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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】多層睡眠コンパートメント
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/00 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
B64D11/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022549877
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 IB2021051356
(87)【国際公開番号】W WO2021165858
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】761879
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】511185151
【氏名又は名称】エア ニュージーランド リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】ケイト エリザベス キャメロン-ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ゾーイ マリー-ジョゼ ジュリア ウェン
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107697305(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0178909(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/00
B61D 31/00
E04H 1/12
A47C 17/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用の多層睡眠コンパートメントであって、
前記航空機のオープン客室エリアから前記睡眠コンパートメントを少なくとも部分的に隔離するハウジングであって、前記睡眠コンパートメントが、前記航空機内の2つの通路の間に位置されている、前記ハウジングと、
前記睡眠コンパートメントへの入口であって、前記睡眠コンパートメントへの前記入口が、前記睡眠コンパートメントの端部に位置する、前記入口と、
複数の睡眠ポッドであって、前記睡眠ポッドが、ポッドの第1のサイドおよびポッドの第2のサイドに配置され、複数の前記睡眠ポッドが、前記ハウジング内に位置されている、複数の睡眠ポッドと、を備え、
前記睡眠ポッドの各サイドには、少なくとも最上部ポッドおよび下部ポッドを有し、
前記入口が、ポッドの前記第1のサイドとポッドの前記第2のサイドとの間に位置する中央ロビーエリアへのアクセスを提供し、
前記中央ロビーエリアの幅が前記入口に向かって広くなるように、前記中央ロビーエリアが、平面視でほぼ台形または三角形であり、
前記睡眠ポッドが、前記入口から離れた前記睡眠コンパートメントの端部に頭部領域を有し、前記入口に向かって足領域を有し、
前記中央ロビーエリアが、前記睡眠コンパートメントの内側にある前記睡眠ポッドのための側部就床部を提供し、
前記睡眠コンパートメントが、ポッドの前記第1のサイドとポッドの前記第2のサイドとの間に位置された中央垂直コンソールをさらに備え、
台形の前記中央ロビーエリアの短辺が前記中央垂直コンソールに隣接しており、
前記睡眠コンパートメントが、概して前記航空機の長手方向軸と整列しており、
前記睡眠コンパートメントが、前記航空機の本体の中心線上またはその方向に位置されている、航空機用の多層睡眠コンパートメント。
【請求項2】
前記睡眠ポッドが、細長く、前記航空機の前記航空機の長手方向軸に実質的に平行なポッドの長手方向軸を有し、
前記睡眠コンパートメントは、前記航空機の本体の前記中心線に沿って位置されている、請求項1に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項3】
前記睡眠ポッドの幅が、より広い前記中央ロビーエリアを可能にするために前記入口に向かって狭くなるように、前記睡眠ポッドが、前記睡眠ポッドの入口端部に向かって狭くなる、請求項1又は請求項2に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項4】
前記中央ロビーエリアに隣接する前記睡眠ポッドの前記サイドが、より広い前記中央ロビーエリアを可能にするために先細になるように、前記睡眠ポッドが、平面視で前記中央ロビーエリアに隣接する略斜めの側壁を備える、請求項3に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項5】
前記斜めの側壁が、前記睡眠コンパートメントの前記長手方向軸から10°~20°の角度になるように前記睡眠ポッドが狭い、請求項4に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項6】
前記入口が、前記航空機の交差通路にあるように、前記睡眠コンパートメントが、位置決めされている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項7】
前記睡眠コンパートメントが、前記航空機内のモニュメントに隣接して位置決めされている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項8】
前記中央垂直コンソールが、
a)空気調節機/空気ガスパー、
b)煙探知器、
c)電気配線、
d)ダクティング、
e)充電ポート、
f)照明、
g)照らされた標識、
h)乗務員呼び出しボタン、
i)酸素マスクモジュール、
j)安全ベルト、
k)救命胴衣、
l)PSU(旅客サービスユニット)、
m)IFE画面(機内エンターテインメント)、
n)ヘッドフォンジャック、
o)Bluetooth(登録商標)またはその他のワイヤレスオーディオ接続、
p)ストレージ、
q)スピーカのうちの1つ以上の組み合わせを含む1つ以上のサービスを収容する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項9】
前記中央垂直コンソールが、前記入口の反対側の前記睡眠コンパートメントの端部またはその端部に向かって位置されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項10】
前記中央垂直コンソールが、ポッドの前記第1のサイドと前記第2のサイドとの間に少なくとも部分的に障壁またはスクリーンを形成している、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項11】
ポッドの前記第1のサイドとポッドの前記第2のサイドとの間に位置され、上部の前記睡眠ポッドにアクセスするための昇降段をさらに備える、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項12】
前記昇降段が、前記中央垂直コンソールと統合されている、請求項11に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項13】
前記航空機の天井に高くした高い天井領域をさらに備えて、追加の頭部スペースを提供するものであり、前記高い天井領域が、少なくとも前記昇降段の上のエリアにある、請求項11又は請求項12に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項14】
前記睡眠ポッドが、恒久的に平らなベッド表面を含む、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項15】
前記睡眠ポッドの一方のサイドまたは両方のサイドが、上部の前記睡眠ポッドと下部の前記睡眠ポッドとの間に1つまたは2つの中間の睡眠ポッドを有する、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の多層睡眠コンパートメント。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の多層睡眠コンパートメントでのセッションが、少なくとも1人の乗客のために予約される、前記航空機での移動方法。
【請求項17】
前記セッションが、巡航飛行時間中に行われ、前記巡航飛行時間が、タキシング、離陸および着陸を除く、請求項16に記載の移動方法。
【請求項18】
前記巡航飛行時間が、複数のセッションに分割される、請求項17に記載の移動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層睡眠コンパートメントに関する。より詳細には、航空機などの移動体用の多層睡眠コンパートメントに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、旅客機には、ファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミーおよびエコノミークラスなどの異なる搭乗クラスがある。航空会社は、異なる乗客のニーズおよび支払い能力に対応するために、異なるサービスを提供している。一般的に、ファーストクラスおよびビジネスクラスはより高価であり、各シートが客室内でより大きな設置面積を占めることができるため、より快適で広々とした宿泊施設(フラットな睡眠オプションを含む)がある。
【0003】
しかしながら、エコノミークラスの乗客の密度は、一般的に高くなっている(各エリアに着席する乗客が多い)。エコノミーの乗客は一般に、休息し、かつ/または飛行中に途切れることなく持続的な深い睡眠をとることに苦労している(睡眠薬や補助器具なしで)。長いフライトの後、これは乗客を目的地で疲れ果てさせてしまう可能性がある。
【0004】
快適性を向上させるために、航空機のエコノミーのシートは少しリクライニングし得る。しかしながら、これらのシートは、後ろの列の乗客のスペースに侵入する可能性があるため、通常、フラットまたは水平に近い位置にはリクライニングできない。航空機のエコノミーの区域では、乗客は一般に長時間座ったり直立して寝たりする必要があり、伸ばすのに十分なスペースがないため(特に背の高い乗客の場合)、快適さや睡眠への障壁が高くなる可能性があり得る。
【0005】
「標準的な」エコノミーのシートと比較して、快適性を向上させ、かつ/または休息もしくは睡眠への障壁を低減する、航空機のエコノミーおよび/またはプレミアムエコノミーの乗客のための宿泊施設を提供することが望ましい場合がある。エコノミーの乗客のための宿泊施設は、各乗客のコストを比較的低く保ち、かつ/または航空会社の利益を維持または増加させるために、客室のエリアに高密度に乗客を収容できることが望ましい場合がある。
【0006】
本明細書において、特許明細書および他の文献を含む外部の情報源を参照した場合、これは、概して本発明の特徴を述べるのに背景を提供することを目的としている。特に明記しない限り、このような情報源に触れることは、いかなる管轄においても、このような情報源が先行技術であるかまたは当技術分野における一般常識の一部をなすことの承認として解釈されるべきではない。
【0007】
本発明の目的は、上で述べた欠点のいくつかを解消するか、もしくは少なくとも部分的に改善する、または少なくとも人々に有用な選択を提供する多層睡眠コンパートメントを提供することである。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、航空機用の多層睡眠コンパートメントであって、
航空機のオープン客室エリアから睡眠コンパートメントを少なくとも部分的に隔離するためのハウジングと、
睡眠コンパートメントへの入口であって、睡眠コンパートメントへの入口が、睡眠コンパートメントの端部に位置される、入口と、
複数の睡眠ポッドであって、睡眠ポッドが、ポッドの第1のサイドおよびポッドの第2のサイドに配置され、複数の睡眠ポッドが、ハウジング内に位置されている、複数の睡眠ポッドと、を備え、
睡眠ポッドの各サイドには、少なくとも最上部ポッドおよび下部ポッドを有し、
入口が、ポッドの第1のサイドとポッドの第2のサイドとの間に位置する中央ロビーエリアへのアクセスを提供し、
中央ロビーエリアの幅が入口に向かって広くなるように、中央ロビーエリアが、平面視でほぼ台形または三角形であり、
睡眠ポッドが、入口から離れた睡眠コンパートメントの端部に頭部領域を有し、入口に向かって足領域を有し、
中央ロビーエリアが、睡眠コンパートメントの内側にある睡眠ポッドのための側部就床部を提供し、
睡眠コンパートメントが、概して航空機の航空機長手方向軸と整列しており、
睡眠コンパートメントが、航空機本体の中心線上またはその方向に位置されている、航空機用の多層睡眠コンパートメント。
【0009】
別の態様によれば、各睡眠ポッドが、細長く、航空機の航空機長手方向軸に実質的に平行なポッドの長手方向軸を有する。
【0010】
別の態様によれば、睡眠コンパートメントが、航空機本体の中心線に沿って位置されている。
【0011】
別の態様によれば、睡眠コンパートメントが、航空機内の2つの通路の間に位置されている。
【0015】
別の態様によれば、睡眠ポッドの幅が、より広い中央ロビーエリアを可能にするために入口に向かって狭くなるように、睡眠ポッドが、睡眠ポッドの入口端部に向かって狭くなる。
【0016】
別の態様によれば、中央ロビーエリアに隣接する睡眠ポッドのサイドが、より広い中央ロビーエリアを可能にするために先細になるように、睡眠ポッドが、平面視で中央ロビーエリアに隣接する略斜めの側壁を備える。
【0017】
別の態様によれば、斜めの側壁が、睡眠コンパートメントの長手方向軸から10°~20°の角度になるように、睡眠ポッドが狭い。
【0018】
別の態様によれば、中央ロビーエリアが、入口から睡眠コンパートメントの中に少なくとも半分まで延在している。
【0020】
別の態様によれば、側部就床部の長さが、少なくとも70cmである。
【0021】
別の態様によれば、側部就床部の長さが、少なくとも100cmである。
【0022】
別の態様によれば、入口が、航空機の交差通路にあるように、睡眠コンパートメントが、位置決めされている。
【0023】
別の態様によれば、入口の幅が、50~100cmである。
【0024】
別の態様によれば、入口の幅が、60~85cmである。
【0025】
別の態様によれば、本発明は、ポッドの第1のサイドとポッドの第2のサイドとの間に位置された中央垂直コンソールをさらに備える。
【0026】
別の態様によれば、台形の中央ロビーエリアの短辺が、中央垂直コンソールに隣接している。
【0027】
の態様によれば、中央垂直コンソールが、
a)空気調節機/空気ガスパー、
b)煙探知器、
c)電気配線、
d)ダクティング、
e)充電ポート、
f)照明、
g)照らされた標識、
h)乗務員呼び出しボタン、
i)酸素マスクモジュール、
j)安全ベルト、
k)救命胴衣、
l)PSU(旅客サービスユニット)、
m)IFE画面(機内エンターテインメント)、
n)ヘッドフォンジャック、
o)Bluetooth(登録商標)またはその他のワイヤレスオーディオ接続、
p)ストレージ、
q)スピーカのうちの1つ以上の組み合わせを含む1つ以上のサービスを収容する。
【0028】
別の態様によれば、中央垂直コンソールが、入口の反対側の睡眠コンパートメントの端部またはその端部に向かって位置されている。
【0029】
別の態様によれば、中央垂直コンソールが、ポッドの第1のサイドと第2のサイドとの間に少なくとも部分的に障壁またはスクリーンを形成している。
【0030】
別の態様によれば、1つ以上のハンドルが、中央垂直コンソールと統合されている。
【0031】
別の態様によれば、1つ以上のハンドルが、中央垂直コンソールに埋め込まれている。
【0032】
別の態様によれば、本発明は、ポッドの第1のサイドとポッドの第2のサイドとの間に位置され、上部の睡眠ポッドにアクセスするための昇降段をさらに備える。
【0033】
別の態様によれば、昇降段が、入口の反対側の睡眠コンパートメントの端部またはその端部に向かって位置されている。
【0034】
別の態様によれば、昇降段が、中央垂直コンソールと統合されている。
【0035】
別の態様によれば、本発明は、航空機の天井に高くした高い天井領域をさらに備えて、追加の頭部スペースを提供するものであり、高い天井領域が、少なくとも昇降段の上のエリアにある。
【0036】
別の態様によれば、高い天井領域が、航空機の天井の中に10~35cmで凹んでいる。
【0037】
別の態様によれば、高い天井領域が、航空機の天井の中に23~28cmで凹んでいる。
【0038】
別の態様によれば、各睡眠ポッドが、恒久的に平らなベッド表面を含む。
【0039】
別の態様によれば、睡眠ポッドの一方のサイドまたは両方のサイドが、上部睡眠ポッドと下部睡眠ポッドとの間に1つまたは2つの中間睡眠ポッドを有する。
【0040】
別の態様によれば、睡眠コンパートメントの幅が、120~160cmである。
【0041】
別の態様によれば、睡眠コンパートメントの長さが、180~230cmである。
【0043】
別の態様によれば、本発明は、航空機での移動方法を広く含み、前項のいずれか一項に記載の多層睡眠コンパートメントでのセッションが、少なくとも1人の乗客のために予約される。
【0044】
別の態様によれば、セッションが、飛行全体よりも短い期間である。
【0045】
別の態様によれば、セッションが、巡航飛行時間中に行われ、当該巡航飛行時間が、タキシング、離陸および着陸を除く。
【0046】
別の態様によれば、セッションが、巡航飛行時間の一部のみである。
【0047】
別の態様によれば、巡航飛行時間は複数のセッションに分割される。
【0048】
別の態様によれば、複数のセッションを同じ乗客が予約することはできない。
【0049】
別の態様によれば、当該セッションが、離陸前に予約されている。
【0050】
別の態様によれば、当該セッションは離陸後に予約される。
【0051】
本発明の他の態様は、単に例として、添付図面を参照して与えられる以下の発明を実施するための形態から明らかになるであろう。
【0052】
本明細書で使用される際、「および/または(and/or)」という用語は、「および」もしくは「または」またはその双方を意味する。
【0053】
本明細書で使用される際、名詞に続く「(s)」は、名詞の複数形および/または単数形を意味する。
【0054】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「備える(comprising)」という用語は、「少なくとも一部からなる」を意味する。その用語を含む本明細書および特許請求の範囲中の言及、各言及中のその用語で始まる特徴を解釈するとき、すべて存在する必要があるが、他の特徴も存在することができる。「含む(comprise)」および「含まれる(comprised)」などの関連用語も同様に解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
ここで、単なる例示として以下の図面を参照しながら本発明を説明することにする。
【0056】
図1図1は、多層睡眠コンパートメントの斜視図を示している。
図2図2は、使用中の多層睡眠コンパートメントを示している。
図3図3は、多層睡眠コンパートメントの平面図を示している。
図4図4は、多層睡眠コンパートメントの正面図を示している。
図5図5は、中央垂直コンソールの斜視図を示している。
図6図6は、昇降段の斜視図を示している。
図7図7は、部分的なLOPA(乗客の宿泊施設のレイアウト)を示している。
図8図8は、多層睡眠コンパートメントの天井の底面斜視図を示している。
図9図9は、睡眠ポッドとPSU(乗客サービスユニット)の斜視図を示している。
図10図10は、多層睡眠コンパートメントの分解図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1~10に示される本発明の様々な態様によれば、多層睡眠コンパートメント1が提供されている。多層睡眠コンパートメント1は、乗用車、特に航空機(民間航空機ならびにプライベート航空機またはコーポレート航空機)で使用されるように構成されている。
【0058】
これらの図は、構造、レイアウト、および構造の一般的な原理を示しており、本発明は、示された正確な構成に限定されないことが理解されよう。
【0059】
図1を参照すると、好ましい構成では、多層睡眠コンパートメント1は、ハウジング10および睡眠コンパートメント3への入口11を備える。図7に示すように、睡眠コンパートメント1のハウジング10は、睡眠コンパートメントを航空機2のオープン客室エリア3から少なくとも部分的に隔離または分離している。
【0060】
睡眠コンパートメント1のハウジング10は、好ましくは、少なくとも側壁17および後(または前)壁18を有する。好ましい構成では、コンパートメントはまた、最上部カバー16および/または床を有する。ハウジング10は、組み立てられると、睡眠ポッド20をオープン客室エリア3から隔離するが、睡眠コンパートメント1を航空機に取り付けるために、ハウジング10(およびコンパートメントの他の構成要素)を、航空機のドア15を通り抜けるように、複数の部品に分割してから、航空機に取り付ける。
【0061】
例えば、睡眠コンパートメント1は、図10に示されるように、航空機のドア15を通り抜けるために6つ以上の部品に分割され得る。好ましくは、コンパートメントは、簡単な取り付けおよび組み立てのために設計されている。
【0062】
好ましい構成では、睡眠コンパートメント1への入口11は、睡眠コンパートメントの端部12に位置されている。最も好ましくは、入口11は、客室エリア3からの騒音、臭い、または他の妨害がコンパートメントに入るのを低減するために、睡眠コンパートメントの一端部12のみに位置される。他の構成では、入口11は、例えばアクセスを容易にするために、睡眠コンパートメント1の両端部12、13に位置され得る。
【0063】
好ましい構成では、入口11は、睡眠コンパートメントの側面14に位置されていない(図3で参照されている)。睡眠コンパートメント1の端部に位置する入口11は、航空機の長手方向通路7から分離することができ、以下で詳細に説明するように、利点を提供することができる。
【0064】
任意選択で、カーテン、引き戸、または他のスクリーニングを入口11に設置して、航空機内の他の乗客および乗組員からの眠っているポッドの乗客のプライバシーおよび/または分離を改善することができる。
【0065】
好ましくは、多層睡眠コンパートメント1は、航空機(または他の乗客用移動体)に設置することができる独立したモニュメントである。好ましい構成では、睡眠コンパートメント1は、コンパートメントを航空機の天井に接続するための取り付けポイントを備える。
【0066】
睡眠ポッドのレイアウト
多層睡眠コンパートメント1は、複数の睡眠ポッド20を備える。複数の睡眠ポッド20は、ハウジング10内に位置されている。睡眠ポッド20は、飛行中、特に長い飛行中(その中には18時間にもなることがある)に乗客が休むように設計されている。睡眠コンパートメント1は、短距離、中距離、長距離、または超長距離の移動に使用でき得る。
【0067】
睡眠ポッド20は、航空機2上に、乗客4が横になり、眠り、休息するか、または飛行中にシートから単に脱出して横になるためのよりプライベートなスペースに移動するためのスペースを提供し、したがって、フライトの経験を改善する。
【0068】
好ましい構成では、各睡眠ポッド20は、恒久的に平らなベッド表面を備える。好ましくは、睡眠ポッド20は、航空機上で水平位置またはほぼ水平位置に水平な表面を有する平坦である。いくつかの構成では、ベッド表面は、飛行中の航空機の飛行角度に対応するためにわずかな角度(例えば、水平から3度)を有する可能性があるため、ベッド表面はほぼ水平/平坦である。ベッドの表面はわずかな角度を持っているので、航空機が飛行しているとき、乗客は完全に平らに感じるはずである。人々は通常、平らな面でよく眠れ、その面は乗客が足を伸ばすためのより多くのスペースを提供する。好ましくは、睡眠ポッドは、平らな構成で恒久的に固定され、すなわち、ベッドは折りたたまれたり展開されたりしない。恒久的なベッド構造は、製造がより簡単で安価であり、より安定しており、各乗客のためにセットアップ(所定の位置に移動)するのに時間を必要とし得ない。
【0069】
好ましくは、マットレスまたは他の柔らかい表面が、平らなベッド表面上の各睡眠ポッド20に提供される。マットレスは、発泡体などの快適な弾力性のある素材を含み、布や革などのより耐久性のある素材で裏打ちされ得る。
【0070】
多層睡眠コンパートメント1は、ワイドボディ航空機に特に適している可能性がある。通常、ワイドボディ航空機には2つの通路7がある。ワイドボディ航空機は通常、幅が5メートルを超え、7~10席が並んでいる。
【0071】
睡眠コンパートメント1は、例えば、787、777、747、767、A340、A350、A380を含む、ある範囲の航空機に設置することができるがこれらに限定されない。睡眠コンパートメント1は、他の既存および将来の航空機モデル、または乗客を輸送するための他の移動体に設置することができることを理解されたい。
【0072】
好ましい構成では、睡眠コンパートメントに隣接する、航空機の側面から延びるシート9の列は、ワイドボディ航空機において除去される必要はない。好ましくは、睡眠コンパートメント1の幅は、長手方向通路7の間の中央セクションのシートのみを取り外す必要があるように制限されている。
【0073】
多層睡眠コンパートメント1は、本発明に変更を加えないか、またはわずかな変更を加えて、ナローボディ航空機に設置することができ得ると予想される。例えば、睡眠コンパートメント1は、ワイドボディ航空機と同様の客室高さを有する737またはA320に設置することが可能である。多層睡眠コンパートメント1は、カスタマイズされたナローボディのプライベート/コーポレートまたはチャーター航空機に設置することもでき得る。いくつかの構成では、1つ以上のサイドシートを取り外して、睡眠コンパートメント1のためのスペースを作ることができる。
【0074】
航空機は、一般的に乗客のためには限られた客室スペースを有している。本発明の多層睡眠コンパートメント1は、航空機のエコノミークラスにおいて特に有益であり得る。航空機のエコノミークラスの乗客の密度は一般に高い(各エリアに多くの乗客が着席する)ため、各乗客のコストは航空機の他のシートよりも低くなる可能性がある。本発明の睡眠コンパートメント1は、限られた設置面積で睡眠ポッド20を提供することができる。
【0075】
航空機内の限られた設置面積で睡眠ポッド20を提供するために、睡眠コンパートメント1のレイアウト、配向、および位置は重要な考慮事項である。
【0076】
好ましくは、睡眠ポッド20は、ポッドの第1のサイド21およびポッドの第2のサイド22に配置される。ポッドの両サイド21、22は、従来のワイドボディ航空機の中央領域に効率的に収まることができる。ユーティリティ、サービス、および/または入口11は、後述するように、ポッドの2つのサイド21、22の間に位置することができる。
【0077】
ポッドの2つのサイド21、22(1サイドではなく)を有することは、特定の利点を提供し得ることを理解されたい。ポッドの2つのサイド21、22は、航空機の客室内のスペースを効率的に使用して、所与のコンパートメント設置面積に対してより多くの睡眠ポッド20を提供する。より多くの睡眠ポッド20を乗客に提供することは、睡眠コンパートメント1の製造および/または設置の費用をカバーするのを助けることができる。ポッドの2つのサイド21、22を有することはまた、通路7から離れた睡眠ポッド20へのアクセスを提供するために客室内のスペースを効率的に使用する中央ロビーエリア30(後で詳細に考察する)を提供する。
【0078】
好ましい構成では、ポッドの第1および第2のサイド21、22は、鏡対称とされている(すなわち、それらは長手方向軸に沿って対称である)。
【0079】
好ましくは、睡眠ポッドの各サイド21、22は、少なくとも最上部ポッド23および下部ポッド25を有する。睡眠コンパートメント1は、各サイドに2つ以上の層または寝台を備えた多層コンパートメントレイアウトを有する。多層睡眠コンパートメント1は、所与のコンパートメント設置面積に対して、乗客が休むためのより多くの睡眠ポッド20を収容できることを理解されたい。多層構造は、航空機客室内の垂直方向のスペースを使用する。
【0080】
いくつかの構成では、睡眠ポッドの1サイドまたは両サイド21、22は、上部睡眠ポッド23と下部睡眠ポッド25との間に1つまたは2つの中間睡眠ポッド24を有する(すなわち、3層または4層の睡眠ポッド)。図2の最も好ましい図示の構成では、睡眠コンパートメント1は、各サイド21、22に3層の睡眠ポッド20を有する(上部睡眠ポッド23、中間睡眠ポッド24、および下部睡眠ポッド25)。コンパートメントの内部機能を示すために、コンパートメントの右側の側壁が図2で非表示になっていることに留意されたい。
【0081】
好ましい構成では、睡眠コンパートメント1は、2から3層の睡眠ポッドを有し、航空機の制限された高さにおいて、睡眠コンパートメント1により多くの乗客を収容するための所望と各乗客の快適さのバランスをとる。
【0082】
好ましくは、各サイド21、22の睡眠ポッド20は、平面視にて整列されている(すなわち、千鳥構成に配置されていない)。
【0083】
いくつかの構成では、睡眠ポッド20間の垂直方向の間隔は均一である。
【0084】
好ましい構成では、アクセスを改善するため、および/または異なる乗客を収容するために、睡眠ポッド20間の垂直方向の間隔は不均一である。例えば、下部の睡眠ポッド25は、下部の睡眠ポッドへのアクセスを改善するために、上部のポッドと比較してより大きな垂直方向の間隔を有する。
【0085】
睡眠コンパートメント1内の睡眠ポッド20の層の数は、航空機の垂直方向の高さによって制限される。航空機が睡眠コンパートメントの高さを収容できる場合、睡眠コンパートメント1は、睡眠ポッド20のより多くの層を有することができると予想される。
【0086】
中央ロビーエリア
好ましい構成では、多層睡眠コンパートメント1は、中央ロビーエリア30を備える。睡眠コンパートメント1の入口11は、中央ロビーエリア30へのアクセスを提供する。好ましくは、中央ロビーエリア30は、ポッドの第1のサイド21とポッドの第2のサイド22との間に位置する。
【0087】
中央ロビーエリア30は、乗客が準備して睡眠ポッド20に入るためのスペースを提供する。このエリアは、乗務員が睡眠ポッドでの乗客のセッション中に乗客の安全チェックを実施したり、必要な支援を提供したりするためにも使用でき得る。中央ロビーエリア30は、多層睡眠コンパートメント1内に位置し、航空機の通路7から隔離されている。睡眠コンパートメントに分離された中央ロビーエリア30を有することは、睡眠ポッドの乗客が睡眠ポッドに入るのに時間をかけることができるため、有益であり得る。対照的に、乗客が航空機の通路7にある睡眠ポッド20に入る必要がある場合、通過しようとしている他の乗客、乗務員またはギャレーカートに影響を与える可能性があり、および/または、乗客が、航空機の側面に座っている乗客のすぐ近くでポッドに乗り込むので、焦りを感じ得る。中央のロビーエリア30は、恥ずかしさや混乱を軽減し、睡眠ポッド20へのより品位のある快適な入場を可能にし得る。
【0088】
中央ロビーエリア30は、移動性が低下した乗客が睡眠ポッド20を使用できるように、航空機通路用椅子(標準的な車椅子と比較して幅が狭い)が入るのに十分な幅であることが好ましい。航空機通路用椅子は、乗客を中間レベルのポッド24と同じ高さまで持ち上げるための特別な「ブースター」を有し得る。これにより、乗客は、品位を保ちながら、限られた強度を必要とする睡眠ポッド20に滑り込むことができる。
【0089】
好ましくは、中央ロビーエリア30は、図3の側部就床部矢印(S)によって示されるように、睡眠コンパートメント1の内側にある睡眠ポッド30への側部就床を提供する。
【0090】
最も好ましくは、睡眠ポッドの乗客は、図3の矢印(S)で示されるように、睡眠ポッドの端部の、入口11にて睡眠コンパートメント1の中に、入る/歩く、および、個々の睡眠ポッド20のサイドを通って入る/登る。
【0091】
睡眠ポッド20への側部就床は、睡眠ポッドへの端部アクセスと比較して、乗客にとってより自然で快適である。好ましくは、睡眠ポッドへの側部就床(S)は、乗客が側部から各ポッドにアクセスできるようにするために、従来のベッドまたは寝台と同様のエントランス体験を提供する。
【0092】
さらに、側部就床により、乗客は睡眠ポッド20からより簡単かつ迅速に脱出することができ、これは緊急時に特に重要である。
【0093】
対照的に、睡眠ポッドへの端部アクセスは、細長い睡眠ポッドの端に出入りするのが不快または困難になる可能性があるため(特に移動が制限されている乗客にとって)、望ましくない経験になる可能性がある。
【0094】
好ましい構成では、側部就床部(S)の長さは、少なくとも70cmである(すなわち、側部就床部のために開いているスペースは少なくとも80cmの長さである)。より好ましくは、側部就床部の長さは、少なくとも100cmである。
【0095】
任意選択で、カーテン、引き戸、または他のスクリーニング47を、図2に示すように、睡眠ポッド20のサイドに沿って設置して、睡眠ポッドの乗客のプライバシーおよび/または互いの分離を改善することができる。
【0096】
中央ロビーエリア30は、睡眠コンパートメント1に長手方向に延びる。好ましい構成では、中央ロビーエリア30は、入口11から睡眠コンパートメント1の約半分まで延在する。睡眠コンパートメント1において、中央ロビー30は任意のサイズであることができるが、乗客および乗組員が睡眠コンパートメントに立つため、および/または客室内の限られたコンパートメント設置面積を維持しながら、乗客が睡眠ポッド20の側部に沿って睡眠ポッド20に入るための十分なスペースを提供するという要望のバランスをとることもできることが、予想される。
【0097】
好ましくは、睡眠ポッド20は、入口から離れた睡眠コンパートメントの端部に頭部領域27を有する。好ましくは、睡眠ポッド20は、入口11に向かって足領域28を有する。
【0098】
頭部領域27を入口から離しておくことにより、他の乗客が眠っているポッドに入る間、ポッド内で休んでいる乗客への混乱を減らすことができると予想される。
【0099】
好ましくは、睡眠ポッド20の最も広い部分は、睡眠ポッドの頭部領域27にある。より広い頭部領域27を有することは、乗客の快適さを改善し、閉所恐怖症を感じる可能性を低減し得る。
【0100】
任意選択で、睡眠ポッド20は、柔らかいまたはクッション性の壁31を備えて(図2に示されるように)、睡眠ポッド内の乗客の安全性および/または快適性を改善する。好ましくは、柔らかい壁31は、少なくとも睡眠ポッドの頭部端部27に位置される。
【0101】
好ましい構成では、中央ロビーエリア30は、図3に示されるように、中央ロビーエリアの幅が入口に向かって広くなるように、平面視でほぼ台形または三角形である。入口に向かってより広いエリアは、乗客が彼らの睡眠ポッド30に登る前に準備をするためのいくらかのスペースを可能にし得る。
【0102】
好ましくは、入口11の幅は、50~100cmである。
【0103】
より好ましくは、入口11の幅は、60~85cmである。
【0104】
好ましくは、睡眠ポッド20は、睡眠ポッド20の入口端部28に向かって狭くなり、睡眠ポッドの幅は、より広い中央ロビー領域を可能にするために入口11に向かって狭くなる。睡眠ポッド20が入口に向かって狭くなるにつれて、睡眠コンパートメント1の入口11に向かって中央ロビーエリア30のためにより多くのスペースが提供される。好ましくは、睡眠ポッド20の狭小化は、睡眠ポッドのそれほど重要でない足領域28(足領域は、睡眠ポッドの入口端に向かって位置する)である。重要性の低い足領域28は縮小され、その結果、中央ロビーエリア30のためのより多くのスペースが存在する。好ましくは、睡眠ポッド20の両サイドは、入口11に向かって狭くなり、平面視でほぼV字形を形成し、ほぼ台形または三角形の中央ロビー領域30を提供する。
【0105】
好ましくは、台形の中央ロビーエリア30の短辺は、中央垂直コンソールに隣接している。
【0106】
好ましくは、中央垂直コンソール40の前面は、台形の中央ロビー領域の短辺に隣接している。
【0107】
好ましい構成では、睡眠ポッド20は、図3に示されるように、入口11に向かって狭くなることを除いて、平面視では概して長方形である。
【0108】
いくつかの構成では、平面図で中央ロビーエリア30に隣接する睡眠ポッド20のサイドは、概して斜めであり、中央ロビーエリアに隣接する睡眠ポッドのサイドは、より広い中央ロビーエリアを可能にするために先細になっている。好ましくは、睡眠ポッド20の斜めのサイドは、ポッドの長手方向軸に平行ではない。好ましくは、中央ロビーエリアに隣接する睡眠ポッド20のサイドは、ほぼ長方形のエンベロープを有する睡眠ポッドと、中央ロビーエリア30に隣接する面取り/切り欠きサイドとが、好ましくは乗客の足が休む領域で、睡眠ポッド幅を減少させるように先細になっている。
【0109】
好ましくは、睡眠ポッド20は、斜めの側壁が睡眠コンパートメントの長手方向軸から10°~20°の角度(図3で29として参照される角度)になるように狭くなる。
【0110】
航空機内の睡眠コンパートメントの配向および位置
好ましい構成では、睡眠コンパートメント1は、概して、航空機2の航空機長手方向軸6と整列している。睡眠コンパートメント1は、睡眠コンパートメントが航空機2に沿って縦方向に配向されるように、睡眠コンパートメントが前後にあるときに、概して整列していると考慮されている。これらの構成では、睡眠ポッドの乗客は、乗客がベッド表面をある角度で「横切って」横たわることを選択する可能性があることを考慮しているので、航空機2の長手方向軸6に概ね一致して横たわる。
【0111】
好ましくは、睡眠コンパートメント1のサイドの外壁は、航空機に沿って長手方向に走る通路7に平行またはほぼ平行である。
【0112】
好ましくは、睡眠コンパートメント1の前部および後部の外側の側壁は、航空機に沿って長手方向に走る通路7にほぼ垂直である。
【0113】
好ましい構成では、各睡眠ポッド20は細長い。好ましくは、睡眠ポッド20は、図7の乗客の宿泊施設のレイアウト(LOPA)に示されるように、各睡眠ポッドが航空機2の航空機長手方向軸6に実質的に平行なポッド長手方向軸26を有するように長手方向に配置される。これらの構成では、睡眠コンパートメント1の長さL(図3で参照)は、航空機の横方向よりも長い寸法を有する航空機長手方向に沿って配向されている。
【0114】
睡眠ポッド20の長手方向軸26は、好ましくは、睡眠ポッドの前端部27および後端部28に垂直に延びる。通常、睡眠ポッド20の長手方向軸26の方向は、睡眠コンパートメント1のサイドの外側の側壁と同じである。
【0115】
好ましい構成では、睡眠コンパートメント1は、航空機本体2の中心線5上またはその方向に位置されている。最も好ましい構成では、睡眠コンパートメント1は、図7に示されるように、航空機本体の中心線5に沿って位置される。
【0116】
睡眠コンパートメント1が航空機本体の中心線5またはその方向に位置されている構成では、各睡眠ポッド20は、他の構成よりも多くのスペースを有することができる。対照的に、ベッドが航空機の側部に位置されている場合、航空機の側壁は概して湾曲しているため、航空機の側壁は1つ以上の睡眠ポッドのスペースを制限し得る。少なくとも最上部ポッド23のスペースを縮小する必要がある場合があり、および/または下部ポッド24、25と一致しない場合がある。
【0117】
さらに、航空機の垂直方向の高さは、概して、航空機の中心5またはその方向に向かって最大になる。睡眠コンパートメント1が中心線5またはその方向に位置されている構成では、より多くの睡眠ポッドの層を設置することができ、および/または各乗客は、各睡眠ポッドにより多くの垂直空間を有することができる。例えば、この中央の位置に、2層、3層または4層の睡眠ポッド20を備えた睡眠コンパートメント1を設置することができる。
【0118】
睡眠コンパートメント1が航空機本体の中心線5またはその方向に配置される構成では、航空機の側壁に対して配置される睡眠コンパートメントと比較して、同じ密度の睡眠ポッドを達成するために取り外す必要のあるシートの列が少なくなる場合がある。
【0119】
好ましい構成では、図3に示すように、睡眠コンパートメント1は、航空機の2つの通路7の間に位置されている。好ましくは、睡眠コンパートメント1は、航空機全体の中央セクションのスペース全体を埋める(すなわち、それは通路の間に直接あり、コンパートメントと通路との間のスペースにはシートがない)。
【0120】
睡眠コンパートメント1は、航空機に沿って長手方向に走る、概して、乗客、乗務員、荷物などが通過するために使用される、通路7の間に位置する。好ましくは、睡眠コンパートメントは、乗客、手荷物、乗務員、およびケータリング機器が通路を通過するための十分な通路スペースを確保する必要性とバランスをとりながら、睡眠ポッド内の乗客のためのスペースと快適さを可能にする幅Wを有する。これらの構成では、乗客は、いずれかの通路7から睡眠コンパートメント1の入口11にアクセスすることができ、これにより、睡眠ポッド20へのアクセスが改善される。
【0121】
いくつかの構成では、睡眠コンパートメント1は、入口11が航空機の交差通路8にあるように位置付けされている。交差通路8は、乗客が航空機の一方の側部から他方の側部に通過するためのオープンスペースである。概して、交差通路8の幅は、シート9の列の間のスペースよりも広く、概して、航空機を長手方向に走る通路7よりも広い。さらに、いくつかの交差通路は、航空機のドア15の1つ(または対)と一直線上にある。
【0122】
交差通路8に位置決めされた睡眠コンパートメント1は、概して交差通路により多くのスペースがあるので、睡眠コンパートメント1への容易なアクセスなどの利点を提供し得る。さらに、交差通路8に位置決めされた睡眠コマンダー1は、航空機の中央領域から除去する必要がある可能性があるシート9の数を減らすことができる(より多くの列のシートが睡眠コンパートメントと長手方向に整列することができる)。
【0123】
好ましい構成では、睡眠コンパートメント1は、モニュメントに隣接して長手方向に位置されている。睡眠コンパートメント1は、モニュメントに「隣接」しており、睡眠コンパートメント1とモニュメントとの間にシートの列はない。一部の構成では、図7に示すように、モニュメントは洗面所50である。
【0124】
これらの構成では、(モニュメントに隣接する)睡眠コンパートメント1の位置は、航空機または他の乗客用移動体において特定の利点を提供し得る。図7に示すように、睡眠コンパートメント1の入口11は、洗面所50の側壁に面している。乗客は、コンパートメントの後ろに座っている乗客の邪魔をすることなく、睡眠コンパートメント1に入ることができる。航空機に睡眠コンパートメント1を導入すると、コンパートメントの入口11につながるエリアの歩行者数が増える可能性があり得る。概して、モニュメントを通過する余分な通行は、シート9の乗客の(特に前の)通過する余分な通行よりも好ましい。通常、これらのシートに着席している乗客への妨害を最小限に抑えるために、シート9の列の前の歩行者の通行を最小限に抑えることが望ましいであろう。
【0125】
さらに、睡眠コンパートメント1がモニュメントに隣接するこれらの構成では、睡眠コンパートメント1のためのスペースを提供するために航空機に沿ってより少ない列のシートを取り除く必要があるかもしれないので、航空機の客室3のスペースを効率的に使用することができる。
【0126】
睡眠コンパートメント1は、所望の客室構成に応じて、航空機の前方または後方のいずれかに配向し得ることが予想される。
【0127】
睡眠ポッド20を航空機2の中心線に沿って長手方向に配置すること、および/または2つの通路7の間に位置することは、従来の乗客収容配置を有する航空機に比べて特別な利点を提供することができる。
【0128】
睡眠コンパートメント1がこれらの機能の1つ以上を有する構成では、これらの機能は相乗的に作用して、客室内の効率的なコンパートメント設置面積および/または他の利点を提供する。
【0129】
睡眠コンパートメント1のこれらの特徴は、効率的な設置面積内でより多くの睡眠ポッド20を提供することができる。睡眠コンパートメントの設置面積が効率的であるため、より多くのシートまたはより多くの睡眠コンパートメントを航空機に設置し得る。
【0130】
対照的に、睡眠ポッド20が、航空機の側壁から延びる航空機本体の幅を横切って水平に配置された場合、睡眠ポッドの層の数は制限され得る。典型的なワイドボディ航空機では、2層の睡眠ポッド20のみを提供でき得る。3層の睡眠ポッドが設置されている場合、睡眠コンパートメント1は通路7まで延長する必要があるため、追加の中央線シートを取り外す必要がある。
【0131】
代替的に、睡眠ポッド20が機体の中心線を横切って水平に配置された場合、睡眠コンパートメント1が通路7まで延長しすぎて、中心線シートを取り外すことに加えて、追加の外部シートを取り外す必要があるかもしれない。
【0132】
さらに、これらの機能により、睡眠ポッドへのアクセスを改善できる。睡眠コンパートメント1の位置、向き、およびレイアウトは、睡眠ポッドへの側部就床を可能にすることができる(図3に矢印Sとして示されている)。
【0133】
1つ以上の睡眠コンパートメント1が航空機に設置され得ることが予想される。いくつかの構成では、航空機は、航空機に沿って位置された複数の睡眠コンパートメント1を有する場合がある。
【0134】
好ましい構成では、睡眠コンパートメントの高さ(H)は、図4で参照されているように、210~260cm(外寸)である。
【0135】
好ましい構成では、睡眠コンパートメントの幅(W)は、図4で参照されているように、120~160cm(外寸)である。
【0136】
好ましい構成では、睡眠コンパートメントの長さ(L)は、図3で参照されているように、180~230cm(外寸)である。
【0137】
中央垂直コンソールと昇降段
好ましい構成では、多層睡眠コンパートメント1は、ポッドの第1のサイド21とポッドの第2のサイド22との間に位置された中央垂直コンソール40を有する。
【0138】
中央垂直コンソール40は、空気調製機/空気ガスパー、煙探知器、電気配線、ダクティング、充電ポート、照明、照明標識、乗組員呼び出しボタン、酸素マスクモジュール、安全ベルト(例えば、ベルトの接続ポイントは、コンソールに位置される)、救命胴衣、その他の乗客用ユーティリティ、または緊急システムや安全システムのうちの1つ以上の組み合わせを含むサービスを収納する。いくつかの構成では、中央垂直コンソール40は、図9に示されるように、照明、乗務員呼び出しボタンなどの電子インターフェースを備えたPSUパネル41(乗客サービスユニット)を備えている。好ましくは、PSUは、乗客が睡眠ポッド20上に横たわっているとき、乗客の頭の方に位置されている。中央垂直コンソール40はまた、IFEスクリーン(機内エンターテインメント)、ヘッドフォンジャック、ブルートゥース(登録商標)または他のワイヤレスオーディオ接続、ストレージ、またはスピーカを有し得る。
【0139】
当業者に知られている他のサービスまたはユーティリティは、中央垂直コンソール40に含まれ得ることが予想される。
【0140】
中央垂直コンソール40は、上記のサービスを格納および/または提供するために、睡眠コンパートメント1内のスペースを効率的に使用するための構造を提供する。ポッドの外壁または天井パネル内で引き回しを実行するのではなく、中央の垂直柱にワイヤおよび/または配管引き回しおよび電気システムを収容することで、各睡眠ポッド20の乗客スペースを最大化することができる。
【0141】
好ましくは、中央の垂直柱40は、ユーティリティおよびサービスを収容するために中空である。
【0142】
好ましい構成では、中央の垂直柱40は、平面視では概して長方形である。いくつかの構成では、PSU(乗客サービスユニット)は、ユニットが乗客の頭部の領域の上または近くにあるように、中央の垂直柱40から突き出ている。
【0143】
好ましくは、中央の垂直柱40は、睡眠コンパートメントの天井19から床まで延在する。
【0144】
中央の垂直柱40は、異なるユーティリティおよびサービスの製造および設置の複雑さを最小限に抑える。好ましくは、中央垂直柱40は、ポッドの第1のサイド21および第2のサイド22の両方、ならびにそれらのポッドの異なる層のユーティリティおよびサービスを収容することができる。
【0145】
さらに、中央の垂直柱40は、図10に示されるように、睡眠コンパートメント1の他の構成要素と容易に組み立てることができる構造を有する。
【0146】
いくつかの構成では、中央垂直コンソール40は、入口11の反対側の睡眠コンパートメントの端部13(すなわち、後端部13)に、またはその方向に位置されている。他の構成では、中央垂直コンソール40は、睡眠コンパートメントの中央に向かって配置されている。
【0147】
いくつかの構成では、中央垂直コンソールは、睡眠コンパートメントの後端部13から入口11に向かって、コンパートメントに沿ってほぼ半分延在している。
【0148】
好ましい構成では、中央垂直コンソール40は、ポッドの第1のサイド21と第2のサイド22との間に少なくとも部分的にバリアまたはスクリーンを形成する。好ましくは、中央垂直コンソール40は、少なくともポッドの第1のサイド21と第2のサイド22の頭部領域27との間に物理的障壁またはスクリーンを形成する。中央垂直コンソール40は、睡眠ポッド20内の乗客間の音および視覚的障壁として機能し得る。物理的障壁はまた、乗客がポッドの端部に近づきすぎて転がり落ちる危険性を低減し得るので、睡眠ポッド20の安全性を改善することができる。
【0149】
好ましい構成では、中央垂直コンソール40の幅は、15~40cm(第1のサイドと第2のサイドとの間)を有する。
【0150】
好ましくは、睡眠コンパートメント1は、上部睡眠ポッド23にアクセスするために、ポッドの第1のサイド21とポッドの第2のサイド22との間に配置された昇降段48を有する。両サイド21、22の上部睡眠ポッド23のための中央化された昇降段(各側に別々の昇降段ではなく)は、睡眠コンパートメント1のスペース効率を高めることができる。
【0151】
いくつかの構成では、昇降段48は、入口11の反対側の睡眠コンパートメントの端部13に、またはその方向に位置されている。他の構成では、昇降段48は、睡眠コンパートメントの中央に向かって位置されている。
【0152】
いくつかの構成では、昇降段48は、中央垂直コンソール40と統合されている。昇降段48は、中央垂直コンソール40に恒久的または取り外し可能に固定することができる。
【0153】
好ましい構成では、昇降段48は、図6に示されるように階段または同様のものとして提供される(すなわち、はしごのような横木ではない)。階段または同様の構造は、特に睡眠ポッドを初めて使用する乗客にとって、なじみがあり、直感的で、より安全に使用できるタッチポイントを提供することができる。階段または同様の構造は、移動性に制限のある乗客、眠そうな、および/または眠りからさめた、または客室の照明を暗くされた乗客にとっても有益であり得る。
【0154】
中央化された階段用のスペースは、睡眠ポッド20の間に中央ロビーエリア30がある構成で提供され得る。
【0155】
いくつかの構成では、昇降段48は、図2に示されるように、少なくとも睡眠ポッド25の最下層の乗客の間に追加のバリアまたはスクリーンを提供する。
【0156】
他の構成では、当業者に知られているように、はしご、中央垂直コンソールの凹んだ昇降段、または他の昇降段を睡眠コンパートメント1に組み込むことができると予想される。
【0157】
好ましくは、睡眠コンパートメント1は、1つ以上のハンドル49を有する。ハンドルは、乗客が昇降段48を登るとき、および睡眠ポッド20に入って滞在するために乗客を支援することができる。
【0158】
好ましくは、ハンドル49は、中央垂直コンソール40と統合されている。いくつかの構成のハンドル49は、図5に示されるように、中央垂直コンソール40に埋め込まれている。他の構成では、ハンドル49は、中央垂直コンソールの外表面に取り付けることができる。
【0159】
他の構成では、ハンドル49は、睡眠ポッド20と統合されている。例えば、いくつかの構成では、ハンドル49は、ポッドの下側に統合されている。いくつかの構成では、ハンドル49は、使用中に延長され、使用されていないときは、頭部打撃のリスクを低減するために、凹部(好ましくは表面と同一平面上)に引っ込められる。
【0160】
ハンドル49は、昇降段48、天井などのような、睡眠コンパートメント1の他の領域に統合され得ることが予想される。
【0161】
天井
好ましい構成では、睡眠コンパートメント1は、図8に最もよく示されるように、追加の頭部スペースを提供するために、航空機の天井に高くした(すなわち、航空機の他の部分の天井と比較して高くした)高い天井領域19を有する。高い天井領域19は、好ましくは、少なくとも昇降段48の上の領域にある。
【0162】
高い天井領域19は、より多くの頭部スペースを提供し、乗客が最上部昇降段48に到達し、上部睡眠ポッド23に安全かつ快適に入ることができるようにする。好ましくは、高い天井領域19は、睡眠コンパートメント1の他の点では平坦な天井に埋め込まれたドーム形状を有する。
【0163】
高い天井領域19は、乗客が上部のポッドに安全かつより容易に滑り込むことができるように、一番上の昇降段にいる間に頭部(および上半身)を伸ばすことができる必要があるかもしれない乗客のためのアクセスおよび人間工学的体験を改善することができる(特に背の高い乗客の場合)。この機能は、各睡眠ポッドの高さが低く、上部の睡眠ポッド23が天井に近い、睡眠ポッドの3つ(またはそれ以上)の層を備えた睡眠コンパートメント1に特に有用である可能性がある。
【0164】
対称的に、典型的な航空機客室の平らな天井では、最上部の昇降段の乗客が上部の睡眠ポッドに快適に入るのに十分なスペースを提供できない場合があり、昇降段に腰掛けると同時に体をゆがめ、上部の睡眠ポッドに滑り込む必要がある場合がある。
【0165】
好ましくは、高い天井領域19は、航空機の天井の中に10~35cmで凹んでいる。高い天井領域19は、好ましくは、典型的なモニュメントの高さ、例えばギャレーまたは洗面所より上に凹んでいる。
【0166】
より好ましくは、高い天井領域19は、航空機の天井の中に23~28cmで凹んでいる。
【0167】
予約セッション
睡眠ポッド20は、いくつかの方法で利用され得ることが予想される。例えば、睡眠ポッド20は、フライト全体またはフライトの一部について乗客によって予約され得る。
【0168】
好ましい予約モデルでは、乗客は、総飛行時間よりもはるかに短いセッション時間で睡眠ポッド20を予約することができる。
【0169】
乗客は、タキシング、離陸、着陸(TTL)のためにシート(睡眠ポッドではなく)にいるのが好ましい。乗客は、安全に移動できるようになった後でだけ、睡眠ポッド20に移動する。この予約モデルは、TTLに関連する現在の規制を考慮に入れている。例えば、巡航飛行時間(TTLを除く)は、乗客が睡眠ポッドを占有するように予約できる複数のセッションに分割でき得る。
【0170】
他の予約モデルでは、睡眠ポッド20は、宿泊施設としてのみ予約され得ると予想される(シートへの追加としてではなく)。安全性および/または他の航空会社の規制を満たすために、睡眠コンパートメント1へのマイナーな変更が含まれ得る。
【0171】
好ましい予約のモデリングは、飛行時間、予定された食事時間、アナウンス時間、離陸および着陸手順などの多くの考慮事項に依存し得る。
【0172】
好ましくは、睡眠ポッド20は、あるブロックの時間について予約することができる。例えば、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間など、またはフライト全体である。
【0173】
乗客が全フライト中、横になりたくない場合があるので、睡眠ポッド20に複数のセッションを利用可能にすることは有益であり得る(特に超長距離飛行の場合)。複数のセッションにより、フライト中のより多くの乗客が睡眠ポッドの恩恵を受けることができる。さらに、限られたセッション時間は、乗客の各セッションのコストを削減し(フライト全体の予約コストが法外に高くなる可能性があるため)、および/または航空会社の利益を増加させる可能性がある。任意選択で、乗客が同じフライトで複数のセッションを予約できないようにすることができる。
【0174】
乗客は、セッションの最後に、乗務員、ムード照明、音、個人用デバイス、またはこれらの組み合わせによって起こされ、シートに戻るか、および/または着陸の準備をしたりすることができる。
【0175】
例えば、13~17時間のフライトの予約モデルには、おおよそ次の時刻表があり得る。
a)搭乗、離陸、上昇、
b)3×4時間の睡眠ポッドセッション、
c)降下、着陸。
【0176】
セッションの長さは、巡航飛行時間をどのように分割したいかに応じて、同じまたは異なる可能性があると予想される。
【0177】
好ましくは、安全ブリーフィングは、睡眠ポッドセッションの前または開始時に、睡眠ポッド20を使用する乗客に(例えば、乗務員またはビデオで)配信される。安全チェックは、乗組員が定期的に実行して、眠っているポッドの乗客をチェックする場合があり得る(例えば、30分または1時間ごと)。
【0178】
好ましい予約モデルでは、睡眠ポッドの乗客は、コンパートメント内の他の休憩中または睡眠中の乗客への混乱を最小限に抑えるために、指定されたインターバル内に睡眠コンパートメント1に出入りするようにスケジュールされる。例えば、睡眠ポッドに出入りするコンパートメント内のほとんどまたはすべての睡眠ポッドの乗客のスケジュールは、約20分、30分、または40分のウィンドウ内であり得る。
【0179】
好ましい予約モデルでは、睡眠ポッド20に入る/出る睡眠ポッドの乗客のスケジュールがずらされている。これは、他の睡眠ポッドの乗客が同じことをしようとせずに、各乗客が彼らの睡眠ポッド20に入り/出るためのスペースおよびプライバシーを有することを可能にするという利点を提供することができる。例えば、各睡眠ポッドの乗客は、特定の期間内に5~10分ごとに睡眠コンパートメント1に出入りするようにスケジュールされている(例えば、乗客は30分以内に5~10分ごとに入り/出る)。
【0180】
航空会社の希望に応じて、他の予約モデルのスケジュールを睡眠ポッドに使用できると予想される。考慮事項には、飛行時間、飛行規制、乗客および/または航空会社の好みが含まれるが、これらに限定されない。
【0181】
一部の予約モデルでは、乗客は、航空会社のウェブサイト、モバイルアプリ、航空会社のチェックインカウンター、旅行代理店などで睡眠ポッド20を事前予約できる。好ましくは、乗客は所望のセッション時間および所望の予約ポッドの位置を選択できる。
【0182】
一部の予約モデルでは、乗客は、所望または必要に応じて、飛行中に睡眠ポッド20を予約でき得る。
【0183】
異なる睡眠ポッド20に異なる価格設定を適用することができる(例えば、睡眠ポッドの位置、セッション時間、器具のタイプ、およびポッド内で提供されるサービスについて)。航空会社は、睡眠ポッド20のセッション時間をプレミアムエコノミーおよびエコノミーの乗客に販売することを選択できるが、それらの乗客は、通常、飛行中によりコンパクトなシートを有している。
(概要)
【0184】
多層睡眠コンパートメント1は、それがなければ、一般に、よりコンパクトなエコノミーシートにいることのできる、乗客のために睡眠ポッド20を提供することができる。コンパクトなエコノミーシートでは、通常、乗客は足を伸ばしたり、横になったりすることはできない。これらの睡眠ポッドは、乗客により快適でプライベートなエリアを提供し、長距離フライトや夜間フライトで特に有益であり得る。これらのサービスを提供することで、乗客の体験が向上する可能性があり、したがって、競合他社よりも航空会社の競争力が高まる可能性があり得る。
【0185】
好ましい構成の多層睡眠コンパートメント1の特徴は相乗的に作用し、以下の利点のうちの1つ以上を提供することができる。
a)コンパートメントには睡眠コンパートメントの端部(サイドではない)にハウジング10と入口11があるため、快適性とプライバシーが向上し、
b)睡眠ポッド20への入口は通路ではなくコンパートメント内にあるため、アクセシビリティが向上し、
c)中央ロビーエリア30からアクセスできるため、個々の睡眠ポッドへのより安全で自然な側部就床、
d)睡眠コンパートメントが客室内の垂直スペースを使用して、小さなエリア、客室内のコンパートメントの特定の位置、およびコンパートメントのレイアウトのために複数の睡眠ポッドを効率的に提供するため、乗客の密度が高く、
e)フライト中に複数のセッション時間を設定する予約システムを用意することにより、睡眠ポッドを使用できる乗客の数を増やせる。
【0186】
本発明が関係する当業者にとって、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、構造の多くの変形ならびに本発明の広く異なる実施形態および用途が示唆されるであろう。
【0187】
本発明はまた、広義には、本特許出願の明細書中で個別にまたはまとめて言及または示された部品、要素および特徴、ならびに当該部品、要素または特徴のうちのいずれか2つ以上の任意のまたはすべての組み合わせからなると言うことができ、本発明が関連する技術分野において公知の均等物を有する特定の整数が本明細書に記載されている場合、そのような公知の均等物は、あたかも個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれるとみなされる。
態様(1)において、航空機用の多層睡眠コンパートメントであって、
前記航空機のオープン客室エリアから前記睡眠コンパートメントを少なくとも部分的に隔離するハウジングと、
前記睡眠コンパートメントへの入口であって、前記睡眠コンパートメントへの前記入口が、前記睡眠コンパートメントの端部に位置する、入口と、
複数の睡眠ポッドであって、前記睡眠ポッドが、ポッドの第1のサイドおよびポッドの第2のサイドに配置され、複数の前記睡眠ポッドが、前記ハウジング内に位置されている、複数の睡眠ポッドと、を備え、
前記睡眠ポッドの各サイドには、少なくとも最上部ポッドおよび下部ポッドを有し、
前記入口が、ポッドの前記第1のサイドとポッドの前記第2のサイドとの間に位置する中央ロビーエリアへのアクセスを提供し、
前記中央ロビーエリアの幅が前記入口に向かって広くなるように、前記中央ロビーエリアが、平面視でほぼ台形または三角形であり、
前記睡眠ポッドが、前記入口から離れた前記睡眠コンパートメントの端部に頭部領域を有し、前記入口に向かって足領域を有し、
前記中央ロビーエリアが、前記睡眠コンパートメントの内側にある前記睡眠ポッドのための側部就床部を提供し、
前記睡眠コンパートメントが、概して前記航空機の長手方向軸と整列しており、
前記睡眠コンパートメントが、前記航空機本体の中心線上またはその方向に位置されている。
態様(2)において、各睡眠ポッドが、細長く、前記航空機の前記航空機長手方向軸に実質的に平行なポッドの長手方向軸を有する。
態様(3)において、前記睡眠コンパートメントが、前記航空機本体の前記中心線に沿って位置されている。
態様(4)において、前記睡眠コンパートメントが、前記航空機内の2つの通路の間に位置されている。
態様(5)において、前記睡眠ポッドの幅が、より広い中央ロビーエリアを可能にするために前記入口に向かって狭くなるように、前記睡眠ポッドが、前記睡眠ポッドの入口端部に向かって狭くなる。
態様(6)において、前記中央ロビーエリアに隣接する前記睡眠ポッドの前記サイドが、より広い中央ロビーエリアを可能にするために先細になるように、前記睡眠ポッドが、平面視で前記中央ロビーエリアに隣接する略斜めの側壁を備える。
態様(7)において、前記斜めの側壁が、前記睡眠コンパートメントの前記長手方向軸から10°~20°の角度になるように前記睡眠ポッドが狭い。
態様(8)において、前記中央ロビーエリアが、前記入口から前記睡眠コンパートメントの中に少なくとも半分まで延在している。
態様(9)において、前記側部就床部の長さが、少なくとも70cmである。
態様(10)において、前記側部就床部の長さが、少なくとも100cmである。
態様(11)において、前記入口が、前記航空機の交差通路にあるように、前記睡眠コンパートメントが、位置決めされている。
態様(12)において、前記睡眠コンパートメントが、前記航空機内のモニュメントに隣接して位置決めされている。
態様(13)において、前記入口の幅が、50~100cmである。
態様(14)において、前記入口の幅が、60~85cmである。
態様(15)において、ポッドの前記第1のサイドとポッドの前記第2のサイドとの間に位置された中央垂直コンソールをさらに備える。
態様(16)において、台形の中央ロビーエリアの短辺が前記中央垂直コンソールに隣接している。
態様(17)において、前記中央垂直コンソールが、
a)空気調節機/空気ガスパー、
b)煙探知器、
c)電気配線、
d)ダクティング、
e)充電ポート、
f)照明、
g)照らされた標識、
h)乗務員呼び出しボタン、
i)酸素マスクモジュール、
j)安全ベルト、
k)救命胴衣、
l)PSU(旅客サービスユニット)、
m)IFE画面(機内エンターテインメント)、
n)ヘッドフォンジャック、
o)Bluetooth(登録商標)またはその他のワイヤレスオーディオ接続、
p)ストレージ、
q)スピーカのうちの1つ以上の組み合わせを含む1つ以上のサービスを収容する。
態様(18)において、前記中央垂直コンソールが、前記入口の反対側の前記睡眠コンパートメントの端部またはその端部に向かって位置されている。
態様(19)において、前記中央垂直コンソールが、ポッドの前記第1のサイドと前記第2のサイドとの間に少なくとも部分的に障壁またはスクリーンを形成している。
態様(20)において、1つ以上のハンドルが、前記中央垂直コンソールと統合されている。
態様(21)において、前記1つ以上のハンドルが、前記中央垂直コンソールに埋め込まれている。
態様(22)において、ポッドの前記第1のサイドとポッドの前記第2のサイドとの間に位置され、上部の前記睡眠ポッドにアクセスするための昇降段をさらに備える。
態様(23)において、前記昇降段が、前記入口の反対側の前記睡眠コンパートメントの端部またはその端部に向かって位置されている。
態様(24)において、前記昇降段が、前記中央垂直コンソールと統合されている。
態様(25)において、航空機の天井に高くした高い天井領域をさらに備えて、追加の頭部スペースを提供するものであり、前記高い天井領域が、少なくとも前記昇降段の上のエリアにある。
態様(26)において、前記高い天井領域が、前記航空機の天井の中に10~35cmで凹んでいる。
態様(27)において、前記高い天井領域が、前記航空機の天井の中に23~28cmで凹んでいる。
態様(28)において、各睡眠ポッドが、恒久的に平らなベッド表面を含む。
態様(29)において、前記睡眠ポッドの一方のサイドまたは両方のサイドが、上部の前記睡眠ポッドと下部の前記睡眠ポッドとの間に1つまたは2つの中間の睡眠ポッドを有する。
態様(30)において、前記睡眠コンパートメントの幅が、120~160cmである。
態様(31)において、前記睡眠コンパートメントの長さが、180~230cmである。
態様(32)は、態様1から態様31のいずれか1つに記載の多層睡眠コンパートメントでのセッションが、少なくとも1人の乗客のために予約される、航空機での移動方法である。
態様(33)において、前記セッションが、飛行全体よりも短い期間である。
態様(34)において、前記セッションが、巡航飛行時間中に行われ、前記巡航飛行時間が、タキシング、離陸および着陸を除く。
態様(35)において、前記セッションが、巡航飛行時間の一部のみである。
態様(36)において、巡航飛行時間が、複数のセッションに分割される。
態様(37)において、前記複数のセッションが、同じ乗客によって予約されることができない。
態様(38)において、前記セッションが、離陸前に予約される。
態様(39)において、前記セッションが、離陸後に予約される。
図1
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