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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 303
B41J2/01 129
B41J2/01 305
B41J2/01 125
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021016749
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119541
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】324012246
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】小西 美沙輝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭洋
(72)【発明者】
【氏名】野中 亮佑
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-138463(JP,A)
【文献】特開2018-159482(JP,A)
【文献】特開2020-040412(JP,A)
【文献】特開2006-347024(JP,A)
【文献】特開2012-171166(JP,A)
【文献】特開2017-025311(JP,A)
【文献】特開2020-049867(JP,A)
【文献】特開2020-157547(JP,A)
【文献】特開2021-70266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
B41J29/00 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられたケースと、
前記ベース部材と前記ケースとによって区画された内部空間に配置され、記録媒体が載置されるプラテンと、
前記プラテンより上方に位置するように前記内部空間に配置され、主走査方向に移動可能なキャリッジと、
前記プラテンより上方に位置するように前記内部空間に配置され、前記主走査方向に延び、前記キャリッジの移動をガイドするガイドレールと、
前記キャリッジに搭載され、前記主走査方向と直交する副走査方向に搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクヘッドと、
前記ガイドレールより前記副走査方向の下流側に位置し、かつ、前記内部空間の雰囲気温度を上昇させる熱源と、
前記熱源より上方に位置し、前記ケースに形成された排気口と、
前記排気口の側方に配置され、前記内部空間の空気を前記排気口から前記ケースの外部に排出させるファンと、
前記プラテンよりも前記副走査方向の上流側に配置され、前記プラテンへの前記記録媒体の移動をガイドする上流側ガイド部材と、
を備え
前記ケースは、
前記インクヘッドの上方に配置され、かつ、前記主走査方向に延びる上壁と、
前記上壁の前記副走査方向の上流側の端部から下方に延び、かつ、前記主走査方向に延び、かつ、前記上流側ガイド部材よりも前記副走査方向の上流側に位置する後壁と、
前記プラテンより上方に位置し、かつ、前記主走査方向に延び、かつ、前記後壁の下端から前記副走査方向の下流側に向けて延びる下壁と、を備え、
前記内部空間は、
前記インクヘッドよりも前記副走査方向の上流側に設けられ、かつ、前記上流側ガイド部材よりも前記副走査方向の上流側に広がる上流側内部空間を有し、
前記排気口は、前記後壁に貫通形成されている、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記排気口と対向する位置に配置されたダクトを備え、
前記ダクトの前記副走査方向の下流側には、前記ファンが配置され、
前記ファンは、前記上流側内部空間の空気を前記ダクトを介して前記排気口から前記ケースの外部に排出させるように構成されている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記排気口より下方に位置するように前記ケースに形成され、前記ケースの外部の空気を前記内部空間に取り入れる吸気口を備えている、請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記ケースは、前記プラテンより前記主走査方向の一方側に位置しかつ前記副走査方向および上下方向に延びる第1側壁と、前記プラテンより前記主走査方向の他方側に位置しかつ前記副走査方向および上下方向に延びる第2側壁と、を備え、
前記吸気口は、前記第1側壁および前記第2側壁にそれぞれ形成されている、請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記第1側壁の側方かつ前記内部空間に配置された回路基板を備え、
前記回路基板は、前記第1側壁に形成された前記吸気口から取り入れられた空気が通過する位置に配置されている、請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記排気口は、背面視で、前記プラテンの前記主走査方向の一方側の端部の上方に位置する第1排気口と、前記プラテンの前記主走査方向の他方側の端部の上方に位置する第2排気口と、を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記熱源は、前記記録媒体に吐出されたインクに向けて風を送る乾燥装置である、請求項1からのいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記インクは、紫外線硬化インクであり、
前記熱源は、前記記録媒体に吐出された紫外線硬化インクに向けて紫外線を照射する紫外線照射装置である、請求項1からのいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記プラテンより前記副走査方向の下流側に配置され、前記記録媒体の移動をガイドするガイド部材を備え、
前記熱源は、前記プラテンまたは前記ガイド部材を加熱するヒーターである、請求項1からのいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項10】
ベース部材と、
前記ベース部材に取り付けられたケースと、
前記ベース部材と前記ケースとによって区画された内部空間に配置され、記録媒体が載置されるプラテンと、
前記プラテンより上方に位置するように前記内部空間に配置され、主走査方向に移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、前記主走査方向と直交する副走査方向に搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクヘッドと、
前記内部空間の雰囲気温度を上昇させる熱源と、
前記熱源より上方に位置し、前記ケースに形成された排気口と、
前記排気口の側方に配置され、前記内部空間の空気を前記排気口から前記ケースの外部に排出させるファンと、
前記キャリッジに取り付けられ、前記インクヘッドを収容するキャリッジケースと、を備え、
前記キャリッジケースの上面は、前記ファンの上端より下方かつ前記ファンの下端より上方に位置し、
前記キャリッジケースの前記上面と前記上面の上方に位置する前記ケースの内壁との上下方向の距離は、前記ファンの上下方向の長さより短い、インクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット方式によって記録媒体に画像を印刷するインクジェットプリンタが知られている。この種のインクジェットプリンタは、例えば、記録媒体が載置されるプラテンと、プラテンに載置された記録媒体にインクを吐出するインクヘッドとを備えている。また、使用するインクの種類によっては、記録媒体に吐出されたインクに光を照射してインクを硬化させる光照射装置や、記録媒体に吐出されたインクの乾燥を促進させるヒーターやファン等の乾燥装置を備えたインクジェットプリンタも存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、記録媒体に吐出されたインクの乾燥を促進する手段としてヒーターによって暖められた空気を記録媒体に向けて送る乾燥装置を備えたインクジェットプリンタが開示されている。また、特許文献2には、光硬化性インクを硬化させる光を照射する光照射装置を備えたインクジェットプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-159482号公報
【文献】特開2020-142374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に示すような乾燥装置を備えたインクジェットプリンタでは、記録媒体に向けて送られた暖かい空気は、ケース等で囲われたプリンタの内部空間に滞留することがある。また、特許文献2に示すような光照射装置は、駆動時に熱が発生するため、発生した熱がプリンタの内部空間に滞留することがある。乾燥装置や光照射装置のような熱源から発生した熱がプリンタの内部空間に滞留するとプリンタの内部空間の雰囲気温度が過度に上昇することが起き得る。プリンタの内部空間にはインクヘッドが配置されているため、プリンタの内部空間の雰囲気温度が高すぎる場合には、インクヘッドの動作に不具合が発生し得る。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクヘッドが配置されたプリンタの内部空間の雰囲気温度の上昇を抑制することができるインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインクジェットプリンタは、ベース部材と、前記ベース部材に取り付けられたケースと、前記ベース部材と前記ケースとによって区画された内部空間に配置され、記録媒体が載置されるプラテンと、前記プラテンより上方に位置するように前記内部空間に配置され、主走査方向に移動可能なキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、前記主走査方向と直交する副走査方向に搬送される前記記録媒体にインクを吐出するインクヘッドと、前記内部空間の雰囲気温度を上昇させる熱源と、前記熱源より上方に位置し、前記ケースに形成された排気口と、前記排気口の側方に配置され、前記内部空間の空気を前記排気口から前記ケースの外部に排出させるファンと、を備えている。
【0008】
本発明のインクジェットプリンタによると、インクヘッドが配置される内部空間の雰囲気温度は、熱源によって上昇する。熱源により暖められた空気は内部空間内を上昇し、内部空間の上部に滞留する。ここで、ケースには熱源より上方に位置する排気口が形成され、排気口の側方にはファンが配置されている。そして、ファンは、内部空間の空気を排気口からケースの外部に排出させることができるため、熱源から内部空間に熱が加えられても内部空間において暖められた空気は滞留せず、内部空間の雰囲気温度の上昇を抑制することができる。即ち、内部空間の雰囲気温度の上昇によるインクヘッドの不具合の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インクヘッドが配置されたプリンタの内部空間の雰囲気温度の上昇を抑制することができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るプリンタの斜視図である。
図2】一実施形態に係るプリンタの正面図である。
図3図2中のA-Aに沿う断面図である。
図4】一実施形態に係るプリンタの平面図である。
図5】一実施形態に係るプリンタを後方から見たときの斜視図である。
図6】一実施形態に係るプリンタの背面図である。
図7】一実施形態に係る排気口およびその周辺の構造を示す斜視図である。
図8】一実施形態に係る吸気口およびその周辺の構造を示す斜視図である。
図9】他の一実施係形態に係るプリンタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」と称する)について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るプリンタ10を示す斜視図である。プリンタ10は、記録媒体5(図2参照)に印刷を行う。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。記録媒体5には、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類以外に、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリエステル等の樹脂材料から形成されたものや、アルミや鉄等から形成された金属板、ガラス板、木材板および段ボール等から形成されたものが含まれる。
【0013】
以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、作業者がプリンタ10の正面を向いているときにプリンタ10の後部から作業者に向かう方向を前方、作業者からプリンタ10の後部に向かう方向を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。後述するキャリッジ30(図2参照)は、左方および右方に移動可能に設けられている。プリンタ10の後側を上流側と称し、プリンタ10の前側を下流側としたとき、記録媒体5は、上流側から下流側に向けて搬送される。本実施形態では、キャリッジ30の移動方向を主走査方向Yといい、記録媒体5の搬送方向を副走査方向Xという。ここでは、主走査方向Yは左右方向に対応し、副走査方向Xは前後方向に対応する。主走査方向Yと副走査方向Xとは直交している。ただし、主走査方向Yおよび副走査方向Xは特に限定される訳ではなく、プリンタ10の形態等に応じて適宜に設定可能である。
【0014】
図1に示すように、プリンタ10は、ベース部材40(図2も参照)と、ケース42と、脚11と、操作パネル12と、を備えている。ベース部材40は、主走査方向Yに延びる。ケース42は、ベース部材40に取り付けられている。プリンタ10は、ベース部材40とケース42とによって区画された内部空間48(図3参照)を有する。ケース42は、主走査方向Yに延びる本体ケース43と、本体ケース43に回動可能に設けられたフロントカバー47とを有する。本体ケース43は、箱型状に形成されている。図3に示すように、フロントカバー47は、キャリッジ30より前方(即ち副走査方向Xの下流側)に配置されている。フロントカバー47は、例えば、透明なアクリル樹脂で形成されている。なお、図2では、フロントカバー47の図示を省略している。脚11は、ベース部材40を支持するものであり、ベース部材40の下面に設けられている。操作パネル12は、例えば本体ケース43の右側の前面に設けられている。ただし、操作パネル12の位置は特に限定されない。操作パネル12は、ユーザが印刷に関する操作を行うものである。図示は省略するが、操作パネル12には、例えば、解像度、インクの濃さなどの印刷に関する情報や、印刷中のプリンタ10のステータスなどが表示される表示部、および、印刷に関する情報を入力するための入力部などが備えられている。
【0015】
図1に示すように、本体ケース43は、上壁43Aと、前壁43Bと、左前カバー43Cと、右前カバー43Dと、第1後壁43Eと、第2後壁43F(図3参照)と、下壁43G(図3参照)と、右側サイドフレーム43H(図4参照)と、左側サイドフレーム43I(図4参照)とを含む。
【0016】
図1に示すように、上壁43Aは、主走査方向Yに延びる。上壁43Aは、ベース部材40の上方に位置する。上壁43Aは、後述するキャリッジケース34(図3参照)より上方に配置されている。前壁43Bは、上壁43Aの前端から前斜め下方に延びる。前壁43Bは、主走査方向Yに延びる。前壁43Bは、左前カバー43Cと右前カバー43Dとの間に位置する。フロントカバー47は、前壁43Bに回動可能に支持されている。
【0017】
図1に示すように、左前カバー43Cは、前壁43Bの左側部分の前端から前斜め下方に延びる。左前カバー43Cは、前壁43Bの前端を中心に開閉可能に構成されている。左前カバー43Cは、後述するプラテン16(図3参照)より左方に配置されている。右前カバー43Dは、上壁43Aの右側部分の前端から前斜め下方に延びる。右前カバー43Dは、上壁43Aの前端を中心に開閉可能に構成されている。右前カバー43Dは、プラテン16より右方に配置されている。
【0018】
図4に示すように、右側サイドフレーム43Hおよび左側サイドフレーム43Iは、副走査方向Xかつ上下方向に延びる。右側サイドフレーム43Hおよび左側サイドフレーム43Iは、ベース部材40に支持されている。右側サイドフレーム43Hおよび左側サイドフレーム43Iは、上壁43Aに接続している。右側サイドフレーム43Hは、プラテン16より右方に位置する。左側サイドフレーム43Iは、プラテン16より左方に位置する。右側サイドフレーム43Hは、第1側壁の一例である。左側サイドフレーム43Iは、第2側壁の一例である。
【0019】
図3に示すように、第1後壁43Eは、上壁43Aの後端から後斜め下方に延びる。第2後壁43F(図6も参照)は、第1後壁43Eの後端から下方に延びる。下壁43Gは、第1後壁43Eの下端から前方に延びる。第1後壁43E、第2後壁43Fおよび下壁43Gは、右側サイドフレーム43H(図4参照)および左側サイドフレーム43I(図4参照)の間に位置し、これらに接続している。第1後壁43E、第2後壁43Fおよび下壁43Gは、プラテン16より上方に位置する。第1後壁43Eは、プラテン16より後方(即ち副走査方向Xの上流側)に位置する。第1後壁43Eは、後述する上流側ガイド部材17より後方に位置する。
【0020】
図3に示すように、プリンタ10は、プラテン16を備えている。プラテン16は、内部空間48に配置されている。プラテン16は、ベース部材40上に配置されている。プラテン16は、ベース部材40の中央部に配置されている。プラテン16には、記録媒体5が載置される。記録媒体5への印刷は、プラテン16上で行われる。プラテン16は主走査方向Yに延びている。プラテン16は、上面16Aが平坦状に形成されている。
【0021】
図2に示すように、ベース部材40は、後述する乾燥装置50を支持する右アーム部14Rおよび左アーム部14Lを備えている。右アーム部14Rおよび左アーム部14Lは、プラテン16(図3参照)より前方に位置する。右アーム部14Rはプラテン16より右方に位置する。左アーム部14Lは、プラテン16より左方に位置する。右アーム部14Rおよび左アーム部14Lは、後述する補助ガイド部材15(図3参照)を支持する。
【0022】
図3に示すように、プリンタ10は、上流側ガイド部材17および下流側ガイド部材18および補助ガイド部材15を備えている。上流側ガイド部材17は、プラテン16より後方(即ち副走査方向Xの上流側)に配置されている。上流側ガイド部材17は、ベース部材40に支持されている。上流側ガイド部材17の上面17Aは後方から前方(即ち副走査方向Xの上流側から下流側)に向けて斜め上方に傾いている。上流側ガイド部材17は、例えば横断面円弧状に形成されている。上流側ガイド部材17は、プラテン16から離れるほど下方に向かうように湾曲している。上流側ガイド部材17は、記録媒体5の移動をガイドする。即ち、上流側ガイド部材17は、プラテン16への記録媒体5の移動をガイドする。
【0023】
図3に示すように、下流側ガイド部材18は、プラテン16より前方(即ち副走査方向Xの下流側)に配置されている。下流側ガイド部材18は、ベース部材40に支持されている。下流側ガイド部材18の上面18Aは後方から前方(即ち副走査方向Xの上流側から下流側)に向けて斜め下方に傾いている。下流側ガイド部材18は、例えば横断面円弧状に形成されている。下流側ガイド部材18は、プラテン16から離れるほど下方に向かうように湾曲している。下流側ガイド部材18は、記録媒体5の移動をガイドする。即ち、下流側ガイド部材18は、プラテン16からの記録媒体5の移動をガイドする。下流側ガイド部材は、ガイド部材の一例である。
【0024】
図3に示すように、補助ガイド部材15は、下流側ガイド部材18より前方(即ち副走査方向Xの下流側)かつ下方に配置されている。補助ガイド部材15は、右アーム部14R(図3参照)および左アーム部14Lに支持されている。補助ガイド部材15の上面15Aは後方から前方に向けて斜め下方に傾いている。補助ガイド部材15は、例えば横断面略U字状に形成されている。補助ガイド部材15は、下流側ガイド部材18から離れるほど下方に向かうように傾斜している。補助ガイド部材15は、記録媒体5の移動をガイドする。即ち、補助ガイド部材15は、下流側ガイド部材18からの記録媒体5の移動をガイドする。ここでは、下流側ガイド部材18および補助ガイド部材15は、プラテン16に載置された記録媒体5を巻き取る巻き取り装置19(図1参照)に記録媒体5をガイドする。
【0025】
図2に示すように、プリンタ10は、インクを吐出するインクヘッド35を備えている。インクヘッド35は、副走査方向Xに搬送される記録媒体5に水性インクを吐出する。インクヘッド35は、プラテン16より上方に配置されている。インクヘッド35は、後述するキャリッジ30に搭載されている。インクヘッド35は、内部空間48に配置されている。インクヘッド35は、主走査方向Yに移動可能に設けられている。本実施形態では、インクヘッド35は、図示しないインク供給路によって、インクカートリッジ37と接続されている。インクカートリッジ37は、例えば本体ケース43の左端部に着脱可能に配置されている。
【0026】
水性インクとして、例えば、ラテックスインクを好ましく用いることができる。ラテックスインクは、溶媒、色材およびバインダ樹脂を含む。ラテックスインクにおいて、バインダ樹脂は、溶媒に分散または乳濁している。溶媒としては、例えば、水や水と均一に混合し得る水溶性有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。ラテックスインクは、ラテックスインクの全質量に対して50質量%以上90質量%以下の溶媒を含む。色材としては、ラテックスインク中に含まれる従来の色材を適宜選択することができる。色材としては、例えば、水溶性染料等の染料や顔料等が挙げられる。バインダ樹脂としては、ラテックスインク中に含まれる従来のバインダ樹脂を適宜選択することができる。なお、インクヘッド35から吐出されるインクは、水性インクに限定されず、例えば、ソルベント系(溶剤系)顔料インク等であってもよい。
【0027】
図2に示すように、プリンタ10は、ヘッド移動機構31と、媒体搬送機構32とを備えている。ヘッド移動機構31は、プラテン16に載置された記録媒体5に対してインクヘッド35を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。本実施形態では、ヘッド移動機構31は、インクヘッド35を主走査方向Yに移動させる。ここでは、ヘッド移動機構31は、ガイドフレーム27と、ガイドレール20と、第1プーリ21と、第2プーリ22と、無端状のベルト23と、第1駆動モータ24と、キャリッジ30と、を有している。ガイドフレーム27は、主走査方向Yに延びる。ガイドフレーム27は、プラテン16より上方に配置されている。ガイドフレーム27は、左側サイドフレーム43Iおよび右側サイドフレーム43Hに支持されている。ガイドレール20は、ガイドフレーム27に取り付けられている。ガイドレール20は、キャリッジ30の主走査方向Yへの移動をガイドする部材である。図3に示すように、ガイドレール20は、内部空間48に配置されている。ガイドレール20は、プラテン16の上方に配置されている。ガイドレール20は、ベース部材40に設けられている。図2に示すように、ガイドレール20は、主走査方向Yに延びている。第1プーリ21は、ガイドレール20の左端部分に設けられている。第2プーリ22は、ガイドレール20の右端部分に設けられている。ベルト23は、第1プーリ21と第2プーリ22とに巻き掛けられている。本実施形態では、第2プーリ22には、第1駆動モータ24が接続されている。ただし、第1駆動モータ24は、第1プーリ21に接続されていてもよい。第1駆動モータ24が駆動して、第2プーリ22が回転することで、第1プーリ21と第2プーリ22との間においてベルト23が走行する。
【0028】
図3に示すように、キャリッジ30は、プラテン16より上方に位置するように内部空間48に配置されている。キャリッジ30は、ガイドレール20に係合しており、ガイドレール20に摺動自在に設けられている。図2に示すように、キャリッジ30は、ベルト23に取り付けられている。キャリッジ30には、インクヘッド35が搭載されている。本実施形態では、ヘッド移動機構31は、第1駆動モータ24の駆動によってベルト23が走行して、キャリッジ30が主走査方向Yに移動することに伴い、キャリッジ30に搭載されたインクヘッド35を主走査方向Yに移動させる。また、キャリッジ30が主走査方向Yに移動することによって、内部空間48の空気が撹拌される。
【0029】
図3に示すように、キャリッジ30には、キャリッジケース34が取り付けられている。キャリッジケース34は、インクヘッド35を収容する。キャリッジケース34は、本体ケース43の上壁43Aと略平行に延設される平坦面で構成される上面34Aと、上面34Aの前端(即ち副走査方向Xの下流側の端部)から前斜め下方に傾斜する上部前面34Bと、上部前面34Bから下方に延びる下部前面34Cと、を有する。キャリッジケース34の上面34Aと本体ケース43の上壁43Aの内壁との間には上下方向に距離L1の隙間が形成されている。キャリッジケース34の上面34Aは、後述する排気用ファン62の上端62Tより下方かつ排気用ファン62の下端62Bより上方に位置する。
【0030】
媒体搬送機構32は、プラテン16に載置された記録媒体5をインクヘッド35に対して相対的に副走査方向Xに移動させるものである。ここでは、媒体搬送機構32は、プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向Xに移動させる。なお、媒体搬送機構32の構成は特に限定されない。図3に示すように、本実施形態では、媒体搬送機構32は、グリットローラ25と、ピンチローラ26と、グリットローラ25を駆動する第2駆動モータ(図示せず)とを有している。グリットローラ25は、プラテン16に設けられている。ここでは、グリットローラ25の少なくとも一部はプラテン16に埋設されている。ピンチローラ26は、記録媒体5を上から押さえつけるものである。ピンチローラ26は、グリットローラ25の上方に配置されている。ピンチローラ26は、グリットローラ25と対向する位置に設けられている。ピンチローラ26は、上下方向に移動可能に構成されている。グリットローラ25とピンチローラ26との間に記録媒体5が挟まれた状態で、第2駆動モータが駆動してグリットローラ25が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。なお、グリットローラ25およびピンチローラ26のそれぞれの設置位置および数は特に限定されない。
【0031】
図3に示すように、プリンタ10は、プラテン16を加熱する第1ヒーター28を備えている。第1ヒーター28は、内部空間48の雰囲気温度を上昇させる熱源の一例である。第1ヒーター28は、プラテン16を加熱することによって記録媒体5を加熱する。これにより、記録媒体5に吐出されたインクの乾燥を促進することができる。第1ヒーター28は、プラテン16の裏面に配置されている。第1ヒーター28は、例えば、ニクロム線や鉄クロム線等の電熱線である。第1ヒーター28で発生した熱は、図3の矢印FAに示すように、キャリッジケース34の上方に拡散する。
【0032】
図1に示すように、プリンタ10は、乾燥装置50を備えている。乾燥装置50は、記録媒体5に吐出されたインクを乾燥させる装置である。乾燥装置50は、プラテン16に載置された記録媒体5に向けて温風を送る。乾燥装置50は、下流側ガイド部材18および補助ガイド部材15によってガイドされる記録媒体5に向けて風を送る。図3に示すように、乾燥装置50は、ガイドレール20より前方(即ち副走査方向Xの下流側)に配置されている。乾燥装置50は、プラテン16より前方に配置されている。乾燥装置50は、下流側ガイド部材18および補助ガイド部材15に対向する。乾燥装置50は、右アーム部14R(図1参照)および左アーム部14Lに着脱可能に設けられている。乾燥装置50は、内部空間48の雰囲気温度を上昇させる熱源の一例である。
【0033】
図3に示すように、乾燥装置50は、主走査方向Yに延びるケース部材51(図1も参照)と、ケース部材51に設けられた吸気用ファン52と、第2ヒーター53と、を備えている。ケース部材51は、ケース部材51の後部に形成された吸引口54と、ケース部材51の後部に形成された排出口55と、を備えている。
【0034】
図3に示すように、吸引口54は、ケース部材51の後部に形成されている。吸引口54は、下流側ガイド部材18に向けて開口する。吸引口54は、ケース部材51の幅方向に延びる矩形状に形成されている。吸引口54は、ケース部材51の外部とケース部材51の内部とを連通する。吸引口54は、ケース部材51の外部の空気をケース部材51の内部に取り入れる。
【0035】
図3に示すように、排出口55は、ケース部材51の後部に形成されている。排出口55は、下流側ガイド部材18および補助ガイド部材15に向けて開口する。ケース部材51の後部は、多数の円形状の孔を有する部材、例えば、パンチングメタル等で形成されており、排出口55は、これらの多数の円形状の孔で構成されている。排出口55は、吸引口54と連通している。排出口55は、ケース部材51の内部とケース部材51の外部とを連通する。排出口55は、吸引口54より下方に配置されている。排出口55は、吸引口54より前方(即ち副走査方向Xの下流側)に配置されている。
【0036】
図3に示すように、吸気用ファン52はケース部材51の内部に配置されている。吸気用ファン52は、吸引口54と第2ヒーター53との間に位置する。吸気用ファン52は、吸引口54から空気を吸引して第2ヒーター53を介して排出口55から下流側ガイド部材18および補助ガイド部材15に向けて(ここでは後斜め下方に向けて)空気を排出させるように構成されている。
【0037】
図3に示すように、第2ヒーター53は、ケース部材51の内部に設けられている。本実施形態では、上下方向に並ぶ2つの第2ヒーター53がケース部材51の内部に配置されている。第2ヒーター53は、主走査方向Yに延びる。第2ヒーター53は、吸気用ファン52によって送られる空気を加熱する。第2ヒーター53は、例えば、シーズヒーターである。
【0038】
次に、乾燥装置50の空気の流れについて説明する。まず、図3の矢印FB1に示すように、吸気用ファン52は吸引口54から吸引した空気を第2ヒーター53に向けて流す。第2ヒーター53によって加熱された空気は、図3の矢印FB2に示すように、複数の排出口55から下流側ガイド部材18および補助ガイド部材15に向けて流れる。下流側ガイド部材18および補助ガイド部材15にガイドされる記録媒体5に到達した空気は、図3の矢印FB3に示すように上昇気流によって上方へと流れる。第2ヒーター53によって暖められた空気の一部は吸引口54に流れ込み、他の一部は図3の矢印FB4に示すようにキャリッジケース34の上方へと流れる。
【0039】
図1に示すように、プリンタ10は、ケース42に形成された排気口60を備えている。より詳細には、排気口60は、本体ケース43の第1後壁43Eに形成されている。排気口60は、第1後壁43Eを貫通する。プリンタ10の内部空間48の空気は、排気口60からケース42の外部に排出される。図3に示すように、排気口60は、後方(即ち副走査方向Xの上流側)に向けて開口している。より詳細には、排気口60は、後斜め上方に向けて開口している。排気口60は、乾燥装置50より上方に位置する。排気口60は、第1ヒーター28より上方に位置する。排気口60は、ガイドレール20より後方に位置する。排気口60は、上流側ガイド部材17より後方に位置する。排気口60の少なくとも一部は、キャリッジケース34の上面34Aより上方に位置する。図6に示すように、排気口60は、背面視(即ち副走査方向Xの上流側から下流側を見たとき)に、プラテン16の右側の端部の上方に位置する第1排気口60Rと、プラテン16の左側の端部の上方に位置する第2排気口60Lと、を含む。第1後壁43Eには、複数の第1排気口60Rおよび複数の第2排気口60Lが形成されている。図4に示すように、第1排気口60Rは、右側サイドフレーム43Hより左方に位置する。第2排気口60Lは、左側サイドフレーム43Iより右方に位置する。第1排気口60Rおよび第2排気口60Lは、例えば、矩形状に形成されている。なお、第1排気口60Rおよび第2排気口60Lの形状は、特に限定されない。
【0040】
図3に示すように、プリンタ10は、排気用ファン62を備えている。排気用ファン62は、排気口60の側方に配置されている。本実施形態では、排気用ファン62は、排気口60の前方(即ち副走査方向Xの下流側)に配置されている。図4に示すように、排気用ファン62は、第1排気口60Rおよび第2排気口60Lのそれぞれの前方に配置されている。図3に示すように、排気用ファン62は、ガイドレール20より後方(即ち副走査方向Xの上流側)に配置されている。排気用ファン62は、上流側ガイド部材17より後方に配置されている。排気用ファン62は、内部空間48の空気を排気口60(即ち第1排気口60Rおよび第2排気口60L)からケース42の外部に排出させる。排気用ファン62は、右側サイドフレーム43Hおよび左側サイドフレーム43Iにそれぞれ支持されている。本実施形態では、排気用ファン62は、右側サイドフレーム43Hおよび左側サイドフレーム43Iにそれぞれ設けられた後述するダクト64に固定されている。なお、排気用ファン62は、右側サイドフレーム43Hおよび左側サイドフレーム43Iに直接的に支持されていてもよい。排気用ファン62の上下方向の長さをL2としたとき、キャリッジケース34の上面34Aと上面34Aの上方に位置する本体ケース43の上壁43Aの内壁との上下方向の距離L1は長さL2より短い。排気用ファン62は、ファンの一例である。
【0041】
図3に示すように、プリンタ10は、排気口60に連通するダクト64を備えている。図7に示すように、ダクト64は、排気口60と対向する位置に配置されている。ダクト64の前方(即ち副走査方向Xの下流側)には、排気用ファン62が配置されている。ダクト64は、排気用ファン62と排気口60とを連通する。即ち、排気用ファン62は、ダクト64を介して排気口60から内部空間48の空気をケース42の外部に排出することができる。
【0042】
図3に示すように、プリンタ10は、ケース42に形成された吸気口66を備えている。ケース42の外部の空気は、吸気口66からプリンタ10の内部空間48に取り入れられる。吸気口66は、排気口60より下方に位置する。吸気口66は、ガイドレール20より後方に位置する。吸気口66は、上流側ガイド部材17より後方に位置する。吸気口66の一部は、プラテン16の上面16Aより下方に位置する。吸気口66は、本体ケース43の右側サイドフレーム43H(図8参照)に形成された複数の第1吸気口66Rと、左側サイドフレーム43Iに形成された複数の第2吸気口66Lとを含む。図8に示すように、第1吸気口66Rは、左方に向けて開口している。第1吸気口66Rは、右側サイドフレーム43Hを貫通する。図3に示すように、第2吸気口66Lは、右方に向けて開口している。第2吸気口66Lは、左側サイドフレーム43Iを貫通する。第1吸気口66Rおよび第2吸気口66Lは、例えば、矩形状に形成されている。なお、第1吸気口66Rおよび第2吸気口66Lの形状は、特に限定されない。
【0043】
図4に示すように、プリンタ10は、本体ケース43の右側サイドフレーム43Hの側方かつ内部空間48に配置された回路基板70を備えている。回路基板70は、右側サイドフレーム43Hの右方に配置されている。回路基板70は、右側サイドフレーム43Hに形成された第1吸気口66R(図8参照)から取り入れられた空気が通過する位置に配置されている。回路基板70には、それぞれ回路が形成されており、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器からデータ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROMと、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAMと、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置等と、が設けられている。回路基板70は、プリンタ10による記録媒体5への印刷を制御する。
【0044】
次に、プリンタ10の全体の空気の流れについて説明する。ケース42の外部の空気は、吸気口66から取り入れられて内部空間48に流れる。本実施形態では、図4の矢印FC1に示すように、ケース42の外部の空気は第2吸気口66L(図3参照)から内部空間48に取り入れられる。また、図4の矢印FC2に示すように、ケース42の外部の空気は第1吸気口66R(図8参照)から内部空間48に取り入れられる。第1吸気口66Rから取り入れられた空気は、回路基板70を通過する。吸気口66から取り入れられたケース42の外部の空気は、プラテン16に向かって流れた後キャリッジケース34の上方へと流れる。また、乾燥装置50から排出された空気の一部は、図3の矢印FB4に示すようにキャリッジケース34の上方へと流れる。さらに、第1ヒーター28で発生した熱は、図3の矢印FAに示すように、キャリッジケース34の上方に拡散する。キャリッジケース34の上方に滞留する暖められた空気は、図3の矢印FDに示すように、排気用ファン62によって排気口60を介してケース42の外部に排出される。
【0045】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、インクヘッド35が配置される内部空間48の雰囲気温度は、乾燥装置50および第1ヒーター28によって上昇する。乾燥装置50および第1ヒーター28により暖められた空気は内部空間48内を上昇し、内部空間48の上部に滞留する。ここで、ケース42には乾燥装置50および第1ヒーター28より上方に位置する排気口60が形成され、排気口60の側方には排気用ファン62が配置されている。そして、排気用ファン62は、内部空間48の空気を排気口60からケース42の外部に排出させることができるため、乾燥装置50および第1ヒーター28から内部空間48に熱が加えられても内部空間48において暖められた空気は滞留せず、内部空間48の雰囲気温度の上昇を抑制することができる。即ち、内部空間48の雰囲気温度の上昇によるインクヘッド35の不具合の発生を抑制することができる。
【0046】
本実施形態のプリンタ10では、排気口60は、ガイドレール20より副走査方向Xの上流側に位置し、乾燥装置50は、ガイドレール20より副走査方向Xの下流側に位置する。これにより、内部空間48における空気の流れがスムーズになるため、効率よく内部空間48の空気をケース42の外部に排出することができる。
【0047】
本実施形態のプリンタ10では、排気口60より下方に位置するようにケース42に形成され、ケース42の外部の空気を内部空間48に取り入れる吸気口66を備えている。これにより、内部空間48の空気がよりスムーズに流れて排気口60から内部空間48の暖められた空気をより効果的に排出することができると共に、内部空間48内の雰囲気温度を常温に近い温度に保つことができる。
【0048】
本実施形態のプリンタ10では、ケース42は、プラテン16より主走査方向Yの一方側(ここでは右側)に位置しかつ副走査方向Xおよび上下方向に延びる右側サイドフレーム43Hと、プラテン16より主走査方向Yの他方側(ここでは左側)に位置しかつ副走査方向Xおよび上下方向に延びる左側サイドフレーム43Iと、を備えている。吸気口66は、右側サイドフレーム43Hおよび左側サイドフレーム43Iにそれぞれ形成されている。これにより、内部空間48のより広範囲にケース42の外部の空気を取り入れることができるため、内部空間48の雰囲気温度の上昇を抑制することができる。
【0049】
本実施形態のプリンタ10では、回路基板70は、右側サイドフレーム43Hに形成された第1吸気口66Rから取り入れられた空気が通過する位置に配置されている。これにより、回路基板70を外部の空気によって冷やすことができると共に、回路基板70で発生した熱を乾燥装置50および第1ヒーター28から生じた熱と共に排気口60からケース42の外部に排出することができる。
【0050】
本実施形態のプリンタ10では、キャリッジケース34の上面34Aと上面34Aの上方に位置するケース42の内壁との上下方向の距離L1は、排気用ファン62の上下方向の長さL2より短い。このように、キャリッジケース34の上面34Aからケース42の内壁までの距離が比較的小さいことで、キャリッジ30が主走査方向Yに移動する際に、キャリッジケース34の上面34A周辺の空気が撹拌される。これにより、内部空間48の暖められた空気が部分的に滞留することがさらに抑制され、内部空間48の暖められた空気をケース42の外部に排出することができる。
【0051】
本実施形態のプリンタ10では、排気口60は、背面視で、プラテン16の主走査方向Yの一方側の端部(ここでは右側の端部)の上方に位置する第1排気口60Rと、プラテン16の主走査方向Yの他方側の端部(ここでは左側の端部)の上方に位置する第2排気口60Lと、を含む。これにより、効率よく内部空間48の空気をケース42の外部に排出することができる。
【0052】
本実施形態のプリンタ10では、熱源は、記録媒体5に吐出されたインクに向けて風を送る乾燥装置50である。乾燥装置50からは比較的高温の風が排出されるため内部空間48の雰囲気温度が上昇しやすいが、内部空間48の暖められた空気を排気口60から排出することができるため、内部空間48の雰囲気温度の上昇を抑制することができる。
【0053】
本実施形態のプリンタ10では、熱源は、プラテン16を加熱する第1ヒーター28である。第1ヒーター28から発生する熱によって内部空間48の雰囲気温度が上昇し得るが、内部空間48の暖められた空気を排気口60から排出することができるため、内部空間48の雰囲気温度の上昇を抑制することができる。
【0054】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態に係るプリンタ110を示す斜視図である。プリンタ110は、紫外線硬化インクを使用するいわゆるUVプリンタである。インクヘッド35は、副走査方向Xに搬送される記録媒体5に紫外線硬化インクを吐出する。紫外線硬化インクは、紫外線が照射されることによって硬化するインクである。プリンタ110は、記録媒体5に吐出された紫外線硬化インクに向けて紫外線を照射する紫外線照射装置120を備えている。紫外線照射装置120は、紫外線を照射するLEDを備えている。紫外線照射装置120は、キャリッジ30に搭載されている。本実施形態では、紫外線照射装置120は、インクヘッド35より右方に配置されている。紫外線照射装置120は、内部空間48の雰囲気温度を上昇させる熱源の一例である。紫外線照射装置120で発生した熱は、図9の矢印FEに示すように、キャリッジケース34の上方に拡散する。なお、プリンタ110は、紫外線照射装置120から照射された紫外線がケース42の外部に漏れることを抑制する光漏れ抑制カバー130を備えている。
【0055】
図9に示すように、プリンタ110は、下流側ガイド部材18を加熱する第3ヒーター128を備えている。第3ヒーター128は、内部空間48の雰囲気温度を上昇させる熱源の一例である。第3ヒーター128は、下流側ガイド部材18を加熱することによって記録媒体5を加熱する。これにより、記録媒体5に吐出された紫外線照射インクの乾燥を促進することができる。第3ヒーター128は、下流側ガイド部材18の裏面に配置されている。第3ヒーター128は、例えば、ニクロム線や鉄クロム線等の電熱線である。第3ヒーター128で発生した熱は、図9の矢印FFに示すように、キャリッジケース34の上方に拡散する。プリンタ110では、キャリッジケース34の上方に滞留する暖められた空気は、図9の矢印FDに示すように、排気用ファン62によって排気口60を介してケース42の外部に排出される。
【0056】
本実施形態のプリンタ110では、熱源は、記録媒体5に吐出された紫外線硬化インクに向けて紫外線を照射する紫外線照射装置120である。紫外線照射装置120から発生する熱によって内部空間48の雰囲気温度が上昇し得るが、内部空間48の暖められた空気を排気口60からケース42の外部に排出することができるため、内部空間48の雰囲気温度の上昇を抑制することができる。
【0057】
本実施形態のプリンタ110では、熱源は、下流側ガイド部材18を加熱する第3ヒーター128である。第3ヒーター128から発生する熱によって内部空間48の雰囲気温度が上昇し得るが、内部空間48の暖められた空気を排気口60からケース42の外部に排出することができるため、内部空間48の雰囲気温度の上昇を抑制することができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0059】
上述した実施形態では、排気口60は、ケース42の第1後壁43Eに形成されていたが、これに限定されない。排気口60は、ケース42の第2後壁43Fに形成されていてもよいし、ケース42の上壁43Aに形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0060】
5 記録媒体
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
16 プラテン
20 ガイドレール
28 第1ヒーター(熱源)
30 キャリッジ
34 キャリッジケース
35 インクヘッド
40 ベース部材
42 ケース
48 内部空間
50 乾燥装置(熱源)
60 排気口
62 排気用ファン(ファン)
66 吸気口
70 回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9