(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】喫煙材加熱装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/85 20200101AFI20250205BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20250205BHJP
【FI】
A24F40/85
A24F40/40
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023215950
(22)【出願日】2023-12-21
(62)【分割の表示】P 2022078956の分割
【原出願日】2016-06-24
【審査請求日】2023-12-21
(32)【優先日】2015-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ノートン, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トーセン, ミッチェル
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/047954(WO,A1)
【文献】特表2009-509521(JP,A)
【文献】国際公開第2010/095659(WO,A1)
【文献】特開2006-223158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材を加熱し、この喫煙材の少なくとも1つの成分を気化するための装置であって、この装置は、
ハウジングと、少なくとも1つのヒーターと
、中空管とを含み、
前記ハウジングは、使用時に喫煙材が
前記装置内に収容され、および
前記装置から取り外されるように通ることができる第1開口部を第1端部に有し、
前記ハウジングは
、前記第1端部とは反対側の第2端部に第2開口部を有し、
前記ハウジングは
、前記第1開口部と
前記第2開口部の間にチェンバーを有し、
前記少なくとも1つのヒーターは、使用時に
前記チェンバー内に取り外し自在に収容される喫煙材を加熱するために
前記ハウジング内に配されており、
前記中空管は、前記第2端部で前記チェンバー内に位置し、前記第2端部において内径の小さい領域を供し、前記第2端部における前記中空管は、前記第2端部において長手方向に前記ヒーターを支持するように配される、装置。
【請求項2】
前記第2開口部を選択的に覆うドアを含み、
前記ドアは
前記第2開口部が
前記ドアによって閉じている時の第1位置と
前記第2開口部が開いている時の第2位置の間を移動可能である
、請求項1
に記載の装置。
【請求項3】
前記ドアは、ヒンジによって
前記ハウジングに連結されている
、請求項2
に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングはシャーシと第1側部パネルおよび第2側部パネルによって供され、
前記第1および第2側部パネルは
前記シャーシに固定可能であり、
前記第1および第2側部パネルが
前記シャーシに固定された際に
前記ドアを固定するように
前記第1および第2側部パネルは配されている
、請求項2
又は3
に記載の装置。
【請求項5】
前記ドアは
前記ドアが
前記第1および第2位置の間でスライドできるように
前記ハウジングにスライド自在に取り付けられている
、請求項2
に記載の装置。
【請求項6】
前記チェンバーは使用時に
前記第1開口部を通過する喫煙材のストッパーとなる
前記第2端部に向かって内径が小さくなる領域を有する
、請求項1
~5
のいずれか
一項
に記載の装置。
【請求項7】
前記第1端部で
前記チェンバー内に位置する中空管を
備え、
前記第1端部の
前記中空管は、
前記ヒーターを支持するように配されている
、請求項1
~6のいずれか
一項
に記載の装置。
【請求項8】
前記ヒーターは中空の内部を有し、使用時に喫煙材を収容する
前記ヒーターの
前記中空
の内部によって
前記チェンバーは少なくとも部分的に画定される
、請求項1
~7のいずれか
一項
に記載の装置。
【請求項9】
前記ヒーターは複数の加熱エレメントで形成される
、請求項1
~8のいずれか
一項
に記載の装置。
【請求項10】
前記ヒーターから
前記装置の外側への熱損失を減少させるために
前記ヒーターの周りを包む断熱材を含む
、請求項1
~9のいずれか
一項
に記載の装置。
【請求項11】
ユーザーが、前記装置を掃除するために前記第1または第2開口部を介して前記チェンバー内に触れることができる、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記中空管が細長い、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記中空管が、ポリエチル・エチル・ケトンで形成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することによって本明細書に組み込まれた2015年6月26日に出願された米国特許出願第62/185,227の全ての内容の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、喫煙材を加熱するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
紙巻きタバコ、シガーなどの物品は、使用時にタバコを燃やして煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創ることによってこれら喫煙品に代わるものが提供されている。そのような製品の例として材料を燃やさずに加熱することによって化合物を放出するタバコ加熱製品またはタバコ加熱装置としても知られている所謂、非燃焼加熱製品が挙げられる。その材料は、例えばタバコまたは他の非タバコ製品またはブレンドミックスなどの組み合わせであってもよく、これはニコチンを含んでも含まなくてもよい。
【発明の概要】
【0004】
本発明では、喫煙材を加熱し、この喫煙材の少なくとも1つの成分を気化するための装置が提供され、この装置は、
ハウジングと、少なくとも1つのヒーターとを含み、
ハウジングは、使用時に喫煙材が装置内に収容され、および装置から取り外されるように通ることができる第1開口部を第1端部に有し、
ハウジングは第1端部とは反対側の第2端部に第2開口部を有し、
ハウジングは第1開口部と第2開口部の間にチェンバーを有し、
ヒーターは、使用時にチェンバー内に取り外し自在に収容される喫煙材を加熱するためにハウジング内に配されており、
ユーザーは装置内を掃除するために少なくとも第2開口部を介してチェンバー内に触れることができる。
【0005】
少なくとも第2開口部を介してチェンバー内に触れることで、特にユーザーは、第2端部でチェンバー内および任意にヒーター内を掃除することができる。特定の例ではユーザーは、チェンバーの実質的に全体を簡単に掃除することができる。
【0006】
例示的な実施態様では、本装置は第2開口部を選択的に覆うドアを含み、このドアは第2開口部がドアによって閉じている時の第1位置と第2開口部が開いている時の第2位置の間を移動可能である。例示的な実施態様では、該ドアは、ヒンジによってハウジングに連結されている。
【0007】
例示的な実施態様では、ハウジングはシャーシと第1側部パネルおよび第2側部パネルによって供され、第1および第2側部パネルはシャーシに固定可能であり、第1および第2側部パネルがシャーシに固定された際にドアを固定するように第1および第2側部パネルは配されている。
【0008】
別の例示的な実施態様では、ドアはドアが第1および第2位置の間でスライドできるようにハウジングにスライド自在に取り付けられている。
【0009】
例示的な実施態様では、チェンバーは使用時に第1開口部を通過する喫煙材のストッパーとなる第2端部に向かって内径が小さくなる領域を有する。これは、使用時に喫煙材がチェンバー内の予め決められた場所に配置されるようにするのに役立つ。
【0010】
例示的な実施態様では、装置は、第2端部でチェンバー内に位置する中空管を含む。例示的な実施態様では、第2端部で中空管は使用時に第1開口部を介して通る喫煙材のストッパーとなる第2端部に向かって内径が小さくなる領域を供する。例示的な実施態様では、第2端部のヒーターを支持するように第2端部の中空管が配されている。従って、この実施態様では、中空管はチェンバー内の予め決められた位置に喫煙材を配置することと、第2端部でヒーターを支持することの両方に役立つ。
【0011】
例示的な実施態様では、装置は第1端部でチェンバー内に位置する中空管を含み、この第1端部の中空管は、ヒーターを支持するように配されている。
【0012】
例示的な実施態様では、ヒーターは中空の内部を有し、使用時に喫煙材を収容するヒーターの中空内部によってチェンバーは少なくとも部分的に画定される。
【0013】
例示的な実施態様では、ヒーターは複数の加熱エレメントで形成される。
【0014】
例示的な実施態様では、装置はヒーターの周りに断熱材を含み、これによってヒーターから装置の外側への熱損失を減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付図面を参照して例示のみを目的として、本発明の実施態様を以下に説明する。
【
図1】
図1は喫煙材加熱装置の一例の斜視図を示す。
【
図5】
図5は喫煙材を挿入していない
図1の装置の横断面図を示す。
【
図6】
図6は側部パネルを取り外した
図1の装置の斜視図である。
【
図8】
図8は一端部でドアが開いた状態の
図1の装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書中で使用する「喫煙材」なる用語は、加熱すると揮発成分を典型的にはエアロゾルの形体で供する材料を含む。「喫煙材」は、あらゆるタバコ含有材を含み、例えばタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の1つ以上を含む。「喫煙材」は製品によってニコチンを含むまたは含まない他の非タバコ製品を含んでもよい。「喫煙材」は、例えば固体、液体、ゲルまたはワックスなどの形体であってもよい。「喫煙材」は、例えばまた材料の組み合わせまたはブレンドであってもよい。
【0017】
喫煙材を燃やさずにまたは燃焼させずに喫煙材を加熱し、喫煙材の少なくとも1つの成分を気化させて典型的には吸い込み可能なエアロゾルを形成する装置が知られている。そのような装置は、「非燃焼加熱」装置または「タバコ加熱製品」または「タバコ加熱装置」またはそれに類似するものとして説明される場合がある。同様に典型的にはニコチンを含むまたは含まない液状の喫煙材を気化させる電子タバコと呼ばれているものもある。喫煙材は、装置に挿入できるロッド、カートリッジまたはカセットなどの形体であってもよく、またはその一部として提供されてもよい。喫煙材を加熱し、気化させるためのヒーターは、装置の「永久」部分として提供されてもよく、または使用後に廃棄され、交換される喫煙品または消耗品の一部として提供されてもよい。本文脈において「喫煙品」は、使用の際に加熱して気化させる喫煙材および任意に他の成分を使用の際に含有または含む装置または物品または他の部品である。
【0018】
図1~3を参照すると、装置10の一例の側面図、第1端面図および第2端面図がそれぞれ示されており、この装置は喫煙材を加熱し、喫煙材の少なくとも1つの成分を気化させて、典型的には吸引可能なエアロゾルを形成するように構成されている。装置10は喫煙材を加熱するが燃焼はさせないことによって化合物を放出する加熱装置10である。本明細書では、場合によっては第1端部11を吸い口端11、そして第2端部12を遠位端12と表記する。装置10はオン/オフボタン13を有し、これによってユーザーが好きなように装置10全体のオンとオフを切り替えることができる。
【0019】
加えて、
図4および
図5の断面図と
図6の斜視図を参照すると、装置10はハウジングを供し、このハウジングは装置10の内部の部品を設置し保護する。図示の例では装置10は1つ以上の「シャーシ」部分と1つ以上の側部パネルで形成されている。図示の特定な例では、装置10は1つの主シャーシ14と2つの側部パネル15、16を有する。装置10を組み立てる際、装置10の様々な内部の部品はこのシャーシ14内に設置されおよび/または固定され、その後、1つ以上の側部パネル15、16がシャーシ14に固定される。1つ以上の側部パネル15、16はシャーシ14に取り外し可能に固定されることにより、装置10の内部に簡単に触れることができるようにしてもよいし、またはシャーシ14に「永久的に」取り付けられることによって、例えばユーザーが装置10の内部に触れられないようにしてもよい。図示の特定な例ではシャーシ14は、第1端部または吸い口端11で装置10の前壁17の少なくとも一部を供し、第2端部または遠位端12で装置10の後壁18の少なくとも一部を供する。ある例ではシャーシ14および側部パネル15、16は、例えば射出成形で形成されたガラス繊維入りナイロンを含むプラスチック材料で製造されるが、その他の材料およびその他の製造方法を適用してもよい。
【0020】
シャーシ14は、その内部にヒーター20、制御回路21および電源22が設置されるまたは固定されている。本例では、ヒーター20、制御回路21および電源22は横一列に隣接し(すなわち、
図2および
図3のように端部からみると隣接している)、制御回路21はほぼヒーター20と電源22の間に位置するが、他の配置も可能である。制御回路21は、マイクロプロセッサー装置のようなコントローラーを含んでもよく、このコントローラーは、以下に説明するように喫煙材の加熱をコントロールするように構成され配されている。電源22は、例えば、充電式または非充電式電池でもよい。好適な電池の例として、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル電池(ニッケルカドミウム電池など)、アルカリ電池および/またはこれらの類似のものがあげられる。電源22は電気的にヒーター20と結合され、必要な場合、制御回路21のコントロール下で喫煙材の加熱(上述のように、喫煙材を燃焼させずに喫煙材を気化させる)するように電力を供給する。ヒーター20の横方向に隣接して電源22を配置することの利点は、装置10が全体的に長くなることなしに、物理的に大きな電源22を使用できるということである。当然のことながら、通常、物理的に大きな電源22はより高い容量(すなわち、しばしばアンペア時などと表される供給することができる総電力)を有し、よって装置10の電池寿命を長くすることが可能になる。
【0021】
ある実施例では、ヒーター20は、ほぼ中空の円筒管の形体であり、使用時には加熱のために喫煙材が挿入される中空の内部加熱チェンバー23を有する。ヒーター20は、異なる構成であってもよい。例えば、ヒーター20は単一の加熱エレメントで形成されてもよく、ヒーター20の長手方向軸に沿って位置合わせされた複数の加熱エレメントで形成されてもよい。該加熱エレメントまたは各加熱エレメントは、その外周が環状また管状、あるいは少なくとも部分的に環状または部分的に管状であってもよい。ある実施例では、該加熱エレメントまたは各加熱エレメントは薄いフィルムヒーターであってもよい。別の実施例では、該加熱エレメントまたは各加熱エレメントは、セラミック材料で製造されてもよい。好適なセラミック材料として、アルミナ、窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素セラミックスを含み、それらはラミネート加工や焼結されていてもよい。その他の加熱装置も可能であり、例えば誘導加温、赤外線を照射することによって加熱する赤外線加熱エレメントまたは例えば抵抗電気巻線によって形成された抵抗加熱エレメントを含んでもよい。特別な実施例では、ヒーター20は、ポリイミド基板で形成され、これはその上に1つ以上の加熱エレメントが形成され、ステンレス製の支持管によって保持される。このヒーター20は、使用時に喫煙材全体が実質的に加熱されるように、挿入された喫煙材全体がヒーター20の加熱エレメント内に実質的に収まるような大きさとなる。この加熱エレメントまたは各加熱エレメントは、喫煙材の選択された領域が個別に、例えば上述のように順番に(時間を掛けて)または一緒に(同時に)加熱することができるよう配されていてもよい。
【0022】
本実施例のヒーター20はその長さの少なくとも一部に沿って断熱材24に囲まれる。断熱材24はヒーター20から装置10の外側への熱損失を減少させることに役立つ。これによって、通常は熱損失が減少するので、ヒーター20のための必要電力を抑えることができる。断熱材24はまたヒーター20が作動中、装置10の外方面を冷たいままにしておくことにも役立つ。ある実施例では、断熱材24は二重壁スリーブであってもよく、このスリーブの2つの壁の間に低圧力領域を備える。つまり、断熱材24は、例えば「真空」管であってもよく、すなわちこの管は、伝導および/または対流によって熱移動を最小限にするために、部分的に真空であってもよい。二重壁スリーブに加えてまたは代えて、例えば好適な発泡系材料を含む断熱材料の使用を含む断熱材24の別の構成も可能である。
【0023】
シャーシ14の前壁17は装置10の吸い口端11に開口部30を有し、この開口部を介して、使用時にユーザーは喫煙材を装置10に挿入し、装置10から取りはずしてもよい。ドア31が吸い口端11に設けられている。ドア31を開けることができるので、これによってユーザーが使用中、開口部30を介して喫煙材を装置10に挿入したり、装置10から取り外したりすることができ、またドア31は閉めることができるので、使用していない間、開口部30を閉じ装置10の内部を清潔に保ち、装置10の内部の損傷を防ぐことができる。本例のドア31は、スライド式ドアであり、開口部の開閉のために上下にスライドできる。他の例では、ドア31はヒンジ式ドアであってもよく、または他の構成を設けてもよい。この例のドア31は、装置10の製造時に、シャーシ14の前壁17に(例えば接着剤によって)取り付けられている吸い口部材32と連動するように備えつけられ、この吸い口部材はドア31がスライド式に開閉できるようにドア31を保持している。吸い口部材32およびドア31は、例えばガラス繊維入りナイロンを含むプラスチック材料で形成されてもよい。この例の吸い口部材32は内方に面するカラー33を有し、これは開口部30を介して装置10の内部に突出し、後述のようにヒーター20を支持し配置することに役立つ。特に本明細書の
図4を参照すると、喫煙材51を含むロッド50が正面の開口部30を通って部分的に挿入されると、(少なくとも)喫煙材51はヒーター20の加熱チェンバー23内に位置し、ヒーター20が稼働すると喫煙材51が加熱されることが示されている。
【0024】
シャーシ14の後壁18は装置10の遠位端12に開口部35を有する。ドア36が遠位端12に設けられている。ドア36を開けると、遠位端12の開口部に触れることができ、ドアを閉めると遠位端の開口部35を閉じることができる。この例の遠位端12のドア36はヒンジ式ドアである。他の例では、ドア36はスライド式ドアであってもよく、または他の構成を設けてもよい。遠位端12のドア36がヒンジ式ドアの場合、「一体ヒンジ」として供されてもよい。ドア36が別個の部材であり、ドア36のヒンジがバレルヒンジであればさらに好ましい。この場合、シャーシ14にドア36がヒンジ式に取り付けられた開口部35の領域において、枢動ピン37は、ドア36に一体に設けられたまたは固定された1つ以上の中空のバレルヒンジ38内、およびシャーシ14に一体に設けられたまたは固定された1つ以上の凹部または中空のクリップ39内に配置される。ドア36は1つ以上のクリップまたは突起部40等を有し、これらはシャーシ14がそれを囲む部分またはクリップと弾力的に係合し、後述のように、ドア36を閉じた位置で留めるための別個の中空管41によって供されてもよい。ドア36は
図8に最もわかりやすく示されている。ドア36は、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)を含むプラスチック材料で形成されてもよい。
【0025】
組み立てられた装置10で、ヒーター20は通常は中空の円筒管の形体でシャーシ14内に配置され、これによって中空管の一端が吸い口端11の開口部30と流体連通し、中空管のもう一端が遠位端の開口部35と流体連通する。
【0026】
使用時に、ユーザーは遠位端12の開口部35を閉じるために遠位端12のドア36を閉め、吸い口端11の開口部30を開けるために吸い口端11のドア30を開ける。そしてユーザーは喫煙材51を含むロッド50を吸い口端11の開口部30を介して、ヒーター20の加熱チェンバー23内へ挿入し、所望する吸引のためのエアロゾルを生成するために喫煙材51を加熱するよう装置10を操作し、そして吸い口端11の開口部30を介して装置10から使用済の喫煙材51を取り出す。重要なことは、ユーザーは、装置10を使用した後で遠位端12の開口部35を開けるために遠位端12のドア36を開けることができるということである。遠位端12の開口部35によってユーザーは装置10の内部、特に遠位端12の開口部35の領域に触れることができる。これによって、必要なまたは所望する場合、ユーザーは遠位端12の開口部35の領域で装置10の内部を掃除することができる。遠位端12に触れることで、特にユーザーはヒーター20と遠位端12の加熱チェンバー23内を掃除することができる。事実、吸い口端11と遠位端12にそれぞれある開口部30、35の間にヒーター20が位置しており、また事実上、中空のヒーター20が吸い口端開口部30と遠位端開口部35の間を装置10全体に亘って、まっすぐな貫通孔を画定するので、ユーザーは内部の中空加熱チェンバー23の実質的に全体に亘って容易に掃除することができる。このためユーザーは開口部30、35のどちらか選んだ側を介して加熱チェンバー23に触れることができる。ユーザーは、例えば従来のパイプクリーナーまたはブラシ等の1つ以上の様々な掃除器具を使用してもよい。
【0027】
一例では、加熱チェンバー23は遠位端12に向かって小さくなる内径の領域を有する。これは、吸い口端の11の第1開口部30を通過する喫煙材のための端部ストッパーとなり、喫煙材が遠位端12の第2開口部35をそのまま通過するのを防ぐ。
【0028】
図示の例では、この内径の小さい領域は、遠位端12の方の加熱チェンバー23の端部内に位置する中空管41によって供される。中空管41の一例が
図7に最もわかりやすく示されている。この例の中空管41は外方へ延びた頭部またはフランジ42を有する。中空管41は例えばプラスチック材料で形成されてもよく、このプラスチック材料は例えば、ポリエチル・エチル・ケトン(PEEK)を含んでもよい。装置10の製造時、中空管41は外側から遠位端12の開口部35へと挿入され、その頭部またはフランジ42は、中空管41を所定の位置に配置するためシャーシ14に対してストッパーを備えている。中空管41は、例えば接着剤で定位置に固定されてもよい。ヒーター20の内部チェンバー23の遠位端に入った中空管41と共に、ヒーター20はシャーシ14内に配置される。したがって、この場合中空管41は加熱チェンバー23内に小さい内径の領域を備え、この領域はヒーター20の内部チェンバー23の内部に挿入された喫煙材のストッパーとしても機能し、遠位端12の装置10内にヒーター20を支持し配置したりもする。装置10内にヒーター20を保持し配置することについてさらに言及すると、上述の例では、吸い口端11の吸い口部材32の内方に面しているカラー33は、ヒーター20の内部チェンバー23の吸い口端11へと同じように突出することによって、吸い口端11において装置10内でヒーター20を保持し配置する。
【0029】
本例では、
図7に示すとおり、中空管41の頭部またはフランジ42は、内方に対向して面した突出部またはクリップ43を有する。ドア36が閉じた位置にある時、ドア36のクリップまたは突出部40はそれぞれ弾力的に中空管41の頭部またはフランジ42の突出部またはフランジ42と係合し、ドア36を閉じた位置に留める。
【0030】
再度特に
図4を参照すると、一例では、喫煙材は円筒状ロッド50の形体の消耗品の一部として提供され、このロッドは一端(使用時にシャーシ14に挿入される遠位端)に喫煙材51を有するまたは含む。この例では、ロッド50はもう一端(吸い口端)にマウスピース集合体を有し、これはエアロゾルを濾過するためのフィルターおよび/またはエアロゾルを冷却するための冷却エレメント52の1つ以上を含む。フィルター/冷却エレメント52は、間隔53をもって喫煙材から離れて配置され、またさらなる間隔54によって吸い口端からも離れて配置される。
【0031】
ここで説明した種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助のために提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的および/または排他的でもない。当然のことながら、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。加えて、本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
【符号の説明】
【0032】
10…装置、11…第1端部、12…第2端部、20…ヒーター、23…チェンバー、30…第1開口部、35…第2開口部。