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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】介装部材及び建具
(51)【国際特許分類】
   E05D 13/00 20060101AFI20250207BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20250207BHJP
   E06B 7/22 20060101ALN20250207BHJP
【FI】
E05D13/00 A
E06B3/46
E06B7/22 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021017513
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120549
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】宇山 健
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-291643(JP,A)
【文献】実開昭63-048864(JP,U)
【文献】実開昭60-121099(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 13/00
E06B 3/46
E06B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体への取付部と、
前記取付部から突出して設けられている脱落防止部と、
前記取付部から突出して設けられ、前記脱落防止部と幅方向に並んで設けられるシール部と、
を備え、
前記脱落防止部は、
幅方向の中央部に設けられる第1脱落防止部と、
前記第1脱落防止部の幅方向の両側に設けられる第2脱落防止部と、を有し、
前記第1脱落防止部の幅方向の寸法は、前記第2脱落防止部の幅方向の寸法よりも大きく、
前記シール部は、前記第1脱落防止部の幅方向の両側で、前記第1脱落防止部と前記第2脱落防止部との間それぞれに設けられている介装部材。
【請求項2】
前記取付部と、前記脱落防止部と、前記シール部とが一体に形成されている
請求項1に記載の介装部材。
【請求項3】
前記シール部は、建具の幅方向に交差する面を含むヒレ形状を有し、かつ前記脱落防止部よりも長く突出する
請求項1または請求項2に記載の介装部材。
【請求項4】
前記シール部には、縦方向に沿って切り込まれた切り込み部を有する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の介装部材。
【請求項5】
前記シール部は、幅方向に並んで複数設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の介装部材。
【請求項6】
前記取付部の幅は、前記枠体内に取り付けられる障子の縦枠の幅よりも長く、
前記取付部の幅方向の両端部に、前記枠体に対する固定部を備える
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の介装部材。
【請求項7】
建物の壁の開口部に取り付けられ、幅方向に延びるレールを有する枠体と、
前記レールに近接配置され、前記枠体に取り付けられる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の介装部材と、
前記シール部と接触しながら前記レールに沿って移動可能に前記枠体の内部に取り付けられる障子と、を備える建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、介装部材及び建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口に取り付けられた枠体に対して引違い窓が取り外し可能に取り付けられている。そのため、枠体と引違い窓との間に隙間が生じている。枠体と引違い窓との隙間には、室内外に風が通る場合があり、気密性や断熱性が低下する。そのため、例えば、特許文献1の建具では、框とレールとの間および縦枠と竪框との間に気密材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-110444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建具の施工時、気密材を設置する作業に手間を要する。近年、作業者の人手不足の影響で、作業工数の軽減が求められている。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、気密性の高い建具を施工する時の作業効率を向上させる介装部材及び建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る介装部材は、枠体への取付部と、前記取付部から突出して設けられている脱落防止部と、前記取付部から突出して設けられ、前記脱落防止部と幅方向に並んで設けられるシール部と、を備え、前記脱落防止部は、幅方向の中央部に設けられる第1脱落防止部と、前記第1脱落防止部の幅方向の両側に設けられる第2脱落防止部と、を有し、前記第1脱落防止部の幅方向の寸法は、前記第2脱落防止部の幅方向の寸法よりも大きく、前記シール部は、前記第1脱落防止部の幅方向の両側で、前記第1脱落防止部と前記第2脱落防止部との間それぞれに設けられている。
【0007】
本開示の一態様に係る建具は、建物の壁の開口部に取り付けられ、幅方向に延びるレールを有する枠体と、前記レールに近接配置され、前記枠体に取り付けられる上記介装部材と、前記シール部と接触しながら前記レールに沿って移動可能に前記枠体の内部に取り付けられる障子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】建具の斜視図。
図2】建具の正面図。
図3】建具の断面図。
図4】建具の上部の正面図。
図5】上枠の底面図。
図6】介装部材の斜視図。
図7】介装部材の側面図。
図8】介装部材の下面図。
図9】建具の上部の斜視図。
図10】下枠の斜視図。
図11】建具の上部の正面図。
図12】建具の斜視図。
図13】建具の側面図。
図14】建具の下部の斜視図。
図15】ロックピンの側面図。
図16】ロックピンの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、介装部材及び建具の一実施形態として、引違い窓を例に説明する。引違い窓100は、建物の壁体の開口部に設置される。図1に示すように、引違い窓100は、枠体10と、外障子30と、内障子20と、図3に示す介装部材1とを備えている。外障子30および内障子20は障子の一例である。外障子30および内障子20は、框体40内にガラスパネル50が設けられている。
【0010】
以下の説明では、外障子30および内障子20のガラスパネル50に直交する方向を内外方向Dと称する。内外方向Dと直交する方向のうち、水平方向に沿う方向を幅方向Wと称し、鉛直方向を縦方向Vと称する。
【0011】
引違い窓100は、壁体の開口部に沿って設けられた枠体10の内部に外障子30および内障子20が設置されている。外障子30および内障子20は枠体10内を幅方向Wに移動し、壁体の開口部を開閉する。外障子30及び内障子20が閉じた状態で、外障子30及び内障子20は枠体10内を閉塞する。以下、内障子20および外障子30を総称して、障子20,30と称する場合がある。
【0012】
図1および図2に示すように、枠体10は、内外方向Dから見て矩形の枠形状を有する。枠体10は、上枠11と、下枠12と、一対の縦枠13と、を有している。枠体10は、例えば、樹脂製である。この他、枠体10は、アルミニウム合金等の金属形材で構成される例や、アルミニウム製部材と樹脂製部材とが組み付けられて構成されたアルミ樹脂複合部材で構成される例であってもよい。
【0013】
上枠11及び下枠12は、幅方向Wに延びている。各縦枠13は、縦方向Vに延びている。各縦枠13は、上枠11および下枠12の幅方向Wの両端部に配置されている。図3に示すように、上枠11には、2本の上レール17が内外方向Dに離れた位置に形成されている。上レール17は、上枠11から下方に突出して、幅方向Wに延びている。下枠12には、2本の下レール14が内外方向Dに離れた位置に形成されている。下レール14は、下枠12から上方に突出し、幅方向Wに延びている。
【0014】
図3に示すように、障子20,30は、上レール17および下レール14に沿って枠体10内に配置される。障子20,30は、枠体10内を幅方向Wに移動可能に設けられている。外障子30と内障子20とは、内外方向Dに隣接して配置されている。
【0015】
外障子30および内障子20は、同様の構成を有する。障子20,30は、框体40内にガラスパネル50が嵌められて構成されている。ガラスパネル50は、複層ガラス構造の例や単層ガラスであってもよい。
【0016】
図2に示すように、框体40は、内外方向Dから見て矩形枠形状を有する。框体40は、上框41と、下框42と、一対の縦框43と、を有している。上框41及び下框42は幅方向Wに延びている。各縦框43は、縦方向Vに延びている。各縦框43は、上框41および下框42の幅方向Wの両端部に配置されている。一対の縦框43のうち、障子20,30が閉じているときに、縦枠13に当接する縦框を戸先框431と称し、戸先框431とは幅方向Wの反対側に位置する縦框を召合せ框432と称する。障子20,30が閉じているときに、障子20,30の召合せ框432同士は幅方向Wに重なる位置に配置される。框体40は例えば、樹脂製である。この他、框体40は、アルミニウム合金等の金属形材で構成された例や、アルミ樹脂複合部材で構成される例であってもよい。
【0017】
図1に示すように、障子20,30は、下框42が下レール14を挟むように下レール14上に載せられ、上框41が上レール17を挟んで配置されている。障子20,30は、枠体10に対して取り外し可能に取り付けられている。障子20,30を枠体10に取り付ける時は、障子20,30を斜め上方へ持ち上げて上框41内に上レール17を入れた後、下框42を下レール14上に載せる。障子20,30を枠体10から取り外す時は、障子20,30を縦方向Vに持ち上げることによって下框42の下レール14に対する係止を解除する。その後、障子20,30を斜め下方に下げることによって、上框41の上レール17に対する係止を解除する。そのため、枠体10に設置された状態で、上枠11の天面16と上框41の上端とが離れている。
【0018】
介装部材1は、2本の上レール17間の上枠11の天面16に取り付けられている。図2に示すように、介装部材1は、上枠11の幅方向Wにおける中央部に設けられている。介装部材1は、障子20,30が閉じた位置で、召合せ框432の上方に配置されている。図3に示すように、介装部材1は、上枠11の天面16と上框41の上端との隙間に配置される。
【0019】
介装部材1は、上枠11と、障子20,30との間の隙間を塞ぐ封止性能と、障子20,30が外れることを防止する脱落防止機能とを有する。図5から図7に示すように、介装部材1は、取付部2と、第一突部31と、第二突部32と、シール部5とを有する。介装部材1は、取付部2、第一突部31、第二突部32、およびシール部5が一体に形成された部品である。介装部材1は、例えば、樹脂製である。
【0020】
図6および図7に示すように、取付部2は、略平板形状を有する。図5に示すように、取付部2は2本の上レール17間に配置可能な面積を有する。図8に示すように、取付部2は、幅方向Wの両端を頂点として、後述する第二突部32の内外方向Dの端部に向かって二辺が延びる平面視略三角形状を有する。幅方向Wの両端は曲線形状を有する。取付部2の幅方向Wの両端よりも幅方向Wの内側に貫通孔23がそれぞれ形成されている。図7に示すように、取付部2は、取付面21と、下面22とを有する。取付面21は、上枠11の天面16に対向して配置される面である。下面22は、取付面21と反対側の面であり、下方に向く。第一突部31、第二突部32およびシール部5は下面22から下方に突出している。
【0021】
第一突部31は、介装部材1の幅方向Wの中央部に配置されている。第一突部31は、略直方体形状を有する。第一突部31は、取付部2の内外方向Dの長さと略等しい。第一突部31は、脱落防止部の一例である。
【0022】
第一突部31は、脱落防止部として機能する。具体的には、障子20,30が枠体10に取り付けられている通常の使用時、地震、強風、その他の外力によって障子20,30が縦方向Vに持ち上がり、障子20,30が外れることを防止する機能を有する。図3に示すように、縦方向Vにおける第一突部31の下端と上框41の上端との間の縦方向Vの長さL1が下框42の下端と下レール14の上端との間の距離L2よりも短くなるように第一突部31の縦方向Vの寸法H3が設定されている。この結果、障子20,30が持ち上げられて上框41が第一突部31に当接しても下框42が下レール14から外れない。
【0023】
シール部5は、第一突部31の幅方向Wの外側に設けられている。図示例では、複数のシール部51,52,53が幅方向Wに並んで設けられている。図6及び図7に示すように、第一突部31の最も近くに配置される第一シール部51から、幅方向Wの外側に向かって順に第二シール部52、第三シール部53が設けられている。各シール部51,52,53は、幅方向Wに交差する面を含むヒレ形状を有する。図示例では、各シール部51,52,53は、幅方向Wに略直交する面を有する。各シール部51,52,53は、内外方向Dに沿ってシート状に延びる。各シール部51,52,53は、幅方向Wに離れて配置されている。第一シール部51と第二シール部52とは、縦方向Vの長さが略等しい。第三シール部53は、第一シール部51および第二シール部52よりも縦方向Vの長さが短い。シール部5は内障子20および外障子30の各上框41に接触可能な長さを有する。具体的には、シール部5の取付面21からの突出長さH5は、上枠11の天面16と各上框41との間の長さと略等しい、あるいは、突出長さH5が上枠11の天面16と各上框41との間の長さより僅かに長い。この結果、シール部5は、上枠11と各障子20,30との間の隙間を防ぎ、気密性を保つことができる。シール部5は、幅方向Wに外力が掛かると、幅方向Wに弾性変形可能に構成されている。複数のシール部51,52,53の縦方向Vの長さが等しくてもよい。
【0024】
図6に示すように、各シール部51,52,53には、切り込み部54が形成されている。切り込み部54は、シール部51,52,53の下部を内外方向Dに分けるように、縦方向Vに線状に切り込まれて形成されている。切り込み部54はシール部51,52,53の内外方向Dの中間部に形成されている。図6および図8に示すように、第一シール部51および第二シール部52には、各2つの切り込み部54が形成されている。第三シール部53には、一つの切り込み部54が形成されている。各シール部51,52,53は、第一突部31の両側で切り込み部54の位置が異なる。例えば、切り込み部54は、介装部材1の内外方向Dの中心を通る線を中心として線対称となる位置に配置されている。切り込み部の数、長さ、位置は任意である。切り込み部54は必須の構成ではない。
【0025】
シール部5は、弾性変形可能である。シール部5に幅方向Wの力が掛かると各シール部51,52,53は、幅方向Wに弾性変形する。切り込み部54は各シール部51,52,53の上端部の近傍まで切れている。そのため、切り込み部54の内外方向Dの両側のシール部が幅方向Wの逆方向に弾性変形可能である。
【0026】
図5に示すように、シール部5の内外方向Dの長さは、2本の上レール17間の距離に略等しい。したがって、シール部5は、内障子20および外障子30の各上框41に接触する。各シール部5に切り込み部54が形成されていることによって、内障子20と外障子30とが幅方向Wに移動する場合に、シール部5は各障子20,30の移動に追従して弾性変形可能である。この結果、内障子20と外障子30とを幅方向Wに沿って互いに異なる方向に移動させる場合に、シール部5が動作を妨げることがなく、円滑に移動させることができる。
【0027】
各シール部51,52,53の切り込み部54の内外方向Dの位置がずれている。そのため、切り込み部54の内外方向Dの両側に並ぶシール部が幅方向Wの逆方向に弾性変形しても、幅方向Wに隣り合うシール部51,52,53のそれぞれで開いた切り込み部54がずれる。この結果、シール部5の切り込み部54を通じて、風、塵等が浸入し難い。
【0028】
シール部5よりも幅方向Wの外側に第二突部32が設けられている。第二突部32は、シール部51,52,53と貫通孔23との間に配置されている。第二突部32は、平面視矩形の直方体形状を有する。図7に示すように、取付部2からの第二突部32の縦方向Vの突出長H3は、第一突部31の突出長H3に略等しい。第二突部32は、第一突部31に比べて幅方向Wの長さが短い。
【0029】
第二突部32は、第一突部31と同様に脱落防止機能を有する。第一突部31および第二突部32の突出長H3は、下框42の下端と下レール14の上端との間の距離L2よりも長い。下レール14上に載る障子20,30が持ち上がると第一突部31および第二突部32に当たる。この結果、障子20,30が過度に持ち上がり下框42と下レール14との係止が解除されることを防止できる。第二突部32の突出長H3は、上枠11の天面16と障子20,30の上框41との間の隙間より短い。そのため、障子20,30の開閉動作時、第一突部31および第二突部32と障子20,30とは接触せず、シール部5が接触する。このため、介装部材1は障子20,30の開閉動作を妨げない。
【0030】
シール部5は、第一突部31と第二突部32との間に設けられている。第一シール部51は第一突部31から幅方向Wに離れて設けられている。第三シール部53も第二突部32から幅方向Wに離れて設けられている。第一突部31および第二突部32の取付面21からの突出長さH3は、シール部5の突出長さH5よりも短い。この構成によって、シール部5が弾性変形したとき、シール部5の上部が第一突部31および第二突部32のいずれか一方に接触することによって、シール部5の上部の弾性変形が規制される。この結果、シール部5は、下部が幅方向Wに弾性変形し、第一突部31と第二突部32との間のシール部5は幅方向Wに弾性変形し難い。第一突部31および第二突部32によってシール部5が幅方向Wに弾性変形可能な範囲が規定される。この構成によって、例えば、シール部5の過剰な弾性変形が防止される。この構成によって、シール部5が上框41に接触した状態を保持できる。
【0031】
介装部材1の取付構造を説明する。取付部2の取付面21が上枠11の天面16に当接している。貫通孔23に下面22側からロックピン90が挿入されて取付部2が上枠11に着脱可能に固定されている。
【0032】
図15および図16にロックピン90の一例を示す。ロックピン90は、台座91と挿入部材92とを含んで構成されている。台座91は取付部2および上枠11に貫通して配置される筒軸912と、接続部911とを有する。接続部911は、略円盤形状を有し、取付部2に沿って配置される。筒軸912は、接続部911から直交する方向に延びる。筒軸912は、取付部2の厚さ方向に沿って配置されている。接続部911の平面視中央部および筒軸912の内部に挿通孔が形成されている。挿通孔は筒軸912の軸方向に沿って台座91を貫通している。筒軸912の外周部には、軸方向に沿って一対のスリット913が形成されている。一対のスリット913は、筒軸912の周方向に略180度の位置にそれぞれ形成されている。図では一対のスリット913のうち一方のスリットのみを示している。
【0033】
挿入部材92は、挿入軸921と、頭部922と、係合片923とを有する。頭部922は略円盤形状を有する。挿入軸921は、頭部922と直交する方向に延びる。挿入軸921の先端には、係止端924を有する。挿入軸921は、取付部2の厚さ方向に沿って配置される。挿入軸921は、軸方向の中間部分に、周方向外側に突出する不図示の突片を有する。突出片は、挿入軸921の周方向に沿って突出量が変化する形状を有する。係合片923は、頭部922から挿入軸921の軸方向に沿って突出して形成されている。係合片923は、台座91の接続部911に窪んで形成されている不図示の被係合孔に係合可能な突起である。
【0034】
ロックピン90は、台座91の挿通孔内に挿入軸921が挿入されて組み合わされた部材である。係止端924は、筒軸912の下端部の開口よりも直径が大きい。挿入軸921が台座91の挿通孔に挿入され、係止端924が筒軸912の下端部に当たることによって、挿入部材92の台座91からの脱落が防止される。挿入部材92は、台座91に対して軸方向に沿って移動可能に設けられている。
【0035】
台座91の筒軸912を取付部2の貫通孔23および上枠11の貫通孔111に挿入し、接続部911を取付部2に接触させる。次に、頭部922が接続部911に近付くように挿入部材92を軸回りに回しながら押し込む。頭部922が接続部911に接触する位置まで挿入部材92を押し込むと、挿入軸921の突片が筒軸912の内面と接触し、突片によって筒軸912が周方向外側に押される。筒軸912はスリット913が形成されているため、図16に示すように、筒軸912が径方向外側に拡がる。径方向外側に拡がった筒軸912は、取付部2の貫通孔23および上枠11の貫通孔111の直径よりも大きくなるため、台座91が取付部2および上枠11に係合する。この状態で頭部922をさらに軸回りに回すと、係合片923が接続部911の被係合孔に係合し、台座91が挿入部材92と係合する。この結果、ロックピン90が取付部2および上枠11に係合し、ロックピン90によって、介装部材1が上枠11に固定される。
【0036】
挿入部材92は、台座91に対して着脱可能に取り付けられている。頭部922を取付時と逆方向に軸回りに回すと、係合片923と被係合孔との係合が解除され、かつ、挿入軸921の突片が筒軸912の内面から離れ、筒軸912が図15に示す状態に復元する。この結果、筒軸912を取付部2の貫通孔23および上枠11の貫通孔111から抜くことができ、ロックピン9を取り外すことができる。ロックピン9を用いることにより、介装部材1を上枠11に対して、容易に固定できる。
【0037】
介装部材1は、上枠11の幅方向Wの略中央部に配置されている。介装部材1は、障子20,30が閉じたときの召合せ框432の上方に配置される。シール部5の下端が上框41に接触している。第一突部31および第二突部32は、上框41に接触せず、離れている。取付部2の端部24,25は、障子20,30の全閉時および全開示に一方が露出する。
【0038】
シール部5は幅方向Wに弾性変形可能なシート形状を有している。そのため、障子20,30が幅方向Wに開閉動作されると、上框41に接触しているシール部5の下端が、障子20,30に追従して移動し、各シール部51,52,53が弾性変形する。シール部5は、内障子20および外障子30に接触している。そのため、内障子20と外障子30とが幅方向Wの逆方向に動くと、切り込み部54を境界として、各シール部51,52,53は幅方向Wの逆方向に弾性変形する。
【0039】
介装部材1の着脱方法を説明する。枠体10内に障子20,30を取り付けた後、介装部材1を上枠11に取り付ける。介装部材1を取り付ける前は、枠体10に対する障子20,30の縦方向Vの隙間が大きい。そのため、障子20,30を縦方向Vに沿って持ち上げると、下框42と下レール14との係止が解除されて、障子20,30は容易に外れる。一方、障子20,30の使用時は、障子20,30が枠体10から外れ難いことが望まれる。そこで、枠体10に介装部材1を取り付ける。
【0040】
具体的には、障子20,30が閉じた状態で、作業者は、内障子20の召合せ框432と上枠11との隙間に介装部材1を挿入する。図4に示すように、取付部2の幅方向Wの長さは、障子20,30の召合せ框432の幅よりも長い。そのため、図9に示すように、障子20,30を閉じた状態で、取付部2の端部24の貫通孔23が召合せ框432よりも幅方向Wの外側に露出する位置に介装部材1を配置できる。この状態で、作業者はロックピン90を貫通孔23に挿入し、下方から押し上げると、端部24側の取付部2が上枠11に取り付けられる。介装部材1は、幅方向Wの両端部24,25のうちの少なくとも一方が、上枠11に固定されると、内障子20が幅方向Wに移動可能な程度に、上枠11に近接配置された状態が保持される。
【0041】
次に、内障子20を全開状態にすると、内障子20と外障子30とが内外方向Dに並び、内障子20の戸先框422と、外障子30の召合せ框432とが内外方向Dに並ぶ。このとき、取付部2の幅方向Wの端部25が露出する。この状態で、作業者はロックピン90を貫通孔23に挿入し、下方から押し上げると、端部25側の取付部2が上枠11に取り付けられる。
【0042】
障子20,30を取り外す時は、内障子20を全開状態にして、介装部材1の端部25を露出させる。次に、ロックピン90のロック解除操作を行い、ロックピン90を貫通孔23から抜く。続いて、内障子20を全閉状態に移動させて、介装部材1の端部24を露出させる。この状態でロックピン90のロック解除操作を行い、ロックピン90を貫通孔23から抜く。その後、作業者は端部24を把持しながら介装部材1を、障子20,30と上枠11との隙間から取り外す。次に、障子20,30を縦方向Vに持ち上げると、上框41が上枠11に近付き、下框42の下レール14に対する係止を解除できる。その後、障子20,30を斜め下方に下げることによって、上框41の上レール17に対する係止を解除する。
【0043】
実施形態によれば、介装部材1は、取付部2と、第一突部31と、第二突部32と、シール部5とを備えるため、一つの部材で脱落防止機能とシール機能とを備える。この結果、従来のように脱落防止部材とシール部材とを個別に取り付ける場合と比べて、介装部材1を取り付ける作業が効率化される。この結果、気密性の高い建具の施工時の作業効率を向上させることができる。
【0044】
実施形態によれば、シール部5が取付部2から突出して設けられ、第一突部31、第二突部32と幅方向Wに並んで設けられている。第一突部31および第二突部32は障子20,30の脱落を防止できる。第一突部31および第二突部32は、さらにシール部5の幅方向Wの弾性可能な範囲を規制する。シール部5は、第一突部31および第二突部32よりも下方に突出しており、上框41と第一突部31および第二突部32との間の隙間を塞ぐことができる。シール部5は封止性能を有する。
【0045】
実施形態によれば、取付部2と、第一突部31と、第二突部32と、シール部5とが一体に形成されているため、取扱いが容易である。
【0046】
実施形態によれば、シール部5は、幅方向Wに直交する面を含むヒレ形状を有するため、障子20,30の開閉動作時、シール部5は、上框41に接触しながら弾性変形する。したがって、障子20,30の静止時は、シール部5が上框41に接触して、上枠11と上框41との隙間を塞ぐ。開閉動作時はシール部5が弾性変形するため、シール部5が上枠11と上框41との隙間を塞ぎながら、障子20,30は円滑に開閉動作される。
【0047】
実施形態によれば、シール部5は第一突部31および第二突部32よりも長く突出する。この構成によって、脱落防止部として機能する第一突部31および第二突部32が障子20,30の開閉動作を妨げることなく、シール部5で障子20,30の上端部をシールできる。
【0048】
実施形態によれば、各シール部51,52,53は、幅方向Wに沿う切り込み部54を有するため、内外方向Dにおける切り込み部54の両側が逆方向に弾性変形可能である。2本の上レール17間の内外方向Dの隙間を埋めるようにシール部5が設けられている。したがって、外障子30と内障子20とが幅方向Wの逆向きに移動した場合、各シール部51,52,53が各障子20,30の移動方向に沿って、逆方向に弾性変形可能である。この結果、外障子30と内障子20とを逆方向に円滑に移動させることができる。
【0049】
実施形態によれば、複数のシール部51,52,53が幅方向Wに離れて並んで設けられているため、高い封止性能を発揮できる。
【0050】
実施形態によれば、取付部2の幅方向Wの長さは、障子20,30の召合せ框432の幅よりも長く、取付部2の幅方向の両端部に貫通孔23を備える。この結果、障子20,30が取り付けられた状態で、介装部材1を着脱できる。
【0051】
実施形態によれば、上枠11と召合せ框432との間に介装部材1が取り付けられる。この結果、上枠11の一箇所に介装部材1を取り付ければ、脱落防止機能およびシール機能を備える部材を取り付けられる。したがって、従来のように、脱落防止部材とシール部材とを個別に設ける場合に比べ、施工時の施業負担が軽減可能である。召合せ框432と上枠11および召合せ框432と下枠12との間に介装部材1を設ければ、レール14,17に沿って幅方向Wに流入する風を遮ることができる。したがって、例えば、室外から室内に冷気や暖気が流入することを防止できる。この結果、気密性に優れた建具を提供できる。
【0052】
上述した実施形態では、介装部材1を上枠11に取り付ける例を示したが、図10から図14に示すように、下枠12にも介装部材1Aを取り付けてもよい。下枠用の介装部材1Aは、封止部材として機能する。
【0053】
図10および図11に示すように、2本の下レール14の間の下枠12に介装部材1Aが取り付けられている。介装部材1Aは、障子20,30が閉じた状態における召合せ框432の下方に配置されている。図示は省略するが、介装部材1Aは、ロックピン90を用いて下枠12に対して着脱可能に固定されている。
【0054】
図12および図13に示すように、下枠用の介装部材1Aは、第一突部31と、複数のシール部51A,52A,53Aと、第二突部32とを有する。第一突部31Aの幅方向の両側に、それぞれ4つのシール部51A,52A,53Aが設けられている。図13に示すように、幅方向Wの最も内側の第一シール部51Aと、幅方向Wの最も外側の第三シール部53Aとの間に2つの第二シール部52Aが設けられている。
【0055】
図12に示すように、第一シール部51Aおよび第二シール部52Aには切り込み部54が形成されている。第一シール部51Aおよび第二シール部52Aの上端はそれぞれ形状が異なる段差が設けられている。
【0056】
介装部材1Aの取付部2には、上枠11用の介装部材1のような第二突部32から幅方向Wの外側に突出する部位がない。取付面21には、下方に突出する係止突起26が設けられている。介装部材1Aを下枠12の不図示の係合孔に押し込むと、介装部材1Aが下枠12に係合される。
【0057】
図14に示すように、下枠12に介装部材1Aを設けることによって、下枠12の風や塵の流路を塞ぐことができる。引違い窓100は、上枠11の介装部材1Aに加えて下枠12にも介装部材1Aを設けると、より気密性、防塵性を高めることができる。下枠12の介装部材1Aは必須の構成ではない。
【0058】
上述した実施形態では、建具の一例として、外障子および内障子を有する引違い窓100を挙げたが、建具は引違い窓に限定されない。例えば、枠体内に一つの障子が設けられた片平き窓や、枠体内に三つ以上の障子が設けられる建具であってもよい。
【0059】
上述した実施形態では、介装部材1が樹脂製の一体成型品である例を示したが、封止部材はこの構成に限定されない。例えば、シール部を別部材で形成してもよい。例えば、取付部、第一突部、および第二突部を硬質樹脂で一体成型し、軟性樹脂からなるシール部の上端部を固定部に固定する構成であってもよい。例えば、シール部は、モヘアであってもよい。
【0060】
上述した実施形態では、介装部材1に第二突部32を備える例を示したが、脱落防止機能としては、介装部材1に第一突部31を備えていれば足り、第二突部32は必須の構成ではない。
【0061】
上述した実施形態では、ロックピン90を用いて介装部材1,1Aを上枠11または下枠12に着脱可能に固定する例を示したが、介装部材の枠体に対する固定構造はロックピンに限定されない。例えば、公知のネジ等を用いてもよい。
【0062】
上述の実施形態は、例示であり、上記開示の範囲に限定されない。上述の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、特許請求の範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1…介装部材、2…取付部、5…シール部、31…第一突部(脱落防止部)、32…第二突部(脱落防止部)、54…切り込み部、10…枠体、11…上枠、17…上レール、20,30…障子、40…框体、41…上框、100…引違い窓(建具)、432…召合せ框
図1
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