業的供給元から購入した。全てのオリゴヌクレオチドを、BioSpring GmbH(Frankfurt,Germany)によって200nmolスケールで合成した。合成後、オリゴヌクレオチドを固体支持体から切断して脱保護し、標準的なプロトコールを使用するHPLCシステムによって精製した。オリゴヌクレオチドを脱塩し、透析して凍結乾燥した。分析用の逆相HPLCによって決定した通り、各凍結乾燥オリゴの純度は95%以上であった。オリゴヌクレオチドの配列完全性を、ESI-MSによって決定した。
【0451】
ヒトADAR2配列(NM_001112.4)を、BamHI及びXbaI制限部位(Quintara Bio,Berkeley,CA)を使用してCMVプロモーターの制御下でpcDNA3.1プラスミドにクローニングし、正確なインサートの配列を検証した。これ以降、このプラスミドをADAR2/pcDNA3.1と表すことになる。編集実験のために、2μgのADAR2/pcDNA3.1プラスミドを、10cmディッシュあたり、25μLのLipofectamine 3000及び24μLのP3000(Life Technologies)を使用して、5×10HEK293T細胞(ATCC)にトランスフェクトした。4時間後、培養培地に加温した新しい培地(DMEM High Glucose、Life Technologies)を補充した。トランスフェクションの12~16時間後、トランスフェクトHEK293T細胞を、各ウェルの最終濃度が100nMになるようにガイドオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした。全てのトランスフェクションを、製造業者の指示に従って、96ウェルフォーマットにおいてLipofectamine 3000(0.4μL/1ウェルあたり)を用いて実施した。2回目のトランスフェクションの12~16時間後、細胞を氷冷PBSで1回洗浄し、製造業者の指示に従って、KingFisher Flex Purification(Life Technologies)に適合したDyna Beads mRNA Direct Kit(Life Technologies)を使用して、全mRNAの単離を実施した。試料を、溶出前にTURBO DNase(Life Technologies)で処理した。得られた単離mRNAを、製造業者(Life Technologies)の指示に従って、SuperScript IV Viloを使用するcDNA合成に使用した。1μlのcDNAを、遺伝子特異的プライマーを使用するPCR(Platinum II Hot-Start PCR Master Mix、Life Technologies)用の鋳型として使用し、サンガーシーケンシング用のアンプリコンを生成した(表5)。サンガーシーケンシングを、Quintara Biosciences(Berkeley,CA)によって実施した。アデノシンからグアノシンへの編集収率を、アデノシン及びグアノシンのピーク高さを測定し、グアノシンのピーク高さを、アデノシン及びグアノシンを組み合わせた合計のピーク高さの測定値で割ることによって定量した。
【0452】
実施例1:ヒトRAB7A 3’-UTR標的(UAG)を標的とする新規ヌクレオチド修飾を有するガイドオリゴヌクレオチドの設計
ヒトRAB7A(3’-UTR)を標的とするガイドオリゴヌクレオチド:
以下の表6に示すのは、UAGトリプレットを有するヒトRAB7Aを標的とする例示的な修飾ガイドオリゴヌクレオチドである。表6では、A、C、G及びUはリボヌクレオシドであり、下線付きの太字は中央トリプレットであり、mA、mC、mG及びmUは2’-O-メチルリボヌクレオシドであり、fCは、2’-デオキシ-2’-フルオロ-アラビノシチジン(式I:R=フルオロ及びN=シトシン)を表し、fAは、2’-デオキシ-2’-フルオロ-アラビノアデノシン(式I:R=フルオロ及びN=アデニン)を表し、aCはアラビノシチジン(式I:R=ヒドロキシ及びN=シトシン)を表し、aAはアラビノアデノシン(式I:R=ヒドロキシ及びN=アデニン)を表し、amCは2’-O-メチル-アラビノシチジン(式I:R=メトキシ及びN=シトシン)を表し、amAは2’-O-メチル-アラビノアデノシン(式I:R=メトキシ及びN=アデニン)を表し、αCはα-2’-デオキシシチジン(式II:R=水素及びN=シトシン)を表し、dSは2’-デオキシリボース(脱塩基DNA、式V:R=水素及びR=水素)を表し、rSはリボース(脱塩基RNA、式V:R=水素及びR=ヒドロキシ)を表し、mSは2’-O-メチル-リボース(脱塩基2’-OMe-RNA、式V:R=水素及びR=メトキシ)を表し、アスタリスクは、ホスホロチオエート結合を示す(残りの結合はホスホジエステル結合である)。
【0453】
他の実施形態
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照によって全体が組み込まれていると具体的かつ個別に示された場合と同程度に、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本出願の用語が、参照によって本明細書に組み込まれる文書中で異なって定義されていることが見出される場合、本明細書で提供される定義が、その用語の定義として機能することになる。
【0454】
本発明は、その特定の実施形態に関連して記載されてきたが、本発明はさらなる修正が可能であり、本出願が、一般に本発明の原理に従い、本発明が属する当該技術分野内において既知の、または慣行に含まれ、前述される本質的特徴に適合する可能性があり、特許請求の範囲に従うような本開示からの逸脱を含む、本発明の任意の変更、使用、または適合を網羅することを意図すると理解されることになる。
【配列表】
0007629404000001.app