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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20250205BHJP
   B21D 43/02 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
B21D5/02 V
B21D43/02 B
B21D5/02 W
B21D5/02 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023509352
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2022014741
(87)【国際公開番号】W WO2022203084
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】63/165,927
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 巧
(72)【発明者】
【氏名】織部 大樹
(72)【発明者】
【氏名】北畑 昂志
(72)【発明者】
【氏名】莇 駿也
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-094832(JP,A)
【文献】国際公開第2020/089800(WO,A1)
【文献】特開2019-081184(JP,A)
【文献】特開2020-028886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/01 - 5/02
B21D 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを支持するダイと前記ダイの上方に配置され前記ワークを押圧するパンチとを備えるプレスブレーキによる前記ワークの曲げ加工の際に前記ワークを搬送するワーク搬送装置であって、
前記ワークの搬送方向において前記プレスブレーキを基準とした上流側に配置された上流側搬送装置と、
前記プレスブレーキを基準とした下流側に配置され、前記ワークの端面と当接する下流側搬送装置と、
前記上流側搬送装置を、前記搬送方向に移動させる搬送駆動装置と、
前記搬送方向の下流側に配置され、前記パンチによる押圧後の前記ワークの形状に沿うようにして前記ワークを下方から支持する受け台と、
制御装置と、を備え、
前記上流側搬送装置および前記下流側搬送装置の各々は、前記ワークの端面と当接する接触部と、前記接触部に対して規定以上の圧力又は前記ワークの搬送方向に沿った向き以外からの圧力を受けたときに変形することで前記接触部の変位を許容する変形部と、前記変形部を保持しつつ前記搬送駆動装置に接続される接続部と、を含み、
前記制御装置は、前記曲げ加工の前又は後に、前記ワークの前記搬送方向の上流側の端部を前記上流側搬送装置に押圧させながら前記上流側搬送装置を前記搬送方向に移動させて前記ワークを前記搬送方向に間欠的に搬送するよう前記搬送駆動装置を制御する、ワーク搬送装置。
【請求項2】
前記上流側搬送装置を移動させる目標位置を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御装置は、前記記憶部から前記上流側搬送装置の目標位置を取得し、前記上流側搬送装置の目標位置に基づき前記搬送駆動装置に前記上流側搬送装置を移動させる、請求項に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記上流側搬送装置と前記ワークの端部との距離に関する情報を検出する距離センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記距離センサにより検出された前記距離に関する情報に応じて前記プレスブレーキの動作および前記上流側搬送装置の動作を変更する、請求項又は2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記上流側搬送装置又は前記下流側搬送装置の接触部には、前記ワークの前記搬送方向の上流側又は下流側の端部に設けられた被位置決め部に対応した形状の位置決め部が設けられている、請求項1乃至3の何れか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記上流側搬送装置又は前記下流側搬送装置に設けられ、前記ワークを吸着して保持する吸着装置をさらに備える、請求項乃至の何れか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項6】
前記プレスブレーキを基準に前記搬送方向の上流側および下流側に配置され、前記ワークを下方から支持する弧状の受け台をさらに備える、請求項乃至の何れか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項7】
前記受け台は、前記ワークに近付く方向および前記ワークから離間する方向に移動可能な複数のローラを有し、
前記複数のローラの各々に対応して設けられ、前記ローラを移動させるローラ駆動装置をさらに備える、請求項に記載のワーク搬送装置。
【請求項8】
前記受け台を所定の回転軸回りに回動させる受け台駆動装置をさらに備える、請求項又はに記載のワーク搬送装置。
【請求項9】
前記受け台を前記搬送方向又は前記搬送方向に交差する交差方向に移動させる交差方向受け台駆動装置をさらに備える、請求項乃至8の何れか1項に記載のワーク搬送装置。
【請求項10】
前記プレスブレーキを基準に前記搬送方向の上流側および下流側に配置され、前記ワークを支持すると共に所定の回転軸回りに回動、前記搬送方向に交差する交差方向に移動、又は前記搬送方向に移動するローラガイドをさらに備える、請求項乃至の何れか1項に記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワーク搬送方法、ワーク搬送装置およびワーク搬送プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板材に曲げ加工を施す曲げ加工装置が知られている。例えば特許文献1には、ワークを所定位置まで搬送する際にワークプッシャーにより当該ワークをバッグゲージに押し当てる曲げ加工装置が開示されている。また、特許文献2には、ワークの搬送方向上流側端部および搬送方向下流側端部に支持具を固定し、上流側の移動装置の保持部を一方の支持具に引っ掛け、下流側の移動装置の保持部を他方の支持具に引っ掛ける曲げ加工装置が開示されている。この曲げ加工装置では、各保持部を支持具に引っ掛けた状態で各移動装置を移動させることでワークが搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-297516号公報
【文献】特開2019-081184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワークプッシャーによりワークを所定位置まで押す上記特許文献1の曲げ加工装置では、特に搬送と押圧とを繰り返して所望の形状を得る逐次成形加工において、加工により曲げ量が大きくなると、所定位置まで搬送する際の搬送精度が低下する問題があった。また、特許文献2の曲げ加工装置では、ワークに支持具を固定する工程および移動装置の保持部を支持具に引っ掛ける工程が生じる。そのため、より簡単な方法でワークを搬送することが望まれていた。
【0005】
そこで、本開示は、搬送精度を従来よりも高くすることができ、かつ簡単な方法でワークを搬送することが可能なワーク搬送方法、ワーク搬送装置およびワーク搬送プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワーク搬送方法は、ワークを支持するダイと前記ダイの上方に配置され前記ダイに支持された前記ワークを押圧するパンチとを備えるプレスブレーキによる前記ワークの曲げ加工の際に前記ワークを搬送するワーク搬送方法であって、前記曲げ加工の前又は後に、前記ワークの搬送方向において前記プレスブレーキを基準とした上流側に配置された上流側搬送装置により前記ワークの前記搬送方向の上流側の端部を押圧しながら前記上流側搬送装置を前記搬送方向に移動させ、前記搬送方向の下流側に配置された受け台により前記パンチによる押圧後の前記ワークの形状に沿うようにして前記ワークを下方から支持して、前記ワークを前記搬送方向に間欠的に搬送するものである。
【0007】
本開示のワーク搬送装置は、ワークを支持するダイと前記ダイの上方に配置され前記ワークを押圧するパンチとを備えるプレスブレーキによる前記ワークの曲げ加工の際に前記ワークを搬送するワーク搬送装置であって、前記ワークの搬送方向において前記プレスブレーキを基準とした上流側に配置された上流側搬送装置と、前記上流側搬送装置を、前記搬送方向に移動させる搬送駆動装置と、前記搬送方向の下流側に配置され、前記パンチによる押圧後の前記ワークの形状に沿うようにして前記ワークを下方から支持する受け台と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記曲げ加工の前又は後に、前記ワークの前記搬送方向の上流側の端部を前記上流側搬送装置に押圧させながら前記上流側搬送装置を前記搬送方向に移動させて前記ワークを前記搬送方向に間欠的に搬送するよう前記搬送駆動装置を制御するものである。
【0008】
本開示のワーク搬送プログラムは、ワークを支持するダイと前記ダイの上方に配置され前記ダイに支持された前記ワークを押圧するパンチとを備えるプレスブレーキによる前記ワークの曲げ加工の際に前記ワークを搬送するワーク搬送装置におけるコンピュータに実行させるワーク搬送プログラムであって、前記コンピュータを、前記曲げ加工の前又は後に、前記ワークの搬送方向において前記プレスブレーキを基準とした上流側に配置された上流側搬送装置により前記ワークの前記搬送方向の上流側の端部を押圧しながら前記上流側搬送装置を前記搬送方向に移動させ、前記搬送方向の下流側に配置された受け台に前記パンチによる押圧後の前記ワークの形状に沿うようにして前記ワークを下方から支持させて、前記ワークを前記搬送方向に間欠的に搬送させる搬送制御手段として機能させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、搬送精度を従来よりも高くすることができ、かつ簡単な方法でワークを搬送することが可能なワーク搬送方法、ワーク搬送装置およびワーク搬送プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るワーク搬送装置を複数含む曲げ加工システムを示す平面図である。
図2図1のワーク搬送装置を搬送方向下流側から見た場合の斜視図である。
図3図1のワーク搬送装置を搬送方向上流側から見た場合の斜視図である。
図4】ワーク搬送装置における制御系統を示すブロック図である。
図5】初回曲げ時にワークを押圧する上流側搬送装置を示す模式図である。
図6】リベンド時にワークを押圧する上流側搬送装置および下流側搬送装置を示す模式図である。
図7】ワークの被位置決め部に各接触部の位置決め部が係合した状態を示す図である。
図8A】距離センサの配置を示す側面図である。
図8B】距離センサの配置を示す正面図である。
図9】別例に係る距離センサの配置を示す正面図である。
図10】曲げ加工の流れを示すフロチャートである。
図11】曲げ加工の流れを示すフロチャートである。
図12】ワークの表面端部をパンチで押圧する方法を説明するための図である。
図13】ワークの表面端部の形状に関する値を取得する方法を説明するための図である。
図14】吸着装置によりワークを保持した状態で当該ワークの形状に関する値を取得する態様を示す図である。
図15】上流側搬送装置および下流側搬送装置に設けられた変形部について説明するための図である。
図16A】変形部を有する上流側搬送装置および下流側搬送装置によるワークの搬送および端部に対する曲げ加工の流れを示す図である。
図16B】変形部を有する上流側搬送装置および下流側搬送装置によるワークの搬送および端部に対する曲げ加工の流れを示す図である。
図16C】変形部を有する上流側搬送装置および下流側搬送装置によるワークの搬送および端部に対する曲げ加工の流れを示す図である。
図16D】変形部を有する上流側搬送装置および下流側搬送装置によるワークの搬送および端部に対する曲げ加工の流れを示す図である。
図16E】変形部を有する上流側搬送装置および下流側搬送装置によるワークの搬送および端部に対する曲げ加工の流れを示す図である。
図17】受け台駆動装置により受け台を所定の回転軸回りに回動させる態様を示す図である。
図18】受け台駆動装置により受け台を昇降させる態様を示す図である。
図19A】ワークを下方から支持する複数のローラを示す図である。
図19B】ローラが移動された態様を示す図である。
図20】下流側のローラガイドを回動させる態様を示す図である。
図21】上流側および下流側のローラガイドを回動させる態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係るワーク搬送方法、ワーク搬送装置およびワーク搬送プログラムについて図面を参照して説明する。以下に説明するワーク搬送方法、ワーク搬送装置およびワーク搬送プログラムは本開示の一実施形態に過ぎない。従って、本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0012】
図1は本開示の一実施形態に係るワーク搬送装置100を複数含む曲げ加工システム200を示す平面図である。図2図1のワーク搬送装置100を搬送方向下流側から見た場合の斜視図であり、図3図1のワーク搬送装置100を搬送方向上流側から見た場合の斜視図である。以下の説明において、ワーク搬送装置100により搬送されるワークWの搬送方向をD1とし、搬送方向D1に直交する2つの方向を第1直交方向D2および第2直交方向D3とする。第2直交方向D3は例えば上下方向であり、ワークWを押圧する方向である。なお、第1直交方向D2が交差方向に相当する。
【0013】
曲げ加工システム200は、平板状のワークWを搬送方向D1にピッチ搬送する処理とワークWを第2直交方向D3から押圧する処理とを繰り返すことでワークWを所定形状に曲げる。図1に示すように、曲げ加工システム200は、下型であるダイ2および上型であるパンチ3を含むプレスブレーキ1と、複数のワーク搬送装置100とを備える。図1には第1直交方向D2に並んで配置された4つのワーク搬送装置100を例示しているが、ワーク搬送装置100は1つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0014】
ダイ2は第1直交方向D2に延在する。ダイ2の上縁は面取りが施されている。ダイ2の頂部には溝部2aが設けられており、当該溝部2aを塞ぐようにバックアッププレートBPが設けられる。バックアッププレートBPはワークWを支持する。バックアッププレートBPはワークWを介してパンチ3に押圧されたときに塑性変形しないように構成される。ダイ2はワークWを支持する。パンチ3はダイ2よりも上方に配置される。パンチ3はダイ2に支持されたワークWを押圧する。パンチ3は第1直交方向D2に延在する。なお、簡潔化のため図4以降では溝部2aおよびバックアッププレートBPの図示を省略する。
【0015】
ワーク搬送装置100について説明する。各ワーク搬送装置100の構成はそれぞれ同じである。ワーク搬送装置100は、接触部4aおよび保持部5を含む上流側搬送装置15aと、接触部4bおよび保持部5を含む下流側搬送装置15bと、受け台6と、ローラガイド7と、ガイドレール8と、ガイドレール9とを備える。
【0016】
上流側搬送装置15aはプレスブレーキ1を基準に搬送方向D1の上流側に配置される。接触部4a,4bはブロック状に形成されて例えば樹脂製である。接触部4aはワークWの上流側の端部Wzに接触する。接触部4aは端部Wzを把持せずに押圧する。接触部4aは保持部5に保持される。保持部5は図4に示す搬送駆動装置26に接続される。保持部5は接触部4aと搬送駆動装置26との接続部に相当し、例えば金属製である。保持部5は第1直交方向D2に平行な軸回りに回転する。なお、曲げ加工が施される前の平板状のワークWのダイ2に対する搬送の開始の際に、接触部4aおよび接触部4bのうち当該ダイ2までの距離が長い位置に配置される接触部がある側を、プレスブレーキ1を基準とした搬送方向D1の上流側と定義し、その逆側を搬送方向D1の下流側と定義する。
【0017】
下流側搬送装置15bはプレスブレーキ1を基準に搬送方向D1の下流側に配置される。接触部4bはワークWの下流側の端部Wkに接触する。接触部4bは端部Wkを把持せずに押圧する。接触部4bは下流側搬送装置15bの保持部5に保持される。この保持部5は搬送駆動装置26に接続される。
【0018】
ワークWをパンチ3により押圧する前には当該ワークWは平板状である。そのため、平板状のワークWを接触部4aにより押圧して搬送する際、接触部4aはワークWの上流側の端部Wzに対して面接触する。このとき、接触部4aは平板状のワークWの面のうちパンチ3で押圧すべき面に交差する上流側の端面に面接触する。従って、本開示において、端部Wzは、ワークWの上記上流側の端面を含む。
【0019】
一方、ワークWをパンチ3により押圧して弧状に曲がったワークWを形成(以下、初回曲げと呼ぶことがある)した後、形状が所望に達していない場合に再度パンチ3による押圧により追加曲げ(以下、リベンドと呼ぶことがある)を行うことがある。この場合、初回曲げが済んだワークWを接触部4a,4bにより押圧して搬送する。この場合、初回曲げが済んだワークWは弧状になっているため、接触部4aは平板状のワークWの面のうちパンチ3で押圧すべき面に交差する上流側の端面に面接触したり当該端面を構成する稜線(エッジ)に線接触する。また、接触部4bは平板状のワークWの面のうちパンチ3で押圧すべき面に交差する下流側の端面に面接触したり当該端面を構成する稜線に線接触する。従って、本開示において、端部WzはワークWの上記上流側の端面を構成する稜線をさらに含む。また、端部WkはワークWの上記下流側の端面および当該端面を構成する稜線を含む。
【0020】
受け台6は、ワークWの押圧中またはワークWの形状の計測中にワークWを支持する。受け台6は搬送方向D1の上流側に例えば2つ設けられ、搬送方向D1の下流側に例えば2つ設けられるが、上流側と下流側に各1つずつ設けられていてもよいし、3以上設けられていてもよい。上流側の各受け台6は第1直交方向D2に所定間隔をあけて設けられ、下流側の各受け台6は第1直交方向D2に所定間隔を空けて設けられる。
【0021】
受け台6は複数のローラ6rを有する。受け台6の上縁は弧状に形成される。各ローラ6rは、搬送方向D1に所定間隔をあけて受け台6の上縁に弧状に配置される。ローラ6rは、受け台6を構成し第1直交方向D2に所定間隔をあけて配置される2枚の板材の間に軸支されて、第1直交方向D2に平行な軸回りに回転自在である。ローラ6rはワークWが接触することで回転する。好ましくは、複数のローラ6rの上縁をつなぐ線は曲げ成形された後のワークWのコンター形状と合致する。受け台6は、例えば第2直交方向D3などワークWに近付く方向およびワークWから離間する方向に移動する。また、受け台6は、ワークWに近付く方向およびワークWから離間する方向に移動する代わりに、第1直交方向D2に平行な所定の回転軸回りに回動してもよい。また、受け台6は、ローラ6rが2枚の板材の間に軸支される代わりに、ローラ6rの各々がモータ等で第2直交方向D3に移動可能であってもよい。
【0022】
ローラガイド7は、ワークWの搬送時にワークWを支持する。ローラガイド7は搬送方向D1の上流側に例えば2つ設けられ、搬送方向D1の下流側に例えば2つ設けられるが、上流側と下流側に各1つずつ設けられていてもよいし、3以上設けられていてもよい。上流側のローラガイド7の下流端は上流側の受け台6の下流端よりも下流側に位置する。下流側のローラガイド7の上流端は下流側の受け台6の上流端よりも上流側に位置する。上流側の各ローラガイド7は第1直交方向D2に互いに所定間隔をあけて設けられ、下流側の各ローラガイド7は第1直交方向D2に互いに所定間隔を空けて設けられる。
【0023】
ローラガイド7は搬送方向D1に延在する。ローラガイド7は複数のローラ7rを有する。各ローラ7rはローラガイド7を構成し第1直交方向D2に所定間隔をあけて配置される2枚の板材の間に軸支されて、第1直交方向D2に平行な軸回りに回転自在である。ローラ7rはワークWが接触することで回転する。ローラガイド7は第1直交方向D2に平行な所定の回転軸回りに回動する。ローラガイドはどのような形状であってもよいが、好ましくは平らである。
【0024】
ガイドレール9は搬送方向D1の上流側および下流側の各々に設けられる。ガイドレール9は搬送方向D1に延在する。ガイドレール9は保持部5を下から支持し、搬送方向D1および当該搬送方向D1の逆方向に保持部5を案内する。これにより、接触部4a,4bは搬送方向D1および当該搬送方向D1の逆方向に移動する。
【0025】
ガイドレール8は搬送方向D1の上流側および下流側の各々に設けられる。ガイドレール8は第1直交方向D2に延在する。ガイドレール8はガイドレール9を下から支持し、第1直交方向D2にガイドレール9およびガイドレール9上に支持された保持部5を案内する。これにより、接触部4a,4bは第1直交方向D2に移動する。
【0026】
図2および図3に示すように、接触部4aには距離センサ10が設けられる。距離センサ10は、接触部4aとワークWの上流側の端部Wzとの距離を検出する。距離センサ10により検出された距離が0である場合、接触部4aは端部Wzに接触していることを意味する。距離センサ10は例えば近接センサ、レーザ測距センサ又は画像センサ等である。なお、距離センサ10として画像センサを用いる場合には、当該画像センサにより得られた画像におけるワークWの端部Wz,Wkの大きさを、(距離を直接計算せずに)距離に関する情報として取得できる。このように、距離に関する情報とは直接的な距離情報に限らず、間接的に距離が推定できる情報も含まれる。
【0027】
接触部4bには距離センサ10が設けられる。接触部4bに設けられた距離センサ10は、接触部4bとワークWの下流側の端部Wkとの距離を検出する。なお、図3では搬送装置100の各構成要素を明示すべくワークWを二点鎖線で示す。
【0028】
ワーク搬送装置100は複数の形状センサ11を備える。各形状センサ11はダイ2の近傍に配置される。具体的には、各形状センサ11はダイ2に支持されたワークWよりも下方に配置される。各形状センサ11は、搬送方向D1の上流側で且つ第1直交方向D2に所定間隔を空けて配置され、また搬送方向D1の下流側で且つ第1直交方向D2に所定間隔を空けて配置される。形状センサ11は例えば近接センサ、レーザ測距センサ、接触式センサ又は画像センサ等である。形状センサ11はワークWの形状に関する値を取得する。具体的には、形状センサ11はパンチ3により押圧されたワークWの部分についての角度(例えば水平面に対する角度)又は曲率を取得する。
【0029】
上流側搬送装置15aおよび下流側搬送装置15bにはそれぞれ吸着装置12が設けられる。吸着装置12はワークWを吸着して保持する。吸着装置12の吸着方法としては例えば吸盤を用いた空気吸着および電磁吸着等が挙げられる。
【0030】
図4はワーク搬送装置100における制御系統を示すブロック図である。図4に示すように、ワーク搬送装置100は、制御ユニット20と、押圧駆動装置25と、搬送駆動装置26と、ローラ駆動装置35と、受け台駆動装置36と、ローラガイド駆動装置38とを備える。
【0031】
制御ユニット20は、CPU(Central Processing Unit)である制御装置21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、HDD(Hard Disk Drive)24とを備える。ROM22にはワークWの搬送時に接触部4a,4bを移動させるべき目標位置等の各種情報が記憶される。目標位置とは、成形すべきワークWのコンターRの情報を基に定められた位置であって、ワークWの搬送方向D1の各位置および当該位置に対応する高さを定めたものである。RAM23は制御装置21の処理領域として用いられる。なお、制御装置21が搬送制御手段に相当し、ROM22、RAM23およびHDD24が記憶部に相当する。
【0032】
HDD24には本開示のワーク搬送装置100を動作させるためのワーク搬送プログラムが記憶される。ワーク搬送プログラムは外部装置から受信してHDD24に記憶させてもよいし、当該ワーク搬送プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えばDVD-ROMおよびUSBフラッシュメモリ等)から読み込んで記憶させてもよい。
【0033】
制御装置21はワークWに対してパンチ3が所定のストローク量だけ押し付けられるよう押圧駆動装置25の動作を制御する。制御装置21はワークWに対する押圧後にパンチ3をワークWから離間させるよう押圧駆動装置25の動作を制御する。押圧駆動装置25は例えばモータおよび油圧シリンダ等である。
【0034】
制御装置21は、目標位置を基に接触部4a,4bが搬送方向D1、第1直交方向D2および第2直交方向D3に移動するよう搬送駆動装置26の動作を制御する。搬送駆動装置26の詳細については後述する。また、制御装置21はワークWを吸着して保持するよう吸着装置12の動作を制御する。
【0035】
制御装置21は受け台6のローラ6rがワークWに近付く方向およびワークWから離間する方向に移動するようローラ駆動装置35の動作を制御する。また、制御装置21は受け台6が所定の回転軸回りに回動するように受け台駆動装置36の動作を制御する。制御装置21はローラガイド7が所定の回転軸回りに回動するようにローラガイド駆動装置38の動作を制御する。ローラ駆動装置35および受け台駆動装置36は両方を備えていてもよいし、どちらか一方を備えていてもよい。
【0036】
制御装置21は、搬送方向D1の上流側の距離センサ10から接触部4aとワークWの上流側の端部Wzとの距離の情報を受け取る。制御装置21は、搬送方向D1の下流側の距離センサ10から接触部4bとワークWの下流側の端部Wkとの距離の情報を受け取る。制御装置21は、各距離センサ10により検出された上記距離に応じてパンチ3の動作および搬送駆動装置26の動作を変更させる。具体的には、例えば、制御装置21は各距離センサ10により検出された上記距離が許容される値を超えている場合、すなわちワークWと接触部4a,4bとの間に許容できない隙間が生じている場合に、パンチ3の動作および搬送駆動装置26の動作を停止させる。
【0037】
制御装置21は、各形状センサ11からワークWの押圧部分についての角度又は曲率についての情報を受け取る。制御装置21は、ワークWの押圧部分の角度又は曲率が所定範囲から外れる場合等の異常時にパンチ3の動作および搬送駆動装置26の動作を停止させてもよい。
【0038】
図5は初回曲げ時にワークWを押圧する上流側搬送装置15aを示す模式図である。図6はリベンド時にワークWを押圧する直前及び直後の上流側搬送装置15aおよび下流側搬送装置15bを示す模式図である。なお、図5では下流側搬送装置15bおよび当該下流側搬送装置15bを駆動する搬送駆動装置26の図示を省略する。
【0039】
上流側搬送装置15aを駆動する搬送駆動装置26の構成と下流側搬送装置15bを駆動する搬送駆動装置26の構成とは同じであるため、以下では上流側搬送装置15aを駆動する搬送駆動装置26の構成について代表的に説明する。搬送駆動装置26は、第1駆動部26aと、第2駆動部26bと、第3駆動部26cと、第4駆動部26dとを備える。保持部5にはスライド機構31と昇降機構32とが連結される。昇降機構32は例えばボールねじであり、モータ等の駆動源である第1駆動部26aにより駆動される。第1駆動部26aにより昇降機構32が昇降される。これにより、保持部5が昇降され、これに伴って接触部4aが昇降される。
【0040】
スライド機構31は例えばボールねじであり、モータ等の駆動源である第2駆動部26bにより駆動される。第2駆動部26bによりスライド機構31がガイドレール9に沿ってスライドする。これにより、保持部5がガイドレール9に沿ってスライドし、これに伴って接触部4aが搬送方向D1および当該搬送方向D1の逆方向に移動する。また、第3駆動部26cは例えばモータ等の駆動源であり、スライド機構31およびガイドレール9をガイドレール8に沿ってスライドさせる。これにより、保持部5がガイドレール8に沿ってスライドし、これに伴って接触部4aが第1直交方向D2に移動する。
【0041】
さらに、第4駆動部26dは例えばモータ等の駆動源であり、保持部5に設けられた回転軸を第1直交方向D2に平行な軸回りに回転させる。これにより、吸着装置12が第1直交方向D2に平行な軸回りに回転する。吸着装置12はワークWの形状に応じて回転され当該ワークWを吸着する。
【0042】
初回曲げを行うべくワークWの搬送を開始する際には、第1駆動部26a、第2駆動部26bおよび第3駆動部26cは、制御装置21の指示に従って接触部4aを所定位置に移動させる。これにより、接触部4aは搬送方向D1においてワークWの端部Wzから離間した位置で当該端部Wzに対向配置される。この状態から、第2駆動部26bは、制御装置21の指示に従い接触部4aを搬送方向D1に移動させてワークWの端部Wzに当接させた後、ワークWの端部Wzを押圧させ、ワーク搬送プログラムで定義される位置にワークWを移動させる。このようにしてワークWが搬送方向D1に搬送される。
【0043】
一方、リベンドを行うべくワークWの搬送を開始する際には、第1駆動部26a、第2駆動部26bおよび第3駆動部26cは、制御装置21の指示に従って接触部4a,4bを所定位置に移動させる。リベンド時はワークWがコンターRを有するため、接触部4a,4bは第2直交方向D3にも移動する。これにより、接触部4aは搬送方向D1においてワークWの端部Wzから離間した位置で当該端部Wzに対向配置され、接触部4bは搬送方向D1においてワークWの端部Wkから離間した位置で当該端部Wkに対向配置される。この状態から、第2駆動部26bは、制御装置21の指示に従い接触部4aを搬送方向D1に移動させてワークWの端部Wzに当接させた後、接触部4aにワークWの端部Wzを押圧させ、ワーク搬送プログラムで定義される位置にワークWを移動させる。次に第2駆動部26bは制御装置21の指示に従い接触部4bを搬送方向D1の逆方向に移動させて、ワーク搬送プログラムで定義される位置にあるワークWの端部Wkに当接させる。これにより、ワークWの端部Wzを接触部4aにより押圧し且つ端部Wkを接触部4bにより接触させる。これにより、接触部4aと接触部4bとによりワークWを高精度に位置決めしつつ搬送することができる。
【0044】
図7はワークWの被位置決め部Whに接触部4a,4bの位置決め部4iが係合した状態を示す図である。
【0045】
図7に示すように、ワークWの搬送方向D1の上流側の端部Wzおよび下流側の端部Wkにはそれぞれ被位置決め部Whが設けられてもよい。被位置決め部WhはワークWの端部Wz,Wkに複数設けられてもよい。被位置決め部Whは例えば端部Wz,Wkから外側に凸状に形成される。
【0046】
一方、接触部4a,4bにはそれぞれ位置決め部4iが設けられる。位置決め部4iを被位置決め部Whに係合させることで、第1直交方向D2においてワークWを高精度に位置決めすることができる。
【0047】
位置決め部4iの数および配置はワークWの被位置決め部Whの数および配置に応じて定められる。位置決め部4iは例えば凹状に形成される。なお、被位置決め部Whを凸状にし、位置決め部4iを凹状にしたが、これに限らず、被位置決め部Whを凹状にし、位置決め部4iを凸状にしてもよい。また、位置決め部4iが多段の凹形状であり、被位置決め部Whが多段の凸形状であってもよい。さらに、位置決め部4iが多段の凸形状であり、被位置決め部Whが多段の凹形状であってもよい。
【0048】
図8Aは距離センサ10の配置を示す側面図であり、図8Bは距離センサ10の配置を示す正面図である。図9は別例に係る距離センサ10aの配置を示す正面図である。
【0049】
図8A図8Bに示すように、距離センサ10は接触部4aに一つ以上設けられる。各距離センサ10は接触部4aを構成する面のうちワークWの端部Wzに対向する面に交差する面、即ち接触部4aの両側面に設けられる。接触部4bにおける距離センサ10についても同様である。距離センサ10の例としては近接センサおよびレーザ測距センサ等が挙げられる。距離センサ10を近接センサとする場合、接触部4aに対するワークWの端部Wzの当接位置の高さ方向の検出幅を大きくすべく、各距離センサ10はそれぞれ異なる高さで配置される。なお、一つの距離センサ10で高さ方向の必要な検出幅に対しての検出が可能な場合、一つの距離センサ10のみを配置してもよい。また、複数の距離センサ10を高さ方向に配置した際、当該センサ10の高さ方向の検出幅にワークWを検出不能となる領域がない場合は、必ずしも接触部4aの両側面に設ける必要はない。
【0050】
距離センサ10の別例として、レーザ測距センサである距離センサ10aを採用してもよい。図9に示すように、距離センサ10aは接触部4aに複数設けられる。各距離センサ10aは接触部4aを構成する面のうちワークWの端部Wzに対向する面に交差する面、即ち接触部4aの両側面に設けられる。接触部4bにおける距離センサ10aについても上記と同様である。接触部4aに対するワークWの端部Wzの当接位置の高さ方向の検出幅を大きくするべく、各距離センサ10aはその光源の照射高さがそれぞれ異なるように配置される。各距離センサ10をこのように配置することで、ワークWの端部Wz,Wkが接触部4a,4bのどの位置に近づいたとしても、接触部4a,4bとワークWの端部Wz,Wkとの距離、または接触部4a,4bとワークWの端部Wz,Wkとの距離の情報を検出することができる。なお、一つの距離センサ10で高さ方向の必要な検出幅に対しての検出が可能な場合、一つの距離センサ10のみを配置してもよい。また、複数の距離センサ10を高さ方向に配置した際、当該センサ10の高さ方向の検出幅にワークWを検出不能となる領域がない場合は、必ずしも接触部4aの両側面に設ける必要はない。
【0051】
図10および図11は曲げ加工の流れを示すフロチャートである。図10に示すように、制御装置21は成形前の平板状のワークWの下流側の表面端部Wsがダイ2上の所定位置に配置されるよう上流側搬送装置15aの接触部4aでワークWを押圧して前記上流側から前記下流側に搬送させる(ステップS1)。このとき、制御装置21は下流側の受け台6をワークWを支持する位置に移動させると共に、上流側の受け台6をワークWを支持しない位置に移動させる。なお、制御装置21はワークWの搬送時および曲げ加工時に距離センサ10により検出された上記距離に応じてパンチ3の動作および搬送駆動装置26の動作を変更、例えば停止させてもよい。
【0052】
制御装置21は、上流側搬送装置15aの接触部4aにワークWの上流側の端部Wzを接触させた状態で、パンチ3にワークWの下流側の表面端部Wsを押圧させる(ステップS2)。本開示において、表面端部Wsとは、パンチ3による押圧時に当該パンチ3と接触部4a,4bとが干渉する可能性があるワークWの上流側および下流側における表面上の干渉領域である。
【0053】
次に、制御装置21は押圧された下流側の表面端部Wsの形状を計測すべく、上流側搬送装置15aの接触部4aでワークWの端部Wzを押圧し、ワークWを所定の計測位置まで搬送させた後、形状センサ11による検出結果からワークWの押圧部分の形状に関する値を算出する(ステップS3)。続いて、制御装置21は接触部4aにワークWの端部Wzを押圧させ、ワークWを所定の位置に搬送させる(ステップS4)。制御装置21はパンチ3にワークWを押圧させる(ステップS5)。そして、制御装置21は上流側搬送装置15aの接触部4aでワークWの端部Wzを押圧し、ワークWを所定の計測位置まで搬送させた後、形状センサ11による検出結果からワークWの押圧部分の形状に関する値を算出する(ステップS6)。
【0054】
ワーク搬送プログラムに基づき次にパンチ3で押圧する部分が上流側の表面端部Wsでない場合(ステップS7でNO)、制御装置21はステップS4に戻り、以降の処理を繰り返す。一方、ワーク搬送プログラムに基づき次にパンチ3で押圧する部分が上流側の表面端部Wsである場合(ステップS7でYES)、制御装置21は上流側の表面端部Wsがダイ2上の所定位置に配置されるよう、接触部4aでワークWの端部Wzを押圧してワークWを搬送させる(ステップS8)。
【0055】
制御装置21は、下流側搬送装置15bの吸着装置12にワークWを吸着保持させた状態で、接触部4aを退避させた後、パンチ3にワークWの上流側の表面端部Wsを押圧させる(ステップS9)。次に、制御装置21はワークWを搬送方向D1の逆方向の所定の計測位置まで搬送させた後、ダイ2の上流側の形状センサ11による検出結果からワークWの押圧部分の形状に関する値を算出する(ステップS10)。
【0056】
次いで、制御装置21は、ワークWが所定の形状になっているか否かを判別する(ステップS11)。この場合、制御装置21は算出したワークWの押圧部分の形状に関する値に基づき、ワークWが所定の形状になっているか否かを判別することができる。ワークWが所定の形状になっている場合(ステップS11でYES)、制御装置21は曲げ加工を終了する。
【0057】
これに対して、ワークWが所定の形状になっていない場合(ステップS11でNO)、制御装置21は以下に説明する通りワークWのリベンドを実行する。なお、以下では、ワークWの下流側の表面端部Ws、ワークWの上流側の表面端部Ws、およびワークWの表面(下流側および上流側の各表面端部Wsを除く表面)の全てに対してリベンドを行う場合について説明する。しかし、形状の計測結果に応じて各部分のリベンドを省略してもよい。
【0058】
先ず、制御装置21は、初回曲げにて弧状に形成されたワークWの端部Wkを接触部4bに押圧させて搬送方向D1の逆方向に向けて当該ワークWを所定の位置まで搬送させた後、ワークWの下流側の表面端部Wsがダイ2上の所定位置に配置されるよう上流側搬送装置15aの接触部4aによりワークWを上流側から下流側に搬送させる(ステップS12)。なお、制御装置21はワークWの搬送時および曲げ加工時に距離センサ10により検出された上記距離に応じてパンチ3の動作および搬送駆動装置26の動作を変更、例えば停止させてもよい。
【0059】
リベンドにおいて押圧すべきワークWの領域がワークWの下流側の表面端部Wsである場合、制御装置21は、上流側搬送装置15aの吸着装置12にワークWを吸着保持させ且つ接触部4bを退避させた後、パンチ3にワークWの下流側の表面端部Wsを押圧させる(ステップS13)。次に、制御装置21はワークWを接触部4aにより所定の計測位置まで搬送させた後、形状センサ11による検出結果からワークWの押圧部分の形状に関する値を算出する(ステップS14)。
【0060】
次いで、制御装置21は、ワークWが所定の形状になっているか否かを判別する(ステップS15)。ワークWが所定の形状になっていない場合(ステップS15でNO)、制御装置21は接触部4bによりワークWを押し戻した後(ステップS12)、ステップS13以降の処理を繰り返す。
【0061】
一方、ワークWが所定の形状になっている場合(ステップS15でYES)、リベンドにおいて押圧すべきワークWの領域がワークWの下流側の表面端部Wsと上流側の表面端部Wsとの間の領域である場合、制御装置21は、接触部4bを搬送方向D1へ移動させ所定の位置に待機させる。次に、制御装置21は、ワークWがダイ2上の所定位置に配置されるよう接触部4aによりワークWの端部Wzを押圧しワークWを搬送させる。次に、制御装置21は、接触部4bを搬送方向D1の逆方向へ移動させワークWの端部Wkに接触部4bを接触させる。(ステップS16)。そして、接触部4aと接触部4bとでワークWの端面を挟み込んだまま制御装置21はパンチ3にワークWを押圧させる(ステップS17)。制御装置21はワークWを所定の計測位置まで搬送させた後、形状センサ11による検出結果からワークWの押圧部分の形状に関する値を算出する(ステップS18)。
【0062】
次いで、制御装置21は、ワークWが所定の形状になっているか否かを判別する(ステップS19)。ワークWが所定の形状になっていない場合(ステップS19でNO)、制御装置21は、接触部4aを搬送方向D1の逆方向へ移動させ所定の位置に待機させる。次に、制御装置21は、接触部4bによりワークWの端面Wkを押圧しワークWを押し戻す。次に、制御装置21は、接触部4aを搬送方向D1に移動させワークWの端部Wzに接触部4aを接触させた後(ステップS16)、ステップS17以降の処理を繰り返す。
【0063】
一方、ワークWが所定の形状になっている場合(ステップS19でYES)で、且つワーク搬送プログラムに基づき次にパンチ3で押圧する部分が上流側の表面端部Wsでない場合(ステップS20でNO)、制御装置21はステップS16に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0064】
これに対して、ワークWが所定の形状になっている場合(ステップS19でYES)で、ワーク搬送プログラムに基づき次にパンチ3で押圧する部分が上流側の表面端部Wsである場合(ステップS20でYES)、制御装置21はワークWの上流側の表面端部Wsがダイ2上の所定位置に配置されるよう接触部4aによりワークWを搬送させる(ステップS21)。
【0065】
制御装置21は、下流側搬送装置15bの吸着装置12にワークWを吸着保持させ且つ接触部4aを退避させた後、パンチ3にワークWの上流側の表面端部Wsを押圧させる (ステップS22)。次に、制御装置21はワークWを搬送方向D1の逆方向の所定の計測位置まで搬送させた後、ダイ2の上流側の形状センサ11による検出結果からワークWの押圧部分の形状に関する値を算出する(ステップS23)。
【0066】
次いで、制御装置21は、ワークWが所定の形状になっているか否かを判別する(ステップS24)。ワークWが所定の形状になっていない場合(ステップS24でNO)、制御装置21は接触部4aによりワークWの端部Wzを押圧し、ワークWを搬送方向D1に移動させた後(ステップS21)、ステップS22以降の処理を繰り返す。一方、ワークWが所定の形状になっている場合(ステップS24でYES)、制御装置21は曲げ加工を終了する。
【0067】
図12は上述の図10のステップS8およびステップS9で示すワークWの上流側の表面端部Wsをパンチ3で押圧する方法を説明するための図である。ワークWの表面端部Wsをパンチ3で押圧する際には、端部Wzを押圧する接触部4aとパンチ3との干渉を防ぐ必要がある。
【0068】
図12に示すように、ワークWの端部Wzを押圧する接触部4aをダイ2上に移動させた後、下流側搬送装置15bに設けられた吸着装置12にワークWを吸着させて保持させる。そして、接触部4aを搬送方向D1の逆方向に移動させ、所定位置に退避させる。このように接触部4aを退避させても、吸着装置12によりワークWの位置を安定して保持することができる。
【0069】
また、接触部4aをダイ2の上方の位置から搬送方向D1の逆方向に退避させた後、ワークWの表面端部Wsをパンチ3で押圧する。これにより、接触部4aとパンチ3との干渉を生じさせることなく、ワークWの表面端部Wsをパンチ3で押圧することができる。なお、ステップ1とステップ2、又はステップS12とステップS13に示すように、ワークWの表面端部Wsをパンチ3で押圧する際にも、同じ要領で、上流側搬送装置15aの吸着装置12にワークWを吸着させた状態で表面端部Wsをパンチ3で押圧する。
【0070】
図13は上述の図10のステップS10または図11のステップS23で示すワークWの表面端部Wsの形状に関する値を取得する方法を説明するための図である。図13に示すように、ワークWの表面端部Wsをパンチ3で押圧する。この表面端部Wsの形状に関する値は、表面端部Wsがダイ2の上にあり且つさらに下流側に搬送するとダイ2の上から落ちることになるため不安定な状態となり、下流側の形状センサ11で取得することができない。そこで、押圧後のワークWを接触部4a、または接触部4aと接触部4bにより搬送方向D1の逆方向に押し戻した後、下流側搬送装置15bの吸着装置12にワークWを吸着させ、接触部4aを搬送方向D1の逆方向に退避させた状態で、上流側に設けられた形状センサ11により表面端部Wsの形状に関する値を取得する。この場合、ワークWがダイ2に支持された状態で形状センサ11による値の取得を行うことができる。これにより、ワークWの正確な形状を得ることができる。図13の説明では押圧後のワークWを接触部4a、または接触部4aと接触部4bにより搬送方向D1の逆方向に押し戻したが、下流側搬送装置15bの吸着装置12にワークWを吸着させてワークWを搬送方向D1の逆方向に押し戻してもよい。
【0071】
図14は上述の図10のステップS10または図11のステップS23に係る図13の別例、又は図10のステップS3または図11のステップS14で示す形状に関する値の計測の詳細を示し、吸着装置12によりワークWを保持した状態で当該ワークWの形状に関する値を取得する態様を示す図である。
【0072】
図14に示すように、ワークWを吸着装置12により保持した状態で形状センサ11により当該ワークWの形状に関する値を取得してもよい。吸着装置12およびダイ2での支持によりワークWを安定して保持することで、取得時のワークWの位置ずれを防ぐことができる。これにより、ワークWの正確な形状を得ることができる。なお、図14では、一例として上流側搬送装置15aの吸着装置12のみでワークWを吸着させたが、下流側搬送装置15bの吸着装置12も併せてワークWを吸着させてもよい。
【0073】
図15は上流側搬送装置15aおよび下流側搬送装置15bに設けられた変形部4hについて説明するための図である。また、図16A乃至図16Eは変形部4hを有する上流側搬送装置15aおよび下流側搬送装置15bによるワークWの搬送および上流側の表面端部Wsに対する曲げ加工の流れを示す図である。図16A乃至図16E図10のステップS8とステップS9、または図11のステップS21とステップS22に該当する。なお、図16A乃至図16Eでは受け台6を省略している。
【0074】
図15に示すように、上流側搬送装置15aおよび下流側搬送装置15bの各々は接触部4a,4bに対して規定以上の圧力又はワークWの搬送方向D1に沿った向き以外からの圧力を受けたときにのみ変形することで接触部4a,4bの変位を許容する変形部4hを有してもよい。変形部4hとしては、接触部4a,4bがワークWから圧力を受けたときに変形し得るものであればよく、例えばヒンジ、ばねおよび弾性体等が挙げられる。図15は変形部4hとしてヒンジを例示する。
【0075】
変形部4hは保持部5と接触部4a,4bとの間にそれぞれ設けられる。変形部4hは接触部4a,4bが規定以上の圧力又はワークWの搬送方向D1に沿った向き以外からの圧力を受けたときにのみ変形することで接触部4a,4bの変位を許容する。これにより、接触部4aと接触部4bとによりワークWを押圧して把持する際に、規定以上の圧力又はワークWの搬送方向D1に沿った向き以外からの圧力を受けた場合にのみ接触部4a,4bが変位する。そのため、ワークWの位置決め精度を低下させることなく、ワークWおよび接触部4a,4bに対する過負荷が生じることをも抑えることができる。
【0076】
図16Aに示すように、接触部4aでワークWの上流側の端面Wzを押圧して当該ワークWを所定位置まで搬送し、下流側の受け台6によりワークWを支持する。このとき、制御装置21は接触部4aの下面がダイ2の上面よりも下方に位置するように当該接触部4aを位置付けさせる。下流側搬送装置15bは搬送方向D1の所定の位置で待機させる。
【0077】
次に図16Bに示すように、制御装置21は接触部4aを搬送方向D1に移動させると、当該接触部4aがダイ2に接触した際にヒンジである変形部4hが開くことで接触部4aが変位する。このとき、接触部4aはダイ2上に乗り上げる。これにより、パンチ3により押圧すべきワークWの上流側の表面端部Wsがダイ2に支持される。ワークWの表面端部Wsがダイ2に支持された後、図16Cに示すように下流側搬送装置15bの吸着装置12によりワークWを吸着して保持する。
【0078】
吸着装置12によりワークWを吸着した後、図16Dに示すように、接触部4aを搬送方向D1の逆方向へ移動させ所定位置に退避させる。接触部4aを退避させても、吸着装置12による保持によってワークWの位置は安定して維持される。接触部4aを退避させた後、図16Eに示すようにワークWの上流側の表面端部Wsをパンチ3により押圧する。なお、図11のステップS12とステップS13のように、ワークWを搬送方向D1の逆方向に搬送して当該ワークWの下流側の表面端部Wsに曲げ加工を施す場合は、図16A乃至図16Eにおいて上流側の処理と下流側の処理とを逆にして同じ要領で行うことができる。
【0079】
図17は受け台駆動装置36により受け台6を所定の回転軸回りに回動させる態様を示す図である。また、図18は受け台駆動装置36により受け台6を昇降させる態様を示す図である。なお、図17および図18ではローラ6rを省略している。
【0080】
図17に示すように、搬送方向D1の上流側の受け台6および搬送方向D1の下流側の受け台6の各々はダイ2に近い側の端部にそれぞれ回転軸6kを有する。回転軸6kはダイ2の延在方向に平行である。各受け台6には受け台駆動装置36が接続される。受け台駆動装置36は例えば各種シリンダ等のアクチュエータを含み、受け台6を押し引きすることで当該受け台6を回転軸6k回りに回動させる。なお、上流側および下流側の受け台6に受け台駆動装置36を設けたが、これに限らず、上流側および下流側の何れか一方の受け台6にのみ受け台駆動装置36を設けてもよい。
【0081】
ステップS3、ステップS6、ステップS10、ステップS14、ステップS18、又はステップS23のワークWの押圧部分の形状に関する値を取得する際には、ワークWを支持する上流側の受け台6および下流側の受け台6のうち何れかの受け台6を回動、即ち移動させて当該受け台6による支持を解除する。具体的には、取得すべきワークWの押圧部分が搬送方向D1の上流側に位置する場合には、上流側の受け台6を受け台駆動装置36により移動させて当該受け台6による支持を解除する。また、取得すべきワークWの押圧部分が搬送方向D1の下流側に位置する場合には、下流側の受け台6を受け台駆動装置36により移動させて当該受け台6による支持を解除する。そして、移動させた方の受け台6が支持していたワークWの押圧部分の形状に関する値を形状センサ11により取得する。これにより、取得すべき押圧部分に受け台6による圧力がかからない状態で上記取得を行うことができ、もってワークWの正確な形状を得ることができる。
【0082】
ワークWに対してパンチ3により初回曲げを行う際には、下流側の受け台6をワークWを支持する位置に移動させると共に、上流側の受け台6をワークWを支持しない位置に移動させた状態とし、ワークWをパンチ3により押圧する。
【0083】
受け台6を回動させる図17の構成の代わりに、図18に示すように受け台駆動装置37により受け台6を昇降させる構成を採用してもよい。受け台駆動装置37は例えば各種シリンダ又はモータ等のアクチュエータを含み、受け台6を押し引き又はボールねじを回転させることで当該受け台6を昇降させる。ステップS3、ステップS6、ステップS10、ステップS14、ステップS18、又はステップS23のワークWの押圧部分の形状に関する値を取得する際には、ワークWを支持する上流側の受け台6および下流側の受け台6のうち何れかの受け台6を下降させて当該受け台6による支持を解除する。
【0084】
図19AはワークWを下方から支持する複数のローラ6rを示す図であり、図19Bはローラ6rが移動された態様を示す図である。受け台6を回動させる図17の構成、又は図18に示す受け台駆動装置37により受け台6を昇降させる構成の代わりに、図19A図19Bに示すローラ駆動装置35により各ローラ6rを昇降させる構成を採用してもよい。この場合、各ローラ6rは受け台に該当する。
【0085】
図19Aに示すように、ローラ駆動装置35は各ローラ6rに対応してそれぞれ設けられる。ローラ駆動装置35は例えば油圧シリンダ、空圧シリンダ、電動シリンダ、ラックアンドピニオン、モータ等のアクチュエータを含み、ローラ6rをワークWに近付く方向およびワークWから離間する方向に移動させる。各ローラ6rを対応のローラ駆動装置35によって個別に任意の位置に移動させることができる。これにより、図19Bに示すように各ローラ6rをワークWの形状に応じて移動させて各ローラ6rにワークWを支持させることができる。図19Bに示す弧状のワークWを支持する場合には、当該ワークWを支持するダイ2から搬送方向D1および当該搬送方向D1の逆方向へ離れるほど、ローラ6rの初期位置からの移動量が大きくなる。
【0086】
図20は、初回曲げにおいて下流側のローラガイド7を回動させる態様を示す図である。図21は上流側のローラガイド7および下流側のローラガイド7を回動させる態様を示す図である。
【0087】
図20に示すように、搬送方向D1の上流側のローラガイド7および搬送方向D1の下流側のローラガイド7の各々はダイ2から遠い側の端部にそれぞれ回転軸7kを有する。回転軸7kはダイ2の延在方向に平行である。各ローラガイド7にはローラガイド駆動装置38が接続される。ローラガイド駆動装置38は例えば各種シリンダ等のアクチュエータを含み、ローラガイド7を押し引きすることで当該ローラガイド7を回転軸7k回りに回動させる。なお、回転軸7kは、前述の通りダイ2から遠い側の端部に設ける代わりに、ローラガイド7の搬送方向D1に沿った方向の任意の位置にあってもよい。
【0088】
初回曲げを行うべく、接触部4aによりワークWの搬送を開始した後、当該ワークWが下流側の受け台6に支持されるまでの間、図20に示すように下流側のローラガイド7を回動させてワークWを下方から押圧する。これにより、搬送時にワークWがダイ2に接触することを防ぐことができることに加え、接触部4aがワークWの端部Wzを押圧した時に発生するワークWの慣性での移動を防止し、かつワークWの自重を利用してワークWを接触部4aに押し付けることができる。このため、当該ワークWがワークWの搬送中に接触部4aから外れるのを防ぎ、搬送精度をよりよくすることができる。
【0089】
ワークWが下流側の受け台6に支持された後のワークWの搬送中は、図21に示すように上流側および下流側のローラガイド7の各々を、当該ローラガイド7の各々のダイ2側の一端が他端よりも上方に位置するように回動させる。これにより、搬送時にワークWがダイ2に接触することを防ぐことができる。
【0090】
以上説明したように、本実施形態によれば、上流側搬送装置の接触部4aによりワークWの上流側の端部Wzを押圧しながら搬送方向D1に搬送し、搬送方向D1の下流側に配置された受け台6によりパンチ3による押圧後のワークWの形状に沿うようにしてワークWを下方から支持する。これにより、搬送と押圧とを繰り返して所望の形状を得る逐次成形加工において、加工により曲げ量が大きくなっても、ワークWを所定位置まで搬送する際の搬送精度が低下することがない。そのため、搬送方向D1の上流側にのみ設けられたワークプッシャーによりワークを押す従来の構成よりも、パンチ3の押圧位置に対する搬送精度が向上する。また、ワークWに支持具(アタッチメント)を固定する工程および移動装置の保持部を支持具に引っ掛ける工程を要しないため、従来よりも簡単な方法でワークWを搬送することが可能となる。
【0091】
(変形例)
上述の実施形態の他にも、本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で次のような種々の変形が可能である。
【0092】
上記実施形態では、ローラガイド7を回転軸7k回りに回動させる構成としたが、これに限定されるものではなく、例えばモータとボールネジでローラガイド7を昇降させてもよいし、ローラガイド7を搬送方向D1およびその逆方向に移動させてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、受け台6を回転軸6k回りに回動、受け台6を昇降、または各ローラ6rを昇降させる構成としたが、これに限定されるものではない。例えばモータとボールネジ等で受け台6を搬送方向D1およびその逆方向に移動させて、ワークに近付く方向又はワークから離間する方向に移動させる構成であってもよい。受け台6を搬送方向D1およびその逆方向に移動させる構成の場合、受け台6をダイ2から離れる方向に移動させた後にワークWの押圧部分の形状に関する値を取得する。
【0094】
また、上記実施形態では、受け台6に複数のローラ6rを設けたが、これに限らず、ローラ6rは一つであってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、ワーク搬送装置100において上流側の上流側搬送装置15aの構成と下流側の下流側搬送装置15bの構成とを同じにしたが、これに限らず、上流側搬送装置15aの構成と下流側の下流側搬送装置15bの構成とを異ならせてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、接触部4aとワークWの上流側の端部Wzとの距離および接触部4bとワークWの下流側の端部Wkとの距離を検出する距離センサ10として近接センサ又はレーザ測距センサを用いた。しかし、これに限らず、複数種の距離センサ10を組み合わせて配置してもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、上流側の受け台6および下流側の受け台6の各々に受け台駆動装置36を接続したが、これに限らず、何れか一方の受け台6にのみ受け台駆動装置36を接続してもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、上流側のローラガイド7および下流側のローラガイド7の各々にローラガイド駆動装置38を接続したが、これに限らず、何れか一方のローラガイド7にのみローラガイド駆動装置38を接続してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、保持部5はガイドレール8,9により移動されたが、これに限らず、保持部5を第1直交方向D2および第2直交方向D3に移動できる機構であればよい。例えば、コンベアであってもよいし、多関節ロボット等のロボットであってもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、第3駆動部26cを例えばモータ等の駆動源としたが、手動でスライド機構31をガイドレール8に沿ってスライドさせてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、第1駆動部26a、第2駆動部26b、第3駆動部26cをモータ、スライド機構31および昇降機構32をボールねじとしたが、例えば油圧シリンダ、空圧シリンダ、電動シリンダ、ラックアンドピニオン等の公知の駆動機構で構成されていてもよい。
【0102】
さらに、上述の図19A,19Bでは、ローラ駆動装置35により駆動されるローラ6rによりワークWを支持することとしたが、これに限られるものではない。受け台駆動装置36により回動する受け台6と上記のローラ駆動装置35により駆動されるローラ6rとを組み合わせた構成を受け台6とし、当該受け台6を用いてもよい。また、受け台駆動装置37により昇降する受け台6と上記のローラ駆動装置35により駆動されるローラ6rとを組み合わせた構成を受け台6とし、当該受け台6を用いてもよい。
【0103】
なお、制御装置21による制御を実現するための構成は上記で例示した構成に限定されない。本明細書で開示する機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、および/または、それらの組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウエアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウエアである。ハードウエアは、本明細書に開示されているハードウエアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウエアであってもよい。ハードウエアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウエアとソフトウエアの組み合わせであり、ソフトウエアはハードウエアおよび/またはプロセッサの構成に使用される。
【0104】
本開示に従えば、上流側搬送装置によりワークの上流側の端部を押圧しながら搬送方向に搬送し、搬送方向の下流側に配置された受け台によりパンチによる押圧後のワークの形状に沿うようにして当該ワークを下方から支持する。これにより、搬送と押圧とを繰り返して所望の形状を得る逐次成形加工において、加工により曲げ量が大きくなっても、ワークを所定位置まで搬送する際の搬送精度が低下することがない。そのため、搬送方向の上流側にのみ設けられたワークプッシャーによりワークを押す従来の構成よりも、パンチの押圧位置に対する搬送精度が向上する。また、ワークに支持具(アタッチメント)を固定する工程および移動装置の保持部を支持具に引っ掛ける工程を要しないため、従来よりも簡単な方法でワークを搬送することが可能となる。
【0105】
上記開示において、前記ワークの搬送方向の下流側に配置された下流側搬送装置を前記搬送方向に移動させ、前記上流側搬送装置により前記ワークの搬送方向の上流側の端部を押圧しながら、前記上流側搬送装置を前記搬送方向に移動させ、前記下流側搬送装置を移動させて前記ワークの前記搬送方向の下流側の端部を下流側搬送装置に接触させて、前記ワークを前記搬送方向に間欠的に搬送してもよい。
【0106】
上記構成に従えば、ワークのリベンド時においても搬送精度が低下することがない。
【0107】
上記開示において、前記上流側搬送装置を移動させる目標位置を記憶部に記憶させ、前記記憶部から前記上流側搬送装置の目標位置を取得し、前記上流側搬送装置の目標位置に基づき前記上流側搬送装置を移動させ、前記ワークを前記搬送方向に搬送してもよい。
【0108】
上記構成に従えば、定められた搬送量の分だけワークを着実に搬送することができる。
【0109】
上記開示において、前記上流側搬送装置と前記ワークの端部との距離に関する情報を検出し、前記距離に関する情報に応じて前記プレスブレーキの動作および前記上流側搬送装置の動作を変更させてもよい。
【0110】
上記構成に従えば、上流側搬送装置とワークとの間に隙間が生じている状態で当該ワークを搬送することに起因して成形不具合が発生することを避けることができる。
【0111】
上記開示において、前記上流側搬送装置又は前記搬送方向において前記プレスブレーキを基準とした下流側に配置された下流側搬送装置は、前記ワークを吸着する吸着装置を有し、前記上流側搬送装置および前記下流側搬送装置のうち一方の搬送装置の吸着装置により前記ワークを吸着して保持し、前記上流側搬送装置および前記下流側搬送装置のうち他方の搬送装置を前記プレスブレーキから遠ざかる方向に移動させて前記ワークの端部に対する押圧を解除してもよい。
【0112】
上記構成に従えば、ワークの端部を押圧する搬送装置とパンチとの干渉を防ぐことができる。
【0113】
上記開示において、前記上流側搬送装置および前記搬送方向において前記プレスブレーキを基準とした下流側に配置された下流側搬送装置の各々は、前記ワークの端面と接触する接触部と、前記接触部に対して規定以上の圧力又は前記ワークの搬送方向に沿った向き以外からの圧力を受けたときに変形することで前記接触部の変位を許容する変形部を含み、前記ワークの前記搬送方向の上流側又は下流側の表面端部を前記パンチにより押圧する前に、前記上流側搬送装置および前記下流側搬送装置のうちの一方の搬送装置の前記接触部により、前記接触部の下面を前記ダイの上面よりも下方に位置させつつ前記一方の搬送装置を前記プレスブレーキに近づく方向に移動させて前記ワークを搬送し、前記接触部が前記ダイに接触する時に前記変形部が変形することで前記接触部を変位させて前記ダイの上に乗り上げさせ、前記上流側搬送装置および前記下流側搬送装置のうちの他方の搬送装置が有する吸着装置により前記ワークを吸着して保持し、前記一方の搬送装置を前記プレスブレーキから遠ざかる方向に退避させてもよい。
【0114】
上記構成に従えば、接触部がダイに接触する際に変形部が変形することで接触部を変位させてワークの端部をダイ上の位置まで搬送することができる。また、吸着装置によりワークを吸着して保持することで一方の搬送装置を退避させることができ、これにより当該一方の搬送装置とパンチとの干渉を防ぐことができる。
【0115】
上記開示において、前記ワークの前記搬送方向の上流側又は下流側のうち一方の表面端部を前記パンチにより押圧した後に、前記ワークの前記搬送方向の上流側又は下流側のうち一方、又は両方に配置された搬送装置により、前記ワークを前記ワークの前記搬送方向の上流側又は下流側のうち前記一方の方向に移動させ、前記パンチで押圧した前記ワークの前記表面端部の形状を測定してもよい。
【0116】
上記構成に従えば、ワークをダイに支持させて安定させた状態で測定を行うことができる。
【0117】
上記開示において、 前記ワークの前記搬送方向の上流側又は下流側のうち一方の表面端部を前記パンチにより押圧した後に、前記ワークの前記搬送方向の上流側又は下流側のうち他方に配置された搬送装置が有する吸着装置により前記ワークを吸着して前記ワークを前記ワークの前記搬送方向の上流側又は下流側のうち前記一方の方向に移動させ、前記他方に配置された搬送装置が有する吸着装置により前記ワークを吸着して保持して、前記パンチで押圧した前記ワークの前記表面端部の形状を測定してもよい。
【0118】
上記構成に従えば、ワークの成形の不具合を検知することができる。
【0119】
上記開示において、前記搬送方向の下流側に配置された受け台、および、前記搬送方向の上流側に配置されて前記パンチによる押圧後の前記ワークの形状に沿うようにして前記ワークを下方から支持する受け台を、前記ワークの形状に応じて前記ワークに近付く方向又は前記ワークから離間する方向に移動させてもよい。
【0120】
上記構成に従えば、ワークの種々の形状に応じて当該ワークを支持することができる。
【0121】
上記開示において、前記上流側の受け台および前記下流側の受け台のうち何れかの受け台を移動させて当該受け台による前記ワークに対する支持を解除し、前記移動させた方の前記受け台が支持していた前記ワークのうち前記パンチで押圧された部分の形状を測定してもよい。
【0122】
上記構成に従えば、測定すべきワークの部分に対して受け台によるモーメントが作用することを避けることができる。これにより、ワークが受け台に押し曲げられることを防ぐことができ、ゆえにワークの形状に関する正確な値を測定することができる。
【0123】
上記開示において、前記下流側の前記受け台を前記ワークを支持する位置に移動させると共に、前記上流側の前記受け台を前記ワークを支持しない位置に移動させ、前記ワークを搬送してもよい。
【0124】
上記構成に従えば、上流側の受け台を退避させることで、当該上流側の受け台がワークの搬送方向上流側の平板状の部分(パンチにまだ押圧されていない部分)に干渉することを防ぐことができる。
【0125】
上記開示において、前記プレスブレーキを基準に前記搬送方向の下流側に配置されて前記ワークを下方から支持すると共に上下方向に移動、前記ダイの延在方向に平行な軸回りに回動、又は前記搬送方向および前記搬送方向の逆方向に移動するローラガイドを、移動又は回動させて、当該ローラガイドで前記ワークを下方から押圧し、前記ワークの端部を前記上流側搬送装置に接触させ、前記ワークを搬送してもよい。
【0126】
上記構成に従えば、上流側搬送装置と下流側搬送装置とによりワークの搬送を開始した後、当該ワークが下流側の受け台に支持されるまでの間、下流側のローラガイドを移動させることでワークを下方から押圧することができる。これにより、搬送時にワークがダイに接触することを防ぐことができることに加え、ワワークを上流側搬送装置に押し付けることができ、当該ワークが上流側搬送装置による押圧から外れるのを防ぐことができる。
【0127】
上記開示において、前記プレスブレーキを基準に前記搬送方向の上流側および下流側に配置され、前記ワークを下方から支持すると共に上下方向に移動、前記ダイの延在方向に平行な軸回りに回動、又は前記搬送方向および前記搬送方向の逆方向に移動するローラガイドの各々を、移動又は回動させて、各前記ローラガイドの前記プレスブレーキ側の一端を他端よりも上方に位置させ、前記ワークを搬送してもよい。
【0128】
上記構成に従えば、ワークが下流側の受け台に支持された後は、上流側および下流側のローラガイドの各々を、当該ローラガイドの各々のプレスブレーキ側の一端が他端よりも上方に位置するように回動させる。これにより、搬送時にワークがダイに接触することを防ぐことができる。
【0129】
上記開示において、ワーク搬送装置は前記上流側搬送装置を移動させる目標位置を記憶する記憶部をさらに備え、前記制御装置は、前記記憶部から前記上流側搬送装置の目標位置を取得し、前記上流側搬送装置の目標位置に基づき前記搬送駆動装置に前記上流側搬送装置を移動させてもよい。
【0130】
上記開示において、ワーク搬送装置は前記上流側搬送装置と前記ワークの端部との距離に関する情報を検出する距離センサをさらに備え、前記制御装置は、前記距離センサにより検出された前記距離に関する情報に応じて前記プレスブレーキの動作および前記上流側搬送装置の動作を変更してもよい。
【0131】
上記開示において、ワーク搬送装置は前記ワークの搬送方向において前記プレスブレーキを基準とした下流側に配置された下流側搬送装置をさらに備え、前記上流側搬送装置および前記下流側搬送装置の各々は、前記ワークの端面と接触する接触部と、前記接触部に対して規定以上の圧力又は前記ワークの搬送方向に沿った向き以外からの圧力を受けたときに変形することで前記接触部の変位を許容する変形部と、前記変形部を保持しつつ前記搬送駆動装置に接続される接続部と、を含んでもよい。
【0132】
上記開示において、前記上流側搬送装置の接触部には、 前記ワークの前記搬送方向の上流側の端部に設けられた被位置決め部に対応した形状の位置決め部が設けられていてもよい。
【0133】
上記構成に従えば、位置決め部を被位置決め部に係合させることで、搬送方向に交差する交差方向においてワークを高精度に位置決めすることができる。
【0134】
上記開示において、ワーク搬送装置は前記ワークの搬送方向において前記プレスブレーキを基準とした下流側に配置された下流側搬送装置と、前記上流側搬送装置又は前記下流側搬送装置に設けられ、前記ワークを吸着して保持する吸着装置と、をさらに備えてもよい。
【0135】
上記開示において、ワーク搬送装置は前記プレスブレーキを基準に前記搬送方向の上流側および下流側に配置され、前記ワークを下方から支持する弧状の受け台をさらに備えてもよい。
【0136】
上記開示において、前記受け台は前記ワークに近付く方向および前記ワークから離間する方向に移動可能な複数のローラを有し、ワーク搬送装置は前記複数のローラの各々に対応して設けられ、前記ローラを移動させるローラ駆動装置をさらに備えてもよい。
【0137】
上記開示において、ワーク搬送装置は前記受け台を所定の回転軸回りに回動させる受け台駆動装置をさらに備えてもよい。
【0138】
上記開示において、ワーク搬送装置は前記受け台を前記搬送方向又は前記搬送方向に交差する交差方向に移動させる交差方向受け台駆動装置をさらに備えてもよい。
【0139】
上記開示において、ワーク搬送装置は前記プレスブレーキを基準に前記搬送方向の上流側および下流側に配置され、前記ワークを支持すると共に所定の回転軸回りに回動、前記交差方向に移動、又は前記搬送方向に移動するローラガイドをさらに備えてもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 プレスブレーキ
2 ダイ
3 パンチ
4a 上流側の接触部
4b 下流側の接触部
4h 変形部
4i 位置決め部
5 保持部
6 受け台
6r ローラ
7 ローラガイド
10 距離センサ
11 形状センサ
12 吸着装置
15a 上流側搬送装置
15b 下流側搬送装置
21 制御装置
22 ROM
23 RAM
24 HDD
26 搬送駆動装置
35 ローラ駆動装置
36 受け台駆動装置
100 ワーク搬送装置
D1 搬送方向
D2 第1直交方向
D3 第2直交方向
W ワーク
Wh 被位置決め部
Wk ワークの下流側の端部
Ws ワークの表面端部
Wz ワークの上流側の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21