(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】機能性組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/125 20160101AFI20250206BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20250206BHJP
A23L 5/20 20160101ALI20250206BHJP
【FI】
A23L33/125
A23L33/105
A23L5/20
(21)【出願番号】P 2024128105
(22)【出願日】2024-08-02
【審査請求日】2024-08-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500158410
【氏名又は名称】雪国アグリ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】秋元 英梨
(72)【発明者】
【氏名】室井 文篤
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-199462(JP,A)
【文献】特開2004-254646(JP,A)
【文献】特開2011-132187(JP,A)
【文献】特開2016-067290(JP,A)
【文献】特開平11-169104(JP,A)
【文献】米国特許第04484012(US,A)
【文献】製品名D(+)-マンノース,安全データシート,版 2.02,富士フイルム和光純薬株式会社,2023年02月09日,[検索日2024.09.13], インターネット:URL<https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/product/detail/W01W0113-0087.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/40- 5/49
A23L 31/00- 33/29
C12P 1/00- 41/00
C07H 1/00- 99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
こんにゃく粉由来のマンノース及び/またはマンノオリゴ糖を含有
し、二酸化硫黄の含有量が乾燥重量あたり0.03g/kg以下である
こんにゃく粉の酵素分解物。
【請求項2】
グルコマンナンの酵素分解処理が完了した後に、105℃以上で加熱処理することを特徴とする請求項1に記載の
こんにゃく粉の酵素分解物の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の
こんにゃく粉の酵素分解物を含む、飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンノース及び/またはマンノオリゴ糖を含む機能性組成物に関するものであり、さらに詳しくは二酸化硫黄の含有量が0.03g/kg以下である機能性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
こんにゃく粉は、こんにゃく芋を洗浄、スライス、火力乾燥により荒粉を製造し、機械式もしくは杵臼式により精粉を製造する。乾燥には火力乾燥を使用し、その燃料として重油を用いているため、精粉を始めとして荒粉、飛粉などの中には硫黄分が残留する。そのため、食品衛生法においては特別にこんにゃく粉は、0.9g/kgまで二酸化硫黄が残留しても問題ないことが規定されている。また、一般食品における二酸化硫黄の許容残留量は、0.03g/kg以下となっている(非特許文献1)。精粉からこんにゃく製品を製造する際には、3%程度の精粉を配合して製造するため、精粉中に0.9g/kgの二酸化硫黄が残留した場合でも最終的にこんにゃく製品が製造される際には、0.03g/kgの規格値を下回り、安全上問題とならないように精粉における残留二酸化硫黄濃度は規定されている。
【0003】
しかしながら、精粉をこんにゃく製品の加工に使用する場合には問題にならなくとも、精粉などをそのまま製品とするような場合には、一般食品の規格基準である0.03g/kg以下にしなければ食品として流通させることが難しいという問題があった。
【0004】
一方、マンノースやマンノオリゴ糖は、尿路感染症予防(特許文献1)、抗がん作用(非特許文献2)、皮下脂肪及び内臓脂肪低減剤(特許文献2)などの多くの機能性があり、近年注目を浴びている糖類となっている。そこで、マンノースやマンノオリゴ糖を製造する方法について開示されている。例えば、酢酸やギ酸を用いてマンノースやマンノオリゴ糖を製造する方法(特許文献3)、こんにゃく芋精粉にヘミセルラーゼを添加して、マンノースを製造する方法(特許文献4)など多くの製造方法が提示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】日本食品衛生学会編、食品・食品添加物等規格基準(抄)
【文献】P. S. Gonzalez, et al., Mannose impairs tumour growth and enhances chemotherapy.NATURE 563,719-723 (2018)
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-219469号公報
【文献】特許4488852号公報
【文献】特許5960381号公報
【文献】特開2011-254753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、こんにゃく芋から加工されるこんにゃく粉(グルコマンナン)を原料としてマンノース及び/またはマンノオリゴ糖を製造するに際し、加工された組成物中の二酸化硫黄の含有量を低く抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、原料となるこんにゃく芋由来のグルコマンナンを分解した後に、できた組成物を105℃以上で熱処理することにより組成物中の二酸化硫黄が低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の(1)~(3)を要旨とするものである。
(1)こんにゃく粉由来のマンノース及び/またはマンノオリゴ糖を含有し、二酸化硫黄の含有量が乾燥重量あたり0.03g/kg以下であるこんにゃく粉の酵素分解物。
(2)グルコマンナンの酵素分解処理が完了した後に、105℃以上で加熱処理することを特徴とする(1)に記載のこんにゃく粉の酵素分解物の製造方法。
(3)(1)に記載のこんにゃく粉の酵素分解物を含む、飲食品。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マンノース及び/またはマンノオリゴ糖を含む機能性組成物中の二酸化硫黄の含有量を簡便に0.03g/kg以下にすることができ、食品衛生法上の基準を満たした食品組成物を提供することが可能となり、安全上も問題のない組成物とすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のこんにゃく粉とは、こんにゃく芋から火力乾燥を用いて製造した加工品であればその形態についてはどんなものでも構わない。一般的には、こんにゃく芋の加工品である荒粉、精粉、飛粉などグルコマンナンを含む粉を用いることが好ましい。これらこんにゃく粉そのままを用いても良いし、さらに精製したこんにゃく粉を用いても良い。また、それらの混合物を用いても良い。さらに精製したものとは、アルコールもしくは含水アルコールを用いて不純物を除去したこんにゃく粉や、焙煎などをして臭いを除去精製したこんにゃく粉などグルコマンナンの純度を向上させたものであれば特に限定されない。
【0012】
マンノースは、グルコース(ブドウ糖)の2位エピマーとなる単糖であり、マンノオリゴ糖は、少なくとも1分子以上のマンノースを構成糖に含むオリゴ糖のことである。マンノースを構成糖に含む単糖が2~20分子結合したものであり、好ましくはマンノースを構成糖に含む単糖が2~10分子結合したものである。もちろん、マンノースだけでなくグルコースがオリゴ糖中に結合していても良いし、分岐鎖があっても良い。
【0013】
こんにゃく粉由来のマンノース及び/またはマンノオリゴ糖とは、こんにゃく粉を原料としてマンノース及び/またはマンノオリゴ糖を製造したものであれば特にその製造方法は問わない。こんにゃく粉に含まれるグルコマンナンを分解してマンノース及び/またはマンノオリゴ糖を製造する方法は、特に限定されないが、酸を用いて分解するか、酵素を用いて分解する方法が好ましい。酸を用いて加水分解する際に用いる酸は特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、リン酸、フマル酸、クエン酸等を用いて、反応温度80℃~200℃の間で10分から24時間の間で、適時選択すれば良い。酵素を用いて分解する場合には、グルコマンナンからマンノース及び/またはマンノオリゴ糖を遊離する活性を有する酵素であれば特に限定されないが、例えば、マンナナーゼ、ガラクトマンナナーゼ、グルコマンナナーゼ、マンノシダーゼ、α-キシロシダーゼ、キシログルカナーゼ、アラビナナーゼ、β-キシロシダーゼ、キシラナーゼ、α-アラビノフラノシダーゼ、セルラーゼ等の酵素が好ましい。中でも、マンナナーゼ、グルコマンナナーゼ、マンノシダーゼまたはガラクトマンナナーゼ等のマンナン分解酵素が好ましい。そのような市販のマンナン分解酵素としては、マンナナーゼBGM「アマノ」10(天野エンザイム株式会社)、セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社)、スミチームACH(新日本化学工業株式会社)、スミチームAC(新日本化学工業株式会社)、セルロシンTP25(エイチビィアイ株式会社)等が挙げられる。
【0014】
上記酵素の反応温度としては、酵素が失活しない条件下で行うのが望ましいが、例えば30℃~75℃であり、45℃~70℃が好ましく、50℃~65℃がさらに好ましい。酵素反応時のpHとしては、酵素に応じた至適pHを選択すれば良いが、例えばpHは2~9が好ましく、pH2.5~8がより好ましく、pH3~6がいっそう好ましい。酵素反応時間は、使用する酵素の量などにも依存するが、例えば、1時間~3日間の間で最適な条件を適時選択すれば良い。
【0015】
本発明の機能性組成物中の二酸化硫黄(亜硫酸、亜硫酸塩類)は乾燥重量に換算して、0.03g/kg以下であることが必要である。機能性組成物が液体等の場合には、その水分量等から乾燥重量当たりに換算する必要がある。0.03g/kg以上の場合には、食品衛生法の基準により食品として流通させることができないため好ましくない。二酸化硫黄の含有量を0.03g/kg以下にするためには、グルコマンナンの分解処理が完了した後に、105℃以上、好ましくは110℃以上150℃以下、さらに好ましくは120℃以上140℃以下で加熱することにより二酸化硫黄を低減することが可能である。加熱時間は、5分~24時間、好ましくは10分~2時間、さらに好ましくは10分~30分で加熱すれば良い。
【0016】
本発明の機能性組成物は、反応終了後に必要に応じて精製を行い、マンノース及び/またはマンノオリゴ糖の含有率をさらに高めることが可能である。精製法としては、骨炭、活性炭、炭酸飽充法、吸着樹脂、マグネシア製剤などで脱色を行い、イオン交換樹脂、イオン交換膜、電気透析等で脱塩、脱酸を行うなど、公知の方法により行うことができる。精製法の組み合わせおよび精製条件としては、反応液中の色素、塩、および酸等の量およびその他の要因に応じて適宜選択すれば良い。
【0017】
本発明における機能性組成物の形態としては、特に限定されないが、当該マンノース及び/またはマンノオリゴ糖を含む溶液、結晶化法やスプレードライ法、凍結乾燥法などの方法により乾燥された粉末状または顆粒状、粉末状または顆粒状とされた組成物を打錠成形した錠剤状などが挙げられる。
【0018】
本発明の機能性組成物は、飲食品、経口摂取用医薬品に配合すると、例えば、喫食しやすい飲食品、服用しやすい経口摂取用医薬品を得ることができる。
【0019】
上記飲食品としては特に制限されないが、柑橘果汁や野菜果汁などを含む果実飲料または野菜ジュース、コーラやジンジャーエールまたはサイダーなどの炭酸飲料、スポーツドリンクなどの清涼飲料水、コーヒー、紅茶や抹茶などの茶系飲料、ココアや乳酸菌飲料などの乳飲料などの飲料一般;ヨーグルト、ゼリー、プディング及びムースなどのデザート類;ケーキや饅頭などといった洋菓子及び和菓子を含む焼き菓子や蒸し菓子などの製菓;果実フレーバーソースやチョコレートソースを含むソース類;チューイングガム、ハードキャンディー、ヌガーキャンディー、ゼリービーンズなどの菓子類を挙げることができる。
【0020】
上記経口摂取用医薬品の形状としては、特に限定されず、錠剤、顆粒剤、カプセル剤などの固形製剤、溶液剤、懸濁剤などの液体製剤などが挙げられる。
【実施例】
【0021】
以下に、実施例を掲げて更に具体的に本発明の方法を説明するが、本発明の技術的範囲は以下の例に制限されるものではない。
【0022】
<マンノース、β-1,4-マンノビオースの分析>
(1)標準物質
マンノース(SERVA社製 商品名「D-Mannose research grade」)、β-1,4-マンノビオース(メガザイム社製)
(2) 分析方法(以下2法から適時選択)
(A)高速液体クロマトグラフィー法1
分析用カラム:アミネックスHPX-87H(バイオラッド社製)
カラム温度:50℃、移動相:0.005M硫酸、流速:0.6mL/min、検出:示差屈折計
(B)高速液体クロマトグラフィー法2
分析用カラム:アミネックスHPX-87P(バイオラッド社製)
カラム温度:50℃、移動相:水、流速:0.6mL/min、検出:示差屈折計
【0023】
<二酸化硫黄の分析>
亜硫酸定量装置AR-10(宮本理研工業社製)を用いて、アルカリ滴定法で二酸化硫黄を分析する。50mLコニカルチューブに0.3%過酸化水素溶液10mLを入れ、メチルレッド・メチレンブルー試液3滴を加える。次に、0.01mol/L水酸化ナトリウム溶液0.01mLを加え装置に取り付けた。100mL丸底フラスコに試料を精密に量って加え、ミリQ水20mL、エタノール2mL、シリコーン樹脂2滴、25%リン酸10mLを加え装置に取り付けた。窒素ガスを0.55L/分の速度で通気しながら、ミクロガスバーナーの炎の高さは5cmとし丸底フラスコを10分間加熱後に、コニカルチューブを取り外し、試験溶液とした。可変式連続分注器8100(ニチリョー製)を用いて0.01mol/L水酸化ナトリウム溶液で液が緑色になるのを終点として滴定し、次式によって試料中の二酸化硫黄含量(g/kg)を計算した。
二酸化硫黄含量(g/kg)=(試験溶液の滴定量(mL)-空試験溶液の滴定量(mL))×0.01mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクター×0.32×(1/試料の採取量(g))
【実施例1】
【0024】
マンナナーゼBGM「アマノ」10(天野エンザイム株式会社製)を0.01質量%濃度で水に溶解し、この酵素液0.25mLと水10.25mLをこんにゃく粉(雪国アグリ株式会社製こんにゃく粉)1gに添加し、58℃で48時間酵素処理を行った後、105℃で30分間の熱処理を行った。この反応物をロータリーエバポレーターで水を完全に留去した。この粘稠な機能性組成物中のマンノース濃度は、378.12g/kgであり、二酸化硫黄濃度は、0.01g/kgであった。
【実施例2】
【0025】
セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製)を0.01質量%濃度で水に溶解し、この酵素液0.25mLと水10.25mLをこんにゃく粉(雪国アグリ株式会社製こんにゃく粉)1gに添加し、58℃で48時間酵素処理を行った後、121℃で15分間の熱処理を行った。この反応物をロータリーエバポレーターで水を完全に留去した。この粘稠な機能性組成物中のマンノース濃度は、407.73g/kgであり、二酸化硫黄濃度は、0.001g/kgであった。
【実施例3】
【0026】
スミチームACH(新日本化学工業株式会社製)を0.05質量%濃度で水に溶解し、この酵素液0.25mLと水10.25mLをこんにゃく粉(雪国アグリ株式会社製こんにゃく粉)1gに添加し、60℃で48時間酵素処理を行った後、121℃で20分間の熱処理を行った。この反応物をロータリーエバポレーターで水を完全に留去した。この粘稠な機能性組成物中のβ-1,4-マンノビオース濃度は、150.67g/kgであり、二酸化硫黄濃度は、0.002g/kgであった。
【実施例4】
【0027】
こんにゃく粉(雪国アグリ株式会社製こんにゃく粉)1gに硫酸濃度が60容量%になるように硫酸(試薬特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)10.5mLを添加し、100℃で2時間加水分解した。次に、水酸化ナトリウム水溶液(試薬特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)で中和した。その後、121℃で10分間の熱処理を行った。この反応物を凍結乾燥して水を完全に留去した。この白い機能性組成物中のマンノース濃度は、130.45g/kgであり、β-1,4-マンノビオース濃度は、34.89g/kgであり、二酸化硫黄濃度は、0.001g/kgであった。
[比較例1]
【0028】
マンナナーゼBGM「アマノ」10(天野エンザイム株式会社製)を0.01質量%濃度で水に溶解し、この酵素液0.25mLと水10.25mLをこんにゃく粉(雪国アグリ株式会社製こんにゃく粉)1gに添加し、58℃で48時間酵素処理を行った後、100℃で30分間の熱処理を行った。この反応物をロータリーエバポレーターで水を完全に留去した。この粘稠な組成物中のマンノース濃度は、368.72g/kgであり、二酸化硫黄濃度は、0.17g/kgであった。
[比較例2]
【0029】
セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製)を0.01質量%濃度で水に溶解し、この酵素液0.25mLと水10.25mLをこんにゃく粉(雪国アグリ株式会社製こんにゃく粉)1gに添加し、58℃で48時間酵素処理を行った後、100℃で15分間の熱処理を行った。この反応物をロータリーエバポレーターで水を完全に留去した。この粘稠な組成物中のマンノース濃度は、409.63g/kgであり、二酸化硫黄濃度は、0.35g/kgであった。
[比較例3]
【0030】
スミチームACH(新日本化学工業株式会社製)を0.05質量%濃度で水に溶解し、この酵素液0.25mLと水10.25mLをこんにゃく粉(雪国アグリ株式会社製こんにゃく粉)1gに添加し、60℃で48時間酵素処理を行った後、100℃で20分間の熱処理を行った。この反応物をロータリーエバポレーターで水を完全に留去した。この粘稠な組成物中のβ-1,4-マンノビオース濃度は、160.13g/kgであり、二酸化硫黄濃度は、0.15g/kgであった。
[比較例4]
【0031】
こんにゃく粉(雪国アグリ株式会社製こんにゃく粉)1gに硫酸濃度が60容量%になるように硫酸(試薬特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)10.5mLを添加し、100℃で2時間加水分解した。次に、水酸化ナトリウム(試薬特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)で中和した。その後、100℃で10分間の熱処理を行った。この反応物を凍結乾燥して水を完全に留去した。この白い組成物中のマンノース濃度は、135.28g/kgであり、β-1,4-マンノビオース濃度は、38.93g/kgであり、二酸化硫黄濃度は、0.09g/kgであった。
【0032】
以上の実施例から明らかなように、105℃以上で加熱処理することで、機能性組成物中の二酸化硫黄濃度を0.03g/kg以下にすることが可能であった。それに対して、比較例における100℃での加熱処理では0.03g/kg以下にはならず、食品衛生法上の基準において問題となるレベルであった。
【要約】
【課題】本発明は、マンノース及び/またはマンノオリゴ糖を含む組成物において、二酸化硫黄が低減された機能性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】原料となるこんにゃく芋由来のこんにゃく粉を分解した後に、できたマンノース及び/またはマンノオリゴ糖を含む組成物を、105℃以上で加熱処理することにより機能性組成物中の二酸化硫黄濃度が低減できる。二酸化硫黄(亜硫酸)が低減された機能性組成物は、法規上問題なく、飲食品として流通させることが可能となる。
【選択図】なし