IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -制御装置及び医療用観察システム 図1
  • -制御装置及び医療用観察システム 図2
  • -制御装置及び医療用観察システム 図3
  • -制御装置及び医療用観察システム 図4
  • -制御装置及び医療用観察システム 図5
  • -制御装置及び医療用観察システム 図6
  • -制御装置及び医療用観察システム 図7
  • -制御装置及び医療用観察システム 図8
  • -制御装置及び医療用観察システム 図9
  • -制御装置及び医療用観察システム 図10
  • -制御装置及び医療用観察システム 図11
  • -制御装置及び医療用観察システム 図12
  • -制御装置及び医療用観察システム 図13
  • -制御装置及び医療用観察システム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】制御装置及び医療用観察システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/20 20160101AFI20250206BHJP
【FI】
A61B90/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021508190
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2020004438
(87)【国際公開番号】W WO2020195204
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2019055706
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 一博
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/159155(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/216302(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/061294(WO,A1)
【文献】特開2001-108906(JP,A)
【文献】特開昭62-166312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00-34/37
A61B 90/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象を撮像する医療用観察装置を電気的に制御する制御装置において、
外部から入力される音声を認識する音声認識部と、
前記音声認識部の認識結果をもとに、前記医療用観察装置が実行する処理を決定する認識情報処理部と、
多段階の入力操作が可能なスイッチに対する操作に応じた操作信号の入力を受け付けるスイッチ入力受付部と、
前記医療用観察装置が実行する処理を制御する制御部と、
を備え、
前記スイッチ入力受付部は、前記操作信号として前記スイッチの無操作を含む操作態様に応じた入力値の入力を受け付け、
前記制御部は、
前記スイッチ入力受付部が受け付けた前記入力値が、前記スイッチの無操作時の入力値である初期値とは異なる第1の入力値であることを検出することによって、前記音声認識部による音声認識処理を開始させ、前記認識情報処理部によって決定された処理を前記医療用観察装置に実行させるとともに、前記入力値が前記第1の入力値とは異なる第2の入力値であることを検出することによって、前記医療用観察装置が実行する処理を停止させる、
制御装置。
【請求項2】
観察対象を撮像する医療用観察装置を電気的に制御する制御装置において、
外部から入力される音声を認識する音声認識部と、
前記音声認識部の認識結果をもとに、前記医療用観察装置が実行する処理を決定する認識情報処理部と、
多段階の入力操作が可能なスイッチに対する操作に応じた操作信号の入力を受け付けるスイッチ入力受付部と、
前記医療用観察装置が実行する処理を制御する制御部と、
を備え、
前記スイッチ入力受付部は、前記操作信号として前記スイッチの無操作を含む操作態様に応じた入力値の入力を受け付け、
前記制御部は、
前記入力値が、前記スイッチの無操作時の入力値である初期値から該初期値とは異なる第1の入力値に変化した場合に、前記音声認識部による音声認識処理を開始して、前記医療用観察装置に処理を実行させ、
前記入力値が前記第1の入力値に変化した後、第2の入力値として前記初期値に変化した場合に、前記医療用観察装置が実行する処理を停止させる、
制御装置。
【請求項3】
観察対象を撮像する医療用観察装置を電気的に制御する制御装置において、
外部から入力される音声を認識する音声認識部と、
前記音声認識部の認識結果をもとに、前記医療用観察装置が実行する処理を決定する認識情報処理部と、
スイッチに対する操作に応じた操作信号の入力を受け付けるスイッチ入力受付部と、
前記医療用観察装置が実行する処理を制御する制御部と、
を備え、
前記スイッチは、多段階の入力操作が可能であり、
前記スイッチ入力受付部は、前記スイッチの操作態様に応じた入力値の入力を受け付け、
前記制御部は、
前記スイッチ入力受付部が受け付けた、前記スイッチの無操作時の入力値である初期値とは異なる第1の操作信号を検出することによって、前記音声認識部による音声認識処理を開始させ、
前記音声認識部の認識結果をもとに前記医療用観察装置の駆動を開始し、前記スイッチ入力受付部が受け付けた前記入力値に応じて、前記医療用観察装置の駆動速度を変化させる処理を前記医療用観察装置に実行させるとともに、前記スイッチ入力受付部が受け付けた、前記第1の操作信号とは異なる第2の操作信号を検出することによって、前記医療用観察装置が実行する処理を停止させる、
制御装置。
【請求項4】
前記認識情報処理部によって前記医療用観察装置による撮像領域を移動させる処理が決定された場合、
前記制御部は、前記入力値が前記第2の入力値として前記初期値に変化して前記医療用観察装置が実行する処理を停止させた後、予め設定されている期間内において、前記入力値が、前記初期値から変化した場合に、前記停止前の処理とは逆の方向に前記撮像領域を移動させる処理を前記医療用観察装置に実行させる、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
観察対象を撮像する医療用観察装置を電気的に制御する制御装置において、
外部から入力される音声を認識する音声認識部と、
前記音声認識部の認識結果をもとに、前記医療用観察装置が実行する処理を決定する認識情報処理部と、
多段階の入力操作が可能なスイッチに対する操作に応じた操作信号の入力を受け付けるスイッチ入力受付部と、
前記医療用観察装置が実行する処理を制御する制御部と、
を備え、
前記スイッチ入力受付部は、前記操作信号として前記スイッチの無操作を含む操作態様に応じた入力値の入力を受け付け、
前記制御部は、
前記入力値が、前記スイッチの無操作時の入力値である初期値から該初期値とは異なる1の入力値に変化した場合に、前記音声認識処理を開始して、前記医療用観察装置に処理を実行させ、
前記入力値が、前記第1の入力値に変化した後前記初期値に戻り、2の入力値として前記初期値から該初期値とは異なる値に再度変化した場合に、前記医療用観察装置が実行する処理を停止させる、
御装置。
【請求項6】
前記認識情報処理部は、前記音声認識部の認識結果に基づいて、前記医療用観察装置による撮像領域の移動方向を決定し、
前記制御部は、前記認識情報処理部が決定した移動方向に基づいて、前記医療用観察装置による撮像領域を移動させる、
請求項1~5のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項7】
前記認識情報処理部は、前記音声認識部の認識結果に基づいて、前記医療用観察装置の撮像の拡大率を決定し、
前記制御部は、前記認識情報処理部が決定した拡大率に基づいて、前記医療用観察装置による撮像の拡大率を変更する、
請求項1~5のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項8】
観察対象を拡大して撮像可能とする撮像部と、
複数のアーム部、及び当該複数のアーム部を接続する複数の関節部を有し、先端で前記撮像部を支持する支持部と、
を有する医療観察装置と、
自身に対する操作に応じた操作信号を出力するスイッチと、
請求項1~7のいずれか一つに記載の制御装置と、
を備える医療用観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、被観察体の微小部位を観察する医療用観察装置を制御する制御装置及び医療用観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被観察体である患者の脳や心臓等における微小部位の手術を行う際に該微小部位を観察するための医療用観察システムとして、複数のアーム部を有し、並進3自由度及び回転3自由度の計6自由度の動きを実現する支持部と、支持部の先端に設けられ、該微小部位を拡大する拡大光学系や撮像素子を有する顕微鏡部とを備えた光学式の顕微鏡システムが知られている。
【0003】
ところで、上述した顕微鏡システムでは、術者が術部やモニタから目を離さずに、例えば、音声で操作したいという要望がある。しかしながら、ズーム倍率や焦点距離の調整、視野移動などの連続的駆動を伴う機能は音声のみで操作を完結するのが難しい。この解決策として、音声入力と、フットスイッチ等の連続的な入力が可能な他の入力手段とを組み合わせて操作する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この技術によって、術者は、音声のみでは操作しにくい連続的な機能を他の入力手段で操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-24869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、マイクの接続先が音声認識装置であり、フットスイッチの接続先が、顕微鏡部を制御する制御装置であり、それぞれ別々の装置に接続されている。このため、装置構成が複雑化していた。
また、音声認識によって機能を呼び出した後、フットスイッチ等の他の入力手段によって操作入力がなされるため、操作が実行されるまでに時間を要していた。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、音声認識から音声認識に応じた処理までを短時間かつ簡易な構成で行うことができ、さらに簡易に処理を停止できる制御装置及び医療用観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる制御装置は、観察対象を撮像する医療用観察装置を電気的に制御する制御装置において、外部から入力される音声を認識する音声認識部と、前記音声認識部の認識結果をもとに、前記医療用観察装置が実行する処理を決定する認識情報処理部と、スイッチに対する操作に応じた操作信号の入力を受け付けるスイッチ入力受付部と、前記スイッチ入力受付部が受け付けた第1の操作信号を検出、又は、前記認識情報処理部が決定した処理に関する情報を取得することによって、前記音声認識部による音声認識処理を開始させ、前記認識情報処理部によって決定された処理を前記医療用観察装置に実行させるとともに、第2の操作信号を検出することによって、前記医療用観察装置が実行する処理を停止させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記スイッチ入力受付部は、前記操作信号として前記スイッチの操作に応じた入力値の入力を受け付け、前記制御部は、前記スイッチ入力受付部が受け付けた前記入力値の第1の変化を検出することによって、前記音声認識部による音声認識処理を開始させ、前記認識情報処理部によって決定された処理を前記医療用観察装置に実行させるとともに、前記入力値の第2の変化を検出することによって、前記医療用観察装置が実行する処理を停止させることを特徴とする。
【0009】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記第1の操作信号と前記第2の操作信号は、前記スイッチに対する互いに異なる操作に対応する異なる操作信号であることを特徴とする。
【0010】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記第1の操作信号と前記第2の操作信号は、前記スイッチに対する互いに同様の操作に対応する同一の操作信号であることを特徴とする。
【0011】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記制御部は、前記入力値が、前記スイッチの初期値から該初期値とは異なる値に変化した場合に、前記音声認識処理を開始して、前記医療用観察装置に処理を実行させ、前記入力値が前記初期値に変化した場合に、前記医療用観察装置が実行する処理を停止させることを特徴とする。
【0012】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記制御部は、前記スイッチ入力受付部が受け付けた前記操作信号に応じて、前記医療用観察装置の駆動速度を変化させることを特徴とする。
【0013】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記制御部は、前記入力値が前記初期値に変化して前記医療用観察装置が実行する処理を停止させた後、予め設定されている期間内において、前記入力値が、前記初期値から変化した場合に、前記停止前の処理とは逆の処理を前記医療用観察装置に実行させることを特徴とする。
【0014】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記制御部は、前記入力値が、前記スイッチの初期値から該初期値とは異なる値に変化した場合に、前記音声認識処理を開始して、前記医療用観察装置に処理を実行させ、前記入力値が、前記初期値から該初期値とは異なる値に再度変化した場合に、前記医療用観察装置が実行する処理を停止させることを特徴とする。
【0015】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記スイッチ入力受付部は、前記スイッチの押下によって出力される操作信号の入力を受け付け、前記制御部は、前記スイッチの押下が継続されている間、前記医療用観察装置に、前記認識情報処理部によって決定された処理を継続して実行させ、前記スイッチの押下が解除された場合に、前記医療用観察装置に、前記認識情報処理部によって決定された処理を停止させることを特徴とする。
【0016】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記制御部は、前記音声認識部による音声認識結果が第1の認識情報と一致する場合、以降の音声認識処理を有効にし、前記音声認識部による音声認識結果が第2の認識情報と一致する場合、以降の音声認識処理を無効にすることを特徴とする。
【0017】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記制御部は、前記音声認識部による音声認識結果が第1の認識情報と一致する場合、以降の音声認識処理を有効にし、前記音声認識部による音声認識処理を有効にしてから予め設定した時間経過後に、前記第1の認識情報以外の音声認識の認識結果を無効にすることを特徴とする。
【0018】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記認識情報処理部は、前記音声認識部の認識結果に基づいて、前記医療用観察装置による撮像領域の移動方向を決定し、前記制御部は、前記認識情報処理部が決定した移動方向に基づいて、前記医療用観察装置による撮像領域を移動させることを特徴とする。
【0019】
また、本開示にかかる制御装置は、上記開示において、前記認識情報処理部は、前記音声認識部の認識結果に基づいて、前記医療用観察装置の撮像の拡大率を決定し、前記制御部は、前記認識情報処理部が決定した拡大率に基づいて、前記医療用観察装置による撮像の拡大率を変更することを特徴とする。
【0020】
また、本開示にかかる医療用観察システムは、観察対象を拡大して撮像可能とする撮像部と、複数のアーム部、及び当該複数のアーム部を接続する複数の関節部を有し、先端で前記撮像部を支持する支持部と、外部から入力される音声を認識する音声認識部と、前記音声認識部の認識結果をもとに、前記撮像部又は前記支持部が実行する処理を決定する認識情報処理部と、自身に対する操作に応じた操作信号を出力するスイッチと、前記スイッチからの入力を受け付けるスイッチ入力受付部と、前記スイッチ入力受付部が受け付けた第1の操作信号を検出、又は、前記認識情報処理部が決定した処理の情報を取得することによって、前記音声認識部による音声認識処理を開始させ、前記認識情報処理部によって決定された処理を前記撮像部又は前記支持部に実行させるとともに、第2の操作信号を検出することによって前記撮像部又は前記支持部が実行する処理を停止させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、音声認識から音声認識に応じた処理までを短時間かつ簡易な構成で行うことができ、さらに簡易に処理を停止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施の形態1に係る医療用観察システムの外観構成を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態1に係る医療用観察システムの制御装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図4図4は、実施の形態2に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図5図5は、実施の形態3に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図6図6は、実施の形態4に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図7図7は、実施の形態5に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図8図8は、実施の形態5の変形例に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図9図9は、実施の形態6に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図10図10は、実施の形態6の変形例に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図11図11は、実施の形態7に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図12図12は、実施の形態8に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図13図13は、実施の形態8の変形例に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
図14図14は、実施の形態9に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面はあくまで模式的なものであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る医療用観察システムの構成を示す図である。同図に示す医療用観察システム1は、被観察体の微細構造を拡大して撮像する顕微鏡としての機能を有する医療用観察装置(以下、観察装置という)2と、医療用観察システム1の動作を統括して制御する制御装置3と、観察装置2が撮像した画像を表示する表示装置4とを備える。
【0025】
観察装置2は、床面上を移動可能なベース部5と、ベース部5に支持される支持部6と、支持部6の先端に設けられて被観察体の微小部位を拡大して撮像する柱状の顕微鏡部7と、を備える。また、観察装置2には、光ファイバ等によって構成されたライトガイド81を介して観察装置2に照明光を供給する光源装置8が接続される。光源装置8は、制御装置3の制御のもと照明光を出射する。
【0026】
観察装置2において、例えば、制御装置3と顕微鏡部7との間の信号伝送を行うための信号線(同軸ケーブル)を含む伝送ケーブルや、光源装置8から顕微鏡部7までの照明光の導光を行うためのライトガイドケーブル等を含むケーブル群が、ベース部5から顕微鏡部7にわたって配設されている。ケーブル群は、支持部6に沿って配設されている。細線同軸ケーブルは、ライトガイドケーブルよりも径が細いケーブルである。
【0027】
支持部6は、第1関節部11、第1アーム部21、第2関節部12、第2アーム部22、第3関節部13、第3アーム部23、第4関節部14、第4アーム部24、第5関節部15、第5アーム部25、および第6関節部16を有する。
【0028】
支持部6は、2つのアーム部および2つのアーム部の一方(先端側)を他方(基端側)に対して回動可能に連結する関節部からなる組を4組有する。この4組は、具体的には、(第1アーム部21、第2関節部12、第2アーム部22)、(第2アーム部22、第3関節部13、第3アーム部23)、(第3アーム部23、第4関節部14、第4アーム部24)、(第4アーム部24、第5関節部15、第5アーム部25)である。
【0029】
第1関節部11は、先端側で顕微鏡部7を回動可能に保持するとともに、基端側で第1アーム部21の先端部に固定された状態で第1アーム部21に保持される。第1関節部11は円筒状をなし、高さ方向の中心軸である第1軸O1のまわりに回動可能に顕微鏡部7を保持する。第1アーム部21は、第1関節部11の側面から第1軸O1と直交する方向に延びる形状をなす。
【0030】
第2関節部12は、先端側で第1アーム部21を回動可能に保持するとともに、基端側で第2アーム部22の先端部に固定された状態で第2アーム部22に保持される。第2関節部12は円筒状をなしており、高さ方向の中心軸であって第1軸O1と直交する軸である第2軸O2のまわりに回動可能に第1アーム部21を保持する。第2アーム部22は略L字状をなし、L字の縦線部分の端部で第2関節部12に連結する。
【0031】
第3関節部13は、先端側で第2アーム部22のL字の横線部分を回動可能に保持するとともに、基端側で第3アーム部23の先端部に固定された状態で第3アーム部23に保持される。第3関節部13は、円筒状をなしており、高さ方向の中心軸であって第2軸O2と直交する軸であり、かつ第2アーム部22が延びる方向と平行な軸である第3軸O3のまわりに回動可能に第2アーム部22を保持する。第3アーム部23は先端側が円筒状をなしており、基端側に先端側の円筒の高さ方向と直交する方向に貫通する孔部が形成されている。第3関節部13は、この孔部を介して第4関節部14に回動可能に保持される。
【0032】
第4関節部14は、先端側で第3アーム部23を回動可能に保持するとともに、基端側で第4アーム部24に固定された状態で第4アーム部24に保持される。第4関節部14は円筒状をなしており、高さ方向の中心軸であって第3軸O3と直交する軸である第4軸O4のまわりに回動可能に第3アーム部23を保持する。
【0033】
第5関節部15は、先端側で第4アーム部24を回動可能に保持するとともに、基端側で第5アーム部25に固定して取り付けられる。第5関節部15は円筒状をなしており、高さ方向の中心軸であって第4軸O4と平行な軸である第5軸O5のまわりに第4アーム部24を回動可能に保持する。第5アーム部25は、L字状をなす部分と、L字の横線部分から下方へ延びる棒状の部分とからなる。第5関節部15は、基端側で第5アーム部25のL字の縦線部分の端部に取り付けられる。
【0034】
第6関節部16は、先端側で第5アーム部25を回動可能に保持するとともに、基端側でベース部5の上面に固定して取り付けられる。第6関節部16は円筒状をなしており、高さ方向の中心軸であって第5軸O5と直交する軸である第6軸O6のまわりに第5アーム部25を回動可能に保持する。第6関節部16の先端側には、第5アーム部25の棒状の部分の基端部が取り付けられる。
【0035】
以上説明した構成を有する支持部6は、顕微鏡部7における並進3自由度および回転3自由度の計6自由度の動きを実現する。
【0036】
第1関節部11~第6関節部16は、顕微鏡部7および第1アーム部21~第5アーム部25の回動をそれぞれ禁止する電磁ブレーキを有する。各電磁ブレーキは、顕微鏡部7に設けられるアーム操作スイッチ(後述)が押下された状態で解除され、顕微鏡部7および第1アーム部21~第5アーム部25の回動を許容する。なお、電磁ブレーキの代わりにエアブレーキを適用してもよい。
【0037】
各関節部には、上述した電磁ブレーキのほか、エンコーダ及びアクチュエータが搭載される。エンコーダは、例えば、第1関節部11に設けられている場合、第1軸O1における回転角度を検出する。アクチュエータは、例えばサーボモータ等の電動モータによって構成され、制御装置3からの制御により駆動され、関節部における回転を所定の角度だけ生じさせる。関節部における回転角度は、例えば顕微鏡部7を移動させるために必要な値として、各回転軸(第1軸O1~第6軸O6)における回転角度に基づいて制御装置3によって設定される。このように、アクチュエータ等の能動的な駆動機構が設けられる関節部は、当該アクチュエータの駆動が制御されることにより能動的に回転する回転軸を構成する。
【0038】
顕微鏡部7は、円筒状をなす筐体に、被観察体の像を拡大して撮像する撮像部や、第1関節部11~第6関節部16における電磁ブレーキを解除して各関節部の回動を許容する操作入力を受け付けるアーム操作スイッチ、撮像部72における拡大倍率および被観察体までの焦点距離を変更可能なレバーが設けられる。
撮像部は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を用いて構成される二つの撮像素子を有する。これら撮像素子は、三次元画像生成用の、互いに視差を有する撮像信号をそれぞれ生成する。撮像信号は、デジタル信号として出力される。なお、撮像素子を一つ設けて、二次元画像生成用の撮像信号を生成する構成としてもよい。
また、撮像部には、撮像素子へ光を導光する光学系や、像の拡大率(ズーム倍率)を変更するための拡大光学系、露光時間を制御するシャッター等が設けられる。さらに、撮像部には、光学系のレンズを移動させるアクチュエータ、及びエンコーダが搭載される。撮像部の光学系は、制御装置3のもとでレンズが移動して、ズーム倍率の変更や、焦点距離の調整などの撮像設定の変更が可能である。
また、顕微鏡部7には、押しボタン式のスイッチであるアーム操作スイッチが設けられる。ユーザがアーム操作スイッチを押下している間、第1関節部11~第6関節部16の電磁ブレーキが解除される。
【0039】
制御装置3は、観察装置2が出力した撮像信号を受信し、この撮像信号に所定の信号処理を施すことによって表示用の3次元画像データを生成する。なお、制御装置3をベース部5の内部に設置して観察装置2と一体化してもよい。
制御装置3には、ユーザの声を入力するマイク91と、ユーザが足で操作する部分であり、ユーザの押下に応じた信号を入力するフットスイッチ92とが接続される。
【0040】
図2は、実施の形態1に係る医療用観察システムの制御装置の構成を示すブロック図である。制御装置3は、画像処理部31と、音声認識部32と、認識情報処理部33と、入力部34と、フットスイッチ入力受付部35と、出力部36と、記憶部37と、制御部38とを備える。なお、制御装置3には、観察装置2、制御装置3、マイク91及びフットスイッチ92を駆動するための電源電圧を生成し、制御装置3の各部にそれぞれ供給するとともに、観察装置2に供給する電源部(図示略)などが設けられていてもよい。
【0041】
画像処理部31は、顕微鏡部7が出力した撮像信号に対してノイズ除去や、必要に応じてA/D変換等の信号処理を行う。画像処理部31は、信号処理後の撮像信号をもとに、表示装置4が表示する表示用の画像信号を生成する。画像処理部31は、撮像信号に対して、所定の信号処理を実行して被写体画像を含む表示用の画像信号を生成する。ここで、画像処理部31は、検波処理や、補間処理、色補正処理、色強調処理、及び輪郭強調処理等の各種画像処理等の公知の画像処理を行う。画像処理部31は、生成した画像信号を表示装置4に出力する。
【0042】
また、画像処理部31が、入力されたフレームの撮像信号を基に、各フレームの所定のAF用評価値を出力するAF処理部、及び、AF処理部からの各フレームのAF用評価値から、最も合焦位置として適したフレームまたはフォーカスレンズ位置等を選択するようなAF演算処理を行うAF演算部を有していてもよい。
【0043】
音声認識部32は、ユーザがマイク91に入力した音声を検出して、入力内容の認識処理を実行する。音声認識部32は、マイク91に入力された音声の特徴量と、記憶部37に記憶され、認識結果と対応付いている認識用モデルとを比較して言語系列を認識結果として受け付ける。具体的には、音声認識部32は、マイク91に「右」と入力があった場合、特徴量と認識用モデルとから、入力された発話が「右」であると認識し、認識結果を認識情報処理部33に出力する。
【0044】
認識情報処理部33は、音声認識部32から認識結果を取得して、認識結果に応じた処理を決定する。認識情報処理部33は、記憶部37を参照して、認識結果に応じた処理を決定する。認識情報処理部33は、認識結果から決定された処理内容を制御部38に出力する。
例えば、認識結果が「右」である場合には、顕微鏡部7の撮影領域を右に移動させる。顕微鏡部7に移動によって、顕微鏡部7による撮像領域が移動する。この際、顕微鏡部7の撮影領域に対する向き(右、左、上、下)は、撮像素子と表示装置4の表示の向きとの関係から予め設定されている。制御部38は、顕微鏡部7の作動距離やズーム倍率を変えずに、撮影領域のみが右に移動するように、各関節部を駆動させて顕微鏡部7の位置を移動させる。
また、認識結果が「拡大」や「縮小」である場合、顕微鏡部7の拡大光学系を駆動する。例えば、認識結果が「拡大」である場合、制御部38は、拡大光学系のズーム倍率が大きくなるように制御する。これにより、顕微鏡部7による撮像の拡大率が変更される。
【0045】
入力部34は、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースを用いて実現され、各種情報の入力を受け付ける。
【0046】
フットスイッチ入力受付部35は、ユーザによってフットスイッチ92が踏まれたことを検出して、フットスイッチ92による入力を受け付ける。フットスイッチ入力受付部35は、押下に応じた操作信号を制御部38に入力する。
【0047】
出力部36は、スピーカーやプリンタ、ディスプレイ等を用いて実現され、各種情報を出力する。
【0048】
記憶部37は、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現され、通信情報データ(例えば、通信用フォーマット情報など)や、音声の特徴量と認識用モデルとが対応付けられた音声認識テーブルと、音声認識結果と処理内容とが対応付けされた処理テーブル等が記録されている。なお、記憶部37は、制御部38が実行する各種プログラム等が記録されていてもよい。
【0049】
制御部38は、制御装置3及び観察装置2を含む各構成部の駆動制御、及び各構成部に対する情報の入出力制御などを行う。制御部38は、記憶部37に記録されている通信情報データ(例えば、通信用フォーマット情報など)を参照して制御信号を生成し、該生成した制御信号を観察装置2へ送信する。
【0050】
なお、制御部38は、顕微鏡部7及び制御装置3の同期信号、及びクロックを生成する。顕微鏡部7への同期信号(例えば、撮像タイミングを指示する同期信号等)やクロック(例えばシリアル通信用のクロック)は、図示しないケーブルで顕微鏡部7に送られ、この同期信号やクロックを基に、顕微鏡部7が駆動する。
【0051】
上述した画像処理部31、音声認識部32、認識情報処理部33、フットスイッチ入力受付部35及び制御部38は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGA(Field Programmable Gate Array:図示略)を用いて構成するようにしてもよい。なお、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。
【0052】
表示装置4は、制御装置3が生成した3次元画像データを制御装置3から受信し、該3次元画像データに対応する3次元画像を表示する。このような表示装置4は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)からなる表示パネルを備える。
なお、表示装置4のほか、スピーカーやプリンタ等を用いて情報を出力する出力装置を備えてもよい。
【0053】
次に、以上の構成を有する医療用観察システム1を用いて行われる手術の概要を説明する。ユーザである術者が被観察体である患者の頭部を手術する場合、術者は、3次元画像用の眼鏡を装着して表示装置4が表示する3次元画像を目視しながら、顕微鏡部7のアーム操作スイッチを押下した状態で顕微鏡部7を把持して所望の位置まで移動させ、顕微鏡部7の撮像領域を決定した後、アーム操作スイッチから指を離す。これにより、第1関節部11~第6関節部16では電磁ブレーキが動作し、顕微鏡部7の撮像領域が固定される。その後、術者は、拡大倍率および被観察体までの焦点距離の調整等を行う。表示装置4が3次元画像を表示するため、術者は3次元画像を通して術部を立体的に把握することができる。その後、術者は、マイク91とフットスイッチ92とを操作して、顕微鏡部7の位置や、拡大倍率、焦点距離の調整を行う。
【0054】
続いて、制御装置3が行うマイク91(音声認識)とフットスイッチ92とによる操作処理について、図3を参照して説明する。図3は、実施の形態1に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。図3では、フットスイッチ92による入力値(アナログ値)と、発話内容と、制御信号(速度)とのタイムチャートを示している。
実施の形態1では、フットスイッチ92の踏み込みによって音声入力の認識処理を開始するとともに、認識結果に応じた処理を実行する。認識結果に応じた処理は、フットスイッチ92の踏み込みが継続している間、維持される。
【0055】
具体的に、フットスイッチ入力受付部35は、フットスイッチ92の押下(踏み込み)を検出すると、踏み込み量に応じたアナログ値を、制御部38に出力する。図3では、時刻T11に、ユーザがフットスイッチ92を踏み込む。この際、アナログ値は、フットスイッチ92の踏み込み量が大きいほど、踏み込みがない場合のアナログ値(初期値V0)に対して小さくなる。
【0056】
制御部38は、時刻T11においてフットスイッチ92の押下を検出すると、マイク91による音声認識処理を開始する。ユーザは、フットスイッチ92を踏んだ後、マイク91に音声を入力する。図3に示す例では、ユーザはマイク91に「右」と入力する。
【0057】
時刻T12においてマイク91に「右」と入力されると、時刻T13までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。本実施の形態1では、「右」という音声信号が、第1の操作信号に相当する。第1の操作信号は、音声入力によって生成される信号である。
【0058】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T13以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、フットスイッチ92の踏み込み量が大きいほど(アナログ値が小さいほど)、顕微鏡部7を移動させる駆動速度が速くなるように制御される。
なお、入力された発話が「右」であると認識され、顕微鏡部7が右に移動する時刻T13から時刻T14までの間に、異なる発話が入力された場合、例えば、「上」が認識された場合、制御部38は、
・フットスイッチ92の踏み込み後の最初の音声入力以外は無視する
・顕微鏡部7を「上」に移動させる制御に変更する
・顕微鏡部7を斜め「右上」に移動させる
などの処理を行ってもよい。
【0059】
その後、時刻T14においてフットスイッチ92の踏み込みが解除されると、顕微鏡部7の移動が停止される。フットスイッチ92が踏み込まれていない時刻T14以降では、ユーザがマイク91に向かって音声(例えば「右」)を発しても、音声認識処理も認識情報処理も実行されない。本実施の形態1では、フットスイッチ92の踏み込みが解除された際に検出される初期値V0の検出信号が、第2の操作信号に相当する。実施の形態1では、音声入力による第1の操作信号と、音声入力とは異なる、フットスイッチ92の操作による第2の操作信号とによって制御する。
【0060】
このように、実施の形態1では、制御部38が、フットスイッチ92の踏み込みによって入力されるアナログ値が初期値V0とは異なる値に変化した場合に第1の変化を検出して音声認識処理を開始する。一方で、制御部38は、フットスイッチ92の踏み込みが解除されることによってアナログ値が初期値V0に戻った場合に第2の変化を検出して音声認識に基づく処理を停止する。
【0061】
以上説明した実施の形態1では、フットスイッチ92が押下された状態において、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、フットスイッチ92の押下中は、認識結果に応じた処理が維持され、フットスイッチ92の押下の解除によって、処理も停止する。実施の形態1によれば、フットスイッチ92の押下によって音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。
【0062】
なお、実施の形態1では、フットスイッチ92の踏み込み量に応じて、顕微鏡部7の移動速度が変化する例を説明したが、予め設定された一定の速度で移動するようにしてもよい。また、フットスイッチ92は図3に示すようなアナログ値でなく2値、3値などデジタル値を出力するものであってもよい。
【0063】
また、実施の形態1では、フットスイッチ入力受付部35、音声認識部32、認識情報処理部33、記憶部37が制御装置3に設けられている例を説明したが、制御装置3のうち、フットスイッチ入力受付部35、音声認識部32、認識情報処理部33、記憶部37の一部もしくはすべてが制御装置3とは別体であってもよい。
【0064】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について、図4を参照して説明する。図4は、実施の形態2に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。実施の形態2に係る医療用観察システムは、上述した実施の形態1の医療用観察システム1と同じ構成であるため、説明を省略する。以下、実施の形態1とは異なる処理について説明する。
【0065】
フットスイッチ入力受付部35は、フットスイッチ92の押下(踏み込み)を検出すると、踏み込み量に応じたアナログ値を、制御部38に出力する。図4では、時刻T21に、ユーザがフットスイッチ92を踏み込む。この際、アナログ値は、フットスイッチ92の踏み込み量が大きいほど、踏み込みがない場合のアナログ値(初期値V0)に対して小さくなる。
【0066】
制御部38は、時刻T21においてフットスイッチ92の押下を検出すると、マイク91による音声認識処理を開始する。ユーザは、フットスイッチ92を踏んだ後、マイク91に音声を入力する。図4に示す例では、ユーザはマイク91に「右」と入力する。
【0067】
時刻T22においてマイク91に「右」と入力されると、時刻T23までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。
【0068】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T23以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、フットスイッチ92の踏み込み量が大きいほど(アナログ値が小さいほど)、顕微鏡部7が移動する速度が速くなるように制御される。
【0069】
その後、時刻T24においてフットスイッチ92の踏み込みが解除されると、顕微鏡部7の移動が停止される。
【0070】
時刻T24から予め設定されている時間の範囲(期間RT)内の時刻T25においてフットスイッチ92が再び踏み込まれると、制御部38は、顕微鏡部7の移動を再開する。この際、制御部38は、再踏み込み前とは逆方向(ここでは「左」)に顕微鏡部7を移動させる。逆方向への移動においても、フットスイッチ92の踏み込み量が大きいほど(アナログ値が小さいほど)、顕微鏡部7が移動する速度が速くなるように制御される。
フットスイッチ92の再踏み込みによって逆方向へ移動させる時間の範囲(期間RT)は、例えば0.5秒以上2.0秒以下に設定される。この期間RTは、チャタリングによる誤認識を防止するための待ち時間の後に設けてもよい。
【0071】
その後、時刻T26においてフットスイッチ92の踏み込みが解除されると、顕微鏡部7の移動が停止される。
【0072】
以上説明した実施の形態2では、フットスイッチ92が押下された状態において、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、フットスイッチ92の押下中は、認識結果に応じた処理が維持され、フットスイッチ92の押下の解除によって、処理も停止する。さらに、予め設定されている時間の範囲(期間RT)内において再びフットスイッチ92が押下されると、前回の処理とは逆の処理が実行される。実施の形態2によれば、フットスイッチ92の押下によって音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。加えて、実施の形態2では、フットスイッチ92の際押下によって逆処理が実行されるため、フットスイッチ92の操作のみで処理の微調整を行うことができる。
【0073】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について、図5を参照して説明する。図5は、実施の形態3に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。実施の形態3に係る医療用観察システムは、上述した実施の形態1の医療用観察システム1と同じ構成であるため、説明を省略する。以下、実施の形態1とは異なる処理について説明する。
【0074】
フットスイッチ入力受付部35は、フットスイッチ92の押下(踏み込み)を検出すると、踏み込み量に応じたアナログ値を、制御部38に出力する。図5では、時刻T31に、ユーザがフットスイッチ92を踏み込む。この際、アナログ値は、フットスイッチ92の踏み込み量が大きいほど、踏み込みがない場合のアナログ値(初期値V0)に対して小さくなる。
【0075】
制御部38は、時刻T31においてフットスイッチ92の押下を検出すると、マイク91による音声認識処理を開始する。ユーザは、フットスイッチ92を踏んだ後、マイク91に音声を入力する。図5に示す例では、ユーザはマイク91に「右」と入力する。
【0076】
時刻T32においてマイク91に「右」と入力されると、時刻T23までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。
【0077】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T33以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、フットスイッチ92の踏み込み量が大きいほど(アナログ値が小さいほど)、顕微鏡部7が移動する速度が速くなるように制御される。
【0078】
その後、時刻T34においてフットスイッチ92の踏み込みが解除されると、顕微鏡部7の移動が停止される。
【0079】
時刻T34から予め設定されている時間の範囲(期間RT)内の時刻T35においてフットスイッチ92が再び踏み込まれると、制御部38は、顕微鏡部7の移動を再開する。この際、制御部38は、再踏み込み前とは逆方向(ここでは「左」)に顕微鏡部7を移動させる。実施の形態3では、逆方向へ移動させる際には、フットスイッチ92の踏み込み量によらず一定の速度で顕微鏡部7を移動させる。この際の速度は、制御可能な最大の速度又は最小速度、最大速度の50%の速度、前回駆動時の最大速度又は最小速度などが設定される。なお、図5では、制御可能な最大の速度に設定されている例を示す。
【0080】
その後、時刻T36においてフットスイッチ92の踏み込みが解除されると、顕微鏡部7の移動が停止される。
【0081】
以上説明した実施の形態3では、フットスイッチ92が押下された状態において、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、フットスイッチ92の押下中は、認識結果に応じた処理が維持され、フットスイッチ92の押下の解除によって、処理も停止する。さらに、予め設定されている時間の範囲(期間RT)内において再びフットスイッチ92が押下されると、前回の処理とは逆の処理が実行される。実施の形態3によれば、フットスイッチ92の押下によって音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。加えて、実施の形態3では、実施の形態2と同様に、フットスイッチ92の際押下によって逆処理が実行されるため、フットスイッチ92の操作のみで処理の微調整を行うことができる。
【0082】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について、図6を参照して説明する。図6は、実施の形態4に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。実施の形態4に係る医療用観察システムは、上述した実施の形態1の医療用観察システム1と同じ構成であるため、説明を省略する。以下、実施の形態1とは異なる処理について説明する。
【0083】
フットスイッチ入力受付部35は、フットスイッチ92の押下(踏み込み)を検出すると、踏み込み量に応じたアナログ値を、制御部38に出力する。図6では、時刻T41に、ユーザがフットスイッチ92を踏み込み、すぐに踏み込みを解除する。これにより、入力値は、初期値V0に対して一旦小さくなった後、初期値V0に戻る。
【0084】
制御部38は、時刻T41においてフットスイッチ92の押下を検出すると、マイク91による音声認識処理を開始する。ユーザは、フットスイッチ92を踏んだ後、マイク91に音声を入力する。図6に示す例では、ユーザはマイク91に「右」と入力する。
【0085】
時刻T42においてマイク91に「右」と入力されると、時刻T43までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。
【0086】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T43以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、制御部38は、顕微鏡部7を一定の速度で移動させる。この一定の速度の設定は、上述した実施の形態3と同様である。
【0087】
その後、制御部38は、時刻T44においてフットスイッチ92の押下を検出すると、顕微鏡部7の移動を停止する。
【0088】
このように、実施の形態4では、制御部38が、フットスイッチ92の踏み込みによって入力されるアナログ値が初期値V0とは異なる値に変化した場合に第1の変化を検出して音声認識処理を開始する。一方で、制御部38は、フットスイッチ92の踏み込みによって入力されるアナログ値が再度初期値V0とは異なる値に変化した場合に第2の変化を検出して音声認識に基づく処理を停止する。
【0089】
以上説明した実施の形態4では、フットスイッチ92が押下されたことを検出すると、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、認識結果に応じた処理が維持され、フットスイッチ92の再押下の検出によって、処理を停止する。実施の形態4によれば、フットスイッチ92の押下をトリガとして音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。
【0090】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について、図7を参照して説明する。図7は、実施の形態5に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。実施の形態5に係る医療用観察システムは、上述した実施の形態1の医療用観察システム1と同じ構成であるため、説明を省略する。以下、実施の形態1とは異なる処理について説明する。
【0091】
本実施の形態5では、音声入力の受け付け状態が常に許可された状態になっている。すなわち、上述した実施の形態1~4のように、フットスイッチ92の押下に応じて音声入力の処理の可否を判断するものではなく、入力された音声の認識処理が、常に許可されている。
【0092】
時刻T51においてマイク91に「右」と入力されると、制御部38は、時刻T52までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。
【0093】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T52以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、制御部38は、顕微鏡部7を一定の速度で移動させる。この一定の速度の設定は、上述した実施の形態3と同様である。
【0094】
その後、制御部38は、時刻T53においてフットスイッチ92の押下を検出すると、顕微鏡部7の移動を停止する。本実施の形態5では、フットスイッチ92の押下の検出直後において顕微鏡部7の移動を停止する。
【0095】
以上説明した実施の形態5では、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、認識結果に応じた処理が維持され、フットスイッチ92の押下の検出によって、処理を停止する。実施の形態5によれば、音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。
【0096】
(実施の形態5の変形例)
次に、実施の形態5の変形例について、図8を参照して説明する。図8は、実施の形態5の変形例に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。本変形例では、実施の形態5と同様に、音声入力の受け付け状態が常に許可された状態になっている。
【0097】
時刻T51においてマイク91に「右」と入力されると、制御部38は、時刻T52までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。
【0098】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T52以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、制御部38は、顕微鏡部7を一定の速度で移動させる。この一定の速度の設定は、上述した実施の形態3と同様である。
【0099】
その後、制御部38は、フットスイッチ92の押下を検出すると、顕微鏡部7の移動を停止する。本変形例では、時刻T54においてフットスイッチ92の押下の解除直後において顕微鏡部7の移動を停止する。
【0100】
以上説明した変形例では、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、認識結果に応じた処理が維持され、フットスイッチ92の押下の検出によって、処理を停止する。変形例によれば、音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。
【0101】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について、図9を参照して説明する。図9は、実施の形態6に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。実施の形態6に係る医療用観察システムは、上述した実施の形態1の医療用観察システム1と同じ構成であるため、説明を省略する。以下、実施の形態1とは異なる処理について説明する。
【0102】
本実施の形態6では、認識された音声が示す単語、又は、複数の単語を組み合わせた単語列が、予め設定されている単語又は単語列と一致する場合に、駆動に係る音声の認識処理が許可される。すなわち、上述した実施の形態1~4のように、フットスイッチ92の押下に応じて音声認識の処理を開始するものではなく、音声入力によって認識された後に入力された音声の認識処理が有効になる。ここで、音声認識を許可する単語としては「オン(ON)」、「開始」等が挙げられ、単語列としては「音声認識を有効」等が挙げられる。なお、単語には助詞や助動詞等を含むものとする。音声認識処理の許可を指示する単語又は単語列は、第1の認識情報に相当する。本実施の形態6では、「オン」と入力される場合を例に説明する。
【0103】
時刻T61においてマイク91に「オン(ON)」と入力されると、制御部38は、音声認識部32による認識処理を許可し、認識情報処理部33による処理を実行させる。
【0104】
その後、時刻T62においてマイク91に「右」と入力されると、制御部38は、時刻T63までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。
【0105】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T63以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、制御部38は、顕微鏡部7を一定の速度で移動させる。この一定の速度の設定は、上述した実施の形態3と同様である。
【0106】
その後、制御部38は、時刻T64においてフットスイッチ92の押下を検出すると、顕微鏡部7の移動を停止する。本実施の形態6では、フットスイッチ92の押下の検出直後において顕微鏡部7の移動を停止する。
【0107】
以上説明した実施の形態6では、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、認識結果に応じた処理が維持され、フットスイッチ92の押下の検出によって、処理を停止する。実施の形態6によれば、音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。
【0108】
(実施の形態6の変形例)
次に、実施の形態6の変形例について、図10を参照して説明する。図10は、実施の形態6の変形例に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。本変形例では、実施の形態6と同様に、入力された音声の認識処理を、設定された単語又は文の入力によって許可する。
【0109】
時刻T61においてマイク91に「オン(ON)」と入力されると、制御部38は、音声認識部32による認識処理を許可し、認識情報処理部33による処理を実行させる。
【0110】
その後、時刻T62においてマイク91に「右」と入力されると、制御部38は、時刻T63までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。
【0111】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T63以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、制御部38は、顕微鏡部7を一定の速度で移動させる。この一定の速度の設定は、上述した実施の形態3と同様である。
【0112】
その後、制御部38は、時刻T64においてフットスイッチ92の押下を検出すると、顕微鏡部7の移動を停止する。
【0113】
フットスイッチ92による駆動停止後、時刻T65においてマイク91に「オフ(OFF)」と入力されると、制御部38は、以降の音声認識部32による認識処理を禁止する。これにより、音声入力による指示の認識結果が無効になる。このほか、「終了」や、「音声認識を無効」等を設定してもよい。音声認識処理の禁止を指示する単語又は単語列は、第2の認識情報に相当する。なお、音声認識処理の禁止期間では、音声認識を有効にする単語又は単語列の認識、及び該認識に対応する処理(音声認識の有効設定)の実行のみ有効とする。
【0114】
以上説明した変形例では、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、認識結果に応じた処理が維持され、フットスイッチ92の押下の検出によって、処理を停止する。変形例によれば、音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。
【0115】
(実施の形態7)
次に、実施の形態7について、図11を参照して説明する。図11は、実施の形態7に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。実施の形態7に係る医療用観察システムは、上述した実施の形態1の医療用観察システム1と同じ構成であるため、説明を省略する。以下、実施の形態1とは異なる処理について説明する。
【0116】
本実施の形態7では、実施の形態6と同様に、予め設定されている単語や単語列によって、駆動に係る音声の認識処理が許可される。また、制御部38は、音声の認識処理の許可開始、又は顕微鏡部7の駆動停止から、予め設定されている時間が経過すると、音声の認識処理を再び禁止する。
なお、本実施の形態7では、移動開始から設定時間経過後に、顕微鏡部7の移動を停止する。音声認識処理は、許可後に設定時間が経過するか、顕微鏡部7の駆動停止後に設定時間が経過するかのいずれかによって再び禁止される。
【0117】
時刻T71においてマイク91に「オン(ON)」と入力されると、制御部38は、音声認識部32による認識処理を許可し、認識情報処理部33による処理を実行させる。
【0118】
その後、時刻T72においてマイク91に「右」と入力されると、制御部38は、時刻T73までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。
【0119】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T73以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、制御部38は、顕微鏡部7を一定の速度で移動させる。この一定の速度の設定は、上述した実施の形態3と同様である。
【0120】
その後、制御部38は、時刻T73から設定時間経過後の時刻T74において、顕微鏡部7の移動を停止するとともに、以降の音声認識部32による認識処理を禁止する。本実施の形態7では、時間の経過を示す信号が、第2の操作信号に相当する。
【0121】
以上説明した実施の形態7では、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、認識結果に応じた処理が維持され、設定時間経過後に処理を停止する。実施の形態7によれば、音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。
【0122】
なお、実施の形態7において、制御部38は、時刻T74において顕微鏡部7の移動を停止後に、音声入力を禁止してもよい。
【0123】
(実施の形態8)
次に、実施の形態8について、図12を参照して説明する。図12は、実施の形態8に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。実施の形態8に係る医療用観察システムは、上述した実施の形態1の医療用観察システム1と同じ構成であるため、説明を省略する。以下、実施の形態1とは異なる処理について説明する。
【0124】
本実施の形態8では、実施の形態6と同様に、予め設定されている単語や単語列によって、駆動に係る音声の認識処理が許可される。また、制御部38は、実施の形態7と同様に、音声の認識処理の許可開始、又は顕微鏡部7の駆動停止から、予め設定されている時間が経過すると、音声の認識処理を再び禁止する。
【0125】
時刻T81においてマイク91に「オン(ON)」と入力されると、制御部38は、音声認識部32による認識処理を許可し、認識情報処理部33による処理を実行させる。
【0126】
その後、時刻T82においてマイク91に「右」と入力されると、制御部38は、時刻T84までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。この際、時刻T84よりも前の時刻T83において、音声認識処理の禁止が設定される。制御部38は、禁止設定時間中であっても、音声認識処理の許可期間に入力が開始された音声であれば、認識情報処理部33に処理を継続させる。
【0127】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T84以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、制御部38は、顕微鏡部7を一定の速度で移動させる。この一定の速度の設定は、上述した実施の形態3と同様である。
【0128】
その後、制御部38は、時刻T85においてフットスイッチ92の押下を検出すると、顕微鏡部7の移動を停止する。このように、実施の形態8では、音声認識処理の禁止期間中であっても、フットスイッチ92による入力に伴う停止処理を継続する。禁止期間中であっても駆動停止の指示を有効とすることは、誤作動や、顕微鏡部7が他の機器や患者等に接触しそうな場合等の緊急に停止を要する際に、特に有用である。なお、駆動開始から設定時間経過後に、顕微鏡部7の駆動を停止させるようにしてもよい。また、時刻T83以降は、顕微鏡部7の駆動を停止させるようにしてもよい。
【0129】
以上説明した実施の形態8では、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、認識結果に応じた処理が維持され、フットスイッチ92の押下の検出によって、処理を停止する。実施の形態8によれば、音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。
【0130】
(実施の形態8の変形例)
次に、実施の形態8の変形例について、図13を参照して説明する。図13は、実施の形態8の変形例に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。本変形例では、実施の形態8と同様に、音声認識処理の許可期間に入力が開始された音声を、禁止期間中でも継続して処理する。また、変形例では、顕微鏡部7の移動停止を音声認識によって行う。
【0131】
時刻T81においてマイク91に「オン(ON)」と入力されると、制御部38は、音声認識部32による認識処理を許可し、認識情報処理部33による処理を実行させる。
【0132】
その後、時刻T82においてマイク91に「右」と入力されると、制御部38は、時刻T84までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。この際、時刻T84よりも前の時刻T83において、音声認識処理の禁止が設定された場合、制御部38は、禁止設定時間中であっても、認識情報処理部33に処理を継続させる。
【0133】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T84以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。
【0134】
その後、制御部38は、時刻T86において「停止」が音声認識されると、顕微鏡部7の移動を停止する。このように、変形例では、音声認識処理の禁止期間中であっても、駆動中に処理に係る音声コマンドの認識処理を継続する。本変形例では、第1の操作信号および第2の操作信号が、いずれも音声入力によって生成される同一の操作に基づく信号となる。
音声認識処理の禁止期間中であっても駆動中の処理の指示を有効とすることは、音声の誤認識による誤作動や、顕微鏡部7が他の機器や患者等に接触しそうな場合等の緊急に停止を要する際に、特に有用である。なお、駆動開始から設定時間経過後に、顕微鏡部7の駆動を停止させるようにしてもよい。また、時刻T83以降は、顕微鏡部7の駆動を停止させるようにしてもよい。
【0135】
以上説明した変形例では、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、認識結果に応じた処理が維持され、音声認識による停止指示の検出によって、処理を停止する。変形例によれば、音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。
【0136】
(実施の形態9)
次に、実施の形態9について、図14を参照して説明する。図14は、実施の形態9に係る医療用観察システムを用いて行われる駆動処理の一例を示すタイムチャートである。実施の形態9に係る医療用観察システムは、上述した実施の形態1の医療用観察システム1と同じ構成であるため、説明を省略する。以下、実施の形態1とは異なる処理について説明する。
【0137】
本実施の形態9では、実施の形態5と同様に、音声入力の受け付け状態が常に許可された状態になっている。また、制御部38は、実施の形態8と同様に、顕微鏡部7の駆動開始及び停止を音声認識によって制御する。
【0138】
時刻T91においてマイク91に「右」と入力されると、制御部38は、時刻T92までの間に音声認識部32による認識処理と、認識情報処理部33による実行処理の決定とが行われる。
【0139】
認識情報処理部33によって実行処理が決定される、ここでは、顕微鏡部7を右に移動させる処理が決定されると、時刻T92以降、制御部38が各部に制御信号を出力し、各関節部が駆動され、顕微鏡部7が右に移動する。この際、制御部38は、顕微鏡部7を一定の速度で移動させる。この一定の速度の設定は、上述した実施の形態3と同様である。
【0140】
その後、制御部38は、時刻T93において「停止」が音声認識されると、顕微鏡部7の移動を停止する。
【0141】
以上説明した実施の形態9では、マイク91からの音声入力を受け付け、認識結果に応じた処理が実行される。その後、認識結果に応じた処理が維持され、音声認識による停止指示の検出によって、処理を停止する。実施の形態9によれば、音声認識の開始から処理の停止までが制御装置3(顕微鏡部7や支持部6を制御する制御装置3)内で一括制御されるため、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに簡易に処理を停止することができる。
【0142】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、支持部6は、2つのアーム部および該2つのアーム部の一方を他方に対して回動可能に連結する関節部からなる組を少なくとも1組有していればよい。
【0143】
なお、実施の形態1~4では、音声認識開始から駆動停止までをフットスイッチ92によって操作する例を説明したが、これに限らず、手で押下するスイッチ等、足以外で操作するスイッチによって操作する構成としてもよい。また、フットスイッチ92を感圧センサや加速度センサなどで代用してもよい。
【0144】
また、実施の形態1~4では、フットスイッチ92の踏み込みによって入力値が初期値より小さくなる例を説明したが、入力値は、踏み込み量に応じて初期値より大きくなる構成としてもよい。また、フットスイッチ92はアナログ値でなく、2値、3値などのデジタル値を出力するものであってもよい。
【0145】
また、実施の形態1~4において、制御部38は、音声認識開始から駆動停止までの間、マイク91をオンにし、それ以外の期間をオフにするように制御してもよい。これにより、音声認識期間以外において、発話が入力されることが防止される。また、音声認識期間のマイク91による入力ボリュームを大きくし、音声認識期間以外において、入力ボリュームを小さくする、またはミュート(消音)してもよい。
【0146】
また、実施の形態1~4において、マイク91やフットスイッチ92が、有線で制御装置3に接続される例を説明したが、無線によって制御装置3に接続する構成としてもよい。また、観察装置2と制御装置3とは、有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。
【0147】
また、実施の形態1~4において、マイク91やフットスイッチ92は一組設けられる例を説明したが、複数組有してもよい。例えば、術者用、助手用、看護師用等に分けて、操作入力の優先順を設定するようにしてもよい。
【0148】
また、実施の形態1~4において、制御装置3は、発話を認識した際に、出力部36から音や光を発して、発話を認識した旨をユーザに報知するようにしてもよい。また、表示装置4に、発話を認識した旨のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0149】
また、医療用観察装置を、設置場所の天井から吊り下げて配置する構成としてもよい。
【0150】
また、上述した実施の形態1~4では、制御装置3が観察装置2とは別体で設けられる例を説明したが、制御装置3がベース部5に内蔵されるようにしてもよい。
【0151】
また、上述した実施の形態1~4では、支持部6が顕微鏡部7を保持する例を説明したが、支持部6は、顕微鏡部7に限らず、撮像可能な構成を有する部材を保持してもよい。例えば、支持部6が、先端において、硬性内視鏡を保持するようにしてもよいし、軟性内視鏡の先端を保持するようにしてもよい。支持部6が内視鏡を保持する場合、ベース部5及び支持部6は、内視鏡ホルダーとして機能する。
【0152】
このように、本発明は、特許請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、さまざまな実施の形態等を含み得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0153】
以上のように、本開示にかかる制御装置及び医療用観察システムは、簡易な構成、かつ音声認識から音声認識に応じた駆動までを短時間で行い、さらに駆動を簡易に停止するのに有用である。
【符号の説明】
【0154】
1 医療用観察システム
2 医療用観察装置
3 制御装置
4 表示装置
5 ベース部
6 支持部
7 顕微鏡部
8 光源装置
11 第1関節部
12 第2関節部
13 第3関節部
14 第4関節部
15 第5関節部
16 第6関節部
21 第1アーム部
22 第2アーム部
23 第3アーム部
24 第4アーム部
25 第5アーム部
31 画像処理部
32 音声認識部
33 認識情報処理部
34 入力部
35 フットスイッチ入力受付部
36 出力部
37 記憶部
38 制御部
91 マイク
92 フットスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14