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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】ポケットコイル
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/04 20060101AFI20250207BHJP
   A47C 27/07 20060101ALI20250207BHJP
   A47C 27/045 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
A47C27/04 Z
A47C27/07
A47C27/045
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024124234
(22)【出願日】2024-07-31
【審査請求日】2024-08-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000187714
【氏名又は名称】松下工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】池野 浩司
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-194034(JP,A)
【文献】特開2023-027558(JP,A)
【文献】特開2023-060974(JP,A)
【文献】特開2005-065726(JP,A)
【文献】特開2022-180052(JP,A)
【文献】国際公開第2014/204397(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02576216(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/04
A47C 27/07
A47C 27/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスに内設されるポケットコイルであって、
多数のコイルバネ収容室が列設された袋体と、
該コイルバネ収容室に1つずつ収容される多数のコイルバネと
を備え、
前記袋体は、帯状の不織布により形成され、当該不織布の幅方向の両端部を融着して当
該ポケットコイルの長手方向に形成された長手方向融着線と、前記長手方向融着線と直交
し、隣接するコイルバネ収容室を仕切る仕切り融着線と、前記コイルバネの軸方向の両端
を覆う上壁、及び下壁と、前記コイルバネの側方を覆う一対の側壁とを有し、
前記コイルバネは、前記仕切り融着線と軸方向を同じくして前記コイルバネ収容室に収
容されており、
前記袋体は、前記長手方向に延びる波線状の破線からなる切断線を有することを特徴と
するポケットコイル。
【請求項2】
前記切断線は、前記袋体の前記一対の側壁に設けられている請求項1に記載のポケットコイル。
【請求項3】
前記袋体の前記一対の側壁に設けられる切断線は、前記一対の側壁の対向する方向について非対称に設けられている請求項2に記載のポケットコイル。
【請求項4】
前記切断線は、破線を構成する多数の短線の間隔よりも広い間隔からなる不連続部を有
する請求項1、又は請求項2に記載のポケットコイル。
【請求項5】
前記一対の側壁の切断線が、ともに不連続部を有し、
前記一対の側壁の切断線は、前記長手方向について、前記不連続部の位置が異なる請求項2に記載のポケットコイル。
【請求項6】
前記不連続部は、前記切断線における波の山の頂部、又は谷の底部に設けられている請
求項4に記載のポケットコイル。
【請求項7】
前記切断線は、前記袋体の側壁と前記上壁、又は前記側壁と前記下壁に跨るように設け
られている請求項1、又は請求項2に記載のポケットコイル。
【請求項8】
前記仕切り融着線が非融着部を有し、前記切断線が前記非融着部を通過する請求項1、
又は請求項2に記載のポケットコイル。
【請求項9】
前記切断線が、湾曲波状、三角波状、又は矩形波状である請求項1、又は請求項2に記
載のポケットコイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マットレス内部に装填されるいわゆるポケットコイルに関し、特にコイルバネを装填する不織布性の袋体に解体用の切断線を有するポケットコイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄されたマットレスからポケットコイルの不織布やコイルバネをリサイクルするために、ポケットコイルの解体を容易にすべく不織布にミシン目等を設けることが提案されている(特許文献1、乃至特許文献3参照)。
【0003】
例えば特許文献1では、コイルを収容する袋体の上下の壁にコイルの並ぶ方向に沿ってミシン目を入れたポケットコイルが提案されている。
特許文献1のポケットコイルでは、袋体の上下の壁にミシン目を設けることで、マットレスの使用時にコイルバネの伸縮による力がミシン目に加わらないようにしている。
【0004】
これに対し、特許文献2では、コイルバネを収容する袋体の周面に沿ってミシン目を設けたポケットコイルが提案されている。特許文献2のポケットコイルは、袋体の上下の壁をマットレスの表装に接着しておくことで、表装を剥がす際に、同時にポケットコイルの袋体が破れるよう構成されている。
【0005】
ところが、特許文献2のポケットコイルでは、コイルバネが1つずつ筒状に形成された袋体に収容されているので、一部の袋体のミシン目で破断が生じなくなると、すべてのミシン目を同時に破断することができない虞が有った。
【0006】
そこで、特許文献3では、1列に並ぶ複数のポケット空間を1枚の布地により形成し、該ポケット空間の両側面においてポケット空間の並ぶ方向に連続するミシン目を設けることで、連続してミシン目を破断できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-65726号公報
【文献】特開2012-95785号公報
【文献】特開2022-180052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献3のポケットコイルではミシン目が直線状に連続しているため、マットレスの製作時や使用時に外力が加わって、不意にポケットコイルのミシン目が破断すると、ミシン目に沿って破断が広がってしまうという問題が有る。本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、マットレスの製作時や使用時に不意に生じた破断が広がりにくい切断線を備えたポケットコイルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた発明は、マットレスに内設されるポケットコイルであって、多数のコイルバネ収容室が列設された袋体と、該コイルバネ収容室に1つずつ収容される多数のコイルバネとを備え、前記袋体は、帯状の不織布により形成され、当該不織布の幅方向の両端部を融着して当該ポケットコイルの長手方向に形成された長手方向融着線と、前記長手方向融着線と直交し、隣接するコイルバネ収容室を仕切る仕切り融着線と、前記コイルバネの軸方向の両端を覆う上壁、及び下壁と、前記コイルバネの側方を覆う一対の側壁とを有し、前記コイルバネは、前記仕切り融着線と軸方向を同じくして前記コイルバネ収容室に収容されており、前記袋体は、前記長手方向に延びる波線状の破線からなる切断線を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のポケットコイルは、このように切断線を波線状に設けたので、マットレスの使用時等に切断線に生じた破断部が、切断線に沿って進展することを抑制できる。
【0011】
前記切断線は、前記袋体の前記一対の側壁に設けられていることが好ましい。こうすることで、マットレスの解体時に、袋体の上壁を上側に引っ張るだけで、容易に袋体を開放して、コイルバネを取り出すことができる。
【0012】
前記袋体の前記一対の側壁に設けられる切断線は、前記一対の側壁の対向する方向について非対称に設けられていることが好ましい。こうすることで、マットレスの使用時等において、袋体の両側壁の切断線が同時に破断してしまうことを抑制できる。
【0013】
前記切断線は、破線を構成する多数の短線の間隔よりも広い間隔からなる不連続部を有することが好ましい。こうすることで、切断線に不意に生じた破断箇所が進展することを不連続部により抑制できる。
【0014】
前記一対の側壁の切断線が、ともに不連続部を有し、前記一対の側壁の切断線は、前記長手方向について、前記不連続部の位置が異なることが好ましい。こうすることで、一対の側壁の切断線のいずれに生じた不意の破断箇所も広がりを抑制できる。また、袋体の上壁に貼着された表装を引っ張って、袋体を切断線に沿って破く際に、両切断線における破断箇所が同時に不連続部に到達することを抑制できるため、不連続部により破断が止まってしまうことを抑制できる。
【0015】
前記不連続部は、前記切断線における波の山の頂部、又は谷の底部に設けられていることが好ましい。ポケットコイルは、上壁、又は下壁にマットレスの上面や下面を形成する表装部材が貼設されるところ、この表装部材に最も近く、マットレスの使用時に最も力を受けることとなる波状の切断線の山の頂部や谷の底部に不連続部を設けることで、マットレスの使用時に切断線が不意に破断することを抑制できる。
【0016】
前記切断線は、前記袋体の側壁と前記上壁、又は前記側壁と前記下壁に跨るように設けられていてもよい。こうすることで、切断線が上壁、側壁、及び下壁の間で跨る際に、切断線に生じた不意の破断箇所の広がりを抑制できる。
【0017】
前記仕切り融着線が非融着部を有し、前記切断線が前記非融着部を通過することが好ましい。こうすることで、切断線が仕切り融着線の融着部との交差部分で固くなるために切断線に沿った切断が困難になることを抑制できる。
【0018】
本発明は、前記切断線が、湾曲波状、三角波状、又は矩形波状であるポケットコイルを含む。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明のポケットコイルによれば、切断線が、製作時や使用時に不意に破断してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係るポケットコイルを示す斜視図である。
図2図1のポケットコイルの部分透過側面図である。
図3図1のポケットコイルの正面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るポケットコイルを示す斜視図である。
図5図4のポケットコイルの部分透過側面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るポケットコイルを示す斜視図である。
図7図6のポケットコイルの平面図である。
図8】第1実施形態の切断線における不連続部の説明図である。
図9】本発明のポケットコイルの側壁に設ける長手方向融着線の別の例を示す(a)正面視模式図、(b)(a)におけるA部の拡大図である。
図10】本発明のポケットコイルの側壁に設ける長手方向融着線のまた別の例を示す(a)正面視模式図、(b)(a)におけるB部の拡大図である。
図11】本発明のポケットコイルの上壁に設ける長手方向融着線の別の例を示す(a)正面視部分模式図、(b)側面視部分模式図、(c)平面図である。
図12】本発明のポケットコイルの上壁に設ける長手方向融着線のまた別の例を示す(a)正面視部分模式図、(b)側面視部分模式図、(c)平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限られるものではない。
【0022】
(第1実施形態)
図1から図3は、本発明の第1実施形態に係るポケットコイル100を示している。ポケットコイル100は、図1に示すように、コイルバネを収容する袋体10と、多数のコイルバネ3,3,3…とを備え、ベッド等に載置されるマットレスにクッション材として内設されるものである。本発明のポケットコイル100は、リサイクルのための分解を容易にすべく、袋体10に切断線4が設けられている。
【0023】
袋体10は、帯状の不織布1により形成され、不織布1の幅方向の両端部11a,11bを重ねて融着する2条の破線状の長手方向融着線5,5と、長手方向融着線5,5と直交する多数の破線状の仕切り融着線6,6,…と、仕切り融着線6,6,…(図2参照)により仕切られる多数のコイルバネ収容室2,2,…とを有している。袋体10に用いる不織布1としては、超音波、高周波、レーザーその他の公知の融着方法で融着可能であれば、特に限定されない。
【0024】
コイルバネ収容室2,2,…には、仕切り融着線6,6,…と軸方向を同じくして、コイルバネ3が1つずつ収容される。
袋体10は、コイルバネ3の軸方向の両端を覆う上壁12、及び下壁13と、コイルバネ3の左右(図3の左右)の側方を覆う側壁14,14とを有している。
コイルバネ3の材料は特に限定されず、ステンレス、ばね鋼等の金属製ばねを用いてもよいし、カーボンファイバーやプラスチック等の樹脂製ばねを用いることもできる。
【0025】
袋体10は、図2に示すように、帯状の不織布1の幅方向の両端部11a,11bが、一方の側壁14上で重ね合わせるよう折り曲げられて超音波融着により融着され、2本の平行な破線状の長手方向融着線5,5が形成されている。長手方向融着線5,5は、左右の一方の側壁14を通るように設けられている。
【0026】
ただし、本発明の長手方向融着線5は、2本に限らず1本でも3本以上でもよく、連続する実線状であってもよい。また、図9に示すように、不織布1の幅方向の端部11a、11bを内外逆にして、長手方向融着線5を設けてもよい。図10に示すように、不織布1の幅方向の端部11aと11bを合わせて、帯状の接続代11c,11cの根元の11dの位置で長手方向融着線5を設け接続代11c,11cを折り曲げてもよい。
【0027】
あるいは、長手方向融着線5は、袋体10の上壁12に設けてもよい。図11の例のように、不織布10の幅方向の端部11a,11bの内面どうしを背中合わせに重ねて袋体10の上面12に垂設した帯状の接続代11cに長手方向融着線5を設けてもよい。また、図12の例のように、不織布1の幅方向の両端部11a,11bを水平に上下に重ねて、長手方向融着線5を設けてもよい。
【0028】
仕切り融着線6は、図2に示すように、上下方向に、かつ長手方向融着線5,5と直行するように延びてる。本実施形態では、仕切り融着線6は、矩形の融着部分6a,6a,…が間隔をおいて列設される破線状をなしているが、連続する直線状に設けてもよい。仕切り融着線6の上下の端部は、上壁12、又は下壁13を内側に折り返し、これを左右の側壁14,14で挟むようにして、計4枚の不織布を重ねて融着したマチ71,71を有している。また仕切り融着線6は、上下方向の途中位置に融着部分6aが存在しない、非融着部61を備えている。
【0029】
切断線4は、図1図2に示すように、正弦曲線状(湾曲波状)、かつ破線状をなしている。切断線4は、袋体10の長手方向に沿って左右(図2の手前側の奥側)の側壁14,14に1本ずつ計2本が設けられている。本実施形態では左右の切断線4,4は、長手方向(図2の左右方向)における山と谷の位置が異なる。
【0030】
図2の例では、切断線4は、側壁14における長手方向融着線5,5の上側に設けられているが、長手方向融着線5,5の下側に設けてもよいし、長手方向融着線5,5の上下に1本ずつ2本設けてもよいし、3本以上設けることもできる。
【0031】
本実施形態では、切断線4は、超音波等による溶融線からなり、不織布1を貫通していない。こうすることで、切断線4を介して、南京虫・ダニ等の虫類やハウスダクト・アレルゲン・カビ等の塵埃が袋体10内部に侵入することを抑制できる。ただし、切断線4は、不織布1を貫通するスリットや貫通孔を破線状に連続させたいわゆるミシン目であってもよい。
【0032】
切断線4は、図示の例では、正弦曲線からなるが、これに限定されず他の湾曲波状、三角波状、矩形波状であってもよい。切断線4の波の振幅やピッチは、一定であってもよいし、一定に設けず、長手方向の位置により変化させてもよい。
【0033】
切断線4は、図8に示すように、山の頂部4bに、切断線4の破線の間隔dよりも広い間隔Dからなる不連続部4aを有している。このように、切断線4のうちポケットコイル100をマットレスに組み込んだ際に、マットレスのウレタンフォームやシート、キルティングパネル等の表層部材に貼着される上壁12に最も近い山の頂部4bに不連続部4aを設けることで、マットレスの使用時等に切断線4に不意に破断が生じることを抑制できる。切断線4が上壁12よりも下壁13よりに設けられる場合は、下壁13に最も近い切断線4の谷の底部4cに不連続部4aを設けるとよい。ただし、不連続部4aは、頂部4bや底部4c以外の場所に設けてもよい。
【0034】
切断線4は、図8に示すように、仕切り融着線6の非融着部61を通るように設けられている。非融着部61は、仕切り融着線6の途中の不織布が融着されていない部分からなる。切断線4と仕切り融着線6の融着部分が交差すると、当該交差部分が固くなるため、切断線4に沿った切断が当該交差部分により困難になってしまう。このように、仕切り融着線6の非融着部61を切断線4が通過することで切断線4に沿って、スムーズに袋体10を切断・解体できる。
【0035】
非融着部61は、切断線4の波高h(振幅の2倍)よりも大きいことが好ましい。こうすることで、コイルバネ収容室2の並ぶピッチと切断線4の波のピッチが異なっても切断線4が仕切り融着線6の融着部分6aに交差しないようにできる。
【0036】
ポケットコイル100を分解する際には、ポケットコイル100の上壁12に接合されたウレタンフォーム等の表装をポケットコイル100から剥がすように持ち上げる。すると、ウレタンフォーム等にポケットコイル100の上壁12が引っ張られて、ポケットコイル100の両側壁14,14の切断線4,4に沿って袋体10が切断・解放される。しかるのち、内部からコイルバネ3を取り出して、コイルバネ3と袋体10(不織布1)とを分離する。
このように、切断線4が袋体10の両側壁14,14に設けられているので、上壁12を上方へ引っ張るだけで袋体10を解体できる。
【0037】
(作用・効果)
以上、第1実施形態に係るポケットコイル100によれば、以下の作用・効果を奏する。
(1)切断線4を波線状に設けたので、マットレスの使用時等に切断線4に生じた破断部が、切断線4に沿って進展することを抑制できる。
(2)切断線4を袋体10の両側壁に設けたので、袋体10の上壁12を上側に引っ張るだけで、容易に袋体10を開封して、コイルバネを取り出すことができる。
(3)袋体10の両側壁14,14の切断線4,4を、袋体10を挟んで非対称に設けたので、マットレスの使用時等において、両側壁14,14の切断線4,4が同時に破断してしまうことを抑制できる。
(4)切断線4に、不連続部4aを設けたので、切断線4に生じた破断箇所の進展を不連続部4aにより抑制できる。
(5)袋体10の上壁12を切断線4,4に沿って破く際に、両切断線4,4の破断箇所が同時に不連続部4a,4aに到達すると、切断の進行が阻害される恐れがある。第1実施形態では、左右の側壁14,14の切断線4,4の不連続部4a,4aの袋体10の長手方向における位置が両側壁で異なるため、切断線4,4の破断箇所が同時に不連続部4a、4aに到達すること抑制できるので、袋体10の解体時に切断線4、4を切断しやすい。
(6)切断線4における波の山の頂部4b、又は谷の底部4cに不連続部4aを設けたので、マットレスの使用時に切断線4が不意に破断することを効果的に抑制できる。
(7)切断線4,4が仕切り融着線6の非融着部61を通過するようにしたので、切断線4,4が仕切り融着線6との交差部分で固くなることで、切断が困難になることを抑制できる。
【0038】
(第2実施形態)
図4図5は、本発明の第2実施形態に係るポケットコイル200を示している。ポケットコイル200では、図5に示すように、仕切り融着線206の下端は、第1実施形態同様、袋体10の下壁13まで延びる一方で、仕切り融着線206の上端は、袋体10の上壁12まで達しておらず、仕切り融着線206は、図4に示すように、両側壁14,14と上壁12に跨る環状の非融着部261を備えている。これにより、コイルバネ収容室2のマチ71は、袋体10の上壁12側には形成されず、下壁13側にのみ設けられている。そして、ポケットコイル200では、袋体10の上壁12を長手方向に延びるように、2本の平行な波線状、かつ破線状の切断線204,204が設けられている。切断線204は、超音波等による溶融線からなり、不織布1を貫通しない
【0039】
このように、2本の平行な切断線を上壁12に設けたので、2本の切断線204,204の間の部分を引っ張ることで、全てのコイルバネ収容室2を連続して分解できる。また、ポケットコイル200においても、切断線204,204は、仕切り融着線206の非融着部261を通過するので、その切断が仕切り融着線206により妨げられることがない。
尚、第2実施形態以降の実施形態において、他の実施形態と共通する説明ずみの部位・部材は、同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
(第3実施形態)
次に、図6図7を用いて、本発明の第3実施形態に係るポケットコイル300を説明する。ポケットコイル300は、第2実施形態と同様の仕切り融着線206を有しており、両側壁14,14と上壁12に跨る環状の非融着部261を備えている。そして、第3実施形態に係るポケットコイル300では波線状の切断線304,304が、非融着部261を通るように、かつ袋体10の側壁14と上壁12に跨るように設けられている。
【0041】
このように、切断線304が、側壁14と上壁12に跨ることで、側壁14において切断線304に、マットレスの使用等により不意に生じた破断が、上壁12が表装に貼設されていることにより広がることを抑制される。また、ポケットコイル300を解体する際には、2本の切断線304,304の間の部分を引っ張ることで、全てのコイルバネ収容室2を連続して分解できる。また、ポケットコイル300においても、切断線304,304は、仕切り融着線206の非融着部261を通過するので、その切断が仕切り融着線206により妨げられることがない。
【0042】
以上、本発明のポケットコイルは、上述した実施形態に限らず、例えば、切断線は、袋体の下壁に設けてもよく、側壁と下壁に跨るように設けてもよい。また、切断線は、袋体の上壁、又は下壁、側壁のいずれかに1本ずつ設けてもよいし、その一部又は全部に設けてもよい。切断線は、上壁、下壁、側壁のうち1つの壁に1本だけでも複数本でも任意の本数を設けることができる。両側壁の切断線は袋体を挟んで対称に設けてもよく、不連続部の位置が袋体の長手方向について同じ位置であってもよい。切断線は、不連続部を備えなくてもよいし、不連続部を切断線の波の頂部や谷の底部以外の場所に設けてもよい。仕切り融着線は、非融着部を備えなくてもよく、切断線は、仕切り融着線の融着部と交差してもよい。
袋体は、上壁、又は下壁に不織布の幅方向の合わせ目である長手方向融着線が設けられてもよく、非融着部を備えなくとも良いし、仕切り融着線の上方と下方の両側に非融着部を備えていてもよい。切断線は、正弦波状や曲線状の波線に限らず、三角波状、又は矩形波状であってもよい。切断線は、融着線に限らず、不織布を貫通する多数のスリットからなるミシン目であってもよい。


【符号の説明】
【0043】
100,200,300 ポケットコイル
10 袋体
1 不織布
1a,1b 不織布の幅方向の両端部
12 上壁
13 下壁
14 側壁
2 コイルバネ収容室
3 コイルバネ
4,204,304 切断線
4a 不連続部
4b 山の頂部
4c 谷の底部
5 長手方向融着線
6 仕切り融着線
61 非融着部
【要約】      (修正有)
【課題】マットレスの製作時や使用時に不意に生じた破断が広がりにくい切断線を備えたポケットコイルを提供する。
【解決手段】本発明のポケットコイル100は、多数のコイルバネ収容室2が列設された袋体10と、コイルバネ収容室2に1つずつ収容される多数のコイルバネ3とを備えている。袋体10は、帯状の不織布1の幅方向の両端部11a,11bを融着してポケットコイル100の長手方向に形成された長手方向融着線5と、隣接するコイルバネ収容室2,2を仕切る仕切り融着線6と、コイルバネ3の軸方向の両端を覆う上壁12、及び下壁13と、コイルバネ2の側方を覆う側壁14とを有し、コイルバネ3は、仕切り融着線6と軸方向を同じくしてコイルバネ収容室2に収容されている。そして、袋体10は、長手方向に延びる波線状の破線からなる切断線4を有している。
【選択図】図1
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