(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-05
(45)【発行日】2025-02-14
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/50 20180101AFI20250206BHJP
【FI】
F24F11/50
(21)【出願番号】P 2023572136
(86)(22)【出願日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 JP2023033027
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹田 幸二
(72)【発明者】
【氏名】村若 正俊
(72)【発明者】
【氏名】川島 良範
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/166924(WO,A1)
【文献】特開2008-241056(JP,A)
【文献】国際公開第2023/139828(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機であって、
前記空気調和機を操作する操作機器と、
前記空気調和機にオプション機器が接続されたことを設定する接続設定が行われ、かつ前記操作機器に前記オプション機器を操作するためのオプション操作機能が搭載されていない場合に、前記オプション機器を前記空気調和機の空調運転に応じて制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記接続設定が行われ、かつ前記操作機器に前記オプション操作機能が搭載されている場合に、前記オプション操作機能に従い、前記オプション機器を制御する、空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記接続設定が行われ、かつ前記操作機器に前記オプション操作機能が搭載されていない場合に、前記オプション機器の運転のオンオフを前記空調運転のオンオフに同期させる、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記接続設定が行われ、かつ前記操作機器に前記オプション操作機能が搭載されている場合に、前記オプション操作機能に従い、前記空気調和機の表示部に、前記オプション機器の操作画面を表示し、
前記操作画面への入力に応じて前記オプション機器を制御する、請求項
1に記載の空気調和機。
【請求項4】
空気調和機であって、
前記空気調和機を操作する操作機器と、
前記空気調和機にオプション機器が接続され、かつ前記操作機器に前記オプション機器を操作するためのオプション操作機能が搭載されていない場合に、前記オプション機器を前記空気調和機の空調運転に応じて制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記空気調和機にオプション機器が接続されたことを設定する接続設定が行われ、かつ前記操作機器に前記オプション操作機能が搭載されている場合に、前記オプション操作機能に従い、前記オプション機器を制御する、空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、前記空気調和機に前記オプション機器が接続され、前記オプション機器が接続されたことを設定する接続設定が行われ、さらに前記操作機器に前記オプション操作機能が搭載されていない場合に、前記オプション機器を前記空調運転に応じて制御する、請求項
4に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機において、例えばイオナイザ等のオプション機能が標準搭載される場合には、オプション機能の制御は、同梱の付属リモコンの操作に応じて行うことができる。このようなオプション機能に関する技術として特許文献1には、室内ユニットに、オプション装置が設けられた空気調和装置が開示されている。本装置においては、オプション装置の状態報知を行う状態報知装置が設けられたコーナーパネルが室内ユニットの化粧パネル本体に脱着自在に設けられている。これにより、オプション装置を取り付けるか否かによらず、化粧パネル本体を共通化することができ、オプション装置が取り付けられた場合に、オプション装置の状態報知装置が設けられたコーナーパネルを化粧パネル本体に装着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オプション機能を備えたオプション機器を空気調和機に接続する場合、オプション機能の制御をどのように行うかが問題となる。オプション機器の専用のリモコンを用意することも考えられるが、コストがかかってしまう。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、空気調和機にオプション機器が接続された場合に、コストを抑えつつ、オプション機器の制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、空気調和機であって、前記空気調和機を操作する操作機器と、前記空気調和機にオプション機器が接続されたことを設定する接続設定が行われ、かつ前記操作機器に前記オプション機器を操作するためのオプション操作機能が搭載されていない場合に、前記オプション機器を前記空気調和機の空調運転に応じて制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記接続設定が行われ、かつ前記操作機器に前記オプション操作機能が搭載されている場合に、前記オプション操作機能に従い、前記オプション機器を制御する。
【0007】
本発明の他の形態は、空気調和機であって、前記空気調和機を操作する操作機器と、前記空気調和機にオプション機器が接続され、かつ前記操作機器に前記オプション機器を操作するためのオプション操作機能が搭載されていない場合に、前記オプション機器を前記空気調和機の空調運転に応じて制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記空気調和機にオプション機器が接続されたことを設定する接続設定が行われ、かつ前記操作機器に前記オプション操作機能が搭載されている場合に、前記オプション操作機能に従い、前記オプション機器を制御する。
【0008】
本発明によれば、空気調和機にオプション機器が接続された場合に、コストを抑えつつ、オプション機器の制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】オプション機器の制御に係る主な構成を示す図である。
【
図4】イオナイザ制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る空気調和機1を示す外観構成図である。空気調和機1は、冷凍サイクルで冷媒を循環させることによって、空調を行う。
図1に示すように、空気調和機1は、室内(被空調空間)に設置される室内機2と、屋外(室外)に設置される室外機3と、ユーザによって操作される、ワイヤレスのリモコン4とを備えている。リモコン4は、表示部41と操作部42とを備える。リモコン4は、空気調和機1を操作する操作機器の一例である。
【0011】
室内機2は、リモコン通信部5を備えている。リモコン通信部5は、赤外線通信等によって、リモコン4との間で所定の信号を送受信する。例えば、リモコン通信部5は、操作部42の操作に応じて、運転指令、停止指令、設定温度の変更、運転モードの変更、もしくは、タイマの設定等の信号をリモコン4から受信する。また、他の例としては、リモコン4は、室内機2への送信のみを行うものであってもよい。この場合、リモコン通信部5は、受信機能のみを備えればよい。なお、
図1では省略しているが、室内機2と室外機3とは、冷媒配管を介して接続されるとともに、通信線を介して接続されている。
【0012】
図2は、実施形態に係る空気調和機1の冷媒回路Qを示す図である。なお、
図2に示す実線の矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示している。また、
図2に示す破線の矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示している。
【0013】
室内機2は、リモコン通信部5の他に、室内熱交換器6と、室内ファン7とを備えている。室内熱交換器6においては、伝熱管を通流する冷媒と、室内ファン7から送り込まれる室内空気との間で熱交換が行われる。室内熱交換器6は、後述の四方弁13の切り替えにより凝縮器または蒸発器として動作する。室内ファン7は、室内熱交換器6の付近に設置されている。室内ファン7は、室内ファンモータ8の駆動によって、室内熱交換器6に室内空気を送り込む。
【0014】
室外機3は、圧縮機9と、室外熱交換器10と、室外ファン11と、膨張弁12と、四方弁13とを備えている。圧縮機9は、圧縮機モータ14の駆動によって、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する。室外熱交換器10においては、伝熱管を通流する冷媒と、室外ファン11から送り込まれる外気との間で熱交換が行われる。室外熱交換器10は、四方弁13の切り替えにより凝縮器または蒸発器として動作する。
【0015】
室外ファン11は、
図1に示すように、室外熱交換器10の付近に設置されている。室外ファン11は、室外ファンモータ11aの駆動によって、室外熱交換器10に外気を送り込む。膨張弁12は、「凝縮器」(室外熱交換器10および室内熱交換器6の一方)で凝縮した冷媒を減圧する機能を有している。なお、膨張弁12において減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器10および室内熱交換器6の他方)に導かれる。
【0016】
四方弁13は、空気調和機1の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。四方弁13の切り替えにより、冷房運転時には、破線矢印で示すように、圧縮機9、室外熱交換器(凝縮器)10、膨張弁12、および室内熱交換器(蒸発器)6の順に冷媒が循環する冷凍サイクルとなる。また、四方弁13の切り替えにより、暖房運転時には、実線矢印で示すように、圧縮機9、室内熱交換器(凝縮器)6、膨張弁12、および室外熱交換器(蒸発器)10の順に冷媒が循環する冷凍サイクルとなる。すなわち、圧縮機9、「凝縮器」、膨張弁12、および「蒸発器」を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路Qにおいて、前記した「凝縮器」および「蒸発器」の一方は室外熱交換器10であり、他方は室内熱交換器6である。
【0017】
本実施形態の空気調和機1には、オプション機器を接続することができる。オプション機器は、空調運転以外の機能を備えた機器であり、例えば、イオナイザ、空気洗浄機、換気装置などが挙げられる。空気調和機1は、オプション機器が接続された場合に、空気調和機1に同梱されていたリモコン4を用いて、オプション機器の制御を行う。
図3は、オプション機器の制御に係る主な構成を示す図である。以下では、オプション機器としてイオナイザ30が接続される場合を例に説明する。
【0018】
室内機2は、空気調和機1に同梱されていたリモコン4と通信するリモコン通信部5に加えて、制御部21と、記憶部22と、を備えている。制御部21は、CPUやROM、RAM等を備え、空気調和機1を制御する。記憶部22は、不揮発性メモリであり、各種情報を記憶する。なお、制御部21及び記憶部22は、室外機3に設けられてもよい。
【0019】
図3においては、空気調和機1の室内機2にイオナイザ30が接続される例を示すが、イオナイザ30が搭載される空気調和機1としては、これ以外にも空気調和機1にイオナイザ30が内蔵されるモデルもある。本実施形態における制御部21は、いずれの空気調和機1に搭載された場合においても、イオナイザ30の制御を行うことができる。
【0020】
まず、空気調和機1にイオナイザ30が内蔵されている場合の、イオナイザ30の制御について説明する。この場合には、記憶部22には、当該空気調和機1がイオナイザ30の内臓モデルであることを示す情報が格納されている。そして、この場合、制御部21は、イオナイザ30に対するユーザ操作に応じてイオナイザ30を制御する。具体的には、制御部21は、イオナイザ30のオンの操作が行われるとイオナイザ30の運転をオンし、イオナイザ30のオフの操作が行われるとイオナイザ30の運転をオフにする。
【0021】
空気調和機1にイオナイザ30が内蔵されていない場合には、制御部21は、イオナイザ制御処理に従いイオナイザ30の制御を行う。
図4は、制御部21によるイオナイザ制御処理を示すフローチャートである。
【0022】
イオナイザ30が内蔵されていない空気調和機1においては、イオナイザ操作機能が、リモコン4に搭載されているモデルと、イオナイザ操作機能が搭載されていないモデルとが存在する。イオナイザ操作機能とは、イオナイザ30が空気調和機1に接続された場合に、ユーザ操作を受け付け、ユーザ操作に従いイオナイザ30の電源のオンオフや、稼働のオンオフ等イオナイザ30の制御に係る指示を制御部21に送信する機能である。空気調和機1の記憶部22には、イオナイザ操作機能の有無を示す機能情報が予め格納されている。
【0023】
また、空気調和機1に対しイオナイザ30を接続する場合、サービスマン等の作業者は、リモコン4を操作することでイオナイザ30が接続された旨の接続設定を行う。これに応じて、リモコン4は、イオナイザ30が接続されたことを示す接続情報を室内機2に送信する。室内機2においては、リモコン通信部5が接続情報を受信すると、制御部21は、接続情報を記憶部22に格納する。
【0024】
イオナイザ制御処理においては、まずステップS100において、制御部21は、イオナイザ30が接続されたことを示す接続情報を取得(受信)したか否かを確認する。上述のように、リモコン4から接続情報を取得しない場合には(ステップS100でN)、接続情報を取得するまで待機し、接続情報を取得した場合には(ステップS100でY)、制御部21は、イオナイザ30を操作可能であるか否かを確認する(ステップS102)。具体的には、記憶部22に格納されている機能情報を参照することで、リモコン4がイオナイザ操作機能を搭載しているか否かを確認する。制御部21は、イオナイザ操作機能を搭載している場合には、イオナイザ30を操作可能と判断し、搭載していない場合にはイオナイザ30を操作可能でないと判断する。
【0025】
制御部21は、イオナイザ30を操作可能な場合には(ステップS102でY)、イオナイザ30に対するユーザ操作に応じてイオナイザ30を制御する(ステップS104)。具体的には、制御部21は、イオナイザ操作機能により、空気調和機1のリモコン4に設けられた表示部41にイオナイザ30の操作画面を表示させる。ユーザは、操作画面を確認することで、イオナイザ30の操作が可能であると認識することができる。そして、操作画面に対する操作が行われると、制御部21は、ユーザ操作に応じてイオナイザ30を制御する。具体的には、制御部21は、操作画面においてイオナイザ30のオンの操作が行われた場合にイオナイザ30の運転をオンし、操作画面においてイオナイザ30のオフの操作が行われた場合にはイオナイザ30の運転をオフする。
【0026】
また、ステップS102において、イオナイザ30を操作可能でない場合には(ステップS102でN)、制御部21は、空気調和機1における空調運転に対するユーザ操作に応じてイオナイザ30を制御する(ステップS106)。具体的には、制御部21は、空調運転のオンの操作が行われた場合に、これに連動してイオナイザ30の運転をオンし、空調運転のオフの操作が行われた場合に、これに連動してイオナイザ30の運転をオフする。このように、制御部21は、イオナイザ30の運転のオンオフを空調運転のオンオフに同期させる。
【0027】
以上のように、本実施形態の空気調和機1は、イオナイザ30などオプション機器に応じたオプション機能の操作のためのオプション操作機能が、リモコン4に搭載されている場合には、オプション操作機能に従い、オプション機器に対するユーザ操作に応じた制御を行う。一方で、空気調和機1は、オプション操作機能が搭載されていない場合には、空調運転に応じてオプション機器の制御を行う。これにより、リモコン4にオプション操作機能が搭載されていない場合においても、適切にオプション機器の運転を制御することができる。また、オプション機器の操作を空気調和機1のリモコン4で実行することができるので、オプション機器の操作のために、空気調和機1のリモコン4とは別にリモコン等の機器を用意する必要がなく、コストが増加するのを避けることができる。
【0028】
また、本実施形態においては、オプション機器が接続された場合には、作業者による操作に応じて接続情報が送信されることで、制御部21は、オプション機器が接続されたことを認識する。これにより、ハードウェアとしてオプション機器が接続されたことを検知するための仕組みを搭載した場合に比べて、コストを抑えることができる。
【0029】
なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、例えばある実施形態の変形例を他の実施形態に適用するなど、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0030】
そうした第1の変形例としては、作業者によりオプション機器が接続された旨の設定が行われた場合に接続情報を室内機2へ送信する処理は、リモコン4以外の機器により行われてもよい。こうした機器としては、作業者のスマートフォン等が挙げられる。この場合には、室内機2は、スマートフォン等の機器と通信を行うための通信部を備えているものとする。
【0031】
第2の変形例としては、制御部21は、空調運転に応じてオプション機器を制御すればよく、具体的な制御は実施形態に限定されるものではない。例えば、オプション機器がイオナイザである場合において、制御部21は、空調運転がオンされてから一定期間、イオナイザの運転をオンとし、その後オフしてもよい。また、オプション機器が換気装置である場合において、制御部21は、空調運転がオンの期間において一定期間おきに換気を行ってもよい。
【0032】
第3の変形例としては、空気調和機1は、オプション機器が接続されたことを物理的に検知するためのハードウェアの検知部を備えてもよい。当該検知部は、例えばオプション機器の電気的な接続の有無に応じてオプション機器の接続を検知する。そして、この場合には、イオナイザ制御処理(
図4参照)のステップS100において、制御部21は、オプション機器が接続されたことが物理的に検知された場合に、処理をS102へ進めるものとする。また、他の例としては、制御部21は、ステップS100において、オプション機器が接続されたことが物理的に検知され、かつ接続情報を取得した場合に、処理をS102へ進めてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 空気調和機
2 室内機
3 室外機
4 リモコン
5 リモコン通信部
6 室内熱交換器
7 室内ファン
8 室内ファン駆動部
9 圧縮機
10 室外熱交換器
11 室外ファン
11a 室外ファン駆動部
12 膨張弁
13 四方弁
14 圧縮機モータ
21 制御部
22 記憶部
30 イオナイザ
41 表示部
42 操作部
【要約】
【課題】空気調和機にオプション機器が接続された場合に、コストを抑えつつ、オプション機器の制御を実現する。
【解決手段】空気調和機であって、空気調和機を操作する操作機器と、空気調和機にオプション機器が接続されたことを設定する接続設定が行われ、かつ操作機器にオプション機器を操作するためのオプション操作機能が搭載されていない場合に、オプション機器を空気調和機の空調運転に応じて制御する制御部とを備える。