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特許7629565低保磁力磁気材料を含むボイスコイルモータ複合磁石アセンブリ
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  • 特許-低保磁力磁気材料を含むボイスコイルモータ複合磁石アセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-04
(45)【発行日】2025-02-13
(54)【発明の名称】低保磁力磁気材料を含むボイスコイルモータ複合磁石アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/02 20060101AFI20250205BHJP
   G11B 33/12 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
G11B21/02 630A
G11B33/12 313C
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024076314
(22)【出願日】2024-05-09
【審査請求日】2024-05-13
(31)【優先権主張番号】18/373,957
(32)【優先日】2023-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン カプラン
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-170940(JP,A)
【文献】国際公開第2009/145229(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B21/00-21/06
33/00-33/08
33/12-33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイスコイルモータ(VCM)であって、
コイルと、
前記コイルに面するコイル側を有する第1のヨークと、
前記コイルと前記第1のヨークの前記コイル側との間に位置決めされており、かつ前記第1のヨークに面するヨーク側及び前記ヨーク側に対向するコイル側を有する第1の低保磁力永久磁石と、
前記第1の低保磁力永久磁石の前記コイル側に隣接する第1の高保磁力永久磁石と、
前記コイルに面するコイル側を有する第2のヨークと、
前記コイルと前記第2のヨークの前記コイル側との間に位置決めされており、かつ前記第2のヨークに面するヨーク側及び前記ヨーク側に対向するコイル側を有する第2の低保磁力永久磁石と、
前記第2の低保磁力永久磁石の前記コイル側に隣接する第2の高保磁力永久磁石と、を備える、ボイスコイルモータ(VCM)。
【請求項2】
前記第1の低保磁力永久磁石が、前記第1のヨークの前記コイル側に接合され、前記第2の低保磁力永久磁石が、前記第2のヨークの前記コイル側に接合されている、請求項1に記載のVCM。
【請求項3】
前記第1の高保磁力永久磁石が、前記第1の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合され、前記第2の高保磁力永久磁石が、前記第2の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合されている、請求項2に記載のVCM。
【請求項4】
前記第1のヨークの前記コイル側に接合され、かつ前記第1の低保磁力永久磁石の前記ヨーク側に隣接する第3の高保磁力永久磁石と、
前記第2のヨークの前記コイル側に接合され、かつ前記第2の低保磁力永久磁石の前記ヨーク側に隣接する第4の高保磁力永久磁石と、を更に備える、請求項1に記載のVCM。
【請求項5】
前記第1の低保磁力永久磁石が、前記第3の高保磁力永久磁石のコイル側に接合され、前記第2の低保磁力永久磁石が、前記第4の高保磁力永久磁石のコイル側に接合されている、請求項4に記載のVCM。
【請求項6】
前記第1の高保磁力永久磁石が、前記第1の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合され、前記第2の高保磁力永久磁石が、前記第2の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合されている、請求項5に記載のVCM。
【請求項7】
前記第1及び第2の高保磁力永久磁石の各々が、周囲温度で、10キロエルステッド(10kOe)を超える通常保磁力(HCn)を有し、
前記第1及び第2の低保磁力永久磁石の各々が、周囲温度で、10キロエルステッド(10kOe)未満の通常保磁力(HCn)を有する、請求項1に記載のVCM。
【請求項8】
ハードディスクドライブ(HDD)であって、
スピンドルモータに回転可能に装着された複数のディスク媒体と、
前記複数のディスク媒体のうちの少なくとも1つのディスク媒体との間で読み取り及び書き込みを行う手段と、
前記読み取り及び書き込みを行う手段を移動させて前記複数のディスク媒体の一部分にアクセスするように構成されたボイスコイルモータ(VCM)アセンブリであって、前記VCMアセンブリが、
コイルと、
前記コイルに面するコイル側を有する第1のヨークと、
前記コイルと前記第1のヨークの前記コイル側との間に位置決めされており、かつ前記第1のヨークに面するヨーク側及び前記ヨーク側に対向するコイル側を有する第1の低保磁力永久磁石と、
前記第1の低保磁力永久磁石の前記コイル側に隣接する第1の高保磁力永久磁石と、
前記コイルに面するコイル側を有する第2のヨークと、
前記コイルと前記第2のヨークの前記コイル側との間に位置決めされており、かつ前記第2のヨークに面するヨーク側及び前記ヨーク側に対向するコイル側を有する第2の低保磁力永久磁石と、
前記第2の低保磁力永久磁石の前記コイル側に隣接する第2の高保磁力永久磁石と、を備える、VCMアセンブリと、を備える、ハードディスクドライブ(HDD)。
【請求項9】
前記第1の低保磁力永久磁石が、前記第1のヨークの前記コイル側に接合され、前記第2の低保磁力永久磁石が、前記第2のヨークの前記コイル側に接合されている、請求項8に記載のHDD。
【請求項10】
前記第1の高保磁力永久磁石が、前記第1の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合され、前記第2の高保磁力永久磁石が、前記第2の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合されている、請求項9に記載のHDD。
【請求項11】
前記第1のヨークの前記コイル側に接合され、かつ前記第1の低保磁力永久磁石の前記ヨーク側に隣接する第3の高保磁力永久磁石と、
前記第2のヨークの前記コイル側に接合され、かつ前記第2の低保磁力永久磁石の前記ヨーク側に隣接する第4の高保磁力永久磁石と、を更に備える、請求項8に記載のHDD。
【請求項12】
前記第1の低保磁力永久磁石が、前記第3の高保磁力永久磁石のコイル側に接合され、前記第2の低保磁力永久磁石が、前記第4の高保磁力永久磁石のコイル側に接合されている、請求項11に記載のHDD。
【請求項13】
前記第1の高保磁力永久磁石が、前記第1の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合され、前記第2の高保磁力永久磁石が、前記第2の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合されている、請求項12に記載のHDD。
【請求項14】
前記第1及び第2の高保磁力永久磁石の各々が、周囲温度で、10キロエルステッド(10kOe)を超える通常保磁力(HCn)を有し、
前記第1及び第2の低保磁力永久磁石の各々が、周囲温度で、10キロエルステッド(10kOe)未満の通常保磁力(HCn)を有する、請求項8に記載のHDD。
【請求項15】
ボイスコイルモータ(VCM)を組み立てる方法であって、前記方法が、
第1の半アセンブリを形成することであって、
第1の低保磁力永久磁石材料を第1のヨークのコイル側に接合することであって、前記第1の低保磁力永久磁石材料が、前記第1のヨークに面するヨーク側と、前記ヨーク側に対向するコイル側と、を有する、接合することと、
第1の高保磁力永久磁石材料を前記第1の低保磁力永久磁石材料の前記コイル側に接合することと、
前記第1の低保磁力永久磁石材料及び前記第1の高保磁力永久磁石材料を磁化させて、第1の低保磁力永久磁石及び第1の高保磁力永久磁石を形成することと、によって、第1の半アセンブリを形成することを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法に従って第2の半アセンブリを形成することと、
前記第1の半アセンブリ及び前記第2の半アセンブリを一緒に組み立てることと、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法に従って組み立てられたボイスコイルモータ。
【請求項18】
ボイスコイルモータ(VCM)を組み立てる方法であって、前記方法が、
第1の半アセンブリを形成することであって、
第1の高保磁力永久磁石材料を第1のヨークのコイル側に接合することであって、前記第1の高保磁力永久磁石材料が、前記第1のヨークに面するヨーク側と、前記ヨーク側に対向するコイル側と、を有する、接合することと、
第1の低保磁力永久磁石材料を前記第1の高保磁力永久磁石材料の前記コイル側に接合することであって、前記第1の低保磁力永久磁石材料が、前記第1のヨークに面するヨーク側と、前記ヨーク側に対向するコイル側と、を有する、接合することと、
第2の高保磁力永久磁石材料を前記第1の低保磁力永久磁石材料の前記コイル側に接合することと、
前記第1の高保磁力永久磁石材料、前記第1の低保磁力永久磁石材料、及び前記第2の高保磁力永久磁石材料を磁化させて、第1の高保磁力永久磁石、第1の低保磁力永久磁石、及び第2の高保磁力永久磁石を形成することと、を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法に従って第2の半アセンブリを形成することと、
前記第1の半アセンブリ及び前記第2の半アセンブリを一緒に組み立てることと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法に従って組み立てられたボイスコイルモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、ボイスコイルモータに関するものであり、特に、低保磁力磁気材料を含む複合磁石アセンブリを有するハードディスクドライブ回転ボイスコイルアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(hard disk drive、HDD)は、保護エンクロージャ内に収容され、磁気表面を有する1つ以上の円形ディスク上にデジタル符号化データを記憶する、不揮発性記憶デバイスである。HDDが動作中のとき、各磁気記録ディスクは、スピンドルシステムによって急速に回転される。データは、アクチュエータによってディスクの特定の場所の上に位置決めされたスライダに収容された読み取り-書き込みヘッド(又は「トランスデューサ」)を使用して磁気記録ディスクから読み取られ、磁気記録ディスクに書き込まれる。読み取り-書き込みヘッドは、磁場を使用して、磁気記録ディスクの表面にデータを書き込み、この表面からデータを読み取る。書き込みヘッドは、書き込みヘッドのコイルを通って流れる電流を使用して磁場を生成することによって機能する。異なるパターンの正及び負の電流を伴って、書き込みヘッドに電気パルスが送られる。書き込みヘッドのコイル内の電流は、ヘッドと磁気記録ディスクとの間の間隙にわたる局所的な磁場を生成し、この記録媒体上の小領域を順番に磁化する。
【0003】
典型的には、ボイスコイルモータ(「voice coil motor、VCM」)は、読み取り-書き込みヘッドを移動させて、対応する磁気記録ディスクの一部分にアクセスして読み取り及び書き込み動作を行うために、HDDに採用されるアクチュエータのタイプである。VCMは、それら自体の持続的磁場を永久磁石に依存する。そのような場は、典型的には、磁石表面において最も強力であり、そこからの距離とともに減少し、したがって、磁束密度も同様に磁石からの距離とともに減少する。追加的に、永久磁石のコストは、典型的には、磁石の対応するグレード及び磁石が作製される材料に比例しており、より高いグレードがより強力な磁石を示す。希土類磁石は、希土類元素の合金から作製された強力な永久磁石であり、例えば、典型的には、ネオジム磁石及びサマリウムコバルト磁石である。歴史的に、希土類磁石は、磁石が作製される永久磁石の中でも最も強力なタイプであり、他のタイプよりもはるかに強力な磁場を生成するため、HDDのVCMに実装されてきた。希土類材料に関しては、それらが、典型的には、トリウムなどの放射性物質を含有し得る鉱石から抽出され、必要とされる希土類を抽出するには、典型的には、かなりの量のアンモニア、塩酸、及び硫酸のような発癌性化合物を使用するので、価格的な問題に加えて、環境的な問題が存在する。上述の内容を考慮すると、HDDのVCMに使用するための希土類磁気材料の代替物が望ましくあり得る。
【0004】
本セクションに説明される手法は、追求し得る手法であるが、必ずしも以前に考案又は追求された手法ではない。したがって、別段の指示がない限り、本セクションに説明される手法のいずれも、それらが本セクションに含まれることによって単に先行技術として適格であると仮定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
実施形態は、添付図面の図において、限定としてではなく、例として例解されており、同様の参照番号は類似の要素を指す。
図1】実施形態によるハードディスクドライブ(HDD)を例解する平面図である。
図2A】実施形態によるボイスコイルモータ用の複合磁石アセンブリを例解する斜視図である。
図2B】実施形態による図2Aの複合磁石アセンブリを例解する側面図である。
図3A】実施形態によるボイスコイルモータ(VCM)用の単一スキン複合磁石アセンブリを例解する側面図である。
図3B】実施形態によるボイスコイルモータ(VCM)用の二重スキン複合磁石アセンブリを例解する側面図である。
図4】実施形態によるボイスコイルモータを組み立てる方法を例解するフロー図である。
図5】実施形態によるボイスコイルモータを組み立てる方法を例解するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一般に、ハードディスクドライブ(HDD)などに使用するための、低保磁力磁気材料を含む複合磁石アセンブリを有するボイスコイルモータ(VCM)アクチュエータへの手法が説明される。以下の明細書では、解説を目的として、本明細書に説明される本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本明細書に説明される本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかであろう。他の例では、本明細書に説明される本発明の実施形態を不必要に不明瞭にすることを回避するために、周知の構造及びデバイスがブロック図の形態で表される。
【0007】
導入
用語
本明細書における「実施形態」、「一実施形態」などへの言及は、説明されている特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味することが意図される。しかしながら、そのような語句の実例は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0008】
「実質的に」という用語は、大部分又はほぼ構造化された、構成された、寸法決めされたなどの特徴を説明していることが理解されるであろうが、その製造公差などは、実際には、構造、構成、寸法などが、常には又は必ずしも正確に述べられない状況を結果として生じ得る。例えば、「実質的に垂直な」として構造を説明するとすれば、側壁は全ての実用上の目的で垂直であるが、正確に90度ではない場合があるように、その用語にはその明白な意味が割り当てられる。
【0009】
「最適な」、「最適化する」、「最小の」、「最小化する」、「最大の」、「最大化する」などの用語は、それと関連付けられた特定の値を有しない場合があるが、そのような用語が本明細書で使用される場合、当業者であれば、そのような用語が、本開示の全体と一致する有益な方向に、値、パラメータ、メトリックなどに影響を及ぼすことを含むと理解することが意図される。例えば、何かの値を「最小」として説明することは、値が実際に理論上の最小値(例えば、ゼロ)に等しいことを必要としないが、対応する目標が理論上の最小値に向かって有益な方向に値を移動させることになるという点で、実際的な意味で理解されるべきである。
【0010】
コンテキスト
HDDのVCMに使用するための希土類磁気材料の代替物が望ましくあり得ることを想起されたい。特定の希土類材料が低減又は排除された、新しいクラスの磁気材料が市場に進出している。これらの材料は、有意な性能を可能にすることができるが、既存の解決策と比較して、磁気保磁力(H、すなわち、消磁されることなく、外部磁場に耐える強磁気材料の能力の尺度)が相対的に低いことが欠点である。この特性は、典型的なVCM設計の相対的に低いパーミアンス係数(permeance coefficient、P、すなわち、磁束密度Bと磁場強度Hとの比率の尺度)であり、B-H曲線上の磁石の動作点若しくは「動作傾斜」、又は本質的に材料の利用効率に等しい)と併せて、この新しいクラスの磁気材料の実装形態の課題をもたらす。具体的には、低保磁力磁気材料は、相対的に低いPの適用では消磁のリスクを伴い、システムのPは、システム構成要素のジオメトリ、例えば、典型的なHDDのVCMのパンケーキ形状によって大きく左右される。
【0011】
ボイスコイルモータ用の複合磁石アセンブリ
したがって、HDDのVCMに低保磁力磁気材料を実装することに関して確認された1つの課題は、これらの新しい磁気材料の磁気安定性を可能にするために、そのようなVCMのパーミアンス係数をどのように増加させるかということである。実施形態によれば、低保磁力磁石の最も弱い領域は、高保磁力磁石と効果的に置き換えられ、Pのコンテキストでは、磁石の外面が最も弱い領域である。別様に述べると、この手法は、(低保磁力材料の)不安定な領域内の材料を、より安定した高保磁力材料と効果的に置き換える。
【0012】
図2Aは、実施形態によるボイスコイルモータ用の複合磁石アセンブリを例解する斜視図であり、図2Bは、実施形態による図2Aの複合磁石アセンブリを例解する側面図である。アセンブリ200は、空気側、又は設置されたときにコイル(図示せず)に面するコイル側を有する第1のヨーク202a(例えば、鋼板)と、コイルと第1のヨーク202aのコイル側との間に位置決めされており、かつ第1のヨーク202aに面するヨーク側及びヨーク側に対向するコイル側を有する第1の低保磁力永久磁石204aと、第1の低保磁力磁石204aのコイル側に隣接する第1の高保磁力永久磁石205aと、を備える。同様に、アセンブリ200の他方の側は、空気側、又は設置されたときコイルに面するにコイル側を有する第2のヨーク202bと、コイルと第2のヨーク202bのコイル側との間に位置決めされており、かつ第2のヨーク202bに面するヨーク側及びヨーク側に対向するコイル側を有する第2の低保磁力永久磁石204bと、第2の低保磁力磁石204bのコイル側に隣接する第2の高保磁力永久磁石205bと、を備える。永久磁石204a、205a、204b、205bの各々は、境界線のそれぞれの側に北磁極及び隣接する南磁極を有するように磁化された永久磁石を備える。アセンブリ200は、ハードディスクドライブ(図1のHDD100を参照されたい)などで使用するための、ボイスコイルモータ(VCM)の構成要素となるように設計されており、アセンブリ200の2つの側の間に位置決めされたコイル(図3A図3Bのコイル306を参照されたい)を更に備える。したがって、相対的に磁気的に不安定な低保磁力磁石204a、204bの各々の最も弱い領域内の磁気材料体積が、対応する磁気的に安定な高保磁力磁石205a、205bの磁気材料体積と効果的に置き換えられる。ハルバッハアレイの磁石配置との対比に留意すると、ハルバッハアレイは、磁場を増加させるように構成されており、したがって、本明細書に説明される実施形態の意図する目的に反してPを損なう/低める。追加的に、ハルバッハアレイは、具体的には、その場が主磁石の場の配向に対してほぼ垂直に配向された磁気構成要素を必要とするが、ここでは、実施形態によれば、高保磁力磁場及び低保磁力磁場が整列されている。
【0013】
非限定的な例として、低保磁力磁石204a、204bの各々などの「低保磁力磁石」とは、周囲温度で、約10,000エルステッド(10kOe)未満の通常保磁力(HCn)を有する永久磁石を指し、高保磁力磁石205a、205bの各々などの「高保磁力磁石」とは、周囲温度で、約10,000エルステッド(10kOe)を超える通常保磁力(HCn)を有する永久磁石を指す。更に、高保磁力磁石205a、205bの各々の形状、プロファイル、フットプリントは、対応する低保磁力磁石204a、204bを領域によって実質的に覆うことが好ましいが、それぞれの永久磁石の形状は必ずしも同一であるわけではなく、実装形態ごとに異なり得る。例えば、材料コストの削減は、意図する目的に対する好適性を維持しながら、高保磁力磁石が低保磁力磁石よりもわずかにより小さいフットプリント/プロファイルを有する場合に、例えば、高保磁力磁石外周の周りが約1ミリメートル(mm)小さい場合に実現され得る。
【0014】
図3Aは、実施形態によるボイスコイルモータ(VCM)用の単一スキン複合磁石アセンブリを例解する側面図である。アセンブリ300は、単一の高保磁力磁石205a、205bだけを使用して、対応する低保磁力磁石204a、204bの各々の効率及び安定性をカバーし、かつ増強するので、本明細書では概して「単一スキン」磁石アセンブリと称され、それによって、単一スキンアセンブリ300は、アセンブリ200(図2A図2B)と同様に構成され、同様に、アセンブリ200は、図3Aの図によって同等に表される。このように、アセンブリ300は、コイル306に面するコイル側302a-cを有する第1のヨーク302a(例えば、鋼板)と、コイル306と第1のヨーク302aのコイル側302a-cとの間に位置決めされ、かつ第1のヨーク302aに面するヨーク側304a-y及びヨーク側304a-yに対向するコイル側304a-cを有する第1の低保磁力永久磁石304aと、第1の低保磁力磁石304aのコイル側304a-cに隣接する第1の高保磁力永久磁石305aと、を備える。同様に、アセンブリ300の他方の側は、コイル306に面するコイル側302b-cを有する第2のヨーク302b(例えば、鋼板)と、コイル306と第2のヨーク302bのコイル側302b-cとの間に位置決めされ、かつ第2のヨーク302bに面するヨーク側304b-y及びヨーク側304b-yに対向するコイル側304b-cを有する第2の低保磁力永久磁石304bと、第2の低保磁力磁石304bのコイル側304b-cに隣接する第2の高保磁力永久磁石305bと、を備える。実施形態によれば、第1の高保磁力永久磁石305a及び第2の高保磁力永久磁石305bの各々は、希土類元素(非限定的な例として、NdFeBなどのネオジム系合金、又はSmCo若しくはSmFeNなどのサマリウムベースの合金)を含み、第1の低保磁力永久磁石304a及び第2の低保磁力永久磁石304bの各々は、非希土類要素(非限定的な例として、窒化鉄ベースの合金、又は鉄ニッケルベースの合金)を含む。更に、第1の低保磁力永久磁石304a及び第2の低保磁力永久磁石304bの各々は、減量された希土類磁石を含み得、それによって、相対的に少ない量の希土類材料(例えば、Nd)が依然として使用されるが、大部分/殆どが異なる要素と置換され、及び/又は他の希土類元素が排除されて他の要素と置き換えられる。そのようなタイプの低保磁力永久磁石はまだ開発中であるので、前述の永久磁石組成物は、非限定的な例として提示されていることに留意されたい。
【0015】
したがって、実施形態によれば、第1の低保磁力永久磁石304aは、第1のヨーク302aのコイル側302a-cに接合され(又は接着され、又は取り付けられ、又は別様に結合され)、第2の低保磁力永久磁石304bは、第2のヨーク302bのコイル側302b-cに接合される(又は接着される、又は取り付けられる、又は別様に結合される)。続けて、実施形態によれば、第1の高保磁力永久磁石305aは、同様に、第1の低保磁力磁石304aのコイル側304a-cに接合され、第2の高保磁力永久磁石305bは、同様に、第2の低保磁力磁石304bのコイル側304b-cに接合される。
【0016】
アセンブリ300の単一スキンの実施形態によれば、低保磁力永久磁石304a、304bの各々の空気側(コイル側304a-c、304b-cとも称される)のPは、スチール側(ヨーク側304a-y、304b-yとも称される)のPよりも低く、これは、磁気回路の固有の特徴である。高保磁力永久磁石305a、305bを次第に厚くした(同時に、磁石の総厚さを維持しながら、それに応じて低保磁力永久磁石304a、304bを次第に薄くした)設計のある時点で、低保磁力永久磁石304a、304bの各々の空気側は、もはや限界点ではなくなる(すなわち、空気側表面のPが、ヨーク側表面のPよりも大きくなる)。むしろ、システムは、この時点で、安定性の目的から、低保磁力永久磁石304a/305a/高保磁力永久磁石304b/305bの界面においてではなく、低保磁力永久磁石304a、304bの各々及び対応する鋼板(ヨーク302a、302bとも称される)の界面よって制限されることになる。したがって、この設計点では(非限定的な例として、Pが1.2に近づくことにより)設計限界に到達し、したがって、磁気システムの安定性を向上させ続けるには、二重スキン又は「サンドイッチ」設計が好ましい。
【0017】
図3Bは、実施形態によるボイスコイルモータ(VCM)用の二重スキン複合磁石アセンブリを例解する側面図である。アセンブリ350は、一対の高保磁力磁石355a/357a、355b/357bを使用して、対応する低保磁力磁石354a、354bの各々をサンドイッチして効率及び安定性を更に増強するので、本明細書では概して「二重スキン」磁石アセンブリと称される。このように、アセンブリ350は、コイル356に面するコイル側352a-cを有する第1のヨーク352a(例えば、鋼板)と、コイル356と第1のヨーク352aのコイル側352a-cとの間に位置決めされ、かつ第1のヨーク352aに面するヨーク側354a-y及びヨーク側354a-yに対向するコイル側354a-cを有する第1の低保磁力永久磁石354aと、第1の低保磁力磁石354aのコイル側354a-cに隣接する第1の高保磁力永久磁石355aと、を備える。同様に、アセンブリ350の他方の側は、コイル356に面するコイル側352b-cを有する第2のヨーク352b(例えば、鋼板)と、コイル356と第2のヨーク352bのコイル側352b-cとの間に位置決めされ、かつ第2のヨーク352bに面するヨーク側354b-y及びヨーク側354b-yに対向するコイル側354b-cを有する第2の低保磁力永久磁石354bと、第1の低保磁力磁石354bのコイル側354b-cに隣接する第2の高保磁力永久磁石355bと、を備える。
【0018】
実施形態によれば、アセンブリ350は、第1のヨーク352aのコイル側352a-cに接合され(又は接着され、取り付けられ、又は別様に結合され)、かつ第1の低保磁力永久磁石354aのヨーク側354a-yに隣接する第3の高保磁力永久磁石357aと、第2のヨーク352bのコイル側352b-cに接合され(又は接着され、取り付けられ、又は別様に結合され)、かつ第2の低保磁力永久磁石354bのヨーク側354b-yに隣接する第4の高保磁力永久磁石357bと、を更に備える。したがって、実施形態によれば、第1の低保磁力永久磁石354aは、第3の高保磁力永久磁石357aのコイル側357a-cに接合され、第2の低保磁力永久磁石354bは、第4の高保磁力永久磁石357bのコイル側357b-cに接合されている。続けて、実施形態によれば、第1の高保磁力永久磁石355aは、第1の低保磁力永久磁石354aのコイル側354a-cに接合され、第2の高保磁力永久磁石355bは、第2の低保磁力永久磁石354bのコイル側354b-cに接合されている。
【0019】
図3Aのアセンブリ300によれば、対応する高保磁力永久磁石305a、305b、355a/357a、355b/357bの各々に対する各低保磁力永久磁石304a、304b、354a、354bの相対的厚さに関して、大部分の磁石体積が、それぞれの低保磁力永久磁石304a、304b、354a、354bに残される。非限定的な例として、単一スキン構成の場合の好適な厚さ比は、67~75%の低保磁力永久磁石(コア)に対して、約25~33%の高保磁力永久磁石(スキン)であり得る。二重スキン構成のコンテキストにおける別の非限定的な例として、好適な厚さ比は、低保磁力永久磁石(コア)について最大約50%に対して、高保磁力及び低保磁力永久磁石(各コア及び2つのスキン)の各々について約33%であり得る。この手法は、そうした高保磁力永久磁石の厚さを超えると、あまり有益でないか、又は利益を減少させると考えられる。
【0020】
ボイスコイルモータを組み立てる方法
図4は、実施形態によるボイスコイルモータを組み立てる方法を例解するフロー図である。例えば、図4の方法は、本明細書の他の場所に例解及び説明された複合磁石を有するVCMを組み立てるために採用され得る。すなわち、図4の方法は、複合磁石204a/205a、204b/205b(図2A図2B)及び/又は複合磁石304a/305a、304b/305b(図3A)を有するVCMを組み立てるために採用され得る。
【0021】
ブロック402で、第1の低保磁力永久磁石材料を第1のヨークのコイル側に接合し、第1の低保磁力永久磁石材料は、第1のヨークに面するヨーク側と、ヨーク側に対向するコイル側と、を有する。例えば、第1の低保磁力永久磁石204a(図2A図2B)、304a(図3A)の材料が、第1のヨーク202a(図2A図2B)、302a(図3A)のコイル側(図2A図2B)302a-c(図3A)に接合され、第1の低保磁力永久磁石材料204a、304aは、第1のヨーク202a、302aに面するヨーク側(図2A図2B)、304a-y(図3A)と、ヨーク側304a-yに対向するコイル側(図2A図2B)304a-c(図3A)と、を有する。
【0022】
ブロック404で、第1の高保磁力永久磁石材料を第1の低保磁力磁石材料のコイル側に接合する。例えば、第1の高保磁力永久磁石205a(図2A図2B)、305a(図3A)の材料が、第1の低保磁力磁石204a、304aのコイル側304a-cに接合される。
【0023】
ブロック406で、第1の低保磁力永久磁石材料及び第1の高保磁力永久磁石材料を磁化させて、第1の低保磁力永久磁石及び第1の高保磁力永久磁石を形成する。例えば、第1の低保磁力永久磁石204a、304aの材料及び第1の高保磁力永久磁石205a、305aの材料が、第1のヨーク202a、302aに接合されるときに適切に磁化されて、第1の低保磁力永久磁石204a、304a及び第1の高保磁力永久205a、305aを形成する。
【0024】
同様に、ブロック402~406を実行して、VCMの対向する磁石-ヨーク部分のための同様の半アセンブリを組み立てて、別の同様の半アセンブリと一緒に組み立ててVCMの頂部-底部対を形成することができる。
【0025】
図5は、実施形態によるボイスコイルモータを組み立てる方法を例解するフロー図である。例えば、図5の方法は、本明細書の他の場所で例解及び説明された複合磁石を有するVCMを組み立てるために採用され得る。すなわち、図5の方法は、複合磁石357a/354a/355a、357b/354b/355b(図3B)を有するVCMを組み立てるために採用され得る。
【0026】
ブロック502で、第1の高保磁力永久磁石材料を第1のヨークのコイル側に接合し、第1の高保磁力永久磁石材料は、第1のヨークに面するヨーク側と、ヨーク側に対向するコイル側と、を有する。例えば、第1の高保磁力永久磁石357a(図3B)の材料が、第1のヨーク352a(図3B)のコイル側352a-c(図3B)に接合される。
【0027】
ブロック504で、第1の低保磁力永久磁石材料を第1の高保磁力永久磁石材料のコイル側に接合し、第1の低保磁力永久磁石材料は、第1のヨークに面するヨーク側と、ヨーク側に対向するコイル側と、を有する。例えば、第1の低保磁力永久磁石354a(図3B)の材料が、第1の高保磁力永久磁石357aの材料に接合される。
【0028】
ブロック506で、第2の高保磁力永久磁石材料を第1の低保磁力磁石材料のコイル側に接合する。例えば、第2の高保磁力永久磁石355a(図3B)の材料が、第1の低保磁力永久磁石354aの材料に接合される。
【0029】
ブロック508で、第1の低保磁力永久磁石材料及び第1及び第2の高保磁力永久磁石材料を磁化させて、第1の低保磁力永久磁石、第1の高保磁力永久磁石、及び第2の高保磁力永久磁石を形成する。例えば、第1の低保磁力永久磁石354aの材料及び第1及び第2の高保磁力永久磁石355a、357aの材料は、第1のヨーク352aに接合されるときに適切に磁化されて、第1の低保磁力永久磁石354a及び第1及び第2の高保磁力永久磁石355a、357aを形成する。
【0030】
同様に、ブロック502~508を実行して、VCMの対向する磁石-ヨーク部分のための同様の半アセンブリを組み立てて、別の同様の半アセンブリと一緒に組み立ててVCMの頂部-底部対を形成することができる。
【0031】
前述の手法によって、相対的に磁気的に不安定な低保磁力磁石の各々の最も弱い領域における磁気材料体積が、対応する磁気的に安定な高保磁力磁石の磁気材料体積と効果的に置き換えられる。これは、これらのより新しい磁気材料の磁気安定性を可能にすることによって、好適なパーミアンス係数を維持しながら、コスト及び/又は環境節減に関連するHDDのVCMにおける低保磁力(例えば、非希土類又は低希土類)磁気材料を実装することを可能にする。
【0032】
例解的な動作コンテキストの物理的説明
実施形態は、ハードディスクドライブ(HDD)などのデジタルデータ記憶デバイス(digital data storage device、DSD)のコンテキストで使用され得る。したがって、実施形態によれば、従来のHDD100を例解する平面図は、従来のHDDが典型的にどのように動作するかを説明することを支援するために図1に示されている。
【0033】
図1は、磁気読み取り-書き込みヘッド110aを含むスライダ110bを含むHDD100の構成要素の機能的配置を例解する。まとめて、スライダ110b及びヘッド110aは、ヘッドスライダと称され得る。HDD100は、ヘッドスライダを含む少なくとも1つのヘッドジンバルアセンブリ(head gimbal assembly、HGA)110と、典型的にはフレクシャを介してヘッドスライダに取り付けられたリードサスペンション110cと、リードサスペンション110cに取り付けられたロードビーム110dと、を含む。HDD100はまた、スピンドル124上に回転可能に取り付けられた少なくとも1つの記録媒体120と、媒体120を回転させるためにスピンドル124に装着された駆動モータ(不可視)と、を含む。トランスデューサとも称され得る読み取り-書き込みヘッド110aは、HDD100の媒体120に記憶された情報をそれぞれ書き込み及び読み取るための書き込み要素及び読み取り要素を含む。媒体120又は複数のディスク媒体は、ディスククランプ128でスピンドル124に固定され得る。
【0034】
HDD100は、HGA110に取り付けられたアーム132と、キャリッジ134と、キャリッジ134に取り付けられたボイスコイル140を含む電機子136及びボイスコイル磁石(図示せず)を含むステータ144を含むボイスコイルモータ(VCM)と、を更に含む。VCMの電機子136は、キャリッジ134に取り付けられており、アーム132及びHGA110を移動させ、媒体120の部分にアクセスするように構成されており、全てまとめて、介在するピボット軸受アセンブリ152で枢動シャフト148上に装着されている。複数のディスクを有するHDDの場合、キャリッジ134は、キャリッジに櫛の外観を与える連動したアームアレイを搬送するようにキャリッジが配置されているため、「Eブロック」又は櫛と称され得る。
【0035】
ヘッドスライダが結合されたフレクシャと、フレクシャが結合されたアクチュエータアーム(例えば、アーム132)及び/又はロードビームと、アクチュエータアームが結合されたアクチュエータ(例えば、VCM)と、を含む、ヘッドジンバルアセンブリ(例えば、HGA110)を備えるアセンブリは、ヘッドスタックアセンブリ(head-stack assembly、HSA)と総称され得る。しかしながら、HSAは、説明されたものよりも多い又は少ない構成要素を含み得る。例えば、HSAは、電気相互接続部品を更に含むアセンブリを指し得る。一般に、HSAは、読み取り動作及び書き込み動作のために、ヘッドスライダを媒体120の部分にアクセスするように移動させるように構成されたアセンブリである。
【0036】
図1を更に参照すると、ヘッド110aへの書き込み信号及びヘッド110aからの読み取り信号を含む電気信号(例えば、VCMのボイスコイル140への電流)は、可撓性ケーブルアセンブリ(flexible cable assembly、FCA)156(又は「フレックスケーブル」、又は「フレキシブルプリント回路」(flexible printed circuit、FPC))によって送信される。フレックスケーブル156とヘッド110aとの間の相互接続は、読み取り信号用のオンボード前置増幅器、並びに他の読み取りチャネル及び書き込みチャネル電子部品を有し得る、アーム電子機器(arm-electronics、AE)モジュール160を含み得る。AEモジュール160は、図示のようにキャリッジ134に取り付けられ得る。フレックスケーブル156は、いくつかの構成では、HDD筐体168によって提供された電気フィードスルーを通して電気通信を提供する電気コネクタブロック164に結合され得る。HDD筐体168(又は「エンクロージャベース」又は「ベースプレート」又は単に「ベース」又は「モータベースアセンブリ」)は、HDDカバーとともに、HDD100の情報記憶構成要素のための半封止された(又は、いくつかの構成では気密封止された)保護エンクロージャを提供する。
【0037】
デジタル信号プロセッサ(digital-signal processor、DSP)を含むディスクコントローラ及びサーボ電子機器を含む他の電子部品は、駆動モータ、VCMのボイスコイル140及びHGA110のヘッド110aに、電気信号を提供する。駆動モータに提供される電気信号は、駆動モータがスピンドル124にトルクを提供しながら回転することを可能にし、次いでトルクはスピンドル124に添設された媒体120に伝達される。その結果、媒体120は、方向172に回転する。回転媒体120は、スライダ110bが、情報が記録された薄い磁気記録層と接触することなく媒体120の表面の上方に浮上するように、スライダ110bの空気軸受表面(ABS)が乗る空気軸受として作用する空気のクッションを形成する。同様に、非限定的な例としてのヘリウムなどの空気より軽いガスが利用されるHDDにおいて、回転する媒体120は、スライダ110bがその上に乗るガス又は流体軸受として作用する、ガスのクッションを生成する。
【0038】
VCMのボイスコイル140に提供される電気信号は、HGA110のヘッド110aが、情報が記録されるトラック176にアクセスすることを可能にする。こうして、弧180を通るVCMスイングの電機子136は、HGA110のヘッド110aが媒体120上の様々なトラックにアクセスすることを可能にする。情報は、セクタ184などの媒体120上のセクタに配置された複数の半径方向に入れ子になったトラック内の媒体120上に記憶される。それに対応して、各トラックは、セクタ化されたトラック部分188などの複数のセクタ化されたトラック部分(又は「トラックセクタ」)から構成されている。各セクタ化されたトラック部分188は、記録された情報と、エラー訂正符号情報、及びトラック176を識別する情報であるABCDサーボバースト信号パターンなどのサーボバースト信号パターンを含むヘッダと、を含み得る。トラック176にアクセスする際、HGA110のヘッド110aの読み取り要素はサーボバースト信号パターンを読み取り、サーボバースト信号パターンは、サーボ電子機器に位置誤差信号(position-error-signal、PES)を提供し、サーボ電子機器は、VCMのボイスコイル140に提供される電気信号を制御することによって、ヘッド110aがトラック176に追従することを可能にする。トラック176を見つけ、特定のセクタ化されたトラック部分188を識別すると、ヘッド110aは、トラック176から情報を読み取るか、又は、外部エージェント、例えば、コンピュータシステムのマイクロプロセッサからディスクコントローラによって受信された命令に応じて、トラック176に情報を書き込む。
【0039】
HDDの電子アーキテクチャは、ハードディスクコントローラ(「hard disk controller、HDC」)、インターフェースコントローラ、アーム電子モジュール、データチャネル、モータドライバ、サーボプロセッサ、バッファメモリなどの、HDDの動作のための自体のそれぞれの機能を実行するための、多数の電子部品を含む。そのような部品のうちの2つ以上は、「チップ上のシステム」(「system on a chip、SOC」)と称される単一の集積回路基板上で組み合わされ得る。そのような電子部品の、全てではないがいくつかは、典型的には、HDD筐体168などのHDDの底部側に結合されたプリント基板上に配置される。
【0040】
図1を参照して例解及び説明されたHDD100などの、本明細書におけるハードディスクドライブへの言及は、「ハイブリッドドライブ」と称されることがある情報記憶デバイスを包含し得る。ハイブリッドドライブとは、一般に、電気的に消去可能かつプログラム可能であるフラッシュ又は他のソリッドステート(例えば、集積回路)メモリなどの不揮発性メモリを使用するソリッドステートデバイス(solid-state storage device、SSD)と組み合わされた従来のHDD(例えば、HDD100を参照されたい)の、両方の機能を有する記憶デバイスを指す。異なるタイプの記憶媒体の動作、管理、及び制御は、典型的には異なるため、ハイブリッドドライブのソリッドステート部分は、それ自体の対応するコントローラ機能を含み得、コントローラ機能は、HDD機能とともに単一のコントローラに統合され得る。ハイブリッドドライブは、非限定的な例として、頻繁にアクセスされるデータを記憶する、I/O集約データなどを記憶するなどのために、ソリッドステートメモリをキャッシュメモリとして使用するなどによって、ソリッドステート部分をいくつかの方式で動作させて利用するように設計及び構成され得る。更に、ハイブリッドドライブは、ホスト接続のための1つ又は複数のインターフェースのいずれかで、単一のエンクロージャの2つの記憶デバイス、すなわち従来のHDD及びSSDとして本質的に設計及び構成され得る。
【0041】
拡張物及び代替物
前述の説明において、本発明の実施形態は、実装形態ごとに変わり得る多数の具体的な詳細を参照して説明されてきた。したがって、実施形態のより広い趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができる。したがって、本発明であり、本出願人らが本発明であることを意図するものの唯一及び排他的な指示物は、本出願に由来する特許請求の範囲のセットであり、そのような特許請求の範囲が由来し、任意の後続の補正を含む、具体的な形態をなす。そのような特許請求の範囲に包含される用語について本明細書に明示的に記載される定義は、特許請求の範囲で使用されるような用語の意味を支配するものとする。それゆえ、特許請求項に明示的に記載されていない限定、要素、特性、特徴、利点又は属性は、決してそのような特許請求項の範囲を限定すべきでない。これにより、本明細書及び図面は、制限的な意味ではなく、例解的とみなされるものである。
【0042】
加えて、本明細書では、特定のプロセス工程が特定の順序で記載され得、アルファベット及び英数字符号を使用して、特定の工程を識別し得る。本明細書において具体的に述べられない限り、実施形態は、そのような工程を実施する任意の特定の順序に必ずしも限定されない。具体的には、符号は単に工程の簡便な識別に使用され、そのような工程を実施する特定の順序を指定又は必要とすることは意図されていない。
以下、本明細書で開示する技術の特徴を列挙する。
(項目1)
ボイスコイルモータ(VCM)であって、
コイルと、
前記コイルに面するコイル側を有する第1のヨークと、
前記コイルと前記第1のヨークの前記コイル側との間に位置決めされており、かつ前記第1のヨークに面するヨーク側及び前記ヨーク側に対向するコイル側を有する第1の低保磁力永久磁石と、
前記第1の低保磁力磁石の前記コイル側に隣接する第1の高保磁力永久磁石と、
前記コイルに面するコイル側を有する第2のヨークと、
前記コイルと前記第2のヨークの前記コイル側との間に位置決めされており、かつ前記第2のヨークに面するヨーク側及び前記ヨーク側に対向するコイル側を有する第2の低保磁力永久磁石と、
前記第2の低保磁力磁石の前記コイル側に隣接する第2の高保磁力永久磁石と、を備える、ボイスコイルモータ(VCM)。
(項目2)
前記第1の低保磁力永久磁石が、前記第1のヨークの前記コイル側に接合され、前記第2の低保磁力永久磁石が、前記第2のヨークの前記コイル側に接合されている、項目1に記載のVCM。
(項目3)
前記第1の高保磁力永久磁石が、前記第1の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合され、前記第2の高保磁力永久磁石が、前記第2の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合されている、項目2に記載のVCM。
(項目4)
前記第1のヨークの前記コイル側に接合され、かつ前記第1の低保磁力永久磁石の前記ヨーク側に隣接する第3の高保磁力永久磁石と、
前記第2のヨークの前記コイル側に接合され、かつ前記第2の低保磁力永久磁石の前記ヨーク側に隣接する第4の高保磁力永久磁石と、を更に備える、項目1に記載のVCM。
(項目5)
前記第1の低保磁力永久磁石が、前記第3の高保磁力永久磁石のコイル側に接合され、前記第2の低保磁力永久磁石が、前記第4の高保磁力永久磁石のコイル側に接合されている、項目4に記載のVCM。
(項目6)
前記第1の高保磁力永久磁石が、前記第1の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合され、前記第2の高保磁力永久磁石が、前記第2の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合されている、項目5に記載のVCM。
(項目7)
前記第1及び第2の高保磁力永久磁石の各々が、周囲温度で、10キロエルステッド(10kOe)を超える通常保磁力(HCn)を有し、
前記第1及び第2の低保磁力永久磁石の各々が、周囲温度で、10キロエルステッド(10kOe)未満の通常保磁力(HCn)を有する、項目1に記載のVCM。
(項目8)
ハードディスクドライブ(HDD)であって、
スピンドルモータに回転可能に装着された複数のディスク媒体と、
前記複数のディスク媒体のうちの少なくとも1つのディスク媒体との間で読み取り及び書き込みを行うように構成された読み取り-書き込みトランスデューサを各々が収容する複数のヘッドスライダと、
前記複数のヘッドスライダを移動させて前記ディスク媒体の一部分にアクセスするように構成されたボイスコイルモータ(VCM)アセンブリであって、前記VCMアセンブリが、
コイルと、
前記コイルに面するコイル側を有する第1のヨークと、
前記コイルと前記第1のヨークの前記コイル側との間に位置決めされており、かつ前記第1のヨークに面するヨーク側及び前記ヨーク側に対向するコイル側を有する第1の低保磁力永久磁石と、
前記第1の低保磁力磁石の前記コイル側に隣接する第1の高保磁力永久磁石と、
前記コイルに面するコイル側を有する第2のヨークと、
前記コイルと前記第2のヨークの前記コイル側との間に位置決めされており、かつ前記第2のヨークに面するヨーク側及び前記ヨーク側に対向するコイル側を有する第2の低保磁力永久磁石と、
前記第2の低保磁力磁石の前記コイル側に隣接する第2の高保磁力永久磁石と、を備える、VCMアセンブリと、を備える、ハードディスクドライブ(HDD)。
(項目9)
前記第1の低保磁力永久磁石が、前記第1のヨークの前記コイル側に接合され、前記第2の低保磁力永久磁石が、前記第2のヨークの前記コイル側に接合されている、項目8に記載のHDD。
(項目10)
前記第1の高保磁力永久磁石が、前記第1の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合され、前記第2の高保磁力永久磁石が、前記第2の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合されている、項目9に記載のHDD。
(項目11)
前記第1のヨークの前記コイル側に接合され、かつ前記第1の低保磁力永久磁石の前記ヨーク側に隣接する第3の高保磁力永久磁石と、
前記第2のヨークの前記コイル側に接合され、かつ前記第2の低保磁力永久磁石の前記ヨーク側に隣接する第4の高保磁力永久磁石と、を更に備える、項目8に記載のHDD。
(項目12)
前記第1の低保磁力永久磁石が、前記第3の高保磁力永久磁石のコイル側に接合され、前記第2の低保磁力永久磁石が、前記第4の高保磁力永久磁石のコイル側に接合されている、項目11に記載のHDD。
(項目13)
前記第1の高保磁力永久磁石が、前記第1の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合され、前記第2の高保磁力永久磁石が、前記第2の低保磁力永久磁石の前記コイル側に接合されている、項目12に記載のHDD。
(項目14)
前記第1及び第2の高保磁力永久磁石の各々が、周囲温度で、10キロエルステッド(10kOe)を超える通常保磁力(HCn)を有し、
前記第1及び第2の低保磁力永久磁石の各々が、周囲温度で、10キロエルステッド(10kOe)未満の通常保磁力(HCn)を有する、項目8に記載のHDD。
(項目15)
ボイスコイルモータ(VCM)を組み立てる方法であって、前記方法が、
第1の半アセンブリを形成することであって、
第1の低保磁力永久磁石材料を第1のヨークのコイル側に接合することであって、前記第1の低保磁力永久磁石材料が、前記第1のヨークに面するヨーク側と、前記ヨーク側に対向するコイル側と、を有する、接合することと、
第1の高保磁力永久磁石材料を前記第1の低保磁力磁石材料の前記コイル側に接合することと、
前記第1の低保磁力永久磁石材料及び前記第1の高保磁力永久磁石材料を磁化させて、第1の低保磁力永久磁石及び第1の高保磁力永久磁石を形成することと、によって、第1の半アセンブリを形成することを含む、方法。
(項目16)
項目15に記載の方法に従って第2の半アセンブリを形成することと、
前記第1の半アセンブリ及び前記第2の半アセンブリを一緒に組み立てることと、を更に含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
項目16に記載の方法に従って組み立てられたボイスコイルモータ。
(項目18)
ボイスコイルモータ(VCM)を組み立てる方法であって、前記方法が、
第1の半アセンブリを形成することであって、
第1の高保磁力永久磁石材料を第1のヨークのコイル側に接合することであって、前記第1の高保磁力永久磁石材料が、前記第1のヨークに面するヨーク側と、前記ヨーク側に対向するコイル側と、を有する、接合することと、
第1の低保磁力永久磁石材料を前記第1の高保磁力磁石材料の前記コイル側に接合することであって、前記第1の低保磁力永久磁石材料が、前記第1のヨークに面するヨーク側と、前記ヨーク側に対向するコイル側と、を有する、接合することと、
第2の高保磁力永久磁石材料を前記第1の低保磁力磁石材料の前記コイル側に接合することと、
前記第1の高保磁力永久磁石材料、前記第1の低保磁力永久磁石材料、及び前記第2の高保磁力永久磁石材料を磁化させて、第1の高保磁力永久磁石、第1の低保磁力永久磁石、及び第2の高保磁力永久磁石を形成することと、を含む、方法。
(項目19)
項目17に記載の方法に従って第2の半アセンブリを形成することと、
前記第1の半アセンブリ及び前記第2の半アセンブリを一緒に組み立てることと、を更に含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
項目19に記載の方法に従って組み立てられたボイスコイルモータ。
【要約】      (修正有)
【課題】価格的な問題、環境的な問題を考慮した、HDDのVCMに使用するための希土類磁気材料の代替物を提供する。
【解決手段】ボイスコイルモータ(VCM)において、複合磁石アセンブリ200は、コイルと、第1の側のコイルに面するコイル側を有する第1のヨーク202aと、コイルと第1のヨークのコイル側との間に位置決めされており、かつ、第1のヨークに面するヨーク側及びヨーク側に対向するコイル側を有する第1の低保磁力永久磁石204aと、第1の低保磁力磁石のコイル側に隣接する第1の高保磁力永久磁石205aと、を含む。コイルの反対側の第2の側も同じように構成されている。VCMのパーミアンス係数は、低保磁力磁気材料の磁気安定性を可能にし、磁石材料の相対的な厚さが設計によってそのように指示された場合、追加の高保磁力永久磁石が第1、第2のヨークの各々のコイル側に接合し、かつ、低保磁力永久磁石のヨーク側に隣接する。
【選択図】図2A
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5