(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】汚水処理装置及び汚水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20250207BHJP
C02F 3/34 20230101ALI20250207BHJP
【FI】
C02F1/44 F
C02F3/34 101C
(21)【出願番号】P 2020165493
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 進
(72)【発明者】
【氏名】円谷 輝美
(72)【発明者】
【氏名】グェン タン フォン
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-256281(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198422(WO,A1)
【文献】特開平03-262600(JP,A)
【文献】特開2014-113511(JP,A)
【文献】特開2018-187539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/22、61/00-71/82
C02F1/44
C02F3/00-3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水を処理するための反応槽の内部に、前記汚水に含まれる汚染物質を分離する膜分離装置と、前記膜分離装置に気泡を供給する散気管とを備える汚水処理装置において、
前記反応槽は、
前記反応槽の内部を前記膜分離装置が配置されている領域と前記膜分離装置が配置されていない領域に仕切り且つ反応槽の底部から離間して配置される第1の仕切板と、
前記膜分離装置が配置されていない領域に、前記第1の仕切板の上端よりも高い上端を有し且つ反応槽の底部から離間して配置される第2の仕切板と、
前記膜分離装置が配置される第1の領域と、
前記第1の仕切板と前記第2の仕切板との間に存在する第2の領域と、
前記第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第3の領域と、
を有し、
反応槽内の汚水の水位が前記第1の仕切板の上端よりも高い位置にあるとき、前記汚水は前記第1の領域から前記第1の仕切板の上端を越流して前記第2の領域に移行し、
反応槽内の汚水の水位が前記第2の仕切板の上端よりも高い位置にあるとき、前記汚水は前記第2の領域から前記第2の仕切板の上端を越流して前記第3の領域に移行することを特徴とする汚水処理装置。
【請求項2】
前記反応槽内の汚水の水位が前記第2の仕切板の上端よりも高い位置にあるとき、前記汚水は前記第1の領域と前記第3の領域を循環する循環流を形成することを特徴とする請求項1記載の汚水処理装置。
【請求項3】
前記第2の領域は、前記第1の仕切板と前記第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれていることを特徴とする請求項1
又は2記載の汚水処理装置。
【請求項4】
前記第3の領域に汚水を供給する汚水供給手段を備えることを特徴とする請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の汚水処理装置。
【請求項5】
汚水を処理するための反応槽の内部に、前記汚水に含まれる汚染物質を分離する膜分離装置と、前記膜分離装置に気泡を供給する散気管とを備える汚水処理装置において、
前記反応槽は、
前記反応槽の内部を前記膜分離装置が配置されている領域と前記膜分離装置が配置されていない領域に仕切り且つ反応槽の底部から離間して配置される第1の仕切板と、
前記膜分離装置が配置されていない領域に、前記第1の仕切板の上端よりも高い上端を有し且つ反応槽の底部から離間して配置される第2の仕切板と、
前記膜分離装置が配置される第1の領域と、
前記第1の仕切板と前記第2の仕切板との間に存在する第2の領域と、
前記第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第3の領域と、
を有し、
前記第2の領域に補助曝気手段を設けたことを特徴とす
る汚水処理装置。
【請求項6】
前記第1の領域と前記第2の領域と前記第3の領域の容積比が1:1~2:0.2~1であることを特徴とする請求項
1乃至
4のいずれか1項に記載の汚水処理装置。
【請求項7】
前記第1の仕切板及び前記第2の仕切板の少なくとも一方が、上端に水位調整手段を設けたものであることを特徴とする請求項1乃至
4及び6のいずれか1項に記載の汚水処理装置。
【請求項8】
汚水を処理するための反応槽の内部に、前記汚水に含まれる汚染物質を分離する膜分離装置と、前記膜分離装置に気泡を供給する散気管とを備える汚水処理装置であって、
前記反応槽は、前記反応槽の内部を前記膜分離装置が配置されている領域と前記膜分離装置が配置されていない領域に仕切
り且つ反応槽の底部から離間して配置される第1の仕切板と、前記膜分離装置が配置されていない領域に、前記第1の仕切板の上端よりも高い上端を有
し且つ反応槽の底部から離間して配置される第2の仕切板と、
前記膜分離装置が配置される第1の領域と、前記第1の仕切板と前記第2の仕切板との間に存在する第2の領域と、前記第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第3の領域と、を有する汚水処理装置を用いた汚水処理方法において、
反応槽内の汚水の水位が前記第1の仕切板の上端よりも高い位置にあるとき、前記汚水が
前記第1の領域から前記第1の仕切板
の上端を越流して前記第2の領域に移行する第1の越流ステップと、
反応槽内の汚水の水位が前記第1の仕切板の上端よりも低い位置にあるとき、前記汚水が前記第1の仕切板を越えない非越流ステップと、
反応槽内の汚水の水位が前記第2の仕切板の上端よりも高い位置にあるとき、前記汚水が
前記第2の領域から前記第2の仕切板
の上端を越流して前記第3の領域に移行する第2の越流ステップと、
を有することを特徴とする汚水処理方法。
【請求項9】
前記反応槽内の汚水の水位が前記第2の仕切板の上端よりも高い位置にあるとき、前記汚水は前記第1の領域と前記第3の領域を循環する循環流を形成することを特徴とする請求項8記載の汚水処理方法。
【請求項10】
前記第2の領域は、前記第1の仕切板と前記第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれていることを特徴とする請求項8
又は9記載の汚水処理方法。
【請求項11】
前記汚水処理装置に供給される汚水の日間の流量変動に基づいて、高負荷時間帯及び/又は低負荷時間帯が予め設定されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の汚水処理方法。
【請求項12】
汚水を処理するための反応槽の内部に、前記汚水に含まれる汚染物質を分離する膜分離装置と、前記膜分離装置に気泡を供給する散気管とを備える汚水処理装置であって、前記反応槽は、前記反応槽の内部を前記膜分離装置が配置されている領域と前記膜分離装置が配置されていない領域に仕切り且つ反応槽の底部から離間して配置される第1の仕切板と、前記膜分離装置が配置されていない領域に、前記第1の仕切板の上端よりも高い上端を有し且つ反応槽の底部から離間して配置される第2の仕切板と、前記膜分離装置が配置される第1の領域と、前記第1の仕切板と前記第2の仕切板との間に存在する第2の領域と、前記第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第3の領域と、を有する汚水処理装置を用いた汚水処理方法において、
前記汚水が前記第1の仕切板を越える第1の越流ステップと、
前記汚水が前記第1の仕切板を越えない非越流ステップと、
前記汚水が前記第2の仕切板を越える第2の越流ステップと、
を有し、
前記汚水処理装置に供給される汚水の日間の流量変動に基づいて、高負荷時間帯及び/又は低負荷時間帯が予め設定され、前記高負荷時間帯において、前記第1の仕切板と前記第2の仕切板とで囲まれる第2の領域、又は、前記第1の仕切板と前記第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第2の領域を好気区画とすることを特徴とす
る汚水処理方法。
【請求項13】
前記低負荷時間帯において、前記第1の仕切板と前記第2の仕切板とで囲まれる第2の領域、又は、前記第1の仕切板と前記第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第2の領域を無酸素区画若しくは嫌気区画とすることを特徴とする請求項11記載の汚水処理方法。
【請求項14】
前記高負荷時間帯及び/又は前記低負荷時間帯は、汚水流入量及び汚水水質から選ばれる測定値又は前記測定値から得られた演算値に基づいて設定されることを特徴とする請求項11
又は13記載の汚水処理方法。
【請求項15】
前記第1の領域の溶存酸素(DO)濃度、酸化還元電位(ORP)、アンモニア性窒素(NH
4-N)濃度及び硝酸性窒素(NO
3-N)濃度、前記第2の領域の溶存酸素(DO)濃度、酸化還元電位(ORP)、アンモニア性窒素(NH
4-N)濃度及び硝酸性窒素(NO
3-N)濃度、前記第3の領域の酸化還元電位(ORP)及びアンモニア濃度から選ばれる測定値又は前記測定値から得られた演算値に基づいて、前記第1の領域又は前記第2の領域に設けられた補助曝気手段からの曝気量を制御することを特徴とする請求項
8乃至
11、13及び14のいずれか1項に記載の汚水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汚水処理装置及び汚水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、汚水を生物処理するための反応槽と、反応槽に浸漬され且つ生物処理された汚水から固形物を除去するための膜分離装置と、膜分離装置の下部に設置され且つ膜分離装置に対して空気等の気体を供給する散気管とを備える汚水処理装置が知られ、反応槽における汚水の生物処理は、例えば、微生物を含む有機汚泥、すなわち、いわゆる活性汚泥によって汚水が処理される活性汚泥法に基づいて実行される。
【0003】
具体的に、活性汚泥法においては、酸素存在下(好気状態)でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が実行される。さらに、硝化反応によってアンモニアから変換された亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が実行される。脱窒反応は酸素存在下(好気状態)で行われる硝化反応と異なり、無酸素状態で行う必要がある。脱窒反応は硝化反応が行われる反応槽と異なる反応槽で行われてもよいが、汚水処理装置の省スペース化を実現するために、単一の反応槽内で硝化反応及び脱窒反応が行われる汚水処理装置が提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0004】
図8は従来の汚水処理装置を概略的に示す図である。
図8の汚水処理装置は、好気状態での硝化反応及び無酸素状態での脱窒反応を行う反応槽1と、汚水を反応槽1に供給するための原水槽9とを備え、反応槽1は、反応槽1内を複数の区画に仕切るための仕切板7を有する。具体的に、反応槽1は、仕切板7で囲まれる汚水領域Aと、仕切板7及び反応槽1の内壁で囲まれる汚水領域Bとに仕切られ、汚水領域Aは膜分離装置2及び散気管4を有する。また、反応槽1は、原水槽9からの汚水の供給を開始するための汚水供給開始水位LWL(Low water level)と、原水槽9からの汚水の供給を停止するための汚水供給停止水位HWL(High water level)とを有し、仕切板7の上端部は汚水供給開始水位LWLと汚水供給停止水位HWLとの間に位置する。
【0005】
図8の汚水処理装置においては、反応槽1内の水位が汚水供給開始水位LWLになると原水槽9からの汚水の供給が開始され、水位が汚水供給停止水位HWLになると原水槽9からの汚水の供給が停止されるように設定され、汚水の水位が変化するように構成されている。これにより、汚水の水位は仕切板7の上端部より高い位置(以下、「汚水越流位置」という。)と、仕切板7の上端部より低い位置(以下、「汚水非越流位置」という。)とを往来する。
図9は、
図8における反応槽1内の汚水の水位が汚水越流位置にあるときの汚水の流れを概略的に示す図である。
【0006】
汚水の水位が汚水越流位置にあるとき、散気管4から膜分離装置2に対して供給される空気により、汚水が仕切板7の上端を越流し、仕切板7の周囲を循環する循環流が形成される。この循環流により、汚水領域Aの亜硝酸や硝酸は汚水領域Bに移行し、汚水領域Aの空気の大半は汚水領域Bに移行することなく反応槽1の外部に放出される。すなわち、循環流が形成されると、汚水領域Aでは酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行し、汚水領域Bでは循環流に乗って汚水領域から移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0007】
一方、汚水の水位が汚水非越流位置にあるとき、汚水領域Aと汚水領域Bとの間で汚水の流通が分断されるため、散気管4が膜分離装置2に空気を供給しても、仕切板7の周囲を循環する循環流は形成されない。すなわち、汚水領域Aでは酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行し、汚水領域Bでは汚水の流通が分断される前に汚水領域Aから移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0008】
図8のような従来の汚水処理装置では、良好な脱窒効率を達成するために、汚水の越流時間帯と越流停止時間帯はそれぞれ5~10分程度に設定されており、越流時間帯と越流停止時間帯を合わせて10~20分のインターバルで運転が繰り返されていた。また、反応槽1内において、好気ゾーンである汚水領域Aと無酸素ゾーンである汚水領域Bの容積比は1:1~1:2程度に設定され固定されていた。
【0009】
さらに、汚水処理場の規模によっては汚水流入量が日間で大きく変動する場合がある。例えば、小規模の汚水処理場では、高負荷時間帯の汚水流入量は平均的な処理時間帯の汚水流入量の2~3倍であり、低負荷時間帯の汚水流入量は大きく低下し、平均的な時間帯の汚水流入量の10~20%程度となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2004-261711号公報
【文献】国際公開公報第2018/123647号公報
【文献】国際公開公報第2018/198422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の汚水処理装置(
図8)では、越流時間帯と越流停止時間帯を合わせたインターバルが短いため、汚水領域Bにおいて無酸素状態からリンの除去に必要な嫌気状態に到達することができず、リンの除去を十分に行うことができないという問題があった。また、従来の汚水処理装置では、好気ゾーンと無酸素ゾーンの容積比が固定されていたため、汚水の越流時間帯と越流停止時間帯の比率や補助曝気手段による送風量を調整したとしても、日間の流量変動(負荷変動)に対して十分に対応できないという問題があった。
【0012】
本発明は、汚水から窒素とリンを同時に除去することができ、汚水の流量変動に対し安定して汚水処理を実行することができる汚水処理装置及び汚水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の汚水処理装置は、汚水を処理するための反応槽の内部に、前記汚水に含まれる汚染物質を分離する膜分離装置と、前記膜分離装置に気泡を供給する散気管とを備える汚水処理装置において、前記反応槽は、前記反応槽の内部を前記膜分離装置が配置されている領域と前記膜分離装置が配置されていない領域に仕切り且つ反応槽の底部から離間して配置される第1の仕切板と、前記膜分離装置が配置されていない領域に、前記第1の仕切板の上端よりも高い上端を有し且つ反応槽の底部から離間して配置される第2の仕切板と、前記膜分離装置が配置される第1の領域と、前記第1の仕切板と前記第2の仕切板との間に存在する第2の領域と、前記第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第3の領域と、を有し、反応槽内の汚水の水位が前記第1の仕切板の上端よりも高い位置にあるとき、前記汚水は前記第1の領域から前記第1の仕切板の上端を越流して前記第2の領域に移行し、反応槽内の汚水の水位が前記第2の仕切板の上端よりも高い位置にあるとき、前記汚水は前記第2の領域から前記第2の仕切板の上端を越流して前記第3の領域に移行することを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の汚水処理方法は、汚水を処理するための反応槽の内部に、前記汚水に含まれる汚染物質を分離する膜分離装置と、前記膜分離装置に気泡を供給する散気管とを備える汚水処理装置であって、前記反応槽は、前記反応槽の内部を前記膜分離装置が配置されている領域と前記膜分離装置が配置されていない領域に仕切り且つ反応槽の底部から離間して配置される第1の仕切板と、前記膜分離装置が配置されていない領域に、前記第1の仕切板の上端よりも高い上端を有し且つ反応槽の底部から離間して配置される第2の仕切板と、前記膜分離装置が配置される第1の領域と、前記第1の仕切板と前記第2の仕切板との間に存在する第2の領域と、前記第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第3の領域と、を有する汚水処理装置を用いた汚水処理方法において、反応槽内の汚水の水位が前記第1の仕切板の上端よりも高い位置にあるとき、前記汚水が前記第1の領域から前記第1の仕切板の上端を越流して前記第2の領域に移行する第1の越流ステップと、反応槽内の汚水の水位が前記第1の仕切板の上端よりも低い位置にあるとき、前記汚水が前記第1の仕切板を越えない非越流ステップと、反応槽内の汚水の水位が前記第2の仕切板の上端よりも高い位置にあるとき、前記汚水が前記第2の領域から前記第2の仕切板の上端を越流して前記第3の領域に移行する第2の越流ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、汚水から窒素とリンを同時に除去することができ、汚水の流量変動に対し安定して汚水処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る汚水処理装置を概略的に示す上面図(上図)及び側面図(下図)である。
【
図2】
図1における反応槽内の汚水の水位が第1の仕切板7aの汚水越流位置にあるときの汚水の流れを概略的に示す側面図である。
【
図3】
図1における反応槽内の汚水の水位が第2の仕切板7bの汚水越流位置にあるときの汚水の流れを概略的に示す側面図である。
【
図4】
図1における反応槽内の汚水の水位が第2の仕切板7bの汚水越流位置にあり、且つ、第2の領域Z2において補助曝気装置5bより曝気されるときの汚水の流れを概略的に示す側面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係る汚水処理装置を概略的に示す上面図である。
【
図6】本発明の第3の実施の形態に係る汚水処理装置を概略的に示す上面図である。
【
図7】本発明の第4の実施の形態に係る汚水処理装置を概略的に示す上面図である。
【
図8】従来の汚水処理装置を概略的に示す図である。
【
図9】
図8における反応槽内の汚水の水位が汚水越流位置にあるときの汚水の流れを概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0018】
図1(下図)は、本発明の実施の形態に係る汚水処理装置を概略的に示す側面図である。
【0019】
図1(下図)の汚水処理装置は、汚水を生物処理するための単槽式の反応槽1を備えている。反応槽1は直方体状であり、矩形状の板状部材からなる4枚の槽壁と底面が互いに直交するように接合されて構成されている。反応槽1は、汚水に含まれる汚染物質を分離する膜分離装置2と、膜分離装置2に気泡状の空気を供給する散気管4と、第1の仕切板7aと、第2の仕切板7bとを有する。膜分離装置2は反応槽1の外部の吸引ポンプ3に接続されている。吸引ポンプ3が駆動すると、生物処理された汚水が膜分離装置2によってろ過され、ろ過された水は反応槽1の槽外に取り出される。
【0020】
散気管4は、膜分離装置2の下部に設置されるとともに、反応槽1の外部のブロワ(不図示)に接続され、ブロワは散気管4に空気を供給している。膜分離装置2は汚水をろ過するため、膜分離装置2の膜面には汚水中の汚泥物質等が付着し、膜分離装置2の膜面に付着した汚水中の汚泥物質等を放置すると、膜分離装置2が目詰まりして適切に汚水をろ過することができなくなるが、ブロワから散気管4に供給された空気が膜分離装置2の膜面に供給されることにより、汚泥物質等が膜分離装置2の膜面に付着するのを防止している。
【0021】
第1の仕切板7aにより、反応槽1の内部は膜分離装置2が配置される領域と膜分離装置2が配置されない領域とに仕切られている。第2の仕切板7bは、第1の仕切板7aと反応槽の内壁との間に配置され、第2の仕切板7bにより前記膜分離装置2が配置されない領域は2つの領域に仕切られている。第2の仕切板7bは第1の仕切板7aの上端よりも高い上端を有し、第2の仕切板7bの上端と第1の仕切板7aの上端の差は、通常3~50cmであり、5~30cmが好ましい。本実施の形態の汚水処理装置は、仕切板(バッフル)を2枚有することから、ダブルバッフルド・メンブランバイオリアクター(2B-MBR)とも言う。第1の仕切板7a及び第2の仕切板7bは反応槽1の底部から離間して配置されている。仕切板は耐久性が要求されるため、ステンレス等の金属で構成される。反応槽1において第1の仕切板7aと第2の仕切板7bの配置は、後述する
図5~7のように様々な態様を用いることができる。
【0022】
第1の仕切板7a及び第2の仕切板7bは、上端部に高さを調節することが可能な高さ調節手段を有していてもよい。高さ調節手段としては、仕切板の上端部に複数の固定部材を用いて固定された矩形状の板状部材であって、上下方向にスライド可能な可動堰等が挙げられる。また、ヒンジ部材等を介して仕切板の上端部に固定された矩形状の板状部材であって、該板状部材を転倒させることにより仕切板の上端の高さを調節する手段であってもよい。このような高さ調節手段を仕切板に取り付ける場合には、第1の仕切板7aと第2の仕切板7bの間で上端の高さの差を設ける必要はなく、第2の仕切板7bの上端部に設置された高さ調節手段の上端が第1の仕切板7aの上端よりも高い配置となっていればよい。
【0023】
図1(上図)は、
図1(下図)の汚水処理装置の上面図である。
第1の仕切板7a及び第2の仕切板7bはそれぞれ4枚の矩形状の板状部材からなる。第1の仕切板7aは膜分離装置2の全周囲を囲包し、第2の仕切板7bは第1の仕切板7aの全周囲を囲包している。第1の仕切板7a及び第2の仕切板7bを設けることにより、反応槽1は、膜分離装置が配置される第1の領域Z1と、第1の仕切板と第2の仕切板とで囲まれる第2の領域Z2と、第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第3の領域Z3とに区画されている。第1の領域と第2の領域と第3の領域の容積比は、流入負荷や処理目標に応じて最適値を選択することができるが、一般的な下水性状では1:1~2:0.2~1とするのが好ましい。
【0024】
図1(下図)の汚水処理装置は、第3の領域Z3に汚水を供給する汚水供給手段を備えている。反応槽1は原水ポンプ6を介して原水を格納する不図示の原水槽に接続され、原水ポンプ6が駆動すると、処理される汚水は原水槽から汚水供給手段により反応槽1内の第3の領域Z3に供給される。
【0025】
第1の領域Z1には膜分離装置の下部の側方に補助曝気手段5aが配置されており(
図1(下図))、散気管4による酸素供給では酸素量が不足する場合に、補助曝気手段5aから曝気を行うことにより酸素量を補うことができる。また、第2の領域Z2には補助曝気手段5bが配置されており、補助曝気手段5bから曝気を行うことにより、例えば、後述する高負荷時間帯において第2の領域を好気状態にして好気処理を行うことができる。補助曝気手段5a及び5bは、それぞれブロワ(不図示)に接続され、ブロワからエア(空気)が供給される。
【0026】
反応槽1内の汚水には、汚水の処理を実行するために、硝化反応を行うための硝化菌と、脱窒反応を行うための脱窒反応実行菌(脱窒菌)と、リンの放出及び摂取を行うためのリン蓄積細菌が含まれる。脱窒反応実行菌は、例えば、シュードモナス・デニトリフィカンスやパラコックス・デニトリフィカンス等の脱窒菌又は好気状態では稼働しないものの無酸素状態では脱窒反応を実行する従属栄養細菌である。リン蓄積細菌は、例えばポリリン酸蓄積細菌である。
【0027】
図2は、
図1における反応槽内の水位が第1の仕切板7aの汚水越流位置にあるときの汚水の流れを概略的に示す側面図である。
【0028】
反応槽1内の水位が第1の仕切板7aの汚水越流位置(
図1(下図)においてWL1(Water Level 1)とWL2(Water Level 2)の間の位置)にあるとき、散気管4から膜分離装置2に空気が供給されることにより、汚水は第1の領域Z1から仕切板7aの上端を越流して仕切板7aの外部の第2の領域Z2に移行する(
図2)。その後、汚水は第2の領域Z2内を下降し、仕切板7aよりも下の領域を経て仕切板7aの内部である第1の領域Z1に戻る。すなわち、汚水の水位が第1の仕切板7aの汚水越流位置にあり、汚水が仕切板7aを越流するとき、仕切板7aの周囲を循環する循環流が形成される。循環流が形成されると、例えば、第1の領域Z1の亜硝酸及び硝酸は第2の領域Z2に移行し、第1の領域Z1の空気の大半は第2の領域Z2に移行することなく反応槽1の外部に放出される。このとき、第1の領域Z1(好気区画)では酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行し、第2の領域Z2(無酸素区画)では循環流に乗って第1の領域Z1から移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0029】
一方、汚水の水位が汚水非越流位置(
図1(下図)においてWL1よりも低い位置)にあり、第1の領域Z1と第2の領域Z2との間で汚水の流通が分断されているとき、散気管4が膜分離装置2に空気を供給しても、仕切板7aの周囲を循環する循環流は形成されないので、第1の領域Z1(好気区画)では酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行し、第2の領域Z2(無酸素区画)では汚水の流通が分断される前に第1の領域Z1から移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0030】
図3は、
図1における反応槽内の水位が第2の仕切板7bの汚水越流位置にあるときの汚水の流れを概略的に示す側面図である。
反応槽1内の水位が第2の仕切板7bの汚水越流位置(
図1(下図)においてWL2よりも高い位置)にあるときは、汚水の水位が第1の仕切板7aの汚水越流位置(WL1とWL2の間)にあるとき(
図2)と同様に、仕切板7aの周囲を循環する循環流が形成される。このとき、第1の領域Z1(好気ゾーン)では酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行し、第2の領域Z2(無酸素ゾーン)では循環流に乗って第1の領域Z1から移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0031】
さらに、
図3において、第1の領域Z1から仕切板7aの上端を越流した汚水は、仕切板7bの外部の第3の領域Z3にも移行する。その後、第3の領域Z3に移行した汚水は第3の領域Z3内を下降し、仕切板7bよりも下の領域を経て仕切板7aの内部である第1の領域Z1に戻る。すなわち、汚水の水位が第2の仕切板7bの汚水越流位置にあるとき、第1の領域Z1と第2の領域Z2を循環する循環流とともに、第1の領域Z1と第3の領域Z3を循環する循環流が形成される。このとき第3の領域Z3には嫌気状態が形成される。
【0032】
本発明において、好気状態とは汚水に酸素分子が溶解している状態をいい、無酸素状態とは汚水に酸素分子は溶解していないが、硝酸や亜硝酸の形で結合酸素が溶解している状態をいい、嫌気状態とは酸素分子も結合酸素も溶解していない状態をいう。無酸素状態と嫌気状態は、例えば、溶存酸素計や硝酸計などにより汚水中の溶存酸素濃度や硝酸濃度を測定することにより確認又は区別することができる。
【0033】
図3において、第3の領域Z3の嫌気区画と第2の領域Z2の無酸素区画は、第3の領域Z3の循環水量と第2の領域Z2の循環水量の比率、すなわち、第2の仕切板7bの越流水量と第1の仕切板7aの越流水量の比率を1:1~1:10、好ましくは1:3~1:5とすることにより形成することができる。仕切板の越流水量は、越流水深(水位と仕切板上端の差)と越流堰長(仕切板の長さ)との積(越流断面積)により決定されるため、反応槽1内の仕切板7a及び7bの上端位置及び長さを適切に設定し、更に反応槽1内の水位を調整することにより、嫌気区画(Z3)と無酸素区画(Z2)を形成することができる。また、汚水供給手段により第3の領域Z3に供給される原水には酸素を消費する有機物やアンモニア等が含まれており、これらの有機物やアンモニアによる酸素の消費も嫌気状態の形成に関与する。
【0034】
図3において、第3の領域Z3(嫌気区画)では、生物学的にリンを除去するための処理が実行される。具体的に、第3の領域Z3には汚水供給手段により原水が供給され、原水には酸素を消費する有機物やアンモニア、リン等が含まれている。また、仕切板7bの上端を越流して第3の領域Z3に移行した汚水にはリン蓄積細菌を含む活性汚泥が含まれ、嫌気状態である第3の領域Z3において、リン蓄積細菌は有機物を取り込むとともにリンを放出する。第3の領域でリン蓄積細菌の代謝によりリンの溶解量が増大した汚水は、第2の仕切板7bよりも下の領域を経て仕切板7aの内部である第1の領域Z1に戻る。
【0035】
第1の領域Z1(好気ゾーン)では、リン蓄積細菌は第3の領域Z3(嫌気ゾーン)で放出した量以上のリンを過剰摂取する。すなわち、リン蓄積細菌は一旦放出した量以上のリンを摂取するため、細菌内のリン含有量が向上する。過剰量のリンが摂取されたリン蓄積細菌を含む汚水は、膜分離装置2によりリン蓄積細菌を含む汚泥を分離することにより、汚水中のリンを除去することができる。
【0036】
反応槽1内の汚水の水位の変更は、一般的には原水槽から汚水供給手段により反応槽1内に供給される原水の供給量を変更させることにより行うが、膜の吸引量を変更してもよい。さらに、本実施の形態の汚水処理装置は、反応槽1内の水位を調節するための水位制御手段を有していてもよい。水位制御手段としては、例えば、反応槽1内の水位、すなわち、液表面の位置を調べる液面センサーがある。液面センサーが汚水の水位を検出すると、原水ポンプ6が汚水供給手段により反応槽1に供給する原水の水量を自動的に制御する。
【0037】
本実施の形態では、汚水処理装置に供給される汚水の日間の流量変動に基づいて、1日の処理時間帯を、例えば、通常負荷時間帯(11:00~18:00、23:00~2:00)、高負荷時間帯(8:00~11:00、18:00~23:00)及び低負荷時間帯(23:00~8:00)に予め区分することができる。
【0038】
高負荷時間帯及び低負荷時間帯は、汚水流入量及び汚水水質から選ばれる測定値又は該測定値から得られた演算値に基づいて設定することができる。具体的に、汚水流入量の1時間値を用いて、例えば日平均汚水量の1時間値に対して、0.5倍以下を低負荷時間帯、0.5~1.5倍を通常負荷時間帯、1.5倍以上を高負荷時間帯とすることが出来る。また、汚水流入量だけでなく汚水水質、例えばBOD(生物学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)、SS(懸濁物質)などの濃度データを取得し、汚水流入量と汚水水質(濃度)の積を用いて、前記のように日平均負荷量に対する比率から負荷時間帯を設定することも出来る。
【0039】
汚水流入量と汚水水質を自動測定している処理場においては、時々刻々変化する流入負荷量に応じて汚水流入量と汚水水質(濃度)の積により負荷区分を判定しながら、負荷区分に応じた運転を行うことが出来る。先の例では3つの負荷区分を示したが、更に多くの区分を設定して汚水処理を行うことも出来る。
【0040】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る汚水処理装置(
図1)によって実行される汚水処理方法について説明する。
【0041】
上述したように、本実施の形態の汚水処理装置は、反応槽1の内部に、膜分離装置2と散気管4と第1の仕切板7aと第2の仕切板7bとを有する。膜分離装置2は、反応槽1の外で吸引ポンプ3に接続されるとともに、散気管4は反応槽1の外部でブロワ(不図示)に接続される(
図1(下図))。第1の仕切板7a及び第2の仕切板7bにより、汚水処理装置は、膜分離装置が配置される第1の領域Z1と、第1の仕切板と第2の仕切板とで囲まれる第2の領域Z2と、第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第3の領域Z3とに区画されている。
【0042】
原水ポンプ6が駆動すると、汚水供給手段により原水が反応槽1の第3の領域Z3に供給される。反応槽1の内部に供給された汚水は、硝化菌と脱窒反応実行菌(脱窒菌)とリン蓄積細菌とを含む活性汚泥を含み、汚水はこれらの細菌によって生物処理される。ブロワが駆動すると膜分離装置2の下部に設置された散気管4から気泡状の空気が供給される。吸引ポンプ3が駆動すると、生物処理された汚水が膜分離装置2によってろ過され、ろ過水が吸引ポンプ3により吸引されて反応槽1の外部に取り出される。このとき、散気管4から膜分離装置2に供給される空気が膜分離装置2の膜面に衝突し、その膜面に汚泥物質等が付着するのを防止する。
【0043】
(通常負荷時間帯)
以下に、反応槽1への汚水流入量が平均的な水量である通常負荷時間帯の汚水処理方法を説明する。
まず、反応槽1内の汚水の水位を、第1の仕切板7aの汚水越流位置、すなわち第1の仕切板7aを越流するが第2の仕切板7bを越流しない位置(
図1(下図)においてWL1とWL2の間の位置)に設定し、この状態で7.5分間汚水処理を実行する(第1の越流ステップ)。このとき、散気管4から膜分離装置2に空気が供給されることにより、汚水は第1の領域Z1から仕切板7aの上端を越流して仕切板7aの外部の第2の領域Z2に移行する。その後、汚水は第2の領域Z2内を下降し、仕切板7aよりも下の領域を経て仕切板7aの内部である第1の領域Z1に戻り、仕切板7aの周囲を循環する循環流が形成される(
図2)。循環流が形成されると、第1の領域Z1(好気区画)では酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行し、第2の領域Z2(無酸素区画)では循環流に乗って第1の領域Z1から移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0044】
次いで、反応槽1内の汚水の水位を、第1の仕切板7aの汚水非越流位置(
図1(下図)においてWL1よりも低い位置)に設定し、この状態で7.5分間汚水処理を実行する(非越流ステップ)。このとき、第1の領域Z1と第2の領域Z2との間で汚水の流通が分断され、仕切板7aの周囲を循環する循環流は形成されない。したがって、第1の領域Z1(好気区画)では酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行し、第2の領域Z2(無酸素区画)では汚水の流通が分断される前に第1の領域Z1から移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0045】
上記のような第1の仕切板7aの汚水越流位置での運転(7.5分)と第1の仕切板7aの汚水非越流位置での運転(7.5分)を合わせて1インターバル(15分)として、3インターバル(45分)の運転を行う。これにより、第1の領域Z1における硝化反応と第2の領域Z2における脱窒反応を効率的に進行させることができる。
【0046】
次いで、反応槽1内の汚水の水位を、第2の仕切板7bの汚水越流位置(
図1(下図)においてWL2よりも高い位置)に設定し、この状態で5分間汚水処理を実行する(第2の越流ステップ)。このとき、第1の領域Z1から仕切板7aの上端を越流した汚水は、仕切板7bの外部の第3の領域Z3にも移行する。したがって、第1の領域Z1と第2の領域Z2を循環する循環流とともに、第1の領域Z1と第3の領域Z3を循環する循環流が形成される(
図3)。このとき、第3の領域Z3には嫌気区画が形成される。
【0047】
第3の領域Z3(嫌気区画)では、汚水に含まれるリン蓄積細菌が有機物を取り込むとともにリンを放出する。第3の領域において、リン蓄積細菌の代謝によりリンの溶解量が増大した汚水は、第2の仕切板7bよりも下の領域を経て仕切板7aの内部である第1の領域Z1に戻る。第1の領域Z1(好気区画)では、リン蓄積細菌は第3の領域Z3(嫌気ゾーン)で放出した量以上のリンを過剰摂取する。すなわち、リン蓄積細菌は一旦放出した以上のリンを摂取するため、細菌内のリン含有量が向上する。過剰量のリンが摂取されたリン蓄積細菌を含む汚水は、膜分離装置2によりリン蓄積細菌を含む汚泥を分離することにより、汚水中のリンが除去される。
【0048】
以上のように、通常負荷時間帯では、第1の領域を好気区画とし、第2の領域を無酸素区画とし、第3の領域を嫌気区画とすることにより、汚水から窒素とリンを同時に除去することができる。
【0049】
(高負荷時間帯)
以下に、反応槽1への汚水流入量が多く流入負荷が大きい高負荷時間帯の汚水処理方法を説明する。
【0050】
高負荷時間帯には、アンモニアを含む原水の流入量が多いことから、硝化反応を促進するために第2の領域Z2に設置された補助曝気手段5bから曝気を行い、第2の領域Z2を好気区画として使用する(
図1(下図))。
【0051】
まず、反応槽1内の水位を、第2の仕切板7bの汚水越流位置(
図1(下図)においてWL2よりも高い位置)に設定し、この状態で7.5分間汚水処理を実行する。
【0052】
図4は、
図1における反応槽1内の水位が第2の仕切板7bの汚水越流位置(WL2よりも高い位置)にあり、且つ、第2の領域において補助曝気装置5bより曝気するときの汚水の流れを概略的に示す側面図である。
【0053】
反応槽1内の水位が第2の仕切板7bの汚水越流位置にあるとき、第1の領域Z1から仕切板7aの上端を越流した汚水と、補助曝気手段5bからの曝気により第2の領域Z2を上昇した汚水は、7bの上端を越えて仕切板7bの外部の第3の領域Z3に移行する。その後、汚水は第3の領域Z3内を下降し、仕切板7bよりも下の領域を経て仕切板7aの内部である第1の領域Z1と仕切板7bの内部である第2の領域Z2に戻る。すなわち、第1の領域Z1と第3の領域Z3を循環する循環流と、第2の領域Z2と第3の領域Z3を循環する循環流が形成される(
図4)。循環流が形成されると、第1の領域Z1(好気区画)と第2の領域Z2(好気区画)では酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行する。第1の領域Z1と第2の領域Z2の空気の大半は第3の領域Z3に移行することなく反応槽1の外部に放出され、第3の領域Z3(無酸素区画)では、循環流に乗って第1の領域Z1及び第2の領域Z2から移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0054】
次いで、反応槽1内の汚水の水位を、第1の仕切板7aの汚水越流位置、すなわち第1の仕切板7aを越流するが第2の仕切板7bを越流しない位置(
図1(下図)においてWL1とWL2の間の位置)に設定し、この状態で7.5分間汚水処理を実行する。このとき、第1の領域Z1及び第2の領域Z2と第3の領域Z3との間で汚水の流通が分断され、第3の領域Z3を経由する循環流は形成されない。したがって、第1の領域Z1(好気区画)及び第2の領域Z2(好気区画)では酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行し、第3の領域Z3(無酸素区画)では汚水の流通が分断される前に第1の領域Z1及び第2の領域Z2から移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0055】
上記のような第1の仕切板7bの汚水越流位置での運転(7.5分)と第1の仕切板7aの汚水越流位置での運転(7.5分)を合わせて1インターバル(15分)として、インターバルを複数回繰り返す運転を行う。これにより、高負荷時間帯でも、第1の領域Z1と第2の領域Z2において硝化反応を促進させつつ、第3の領域Z3において良好な窒素除去を行うことが可能となる。
【0056】
高負荷時間帯には第1の領域Z1に配置された補助曝気手段5aから曝気することにより、硝化反応に使用される酸素量を補うことができる(
図4)。第1の領域Z1に配置された補助曝気手段5aと第2の領域Z2に配置された補助曝気手段5bの両方を用いることにより、汚水への酸素溶存効率を向上させることができるため、同じ必要酸素量を供給する場合に比べ、ブロアからの送風量を低減することができ省エネルギー化を達成することができる。また、高負荷時間帯には、処理水量の増加に伴い膜フラックスを増加した汚水処理が必要となるが、散気管4からの洗浄用空気量を必要最小限に抑えることにより省エネルギーの運転を実現することができる。
【0057】
(低負荷時間帯)
以下に、反応槽1への汚水流入量が少なく流入負荷が小さい低負荷時間帯の汚水処理方法を説明する。
【0058】
低負荷時間帯には、有機物やアンモニアを含む原水の流入量が少ないことから、第3の領域Z3は反応区画としては使用せず原水の導入渠として使用し、補助曝気手段5bを停止して、第2の領域Z2を無酸素区画又は嫌気区画として使用する(
図1(下図))。また、流入量が少ないことから水位の上昇速度が遅くなるため、汚水越流時間帯と汚水越流停止時間帯を長くし、インターバル時間を長く設定する。
【0059】
まず、反応槽1内の水位を、第1の仕切板7aの汚水越流位置、すなわち第1の仕切板7aを越流するが第2の仕切板7bを越流しない位置(
図1(下図)においてWL1とWL2の間の位置)に設定し、この状態で15分間汚水処理を実行する(
図2)(第1の越流ステップ)。このとき、散気管4から膜分離装置2に空気が供給されることにより、汚水は第1の領域Z1から仕切板7aの上端を越流して仕切板7aの外部の第2の領域Z2に移行する。その後、汚水は第2の領域Z2内を下降し、仕切板7aよりも下の領域を経て仕切板7aの内部領域である第1の領域Z1に戻り、仕切板7aの周囲を循環する循環流が形成される(
図2)。循環流が形成されると、第1の領域Z1(好気区画)では酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行し、第2の領域Z2(無酸素区画)では循環流に乗って第1の領域Z1から移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0060】
次いで、反応槽1内の汚水の水位を、第1の仕切板7aの汚水非越流位置(
図1(下図)においてWL1よりも低い位置)に設定し、この状態で15分間汚水処理を実行する(非越流ステップ)。このとき、第1の領域Z1と第2の領域Z2との間で汚水の流通が分断され、仕切板7aの周囲を循環する循環流は形成されない。したがって、第1の領域Z1(好気区画)では酸素存在下でアンモニアを亜硝酸や硝酸に変換する硝化反応が進行し、第2の領域Z2(無酸素区画)では汚水の流通が分断される前に第1の領域Z1から移動した亜硝酸や硝酸を窒素に変換する脱窒反応が進行する。
【0061】
第2の領域Z2は、無酸素区画として脱窒反応を進行させた後に、嫌気区画に変更することができる。具体的に、第1の越流ステップにおいては、反応槽1内の水位を低くして第1の仕切板7aの越流水量を少なくすることにより、第2の領域Z2を無酸素区画から嫌気区画に変更することができる。非越流ステップでは汚水処理時間長くすることで、第2の領域Z2を無酸素区画から嫌気区画に変更することができる。嫌気区画となった第2の領域Z2では、汚水に含まれるリン蓄積細菌がリンを放出する工程が実行される。このとき、第2の領域においてリン蓄積細菌の代謝によりリンの溶解量が増大した汚水は、第1の仕切板7aよりも下の領域を経て仕切板7aの内部である第1の領域Z1に戻る。第1の領域Z1(好気区画)では、リン蓄積細菌は第2の領域Z2(嫌気区画)で放出した量以上のリンを過剰摂取する。過剰量のリンが摂取されたリン蓄積細菌を含む汚水は、膜分離装置2によりリン蓄積細菌を含む汚泥を分離することにより、汚水中のリンを除去することができる。
【0062】
低負荷時間帯では、上記のような第1の仕切板7aの汚水越流位置での運転(15分)と第1の仕切板7aの汚水非越流位置での運転(15分)を合わせて1インターバル(30分)として、複数回のインターバルの運転を行う。1インターバルの時間を長くすることにより、低い流入負荷に応じて硝化時間と脱窒時間を十分に確保して良好な窒素除去を行うことが可能となる。さらに、インターバル時間を長くすることや越流水量を少なくすることで良好なリン除去を行うこともできる。また、第1の領域Z1に設置した補助曝気装置5aを必要最小限の送風量となるように制御するとともに、膜のフラックスを小さく抑え、散気管4からの膜洗浄用曝気量も必要最小限に制御する。このような運転を行うことにより、省エネルギーの運転を実現することができる。
【0063】
以上のように、汚水処理装置に供給される汚水の日間の流量変動に基づいて、1日の処理時間帯を、通常負荷時間帯、高負荷時間帯及び低負荷時間帯に予め区分し、それぞれの時間帯の第1の領域、第2の領域及び第3の領域において最適な汚水処理を行うことにより、汚水から窒素とリンを同時に除去するとともに、汚水の流量変動に対し安定して汚水処理を実行でき、省エネルギーの運転を実現することができる。
【0064】
反応槽1内の硝化反応の進行程度、窒素除去の状況、及びリン除去の状況は、第1の領域、第2の領域及び第3の領域における酸化還元電位(ORP)や各種成分の濃度の測定値から把握することが出来る。
【0065】
第1の領域では膜透過水は最終的な処理水となることから、第1の領域の溶存酸素(DO)濃度、酸化還元電位(ORP)、アンモニア性窒素(NH4-N)濃度及び硝酸性窒素(NO3-N)濃度に基づいて目標の水質が得られているかどうかの判断を行うことが出来る。例えば、第1の領域のNH4-N濃度が目標値よりも多くDO濃度が低い場合には、硝化反応の進行が不十分と考えられるため、第1の領域に設けた補助曝気手段5aの曝気量を増やすよう制御する必要がある。一方、第1の領域のNO3-N濃度が目標値よりも多くDO濃度が高い場合には、脱窒反応が過剰に進行していると考えられるため、第1の領域に設けた補助曝気手段5aの曝気量を減らすよう制御する必要がある。また、硝化反応を促進するためには、第1の領域Z1のORPを100~200mV以上に設定するのが好ましい。ORPがこれより低い場合には補助曝気手段5aの曝気量を増やすよう制御する必要がある。さらに、これらの指標を総合的に判断することも出来る。
【0066】
第2の領域では、脱窒反応を主目的とする運転を行うときには、NO3-Nの濃度が目標値よりも高い場合には、第1の領域に設けられた補助曝気手段5aの曝気量を減らすよう制御する必要がある。また、脱窒反応を促進するためには、第2の領域Z2のORPを-100~0mVに設定するのが好ましい。負荷状態に応じたより好ましい制御を行うためには、第1の領域及び第3の領域の状況や、第2の領域のその他の項目(DO、NH4-N)の測定値も考慮することが重要である。上記測定値を用いる演算式を予め準備しておき、この演算式に基づいて補助曝気手段5a及び/又は補助曝気手段5bの制御を行うことが好ましい。
【0067】
第3の領域では、リン蓄積細菌によるリンの放出を主目的とする運転を行うときには、ORPを-200~-100mVに設定するのが好ましい。また、第1の領域では、嫌気区画を形成するためにNO3-Nは検出されず、また、NH4-Nの減少のない状態を維持することが好ましい。
【0068】
以上の通り、第1の領域の溶存酸素(DO)濃度、酸化還元電位(ORP)、アンモニア性窒素(NH4-N)濃度及び硝酸性窒素(NO3-N)濃度、第2の領域の溶存酸素(DO)濃度、酸化還元電位(ORP)、アンモニア性窒素(NH4-N)濃度及び硝酸性窒素(NO3-N)濃度、第3の領域の酸化還元電位(ORP)及びアンモニア濃度から選ばれる測定値又は前記測定値から得られた演算値に基づいて、第1の領域又は第2の領域に設けられた補助曝気手段からの曝気量を制御することにより、負荷時間帯の区分に応じて最適な運転方法を実現することが出来る。また、前記測定値又は前記測定値から得られた演算値に基づいて越流時間帯及び越流停止時間帯の比率の制御を行うことも出来る。さらに、前記測定値の自動計測を行っている処理場では、様々な計測テータを用いて制御方法を演算式等で設定することにより、適切な運転制御を行うことが出来る。
【0069】
次に、本発明の別の実施の形態に係る汚水処理装置及び汚水処理方法を説明する。
【0070】
図5は本発明の第2の実施の形態に係る汚水処理装置を概略的に示す上面図である。
【0071】
図5の汚水処理装置は、その構成、作用が第1の実施の形態(
図1)と基本的に同じであり、反応槽1の四隅に第2の仕切板7bと反応槽の槽壁とで囲まれた第3の領域Z3が複数形成されている点で第1の実施の形態(
図1)と異なる。以下は、重複した構成、作用については説明を省略し、異なる構成、作用についての説明を行う。
【0072】
図5において、反応槽1内の第2の領域Z2は、第1の仕切板7aと第2の仕切板7bに加え反応槽1の4つの槽壁にも囲まれている。また、反応槽1内の四隅のそれぞれには第3の領域Z3が配置されている。ここで、反応槽1の四隅とは反応槽1を構成する4枚の槽壁が互いに接合している4つの接合部をいう。すなわち、本実施の形態において、反応槽1は、第1の仕切板7aで囲まれ膜分離装置が配置される第1の領域Z1と、第1の仕切板と第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる第2の領域Z2と、第2の仕切板と反応槽の内壁とで囲まれる4つの第3の領域Z3とに区画されている。
【0073】
図5のように、反応槽1の四隅に第3の領域Z3を配置することにより、反応槽1内の水位を第2の仕切板7bの汚水越流位置(
図1(下図)においてWL2よりも高い位置に相当)に設定した場合、第1の領域Z1と第3の領域Z3を循環する循環流は、反応槽1の中央と四隅を結ぶ対角線方向に沿った循環流となる。反応槽1内に形成された4つの第3の領域Z3はいずれも第1の領域Z1との位置関係が同じであるため、4つの第3の領域Z3に等しく無酸素状態又は嫌気状態を形成することができ、無酸素状態又は嫌気状態の制御が容易であるという利点がある。また、既存の水処理施設を改造する場合に、反応槽形状が正方形に近い場合には適用し易い利点もある。
【0074】
図6は本発明の第3の実施の形態に係る汚水処理装置を概略的に示す上面図である。
【0075】
図6の汚水処理装置は、その構成、作用が第1の実施の形態(
図1)と基本的に同じであり、膜分離装置2を配置する第1の領域Z1が反応槽1の1つの内壁の近傍に配置され、第3の領域Z3が該1つの内壁に対向する内壁の近傍に配置され、第1の領域と第3の領域の間に第2の領域Z2が配置される点で第1の実施の形態(
図1)と異なる。以下は、重複した構成、作用については説明を省略し、異なる構成、作用についての説明を行う。
【0076】
図6において、第1の領域Z1は、第1の仕切板7aに加え反応槽1の3つの内壁にも囲まれており、反応槽1の1つの内壁の近傍に配置されている。第2の領域Z2は、第1の仕切板7aと第2の仕切板7bに加え反応槽1の対向する2つの内壁にも囲まれている。すなわち、本実施の形態において、反応槽1は、第1の仕切板7aと反応槽1の3つの内壁で囲まれ、膜分離装置が配置される第1の領域Z1と、第1の仕切板7aと第2の仕切板7bと反応槽1の対向する2つの内壁とで囲まれる第2の領域Z2と、第2の仕切板と反応槽の3つの内壁とで囲まれる第3の領域Z3とに区画されている。
【0077】
図6のように、反応槽1の内部に第1の領域と第2の領域と第3の領域のそれぞれの領域をまとまった領域として配置することにより、膜分離装置などの機器の配置がしやすく、循環流速も制御しやすくなる。また、既存の水処理施設を改造する場合に、反応槽形状が細長い長方形の場合には適用し易い利点もある。
【0078】
図7は本発明の第4の実施の形態に係る汚水処理装置を概略的に示す上面図である。
【0079】
図7の汚水処理装置は、その構成、作用が第3の実施の形態(
図6)と基本的に同じであり、第3の領域Z3が第2の仕切板7bにより囲包された4つの領域に分割され、該4つの領域Z3が第1の仕切板7aに接するように配置されている点で第3の実施の形態(
図6)と異なる。以下は、重複した構成、作用については説明を省略し、異なる構成、作用についての説明を行う。
【0080】
図7において、反応槽1内には第3の領域Z3が4つ存在し、それぞれの領域Z3は、矩形状の4つの板状部材からなる第2の仕切板7bに囲包され、第1の仕切板7aに接するように配置されている。また、第2の領域Z2は、膜分離装置2の近傍に位置する槽壁に対向する槽壁と、これに接合する2つの槽壁と、第1の仕切板7aと、第2の仕切板7bとで囲まれている。第2の仕切板7bは反応槽1の底部から離間するとともに、仕切板7aと接するように配置されるため、板材や鋼材を用いて第2の仕切板7bを安定した状態で反応槽1に固定することが望ましい。すなわち、本実施の形態において、反応槽1は、第1の仕切板7aと反応槽1の3つの内壁とで囲まれ、膜分離装置が配置される第1の領域Z1と、第1の仕切板7aと第2の仕切板7bと反応槽の3つの内壁とで囲まれる第2の領域Z2と、第2の仕切板7bで囲まれる4つの第3の領域Z3とに区画されている。
【0081】
第1の仕切板7aには第1の領域と第2の領域の水位差によっては大きな水圧がかかる場合がある。本実施の形態のように、反応槽1の内部に第2の仕切板7bで囲まれた複数の第3の領域Z3を設け、この複数の第3の領域Z3を第1の仕切板7aに接するように配置することにより、第2の仕切板7bが第1の仕切板7aの補強材として機能し、耐久性の高い汚水処理装置とすることができるという利点がある。
【0082】
以上、本発明について、上述した実施の形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、汚水から窒素とリンを同時に除去することができ、汚水の流量変動に対し安定して汚水処理を実行できる汚水処理装置及び方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 反応槽
2 膜分離装置
3 吸引ポンプ
4 散気管
5a,5b 補助曝気手段
6 原水ポンプ
7a 第1の仕切板
7b 第2の仕切板
Z1 第1の領域
Z2 第2の領域
Z3 第3の領域