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特許7629463円形測距OCTのための電気光学位相符号モードロッキングに基づく周波数コム生成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】円形測距OCTのための電気光学位相符号モードロッキングに基づく周波数コム生成
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/106 20060101AFI20250205BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20250205BHJP
   G02F 1/03 20060101ALI20250205BHJP
   H01S 3/08 20230101ALI20250205BHJP
【FI】
H01S3/106
G01N21/17 630
G02F1/03 503
H01S3/08
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2022541662
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 US2021015753
(87)【国際公開番号】W WO2021194630
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】62/968,299
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ヴァコック ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】キム テ シク
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-512086(JP,A)
【文献】特許第5495506(JP,B2)
【文献】米国特許第06590910(US,B1)
【文献】特表2014-501393(JP,A)
【文献】特表2014-517344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 -3/02
H01S 3/04 -3/0959
H01S 3/10 -3/102
H01S 3/105-3/131
H01S 3/136-3/213
H01S 3/23 -5/50
G01N 21/00 -21/01
G01N 21/17 -21/61
G02F 1/00 -1/125
G02F 1/21 -7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のスペクトル範囲内の電磁放射線を提供する線源であって、
複数の波長帯を周回させるためのリング状の光共振器であって、第1の光位相変調器と、第1の波長分散デバイスと、第2の光位相変調器と、マルチラインスペクトラルドメインフィルタと、第2の波長分散デバイスと、光増幅器とを含む光共振器と、
前記第1の光位相変調器及び前記第2の光位相変調器に接続されたコントローラであって、前記第1の光位相変調器を第1の波形で駆動させ、前記第2の光位相変調器を第2の波形で駆動させるよう構成されたコントローラと、を備え、
前記第1の波長分散デバイスは、前記第1の光位相変調器と前記第2の光位相変調器との間に配置され、前記複数の波長帯の各々がそれぞれの複数の異なる時間遅延を受けるように波長分散をもたらし、
前記第1の光位相変調器及び前記第2の光位相変調器は、前記第1の波形によって駆動される前記第1の光位相変調器を使用して第1の位相を変調し、そして、特定の時間遅延の後に、前記第1の波形の逆の波形を含む前記第2の波形によって駆動される前記第2の光位相変調器を使用して第2の位相を変調することによって、前記複数の波長帯の各々について前記第1の光位相変調器によるスペクトル拡大を生じさせるとともに前記複数の波長帯の特定の波長帯について前記第2の光位相変調器によるスペクトル復元を生じさせるように構成され、
前記特定の時間遅延は、前記複数の波長帯の前記特定の波長帯についてスペクトル復元を生じさせるように決定され、
前記マルチラインスペクトラルドメインフィルタは、前記特定の波長帯以外の前記複数の波長帯の各々のパワー損失を引き起こすために、狭帯域幅でマルチラインスペクトラルフィルタリングをもたらすように構成され、
前記第2の波長分散デバイスは、前記マルチラインスペクトラルドメインフィルタの出力に対して波長分散補償して、前記光共振器内でグループ遅延分散を補償して、前記複数の波長帯の各々について周回周波数を一致させるよう構成され、
前記第1の波形及び前記第2の波形は、前記光共振器の周回周波数の整数の倍数である周波数で前記複数の波長帯を復元するための周期的位相変調を生じさせるよう構成されている、線源。
【請求項2】
記線源は、前記光共振器の出力レーザ光を一方向に伝送させるための光分離を提供するよう構成された光アイソレータをさらに備える、請求項1に記載の線源。
【請求項3】
前記第1の光位相変調器及び前記第2の光位相変調器の少なくとも1つは、電気光学位相変調器を備える、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項4】
前記第1の光位相変調器及び前記第2の光位相変調器の少なくとも1つは、ニオブ酸リチウム位相変調器を備える、請求項3に記載の線源。
【請求項5】
前記第1の波長分散デバイスは、分散ファイバ、チャープファイバブラッググレーティング、ファイバブラッググレーティングアレイ、又は反射型ファイバ遅延ラインである、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項6】
前記第2の波長分散デバイスは、分散ファイバ、チャープファイバブラッググレーティング、ファイバブラッググレーティングアレイ、又は反射型ファイバ遅延ラインである、請求項5に記載の線源。
【請求項7】
前記第1の波長分散デバイスは、前記第2の波長分散デバイスとは異なるタイプのデバイスである、請求項6に記載の線源。
【請求項8】
前記マルチラインスペクトラルドメインフィルタは、ファブリペローエタロンを備える、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項9】
前記光増幅器は、半導体光増幅器又はエルビウムドープファイバ増幅器である、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項10】
前記第1の波長分散デバイスは異常波長分散をもたらし、前記第2の波長分散デバイスは正常波長分散をもたらす、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項11】
前記第1の波長分散デバイスは正常波長分散をもたらし、前記第2の波長分散デバイスは異常波長分散をもたらす、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項12】
前記コントローラは、2チャネル任意波形ジェネレータを備える、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項13】
前記第1の波形及び前記第2の波形を増幅させるRF増幅器をさらに備える、請求項12に記載の線源。
【請求項14】
前記第1の波形及び前記第2の波形は、前記第1の波形と前記第2の波形の間の遅延をデジタル-アナログサンプリング周波数よりも高い精度で制御することができるように、前記第1の波形及び前記第2の波形の異なる離散的表現によって生成される、請求項12に記載の線源。
【請求項15】
前記光共振器は、前記複数の波長帯に基づき第1の出力電磁放射線を発するよう構成された出力カプラーをさらに備える、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項16】
前記特定の時間遅延は、波長ステップレーザを生成するために前記複数の波長帯の各々が前記第2の光位相変調器によって波長順にスペクトル復元されるように調整される、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項17】
前記第1の波形又は前記第2の波形の少なくとも1つが、チャープ正弦波波形を備える、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項18】
前記第1の波形及び前記第2の波形は、100kHz~5MHzの周波数で前記複数の波長帯を復元するための周期的位相変調を生じさせるよう構成される、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項19】
前記線源は、レーザオン期間とレーザオフ期間で動作する、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項20】
前記第1の波形又は前記第2の波形の少なくとも1つが、前記レーザオン期間中にチャープ正弦波を含み、前記レーザオフ期間中に均一正弦波波形を含む、請求項19に記載の線源。
【請求項21】
前記線源は、ファブリペロー透過ピークの線幅の逆数に関係する持続期間(パルス幅)を有する光パルスを生成する、請求項1又は2に記載の線源。
【請求項22】
特定のスペクトル範囲内の電磁放射線を提供する線源であって、
複数の波長帯を周回させるためのリング状の光共振器であって、第1の光位相変調器と、第1の波長分散デバイスと、第2の光位相変調器と、マルチラインスペクトラルドメインフィルタと、第2の波長分散デバイスと、光増幅器とを含む光共振器と、
前記第1の光位相変調器及び前記第2の光位相変調器に接続されたコントローラであって、前記第1の光位相変調器を第1の波形で駆動させ、前記第2の光位相変調器を第2の波形で駆動させるよう構成されたコントローラと、を備え、
記第2の波長分散デバイスは、前記第1の光位相変調器と前記第2の光位相変調器との間に配置され、前記複数の波長帯の各々がそれぞれの複数の異なる時間遅延を受けるように波長分散をもたらし、
前記第1の光位相変調器及び前記第2の光位相変調器は、前記第1の波形によって駆動される前記第1の光位相変調器を使用して第1の位相を変調し、そして、特定の時間遅延の後に、前記第1の波形の逆の波形を含む第2の波形によって駆動される前記第2の光位相変調器を使用して第2の位相を変調することによって、前記複数の波長帯の各々について前記第1の光位相変調器によるスペクトル拡大を生じさせるとともに前記複数の波長帯の特定の波長帯について前記第2の光位相変調器によるスペクトル復元を生じさせるように構成され、
前記特定の時間遅延は、前記複数の波長帯の前記特定の波長帯についてスペクトル復元を生じさせるように決定され、
前記マルチラインスペクトラルドメインフィルタは、前記特定の波長帯以外の前記複数の波長帯の各々のパワー損失を引き起こすために、狭帯域幅でマルチラインスペクトラルフィルタリングをもたらすように構成され、
前記第1の波形及び前記第2の波形は、前記複数の波長帯の各々が前記光共振器内で複数の周回をするように十分長い持続期間を有する復元を生じさせるよう構成され、
前記第1の波形及び前記第2の波形は、前記光共振器の周回周波数の整数の倍数である周波数で前記複数の波長帯を復元するための周期的位相変調を生じさせるよう構成され、
前記特定の時間遅延は、波長ステップレーザを生成するために前記複数の波長帯の各々が前記第2の光位相変調器によって波長順にスペクトル復元されるように調整されている、線源。
【請求項23】
記線源は、前記光共振器の出力レーザ光を一方向に伝送させるための光分離を提供するよう構成された光アイソレータをさらに備える、請求項22に記載の線源。
【請求項24】
前記第1の光位相変調器及び前記第2の光位相変調器の少なくとも1つは、電気光学位相変調器を備える、請求項22又は23に記載の線源。
【請求項25】
前記第1の光位相変調器及び前記第2の光位相変調器の少なくとも1つは、ニオブ酸リチウム位相変調器を備える、請求項24に記載の線源。
【請求項26】
記第1の波長分散デバイスは、分散ファイバ、チャープファイバブラッググレーティング、ファイバブラッググレーティングアレイ、又は反射型ファイバ遅延ラインである、請求項22又は23に記載の線源。
【請求項27】
前記マルチラインスペクトラルドメインフィルタは、ファブリペローエタロンを備える、請求項22又は23に記載の線源。
【請求項28】
前記光増幅器は、半導体光増幅器又はエルビウムドープファイバ増幅器である、請求項22又は23に記載の線源。
【請求項29】
前記コントローラは、2チャネル任意波形ジェネレータを備える、請求項22又は23に記載の線源。
【請求項30】
前記第1の波形及び前記第2の波形を増幅させるRF増幅器をさらに備える、請求項29に記載の線源。
【請求項31】
前記第1の波形及び前記第2の波形は、前記特定の時間遅延の精度を高めるために周波数ドメインでの位相シフトを行うことによって生成される、請求項29に記載の線源。
【請求項32】
前記光共振器は、前記複数の波長帯に基づき第1の出力電磁放射線を発するよう構成された出力カプラーをさらに備える、請求項22又は23に記載の線源。
【請求項33】
前記第1の波形又は前記第2の波形の少なくとも1つが、チャープ正弦波波形を備える、請求項22又は23に記載の線源。
【請求項34】
前記第1の波形及び前記第2の波形は、100kHz~5MHzの周波数で前記複数の波長帯を復元するための周期的位相変調を生じさせるよう構成される、請求項22又は23に記載の線源。
【請求項35】
前記線源は、レーザオン期間とレーザオフ期間で動作する、請求項22又は23に記載の線源。
【請求項36】
前記第1の波形又は前記第2の波形の少なくとも1つが、前記レーザオン期間中にチャープ正弦波を含み、前記レーザオフ期間中に均一正弦波波形を含む、請求項35に記載の線源。
【請求項37】
前記線源は、ファブリペロー透過ピークの線幅の逆数に関係する持続期間(パルス幅)を有する光パルスを生成する、請求項22又は23に記載の線源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2020年1月31日に出願された米国仮特許出願第62/968,299号に基づくものであり、その優先権を主張するものであり、当該仮出願の全開示内容は引用により本明細書に組み込まれているものとする。
【0002】
<連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載>
本発明は、米国国立衛生研究所により付与された助成番号P41EB015903、及び米国科学研究空軍オフィスにより付与された助成番号FA9550-11-1-0331の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
光コヒーレンストモグラフィー(OCT)は、生体組織や生体物質の3次元構造をイメージングするために広く使用されている。OCT技術の特徴は、散乱体の深度位置を解像(resolve)するためにエコー遅延測距を使用することである。近年説明されている円形測距(CR)OCT法では、圧縮エコー遅延測距アプローチを利用して、深度ドメインでスパース性を有する信号をキャプチャするために必要な測定数を減らしている。このスパース性は、OCT、特に長距離OCT用途において一般的である。測定数を減らすことにより、電子信号のキャプチャと処理のバンド幅が減少し、特定の電子バンド幅について高速イメージングに、又は中速イメージングについて簡略化された信号キャプチャシステムにつながる。可能な限り最高の速度でイメージングするために、ストレッチパルスモードロック(SPML)レーザは、CR-OCTで使用されるステップ周波数コム出力を数メガヘルツから数十メガヘルツの繰り返し率で提供する。これらのSPML線源は低速に簡単に拡張できないため、中速のCR-OCTについてのソリューションを提供しない。代わりに、中速CR-OCTを有効にするための別の線源技術が必要である。
【発明の概要】
【0004】
したがって、円形測距OCTの線源を提供するための新規のシステム、方法及び装置が望まれる。
【0005】
一実施形態では、本発明は、特定のスペクトル範囲内の電磁放射線を提供する線源を提供し、線源は、複数の波長帯を周回(circulating)させるためのリング状の光共振器であって、第1の光位相変調器と、第1の波長分散デバイスと、第2の光位相変調器と、マルチラインスペクトラルドメインフィルタと、第2の波長分散デバイスと、光増幅器とを含む光共振器と、第1の光位相変調器及び第2の光位相変調器に接続されたコントローラであって、第1の光位相変調器を第1の波形で駆動させ、第2の光位相変調器を第2の波形で駆動させるよう構成されたコントローラと、を備え、第1の波長分散デバイスは、第1の光位相変調器と第2の光位相変調器との間に配置され、複数の波長帯の各々がそれぞれの複数の異なる時間遅延を受けるように波長分散をもたらし、第1の光位相変調器及び第2の光位相変調器は、第1の波形によって駆動される第1の光位相変調器を使用して第1の位相を変調し、そして、特定の時間遅延の後に、第1の波形の逆の波形を含む前記第2の波形によって駆動される第2の光位相変調器を使用して第2の位相を変調することによって、複数の波長帯の各々について第1の光位相変調器によるスペクトル拡大を生じさせるとともに複数の波長帯の特定の波長帯について第2の光位相変調器によるスペクトル復元を生じさせるように構成され、特定の時間遅延は、複数の波長帯の特定の波長帯についてスペクトル復元を生じさせるように決定され、マルチラインスペクトラルドメインフィルタは、特定の波長帯以外の複数の波長帯の各々のパワー損失を引き起こすために、狭帯域幅でマルチラインスペクトラルフィルタリングをもたらすように構成され、第2の波長分散デバイスは、マルチラインスペクトラルドメインフィルタの出力に対して波長分散補償して、光共振器内でグループ遅延分散を補償して、複数の波長帯の各々について周回周波数(roundtrip frequency)を一致させるよう構成され、第1の波形及び第2の波形は、光共振器の周回周波数の整数の倍数である周波数で複数の波長帯を復元するための周期的位相変調を生じさせるよう構成されている。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、特定のスペクトル範囲内の電磁放射線を提供する線源を提供し、線源は、複数の波長帯を周回させるためのリング状の光共振器であって、第1の光位相変調器と、波長分散デバイスと、第2の光位相変調器と、マルチラインスペクトラルドメインフィルタと、光増幅器とを含む光共振器と、第1の光位相変調器及び第2の光位相変調器に接続されたコントローラであって、第1の光位相変調器を第1の波形で駆動させ、第2の光位相変調器を第2の波形で駆動させるよう構成されたコントローラと、を備え、波長分散デバイスは、第1の光位相変調器と第2の光位相変調器との間に配置され、複数の波長帯の各々がそれぞれの複数の異なる時間遅延を受けるように波長分散をもたらし、第1の光位相変調器及び第2の光位相変調器は、第1の波形によって駆動される第1の光位相変調器を使用して第1の位相を変調し、そして、特定の時間遅延の後に、第1の波形の逆の波形を含む第2の波形によって駆動される第2の光位相変調器を使用して第2の位相を変調することによって、複数の波長帯の各々について第1の光位相変調器によるスペクトル拡大を生じさせるとともに複数の波長帯の特定の波長帯について第2の光位相変調器によるスペクトル復元を生じさせるように構成され、特定の時間遅延は、複数の波長帯の特定の波長帯についてスペクトル復元を生じさせるように決定され、マルチラインスペクトラルドメインフィルタは、特定の波長帯以外の複数の波長帯の各々のパワー損失を引き起こすために、狭帯域幅でマルチラインスペクトラルフィルタリングをもたらすように構成され、第1の波形及び第2の波形は、複数の波長帯の各々が光共振器内で複数の周回をするように十分に長い持続期間を有する復元を生じさせるよう構成され、第1の波形及び第2の波形は、光共振器の周回周波数の整数の倍数である周波数で複数の波長帯を復元するための周期的位相変調を生じさせるよう構成されている。
【0007】
開示された主題のさまざまな目的、特徴及び利点は、同様の参照符号が同様の要素に付された以下の図面と関連して考慮した際にて開示された主題の以下の詳細な記載を参照することで、より十分に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】位相符号波長フィルタの動作原理を示す図である。(a)は、位相変調及び補償による狭帯域光の線幅の拡大及び復元を示す。(b)は、2つの位相変調器間の分散を使用することによる周波数コムの選択的線幅復元及びファブリペローエタロンを使用した波長フィルタリングを示す。PMは位相変調器、FGはファンクションジェネレータ、SOAは半導体光増幅器である。
図2】(a)はPCMLレーザのセットアップを示し、(b)は位相変調器のRF波形設計を説明する図である。AWGは任意波形ジェネレータ、PMは位相変調器、PCは偏光コントローラ、FPEはファブリペローエタロン、DCFは分散補償ファイバ、FRMはファラデー回転ミラー、SMFはシングルモードファイバ、SOAは半導体光増幅器、ISOはアイソレータである。
図3】各コム線のシングルパス位相符号フィルタ性能測定値を示す。線幅((a)、(c)、(e)、(g))及び強度((b)、(d)、(f)、(h))が、第1のエタロンの通過後((a)、(b))に、第1の変調器による線幅拡大後((c)、(d))に、第2の変調器による線幅復元後((e)、(f))に、第2のエタロンによるフィルタリング後((g)、(h))に、測定された。
図4】(a)176kHz、130の波長、t=43nsで、(b)881kHz、130の波長、t=8.6nsで、及び(c)3.52MHz、31の波長、t=8.6nsで動作するPCMLレーザのレーザスペクトル(左)、左側の赤いボックスで示された波長範囲のスペクトル(中央)、及び、時間トレース(右)を示す。
図5】各種設定でのPCMLレーザの6dBロールオフ測定を示す。(a)はブースターSOAなしの176kHz、(b)はブースターSOAありの176kHz、(c)はブースターSOAなしの881kHz、(d)はブースターSOAありの881kHzを示す。
図6】(a)~(c)はIRカードの断面画像を示し、(d)、(e)は、同じスケール及び対応する円形範囲での異なるAライン構成を有する指の断面画像を示す。データは、(a)、(d)176kHz、(b)、(e)881kHz、及び(c)3.52MHzの3つの異なるイメージング速度で収集された。ダイナミックレンジは、(a)、(b)20dB、(c)10dB、及び(d)、(e)18dBであった。スケールバー((a)の左下隅):200μm。
図7】(a)は、レーザオン/オフ動作を伴うPCML Aラインアーキテクチャを示し、(b)はレーザオン/オフ動作についての各変調器のAWG波形設計を示す。
図8】(a)はシングルパルス実験の直交RINを示し、赤/青/緑/紫のドットは、それぞれ、1560nmでの150/300/500/8000フィネスに対応し、(b)~(e)は、それぞれ、150/300/500/8000フィネスについてのダブルパルス実験の直交RINプロットを示す。青いドットは最初に来る1560nmに対応し、オレンジ色のドットは後続の1559nmに対応する。
図9】(a)はPCMLレーザのOSAスペクトルを示す。(b)は各パルスのピークでの時間トレース及直交RINを示す。
図10】(a)はPCML-OCTシステムから取得された平均化されていない指の断面画像を示し、(b)は25個の平面外画像(out-of-plane images)を平均化した同じ位置での指の断面画像を示す。
図11】開示された主題のいくつかの実施形態による円形測距OCTの線源を提供するためのシステムの例を示す。
図12】開示された主題のいくつかの実施形態によるコンピューティングデバイス及びサーバを実装するために使用することができるハードウェアの例を示す。
図13】本明細書に開示されるさまざまな実施形態と併せて使用できる干渉計システムを示す図であり、(A)は自由空間光学系を使用して実装できるマッハツェンダー型干渉計を示し、(B)はファイバ配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
開示された主題のいくつかの実施形態によれば、特に中程度の速度で円形測距OCTの線源を提供するためのメカニズム(システム、方法及び装置を含むことができる)が提供される。
【0010】
円形測距(CR)光コヒーレンストモグラフィー(OCT)は、周波数コム線源を使用して長距離イメージングを改善する。CR-OCTの初期の開発は超高速イメージング(つまり、数MHzから数十MHzのAラインレートでの動作)に焦点を当てていたが、より中程度の速度が好まれる多くの用途及びイメージングストラテジーがある。しかしながら、中速のCR-OCTイメージングを可能にする適切な周波数コム線源はない。本明細書において記載するのは、キロヘルツからメガヘルツの範囲で動作できるとともに、ダイナミック再構成性及び簡略化された時間線形周波数ステッピングなどの新規の機能も提供する新規の位相符号モードロック(PCML)レーザアーキテクチャの実施形態である。PCMLレーザを備えるプロトタイプのCR-OCTシステムが示され、イメージング結果は、176kHzから3.52MHzのAラインレートにて、170mmのコヒーレンス長制限イメージング深度で示されている。開示された装置のさまざまな実施形態では、100kHzから5MHzの範囲のAラインレートを達成することができる。開示された装置のさらなるさまざまな実施形態では、光周波数コム線にて各パルスが1nsから100nsのパルス幅を有する光パルスのシーケンスを達成することができる。
【0011】
光コヒーレンストモグラフィー(OCT)は、エコー遅延深度測距の使用によって定義される広く使用されている3次元イメージングモダリティである。近年説明されている円形測距(CR)OCT法では、時間ステップ周波数コム線源(stepped-in-time frequency comb sources)を使用して圧縮エコー遅延測距が可能である。圧縮測距を使用すると、長い深度範囲を調べるために必要な測定が少なくなる。これにより、出力信号のキャプチャ及び処理に使用される電子機器のバンド幅要件が軽減される。引き延ばしパルスモードロック(SPML)に基づく高速ステップ周波数コム線源を使用して、10MHzを超える速度でのCR-OCTが実証された。
【0012】
CRによって提供される圧縮は、より中程度の速度の長距離イメージング用途での電子機器のバンド幅要件を軽減するためにも使用できる。残念ながら、SPMLレーザは中速イメージングにはあまり適しておらず、速度を数メガヘルツ未満に下げるには非常に長いチャープファイバブラッググレーティングが必要になる。中速のCR-OCTは、代わりに、既存の掃引光源レーザアーキテクチャを変更して作成された線源に頼っている。固定ファブリペローエタロンがポリゴンミラー及びマイクロメカニカルファブリペロー掃引波長レーザに追加される。これにより、必要なステップ周波数コム出力が得られるが、ノイズ及びコヒーレンス長特性は比較的良好でなく、時間非線形出力パルスシーケンスにより信号キャプチャが複雑になる。
【0013】
したがって、本明細書に開示されるのは、CR-OCTで使用するための新規のステップ周波数コムレーザアーキテクチャの実施形態である。このレーザアーキテクチャは、位相符号モードロック(PCML)と呼ばれる。SPMLレーザと同様に、PCMLレーザは、機械的に調整されたスペクトラルフィルタの代わりに、キャビティ内分散及び電気光学変調を使用する。SPMLアーキテクチャとPCMLアーキテクチャの違いは、SPMLアーキテクチャは電気光学振幅変調を使用するのに対し、PCMLアーキテクチャは電気光学位相変調を使用することである。この差異は、適切に設計された制御信号の使用とあわせて、レーザの繰り返し率をキャビティ内分散から切り離すことを可能にする。結果として、本明細書に開示されるPCMLレーザの実施形態は、適度なレベルのキャビティ内分散を使用して中速で動作することが可能である。さらに、PCML線源は、ハードウェアを変更することなく広範囲の速度で動作でき、ほぼ任意のコム線シーケンス(つまり、時間内の出力波長の順序)を生成できる。
【0014】
PCMLレーザは、可逆的な電気光学的な線幅の拡大を利用して周波数コム線透過フィルタを作成する。この原理は比較的単純であり、図1に示されている。開始ポイントとして、狭帯域のCW入力フィールドの変化が光周波数ωで最初に分析され、2つの連続する位相変調器(図1(a))を通過するE(t)=cos(ωt)により記述される。光はポイントAで発する。第1の変調器は電圧駆動信号f(t)によって駆動され、E(t)=cos(ωt)+αf(t)で与えられる出力フィールドが得られ、ここでαは変調器における誘導位相シフトと駆動電圧の間のスケールファクタ(rad/V)である。簡単にするために、αはRF周波数と光周波数で一定であると仮定する。
【0015】
この位相変調は図1の(a)に示すようにポイントBで光の線幅を拡大させる(広げる)。スペクトル的に拡大された光は、第1の変調器から距離d(ファイバ内、ポイントC)にある第2の位相変調器に進む。このポイントでのフィールドは、E(t)=cos(ω(t-dn/c)+αf(t-dn/c))で与えられ、ここで、nはファイバの群屈折率、cは光速である。第2の位相変調器出力(ポイントD)では、フィールドはE(t)=cos(ω(t-dn/c)+αf(t-dn/c))+f(t)))としてさらに変調されている。駆動信号がf(t)=-f(t-dn/c)となるように構成されている場合、2つの変調がキャンセルされ、元の狭帯域線幅が復元され、E(t)=cos(ωt)となることは容易に理解できる。この可逆的な線幅の拡大は、fに対する信号fの遅延が変調器間の光学グループ遅延と一致する場合にのみ起こることに留意すべきである。
【0016】
図1の(b)において、この可逆的な線幅の拡大の原理に基づきコム線透過フィルタが構築されている。ここでは、位相変調器の前後に同一のファブリペローエタロンが追加され、変調器間に分散ファイバが追加されている。広帯域(例えば、増幅自然放出(ASE))光が発されると、第1のエタロンによって周波数コムが生成される。この周波数コムの各線は、第1の位相変調器によって同等に拡大される。ここで、分散ファイバがあることから、各光コム線は、第2の変調器への移動する間に異なるグループ遅延を受ける。第2の変調器の駆動信号fは、コム線のうちの1つの線幅の拡大を戻す(reverses)ように遅延させることができる(f(t)=-f(t-dn(λ)/c))。次に、出力ファブリペローエタロン(第1のエタロンと同じ)が、単一の狭いコム線を効率的に透過させながら広いコム線の光パワーを減衰させる。第2の変調器に提供される駆動信号を制御することにより、任意のコム線を高透過用に選択することができる。この概念を拡張して、適切に構成された駆動信号を第2の位相変調器に適用することにより、コム線透過のダイナミックシーケンスを生成することができる。このダイナミックコム線透過フィルタを使用して、ステップ周波数コムレーザを作成することができる。
【0017】
<レーザアーキテクチャ>
レーザを構築するために、図1の電子制御位相符号フィルタがリングキャビティ内に配置される(図2の(a))。このキャビティ内では、光は大きな位相/スペクトル変調を受けることなくフィルタの出力からフィルタの入力に進む。その結果、フィルタで使用される2つのファブリペローエタロン(図1の(b))は冗長なので、1つのエタロンに置き換えることができる。フィネスが100の固定80GHz自由スペクトル範囲(FSR)ファブリペローエタロン(Light Machinery)が使用された。位相符号フィルタには、10GHzRFバンド幅を有する2つのニオブ酸リチウム位相変調器(Covega)が含まれていた。任意波形ジェネレータ(Euvis、AWG872)により、RF増幅器を介してこれらの変調器に駆動信号が提供された。分散補償ファイバ(OFS、WBDK:84C-L)により、位相変調器間で1550nmにて-84ps/nmの分散が提供された。波長全体のキャビティ周回時間(cavity roundtrip time)を均等化するために(分散マッチング)、ファラデー回転子ミラー(FRM)を使用して約2.4kmの長さのSMF-28e+をダブルパス構成でキャビティ内に挿入した。FRMにより、SMF-28e+ファイバの偏光モード分散が除去された。半導体光増幅器(SOA、Covega)が増幅のためにキャビティ内に配置され、その後に80/20出力カプラーが配置された。
【0018】
<駆動波形>
第1及び第2の位相変調器に提供される駆動波形によって、時間にわたってフィルタ透過特性が設定される。第1の変調器の波形が定義されると、逆にされた第1の波形に対する適切な遅延を適用することにより、第2の波形が設定される。第1の変調器を駆動するために使用できる多くの波形が存在する。本明細書に示す実施形態では、第1の変調器波形の基底関数としてチャープ正弦波が使用されるが、他の波形も使用され得る。他の考え得る波形には、疑似ランダムに生成されたバイナリ(例えば、デジタル)及び/又はアナログ信号、あるいは符号分割多元接続(CDMA)で一般的に使用される真の直交符号が含まれる。真の直交CDMA符号には、例えば、ウォルシュ符号、ウォルシュ・アダマール符号及びゴールド符号が含まれる。本明細書に示される実施形態においてチャープ正弦波を使用する理由は、チャープ正弦波が支配的な周波数成分を欠いているからである。支配的な周波数は遅延応答に周期性(つまり、自己相関関数)を生じさせ、その結果、複数のコム線がフィルタを透過する可能性がある。
【0019】
第1の変調器について、第1の変調器(f(t))に提供される繰り返し波形が構築された。この波形は、1.0GHzから1.9GHzに、又は1.2GHzから2.3GHzにチャープされた正弦波を結合することによって構築された。各チャープは持続期間tにわたって実行され、ここで、tは所望の出力パルス幅(レーザ出力が特定の光周波数に固定されたままである時間)である。チャープ正弦波は、各出力パルスが同じ位相変調で「エンコード」されるように第1の変調器で無期限に繰り返された。
【0020】
次に、第2の変調器に提供される波形は、第1の波形を形成するために使用されたチャープ正弦波のセクションを結合することによって構築された。これらのチャープ正弦波は、所望の出力波長シーケンスに基づいて逆にされ、遅延された。より具体的には、レーザ出力のコム線周波数シーケンスがまず定義された。次に、このシーケンス内の各光コム線周波数の光グループ遅延のテーブルが計算された。最後に、これらの遅延を使用して、上述の第2の位相変調器の駆動信号が構築された。補間を使用してチャープ正弦波波形が接続された(図2(b))。変調器間の分散が-84ps/nmの場合、隣接するコム線(80GHzの自由スペクトル範囲)間の光グループ遅延差は約54psであった。これは任意波形ジェネレータのクロックサイクル(125ps)よりもかなり小さいため、我々は、チャープ波形の適切に異なる離散表現を生成してこの新しい離散表現をデジタル-アナログコンバータに送信することで、ほぼ任意の遅延を波形に生じさせた。このようにして、そして信号サンプリング及び生成において知られているように、生成された信号の遅延を任意波形ジェネレータのクロックサイクルよりも小さい遅延精度でシフトさせることができた。
【0021】
チャープ正弦波のデジタル表現は、サブクロックサイクル精度で遅延を生じさせるために位相シフトされた。例えば、サンプリング周波数がFのデジタル-アナログコンバータは、ナイキスト周波数FNY=F/2以下のさまざまな位相で信号を生成できることが知られている。信号の位相をfでシフトさせる2つのストラテジーがある。1つ目は、整数クロックサイクルだけ出力信号を遅延(シフト)させることである。これにより、πn(f/FNY)の位相シフトが生じ、ここで、nは整数である。例えば、f=FNYでは、この方法を使用して信号の位相を0又はπに設定できる。f=(1/2)FNYでは、信号の位相を0、π/2、π、3π、2に設定できる。位相をシフトさせる2つ目のストラテジーは、与えられた周波数の異なるサンプリングでデジタル-アナログコンバータを駆動させることである。第1及び第2の変調器の波形は両方とも、フーリエドメインモードロックの動作と同様に、コム線透過フィルタがキャビティ周回時間と共振して動作するように設計されている。
【0022】
<位相符号フィルタ性能>
プロトタイプのPCMLレーザを構築する前に、位相符号フィルタの性能が、最初に単独で、つまりレーザキャビティへの統合の外で、特徴付けられた。これは図1の(b)に示すセットアップを使用して行われた。増幅自然放出(ASE)光がSOAからの入力として使用された。この光は、約100のフィネスの80GHzのファブリペローエタロンを透過する。第2の同じエタロンを出力に配置し、角度を調整して、そのコム線を第1のエタロンのコム線に合わせた。光スペクトルアナライザー(Yokogawa、AQ6370C)を使用して、各コム線の線幅が、これらがフィルタを通過する際に特性付けられた。OSAの解像度の制限により、0.02nm未満の線幅は解像できなかった。図3に示される測定において、第2の変調器波形が、1560nmでコム線をデコードするように構成された。すべての入力コム線が第1の位相変調器(図3の(b))によって等しく拡大されたが、1560nmのコム線のみが第2の位相変調器(図3の(c))の後で大幅に狭められたことに留意されたい。次に、OSAを使用して各コム線の透過効率が測定された。予想通り、狭められたコム線は高効率で透過した(図3の(h))。他の線のフィルタ消光は3.5dBを超えていた(図3の(h))。
【0023】
<PCMLレーザ性能>
次に、フィルタを図2に示すようにリングキャビティ内に組み込み、3つの速度、具体的には176kHz(キャビティの5次高調波)、881kHz(25次高調波)、及び3.52MHz(100次高調波)で動作させた。これらの速度は、光共振器の周回周波数の整数倍である周波数で複数の出力波長帯を復元するように選択されたものである。
【0024】
図4は、これらの構成のそれぞれにおけるPCMLレーザのレーザ発振スペクトル(lasing spectra)及び時間トレースを示す。176kHzでは、43nsのパルス幅が使用された。881kHzでは、8.6nsのパルス幅が使用された。これらの速度の両方について、レーザ出力は80GHzのコム線間隔で80nmに及んだ。8GSPS AWGを使用したこのプロトタイプレーザでは、8.6ns未満のパルス幅では一貫した性能が達成されなかった。8.6nsのパルス幅を維持しながら3.52MHzの速度を達成するために、4番目のコム線ごとに透過するよう波形を設計することにより、出力波長の数を減らした。留意すべきは、レーザ性能に対するこれらの変更には、位相変調器に提供されるAWG駆動信号の変更のみが必要であり、ハードウェアの変更は必要ないということである。これにより、広く調整可能で迅速に再構成可能なCR-OCT線源の作成が可能になった。
【0025】
ワーストケースでのフィルタのシングルパス消光は約3.5dBであったが、レーザ出力はレーザキャビティ共振によってはるかに高いコム線消光を実現する。図4の(c)に示すレーザ出力スペクトルは、25dBを超えるスペクトル消光を示唆している。但し、選択された線のデューティサイクルがオフ線(off-lines)よりもはるかに低いことを考慮すればレーザの瞬間的消光は高くなる可能性がある。
【0026】
PCMLレーザコヒーレンス長は、(リファレンスアームに対する)サンプルアームミラー位置の関数として干渉縞信号を取得することによって測定された。測定は、線源のパルス幅とコヒーレンス長の関係を分析するために176kHzと881kHzの構成で行われた。点拡がり関数が大きくなる次数における同じ円形遅延位置での干渉縞信号に対して計算された。軸方向分解能は、取得された点拡がり関数から17μmと測定され、これはブースターSOAの有無にかかわらず一致していた。コヒーレンス長(6dBロールオフ)は、43ns(176kHz Aライン)及び8.6ns(881kHz Aライン)のパルス幅で85mm(ミラー変位)であった(図5の(a)、(c))。これにより、正と負の遅延空間を区別する同相及び直交干渉縞信号検出を用いる円形測距を使用して170mmのイメージング範囲が可能となる。コヒーレンス長は両方のパルス幅について同じであると測定されたことに留意すべきである。はっきりと測定されていないが、コヒーレンス長が、同じパルス幅(例えば、881kHz及び3.52MHz出力)で出力コム線のシーケンスを変更することによって影響を受けることは予想されないであろう。プロトタイプのレーザ出力パワーは低かったため(約1mW)、PCMLコヒーレンス長もブースターSOA(キャビティの外)でテストされた。ブースターSOAは、図5の(b)、(d)に示すように、パワーを50mWに増大させ、コヒーレンス長を50mm(100mmCR-OCTイメージング範囲)に減少させた。この減少は、SOAにおける線幅の拡大の結果である。ブースターSOAがノイズフロアを増大させることも観察されたが、これについてはさらに調査する必要がある。
【0027】
<PCMLレーザを用いたCR-OCTイメージング>
CR-OCT画像は、3つのイメージング速度(176kHz、881kHz、及び3.52MHz)のそれぞれで取得された。予想どおり、3.52MHz画像の円形深度/遅延範囲は、80GHz周波数コムではなく320GHz周波数コムが生成されることから、176kHz及び881kHzの場合とは異なっていた。レーザは、イメージング実験においてブースターSOAとともに使用された。Siddiquiら著の文献(「高消光複素復調のための掃引光源OCTにおけるスペクトル及びrfエラーの補償」、Optics Express 23(5)、5508-5520(2015)、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている直交復調回路を使用して、CR-OCTに必要な同相及び直交干渉縞を発生させた。出力干渉縞は、検出のためにバランス型受光器(Thorlabs、PDB465C)に送られた。デジタイザ(Signatec、PX14400)は検出器から250MS/sにて信号を取得したが、これは、8.6ns(3.52MHz及び881kHz)及び43ns(176kHz)のパルス幅をキャプチャするために必要なものよりもかなり高い。図6は、各レーザ発振速度(lasing speed)でのIR検出カード(図6の(a)~(c))及び指(図6の(d)~(e))の取得されたCR-OCT画像を示しており、25個の隣接する断面の平均である。円形範囲の深度は、176kHz及び881kHz構成では約1.9mm、3.52MHz構成では0.48mmであった。全イメージング深度範囲と円形遅延範囲は別個のパラメータであることに留意すべきであり、信号は、線源コヒーレンスによって制限される全イメージング範囲にわたって取得できるが、円形遅延範囲に等しい圧縮画像内に現れる。
【0028】
中速CR-OCT用のステップ周波数コム出力を提供する新規のレーザアーキテクチャの実施形態について示した。100kHz~数MHzの速度範囲でCR-OCTが使用可能となることに加えて、PCMLレーザ設計にはいくつかのユニークな特徴がある。3.52MHzでのレーザの動作では、PCMLレーザにより、ユーザが特定のコム線を設定したり、コム線をスキップしたり、あるいは生成されたコム線のシーケンスを変更したりできることが示された。これは、ハードウェアを変更せずに駆動波形を設計することで行われ、CR-OCTのための高度に再構成可能な線源を作成するために使用できる。PCMLレーザの速度は、SPMLレーザの場合のようにキャビティ内分散の大きさによって直接定義されはしない。これにより、PCMLレーザをより中程度の速度で動作させることが可能となる。現時点では、PCMLレーザの速度の上限は明確に定義されていない。原則として高速運転が可能である。但し、必要と考えられる高バンド幅のRF駆動信号を生成するのは困難な場合があり、現時点では、非常に高速な動作にはSPMLアーキテクチャがより適している。PCMLアーキテクチャのその他の利点には、100%デューティサイクル出力と、デジタル化後のkクロッキングやk空間のリサンプリングを必要としないリニアインタイム(linear-in-time)出力が含まれる。逆に、現時点で、PCMLレーザの主な欠点はノイズ性能であり、これは成熟したOCTレーザ技術よりもかなり高くなっている。
【0029】
<相対強度ノイズ(RIN)の低減>
本発明の特定の実施形態は、開示された線源におけるノイズを低減するための手順を提供する。特定の実施形態では、開示されたPCML線源は、実際にはその有用性を制限する可能性がある高い相対強度ノイズ(relative intensity noise)(RIN)を課す可能性がある。したがって、本明細書において、位相変調器(EOM)の駆動波形を調整することで、キャビティで使用されるエタロンフィネスに関連する特定のパルス持続期間(パルス幅)を有する各波長における離散的パルス(パルス間に「レーザオフ」時間を有する)を生成して、PCMLを非常に安定的にすることができる手順が開示される(図7)。本明細書において、さまざまな波形設計についてのレーザノイズの経験的分析が提示されている(図8)。また、改善されたシステム性能(図9)及びイメージング(図10)を示す結果も提示されている。
【0030】
ノイズ低減手順は、上で開示されたようなシステムを使用して実行することができる(例えば、図8の(a)を参照)。システムの変更の1つは、ノイズ分析のために同様のFSR及び異なるフィネスを有する複数の異なるエタロンを試験するためのものであり、エタロンの1つが最終的なレーザ実証のために選択された。
【0031】
位相変調器の駆動波形は、各パルスについて「オン」及び「オフ」状態を含むように設計された(図7の(a))。オンとオフの状態を有するというアイディアは、エタロンの積分時間(スイッチ時間)に由来し、これは、異なる光周波数の光がエタロンを通過するためのグループ遅延通過時間の範囲である。この積分時間は、各エタロンコム線の線幅の逆数である。積分時間よりも短い持続期間の光パルスは、エタロンを通過するときに時間的に引き延ばされ、積分時間によって概ね与えられる持続期間のパルスが得られる。パルス間に位置し、十分な持続期間のオフ時間を設計することにより、エタロンの出力にて時間的にオーバーラップするパルスを回避することができる。時間的にオーバーラップするパルスは、レーザ発振の不安定性及びより高い強度ノイズの原因となる。これに基づいて、最適なオン/オフ時間はエタロン線幅(これはエタロンフィネス及びFSRの関数である)の関数であると決定された。
【0032】
レーザオン期間中、上で開示したチャープ波形を使用して位相変調器が制御された。但し、複数のキャビティ周回(cavity roundtrips)で安定したレーザ発振を実現するために、複数の波形ではなく1つのチャープ波形のみが使用された。レーザオフ期間中、異なるRF周波数を有する均一な(チャープされていない)正弦波波形が各位相変調器で使用された(図7の(b))。エタロンのさまざまな線幅に最適なレーザオン/オフ時間を見つけるために、種々の実験が行われた。上記の波形特性によって決定される選択された波長でのオン時間に関連する波形の間に光パルスが生成された。オフ時間に関連する波形はすべてのコム線の透過を抑制し、レーザを一時的にオフにする。
【0033】
実験の第1のセットでは、すべてが80~85GHzのFSRを有し、かつ、フィネスが150、500及び8000の3つの異なる物理エタロンを使用した。3つの物理エタロンを使用して、150、300(150エタロンのダブルパス)、500及び8000の4つの異なる有効フィネスを備えたレーザ光源を作成した。第1の実験では、約1560nmの単一のレーザ発振線が作成され、繰り返される線は時間的に互いに十分に間隔が空けられ、各々が異なる「レーザオン」時間を有する。RINに最適なPWを見つけるためにレーザRIN及びFWHMパルス幅を調べた。
【0034】
実験の第2のセットでは、経時的に繰り返される約1560nmと1559nmの二重線レーザ発振が行われ、これらは異なる「レーザオフ」時間を有する。最適なRINレベルを取得するのに必要な最小オフ時間を見つけるために、レーザRINをオフ時間に関して調べた。RINの最適条件を見つけた後、追加の実験を行って、向上したRIN感度を有する改良PCML動作を実証した。画質の比較をするために、上記したものと同じイメージング光学系を使用して対象の指の皮膚のイメージングが行われた。
【0035】
実験は、まず、「レーザオン」時間の関数としての改良レーザのノイズ性能を決定するために行われた。これらの測定は、同じ波長(1560nm)でパルスを繰り返し生成するように構成されたレーザで行われた。レーザノイズ性能はレーザについて時間の関数(これは出力レーザパルス幅を決定する)として特徴付けられた。ノイズは、4つのエタロン有効フィネスレベル(150、300、500、8000)のすべてについて、及び0.134nsから300nsのパルス幅について、特徴付けられた(図8の(a)を参照)。各構成のレーザオフ時間は、フィネスが150、300、500の場合は0.284ns、フィネスが8000の場合は0.568nsであった。
【0036】
試験したすべての構成について、「レーザオン」時間が短すぎる場合にはレーザ発振は観察されなかった(図8の(a))。「レーザオン」時間がレーザ発振を実現するのに十分長い場合には、レーザ発振が始まり、かなり安定する傾向がある。「レーザオン」時間がさらに長くなり、パルス幅が大きくなると、レーザが不安定になり、強度ノイズが大幅に増加した。
【0037】
観察されたパターンは、レーザオン時間/パルス幅が増大するにつれて、安定したレーザ発振から不安定なレーザ発振に遷移するレーザ発振遷移がないというものであり、これらの遷移のスケールファクターはエタロンのフィネスに依存する。これは、エタロンフィネスに応じて安定したレーザ発振のためのレーザオン時間を最適に設定するためのストラテジーを定める。レーザオン時間の最適な動作条件は、おおよそ、各エタロンコム線の線幅の逆数によって与えられ、ここで、エタロン線幅はエタロンFSRをフィネスで割ったものである。したがって、最適なパルス幅は、おおよそ、エタロンフィネスをエタロンFSRで割った値で与えられる。
【0038】
次に、「レーザオフ」時間に応じたノイズ性能を決定するための実験が行われた。これらの測定は、上記のように2つの波長(1560nm及び1559nm)を交互に繰り返すパルスを繰り返し生成するように構成されたレーザで行なわれた。図8の(b)、(c)、(d)及び(e)を参照されたい。レーザは、0.134nsから約20nsの範囲の「レーザオフ」時間スケールを有するように構成された。各構成についての「レーザオン」時間は、安定したレーザ発振が得られるように以前の結果から選択された(フィネスが150の場合は1.88ns、300の場合は2.97ns、500の場合は5.38ns、8000の場合は80.6ns)。
【0039】
「レーザオン」時間が安定した範囲内にあるにもかかわらず、「レーザオフ」時間が短すぎると、両方のパルスはかなりの量のノイズを示し、このことは、これらが十分に分離されていないことを意味する。「レーザオフ」時間が所定の持続期間より長くなると、前の実験と同様にパルスが安定した。安定したレーザ発振のための「レーザオフ」時間の閾値も、線幅によって決定されるエタロンの積分時間に対応する。また、RINはより高いフィネスでより一致していることがわかったが、これは、おそらく「レーザオン」時間が長く、AWGからの信号がより正確で予測可能な消光を行うことができるためである。
【0040】
最後に、PCMLレーザのノイズを特徴付ける実験により、110個の波長で全周波数コム出力が生成された。PCML-OCTレーザは、1.16MHzのAラインレートを有する500のフィネスを有するエタロンで実証された。1050nmを中心とする75nmの範囲にわたる110個のパルスの各々について、レーザのオン時間及びオフ時間は3.6ns及び4.4nsにそれぞれ設定された。この設定は図8の結果から導き出されたものである。
【0041】
2GHzバンド幅の検出器とデジタイザで測定した場合、各パルスの直交RIN(ortho-RIN)は1%未満であった。干渉計、検出部及びイメージング顕微鏡を含むシステムの残りの部分は、上記の線源と同じであった。達成されたシステム感度は、35mWのサンプルアームパワーで104dBであり、6dBのロールオフ深度は74mmであった。上で開示された研究から、PCMLの感度ロールオフはブースターSOAなしではさらに長くなると想定できる。指の皮膚のイメージングでも、前の研究と比べて約20dBの大幅なSNRの増大が示された。
【0042】
特定のエタロンは最適なパルス幅があるため、イメージング速度を低下させるためにパルス幅がこの最適値を超えて拡張されると、レーザのノイズ性能が低下する。一実施形態では、レーザは、同じ波長を複数回繰り返すことにより特定の波長で有効な長いパルスを生成することによって、より遅い速度用に構成することができる。一例では、1550.00nmでの5nsパルスを10回繰り返すことができ、これにより、10個の個別パルスを含む持続期間が50nsのパルス列が作成される。検出システムは、ローパスアナログフィルタリングを使用して、このパルス列を単一の50nsパルスに変換することができる。このようにして、最適なノイズ性能を維持しながらレーザ速度を下げることができる。各波長で繰り返されるパルスの数は、レーザ出力シーケンスがキャビティ周回時間に等しいか、その高調波であるという前述の制約を条件として、任意の整数とすることができる。
【0043】
<コンピュータと光学システム>
図11を参照すると、開示された主題のいくつかの実施形態による、円形測距OCTの線源を提供するためのシステム(例えば、データ収集及び処理システム)の例1100が示されている。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1110は、CR-OCTの線源を提供するためのシステム1104の少なくとも一部を実行し、光共振器1102に関連する1つ又は複数の光変調器に制御信号を提供することができる。加えて又は代替的に、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1110は、通信ネットワーク1106を介してサーバ1120との間で制御信号に関する情報を通信することができ、通信ネットワーク1106は、CR-OCTの線源を提供するためのシステム1104の少なくとも一部を実行することができる。いくつかのそのような実施形態では、サーバ1120は、CR-OCTの線源を提供するためのシステム1104の制御信号に関連する情報をコンピューティングデバイス1110(及び/又は他の適切なコンピューティングデバイス)に返すことができる。この情報は、ユーザ(例えば、研究者、オペレーター、臨床医など)に送信及び/若しくは提示されてもよく、並びに/又は、(例えば、対象に関連する研究データベース又は医療記録の一部として)保存されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1110及び/又はサーバ1120は、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、サーバコンピュータ、物理的コンピューティングデバイスによって実行される仮想マシンなどの任意の適切なコンピューティングデバイス又はデバイスの組み合わせとすることができる。本明細書で説明するように、CR-OCTの線源を提供するためのシステム1104は、制御信号に関する情報をユーザ(例えば、研究者及び/又は医師)に提示することができる。いくつかの実施形態では、光共振器1102は、本明細書に開示されるような光学部品を含むことができる(例えば、図2の(a)を参照)。
【0045】
いくつかの実施形態では、通信ネットワーク1106は、任意の適切な通信ネットワーク又は通信ネットワークの組み合わせであってもよい。例えば、通信ネットワーク1106は、Wi-Fi(登録商標)ネットワーク(1つ又は複数の無線ルータ、1つ又は複数のスイッチなどを含むことができる)、ピアツーピアネットワーク(例えば、Bluetooth(登録商標)ネットワーク)、セルラーネットワーク(例えば、CDMA、GSM、LTE、LTE Advanced、WiMAXなどの任意の適切な規格に準拠する3Gネットワーク、4Gネットワークなど)、有線ネットワークなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、通信ネットワーク1106はローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、パブリックネットワーク(例えば、インターネット)、プライベート又はセミプライベートネットワーク(例えば、企業又は大学のイントラネット)、その他の適切なタイプのネットワーク又は任意の適切なネットワークの組み合わせとすることができる。図11に示す通信リンクは、各々、有線リンク、光ファイバリンク、Wi-Fi(登録商標)リンク、Bluetooth(登録商標)リンク、セルラーリンクなどのような任意の適切な通信リンク又は通信リンクの組み合わせであってもよい。
【0046】
図12は、開示された主題のいくつかの実施形態による、コンピューティングデバイス1110及びサーバ1120を実現するために使用することができるハードウェアの例1200を示す。図12に示すように、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス1110は、プロセッサ1202、ディスプレイ1204、1つ以上の入力1206、1つ以上の通信システム1208及び/又はメモリ1210を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ1202は、中央処理装置、グラフィックス処理装置などの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はハードウェアプロセッサの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ1204は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切なディスプレイデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、入力1206は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクなどの、ユーザ入力を受信するのに使用することができる任意の適切な入力デバイス及び/又はセンサを含むことができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、通信システム1208は、通信ネットワーク1106及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム1208は、1つ以上のトランシーバ、1つ以上の通信チップ及び/若しくはチップセットなどを含むことができる。より具体的な例では、通信システム1208は、Wi-Fi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、メモリ1210は、例えば、プロセッサ1202がディスプレイ1204を使用してコンテンツを提示するためや通信システム1208を介してサーバ1120と通信するためなどに使用できる命令や値などを格納するために使用できる任意の適切なストレージデバイスを含むことができる。メモリ1210は、任意の適切な揮発性メモリ、非揮発性メモリ、ストレージ又はこれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ1210は、RAM、ROM、EEPROM、1つ以上のフラッシュドライブ、1つ以上のハードディスク、1つ以上のソリッドステートドライブ、1つ以上の光学ドライブなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ1210において、コンピューティングデバイス1110の動作を制御するためのコンピュータプログラムが符号化されていてもよい。そのような実施形態では、プロセッサ1202は、コンピュータプログラムの少なくとも一部を実行して、コンテンツ(例えば、画像、ユーザインターフェース、グラフィックス、テーブルなど)の提示、サーバ1120からのコンテンツの受信、サーバ1120への情報の送信などを行うことができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、サーバ1120は、プロセッサ1212、ディスプレイ1214、1つ以上の入力1216、1つ以上の通信システム1218及び/又はメモリ1220を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ1212は、中央処理装置やグラフィックス処理装置などの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はハードウェアプロセッサの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ1214は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切なディスプレイデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、入力1216は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクなど、ユーザ入力を受信するために使用できる任意の適切な入力デバイス及び/又はセンサを含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、通信システム1218は、通信ネットワーク1106及び/又は任意の他の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム1218は、1つ以上のトランシーバ、1つ以上の通信チップ及び/又はチップセットなどを含むことができる。より具体的な例では、通信システム1218は、Wi-Fi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、メモリ1220は、例えば、プロセッサ1212がディスプレイ1214を使用してコンテンツを提示するためや1つ以上のコンピューティングデバイス1110と通信するためなどに使用することができる命令や値などを格納するのに使用できる任意の適切なストレージデバイス又は複数のストレージデバイスを含むことができる。メモリ1220は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ1220は、RAM、ROM、EEPROM、1つ以上のフラッシュドライブ、1つ以上のハードディスク、1つ以上のソリッドステートドライブ、1つ以上の光学ドライブなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、メモリ1220において、サーバ1120の動作を制御するためのサーバプログラムが符号化されていてもよい。このような実施形態では、プロセッサ1212は、サーバプログラムの少なくとも一部を実行して、情報及び/又はコンテンツ(例えば、組織の識別及び/又は分類の結果やユーザインターフェースなど)を1つ又は複数のコンピューティングデバイス1110に送信する、1つ以上のコンピューティングデバイス1110から情報及び/又はコンテンツを受信する、1つ以上のデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)から命令を受信することなどを行うことができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、任意の適切なコンピュータ可読媒体を使用して、本明細書に記載の機能及び/又はプロセスを実行するための命令を格納することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、一時的又は非一時的なものであってもよい。例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体には、磁気媒体(ハードディスク、フロッピーディスクなど)、光学媒体(コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスク(登録商標)など)、半導体媒体(RAM、フラッシュメモリ、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)など)、送信中に一時的でない若しくは永続性の類似性を欠いていない任意の適切な媒体及び/又は任意の適切な有形媒体などの媒体を含むことができる。別の例として、一時的なコンピュータ可読媒体は、ネットワーク上の、ワイヤ内の、導体内の、光ファイバ内の、回路内の信号、又は送信中の永続性の類似性を欠く一時的な任意の適切な媒体、及び/又は任意の適切な無形媒体を含むことができる。
【0053】
本明細書で使用される場合、メカニズムという用語は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの任意の適切な組み合わせを包含できることに留意すべきである。
【0054】
図13は、本発明のさまざまな実施形態と併せて使用することができる干渉計システムの図である。図13は、自由空間光学系(図13のA)又はファイバ配置(図13のB)を使用して実装され得るマッハツェンダー型干渉計を示す。他の干渉計タイプ(例えば、マイケルソンなど)を適用することもできる。図13のA又はBの光源LSは、本明細書に開示されるようなPCMLレーザの実施形態であり得る。LSから放出されたビームB9は干渉計入力に向けられ、ここでビームスプリッタ(BS3)を用いてほぼ等しい長さの2つのパスに分割される。B10はサンプルSに向けられる。次に、関心のある物体からの後方散乱光が干渉計出力(B11)に向かう。リファレンスアームでは、ビームB12は位相変調器(PM)に向けられる。PMの後のビーム(つまり、ビームB13)は、干渉計の出力に向けられ、BS4によってビームB11と結合された後にビームB11と干渉する。次に、出力ビームB14は、検出器D(例えば、フォトダイオード)によって検出される。あるいは、図13のBに示すファイバベースの干渉計によって、出力ビームB14とB15との間のπの位相シフトによりバランスのとれた検出が容易に可能となる。検出された信号は、データ収集及び処理システム(データ取得ボード又はリアルタイムオシロスコープ(DAQ)を含んでもよい)を使用して、サンプリングレートfでデジタル化される。複数の波長掃引(A1,A2,...,An)を取得して2次元又は3次元の画像を形成してもよい。
【0055】
したがって、本発明について特定の実施形態及び例に関連して記載したが、本発明は必ずしもこれらに限定されず、多くの他の実施形態、例、使用、改良物並びに実施形態、例、使用からの改良物の発展形態が特許請求の範囲に含まれることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図6(e)】
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13A
図13B