(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】照明装置及び照明装置を用いた栽培棚
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
A01G7/00 601A
A01G7/00 601B
(21)【出願番号】P 2021554198
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2020036646
(87)【国際公開番号】W WO2021085001
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2019198604
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514108263
【氏名又は名称】株式会社ファームシップ
(73)【特許権者】
【識別番号】596163770
【氏名又は名称】株式会社RYODEN
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 由久
(72)【発明者】
【氏名】北島 正裕
(72)【発明者】
【氏名】新田 貴正
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高志
(72)【発明者】
【氏名】湯本 晃広
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-140344(JP,A)
【文献】特開2010-136717(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0026179(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 31/00
F21V 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向において異なる位置に配置され、被照射面に向けて光を出射する二つの発光部材と、
前記第一方向における中央位置が前記二つの発光部材の間に位置した状態で、前記二つの発光部材を支持する支持部材と、
前記第一方向において前記二つの発光部材よりも外側に配置され、それぞれが前記二つの発光部材のうち、対応する発光部材からの出射光の
うち、前記外側に向けて出射される光の進路を遮って前記中央位置側に進行方向を調整する二つの第一光調整部材と
前記第一方向において前記二つの発光部材よりも内側に配置され、前記被照射面側から来る光の進行方向を調整する二つの第二光調整部材と、を有し、
前記二つの発光部材の各々は、前記出射光のうち、前記第一方向において前記中央位置から離れる向きの光の強度が最も高くなるように配置されており、
前記二つの第一光調整部材の各々は、
前記第一方向において、前記対応する発光部材と重複する位置に配置されている照明装置。
【請求項2】
第一方向において異なる位置に配置され、被照射面に向けて光を出射する二つの発光部材と、
前記第一方向における中央位置が前記二つの発光部材の間に位置した状態で、前記二つの発光部材を支持する支持部材と、
前記第一方向において前記二つの発光部材よりも外側に配置され、それぞれが前記二つの発光部材のうち、対応する発光部材からの出射光の進行方向を調整する二つの第一光調整部材と
前記第一方向において前記二つの発光部材よりも内側に
前記第一光調整部材とは異なる角度で配置され、前記被照射面側から来る光の進行方向を調整する二つの第二光調整部材と、を有し、
前記二つの発光部材の各々は、前記出射光のうち、前記第一方向において前記中央位置から離れる向きの光の強度が最も高くなるように配置されており、
前記二つの第一光調整部材の各々は、
前記第一方向において、前記対応する発光部材と重複する位置に配置されている照明装置。
【請求項3】
第一方向において異なる位置に配置され、被照射面に向けて光を出射する二つの発光部材と、
前記第一方向における中央位置が前記二つの発光部材の間に位置した状態で、前記二つの発光部材を支持する支持部材と、
前記第一方向において前記二つの発光部材よりも外側に配置され、それぞれが前記二つの発光部材のうち、対応する発光部材からの出射光の進行方向を調整する二つの第一光調整部材と
前記第一方向において前記二つの発光部材よりも内側に配置され、前記被照射面側から来る光の進行方向を調整する二つの第二光調整部材と、を有し、
前記二つの発光部材の各々は、前記出射光のうち、前記第一方向において前記中央位置から離れる向きの光の強度が最も高くなるように配置されており、
前記二つの第一光調整部材の各々は、
前記第一方向において、前記対応する発光部材と重複する位置に配置されて
おり、前記二つの第一光調整部材の前記中央位置から最も離れた部分は、前記被照射面の法線方向である第二方向において前記対応する発光部材よりも前記被照射面と近い位置にある、照明装置。
【請求項4】
前記第一光調整部材の前記中央位置に最も近い部分は、前記
被照射面の法線方向である第二方向において前記対応する発光部材よりも前記被照射面と離れた位置にある請求項1
乃至3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記二つの発光部材は、基板に取り付けられており、
前記第二光調整部材は、前記基板の一部を覆う位置に配置されている請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第一光調整部材又は前記第二光調整部材は、反射板である請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記
被照射面の法線方向である第二方向と前記出射光の光の強度が最も高くなる方向との角度が、5~90度である請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の照明装置を用いた栽培棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に係り、特に植物の栽培棚に用いられる照明装置に関する。また、本発明は、照明装置を用いた栽培棚に関する。
【背景技術】
【0002】
栽培工場等において農作物等の植物を栽培することは、既に知られている。栽培工場等では、人工光照明等の照明装置を栽培棚に設置し、その栽培棚の棚内の栽培空間で植物の栽培を行っている。具体的には、栽培棚の棚内下部に水耕栽培設備を設け、その水耕栽培設備に向けて光を出射するように照明装置を棚内上部に設置する構成が利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、水耕栽培用パネル内の植物に向けて人工の照明光を照射する照明装置を移動可能に備え、栽培対象となる植物と照明装置との距離を調整する多段化水耕栽培装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、照明装置から出射される光は、正面に出射された光の強度が最も強く、斜めに出射された光の強度は低下する(ランバーシアン光分布)。ゆえに、栽培棚内において均一に光を出射し、且つ、十分な照明強度を得るためには、設置する照明装置の数を増やして照明装置間の距離を短くする必要がある。
【0006】
しかし、照明装置の数を増やせば、照明装置本体の費用及び工事費用等の設置費用が嵩むことになる。また、照明装置は、栽培される植物や水耕液肥等により汚れることもあるので、照明装置の数が増えれば、点検及び清掃等する頻度も高まることになり、維持するための手間及び費用が増加する。さらに、照明装置の数が増えれば、故障の頻度も高まる。特に、大規模な栽培工場では、そもそも非常に多くの照明装置が必要となることからも、上記問題が顕著である。
【0007】
また、照明装置は、その正面に多くの光を出射するものの、斜め及び横方向にも光を出射している。そのため、特に、横方向に出射された光は、栽培棚外を照射することになり、栽培に寄与しない無駄なエネルギが消費されることになる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、エネルギの無駄を減らし、少ない設置数で栽培棚内を均一且つ効率良く照射することが可能な照明装置及びその照明装置を用いた栽培棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の照明装置は、第一方向において異なる位置に配置され、被照射面に向けて光を出射する二つの発光部材と、第一方向における中央位置が二つの発光部材の間に位置した状態で、二つの発光部材を支持する支持部材と、第一方向において二つの発光部材よりも外側に配置され、それぞれが二つの発光部材のうち、対応する発光部材からの出射光の進行方向を調整する二つの第一光調整部材と第一方向において二つの発光部材よりも内側に配置され、被照射面側から来る光の進行方向を調整する二つの第二光調整部材と、を有し、二つの発光部材の各々は、出射光のうち、第一方向において中央位置から離れる向きの光の強度が最も高くなるように配置されており、二つの第一光調整部材の各々は、第一方向において、対応する発光部材と重複する位置に配置されている。
【0010】
以上のように構成された本発明の照明装置によれば、第一方向において中央位置から離れる向きの光の強度が最も高くなるように配置された二つの発光部材により広範囲を照射しつつ、第一光調整部材及び第二光調整部材により、被照射面から外れる光を被照射面に向けて調整することができる。これにより、本発明の照明装置を植物の栽培棚に設置すれば、エネルギの無駄を減らし、少ない設置数で栽培棚内を均一且つ効率良く照射することができる。
【0011】
また、本発明の照明装置において、第一光調整部材の中央位置に最も近い部分は、第二方向において対応する発光部材よりも被照射面と離れた位置にある。
上記構成であれば、外部に漏れる無駄な光をより減らすことができるので、より効率的にエネルギの無駄を減らし、少ない設置数で栽培棚内を均一且つ効率良く照射することができる。
【0012】
また、本発明の照明装置において、第一光調整部材の中央位置から最も離れた部分は、第二方向において対応する発光部材よりも被照射面と近い位置にある。
上記構成であれば、外部に漏れる無駄な光をより減らすことができるので、より効率的にエネルギの無駄を減らし、少ない設置数で栽培棚内を均一且つ効率良く照射することができる。
【0013】
また、本発明の照明装置において、二つの発光部材は、基板に取り付けられており、第二光調整部材は、基板の一部を覆う位置に配置されている。
上記構成であれば、より効率的にエネルギの無駄を減らし、少ない設置数で栽培棚内を均一且つ効率良く照射することができるうえ、被照射面側から来る光が基板に当たる量を減少させることができるので、基板が高熱になるのを防止して発光部材の安定動作にも寄与することができる。
【0014】
また、本発明の照明装置において、第一光調整部材又は第二光調整部材は、反射板である。
上記構成であれば、発光部材からの出射光又は被照射面側から来る光を反射することができるので、より効率的にエネルギの無駄を減らし、少ない設置数で栽培棚内を均一且つ効率良く照射することができる。
【0015】
また、本発明の照明装置において、第二方向と出射光の光の強度が最も高くなる方向との角度が、5~90度である。
上記構成であれば、より適正な範囲を照射することができるので、より効率的にエネルギの無駄を減らし、少ない設置数で栽培棚内を均一且つ効率良く照射することができる。
【0016】
また、前述した課題を解決するため、本発明の栽培棚は、上述した照明装置のいずれか一つを用いる。
上記構成であれば、エネルギの無駄を減らし、少ない設置数で栽培棚内を均一且つ効率良く照射することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エネルギの無駄を減らし、少ない設置数で栽培棚内を均一且つ効率良く照射することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図7】
図1のA-A線断面図の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の一実施形態(本実施形態)について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明について分かり易く説明するために挙げた具体的な一つの実施形態ではあるが、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0020】
<照明装置10について>
図1及び
図2に示されるように、照明装置10は、支持部材11と、基板12,22と、LEDパッケージ13,23と、外側反射板14,24と、内側反射板15,25と、カバー17,27と、電源18と、電子回路19と、を備える。
【0021】
なお、本実施形態では、LEDパッケージ13,23が発光部材に相当し、外側反射板14,24が第一光調整部材に相当し、内側反射板15,25が第二光調整部材に相当する。
また、
図1及び
図2に示されるL-C-Rを結ぶ線で示す方向が第一方向に相当し、C線(破線)で示す位置が第一方向における中央位置Cに相当する。さらに、
図2に示される矢印Fで示す向きが照明装置10の正面Fに相当し、その照明装置10の正面F側にある不図示の平面が被照射面に相当し、その被照射面の法線方向(
図2中のC-Fを結ぶ線で示す方向)が第一方向と直交する第二方向に相当する。
【0022】
支持部材11は、基板12,22、LEDパッケージ13,23、外側反射板14,24、内側反射板15,25及びカバー17,27等を安定して支持するための台枠である。
具体的には、支持部材11は、上記部材を概ね左右対称にそれぞれ支持しており、R側には、基板12、LEDパッケージ13、外側反射板14、内側反射板15及びカバー17を支持している。一方、L側には、基板22、LEDパッケージ23、外側反射板24、内側反射板25及びカバー27を支持している。なお、本実施形態では、照明装置10の強度を保つために、中央位置CにはR側とL側との間に境界となる壁が設けられている。また、基板12,22、外側反射板14,24及び内側反射板15,25等を支持部材11に安定して固定するために、不図示の補助部材を適宜設けてもよい。
また、支持部材11は、その内側に、電源18及び不図示のコンデンサ等を備える電子回路19を収容可能な内部空間20を有する。
【0023】
基板12,22は、第一方向及び第二方向と直交する方向(以下、第三方向という。)に延在する矩形の板状部材である。基板12,22の表面(正面F側の面)には、複数のLEDパッケージ13,23が第三方向に沿って所定間隔で配置されており、LED列が構成されている。基板12,22は、支持部材11の中央位置CよりR側(基板12)とL側(基板22)に一本ずつ合計二本備えられており、その結果、二列のLED列が形成されている。
【0024】
LEDパッケージ13,23は、
図3に示されるように、主に、LEDチップ31と、パッケージ基板32と、ランプハウス33と、リードフレーム34と、ボンディングワイヤー35と、封止樹脂36と、から構成される。
【0025】
具体的には、LEDチップ31は、発光ダイオードチップであり、LEDパッケージ13,23の光源となる部分である。そのLEDチップ31がアルミニウム等の素材から成るプリント基板であるパッケージ基板32の上に載せられており、通電性を有するボンディングワイヤー35によって電極となるリードフレーム34に接続されている。また、LEDチップ31は、ランプハウス33の内側に充填されたシリコーンやエポキシ樹脂等から成る封止樹脂36により固定されている。
【0026】
上記構成のLEDパッケージ13,23は、一定量の電圧をかけると、LEDチップ31が発光し、電気を光に変える。LEDパッケージ13,23は、放射状(半円状)に広範囲に光を出射するが、一般的に、
図3の矢印Mが示す方向、すなわち、LEDチップ31に正対する方向に出射する光の強度が最も高く、斜め方向等に出射された光の強度は低下する。なお、本実施形態では、光の強度が最も高くなる方向を最強照度方向Mという。
【0027】
本実施形態では、LEDパッケージ13,23の最強照度方向Mは、第一方向において中央位置Cから離れる向き(所謂外側向き)になるように配置されている。具体的には、LEDパッケージ13は、最強照度方向Mが第二方向からR側に向けて角度θ1を有する方向になるように配置されている。また、LEDパッケージ23は、最強照度方向Mが第二方向からL側に向けて角度θ1を有する方向になるように配置されている。なお、LEDパッケージ13における角度θ1と、LEDパッケージ23における角度θ1とは、本実施形態では同じ角度としたが、それぞれ異なる角度としてもよい。
【0028】
ここで、
図4及び
図5を参照して、角度θ1の好ましい範囲について説明する。
図4及び
図5に示されるように、角度θ1を大きくすると、距離Dも大きくなる。すなわち、角度θ1が小さすぎると、照射できる範囲が狭くなる。一方、角度θ1が大きすぎると、遠くを照射することになり、近い場所が暗くなるうえ、被照射面37から外れる光も多くなる。そのため、角度θ1の範囲は、5~90度が好ましく、より好ましくは10~80度、さらに好ましくは20~70度、最も好ましくは30~60度である。
なお、距離Dとは、LEDパッケージ13,23(厳密にはLEDチップ31)の第二方向上における被照射面37との交点D1から、被照射面37における最強照度方向Mに出射された光の到達点D2までの距離であり、第二方向におけるLEDパッケージ13,23(厳密にはLEDチップ31)の位置と交点D1との距離(高さ)を100%としたときの比率を示すものである。
【0029】
外側反射板14,24は、光の進行方向を調整する部材であり、外側反射板14は、LEDパッケージ13よりも外側(R側)の位置において、外側反射板24は、LEDパッケージ23よりも外側(L側)の位置において、基板12,22に沿って第三方向に延在する板状部材である。外側反射板14,24は、例えば、アルミニウム又は銅等の光反射率の高い所定の金属等から成り、少なくとも一方の面(LEDパッケージ13,23が配置されている側の面)は、高い光反射率となっている。
【0030】
図2に示されるように、外側反射板14,24の中央位置Cに最も近い部分14a,24aの位置は、第二方向において、LEDパッケージ13,23の被照射面と最も離れた端部13a,23aよりも被照射面と離れた位置に配置されている。一方、外側反射板14,24の中央位置Cから最も離れた部分14b,24bの位置は、第二方向において、LEDパッケージ13,23の被照射面と最も近い端部13b,23bよりも被照射面と近い位置に配置されている。これにより、外側反射板14,24は、第一方向において、LEDパッケージ13,23と重複する位置に配置されることとなり、LEDパッケージ13,23から外側(R側又はL側)に出射される光の進路を遮る構成となっている。
【0031】
図6に示されるように、外側反射板14,24は、被照射面37と平行な方向に対して所定の角度θ2を有した状態で配置されている。ここでの所定の角度θ2は、その仰角を1~4度とすることが好ましく、さらに好ましくは3~30度、最も好ましくは5~15度である。
【0032】
内側反射板15,25は、光の進行方向を調整する部材であり、それぞれ対応するLEDパッケージ13,23よりも中央位置C側に、基板12,22の表面の一部を覆うように配置された、基板12,22に沿って第三方向に延在する板状部材である。内側反射板15,25の材質は、外側反射板14,24と同様、例えば、アルミニウム又は銅等の光反射率の高い所定の金属等から成り、少なくとも一方の面(LEDパッケージ13,23が配置されている側の面)は、高い光反射率となっている。
【0033】
内側反射板15,25は、LEDパッケージ13,23に近い部分の厚みが薄くなるように、LEDパッケージ13,23が配置されている側の面にテーパが形成されている。これにより、LEDパッケージ13,23から内側(中央位置C側)に出射される光を効率良く反射する構成となっている。
【0034】
図6に示されるように、上記のように配置された外側反射板14,24及び内側反射板15,25は、LEDパッケージ13,23から出射された光(
図6中の矢印)を反射させる。また、LEDパッケージ13,23から出射された光の他、後述するカバー17,27等によって基板12,22方向に反射してきた光、すなわち、被照射面側から来る光(
図6中の点線矢印)も再度反射する。
【0035】
カバー17,27は、透光性を有するプラスチック等から成り、基板12,22に沿って第三方向に延在する弧状部材である。カバー17,27は、中央位置CよりR側及びL側において、それぞれ支持部材11に嵌合等の固定方法で取り付けられている。カバー17,27は、LEDパッケージ13,23、外側反射板14,24及び内側反射板15,25等の照明装置10内の各部材を汚れ等から防ぐためのものである。
【0036】
このように、上記構成の照明装置10では、LEDパッケージ13,23の最強照度方向Mが第二方向からR側及びL側に向けて所定の角度θ1を有する方向になるように配置されているため、広範囲を照射できるうえ、LEDパッケージ13,23と重複する位置に配置された外側反射板14,24により、外部に漏れる無駄な光を減らすことができるので、エネルギの無駄を減らし、所望の被照射面に対して均一且つ効率良く照射することができる。また、外側反射板14,24及び内側反射板15,25により、基板12,22方向に反射してきた光を再度反射させるので、光を効率良く利用できるうえ、基板12,22が高熱になるのを防止し、LEDパッケージ13,23の安定動作にも寄与する。
【0037】
<照明装置10の変形例について>
上記構成の照明装置10では、支持部材11に対する基板12,22自体の設置角度を調整することにより、LEDパッケージ13,23の最強照度方向Mを第二方向からR側及びL側に変更している。しかし、最強照度方向Mを中央位置Cから離れる方向に配置する構成は、これに限定されない。
【0038】
例えば、
図7に示されるように、基板12,22に代えて基板42とすることもできる。
基板42では、表面に所定角度を有する傾斜面が形成され、その傾斜面に複数のLEDパッケージ13,23が第三方向に沿って所定間隔で配置されており、LED列が構成されている。これにより、LEDパッケージ13,23の最強照度方向Mは、第二方向からR側及びL側に向けてそれぞれ所定の角度θ1を有する方向になるように配置されることとなる。なお、その他の部材については、この変形例においても、上述の場合と同様である。
【0039】
<照明装置10を用いた栽培棚50について>
次に、上記構成の照明装置10を用いた栽培棚50について、
図8の概略図を参照して説明する。なお、同図では、図示の都合上、栽培棚50の要部を模式的に図示している。
【0040】
栽培棚50は、内部が閉鎖空間又は半閉鎖空間である建物又はコンテナのような構造物である栽培工場内の部屋の中に設置されるものである。この栽培棚50では、植物、例えば、不図示の葉物野菜等が水耕栽培方式によって栽培される。ただし、栽培棚50での植物栽培方式は、水耕栽培方式に限定されず、他の方式(例えば、土耕栽培方式若しくは養液土耕栽培方式等)であってもよい。
【0041】
図8に示されるように、栽培棚50は、鉛直方向に立設された複数のフレーム51と、それらのフレーム51間にわたって水平方向に架設された棚段52とを複数備える多段式の構造物である。水平方向に架設された棚段52は、鉛直方向に複数並んでおり、それぞれの棚段52は、その上に植物等を載置できるものであればよく、好適には板体若しくは格子枠等であるのが望ましい。
【0042】
各棚段52上には、フレーム51と棚段52とによって区画された矩形状の空間である複数の栽培空間53が鉛直方向に積層されている。つまり、栽培棚50では、植物の栽培空間53が複数の棚段52によって仕切られて鉛直方向に複数並んでいる。それぞれの栽培空間53内では、植物が栽培される。
【0043】
なお、本実施形態では、棚段52は鉛直方向に五段設置され、栽培空間53は四段積層されているが、段数はこれに限定されるものではない。すなわち、五段超でもよく、又は五段未満でもよい。また、栽培棚50は、本実施形態のような多段式のものに限定されず、棚段52の数(段数)が単段式であってもよい。
【0044】
棚段52の裏側には、上述した照明装置10が設置されている。すなわち、栽培棚50では、栽培空間53内で栽培中の植物に向けて光合成に必要な人工光を照射する部材として照明装置10を用いている。
具体的には、栽培空間53ごとにそれぞれの栽培空間53の上方位置(詳しくは、各栽培空間53で栽培される植物の上方位置)において、水平方向に設置されている。このとき、上述の第二方向が鉛直方向となるように設置されている。また、上述の第一方向を棚段52の長手方向とし、上述の第二方向を棚段52の短手方向として設置されている。
【0045】
本実施形態では、一例として、栽培空間53ごとに、棚段52の長手方向に沿って、複数本(複数機)の照明装置10が設置されている。ただし、設置費用、維持費用及び故障リスクの観点等からも、照明装置10の設置数はなるべく少なくすることが好ましい。
【0046】
本実施形態の照明装置10であれば、LEDパッケージ13,23の最強照度方向Mが第二方向(鉛直方向)からR側及びL側に向けて所定の角度θ1を有する方向になるように設置されているため、栽培空間53内を広範囲に照射できるうえ、外側反射板14,24により、栽培空間53外に漏れる無駄な光を減らすことができる。そのため、エネルギの無駄を減らし、少ない設置数であっても均一且つ効率良く栽培空間53内の植物に光を照射することができる。
また、外側反射板14,24及び内側反射板15,25により、カバー17,27及び水耕液肥の水面等からの反射光も再反射するので、光量を効率良く利用することができる。
<その他>
【0047】
本実施形態では、第一光調整部材及び第二光調整部材として、反射板(外側反射板14,24及び内側反射板15,25)を用いた。しかし、光の進路を調整できるものであれば、第一光調整部材及び第二光調整部材は反射板に限定されるものではない。例えば、偏光板、プリズム又はレンズ等であっても適用可能である。
【0048】
また、本実施形態では、LEDパッケージ13,23の一例として、表面実装型のPLCC(Plastic leaded chip carrier)タイプを挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、同じ表面実装型のPWB(Printed Wiring Board)タイプであってもよいし、ワイヤレスでパッケージ基板32に接続するフリップチップ型でもよい。また、長尺状のLED等の線状光源であってもよい。
【0049】
さらに、本実施形態では、照明装置10の発光源としてLEDを用いたが、無機又は有機のLED以外にも、例えば、レーザー等の半導体発光素子、蛍光灯、水銀灯、希ガスランプ、無電極ランプ等の放電管、白熱灯等のフィラメント発光機、放射光又は蛍光等のエネルギ遷移によるもの等、光を発する装置であれば広く使用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 照明装置
11 支持部材
12 基板
13 LEDパッケージ
13a 被照射面と最も離れた端部
13b 被照射面と最も近い端部
14 外側反射板
14a 中央位置Cに最も近い部分
14b 中央位置Cから最も離れた部分
15 内側反射板
17 カバー
18 電源
19 電子回路
20 内部空間
22 基板
23 LEDパッケージ
23a 被照射面と最も離れた端部
23b 被照射面と最も近い端部
24 外側反射板
24a 中央位置Cに最も近い部分
24b 中央位置Cから最も離れた部分
25 内側反射板
27 カバー
31 LEDチップ
32 パッケージ基板
33 ランプハウス
34 リードフレーム
35 ボンディングワイヤー
36 封止樹脂
37 被照射面
42 基板
50 栽培棚
51 フレーム
52 棚段
53 栽培空間