IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェイティー インターナショナル エス.エイ.の特許一覧

<>
  • 特許-エアロゾル発生装置用の電気システム 図1
  • 特許-エアロゾル発生装置用の電気システム 図2
  • 特許-エアロゾル発生装置用の電気システム 図3A
  • 特許-エアロゾル発生装置用の電気システム 図3B
  • 特許-エアロゾル発生装置用の電気システム 図4
  • 特許-エアロゾル発生装置用の電気システム 図5
  • 特許-エアロゾル発生装置用の電気システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置用の電気システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250206BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20250206BHJP
   A24F 40/53 20200101ALI20250206BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20250206BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20250206BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 Y
H02H7/18
A24F40/53
A24F40/40
A24F40/50
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022554394
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021059564
(87)【国際公開番号】W WO2021213848
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】20170908.6
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾミニー, クロード
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/163261(WO,A1)
【文献】特開2018-139483(JP,A)
【文献】特開2015-154529(JP,A)
【文献】特開2017-163736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0207499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02H 7/18
A24F 40/53
A24F 40/40
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気システムを含むエアロゾル発生装置であって、前記電気システムは、
バッテリと、
物理的構成要素であって、該物理的構成要素を流れる電流が所定レベルを超えた場合に、前記電流を遮断するように構成された物理的構成要素と、
記バッテリの状態を監視し、前記バッテリの障害を検出可能に構成され制御回路と、を含み、
前記制御回路は、前記電気システムが外部電源に接続されている場合に前記バッテリの障害を判定し、前記バッテリの障害がなかった場合に前記バッテリの充電を有効にするように構成され、
前記バッテリは第1の電気経路を介して電力が前記外部電源から供給可能であり、前記制御回路は第2の電気経路を介して電力が前記外部電源から供給可能であり、
前記電気システムは、前記電気システムが前記外部電源に接続されている場合に前記第2の電気経路を介して前記外部電源から前記制御回路に電力を供給し、前記制御回路が、前記バッテリを充電することなく前記バッテリの障害が検出されたかを判定可能に構成された、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
バッテリ充電器回路をさらに含み、前記制御回路は、前記バッテリ充電器回路の動作を制御するための信号を前記バッテリ充電器回路に送るように構成され
前記バッテリ充電器回路は前記信号に基づいて前記バッテリの充電を制御するように構成され、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記バッテリを充電することは、前記第1の電気経路に沿って前記バッテリに電力を供給することを含む、請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記電気システムは、前記電気システムが前記外部電源に接続されていない場合に、前記バッテリから前記制御回路に電力を供給するように構成され、請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記電気システムは、加熱要素をさらに含み、前記制御回路は、前記バッテリで障害が検出された場合に、前記バッテリから前記加熱要素への電力供給を停止するように構成され、請求項1からのいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記電気システムが前記外部電源に接続されている場合に、前記バッテリから前記加熱要素への電力供給を停止するように構成され、請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
電気システムを含むエアロゾル発生装置を動作させる方法であって、
制御回路が、前記電気システム内のバッテリの障害を検出するために、前記バッテリの状態監視することと、
物理的構成要素を流れる電流が所定レベルを超えた場合に、前記物理的構成要素が前記電流を遮断することと、
ここで、前記バッテリは第1の電気経路を介して電力が外部電源から供給可能であり、前記制御回路は第2の電気経路を介して電力が前記外部電源から供給可能であり、
前記電気システムが前記外部電源に接続されている場合に、前記第2の電気経路を介して前記外部電源から前記制御回路に電力供給され、前記制御回路が、前記バッテリを充電することなく記バッテリの障害を判定することと、
前記制御回路が、前記バッテリの障害がなかった場合に前記バッテリの充電を有効にすることと、
を含む、方法。
【請求項8】
バッテリ充電器回路の動作を制御するための信号を前記制御回路から前記バッテリ充電器回路に送ることと、
前記信号に応じて前記バッテリ充電器回路が前記バッテリの充電を制御することと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記電気システムが前記外部電源に接続されていない場合に、前記バッテリから前記制御回路に電力を供給すること
をさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
電気システムを含むエアロゾル発生装置内のコンピュータ又はプロセッサ上で実行されると、前記コンピュータ又はプロセッサに、
制御回路前記電気システム内のバッテリの障害を検出するために、前記バッテリの状態監視することと、
物理的構成要素を流れる電流が所定レベルを超えた場合に、前記物理的構成要素が前記電流を遮断することと、
ここで、前記バッテリは第1の電気経路を介して電力が外部電源から供給可能であり、前記制御回路は第2の電気経路を介して電力が前記外部電源から供給可能であり、
前記電気システムが前記外部電源に接続されている場合に、前記第2の電気経路を介して前記外部電源から前記制御回路に電力供給され、前記制御回路が、前記バッテリを充電することなく前記バッテリの障害を判定することと、
前記制御回路が、前記バッテリの障害がなかった場合に前記バッテリの充電を有効にすることと、
実行させるための命令を含む、コンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気システムに関する。特に、電気システムは、エアロゾル発生装置内で使用される。
【背景技術】
【0002】
電子タバコなどのエアロゾル発生システムは、多くの場合、加熱要素に電力を供給するためのバッテリを備えた電気システムを含む。このようなシステム内で、既知の問題は、バッテリが深放電状態に入る場合があることである。例えば、リチウムイオンバッテリセルが深放電状態に入るとき、銅電極溶解として知られる内部劣化がバッテリセル内で起こる場合があり、短絡がセル電極間に作り出される場合がある。このようなバッテリが再充電されるとき、セルは過熱及び熱暴走しやすく、それは潜在的に安全上の危険をもたらす可能性がある。
【0003】
潜在的な安全性リスクを抱える他のバッテリ状況が多くあり、このような状況を呈するバッテリの動作は、一般に回避するべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、エアロゾル発生装置内にバッテリを含む電気システムの安全性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、電気システムを含むエアロゾル発生装置が提供され、電気システムは、バッテリと制御回路とを含み、制御回路は、バッテリの放電動作中にバッテリの状態を監視し、バッテリの障害が検出された場合にフラグを設定するように構成され、フラグは、バッテリが動作状態にないことを指示し、制御回路は、電気システムが外部電源に接続されているときにフラグを検査するように構成され、制御回路は、フラグに基づいてバッテリの充電を有効にするように構成され、バッテリ及び制御回路は、電力がバッテリ及び制御回路に独立して供給され得るように、それぞれ第1の電気経路及び第2の電気経路を介して外部電源に接続可能であり、電気システムは、電気システムが外部電源に接続されているときに第2の電気経路を介して外部電源から制御回路に電力を供給するように構成されて、バッテリを充電することなくフラグを検査することができるようにする。
【0006】
このようにして、損傷した、又は他の状態に劣化したバッテリが充電されることを防ぎ、それによって電気システムの安全性を改善することが可能である。
【0007】
バッテリ障害に対処するための既存の戦略は、バッテリの充電曲線を監視して、深放電又は他の危険なバッテリ状況を検出することを伴う。しかしながら、このような戦略は、ただセルの充電が始まった後に障害を検出するだけになる。したがって、内部短絡又は他の障害を有するバッテリに電力がすでに供給されている可能性がある。本発明では、制御回路は、放電動作中、例えば、エアロゾル発生装置のベイピング動作中に加熱要素に電力を供給するときにバッテリを監視し、障害が検出された場合、制御回路内でフラグを設定する。その後、エアロゾル発生装置を充電する意図を持って電気システムが外部電源に接続されたとき、制御回路はフラグを検査し、フラグが存在する場合のみバッテリの充電を有効にする。結果として、バッテリに障害がある場合にバッテリの充電が始まることを防ぎ、それによって、危険な状況にあるバッテリが電力を受け取らないことを保証する。
【0008】
そのうえ、電気システムの構成は、欠陥のある可能性のあるバッテリにも電力を供給することなく、制御回路に電力を供給してフラグを検査することができるようになっている。比較すると、既知の電気システム内で、特にエアロゾル発生装置の場合、制御回路に電力を供給することにより充電プロセスも開始され、潜在的に危険なバッテリにも電力を供給することなくフラグを検査することはできないことになる。
【0009】
バッテリの障害を検出することは、バッテリの電圧を時間に関して測定することを含み得る。電圧が閾値電圧を下回るとき、障害が起こったと判定され得る。1つの実施例で、リチウムイオンバッテリの場合、3.0Vは、バッテリが放電されたと考えられる典型的な電圧であり得、2.8Vは、それ未満でバッテリが障害を有すると考えられる典型的な閾値であり得、2.5Vは、バッテリが回復不可能な内部セル損傷を有する典型的な電圧であり得る。しかしながら、当業者は、閾値電圧がバッテリの種類及び特定のセルの化学的性質によって異なることになることを理解するであろう。
【0010】
代替的に、又は追加的に、バッテリの障害を検出することは、バッテリの温度を監視することを含み得る。バッテリの温度が閾値温度を超える場合、バッテリは、障害を有すると判定され得る。当業者は、閾値温度がバッテリの種類及びセルの化学的性質によって異なることになることを理解するであろう。
【0011】
好ましくは、電気システムは、バッテリ充電器回路をさらに含み、制御回路は、フラグに基づいてバッテリ充電器回路に信号を送るように構成され、信号は充電が有効であることを指示し、バッテリ充電器回路は、充電が有効であることを指示する信号を制御回路から受け取ったときにバッテリを充電するように構成される。このようにして、バッテリ充電器回路の使用により、電力がバッテリに効率的且つ確実に供給されることが保証され、一方信号受信要件により、損傷又は劣化したバッテリに電力が供給されないことが保証される。
【0012】
好ましくは、バッテリを充電することは、第1の電気経路に沿ってバッテリに電力を供給することを含む。
【0013】
好ましくは、制御回路は、バッテリが交換されたことを検出した際にフラグを修正するように構成される。このようにして、潜在的に危険な動作状態にない新しいバッテリは、充電されることを妨げられない。
【0014】
好ましくは、電気システムは、制御回路に電力を供給するための電圧調整器をさらに含む。電圧調整器は、一定の電流又は電圧出力を生成し、維持する能力を有する。
【0015】
1つの実施例で、電気システムは、USB接続によって外部電源に接続可能であり得る。特に、電圧調整器及びバッテリ充電器回路は、USB接続によって外部電源に接続可能であり得る。
【0016】
好ましくは、電気システムは、電気システムが外部電源に接続されていないときに、バッテリから制御回路に電力を供給するように構成される。
【0017】
好ましくは、電気システムは、加熱要素をさらに含み、制御回路は、バッテリで障害が検出されたときに、バッテリから加熱要素への電力供給のスイッチを切るように構成される。このようにして、損傷した、又は他の状態に劣化したバッテリの継続的な動作が回避される。
【0018】
好ましくは、制御回路は、電気システムが外部電源に接続されているときに、バッテリから加熱要素への電力供給のスイッチを切るように構成される。
【0019】
好ましくは、電気システムは、ヒューズをさらに含み、制御回路は、バッテリで検出された障害が回復不可能であるとみなされたときに、ヒューズを作動させるように構成され、ヒューズを作動させることは、バッテリの充電を不可逆的に無効にする。
【0020】
好ましくは、制御回路は、フラグが設定されてから閾値時間が経過し、バッテリの障害が依然として存在していると検出されたときに、ヒューズを作動させるようにさらに構成される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、電気システムを含むエアロゾル発生装置を動作させる方法が提供され、この方法は、制御回路を使用して、電気システム内のバッテリの状態をバッテリの放電動作中に監視することと、バッテリの障害を検出したことに応答して、バッテリが動作状態にないことを指示するフラグを設定することであって、バッテリ及び制御回路は、電力が制御回路及びバッテリに独立して供給され得るように、それぞれ第1の電気経路及び第2の電気経路によって外部電源に接続可能であることと、電気システムが外部電源に接続されたことを検出したことに応答して、第2の電気経路を介して外部電源から電力を供給して、バッテリを充電することなくフラグを検査することと、フラグに基づいてバッテリの充電を有効にすることとを含む。
【0022】
好ましくは、方法は、充電が有効であることを指示する信号を制御回路からバッテリ充電器回路に送ることと、充電が有効であることを指示する信号を受け取ることに応答して、バッテリを充電することとをさらに含む。
【0023】
好ましくは、方法は、バッテリが交換されたことを検出した際にフラグをクリアすることをさらに含む。
【0024】
好ましくは、方法は、電気システムが外部電源に接続されていないときに、バッテリから制御回路に電力を供給することをさらに含む。
【0025】
好ましくは、方法は、電気システムに加熱要素を設けることと、バッテリで障害が検出されたときに、加熱要素への電力供給のスイッチを切ること、及び/又は電気システムが外部電源に接続されているときに、バッテリから加熱要素への電力供給のスイッチを切ることをさらに含む。
【0026】
好ましくは、方法は、制御回路を使用して、バッテリで検出された障害が回復不可能であるとみなされたときに、電気システム内のヒューズを作動させることを更に含み、ヒューズを作動させることは、バッテリの充電を不可逆的に無効にする。
【0027】
好ましくは、方法は、フラグが設定されてから閾値時間が経過したことと、バッテリの障害が依然として存在していることとを検出したことに応答して、制御回路を使用して、ヒューズを作動させることをさらに含む。
【0028】
本発明の別の態様によれば、電気システムを含むエアロゾル発生装置内のコンピュータ又はプロセッサ上で実行されたとき、コンピュータ又はプロセッサに、制御回路を使用して、電気システム内のバッテリの状態をバッテリの放電動作中に監視することと、バッテリの障害を検出したことに応答して、バッテリが動作状態にないことを指示するフラグを設定することであって、バッテリ及び制御回路は、電力が制御回路及びバッテリに独立して供給され得るように、それぞれ第1の電気経路及び第2の電気経路によって外部電源に接続可能であることと、電気システムが外部電源に接続されたことを検出したことに応答して、第2の電気経路を介して外部電源から電力を供給して、バッテリを充電することなくフラグを検査することと、フラグに基づいてバッテリの充電を有効にすることと、を含むステップを実施させる実行可能な命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0029】
ここで、図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】エアロゾル発生装置用の従来技術の電気システムのブロック図である。
図2】本発明の一実施形態における、エアロゾル発生装置用の電気システムのブロック図である。
図3A図2に描写された電気システムのブロック図であり、外部電源からバッテリに電力を供給するための第1の電気経路と、外部電源から制御回路に電力を供給するための第2の電気経路とを例示している。
図3B図2に描写された電気システムのブロック図であり、バッテリの放電動作中にバッテリから制御回路に電力を供給するための第3の電気経路を例示している。
図4】本発明の一実施形態における、エアロゾル発生装置用の電気システムの動作のための方法ステップを示すフローチャートである。
図5】電気システムの動作のためのさらなる方法ステップを示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態における、エアロゾル発生装置用の電気システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、エアロゾル発生装置用の従来技術の電気システム2を示す。電気システム2は、バッテリ4、制御回路6、バッテリ充電回路8、電力コネクタ10、加熱要素12、及びスイッチ14を含む。
【0032】
使用時に、電気システム2が電力コネクタ10を介して外部電源に接続されているときに、バッテリ充電回路8は、電力を送出して制御回路6を起動する。しかしながら、バッテリ4及び制御回路6は、並列に接続されており、バッテリ充電回路8によって直接電力を供給されるので、バッテリ4もまた電力を受け取り、充電し始める。それゆえ、制御回路6の任意の機能を利用することにより、バッテリ4が電力を受け取ることにもなる。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態における、エアロゾル発生装置用の電気システム20を示す。電気システムは、バッテリ22、制御回路24、バッテリ充電回路26、USBコネクタ28、電圧調整器30、加熱要素32及びスイッチ34を含む。
【0034】
USBコネクタ28は、外部電源に接続可能である。当業者は、USBコネクタ28が、建物内の一次交流(AC)電力供給に接続するための任意のAC電源プラグ、又は直流(DC)電力を供給するためのDC電源プラグなどの、別の適当な形態の電力コネクタに置き換えられてもよいことを理解するであろう。
【0035】
図3Aに例示されるように、電気は、第1の電気経路36に沿ってUSBコネクタ28からバッテリ22に供給され得る。第1の電気経路36は、バッテリ充電回路26を介してUSBコネクタ28からバッテリ22に至る。電気はまた、第2の電気経路38に沿ってUSBコネクタ28から制御回路24に供給され得る。第2の電気経路は、電圧調整器30を介してUSBコネクタ28から制御回路24に至る。第1の電気経路36及び第2の電気経路38は、別個の区別可能な電気経路として構成される。それゆえ、USBコネクタ28が外部電源に接続されているときに、第2の電気経路38に沿って電気を供給して、バッテリ22にも電力を供給することなく、制御回路24に電力を供給することができる。本明細書で使用するとき、「電気経路」という用語は、ワイヤ、ケーブル又は電力線などの、電子の伝導によって電力を伝送するのに適した構成要素を指す。
【0036】
図3Bに例示されるように、第3の電気経路39は、電圧調整器30を介してバッテリ22を制御回路24に接続する。バッテリ22は、リチウムイオンバッテリ、ニッケルカドミウムバッテリ、ニッケル水素バッテリ、鉛酸バッテリ、又は他の任意のタイプの充電式バッテリであり得る。
【0037】
使用時に、電圧調整器30は、外部電源から(USBコネクタ28を介して)電力を受け取るか、又はバッテリ22から電力を受け取るかのいずれかである。次に、電圧調整器30は、制御回路24に電気を供給して、制御回路24を起動し、電力を供給することができる。電圧調整器30は、電気システム20が外部電源に接続されているときに、USBコネクタ28からの電力で制御回路24に電力を供給するように構成され(すなわち、電力が第2の電気経路38に沿って供給される)、それ以外のときは、バッテリ22からの電力で制御回路24に電力を供給するように構成される(すなわち、電力が第3の電気経路39に沿って供給される)。
【0038】
電圧調整器30は、一定の電流又は電圧出力を生成し、維持する能力を有する。代替実施例で、電圧調整器30は、その代わりに、電流の供給を制御及び/又は調整し、異なる電気経路に沿って方向付けることを可能にするスイッチ又は他の機構を含んでもよいことを理解されたい。
【0039】
この実施例では、制御回路24は、マイクロコントローラユニット(MCU)であり、電気システム20の動作を制御するために使用される。MCUは、メモリ及びプログラム可能な入出力周辺機器とともに、1つ又は複数のCPU(プロセッサコア)を含む。他の実施例では、制御回路24は、別個のマイクロプロセッサ、メモリ、及び入出力装置を含み得る。
【0040】
制御回路24は、バッテリ22の放電動作中にバッテリ22の状態を監視し、バッテリ22の状態に基づいて電気システムの1つ又は複数の側面を制御するように構成される。バッテリの「放電動作」という用語は、バッテリ22が、電気システム20内の電気負荷又は電気部品に電力を供給するための電源として使用されている場面を指す。バッテリ22の状態を監視することは、バッテリ22内の障害又は異常を検出するために、温度、電圧又は電流などの、バッテリ22の1つ又は複数の性質又は特性を監視することを含み得る。
【0041】
例えば、障害は、バッテリ22が、バッテリの内部劣化、例えば短絡につながる深放電状態に入ることから生じる場合がある。これは、バッテリ22電圧を時間に関して測定し、電圧が閾値電圧を下回るときを判定することによって、検出され得る。閾値電圧は、バッテリの種類及び特定のセルの化学的性質によって異なることになる。しかしながら、一例として、リチウムイオンバッテリの場合、3.0Vは、バッテリが放電されたと考えられる典型的な電圧であり得、2.8Vは、それ未満でバッテリが障害を有すると考えられる典型的な閾値であり得、2.5Vは、バッテリが回復不可能な内部セル損傷を有する典型的な電圧であり得る。この内部損傷は、しばしば銅(箔)溶解と呼ばれる。
【0042】
障害状況はまた、バッテリ22の温度を監視することによって判定され得る。バッテリの温度を測定するために温度センサ27が使用され得る。バッテリが異常に動作している場合、温度は高くなる可能性が高い。したがって、温度が閾値温度を超えることが検出された場合、バッテリ22は、障害を有すると判定され得る。再び、閾値温度は、バッテリの種類及びセルの化学的性質によって異なることになる。
【0043】
障害を検出するさらなる実施例は、バッテリ容量損失を検出することを含み得る。容量損失(又は容量フェーディング)は、充電式バッテリ使用中に観察される現象であり、バッテリが定格電圧で送出できる充電量が使用とともに減少する。例えば、バッテリ容量フェードがおよそ60%~70%を超えるときに、バッテリは、あまりに老朽化/損傷しすぎていると考えられ、したがって障害を有すると考えられる場合がある。
【0044】
この場合、電気システム20は、エアロゾル発生装置内に位置しており、放電動作は、バッテリ22が加熱要素32に電力を提供しているエアロゾル発生動作(又はベイピング動作)を指す。しかしながら、当業者は、電気システム20が代替装置内で使用されてもよく、加熱要素32が他の電気部品に置き換えられてもよいことを理解するであろう。
【0045】
制御回路24は、バッテリ22の動作状態に障害が検出されたときに、制御回路23のデータ記憶部25にフラグを設定するように構成される。データ記憶部25は、揮発性又は不揮発性メモリを含んでもよく、又は長期記憶装置を含んでもよい。フラグは、障害が検出されて、バッテリ22が動作状態にないという指示を提供する。
【0046】
この実施例では、フラグは、MCU24のEEPROM(電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ)に設定される状態レジスタの一形態であり、MCU24によって行われる計算の状況を記録する。通常、フラグは、EEPROM内の1ビットデータとして定義されるが、検出された障害の特定の種類を指示するために、ビット数を増やしてもよい。
【0047】
制御回路24はまた、バッテリ22で障害が検出されたときに、スイッチ34を開き、それによって加熱要素32への電気の供給を遮断し、エアロゾル発生装置の安全性を改善するように構成され得る。
【0048】
1つの実施例で、電気システム20は、制御回路24に電圧情報を提供するように構成された、制御回路24を電気システム20に接続するデータ線をさらに含み得る。
【0049】
バッテリ22を充電するために、エアロゾル発生装置の電気システム20は、USBコネクタ28によって外部電源に接続され得る。電圧調整器30は、USBコネクタ28から電力を受け取り、第2の電気経路38に沿った電気の供給によって制御回路24を起動するために使用されるCC(定電流)出力を生成する。バッテリ22は、第2の電気経路38とは別個の第1の電気経路36によってUSBコネクタ28に接続されているので、バッテリ22も充電することなく、制御回路24に電力を供給することができる。
【0050】
外部電源に接続されたときに電圧調整器30によって電源投入されることに応答して、制御回路22は、フラグを検査するように構成される。フラグが存在する場合、制御回路24は、バッテリ22の充電を有効にしないことになる。フラグがクリアされているか又は存在しない場合、制御回路24は、バッテリ22の充電を有効にすることになる。
【0051】
バッテリ22の充電を有効にすることは、バッテリ充電回路26に信号を送ることを含み、その信号は、バッテリ22の充電が有効であることを指示する。バッテリ充電回路26は、制御回路24から充電有効信号を受け取ったときのみ、バッテリ22を充電するように構成される。バッテリ22の充電は、第1の電気経路36に沿ってバッテリ22に電力を供給することを含む。信号を受け取っていない場合、バッテリ充電回路26は、バッテリ22を充電しないことになる。それゆえ、この構成は、バッテリ22に検出された障害がある場合に充電プロセスが始まり得ないことを保証し、それによって、エアロゾル発生装置の安全性を改善する。この動作方法は、バッテリ22及び制御回路24のそれぞれのための別個の電気経路36、38によって促進され、それにより、バッテリ22も充電することなくフラグを検査するために制御回路24に電力を供給することが可能になる。
【0052】
この実施例では、バッテリ充電回路26は、バッテリ充電器IC(集積回路)である。
【0053】
他の一般的な目的で、制御回路24は、電気システム20がUSBコネクタ28を通して外部電源に接続されたときに、バッテリ22から加熱要素32への電力供給のスイッチを切るように構成され得る。これは、スイッチ34を開くことによって達成され得る。そのうえ、制御回路24は、バッテリ22が交換されたことを制御回路24が検出した場合、フラグをクリアするように構成され得る。
【0054】
図4及び図5は、本発明の一実施形態における、エアロゾル発生装置の電気システム20の動作方法を例示している。
【0055】
図4を参照すると、方法は、エアロゾル発生装置がベイピング又はエアロゾル発生動作モードに入るとき、ステップ40において始まる。ベイピング動作モード中、バッテリ22は、加熱要素32に電力を供給するための電源として使用される。バッテリはまた、制御回路24に電力を供給するために、第3の電気経路39に沿って電気を供給する。
【0056】
ステップ42において、制御回路24は、バッテリ22の状態を監視する。例えば、制御回路24は、深放電状態を検出するために、バッテリ22電圧を経時的に監視してもよい。障害が検出されない場合、監視及びベイピング動作は続く。
【0057】
障害が検出された場合、スイッチ34が開かれ、バッテリ22から加熱要素32への電力の供給が停止されるため、エアロゾル発生装置は、そのベイピング動作を終了する。加えて、ステップ46において、制御回路24は、バッテリ22が動作状態にないことを指示するフラグを制御回路24内に設定する。
【0058】
図5を参照すると、方法は、エアロゾル発生装置内のバッテリ22を充電する意図を持ってエアロゾル発生装置がUSBコネクタ28によって外部電源に接続されたときに、ステップ48において続く。
【0059】
外部電源に接続された際に、ステップ50において、CC出力が電圧調整器30によって生成され、第2の電気経路38に沿って制御回路24に供給される。第1の電気経路36及び第2の電気経路38が別個の伝導経路を含むので、バッテリ22に電力を供給することなく、制御回路24を起動し、電力を供給することができる。
【0060】
ステップ52において、制御回路24が起動されたとき、制御回路24は、フラグを検査する。
【0061】
フラグがクリアされているか又は存在しない場合、方法はステップ54において続き、バッテリ22の充電は有効になる。ステップ56において、制御回路24は、バッテリ22の充電が有効であることを指示する信号をバッテリ充電回路26に送る。ステップ58において、バッテリ充電回路26が、充電が有効であることを指示する信号を受け取ったとき、バッテリ充電回路26は、第1の電気経路36に沿って電力を供給することによって、バッテリ22を充電し始める。
【0062】
代替的に、ステップ52においてフラグがクリアされていない場合、方法はステップ60に進み、バッテリの充電は有効にならない。
【0063】
図6は、本発明の別の実施形態による電気システム70を示す。電気システム70は、図2図5を参照して説明されたものに対応する特徴を含み、後述するようなある特定の条件下で図4及び図5の方法に実質的に沿って動作するように構成される。しかしながら、参照を容易にするために、前述の接続及び特徴のいくつかが図6から省略されている。それにもかかわらず、当業者は、加熱要素32などの省略された特徴が本実施形態の追加の特徴と併用され得ることを理解するであろう。
【0064】
電気システム70は、電気システム70がバッテリ22の充電を無効にするためのヒューズ72をさらに含むという点で前の実施形態とは異なる。ヒューズ72は、バッテリ22の充電を無効にするために制御回路24内に設定され得る前述のフラグに加えて存在する。すなわち、電気システム70は、バッテリ22で障害が検出されたときにバッテリ22の充電を無効にするためにハードウェア手段とソフトウェア手段の両方を利用する。
【0065】
特に、前述のフラグ機構は、バッテリ22で障害が検出されたときに、バッテリ22の充電を防ぐための第1レベルの保護を提供し、その障害は、(潜在的に)回復可能であるとみなされるバッテリ状況によって引き起こされる。ヒューズ72は、バッテリ22で障害が検出されたときに、バッテリ22の充電を防ぐための第2レベルの保護を提供し、その障害は、回復可能でないとみなされるバッテリ状況によって引き起こされる。
【0066】
回復不可能とみなされ得るバッテリ22への損傷例には、内部短絡が含まれる。例えば、先に論じたように、短絡は、バッテリ22が、バッテリ22の内部劣化につながる深放電状態に入ることから生じる場合がある。これは、バッテリ22電圧を時間に関して測定し、電圧が閾値電圧を下回るときを判定することによって、検出され得る。恒久的な、回復不可能な損傷の別の兆候は、充電プロセス中の電圧降下の検出である。このような電圧降下は、バッテリ22が内部短絡を有することを示唆する。
【0067】
他方、回復可能とみなされ得るバッテリ22への損傷の例は、リチウムめっきに起因する容量損失である。リチウムめっきは、激しい又は次善の充電状況下で起こる。このような容量の損失は、ある期間、例えば数日の間バッテリ22の動作を防ぐか、1回又は複数回の充電サイクルを行い、経時的な容量進化を監視することによって回復することができる。しかしながら、事情によっては、リチウムめっきに起因する容量損失は、例えば内部損傷があまりにも深刻である場合、回復可能でない可能性がある。
【0068】
本発明のこの実施形態では、充電中の電圧降下の検出、又はバッテリ22が深放電状態に入ったことの検出など、バッテリ22の回復不可能な障害状況が検出された場合、バッテリ22の充電が恒久的に無効になるように、制御回路24によってヒューズ72が作動される。
【0069】
それ以外のとき、回復不可能とみなされないバッテリ22の障害状況が検出された場合、例えば、バッテリ22の容量損失が検出され、容量損失が閾値量を超える場合、電気システム70は、前述の実施形態に従って動作する。すなわち、バッテリ22が動作状態にないことを指示するフラグが設定され、それによって、フラグが存在している間にバッテリ22の充電を防ぐ。
【0070】
しかしながら、ある期間が経過した後、障害状況が依然として存在することが検出された場合、バッテリ22への損傷は、回復不可能であるとみなされ得る。この場合、ヒューズ72は、バッテリ22の充電が恒久的に無効になるように、制御回路24によって作動される。例えば、ヒューズ72は、閾値時間が経過した後、バッテリ22の容量が閾値容量未満のまま、例えば公称容量の50~40%未満である場合、作動され得る。制御回路24は、経過時間を監視するように構成されたタイマを含んでもよく、又は、代替的又は追加的に、制御回路24は、バッテリ22の電圧進化を監視することによって経過時間を推定してもよい。
【0071】
当業者に理解されることになるように、ヒューズ72は、電流が所定レベルを超えた場合に切れるように構成された物理的構成要素である。例えば、ヒューズ72は、所定の電流レベルを超えて融解するように構成されたワイヤのストリップで構成され得る。特に、ヒューズ72は、図6に例示されるように、中央部分がより狭くなった銅トラックを含み得る。
【0072】
図6に例示される電気回路70の特定の実装形態で、電気システム70は、I/O線74、トランジスタ76(例えばNPNトランジスタ)、イネーブル線78、抵抗器80、及び正の供給電圧Vccを含む。I/O線74は、制御回路24からトランジスタ74まで延びる。第1の正の供給電圧Vccは、第1の抵抗器80を介してI/O線74に接続されている。トランジスタ76は、ヒューズ72及び第2の正の供給電圧Vccに接続されている。ヒューズ72は、イネーブル線78を介して充電回路26に接続されている。第3の正の供給電圧VCCは、第2の抵抗器80を介してイネーブル線78に接続されている。
【0073】
回復不可能であるとみなされる障害がバッテリ22で検出されるか、又はフラグが設定されてから閾値時間が経過したとき、制御回路24は、最大電流がヒューズ72を通して流れるようにトランジスタを「オン」にするために、I/O線74に沿って信号を送るように構成される。このようにして、ヒューズ72は飛び(すなわち作動し)、ヒューズ72の一部を介してトランジスタ76に接続されたイネーブル線78は、バッテリ22の充電を恒久的に無効にする制御信号(例えばハイに設定される)を充電回路26に提供する。
【0074】
もちろん、当業者は、図6に例示されるヒューズ72を含む電気システム70の特定の構成が例示的な構成であり、特許請求の範囲の適用範囲内にあるさまざまな修正が電気システム70に対してなされ得ることを理解するであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6