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特許7629588パワーエレクトロニクスモジュール、そのようなモジュールを有する電気システム、及び対応の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】パワーエレクトロニクスモジュール、そのようなモジュールを有する電気システム、及び対応の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20250206BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023524982
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2021067106
(87)【国際公開番号】W WO2022008244
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】2007367
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】522457531
【氏名又は名称】ヴァレオ、イーオートモーティブ、フランス、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】Valeo eAutomotive France SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン、プイィ
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-100327(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069406(WO,A1)
【文献】特開2018-186276(JP,A)
【文献】特開2007-243109(JP,A)
【文献】特開2007-097296(JP,A)
【文献】特開2002-242923(JP,A)
【文献】特開2017-087423(JP,A)
【文献】特開2020-057740(JP,A)
【文献】特表2009-537071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーエレクトロニクスモジュール(107;601)であって、
少なくとも1つの電子チップ(201);及び
各チップ(201)を少なくとも部分的に封入する電気的絶縁オーバーモールドしたブロック(214)を有し、
それは少なくとも1つの突出部(218、220、602)を含み、当該少なくとも1つの突出部(218、220、602)に対し、各チップ(201)を制御するための電子回路基板(208)を含む構成要素がもたれることができ、前記突出部(218、220、602)は電気的絶縁材料を含み且つ前記ブロック(214)の一面(216a)から延び、
前記突出部(218、220、602)は、前記構成要素の接触面(306)を定める自由端を有する、
パワーエレクトロニクスモジュール(107;601)。
【請求項2】
前記接触面(306)は平面である、請求項1に記載のモジュール(107;601)。
【請求項3】
少なくとも1つの突出部(218、602)は、前記構成要素を決まった位置に固定するように設計される、請求項1又は2に記載のモジュール(107;601)。
【請求項4】
前記構成要素を決まった位置に固定するように設計される前記突出部(218、602)の前記接触面(306)は、ねじ穴(308)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のモジュール(107;601)。
【請求項5】
前記ねじ穴(308)は、タップされているか又は滑らかであり、ねじ山形成又はセルフタッピングねじと相互作用することが意図される請求項に記載のモジュール(107;601)。
【請求項6】
前記突出部(218)の前記接触面(306)は、前記構成要素がこの接触面(306)から離れるように動くことが許容されるように設計される請求項又はに記載のモジュール(107;601)。
【請求項7】
前記構成要素が離れるように動くことを許容するように設計される前記突出部(218、602)の前記接触面(306)は、穴を有さない請求項に記載のモジュール(107;601)。
【請求項8】
前記突出部(218、220、602)は、円錐台及び/又は角錐台の形状を有する請求項1~のいずれか一項に記載のモジュール(107;601)。
【請求項9】
前記突出部(218、220)及び前記ブロック(214)は一体に形成される請求項1~のいずれか一項に記載のモジュール(107)。
【請求項10】
前記突出部(602)及び前記ブロック(214)は、2つの別々の部分において形成される、請求項1~のいずれか一項に記載のモジュール(601)。
【請求項11】
導電体(204c)を備え、前記突出部(602)は、前記導体(204c)に固定される請求項10に記載のモジュール(601)。
【請求項12】
前記導体(204c)は開口(802)を有し、前記突出部(602)は前記開口(802)を介して前記導体(204c)に固定される、請求項11に記載のモジュール(601)。
【請求項13】
前記突出部(602)は、リベット又はリベットヘッディング又はオーバーモールドによって前記導体(204c)に固定される請求項12に記載のモジュール(601)。
【請求項14】
前記ブロック(214)は、前記突出部(602)の基部(806)を封入する、請求項1013のいずれか一項に記載のモジュール(601)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のモジュールと、各突出部(218、220、602)に対してもたれる構成要素とを有する電気システム(100)。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載のモジュール(107;601)を製造するための方法(500)であって、以下のステップ:
前記1つ又は複数のチップ(201)を取得すること(502);
例えばトランスファー成形によって又は圧縮成形によって、前記チップ(201)を覆って前記ブロック(214)をオーバーモールドすること(504);及び
前記構成要素がもたれかかれる各突出部(218、220、602)を製造すること、
を有する方法(500)。
【請求項17】
前記オーバーモールドステップ(504)は、前記ブロック(214)に対応する主成形キャビティと、1つ又は複数の突出部(218、220)にそれぞれ対応する少なくとも1つの副成形キャビティを有するモールドを使用することによって、実行され、前記少なくとも1つの成形キャビティは前記主成形キャビティと連通し、それによって各突出部(218、220)及び前記ブロック(214)が一体となる、請求項16に記載の方法(500)。
【請求項18】
各突出部(602)の前記製造は前記オーバーモールドステップ(504)とは別であり、それによって前記1つ又は複数の突出部(602)及び前記ブロック(214)が別々の部分である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項15に記載の電気システム(100)を製造するための方法(500)であって、以下のステップ:
請求項1618のいずれか一項に記載のモジュール(107;601)を製造すること;
工作機械を使用して、前記構成要素が各突出部(218、220、602)にもたれるまで、前記ブロック(214)の前記面(216a)に向けて前記構成要素を移動せること(508);
前記工作機械を使用して、前記移動に対する反応の増加を検知すること(512);及び
前記工作機械を使用して、前記構成要素の前記移動を停止させること(514)、
を有する方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーエレクトロニクスモジュールに、そのようなモジュールを有する電気システムに、及び対応する製造方法に関する。その発明は、特に自動車分野に適用可能である。
【発明の概要】
【0002】
数多くの産業用途において、回転電気機械などの電気システムの動作を管理するための電気信号を制御するために、電子チップを有するパワーエレクトロニクスモジュールが実用化されている。
【0003】
チップを保護するために、それらをプラスチックケーシングの底に配置し、ケーシングに流し込まれた電気絶縁性ゲルにそれらを埋め込むことが知られている。そして、ケーシングの側壁に、固定オリフィスが設けられるパッドを設けることが可能である。そして回路基板がこれらのパッドを支持し、ねじによってそこに固定可能である。
【0004】
そのようなソリューションは、特にケーシングの使用に起因して、大きな欠点がある。
【0005】
代替として、チップを包み込む剛性の高いブロックを形成し、例えばエポキシ樹脂で作られるオーバーモールドによって、チップは保護可能である。この場合、回路基板を固定するためのねじの通過を可能にするように、オーバーモールドされたブロックに金属インサートを設けることができる。インサートは、例えば、チップと同時にオーバーモールドされ、オーバーモールドされたブロックのうちの回路基板に向いた面と同一平面にある。
【0006】
このソリューションにおいて、回路基板はオーバーモールドブロックの面に接触して位置づけられ、インサートにねじ込まれたねじによって固定される。また、インサートの存在は余分なコストを構成する。しかしながら、これらのインサートは、ねじ込みによってオーバーモールドされたブロックに亀裂が入ってチップの保護が損なわれる事態を避けるために不可欠である。
【0007】
このように、チップを封入するオーバーモールドされたブロックから離して回路基板(又は他の任意の所望部品)を配置することを可能にする単純なソリューションはない。
【0008】
したがって、前述の問題及び制約の少なくとも一部を緩和することを可能にするパワーエレクトロニクスモジュールを提供することが望まれうる。
【0009】
そこで、提案されるものは、
- 少なくとも1つの電子チップ;及び
- 各チップを少なくとも部分的に封入する電気絶縁性のオーバーモールドされたブロック;
を有するパワーエレクトロニクスモジュールであり、
各チップを制御するための電子回路基板などの部品がもたれることが可能な少なくとも1つの突出部を備え、その突出部は電気絶縁材料を含み且つブロックの一方の面から延びる。
【0010】
したがって、1つ又は複数の突出部によって、プラスチックケーシングを必要とせずに、部品をブロックから離しておくことが可能である。さらに、これらの突出部の1つ又は複数が使用されて、金属インサートを必要とせず、ねじ止めによって部品を固定しうる。これは、ねじがブロックに届かないように突出部の材料でねじ止めができ、後者にダメージを与えるリスクが非常に小さいからである。
【0011】
オプションとして、突出部は、部品の接触面を定める自由端を有する。
【0012】
またオプションとして、接触面は平面である。
【0013】
またオプションとして、少なくとも1つの突出部は、決まった位置に部品を固定するようにデザインされる。
【0014】
またオプションとして、決まった位置に部品を固定するようにデザインされる突出部の接触面は、ねじ穴を有する。
【0015】
またオプションとして、ねじ穴はタップ付きや平滑であり、ねじ形成又はセルフタッピングねじと相互作用することが意図される。
【0016】
またオプションとして、突出部の接触面は、部品がこの接触面から離れるように動くことを許容するように設計される。
【0017】
またオプションとして、部品が離れるように動くことを許容するように設計された突出部の接触面は、穴を持たない。
【0018】
またオプションとして、突出部は円錐の錐体及び/又は角錐の形態を有する。
【0019】
またオプションとして、突出部とブロックは一体的に作られる。
【0020】
またオプションとして、突出部とブロックは2つの別部分に形成される。
【0021】
またオプションとして、それは導体を備え、突出部は導体に固定される。
【0022】
またオプションとして、導体は開口を有し、突出部は開口を介して導体に固定される。
【0023】
またオプションとして、突出部は、リベット(riveting)又はリベットヘッディング(rivet-heading)又はオーバーモールド(overmolding)を行うことによって、導体に固定される。
【0024】
またオプションとして、ブロックは突出部の基部を封入する。
【0025】
また提案されるものは、発明によるモジュールと、各突出部にもたれる構成要素とを有する電気システムである。
【0026】
また提案されるものは、発明によるモジュールを製造するための方法であって、以下のステップを有する方法である:
- 1つ又は複数のチップを取得すること;
- チップを覆うブロックを、例えばトランスファー成形(transfer molding)によって又は圧縮成形によって、オーバーモールドすること;及び
- 部品がもたれることが可能な各突出部を作ること。
【0027】
オプションとして、オーバーモールドステップは、ブロックに対応する主成形キャビティと、1又は複数の突出部にそれぞれ対応する少なくとも1つの副成形キャビティとを有するモールドを使用して行われ、この副キャビティは、各突出部及びブロックが一体であるように主キャビティと連通する。
【0028】
またオプションとして、各突出部の製造は、1つ又は複数の突出部とブロックとが別々の部分であるように、オーバーモールドステップとは別のものである。
【0029】
また提案されるものは、発明による電気システムを製造する方法であって、以下のステップを有する方法である:
- 発明によるモジュールを製造すること;
- 工作機械を使って、部品を、部品が各突出部にもたれるまでブロックの面に向かって移動させること
- 工作機械を使用して、その移動に対する反応の増大を検知すること、及び
- 工作機械を使用して部品の動きを止めること。
【図面の簡単な説明】
【0030】
発明は、添付図面を参照して例としてのみ提供される以下の説明からよりよく理解され、当該添付図面において:
図1図1は、発明を実施する例示的な電気システムの回路図である。
図2図2は、図1のシステムのパワーエレクトロニクスモジュールの断面図である。
図3図3は、図2のパワーエレクトロニクスモジュールの第1の例を示す斜視図である。
図4図4は、透明によってモジュールの残りの部分を見ることができるように示された電子回路基板が装備される図3のモジュールを示す。
図5図5は、図2図4のモジュールを有する電気システムを製造するための方法のステップを示すブロック図である。
図6図6は、発明によるパワーエレクトロニクスモジュールの他の例を部分的斜視図で示す。
図7図7は、モジュールのオーバーモールドブロックが取り除かれた図6を示す。
図8図8は、図6及び図7のモジュールの断面における図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明を実施する例示的な電気システム100について、図1を参照して説明する。電気システム100は、例えば、動力車両(図示せず)に実装されることが想定される。
【0032】
電気システム100は、まず、正極と負極とを有する直流電圧源102を備え、後者は一般に動力車両のシャーシなどの電気的なグランドに接続される。直流電圧源102は、Eと表記される入力電圧を供給するように設けられている。
【0033】
電気システム100は、さらに、ステータ相を有する回転電気機械104を有する。説明した例において、回転電気機械104は、動力車両の内燃機関(図示せず)につながれるスタータオルタネータの一部を構成している。このように回転電気機械104は、それが内燃機関をアシストするモータモードと、それが内燃機関により生み出される機械的エネルギーの一部を電気エネルギーに変換して直流電圧源102を再充電するオルタネータモードとで交互に動作するように設計されている。
【0034】
電気システム100はさらに電圧変換器106を備え、当該電圧変換器106は、一方では直流電圧源102の端子に接続され、他方では回転電気機械104に接続される。
【0035】
電圧変換器106は、ステータ相にそれぞれ関連するスイッチングアームを有する。各切替アームは、直流電圧源102の正極に接続されるハイサイドスイッチと、直流電圧源102の負極に接続されるローサイドスイッチとを有する。さらに、ハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチは、関連するステータ相に接続されるセンタータップで、互いに接続されている。
【0036】
各スイッチングアームは、2つの構成間で切り替えるように制御されることが意図される。ハイサイド構成と呼ばれる第1の構成において、ハイサイドスイッチが閉じられ、ローサイドスイッチが開かれ、入力電圧Eが、関連するステータ相に適用されるようになっている。ローサイド構成と呼ばれる第2の構成において、ハイサイドスイッチが開かれ、ローサイドスイッチが閉じられ、関連するステータ相にゼロ電圧が適用されるようになっている。
【0037】
電気システムはさらに、スイッチングアームをそれぞれ実装するパワーエレクトロニクスモジュール107を有する。
【0038】
電気システム100は、さらに、これら2つの構成の間で各アームを切り替えるように、モジュール107を制御するための制御装置108を有する。説明した例において、電圧変換器106は、回転電気機械104に電気エネルギーを供給するようにインバータモードで、後者がモータモードで動作することが望まれる場合に、制御される。さらに、電圧変換器106は、回転電気機械104がオルタネータモードで動作することが望まれる場合に、直流電圧源102に電気エネルギーを供給する(例えばそれを再充電する)ように整流モードで制御される。
【0039】
スイッチは、例えば、トランジスタを有する半導体スイッチである。スイッチは、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(すなわちMOSFETs)又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(すなわちIGBTs)である。
【0040】
以下の説明において、各種要素には、垂直方向V、縦方向L及び横方向Tを有する任意の直交座標系に従った空間座標系が付与される。
【0041】
図2を参照して、モジュール107のうちの1つをより詳細に説明するが、他のモジュールは同様である。
【0042】
モジュール107は、まず、説明される例において、電圧変換器106のスイッチングアームの半導体スイッチの1つを各々が含む1つ又は複数の電子チップ201を有する。説明される例において、各チップ201は、1つが上側且つ1つが下側の2つの対向する電気接続面と、制御端子とを有する。
【0043】
モジュール107は、さらに、チップ201が搭載される基板202を備える。説明される例において、基板202は、各々が1つ以上のチップ201支持する2つの部分に作られる。
【0044】
基板202は、有利には、例えば、複数のチップ201を互いに電気的に接続するための及び/又はチップ201を以下に説明されるような電気導体に電気的に接続するための電気トラックを含む金属ストリップ又はプレート又はプリント回路基板などの電子基板である。例えば、基板202は、その面の1つ又は2つに銅がコーティングされたセラミックコアを有する。それは、例えば、ダイレクトボンド銅基板、すなわちDBC基板である。代替案として、基板202は、誘電体層で覆われたアルミニウムプレートなどの金属プレートを有していてもよく、それはそれ自身が銅層によって覆われる。
【0045】
特に、各チップ201の下面は、基板202に、例えばその電気トラックの少なくとも1つに、電気的に及び/又は機械的に結合されている。好ましくは、各電子チップの下面は、好ましくはろう付けによって、基板202に機械的に及び電気的に同時に結合される。
【0046】
また、モジュール107は導電体204a~cを含み、当該導電体204a~cは様々な電位に設定されることが意図される。それらは、説明される例においてスイッチングアームを実装するために、所望の回路に応じてチップ201に電気的に接続される。導体204a~cは、チップ201の少なくとも一部に又はチップ201の少なくとも一部から電気信号を送るように構成される。
【0047】
導体204a~cは、有利には、実質的に平面的なリードフレームを有する。これらのフレームは、例えば金属を含む。それらは、直線的に延び及び/又は形作られ、及び必要に応じて、所望のトポグラフィーに応じた面内での曲げ部及び/又は変化部を有する。
【0048】
導体204a~cは、導体204a~cを電圧変換器106の残りの部分に、例えばモジュール107を直流電圧源102に及び回転電気機械104に接続するバスバーに、電気的に又は機械的に取り付けるための接続端204’a~cを有する。
【0049】
説明される例において、導体204a~cは2つの導体204a、204b及び導体204cを有し、当該2つの導体204a、204bのそれぞれの接続端204’a、204’bが直流電圧源102の正極及び負極にそれぞれ接続され、当該導体204cの接続端204’cが回転電気機械104の相のうちのそれぞれの1つに接続される。
【0050】
有利には、各接続端204’a-cは、(図3及び4で見える)貫通開口307を含み、それは、例えばねじ込みによる、貫通開口307を介した容易な結合を可能にするためである。代替案として、その結合はろう付けによってなされうる。
【0051】
説明される例において、各チップ201の上面は、例えばこの導体204a~cのボス206において、導電体204a~cのうちの1つに電気的及び/又は機械的に結合される。好ましくは、チップ201の上面は、好ましくはろう付けによって、導体204a~cに機械的及び電気的に同時に結合される。
【0052】
モジュールを制御装置108の電子回路基板208(図4で見える)に取り付けるために、モジュール107はさらに、それぞれチップ201及び/又は基板202及び/又は導体204を電気的に接続するための垂直ピン210を有する。これらのピン210は、回路基板208に接続するためのそれぞれの接続端210’を有する。例えば、これらの接続端210’は、回路基板208の対応する開口に挿入され、圧入によって、さもなければ溶接によって、後者に固定される。
【0053】
電気システム100は、さらに好ましくは、モジュール107が搭載される支持体212を有する。この支持体212は、例えば金属プレートを有し、モジュール107によって発せられる熱の放散を促進するように特に設計がなされている。説明される例において、支持体212は、3つのモジュール107に共通している。
【0054】
モジュール107はさらにオーバーモールドブロック214を有し、当該オーバーモールドブロック214は、電気絶縁性であり、剛性が高く、各チップ201を少なくとも部分的に封入する。好ましくは、ブロック214は、モジュール107の1つ又は複数のチップ201を完全に封入する。ブロック214は、例えば、エポキシ樹脂を含む。それは、例えば、トランスファーモールド技術(transfer molding technique)や圧縮成形技術によって製造される。
【0055】
例えば、1つ以上のチップ201は、そこからその封入を生成するようにブロック213に埋め込まれたベアチップである。ブロック214は、以下に説明されるように、有利には、モジュール107の他の構成要素を封入する。
【0056】
このケースにおいてモジュール107の各々のブロック214は、それぞれ上面及び下面である2つの実質的に平行な対向する大きな面216a、216bを持つ実質的に平行六面体形状を有する。これらの大きな面216a、216bは、例えば、実質的に長方形である。
【0057】
好ましくは、ブロック214は、チップ201だけでなく、基板202の少なくとも一部、導体114の少なくとも一部及び/又はピン210の少なくとも一部も封入する。ブロック214の剛性により、封入要素を機械的にまとめておくことが可能であり、それらの封入を実現するようになっている。
【0058】
より具体的には、このケースにおいて、ブロック214は、その下面を除いて基板202を封入し、それは支持体212と接触するように自由な状態にされる。また、ブロック214は、導体204a-cを、それらの接続端204’a-cを除いて、封入し、ピン210を、それらの接続端210’を除いて、封入する。
【0059】
モジュール107は、さらに、電気絶縁材料を含み且つブロック214の一面から延びる突出部218、220を備える。
【0060】
ブロック214及び突出部218、220について、図3及び図4を参照しながらより詳細に説明する。
【0061】
面216a、216bは、縦面302a、302b及び横面310a、310bを有する小さいサイド部によってつながれる。ブロック214は、実質的に平坦であり、すなわち、面216a、216bの幅及び長さは、それらを分離する垂直距離よりもはるかに大きい。
【0062】
説明される例において、導体204a~cの接続端204’a~cは、その横面310a、310bによってブロック214を越えて横方向に突出する。端子210の接続端210’は、その縦面302a、302bによってブロック214を越えて横方向に突出する。
【0063】
説明される例において、突出部218、220は、ブロック214の上面216aから垂直上方に延びる。なお、説明される例において、それらは基板202と垂直に並んで配置されている。これらの突出部218、220は、大きな上面6aから測定して、例えば、3mm~5cmの高さを有する。
【0064】
突出部218、220は、このケースにおいて、回路基板208を受けるように設計されており、これはそれを支持し且つそれを回路基板208に面するブロック214の面216aからある距離に保つためである。
【0065】
突出部218、220は各々、例えば、接触面306を定める上方自由端を有し、それは特に平面であり、当該平面に対してもたれかかるように回路基板208が設計される。このように各接触面306は、回路基板208の軸受面又は端停止部を形成する。
【0066】
しかしながら、突出部218はまた、回路基板222を固定することを可能にする機能を有する。そのために、それらは接触面306内に導入する垂直ねじ穴308を有する。そのため、それは突出部218の垂直軸に沿った向きになっている。このねじ穴308は、有利には、ねじ402をねじ込むための穴を形成するようにタップされ、又は滑らかで、ねじ山形成ねじ又はセルフタッピングねじと相互作用することが意図されている。前記ねじは、例えば、回路基板208に対応して配置されたオリフィス404を通過する。
【0067】
説明される例において、ブロック214の上面216aのコーナーに配置される4つの固定突出部218が設けられている。
【0068】
これに対し、突出部220は、回路基板208を固定する機能を持たず、回路基板208のための軸受面又は端停止部を提供する機能のみを有する。それは、以下、「ベアリング突出部」として言及される。したがって、ベアリング突出部220は、回路基板208を保持せず、すなわち、それは、回路基板208をブロック214の上面216aから離して上方に移動させることを可能とするものである。例えば、ベアリング突出部220の接触面306は、穴を有さない。
【0069】
ベアリング突出部220は、例えば、上面216aの実質的に中央部に位置し、好ましくは、固定突出部218から等距離に配置される。
【0070】
各突出部218、220(及び特にベアリング突出部220)は、回路基板208の振動を減衰させるように構成されることができる。また、減衰目的のために設けられる各突出部の位置は、回路基板208の構成に依存してもよい。一般に、減衰目的のために設けられる各突出部は、回路基板208の振動波腹(vibration antinode)に配置される。
【0071】
さらに振動を制限するために、回路基板208の反対側に、停止部が、減衰目的のために設けられる各突出部に面して設けられることも可能である。
【0072】
一般に、モジュール107は、突出部218のような少なくとも1つの固定突出部、及び/又は、突出部220のような少なくとも1つのベアリング突出部を備える。
【0073】
好ましくは、固定突出部218及び/又はベアリング突出部220は、実質的に同じ高さを有する。
【0074】
各突出部は、特に円錐の錐体の形状を有してもよい。これは、例えば、固定突出部218に関する場合である。代替として、各突出部は、角錐台の形状を、特に正方形基部を有する角錐台の形状を、有しうる。これは、例えば、ベアリング突出部220に関する場合である。
【0075】
変形例において、モジュール107は、1つ又は複数の固定突出部を備えるのみとしうる。別の変形例において、モジュール107は、1つ又は複数のベアリング突出部を備えるのみとしうる。
【0076】
一実施形態によれば、少なくとも1つの接触面306は、回路基板208の下面と直接接触している。変形例において、この接触面306と回路基板208との間に充填材を介在させ、それによって回路基板208が充填材を介して接触面306にもたれかかるようになっている。この充填材は、有利には熱伝導性であり、これは回路基板208からブロック214に熱が循環することを可能にするためであり、これは後者によって支持される電子部品(図示せず)及び/又は回路基板208を冷却するためである。例えば、充填材は、1~5Wm-1-1の熱伝導率を有する。
【0077】
図2図4の実施形態によれば、各突出部218、220は、ブロック214と一体に形成されている。したがって、ブロック214と1つ又は複数の突出部218、220は一体に形成されている。これは、特に、ブロック214に対応する主成形キャビティと、1つ又は複数の突出部にそれぞれ対応する少なくとも1つの副成形キャビティとを有するモールドを提供することによって、なされてもよい。このため、各突出部218、220は、例えば、ブロック214のようにエポキシ樹脂で作られる。
【0078】
モジュール107、支持体212及び回路基板208を有する電気システムを製造するための例示的な方法500が、図5を参照して説明される。
【0079】
ステップ502の間に、チップ201、基板202、導体204a~c及びピン210のアセンブリが得られる。
【0080】
ステップ504の間、得られたアセンブリは、ブロック214に対応する主成形キャビティを有するモールドと、主キャビティと連通する突出部218、220に対応する形状部とを使用してオーバーモールドされる。このように、単一部分が成形によって得られ、この部分はブロック214と突出部218、220とを有する。好ましくは、トランスファー成形技術、さもなければ圧縮成形技術が使用される。ステップ504は、このように、モジュール107の1つを提供する。他のモジュール107を得るように、ステップ502、504が繰り返される。
【0081】
ステップ506の間、モジュール107は、支持体212に対して適合されて、それに固定される。
【0082】
ステップ508の間、工作機械が使用されて、回路基板208をモジュール107の上面216aに向かって降ろす。この下降動作の間、ピン210は回路基板208の対応する開口406内に挿入される(これらの開口は図4で見ることができる)。ピン210は、例えば、圧入され、それによってそれらの接続端210’が開口406よりも大きな直径を有する。したがって、これらの接続端210’は、それらが挿入されている場合に半径方向に圧縮され、これは、工作機械の側でかなりの挿入力を必要とする。
【0083】
ステップ510の間、回路基板208は突出部218、220と接触し、これは一方では、工作機械が回路基板208を下げすぎることを回避することによって、回路基板208とモジュール107との間の垂直距離を制御することを可能にする。他方で、この接触は、回路基板208の移動に対する反応の増加をもたらし、これは移動を停止する信号として使用されることができる。
【0084】
したがって、ステップ512の間、工作機械は、移動に対する反応の増加を検知し、それによって、回路基板208を取り付けるための下降移動ができる限り行われたことを示す。
【0085】
移動に対する反応の増加を検知することに応答して、工作機械は、ステップ514の間、回路基板208の移動を停止させる。そのため、回路基板208が取り付けられる場合に大き過ぎる力が掛かることを回避することが可能である。この意味で回路基板208を取り付けるのに役立つ工作機械は、有利には、回路基板208の他の側に、1つ又は複数のベアリング突出部220と面するように意図された停止部を含む。
【0086】
発明による別の例示的なモジュール601について説明する。
【0087】
図6から図8を参照すると、このモジュール601は、それはブロック214の異なる部分である参照番号602で示される少なくとも1つの突出部を有することを除いて、先行する図のモジュール107と同様である。
【0088】
説明される例において、1つ又は複数の突出部602は、それらのベアリング及び固定機能の保持をもって固定突出部218に取って代わる。しかしながら、この変形例は、ベアリング突出部220にも同様に適用することができる。
【0089】
図7及び図8からより具体的に明らかなように、突出部602は、好ましくは、モジュール107の導体204a~cのうちの1つに固定される。説明される例において、それは導体204cの平面部702に配置されている。もちろん、突出部602は、他の導体204a、204bのうちの1つに固定されうる。突出部602は、平面部702の上面704から、基板12に面する下面706に対向するように延びる。この例における突出部602は、基板202のエッジ708及び/又は導体204a~cの接続端204’a~cの1つの近くに配置されている。
【0090】
図8を参照すると、決まった位置に突出部602を固定するために、導体204a-cは、有利には、開口802を有し、当該開口802を通じて、固定要素804によって、特にホットリベットヘッディング又はリベットによって、突出部602が決まった位置に固定される。このようにして、突出部602の下面は、導体204cの平面部702の上面704に対してもたれることが維持され、固定要素804は、開口802を通過することによって、反対の下面706に対してもたれる。決まった位置における固定の他のいかなる方法が、もちろん可能である。
【0091】
突出部602は、導体204cの最初のオーバーモールドによって、図に示されたその形態で直接的に又はその図示された形態を与えるために固定要素804のその後のリベットヘッディング又はリベットとともに、作られてもよい。そしてブロック214は、例えば、この最初のオーバーモールドの後に、且つ適切な場合にはリベット又はリベットヘッディング工程の後に、作られる。
【0092】
ブロック214は、突出部602の基部806を封入する。すなわち、ブロック214は、基部806上にオーバーモールドされている。例えば、ブロック214は、導体204cの平面部702の上面704から、十分の数ミリメートルの、例えば0.2~1.5ミリメートルの、高さに渡って突出部602を封入する。突出部602が傾斜した側壁を有し、これにより、ブロック214がそれらを垂直に覆うことが可能であり、したがって決まった位置での突出部602の固定を改善することが可能であることが理解される。
【0093】
突出部602とブロック214のために2つの別々の部分を使用する利点は、突出部602とブロック214との間にクラックが伝播することを避けることである。
【0094】
突出部602は、ブロック214と同じ材料、特にエポキシ樹脂、で作られてもよい。
【0095】
変形例において、異なる材料が使用される。これは、特に、より標準的なねじのために意図されるねじ山を作るのに及び/又は振動減衰に適した材料を使用することができるという利点を有する。
【0096】
また、発明は、上述した実施形態に限定されるものではないことに留意されるべきである。実際、当業者には、ちょうどそれらの人に開示されている教示に照らし、上述した実施形態に様々な変更がなされることができることは明らかである。
【0097】
特に、突出部218、220、602は、フラストコニカル(frustoconical)の形状又は角錐台以外の、様々な形状を有しうる。さらにそれらは様々な高さを有しうる。
【0098】
さらに、各チップは、半導体スイッチとは異なるタイプの構成要素を有しうるものであり、例えば:電気抵抗器及び/又は容量性構成要素などの受動電子構成要素、及び/又はパワーエレクトロニクスモジュールがパワーエレクトロニクス信号をフォーマットできるようにするために1つ以上の論理機能を実行するための半導体チップを有しうる。
【0099】
さらに、突出部218、220、602は、回路基板208のような電子回路基板以外の任意の構成要素と、特にモジュールを固定するためのフレームワークと、相互作用するように設計されてもよい。このように、突出部218、220、602により、追加の部品を使用する必要なく、任意の構成要素(回路基板208又は他の任意の構成要素)がブロック214の面216aから距離をおいて配置される。
【0100】
さらに、そのシステムは、エアコンプレッサーにおいて使用されうる。したがって、回転電気機械104は、特にモータのための給気の流れを生むために、空気圧縮要素を駆動するために提供されうる。
【0101】
上記の発明の詳細な説明において、使用される用語は、発明を本明細書に開示された実施形態に限定するものとして理解されてはいけなく、すべての同等物を含むものとして理解されねばならず、それの予測は、当業者がそれらの人の一般知識をちょうどそれらの人に開示された教示の実施に対して適用する範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8