(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】計算機システム及びサービスレコメンド方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0637 20230101AFI20250206BHJP
【FI】
G06Q10/0637
(21)【出願番号】P 2021176487
(22)【出願日】2021-10-28
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 憲行
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊之
(72)【発明者】
【氏名】田沼 巌
(72)【発明者】
【氏名】檜 一平
(72)【発明者】
【氏名】根本 千恵
(72)【発明者】
【氏名】浅井 健太郎
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113283729(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0286849(US,A1)
【文献】特開2019-212082(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181826(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算機システムであって、
プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを有する少なくとも一つの計算機を備え、
前記少なくとも一つの計算機の前記記憶装置は、
事業におけるデジタル化の推進の程度を表す成熟度の大きさと、改善対象の業務システムとの対応関係を示す情報を格納したマッチング情報と、
業務システムと、当該業務システムのデジタル化の推進に役立つサービスを提供するプロバイダとを対応づけた情報を格納したプロバイダ情報と、
を記憶し、
前記少なくとも一つの計算機は、
第1事業者が運用する
複数の対象業務システム
の各々から、
前記対象業務システム
が管理しているデータのデータ量、前記対象業務システムの通信量、及び前記対象業務システムの計算量を含む稼働データを取得し、
前記対象業務システムの各々について、前記対象業務システムの事業規模と、前記稼働データに
含まれる前記データ量、前記通信量、及び前記計算量と、を変数とする数式を用いて、前記対象業務システムの前記成熟度を
算出し、
前記成熟度に基づいて前記
マッチング情報を参照し
て、前記複数の対象業務システムの中から改善対象の前記対象業務システムを特定し、
特定された前記対象業務システムに基づいて前記プロバイダ情報を参照して、前記第1事業者に導入を推奨するサービスを
提供する前記プロバイダを特定し、
特定された前記
プロバイダを提示することを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記少なくとも一つの計算機の前記記憶装置は、前記業務システム毎の前記成熟度の上限を管理するための成熟度上限情報を記憶し、
前記少なくとも一つの計算機は、
一つの前記対象業務システムを選択し、
前記成熟度上限情報を参照して、選択した前記対象業務システムの前記成熟度が上限に達しているか否かを判定し、
選択した前記対象業務システムの前記成熟度が上限に達していない場合、選択した前記対象業務システムの前記成熟度に基づいて前記マッチング情報を参照して、前記複数の対象業務システムの中から改善対象の前記対象業務システムを特定することを特徴とする計算機システム。
【請求項3】
計算機システムが実行するサービスレコメンド方法であって、
前記計算機システムは、プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを有する少なくとも一つの計算機を含み、
前記少なくとも一つの計算機の前記記憶装置は、
事業におけるデジタル化の推進の程度を表す成熟度の大きさと、改善対象の業務システムとの対応関係を示す情報を格納したマッチング情報と、
業務システムと、当該業務システムのデジタル化の推進に役立つサービスを提供するプロバイダとを対応づけた情報を格納したプロバイダ情報と、
を記憶し、
前記サービスレコメンド方法は、
前記少なくとも一つの計算機が、第1事業者が運用する複数の対象業務システムの各々から、前記対象業務システムが管理しているデータのデータ量、前記対象業務システムの通信量、及び前記対象業務システムの計算量を含む稼働データを取得する第1のステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記対象業務システムの各々について、前記対象業務システムの事業規模と、前記稼働データに含まれる前記データ量、前記通信量、及び前記計算量と、を変数とする数式を用いて、前記対象業務システムの前記成熟度を算出する第2のステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記成熟度に基づいて前記マッチング情報を参照して、前記複数の対象業務システムの中から改善対象の前記対象業務システムを特定する第3のステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、特定された前記対象業務システムに基づいて前記プロバイダ情報を参照して、前記第1事業者に導入を推奨するサービスを提供する前記プロバイダを特定する第4のステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、特定された前記プロバイダを提示する第5のステップと、を含むことを特徴とするサービスレコメンド方法。
【請求項4】
請求項3に記載のサービスレコメンド方法であって、
前記少なくとも一つの計算機の前記記憶装置は、前記業務システム毎の前記成熟度の上限を管理するための成熟度上限情報を記憶し、
前記第3のステップは、
前記少なくとも一つの計算機が、一つの前記対象業務システムを選択するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、前記成熟度上限情報を参照して、選択した前記対象業務システムの前記成熟度が上限に達しているか否かを判定するステップと、
前記少なくとも一つの計算機が、選択した前記対象業務システムの前記成熟度が上限に達していない場合、選択した前記対象業務システムの前記成熟度に基づいて前記マッチング情報を参照して、前記複数の対象業務システムの中から改善対象の前記対象業務システムを特定するステップと、を含むことを特徴とするサービスレコメンド方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DX推進に役立つサービスのレコメンド技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業のDX推進の取り組みが活発になってきている。非特許文献1には、「あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められている」(非特許文献1第1頁参照)ものの、「経営者がDXの必要性を認識し、デジタル部門を設置するなどの取組が見られるものの、実際のビジネス変革にはつながっていないという状況が、多くの日本企業に見られる現状」(非特許文献1第1頁参照)であり、「DXの推進は、これまでの仕事の仕方や企業文化の変革までをも求められるものであり、上記をはじめとする諸課題を克服しDXを実現するに当たっては、経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門など関係する者が現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげていくことが不可欠である」(非特許文献1第2頁参照)こと、そして「DX推進指標」は、「DX推進に向けて、経営者や社内の関係者が、自社の取組の現状や、あるべき姿と現状とのギャップ、あるべき姿に向けた対応策について認識を共有し、必要なアクションをとっていくための気付きの機会を提供することを目指すもの」(非特許文献1第2頁参照)であり、「自己診断を基本とし、各指標項目について、経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門等が議論をしながら回答することを想定している」(非特許文献1第2頁参照)ことが記載されている。
【0003】
また、特許文献1には、「口座残高と、過去の入出金履歴とに基づいて、将来の口座残高を推定し、推定した前記口座残高が、口座残高の過去の推移傾向から上振れする場合と下振れする場合とで異なる金融商品の情報を送信する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする金融商品レコメンドプログラムが提供される。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】経済産業省著、「DX推進指標」とそのガイダンス、令和元年7月、[令和3年10月15日検索]、インターネット(https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1では、企業のDX推進の度合いを示す「DX推進指標」が記載されているが、企業の自己診断を基本としているため、当該企業のDX推進の度合いを客観的に把握することが困難である。そのため、「DX推進指標」を活用したとしても、自己診断のやり方によっては当該企業においてDXを推進していくために必要な取り組みやツール、サービス等を適切に選択することができないおそれがある。また、DX推進のためのITツールやサービス等を提供するプロバイダにとっては、顧客のDXの推進度合いを的確に把握できず、顧客に最適な自社製品、サービスを提案することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、計算機システムであって、プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを有する少なくとも一つの計算機を備え、前記少なくとも一つの計算機の前記記憶装置は、事業におけるデジタル化の推進の程度を表す成熟度の大きさと、改善対象の業務システムとの対応関係を示す情報を格納したマッチング情報と、業務システムと、当該業務システムのデジタル化の推進に役立つサービスを提供するプロバイダとを対応づけた情報を格納したプロバイダ情報と、を記憶し、前記少なくとも一つの計算機は、第1事業者が運用する複数の対象業務システムの各々から、前記対象業務システムが管理しているデータのデータ量、前記対象業務システムの通信量、及び前記対象業務システムの計算量を含む稼働データを取得し、前記対象業務システムの各々について、前記対象業務システムの事業規模と、前記稼働データに含まれる前記データ量、前記通信量、及び前記計算量と、を変数とする数式を用いて、前記対象業務システムの前記成熟度を算出し、前記成熟度に基づいて前記マッチング情報を参照して、前記複数の対象業務システムの中から改善対象の前記対象業務システムを特定し、特定された前記対象業務システムに基づいて前記プロバイダ情報を参照して、前記第1事業者に導入を推奨するサービスを提供する前記プロバイダを特定し、特定された前記プロバイダを提示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、企業のDX推進の度合いを客観的に把握し、当該企業のDX推進に必要な取り組みやツール、サービス等を適切に選択することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1のシステムの構成例を示す図である。
【
図2】実施例1の基盤を構成する計算機の構成例を示す図である。
【
図3】実施例1の稼働データ管理情報の一例を説明する図である。
【
図4A】実施例1のサービス管理情報の一例を説明する図である。
【
図4B】実施例1のサービス管理情報の一例を説明する図である。
【
図5】実施例1の成熟度上限情報の一例を説明する図である。
【
図6】実施例1の基盤が実行する処理の概要を説明するフローチャートである。
【
図7】実施例1の基盤が実行する稼働データ取得処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】実施例1の基盤が実行する成熟度推定処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図9】実施例1の基盤が実行するサービスレコメンド処理の一例を説明する処理である。
【
図10】実施例1の基盤が実行するサービスレコメンド処理の一例を説明する処理である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0011】
以下に説明する発明の構成において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数又は順序を限定するものではない。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1のシステムの構成例を示す図である。
図2は、実施例1の基盤を構成する計算機の構成例を示す図である。
【0014】
システムは、基盤100、業務管理システム101、及びサービスプロバイダシステム102から構成される。基盤100、業務管理システム101、及びサービスプロバイダシステム102は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して互いに接続される。ネットワークの接続方式は有線及び無線のいずれでもよい。
【0015】
業務管理システム101は、事業を行う企業が運用するシステムである。業務管理システム101上では、業務種別ごとに一つ以上の業務システムが稼働している。
【0016】
サービスプロバイダシステム102は、サービスプロバイダが運用するシステムである。サービスプロバイダシステム102は、提供するサービスに関する情報を基盤100に登録する。当該情報はサービス管理情報122に格納される。
【0017】
基盤100は、企業のDXの推進の度合い(成熟度)を推定し、成熟度に応じてサービスプロバイダが提供するサービスのレコメンドを行う。基盤100は、
図2に示すような計算機200から構成される。なお、基盤100は、ストレージシステム及びネットワークスイッチ等を含んでもよい。
【0018】
計算機200は、プロセッサ201、主記憶装置202、副記憶装置203、及びネットワークインタフェース204を有する。なお、計算機200は、入力装置及び出力装置を有してもよい。
【0019】
プロセッサ201は、主記憶装置202に格納されるプログラムを実行する。プロセッサ201がプログラムにしたがって処理を実行することによって、特定の機能を実現する機能部(モジュール)として動作する。以下の説明では、機能部を主語に処理を説明する場合、プロセッサ201が当該機能部を実現するプログラムを実行していることを示す。主記憶装置202は、メモリ等であり、プロセッサ201が実行するプログラム及びプログラムが使用するデータを格納する。副記憶装置203は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等であり、データを永続的に格納する。主記憶装置202に格納されるプログラム及びデータは、副記憶装置203に格納されてもよい。この場合、プロセッサ201が副記憶装置203からプログラム及びデータを読み出し、主記憶装置202にロードする。ネットワークインタフェース204は、ネットワークを介して他の装置と通信する。
【0020】
基盤100は、機能構成として、計測部110、成熟度推定部111、サービスマッチング部112、及びサービスレコメンド部113を有する。また、基盤100は、稼働データ管理情報120、成熟度判定基準情報121、サービス管理情報122、及び成熟度上限情報123を管理する。
【0021】
稼働データ管理情報120は、業務システムの稼働状態に関する稼働データを管理するための情報である。稼働データは、業務システムの識別情報、計測期間、データ量、通信量、及び計算量等を含む。稼働データ管理情報120の詳細は
図3を用いて説明する。
【0022】
成熟度判定基準情報121は、業務システムにおけるDXの推進の度合いを示す成熟度の判定基準を定義した情報である。成熟度判定基準情報121には、例えば、以下のような数式が格納される。
【0023】
【0024】
ここで、Uは成熟度、pはデータ量、qは通信量、rは計算量、vは事業規模を表す。事業規模は、例えば製造業の場合、生産規模(生産数)を表す。なお、売上高等を事業規模として扱ってもよい。a、b、cは係数である。
【0025】
サービス管理情報122はサービスを管理するための情報である。サービス管理情報122の詳細は
図4A及び
図4Bを用いて説明する。
【0026】
成熟度上限情報123は、企業の業務システムの成熟度の上限値を管理するための情報である。成熟度上限情報123の詳細は
図5を用いて説明する。
【0027】
計測部110は、業務管理システム101上で稼働する各業務システムの稼働状態に関する値を計測し、計測結果を含む稼働データを稼働データ管理情報120に格納する。本実施例では、業務システムが管理しているデータの容量、業務システムの通信量、及び業務システムの計算量が計測される。ここで、通信量は、業務システムが外部との通信で送受信するデータの容量であり、計算量は、業務システムを構成する計算機のプロセッサの稼働時間の累積値である。なお、計測する値は一例であって、これに限定されない。
【0028】
成熟度推定部111は、成熟度判定基準情報121及び稼働データを用いて、業務システムの成熟度を推定する。成熟度推定部111は、稼働データに紐付けて成熟度を登録する。
【0029】
サービスマッチング部112は、業務システムの成熟度及びサービス管理情報122に基づいて、企業に推奨するサービスを特定する。サービスマッチング部112は、特定されたサービスの情報を含む推奨サービスリストを生成する。また、サービスマッチング部112は、業務システムの成熟度の時系列データから成熟度の上限値を特定し、成熟度上限情報123に成熟度の上限値を登録する。
【0030】
サービスレコメンド部113は、推奨サービスリストに基づいて、業務管理システム101に対してサービスをレコメンドする。例えば、サービスレコメンド部113は、推奨サービスリストを表示する画面を業務管理システム101に提示する。
【0031】
なお、基盤100が有する各機能部については、複数の機能部を一つの機能部にまとめてもよいし、一つの機能部を機能毎に複数の機能部に分けてもよい。
【0032】
図3は、実施例1の稼働データ管理情報120の一例を説明する図である。
【0033】
稼働データ管理情報120は、業務種別301、業務システム302、計測時期303、データ量304、通信量305、計算量306、及び成熟度307を含むエントリを格納する。稼働データ及び成熟度の組合せに対して一つのエントリが存在する。本実施例では、一つの企業(業務管理システム101)に対して一つの稼働データ管理情報120が存在するものとする。なお、エントリに含まれるフィールドは前述のものに限定されない。
【0034】
業務種別301は、事業における業務の種別を示す情報を格納するフィールドである。業務システム302は、業務システムの識別情報を格納するフィールドである。
【0035】
計測時期303は、計測が行われた時期を示す情報を格納するフィールドである。本実施例では、四半期又は1ヶ月等、任意の期間ごとに、計測が行われる。データ量304は、業務システムが管理しているデータの容量を格納するフィールドである。通信量305は、業務システムの通信量を格納するフィールドである。計算量306は、業務システムの計算量を格納するフィールドである。成熟度307は、業務システムの成熟度を格納するフィールドである。なお、稼働データには、データ量、通信量、及び計算量の少なくともいずれかが含まれていればよい。
【0036】
図4A及び
図4Bは、実施例1のサービス管理情報122の一例を説明する図である。
【0037】
サービス管理情報122は、マッチング情報400及びプロバイダ情報410を含む。マッチング情報400は、成熟度の大きさに基づいて、業務システムのDXの推進において改善対象となる業務システムを特定するための情報である。プロバイダ情報410は、サービスプロバイダを管理するための情報である。
【0038】
図4Aに示すように、マッチング情報400は、業務種別ごとに、成熟度の大きさと改善対象の業務システムとの対応関係を示す情報を格納する。業務システムを表す矩形の横の長さは成熟度の大きさの範囲を表す。
【0039】
図4Bに示すように、プロバイダ情報410は、業務システム411、プロバイダ412、及び連絡先413を含むエントリを格納する。一つの業務システムに対して一つのエントリが存在する。また、一つの業務システムに対して一つ以上のサービスプロバイダの行が含まれる。なお、エントリに含まれるフィールドは前述のものに限定されない。
【0040】
業務システム411は、業務システムの識別情報を格納するフィールドである。プロバイダ412は、業務システムのDXの推進に役立つサービスを提供するサービスプロバイダの識別情報を格納するフィールドである。例えば、サービスプロバイダの名称等が格納される。連絡先413は、サービスプロバイダの連絡先を格納するフィールドである。例えば、URL又は電話番号等が格納される。
【0041】
なお、マッチング情報400及びプロバイダ情報410を一つに統合したサービス管理情報122でもよい。
【0042】
図5は、実施例1の成熟度上限情報123の一例を説明する図である。
【0043】
成熟度上限情報123は、業務種別501、業務システム502、及び成熟度上限503を含むエントリを格納する。業務種別及び業務システムの組み合わせに対して一つのエントリが存在する。本実施例では、一つの企業(業務管理システム101)に対して一つの成熟度上限情報123が存在するものとする。なお、エントリに含まれるフィールドは前述のものに限定されない。
【0044】
業務種別501は、事業における業務の種別を示す情報を格納するフィールドである。業務システム502は、業務システムの識別情報を格納するフィールドである。成熟度上限503は、成熟度の上限値を格納するフィールドである。
【0045】
図6は、実施例1の基盤100が実行する処理の概要を説明するフローチャートである。
【0046】
まず、基盤100は、稼働データ取得処理を実行する(ステップS101)。稼働データ取得処理の詳細は
図7を用いて後述する。
【0047】
次に、基盤100は、稼働データを用いて、成熟度推定処理を実行する(ステップS102)。成熟度推定処理の詳細は
図8を用いて説明する。
【0048】
次に、基盤100は、成熟度を用いて、サービスレコメンド処理を実行し(ステップS103)、その後、処理を終了する。サービスレコメンド処理の詳細は
図9及び
図10を用いて説明する。
【0049】
図7は、実施例1の基盤100が実行する稼働データ取得処理の一例を説明するフローチャートである。
【0050】
計測部110は、一つの業務管理システム101に対して以下で説明する処理を実行する。
【0051】
まず、計測部110は、計測周期を経過したか否かを判定する(ステップS201)。計測周期は任意に設定できる。また、業務管理システム101ごとに異なる計測周期を設定してもよい。
【0052】
計測周期を経過していない場合、計測部110は、一定期間経過した後、ステップS201に戻る。
【0053】
計測周期を経過した場合、計測部110は、業務システムのループ処理を開始する(ステップS202)。具体的には、計測部110は対象の業務システムを選択する。なお、基盤100には、事前に、業務管理システム101上で稼働する業務システムの情報が登録されているものとする。
【0054】
計測部110は、業務システムが管理するデータ量を計測する(ステップS203)。例えば、計測部110は、業務システムが管理するデータベースにアクセスし、データ量を計測する。また、計測部110は、業務システムにデータ量の問合せを行うことによって、データ量を取得してもよい。
【0055】
計測部110は、計測周期が経過するまでの間の業務システムの通信量を計測する(ステップS204)。例えば、計測部110は、業務システムから通信履歴を取得し、通信履歴に基づいて通信において送受信されたデータ量の合計値を算出する。なお、予め、業務システムに通信量を計測するエージェントを設定し、当該エージェントから情報を取得する方法でもよい。
【0056】
計測部110は、計測周期が経過するまでの間の業務システムの計算量を計測する(ステップS205)。例えば、計測部110は、業務システムからプロセッサの稼働時間に関する履歴を取得し、当該履歴に基づいてプロセッサの稼働時間の合計値を算出する。なお、予め、業務システムにプロセッサの稼働時間を計測するエージェントを設定し、当該エージェントから情報を取得する方法でもよい。
【0057】
計測部110は、稼働データ管理情報120に稼働データを記録する(ステップS206)。具体的には、計測部110は、稼働データ管理情報120にエントリを追加し、追加されたエントリの業務種別301及び業務システム302に、業務種別及び業務システムの識別情報を設定する。計測部110は、追加されたエントリの計測時期303に計測が行われた時期に関する情報を設定する。また、計測部110は、追加されたエントリのデータ量304、通信量305、及び計算量306に計測されたデータ量、通信量、及び計算量を設定する。
【0058】
計測部110は、全ての業務システムについて処理が完了したか否かを判定する(ステップS207)。
【0059】
全ての業務システムについて処理が完了していない場合、計測部110は、ステップS202に戻り、新たな業務システムを選択する。
【0060】
全ての業務システムについて処理が完了した場合、計測部110は稼働データ取得処理を終了する。
【0061】
図8は、実施例1の基盤100が実行する成熟度推定処理の一例を説明するフローチャートである。
【0062】
成熟度推定部111は、一つの業務管理システム101に対して以下で説明する処理を実行する。
【0063】
成熟度推定部111は、業務システムのループ処理を開始する(ステップS301)。具体的には、成熟度推定部111は対象の業務システムを選択する。
【0064】
成熟度推定部111は、業務システムの稼働データを取得する(ステップS302)。ここでは、最新の稼働データが取得されるものとする。
【0065】
成熟度推定部111は、業務システムの稼働データに含まれるデータ量、通信量、及び計算量に基づいて成熟度を算出する(ステップS303)。例えば、式(1)を用いて成熟度が算出される。成熟度推定部111は、稼働データ管理情報120の稼働データに対応するエントリの成熟度307に、算出された成熟度を設定する。
【0066】
成熟度推定部111は、全ての業務システムについて処理が完了したか否かを判定する(ステップS304)。
【0067】
全ての業務システムについて処理が完了していない場合、成熟度推定部111は、ステップS301に戻り、新たな業務システムを選択する。
【0068】
全ての業務システムについて処理が完了した場合、成熟度推定部111は成熟度推定処理を終了する。
【0069】
図9及び
図10は、実施例1の基盤100が実行するサービスレコメンド処理の一例を説明する処理である。
【0070】
サービスマッチング部112は、一つの業務管理システム101に対して
図9に示す成熟度上限判定処理を実行する。
【0071】
サービスマッチング部112は、業務システムのループ処理を開始する(ステップS401)。具体的には、サービスマッチング部112は対象の業務システムを選択する。
【0072】
サービスマッチング部112は、稼働データ管理情報120を参照し、業務システムの過去の成熟度を取得する(ステップS402)。例えば、現在から1年前までの期間の成熟度が算出される。
【0073】
サービスマッチング部112は、成熟度の変化幅が小さい状態が一定期間(例えば、3ヶ月以上)継続しているか否かを判定する(ステップS403)。
【0074】
成熟度の変化幅が小さい状態が一定期間継続していない場合、サービスマッチング部112はステップS405に進む。
【0075】
成熟度の変化幅が小さい状態が一定期間継続している場合、サービスマッチング部112は、成熟度の上限値を特定し、成熟度上限情報123に当該上限値を登録する(ステップS404)。その後、サービスマッチング部112はステップS405に進む。具体的には、サービスマッチング部112は、成熟度上限情報123にエントリを追加し、追加されたエントリの業務種別501及び業務システム502に、業務種別及び業務システムの識別情報を設定する。サービスマッチング部112は、追加されたエントリの成熟度上限503に特定された成熟度の上限値を設定する。
【0076】
サービスマッチング部112は、全ての業務システムについて処理が完了したか否かを判定する(ステップS405)。
【0077】
全ての業務システムについて処理が完了していない場合、サービスマッチング部112は、ステップS401に戻り、新たな業務システムを選択する。
【0078】
全ての業務システムについて処理が完了した場合、サービスマッチング部112は成熟度上限判定処理を終了する。
【0079】
サービスマッチング部112は、成熟度上限判定処理が終了した後、一つの業務管理システム101に対して
図10に示すサービスマッチング処理を実行する。
【0080】
サービスマッチング部112は、業務システムのループ処理を開始する(ステップS501)。具体的には、サービスマッチング部112は対象の業務システムを選択する。
【0081】
サービスマッチング部112は、成熟度上限情報123を参照し、業務システムの成熟度が上限に達しているか否かを判定する(ステップS502)。具体的には、サービスマッチング部112は、業務種別501及び業務システム502に、対象の業務種別及び業務システムの識別情報が設定されているエントリが存在するか否かを判定する。前述のエントリが存在する場合、サービスマッチング部112は、業務システムの成熟度が上限に達していると判定する。
【0082】
業務システムの成熟度が上限に達している場合、サービスマッチング部112はステップS505に進む。業務システムの成熟度が上限に達している場合、これ以上のDXの推進は必要ないため、サービスのレコメンドが行われないように制御される。
【0083】
業務システムの成熟度が上限に達していない場合、サービスマッチング部112は、業務システムの最新の成熟度、マッチング情報400、及びプロバイダ情報410に基づいて、推奨サービスを特定する(ステップS503)。具体的には、以下のような処理が実行される。
【0084】
(S503-1)サービスマッチング部112は、業務システムの最新の成熟度に基づいてマッチング情報400を参照し、改善対象の業務システムを特定する。
【0085】
(S503-2)サービスマッチング部112は、特定された業務システムに基づいてプロバイダ情報410を参照し、サービスプロバイダを特定する。以上がステップS503の処理の説明である。
【0086】
サービスマッチング部112は、特定された推奨サービスを推奨サービスリストに登録する(ステップS504)。その後、サービスマッチング部112はステップS505に進む。具体的には、サービスマッチング部112は、推奨サービスリストに、業務システムの種別、サービスプロバイダ、及び連絡先を含むデータを登録する。なお、成熟度をデータに含めてもよい。
【0087】
サービスマッチング部112は、全ての業務システムについて処理が完了したか否かを判定する(ステップS505)。
【0088】
全ての業務システムについて処理が完了していない場合、サービスマッチング部112は、ステップS501に戻り、新たな業務システムを選択する。
【0089】
全ての業務システムについて処理が完了した場合、サービスマッチング部112は、サービスレコメンド部113に、推奨サービスリストの提示を指示する(ステップS506)。その後、サービスマッチング部112はサービスマッチング処理を終了する。
【0090】
実施例1によれば、基盤100は、企業の業務システムごとのDXの推進度合いを定量的に評価し、DXの推進を促進するサービスをレコメンドすることができる。サービスプロバイダは、事前に基盤に情報を登録することによって、顧客の獲得機会を得ることができる。企業は、DXの推進において、改善対象の業務システム及び改善に必要なサービスを把握することができる。
【0091】
なお、業務管理システム101の中に基盤100の機能を含めてもよい。これによって、企業は、自社のDXの推進度合いを把握し、DXの推進を促進するために必要なサービスを把握することができる。
【0092】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0093】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0094】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Python、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0095】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0096】
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0097】
100 基盤
101 業務管理システム
102 サービスプロバイダシステム
110 計測部
111 成熟度推定部
112 サービスマッチング部
113 サービスレコメンド部
120 稼働データ管理情報
121 成熟度判定基準情報
122 サービス管理情報
123 成熟度上限情報
200 計算機
201 プロセッサ
202 主記憶装置
203 副記憶装置
204 ネットワークインタフェース
400 マッチング情報
410 プロバイダ情報