(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】冷凍食品入り袋製品
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
B65D81/34 U
(21)【出願番号】P 2021527775
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2020025245
(87)【国際公開番号】W WO2020262614
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2019122278
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003274
【氏名又は名称】マルハニチロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【氏名又は名称】山崎 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳善 好美
(72)【発明者】
【氏名】谷 和憲
(72)【発明者】
【氏名】萩原 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮川 友良
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2001/081201(WO,A1)
【文献】特開2018-114986(JP,A)
【文献】特開2011-148503(JP,A)
【文献】特開2011-121601(JP,A)
【文献】米国特許第05814382(US,A)
【文献】特開2016-117526(JP,A)
【文献】特開2019-055809(JP,A)
【文献】特開2019-163083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 30/00 - 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋に収容された冷凍食品を、電子レンジを用いて解凍又は加熱し、解凍又は加熱した食品を、他の容器に移し換えることなく
前記袋を容器として使用して前記食品を食べられるようにした冷凍食品入り袋製品であって、
前記袋は、矩形の正面形状を有する前後一対の正面フィルム部と、これらの正面フィルム部の両側の長辺部の少なくとも一方に沿った部分に挟み込まれた、V字状に折り込んだ側面フィルム部とを備えるように、フィルム材料を用いて形成されていると共に、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った部分が、接合部として各々接合されていることで、冷凍食品を内部に封入しており、且つ前後一対の前記正面フィルム部の一方に、蒸気排出部が形成されており、
前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った各々の前記接合部において、V字状に折り込んだ前記側面フィルム部は、互いに接合されることなく、当該側面フィルム部の端部が、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部にのみ接合されていることで、前記側面フィルム部の両側の端部と前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部との接合箇所が、V字形状に広がるように形成されており、
電子レンジから取り出された解凍又は加熱した食品が収容された袋を、前記正面フィルム部の一方の長辺部側の前記側面フィルム部を下方に配置して、解凍又は加熱した食品の重量によって当該下方に配置した側面フィルム部のV字状に折り込んだ状態を開放させ、折り込んだ状態が開放された当該下方に配置した側面フィルム部を載置部として、解凍又は加熱した食品の重量により被載置面に載置した状態で、前記正面フィルム部の他方の長辺部側の部分を長辺方向に沿って切り離すことで取出し開口を形成して、形成した取出し開口から食品を取り出して食べられ、
前記袋を形成するフィルム材料は、合成樹脂製延伸フィルムと、該合成樹脂製延伸フィルムの内側に貼り合わされたヒートシール性を備える合成樹脂製未延伸フィルムとからなる積層フィルム材料であり、
前記蒸気排出部が、前記合成樹脂製延伸フィルムと前記合成樹脂製未延伸フィルムとの間に介在して、前記合成樹脂製延伸フィルムに帯状に延設させて塗布された低融点のヒートシール剤又は剥離剤と、該低融点のヒートシール剤又は剥離剤が塗布された帯状部分を延設方向に縦断して、前記帯状部分から前記低融点のヒートシール剤又は剥離剤が塗布されていない領域に亘って、前記合成樹脂製延伸フィルムに線状に刻設された切断線とを含んで構成され
、
前記蒸気排出部が、前記一方の正面フィルム部の長辺方向に沿った方向に延設して、載置部となる一方の長辺部側の前記側面フィルム部とは反対の他方の長辺部側に片寄せて設けられている冷凍食品入り袋製品。
【請求項2】
前記袋は、矩形の正面形状を有する前後一対の正面フィルム部と、これらの正面フィルム部の両側の長辺部に沿った部分に挟み込まれた、V字状に折り込んだ左右一対の側面フィルム部とを備えるように、フィルム材料を用いてガセット袋状に形成されていると共に、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った部分が、接合部として各々接合されていることで、冷凍食品を内部に封入しており、且つ前後一対の前記正面フィルム部の一方に、蒸気排出部が形成されており、
前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った各々の前記接合部において、V字状に折り込んだ左右一対の前記側面フィルム部は、互いに接合されることなく、当該側面フィルム部の端部が、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部にのみ各々接合されていることで、前記側面フィルム部の両側の端部と前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部との接合箇所が、V字形状に広がるように形成されている請求項1に記載の冷凍食品入り袋製品。
【請求項3】
前記蒸気排出部の前記切断線は、前記袋に収容された食品を解凍又は加熱した後、前記正面フィルム部を長辺方向に沿って切り離すことで取出し開口を形成する際に、切離し案内線として機能するようになっている
請求項1又は請求項2に記載の冷凍食品入り袋製品。
【請求項4】
前記袋に収容される前記冷凍食品が、冷凍米飯である請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載の冷凍食品入り袋製品。
【請求項5】
袋に収容された冷凍食品を、電子レンジを用いて解凍又は加熱し、解凍又は加熱した食品を、他の容器に移し換えることなく
前記袋を容器として使用して前記食品を食べられるようにした冷凍食品入り袋製品
の使用方法であって、
前記袋は、矩形の正面形状を有する前後一対の正面フィルム部と、これらの正面フィルム部の両側の長辺部の少なくとも一方に沿った部分に挟み込まれた、V字状に折り込んだ側面フィルム部とを備えるように、フィルム材料を用いて形成されていると共に、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った部分が、接合部として各々接合されていることで、冷凍食品を内部に封入しており、且つ前後一対の前記正面フィルム部の一方に、蒸気排出部が形成されており、
前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った各々の前記接合部において、V字状に折り込んだ前記側面フィルム部は、互いに接合されることなく、当該側面フィルム部の端部が、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部にのみ接合されていることで、前記側面フィルム部の両側の端部と前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部との接合箇所が、V字形状に広がるように形成されており、
電子レンジから取り出された解凍又は加熱した食品が収容された袋を、前記正面フィルム部の一方の長辺部側の前記側面フィルム部を下方に配置して、解凍又は加熱した食品の重量によって当該下方に配置した側面フィルム部のV字状に折り込んだ状態を開放させ、折り込んだ状態が開放された当該下方に配置した側面フィルム部を載置部として、解凍又は加熱した食品の重量により被載置面に載置した状態で、前記正面フィルム部の他方の長辺部側の部分を長辺方向に沿って切り離すことで取出し開口を形成して、形成した取出し開口から食品を取り出して食べられ、
前記袋を形成するフィルム材料は、合成樹脂製延伸フィルムと、該合成樹脂製延伸フィルムの内側に貼り合わされたヒートシール性を備える合成樹脂製未延伸フィルムとからなる積層フィルム材料であり、
前記蒸気排出部が、前記合成樹脂製延伸フィルムと前記合成樹脂製未延伸フィルムとの間に介在して、前記合成樹脂製延伸フィルムに帯状に延設させて塗布された低融点のヒートシール剤又は剥離剤と、該低融点のヒートシール剤又は剥離剤が塗布された帯状部分を延設方向に縦断して、前記帯状部分から前記低融点のヒートシール剤又は剥離剤が塗布されていない領域に亘って、前記合成樹脂製延伸フィルムに線状に刻設された切断線とを含んで構成されている冷凍食品入り袋製品
の前記袋に冷凍食品が収容された袋製品を、前記袋の前記蒸気排出部が形成された一方の前記正面フィルム部を上面側に向けた状態で電子レンジの中に配置し、収容した冷凍食品を解凍又は加熱可能な所定時間、電子レンジを稼働することにより前記蒸気排出部から蒸気を排出させながら冷凍食品を解凍又は加熱した後に、電子レンジから袋製品を取り出して、解凍又は加熱した食品を前記袋の一方の長辺部側の前記側面フィルム部側に片寄せることで、解凍又は加熱した食品の重量により一方の長辺部側の前記側面フィルム部のV字状に折り込んだ状態を開放させて、一方の長辺部側の前記側面フィルム部による載置部を形成し、形成した載置部を解凍又は加熱した食品の重量により被載置面に載置した状態で、前記正面フィルム部の他方の長辺部側の部分を長辺方向に沿って切り離すことにより取出し開口を形成し、前記食品を、他の容器に移し換えることなく、前記袋を容器として使用する冷凍食品入り袋製品の使用方法。
【請求項6】
前記袋は、矩形の正面形状を有する前後一対の正面フィルム部と、これらの正面フィルム部の両側の長辺部に沿った部分に挟み込まれた、V字状に折り込んだ左右一対の側面フィルム部とを備えるように、フィルム材料を用いてガセット袋状に形成されていると共に、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った部分が、接合部として各々接合されていることで、冷凍食品を内部に封入しており、且つ前後一対の前記正面フィルム部の一方に、蒸気排出部が形成されており、
前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った各々の前記接合部において、V字状に折り込んだ左右一対の前記側面フィルム部は、互いに接合されることなく、当該側面フィルム部の端部が、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部にのみ各々接合されていることで、前記側面フィルム部の両側の端部と前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部との接合箇所が、V字形状に広がるように形成されている
請求項5に記載の冷凍食品入り袋製品
の使用方法。
【請求項7】
前記蒸気排出部が、前記一方の正面フィルム部の長辺方向に沿った方向に延設して、載置部となる一方の長辺部側の前記側面フィルム部とは反対の他方の長辺部側に片寄せて設けられている
請求項5又は請求項6に記載の冷凍食品入り袋製品
の使用方法。
【請求項8】
前記蒸気排出部の前記切断線は、前記袋に収容された食品を解凍又は加熱した後、前記正面フィルム部を長辺方向に沿って切り離すことで取出し開口を形成する際に、切離し案内線として機能するようになっている
請求項7に記載の冷凍食品入り袋製品
の使用方法。
【請求項9】
前記袋に収容される前記冷凍食品が、冷凍米飯である
請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の冷凍食品入り袋製品
の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍食品入り袋製品に関し、特に解凍又は加熱した食品を、他の容器に移し換えることなく袋に収容したままの状態で食べられるようにした冷凍食品入り袋製品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジの普及に伴って、冷凍食品や、レトルト食品等の加熱加圧食品が多くの消費者により一般に購入されるようになっている。冷凍食品では、冷凍した食品を、好ましくは気密性及び遮光性を有するパウチ等の袋に収容した状態で流通している。これらの気密性及び遮光性を有するパウチ等の袋は、包装材としてアルミニウム等の金属箔を含むものもあり、そのような場合は袋のまま電子レンジを使用することが出来ないことから、袋に収容された冷凍食品を電子レンジで解凍又は加熱する際には、食器類等の他の容器に移し換えてから解凍又は加熱するようになっている。
【0003】
また、近年、電子レンジに対応可能な袋に収容された冷凍食品も一般化しており、このような電子レンジに対応可能な袋は、耐熱性、保存性に優れた特殊なフィルム素材が開発されたことによって実現されていると共に、収容した冷凍食品から生じた蒸気を抜き取ることが可能な、蒸気抜き機構を備えている(例えば、特許文献1参照)、このような電子レンジに対応可能な袋に収容された冷凍食品もまた、解凍又は加熱された後に、食器類等の他の容器に移し換えてから食されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
一方、近年の節約志向の高まりや、喫食時の形態の多様化や、簡便性、時間短縮等への志向から、特に若年層の間で、好ましく袋に収容された冷凍食品を、電子レンジに入れて解凍又は加熱した後に、食器類等の他の容器に移し換えることなく、袋に収容したままの状態で手軽に食べられるようにすることが望まれると予想されることから、このような手軽な食べ方を可能にする、新たな袋製品を開発することが期待されている。
【0006】
本発明は、袋に収容された冷凍食品を、電子レンジに入れて解凍又は加熱した後に、食器類等の他の容器に移し換えることなく、袋に収容したままの状態で手軽に食べられるようにすることのできる冷凍食品入り袋製品、及び該冷凍食品入り袋製品の使用方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、袋に収容された冷凍食品を、電子レンジを用いて解凍又は加熱し、解凍又は加熱した食品を、他の容器に移し換えることなく袋に収容したままの状態で食べられるようにした冷凍食品入り袋製品であって、前記袋は、矩形の正面形状を有する前後一対の正面フィルム部と、これらの正面フィルム部の両側の長辺部の少なくとも一方に沿った部分に挟み込まれた、V字状に折り込んだ側面フィルム部とを備えるように、フィルム材料を用いて形成されていると共に、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った部分が、接合部として各々接合されていることで、冷凍食品を内部に封入しており、且つ前後一対の前記正面フィルム部の一方に、蒸気排出部が形成されており、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った各々の前記接合部において、V字状に折り込んだ前記側面フィルム部は、互いに接合されることなく、当該側面フィルム部の端部が、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部にのみ接合されていることで、前記側面フィルム部の両側の端部と前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部との接合箇所が、V字形状に広がるように形成されており、電子レンジから取り出された解凍又は加熱した食品が収容された袋を、前記正面フィルム部の一方の長辺部側の前記側面フィルム部を下方に配置して、解凍又は加熱した食品の重量によって当該下方に配置した側面フィルム部のV字状に折り込んだ状態を開放させ、折り込んだ状態が開放された当該下方に配置した側面フィルム部を載置部として、解凍又は加熱した食品の重量により被載置面に載置した状態で、前記正面フィルム部の他方の長辺部側の部分を長辺方向に沿って切り離すことで取出し開口を形成して、形成した取出し開口から食品を取り出して食べられるようにした冷凍食品入り袋製品を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
そして、本発明の冷凍食品入り袋製品は、前記袋が、矩形の正面形状を有する前後一対の正面フィルム部と、これらの正面フィルム部の両側の長辺部に沿った部分に挟み込まれた、V字状に折り込んだ左右一対の側面フィルム部とを備えるように、フィルム材料を用いてガセット袋状に形成されていると共に、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った部分が、接合部として各々接合されていることで、冷凍食品を内部に封入しており、且つ前後一対の前記正面フィルム部の一方に、蒸気排出部が形成されており、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った各々の前記接合部において、V字状に折り込んだ左右一対の前記側面フィルム部は、互いに接合されることなく、当該側面フィルム部の端部が、前後一対の前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部にのみ各々接合されていることで、前記側面フィルム部の両側の端部と前記正面フィルム部の両側の短辺部に沿った端部との接合箇所が、V字形状に広がるように形成されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明の冷凍食品入り袋製品は、前記袋を形成するフィルム材料は、合成樹脂製延伸フィルムと、該合成樹脂製延伸フィルムの内側に貼り合わされたヒートシール性を備える合成樹脂製未延伸フィルムとからなる積層フィルム材料であることが好ましい。
【0010】
また、本発明の冷凍食品入り袋製品は、前記蒸気排出部が、前記合成樹脂製延伸フィルムと前記合成樹脂製未延伸フィルムとの間に介在して、前記合成樹脂製延伸フィルムに帯状に延設させて塗布された低融点のヒートシール剤又は剥離剤と、該低融点のヒートシール剤又は剥離剤が塗布された帯状部分を延設方向に縦断して、前記帯状部分から前記低融点のヒートシール剤又は剥離剤が塗布されていない領域に亘って、前記合成樹脂製延伸フィルムに線状に刻設された切断線とを含んで構成されていることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の冷凍食品入り袋製品は、前記蒸気排出部が、前記一方の正面フィルム部の長辺方向に沿った方向に延設して、載置部となる一方の長辺部側の前記側面フィルム部とは反対の他方の長辺部側に片寄せて設けられていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の冷凍食品入り袋製品は、前記蒸気排出部の前記切断線が、前記袋に収容された食品を解凍又は加熱した後、前記正面フィルム部を長辺方向に沿って切り離すことで取出し開口を形成する際に、切離し案内線として機能するようになっていることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の冷凍食品入り袋製品は、前記袋に収容される前記冷凍食品が、冷凍米飯であることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上記の冷凍食品入り袋製品の使用方法であって、前記冷凍食品が前記袋に収容された袋製品を、前記袋の前記蒸気排出部が形成された一方の前記正面フィルム部を上面側に向けた状態で電子レンジの中に配置し、収容した冷凍食品を解凍又は加熱可能な所定時間、電子レンジを稼働することにより前記蒸気排出部から蒸気を排出させながら冷凍食品を解凍又は加熱した後に、電子レンジから袋製品を取り出して、解凍又は加熱した食品を前記袋の一方の長辺部側の前記側面フィルム部側に片寄せることで、解凍又は加熱した食品の重量により一方の長辺部側の前記側面フィルム部のV字状に折り込んだ状態を開放させて、一方の長辺部側の前記側面フィルム部による載置部を形成し、形成した載置部を解凍又は加熱した食品の重量により被載置面に載置した状態で、前記正面フィルム部の他方の長辺部側の部分を長辺方向に沿って切り離すことにより取出し開口を形成し、形成した取出し開口から食品を取り出して食べられるようにする冷凍食品入り袋製品の使用方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい一実施形態に係る冷凍食品入り袋製品の略示斜視図である。
【
図3】
図3は、冷凍食品を収容する前の袋の略示斜視図である。
【
図4】
図4(a)~(c)及び(e)は、蒸気排出部の機能を説明する、
図1のB-Bに沿った断面図、
図4(d)及び(f)は、蒸気排出部の略示斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の好ましい一実施形態に係る冷凍食品入り袋製品の使用方法を説明する略示斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の好ましい一実施形態に係る冷凍食品入り袋製品の使用方法を説明する略示斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の好ましい一実施形態に係る冷凍食品入り袋製品の使用方法を説明する略示斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の好ましい一実施形態に係る冷凍食品入り袋製品の使用方法を説明する略示斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の好ましい一実施形態に係る冷凍食品入り袋製品の使用方法を説明する略示斜視図である。
【
図10】
図10(a)は、本発明の好ましい他の実施形態に係る冷凍食品入り袋製品の略示斜視図、
図10(b)は、
図10(a)をC方向から見た略示正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び
図2に示す本発明の好ましい一実施形態に係る冷凍食品入り袋製品10は、合成樹脂製のフィルム材料14用いて形成された、矩形状の平面形状を備える袋11(
図3参照)に、調理後に冷凍された冷凍食品20(
図9参照)として、好ましくは五目炒飯、キムチ炒飯、ピラフ、チキンライス等の冷凍米飯を収容した、個食用の袋製品として製造される。本実施形態の冷凍食品入り袋製品10は、袋11がアルミニウム等の金属箔を含んでおらず、また蒸気排出部17備えていることで、そのまま電子レンジ30(
図5、
図6参照)に入れて冷凍食品を解凍又は加熱することが可能であり、また解凍又は加熱した食品20を、食器類等の他の容器に移し換えることなく、袋11に収容したままの状態で手軽に食べられるようにする機能を備えている(
図9参照)。
【0017】
そして、本実施形態の冷凍食品入り袋製品10は、袋11に収容された冷凍食品20を、電子レンジ30を用いて解凍又は加熱し、解凍又は加熱した食品20を、他の容器に移し換えることなく袋11に収容したままの状態で食べられるようにした袋製品であって、
図1~
図3に示すように、袋11は、矩形の正面形状を有する前後一対の正面フィルム部12a,12bと、これらの正面フィルム部12a,12bの両側の長辺部の少なくとも一方として、好ましくは両側の長辺部に沿った部分に挟み込まれた、V字状に折り込んだ好ましくは左右一対の側面フィルム部13a,13bとを備えるように、フィルム材料14を用いて好ましくはガセット袋状に形成されていると共に、前後一対の正面フィルム部12a,12bの両側の短辺部に沿った部分が、端部接合部15として各々接合されていることで、冷凍食品20を内部に封入しており、且つ前後一対の正面フィルム部12a,12bの一方12aに、蒸気排出部17が形成されている。
【0018】
前後一対の正面フィルム部12a,12bの両側の短辺部に沿った各々の端部接合部15において、V字状に折り込んだ好ましくは左右一対の側面フィルム部13a,13bは、V字状の一対の各片部が互いに接合されることなく、当該側面フィルム部13a,13bの端部が、前後一対の正面フィルム部12a,12bの両側の短辺部に沿った端部にのみ各々接合されていることで、側面フィルム部13a,13bの両側の端部と正面フィルム部12a,12bの両側の短辺部に沿った端部との側部接合箇所15aが、V字形状に広がるように形成されている。
【0019】
図5~
図9に示すように、電子レンジ30から取り出した解凍又は加熱された食品20が収容された袋11を、正面フィルム部12a,12bの一方の長辺部側の側面フィルム部13aを下方に配置して(
図7参照)、解凍又は加熱した食品の重量によって当該下方に配置した側面フィルム部13aのV字状に折り込んだ状態を開放させ、折り込んだ状態が開放された当該下方に配置した側面フィルム部13aを載置部21として、解凍又は加熱した食品20の重量により被載置面22に載置した状態で(
図8参照)、正面フィルム部12a,12bの他方の長辺部側の部分を長辺方向に沿って切り離すことで取出し開口23を形成して、形成した取出し開口23から食品20を取り出して食べることができるようになっている(
図9参照)。
【0020】
また、本実施形態では、袋11を形成するフィルム材料14は、
図4(a)~(c)、(e)に示すように、合成樹脂製延伸フィルム14aと、合成樹脂製延伸フィルム14aの内側に貼り合わされたヒートシール性を備える合成樹脂製未延伸フィルム14bとからなる積層フィルム材料となっている。蒸気排出部17は、
図1及び
図4(a)~(f)に示すように、合成樹脂製延伸フィルム14aと合成樹脂製未延伸フィルム14bとの間に介在して、帯状に延設させて合成樹脂製延伸フィルム14aに塗布された低融点のヒートシール剤17a又は剥離剤17bと、これらの低融点のヒートシール剤17a又は剥離剤17bが塗布された帯状部分17cを延設方向に縦断して、帯状部分17cから低融点のヒートシール剤17a又は剥離剤17bが塗布されていない領域に亘って、合成樹脂製延伸フィルム14aに線状に刻設された切断線17dとを含んで構成されている。
【0021】
さらに、本実施形態では、蒸気排出部17は、
図1及び
図3に示すように、一方の正面フィルム部12aの長辺方向に沿った方向に延設して、載置部21となる一方の長辺部側の側面フィルム部13aとは反対の他方の長辺部側に片寄せて設けられている。
【0022】
本実施形態では、冷凍食品20を収容する袋11は、フィルム材料14として、好ましくは合成樹脂製延伸フィルム14aと、ヒートシール性を備える合成樹脂製未延伸フィルム14bとを貼り合わせた、積層フィルム材料を用いて形成することができる。袋11は、例えば、正面フィルム部12a,12bの長辺方向の長さと同様の幅を有すると共に、正面フィルム部12a,12bの短辺方向の長さの略3倍程度の長さを有する、横長矩形の帯状の1枚のフィルム材料14を用いて形成することができる。
【0023】
すなわち、1枚の横長矩形のフィルム材料14を用いて袋11を形成するには、例えばヒートシール性を備える合成樹脂製未延伸フィルム14bを内側に配置して、フィルム材料14を環状に曲折させると共に、横長方向の両端の縁部分を、内側の合成樹脂製未延伸フィルム14b同士を互いに重ね合わせて長辺方向接合部16としてヒートシールすることにより、フィルム材料14を筒状に形成する。しかる後に、
図3に示すように、筒状に形成したフィルム材料14を、例えば一方の正面フィルム部12aの短辺方向の中央部分に長辺方向接合部16を縦断させて配置すると共に、当該一方の正面フィルム部12aに重ね合わされる他方の正面フィルム部12bとの間に、V字状に折り込んだ左右一対の側面フィルム部13a,13bを、これらの正面フィルム部12a,12bの両側の長辺部に沿った部分に挟み込んで、平坦に折り畳んだ状態から、折り畳まれたフィルム材料14の一方の短辺部に沿った端部を端部接合部15としてヒートシールする。これによって、食品20を収容する前の、好ましくはガセット袋状の袋11を形成することができる。
【0024】
ここで、袋11を形成するためのフィルム材料14を構成する合成樹脂製延伸フィルム14aとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等からなる汎用の延伸フィルムを用いることができる。延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム及び二軸延伸フィルムが挙げられる。一軸延伸フィルムは、縦方向もしくは横方向の一方向に伸び難い性質を持つ。二軸延伸フィルムは、縦方向にも横方向にも伸び難いフィルムであり、印刷加工や積層複合加工などに優れた機械適正を持つため、基材として好ましく用いることができる。
【0025】
フィルム材料14を構成する合成樹脂製未延伸フィルム14bとしては、縦方向にも横方向にも伸び易く、衝撃に対して強いだけでなく、安定したヒートシール性とヒートシール強度を持つフィルムとして、好ましくは包装用積層材のシーラントとして広く採用されている、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)からなる未延伸フィルムを用いることができる。
【0026】
また、本実施形態では、好ましくはガセット袋状に形成された袋11は、フィルム材料14の内側層がヒートシール性を備える合成樹脂製未延伸フィルム14bによって構成され、外側層がヒートシール性を備えていない合成樹脂製延伸フィルム14aによって構成されているので、ヒートシールされた一方の端部接合部15において、V字状に折り込まれた側面フィルム部13a,13bの端部は、V字状の各片の外側面同士を互いに接合させることなく、内側面のみを、前後一対の正面フィルム部12a,12bの短辺部に沿った端部の内側面に、V字状の側部接合箇所15aとして接合させるようになっている。また前後一対の正面フィルム部12a,12bの短辺部に沿った端部接合部15における、両側の側部接合箇所15aの間の部分は、前後一対の正面フィルム部12a,12bの短辺部に沿った端部の内側面同士が接合された、中間部接合箇所15bとなっている。これらによって、側面フィルム部13a,13bの端部と正面フィルム部12a,12bの短辺部に沿った端部との側部接合箇所15aは、
図2に示すように、中間部接合箇所15bの端部を頂部として、V字形状(ハに字形状)に広がるように形成されることになる。
【0027】
折り畳まれたフィルム材料14における、前後一対の正面フィルム部12a,12bの一方の短辺部に沿った端部を端部接合部15としてヒートシールすることで、食品20を収容する前のガセット袋状の袋11を形成したら、ヒートシールしていない他方の短辺部に沿った端部を供給口として、所定量の冷凍食品20を袋11の内部に収容する。しかる後に、袋11の他方の短辺部に沿った端部を、一方の短辺部に沿った端部と同様に、端部接合部15としてヒートシールすることによって、
図1に示すように、本実施形態の冷凍食品入り袋製品10を形成することができる。
【0028】
ヒートシールされた他方の端部接合部15においても、一方の端部接合部15と同様に、V字状に折り込まれた側面フィルム部13a,13bの端部は、V字状の各片の外側面同士を互いに接合させることなく、内側面のみを、前後一対の正面フィルム部12a,12bの短辺部に沿った端部の内側面に、V字状の側部接合箇所15aとして接合させるようになっている。また前後一対の正面フィルム部12a,12bの短辺部に沿った端部接合部15における、両側の側部接合箇所15aの間の部分は、前後一対の正面フィルム部12a,12bの短辺部に沿った端部の内側面同士が接合された、中間部接合箇所15bとなっている。これらによって、側面フィルム部13a,13bの端部と正面フィルム部12a,12bの短辺部に沿った端部との側部接合箇所15aは、
図2に示すように、中間部接合箇所15bの端部を頂部として、V字形状(ハに字形状)に広がるように形成されることになる。
【0029】
さらに、本実施形態では、1枚の横長矩形のフィルム材料14の所定の位置に、合成樹脂製延伸フィルム14aと合成樹脂製未延伸フィルム14bとの間に介在させて、低融点のヒートシール剤17a又は剥離剤17bが合成樹脂製延伸フィルム14aに塗布されていることによる帯状部分17cが、予め設けられており、またこの帯状部分17cを縦断するようにして、切断線17dが線状に刻設されている。これによって、袋11がガセット袋状に形成された際に、
図3に示すように、蒸気排出部17が、一方の正面フィルム部12aの長辺方向に沿った方向に延設して、載置部21となる一方の長辺部側の側面フィルム部13aとは反対の、他方の長辺部側の側面フィルム部13b側に片寄せて形成されることになる。
【0030】
ここで、蒸気排出部17は、特許4817583号公報に記載の蒸気を排出させる排出部の機構と同様の構成を備えており、
図1及び
図4(a)~(f)に示すように、合成樹脂製延伸フィルム14aと合成樹脂製未延伸フィルム14bとの間に介在して、帯状に延設させて合成樹脂製延伸フィルム14aに塗布された低融点のヒートシール剤17a又は剥離剤17bと、これらの低融点のヒートシール剤17a又は剥離剤17bが塗布された帯状部分17cを延設方向に縦断して、帯状部分17cから低融点のヒートシール剤17a又は剥離剤17bが塗布されていない領域に亘って、合成樹脂製延伸フィルム14aのみに線状に刻設された切断線17dとを含んで構成されている。本実施形態では、低融点のヒートシール剤17a又は剥離剤17bが塗布されて形成された帯状部分17cは、例えば45~145mm程度の所要の幅で、且つ両端が好ましくは逆矢絣形になるように設けられている。切断線17dは、直線状又は破線状に形成することができる。
【0031】
蒸気排出部17は、後述するように、袋11に冷凍食品20を封入した袋製品10を電子レンジ30に入れて、冷凍食品20を解凍又は加熱する際に、収容された冷凍食品20から生じる水蒸気を、収容された冷凍食品20を適度に蒸しながら排出することを可能にする機能を備えている。すなわち、袋製品10を電子レンジ30に入れて解凍又は加熱処理すると、収容された冷凍食品20に含まれている水分が水蒸気となって蒸発し、この蒸気と空気とが混合して袋11の内部の圧力が上昇する。このため蒸気排出部17における内側層の合成樹脂製未延伸フィルム14bは、外側に貼り合わされている合成樹脂製延伸フィルム14aを押し広げながら、
図4(b)、(c)に示すように切断線17dに対して直角方向に伸び始める。
【0032】
袋11の内部の圧力がさらに上昇することにより、合成樹脂製延伸フィルム14aの切断線17dによる切断部分が広がると共に、これに伴って合成樹脂製未延伸フィルム14bの伸びる領域が広がってゆき、低融点のヒートシール剤17aが合成樹脂製延伸フィルム14aに塗布されている場合にはその溶融により、剥離剤17bが合成樹脂製延伸フィルム14aに塗布されている場合にはその低摩擦性により、塗布してある箇所から合成樹脂製延伸フィルム14aと合成樹脂製未延伸フィルム14bとの剥離が始まって、
図4(c)、(d)に示すように低融点のヒートシール剤17aまたは剥離剤17bが塗布されている箇所の切断線17dを介して、外側層の合成樹脂製延伸フィルム14aは開口し始める。
【0033】
合成樹脂製延伸フィルム14aが切断線17dの部分で開口し始めた後も、
図4(e)に示すように、合成樹脂製未延伸フィルム14bはさらに伸びようとするが、合成樹脂製未延伸フィルム14bは、ヒートシール剤17aまたは剥離剤17bが塗布されている帯状部分17cの領域のみが伸びて、塗布されていない他の領域は伸びないため、低融点のヒートシール剤17aまたは剥離剤17bが塗布されている帯状部分17cの箇所と、塗布されていない箇所との境界部分に応力が集中する。これによって、
図4(f)に示すように、合成樹脂製延伸フィルム14aが開口した帯状部分17cの両端における、切断線17dが交差する好ましくは逆矢絣形の中央の角部において、合成樹脂製未延伸フィルム14bに小穴18が開口するようになる。
【0034】
合成樹脂製未延伸フィルム14bに小穴18が開口すると、袋11の内部の水蒸気は、開口した小穴18及び合成樹脂製延伸フィルム14aの切断線17dが開口した筒所を通って、袋11の外部にスムーズに排出されるようになる。また水蒸気が外部に排出されることにより、袋11の内部の圧力は低下するので、合成樹脂製未延伸フィルム14bの伸び率が低下することで、開口した小穴18は小さくなって、殆ど閉塞した状態になる。
【0035】
小穴18が閉鎖した状態になると、袋11の内部の圧力は再び上昇して、合成樹脂製未延伸フィルム14bの伸び率を高めることで、小穴18を再度開口させる。これによって、袋11の内部の水蒸気を再び外部に排出させることが可能になると共に、袋11の内部の圧力が低下する。このように、小穴18の開口面積が拡大したり縮小したりすることによって、袋11の内部における圧力の低下と上昇が繰り返され、袋11の内部の圧力は常圧より高い一定の範囲に安定的に保持されることにより、解凍又は加熱された食品20に対する適度な蒸し効果が得られると共に、解凍又は加熱時間を短縮させることが可能になる。
【0036】
上述の構成を備える本実施形態の冷凍食品入り袋製品10は、以下のようにして用いることができ、消費者は、解凍又は加熱された食品を手軽に食べることができ。すなわち、
図5~
図9に示すように、例えば上述の冷凍食品入り袋製品10を購入した消費者は、冷凍食品20が袋11に収容された袋製品10を、蒸気排出部17が設けられた袋11の一方の正面フィルム部12aを上面側に向けた状態で、電子レンジ30の中に配置し(
図5参照)、収容した冷凍食品20を解凍又は加熱可能な所定時間、電子レンジを稼働することにより、蒸気排出部17から蒸気を排出させながら冷凍食品20を解凍又は加熱する。
【0037】
冷凍食品20を解凍又は加熱する際に、収容された冷凍食品20に含まれている水分が水蒸気となって蒸発し、この蒸気と空気とが混合されて袋11の内部の圧力が上昇すると共に、袋11を膨張させて、
図6に示すように、前後一対の正面フィルム部12a,12bの両側の長辺部に沿った部分に挟み込まれた左右一対の側面フィルム部13a,13bを、V字状に折り込んだ状態から開放させることが可能になる。また、上述のように、蒸気排出部17における帯状部分17cの両端と切断線17dとが交差する部分に開口した小穴18(
図4(f)参照)の開口面積を、拡大させたり縮小させたりしながら、袋11の内部の蒸気を排出することで、袋11の内部で圧力の低下と上昇が繰り返し行われて、袋11の内部の圧力を常圧より高い一定の範囲に安定的に保持することにより、解凍又は加熱された食品20に対する適度な蒸し効果を得ることが可能になる。
【0038】
収容した冷凍食品20を解凍又は加熱可能な所定時間、電子レンジ30を稼働することにより、蒸気排出部17から蒸気を排出させながら冷凍食品20を解凍又は加熱したら、
図7に示すように、解凍又は加熱された食品が収容された袋製品10を、電子レンジ30から取り出して、解凍又は加熱した食品20を、袋11の一方の長辺部側の側面フィルム部13a側に片寄せる。これによって、袋11の膨張によりV字状に折り込んだ状態が開放された一方の長辺部側の側面フィルム部13aを、解凍又は加熱した食品20の重量によりそのまま開放させた状態に保持して、当該一方の長辺部側の側面フィルム部13aによる載置部21を形成することが可能になる。
【0039】
しかる後に、
図8に示すように、形成した載置部21を、解凍又は加熱した食品20の重量によって被載置面22である例えばテーブルの上に安定した状態で載置し、好ましくは切断された蒸気排出部17の切断線17dを切離し案内線として機能させて、正面フィルム部12a,12bの他方の長辺部側の部分を長辺方向に沿って切り離すことにより、
図9に示すように、解凍又は加熱された食品20を取り出す取出し開口23をスムーズに形成することが可能になる。また消費者は、形成した載置部21を被載置面22に安定して載置した状態で、解凍又は加熱された食品20を、食器類等の他の容器に移し換えることなく、相当の大きさを有する取出し開口23から取り出して、袋11に収容したままの状態で、手軽に食べることが可能になると共に、収容された食品20を食べ終わったら、食品20が収容されていた袋11を、適宜容易に廃棄することが可能になる。
【0040】
したがって、本実施形態の冷凍食品入り袋製品10によれば、袋11に収容された冷凍食品20を、電子レンジ30に入れて解凍又は加熱した後に、食器類等の他の容器に移し換えることなく、袋11に収容したままの状態で手軽に食べられるようにすることが可能になる。
【0041】
また特に、本実施形態の冷凍食品入り袋製品10によれば、前後一対の正面フィルム部12a,12bの両側の短辺部に沿った各々の端部接合部15において、V字状に折り込んだ側面フィルム部13a,13bは、V字状の一対の各片部が互いに接合されることなく、当該側面フィルム部13a,13bの端部が、前後一対の正面フィルム部12a,12bの両側の短辺部に沿った端部にのみ接合されていることで、側面フィルム部13a,13bの両側の端部と正面フィルム部12a,12bの両側の短辺部に沿った端部との側部接合箇所15aが、V字形状に広がるように形成されている。これによって、解凍又は加熱した食品20の重量により、一方の長辺部側の側面フィルム部13aのV字状に折り込んだ状態を開放させて、一方の長辺部側の側面フィルム部13aによる載置部21を被載置面22に載置する際に、端部接合部15のV字形状に広がった側部接合箇所15aは、被載置面22に直接当接して袋11を不安定にさせることがないので、より安定した状態で、載置部21を被載置面22に載置させて、袋11に収容された解凍又は加熱された食品20を、一層食べ易くすることが可能になる。
【0042】
図10(a)、(b)は、本発明の好ましい他の実施形態に係る冷凍食品入り袋製品10’を示すものである。
図10(a)、(b)に示す他の実施形態の冷凍食品入り袋製品10’に関して、上記実施形態の冷凍食品入り袋製品10と異なる構成部分について主として説明し、同様の構成部分については同一の符号を付して説明を省略している。特に言及しない構成部分については、上記実施形態の冷凍食品入り袋製品10に関する説明が適宜適用される。
図10(a)、(b)に示す他の実施形態の冷凍食品入り袋製品10’では、一対の正面フィルム部12a,12bの長辺部に沿った部分に挟み込まれる側面フィルム部13a’は、これらの正面フィルム部12a,12bの両側の長辺部の少なくとも一方として、一方の長辺部のみに沿った部分にV字状に折り込まれた状態で挟み込まれている。その他の構成は、上記実施形態の冷凍食品入り袋製品10と同様である。
【0043】
図10(a)、(b)に示す他の実施形態の冷凍食品入り袋製品10’によっても、電子レンジ30から取り出した解凍又は加熱された食品20が収容された袋11’を、正面フィルム部12a,12bの一方の長辺部側の側面フィルム部13a’を下方に配置して、解凍又は加熱した食品の重量によって当該下方に配置した側面フィルム部13a’のV字状に折り込んだ状態を開放させ、折り込んだ状態が開放された当該下方に配置した側面フィルム部13a’を載置部として、解凍又は加熱した食品20の重量により被載置面に載置した状態で、正面フィルム部12a,12bの他方の長辺部側の部分を長辺方向に沿って切り離すことで取出し開口を形成して、形成した取出し開口から食品20を取り出して食べることが可能になるので、上記実施形態の冷凍食品入り袋製品10と同様の作用効果が奏される。
【0044】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、袋に収容される冷凍食品は、冷凍米飯の他、冷凍麺や冷凍された揚げ物等の、その他の種々の冷凍食品であっても良い。また、袋を形成するフィルム材料は、合成樹脂製延伸フィルムと、これの内側に貼り合わされたヒートシール性を備える合成樹脂製未延伸フィルムとからなる積層フィルム材料である必要は必ずしも無い。蒸気排出部は、合成樹脂製延伸フィルムと合成樹脂製未延伸フィルムとの間に介在して塗布された、低融点のヒートシール剤又は剥離剤と、これらが塗布された領域を縦断して刻設された切断線とを含むものである必要は必ずしも無い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の冷凍食品入り袋製品、又は冷凍食品入り袋製品の使用方法によれば、袋に収容された冷凍食品を、電子レンジに入れて解凍又は加熱した後に、食器類等の他の容器に移し換えることなく、袋に収容したままの状態で手軽に食べられるようにすることができる。