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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】表示画面付き入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
G06F3/041 400
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021561233
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2020040158
(87)【国際公開番号】W WO2021106466
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2019212163
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】小野田 直人
(72)【発明者】
【氏名】大川 健一
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0123860(US,A1)
【文献】特開2012-9918(JP,A)
【文献】特開2009-206020(JP,A)
【文献】特開2019-179174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を備える表示装置部と、前記表示画面の裏面側に、前記表示画面と重畳する状態で配設される位置検出センサとを備え、位置指示器による指示入力位置を前記位置検出センサを用いて検出する表示画面付き入力装置において、
前記位置検出センサは、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するように構成されていると共に、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する第1の熱伝導層を介して、前記表示装置部の前記表示画面の裏面側に被着されており、
前記位置検出センサの、前記表示装置部に被着される側とは反対側には、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する第2の熱伝導層が設けられ、
前記第2の熱伝導層を介して、外部に露出している前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する放熱用部材が被着されており、
前記外部に露出している前記放熱用部材は、前記表示画面を支えるためのスタンドを含み、前記スタンドには、前記放熱用部材の外表面の面積を大きくするためのスリットが設けられており、
記表示装置部で発生する熱を、前記表示画面の裏面側において放熱するようにした
ことを特徴とする表示画面付き入力装置。
【請求項2】
前記位置検出センサは、電磁誘導方式の位置検出センサであり、前記表示装置部に被着される側とは反対側に、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する磁性シールド板を備える
ことを特徴とする請求項に記載の表示画面付き入力装置。
【請求項3】
前記位置検出センサの前記磁性シールド板は、前記第2の熱伝導層を介して、前記放熱用部材に被着されている
ことを特徴とする請求項に記載の表示画面付き入力装置。
【請求項4】
前記磁性シールド板は、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する金属シートで構成されている
ことを特徴とする請求項に記載の表示画面付き入力装置。
【請求項5】
前記磁性シールド板は、エンボス加工が施された磁性シートからなる
ことを特徴とする請求項に記載の表示画面付き入力装置。
【請求項6】
前記位置検出センサは、電磁誘導方式の位置検出センサであり、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する基板に、位置検出用の電極が形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の表示画面付き入力装置。
【請求項7】
前記表示装置部は、液晶ディスプレイであり、バックライト部を備えるものであり、
前記位置検出センサは、前記バックライト部に対して、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する前記第1の熱伝導層を介して、前記表示装置部の前記表示画面の裏面側に被着されている
ことを特徴とする請求項に記載の表示画面付き入力装置。
【請求項8】
表示画面を備える表示装置部と、前記表示画面の裏面側に、前記表示画面と重畳する状態で配設される位置検出センサとを備え、位置指示器による指示入力位置を前記位置検出センサを用いて検出する表示画面付き入力装置において、
前記表示装置部は、液晶ディスプレイであり、バックライト部を備え、
前記位置検出センサは、電磁誘導方式の位置検出センサであり、前記表示装置部側とは反対側に、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する磁性シールド板を備え、
前記バックライト部と、前記位置検出センサの前記磁性シールド板との間を、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料で構成される熱伝導路で接続し、
前記位置検出センサの前記磁性シールド板は、前記熱伝導路を介して、外部に露出している前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する放熱用部材に被着されており、
前記外部に露出している前記放熱用部材は、前記表示画面を支えるためのスタンドを含み、前記スタンドには、前記放熱用部材の外表面の面積を大きくするためのスリットが設けられており、
前記表示装置部で発生する熱を、前記表示画面の裏面側において放熱するようにした
ことを特徴とする表示画面付き入力装置。
【請求項9】
前記位置検出センサは、前記表示装置部に対して、空気層を介して配設されている
ことを特徴とする請求項に記載の表示画面付き入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、指でタッチされた位置を検出するタッチ検出機能と、電子ペンにより指示された位置を検出するペン指示検出機能の少なくとも一方の検出機能を備えた表示画面付き入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面を有する表示装置部と、位置検出センサを用いた座標入力手段とを組み合わせた表示画面付き入力装置が知られている(例えば特許文献1(特許5808001号公報)参照)。表示装置部としては、例えば液晶ディスプレイからなるフラットディスプレイが用いられる。そして、位置検出センサとしては、高精細に座標入力をするためには、例えば、電磁誘導方式の位置検出センサが用いられる。
【0003】
図11に示すように、この種の表示画面付き入力装置100においては、表示画面100Dの裏面側に電磁誘導方式の位置検出センサ100Sが、表示画面100Dに重畳するように配置されて、表示画面100Dの全域が、位置検出センサ100Sの位置検出エリアとされるように構成されている。
【0004】
そして、使用者は、図11に示すように、位置検出センサ100Sと電磁誘導結合する電子ペン101を手で把持して、表示画面100D上で、座標入力するようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5808001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近は、表示装置部は、表示画面が大型になると共に、いわゆる4Kや8Kなどの高解像度の液晶ディスプレイが登場してきている。上述のような表示画面付き入力装置においても、この種の高解像度の液晶ディスプレイを用いることが考えられている。
【0007】
この場合、この種の高解像度の液晶ディスプレイの場合、液晶の開口率が低くなるので、表示画面の輝度を確保するために、バックライトとしては、高輝度のLED(Light Emitting Diode)が用いられることで発熱が大きくなる。また、この種の入力装置においても、黒つぶれや白つぶれなどを防ぐHDR(High Dynamic Range)などの新規なディスプレイ技術への対応が求められ、これもバックライトからの発熱を大きくする要因となっている。このため、ディスプレイのバックライトによる発熱が大きくなり、表示画面が人間の体温以上の高温になる恐れがある。
【0008】
表示画面に表示される画像を観視するだけであれば、上述のように表示画面が高温になっても使用者に対して悪影響を及ぼすことはない。しかし、上述のような構成の表示画面付き入力装置の場合、使用者は、図11に示したように、電子ペン101を手で把持して、表示画面100D上で座標入力するが、その際、一般的に、使用者は、手の平の一部を表示画面に接触させるようにする。このため、表示画面が人体よりも高温になっていると、使用者は、表示画面100Dの当該熱を感じて、違和感や、不快感を感じてしまうという問題が生じる。
【0009】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした表示画面付き入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、
表示画面を備える表示装置部と、前記表示画面の裏面側に、前記表示画面と重畳する状態で配設される位置検出センサとを備え、位置指示器による指示入力位置を前記位置検出センサを用いて検出する表示画面付き入力装置において、
前記位置検出センサは、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するように構成されていると共に、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する第1の熱伝導層を介して、前記表示装置部の前記表示画面の裏面側に被着されており、
前記位置検出センサの、前記表示装置部に被着される側とは反対側には、前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する第2の熱伝導層が設けられ、
前記第2の熱伝導層を介して、外部に露出している前記表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する放熱用部材が被着されており、
前記外部に露出している前記放熱用部材は、前記表示画面を支えるためのスタンドを含み、前記スタンドには、前記放熱用部材の外表面の面積を大きくするためのスリットが設けられており、
記表示装置部で発生する熱を、前記表示画面の裏面側において放熱するようにした
ことを特徴とする表示画面付き入力装置。
【0011】
上述の構成の表示画面付き表示装置においては、表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率の第1の熱伝導層を介して、表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率の位置検出センサが表示装置部の表示画面の裏面側に被着されている。そして、位置検出センサの、表示装置部に被着される側とは反対側には、表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する第2の熱伝導層が設けられ、さらに、この第2の熱伝導層を介して、外部に露出している表示装置部の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する放熱用部材が被着されている。放熱用部材は、前記表示画面を支えるためのスタンドを含み、前記スタンドには、前記放熱用部材の外表面の面積を大きくするためのスリットが設けられている。この構成により、表示装置部で発生する熱は、表示画面の裏面側において放熱されるので、表示画面が、使用者の人体よりも高温になることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明による表示画面付き入力装置の実施形態の外観の側面図である。
図2】この発明による表示画面付き入力装置の実施形態の外観の正面図である。
図3】この発明による表示画面付き入力装置の実施形態の電子回路の構成例を説明するための図である。
図4】この発明による表示画面付き入力装置の第1の実施形態の主要部を説明するための断面図である。
図5】この発明による表示画面付き入力装置の第1の実施形態の主要部の分解構成図を示す図である。
図6】この発明による表示装置付き入力装置の第1の実施形態において、表示装置部で発生する熱を、表示装置部の裏面側に放熱させるための構造を説明するための模式図である。
図7】この発明による表示装置付き入力装置の第2の実施形態において、表示装置部で発生する熱を、表示装置部の裏面側に放熱させるための構造を説明するための模式図である。
図8】この発明による表示装置付き入力装置の第2の実施形態の主要部の構成例を説明するための図である。
図9】この発明による表示画面付き入力装置の他の実施形態の主要部の一部を説明するための図である。
図10】この発明による表示画面付き入力装置の他の実施形態の主要部の一部を説明するための図である。
図11】表示画面付き入力装置の使用態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明による表示画面付き入力装置の実施形態を図を参照しながら説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1及び図2は、第1の実施形態の表示画面付き入力装置1の外観の側面図及び正面図である。また、図3は、この第1の実施形態の表示画面付き入力装置1の電気的な構成例を説明するための図である。まず、これら図1図3を参照しながら、この第1の実施形態の表示画面付き入力装置1の構成の概要を説明する。
【0015】
この実施形態の表示画面付き入力装置1は、図1及び図2に示すように、入力装置本体11がスタンド12により、例えば机上に斜めに載置されて使用できるように構成されている。スタンド12は、この例では、放熱効果が大きく、表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する金属、例えばアルミニウムで構成されており、入力装置本体11の表示画面2Dとは反対側の裏面側に結合されている結合部12aと、例えば机面に接触するようになる台座部12bとを備える。
【0016】
入力装置本体11は、図1及び図2に示すように、例えば樹脂からなる筐体110内に、表示画面2Dを備える表示装置部2と位置検出センサ3とを収納している。表示装置部2は、この例では、バックライト付きの液晶ディスプレイで構成されている。位置検出センサ3は、この実施形態では、電磁誘導方式の位置検出センサとされており、表示装置部2の表示画面2Dの裏側に、表示画面2Dと重畳する状態で収納されている。
【0017】
この実施形態では、表示画面2Dの全領域が位置検出センサの位置検出領域とされる。使用者は、図2に示すように、位置指示器の例としての電子ペン4を手で把持して、表示画面2D上において、電子ペン4のペン先4aで位置指示することで、位置検出センサ3上における座標入力をすることができる。
【0018】
そして、入力装置本体11は、位置検出センサ3上において、使用者により、電子ペン4で指示された位置を検出する位置検出回路310を、筐体11a内に収納して備える。位置検出回路310は、検出した電子ペン4による指示位置に応じた表示を、表示画面2Dにおいて行うように表示装置部2を制御するようにする。
【0019】
この入力装置本体11の内部電子回路の構成例を図3に示す。この図3に示すように、電子ペン4は、回路構成として、位置指示コイル4Lと、この位置指示コイル4Lに並列に接続される共振コンデンサ4Cとからなる共振回路4Rを備える。
【0020】
そして、位置検出センサ3は、基板301の表裏に、X軸方向ループコイル群302と、Y軸方向ループコイル群303とが形成されて構成されるセンサ本体部30を備え、このセンサ本体部30の裏面側(表示画面2D側とは反対側)に、後述する磁性シールド板32が粘着層31を介して被着されて構成されている(図4図6参照)。
【0021】
各ループコイル群302,303は、それぞれ複数本の矩形のループコイルからなっている。ループコイル群302を構成する各ループコイルは、矩形の位置検出センサ3の基板301の横方向(X軸方向)に、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。また、ループコイル群303を構成する各ループコイルは、矩形の位置検出センサ3の基板301の縦方向(Y軸方向)に、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
【0022】
そして、図3に示すように、位置検出センサ3のX軸方向ループコイル群302及びY軸方向ループコイル群303は選択回路304を介して位置検出回路310に接続されている。選択回路304は、位置検出回路310からの選択制御信号を受けて、2つのループコイル群302,303のうちから、1本ずつ、あるいは複数本ずつループコイルを順次選択するように動作する。
【0023】
位置検出回路310は、所定の周波数の交流信号を、選択回路304によって選択されたループコイルを通じて電子ペン4に対して送信する。電子ペン4は、共振回路4Rで位置検出センサ3からの交流信号を受けると共に、共振回路4Rから電磁誘導結合により位置検出センサ3に対して交流信号を帰還させる。
【0024】
この電子ペン4からの帰還信号により選択回路304で選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、位置検出回路310に供給される。位置検出回路310は、各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて位置検出センサ3の検出領域におけるX軸方向及びY軸方向の電子ペン4による指示位置の座標値を算出する。
【0025】
位置検出回路310は、算出した電子ペン4による指示位置の座標値を表示制御回路320に供給する。表示制御回路320は、受け取った電子ペン4による指示位置の座標値に基づいて表示制御情報を生成し、生成した表示制御情報を表示装置部2に供給し、表示画面2Dに、電子ペン4による指示位置に応じた表示画像を表示させるようにする。
【0026】
[第1の実施形態における入力装置本体11の構成例]
図4は、入力装置本体11の要部を説明するための断面図である。また、図5は、図4の入力装置本体11の主要部の分解構成図を示す図である。なお、この図4では、入力装置本体11の筐体110は、説明の便宜上、断面とはせずに、外側の輪郭線のみを示している。
【0027】
図4に示すように、筐体110の収納空間を閉塞するように、筐体110の表面側には、カバーガラス5が配設されている。カバーガラス5の周囲は、図4に示すように、両面テープ112aによりフロントベゼル111に接着されている。フロントベゼル111の内側には、四角形のリング状の部材とされているフレーム部材113が配設されており、カバーガラス5は、このフレーム部材113にも、両面テープ112bにより接着されている。
【0028】
図4に示すように、このフレーム部材113により囲まれるエリア内に、表示装置部2と位置検出センサ3とが積層されたものが配設されている。
【0029】
表示装置部2は、この実施形態においては、図5に示すように、例えば4K、あるいは8Kの高精細度の液晶ディスプレイ素子21と、この液晶ディスプレイ素子21の裏面側に設けられるバックライト部22とからなっている。バックライト部22は、高精細度の液晶ディスプレイ素子21用として、この例では、高輝度LEDを光源として用いたものとされている。カバーガラス5は、液晶ディスプレイ素子21の表面に、この例では、ダイレクトボンディング法により接合されている。
【0030】
そして、この実施形態では、表示装置部2のバックライト部22の裏側に、表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導樹脂層6を介して位置検出センサ3のセンサ本体部30側が被着される。そして、図4及び図5に示すように、位置検出センサ3は、前述したように、センサ本体部30の裏面側に粘着層31を介して磁性シールド板32が被着されたものである。高熱伝導樹脂層6は、第1の熱伝導層の例を構成する。
【0031】
この実施形態では、センサ本体部30は、表示装置部2よりも高い熱伝導率を備える基板を用いて構成されている。基板は、この例では、例えば熱伝導ガラスエポキシ樹脂で構成されている。また、磁性シールド板32は、この例では表示装置部2よりも高い熱伝導率を備える部材、この例では、表示装置部2よりも高い熱伝導率を備える金属材料の例であるSUSで構成されている。なお、粘着層31も、表示装置部2よりも高い熱伝導率を備える材料が用いられる。したがって、位置検出センサ3は、表示装置部2よりも高い熱伝導率を有する。
【0032】
そして、この実施形態では、図4及び図5に示すように、位置検出センサ3の磁性シールド板32の裏面側が、表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導樹脂層7を介して放熱伝達部材8に接合されている。高熱伝導樹脂層7は、第2の熱伝導層の例を構成する。高熱伝導樹脂層6及び7としては、例えばアルファゲルが用いられる。
【0033】
放熱伝達部材8は、図4に示すように、スタンド12の入力装置本体11との結合部12aに接合されており、熱をスタンド12を介して放熱するように伝達するための部材であり、表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料、例えばアルミニウムで構成される。
【0034】
以上のように、表示装置部2の裏面側には、表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導樹脂層6及び7で挟まれた位置検出センサ3が、高熱伝導樹脂層6を介して被着されている。そして、上述したように、位置検出センサ3も表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する構成とされている。すなわち、表示装置部2の裏面側には、表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する部材が、表示装置部2の発熱源であるバックライト部22に被着されるように構成されている。
【0035】
したがって、表示装置部2の発熱源であるバックライト部22で発生する熱は、主として、表示装置部2の裏面側の、高熱伝導樹脂層6及び7で挟まれた位置検出センサ3を介して放熱伝達部材8側に伝達され、スタンド12を介して放熱される。これにより、表示装置部2の表示画面2D側が高温になることが抑制される。この第1の実施形態では、高熱伝導樹脂層6及び7で挟まれた位置検出センサ3と、放熱伝達部材8と、さらにスタンド12により、表示装置部2の裏面側の熱伝導部材が構成されている。
【0036】
図6は、この第1の実施形態の表示装置付き入力装置1において、表示装置部2の発熱源であるバックライト部22で発生する熱を、表示装置部2の裏面側に放熱させるための構造を説明するための模式図である。
【0037】
すなわち、図6に示すように、表示装置部2は、液晶ディスプレイセル211表面側にカラーフィルタ212が配設されている液晶ディスプレイ素子21と、当該液晶ディスプレイ素子21の裏面側に設けられたバックライト部22とからなる。バックライト部22は、高輝度LEDからなるバックライト光源221と、当該バックライト部221の液晶ディスプレイセル211側に設けられる導光板222及び拡散板223とからなる。
【0038】
そして、この表示装置部2のバックライト光源221の部分に、高熱伝導樹脂層6を介して、センサ本体部30に粘着層31を介して磁性シールド板32が被着された位置検出センサ3が被着される。そして、位置検出センサ3の磁性シールド板32側は、高熱伝導樹脂層7を介して放熱伝達部材8に被着されている。
【0039】
前述したように、高熱伝導樹脂層6及び7は、表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有し、また、位置検出センサ3も表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するように構成されている。したがって、表示装置部2のバックライト部22のバックライト光源221で発生した熱は、その大部分が、図6の矢印で示すように、高熱伝導樹脂層6及び7で挟まれた位置検出センサ3を通じて放熱伝達部材8に伝達され、外部に露出しているスタンド12を介して放熱され、表示画面2Dに伝達される熱は少なくなる。これにより、表示画面付き入力装置1の表示画面2D側が高温になることが抑制される。
【0040】
なお、上述した第1の実施形態においては、位置検出センサ3は、電磁誘導方式の位置検出センサとしたが、表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するように構成した位置検出センサであれば、電磁誘導方式の位置検出センサに限られるものではない。
【0041】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、表示装置部2のバックライト部22の裏側に、高熱伝導樹脂層6を被着すると共に、位置検出センサ3を表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するように構成して、位置検出センサ3を介してバックライト光源221で発生する熱を表示装置部2の表示画面2Dの裏面側から放熱するようにした。
【0042】
これに対して、この第2の実施形態は、位置検出センサを表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するように構成するのではなく、バックライト光源で発生する熱をヒートパイプの役割をする部材を介して、表示画面2Dの裏面側に放熱させるように構成する。ただし、この第2の実施形態においても、位置検出センサの磁性シールド板は、表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するように構成して、放熱のために用いるようにする。
【0043】
この第2の実施形態の表示画面付き入力装置1Aは、外観及び電子回路の構成は、図1図3を用いて説明した第1の実施形態の表示画面付き入力装置1と同様とされている。また、表示装置部と位置検出センサとの積層して組み合わせた構成の部分を除くと、この第2の実施形態の表示画面付き入力装置1Aの機構的な構成は、図4に示した第1の実施形態の表示画面付き入力装置1と同様とされている。
【0044】
この第2の実施形態の表示画面付き入力装置1Aは、表示装置部2Aのバックライト部22Aの構成及びバックライト光源の熱を放熱させるための構成が、第1の実施形態の表示画面付き入力装置1とは異なる。
【0045】
図7及び図8は、この第2の実施形態の表示装置付き入力装置1Aにおいて、表示装置部2Aの発熱源であるバックライト部22Aで発生する熱を表示装置部2Aの裏面側に放熱させる構造を説明するための模式図である。図7及び図8において、第1の実施形態の表示画面付き入力装置1と同様の構成部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0046】
この第2の実施形態の表示装置付き入力装置1Aにおける表示装置部2Aにおいても、図7に示すように、液晶ディスプレイセル211上にカラーフィルタ212が形成されてなる液晶ディスプレイ素子21のカバーガラス5側(表示画面2D側)とは反対側に、バックライト部22Aが設けられるが、このバックライト部22Aの構成が、第1の実施形態の表示装置付き入力装置1の表示装置部2とは異なる。
【0047】
すなわち、この第2の実施形態の表示装置付き入力装置1Aにおける表示装置部2Aにおいては、バックライト部22Aは、バックライト光源221Aと、導光板222Aと、拡散板223Aからなり、導光板222A及び拡散板223Aは第1の実施形態における表示装置部2と同様に、液晶ディスプレイ素子21の裏側に被着形成される。しかし、バックライト光源221Aは、第1の実施形態における表示装置部2とは異なり、矩形の液晶ディスプレイ素子21の外側の周囲の上下左右のいずれか1辺あるいは互いに対向する2辺に配置される。さらには、バックライト光源221Aは、矩形の液晶ディスプレイ素子21の外側の周囲の3辺又は4辺の全部に設けてもよい。
【0048】
図7及び図8の例では、バックライト光源221Aは、表示画面2D側から見て右側の側部の1辺に設けられている。このバックライト光源221Aの発光光は、導光板222Aにより、表示画面2Dの全体に行き渡るように導かれ、拡散板223Aにより、表示画面2Dの全域において均等の明るさとなるように拡散される。
【0049】
そして、この第2の実施形態においては、図7及び図8において斜線を付して示すように、バックライト光源221Aの部分を、表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する高熱伝導樹脂部材9で覆うと共に、この高熱伝導樹脂部材9を、位置検出センサ3Aの磁性シールド板32Aの裏面側にまで延長するように構成する。
【0050】
そして、図7及び図8に示すように、この高熱伝導樹脂部材9の磁性シールド板32Aの裏面側部分9aを介して、放熱伝達部材8が、位置検出センサ3Aの磁性シールド板32Aの裏面側に被着される。高熱伝導樹脂部材9としては、例えばアルファゲルが用いられる。
【0051】
したがって、バックライト光源221Aで発生する熱は、その大部分が、高熱伝導樹脂部材9を通じて位置検出センサ3Aの磁性シールド板32Aの裏面側に伝達され、放熱伝達部材8及びスタンド12を介して放熱される。すなわち、高熱伝導樹脂部材9は、バックライト光源221Aで発生する熱を位置検出センサ3Aの磁性シールド板32Aの裏面側に伝達するヒートパイプとしての役割をする。すなわち、高熱伝導樹脂部材9は、熱伝導路の一例を構成する。この第2の実施形態では、高熱伝導樹脂部材9と、位置検出センサ3Aの磁性シールド板32Aと、放熱伝達部材8と、さらにスタンド12により、表示装置部2Aの裏面側の熱伝導部材が構成される。
【0052】
この第2の実施形態における位置検出センサ3Aは、センサ本体部30Aの裏面側に粘着層31Aを介して磁性シールド板32Aが被着される構成は、第1の実施形態における位置検出センサ3と同様である。しかし、この第2の実施形態における位置検出センサ3Aは、特に表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するように構成する必要はない。ただし、位置検出センサ3Aの磁性シールド板32Aは、この第2の実施形態においても、表示装置部2よりも高い熱伝導率を備える部材、この例では、表示装置部2よりも高い熱伝導率を備える金属材料の例であるSUSで構成されている。
【0053】
そして、この第2の実施形態の例においては、位置検出センサ3Aは、通常の一般的な構成と同様に、図7に示すように、空気層AGの存在を許容して、表示装置部2Aの表示画面2Dとは反対側の裏面側に装着される。
【0054】
以上のようにして、この第2の実施形態においては、表示装置部2Aのバックライト部22Aのバックライト光源221Aで発生した熱は、その大部分が、ヒートパイプの役割をする高熱伝導樹脂部材9を通じて、位置検出センサ3Aの磁性シールド板32A及び放熱伝達部材8に伝達され、外部に露出しているスタンド12を介して放熱され、表示画面2Dに伝達される熱は少なくなる。したがって、表示画面付き入力装置1Aの表示画面2D側が高温になることが抑制される。
【0055】
なお、この第2の実施形態においては、位置検出センサ3Aは、電磁誘導方式の位置検出センサに限られるものではないことは言うまでもない。
【0056】
なお、上述の図7及び図8の例は、矩形の表示画面2Dの1辺側にバックライト光源221Aを設けた構成例であるが、例えば互いに対向する上下の2辺や左右の2辺、さらには、3辺及び4辺などにも設ける場合には、それぞれの辺に設けられるバックライト光源のそれぞれから、ヒートパイプを構成する高熱伝導樹脂部材9を、位置検出センサ3Aの磁性シールド板32Aの裏面側に延長するように設けるものである。
【0057】
また、上述の第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせた構成としてもよい。すなわち、位置検出センサ3Aを表示装置部2の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するように構成すると共に、位置検出センサ3Aを、空気層AGを介在させることなく、高熱伝導樹脂部材を介して、表示装置部2A(図7の例では、導光板222A)に被着するように構成してもよい。
【0058】
その場合には、バックライト光源221Aで発生した熱は、高熱伝導部材9を通じて直接的に、放熱伝達部材8に伝達されると共に、位置検出センサ3Aを介し、また、磁性シールド板32Aに被着される高熱伝導部材9を介して、放熱伝達部材8に伝達される。このため、より効率よく、バックライト光源221Aで発生した熱が表示画面2Dとは裏面側において放熱されるようになる。
【0059】
[その他の実施形態又は変形例]
上述の実施形態では、放熱伝達部材8に接合されるスタンド12の結合部12aは、平板状に構成したが、図9に示す結合部12Hのように、複数のスリットSLを設けた構成とするなど、放熱伝達部材8の外表面の面積を大きくすることで、放熱面積を大きくするように構成すれば、より大きい放熱効果を得ることができる。放熱伝達部材8も同様に、放熱面積を大きくするように構成してもよい。
【0060】
また、位置検出センサ3、3Aの磁性シールド板32、32Aを、放熱部材として構成してもよい。その場合に、図10(A)及び(B)に示すように、磁性シールド板32、32Aをエンボス加工して、当該磁性シールド板32、32Aのセンサ本体部側とは反対側の面に凹凸模様を形成することで、当該磁性シールド板32、32Aの放熱面積を大きくするように構成してもよい。また、上述の実施形態の位置検出センサ3、3Aの磁性シールド板32、32Aを、図10に示したようなエンボス加工を施した構成としてもよい。
【0061】
なお、上述の第1及び第2の実施形態の表示画面付き入力装置1,1Aは、スタンド付きの構成であったが、スタンドを備えない構成であっても勿論良い。その場合には、表示画面付き入力装置の筐体の表示画面側とは反対側の部分に、放熱伝達部材に接合される放熱部材を設ける構成とする。あるいは、表示画面付き入力装置の筐体の表示画面側とは反対側の一部又は全部を、放熱伝達部材に接合される放熱部材の構成としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1,1A…表示画面付き入力装置、2,2A…表示装置部、3,3A…位置検出センサ、6,7…高熱伝導樹脂層、8…放熱伝達部材、9…高熱伝導樹脂部材、11…入力装置本体、12…スタンド、21…液晶ディスプレイ素子、22,22A…バックライト部、30,30A…センサ本体部、32,32A…磁性シールド板
図1
図2
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図11