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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】平面構造体
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20250207BHJP
   E04B 2/82 20060101ALI20250207BHJP
   E04B 2/76 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
E04B2/74 541N
E04B2/82 521A
E04B2/76
E04B2/74 561C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021006583
(22)【出願日】2021-01-19
(65)【公開番号】P2022110878
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100119585
【弁理士】
【氏名又は名称】東田 潔
(72)【発明者】
【氏名】石橋 晃
(72)【発明者】
【氏名】杉本 謙二
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-010199(JP,A)
【文献】特開2020-148085(JP,A)
【文献】特開2011-006975(JP,A)
【文献】特開昭58-106081(JP,A)
【文献】特開2015-217642(JP,A)
【文献】登録実用新案第3199836(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72 - 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の座席をステージに正対させて配列可能な内部空間を有する施設で、
前記内部空間を形成する前記ステージの背後のステージ側壁面及び前記ステージ側壁面に対向する前記座席の最後部側壁面の各々に並行して、前記施設の床面から天井面に対して鉛直方向に延びる少なくとも2本の第1脚部と第2脚部と前記第1脚部および第2脚部の前記天井面側の端部を接続し、前記床面に対して水平方向に延びる横梁部とから形成されたステージ側枠体と最後部側枠体との1対の枠体と、
前記1対の枠体の各々を前記壁面に固定する固定具と、
前記1対の枠体の各々に取り付けて、前記施設で使用する所定の機器および器具を設置可能とする取付部材と、を有し、
前記取付部材は、前記ステージ側枠体に取り付けて設置する機器及び器具と前記最後部側枠体に取り付けて設置する機器及び器具の各々の用途に応じて適所に設置し、各々の機器及び器具の使用を損なわない構成で固定することが可能な平面構造体。
【請求項2】
前記ステージ側枠体および前記ステージ側枠体に取り付けられた取付部材は、前記ステージ側壁面に設置された黒板またはホワイトボードを含む筆記板の筆記面に重畳しない位置で組付けられる請求項記載の平面構造体。
【請求項3】
前記取付部材には、前記ステージ側枠体の前記横梁部に、前記筆記面に映像を投射するステージ側プロジェクタ取付部材が含まれる請求項記載の平面構造体。
【請求項4】
前記取付部材には、前記ステージ側壁面に並行して設置された枠体の前記第1脚部または第2脚部の少なくともいずれか一方に、第3脚部を並列させ、前記第3脚部の端部と前記並列された第1脚部または第2脚部の端部とを接続する延設横梁部を設け、前記第3脚部と前記並列された第1脚部または第2脚部との間に横架したモニタ用取付部材が含まれる請求項から請求項までのいずれか1項に記載の平面構造体。
【請求項5】
前記最後部側枠体および前記最後部側枠体に取り付けられた取付部材は、前記最後部側壁面に、前記床面から立設して設置された収納棚に重畳しない位置で組付けられる請求項から請求項までのいずれか1項に記載の平面構造体。
【請求項6】
前記最後部側枠体は、前記第1脚部と前記第2脚部との間を前記横梁部に並行して接続する2本の中間横梁部を備え、前記2本の中間横梁部の間は、1以上の多用途パネルを嵌装して挟持可能な領域を形成する請求項から請求項までのいずれか1項に記載の平面構造体。
【請求項7】
前記取付部材には、前記最後部側枠体の前記横梁部に、前記多用途パネルに映像を拡大または縮小投射する最後部側プロジェクタを前記多用途パネルの数に応じて取り付け可能とする最後部側プロジェクタ取付部材が含まれる請求項記載の平面構造体。
【請求項8】
前記中間横梁部が形成する領域は、前記ステージから見て、前記座席の最後部に着席する者の顔と同大の顔を、前記最後部側プロジェクタを介して所定人数表示可能な多用途パネルを取り付ける空間を有する請求項記載の平面構造体。
【請求項9】
前記取付部材には、ステージ側枠体または最後部側枠体の少なくともいずれか一方の横梁部に、前記1対の枠体のいずれか一方の枠体が他方の枠体に正対する方向にカメラを取り付け可能とするカメラ取付部材が含まれる請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の平面構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における開示は、教室、会議室などの施設で使用する機器、器具を設置する平面構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、分散登校、サテライト授業やリモート会議などのニーズから、教室、会議室などの施設において、対面式の授業、会議とオンライン式の授業、会議を行うことができるように、各種ICT機器や器具(以下、「機器類」という。)などを常設する必要が生じている。
【0003】
これら機器類を設置するためには、ある程度のスペースが必要となる。たとえば、プロジェクタを設置するためには、機器本体の設置スペースのほか、映像を投影するスクリーン、配線などの配設位置を確保しなければならない。
【0004】
従来の対面式を前提とした前記施設は、上記のような機器類の設置を想定した構造になっていないため、適切に設置するためには、室内を改装することが多かった。しかし、教室の場合、その面積や内部の施設については、所定の室内環境を保持する必要があるため、前記改装には制約がある。また、前記改装には、コストの問題、さらには改装期間中、前記施設の利用が制限されることがないのように、施工時期の制限、短納期の要請など、多様な課題がある。
【0005】
従来このような課題に対して、柱状体と横梁体において、その内部に軸心方向に延びる溝を設け、その溝内で任意の位置に移動可能且つ該位置で固定可能な連結手段を設け、前記機器類を設置可能な空間構造体(例えば、特許文献1参照。)、鉛直方向に延びる柱部材と、前記柱部材に接続されると共に水平方向に延びる梁部材とを含み、内部に物品を収納するためのバックヤード空間が形成される自立架構式の空間構造体と、空間構造体の柱部材及び梁部材によって形成される架構面の少なくとも一部に設置され、ホワイトボード又はスクリーンとして利用可能なパネル部とを備えた教育支援装置(例えば、特許文献2参照。)が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-132474号公報
【文献】特開2019-209608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
たとえば、教室の場合、基準となる床面積が提示されている。また、ある程度の人数を収容する会議室の場合、相応の床面積が必要になる。所定の広さを必要とする施設の内部空間に、前記従来技術で開示されているような自立型の空間構造体を構築するためには、強度保証上の観点から、四隅の脚部だけでは不十分であり、横梁部の中間にも、脚部を設ける必要がある。
【0008】
教室、会議室などの施設は、用途に応じて座席の並びを変えて利用することがあるが、内部空間に、前記中間の脚部を設けると、座席並び替えの自由度を制約するおそれがあった。
【0009】
また、前記中間の脚部のような突起体を前記内部空間に設けると、安全面や室内全体を見渡しづらい等の問題が生じる可能性があった。
【0010】
さらに、前記空間構造体は、前記施設の改装と比較すれば、コストを低減し、工期の短縮を実現することはできるが、予算上の観点から、より一層の低コスト化と、施工中の施設の利用制限回避の観点から、より一層の短納期化が望まれている。
【0011】
ところで、前記分散登校による授業では、同一内容の授業を複数回行う必要があり、教員の負担が大きくなっていた。また、本来、同一クラスの生徒が、分断されることになるため、クラスの連帯感が希薄になり、教育上好ましくない結果を生むおそれがあった。
【0012】
オンライン式のリモート授業では、教員が、生徒の個別の様子を一望できない問題もあった。また、対面式の授業を記録して、リモート授業を提供する場合、対面式の授業の際に、リモート授業用の録画のセッティングなど、教師の作業負荷が大きくなっていた。
【0013】
本明細書における開示は、上記課題を解消させるためのものであり、対面式、オンライン式の授業、会議を効果的に実施できる機器類を設置可能な構造体を提供することを第1の目的とする。また、低コスト、短納期で施工可能な構造体を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解消させるために、本明細書において開示する平面構造体の一態様は、複数の座席をステージに正対させて配列可能な内部空間を有する施設で、
前記内部空間を形成する前記ステージの背後のステージ側壁面及び前記ステージ側壁面に対向する前記座席の最後部側壁面の各々に並行して、前記施設の床面から天井面に対して鉛直方向に延びる少なくとも2本の第1脚部と第2脚部と前記第1脚部および第2脚部の前記天井面側の端部を接続し、前記床面に対して水平方向に延びる横梁部とから形成されたステージ側枠体と最後部側枠体との1対の枠体と、
前記1対の枠体の各々を前記壁面に固定する固定具と、
前記1対の枠体の各々に取り付けて、前記施設で使用する所定の機器および器具を設置可能とする取付部材と、を有する。
【0015】
さらに、前記取付部材は、前記ステージ側枠体に取り付けて設置する機器及び器具と前記最後部側枠体に取り付けて設置する機器及び器具の各々の用途に応じて適所に設置し、各々の機器及び器具の使用を損なわない構成で固定することが可能である。
【0016】
この構成によれば、所定の機器および器具を前記施設の壁面に沿って固定した平面構造体に設置することができる。
【0017】
また、平面構造体をステージ側枠体と最後部側枠体から構成される1対とすることで、前記機器および器具の設置を各々の用途に応じて適所に設置することができる。
【0018】
前記施設の壁面に、既存の黒板、ホワイトボードが設置されている場合、前記ステージ側枠体および前記ステージ側枠体に取り付けられた取付部材は、前記ステージ側壁面に設置された黒板またはホワイトボードを含む筆記板の筆記面に重畳しない位置で組付けられるようにすればよい。すなわち、本平面構造体は、対面式の授業、会議で使用する既存の器具の使用を損なわない構成で固定することができる。
【0019】
前記取付部材には、前記ステージ側枠体の前記横梁部に、前記筆記面に映像を投射するステージ側プロジェクタ取付部材が含まれる。
【0020】
また、前記取付部材には、前記ステージ側壁面に並行して設置された枠体の前記第1脚部または第2脚部の少なくともいずれか一方に、第3脚部を並列させ、前記第3脚部の端部と前記並列された第1脚部または第2脚部の端部とを接続する延設横梁部を設け、前記第3脚部と前記並列された第1脚部または第2脚部との間に横架したモニタ用取付部材が含まれる。
【0021】
前記最後部側枠体および前記最後部側枠体に取り付けられた取付部材は、前記最後部側壁面に、前記床面から立設して設置された収納棚に重畳しない位置で組付けられるようにしてもよい。前記最後部側枠体および前記最後部側枠体に取り付けられた取付部材も、前記ステージ側枠体の場合同様、最後部側壁面の既存の器具等の使用も損なわない構成で固定することができる。
【0022】
前記最後部側枠体は、前記第1脚部と前記第2脚部との間を前記横梁部に並行して接続する2本の中間横梁部を備え、前記2本の中間横梁部の間は、1以上の多用途パネルを嵌装して挟持可能な領域を形成するようにしてもよい。
【0023】
前記取付部材には、前記最後部側枠体の前記横梁部に、前記多用途パネルに映像を拡大または縮小投射する最後部側プロジェクタを前記多用途パネルの数に応じて取り付け可能とする最後部側プロジェクタ取付部材が含まれる。
【0024】
前記中間横梁部が形成する領域は、前記ステージから見て、前記座席の最後部に着席する者の顔と同大の顔を、前記最後部側プロジェクタを介して所定人数表示可能な多用途パネルを取り付ける空間を有するようにしてもよい。平面構造体をステージ側枠体および最後部側枠体から構成される1対とすることで、前記ステージ側から見て、オンライン式の授業、会議で、対面式と同様の投射映像を視認することができる。
【0025】
前記取付部材には、ステージ側枠体または最後部側枠体の少なくともいずれか一方の横梁部に、前記1対の枠体のいずれか一方の枠体が他方の枠体に正対する方向にカメラを取り付け可能とするカメラ取付部材が含まれる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の平面構造体は、対面式、オンライン式の授業、会議を効果的に実施できる機器類を設置可能な構造体を提供するという効果を奏する。また、本発明の平面構造体は、低コスト、短納期で施工可能な構造体を提供することできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本明細書で開示する平面構造体の斜視図である。
図2図2は、ステージ側枠体の分解斜視図である。
図3図3は、最後部側枠体の分解斜視図である。
図4図4は、平面構造体を教室に設置した状態を示すパース図である。
図5図5は、平面構造体を教室に設置した状態を示す上面図である。
図6図6は、最後部側枠体のパネルに投射した映像をステージ(教壇)側から見た状態を示した図である。
図7図7は、ステージ側、最後部側、及び左側、右側の四方に壁面を有する教室に設置する枠体の設置形態を示した図であり、(A)は、ステージ側壁面と最後部側壁面と右側壁面の3か所に枠体を設置した例を示した図、(B)は、ステージ側壁面と右側壁面と左側壁面の3か所に枠体を設置した例を示した図、(C)は、教室の4壁面すべてに枠体を設置した例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本明細書による開示を実施するための形態を説明する。先に説明した実施形態に対応する構成要素を後続の実施形態が有する場合には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、各実施形態において構成の一部のみを説明している場合、当該構成の他の部分については先行して説明した実施形態の参照符号を使用する場合がある。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示していない場合でも、特に当該組み合わせに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。また、図中の各部材、構成品の大きさは、説明を容易とするため適宜強調されており、実際の寸法、部材間および構成品間の比率を示すものではない。
【0029】
本明細書で開示する平面構造体は、ステージに正対させて座席の配列が可能な内部空間を有する施設に設置可能なものであるが、以下、本実施形態では、学校の教室に設置した平面構造体を設置例として説明する。なお、本明細書で、ステージとは、教室の場合、典型的には教壇が該当するが、教壇がなくても、教師が生徒に正対して授業、講義を行う領域であれば、ステージと定義する。また、本明細書で、座席とは、椅子のみのほか、椅子、机をワンセットとするもの、長机、実験台、調理台、円卓などの大型のテーブルと複数の椅子をワンセットとするものなども含まれる。
【0030】
<平面構造体の構成>
図1は、本明細書で開示する平面構造体の斜視図であり、図2は、ステージ側枠体の分解斜視図、図3は、最後部側枠体の分解斜視図である。以下、図1から図3により、平面構造体の構成を説明する。
【0031】
平面構造体100は、ステージ側枠体110および最後部側枠体120から成る1対の枠体で構成される。ここで、最後部とは、前記ステージの背後の壁面に対向する壁面側(すべての座席が、ステージ側を向いている典型的なスクール形式の座席配列の場合、最後部の座席の背後の壁面側)をいう。
【0032】
ステージ側枠体110は、教室の床面から天井面に対して鉛直方向に延びる第1脚部111Aおよび第2脚部111Bと、第1脚部111Aおよび第2脚部111Bの前記天井面側の端部を接続し、前記床面に対して水平方向に延びる横梁部112Aとで、外形コの字状に形成される。なお、第1脚部111Aおよび第2脚部111Bと横梁部112Aとは、たとえば、専用の接続ジョイント(図示せず)によって、固定接続すればよい。
【0033】
第1脚部111Aおよび第2脚部111Bと横梁部112Aとから形成される前記コの字状に包囲されている空間の大きさは、用途に応じて、各脚部、横梁部の長さを調整すればよいが、たとえば、後述するように、ステージに黒板、ホワイトボードなどの筆記板が設置されている場合、筆記面に重畳しないように、第1脚部111A、第2脚部111B、横梁部112Aの長さを設定すればよい。なお、キャスタ付きのホワイトボードなど、前記筆記板が可動式の場合であっても、通常の定位置の設置位置に合わせて前記長さを決定すればよい。
【0034】
なお、ステージ側枠体110は、第2脚部111Bに第3脚部111Cを並列させ、第2脚部111Bの端部と第3脚部111Cの端部とを接続する延設横梁部112Bを設けている。そして、第2脚部111Bと第3脚部111Cとの間に、モニタ用取付部材113A、113Bが横架されている。さらに、本実施の形態では、二本のモニタ用取付部材113A、113Bの間にモニタ用ブラケット118が跨設されている。モニタ用ブラケット118は、長手方向両端部に掛止爪が形成され、前記両掛止爪でモニタ用取付部材113A、113Bを把持して跨設されているが、跨設方法は、本実施の形態のものに限定されない。
【0035】
図2で示すとおり、モニタDは、背面で、モニタ用ブラケット118が螺設され、モニタ用ブラケット118を介して、モニタ用取付部材113A、113Bに取り付けられているが、モニタDの背面に予めブラケットが据え付けられている場合は、モニタDをモニタ用取付部材113A、113Bに直接取り付けることになる。
【0036】
ステージ側枠体110は、取付部材として、モニタ用取付部材113A、113Bのほかに、横梁部112Aに、プロジェクタ取付部材116、カメラ取付部材117が装着されている。本実施の形態では、プロジェクタ取付部材116は、図2で示すとおり、断面形状C型の取付金具であり、両開放端側を外側方向に直角に屈曲させて、取付部を形成している。前記取付部を横梁部112Aに螺設等で取付け、横梁部112Aと一体で、取付孔を形成する。前記取付孔に、ステージ側プロジェクタPsの取付板を嵌装すればよい。なお、後述するとおり、ステージ側プロジェクタPsは、直下に、前記筆記板の筆記面を配する位置に設置し、前記筆記面に映像を投射する。したがって、ステージ側プロジェクタPsは、短焦点プロジェクタが好ましい。
【0037】
カメラ取付部材117は、図2で示すとおり、断面形状L型の取付金具であり、図面視で第1脚部111Aおよび第2脚部111Bの長手方向と同一方向の立ち上がり片を横梁部112Aに螺設等で取付ける。前記立ち上がり片に対して直角に屈曲して形成された載置片にステージ側カメラCsを載置すればよい。
【0038】
ステージ側枠体110は、第1脚部111A、第2脚部111B、第3脚部111Cに固定具114が、複数装着されている。また、横梁部112A、延設横梁部112Bに固定具115が複数装着されている。固定具114、115は、ステージ側枠体110を教室の壁面に並行して固定する。本実施の形態では、固定具114、115は、断面形状Z型の固定金具である。すなわち、固定具114、115は、中間の基部に対して、一端側を直角に屈曲させて壁側取付片とし、他端側を前記取付片とは逆方向に直角に屈曲させて係止片が形成されている。前記壁側取付片は、壁面に対して、螺設等で固定し、前記係止片は、第1脚部111A、第2脚部111B、第3脚部111C、横梁部112A、延設横梁部112Bに形成された係止溝(図示せず)に嵌挿すればよい。本実施の形態では、固定具114を4つ、固定具115を3つ装着しているが、各固定具の数は、特に限定する趣旨ではない。たとえば、教室の壁面の素材、強度などに応じて装着する数は任意に設定すればよい。
【0039】
なお、モニタ用取付部材113A、113B、プロジェクタ取付部材116、カメラ取付部材117および固定具114、115は、上記説明した構造、形状に限定する趣旨ではない。モニタD、ステージ側プロジェクタPs、ステージ側カメラCsの取付が可能であり、あるいは、教室の壁面に固定が可能であれば、上記説明した構造、形状と異なるものであってもよい。また、取付部材は、モニタ用取付部材113A、113B、プロジェクタ取付部材116、カメラ取付部材117に限定されない。すなわち、ステージ側枠体110は、第1脚部111A、第2脚部111B、第3脚部111C、横梁部112A、延設横梁部112Bに取り付ける機器、器具の形状、重量、設置位置などに応じて、所定形状の取付部材による取付が可能である。
【0040】
最後部側枠体120も、ステージ側枠体110と基本的な構成は同一である。すなわち、ステージ側枠体110の第1脚部111A、第2脚部111B、横梁部112A、固定具114、115、プロジェクタ取付部材116、カメラ取付部材117と、最後部側枠体120の第1脚部121A、第2脚部121B、横梁部122A、固定具123、124、プロジェクタ取付部材126、カメラ取付部材127とは、同一構造である。なお、最後部側枠体120は、プロジェクタを複数台設置している。すなわち、最後部側プロジェクタPb1、Pb2、Pb3を概ね等間隔で設置するため、プロジェクタ取付部材126も3つ装着している。また、プロジェクタを3台設置するため、横梁部122Aは、ステージ側枠体110の横梁部112Aよりも、長尺になっている。
【0041】
最後部側枠体120は、第1脚部121Aと第2脚部121Bとの間を横梁部122Aに並行して接続する2本の第1中間横梁部122B、第2中間横梁部122Cを備える。第1中間横梁部122B、第2中間横梁部122Cは、第1脚部121Aと第2脚部121Bに取り付けられた逆L字状の中間横梁部ブラケット125によって、第1脚部121Aと第2脚部121Bの長手方向の所望の位置に据付られる。たとえば、第1中間横梁部122B、第2中間横梁部122Cの間は、1以上の多用途パネルMを嵌装して挟持可能な領域を確保するために、中間横梁部ブラケット125を所定の位置に取り付ければよい。なお、本実施の形態では、第1中間横梁部122Bに多用途パネル取付部材128を取付て、固定設置できるようにしている。
【0042】
なお、後述するとおり、最後部側プロジェクタPb1、Pb2、Pb3は、直下に、多用途パネルMを配する位置に設置し、映像を投射する。したがって、最後部側プロジェクタPb1、Pb2、Pb3は、短焦点プロジェクタが好ましい。また、同様に、後述するように、カメラ取付部材127に載置する最後部側カメラCbは、ステージ側の教師の動きを追尾する追尾カメラが好ましい。
【0043】
以上のとおり、平面構造体100は、少なくとも2本の第1脚部、第2脚部および第1脚部および第2脚部の端部を接続する横梁部からなる枠体と、枠体に設置された固定具、取付部材から構成される。
【0044】
<実施例>
以下、図4図5図6によって、平面構造体100を教室に設置した実施例を説明する。図4は、平面構造体100を教室に設置した状態を示すパース図であり、図5は、平面構造体100を教室に設置した状態を示す上面図である。また、図6は、最後部側枠体120のパネルに投射した映像をステージ(教壇)側から見た状態を示した図である。
【0045】
教室は、四方を壁面W1乃至W4で包囲されている。平面構造体100のステージ側枠体110は、教壇側の壁面W1に固定され、最後部側枠体120は、座席の最後部側の壁面W2に固定されている。ステージ側枠体110、最後部側枠体120の第1脚部111A、121A、第2脚部111B、121B、およびステージ側枠体110の第3脚部111Cは、いずれも、教室の床面Fから天井面Cに対して鉛直方向に延びるように設置されている。また、ステージ側枠体110、最後部側枠体120の横梁部112A、122Aおよびステージ側枠体110の延設横梁部112B、最後部側枠体120の第1中間横梁部122B、第2中間横梁部122Cは、いずれも、床面Fに対して水平方向に延びるように設置されている。なお、第1脚部111A、121A、第2脚部111B、121B、および第3脚部111Cの天井C側の端部の水平性を確保するために、床面側の端部に、高さを微調整できるアジャスタを取り付けてもよい。
【0046】
ステージ側枠体110は、壁面W1に据付けられている黒板Bの筆記面が全面使用可能なように、第1脚部111A、第2脚部111Bおよび横梁部112Aで囲まれた空間を形成している。すなわち、ステージ側枠体110と黒板Bの筆記面とが重畳しないように、第1脚部111A、第2脚部111Bおよび横梁部112Aが組付けられている。ステージ側プロジェクタPsは、直下に黒板Bが配されるように、横梁部112Aに取り付けられている。ステージ側プロジェクタPsの映像は、黒板Bに投射され、生徒側から視認することができる。さらに、モニタDも、生徒側から視認可能なように、黒板Bに並列して設置されている。
【0047】
一方、最後部側枠体120は、壁面W2に、床面Fから立設して設置された収納棚Rに重畳しない位置で組付けられる。すなわち、多用途パネルMを取り付ける第1中間横梁部122Bと第2中間横梁部122Cとは、収納棚Rよりも上部で、第1脚部121Aおよび第2脚部121Bと接続される。
【0048】
多用途パネルMは、最後部側プロジェクタPb1、Pb2、Pb3の映像を投射するが、本実施例では、分散登校などで、登校していない生徒の顔映像を多用途パネルMに投射する。なお、オンラインで参加する複数の生徒の顔映像を分割画面で表示する場合、一つのプロジェクタを介して表示すると、一人当たりの表示面積が小さくなり、教壇側から見た場合、表情を読み取ることができない。そこで、多用途パネルMを複数連結し、最後部側プロジェクタを多用途パネルMの数に応じて取り付ければよい。本実施例では、多用途パネルM1、M2、M3を連結し、各多用途パネルM1、M2、M3の数に対応させて、最後部側プロジェクタPb1、Pb2、Pb3を設置している。したがって、図6で示すとおり、実際に登校して授業に出席している生徒で、最後部に着席している生徒S1の顔の大きさと、オンラインで出席している生徒で、前記多用途パネルM1に表示されている生徒S2の顔の大きさは、教壇側から見ると、ほぼ同じ大きさになる。
【0049】
カメラCbは、前述のとおり、教師の動きを追尾する追尾カメラを設置している。図6で示すとおり、カメラCbは、最後部側枠体120に設置することができるため、教師が、生徒側に正対する位置、すなわち、生徒の目線と同じ方向を撮影することができる。平面構造体100を設置しない教室でカメラCbを上記と同じ方向に向けて設置するためには、天吊式の設置具を天井に施工するか、自立式の設置台を床面から鉛直方向に設置する必要がある。平面構造体100は、カメラCbを前記天吊式または自立式の設置方法に比べて、低コストかつ安全に設置することができる。
【0050】
また、この設置位置のカメラCbで撮影した授業の映像をアーカイブ保存すれば、後日、そのまま教材として利用することもできる。平面構造体100を設置しない教室で同様の映像を撮影しようとすれば、教師が、都度、教材用の撮影アングルを確認してカメラを設置する必要がある。平面構造体100は、前記教師によるカメラ設置の作業負荷を軽減することができる。
【0051】
なお、対面式の授業では、生徒が教壇T側に登壇して発表を行うこともある。従来のオンライン式の授業の場合、オンラインで参加した生徒は、上記対面式の授業のようなポジションで発表を行うことが難しい。しかし、平面構造体100を利用すれば、発表者の生徒の画像を、プロジェクタPsを介して黒板Bに投影するとともに、当該発表を行う生徒の手元の画像には、ステージ側カメラCsで撮影した画像を表示させるように変更することもできる。したがって、平面構造体100を使用すれば、授業で前記発表などをするシチュエーションでも、オンライン式の授業に出席している生徒が、対面式の授業と同様な視線で発表することができる。
【0052】
多用途パネルM1、M2、M3は、前記のとおり、最後部側プロジェクタPb1、Pb2、Pb3によって、映像を投射していないときは、展示物などを展示できるように、磁気ボードとすればよい。また、ホワイトボードとして板書可能にすれば、壁面W1に据付けされている黒板Bの拡張筆記板としても使用できる。
【0053】
なお、ステージ側プロジェクタPs、ステージ側カメラCs、最後部側プロジェクタPb、最後部側カメラCbおよびモニタDなどの配線は、第1脚部111A、121A、第2脚部111B、121B、横梁部112A、122A等、ステージ側枠体110、最後部側枠体120を構成する部材の内部に、配線案内溝を設け、収納してもよい。また、図4で示すとおり、横梁部112A、122Aと天井Cとの間に、伸縮自在な支持棒Eを介在させ、よりステージ側枠体110および最後部側枠体120を安定的に設置するようにしてもよい。
【0054】
<変形例>
図7は、ステージ側、最後部側、及び左側、右側の四方に壁面を有する教室に設置する枠体の設置形態を示した図であり、前記実施例の変形例を示したものである。(A)は、ステージ側壁面W1と最後部側壁面W2と右側壁面W4の3か所にステージ側枠体110、最後部側枠体120、右壁面側枠体140を設置した例を示した図である。(B)は、ステージ側壁面W1と右側壁面W4と左側壁面W3の3か所にステージ側枠体110、左壁面側枠体130、右壁面側枠体140を設置した例を示した図である。(C)は、教室の4壁面(W1、W2、W3、W4)すべてにステージ側枠体110、最後部側枠体120、左壁面側枠体130、右壁面側枠体140を設置した例を示した図である。
【0055】
上記各変形例では、(A)の場合、3つのステージ側枠体110、最後部側枠体120、右壁面側枠体140が対になり、平面構造体を形成し、(B)の場合、3つのステージ側枠体110、左壁面側枠体130、右壁面側枠体140が対になり、平面構造体を形成する。また、(C)の場合、4つのステージ側枠体110、最後部側枠体120、左壁面側枠体130、右壁面側枠体140が対になり、平面構造体を形成する。
【0056】
上記各変形例では、ステージ側枠体110以外の枠体には、前記実施例で説明したオンラインで出席する生徒の顔を投射するほか、授業参観に際し、父兄を表示してもよい。また、他のクラスと合同授業などをする場合にも、教室内に入りきらない生徒の顔を表示するようにしてもよい。また、生徒個人の映像を分割画面に表示するほか、グループ学習などの場合に、グループごとの分割画像を表示することもできる。
【0057】
なお、上記実施例、変形例は、平面構造体を教室に設置した例で説明したが、会議室においても、同様に適用可能である。たとえば、本社の社員と複数支社の社員とが会議をする場合、本社会議室の壁面に平面構造体を上記実施例、変形例のいずれかの形態で設置し、合同会議を行うようにしてもよい。特に、大型の会議室がない場合でも、各々の顔、表情を視認することができるため、オンラインで参加している参加者、実際に会議室で参加している参加者双方に対して、臨場感のある会議室を提供することができる。
【0058】
さらに、上記実施例、変形例では、施設(教室)の壁面が四方にあるものを例として説明したが、たとえば、六角形等、上面視多角形の壁面を有する施設においても、平面構造体は設置することが可能である。
【0059】
以上のとおり、本明細書で開示する平面構造体は、対面式、オンライン式の授業、会議を効果的に実施できる機器類を設置することが可能である。さらに、従来、教室、会議室などにおいて、有効利用されていなかった最後部側などに、オンライン式で授業に参加する生徒、社員の映像を大きく表示することができ、実際の出席者、参加者とリモートでの出席者、参加者とがリアルタイムで授業を受け、会議を行うことができる。
【0060】
この明細書で開示された技術は、前記実施形態に制限されない。すなわち、例示的に示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。また、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。さらに、開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0061】
100 平面構造体
110 ステージ側枠体
111A、121A 第1脚部
111B、121B 第2脚部
111C 第3脚部
112A、122A 横梁部
112B 延設横梁部
113A、113B モニタ用取付部材
114、115、123、124 固定具
116、126 プロジェクタ取付部材
117、127 カメラ取付部材
118 モニタ用ブラケット
120 最後部側枠体
122B 第1中間横梁部
122C 第2中間横梁部
125 中間横梁部ブラケット
Ps ステージ側プロジェクタ
Cs ステージ側カメラ
D モニタ
Pb 最後部側プロジェクタ
Cb最後部側カメラ
M 多用途パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7