(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】合金化溶融亜鉛めっき鋼板
(51)【国際特許分類】
C23C 2/06 20060101AFI20250206BHJP
C23C 2/28 20060101ALI20250206BHJP
C21D 9/56 20060101ALI20250206BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20250206BHJP
C22C 38/58 20060101ALI20250206BHJP
C22C 18/04 20060101ALI20250206BHJP
C22C 18/00 20060101ALI20250206BHJP
C21D 9/46 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
C23C2/06
C23C2/28
C21D9/56 101B
C22C38/00 301T
C22C38/58
C22C18/04
C22C18/00
C21D9/46 J
(21)【出願番号】P 2022200175
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2020524902の分割
【原出願日】2018-10-19
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2017/001343
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダビド・サピコ・アルバレス
(72)【発明者】
【氏名】フロランス・ベルトラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョリス・ジルー
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-219778(JP,A)
【文献】国際公開第2007/043273(WO,A1)
【文献】特表2010-534278(JP,A)
【文献】特開2006-233333(JP,A)
【文献】特開2017-048412(JP,A)
【文献】特開2000-336466(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109371318(CN,A)
【文献】国際公開第2016/121388(WO,A1)
【文献】特開2015-180766(JP,A)
【文献】特表2014-525986(JP,A)
【文献】特開2009-270126(JP,A)
【文献】特開2005-008939(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0306203(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0051669(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00-2/40
C21D 9/00-9/66
C22C 38/00-38/60
C22C 18/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、
A.重量%で以下の化学組成:
0.05≦C≦0.20%、
1.5≦Mn≦3.0%、
0.10≦Si≦0.45%、
0.10≦Cr≦0.60%、
0<Al≦0.20%、
0<V<0.005%
及び、任意に、
P<0.04%、
Nb≦0.05%、
B≦0.003%、
Mo≦0.20%、
Ni≦0.1%、
Ti≦0.06%、
S≦0.01%、
Cu≦0.1%、
Co≦0.1%、
N≦0.01%
の1つ以上の元素を有し、
前記組成の残部が鉄及び精錬から生じる不可避の不純物で作られている鋼板の提供、
B.以下のサブ工程:
i.0.1~15体積%のH
2とその露点DP1が-15℃~+5℃である不活性気体とを含む雰囲気A1を有する加熱区画中での、周囲温度から700~900℃の温度T1への前記鋼板の加熱工程、
ii.DP1と等しい露点DP2を有する、A1と同一の雰囲気A2を有する均熱区画中での、T1から700~900℃の温度T2への前記鋼板の均熱工程、
iii.1~30体積%のH
2とその露点DP3が-30℃以下である不活性気体とを含む雰囲気A3を有する冷却区画中での、T2から400~700℃のT3への前記鋼板の冷却工程、
iv.1~30体積%のH
2とその露点DP4が-30℃以下である不活性気体とを含む雰囲気A4を有する均等化区画中での、温度T3から400~700℃の温度T4への前記鋼板の任意に行われる均等化工程、
を含む、加熱区画、均熱区画、冷却区画、任意に均等化区画を備える完全ラジアントチューブ炉中での前記鋼板の再結晶焼鈍、
C.亜鉛浴中での前記焼鈍された鋼板の溶融亜鉛めっき、並びに
D.460~600℃の温度T5で、1~45秒の時間t5の間、行われる合金化処理、
を含む、方法。
【請求項2】
工程A)において、鋼板が0.30重量%未満のSiを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程A)において、鋼板が0.0001重量%超のVを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程B.i)及びB.ii)において、A1が1~10体積%のH
2を含み、A2がA1と同一である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程B.ii)において、T2がT1と等しい、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程B.i)及びB.ii)において、T1及びT2が750~850℃である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程B.iii)及び任意のサブ工程B.iv)において、A3がA4と同一であり、DP4がDP3と等しい、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程B.i)~B.iii)及び任意のサブ工程B.iv)において、不活性気体が、N2、Ar、He及びXeから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
亜鉛系被膜が、0.01~0.4重量%のAlを含み、残部はZnである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程D)において、T5が470~570℃である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程D)において、t5が1~35秒である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
鋼の化学組成がビスマスを含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の工程を含み、合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、亜鉛被膜が5~15重量%のFeと、FeO、Mn
2SiO
4及びMnOを含む酸化物とを含み、残部が亜鉛及び任意にアルミニウムであり、前記鋼板が前記鋼板中にFeO、Mn
2SiO
4及びMnOを含む内部酸化物を含むように、鋼板からの鉄の拡散を通じて亜鉛被膜が合金化されており、前記被膜中に存在するFeO、Mn
2SiO
4及びMnOを含む前記酸化物が小塊の形態であり、前記被膜の厚さが1~15μmであり、鋼の微細組織が、1~45%のマルテンサイト、1~60%のベイナイトを含み、残部はオーステナイトであるか、又は1~25%のフレッシュマルテンサイト、1~10%のフェライト、35~95%のマルテンサイト及び下部ベイナイト及び10%未満のオーステナイトを含み、前記鋼板が、鋼板の表面から最大100μmの深さで脱炭されている、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法
を実施して合金化溶融亜鉛めっき鋼板
を製造し、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板を自動車両の一部の製造のために使用
する、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する。本発明は、特に、自動車産業に極めて適している。
【背景技術】
【0002】
車両を軽量化する目的で、自動車車両の製造のために高張力鋼を使用することが知られている。例えば、構造部品の製造のために、このような鋼の機械的特性が改善されなければならない。鋼の機械的特性を改善するために合金化元素を添加することが知られている。このため、TRIP(Transformation-Induced Plasticity(変態誘起塑性))鋼、DP(Dual Phase(二相))鋼、HSLA(High-Strength Low Alloyed(低合金高張力))、TRIPLEX DUPLEXを含む、高い機械的特性を有する高張力鋼又は超高張力鋼が製造され、使用されている。
【0003】
通常、DP鋼は、フェライト-マルテンサイト微視組織を有する。これは、マルテンサイトの島を第二相として含有する軟フェライトマトリックスからなる微視組織をもたらす(マルテンサイトは、引張強度を増加させる。)。DP鋼の総合的な挙動は、とりわけ、鋼の化学組成の他に、相の体積分率及び形態(結晶粒度、アスペクト、比など)によって支配される。DP鋼は、(フェライト相によって与えられる)低い初期降伏応力及び高い初期ひずみ硬化とともに、高い極限引張強度(UTS、マルテンサイトによって可能となる。)を有する。これらの特徴によって、DP鋼は自動車関連板を形成する作業にとって理想的な材料となる。
【0004】
DP鋼の利点は、低い降伏力、低い降伏力対引張強度比、高い早期ひずみ硬化率、優れた一様伸び、高いひずみ速度感受性及び優れた疲労抵抗である。
【0005】
通常、これらの鋼は、耐食性、リン酸塩処理性などの性質を改善する金属被膜で被覆されている。金属被膜は、鋼板の焼鈍後の溶融亜鉛めっきによって堆積させることができる。この後、合金化溶融亜鉛めっき鋼板と称される鋼板上の亜鉛-鉄合金を得るために、鋼板の鉄が亜鉛被膜の方向に拡散するよう、合金化処理が行われることもある。この合金化溶融亜鉛めっき鋼板は良好な溶接挙動を有する。
【0006】
しかしながら、特にDP鋼については、連続焼鈍ラインにおいて行われる焼鈍の間に、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)又はクロム(Cr)などの(鉄と比べて)酸素に対してより高い親和性を有する合金化元素が酸化し、表面に酸化物の形成をもたらす。例えば、酸化マンガン(MnO)又は酸化ケイ素(SiO2)であるこれらの酸化物は、鋼板の表面上に連続的又は不連続的フィルムの形態で存在し得る。それらは、塗布されるべき金属被膜の適切な付着を妨げ、最終生成物上に被膜が存在しない区域又は被膜の剥離に関する問題を生じ得る。
【0007】
焼鈍の間に鋼板上に形成された酸化物がFe-Zn形成を妨害する可能性があるので、DP鋼を合金化溶融亜鉛めっきすることは困難な作業である。実際に、鉄の拡散が妨げられるので、形成された酸化物は合金化溶融亜鉛めっきを遅延させる可能性がある。合金化溶融亜鉛めっきは、とりわけ、鋼板表面での、鋼板中の酸化物の分布、酸化物の形態及び時には形成された酸化物の性質に依存する。
【0008】
EP2415896は、亜鉛めっき層を含み、20g/m2~120g/m2の単位面積当たり質量を有し、質量基準で、0.01%~0.18%のC、0.02%~2.0%のSi、1.0%~3.0%のMn、0.001%~1.0%のAl、0.005%~0.060%のP及び0.01%以下のSを含有し、残部がFe及び不可避な不純物である鋼板上に配置された高張力亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、連続亜鉛めっきライン中で鋼板を焼鈍及び亜鉛めっきすることを含む方法を開示する。A℃~B℃の炉温度を有する温度領域は、加熱過程における-5℃以上の雰囲気露点温度で行われ、ここで、600≦A≦780及び800≦B≦900である。A℃~B℃の領域以外の焼鈍炉中の雰囲気の露点温度は特に限定されず、好ましくは、-50℃~-10℃の範囲内である。EP2415896は、亜鉛めっき層中の含有Feが7~15重量%の範囲内になるように、亜鉛めっき後に、鋼板を450~600℃の温度に加熱することによって、鋼板を合金化することをさらに含む方法も開示する。
【0009】
上記方法によって得られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき層の直下に位置し、かつ、基部鋼板の表面から100μm以内にある鋼板の表面部分中に、Fe、Si、Mn、Al、P、B、Nb、Ti、Cr、Mo、Cu及びNiからなる群から選択される少なくとも1つ以上の酸化物が、単位面積当たり0.010g/m2~0.50g/m2で形成され、並びにめっき層から下方に10μm以内の領域中に存在し、かつ、粒界から1μm以内にある基部金属粒子中に、結晶性Si酸化物、結晶性Mn酸化物又は結晶性Si-Mn複合酸化物が析出している構造(texture)又は微視組織を有する。
【0010】
しかしながら、上記方法を使用することによって、FeOなどの外部酸化物の重要な層が鋼板表面に形成される危険性が存在する。この場合、全ての外部酸化物を還元することは困難であり、湿潤性及び鋼表面上の亜鉛の被膜密着性を低下させ、合金化処理の間に、亜鉛被膜中への鉄の拡散が大幅に遅延する危険性が存在する。このため、この場合においては、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るために合金化処理を実施することは有効ではない。
【0011】
JP2008156734は、高張力溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、
請求項1又は2に記載された成分から構成される鋼を熱間圧延、酸洗及び冷間圧延に供すること、並びに溶融亜鉛めっき鋼板を製造するために、得られた鋼板を溶融亜鉛めっき処理に供することを含み、
前記熱間圧延において、スラブ加熱温度が1150~1300℃に設定され、仕上げ圧延温度が850~950℃に設定され、かつ、巻取温度が400~600℃に設定され、
前記酸洗において、浴温度が10℃以上及び100℃未満に設定され、かつ、塩酸の濃度が1~20%に設定され;並びに
溶融亜鉛めっき処理において、600℃以上への温度上昇過程から焼鈍温度を経て450℃への冷却過程までの熱処理炉内の雰囲気中の水素濃度が2~20%に設定され、かつ、前記雰囲気の露点が-60~-10℃に設定され、かつ、冷間圧延された鋼板が10~500秒間、760~860℃の焼鈍温度に保たれ、次いで、1~30℃/秒の平均冷却速度で冷却される、
方法を開示する。この方法は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るために、450~600℃の温度範囲での10~120秒間の合金化処理も含むことができる。
【0012】
鋼板の内部において、Si系及びMn系酸化物が結晶粒界及び粒内に形成されることが述べられている。
【0013】
しかしながら、実施例では、合金化処理時間は言及されていない。また、酸化物は鋼板表面に近いので、このような酸化物の存在が鋼板中に不連続な酸化皮膜を形成して、亜鉛被膜中への鉄の拡散を阻害する危険性が存在する。したがって、合金化処理を遅延させる危険性が存在する。
【0014】
JP2000212648は、優れた加工性とめっき密着性を有する高張力溶融亜鉛めっき鋼板を製造するための一段階方法であって、
0.10重量%以下のPを含む鋼スラブを熱間圧延に、その後、酸洗に供し、又は前記鋼スラブを冷間圧延に供する工程と;
加熱温度Tが750℃以上及び1000℃以下であり、及び以下の式(2)を満たし、雰囲気気体の露点tが以下の式(3)を満たし、及び雰囲気気体の水素濃度が1~100体積%である雰囲気中で加熱する工程と;並びに、次いで、溶融亜鉛めっきに供する工程と;
を含む方法:
0.85≦{[P(重量%)+(2/3)]*1150}/{T(℃)}≦1.15(2);
0.35≦{[P(重量%)+(2/3)]*(-30)}/{t(℃)}≦1.8(3)
を開示する。
【0015】
この方法は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るために、さらなる合金化処理も開示する。
【0016】
一段階熱処理法が実施されるJP2000212648の全ての実施例(実施例18~26)は熱還元処理を含み、熱還元処理において、加熱温度Tは810~850℃であり、露点は極めて乾燥する(≦-35℃)か、又は極めて湿っており(≧35℃)、被膜密着性を許容する。750~1000℃の熱還元処理の後には、合金化処理が続く。
【0017】
JP2000212648の一段階法の唯一の比較例(比較例10)は、極めて少量のSi及びCrを有する鋼板を用いて行われている。この事例では、一段階熱処理法は、加熱温度Tが820℃であり、露点が0℃の熱還元処理を含む。この後には、480℃で行われる合金化処理が続いた。しかしながら、P系酸化物は還元されず、合金化後に、不良な被膜密着性及び不良な外観をもたらした。
【0018】
JP2011117040は、質量%で、0.01~0.25%のC、0.3~2.0%のSi、0.030~3.0%のMn、0.050%以下のP、0.010%以下のS、0.0060%以下のN及び0.5%以下のsol.Alを含み、残部がFe及び不純物である化学組成を有する鋼板母材と、鋼板母材の表面上に、質量%で、Feの8.0~15%及びAlの0.15~0.50%を含有するめっき層とを備える合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、鋼板がSi、Mn若しくはAlの単一の酸化物、これらの2つ以上を含む酸化物又はこれらの2つ以上とFeを含む複合酸化物をさらに含み、単一の酸化物、酸化物又は複合酸化物がめっき層と鋼板母材の間の境界面から2μmの深さ以内で鋼板母材中に存在し、並びに単一の酸化物、酸化物又は複合酸化物が0.10μm以下の最大粒径を有する、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を開示する。
【0019】
JP2011117040は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、
質量%で、Cの0.01~0.25%、Siの0.3~2.0%、Mnの0.030~3.0%、Pの0.050%以下、Sの0.010%以下、Nの0.0060%以下及びsol.Alの0.5%以下を含む化学組成を有する鋼スラブを熱間圧延し、650℃以下の巻取温度で、得られた熱間圧延された鋼板を巻き取る熱間圧延工程と;
熱間圧延された鋼板を酸洗する酸洗工程と;
酸洗工程において酸洗された熱間圧延された鋼板を圧下率50%以上で冷間圧延する冷間圧延工程と;並びに
冷間圧延工程後に、冷間圧延された鋼板を、700℃以上の温度領域で、1~30体積%の水素濃度及び-30℃~10℃の露点を有する窒素-水素雰囲気下において、鋼板表面の還元のために、連続的溶融亜鉛めっきライン中の還元焼鈍炉中における焼鈍;溶融亜鉛めっきに連続して供する溶融亜鉛めっき工程と;並びに
合金化処理と;
を含む方法も開示する。
【0020】
それにもかかわらず、Si、Mn若しくはAlの単一の酸化物、これらの2つ以上を含む酸化物又はこれらの2つ以上とFeを含む複合酸化物を含む、完全に異なる性質を有する多数の酸化物が焼鈍の間に形成され得る。酸化物性、特に、Alを含む酸化物及びこれらの2つ以上とFeを含む複合酸化物が、連続層の形態で形成され得、このため、被膜密着性を低減し、合金化溶融亜鉛めっきを遅延させる。
【0021】
JP2011153367は、合金化溶融亜鉛めっき鋼を作製するための方法であって、質量%で、C:0.03~0.20%、Mn:0.03~3.0%、Si:0.1~2.5%、S:0.01%以下、P:0.1%以下、sol.Al:1.0%以下、N:0.01%以下、及びBi:0.0001~0.05%を含む鋼板に対する、焼鈍、溶融亜鉛めっき及び合金化処理を含み、焼鈍における再結晶温度までの加熱において、焼鈍は、加熱中に焼鈍炉の中で、少なくとも650℃~再結晶温度の範囲で、-25~0℃の露点で、再結晶温度まで行われる。
【0022】
しかしながら、鋼中のビスマスの存在は、鋼の機械的特性を減少させ得る。さらに、被膜密着性を減少させ、高張力鋼及び超高張力鋼の合金化溶融亜鉛めっきを遅延させる危険性が存在する。
【0023】
さらに、JP2011153367の
図1に示されているように、この方法は、-60℃の露点を有するN
2-10体積%H
2気体を用いた炉のパージによって始まる。気体は、加熱の開始時に、所定の高露点気体に切り替える。実際に、板の温度が650℃に達すると、炉は、再度、所定の露点、例えば-10℃を有する高露点気体でパージされる。その後、板の温度が、再結晶温度以上である860℃に達したときに、めっき浴中に浸漬された板の温度が460℃に達する前に、気体は、再度、最初の低露点気体、すなわち、-60℃に切替えられる。
【0024】
このため、この方法は、3つのパージを必要とする。
【0025】
1つは、この方法を開始するときに、-60℃の露点を有する気体を用い、
1つは、焼鈍の間に、鋼板温度が650℃に達するときに、-10℃の露点を有する気体を用い、及び
もう1つは、焼鈍の間に、鋼板温度が850℃に達するときに、-60℃の低露点ガスを有する気体を用いる。
【0026】
この方法は、産業的規模において、特に、連続的な焼鈍ラインにおいて管理することが極めて難しい。
【0027】
このため、再結晶焼鈍法に加えて、化学組成及び鋼の微細組織、再結晶焼鈍の間に形成される酸化物の性質及び酸化物の再分配も、DP鋼の合金化溶融亜鉛めっき速度を改善するために考慮に入れるべき重要な特質である。
【0028】
その結果、高張力鋼及び超高張力鋼、特に合金化元素のある量を含むDP鋼の湿潤及び被膜密着性を改善する方法を見出す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【文献】欧州特許出願公開第2415896号明細書
【文献】特開2008-156734号公報
【文献】特開2000-212648号公報
【文献】特開2011-117040号公報
【文献】特開2011-153367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
したがって、本発明の目的は、合金化元素を含む化学組成を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、合金化処理時間が短縮され、産業的実施を可能にする合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することである。別の目的は、高い品質を有する、すなわち、鋼中への鉄の拡散が良好に行われた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることである。最後に、目的は、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造のための実施が容易な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
この目的は、請求項1に記載の方法を提供することによって達成される。この方法は、請求項2~13のいずれの特徴も包含し得る。
【0032】
別の目的は、請求項14に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することによって達成される。この合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、請求項15~17のいずれの特徴も包含し得る。
【0033】
最後に、この目的は、請求項18に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の使用を提供することによって達成される。
【0034】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の発明の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0035】
本発明を説明するために、特に以下の図面を参照しながら、非限定的な実施例の様々な実施形態及び試行を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、JP2011153367に開示されている従来技術の一方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の用語が定義される。
【0038】
「体積%」は、体積による百分率を意味し、
「重量%」は、重量による百分率を意味する。
【0039】
本発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、
A.重量%で以下の化学組成:
0.05≦C≦0.20%、
1.5≦Mn≦3.0%、
0.10≦Si≦0.45%、
0.10≦Cr≦0.60%、
Al≦0.20%、
V<0.005%
及び、純粋に任意に、
P<0.04%、
Nb≦0.05%、
B≦0.003%、
Mo≦0.20%、
Ni≦0.1%、
Ti≦0.06%、
S≦0.01%、
Cu≦0.1%、
Co≦0.1%、
N≦0.01%
などの1つ以上の元素を有し、
前記組成の残部が鉄及び精錬から生じる不可避の不純物で作られている鋼板の提供と、
B.以下のサブ工程:
i.0.1~15体積%のH2とその露点DP1が-18℃~+8℃である不活性気体とを含む雰囲気A1を有する加熱区画中での、周囲温度から700~900℃の温度T1への前記鋼板の加熱工程、
ii.DP1と等しい露点DP2を有する、A1と同一の雰囲気A2を有する均熱区画中での、T1から700~900℃の温度T2への前記鋼板の均熱工程、
iii.1~30体積%のH2とその露点DP3が-30℃以下である不活性気体とを含む雰囲気A3を有する冷却区画中での、T2から400~700℃のT3への鋼板の冷却工程、
iv.1~30体積%のH2とその露点DP4が-30℃以下である不活性気体とを含む雰囲気A4を有する均等化区画中での、温度T3から400~700℃の温度T4への鋼板の任意に行われる均等化工程、
を含む、加熱区画、均熱区画、冷却区画、任意に均等化区画を備える完全ラジアントチューブ炉中での前記鋼板の再結晶焼鈍、
C.亜鉛浴中での前記焼鈍された鋼板の溶融亜鉛めっき、並びに
D.460~600℃の温度T5で、1~45秒の時間t5の間行われる合金化処理、
を含む、方法に関する。
【0040】
いかなる理論にも拘泥するものではないが、本発明の方法は、特定の化学組成を有する鋼板の湿潤性及び被膜密着性の高度な改善を可能とするようである。さらに、本発明の方法を用いて、短縮された時間で合金化処理を実施することが可能である。実際に、JP2011153367に開示されている方法(
図1)などの従来の方法とは反対に、及び
図2に図示されているように、本発明者らは、加熱及び均熱区画が-18℃及び+8℃であるDPを有する同一の雰囲気を有し、このような雰囲気が0.1~15体積%のH2を含む完全ラジアントチューブ炉(RTF)中で行われる本発明に従う再結晶焼鈍が特定の酸化物再分配を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の作製を可能にして、高い湿潤性を可能にし、高い品質を有することを見出した。とりわけ、MnO、FeO及びMn
2SiO
4を含む酸化物が、鋼板表面及び内部に、再結晶焼鈍の間に形成されて、高い湿潤性及び被膜密着性を可能にする。好ましくは、これらの外部酸化物は、鋼板表面に、小塊の形態で存在する。このため、合金化処理の間に、鋼の鉄は、短縮された時間で、被膜の方向に容易に拡散することができる。
【0041】
上記特定の鋼板の再結晶焼鈍が本発明に従って行われなければ、とりわけ、加熱及び均熱区画が同じ雰囲気を有しなければ、及び露点が-18℃より下であれば、MnO、FeO及びMn2SiO4などの酸化物を形成する危険性が存在し、このような酸化物は主に外部に又は外部のみにある。さらに、これらの酸化物は鋼板表面に厚い連続層を形成し、湿潤性を著しく減少させる危険性が存在する。この場合、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るために合金化処理を実施することは有効ではない。
【0042】
さらに、加熱及び均熱区画が同じ雰囲気を有しなければ、及び露点が8℃より上であれば、MnO及びFeOなどの外部酸化物並びにMn2SiO4などの内部酸化物を形成する危険性が存在する。特に、MnO及び主にFeOが鋼板表面に連続層の形態で形成されて、湿潤性を減少させる危険性が存在する。この場合、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るために合金化処理を実施することは有効ではない。
【0043】
鋼の化学組成に関して、炭素量は0.05~0.20重量%である。炭素含量が0.050%を下回ると、引張強度が不十分である危険性が存在する。さらに、鋼の微細組織が残留オーステナイトを含有すると、十分な伸びを達成するために必要な安定性を得ることができない。好ましい実施形態において、炭素含量は0.05~0.15%の範囲にある。
【0044】
マンガンは、高い引張強度を得ることに寄与する固溶体硬化元素である。このような効果は、Mn含量が重量で少なくとも1.5%であるときに得られる。しかしながら、3.0%を上回ると、Mn添加は、過度に著しい偏析帯を有する構造の形成に寄与することがあり、溶接機械的特性に悪影響を与え得る。好ましくは、マンガン含量は、これらの効果を達成するために1.5~2.9%の範囲にある。これによって、鋼の産業的製造の困難さを増大させることなく、また、溶接中の焼入性を増大させることない、良好な力学的強度を得ることが可能になる。
【0045】
機械的特性及び湿潤性の要求される組み合わせを達成するために、ケイ素は、Siの0.1~0.45重量%、好ましくは0.1~0.30重量%、より好ましくは0.1~0.25重量%で含まれなければならない。すなわち、ケイ素は、セメンタイト中でのその低い溶解性のために、及びこの元素がオーステナイト中での炭素の活性を増加させるという事実のために、板の冷間圧延後の焼鈍の間に炭化物析出を低減する。Si量が0.45%を上回ると、他の酸化物が鋼板表面に形成され、湿潤性及び被膜密着性を減少させるようである。
【0046】
アルミニウムは、0.20重量%以下でなければならず、好ましくは0.18重量%を下回らなければならない。残留オーステナイトの安定化に関して、アルミニウムは、ケイ素の影響と相対的に類似する影響を有する。しかしながら、重量で0.20%より高いアルミニウム含量は、Ac3温度、すなわち、焼鈍工程の間に、鋼中でオーステナイトに完全に変態する温度を増加させ得、したがって、産業的過程をより高価にし得る。
【0047】
クロムは、焼鈍サイクルの間に最高温度に位置した後の冷却工程の間、初析フェライトの形成を遅延させることを可能にし、より高い強度レベルを達成することを可能にする。このため、クロム含量は、費用の理由のために、及び過剰な硬化を防ぐために、0.10~0.60重量%、好ましくは0.10~0.50重量%である。
【0048】
バナジウムも、本発明の文脈において、重要な役割を果たす。本発明において、Vの量は、0.005%未満であり、好ましくは0.0001≦V≦0.005%である。好ましくは、Vは析出物を形成し、硬化及び強化を達成する。
【0049】
この鋼は、P、Nb、B、Mo、Ni、Ti、S、Cu、Co、Nなどの元素を任意に含有し得、析出硬化を達成する。
【0050】
P及びSは、製鋼から生じる残留元素と考えられる。Pは、0.04重量%未満の量で存在することができる。Sは、0.01重量%以下の量で存在することができる。
【0051】
チタン及びニオブも、析出物を形成することによって硬化及び強化を達成するために任意に使用され得る元素である。しかしながら、Nb量が0.05%を上回り、及び/又はTi含量が0.06より大きい場合、過剰な析出が靭性の低下を引き起こし得る危険性が存在し、これは避けなければならない。
【0052】
この鋼は、0.003%以下を占める量で、ホウ素も任意に含有し得る。粒界で偏析することによって、Bは粒界エネルギーを減少させ、このため、液体金属脆化に対する耐性を増加させるのに有益である。
【0053】
モリブデン元素はオーステナイトの分解を遅らせるので、0.2%以下の量のモリブデンは、焼入性を増加させ、残留オーステナイトを安定化させるのに効率的である。
【0054】
この鋼は、靭性を改善するために、0.1%以下の量で、任意にニッケルを含有し得る。
【0055】
銅金属の析出によって鋼を硬化するために、銅は、0.1%以下の含量で存在することができる。
【0056】
好ましくは、この鋼の化学組成はビスマスを含まない。実際に、いかなる理論に拘泥することを望むものではないが、鋼板がBiを含むと、湿潤性が減少し、したがって、被膜密着性が減少すると考えられる。
【0057】
好ましくは、工程B.i)及びB.ii)において、A1は、1~10体積%のH2を含み、より好ましくは、A1は、2~8体積%のH2を含み、A2はA1と同一である。
【0058】
有利には、工程B.i)及びB.ii)において、DP1は-15~+5℃であり、より好ましくは、DP1は-10~+5℃であり、DP2はDP1と等しい。
【0059】
好ましい実施形態において、工程B.i)において、鋼板は、1℃/秒を上回る加熱速度、例えば、2~5℃/秒で、周囲温度からT1まで加熱される。
【0060】
好ましくは、工程B.i)において、加熱は、1~500秒、有利には1~300秒の時間t1の間、行われる。
【0061】
有利には、工程B.ii)において、均熱は、1~500秒、有利には1~300秒の時間t2の間、行われる。
【0062】
好ましくは、工程B.ii)において、T2はT1と等しい。この場合、工程B.i)及びB.ii)において、T1及びT2は、750~850℃であり、T2はT1と等しい。別の実施形態において、鋼板の化学組成及び微視組織に応じて、T2はT1を下回るか、又は上回ることが可能である。この場合、工程B.i)及びB.ii)において、T1及びT2は、互いに独立して、750~850℃である。
【0063】
好ましくは、工程B.iii)において、A3は、H2の1~20重量%、より好ましくは、H2の1~10重量%を含む。
【0064】
好ましくは、工程B.iii)において、DP3は-35℃以下である。
【0065】
好ましい実施形態において、工程B.iii)において、冷却は、1~50秒の時間t3の間、行われる。
【0066】
有利には、工程B.iii)において、冷却速度は、10℃/秒を上回る、好ましくは、15~40℃/秒である。
【0067】
有利には、工程B.iv)において、A4は、H2の1~20重量%、より好ましくは、H2の1~10重量%を含む。
【0068】
好ましくは、工程B.iv)において、DP4は-35℃以下である。
【0069】
好ましい実施形態において、工程B.iv)において、等化は、1~100秒、例えば、20~60秒の時間t4の間、行われる。
【0070】
有利には、工程B.iii)及びB.iv)において、A3はA4と同一であり、DP4はDP3と等しい。
【0071】
好ましくは、工程B.iv)において、T4はT3と等しい。この場合、工程B.iii)及びB.iv)において、T3及びT4は、400~550℃又は550~700℃であり、T4はT3と等しい。別の実施形態において、鋼板の化学組成及び微視組織に応じて、T4はT3を下回るか、又は上回ることが可能である。この場合、工程B.iii)及びB.iv)において、T3及びT4は、互いに独立して、400~550℃又は550~700℃である。
【0072】
好ましくは、工程B.i)~B.iv)において、不活性気体は、N2、Ar、He及びXeから選択される。
【0073】
好ましくは、工程C)において、亜鉛系被膜は、0.01~0.4重量%のAlを含み、残部はZnである。
【0074】
有利には、工程D)において、T5は、470~570℃、より好ましくは、470~530℃である。
【0075】
好ましくは、工程D)において、t5は1~35秒、例えば、1~20秒である。
【0076】
好ましい実施形態において、合金化処理は、空気を含む雰囲気A5中で行われる。
【0077】
本発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、亜鉛被膜が5~15重量%のFeと、FeO、Mn2SiO4及びMnOを含む酸化物とを含み、残部が亜鉛であり、前記鋼板が前記鋼板中にFeO、Mn2SiO4及びMnOを含む内部酸化物を含むように、鋼板からの鉄の拡散を通じて亜鉛被膜が合金化されている合金化溶融亜鉛めっき鋼板にも関する。好ましくは、亜鉛又はアルミニウム被膜中に存在するFeO、Mn2SiO4及びMnOを含む酸化物は、小塊の形態である。
【0078】
好ましくは、被膜の厚さは1~15μmである。
【0079】
好ましくは、鋼の微細組織は、ベイナイト、マルテンサイト、フェライト及び任意にオーステナイトを含む。1つの好ましい実施形態において、鋼の微細組織は、1~45%のマルテンサイト、1~60%のベイナイトを含み、残部はオーステナイトである。別の好ましい実施形態において、鋼の微細組織は、1~25%のフレッシュマルテンサイト、1~10%のフェライト、35~95%のマルテンサイト及び下部ベイナイト及び10%未満のオーステナイトを含む。
【0080】
好ましい実施形態において、鋼板の表面は脱炭されている。好ましくは、脱炭の深さは、表面鋼板から最大100μmであり、好ましくは最大80μmである。この場合、いかなる理論に拘泥することも望むものではないが、鋼板中への炭素量の低下のために、鋼板はLMEに対してより優れた耐性を有すると考えられる。実際に、炭素は液体金属脆化LMEを極めて受けやすい元素であるようである。さらに、より優れた曲げ性及びより優れた圧潰挙動。
【0081】
最後に、本発明は、自動車車両の一部の製造のための、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の使用に関する。
【0082】
ここで、情報のためのみに実施された試験において、本発明を説明する。試験は、限定するものではない。
【実施例】
【0083】
本実施例では、重量百分率で以下の組成を有するDP鋼を使用した。
【0084】
【0085】
DP鋼である全ての試験体は、表1の条件に従って完全RTF炉中で、周囲温度から焼鈍された。
【0086】
次いで、全ての試験体は、アルミニウムの0.117%を含有する亜鉛浴中で溶融めっきされた。
【0087】
被膜の堆積後に、試験体は、肉眼、走査型電子顕微鏡及びオージェ分光法によって分析された。湿潤性に関して、0は被膜が連続的に堆積されていることを意味し、1は被膜が連続的に堆積されていないことを意味する。湿潤性が0、すなわち、非常に良好であった場合には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得るために、試験体を合金化した。鋼板表面に多数の望ましくない酸化物が存在するために、被膜の質が極めて悪かったので、湿潤性が1、すなわち、極めて悪かった場合には、合金化する必要は存在しなかった。
【0088】
結果は、下表1に示されている
【0089】
【0090】
本発明による試験体4~7、並びに例11及び12は優れた湿潤性を示す。それにもかかわらず、試験体4~7については、合金化時間は、試験体11及び12と比較して著しく短縮された。さらに、被膜の表面アスペクト(surface aspect)は、本発明の実施例に関して著しく良好であった。