(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】低寸法ラウドスピーカ装置
(51)【国際特許分類】
H04R 9/06 20060101AFI20250206BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20250206BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H04R9/06 Z
H04R1/02 101F
H04R1/28 310Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023076199
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2020522055の分割
【原出願日】2018-10-26
【審査請求日】2023-05-31
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519100170
【氏名又は名称】ソノス・マイティ・ホールディングス・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Sonos Mighty Holdings BV
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】シーク, マティアス ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】シーク, ティモシー ルーベン
【審査官】川▲崎▼ 博章
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-080820(JP,A)
【文献】特開2010-114833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/06
H04R 1/02
H04R 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆の関係で同軸に配置された第1および第2の振動板を備えるラウドスピーカ装置であって、
前記第1の振動板は、
前記第1の振動板に動作可能に接続された第1の複数のモータを有し、
前記第2の振動板は、
前記第2の振動板に動作可能に接続された第2の複数のモータを有し、
前記第1及び第2の複数のモータは、前記第1および第2の振動板の外周の周りに交互に配置される、ラウドスピーカ装置。
【請求項2】
第1および第2の端部を有するフレームをさらに備え、前記第1の振動板が、前記フレームの前記第1の端部の近傍に配置され、前記第2の振動板が、前記フレームの前記第2の端部の近傍に配置され、前記第1および第2の振動板の前記複数のモータが、前記フレーム上に設けられる、請求項1に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項3】
前記フレームが、前記第1および第2の端部にそれぞれ設けられた第1および第2のリムを備え、前記第1の振動板が、第1の囲繞部を介して前記第1のリムに取り付けられ、前記第2の振動板が、第2の囲繞部を介して前記第2のリムに取り付けられる、請求項2に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項4】
前記フレームが、前記第1の端部よりも前記第2の端部の近くに設けられた第1の支持部材と、前記第2の端部よりも前記第1の端部の近くに設けられた第2の支持部材と、をさらに備え、前記第1の振動板の第1の複数のモータが前記第1の支持部材に設けられ、前記第2の振動板の第2の複数のモータが前記第2の支持部材に設けられる、請求項2または3に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項5】
前記フレームが、前記第1および第2の支持部材の間に延在する補強部材をさらに備える、請求項4に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項6】
前記フレームが、前記第1および第2のリムの間に延在する複数の支柱をさらに備え、前記第1および第2の支持部材が、前記複数の支柱の間に延在する、請求項4または5に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項7】
前記第1および第2の振動板の前記複数のモータが前記第1および第2の振動板の外周の周りに交互に配置されるように、前記第1および第2の支持部材が互いに回転方向にずれて配置される、請求項4~6のいずれか一項に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項8】
各モータが、磁石と、ボイスコイルとを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項9】
各モータが、巻型上に設けられている、請求項8に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項10】
各モータの前記巻型が、対応する前記振動板に取り付けられている、請求項9に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項11】
前記振動板と前記巻型との間に延在するブラケットにより、各モータの前記巻型が、対応する前記振動板に取り付けられている、請求項10に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項12】
各モータが巻型なしで形成されている、請求項8に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項13】
各モータの前記ボイスコイルが、対応する前記振動板に取り付けられている、請求項12に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項14】
前記複数のモータが、前記第1および第2の振動板の外周の周りにおいてフレームに設けられている、請求項2~13のいずれか一項に記載のラウドスピーカ装置。
【請求項15】
前記フレームが、前記第1および第2のリムの間に延在する複数の支柱をさらに備え、前記複数のモータが前記複数の支柱上に設けられる、請求項3単独、又は請求項2,4~14のいずれか一項との組合せに記載のラウドスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウドスピーカ装置に関し、特に、低寸法ラウドスピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラウドスピーカの開発として最重要なのは、ラウドスピーカの高出力化、小型化を図ることである。そのために効率とコストを犠牲にしないことが好ましい。ラウドスピーカは、ドライバおよび筐体のサイズに対して、最大音圧レベルが比較的高く、例えば100Hz未満などの低周波数を余裕をもって再生できれば、高出力であるとみなされる。
【0003】
コンパクトなラウドスピーカシステムは、多くの場合軽量である。軽量筐体内で、ラウドスピーカの振動板の振幅が大きいと、望ましくない機械的振動が生じ得る。1つの解決策として、既存のドライバとは反対側を向く、第2のドライバを追加することが挙げられる。この構成は、両側2ドライバキャンセレーション(dual,opposing driver cancellation;DODC)と呼ばれることもある。DODCの利点として、2つのドライバそれぞれからの機械的振動が互いに打ち消しあうことが挙げられる。DODCの欠点として、2つのドライバが互いに背中合わせに配置されているため、筐体の大きさが少なくとも倍増してしまうことが挙げられる。このような筐体な大型化は、コンパクトなラウドスピーカシステムについては好ましくない。
【0004】
米国特許第9,609,405号明細書に代替の両側ドライバ構成が記載されている。ここでは、複数のドライバが同一横方向平面に並んで配置され、第1の組のドライバは一方向を向き、第2の組のドライバは反対方向を向いている。これにより、これら2組のドライバそれぞれからの力が互いに打ち消しあう。米国特許第9,609,405号明細書に記載されている構成は、横方向平面に各ドライバ組を配置することにより、ドライバが1つの場合に匹敵するような、短い貫通方向寸法、即ち低い高さを実現する。ただし、ドライバの使用中に、振動、および/または力のモーメントを避けるように、各ドライバは「ABBA」構成となる必要がある。したがって、貫通方向寸法が短くなる代わりに、横方向寸法が長くなってしまう。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様によると、互いに逆の関係で、同軸に配置された第1および第2の振動板であって、それぞれの振動板に複数のモータが動作可能に接続された第1および第2の振動板を備え、第1および第2の振動板のモータは同一平面上に配置される、ラウドスピーカ装置が提供される。
【0006】
ラウドスピーカ装置はさらに、第1および第2の端部を有するフレームをさらに備え、第1の振動板(12)が、フレーム第1の端部の近傍に配置され、第2の振動板が、フレームの第2の端部の近傍に配置され、第1および第2の振動板のモータが、フレーム上に設けられてもよい。
【0007】
フレームが、第1および第2の端部にそれぞれ設けられた第1および第2のリムを備え、第1の振動板(12)が、第1の囲繞部を介して第1のリムに取り付けられ、第2の振動板が、第2の囲繞部を介して第2のリムに取り付けられてもよい。
【0008】
本開示の実施形態では、フレームが、第1の端部よりも第2の端部の近くに設けられた第1の支持部材と、第2の端部よりも第1の端部の近くに設けられた第2の支持部材と、をさらに備え、第1の振動板(12)のモータが第1の支持部材に設けられ、第2の振動板のモータが第2の支持部材に設けられてもよい。
【0009】
フレームが、第1の支持部材と第2の支持部材との間に延在する補強部材をさらに備えてもよい。
【0010】
フレームが、第1および第2のリムの間に延在する複数の支柱をさらに備え、第1および第2の支持部材が、支柱の間に延在してもよい。
【0011】
第1および第2の振動板のモータが交互に配置されるように、第1および第2の支持部材が互いに回転方向にずれて配置されてもよい。
【0012】
モータがそれぞれ、巻型上に設けられた磁石およびボイスコイルを備え、各モータの巻型が、振動板の内の対応するものに取り付けられてもよい。あるいは、モータがそれぞれ、磁石と、巻型なしで形成されたボイスコイルとを備え、モータそれぞれのボイスコイルが、振動板の内の対応するものに取り付けられてもよい。
【0013】
本開示の他の実施形態では、モータが、第1および第2の振動板の外周の周りのフレーム上に設けられてもよい。フレームが、第1および第2のリムの間に延在する複数の支柱をさらに備え、モータが、支柱上に設けられてもよい。
【0014】
モータがそれぞれ、巻型上に設けられた磁石およびボイスコイルを備え、各モータが、振動板と、巻型との間に延在するブラケットにより、振動板の内の対応するものに取り付けられてもよい。あるいは、モータがそれぞれ、磁石と、巻型なしで形成されたボイスコイルとを備え、各モータが、振動板と、ボイスコイルとの間に延在するブラケットにより、振動板の内の対応するものに取り付けられてもよい。
【0015】
第1および第2の振動板のモータは、交互に配置されてもよい。
【0016】
背面側容積が、第1および第2の振動板の間に画定され、第1および第2の振動板が、背面側容積を共有してもよい。
【0017】
本開示の実施形態において、振動板それぞれの最大振幅が、ラウドスピーカ装置の貫通方向寸法即ち高さの1/3に相当してもよい。
【0018】
本開示の実施形態において、装置が、第1および第2の振動板のモータの貫通方向高さに対応する貫通方向高さを有してもよい。好ましくは、装置が、振動板および取り付けられたモータの貫通方向寸法の1.25倍以下の貫通方向寸法を有する。
【0019】
この開示の他の特徴および態様は、以下の説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【0020】
次に、本開示の実施形態を、以下の添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】本開示の第1の実施形態に係るラウドスピーカ装置の斜視図を示す。
【
図2A】本開示の第2の実施形態に係るラウドスピーカ装置の斜視図を示す。
【
図2B】
図2Aのラウドスピーカ装置の斜視図であって、横方向に沿った断面を示す。
【
図3A】本開示の第3の実施形態に係るラウドスピーカ装置の斜視図を示す。
【
図4A】本開示の第4の実施形態に係るラウドスピーカ装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、具体的実施形態または特徴を詳細に説明する。それらの例は、添付の図面に示されている。全図面にわたって、同じまたは対応する部位について、可能な限り対応するまたは同様の参照符号を使用する。
【0023】
図1Aおよび
図1Bを参照すると、本開示の第1の実施形態に係るラウドスピーカ装置10が示されている。ラウドスピーカ装置10は、互いに逆の関係で、同軸上に配置された第1の振動板12および第2の振動板14を備える。本実施形態の振動板12,14は、平坦な円形構成を有する。本開示の実施形態では、振動板の他の構成を使用することが可能だが、ラウドスピーカ装置10の寸法を抑えるために、平坦な構成が好ましい。背面側容積15が、第1および第2の振動板12,14の間に画定され、したがって、第1および第2の振動板は、背面側容積15を共有する。
【0024】
ラウドスピーカ装置10は、フレーム16の第1の端部20に設けられた第1のリム18と、フレーム16の第2の端部24に設けられた第2のリム22とを有するフレーム16をさらに備える。第1および第2のリム18,22は、振動板12,14の構成に合わせて円形である。第1の振動板12は、フレーム16の第1の端部20近傍に設けられ、第2の振動板14は、フレーム16の第2の端部24近傍に設けられる。
図1Aおよび
図1Bでは不図示だが、第1の振動板12は、第1の囲繞部(図示せず)を介して第1のリム18に取り付けられ、第2の振動板14は、第2の囲繞部(図示せず)を介して第2のリム22に取り付けられ得る。
【0025】
複数の支柱26が、第1のリム18と第2のリム22との間に延在する。
図1Aおよび
図1Bでは、4本の支柱26が、第1および第2のリム18,22の外周において、等間隔で設けられている。ただし、別の実施形態では、使用される支柱の数はこれよりも多くてもよい。
【0026】
フレーム16は、リム18,22における互いに反対側に位置する2つの支柱26の間で、横方向に延在する第1の支持部材28をさらに備える。第1の支持部材28は、第1の端部20よりも第2の端部24の近くに設けられる。したがって、第1の支持部材28は、第1の振動板12から離間する。
【0027】
第1の振動板12には、複数のモータ30が動作可能に接続されている。モータ30は、フレーム16上に設けられる。
図1Aおよび
図1Bに示す実施形態では、第1の支持部材28上に、2つのモータ30が互いに離間して設けられている。各モータ30は、第1の支持部材28に取り付けられた磁石32と、巻型36上に設けられたボイスコイル34とを備える。各モータ30の巻型36は、第1の振動板12に取り付けられている。
【0028】
フレーム16は、リム18,22における互いに反対側に位置する、別の2つの支柱26の間で、横方向に延在する第2の支持部材38をさらに備える。第2の支持部材38は、第2の端部24よりも第1の端部20の近くに設けられる。したがって、第2の支持部材38は、第2の振動板14から離間する。
【0029】
第2の振動板14には、複数のモータ30’が動作可能に接続されている。モータ30’も、フレーム16上に設けられている。
図1Aおよび
図1Bに示す実施形態では、第2の支持部材38上に、2つのモータ30’が互いに離間して設けられている。各モータ30’は、第2の支持部材38に取り付けられた磁石32’と、巻型36’上に設けられたボイスコイル34’とを備える。各モータ30’の巻型36’は、第2の振動板14に取り付けられている。本開示の代替的実施形態では、ボイスコイルは、巻型なしボイスコイル(formerless voice coil)またはエアコイルとしても知られるように、巻型なしで形成されてもよい。その場合、ボイスコイルは、振動板12,14に直接取り付けられる。巻型なしボイスコイルは、当業者に知られている任意の適切な方法で作製することができる。その例として、コーティングされたワイヤからボイスコイルを形成し、次にボイスコイルを焼き付けて、ボイスコイル内の隣接するワイヤ上のコーティング同士が融着するようにすることが挙げられる。即ち、ボイスコイルを形成するために使用されるワイヤ上の接着剤コーティングが使用される。ただし、別の接着剤も使用され得る。別の代替的実施形態では、コイルは、巻型を介して、または直接、膜に物理的に接続される。即ち、膜を(巻型または他の構造を介して)押し付けるコイルの直接の物理的駆動が存在する。したがって、その後に膜は空気圧と物理的実体、つまり膜に押し付けられるコイルにより駆動される。
【0030】
モータ30,30’のボイスコイル34,34’は、直列または並列に巻かれてもよく、または各振動板に3つ以上のモータが提供されるようにそれらが組み合わされてもよい。モータ30,30’の磁石32,32’は、当業者に知られている任意の適切な種類であってもよい。ただし、ネオジム磁石のような希土類磁石が、その高い磁束密度のため、好ましい。
【0031】
第1の支持部材28は第2の端部24に近く、第2の支持部材38は第1の端部20に近いので、第1および第2の支持部材28,38は貫通方向に離間している。第1および第2の支持部材28,38は、互いに回転方向にずれている。
図1Aおよび
図1Bに示す実施形態では、第1および第2の支持部材28,38は、互いに90度回転される。その結果、モータ30,30’は、交互に配置される。この構成により、第1および第2の振動板12,14のモータ30,30’が同横方向平面に配置され、ラウドスピーカ装置16の貫通方向寸法、即ち高さを低減する。例えば、
図1Aおよび
図1Bに示されるラウドスピーカ装置10を使用するラウドスピーカシステムは、貫通方向寸法が、単一ドライバシステムの寸法と比較して1.25倍であるが、従来技術の両側ドライバシステムだと、単一ドライバシステムの寸法の倍の貫通方向寸法となる。さらに、ラウドスピーカ装置10は、それらの振動板が同軸に整列しているので、単一ドライバシステムと比較して、横方向寸法が増加しない。さらに、それらの振動板は逆に配置されているので、使用中の振動板12,14の動きによる機械的振動はそれぞれ打ち消しあう。
【0032】
フレーム16は、第1の支持部材28と第2の支持部材38との間に延在する補強部材40をさらに備えてもよい。補強部材40は、第1および第2の支持部材28,38の中点間で延在してもよい。本開示の別の実施形態では、フレームは、ラウドスピーカ装置用の筐体などのより大きな構造の全体または一部と一体的に形成されてもよい。
【0033】
振動板12,14に複数の個別のモータ30,30’を使用すると、振動板の移動効率が向上し、小さな閉鎖型キャビネットで低い周波数を再生可能となる。さらに、各振動板に複数のモータを取り付けると、直線性と振動板の剛性が向上し得る。これらは、低周波再生ラウドスピーカシステムで一般的に使用される高振幅ドライバに関して重要である。
【0034】
図2Aから
図2Cを参照すると、本開示の第2の実施形態に係るラウドスピーカ装置100が示されている。ラウドスピーカ装置100は、全体的形態がラウドスピーカ装置10と同一であり、100を足した同様の参照符号により、同様の部位を示す。
【0035】
ラウドスピーカ装置100の第1の振動板112は、第1の囲繞部117を介して第1のリム118に取り付けられる。ラウドスピーカ装置100の第2の振動板114は、第2の囲繞部117’を介して第2のリム122に取り付けられる。
【0036】
ラウドスピーカ装置100は、ラウドスピーカ装置100の各振動板112,114がそれぞれ3つのモータ130,130’を有するという点でラウドスピーカ装置10と異なる。
【0037】
図2Bに示されるように、支持部材128,138はそれぞれ、互いに120度間隔配置され、外側支持リム152に接続された3つのアーム150を備える。第1および第2の振動板112,114の6つのモータ130,130’が同位置横方向平面の周りに交互に配置されるように、各アーム150に1つのモータ130,130’が取り付けられている。
【0038】
図2Aから2Cに示されるモータ130,130’は、
図1Aおよび1Bに示されるモータ30,30’よりも長い。これにより、振動板112,114の振幅をより大きくでき、ラウドスピーカ装置100の低周波再生がさらに向上する。より大きい振幅を実現するために当業者に知られている適切なモータ構成(例えば、より長い磁石または複数の磁石、より長いボイスコイル、または複数の巻線を有するボイスコイル)を使用することができる。同じ横方向平面にモータ130,130’を配置することにより、各振動板の振幅を、最大でラウドスピーカ装置の貫通方向寸法、即ち高さの1/3にまですることができる。
【0039】
図3Aおよび
図3Bを参照すると、本開示の第3の実施形態に係るラウドスピーカ装置200が示されている。100を足した同様の参照番号により、
図2Aから2Cに示されるものと同様の部位が示される。
【0040】
ラウドスピーカ装置200の振動板212,214は、形状が四角形である。振動板214は、横方向平面内で、振動板212に対して90度回転される。したがって、
図3Aに示すように両振動板により十字または「+」が形成される。このような配置により、振動板間の利用可能な空間を増大し得る。別の実施形態では、振動板212,214は、他の形状で形成されてもよく、互いに整列してもよく、または横方向平面内で別の角度で回転されてもよい。
【0041】
ラウドスピーカ装置200のフレーム216は、支持部材が省略されている点で、
図2Aから2Cに示すフレーム116とは異なる。さらに、フレーム216の第1および第2のリム218,222は四角形であり(
図3Aに示されるように正方形であってもよい)、取り付け板として機能するように、振動板の先に、横方向に延在する。
【0042】
モータが振動板の下に設けられている上述の実施形態とは異なり、ラウドスピーカ装置200のモータ230,230’は、第1および第2の振動板218,222の外周の周りに設けられる。モータ230,230’は、上述の実施形態のように支持部材上に設けられるのではなく、第1のリム218と第2のリム222との間に延在する支柱226上に設けられる。振動板の外周の周りにモータ230,230’を配置することで、ラウドスピーカ装置の貫通方向寸法がさらに低減し得る。
【0043】
モータ230,230’を振動板の下ではなく、振動板212,214の外周の周りに配置することにより、振動板212,214をより互いに近づけて配置できる。使用中に、振動板が移動する際に、それらと衝突または交差するような物体(即ち、ボイスコイル、サスペンション、磁石、取り付けプレート等)が存在しないためである。上述の実施形態で説明したように振動板の下にモータを設ける場合、モータのサイズと、使用中に振動板の振幅を可能とするためのモータと振動板の間の自由空間の必要性(振動板をモータに衝突しないようにするため)によって、ラウドスピーカ装置の貫通方向寸法が結局制限されることとなる。ラウドスピーカ装置200では、モータ230,230’は、振動板212,214の外周に設けられ、いくつかの実施形態では、外周に対して間隔をあけてもよい。したがって、振動板がモータと衝突しないため、使用中の振動板の振幅を可能にするために、モータ230,230’と振動板212,214との間に、貫通方向の自由空間を設ける必要がない。その結果、ラウドスピーカ装置200の貫通方向寸法は、モータのサイズによって制限され、単一ドライバのラウドスピーカシステムと同等の貫通方向寸法となり得る。
【0044】
各モータ230,230’の巻型236,236’は、それぞれ、振動板212,214と巻型236,236’との間に延在するブラケット260,260’を介して、振動板212,214の内の対応するものに取り付けられる。
【0045】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、本開示の第4の実施形態に係るラウドスピーカ装置300が示されている。ラウドスピーカ装置300は、全体的形態がラウドスピーカ装置200と同一であり、同様の参照番号は、100を足した同様の参照符号により、同様の部位を示す。
【0046】
ラウドスピーカ装置300のブラケット360,360’は、それぞれ振動板312,314に取り付けられる鍔部362,362’と一体に形成される。
図4Aおよび4Bに示される実施形態では、ブラケット360,360’は、振動板312,314と一体的に形成される。
【0047】
ラウドスピーカ装置300のモータ330,330’は、複数対で配置され、モータ330,330’の各対の巻型336は、ブラケット360,360’の1つに接続される。モータ330,330’の対は、フレーム316の周りに交互に配置されている。
図3Aおよび3Bに示すように、それぞれの振動板312,314に対して2対のモータ330,330’が設けられる。共通ブラケット360,360’を共有するモータ330,330’対を配置することで、振動板312,314の移動効率が向上し得る。さらに、各振動板の4つのモータが振動板の周りに等間隔でありしたがってブラケットが4つ必要となる配置と比較して、ブラケット360,360’の質量が低減し得る。
【0048】
ラウドスピーカ装置300は、
図3Aおよび3Bに示すように、複数の磁石332,332’を備えたモータ330,330’を使用する。各モータ330,330’は、ボイスコイル334,334’、したがって振動板312,314の振幅を増加させるように配置された2つの磁石332,332’を備える。
【0049】
本開示の態様が上記の実施形態を参照して具体的に説明されたが、請求項に記載の本開示の範囲から逸脱することなく開示された装置を変更することにより、様々な追加の実施形態に想到できることが当業者に理解されよう。