(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】降雪センサ及び融雪装置
(51)【国際特許分類】
G01W 1/00 20060101AFI20250206BHJP
E01H 5/00 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
G01W1/00 J
E01H5/00 Z
(21)【出願番号】P 2021130807
(22)【出願日】2021-08-10
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】坂野 聖治
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-305392(JP,A)
【文献】特開2006-064581(JP,A)
【文献】特開2012-120950(JP,A)
【文献】特開2006-107941(JP,A)
【文献】特開平10-010240(JP,A)
【文献】国際公開第2012/140743(WO,A1)
【文献】実開平06-028664(JP,U)
【文献】米国特許第05444530(US,A)
【文献】特開2022-20115(JP,A)
【文献】特開2022-47268(JP,A)
【文献】特開2006-64581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00ー1/18
E01H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディーと、光を透過する窓部を有するカバーと、前記カバー内に設けられるセンサ部と、仕切プレートと、を有するケーシングと、
前記カバー内において前記センサ部の下方に設けられる第1のヒータと、
を備え
、
前記仕切プレートは、前記ケーシングの空間を、上側の第1室と、下側の第2室に仕切り、
前記第1室に基板が配され、
前記仕切プレートは、前記基板を保持し、
前記基板は前記第1室を前後に区画し、
前記第1のヒータは前記カバー内の、前記基板によって前後に区画された前記第1室における、前記基板に対して前記センサ部と同じ側の、下部領域または前記窓部の下方に設けられ、
前記センサ部及び前記第1のヒータは前記基板と窓部との間の領域に配置される、
降雪センサ。
【請求項2】
前記カバーの屋根部の内壁には、前記基板の周縁に係合する係合面が形成される、請求項1に記載の降雪センサ。
【請求項3】
前記基板は、前記仕切プレートを貫通して配置される、請求項1に記載の降雪センサ。
【請求項4】
前記センサ部の上方に配される第2のヒータを備え
、
複数の前記ヒータは、並列接続され、
下方に配される前記第1のヒータの出力は、上方に配される前記第2のヒータの出力よりも、大きい、請求項1乃至3のいずれかに記載の降雪センサ。
【請求項5】
前記第1のヒータを複数備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の降雪センサ。
【請求項6】
気温を検出する温度センサを備え、
前記第1のヒータと前記第2のヒータに対して、前記温度センサで検出された気温が所定のヒータ運転第1温度以下に低下した場合、予め設定した第1デューティ割合の時間でスイッチング通電を開始し、気温が前記ヒータ運転第1温度より低く設定したヒータ運転第2温度以下に低下した場合、第1デューティより大きい第2デューティ割合の時間にスイッチング通電を変更し、気温が前記ヒータ運転第1温度より高く設定した基準温度以上に上昇した場合、第1デューティ割合の時間にスイッチング通電を変更し、気温が基準温度より高く設定したヒータ停止温度以上に上昇した場合、スイッチング通電を停止する、制御部を備える、請求項4に記載の降雪センサ。
【請求項7】
請求項
1乃至6のいずれかに記載の降雪センサと、
前記降雪センサに接続される融雪機器と、を備える融雪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降雪情報を検出する降雪センサ及び融雪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪が多く見られる地方では、融雪装置を用いて生活に必要な道路や歩道を雪害から守ることが行われている。こうした融雪装置において、降雪を検出する降雪センサを用いて積雪をもたらす降雪現象が生じた時に自動で融雪装置を運転させる技術が求められている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした機器の制御に用いられる降雪センサには、コスト的に安価、検出精度が高い、検出不能になりにくいといった利点から、温度センサによる気温の検出と、可視光に比べて波長が長く散乱しにくい赤外線を照射して雪片による反射光を受光する光電センサを用いて、一定時間当りの雪片数を検出する構造が用いられている。
【0005】
降雪センサにおいて、電子機器である光電センサが雨や風の影響を受けないように窓部を有する密閉ケーシング内に光電センサを設け、窓部を通じて雪片を検出する構造が用いられている。窓部に着雪が生じて窓部が雪で遮られると、雪片検出ができなくなるため、降雪センサのケーシング内部に保温ヒータを設け、温度センサにより検出された気温が一定温度以下に低下した時点で、保温ヒータに通電し、気温が一定温度以上に上昇した時点で保温ヒータへの通電を停止している。
【0006】
保温ヒータは発熱温度が高いため、直接窓部や窓部周辺のケーシング部分に接触させて取付けると窓部やケーシング部分が熱変形を生じやすい。そのため、保温ヒータを窓部や窓部周辺のケーシング部分に触れさせずにケーシング内に設置することで、保温ヒータでケーシング内部の空間を加熱してヒータ熱を窓部やケーシングへ伝達させ、窓部の着雪を防いでいる。熱の伝導を補助するために、窓部やカバーとヒータとの間に放熱部材を配置することがある。しかしながら、放熱部材をカバー内に設ける構成では、部品点数が増えるため生産性が悪くなるとともに、放熱部材のスペースの分カバーが大きくなる。したがって、着雪面積の増加や、それに伴って保温ヒータ熱量を増加する必要がある等の課題がある。
【0007】
本発明は、高い保温性能を確保できる降雪センサ及び融雪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる降雪センサは、ボディーと、光を透過する窓部を有するカバーと、前記カバー内に設けられるセンサ部と、仕切プレートと、を有するケーシングと、前記カバー内において前記センサ部の下方に設けられる第1のヒータと、を備え、前記仕切プレートは、前記ケーシングの空間を、上側の第1室と、下側の第2室に仕切り、前記第1室に基板が配され、前記仕切プレートは、前記基板を保持し、前記基板は前記第1室を前後に区画し、前記第1のヒータは前記カバー内の、前記基板によって前後に区画された前記第1室における、前記基板に対して前記センサ部と同じ側の、下部領域または前記窓部の下方に設けられ、前記センサ部及び前記第1のヒータは前記基板と窓部との間の領域に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば高い加熱効果を確保できる降雪センサ及び融雪装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる融雪装置の構成を示す説明図。
【
図2】同融雪装置の降雪センサの構成を示す断面図。
【
図6】本発明の他の実施形態にかかる降雪センサの構成を示す断面図。
【
図7】本発明の他の実施形態にかかる降雪センサの構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る融雪装置100及び降雪センサ1について、
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1は第1実施形態に係る融雪装置100の説明図である。
図2は降雪センサ1の内部構成を側方から見た断面図、
図3は降雪センサ1の内部構成を正面側から見た断面図である。
図4は降雪センサ1の内部構成を上から見た断面図である。
図5は降雪センサの回路構成を示す説明図である。
【0012】
図1に示すように、融雪装置100は、降雪センサ1と、融雪機器2と、制御装置3と、を備える。融雪装置100は、例えば道路などの融雪対象場所にある雪を溶かす装置である。
【0013】
降雪センサ1は、ケーシング10と、制御基板11と、第1の温度センサ12と、センサ部としての測距センサ13と、複数のヒータ14A,14Bと、複数のケーブル15a、15bと、第2の温度センサ16と、を備える。降雪センサ1は、例えば屋外に設けられ、対象エリアAsの降雪情報を検出し融雪機器2の運転信号を制御装置3に送る。また、降雪センサ1は、融雪機器2を運転する制御装置3から電源供給を受ける。降雪センサ1はさらに、遠隔操作を行うリモコン4を備えていてもよい。
【0014】
ケーシング10は、ボディ17と、カバー18と、仕切プレート19a、19bと、を備える。
【0015】
ボディ17は上下が開口する円筒状に構成される。ボディ17は下部の開口にアンテナマストが差し込まれ、アンテナマスト上に接続される。ボディ17は、降雪センサ1が設置場所に支持されるための台を構成する。ボディ17の上端に形成される円形の開口17aに第1の仕切プレート19aが配される。また、ボディ17の軸方向中途部には第2の仕切プレート19bが配される。
【0016】
ボディ17において仕切プレート19bが配される位置よりも上側の2箇所に周壁を貫通するケーブル孔17cが形成される。ケーブル孔17cは、接続ケーブル15a、15bが挿入される円形の貫通孔である。
【0017】
カバー18は、例えば合成樹脂材料で形成され、屋根部18aと、フランジ部18bと、を一体に有する。カバー18は下側に開口し、フランジ部18bにボディ17の上端部が挿入され、周縁が水密に接着されることで接合される。
【0018】
屋根部18aは、例えば光透過性の合成樹脂材料で構成され下側に開口する半球のドーム状に構成される。屋根部18aの正面部の中央には矩形の窓部18cを有する。窓部18cは平板状に構成され、測距センサ13の光を透過可能に構成される。窓部18cは光透過性の材料で屋根部18aの周りの部位よりも薄く、例えば1mm程度の厚さに構成されている。屋根部18a外面は上から降った雪が堆積せずに落下しやすい曲面形状を構成する。
【0019】
屋根部18aの内壁には、制御基板の周縁に係合する係合面を形成する突起部18eが形成されている。
【0020】
仕切プレート19a、19bは、例えば合成樹脂材料またはゴム材料で形成され、円形板状の外形を有する。仕切プレート19a,19bはボディ17の軸と直交する面に沿って配される。
図3に示すように、上部の仕切プレート19aは、カバー18とボディ17との接続部分に設けられ、ボディ17の上端の開口17aを覆う。仕切プレート19aは、例えば円形状に構成され、中央部において径方向に延びるとともに制御基板11が貫通するスリットを有する。仕切プレート19aは、ケーシング10内の空間を上側の第1室20aと、下側の第2室20bと、に仕切るとともに、制御基板11を保持し、センサと制御基板11の落下を防止する。すなわち、仕切プレート19aは、屋根部18aとボディ17とによって形成され制御基板11を収容する収容空間の内部を上下方向に仕切り、仕切プレート19aと屋根部18aとによって、測距センサ13と制御基板11の一部が収容される第1室20aが形成される。また、第1室20aは制御基板11によって前後に区画される。
【0021】
仕切プレート19bは、ボディ17の内部空間において軸方向中途部に設けられる。仕切プレート19bは、仕切プレート19aや制御基板11よりも下側に配される。仕切プレート19bは、ボディ17内の空間を、制御基板11を収容する第2室20bと、第2室20bの下側に形成される第3室と20cに仕切る。仕切プレート19bは、ボディ17下端の穴から、雨滴が浸入するのを防止している。
【0022】
制御基板11は回路基板であり、ケーシング10内に立設されている。制御基板11は、カバー18内の空間から、ボディ17内の空間に至って配置される。制御基板11は、ボディ17内に配される矩形の第1ベース部と、カバー18の形状に沿う円弧形の縁を有する第2ベース部とを連続して一体に有するプレート状部材である。第1ベース部と第2ベース部との境界部分には仕切プレート19aの外縁部に係合して支持される切り欠き部が形成される。
【0023】
制御基板11には、記憶部21、センサ制御部25、第1の温度センサ12、第2の温度センサ16等の各種制御機器が搭載されている。
【0024】
記憶部21は、例えばRAM,ROMを備え、各種の設定値や演算式を記憶する。例えば記憶部21は、降雪情報として、測距センサ13から送られた距離や温度センサ12から送られた温度等の情報を記憶する。
【0025】
第1の温度センサ12は例えば温度検出素子を備え、温度情報を検出し、検出した信号をセンサ制御部25に送る。例えば第1の温度センサ12は、ケーブル15bに設けられ、気温を検出する。また、第1の温度センサ12は制御基板11に搭載されていてもよい。
【0026】
第2の温度センサ16は、融雪対象となる場所、例えば道路に配設され、地温を検出する。第2の温度センサ16は例えば温度検出素子とセンサケースと、を備える。第2の温度センサ16は、道路の温度情報を検出し、検出した信号をセンサ制御部25に送る。
【0027】
測距センサ13は、例えば三角測量方式の光電センサである。測距センサ13は、センサケース22と、センサケース22に搭載された投光部23と、受光部24と、を備える。測距センサ13のセンサケース22は、制御基板11上にねじ止めされ、窓部18cに対向する位置に配される。測距センサ13は、制御基板11に設けられるセンサ制御部25に接続される。
【0028】
例えば測距センサ13は、最大1m程度の長距離を含む検出対象エリアに配されるターゲット(対象物)までの距離を測定する。例えば検出対象エリアは、投光部23及び受光部24から前方に拡がる円錐状の照射領域から一定距離以内の領域に設定される。
【0029】
投光部23は、円錐状に不可視光を照射するエミッタを備える。例えば投光部23は、不可視光としてのパルス赤外光を一定時間毎に照射する。不可視光は例えば波長800-1200nm、具体的には波長約940nmの不可視光領域の近赤外線である。
【0030】
受光部24は、ターゲットで反射した反射光を受光する検出素子を備える。例えば受光部24は、アレイ状に配列される複数の検出素子を備える。
【0031】
第1のヒータ14A及び第2のヒータ14Bは、第1室20a内に設けられ、例えば第1室20a内の下部領域に設けられる。例えば第1室20a内において、第1のヒータ14Aは測距センサ13及び窓部18cの下方に配置され、第2のヒータ14Bは、測距センサ13及び窓部18cの上方に配置される。また、ヒータ14A,14Bは制御基板11と窓部18cとの間の領域に設けられる。ヒータ14A,14Bは、電圧印加により発熱する発熱素子を有し、制御基板11に固定されるセンサ制御部25の制御によって運転されて発熱する。ヒータ14A,14Bは、発熱により窓部18cに雪が堆積することを防止する。例えばヒータ14A、14Bとして、同機種のヒータ装置をそれぞれ用いる。また、例えば複数のヒータ14A,14Bは並列接続される。
【0032】
ヒータ14A,14Bは、下方に配される第1のヒータの出力が、上方に配される第2のヒータの出力よりも、大きい。ヒータ14A,14Bは、制御基板11によって前後に区画された第1室20aにおける、前方の空間、すなわち制御基板11に対して測距センサ13と同じ側に、配置される。本実施形態において、ヒータ14A,14Bは、上下に1つずつ配され、下方に設けられる第1のヒータ14Aの出力が、上方に設けられる第2のヒータ14Bの出力よりも、大きく設定される。すなわち、例えば第1のヒータの出力をR2、第2のヒータの出力をR1とすると、R2>R1となる。したがって第1のヒータ14Aの放熱量は第2のヒータ14Bの放熱量よりも大きくなる。
【0033】
接続ケーブル15a,15bは、例えば給電線や信号線を有する。一方の接続ケーブル15aは、ボディ17のケーブル孔17cを通り、一端側が収容部内において制御基板11に接続され、他端側が収容部外に導出されて制御装置3に接続される。他方の接続ケーブル15bは、ケーブル孔17cを通り一端側が収容部内において制御基板11に接続され、他端側が収容部外に導出される、接続ケーブル15bの他端部は第2の温度センサ16に接続あれる。接続ケーブル15a、15bの、ケーブル孔17cに配される端部には外面を覆うパイプ部材15dが設けられている。
【0034】
センサ制御部25は例えばCPUや各種の処理回路、及び変換回路等を備える。センサ制御部25は、受光部24や温度センサ12から送られる情報や予め記憶部21に記憶された各種プログラムに従って、降雪センサ1や融雪機器2の動作を制御する。
【0035】
センサ制御部25は、測距センサ13に接続され、所定の条件で投光部23から赤外光を照射させるとともに、受光部24で検出される信号に基づき、対象エリアに存在するターゲットまでの距離を測定し、測定情報を検出する。
【0036】
例えば、センサ制御部25は、第1の温度センサ12,測距センサ13、及び第2の温度センサ16の検出結果に基づいて降雪情報を検出する。例えば、センサ制御部25は、対象エリアAsにおいてターゲットまでの距離が検出された回数や距離の情報に基づき、雪片数(雪片カウント数)を算出する。一例として、センサ制御部25は、測距センサ13が所定エリア内においてターゲットまでの距離を検出した回数を雪片数としてカウントすることで、雪片数を算出する。センサ制御部25は、温度センサ12、16及び測距センサ13の信号を検出し、温度センサ12,16により検出される温度と、測距センサ13の信号から得られる時間あたりの雪片数情報により、降雪状態を判断して、制御装置3へ運転信号を送出する。
【0037】
そして、センサ制御部25は雪片数や温度情報に基づいて、融雪機器2の運転条件を満たす場合に、融雪機器2を運転させ、あるいは、融雪機器2の停止条件を満たした場合に融雪機器2を停止させる運転信号を制御装置3に送る。例えばセンサ制御部25は対象エリアAsにおいて一定時間当りの雪片数が所定値を超えた場合に、融雪機器2を運転し、対象エリアAsにおいて一定時間当りの雪片数が所定の停止基準数を下回ると、融雪機器2を停止させる信号を、制御装置3の出力基板35に送る。なお、センサ制御部25は、温度センサ12によって検出された気温が停止基準温度T2(例:T1+0.5℃、3.0℃)以上に上昇した時点で、測距センサ13への通電を停止するとともに、制御装置3への運転信号をオフしてもよい。また、センサ制御部25は、温度センサ12、16によって検出される温度に基づいて測距センサ13の駆動制御を行ってもよい。例えば検出温度が一定温度以下である場合に、測距センサ13を作動させ、測距センサ13の投光部23よりパルス赤外光を照射させ、気温が一定値まで上昇したら照射を停止する。
【0038】
また、センサ制御部25は、各種温度センサ12の検出温度に基づいて、ヒータ14A,14Bの駆動制御を行う。例えばセンサ制御部25は温度センサ12からの信号を取得し、温度センサ12からの温度情報に基づいて、ヒータ14の運転条件を満たす場合に、ヒータ14を駆動し、あるいは、ヒータ14の停止条件を満たした場合にヒータ14を停止させる。一例として、温度センサ12により検出された気温が所定のヒータ運転第1温度T3(例:3.0℃)以下に低下した時点で、ヒータ14に通電し、気温が所定のヒータ停止温度T4(例:4.0℃)に上昇した時点で、ヒータ14への通電を停止する。
【0039】
例えばセンサ制御部25は、温度条件に基づいて出力を調整し、例えば複数段階の出力で運転制御してもよい。すなわち、例えば気温が既定のヒータ運転温度T3以下となった場合に、ヒータ14A,14Bに電圧を既定時間、既定の第1出力、例えば50%デューティで、電圧をスイッチング印加し、ヒータ運転温度T3よりも低く設定されたヒータ運転第2温度T5以下となった場合、第1出力よりも大きい第2出力、例えば100%デューティで、電圧を印加する。そして検出温度がヒータ運転第2温度T5以下から所定温度上昇し、ヒータ運転第2温度T5よりも高い基準温度T6以上に上昇した場合に、出力を下げ、例えば既定の第1出力で電圧をスイッチング印加する。一例として、出力を下げる基準温度T6はヒータ停止温度T4より低く、ヒータ運転温度T3,ヒータ運転第2温度T5よりも高い温度とする。さらに、センサ制御部25は、気温が所定温度上昇し、所定のヒータ停止温度T4に上昇した場合、ヒータ14A,14Bへの電圧印加を停止する。
【0040】
図1に示すように、融雪機器2は、例えば融雪対象となる場所、例えば道路上に設けられる。例えば、地下水を揚水して融雪用水として用いる構造の散水式の場合、融雪機器2は融雪ポンプを備える。融雪機器2は、制御装置3から出力される信号により、融雪対象となる場所、例えば道路上の雪が融雪されるように散水動作を行う。信号は、例えば、融雪ポンプを直接起動する信号(オン信号)である。融雪装置100は、信号により融雪機器2が運転され、融雪用水を配管に送り、道路上に散水することで、道路上の積雪を融かす。
【0041】
具体例として、制御装置3は融雪機器2を制御する信号を出力し、融雪対象となる場所、例えば道路上の雪が融雪されるように散水動作を行う。信号は、融雪ポンプを直接起動する信号(オン信号)である。融雪機器2は、制御装置3から出力される信号により運転され、融雪用水を配管に送り、道路上に散水することで、道路上の積雪を融かす。
制御装置3は、表示部33と、操作部34と、出力基板35と、を備える。制御装置3は、接続ケーブル15aを介して、降雪センサ1に対して給電可能及び信号送受信可能に接続される。制御装置3は、降雪センサ1に接続ケーブル15aを介して給電(電源供給)するとともに、降雪センサ1から送られる運転信号に従って融雪機器2の動作を制御する。例えば制御装置3は、接続ケーブル15aを介して、直流電源、運転信号、0Vの、3線で接続される。
【0042】
表示部33は例えば温度情報や雪片数等の情報を表示する表示器である。
操作部34は、電源スイッチや各種操作ボタン等の入力装置を備える。
【0043】
出力基板35は、例えば回路基板であり、各種制御機器が搭載されている。出力基板35は、例えば降雪センサからの運転信号により融雪機器を運転する運転用リレーや降雪センサからの運転信号により電磁弁を開閉する開閉用リレーのON/OFFを切替える運転回路と、交流電源を整流して降雪センサに直流を供給する直流電源部と、を有する。制御装置3は、降雪センサ1からの運転信号にしたがって、融雪機器2を運転する。
【0044】
上記実施形態にかかる降雪センサ1装置によれば、以下のような効果が得られる。すなわち測距センサ13を収容する空間である第1室20aの下側に配置されるヒータを備えることにより、対流を利用することができ、省エネ効果が得られる。また、測距センサ13の上側にもヒータ14Bを備えることで、空間内を効果的に加熱でき、カバー18上に行きが積もるのを防止できる。また、複数に区画された第1室20a内のうち、窓部18cに対向配置される測距センサ13と同じ空間にヒータ14A,14Bが設けられることで、窓部18cを効果的に加熱できる。
【0045】
さらに、下側のヒータ14Aの出力をより大きくことにより、対流を効果的に発生させることができるため、高い省エネ効果が得られる。
【0046】
また、複数のヒータ14A,14Bについて同機種を用いることで、部品種類の削減,生産時の実装間違いを防止することもできる。さらに、保温ヒータの故障・断線が起こった場合、直列接続の場合は、断線などの場合に全ての保温ヒータへの電圧印加が停止してしまう場合があるが、上記実施形態においては並列接続としたことにより、常に一定の電圧印加を想定でき一定の保温効果を確保できる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば各種設定値や算出の基準値等は適宜変更可能である。
【0048】
例えば上記実施形態において、下部と上部のそれぞれに1つずつ、ヒータ14A,14Bを備える例を示したが、これに限られるものではない。例えば他の実施形態として
図6に示す降雪センサ1Aのように、上側にはヒータを設けず、下側の第1のヒータ14Aのみとしてもよい。この場合にも、下側にあるヒータ14Aの熱が上昇することにより、空間の効果的な加熱を実現できる。また、ヒータ14A,14Bのいずれかまたは両方が複数あってもよい。例えば、他の実施形態として
図7に示す降雪センサ1Bは第1のヒータ14Aを2つ、第2のヒータ14Bを1つ備える構成である。これらの場合にも、下側にあるヒータ14Aの熱が上昇することにより、カバー18内の第1室20aにおいて対流が発生し、効果的に窓部18cを加熱することができる。
【0049】
なお、例えば
図7に示すようにヒータ14Aの数がヒータ14Bよりも多い場合には、ヒータ14A,14Bを並列接続して同出力で駆動することにより、結果的に下側のヒータ14Aの出力が上側のヒータ14B出力よりも大きくなり、対流を効果的に利用できる。
【0050】
なお、上記実施形態において、下側のヒータの出力を大きくした例を示したが、これに限られるものではない。例えば上下にそれぞれ第1のヒータ14A及び第2のヒータ14Bを設けた場合に、第1のヒータ14Aと第2のヒータ14Bの出力を同じ出力、すなわち同じ放熱量としてもよい。この場合にも、下側にあるヒータ14Aの熱が上昇することにより、対流を発生し、空間内を効果的に加熱できる。
【0051】
なお、降雪センサ1は、Bluetooth(登録商標)などのシステムを用いて低消費電力通信で無線通信可能に構成されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態において、融雪装置100はポンプによって地下水を汲みあげる構成を例示したが、これに限られるものではない。例えば一般給水用配管から融雪揚水を給水するタイプの散水装置や、ヒータ等の加熱装置などの無散水の融雪機器を用いてもよい。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
(1)
カバーと、
前記カバー内に設けられるセンサ部と、
前記カバー内において前記センサ部の下方に設けられる第1のヒータと、を備える、降雪センサ。
(2)
前記カバーは、光を透過する窓部を有し、
前記第1のヒータは前記カバー内において前記センサ部が設けられる第1室の下部領域または前記窓部の下方に設けられる、
(1)に記載の降雪センサ。
(3)
前記第1室に基板が配され、前記センサ部及び前記第1のヒータは前記基板と窓部との間の領域に配置される、(2)に記載の降雪センサ。
(4)
前記センサ部の上方に配される第2のヒータを備える、(1)乃至(3)のいずれかに記載の降雪センサ。
(5)
前記第1のヒータを複数備える、(1)乃至(4)のいずれかに記載の降雪センサ。
(6)
下方に配される前記第1のヒータの出力は、上方に配される前記第2のヒータの出力よりも、大きい、(4)に記載の降雪センサ。
(7)
複数の前記ヒータは、並列接続される、(4)に記載の降雪センサ。
(8)
(2)に記載の降雪センサと、
前記降雪センサに接続される融雪機器と、を備える融雪装置。
【符号の説明】
【0054】
1…降雪センサ、2…融雪機器、3…制御装置、4…リモコン、10…ケーシング、11…制御基板、12…温度センサ、13…測距センサ、14A,14B…ヒータ、15a…接続ケーブル、15b…接続ケーブル、15d…パイプ部材、16…温度センサ、17…ボディ、17a…開口、17c…ケーブル孔、18…カバー、18a…屋根部、18b…フランジ部、18c…窓部、18e…突起部、19a、19b…仕切プレート、19c…スリット、20a…第1室、20b…第2室、21…記憶部、22…センサケース、23…投光部、24…受光部、25…センサ制御部、33…表示部、34…操作部、35…出力基板、100…融雪装置。