(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】データ抽出装置、データ抽出方法およびデータ送信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20250207BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
H04N7/18 K
H04N7/18 A
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2023514183
(86)(22)【出願日】2021-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2021015141
(87)【国際公開番号】W WO2022219671
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 晃平
(72)【発明者】
【氏名】福原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】中司 真裕
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038362(JP,A)
【文献】特開2017-211957(JP,A)
【文献】特開2008-070987(JP,A)
【文献】特開2016-071497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08G 1/00-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に載置された撮像装置により車外を撮像した画像の中から、車両が抽出距離進むごとに送信用の画像を抽出するデータ抽出装置であって、
車外を撮像した画像を取得する情報取得部と、
前回抽出された画像を撮像した位置から、抽出距離の分、進んだ位置で撮像された画像を解析対象とし、当該解析対象の画像における撮像開始位置から当該画像に撮像された遮蔽物の位置までの、実際の距離を示す遮蔽物距離を算出する画像解析部と、
前記画像解析部により算出された遮蔽物距離を、次回の抽出距離として出力する抽出距離判定部と、
前記画像解析部が解析対象とした画像を抽出する画像抽出部と、
を備えたデータ抽出装置。
【請求項2】
前記抽出距離判定部は、遮蔽物距離が第一の距離未満である場合に、遮蔽物距離を次回の抽出距離として出力する、請求項1に記載のデータ抽出装置。
【請求項3】
前記抽出距離判定部は、遮蔽物距離が第一の距離未満である場合に、遮蔽物距離を次回の抽出距離として出力し、遮蔽物距離が第一の距離以上である場合に、第一の距離を次回の抽出距離として出力する、請求項1に記載のデータ抽出装置。
【請求項4】
前記画像解析部は、解析対象にした画像に係る抽出距離が第一の距離未満である場合、前回の抽出から今回の抽出までの間に、前記情報取得部が取得した画像それぞれにおいて、画像内の撮像開始位置から最も近い遮蔽物までの遮蔽物距離と、前回の抽出した画像における撮像開始位置から抽出距離の分進んだ位置までの距離とを算出し、
前記抽出距離判定部は、前記抽出距離に対して、撮影開始位置から前回の送信画像における撮影開始位置から前回の抽出距離の分進んだ位置までの距離を引いた算出距離を算出して、前記算出距離が最も大きいと判定した画像を送信候補に決定し、
前記画像抽出部は、前記抽出距離判定部が決定した送信候補の画像を抽出する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のデータ抽出装置。
【請求項5】
前記画像解析部は、前記抽出距離がゼロである場合、前記遮蔽物が覆っている遮蔽領域の位置情報を算出するとともに、前記遮蔽物の次の遮蔽物を対象として遮蔽物距離を算出し、
前記画像抽出部は、前記遮蔽領域の位置情報を、送信候補として抽出する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のデータ抽出装置。
【請求項6】
前記抽出距離が第二の距離未満である場合、前記車両と前記車両の先行車両との車間距離を第三の距離以上開けるように通知する、または、前記車間距離を前記第三の距離以上開けられるように制御を指示する車間距離調整部を備えた、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のデータ抽出装置。
【請求項7】
車両に載置された撮像装置により車外を撮像した画像の中から、車両が抽出距離進むごとに送信用の画像を抽出するデータ抽出方法であって、
情報取得部が、車外を撮像した画像を取得するステップと、
画像解析部が、前回抽出された画像を撮像した位置から、抽出距離の分、進んだ位置で撮像された画像を解析対象とし、当該解析対象の画像における撮像開始位置から当該画像に撮像された遮蔽物の位置までの、実際の距離を示す遮蔽物距離を算出するステップと、
抽出距離判定部が、前記画像解析部により算出された遮蔽物距離を、次回の抽出距離として出力するステップと、
画像抽出部が、前記画像解析部が解析対象とした画像を抽出するステップと、
を備えたデータ抽出方法。
【請求項8】
車両に載置された撮像装置により車外を撮像した画像の中から、車両が抽出距離進むごとに送信用の画像を抽出して車両外部へ送信するデータ送信装置であって、
車外を撮像した画像を取得する情報取得部と、
前回抽出された画像を撮像した位置から、抽出距離の分、進んだ位置で撮像された画像を解析対象とし、当該解析対象の画像における撮像開始位置から当該画像に撮像された遮蔽物の位置までの、実際の距離を示す遮蔽物距離を算出する画像解析部と、
前記画像解析部により算出された遮蔽物距離を、次回の抽出距離として出力する抽出距離判定部と、
前記画像解析部が解析対象とした画像を抽出する画像抽出部と、
前記画像抽出部により抽出された画像を送信する送信部と、
を備えたデータ送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載された装置で取得された情報の中から、送信用の情報を抽出するデータ抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載された装置と外部のサーバなどとの間において、通信を行うことが多くなっており、通信量が多くなっている。これに対し、通信量を削減する技術がある。
例えば、特許文献1には、移動体の外部を撮像した画像を外部のサーバへ出力する技術において、移動体の速度に応じて、移動体の外部を撮像した複数の画像のうち一部の画像を決定して保存する、画像管理装置が開示されている。
具体的には、特許文献1の画像管理装置は、保存対象となる画像を決定するための条件として、一の画像が保存対象として決定された後、次の保存対象となる画像が決定されるまでの時間間隔に関する条件、及び、一の画像が保存対象として決定された後、次の保存対象となる画像が決定されるまでの間に移動体が移動する距離に関する条件の少なくとも一方を、移動体の速度に基づいて決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の画像管理装置では、単に、移動体の速度に基づく時間間隔または距離ごとに撮像された画像を保存するため、当該画像には遮蔽物が含まれる場合がある、という課題がある。そして、特許文献1の画像管理装置では、遮蔽物が存在しない状況における情報が必要な場合、必要な情報が送信できない。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するもので、通信量を削減するとともに、取得した情報の中から、遮蔽物が存在しない状況における情報を抽出できる、データ抽出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のデータ抽出装置は、車両に載置された撮像装置により車外を撮像した画像の中から、車両が抽出距離の分進むごとに送信用の画像を抽出するデータ抽出装置であって、車外を撮像した画像を取得する情報取得部と、前回抽出された画像が撮像された位置から、抽出距離の分、進んだ位置で撮像された画像を解析対象とし、当該解析対象の画像における撮像装置に最も近い位置から当該画像に撮像された遮蔽物までの、実際の距離を示す遮蔽物距離を算出する画像解析部と、遮蔽物距離を次回の抽出距離として出力する抽出距離判定部と、画像解析部が解析対象とした画像を抽出する画像抽出部と、を備えた。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、上記のように構成したので、通信量を削減するとともに、取得した情報の中から、遮蔽物が存在しない状況における情報を抽出する、データ抽出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るデータ抽出装置、データ送信装置、および、これを含むデータ転送システムの構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係るデータ抽出装置およびデータ送信装置を含むデータ転送システムの処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図3における情報取得の処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図3における情報解析の処理および情報抽出の処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図3における情報送信の処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図6に示す処理により送信された情報を受信する処理を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態1に係るデータ抽出装置の処理のイメージの一例を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係るデータ抽出装置の処理のイメージの別の一例を示す図である。
【
図10】実施の形態2に係るデータ抽出装置、データ送信装置、および、これを含むデータ転送システムの構成を示す図である。
【
図11A】実施の形態2に係るデータ抽出装置の処理を示すフローチャートである。
【
図11B】実施の形態2に係るデータ抽出装置の処理を示すフローチャートである。
【
図12】実施の形態2に係るデータ抽出装置の処理のイメージの一例を示す図である。
【
図13】実施の形態3に係るデータ抽出装置、データ送信装置、および、これを含むデータ転送システムの構成を示す図である。
【
図14】実施の形態3に係るデータ抽出装置の処理を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態3に係るデータ抽出装置の処理のイメージの一例を示す図である。
【
図16】実施の形態4に係るデータ抽出装置、データ送信装置、および、これを含む診断システムの構成を示す図である。
【
図17】実施の形態4に係るデータ抽出装置の処理を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態4に係るデータ抽出装置の処理のイメージの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示をより詳細に説明するために、本開示を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るデータ抽出装置、データ送信装置、および、これを含むデータ転送システムの構成を示す図である。
データ転送システム1は、情報を取得し、取得した情報を、外部へ転送するシステムである。データ転送システム1は、例えば、車両に搭載された撮像装置から画像を取得し、取得した画像の中から、送信用の画像を抽出して外部のサーバ400へ転送するシステムである。
データ転送システム1は、例えば、データ送信装置100、撮像部200、センサ部300、および、サーバ400により構成される。
【0010】
データ送信装置100は、車両に載置された撮像部200により車外を撮像した画像の中から、車両が抽出距離の分進むごとに抽出した画像を外部のサーバへ送信する装置である。
データ送信装置100は、撮像部200、センサ部300、サーバにそれぞれ通信可能に接続されている。
データ送信装置100は、撮像部200から画像を所定の時間単位に取得し、撮像部200により撮像された時刻ごとに、車両および車両周辺に関する情報をセンサ部から取得する。
データ送信装置100は、取得した複数の画像の中から、送信用の画像を抽出して送信する。
データ送信装置100の詳細は、後述する。
【0011】
撮像部200は、カメラなどの撮像装置で構成され、車両に載置されている。
撮像部200は、予め決められた時間単位で、車両から車外を撮像し、撮像した画像を出力する。
撮像部200が撮像する画像は、例えば、道路およびその周辺を含む画像であり、道路およびその周辺設備の状態を解析するために用いられる画像である。例えば、この画像を受けたサーバ400は、当該画像を用いて道路および道路周辺設備の状態を診断できる。
【0012】
センサ部300は、車両に搭載され、車両に関して測定した結果を示す測定情報を出力する、複数のセンサを備える。
複数のセンサは、少なくとも、撮像部200が撮像したタイミングで測定した結果を示す測定情報を出力する。
複数のセンサは、自車位置センサ301、車速センサ302、加速度センサ303、時刻センサ304、照度センサ305、気象センサ306、および、生体センサ307、である。
自車位置センサ301は、自車両の位置を示す測定情報を出力する。
車速センサ302は、自車両の速度を示す測定情報を出力する。
加速度センサ303は、自車両の加速度を示す測定情報を出力する。
時刻センサ304は、図示しない時計により計時した時刻を示す測定情報を出力する。
照度センサ305は、照度を示す測定情報を出力する。
気象センサ306は、自車両の位置における気象を示す測定情報を出力する。
生体センサ307は、自車両の乗員に関する生体情報を示す測定情報を出力する。
【0013】
データ送信装置100は、データ抽出装置110、送信画像情報記憶部115、画像情報送信部116、および、送信部117、を備える。
【0014】
データ抽出装置110は、撮像部200により撮像された画像を取得するとともに、センサ部300により出力された測定情報を取得し、取得した画像および測定情報の中から、送信用の画像および測定情報を抽出する。
例えば、データ抽出装置110は、車両に載置された撮像部200により車外を撮像した画像の中から、車両が抽出距離の分進むごとに送信用の画像を抽出する。
抽出距離は、前回、画像および測定情報を抽出してから、次回、画像および測定情報を抽出するまでに、車両が走行する距離を示す。
データ抽出装置110は、情報取得部111、画像解析部112、抽出距離判定部113、および、画像抽出部114、を備える。
【0015】
情報取得部111は、車外を撮像した画像および撮像時の測定情報を取得する。
具体的には、情報取得部111は、撮像部200から画像を取得するとともに、センサ部から測定結果を示す測定情報を取得する。以下、説明において、情報取得部111が取得する画像および測定情報について、特に区別する必要がない場合は、単に「情報」とも記載する。
情報取得部111は、取得した情報を記憶する。情報取得部111は、少なくとも、画像抽出部114が以前に情報を抽出してから、次に情報を抽出するまでの間、情報を取得するごとに複数の情報を蓄積する。
このとき、情報取得部111は、情報を取得するごとに、取得した情報を用いて、以前に抽出した情報を取得した時点における車両の位置からの走行距離を算出する。
情報取得部111は、画像と測定結果を示す情報と走行距離とを関連付けて蓄積する。
なお、情報取得部111は、画像抽出部114が情報を抽出すると、前回の抽出処理から今回の抽出処理の間に蓄積していた情報を破棄してから、次の抽出処理に向けて蓄積してもよい。
【0016】
画像解析部112は、車両が抽出距離分走行すると、解析対象の情報を決定し、解析対象に決定した情報に対して解析を行う。
具体的には、画像解析部112は、前回抽出された画像が撮像された位置から、抽出距離の分、進んだ位置で撮像された画像を解析対象とし、当該解析対象の画像における撮像装置に最も近い位置(以下、撮像開始位置とも記載する。)から当該画像に撮像された遮蔽物までの、実際の距離を示す遮蔽物距離を算出する。
画像解析部112は、例えば、画像中の縦方向および横方向の長さに応じた、実際の距離の相関情報を保有しており、画像を解析することで、実際の距離を算出できる。
画像解析部112で用いる抽出距離は、抽出距離判定部113から受け取った次回の抽出距離である。
また、画像解析部112は、抽出距離判定部113から抽出距離を受け取ると、解析対象とした情報が送信候補の情報である旨を、画像抽出部114へ通知する。
なお、画像解析部112は、抽出距離判定部113から抽出距離を受け取る前である場合、情報取得部111が最初に取得した画像を解析対象にすればよい。
【0017】
抽出距離判定部113は、遮蔽物距離または第一の距離を次回の抽出距離として出力する。
具体的には、抽出距離判定部113は、画像解析部112から遮蔽物距離を取得する。抽出距離判定部113は、遮蔽物距離と予め決められた第一の距離とを比較する。抽出距離判定部113は、遮蔽物距離が、第一の距離未満であると判定した場合に、遮蔽物距離を次回の抽出距離として出力し、遮蔽物距離が第一の距離以上であると判定した場合に、第一の距離を次回の抽出距離として出力する。
第一の距離は、解像度などに基づいて、例えば画像を用いた解析が可能な程度の画像内の距離を示す閾値である。
【0018】
画像抽出部114は、画像解析部112が解析対象とした画像を出力する。
具体的には、画像抽出部114は、画像解析部112から、送信候補の情報および抽出距離が通知されると、通知された情報を用いて、情報取得部111から情報を抽出する。画像抽出部114は、抽出した情報を送信画像情報記憶部115に記憶させる。
【0019】
送信画像情報記憶部115は、画像抽出部114により抽出された情報を送信候補として記憶する。
【0020】
画像情報送信部116は、送信画像情報記憶部115から情報を取得し、送信部117へ送る。
【0021】
送信部117は、画像情報送信部116から情報を受けると、情報を送信する。
【0022】
なお、データ抽出装置110は、情報取得部111、画像解析部112、抽出距離判定部113、および、画像抽出部114によって構成された例を説明するが、さらに、データ送信装置100のうちの、送信画像情報記憶部115、画像情報送信部116、および、送信部117のうちの少なくともいずれか、または、全部を含んでもよい。
【0023】
サーバ400は、例えば、画像を用いて道路および構造物を診断する機能を有するサーバである。
サーバ400は、受信部401、画像情報蓄積部402、画像情報記憶部403、を備えている。
なお、サーバ400は、データ送信装置100により送信された画像を用いて解析等の処理を行うものであればよく、上記例に限定されない。
【0024】
データ送信装置100のハードウェア構成について説明する。
図2Aおよび
図2Bはそれぞれ、データ送信装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2Aに示す通り、データ送信装置100は、プロセッサ1001、第1メモリ1002、 第2メモリ1003、送信機1004、により構成される。
プロセッサ1001、第1メモリ1002、第2メモリ1003は、例えば、コンピュータに搭載されているものである。
第1メモリ1002には、当該コンピュータを、データ抽出装置110、画像情報送信部116、および、図示しない制御部として機能させるためのプログラムが記憶されている。第1メモリ1002に記憶されたプログラムをプロセッサ1001が読み出して実行することにより、データ抽出装置110、画像情報送信部116、および、図示しない制御部の機能が実現される。
第2メモリ1003は、送信画像情報記憶部115を実現する。
送信機1004は、画像情報送信部116、および、送信部117を実現する。
【0025】
プロセッサ1001は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はDSP(Digital Signal Processor)などを用いたものである。
【0026】
第1メモリ1002および第2メモリ1003は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスク又はフレキシブルディスク等の磁気ディスクであってもよいし、CD(Compact Disc)又はDVD(Digital VersatileDisc)等の光ディスクであってもよいし、光磁気ディスクであってもよい。
【0027】
または、
図2Bに示す通り、データ抽出装置110、画像情報送信部116、および、図示しない制御部の機能が専用の処理回路1005により実現されるものであっても良い。
【0028】
処理回路1005は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System-on-a-Chip)またはシステムLSI(Large-Scale Integration)等を用いたものである。
なお、データ抽出装置110、画像情報送信部116、および、図示しない制御部の機能をそれぞれ別の処理回路で実現しても良いし,まとめて処理回路で実現しても良い。
【0029】
または、データ抽出装置110、画像情報送信部116、および、図示しない制御部のうちの一部の機能がプロセッサ1001および第1メモリ1002により実現され、かつ、残りの機能が処理回路1005により実現されるものであっても良い。
【0030】
図3は、実施の形態1に係るデータ抽出装置110およびデータ送信装置100を含むデータ転送システム1の処理を示すフローチャートである。
データ転送システム1において、撮像部200およびセンサ部300はそれぞれ、情報を生成する(ステップST10)。
具体的には、撮像部200は、車両から車両外を撮像し、撮像した画像を出力する。また、センサ部300は、各センサの測定結果を示す情報を出力する。
センサ部300は、例えば、撮像部200が撮像した時点における、位置を示す位置情報、撮像時刻、車速情報を出力する。
撮像部200およびセンサ部300が情報を出力すると、ステップST20へ進む。
ステップST20は、データ抽出装置110の処理である。
ステップST20において、データ抽出装置110は、情報取得部111が情報を取得する(ステップST21)。
データ抽出装置110において、画像解析部112は、抽出距離判定部113と連携して、情報を解析する(ステップST22)。
画像抽出部114は、画像解析部112から解析結果を受ける。画像抽出部114は、解析結果を用いて、情報取得部111から情報を抽出し(ステップST23)、抽出した情報を、送信画像情報記憶部115へ記憶させる。
送信画像情報記憶部115が情報を記憶すると、画像情報送信部116は、送信画像情報記憶部115から情報を取得し、送信部117へ送る。
送信部117は、画像情報送信部116から情報を受けると、情報を送信する(ステップST30)。
データ送信装置100から情報が送信されると、サーバ400において、受信部401が情報を受信し、画像情報蓄積部402、および、画像情報記憶部403によって、受信された情報が記憶され、図示しない診断処理部により情報を用いて診断が実行される(ステップST40)。
【0031】
図4は、
図3における情報取得の処理を示すフローチャートである。
情報取得部111は、情報取得処理の繰り返し処理を開始すると、撮像部200により撮像された画像およびセンサによる測定結果を示す測定情報を取得する(ステップST101)。
具体的には、自車両の位置を示す測定情報、自車両の速度を示す測定情報および時刻を示す測定情報、および、自車両の加速度を示す測定情報のうちのいずれかを取得する。
情報取得部111は、前回情報が抽出された時点における情報(画像および測定結果を示す測定情報)と、今回取得した情報と、を用いて走行距離を算出する(ステップST102)。
情報取得部111は、画像、今回の測定結果を示す測定情報、および、走行距離を記憶する(ステップST103)。
情報取得部111は、例えば、情報取得を終了する指令を受けるまで、処理を繰り返す。
【0032】
図5は、
図3における情報解析の処理および情報抽出の処理を示すフローチャートである。
データ抽出装置110は、例えば、情報解析処理および情報抽出処理を開始する指令を受けると、処理を開始する。
画像解析部112は、解析対象の情報を決定する(ステップST201)。
具体的には、例えば、画像解析部112は、前回のサーバ400への送信画像を示す情報を記憶しておき、情報取得部111が取得した情報に対し、前回の送信画像の撮影地点からの走行距離を取得順(撮影順)に確認していく。
画像解析部112は、前回の送信画像の撮影地点からの走行距離が、前回の送信画像における抽出距離を超えず、抽出距離に最も近くなる撮影画像を取得し、解析対象とする。
【0033】
画像解析部112は、解析対象の情報が複数あるかを判定する(ステップST202)。
具体的には、画像解析部112は、例えば、自車の停止などにより、該当する撮影画像が複数存在する場合、その複数の撮影画像を取得し、解析対象に決定した場合、解析対象の情報があると判断する。
【0034】
画像解析部112は、解析対象が複数であると判定した場合(ステップST202“YES”)、複数の解析対象に対して順番に解析処理を繰り返す。
画像解析部112は、遮蔽物距離を算出する(ステップST203)。
全解析対象に対する解析処理が終了した場合は、繰り返し処理が終了する。
全解析対象の遮蔽物距離に基づいて、解析対象の情報の中から送信候補を決定する(ステップST204)。
具体的には、画像解析部112は、例えば、各画像の遮蔽物距離を比較し、遮蔽物距離が最も大きい画像を、送信候補の画像に決定する。以下、説明においては、以降の処理に用いる遮蔽物距離には、送信候補となった画像の遮蔽物距離を用いる。
画像解析部112は、解析対象が複数ないと判定した場合(ステップST202“NO”)、遮蔽物距離を算出する(ステップST205)。
具体的には、例えば、画像解析部112は、解析対象の撮影画像が一つの場合、撮影画像における、撮影始点から、最も手前の遮蔽物までの遮蔽物距離を、画像認識により算出する。
遮蔽物の認識は、既存の車両、歩行者などを認識する機能を用いることで実現できる。
遮蔽物距離の算出は、予め画像の縦方向および横方向の長さと現実における距離の相関情報を保有しておき、相関関係を用いて実現することができる。また、LiDARなどの測距装置の情報と組み合わせて実施してもよい。また、他の既知の技術を用いた方法でもよい。
そして、画像解析部112は、解析対象の情報を送信候補の情報に決定する(ステップST206)。
画像解析部112は、算出した送信候補の画像における遮蔽物距離を、抽出距離判定部113に通知する。
抽出距離判定部113は、遮蔽物距離が、第一の距離以上であるかを判定する(ステップST207)。
抽出距離判定部113は、遮蔽物距離が第一の距離以上であると判定した場合(ステップST207“YES”)、第一の距離を次の抽出距離に決定する(ステップST208)。
抽出距離判定部113は、遮蔽物距離が第一の距離以上でないと判定した場合(ステップST207“NO”)、遮蔽物距離を次の抽出距離に決定する(ステップST209)。
抽出距離判定部113は、決定した抽出距離を、画像解析部112に通知する。
画像解析部112は、送信候補の情報および抽出距離を、画像抽出部114に通知する。
画像抽出部114は、画像解析部112から通知を受けると、送信候補の情報および抽出距離に基づいて、情報取得部111から情報を抽出し、抽出した情報を送信画像情報記憶部115に記憶させる(ステップST210)。
このとき、画像抽出部114は、撮影始点から、抽出距離進んだ位置までの領域だけを抜き出して、送信候補の情報として記憶させてもよい。これにより、最低限の画像だけを送信することになるため、通信量を削減できる。
また、送信候補の画像を撮影した時点でセンサ部300から取得した情報も、情報取得部111から取得し、送信候補の情報に加えて記憶させてもいい。
データ抽出装置110においては、情報解析および情報抽出を終了する指令があるまで情報解析および情報抽出を繰り返す。
【0035】
図6は、
図3における情報送信の処理を示すフローチャートである。
データ送信装置100における画像情報送信部116は、送信画像情報記憶部115に情報が記憶されると、情報を取得する(ステップST301)。
画像情報送信部116は、送信部117へ情報を送る。
送信部117は、情報をサーバ400へ送信する(ステップST302)。
画像情報送信部116および送信部117は、送信画像情報記憶部115に送信用の情報がなくなると繰り返し処理を終了する。
【0036】
図7は、
図6に示す処理により送信された情報を受信する処理を示すフローチャートである。
サーバ400は、受信部401を介して、データ送信装置100から情報を受信する(ステップST401)。
サーバ400における画像情報蓄積部402は、受信した情報を、画像情報記憶部403に保存する。(ステップST402)
サーバ400においては、ステップST401からステップST402の処理を、定期的に繰り返す。
【0037】
図8は、実施の形態1に係るデータ抽出装置110の処理のイメージの一例を示す図である。
図8において、時刻t
0から時刻t
3までにおいて、時刻t
0と時刻t
3とで画像を抽出する場合の、撮像時の状況(上段)と、撮像された画像(下段)との推移を示している。
図において、点Aは時刻t
0における撮像部200に最も近い位置(撮像開始位置)を示している。点Bは時刻t
0における先行車両1102が遮蔽物となっている場合の遮蔽物位置を示している。矢印Cは遮蔽物距離を示している。矢印Dは第一の距離を示している。矢印Eは抽出距離を示している。
時刻t
0において点Aから点Bまでの遮蔽物距離Cの間が撮像された画像を抽出し、時刻t
1、時刻t
2と経過するにしたがって点Bが自車両に近づいて、時刻t
3になると、点Bが撮像部200に最も近い位置である点A´になる。このときの画像および測定情報を抽出するとともに、時刻t
3における点A´から遮蔽物の位置(点B´)に基づく抽出距離(矢印E´)を算出して次の抽出距離とすることで、区間が抜けていない画像を抽出することができる。
【0038】
図9は、実施の形態1に係るデータ抽出装置110の処理のイメージの別の一例を示す図である。
図9は、例えば、交差点において自車両1101が停止する場合に、交差する道路を先行車両1103が横切る状況を示している。この場合、データ抽出装置110は、自車両1101が停止している間における、複数の画像を解析対象として、それぞれの解析対象における遮蔽物距離Cを算出し、最も遮蔽物距離Cが長い状況(C=∞:遮蔽物がない)の画像を抽出することができる。
【0039】
このように、すべての撮影画像を送信するよりも通信量を削減し、また、道路・構造物が遮蔽物に覆われずに、かつ、区間の抜けなく、道路・構造物を撮影した画像をサーバ400に送信することができる。
また、通信量削減に関し、遮蔽物までの領域のみを抜き出した画像を送信した場合には、区間の抜けや重複なく送信する最低限の通信量となるため、通信量を削減することができる。
【0040】
上述のとおり、本開示に係るデータ抽出装置は、車両に載置された撮像装置により車外を撮像した画像の中から、車両が抽出距離の分進むごとに送信用の画像を抽出するデータ抽出装置であって、車外を撮像した画像を取得する情報取得部と、前回抽出された画像が撮像された位置から、抽出距離の分、進んだ位置で撮像された画像を解析対象とし、当該解析対象の画像における撮像装置に最も近い位置から当該画像に撮像された遮蔽物までの、実際の距離を示す遮蔽物距離を算出する画像解析部と、遮蔽物距離を次回の抽出距離として出力する抽出距離判定部と、画像解析部が解析対象とした画像を出力する画像抽出部と、を備えるよう、構成した。
これにより、通信量を削減するとともに、取得した情報の中から、遮蔽物が存在しない状況における情報を抽出する、データ抽出装置を提供できる、という効果を奏する。
【0041】
また、本開示に係るデータ抽出装置は、さらに、抽出距離判定部は、遮蔽物距離が第一の距離未満である場合に、遮蔽物距離を次回の抽出距離として出力する、ように構成した。
これにより、取得した情報の中から、例えば、解析可能な情報で、かつ、遮蔽物が存在しない状況における情報を抽出する、データ抽出装置を提供できる、という効果を奏する。
【0042】
また、本開示に係るデータ抽出装置は、さらに、抽出距離判定部は、遮蔽物距離が、予め決められた第一の距離未満である場合に、遮蔽物距離を次回の抽出距離として出力し、遮蔽物距離が第一の距離以上である場合に、第一の距離を次回の抽出距離として出力する、ように構成した。
これにより、取得した情報の中から、例えば、解析可能な情報で、かつ、遮蔽物が存在しない状況における情報を抽出する、データ抽出装置を提供できる、という効果を奏する。
【0043】
実施の形態2.
実施の形態2に係るデータ抽出装置110aおよびデータ送信装置100aについて、
図10から
図12を用いて説明する。
実施の形態2に係るデータ転送システム1aは、実施の形態1に係るデータ転送システム1のデータ抽出装置110を、データ抽出装置110aに変更した点で異なる。
データ抽出装置110aは、抽出するタイミングにおいて、蓄積された情報も含めて解析し、情報を抽出する点で、データ抽出装置110aと異なる。
【0044】
図10は、実施の形態2に係るデータ抽出装置110a、データ送信装置100a、および、これを含むデータ転送システム1aの構成を示す図である。
図11は、実施の形態2に係るデータ抽出装置110aの処理を示すフローチャートである。
図12は、実施の形態2に係るデータ抽出装置110aの処理のイメージの一例を示す図である。
図10に示すデータ抽出装置110aは、
図1に示すデータ抽出装置110の画像解析部112、抽出距離判定部113、および、画像抽出部114、を、画像解析部112a、抽出距離判定部113a、および、画像抽出部114a、に置き換えて構成されている。
以下、説明において、
図1に示すデータ抽出装置110と異なる点を説明し、
図1に示すデータ抽出装置110と同一または同等の内容については説明を省略する。
【0045】
画像解析部112aは、画像解析部112aが抽出した画像に係る抽出距離が第一の距離未満である場合、前回の抽出から今回の抽出までの間に、前記情報取得部が取得した画像それぞれにおいて、画像内の撮像開始位置から最も近い遮蔽物までの遮蔽物距離と、前回の抽出した画像における撮像開始位置から抽出距離の分進んだ位置までの距離とを算出する。
【0046】
抽出距離判定部113aは、抽出距離に対して、撮影開始位置から前回の送信画像における撮影開始位置から前回の抽出距離の分進んだ位置までの距離を引いた算出距離を算出する。
【0047】
画像抽出部114aは、さらに、算出距離が最も大きいと判定した画像を送信候補として抽出する。
【0048】
実施の形態2のデータ抽出装置110aを含むデータ送信装置100aのハードウェア構成は、実施の形態1に記載の構成部と機能が異なるだけであり、実施の形態1と同等であるため、詳細な説明を省略する。
【0049】
図11におけるステップST201からステップST209までの処理は、
図5に示すステップST201からステップST209までの処理と同じであるため、詳細な説明を省略する。
抽出距離判定部113aが遮蔽物距離を次の抽出距離に決定し(ステップST209)、画像解析部112aに通知すると、画像解析部112aは、決定された抽出距離が第一の距離と等しいか(抽出距離=第一の距離?)を判定する(ステップST220)。これにより、画像内の撮像開始位置から第一の距離までの間に、遮蔽物が存在するかを判定することができる。
【0050】
ステップST220において、抽出距離が第一の距離と等しい場合(ステップST220“YES”)、ステップST210へ進む。ステップST210は、
図11に示すステップST210と同じであるため、以降の説明を省略する。
【0051】
ステップST220において、画像解析部112aは、抽出距離が第一の距離と等しくない場合(ステップST220“NO”)、解析対象を決定する(ステップST221)。
この場合、
図12に示すように、過去の撮影画像を見返すと遮蔽物に覆われていない領域がもっと大きい画像(時刻t
-2に撮像された画像)が存在する可能性がある。
画像解析部112aは、具体的には、情報取得部111が保持する情報の中から、前回抽出して送信候補にした画像から、今回の送信候補までの画像、および、画像間の走行距離を取得し、解析対象に決定する。
【0052】
画像解析部112aは、全解析対象に対する解析処理を繰り返す。
画像解析部112aは、遮蔽物距離および前回送信時以降の抽出距離を用いた距離を算出する(ステップST222)。
具体的には、画像解析部112aは、解析対象の各画像に対し、画像認識により以下を算出する。算出した値は、各撮影画像を示す情報と共に、抽出距離判定部113aに通知する。
・撮影開始位置から、最も手前の遮蔽物までの遮蔽物距離
・撮影開始位置から、前回抽出した画像における撮影開始位置から抽出距離だけ進んだ位置までの距離
※後者は、送信候補の画像を撮像した位置から戻った分の走行距離に該当する。
【0053】
抽出距離判定部113aは、遮蔽物距離が第一の距離以上であるか判定する(ステップST223)。
具体的には、抽出距離判定部113aは、通知された各画像に対し、まず、遮蔽物距離が、第一の距離以上か(遮蔽物距離≧第一の距離?)を判定する。
【0054】
抽出距離判定部113aは、遮蔽物距離が第一の距離以上であると判定した場合(ステップST223“YES”)、第一の距離を抽出距離に決定する(ステップST224)。
【0055】
抽出距離判定部113aは、遮蔽物距離が第一の距離以上でない、すなわち、遮蔽物距離が第一の距離未満であると判定した場合(ステップST223“NO”)、遮蔽物距離を抽出距離に決定する(ステップST225)。
【0056】
抽出距離判定部113aは、ステップST224またはステップST225の処理を実行すると、次に、算出距離を計算により求める。
【0057】
抽出距離判定部113aは、決定した抽出距離(
図12における矢印E)から、撮影開始位置から前回抽出した画像における撮影開始位置から抽出距離だけ進んだ位置までの距離(
図12における矢印G)を、引いた値(
図12における矢印Fに相当する値)を算出する(以降、算出距離と記載する)。
【0058】
抽出距離判定部113aは、全解析対象に対する解析処理が終了した場合は、繰り返し処理を終了し、ステップST227の処理へ進む。
【0059】
抽出距離判定部113aは、ステップST227において、算出距離(
図12における矢印F)が最大(max)になる情報を送信候補に決定し、次回の抽出距離を決定する(ステップST228)。
具体的には、抽出距離判定部113aは、通知された各撮影画像の分だけ、抽出距離、算出距離を算出すると、算出距離が最も大きい撮影画像を、送信候補に再決定する。
抽出距離判定部113aは、送信候補に再決定した撮影画像の抽出距離を、次の送信候補を決定するための抽出距離とする。
【0060】
抽出距離判定部113aは、画像解析部112aに対し、送信候補に再決定した画像を示す情報、抽出距離、および、算出距離を通知する。
【0061】
画像解析部112aは、通知された抽出距離を、次の送信候補を決定するために記憶しておき、送信候補に再決定した画像を示す情報、算出距離を、画像抽出部114aに通知する。
【0062】
画像抽出部114aは、送信候補に再決定された情報を記憶させる(ステップST229)。
具体的には、画像抽出部114aは、画像解析部112aから通知された、送信候補に再決定された撮影画像を、情報取得部111から抽出し、送信候補の情報として、送信画像情報記憶部115に記憶させる。
この時、算出距離の領域だけを抜き出して、送信候補の情報として保存してもよい。これにより、最低限の画像だけを送信することになるため、通信量を削減できる。
また、画像抽出部114aは、送信候補に再決定した画像を撮影した時点でセンサ部300から取得した情報も、情報取得部111から取得し、送信候補の情報に加えてもいい。
以上の処理を、情報取得部111にて画像が保持されている間に、定期的に繰り返し行う。
【0063】
上記処理のイメージを説明する。
図12に示すように、例えば、横から先行車両1104が割り込んできた場面にて、過去(時刻t
-1、時刻t
-2)の画像の中に、先行車両1104が割り込んでくる前の撮影画像が存在すれば、先行車両1104が割り込んだ撮影画像における、道路・構造物が遮蔽物に覆われていない領域よりも、過去の撮影画像(時刻t
-2に撮像された画像)の方が、道路・構造物が遮蔽物に覆われていない領域が大きい(遮蔽物距離C
-2=∞)。そこで、データ抽出装置110aは、過去の撮影画像も含めて、遮蔽物に覆われていない領域が最も大きい撮影画像を送信画像に決定するものを想定している。
以上により、過去の撮影画像も含めて、遮蔽物に覆われていない領域が最も大きい画像を送信候補に決定することができる。
【0064】
上述のとおり、本開示に係るデータ抽出装置は、画像解析部は、解析対象にした画像に係る抽出距離が第一の距離未満である場合、前回の抽出から今回の抽出までの間に、情報取得部が取得した画像それぞれにおいて、画像内の撮像開始位置から最も近い遮蔽物までの遮蔽物距離と、前回の抽出した画像における撮像開始位置から抽出距離の分進んだ位置までの距離とを算出し、抽出距離判定部は、抽出距離に対して、撮影開始位置から前回の送信画像における撮影開始位置から前回の抽出距離の分進んだ位置までの距離を引いた算出距離を算出して、算出距離が最も大きいと判定した画像を送信候補に決定し、画像抽出部は、抽出距離判定部が決定した送信候補の画像を抽出する、ように構成した。
これにより、遮蔽物に覆われていない領域が最も大きい画像を送信候補に決定する、データ抽出装置を提供できる、という効果を奏する。
【0065】
実施の形態3.
実施の形態3においては、自車両の走行中において遮蔽物が動かない場合に、現在の遮蔽物を対象にすることに変え、次の遮蔽物を対象にして情報を抽出する形態を説明する。
【0066】
図13は、実施の形態3に係るデータ抽出装置110b、データ送信装置100b、および、これを含む診断システムの構成を示す図である。
図13に示すデータ抽出装置110bは、
図1に示すデータ抽出装置110の画像解析部112、および、画像抽出部114、を、画像解析部112b、および、画像抽出部114b、に置き換えて構成されている。
また、
図13に示すデータ抽出装置110bは、
図10に示すデータ抽出装置110aの画像解析部112a、および、画像抽出部114a、を、画像解析部112b、および、画像抽出部114b、に置き換えて構成されている。
以下、説明において、
図1に示すデータ抽出装置110および
図10に示すデータ抽出装置110aと異なる点を説明し、
図1または
図10に示す内容と同一または同等の内容については説明を省略する。
【0067】
画像解析部112bは、抽出距離がゼロである場合、遮蔽物が覆っている遮蔽領域の位置情報を算出するとともに、前記遮蔽物の次の遮蔽物を対象として遮蔽物距離を算出する。
画像抽出部114bは、遮蔽領域の位置情報を、抽出した画像とともに送信候補として抽出する。
【0068】
実施の形態3のデータ抽出装置110bを含むデータ送信装置100bのハードウェア構成は、実施の形態1に記載の構成部と機能が異なるだけであり、実施の形態1と同等であるため、詳細な説明を省略する。
【0069】
図14は、実施の形態3に係るデータ抽出装置110bの処理を示すフローチャートである。
図15は、実施の形態3に係るデータ抽出装置110bの処理のイメージの一例を示す図である。
実施の形態3に係るデータ抽出装置110bの処理は、実施の形態1において説明した
図5に示すステップST209とステップST210との間に、ステップST231を追加し、ステップST231からステップST210に代わる処理(ステップST232、ステップST233、および、ステップST234)に進むものを想定している。
また、実施の形態3に係るデータ抽出装置110bの処理は、実施の形態2において説明した
図11Bに示すステップST228とステップST229との間に、ステップST231を追加し、ステップST231からステップST229に代わる処理に進むものを想定している。
図14においては、
図5に示す処理および
図11Aと
図11Bに示す処理と同じ処理について、詳細な記載を省略している。
以下、説明においては、ステップST231、ステップST232、ステップST233、および、ステップST234について詳細に説明する。
【0070】
データ抽出装置110bにおいて、データ抽出装置110と同等の処理を行うものである場合、
図5に示すステップST209までの処理を実行した後、ステップST231へ進む。
データ抽出装置110bにおいて、データ抽出装置110aと同等の処理を行うものである場合、ステップST228までの処理を実行した後、ステップST231へ進む。
【0071】
ステップST231において、記憶される情報に係る抽出距離がゼロより大きいかを判定する。
具体的には、画像解析部112bは、抽出距離判定部113(または抽出距離判定部113a)から受け取った、送信候補の画像における抽出距離が、ゼロより大きいか判定する。
画像解析部112bは、抽出距離がゼロより大きいと判定した場合(ステップST231“YES”)、撮影開始位置から撮影方向に向かって遮蔽物に覆われていない領域が存在することになるため、再調査領域を通知する必要はなく、
図5に示すステップST210または
図11Bに示すステップST229の処理に進む。
【0072】
画像解析部112bは、ステップST231において、記憶される情報に係る抽出距離がゼロであると判定した場合(ステップST231“NO”)、遮蔽物による遮蔽領域の位置を算出する(ステップST232)。
これは、
図15に示すように、抽出距離がゼロ(抽出距離E=0)の場合、撮影開始位置と同じ位置に遮蔽物(
図15における停止車両1105)が存在し、該当遮蔽物が覆う領域が見える撮影画像は存在しない。つまり、今回の走行ではその領域を遮蔽物に覆われていない状態で撮影画像から見ることはできず、いずれ再調査する必要があることを示す。
画像解析部112bは、画像認識により、送信候補の画像における、撮影開始位置から最も手前の遮蔽物が覆う遮蔽領域の位置を算出する。
遮蔽領域の範囲は、撮影始点中心からの遮蔽物の頂点への画像中の移動距離がわかれば、実際の距離との相関情報と自車両の位置から遮蔽領域を算出できる。(
図15の最下段の図参照)
【0073】
画像解析部112bは、処理対象の遮蔽物(
図15における停止車両1105)を処理対象から除外する(ステップST233)。
具体的には、画像解析部112bは、次回処理時には、該当遮蔽物を無視し、該当遮蔽物の次に近い遮蔽物に対し、処理を行うことに決定する。
また、画像解析部112bは、送信候補の画像を示す情報、遮蔽領域の位置情報を、画像抽出部114bに通知する。
【0074】
画像抽出部114bは、情報とともに遮蔽領域の位置を記憶させる(ステップST234)。
具体的には、画像抽出部114bは、通知された送信候補の撮影画像を、情報取得部111から抽出取得し、遮蔽領域の位置情報とともに、送信候補の情報として、送信画像情報記憶部115に記憶させる。
この時、画像抽出部114bは、送信候補の画像を撮影した時点でセンサ部300から取得した情報も、情報取得部111から取得し、送信候補の情報に加えてもいい。
また、送信候補の画像は含めず、遮蔽領域の位置情報だけでもよい。
以上の処理を、情報取得部111にて前回の送信画像が保持されている間に、定期的に繰り返し行う。
以上により、実施の形態1、または、実施の形態2を実施しても遮蔽物に覆われていない画像が存在しない場合、該当遮蔽物が覆っている領域を再調査領域として通知することができる。
【0075】
上述のとおり、本開示に係るデータ抽出装置は、画像解析部は、抽出距離がゼロである場合、遮蔽物が覆っている遮蔽領域の位置情報を算出するとともに、遮蔽物の次の遮蔽物を対象として遮蔽物距離を算出し、画像抽出部は、遮蔽領域の位置情報を、抽出した画像とともに送信候補として抽出する、ように構成した。
これにより、遮蔽物が覆っている領域を再調査領域として通知する情報を抽出する、データ抽出装置を提供できる。
【0076】
実施の形態4.
実施の形態4においては、必要な情報を抽出できるように、車間距離を空けるように通知する形態を説明する。実施の形態4のデータ抽出装置110cは、実施の形態1、実施の形態2、または、実施の形態3を実施して抽出距離が予め定められた第二の距離未満の場合,先行車両との車間距離を第三の距離以上空けるようにして、送信負荷を下げようとするものである。
【0077】
図16は、実施の形態4に係るデータ抽出装置110c、データ送信装置100c、および、これを含む診断システムの構成を示す図である。
図17は、実施の形態4に係るデータ抽出装置110cの処理を示すフローチャートである。
図18は、実施の形態4に係るデータ抽出装置110cの処理のイメージの一例を示す図である。
【0078】
図16に示すデータ抽出装置110cは、
図1に示すデータ抽出装置110の画像解析部112を、画像解析部112cに置き換えて構成されている。また、車間距離調整部131が付加されているものである。
図16に示すデータ抽出装置110cは、
図10に示すデータ抽出装置110aの画像解析部112aを、画像解析部112cに置き換えて構成されている。また、車間距離調整部131が付加されているものである。
図16に示すデータ抽出装置110cは、
図13に示すデータ抽出装置110bの画像解析部112bを、画像解析部112cに置き換えて構成されている。また、車間距離調整部131が付加されているものである。
以下、説明において、
図1に示すデータ抽出装置110、
図10に示すデータ抽出装置110a、または、
図13に示すデータ抽出装置110b、と異なる点を説明し、
図1、
図10または
図13に示す内容と同一または同等の内容については説明を省略する。
【0079】
データ抽出装置110cは、さらに、車間距離調整部131を備えている。
車間距離調整部131は、抽出距離が第二の距離未満である場合、車両と前記車両の先行車両との車間距離を第三の距離以上空けるように通知する、または、車間距離を第三の距離以上空けられるように制御を指示する。
第二の距離は、
図18に示すように、送信画像数が少なくなるような距離であり、例えば、第一の距離以下の距離である。
第三の距離は、第二の距離と同様に、送信画像数が少なくなるような距離であり、例えば、第一の距離以上の距離である。
【0080】
車間距離調整部131は、外部の通知装置およびACC(Auto Cruise Control)における車間距離制御部700に接続されている。
具体的には、外部の通知装置は、スピーカー500といった音声出力装置、および、ディスプレイ600といった表示装置の少なくとも一方である。
【0081】
実施の形態4のデータ抽出装置110cを含むデータ送信装置100cのハードウェア構成は、実施の形態1に記載の構成と同等の構成部の機能に加え、さらに、車間距離調整部131の機能を付加した構成であり、実施の形態1と同等であるため、詳細な説明を省略する。
【0082】
実施の形態4のデータ抽出装置110cによる処理のイメージを説明する。
図18に示すように、抽出距離が小さい場合は、大きい場合と比較して、サーバ400に送信する画像の数が増加する。そのため、抽出距離が一定(第二の距離)より小さい場合は、車間距離を空けるよう自車両を通知または制御し、サーバ400に送信する画像の数を低減させることで、送信負荷を下げることを目的とする。
【0083】
実施の形態4に係るデータ抽出装置110cの処理を説明する。
実施の形態4に係るデータ抽出装置110cの処理は、実施の形態1において説明した
図5に示すステップST209とステップST210との間に、ステップST241からステップST243の処理を追加するものを想定している。
また、実施の形態4に係るデータ抽出装置110cの処理は、実施の形態2において説明した
図11Bに示すステップST228とステップST229との間に、ステップST241からステップST243の処理を追加するものを想定している。
また、実施の形態4に係るデータ抽出装置110cの処理は、実施の形態3において説明した
図14に示すステップST233とステップST234との間に、ステップST241からステップST243の処理を追加するものを想定している。
図17においては、
図5に示す処理、
図11Aと
図11Bに示す処理、および、
図14に示す処理と同じ処理については、詳細な記載を省略している。
以下、説明においては、ステップST241、ステップST242、および、ステップST243について詳細に説明する。
【0084】
画像解析部112cは、抽出距離が第二の距離以上であるかを判定する(ステップST241)。
抽出距離が第二の距離以上である場合(ステップST241“YES”)、ステップST210、ステップST229、または、ステップST234の処理に進む。
【0085】
第二の距離未満の場合は、遮蔽物が先行車両であれば、車間距離が比較的小さいことを示している。そこで、画像解析部112cは、抽出距離が第二の距離未満である場合(ステップST241“NO”)、車間距離調整部に対し、先行車両との車間距離を一定以上空けるよう指示する。
車間距離調整部は、画像解析部112cからの指示を受けて、運転者に通知する(ステップST242)とともに、車両制御情報を生成し出力する(ステップST243)
具体的には、車間距離調整部は、先行車両との車間距離を、予め定められた第三の距離以上空けるよう、スピーカー500、または、ディスプレイ600を介して、運転者に通知する。
もしくは、車間距離調整部は、先行車両との車間距離を、予め定められた第三の距離以上空けるように、ACC制御機能などの車間距離制御部700を用いて、自車両を制御する。
ここでは、あくまで先行車両との車間距離の調整を行うため、抽出距離が第二の距離未満であっても、遮蔽物が先行車両以外であれば、その遮蔽物との距離を調整することはないため、歩行者、軽車両、停止車両などに対して車間距離を空けることはない。
【0086】
ステップST242、および、ステップST243の処理が終わると、ステップST210、ステップST229、または、ステップST234の処理に進む。
【0087】
なお、実施の形態4に係るデータ抽出装置110cに関し、距離を一定以上空けるのはあくまで先行車両に対してである。なお、歩行者、軽車両、停止車両などに対しては、自車両が追い越すことが多いため、遮蔽物の種類を検出して遮蔽物の種類に応じて、車間距離を空けるかを判定するようにしてもよい。
以上の処理を、情報取得部111にて前回抽出した画像が保持されている間に、定期的に繰り返し行う。
【0088】
以上により、先行車両との車間距離を一定以上空けるように制御し、送信負荷を下げることができる。
【0089】
上述のとおり、本開示に係るデータ抽出装置は、抽出距離が第二の距離未満である場合、前記車両と前記車両の先行車両との車間距離を第三の距離以上空けるように通知する、または、前記車間距離を前記第三の距離以上空けられるように制御を指示する車間距離調整部を備えるように構成した。
これにより、先行車両との車間距離を一定以上空けた状態において取得した情報が送信されるため、送信回数が減り、送信負荷を低減させることができる、という効果を奏する。また、送信回数が減ることにより、通信量も削減される。
【0090】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示に係るデータ抽出装置は、車両から遮蔽物までの距離に応じて、送信用の情報を抽出する抽出距離が変化するので、車両に搭載された装置で取得された情報の中から送信用の情報を抽出して送信する、データ送信装置等に用いるのに適している。
また、車両に搭載された装置で取得された画像を用いて道路および構造物の状態を診断する、診断システム等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0092】
1,1a,1b,1c データ転送システム、100,100a,100b,100c データ送信装置、110,110a,110b,110c データ抽出装置、111 情報取得部、112,112a,112b、112c 画像解析部、113,113a 抽出距離判定部、114,114a,114b 画像抽出部、115 送信画像情報記憶部、116 画像情報送信部、117 送信部、131 車間距離調整部、200 撮像部、300 センサ部、301 自車位置センサ、302 車速センサ、303 加速度センサ、304 時刻センサ、305 照度センサ、306 気象センサ、307 生体センサ、400 サーバ、401 受信部、402 画像情報蓄積部、403 画像情報記憶部、500 スピーカー、600 ディスプレイ、700 車間距離制御部、1001 プロセッサ、1002 第1メモリ、1003 第2メモリ、1004 送信機、1005 処理回路、1101 自車両、1102,1103,1104,1106 先行車両、1105 停止車両、1200道路。