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特許7629697精度管理支援方法、精度管理支援システム、精度管理支援装置、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】精度管理支援方法、精度管理支援システム、精度管理支援装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/66 20060101AFI20250206BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
G01N33/66 D
A61B5/00 G
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020130438
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026810
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】シュレイ シン
(72)【発明者】
【氏名】苅野 嵩
(72)【発明者】
【氏名】ペスチャード ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ハート ドナルド ジェームズ
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/142871(WO,A1)
【文献】特開2019-174424(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0068489(US,A1)
【文献】特開2015-194903(JP,A)
【文献】特開2009-180616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
G01N 35/00-37/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を表示する精度管理支援方法であって、
前記分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、
生成された前記第一管理図を表示することと、
前記第一管理図の一部領域の指定により、前記第一期間より短く、前記第一期間と少なくとも一部が重複する、前記第一期間とは別の第二期間であって、指定された前記一部領域に対応する前記第二期間の指定を受け付けることと、
前記第二期間において前記分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと
成された前記第二管理図を表示することと、
を含む精度管理支援方法。
【請求項2】
前記第一期間の指定を受け付けることをさらに含み、
前記第一管理図の生成において、受け付けた当該指定に対応する前記第一期間における前記第一管理図を生成する、
請求項1に記載の精度管理支援方法。
【請求項3】
前記第二期間の指定の受け付けは、前記第一管理図が表示された後に実行される、
請求項1又は2に記載の精度管理支援方法。
【請求項4】
前記第二期間の指定の受け付けにおいて、前記第一管理図が表示された状態で前記第二期間の指定を受け付ける、
請求項1~3のいずれか一項に記載の精度管理支援方法。
【請求項5】
前記第二期間より長い第三期間において前記分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第三管理図を生成することと、
生成された前記第三管理図を表示することと、をさらに含み、
前記第二期間の指定の受け付けにおいて、表示された前記第三管理図の一部領域の指定により、指定された前記一部領域に対応する前記第二期間の指定を受け付ける、
請求項1~4のいずれか一項に記載の精度管理支援方法。
【請求項6】
前記第一管理図の一部領域を、前記第一管理図において他の領域と異なる態様で表示することと、
前記第一管理図上の前記一部領域に対応する期間を、前記第三管理図において他の期間と異なる態様で表示することと、をさらに含む、
請求項5に記載の精度管理支援方法。
【請求項7】
指定された前記第一管理図の前記一部領域を変更することと、
前記第一管理図の前記一部領域の変更に応じて、前記第三管理図の表示態様を変更することと、をさらに含む、
請求項6に記載の精度管理支援方法。
【請求項8】
前記第三管理図の一部領域の変更を受け付けることをさらに含む、
請求項5~7のいずれか一項に記載の精度管理支援方法。
【請求項9】
前記第二管理図の表示において、前記第二期間と前記第三期間との関係を示す関係画面を表示すること、をさらに含む、
請求項5~8のいずれか一項に記載の精度管理支援方法。
【請求項10】
前記関係画面を介して前記第二管理図の表示期間の変更を受け付けることと、
受け付けた変更に応じて前記第二管理図を表示することと、をさらに含む、
請求項9に記載の精度管理支援方法。
【請求項11】
前記第二期間の指定の受け付けにおいて、前記第二期間を指定するためのダイアログを表示させ、前記ダイアログを介して、前記第二期間の指定を受け付ける、
請求項1~4のいずれか一項に記載の精度管理支援方法。
【請求項12】
前記第一管理図の表示において、前記第一期間内に所定のイベントが発生した場合、イベントの発生を示す標識を表示する、
請求項1~1のいずれか一項に記載の精度管理支援方法。
【請求項13】
前記所定のイベントは、前記分析装置におけるエラー発生、前記分析装置のキャリブレーションの実施、又は、前記分析装置の試薬交換の少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の精度管理支援方法。
【請求項14】
前記標識が選択されると、前記所定のイベントに関する履歴を表示する、
請求項1又は1に記載の精度管理支援方法。
【請求項15】
前記第一管理図と、前記第二管理図と、を並べて表示する、
請求項1~1のいずれか一項に記載の精度管理支援方法。
【請求項16】
前記第二管理図を表示すると、前記第一管理図の表示を終了する、
請求項1~1のいずれか一項に記載の精度管理支援方法。
【請求項17】
前記第一管理図を生成することと、前記第二管理図を生成することと、が、精度管理支援装置で実行され、
前記第一管理図を表示することと、前記第一管理図を表示することと、が、前記精度管理支援装置にネットワークを介して接続された端末装置で実行される、
請求項1~1のいずれか一項に記載の精度管理支援方法。
【請求項18】
前記第一管理図を生成することと、前記第一管理図を表示することと、前記第二管理図を生成することと、前記第一管理図を表示することと、が、精度管理支援装置で実行される、
請求項1~1のいずれか一項に記載の精度管理支援方法。
【請求項19】
被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を表示する精度管理支援方法であって、
前記分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、
生成された前記第一管理図を表示することと、
前記第一管理図の一部領域の指定により、前記第一期間より短く、前記第一期間と少なくとも一部が重複する、前記第一期間とは別の第二期間であって、指定された前記一部領域に対応する前記第二期間の指定を受け付けることと、
前記第一期間のうちの一部期間である前記第二期間において前記分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと、
前記第一管理図と前記第二管理図とを並べて表示することと、
を含む精度管理支援方法。
【請求項20】
被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を表示する精度管理支援システムであって、
第一制御部を備えた精度管理支援装置と、
前記精度管理支援装置にネットワークを介して接続され、第二制御部とディスプレイとを備えた端末装置と、
を含み、
前記精度管理支援装置の前記第一制御部は、
前記分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、
前記端末装置の前記第二制御部により前記ディスプレイに表示される前記第一管理図の一部領域の指定により、前記第一期間より短く、前記第一期間と少なくとも一部が重複する、前記第一期間とは別の第二期間であって、指定された前記一部領域に対応する前記第二期間の指定を受け付けることと、
前記第二期間において前記分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと、を実行するように構成され、
前記端末装置の前記第二制御部は
成された前記第二管理図を前記ディスプレイに表示すること
を実行するように構成されている、
精度管理支援システム。
【請求項21】
被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を表示する精度管理支援装置であって、
制御部と、
ディスプレイと、を備え、
前記制御部は、
前記分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、
生成された前記第一管理図を前記ディスプレイに表示することと、
前記第一管理図の一部領域の指定により、前記第一期間より短く、前記第一期間と少なくとも一部が重複する、前記第一期間とは別の第二期間であって、指定された前記一部領域に対応する前記第二期間の指定を受け付けることと、
前記第二期間において前記分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと
成された前記第二管理図を前記ディスプレイに表示することと、
を実行するように構成されている、
精度管理支援装置。
【請求項22】
ディスプレイを備えた端末装置にネットワークを介して接続され、被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を前記端末装置の前記ディスプレイに表示する精度管理支援装置であって、
制御部を備え、
前記制御部は、
前記分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、
生成された前記第一管理図を前記端末装置に送信することと、
前記ディスプレイに表示される前記第一管理図の一部領域の指定により、前記第一期間より短く、前記第一期間と少なくとも一部が重複する、前記第一期間とは別の第二期間であって、指定された前記一部領域に対応する前記第二期間の指定を受け付けることと、
前記第二期間において前記分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと
成された前記第二管理図を前記端末装置に送信することと、
を実行するように構成されている、
精度管理支援装置。
【請求項23】
被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を、ネットワークを介して接続された端末装置のディスプレイに表示する精度管理支援装置に、
前記分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、
生成された前記第一管理図を前記端末装置に送信することと、
前記ディスプレイに表示される前記第一管理図の一部領域の指定により、前記第一期間より短く、前記第一期間と少なくとも一部が重複する、前記第一期間とは別の第二期間であって、指定された前記一部領域に対応する前記第二期間の指定を受け付けることと、
前記第二期間において前記分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと
成された前記第二管理図を前記端末装置に送信することと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項24】
被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を表示する、ディスプレイを備えた精度管理支援装置に、
前記分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、
生成された前記第一管理図を前記ディスプレイに表示することと、
前記第一管理図の一部領域の指定により、前記第一期間より短く、前記第一期間と少なくとも一部が重複する、前記第一期間とは別の第二期間であって、指定された前記一部領域に対応する前記第二期間の指定を受け付けることと、
前記第二期間において前記分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと
成された前記第二管理図を前記ディスプレイに表示することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精度管理支援方法、精度管理支援システム、精度管理支援装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
精度管理方法として、所定の測定値が得られるように調製された精度管理物質の測定結果を時系列で表す、L-J(Levey-Jennings)法による管理図を用いる方法と、精度管理物質を用いずに、被験者検体の測定結果の平均値推移を表す管理図を用いる方法と、が知られている。これらの管理図を確認することにより、測定結果に異常があったとき、その原因が、分析装置にあるのか、分析装置で使用された試薬にあるのか、精度管理物質にあるのか、を特定できることがある。精度管理を支援する方法として、例えば、非特許文献1には、L-J法による管理図と、当該管理図の表示期間と同一の期間について、被験者検体の測定結果の平均値推移を表す管理図(PBRTQC(Patient-Based Real Time Quality Control)の結果を示す管理図)と、を表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】Lo TP, Cervinski MA, et al., "Recommendations for laboratory informatics specifications needed for the application of patient-based real time quality control", Clinica Chimica Acta, 2019 Aug, 495, Page.625-629.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、精度管理物質の測定(L-J法による管理図のプロット)の回数は、一日に一~三回が一般的であるのに対し、被験者検体の測定回数は、数十回から数百回になることがある。非特許文献1に記載の方法においては、L-J法による管理図と、PBRTQCの結果を示す管理図と、を同一期間で表示するため、表示期間を短くすると、精度管理物質の測定結果について、例えば2週間などの長期間での推移を把握することが難しく、表示期間を長くすると、被験者検体の測定結果について、例えば1日などの短期間での推移を把握することが難しい。そのため、非特許文献1に記載の方法を用いても、測定結果に異常があったとき、その原因を特定することが難しかった。
【0005】
本発明は、測定結果に異常があったとき、その原因の特定を容易にする、精度管理支援方法、精度管理支援システム、精度管理支援装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る精度管理支援方法は、被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を表示する精度管理支援方法であって、分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する第二期間の指定を、第一期間の指定とは別に受け付けることと、第二期間において分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと、生成された第一管理図を表示することと、生成された第二管理図を表示することと、を含む。
上記態様によれば、上記精度管理支援方法は、分析装置で第一期間において第一管理図を表示し、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する第二期間の指定を、第一期間の指定とは別に受け付け、第二期間において第二管理図を表示する。よって、上記精度管理支援方法においては精度管理物質の測定頻度と被験者検体の測定頻度との相違に応じた表示期間で第一管理図および第二管理図が表示される。したがって、測定結果に異常があったとき、容易に、その原因を特定可能である。第二期間の指定を、第一期間の指定とは別に受け付けることは、デフォルトの期間として予め設定された第一期間、又は任意に指定される第一期間とは別に第二期間の指定を受け付けることである。任意の第一期間が指定される場合、指定を受け付けるタイミングは、第一期間と第二期間で、互いに異なっていてもよいし同時であってもよい。
また、本発明の一態様に係る精度管理支援方法は、被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を表示する精度管理支援方法であって、分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、第一期間のうちの一部期間である第二期間において分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと、第一管理図と第二管理図とを並べて表示することと、を含む。
上記態様によれば、上記精度管理支援方法は、分析装置で第一期間において第一管理図を表示し、第一期間のうちの一部期間である第二期間において第二管理図を表示し、第一管理図と第二管理図とは並べて表示される。よって、上記精度管理支援方法においては精度管理物質の測定頻度と被験者検体の測定頻度との相違に応じた表示期間で第一管理図および第二管理図が並べて表示される。したがって、第一管理図および第二管理図が並べて表示されるため、測定結果に異常があったとき、より容易に、その原因を特定可能である。
【0007】
本発明の一態様に係る精度管理支援システムは、被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を表示する精度管理支援システムであって、第一制御部を備えた精度管理支援装置と、精度管理支援装置にネットワークを介して接続され、第二制御部とディプレイとを備えた端末装置と、を含み、精度管理支援装置の第一制御部は、分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する、第一の期間とは別の第二期間の指定を受け付けることと、第二期間において分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと、を実行するように構成され、端末装置の第二制御部は、生成された第一管理図をディスプレイに表示することと、生成された第二管理図をディスプレイに表示することと、を実行するように構成されている。
上記態様によれば、上記精度管理支援システムは、分析装置で第一期間において第一管理図を表示し、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する第二期間の指定を、第一期間の指定とは別に受け付け、第二期間において第二管理図を表示する。よって、上記精度管理支援システムにおいては精度管理物質の測定頻度と被験者検体の測定頻度との相違に応じた表示期間で第一管理図および第二管理図が表示される。したがって、測定結果に異常があったとき、容易に、その原因を特定可能である。
【0008】
本発明の一態様に係る精度管理支援装置は、被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を表示する精度管理支援装置であって、制御部と、ディスプレイと、を備え、制御部は、分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する、第一の期間とは別の第二期間の指定を受け付けることと、第二期間において分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと、生成された第一管理図をディスプレイに表示することと、生成された第二管理図をディスプレイに表示することと、を実行するように構成されている。
上記態様によれば、上記精度管理支援装置は、分析装置で第一期間において第一管理図を表示し、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する第二期間の指定を、第一期間の指定とは別に受け付け、第二期間において第二管理図を表示する。よって、上記精度管理支援装置においては精度管理物質の測定頻度と被験者検体の測定頻度との相違に応じた表示期間で第一管理図および第二管理図が表示される。したがって、測定結果に異常があったとき、容易に、その原因を特定可能である。
また、本発明の一態様に係る精度管理支援装置は、ディプレイを備えた端末装置にネットワークを介して接続され、被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を端末装置のディスプレイに表示する精度管理支援装置であって、制御部は、分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する、第一の期間とは別の第二期間の指定を受け付けることと、第二期間において分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと、生成された第一管理図を端末装置に送信することと、生成された第二管理図を端末装置に送信することと、を実行するように構成されている。
上記態様によれば、上記精度管理支援装置は、分析装置で第一期間において第一管理図を生成し、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する第二期間の指定を、第一期間の指定とは別に受け付け、第二期間において第二管理図を生成する。上記精度管理支援装置は、生成された第一管理図を端末装置に送信し、生成された第二管理図を端末装置に送信する。よって、上記精度管理支援装置とネットワークを介して接続され、ディプレイを備えた端末装置において、精度管理物質の測定頻度と被験者検体の測定頻度との相違に応じた表示期間で第一管理図および第二管理図が表示される。したがって、測定結果に異常があったとき、容易に、その原因を特定可能である。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を、ネットワークを介して接続された端末装置のディスプレイに表示する精度管理支援装置に、分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する、第一の期間とは別の第二期間の指定を受け付けることと、第二期間において分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと、生成された第一管理図を端末装置に送信することと、生成された第二管理図を端末装置に送信することと、を実行させる。
上記態様によれば、上記プログラムは、上記精度管理支援装置に、分析装置で第一期間において第一管理図を生成することと、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する第二期間の指定を、第一期間の指定とは別に受け付けることと、第二期間において第二管理図を生成することと、を実行させる。上記プログラムは、上記精度管理支援装置に、生成された第一管理図を端末装置に送信することと、生成された第二管理図を端末装置に送信することとを実行させる。よって、上記精度管理支援装置とネットワークを介して接続され、ディプレイを備えた端末装置において、精度管理物質の測定頻度と被験者検体の測定頻度との相違に応じた表示期間で第一管理図および第二管理図が表示される。したがって、測定結果に異常があったとき、容易に、その原因を特定可能である。
また、本発明の一態様に係るプログラムは、被験者検体を測定する分析装置に関する精度管理の管理図を表示する、ディスプレイを備えた精度管理支援装置に、分析装置で第一期間において精度管理物質を測定した結果を示す第一管理図を生成することと、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する、第一の期間とは別の第二期間の指定を受け付けることと、第二期間において分析装置で被験者検体を測定した結果を示す第二管理図を生成することと、生成された第一管理図をディスプレイに表示することと、生成された第二管理図をディスプレイに表示することと、を実行させる。
上記態様によれば、上記プログラムは、上記精度管理支援装置に、分析装置で第一期間において第一管理図を生成することと、第一期間より短く、第一期間と少なくとも一部が重複する、第一の期間とは別の第二期間の指定を受け付けることと、第二期間において第二管理図を生成することと、生成された第一管理図をディスプレイに表示することと、生成された第二管理図をディスプレイに表示することと、を実行させる。よって、上記プログラムは、上記精度管理支援装置に、精度管理物質の測定頻度と被験者検体の測定頻度との相違に応じた表示期間で第一管理図および第二管理図を表示させる。したがって、測定結果に異常があったとき、容易に、その原因を特定可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、測定結果に異常があったとき、その原因の特定を容易にする、精度管理支援技術を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る精度管理支援システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る精度管理支援装置および担当者端末の構成の一例を示す図である。
図3A図3(A)は、血球計数装置におけるQC(Quality Control)測定処理の測定データの収集処理の一例を示す図である。
図3B図3(B)は、血球計数装置における被験者検体の測定処理の測定データの収集処理の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係るQC(Quality Control)チャートの表示処理の一例を示すフローチャートである。
図5A図5(A)は、L-Jチャートの一例を示す図である。
図5B図5(B)は、XbarMチャートの一例を示す図である。
図6A図6(A)は、L-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図である。
図6B図6(B)は、XbarMチャートの一例を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係るXbarMチャートの一例を示す図である。
図8A図8(A)は、L-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図である。
図8B図8(B)は、図8(A)のXbarMチャートにおいて所定の操作が実行された場合に表示されるXbarMチャートの一例を示す図である。
図8C図8(C)は、図8(B)のXbarMチャートにおいて所定の操作が実行された場合に表示されるXbarMチャートの一例を示す図である。
図9図9は、L-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図である。
図10図10は、L-Jチャート及びXbarMチャートの他の一例を示す図である。
図11図11は、第1実施形態に係るL-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図である。
図12図12は、第1実施形態に係るL-Jチャート及びXbarMチャートの表示処理の他の一例を示す図である。
図13図13は、第1実施形態に係るL-Jチャート及びXbarMチャートの表示形態の他の一例を示す図である。
図14A図14(A)は、XbarMチャートの表示期間指定画面の一例を示す図である。
図14B図14(B)は、図14(A)に示す、XbarMチャートの表示期間指定画面において指定した期間に対応する期間を特定したL-Jチャートの一例を示す図ある。
図15A図15(A)は、L-Jチャートにおける特定領域のサイズ制御の一例を示す例である。
図15B図15(B)は、L-Jチャートにおける特定領域の位置制御の一例を示す例である。
図16図16は、第1実施形態に係るQCチャートの他の一例を示す図である
図17図17は、第1実施形態に係るL-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図であって、XbarMチャートの表示期間をL-Jチャートの表示期間よりも短く設定した場合の図である。
図18図18は、第1実施形態に係るXbarMチャートの一例を示す図である。
図19A図19(A)は、指定された表示期間で表示したL-Jチャートの一例を示す図である。
図19B図19(B)は、図19(A)のL-Jチャートにおける特定期間に対応する表示期間で表示したXbarMチャートの一例を示す図である。
図20図20は、第2実施形態に係るL-Jチャートの一例を示す図である。
図21図21は、第2実施形態に係るQCチャートの表示処理の一例を示すフローチャートである。
図22図22は、第3実施形態に係る精度管理支援システムの構成の一例を示す図である。
図23図23は、第3実施形態に係るQCチャートの表示処理の一例を示すフローチャートである。
図24図24は、一実施形態に係る精度管理支援システムの構成の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る精度管理支援システムの構成の一例を示す図である。図1に示すように精度管理支援システム100は、例示的に、サポートセンター内に配置された精度管理支援装置1と、施設Aに配置された、血球計数装置3A及び担当者端末5Aと、施設Bに配置された、血球計数装置3B及び担当者端末5Bと、を備える。精度管理支援装置1は、被験者検体を測定する血球計数装置3に関する精度管理の各種チャート(管理図)を表示、および/または、他のコンピュータに表示させるための表示情報を生成する装置である。
【0014】
血球計数装置3は、被験者検体を測定する装置である。血球計数装置3は、精度管理物質に関する測定(QC測定)を、例えば、一日に一、二回実施する。また、血球計数装置3は、被験者検体に関する測定を、例えば、一日に数十回から数百回実施する。担当者端末5は、例えば施設で勤務する者が操作する装置であり、施設全体の管理に関する各種処理を実行する。担当者端末5は、担当者から、血球計数装置3に関する精度管理の各種チャートの表示指示又は表示期間に関する入力を受け付ける。担当者端末5は、当該入力を受け付けると、対応する制御信号を精度管理支援装置1に送信する。担当者端末5は、精度管理支援装置1において生成された各種チャートを表示するための情報を受信すると、当該情報に基づいて、各種チャートを担当者端末5が備えるディスプレイにおいて表示する。
【0015】
精度管理支援システム100が、精度管理支援装置1と、担当者端末5Aとを備えることにより、処理を、精度管理支援装置1と、担当者端末5Aとに分散することができる。従って、担当者端末5Aにおいて、たとえば、検査結果の閲覧や、検査報告書の作成などの、各種チャートの表示以外の処理の速度が落ちることを抑止できる。
【0016】
施設A及びBのそれぞれは、例えば、臨床検査室、又は、臨床検査センター等を含む。施設A及びBを区別しない場合は、以下では「施設」と呼ぶ。施設は、二つ以下でも三つ以上でもよい。第1実施形態において各施設は、異なる経営主体が管理する。後述する第2実施形態で述べるとおり、複数の施設のうち二つ以上の施設は同一の経営主体が管理してもよい。また、血球計数装置3A及び血球計数装置3Bを区別しない場合は、「血球計数装置3」(分析装置)と呼ぶ。さらに、担当者端末5A及び担当者端末5Bを区別しない場合は、「担当者端末5」と呼ぶ。なお、各施設に配置される血球計数装置3及び担当者端末5は、二つ以上であってもよい。
【0017】
各施設とサポートセンター(精度管理支援装置1)とは通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。施設Aにおいて、血球計数装置3A及び担当者端末5Aは、通信ネットワークNAを介して互いに通信可能に接続される。施設Bにおいて、血球計数装置3B及び担当者端末5Bは、通信ネットワークNBを介して互いに通信可能に接続される。各通信ネットワークは、有線及び/又は無線ネットワークを備える。
【0018】
図2は、第1実施形態に係る精度管理支援装置1および担当者端末5のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、精度管理支援装置1は、例えば、プロセッサ11(制御部)、メモリ12、記憶装置13、通信装置14、入力装置15、及び、出力装置16を備える。
【0019】
プロセッサ11は、精度管理支援装置1の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-chip)等の集積回路を含んで構成される。プロセッサ11における表示処理機能等の各機能については、メモリ12又は記憶装置13に記憶されているプログラムを実行することによって実行される。
【0020】
メモリ12は、主に、データ処理を行うための一時的な記憶領域として使用される。記憶装置13は、主に、プログラムや大容量のデータ等を記憶するように構成されている。メモリ12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及び/又はRAM(Random Access Memory)等から構成される。記憶装置13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージから構成される。
【0021】
通信装置14は、図1に示す通信ネットワークNを介して各施設における血球計数装置3及び担当者端末5と通信を行うように構成されている。通信装置14は、例えば、ネットワークカード、通信モジュール等を含んで構成される。また、通信装置14には、アンプ、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)装置等を含んで構成されていてもよい。
【0022】
入力装置15は、サポートセンターにおけるユーザの操作により情報を入力できるように構成されている。入力装置15は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、及び/又はマイク等を含んで構成される。ポインティングデバイスの例としては、マウス、トラックボール、タッチパッド、タッチパネルが挙げられる。
【0023】
出力装置16は、情報を出力するように構成されている。出力装置16は、例えば液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示装置、及び/又はスピーカ等を含んで構成される。また、出力装置16は、入力装置15の機能をさらに備えてもよい。例えば、出力装置16は、タッチパネルディスプレイを備える装置であってもよい。
担当者端末5Aは、精度管理支援装置1と同様に、プロセッサ11(制御部)、メモリ12、記憶装置13、通信装置14、入力装置15、及び、出力装置16を備える。
【0024】
図3は、一実施形態に係る血球計数装置の測定データの収集処理の概要の一例を示す図である。図3(A)は、血球計数装置3におけるQC測定処理(精度管理測定処理)の測定データの収集処理の一例を示す図である。図3(B)は、血球計数装置3における患者検体(被験者検体)の測定処理の測定データの収集処理の一例を示す図である。
【0025】
図3(A)に示すように、血球計数装置3のそれぞれは、精度管理物質に関する測定処理の結果を含む所定のデータセットを、精度管理支援装置1に送信する。送信されるデータセットには、血球計数装置3の装置IDと、測定日時と、精度管理物質のロット番号と、測定値と、が関連づけて含まれている。精度管理物質に関する測定結果は、測定が完了すると、精度管理支援装置1に送信される。精度管理物質に関する測定結果は、例えば一日ごとに送信されてもよい。精度管理物質に関する測定結果の送信タイミングは、施設ごと、および血球計数装置ごとに設定されてもよい。
【0026】
図3(B)に示すように、血球計数装置3のそれぞれは、被験者検体に関する測定処理の結果を含む所定のデータセットを、精度管理支援装置1に送信する。送信されるデータセットには、血球計数装置3の装置IDと、測定日時と、測定値と、が関連づけて含まれている。被験者検体に関する測定処理の結果は、所定数(例えば、二十検体)の測定が完了すると、精度管理支援装置1に送信される。なお、所定数は、施設ごとに設定されてもよい。血球計数装置3のそれぞれから送信された、図3(A)及び(B)に示すデータセットは、精度管理支援装置1の記憶装置13に記憶される。
【0027】
図3(A)及び(B)に示すデータセットには、血球計数装置3におけるエラー発生、血球計数装置3のキャリブレーションの実施、又は、血球計数装置3の試薬交換の少なくとも一つに関する情報がさらに含まれてもよい。血球計数装置3におけるエラー発生に関する情報には、例えば、エラー発生の日時と、エラーの内容とが含まれる。血球計数装置3のキャリブレーションの実施に関する情報には、例えば、キャリブレーションの実施日時と、キャリブレーションの内容とが含まれる。血球計数装置3の試薬交換に関する情報には、例えば、試薬交換日時と、交換前後の試薬の識別情報とが含まれてもよい。なお、図3(A)及び(B)に示すデータセットの送信形式は、任意であり、例えば所定のデータパケット形式で構成されてもよい。
【0028】
図4は、第1実施形態に係るQCチャートの表示処理の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、QCチャートの表示処理は、担当者端末5及び精度管理支援装置1との間で実行される。なお、前提として、図3で説明したように、各施設における血球計数装置3で測定された測定データは、所定のデータセットの一部として、精度管理支援装置1に送信されている。精度管理支援装置1は、受信した測定データを、図2に示す記憶装置13に記憶している。
【0029】
(ステップS1)
施設の担当者が操作する担当者端末5のプロセッサ11(以下、単に担当者端末5と記載する)は、当該担当者から、精度管理支援装置1において表示するためのQCチャート(例えば、L-Jチャート及びXbarMチャート)の表示期間に関する指定を受け付けたか否かを判定する。指定を受け付けた場合(ステップS1においてYES)、処理はステップS2に進み、指定を受け付けなかった場合(ステップS1においてNO)、処理はステップS10に進む。ここで、L-Jチャートは、精度管理物質を測定した結果を時系列で示す管理図であり、XbarMチャートは、被験者検体を測定した結果を時系列で示す管理図である。
【0030】
L-Jチャート及びXbarMチャートの表示期間としては、一つの表示期間が指定される。例えば、L-Jチャートの表示期間として、2019年12月27日~2020年1月5日が指定されると、L-Jチャート及びXbarMチャートの両方が、2019年12月27日~2020年1月5日の期間について表示される。すなわち、L-Jチャートの表示期間がXbarMチャートの表示期間に自動的に設定される。
(ステップS2)
担当者端末5は、当該担当者から、L-Jチャート及びXbarMチャートの表示指示を受け付けたか否かを判定する。指定を受け付けた場合(ステップS2においてYES)、処理はステップS3に進み、指定を受け付けなかった場合(ステップS2においてNO)、指定を受け付けるまで待機する。
【0031】
(ステップS3)
担当者端末5は、受け付けた表示指示に基づいて、表示データの作成指示を精度管理支援装置1に送信する。
【0032】
(ステップS4)
精度管理支援装置1のプロセッサ11(以下、単に精度管理支援装置1と記載する)は、担当者端末5から、表示データの作成指示を受信したか否かを判定する。指示を受信した場合(ステップS4においてYES)、処理はステップS5に進み、指示を受信しなかった場合(ステップS4においてNO)、処理はステップS12に進む。
(ステップS5)
精度管理支援装置1は、予め記憶した血球計数装置3の測定データを、図2に示す記憶装置13から読み出す。例えば、精度管理支援装置1は、2019年12月27日~2020年1月5日に対応する期間である表示期間における、QC測定結果及び被験者検体測定結果を読み出す。
【0033】
(ステップS6)
精度管理支援装置1は、許容範囲外のQC測定結果を特定する。後述する図5で説明するように、精度管理支援装置1は、例えば、上限リミット値1を超える測定データと、下限リミット値1を下回る測定データと、を特定してもよい。精度管理支援装置1は、例えば、特定した測定データをチャートに反映しないように制御してもよい。
【0034】
(ステップS7)
精度管理支援装置1は、L-Jチャート及びXbarMチャートを、担当者端末5が備えるディスプレイにおいて表示するための情報を生成し、当該情報を担当者端末5に送信する。なお、精度管理支援装置1は、L-Jチャート及びXbarMチャートを、精度管理支援装置1が備える図2に示す出力装置16において表示してもよい。
【0035】
(ステップS8)
担当者端末5は、精度管理支援装置1から、L-Jチャート及びXbarMチャートを表示するための表示データを受信したか否かを判定する。表示データを受信した場合(ステップS8においてYES)、処理はステップS9に進み、表示データを受信しなかった場合(ステップS8においてNO)、受信するまで待機する。
(ステップS9)
担当者端末5は、受信した表示データに基づいて、ディスプレイにおいてL-Jチャート及びXbarMチャートを、ステップS1で指定した表示期間(2019年12月27日~2020年1月5日に対応する期間)で表示する。
【0036】
図5(A)は、L-Jチャートの一例を示す図である。図5(B)は、XbarMチャートの一例を示す図である。図5(A)及び(B)に示すように、担当者端末5は、ディスプレイにおいてL-Jチャート(第一管理図)及びXbarMチャートを、2019年12月27日~2020年1月5日の表示期間で表示する。
【0037】
図5(A)に示すように、L-Jチャートは、血球計数装置3において測定された精度管理物質(QC検体)の測定結果が時系列でプロットされたチャートである。図5(A)に示すように、精度管理物質の測定頻度は、一日に一から数回である。L-Jチャートにおける「ターゲット値」(例えば「30」)とは、QC検体のロット毎に決められた基準値である。また、L-Jチャートにおける「上限リミット値1」及び「下限リミット値1」のそれぞれは、QC検体のロット毎に決められた上限値及び下限値である。L-Jチャートにおける「上限リミット値1」及び「下限リミット値1」で規定される範囲(「27」~「33」)外の測定結果がL-Jチャートに反映される場合は、「(!)Error」に対応する識別情報が当該測定結果に付加される。L-Jチャートにおける「上限リミット値2」及び「下限リミット値2」のそれぞれは、例えば、「上限リミット値1」及び「下限リミット値1」のそれぞれの値に応じて設定される値である。例えば、「上限リミット値2」は、「上限リミット値1」のおよそ97%に対応する値となるように設定されてもよい。「上限リミット値2」及び「下限リミット値2」のそれぞれは、ユーザにより自由に設定可能である。「上限リミット値1」と「上限リミット値2」とで規定される範囲(「32」~「33」)内の測定結果がL-Jチャートに反映される場合は、「(×)Warning」に対応する識別情報が当該測定結果に付加される。また「下限リミット値1」と「下限リミット値2」とで規定される範囲(「27」~「28」)内の測定結果がL-Jチャートに反映される場合は、「(×)Warning」に対応する識別情報が当該測定結果に付加される。
【0038】
図5(B)に示すように、XbarMチャートは、血球計数装置3から受信した所定数(例えば、20検体分)の被験者検体の測定結果の平均値を算出し、その平均値を時系列でプロットすることにより作成されたたチャートである。XbarMチャートにおける「ターゲット値」(例えば、「8.07」)は、過去の被験者検体の測定結果を集計して決められた値である。「ターゲット値」は、サービス供給者から提供される。「ターゲット値」は、ユーザが設定した値であってもよい。XbarMチャートにおける「上限リミット値1」及び「下限リミット値1」のそれぞれは、サービス供給者から提供される上限値及び下限値である。「上限リミット値1」及び「下限リミット値1」のそれぞれは、ユーザが設定した値であってもよい。「ターゲット値」「上限リミット値1」及び「下限リミット値1」は、血球計数装置3ごとに異なってもよい。XbarMチャートにおける「上限リミット値2」及び「下限リミット値2」のそれぞれは、例えば、「上限リミット値1」及び「下限リミット値1」のそれぞれの値に応じて設定される値である。「上限リミット値2」及び「下限リミット値2」のそれぞれは、ユーザにより設定された値であってもよい。なお、XbarMチャートにおける各リミット値は省略可能である。
【0039】
図5(A)における線L1は、マウスカーソルC1をL-Jチャート上に表示させると、マウスカーソルC1に最も近いQC測定ポイントMP1を通るように表示される。なお、線L1の表示に代えて、例えば、QC測定ポイントMP1を含む一日(24時間)に対応する領域を表示してもよい。ユーザがマウスカーソルC1(L-Jチャートを表示するディスプレイがタッチパネルの場合、タッチペンやユーザの指等)を線L1上に合わせて当該線L1を左右方向に移動させることにより、線L1の表示位置が変更される。また、図5(A)で示すL-Jチャート上の線L1(第一管理図の一部領域)が含まれる1日(図5(A)の例では、2020年1月3日)について、図5(B)に示すXbarMチャート上では、特定領域A1が表示される。また、L-Jチャート上の線L1を左右方向に移動させると、XbarMチャート(第三管理図)上の特定領域A1も左右方向に追従して移動する。つまり、L-Jチャート上の線L1の変更に応じて、XbarMチャートの表示形態が変更される。
【0040】
図4のステップS10)
図4に戻り、担当者端末5は、担当者から、ポインティングデバイスを介して、XbarMチャート上又はL-Jチャート上の所定期間(例えば、1日)(第二期間)の表示指示を受け付けたか否かを判定する。指示を受け付けた場合(ステップS10においてYES)、処理はステップS11に進み、指示を受け付けなかった場合(ステップS10においてNO)、処理はステップS16に進む。
(ステップS11)
担当者端末5は、受け付けた表示指示に対応する表示データ作成指示を精度管理支援装置1に送信する。
(ステップS12)
精度管理支援装置1は、担当者端末5が受け付けた表示指示に対応する表示データ作成指示を受信したか否かを判定する。指示を受け付けた場合(ステップS12においてYES)、処理はステップS13に進み、指示を受け付けなかった場合(ステップS12においてNO)、処理はステップS18に進む。
(ステップS13)
精度管理支援装置1は、受け付けた指示に対応する上記1日におけるXbarMチャート(第二管理図)を表示するための表示データを作成し、担当者端末5に送信する。
(ステップS14)
担当者端末5は、精度管理支援装置1から、XbarMチャート(第二管理図)を表示するための表示データを受信したか否かを判定する。表示データを受信した場合(ステップS14においてYES)、処理はステップS15に進み、表示データを受信しなかった場合(ステップS14においてNO)、受信するまで待機する。
(ステップS15)
担当者端末5は、受け付けた表示データに基づいて、XbarMチャート(第二管理図)を表示する。(ステップS16)
担当者端末5は、前記担当者から、表示の終了指示を受け付けたか否かを判定する。指示を受け付けた場合(ステップS16においてYES)、処理はステップS17に進み、指示を受け付けなかった場合(ステップS16においてNO)、処理はステップS1に戻る。
(ステップS17)
担当者端末5は、表示終了の指示を精度管理支援装置1に送信し、処理を終了する。
(ステップS18)
精度管理支援装置1は、担当者端末5から、表示の終了指示を受信したか否かを判定する。終了指示を受信した場合(ステップS18においてYES)、処理を終了し、終了指示を受信しなかった場合(ステップS18においてNO)、処理はステップS4に戻る。
【0041】
(第1例)
図6(A)は、L-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図である。図6(B)は、XbarMチャートの一例を示す図である。図6(A)には、担当者端末5におけるディスプレイに、2019年12月27日~2020年1月5日の表示期間(第一期間)でL-Jチャート(第一管理図)を表示し、2019年12月27日~2020年1月5日の表示期間(第三期間)でXbarMチャート(第三管理図)を表示した例が示されている。図6(A)で示すL-Jチャート上の線L2が指定される(第一管理図の一部領域が指定される)と、線L2が含まれる1日(2020年1月3日)に対応する、XbarMチャート上の特定領域A3(第三管理図の一部領域)が他の領域と異なる形態で表示される。XbarMチャート上において特定領域A3と他の領域とは、異なる色で表示されてもよいし、特定領域A3のみ強調表示されてもよい。ここで、担当者がカーソルC3を操作して、2020年1月3日に対応する特定領域A3を選択する(第三管理図の一部領域を指定する)と、2019年12月27日~2020年1月5日に対応する期間(第三期間)より短い2020年1月3日に対応する期間(第二期間)において血球計数装置3で被験者検体を測定した結果を示す、図6(B)に示すXbarMチャート(第二管理図)が表示される。この構成によれば、精度管理物質の測定頻度と被験者検体の測定頻度との相違に応じた表示期間でL-Jチャート(第一管理図)およびXbarMチャート(第二管理図)が表示される。したがって、測定結果に異常があったとき、容易に、その原因を特定可能である。
例えば、図6(A)に示すXbarMチャート(第三管理図)では、2020年1月3日における被験者検体の測定結果の変動は、測定結果間の間隔が短いため把握し難いが、図6(B)に示す第二期間のXbarMチャート(第二管理図)では、1日における被験者検体の測定結果の変動が容易に把握できる。
また、この構成によれば、閲覧者が所望する任意の1日について、XbarMチャート(第二管理図)が表示される。したがって、異常が発生した日の測定結果を確認することが可能となり、異常原因の特定がより容易になる。
また、この構成によれば、L-Jチャート(第一管理図)の表示期間を受け付け、受け付けた表示期間についてL-Jチャート(第一管理図)を表示するので、例えば過去に遡ってQC検体の測定結果の変動を把握することが容易になる。したがって、異常原因の特定がより容易になる。
また、この構成によれば、L-Jチャート(第一管理図)がディスプレイに表示された状態で、図6(B)に示すXbarMチャート(第二管理図)の表示期間の指定を受け付けるので、L-Jチャート(第一管理図)により異常原因の発生時期を推定しつつ、推定した発生時期について、図6(B)に示すXbarMチャート(第二管理図)により詳細に変動を確認することが可能になる。したがって、異常原因の特定がより容易になる。
また、この構成によれば、図6(A)に示すXbarMチャート(第三管理図)をディスプレイに表示し、図6(A)に示すXbarMチャート(第三管理図)の特定領域A3の指定を受け付けることにより、図6(B)に示すXbarMチャート(第二管理図)を表示するので、被験者検体の測定結果の変動について、中長期での変動と短期での変動との両方を確認することが可能になり、異常原因の発生時期の推定がより容易になる。したがって、異常原因の特定がより容易になる。
また、この構成によれば、図6(A)に示すL-Jチャート(第一管理図)に表示された線L1に対応する期間を示す特定領域A1を、図6(A)に示すXbarMチャート(第三管理図)において他の期間と異なる態様で表示するので、QC検体の測定結果に異常があった時期の被験者検体の測定結果を確認することが容易になる。したがって、異常原因の発生時期の推定がより容易になる。また、線L1の移動に追従して特定領域A1が移動するので、図6(B)に示すXbarMチャート(第二管理図)の表示期間の指定が容易になる。
【0042】
(第2例)
図7は、一実施形態に係るXbarMチャートの一例を示す図である。図7に示すインディケータ画面SD5は、図7に示す、表示期間が1日(この例では、2020年1月3日)のXbarMチャート(第二管理図)が、図6(A)に示すXbarMチャート(第三管理図)の表示期間2019年12月27日~2020年1月5日のうち、どの表示期間に対応するかを示す画面である。つまり、インディケータ画面SD5は、図7に示すXbarMチャートの表示において、表示期間(第二期間:この例では、2020年1月3日)と、図6(A)に示すXbarMチャートの表示期間(第三期間:この例では、2019年12月27日~2020年1月5日)との関係を表示する関係画面である。
また、インディケータ画面SD5が表示された、担当者端末5におけるディスプレイを介して図7に示すXbarMチャートの表示期間の変更を受け付ける(インディケータI1を左右に移動させることにより、特定領域A7の位置を変更する)と、受け付けた変更に応じて当該XbarMチャートの表示期間が変更される。
この構成によれば、図6(A)に示すXbarMチャート(第三管理図)の表示期間と、図7に示すXbarMチャート(第二管理図)の表示期間との関係の把握が容易になるので、被験者検体の測定結果の変動について、中長期での変動と短期での変動との両方を確認することが可能になり、異常原因の発生時期の推定がより容易になる。
また、この構成によれば、図7に示すXbarMチャート(第二管理図)の表示期間を変更することができるので、測定結果の短期での変動を複数の期間において確認することが可能になり、異常原因の発生時期の推定がより容易になる。
【0043】
(第3例)
図8(A)は、L-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図である。図8(B)は、図8(A)のXbarMチャートにおいて所定の操作が実行された場合に表示されるXbarMチャート(第二管理図)の一例を示す図である。図8(C)は、図8(B)のXbarMチャートにおいて所定の操作が実行された場合に表示されるXbarMチャート(第二管理図)の一例を示す図である。図8(A)には、担当者端末5におけるディスプレイに、2019年12月27日~2020年1月5日の表示期間(第一期間)でL-Jチャート(第一管理図)が表示され、2019年12月27日~2020年1月5日の表示期間(第三期間)でXbarMチャート(第三管理図)が表示された例が示されている。図8(A)で示すL-Jチャート上の線L3が指定されると、線L3が含まれる1日(2020年1月5日)に対応する、XbarMチャート上の特定領域A9が他の領域と異なる形態で表示される。特定領域A9は、XbarMチャート上において線L5と線L7とで区画された領域である。ここで、担当者がカーソルC2を操作して、XbarMチャート上において線L7を、2020年1月2日に相当する線L9の位置まで移動させると、XbarMチャート上において線L9と線L5とで区画された新たな特定領域A11が形成される。担当者が、特定領域A11を選択する(第三管理図の一部領域を指定する)と、2020年1月2日~2020年1月5日に対応する期間において血球計数装置3で被験者検体を測定した結果を示す、図8(B)に示すXbarMチャート(第二管理図)が表示される。さらに、担当者が、図8(B)に示すXbarMチャート上の、2020年1月3日に対応する特定領域A13を選択すると、2020年1月3日に対応する期間において血球計数装置3で被験者検体を測定した結果を示す、図8(C)に示すXbarMチャート(第二管理図)が表示される。
【0044】
(第4例)
図9および図10は、一実施形態に係るL-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図である。図9は、表示期間中にキャリブレーションの実施があった場合のL-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図である。図10は、表示期間中に血球計数装置3における試薬交換があった場合のL-Jチャート及びXbarMチャートの他の一例を示す図である。図11は、表示期間中に血球計数装置3におけるエラーが発生した場合のL-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図である。図9図11に示すように、L-Jチャート及びXbarMチャートの表示において、表示期間内に所定のイベントが発生した場合、所定のイベントの発生を示す標識を表示する。所定のイベントは、血球計数装置3におけるエラー発生、血球計数装置3のキャリブレーションの実施、又は、血球計数装置3の試薬交換の少なくとも一つを含む。このようなイベントが発生した前後には、測定結果が異常になる可能性が他の時期と比較して高いため、所定のイベントの発生を示す標識を表示することにより、異常発生の時期を容易に推測することが可能となる。なお、所定のイベントの発生を示す標識は、図6(B)に示す、表示期間がL-Jチャートよりも短いXbarMチャート(第二管理図)に表示してもよい。
【0045】
図9に示すように、表示期間中に血球計数装置3におけるキャリブレーションの実施があった場合、その実施日時(2020年1月3日)に対応する位置に標識●(黒丸)S1を表示する。実施日時(2020年1月3日)は、L-Jチャート上における特定領域A15に対応し、XbarMチャート上における特定領域A17に対応する。キャリブレーションは、血球計数装置3が最適な測定結果を出力することを確認するために実施される。
【0046】
図10に示すように、表示期間中に血球計数装置3の試薬交換の実施があった場合、その実施日時(2020年1月3日)に対応する位置に標識▲(黒三角形)S3を表示する。実施日時(2020年1月3日)は、L-Jチャート上における特定領域A15に対応し、XbarMチャート上における特定領域A17に対応する。
【0047】
図10に示すように、表示期間中に血球計数装置3のエラーが発生した場合、その発生日時(2020年1月3日)に対応する位置に標識■S5を表示する。標識■が担当者端末5におけるディスプレイ上において選択されると、エラー発生(所定のイベント)に関する履歴を示す画像Gが当該ディスプレイ上に表示されてもよい。この構成によれば、エラー発生に関する履歴を、L-Jチャート又はXbarMチャート上において容易に把握することが可能である。図9図10および図11に示す所定のイベントの発生を示す標識は、図3で説明したデータセットに基づいて表示される。データセットには、キャリブレーションの実施、試薬交換、およびエラー発生の情報が、それらの発生日と対応付けて含まれており、所定のイベントの発生を示す標識は、当該発生日時に対応する位置に表示される。
【0048】
(QCチャート表示処理の変形例1)
図6(A)及び図8(A)の例では、L-Jチャート及びXbarMチャートの双方が表示されるが、QCチャート表示処理の変形例1では、精度管理支援装置1は、まずL-Jチャートを表示した後、担当者の操作に応じてXbarMチャートを表示する。
【0049】
図12は、一実施形態に係るL-Jチャート及びXbarMチャートの表示処理の他の一例を示す図である。図12に示すように、図1に示す担当者端末5におけるディスプレイにおいて、まずL-Jチャート(第一管理図)を表示する。L-Jチャート上の測定日(2020年1月3日)に対応する線L11(第一管理図の一部領域)が指定されると、指定された線L11に対応する2020年1月3日を表示期間(第二期間)とするXbarMチャート(第二管理図)を担当者端末5におけるディスプレイで表示する。
【0050】
この構成によれば、L-Jチャート上の測定日(2020年1月3日)に対応する線L11の指定により、線L11に対応する期間を表示期間(第二期間)とするXbarMチャートが表示されるので、少ない手数で短期間における被験者の測定結果の変動を確認することができる。したがって、異常原因の特定をより迅速に行うことができる。
【0051】
(指定領域の表示処理の変形例1)
図5(A)の線L1、図6(A)の線L2、及び図8(A)の線L3(以下、指定領域と呼ぶ)の表示処理の変形例を以下で説明する。まず、変形例1では、指定領域を測定時点又は所定のイベントの発生時点に配置する例を説明する。変形例1では、以下の(1)~(4)の優先順位で指定領域が表示される。
【0052】
(1)血球計数装置3のエラー発生がある場合、又は、警告(Warning)となったQC測定結果がある場合、その発生時点(ポイント)に指定領域を表示する。ポイントが複数ある場合は、ターゲット値からの乖離が最大のポイント上に指定領域を表示する。
(2)血球計数装置3のキャリブレーションの実施結果がある場合、そのポイント上に指定領域を表示する。
(3)血球計数装置3の試薬交換がある場合、そのポイント上に指定領域を表示する。
(4)(1)~(3)に該当しない場合、L-Jチャート上の最新のデータプロット上に指定領域を表示する。
【0053】
(指定領域の表示処理の変形例2)
図13は、一実施形態に係るL-Jチャートの表示形態の他の一例を示す図である。指定領域を、図5(A)の線L1、図6(A)の線L2、及び図8(A)の線L3のような線形状ではなく、図13に示すように、L-Jチャート上において、所定の多角形状(例えば四角形状)を有する指定領域A19で表示してもよい。
【0054】
(指定領域の表示処理の変形例3)
変形例3においては、精度管理支援装置1は、L-Jチャート上の領域の指定は、領域指定画面において実行する。
【0055】
図14(A)は、指定領域指定画面DS1の一例を示す図である。図14(B)は、指定領域設定画面DS1において指定した期間に対応する期間が指定領域として表示されたL-Jチャートの一例を示す図である。図14(A)に示す指定領域設定画面DS1において、L-Jチャート上の指定領域の表示期間を2019年12月30日~2019年12月31日と指定する。この場合、図14(B)に示すように、2019年12月30日を始点、及び、2019年12月31日を終点とする指定領域A21を含むL-Jチャートが表示される。
【0056】
(指定領域の表示処理の変形例4)
当該変形例4においては、精度管理支援装置1は、L-Jチャート上の指定領域の表示サイズの制御、又は、表示位置の制御を実行する。
【0057】
図15(A)は、L-Jチャートにおける指定領域のサイズ制御の一例を示す例である。図15(B)は、L-Jチャートにおける指定領域の位置制御の一例を示す例である。図15(A)に示すように、L-Jチャート上の指定領域の表示サイズを制御してもよい。担当者は、L-Jチャートが表示された担当者端末5におけるディスプレイ上においてマルチタッチスクリーン操作を実行する。例えば、ディスプレイ上の指定領域A23を指定した上で、指定領域A23を拡大するように(ピンチアウト)、又は、縮小するように(ピンチイン)、担当者の二本の指を動かすことによって、指定領域A23の表示サイズを制御可能である。指定領域A23の表示サイズの制御は、任意の方向に実行可能であり、横方向、又は、縦方向でもよい。図15(B)に示すように、L-Jチャート上の指定領域の表示位置を制御してもよい。担当者は、カーソルC9を操作して、指定領域A23を指定した上で、当該指定領域A23を左右方向に移動させてもよい。ディスプレイがタッチパネル機能を有する場合、担当者のタッチ操作により当該指定領域A23を左右方向に移動させてもよい。
【0058】
(表示期間の指定処理の変形例1)
当該変形例1では、L-Jチャートの表示期間をXbarMチャートの表示期間とは別に指定可能である点で、L-Jチャートの表示期間がXbarMチャートの表示期間に自動的に設定される図4及び図5で説明した形態とは異なる。
【0059】
図16は、一実施形態に係る表示期間指定画面、L-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図である。まず、XbarMチャートの表示期間指定画面DS3で、XbarMチャートの表示期間を2019年12月27日~2020年1月5日と指定する。また、L-Jチャートの表示期間指定画面DS5で、別途、L-Jチャートの表示期間を2019年12月27日~2020年1月5日と指定する。これにより、表示期間指定画面DS3および表示期間指定画面DS5を介して指定したそれぞれの表示期間で、L-Jチャート及びXbarMチャートが表示される。
【0060】
(表示期間の指定処理の変形例2)
当該変形例2では、XbarMチャートの表示期間をL-Jチャートの表示期間よりも短く設定する点で、変形例1とは異なる。
【0061】
図17は、一実施形態に係る表示期間指定画面、L-Jチャート及びXbarMチャートの一例を示す図であって、XbarMチャートの表示期間をL-Jチャートの表示期間よりも短く設定した場合の図である。図17に示すように、L-Jチャートの表示期間指定画面DS7において指定した期間(2019年12月27日~2020年1月5日)よりも短い期間である表示期間(2020年1月3日)が、XbarMチャートの表示期間指定画面DS9において指定される。この場合、2019年12月27日~2020年1月5日に対応する表示期間で表示されたL-Jチャートと、別途指定された期間(2020年1月3日)に対応する表示期間で表示されたXbarMチャートとが並んで表示される。
この構成によれば、例えば測定動作中のエラーの発生などから異常発生の時期が推定できている場合などには、表示期間指定画面DS9においてXbarMチャートの表示期間を指定できるので、少ない手数で短期間における被験者の測定結果の変動を確認することができる。したがって、異常原因の特定をより迅速に行うことができる。
なお、XbarMチャートの表示期間の表示期間は、L-Jチャートの表示期間と少なくとも一部が重複してればよく、例えば、L-Jチャートの表示期間として、2019年12月27日~2020年1月5日を指定し、XbarMチャートの表示期間として、2019年12月26日~2019年12月28日を指定してもよい。
【0062】
(表示期間の指定処理の変形例3)
当該変形例3では、所定の表示期間で表示されたXbarMチャートにおいて、特定領域を指定すると、表示が、当該特定領域に対応する表示期間のXbarMチャートに切り替わる
【0063】
図18の上側のXbarMチャートは、2019年12月27日~2020年1月5日の表示期間で表示されたXbarMチャートである。このXbarMチャート上の2020年1月3日に対応する特定領域A25が、例えばカーソルC11によって指定される。この場合、図18の下側のXbarMチャートに表示が切り替わる。図18の下側のXbarMチャートは、特定領域A25に対応する2020年1月3日を表示期間とするXbarMチャートである。
【0064】
(表示期間の指定処理の変形例4)
当該変形例4では、表示期間の指定を受け付けない場合でも、L-Jチャートの表示期間のうちの所定期間(例えば、L-Jチャートの表示期間の最後の1日)を表示期間とするXbarMチャートが自動的に表示される。
【0065】
図19(A)は、指定された表示期間で表示したL-Jチャートの一例を示す図である。図19(B)は、図19(A)のL-Jチャートにおける、L-Jチャートの表示期間の最後の1日に対応する表示期間で表示したXbarMチャートの一例を示す図である。図19(A)に示すように、2019年12月27日~2020年1月5日の表示期間で表示されたL-Jチャート上の最後の1日は2020年1月5日である。この場合、図19(B)に示すように、L-Jチャート上の最後の1日に対応する2020年1月5日を表示期間とするXbarMチャートが自動的に表示される。
【0066】
以上、第1実施形態によれば、精度管理支援システム100は、第一期間において第一管理図(M-Jチャート)をディスプレイに表示し、第一期間より短い第二期間において第二管理図(XbarMチャート)を、ディスプレイに表示する。よって、上記精度管理支援方法においては精度管理物質の測定頻度と被験者検体の測定頻度との相違に応じた表示期間で第一管理図および第二管理図が表示される。したがって、測定結果に異常があったとき、容易に、その原因を特定可能である。
【0067】
<第2実施形態>
第2実施形態は、L-Jチャートのターゲット値およびリミット値の決定が、外部精度管理により行われる点で、QC検体のロット毎に決められたターゲット値およびリミット値を用いる第1実施形態とは異なる。以下では、第2実施形態に関して、第1実施形態とは異なる点について、特に述べる。
【0068】
図20は、第2実施形態に係るL-Jチャートの一例を示す図である。図20に示すように、L-Jチャートにおける「ターゲット値」(例えば、「30」)は、各施設のQC測定結果を集計することにより決められた基準値である。「上限リミット値3」(例えば、「40」)及び「下限リミット値3」(例えば、「20」)は、各施設のQC測定結果を集計することにより決められた上限値及び下限値である。「上限リミット値4」(例えば、「37」)及び「下限リミット値4」(例えば、「23」)は、「上限リミット値3」及び「下限リミット値3」のそれぞれの値に応じて設定される値である。各上限リミット値及び各下限リミット値は、ユーザによって設定可能である。
【0069】
図21は、第2実施形態に係るQCチャートの表示処理の一例を示すフローチャートである。図21の処理ステップS21~S39のうち、ステップS25を除き、図4に示す処理ステップS1~S18に対応する。図21に示すステップS25においては、精度管理支援装置1は、表示期間における、各施設のQC測定結果を集計し、図20に示すターゲット値及び各リミット値を決定する。
【0070】
以上、第2実施形態によれば、精度管理支援システム100は、第1実施形態における上記効果に加えて、各施設を同一経営主体が管理することによって、複数の施設を有する経営グループ内での外部精度管理が可能となる。
【0071】
<第3実施形態>
第3実施形態は、精度管理支援装置1に、第1実施形態1における精度管理支援装置1および担当者端末5の機能が集約されている点で、第1実施形態とは異なる。以下では、第3実施形態に関して、第1実施形態とは異なる点について、特に述べる。
図22に示すように、精度管理支援装置1は、ネットワークNAを介して、血球計数装置3Aと接続されている。精度管理支援装置1のハードウェア構成は、図2に示した構成と同じである。
【0072】
図23は、第3実施形態に係るQCチャートの表示処理の一例を示すフローチャートである。
(ステップS41)
精度管理支援装置1は、担当者から、精度管理支援装置1において表示するためのQCチャート(例えば、L-Jチャート及びXbarMチャート)の表示期間に関する指定を受け付けたか否かを判定する。指定を受け付けた場合(ステップS41においてYES)、処理はステップS42に進み、指定を受け付けなかった場合(ステップS41においてNO)、処理はステップS47に進む。
(ステップS42)
精度管理支援装置1は、当該担当者から、L-Jチャート及びXbarMチャートの表示指示を受け付けたか否かを判定する。指定を受け付けた場合(ステップS42においてYES)、処理はステップS43に進み、指定を受け付けなかった場合(ステップS42においてNO)、指定を受け付けるまで待機する。
(ステップS43)
精度管理支援装置1は、予め記憶した血球計数装置3の測定データを、図2に示す記憶装置13から読み出す。
(ステップS44)
精度管理支援装置1は、許容範囲外のQC測定結果を特定する。
(ステップS45)
精度管理支援装置1は、L-Jチャート及びXbarMチャートを、精度管理支援装置1が備えるディスプレイにおいて表示するための表示データを生成する。
(ステップS46)
精度管理支援装置1は、生成した表示データに基づいて、ディスプレイにおいてL-Jチャート及びXbarMチャートを、ステップS41で指定した表示期間(2019年12月27日~2020年1月5日に対応する期間)で表示する。
(ステップS47)
精度管理支援装置1は、担当者から、ポインティングデバイスを介して、XbarMチャート上又はL-Jチャート上の所定期間(例えば、1日)(第二期間)の表示指示を受け付けたか否かを判定する。指示を受け付けた場合(ステップS47においてYES)、処理はステップS48に進み、指示を受け付けなかった場合(ステップS47においてNO)、処理はステップS50に進む。
(ステップS48)
精度管理支援装置1は、受け付けた指示に対応する上記1日におけるXbarMチャート(第二管理図)を表示するための表示データを生成する。
(ステップS49)
精度管理支援装置1は、生成した表示データに基づいて、XbarMチャート(第二管理図)を表示する。
(ステップS50)
精度管理支援装置1は、前記担当者から、表示の終了指示を受け付けたか否かを判定する。指示を受け付けた場合(ステップS50においてYES)、処理を終了し、指示を受け付けなかった場合(ステップS50においてNO)、処理はステップS41に戻る。以上、第3実施形態によれば、精度管理支援装置1とは別に担当者端末を準備する必要がなくなる。
【0073】
<他の実施形態>
上記各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更/改良(たとえば、各実施形態を組み合わせること、各実施形態の一部の構成を省略すること)され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0074】
上記各実施形態では、分析装置として血球計数装置3を例に説明したがこれに限られない。分析装置は、例えば、血液凝固測定装置、生化学分析装置、免疫分析装置、尿分析装置、又は、核酸分析装置等の他の分析装置を採用してもよい。
【0075】
図24は、一実施形態に係る精度管理支援システムの構成の他の一例を示す図である。図1の例では、精度管理支援装置1は、担当者端末が配置された施設とは異なるサポートセンター内に配置されているが、図24に示すように、精度管理支援装置1は、担当者端末が配置された施設内に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1:精度管理支援装置、3A,3B:血球計数装置(分析装置)、5A,5B:担当者端末、11:プロセッサ(制御部)、12:メモリ、13:記憶装置、14:通信装置、15:入力装置、16:出力装置、100:精度管理支援システム。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23
図24