(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
H04W 12/50 20210101AFI20250206BHJP
H04W 12/47 20210101ALI20250206BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20250206BHJP
H04W 4/80 20180101ALI20250206BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20250206BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20250206BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20250206BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20250206BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20250206BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H04W12/50
H04W12/47
H04W76/10
H04W4/80
H04W84/10 110
H04M1/00 Q
G06K19/07 230
G06K19/06 037
G06K19/06 112
G06K7/10 252
G06K7/14 017
G06K7/10 464
(21)【出願番号】P 2021064593
(22)【出願日】2021-04-06
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(72)【発明者】
【氏名】内田 優雨
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-258906(JP,A)
【文献】特開2010-268266(JP,A)
【文献】特開2019-114860(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0273820(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0048729(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0123941(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04M 1/00
G06K 19/07
G06K 19/06
G06K 7/10
G06K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理端末との間で近距離無線通信を行う第1通信部と、
前記近距離無線通信を介して前記情報処理端末と接続するための第1接続情報を記憶する第1記憶部と、
前記近距離無線通信を介して自己と接続するための第2接続情報を出力する第1出力部と、
前記第2接続情報の出力を制御する第1制御部と、を備え、
前記第1制御部は、前記情報処理端末により前記近距離無線通信を介して送信された前記第1接続情報が前記第1記憶部に記憶されていない場合、前記第1出力部から前記第2接続情報を出力させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記第1通信部が前記情報処理端末から前記近距離無線通信の電波を受信していない場合、前記第1出力部から前記第2接続情報を出力させることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1出力部は、二次元コードを出力する表示部を備え、
前記第1制御部は、前記第2接続情報を前記第1出力部に出力させる場合、前記第2接続情報を前記二次元コードとして前記表示部に出力させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1出力部は、非可聴音を出力する音出力部を備え、
前記第1制御部は、前記第2接続情報を前記第1出力部に出力させる場合、前記第2接続情報を前記非可聴音として前記音出力部に出力させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置と、前記情報処理端末と、を備えた情報処理システムであって、
前記情報処理端末は、
前記情報処理装置との間で前記近距離無線通信を行う第2通信部と、
前記第1出力部に出力された前記第2接続情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記第2接続情報に基づいて、前記情報処理装置との間の前記近距離無線通信の設定を行う第2制御部と、
前記情報処理装置との間で前記近距離無線通信の設定が行われた場合、前記取得部が取得した前記第2接続情報を記憶する第2記憶部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信の通信接続に関する技術に関し、特に利用者が携行する情報処理端末とペアリングを促進させる情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムにおいて、利用者が携行するスマートフォンなどの情報処理端末と、ナビゲーション装置などの情報処理装置とを無線通信を利用した情報連携が進展している。
【0003】
スマートフォンと、ナビゲーション装置とは、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fiに代表される近距離無線通信で接続される。情報処理装置と情報処理端末とは、Bluetooth(登録商標)などで接続する場合、互いの設定情報を登録するペアリング処理が行われる。情報処理装置と情報処理端末とは、ペアリング処理により、誤接続の防止、若しくはセキュリティ向上の認証を行う。
【0004】
しかしながら、情報処理装置と情報処理端末とは、ペアリング処理の仕組みによって、ユーザに対して複雑な手順を要求する場合がある。そのため、ユーザが情報処理端末と情報処理装置とを通信接続させて、情報連携を十分に活用しているとは言えなかった。
【0005】
ところで、二次元バーコードを携帯端末から読み取り、セッションレスの状態でサーバと連携させて、サービスを行う構成が知られている(特許文献1)。特許文献1では、情報処理端末と情報処理装置とのペアリング処理を行う情報処理システムについて開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、その課題は、比較的簡単な方法で、情報処理端末と情報処理装置との通信接続の利用を促進させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、本開示の情報処理装置は、第1通信部と、第1記憶部と、第1出力部と、第1制御部と、を備える。上記第1通信部は、情報処理端末との間で近距離無線通信を行う。上記第1記憶部は、上記近距離無線通信を介して上記情報処理端末と接続するための第1接続情報を記憶する。上記第1出力部は、上記近距離無線通信を介して自己と接続するための第2接続情報を出力する。上記第1制御部は、上記第2接続情報の出力を制御する。上記第1制御部は、上記情報処理端末により上記近距離無線通信を介して送信された上記第1接続情報が上記第1記憶部に記憶されていない場合、上記第1出力部から上記第2接続情報を出力させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、比較的簡単な方法で、情報処理端末と情報処理装置との通信接続の利用を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態に係る情報処理システムの概略構成図である。
【
図2A】一実施の形態に係る情報処理システムの二次元コードに含まれる情報の構成を示す模式図である。
【
図2B】一実施の形態に係る情報処理システムの第1接続情報の構成を示す模式図である。
【
図2C】一実施の形態に係る情報処理システムの第2接続情報の構成を示す模式図である。
【
図3】一実施の形態に係る情報処理システムの第1ペアリング処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】一実施の形態に係る情報処理システムの第2ペアリング処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<情報処理システム10の構成>
実施の形態に係る情報処理システム10の構成を
図1に示す。情報処理システム10は、情報処理装置2と、情報処理端末3と、を備える。情報処理装置2は、例えば、車両1に搭載されている。車両1は、例えば、自動車、オートバイが挙げられる。情報処理装置2は、例えば、ナビゲーション装置が挙げられる。情報処理端末3は、利用者が車両1内に携行する端末である。情報処理端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、若しくはノートパソコンが挙げられる。情報処理システム10において、情報処理装置2と情報処理端末3とは、近距離無線通信ネットワーク4を介して、お互いに通信することができるように構成されている。近距離無線通信ネットワーク4は、例えば、Bluetooth(登録商標)を利用したネットワークが挙げられる。
【0012】
情報処理システム10では、情報処理装置2が出力した二次元コード25を情報処理端末3が読み取るだけで情報処理装置2と情報処理端末3のペアリング処理が自動的に完了するように構成されている。この結果、情報処理システム10は、利用者が、複雑な接続手順を踏むことなく、比較的簡単に情報処理装置2と情報処理端末3との通信接続の設定を行うことができる。
【0013】
・情報処理装置2
情報処理装置2は、第1通信部21と、第1入出力部22と、第1記憶部23と、第1制御部24と、を備える。以下では、情報処理装置2を車載ナビゲーション装置として説明する。
【0014】
第1通信部21は、情報処理端末3と近距離無線通信ネットワーク4を介して相互に通信できるように構成されている。第1通信部21は、近距離無線通信の電波を情報処理端末3に送信することができる。第1通信部21は、情報処理端末3から近距離無線通信の電波を受信することができる。
【0015】
第1入出力部22は、情報を入出力するためのインターフェースである。第1入出力部22は、入力装置と、出力装置とを備えている。入力装置は、例えば、リモートコントローラ、タッチパネル、若しくはマイクが挙げられる。出力装置は、例えば、ディスプレイ、若しくはスピーカが挙げられる。ディスプレイは、例えば、液晶表示装置、EL(Electro Luminescence)表示装置が挙げられる。第1入出力部22は、例えば、ナビゲーションの検索に関する情報が入力される。第1入出力部22は、例えば、車両1の位置、地図及び目的地までの経路案内に関する案内情報が出力される。
【0016】
また、第1入出力部22は、二次元コード25を出力するインターフェースである。例えば、二次元コード25は出力装置から出力される。出力装置は、二次元コード25が表示される表示装置である。二次元コード25は、例えば、マトリックス式のQRコード(登録商標)が好ましい。二次元コード25は、QRコード(登録商標)だけに限定されるものではない。他の二次元コードでも適用可能であり、マトリックス式の他の種類の二次元コードやスタック式の二次元コードでもよい。二次元コード25には、
図2Aに示すように、例えば、情報処理装置2のアドレス、情報処理装置2が生成した公開鍵が含まれる。情報処理装置2のアドレスは、例えば、MAC(Media Access Control address)アドレス、BD(Bluetooth device address)アドレスが挙げられる。
【0017】
第1記憶部23は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Read Access Memory)、若しくはHDD(Hard Disk Unit)で構成される。第1記憶部23は、例えば、地図情報を記憶する。
【0018】
第1記憶部23は、情報処理端末3から送信された接続情報に基づいて、第1接続情報26を記憶する。第1接続情報26には、例えば、
図2Bに示すように、情報処理端末3のアドレス、情報処理端末3で生成された公開鍵が含まれる。情報処理端末3のアドレスは、例えば、MAC(Media Access Control address)アドレス、BD(Bluetooth device address)アドレスが挙げられる。第1接続情報26は、情報処理装置2と情報処理端末3とのペアリング処理に際して、情報処理端末3が送信した近距離無線の電波に含まれている接続情報である。ペアリング処理において情報処理装置2と情報処理端末3とがお互いの認証に成功した場合、情報処理装置2は、第1接続情報26を第1記憶部23に記憶させるように構成されている。情報処理装置2は、第1接続情報26を第1記憶部23に記憶させた後、情報処理端末3との通信接続に第1接続情報26を用いる。
【0019】
第1制御部24は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリから構成される。第1制御部24は、第1通信部21、第1入出力部22及び第1記憶部23の制御を行うことができるように構成されている。第1制御部24は、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納を行うことにより、各種処理を実行する。例えば、第1制御部24は、ナビゲーションに関する処理を実行する。また、第1制御部24は、情報処理端末3との通信接続に際して、ペアリング処理を実行する。
【0020】
なお、第1記憶部23には、情報処理装置2の第1制御部24の機能を実現するための第1プログラムが記憶されている。第1プログラムは、例えば、情報処理装置2のROM(Read Only Memory)、RAM(Read Access Memory)、若しくはHDD(Hard Disk Unit)で構成される記憶装置に格納される。第1プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optical Disk)ディスク、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)が挙げられる。情報処理装置2において実行される第1プログラムは、通信ネットワークを介して配信されてもよい。
【0021】
・情報処理端末3
情報処理端末3は、第2通信部31と、第2入出力部32と、第2記憶部33と、第2制御部34と、を備える。以下では、情報処理端末3をスマートフォンとして説明する。
【0022】
第2通信部31は、近距離無線通信ネットワーク4を介して、情報処理装置2と相互に通信できるように構成されている。第2通信部31は、近距離無線通信の電波を情報処理装置2に送信することができるように構成されている。第2通信部31は、情報処理装置2から近距離無線通信の電波を受信することができるように構成されている。
【0023】
第2入出力部32は、情報を入出力するためのインターフェースである。第2入出力部23は、端末入力装置と、端末出力装置とを備えている。端末入力装置は、例えば、タッチパネル、カメラ、マイクが挙げられる。端末出力装置は、例えば、ディスプレイ、スピーカで構成される。ディスプレイは、例えば、液晶表示装置、EL(Electro Luminescence)表示装置が挙げられる。カメラは、情報処理装置2の表示装置に出力された二次元コード25を読み取ることができるように構成されている。つまり、第2入出力部32は、二次元コード25が示す情報を取得する取得部でもある。
【0024】
第2記憶部33は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Read Access Memory)、若しくはHDD(Hard Disk Unit)で構成される。第2記憶部33は、第2接続情報35を記憶する。また、第2記憶部33は、プログラム36を記憶する。プログラム36は、第2プログラムともいう。
【0025】
第2接続情報35には、例えば、
図2Cに示すように、情報処理装置2のアドレスと、情報処理装置2が生成した公開鍵とが含まれる。情報処理装置2のアドレスは、例えば、MAC(Media Access Control address)アドレス、BD(Bluetooth device address)アドレスが挙げられる。つまり、第2接続情報35は、情報処理端末3のカメラにより読み取られた二次元コード25に含まれる情報である。ペアリング処理において情報処理装置2と情報処理端末3とがお互いの認証に成功した場合、情報処理端末3は、第2接続情報35を第2記憶部33に記憶させた後、情報処理装置2との通信接続に第2接続情報35を用いる。
【0026】
プログラム36は、例えば、情報処理装置2との近距離無線通信を介した通信接続の設定を容易にするための専用アプリケーションプログラムである。プログラム36は、例えば、カメラを起動させて二次元コード25を撮像し、撮像した二次元コード25に含まれる情報、つまり情報処理装置2のアドレス及び情報処理装置2の公開鍵を取得するように構成されている。プログラム36は、例えば、近距離無線通信の機能を起動させ、情報処理端末3で生成した公開鍵を、二次元コード25に含まれていた情報処理装置2のアドレスに従って情報処理装置2に送信して、ペアリング処理を実行するように構成されている。
【0027】
第2制御部34は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリから構成される。第2制御部34は、第2通信部31、第2入出力部32及び第2記憶部33の制御を行うことができるように構成されている。第2制御部34は、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納を行うことにより、各種処理を実行する。例えば、第2制御部34は、プログラム36を実行することにより、二次元コード25に含まれる情報を取得し、情報処理装置2との通信接続に際して、ペアリング処理を実行する。
【0028】
プログラム36は、例えば、情報処理端末3のROM(Read Only Memory)、RAM(Read Access Memory)、若しくはHDD(Hard Disk Unit)で構成される記憶装置に格納される。プログラム36は、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optical Disk)ディスク、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)が挙げられる。プログラム36は、通信ネットワークを介して配信されてもよい。
【0029】
<情報処理システム10の動作>
次に、情報処理システム10のペアリング処理について、
図3及び
図4を用いて説明する。情報処理装置2が実行するペアリング処理の流れを、
図3に示すフローチャートで説明する。情報処理端末3が実行するペアリング処理の流れを、
図4に示す示すフローチャートで説明する。以下、情報処理装置2が実行するペアリング処理を第1ペアリング処理といい、情報処理端末3が実行するペアリング処理を第2ペアリング処理という。また、フローチャートのステップをSで示す。なお、前提として、情報処理端末3は、プログラム36が起動している状態にある。
【0030】
・第1ペアリング処理
第1ペアリング処理は、情報処理装置2が起動した場合、及び起動後は定期的に所定の時間間隔で実行される処理である。
【0031】
情報処理装置2は、
図3に示すように、情報処理端末3が発信している近距離無線通信の電波を受信したか否かを判定する(S10)。情報処理装置2は、(1)近距離無線通信の電波を受信しなかった場合(S10:NO)、又は(2)近距離無線通信の電波を受信しているが(S10:YES)、受信した電波に含まれる情報と同一の第1接続情報26を第1記憶部23に有していない場合(S20:NO)、二次元コード25を表示するための処理を実行する(S30~S50)。上記(1)近距離無線通信の電波を受信しなかった場合、及び(2)近距離無線通信の電波を受信しているが、受信した電波に含まれる情報と同一の第1接続情報26を第1記憶部23に有していないの場合を、以下、二次元コード表示条件が成立した場合という。つまり、情報処理装置2は、二次元コード表示条件が成立した場合、公開鍵を生成し(S30)、情報処理装置2のアドレス、及び生成した公開鍵を含む二次元コード25を生成し(S40)、生成した二次元コード25を第1入出力部22の表示装置に表示する(S50)。
【0032】
ここで、(1)近距離無線通信の電波を受信しなかった場合とは、例えば、利用者が車両1の車内において、携行した情報処理端末3の近距離無線の機能を停止している場合が挙げられる。(2)近距離無線通信の電波を受信しているが、受信した電波に含まれる情報と同一の第1接続情報26を第1記憶部23に有していない場合とは、利用者が車両1の車内において、携行した情報処理端末3の近距離無線の機能を起動させているが、当該車両1にこの情報処理端末3を初めて携行した場合が挙げられる。
【0033】
情報処理装置2は、二次元コード25を表示した後、情報処理端末3が送信している近距離無線通信の電波に基づいて、情報処理端末3が生成した公開鍵を受信したか否かを判定する(S60)。なお、二次元コード25を読み込んだ情報処理端末3が送信している近距離無線通信の電波には、情報処理端末3のアドレス、及び情報処理端末3が生成した公開鍵が含まれている。
【0034】
情報処理装置2は、情報処理端末3から情報処理端末3が生成した公開鍵を受信した場合には(S60:YES)、認証処理を実行する(S70)。
【0035】
ここで、認証処理は、情報処理装置2及び情報処理端末3のそれぞれが生成した公開鍵を交換して、自らが生成した公開鍵と通信相手が生成した公開鍵を掛け合わせる演算を施し、その演算値が一致するか否かを検証する処理である。すなわち、具体的には、情報処理装置2は、情報処理装置2が生成した公開鍵を情報処理端末3に送信し、情報処理端末3は、情報処理端末3が生成した公開鍵を情報処理装置2に送信する。次いで、情報処理装置2は、自らが生成した公開鍵と情報処理端末3から送信された公開鍵を掛け合わせる演算を行って、第1演算値X1を生成し、生成した第1演算値X1を情報処理端末3に送信する。同様にして、情報処理端末3は、自らが生成した公開鍵と情報処理装置2から送信された公開鍵を掛け合わせる演算を行って、第2演算値X2を生成し、生成した第2演算値X2を情報処理装置2に送信する。最後に、情報処理装置2及び情報処理端末3は、それぞれ、第1演算値X1と第2演算値X2が一致するか否かを検証し、一致している場合には認証に成功したものと判定する。認証に成功した場合、第1演算値X1及び第2演算値X2は、情報処理装置2と情報処理端末3の秘密鍵として取り扱われる。以後、情報処理装置2及び情報処理端末3は、お互いがこの秘密鍵を保持することにより、新たにペアリング処理をすることなく、通信接続をすることができる。
【0036】
情報処理装置2は、認証処理に成功した場合には(S80:YES)、情報処理端末3のアドレス、及び情報処理端末3が生成した公開鍵を第1接続情報26として第1記憶部23に記憶し(S90)、第1接続情報26に基づいて情報処理端末3と通信接続を行う(S100)。これにより、情報処理装置2は、次回以降、当該情報処理端末3とのペアリング処理は不要となる。
【0037】
一方、情報処理装置2は、認証処理に失敗した場合(S80:NO)、情報処理端末3と近距離無線通信の接続設定を行わず、第1ペアリング処理を終了する。
【0038】
また、情報処理装置2は、二次元コード表示条件が成立しなかった場合、つまり近距離無線通信の電波を受信し(S10:YES)、かつ受信した電波に含まれる情報と同一の第1接続情報26を第1記憶部23に有している場合(S20:YES)には、第1記憶部23に記憶されている第1接続情報26に基づいて、情報処理端末3と通信接続を行う(S110)。この場合、情報処理装置2は、通信相手が過去に通信接続がある情報処理端末3であるため、新たに認証処理を行って第1接続情報26を再設定する必要はない。
【0039】
・第2ペアリング処理
第2ペアリング処理は、
図4に示すように、情報処理端末3が情報処理装置2に表示された二次元コード25を読み込んだ場合の処理である。なお、情報処理装置2が二次元コード25を表示せず、情報処理端末3が二次元コード25を読み込む必要がない場合、情報処理端末3は、既に情報処理装置2と通信接続の実績があり、かつ近距離無線通信の機能も起動されているので、情報処理端末3は、ペアリング処理を行わない。
【0040】
情報処理端末3は、カメラを用いて情報処理装置2に表示された二次元コード25を撮像し、二次元コード25を読み込むと(S210)、読み込んだ二次元コード25に含まれている、情報処理装置2のアドレス、及び情報処理装置2が生成した公開鍵を取得する(S220)。
【0041】
情報処理端末3は、二次元コード25から取得した情報処理装置2のアドレス及び情報処理装置2が生成した公開鍵と同一の第2接続情報35を第2記憶部33に有していない場合には(S230:NO)、近距離無線通信の機能を起動させる。情報処理端末3は、近距離無線通信の機能を起動させることで近距離無線通信の電波を発信し(S240)、公開鍵を生成して(S250)、情報処理端末3のアドレス及び生成した公開鍵を情報処理装置2に送信し(S260)、認証処理を実行する(S270)。認証処理は、第1ペアリング処理で述べた通りである。
【0042】
情報処理端末3は、認証処理に成功した場合には(S280:YES)、情報処理装置2のアドレス、及び情報処理装置2が生成した公開鍵を第2接続情報35として第2記憶部33に記憶し(S290)、第2接続情報35に基づいて情報処理装置2と通信接続を行う(S300)。これにより、情報処理端末3は、次回以降、当該情報処理装置2とのペアリング処理は不要となる。
【0043】
一方、情報処理端末3は、認証処理に失敗した場合(S280:NO)、情報処理装置2と近距離無線通信の接続設定を行わず、第2ペアリング処理を終了する。
【0044】
また、情報処理端末3は、二次元コード25から取得した情報処理装置2のアドレス及び情報処理装置2が生成した公開鍵と同一の第2接続情報35を第2記憶部33に有している場合には(S230:YES)、近距離無線通信の機能を起動させることにより近距離無線通信の電波を発信する(S310)。情報処理端末3は、第2記憶部33に記憶されている第2接続情報35に基づいて、情報処理装置2と通信接続を行う(S320)。この場合、情報処理端末3は、通信相手が過去に通信接続がある情報処理装置2であるため、新たに認証処理を行って第2接続情報を再設定する必要はない。
【0045】
以上、情報処理システム10では、情報処理装置2が二次元コード25を表示した場合、情報処理端末3は二次元コード25を読み込むだけで情報処理装置2との間のペアリング処理を自動的に完了し、通信接続の設定を行うことができる。そのため、情報処理システム10によれば、比較的簡単な方法で、容易に情報処理端末3と情報処理装置2との通信接続の設定をすることができる。また、情報処理システム10によれば、情報処理端末3と情報処理装置2との通信接続の利用を促進させることができる。
【0046】
すなわち、情報処理システム10においては、従来、利用者が近距離無線通信の設定において行わなければならない複雑な操作手順、例えば、ユーザが情報処理端末3のネットワーク接続に関する設定画面を開いて近距離無線通信の設定をアクティブにする操作をする必要がない。また、情報処理システム10においては、ユーザが情報処理装置2のメニュー設定画面を開き、近距離無線通信の設定がアクティブになっている情報処理端末3を検索し、情報処理端末3を選択する操作、情報処理装置2が発行したPINコードやパスワードを情報処理端末3において確認する操作などの一連のペアリング操作をする必要はない。この結果、情報処理システム10では、ペアリング処理における利用者の操作負担を軽減することができる。
【0047】
また、情報処理システム10では、二次元コード表示条件が成立した場合、つまり情報処理装置2が情報処理端末3との通信接続を検知できない場合のみ二次元コード25を表示して、情報処理端末3の通信接続を促すように構成されている。このため、利用者は、必要な場合だけ二次元コード25を読み込む作業を行えばよいので、作業に煩わしさを感じることが少ない。
【0048】
<変形例>
・音の出力
情報処理システム10では、情報処理装置2が出力した二次元コード25を介して情報処理装置2のアドレス及び公開鍵を情報処理端末3に取得させるようにしていたが、これに代えて又はこれに加えて、情報処理装置2が出力した音を介して情報処理装置2のアドレス及び公開鍵を情報処理端末3に取得させるようにしてもよい。例えば、情報処理装置2が出力する非可聴音のデータに電子透かしを埋め込み、情報処理装置2のアドレス及び公開鍵の情報を情報処理端末3に伝達するようにしてもよい。この場合、情報処理装置2のプログラム36は、マイクを介して取得した非可聴音のデータを解析して情報処理装置2のアドレス及び公開鍵を取得するように構成されている。
【0049】
この変形例によれば、画像を用いた場合と同様に、音を用いることにより、情報処理装置2と情報処理端末3の通信接続を容易にすることができるので、利用者の通信設定に関する利便性を向上させることができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができ、そのような変形や変更を伴う構成もまた、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
2 情報処理装置
3 情報処理端末
4 近距離無線通信ネットワーク
21 第1通信部
22 第1入出力部
23 第1記憶部
24 第1制御部
25 二次元コード
26 第1接続情報
31 第2通信部
32 第2入出力部
33 第2記憶部
34 第2制御部
35 第2接続情報
36 プログラム