(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/34 20120101AFI20250207BHJP
【FI】
G06Q50/34
(21)【出願番号】P 2021007902
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】516060406
【氏名又は名称】株式会社豊崎会計事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】518193940
【氏名又は名称】一般社団法人LS総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】518363554
【氏名又は名称】ベストライト・インヴェストメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】豊▲崎▼ 修
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-108594(JP,A)
【文献】特開2020-135366(JP,A)
【文献】特開2020-075036(JP,A)
【文献】特開2020-027608(JP,A)
【文献】特開2019-063164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギャンブルの利用の主体となるユーザを支援する情報処理装置において、
前記ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を示す情報を、第1情報として取得する第1取得手段と、
前記ユーザによる前記
ギャンブルの利用の状況を示す情報を、第2情報として取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段により取得された前記第1情報に基づいて、前記ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態のうち少なくとも一部にネガティブな兆候があるか否かの第1判断を実行し、前記第1判断によりネガティブな兆候があると判断された場合、その要因が前記
ギャンブルの利用に起因するものであるか否かの第2判断を実行する判断手段と、
前記第2判断の結果が、ネガティブな兆候の要因が前記
ギャンブルの利用に起因するものであるという結果の場合、前記第1取得手段により取得された前記第1情報と、前記第2取得手段により取得された前記第2情報との組み合わせに基づいて、前記ユーザによる前記
ギャンブルの利用の状況が当該ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態のうち少なくとも一部に与える影響を示す情報を、第3情報として生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記第3情報を前記ユーザに報知する制御を実行する報知制御手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第2取得手段は、
前記ユーザによる前記
ギャンブルの利用としての遊技の状況を示す情報を、前記第2情報として取得し、
前記生成手段は、
前記第3情報として、前記ユーザによる前記遊技の状況が当該ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態のうち少なくとも一部に与える影響を示す情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記遊技は、オンラインによる前記ユーザの利用を可能とし、
前記第2取得手段は、
前記第2情報として、前記ユーザによる前記遊技の状況に応じて当該ユーザに付与されるトークンの量を示す情報を取得し、
前記第1情報及び前記第2情報の管理が、ブロックチェーン技術又は分散台帳を用いて行われる、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成手段により生成された前記第3情報に基づいて、前記ユーザの前記身体的状態、精神的状態、及び経済的状態のうち少なくとも一部を改善させるための所定の措置の実行を制御する改善措置制御手段をさらに備える、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記改善措置制御手段は、
前記所定の措置として、前記ユーザによる前記
ギャンブルの利用を制限する措置と、前記ユーザの健康を改善させるための措置と、前記ユーザの経済的状況を改善させるための措置とのうち少なくとも1の措置の実行を制御する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ギャンブルの利用の主体となるユーザを支援する情報処理装置が実行する情報処理方法において、
前記ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を示す情報を、第1情報として取得する第1取得ステップと、
前記ユーザによる前記
ギャンブルの利用の状況を示す情報を、第2情報として取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップの処理により取得された前記第1情報に基づいて、前記ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態のうち少なくとも一部にネガティブな兆候があるか否かの第1判断を実行し、前記第1判断によりネガティブな兆候があると判断された場合、その要因が前記
ギャンブルの利用に起因するものであるか否かの第2判断を実行する判断ステップと、
前記第2判断の結果が、ネガティブな兆候の要因が前記
ギャンブルの利用に起因するものであるという結果の場合、前記第1取得ステップの処理により取得された前記第1情報と、前記第2取得ステップの処理により取得された前記第2情報との組み合わせに基づいて、前記ユーザによる前記
ギャンブルの利用の状況が当該ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態のうち少なくとも一部に与える影響を示す情報を、第3情報として生成する生成ステップと、
前記生成ステップの処理により生成された前記第3情報を前記ユーザに報知する制御を実行する報知制御ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項7】
ギャンブルの利用の主体となるユーザを支援するコンピュータに、
前記ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を示す情報を、第1情報として取得する第1取得ステップと、
前記ユーザによる前記
ギャンブルの利用の状況を示す情報を、第2情報として取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップの処理により取得された前記第1情報に基づいて、前記ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態のうち少なくとも一部にネガティブな兆候があるか否かの第1判断を実行し、前記第1判断によりネガティブな兆候があると判断された場合、その要因が前記
ギャンブルの利用に起因するものであるか否かの第2判断を実行する判断ステップと、
前記第2判断の結果が、ネガティブな兆候の要因が前記
ギャンブルの利用に起因するものであるという結果の場合、前記第1取得ステップの処理により取得された前記第1情報と、前記第2取得ステップの処理により取得された前記第2情報との組み合わせに基づいて、前記ユーザによる前記
ギャンブルの利用の状況が当該ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態のうち少なくとも一部に与える影響を示す情報を、第3情報として生成する生成ステップと、
前記生成ステップの処理により生成された前記第3情報を前記ユーザに報知する制御を実行する報知制御ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ、パチスロ、競馬といったギャンブルに依存することは、経済的な破綻や犯罪に繋がるおそれがある。このため、いわゆるギャンブル依存症は解決すべき社会問題の1つとして一般的に認識されている。なお、ギャンブル依存症を予防することを目的とした技術は従来から提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術を含む従来の技術よりも、ギャンブル依存症の予防効果、改善効果を含む、ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させる効果が得られる技術の開発が望まれている状況にある。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、ギャンブル依存症の予防効果、改善効果を含む、ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させる効果が得られる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
所定行動の主体となるユーザを支援する情報処理装置において、
前記ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を示す情報を、第1情報として取得する第1取得手段と、
前記ユーザによる前記所定行動の状況を示す情報を、第2情報として取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段により取得された前記第1情報と、前記第2取得手段により取得された前記第2情報との組み合わせに基づいて、前記ユーザによる前記所定行動の状況が当該ユーザに与える影響を示す情報を、第3情報として生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記第3情報を前記ユーザに報知する制御を実行する報知制御手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザは、ギャンブル依存症の予防効果、改善効果を含む、自身の身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させる効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムにより実現可能な本サービスの概要を示す図である。
【
図2】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムにより実現可能な本サービスの概要を示す図である。
【
図3】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが提供される情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図4】
図3に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図4のサーバの機能的構成のうち、ライフネット処理を実行するための機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
まず、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバ1が適用される情報処理システムにより実現可能となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0011】
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムにより実現可能な本サービスの概要を示す図である。
【0012】
本サービスは、サービス提供者Gが、ユーザU1乃至Un(nは1以上の整数値)に対して提供するサービスである。以下、ユーザU1乃至Unの夫々を区別する必要がない場合には、これらをまとめて「ユーザU」と呼ぶ。
本サービスには、オンラインで利用可能な遊技用のウェブサイト(以下、「オンラインギャンブルサイト」と呼ぶ)をユーザUに提供するサービスと、ライフネットサービスとが含まれる。ライフネットサービスについては後述する。
【0013】
ユーザU1乃至ユーザUnの夫々は、自身のスマートフォン等の情報処理装置2-1乃至2-n(以下、「ユーザ端末2-1乃至2-n」と呼ぶ)の夫々を操作することで本サービスを利用することができる。ユーザ端末2-1乃至2-nの夫々には、本サービスの利用者向けの専用のアプリケーションソフトウェアをインストールすることができる。また、ユーザ端末2-1乃至2-nの夫々には、ユーザ端末2-1乃至2-nの夫々のブラウザ機能により表示される、専用のウェブサイトにアクセスすることでも本サービスを利用することができる。以下、ユーザ端末2-1乃至2-nの夫々を区別する必要がない場合には、これらをまとめて「ユーザ端末2」と呼ぶ。
【0014】
ユーザUは、ユーザ端末2を操作してオンラインギャンブルサイトにログオンすると、あらゆる遊技をオンラインで楽しむことができる。ユーザUがオンラインギャンブルサイトで楽しむことができる遊技の種類は特に限定されない。例えば賭け事、博戯、ゲーム等が利用可能になる。遊戯のうち、賭け事としては、例えば公営賭博(競馬、競輪、競艇、オートレース)、宝くじ、ルーレット、バカラ、パチンコ、スロットル等が挙げられる。また、博戯としては、麻雀、ポーカー、将棋、囲碁等が挙げられる。また、ゲームとしては、アクションゲーム、シューティングゲーム、シミュレーションゲーム、レーシングゲーム、アドベンチャーゲーム、ロールプレイングゲーム、パズルゲーム、音楽ゲーム、e-スポーツ等が挙げられる。
【0015】
なお、オンラインギャンブルサイトは、いわゆるゲームソフト(コンピュータゲームのソフトウェア)等を有しないプラットホームである。このため、例えば日本国における「不当景品類及び不当表示防止法」の適用対象から外れる。
また、オンラインギャンブルサイトで提供される遊技により得られる賞金は実際の通貨ではない。スポンサーである事業者、医療機関、官公庁等の組織M(以下、「事業者等M」と呼ぶ)からサービス提供者Gに対して支払われる広告料等を元手に発行されるトークンTが利用される。このため、例えば日本国における「賭博罪」の対象から外れる。なお、トークンTの詳細については後述する。
また、オンラインギャンブルサイトは、現実世界の店舗ではないため、例えば日本国における「風俗営業法」の適用対象から外れる。
オンラインギャンブルサイトで提供される遊技のうち、公営ギャンブルや宝くじは、現実世界と異なり、購入者の行列にわざわざ並んで購入する必要がなく、かつ、現金を扱う必要がない。このため、運営側となるサービス提供者Gのコストを削減して、配当還元率を上げるための予算を増やすことができる。
オンラインギャンブルサイトで提供される遊技は、参加者(ユーザU)を募ることで大会を開催することができる。
【0016】
具体的には例えば、ユーザU1乃至U3の夫々が、オンラインギャンブルサイトで提供される遊技の1つであるゲームのうち、e-スポーツのF1グランプリ(自動車レース)に参加したとする。そして、1着がユーザU2であり、2着がユーザU3であり、3着がユーザU1であったとする。この場合、ユーザU1乃至U3の夫々から支払われる参加費と、サービス提供者GからユーザU1乃至U3の夫々に支払われる賞金は、いずれもトークンTを用いて支払われる。ここで、オンラインギャンブルサイトを含む本サービスで流通される「トークンT」とは、本サービスを利用する者の間でのみ流通される仮想の通貨のことをいう。トークンTは、ブロックチェーン技術又は分散台帳を用いて管理されるため、情報の改ざんのリスクが低減化される。
図2の(A)には、本サービスを利用する者の間でのみ流通されるトークンTの具体例が示されている。
【0017】
即ち、オンラインギャンブルサイトのe-スポーツのF1グランプリに参加したユーザUがサービス提供者Gに支払う参加費と、レースの結果として得られる賞金とは、例えば
図2の(A)に示すような内容でトークンTにより還元される。つまり、サービス提供者Gの収入額を示すトークンTの額は、ユーザU1乃至U3の夫々により支払われる参加費の額が「50」×「3」人=「150」と、スポンサー料の額「150」と、放映料の額「50」との合計の額「350」となる。また、サービス提供者Gから支出されるトークンTの額は、運営費の額「-50」と、広告費の額「-100」との合計の額「-150」となる。そして、ユーザU1乃至U3に対して支払われる賞金(つまり配当)の財源となる額「350」-「150」=「200」から配当が行われる。例えば
図2の(A)における賞金(つまり配当)の額は、ユーザU1の額「33」、ユーザU2の額「100」、及びユーザU3の額「67」となる。なお、
図2の(A)に示すように、レースの順位に応じて、賞金の他に所定のポイントが付与されるようにすることもできる。なお、
図2の(A)の例では、ユーザU1に対して付与されるポイント数「1」、ユーザU2に対して付与されるポイント数「3」、ユーザU3に対して付与されるポイント数「2」、合計のポイント数「6」となっている。
【0018】
また、このF1グランプリのレースの状況は、レーサーとしてレースに参加したユーザUのユーザ端末2のみならず、レーサーとしてではなく観覧者として参加した他のユーザUのユーザ端末2にも実況中継される。そして、実況中継を視聴するユーザUは、好みのレース参加者(他のユーザU)に対して、いわゆる「投げ銭」をすることができる。この場合、投げ銭にもトークンTが用いられる。
【0019】
また、トークンTは、本サービスにおいて提供される各種のウェブサイトで販売されている商品又は役務を購入した場合の代金の決済手法として用いることができる。
【0020】
また、本サービスでは、年末になると、サービス提供者GからユーザUに対して、所得税の確定申告用の資料が送付される。
図2の(B)には、本サービスのうちオンラインギャンブルサイトを利用したユーザに対して報知される所得明細の具体例が示されている。
【0021】
図2の(B)に例示された所得明細には、オンラインギャンブルサイトで提供される遊技のうち、F1グランプリ、麻雀、パチンコ、及び競馬の夫々についての、対象年月日、収入額、必要経費、及び差引所得金額が表示される。
【0022】
図1に戻り、本サービスには、ライフネットサービスが含まれる。ライフネットサービスとは、ユーザUが健全な生活を維持できるようにするための支援を行うサービスのことをいう。
【0023】
オンラインギャンブルサイトの利用を希望するユーザUは、ライフネットサービスに事前に登録する必要がある。これにより、ギャンブル依存症の兆候が発現した早期の段階で、ユーザUに対する抑制や規制が可能となる。
ライフネットサービスでは、ユーザUの日々の健康状態や経済状態等に関する情報と、ユーザUによるオンラインギャンブルサイトの利用状況を示す情報(以下、「利用状況情報」と呼ぶ)とが継続的に管理される。そして、ユーザUの健康状態や経済状態等にネガティブな兆候が発現すると、それがオンラインギャンブルサイトの利用状況に起因するものであるかどうかについての判定が行われる。判定の結果、オンラインギャンブルサイトの利用状況に起因するものであると認められた場合には、ユーザUに対するオンラインギャンブルサイトの利用の抑制や規制が実行される。なお、この判定は、AI(人工知能)により行われてもよいし、予め設定された閾値やアルゴリズムに基づいて行われてもよい。そして、AI(人工知能)による判定は、機械学習、ディープラーニング等によってより精緻なものとなる。
【0024】
ライフネットサービスは、上述したオンラインギャンブルサイトを利用するユーザU以外のユーザUの日々の健康管理や経済管理等にも適用される。例えば、オンラインギャンブルサイト以外の他のウェブサイトで提供されているギャンブルを利用するユーザUや、現実世界のギャンブルを行うユーザUもライフネットサービスを利用することもできる。
【0025】
ここで、ライフネットサービスの流れについて説明する。
ライフネットサービスを利用するユーザUは、まず、サービス利用開始時に必要となる情報を提供する(ステップS1)。ユーザUから提供された情報は、そのユーザUのコンテクスト情報として管理される。これにより、ユーザUのライフネットサービスへの登録が完了する。
「コンテクスト情報」とは、ユーザUの内的状態及び外的状態の全てを示す情報のことをいう。ユーザUの「内的状態」とは、ユーザU自身を対象とするセンシングやアンケート等に基づいて取得される状態をいう。具体的に例えば、ユーザUの、身長、体重、性別、年齢、体調(例えば体温や脈拍)、感情(例えば喜怒哀楽)は、いずれもユーザUの内的状態の一例である。また、ユーザUの「外的状態」とは、ユーザUがおかれている環境を対象とするセンシングやアンケート等に基づいて取得される状態をいう。具体的に例えば、ユーザUの現在地、又はユーザUが将来的に存在し得る場所の天気及び予想される天気、気温、室温、温度、空間的若しくは時間的な配置の位置の他、ユーザUの周囲の空間方向と時間方向のうち、少なくとも一方向に分布する所定の状態等は、いずれもユーザUの外的状態の一例である。なお、「時間的な配置の位置」には、例えば現在時刻等が含まれる。
【0026】
このように、コンテクスト情報には、ユーザUを示すあらゆる情報が包含されるが、ライフネットサービスでは、コンテクスト情報のうち、特に生態情報、外部生体情報、及び経済情報が利用される。
生体情報には、ユーザUが出生してからの体重、身長、体温、脈拍、心拍数、呼吸数、食事の内容、食事時間とその時間帯、運動内容、運動量、運動時間とその時間帯、入浴時間とその時間帯、睡眠時間とその時間帯、血液の成分、唾液の成分、排泄物の状況・成分、瞳孔の変化、声紋の変化、顔色、爪の色、目の充血状況、肌の水分量、骨格、遺伝子情報、脳の記憶内容等の情報が含まれる。生体情報は、主にユーザ端末2のセンシング機能や撮像機能による検知、ユーザ端末2に対する手入力により取得される。具体的には例えば、ユーザUの体内に埋め込まれたマイクロチップ、体内を環流するナノロボット、外部カメラ、ベッド、浴槽、鏡、生活用品、室内監視装置、モニタ画面等により検知することもできる。
外部生体情報には、医療機関における診療結果、診断結果、処方箋の内容、健康診断の結果、各種の検査結果等が含まれる。外部生体情報は、ユーザ端末2に入力された内容や、サーバ1により記憶されている情報及び取得された情報等から取得される場合もある。
経済情報には、ユーザUが有する預金、有価証券、不動産、動産、その他の財産等の資産に関する情報、ローン等の負債に関する情報、給与、年金、運用利益等の収入に関する情報、食費、日用品費、嗜好品費、生活費等の支出に関する情報等が含まれる。
【0027】
ユーザUがライフネットサービスに登録されると、そのユーザUの利用状況情報と、生態情報、外部生体情報、及び経済情報とが継続的に取得される(ステップS2)。
ユーザUの利用状況情報と、生態情報、外部生体情報、及び経済情報とが取得されるタイミングは特に限定されず、例えば、日毎、時間毎、分毎、秒毎、又はリアルタイムで取得される。
【0028】
そして、取得された生態情報、外部生体情報、及び経済情報にネガティブな兆候が発現すると、これが直ちに検知される(ステップS3)。
【0029】
そして、検知されたネガティブな兆候が、オンラインギャンブルサイトの利用状況に起因するものであるかどうかについての判定が行われる(ステップS4)。
判定の結果、ネガティブな兆候がオンラインギャンブルサイトの利用状況に起因するものであると認められた場合には、その旨の報知や、ネガティブな兆候を改善させるための措置が行われる(ステップS4)。
【0030】
具体的には例えば、ライフネットサービスでは、「メッセンジャー」による精神的なケアによって、ユーザUのネガティブな兆候を改善が図られる。即ち、メンセンジャーが、ギャンブル依存症の原因となる金銭欲、勝利欲、名誉欲、達成欲をコントールして、ユーザUの日常の健康管理が図られる。「メッセンジャー」とは、ユーザ端末2から出力される情報により、ユーザUに対して所定のメッセージを報知するコミュニケーション媒体のことをいう。メッセンジャーは、VR(Virtual Reality)の態様でユーザ端末2、壁、鏡、眼鏡、コンタクトレンズに予め組み込まれた網膜等に表示される。また、VRが表示されないようにすることもできる。VRの態様でメッセンジャーがユーザ端末2等に表示される例としては、家族や親族(亡き家族や親族を含む)のVR、恋人や友人のVR、ユーザUが希望するタレントや有名人のVR、ユーザUが独自にカスタマイズしたタレントや有名人のVR、ペット(亡きペットを含む)のVR等が挙げられる。
【0031】
「メッセンジャー」は、具体的には例えば以下のような手法を用いてユーザUの精神的なケアを行うことで、ユーザUに発現したネガティブな兆候の改善を図る。
即ち、ユーザUによるオンラインギャンブルサイトの利用中にライフネットシステムがストレスの兆候を検知すると、メッセンジャーからユーザUに対する所定のメッセージが報知されることで注意喚起がなされる。なお、ユーザUに報知されるメッセージの内容や具体的な報知の手法は特に限定されない。例えばユーザUにより予め設定されたメッセージがユーザ端末2に表示してもよいし、その内容を示す音声が出力してもよい。なお、音声が出力される場合、基本的にはユーザ端末2等のスピーカを介した会話となるが、外出時には骨伝導によりユーザUに報知されるようにすることもできる。
【0032】
このように、メッセンジャーは、取得された判定結果をユーザUに伝達するだけではなく、擬人化によってネガティブな兆候の改善を図る。「擬人化」とは、機械学習、ディープラーニング等により、ユーザUの性格、趣味、嗜好等を分析することでネガティブな兆候の改善を図るメッセージ表現によってユーザUに付加価値を提供することをいう。擬人化の過程では心理学が用いられてもよい。
【0033】
メッセンジャーは、ユーザUが深刻なギャンブル依存症、アルコール依存症、薬物依存症、自閉症、うつ病等である場合に、その治療にも寄与することができる。つまり、メッセンジャーは、ユーザUの精神的なケアだけではなく、ユーザUの身体的なケアも行うことができる。例えば、ユーザUが深刻なギャンブル依存症である場合には、メッセンジャーが投薬治療の必要性の有無を判断して、投薬治療が必要である場合には、その治療に最適となる薬の種類とその投与量とをユーザUに報知することもできる。
【0034】
ここで、投薬治療について具体例を挙げて説明する。
図2の(C)には、被験者としてのユーザU1及びU2の夫々の体重、体温、及び脈拍数について、「本日」の数値と「7日前」の数値とが示されている。
図2の(C)には、ユーザU1の「本日」における体重、体温、及び脈拍数の夫々が、「60(Kg)」、「36(℃)」、及び「75」の夫々であることが示されている。また、ユーザU2の「本日」における体重、体温、及び脈拍数の夫々が、「60(Kg)」、「36(℃)」、及び「75」の夫々であることが示されている。つまり、ユーザU1及びU2の「本日」における体重、体温、及び脈拍数の夫々は同一である。このため、ユーザU1及びU2が、本日、医療機関の診察を受診して、投薬を処方された場合の処方量は同一であることが予想される。
【0035】
これに対して、ライフネットサービスでは、各ユーザUの体質や、日々変化する生体情報が考慮されるので、各ユーザUにとって適正な処方量が指示される。つまり、
図2の(C)には、ユーザU1の「7日前」における体重、体温、及び脈拍数の夫々が、「60(Kg)」、「36(℃)」、及び「75」の夫々であることが示されている。また、ユーザU2の「7日前」における体重、体温、及び脈拍数の夫々が、「65(Kg)」、「38(℃)」、及び「100」の夫々であることが示されている。つまり、ユーザU1及びU2の「7日前」における体重、体温、及び脈拍数の夫々には差異が生じており、ユーザU1が急激に太ったことが認められる。このため、ユーザU1に対する処方量は、この急激な変化が考慮される。
【0036】
また、ライフネットサービスでは、登録された全てのユーザUにおける、医薬品の服用者、その服用量、及び服用後の状況等の情報が集積されて管理される。そして、集積されたデータは統合されて、薬事承認における限定的な薬の効用だけではなく、各ユーザUの体質に適合した投与薬及び投与量が決定される。
さらに、ライフネットサービスでは、処方薬の在庫量が常時把握される。これにより、過剰投与の防止、残薬の放置、転売等の悪用の抑制、等が実現される。
【0037】
メッセンジャーは、ユーザUがオンラインギャンブルサイトを利用したとしても健全な生活設計を維持できる範囲の予算(以下、「消費可能額」と呼ぶ)を見積ることもできる。ユーザUは、見積もられた予算の範囲内でオンラインギャンブルサイトを利用できるように制限を加える。
具体的には例えば、ユーザUの家計の収支に基づいて、残余の消費可能額が把握される。消費可能額は、登録された生態情報、外部生体情報、及び経済情報が考慮された計算が行われることで算出される。ユーザUの利用により消費可能額に達すると、ユーザUはオンラインギャンブルサイトにアクセスすることができなくなる。
また、ユーザUがオンラインギャンブルサイトを離れて現実世界のギャンブルを利用する場合には、キャスレス決済が停止されるとともに、銀行口座からの現金引き出しが停止される。
これにより、オンラインギャンブルサイトを含むギャンブルの過度な利用を抑制することができる。つまり、メッセンジャーは、ユーザUの精神的なケアや身体的なケアだけではなく、経済的なケアも行うことができる。
【0038】
メッセンジャーは、ユーザUが積極的にユーザ端末2を操作している時間帯以外の時間帯でも、文字、音声、映像、AR(Augmented Reality)、VR等によるメッセージの報知を行う。
これにより、ユーザUとメッセンジャーとの対話を通じた精神的なケアが可能となるので、睡眠、食事、仕事、運動を含むユーザUの生活のリズム及びバランスの維持を図ることができる。
【0039】
このように、ユーザUは、ライフネットサービスを利用することにより、生活リズムやバランスを崩すことなく、オンラインギャンブルサイトと上手く付き合うことができる。
【0040】
また、ライフネットサービスを利用できるユーザは、オンラインギャンブルサイトを利用するユーザUに限定されない。ライフネットサービスでは、日常生活のあらゆるタイミングにおける生体情報(血圧、脈拍・体温・呼吸等)の変化が検知されて、その旨を示すメッセージが報知される。
例えば、人の死因は、疾患、事故、自殺、老衰に分類される。ライフネットサービスによれば、日常生活における「見守り」が実行される。これにより、例えば不慮の事故や自殺を予防することができる。
【0041】
人の死因のうち、「不慮の事故」が起こり得るタイミングとしては、例えばスポーツ時、仕事時、入浴時、睡眠時、歩行時、及び第三者との接触時が挙げられる。
具体的には例えば、ユーザUがスポーツをしているときには、体温の上昇、体内の水分量の減少、筋肉の痙攣等、熱中症の兆候が検知されると、メッセンジャーは、ユーザUが熱中症になることを防ぐための措置をとる。例えば「水分700CC及び塩分3グラムを補給して下さい」といったメッセージを報知する。これにより、ユーザUは、直ちにスポーツ飲料水を飲むことで熱中症になることを防ぐことができる。
【0042】
また例えば、ユーザUが仕事をしているときには、デスクワークが長時間継続したために血圧の上昇等血行障害等の兆候が検知されると、メッセンジャーは、ユーザUが血行不良になることを防ぐための措置をとる。例えば「血行不良が生じています。作業を中断して入浴後軽食をとり睡眠をとって下さい。3分後にパソコンの電源をシャットアウトします」といったメッセージを報知する。このように、ユーザUの所有物に対する強制的な措置が実行されることにより、ユーザUが血行障害になることを防ぐことができる。
【0043】
また例えば、ユーザUの入浴時には、ヒートショック(寒冷暴露)、温熱作用等により、ユーザUの血圧の異常が検知されると、メッセンジャーは、ユーザUが意識不明になることを防ぐための措置をとる。例えば「入浴を中止して下さい。救急システムを作動します」といったメッセージを報知する。そして、浴槽に水が注入されて温度調整が行われると同時に、医療機関に対する救急連絡が行われる。これにより、ユーザUは、メッセンジャーによる強制的な措置により、入浴中に意識不明になるようなことを防ぐことができる。
【0044】
また例えば、ユーザUの飲食時には、ユーザUが注文したメニューの内容が、所定のカメラにより撮像されたメニューの撮像画像から認識される。すると、メッセンジャーは、認識されたメニューの品質、調理方法、サイズ、及び食習慣に基づいて、ユーザUに対して誤嚥を防ぐためのアドバイス(メッセージ)を報知する。具体的には例えば、メッセンジャーは、「誤嚥の可能性があります。5ミリ四方にカットします。最低10回咀嚼して下さい」といったメッセージとともに、具体的措置の説明を報知する。
これにより、ユーザUは、メッセンジャーからの報知により、食事中の誤嚥を防ぐことができる。
【0045】
また例えば、ユーザUの睡眠時には、メッセンジャーが、ユーザUの心拍数等の異変を察知して、ユーザUを救助するための措置をとる。具体的には例えば、ユーザUが乳幼児である場合には、うつぶせ寝による呼吸困難が発生する場合がある。このような場合、メッセンジャーは、ユーザUの心拍数等の異変が検知して、ユーザ端末2を所持する母親に対して、「呼吸困難が発生しています」といったメッセージを報知する。
【0046】
また例えば、ユーザUの歩行時には、メッセンジャーが、ユーザUの身の危険を察知してその旨を報知する。具体的には、ユーザUの位置、進行方向、及び歩行速度の夫々を示す情報と、ユーザUの周囲に存在する物の位置、進行方向、及び歩行速度の夫々を示す情報とに基づいて、ユーザUの身の危険が察知される。そして、その旨がユーザUに報知される。
具体的には例えば、ユーザUの位置、進行方向、及び歩行速度の夫々を示す情報と、ユーザUの周囲に存在する1台以上の自動車の夫々の位置、進行方向、及び歩行速度の夫々を示す情報が取得される。そして、取得された情報に基づいて、ユーザUに向かって接近する暴走車が検知される。すると、メッセンジャーは、例えば「左後方より危険車両接近中です注意してください」といったメッセージをユーザUに報知する。
【0047】
また例えば、ユーザUと他者とが接近する際、その他者に何らかの異常が認められる場合には、その異常がユーザUに与える影響が考慮される。メッセンジャーは、その影響の内容をユーザUに報知する。具体的には、ユーザUの生体情報、スケジュール、位置、進行方向、及び歩行速度の夫々を示す情報と、ユーザUの周囲にいる他者の生体情報、スケジュール、位置、進行方向、及び歩行速度の夫々を示す情報とに基づいて、他者の異常がユーザUに与える影響が考慮されて、その内容がユーザUに報知される。
具体的には例えば、ユーザUに接近(又はユーザUが接近)する他者の生体情報から、その他者が新型のウィルスに感染していることが検知される。すると、メッセンジャーは、例えば「新型ウィルス感染者が接近中です回避して下さい」といったメッセージをユーザUに報知する。
【0048】
また例えば、ユーザUと他者とが対話する際、その他者のプロフィールが取得されて報知される。
具体的には例えば、ユーザUが他者と対話しようとすると、所定のカメラがその他者を撮像する。すると、その撮像画像のデータが取得されて、画像解析が行われる。その結果、その他者が誰であるのかが特定される。そして、その他者のプロフィールが取得されて、ユーザUに報知される。他者のプロフィールがどのようにしてユーザUに報知されるかは特に限定されない。例えば網膜ディスプレイに表示させる手法により報知することもできる。この場合、例えばユーザUと他者との間で以下のような会話が交わされる。即ち、他者に会ったユーザUが「はじめまして」と言うと、他者が「以前お会いしました」と答える。ユーザUは慌てて「あっ失礼」と言う。ここで、他者のプロフィールが網膜ディスプレイに表示される。例えば、「情報取得時 20XX年XX月XX日PMX:XXに〇〇ホテル宴会場で名刺交換 〇〇株式会社代表取締役〇〇〇〇 医療機器製造販売 年商XX億円 19XX年生まれ 〇〇大学卒」といった内容のプロフィールが表示される。
【0049】
人の死因のうち自殺は、精神的なダメージの蓄積によるものが多い。ライフネットサービスは、ユーザUの精神的なダメージを軽減化させて自殺を防ぐ役割を果たす。即ち、メッセンジャーがユーザUに語り掛ける言葉は、ユーザUが孤独を感じないようにすることが考慮される。また、ユーザUの位置を示す情報に基づいて、過剰労働の有無、ひきこもりの有無等が検知される。例えば、ユーザUが勤務先に滞在している時間が所定の時間を超過している場合には、ユーザUが過剰労働を行っていることが推定される。また、ユーザUとメッセンジャーとの対話の内容に基づいて、ユーザUの気持ちの落ち込みや意欲の低下が察知される。このような場合、メッセンジャーは、ユーザUと会話をする際、ポジティブな言葉や内容(例えば治療法についてのアドバイス等)を選択して使用する。これにより、例えば鬱等を原因とする自殺のリスクを軽減化させることができる。
【0050】
具体的には、ユーザUの生体情報、外部生体情報、及び経済情報に基づいて、ユーザUが日々抱えている不満、ストレス、疲労等についての分析が行われる。この分析には、例えばバイオマーカー(生物学的指標)、睡眠時間、食欲、飲酒量等の変化に関する分析が含まれる。これにより、自殺の原因となり得る精神的なダメージの有無を把握することが可能となる。その結果、ユーザUは、自身の鬱の兆候を認識することができる。また、その兆候を治療する手法についてのアドバイスを受けることができる。
また、ライフネットサービスは、ユーザUの生体情報や位置を示す情報に基づいて、自殺の準備行為を察知する。そして、救急機関に通知して、ユーザUの救済を求める。
【0051】
また例えば、ライフネットサービスは、ユーザUが高齢の単身者である場合に、老衰による衰弱傾向を検知する。そして、メッセンジャーは、ユーザUの衰弱傾向の程度に応じて、その旨を医療機関に報知する。これにより、ユーザUが高齢の単身者である場合の孤独死がなくなるようにすることができる。
【0052】
次に、ライフネットサービスを利用するユーザUとメッセンジャーとの間で取り交わされる会話の具体例について説明する。
例えば、メッセンジャーが「最近多くない?」と話しかけると、ユーザUが「このところ、勝ちが続いているからね」と答える。すると、メッセンジャーが「確かに、腕が上がったかもしれないね」と答える。これに対して、ユーザUが「わかる?」と答えると、メッセンジャーが「少し賭け金のレートを下げてもいいかも」と提案をする。なお、このメッセージの内容は、ユーザUの家計の収支の内容が考慮されたものとなっている。そして、ユーザUが「OK」と答えると、メッセンジャーが「今日はほどほどにしなさい」と自制を求める。これに対して、ユーザUが「わかったよ」と答える。
その後、ユーザUがオンラインギャンブルサイトの利用を開始して2時間が経過した頃、メッセンジャーが「明日は仕事が早いから今日はこれで終わりです」と強制的にオンラインギャンブルサイトの利用を終了させる。さらに、メッセンジャーは、「最近運動不足だから次の日曜日の朝8時にヨガレッスン予約しておいたから」と告げる。このように、メッセンジャーは、ユーザUからの指示の有無に関係なく、自らの判断でユーザUの健康を維持するための具体的な行動を積極的に行う。
その翌日、ユーザUが起床して、メッセンジャーに対して「おはよう」と声をかけると、メッセンジャーが「おはようございます」と返事をする。さらに、「微熱があり、声紋に異常があります。ウィルスに感染した可能性があります」と話しかける。つまり、メッセンジャーは、ユーザUの声紋や体温等から体調の異常を検知して、その具体的内容をユーザUに報知する。これに対して、ユーザUが「えっ?」と驚いた反応をとると、メッセンジャーが「〇〇クリニックに午前9時の診療予約をとりましたので診察を受けて下さい」と話しかける。つまり、メッセンジャーは、ユーザUの症状と、その治療をするために最適となる医療機関を調査し、さらに予約を行う。これに対して、ユーザUが「OKだけど・・・、どんな先生だったっけ?」と答える。すると、メッセンジャーが「〇〇大学の医学部を卒業し、〇〇総合病院に勤務した後開業しました。感染症の専門医であり、3年前の春に風邪の症状で診てもらいましたよ」と答える。つまり、メッセンジャーは、予約した医療機関の担当医の経歴や、ユーザUの既往歴を、ユーザUとの会話の最中に調査して報知する。また、このとき、メッセンジャーは、ユーザUとの会話の自然な流れや重要視すべき情報を考慮して、正確な日時ではなく敢えて抽象的な表現をすることもできる。具体的には例えば、上述の例において、実際には2年11か月前に受診している記録があるが、「3年前」と表現することができる。これに対して、ユーザUが「あっ そうだったね ありがとう」と答える。
【0053】
このように、メンセンジャーは、あるときはユーザUの良き助言者として、また、あるときは良き仲介者として、また、あるときは良き庇護者として、また、あるときは良き家族として、ユーザUの日々の生活に寄り添う存在として機能する。
【0054】
次に、ライフネットサービスで取り扱われる情報の取り扱いについて説明する。ライフネットサービスで取り扱われる情報にはユーザUの個人情報が含まれる。個人情報は、ユーザU個人の固有財産であり、その所有権は、ユーザU個人に永遠に帰属する。ライフネットサービスに登録されたユーザUの個人情報の管理は、例えば国が所管する情報管理を司る機関(以下、このような機能を有する公的機関を仮に「情報庁」と呼ぶ)を設けて行われるようにすることができる。ユーザUの個人情報は、いわゆるマイナンバーに対応付けられて、所定の暗号化が施されて管理される。このように管理されているユーザUの個人情報は、たとえ国であっても本人の同意なく閲覧等することはできず、他者には利用させることもできない。これにより、個々のユーザUの個人情報は、強固なセキュリティ環境の下に一元管理される。その結果、無駄な医療費が抑制されるので国の歳出削減に寄与させることができる。その結果、適正な課税による国の歳入が確保される。なお、「情報庁」の詳細については後述する。
【0055】
また、ライフネットサービスによって個々のユーザUの健康状態を示す情報が常時管理されるので、例えば新型の感染症が発生した場合であっても、感染者の把握が容易化される。
また、位置情報の把握により、感染場所、被感染者の特定が容易化されるので、感染経路を把握できない感染者がいなくなる。これにより、感染を抑制しつつ経済活動を継続させることができる。
【0056】
また、ユーザUの同意が得られた場合には、個人情報を匿名の状態で加工して、加工後の情報を企業等に売却することもできる。これにより、個人情報の適切な換金化を実現させることもできる。この場合、売却収入は、一部がサービス提供者Gの運営維持費用に充てられたあとに情報提供者であるユーザUに還元される。
【0057】
また、ユーザUの預金口座が把握されるため、各種給付金の支給が迅速化される。つまり、ユーザUの経済状況が把握されるので、経済政策としての給付金の支給に際して、支給要件の判断、支給金額の格差等を即時決定することが可能となる。その結果、迅速な給付が実現される。
また、財産及び所得が把握されるため、ユーザU個人の申告納税は不要となり、賦課課税方式による効率的な課税が実現可能となる。
【0058】
また、ライフネットサービスで取り扱われる個人情報は、クラウド及びブロックチェーンの技術等により改ざんできないように保護される。これにより、保護されている個人情報を、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)に活用することで、ユーザU個人の日常生活の利便性の向上に寄与させることができる。その結果、新たな生活様式を実現させることができる。また、銀行送金にあたり、ライフネットサービスが介在することになるので、いわゆる振り込め詐欺等を防止することができる。
【0059】
また、世界各国で国毎に提供されるライフネットサービスによる情報管理が可能となる。各国のライフネットサービスで管理されるユーザUの個人情報は、全世界を中継するHub(ハブ)を設けることにより、国境を越えた情報交換が容易化される。ユーザUの個人情報が国境を越えて入国する場合には入国審査が行われる。入国審査では、審査に必要となる最小限の情報にのみアクセス可能となる。これにより、従来のパスポートや検疫は不要になる。そして、他国に入国後は、本国と同様の環境下でサービスの提供が行われる。例えばIoTの活用により、同時通訳、予約、支払決済等が可能となる。
【0060】
また、ユーザUの要求により、個人情報の共有を認める他者が、例えば「家族等情報共有者」といった名称で登録された場合には、家族等情報共有者は、ユーザUの個人情報を、そのユーザUと同様に共有するができる。また、家族等情報共有者がライフネットシステムに加入した場合には、コンセンサス・アルゴリズムが形成される。
【0061】
ここで、上述した「情報庁」について詳細に説明する。情報庁は、例えば日本国の法務省管轄の法務局に類似した組織とする。日本国の法務局で統轄されている不動産情報は、不動産の所在地、種類、地積等を示す情報として登録されたものであり、第三者対抗要件を有する情報として機能する。これにより、不動産の所有権の保全が図られている。このような趣旨から、日本国の法務局で統轄されている不動産情報には透明性が求められているため、第三者が閲覧できる情報である。
これに対して、ライフネットシステムにより情報庁に登録されるユーザUの個人情報は、第三者が一切閲覧できない情報として取り扱われる。つまり、情報庁に登録されるユーザUの個人情報は、ユーザU個人が自身の為にのみに利用される。そして、このような情報の漏洩や改ざんを国が保全するという趣旨で設けられる機関が情報庁である。
【0062】
このように、情報庁で管理されるユーザUの個人情報は、漏洩や改ざんからの保全が求められる情報であるが、ライフネットサービスでは、ユーザUの個人情報の取扱いについて以下のような例外が設けられている。
【0063】
即ち、医師の診断時に、ユーザUの了解が得られた場合には、医師がライフネットサービスにアクセスして、ユーザUの個人情報のうち健康や医療に関する情報を参照して、診察の参考となる新たな診療情報を加えることができる。これにより、AIによる診断を医師が検証することが可能になる。その結果、迅速で適正な診断が可能となる。また、重複する検査がなくなる。
【0064】
また、新型の感染症が発生して、いわゆる国家非常事態宣言がされるような事態になった場合には、国が必要とするユーザUの健康や医療に関する情報にアクセスして、感染者を特定することで、所定の医療機関に収容することができる。また、ユーザUの症状の変化が随時把握できるようになるので、感染の初期段階での治療が可能となる。その結果、重症者の増加及び感染拡大を防ぐことができる。また、ユーザUの位置情報により、感染したユーザUの特定、確保、収容の迅速化が可能になる。これにより、いわゆるクラスター対策や濃厚接触者の追跡が不要となるので、行政コストが削減される。さらに、ビックデータとして感染症の発生の予測が可能となるので、移動(渡航)制限の発令、行動変容を促すことが可能となる。また、ユーザUの購買情報に接続して、マスクや消毒液等の購入履歴を収集することで、マスクや消毒液等の購入量に制限を設けることができる。さらに、ユーザUの位置情報に接続して、感染者に接近した旨を示す情報を配信することで、回避行動を促すことができる。
【0065】
また、ユーザUが意識不明等の状況になり、生体情報に異常が発生した場合には、自動的に救命救急体制に接続されて、ユーザUを収容することができる。具体的には、救急隊に自動的に状況、病状、推定病名、位置情報等が連絡されて、救急活動により患者は収容される。そして、最寄りの救急救命病院に搬送される。これにより、孤独死や自殺の数を減らすことができる。また、災害時における安否確認が容易に行える。
【0066】
以上をまとめると、ライフネットサービスによれば例えば次のようなことが実現される。
即ち、ライフネットサービスでは、ユーザUの生存期間中の全ての情報の管理と分析とが可能となる。また、ユーザUが死亡した後も、ライフネットサービスで管理されているユーザUの情報により定義される「自己」が、ユーザUのいわゆる化身となってサービス内に実存し続ける。つまり、ユーザUが死亡した後にサービス内で存在する「自己」には、生前のユーザUの情報に基づいて個性が形成されている。そして、この「自己」は、AI(人工知能)の制御又は補助によりサービス内で活動し続ける。これにより、例えば他者からのアクセスに対する応答も可能となるので、生前と同様に、ユーザUと他者との間にコミュニケーションを成立させることができる。
また、上述したように、ライフネットサービスで取り扱われる情報は、主に医療に関する情報、行動に関する情報、及び経済に関する情報になる。ここでいう「医療」には、疾病治療だけではなく、日常生活を通じた疾病予防及び体調管理並びに発病の予測が含まれる。そして、「疾病予防」には、ユーザUの日常生活における生体情報の管理と、その情報に基づいた早期予防行為を喚起することが含まれる。
【0067】
次に、
図3を参照して、上述した本サービスの提供を実現化させる情報処理システム、即ち本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバ1が適用される情報処理システムの構成について説明する。
図3は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが提供される情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【0068】
図3に示す情報処理システムは、サーバ1と、ユーザ端末2と、IoT機器3と、事業者等サーバ4とを含むように構成されている。
サーバ1、ユーザ端末2-1乃至2-n、IoT機器3、及び事業者等サーバ4は、インターネットやLAN(Local Area Network)等の所定のネットワークNWを介して相互に接続されている。
【0069】
サーバ1は、サービス提供者Gにより管理される情報処理装置である。サーバ1は、ユーザ端末2-1乃至2-n、IoT機器3、及び事業者等サーバ4と適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0070】
ユーザ端末2-1乃至2-nの夫々は、ユーザU1乃至Unの夫々が操作する情報処理装置である。ユーザ端末2-1乃至2-nはスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等で構成される。
【0071】
IoT機器3は、ネットワークNWに接続する機能を有する物品である。IoT機器3としては、いわゆる生活家電、自動車、衣服、眼鏡等が挙げられる。なお、
図2にはIoT機器3が1台のみ描画されているが、これは説明を理解し易くするために簡略化されたものであり、実際には複数台のIoT機器3が存在し得る。
【0072】
事業者等サーバ4-1乃至4-mの夫々は、事業者等M1乃至Mmの夫々により管理される情報処理装置である。
【0073】
図5は、
図4に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0074】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0075】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0076】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0077】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば
図2のユーザ端末2、IoT機器3、及び事業者等サーバ4)との間で通信を行う。
【0078】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア40が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア40から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア40は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0079】
なお、図示はしないが、
図3のユーザ端末2、IoT機器3、及び事業者等サーバ4も、
図4に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。したがって、ユーザ端末2、IoT機器3、及び事業者等サーバ4のハードウェア構成についての説明は省略する。
【0080】
このような
図4のサーバ1を含む
図3の情報処理システムを構成する各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、サーバ1におけるライフネット処理を含む各種処理の実行が可能になる。その結果、サービス提供者Gは、ユーザに対して上述の本サービスを提供することができる。
「ライフネット処理」とは、ユーザUの生体情報、外部生態情報、及び経済情報と、利用状況情報とを取得して、これらの情報の組み合わせに基づく影響情報を生成してユーザ報知する制御を実行する処理のことをいう。
以下、情報処理システムにおいて実行される、ライフネット処理を実行するための機能的構成について説明する。
【0081】
図5は、
図4のサーバの機能的構成のうち、ライフネット処理を実行するための機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0082】
図5に示すように、
図4のサーバ1がライフネット処理を実行する場合、CPU11においては、取得部101と、生成部102と、報知制御部103と、改善措置制御部104とが機能する。
【0083】
また、サーバ1の記憶部18の一領域には、ユーザDB181が設けられている。ユーザDB181には、本サービスを利用する1以上のユーザUの夫々のコンテクスト情報が格納されている。
【0084】
取得部101は、各種情報を取得する。取得部101においては、コンテクスト情報取得部111と、利用状況情報取得部112とが機能する。
【0085】
コンテクスト情報取得部111は、ユーザUの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を示す情報を含むコンテクスト情報を取得する。
コンテクスト情報取得部111により取得されたコンテクスト情報は、ユーザDB181に記憶されて管理される。
【0086】
利用状況情報取得部112は、ユーザUによる所定行動の状況を示す情報を、利用状況情報として取得する。
具体的には例えば、利用状況情報取得部112は、ユーザUによる所定行動としてのオンラインギャンブルの状況を示す情報を利用状況情報として取得する。
利用状況情報取得部112により取得された利用状況情報は、ユーザDB181においてコンテクスト情報として記憶されて管理される。
【0087】
生成部102は、取得部101により取得された各種情報の組み合わせに基づいて、ユーザUによる所定行動の状況がユーザUに与える影響を示す情報を影響情報として生成する。
具体的には例えば、生成部102は、取得部101により取得された生体情報、外部生態情報、及び経済情報と、利用状況情報との組み合わせに基づいて、ユーザUによる所定行動としてのオンラインギャンブルの状況がユーザUに与える影響について判定する。そして、その判定結果に基づいて、影響情報を生成する。
また、生成部102は、影響情報として、ユーザUの心身に与える影響と、ユーザUの経済的状況に与える影響とのうち少なくとも一方を示す情報を生成する。
【0088】
報知制御部103は、生成部102により生成された影響情報を、ユーザ端末2やIoT機器3等を介してユーザUに報知する制御を実行する。
具体的には例えば、報知制御部103は、生成部102により生成された影響情報を、上述のメッセンジャーをVRの態様でユーザ端末2に表示させる制御を実行する。
また例えば、報知制御部103は、生成部102により生成された影響情報を、事業者等サーバ4を介して事業者等Mに報知する制御を実行する。
【0089】
改善措置制御部104は、生成部102により生成された影響情報に基づいて、ユーザUの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させるための所定の措置の実行を制御する。
具体的には、改善措置制御部104は、ユーザUの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させるための所定の措置の実行の制御として、ユーザUによる遊技(例えば上述のオンラインギャンブルサイト)を制限する措置と、ユーザUの健康を改善させるため措置と、ユーザUの経済的状況を改善させるための措置とのうち少なくとも1の措置の実行を制御する。
【0090】
図5のサーバ1が上述のような機能的構成を有することによりライフネット処理が実行される。その結果、ギャンブル依存症の予防効果、改善効果を含む、ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させる本サービスの提供が可能となる。
【0091】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0092】
例えば、上述の実施形態では、取得されたコンテクスト情報のうち、生体情報、外部生体情報、及び経済情報を用いているが、これは一例に過ぎない。取得されたコンテクスト情報のうちあらゆる情報を用いることができる。
【0093】
また例えば、上述の実施形態では、ライフネットサービスが適用される場面として、ユーザUによる、オンラインギャンブルサイトの利用時、スポーツ時、仕事時、入浴時、飲食時、睡眠時、歩行時、第三者との接触時、他者との対話時等が挙げられているが、これらは例示に過ぎない。ユーザUの日常生活のあらゆる場面に適用することができる。
【0094】
また、
図3に示すシステム構成、及び
図4に示すサーバ1のハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0095】
また、
図5に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述したライフネット処理を全体として実行できる機能が
図3の情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるかは、特に
図5の例に限定されない。
【0096】
また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、
図5に限定されず、任意でよい。
図5の例において、ライフネット処理は、上述の情報処理システムを構成するサーバ1のCPU11の制御により行われる構成となっているが、これに限定されない。例えばサーバ1側に配置された機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、ユーザ端末2側、IoT機器3側、事業者等サーバ4側、又は図示せぬ他の情報処理装置が備える構成としてもよい。
【0097】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0098】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0099】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0100】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0101】
以上をまとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
所定行動の主体となるユーザ(例えばユーザU)を支援する情報処理装置(例えば
図3のサーバ1)において、
前記ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を示す情報を、第1情報(例えば上述のコンテクスト情報)として取得する第1取得手段(例えば
図5のコンテクスト情報取得部111)と、
前記ユーザによる前記所定行動の状況を示す情報を、第2情報(例えば上述の利用状況情報)として取得する第2取得手段(例えば
図5の利用状況情報取得部112)と、
前記第1取得手段により取得された前記第1情報と、前記第2取得手段により取得された前記第2情報との組み合わせに基づいて、前記ユーザによる前記所定行動の状況が当該ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態に与える影響を示す情報を、第3情報(例えば上述の影響情報)として生成する生成手段(例えば
図5の生成部102)と、
前記生成手段により生成された前記第3情報を、所定のIoT機器(例えば
図5のIoT機器3)を介して前記ユーザに報知する制御を実行する報知制御手段(例えば
図5の報知制御部103)と、
を備える。
【0102】
つまり、所定行動の主体となるユーザを支援する情報処理装置において、ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を示す情報が第1情報として取得される。また、ユーザによる所定行動の状況を示す情報が第2情報として取得される。そして、取得された第1情報と第2情報との組み合わせに基づいて、ユーザによる所定行動の状況がそのユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態に与える影響を示す情報が第3情報として生成される。すると、生成された第3情報がユーザに報知される。
これにより、ユーザは、自身の身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させるための情報を容易に得ることができる。
【0103】
また、前記第2取得手段は、
前記ユーザによる前記所定行動としての遊技(例えば上述のオンラインギャンブルサイト)の状況を示す情報を、前記第2情報として取得し、
前記生成手段は、
前記第3情報として、前記ユーザによる前記遊技の状況が当該ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態に与える影響を示す情報を生成することができる。
【0104】
つまり、ユーザによる所定行動としての遊技の状況を示す情報が、第2情報として取得されると、ユーザによる遊技の状況がユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態に与える影響を示す情報が第3情報として生成される。
これにより、ユーザは、ギャンブル依存症の予防効果、改善効果を含む、自身の身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させるための情報を容易に得ることができる。
【0105】
また、前記遊技は、オンラインによる前記ユーザの利用を可能とし、
前記第2取得手段は、
前記第2情報として、前記ユーザによる前記遊技の状況に応じて当該ユーザに付与されるトークン(例えば上述のトークンT)の量を示す情報を取得し、
前記第1情報及び前記第2情報の管理が、ブロックチェーン技術又は分散台帳を用いて行われるようにすることができる。
【0106】
つまり、ユーザによる所定行動としての遊技は、オンラインによるユーザの利用を可能とし、ユーザによる遊技の状況に応じてそのユーザに付与されるトークンの量を示す情報が第2情報として取得される。そして、第1情報及び第2情報の管理が、ブロックチェーン技術又は分散台帳を用いて行われる。
これにより、情報の改ざんのリスクが低減化される。
【0107】
また、前記生成手段により生成された前記第3情報に基づいて、前記ユーザの前記身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させるための所定の措置の実行を制御する改善措置制御手段(例えば
図5の改善措置制御部104)をさらに備えることができる。
【0108】
つまり、生成された第3情報に基づいて、ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させるための所定の措置の実行が制御される。
これにより、ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させることができる。
【0109】
また、前記改善措置制御手段は、
前記所定の措置として、前記ユーザによる遊技を制限する措置と、前記ユーザの健康を改善させるため措置と、前記ユーザの経済的状況を改善させるための措置とのうち少なくとも1の措置の実行を制御することができる。
【0110】
つまり、ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させるための所定の措置として、ユーザによる遊技を制限する措置と、ユーザの健康を改善させるため措置と、ユーザの経済的状況を改善させるための措置とのうち少なくとも1の措置の実行が制御される。
これにより、ユーザの身体的状態、精神的状態、及び経済的状態を改善させることができる。
【符号の説明】
【0111】
1・・・サーバ、2・・・ユーザ端末、3・・・IoT機器、4・・・事業者等サーバ、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・入力部、17・・・出力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、40・・・リムーバルメディア、101・・・取得部、102・・・生成部、103・・・報知制御部、104・・・改善措置制御部、111・・・コンテクスト情報取得部、112・・・利用状況情報取得部、181・・・ユーザDB、NW・・・ネットワーク、G・・・サービス提供者、U・・・ユーザ、M・・・事業者等