(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】トラクタ
(51)【国際特許分類】
B60K 13/04 20060101AFI20250207BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20250207BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
B60K13/04 D
F01N3/08 B
F01N3/24 Z
(21)【出願番号】P 2021162218
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】永田 智士
(72)【発明者】
【氏名】井上 竜一
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-117598(JP,A)
【文献】実開昭59-093977(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0074410(US,A1)
【文献】特開2016-188559(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102009051052(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/04
F01N 3/08
F01N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームを形成するエンジンボンネットと、
前記エンジンルームにおいて、エンジンの上方に設けられ、前記エンジンからの排ガスを浄化処理する第1排ガス浄化装置、および、前記エンジンの後方に設けられ、前記エンジンからの排ガスを浄化処理する第2排ガス浄化装置と、が備えられ、
前記エンジンボンネットは、前記エンジンルームのうちの前記第2排ガス浄化装置が位置する後エンジンルーム部を覆う後ボンネットと、前記エンジンルームのうちの前記後エンジンルーム部よりも車体前方側に位置する前エンジンルーム部を覆う状態で前記後ボンネットとは別体に構成された前ボンネットと、を有し、
前記前ボンネットは、揺動開閉可能な状態で支持されているトラクタ。
【請求項2】
前記第1排ガス浄化装置の上方に設けられたボンネット支持部材が備えられ、
前記前ボンネットの後端部に備えられた車体横向きの枢支軸芯が、前記ボンネット支持部材に設けられ、
前記前ボンネット
は、前記枢支軸芯を揺動支点にして上下揺動開閉可能な状態で支持されている請求項1に記載のトラクタ。
【請求項3】
前記前ボンネットは、前天板部と、前記前天板部の左右側部から下向きに延びる前側板部と、を有し、
前記後ボンネットは、前記後エンジンルーム部を上方から覆う後天板部と、前記後エンジンルーム部を両横側方から覆う左右の後側板部と、を有し、
前記後側板部の前部を支持部材に連結する連結ボルトが備えられ、
前記前ボンネットは、閉じ状態において前記前側板部の後部が前記連結ボルトの横外側方に位置して前記連結ボルトを覆うように構成されている請求項2に記載のトラクタ。
【請求項4】
前記後ボンネットは、前記後エンジンルーム部を上方から覆う後天板部と、前記後エンジンルーム部を両横側方から覆う左右の後側板部と、を有し、
前記後天板部と、前記左右の後側板部とは、別体に構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のトラクタ。
【請求項5】
前記第2排ガス浄化装置は、前記エンジンからの排ガスを還元剤によって浄化処理するように構成され、
前記前エンジンルーム部において、前記エンジンよりも前側に、還元剤タンク、および、前記還元剤タンクに貯留された還元剤を前記第2排ガス浄化装置に供給する還元剤ポンプが設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載のトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタには、例えば特許文献1に示されるように、エンジンルームを形成するエンジンボンネット(ボンネット)と、エンジンルームにおいて、エンジン(ディーゼルエンジン)の上方に設けられ、エンジンからの排ガスを浄化処理する第1排ガス浄化装置(第1ケース)、および、エンジンの後方に設けられ、エンジンからの排ガスを浄化処理する第2排ガス浄化装置(第2ケース)と、が備えられたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したトラクタにあっては、エンジンの上方に第1排ガス浄化装置を収容し、エンジンの後方に第2排ガス浄化装置を収容するのでエンジンルームの上下長さおよび前後長さが長くなってエンジンルームの容積が大きくなるので、大型のエンジンボンネットが必要になる。
【0005】
本発明は、エンジンボンネットが大型になるものでありながら、エンジンルームを開閉し易く、かつ、エンジンボンネットを製作し易いトラクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるトラクタは、
エンジンルームを形成するエンジンボンネットと、前記エンジンルームにおいて、エンジンの上方に設けられ、前記エンジンからの排ガスを浄化処理する第1排ガス浄化装置、および、前記エンジンの後方に設けられ、前記エンジンからの排ガスを浄化処理する第2排ガス浄化装置と、が備えられ、前記エンジンボンネットは、前記エンジンルームのうちの前記第2排ガス浄化装置が位置する後エンジンルーム部を覆う後ボンネットと、前記エンジンルームのうちの前記後エンジンルーム部よりも車体前方側に位置する前エンジンルーム部を覆う状態で前記後ボンネットとは別体に構成された前ボンネットと、を有し、前記前ボンネットは、揺動開閉可能な状態で支持されている。
【0007】
本構成によると、エンジンボンネットの全体の大きさが大きくなっても、前ボンネットだけを揺動操作すればエンジンルームを開閉できるのでエンジンルームを開閉し易い。エンジンボンネットを前ボンネットと後ボンネットとに分けて製作できるので、エンジンボンネットを製作し易い。
【0008】
本発明においては、
前記第1排ガス浄化装置の上方に設けられたボンネット支持部材が備えられ、前記前ボンネットの後端部に備えられた車体横向きの枢支軸芯が、前記ボンネット支持部材に設けられ、前記前ボンネットは、前記枢支軸芯を揺動支点にして上下揺動開閉可能な状態で支持されていると好適である。
【0009】
本構成によると、前ボンネットの前端側を上げ操作することによって前ボンネットが開き、前ボンネットの前端側を下げ操作することによって前ボンネットが閉じるので、前ボンネットを開閉し易い。
【0010】
本発明においては、
前記前ボンネットは、前天板部と、前記前天板部の左右側部から下向きに延びる前側板部と、を有し、前記後ボンネットは、前記後エンジンルーム部を上方から覆う後天板部と、前記後エンジンルーム部を両横側方から覆う左右の後側板部と、を有し、前記後側板部の前部を支持部材に連結する連結ボルトが備えられ、前記前ボンネットは、閉じ状態において前記前側板部の後部が前記連結ボルトの横外側方に位置して前記連結ボルトを覆うように構成されていると好適である。
【0011】
本構成によると、連結ボルトを横外側方から覆うカバーに前ボンネットがなるので、特別なカバーを要しない簡素なカバー構造によって連結ボルトの水濡れなどを防止することができる。
【0012】
本発明においては、
前記後ボンネットは、前記後エンジンルーム部を上方から覆う後天板部と、前記後エンジンルーム部を両横側方から覆う左右の後側板部と、を有し、前記後天板部と、前記左右の後側板部とは、別体に構成されていると好適である。
【0013】
本構成によると、後ボンネットを後天板部と左右の後側板部とに分けて製作できるので、後ボンネットを製作し易い。
【0014】
本発明においては、
前記第2排ガス浄化装置は、前記エンジンからの排ガスを還元剤によって浄化処理するように構成され、前記前エンジンルーム部において、前記エンジンよりも前側に、還元剤タンク、および、前記還元剤タンクに貯留された還元剤を前記第2排ガス浄化装置に供給する還元剤ポンプが設けられていると好適である。
【0015】
本構成によると、還元剤タンクおよび還元剤ポンプを収容するスペースのためにエンジンルームの前後長さがより長くなるので前後長さがより長いエンジンボンネットが必要になるがエンジンボンネットを前ボンネットと後ボンネットとに分けて製作できるので、エンジンボンネットを製作し易い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】前ボンネットおよび後ボンネットの支持構造を示す側面図である。
【
図5】後ボンネットの支持構造を示す正面図である。
【
図6】分解状態の後ボンネット、ボンネット支持部材、区画部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、トラクタの走行車体に関し、
図1,2に示される矢印Fの方向を「車体前方」、矢印Bの方向を「車体後方」、
図1に示される矢印Uの方向を「車体上方」、矢印Dの方向を「車体下方」、
図2に示される矢印Lの方向を「車体左方」、矢印Rの方向を「車体右方」とする。
【0018】
〔トラクタの全体の構成〕
図1,2に示されるように、トラクタは、操向および駆動可能な左右一対の前車輪1および駆動可能な左右一対の後車輪2によって支持される走行車体3を備えている。走行車体3の車体フレーム4は、エンジン5、エンジン5の後部に連結されたフライホィールハウジング6、フライホィールハウジング6の後部に連結されたクラッチハウジング7、クラッチハウジング7の後部に連結されたミッションケース7a、およびエンジン5の下部に連結された前部フレーム8によって構成されている。走行車体3の前部に、エンジン5を備える原動部9が形成されている。走行車体3の後部に、運転座席10、前車輪1を操向操作するステアリングホィール11を備える運転部12が形成されている。ミッションケース7aの後部に、ロータリ耕耘装置(図示せず)などの作業装置を昇降操作可能に連結するリンク機構13、エンジン5からの動力を取り出して連結された作業装置に出力する動力取出し軸14が備えられている。
図1,2に示される20は、ロプスフレームである。ロプスフレーム20は、原動部9を囲う倒伏状態の格納姿勢と、起立状態の使用姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0019】
〔原動部の構成〕
図1,3に示されるように、原動部9には、エンジンルーム15が備えられている。エンジンルーム15は、エンジンルーム15を上方、前方および両横側方から覆うエンジンボンネット16、および、エンジンルーム15を運転部12と区画形成する区画部材17などによって形成されている。
【0020】
図1,2,3に示されるように、エンジンルーム15には、エンジン5、エンジン5の冷却を行うラジエータ18、エンジン5が排出する排ガスの浄化処理を行う第1排ガス浄化装置(DPF)21および第2排ガス浄化装置(SCR)22、還元剤タンク23、還元剤ポンプ24およびバッテリー25が設けられている。
【0021】
〔ラジエータの構成〕
図1,2,3に示されるように、ラジエータ18は、エンジン5の前方に設けられている。ラジエータ18とエンジン5との間に位置する回転ファン19の送風作用によって冷却風がエンジンルーム15の外部から内部に導入されてラジエータ18に供給される。冷却風のラジエータ18に対する供給は、冷却風がラジエータ18を前方から後方に通り抜ける状態で行われる。ラジエータ18においては、供給される冷却風とエンジン冷却水との熱交換によってエンジン冷却水の冷却が行われ、冷却されたエンジン冷却水がエンジン5に供給されることによってエンジン5の冷却が行われる。
【0022】
〔第1排ガス浄化装置、第2排ガス浄化装置の構成〕
エンジン5は、ディーゼルエンジンである。
図2,3に示されるように、第1排ガス浄化装置21は、長手方向が車体横向きになる状態でエンジン5の上方に設けられている。フライホィールハウジング6に支持部材26が立設されている。第1排ガス浄化装置21の下部が、支持部材26に備えられた支持アーム26aに支持されている。第1排ガス浄化装置21は、支持部材26を介して車体フレーム4のうちのフライホィールハウジング6に支持されている。第1排ガス浄化装置21の車体横幅方向一端側の部位に備えられた排ガス吸引部21aと、エンジン5に備えられた排ガス排出部5aとが接続されている。第1排ガス浄化装置21の車体横幅方向他端側の部位に、排ガス吐出部21bが備えられている。
【0023】
第1排ガス浄化装置21においては、エンジン5が排ガス排出部5aから排出する排ガスが排ガス吸引部21aによって装置内に吸引され、吸引された排ガスに含まれるディーゼル微粒子が捕集フィルター(図示せず)によって捕集され、ディーゼル微粒子を減少させる排ガスの浄化処理が行われる。浄化処理された排ガスが排ガス吐出部21bから吐出される。
【0024】
図2,3に示されるように、第2排ガス浄化装置22は、長手方向が車体横向きになる状態でエンジン5の後方に設けられている。第2排ガス浄化装置22の前部が支持部材26に備えられた支柱部26bに支持されている。第2排ガス浄化装置22は、支持部材26を介して車体フレーム4のうちのフライホィールハウジング6に支持されている。第2排ガス浄化装置22の車体横幅方向一端側の部位に備えられた排ガス導入部22aと、第1排ガス浄化装置21の排ガス吐出部21bとが接続管27によって接続されている。第2排ガス浄化装置22の車体横幅方向他端側の部位に排ガス吐出部22bが備えられている。
【0025】
第2排ガス浄化装置22においては、第1排ガス浄化装置21が排ガス吐出部21bから吐出する排ガスが接続管27によって排ガス導入部22aに供給されて排ガス導入部22aによって装置内に導入され、導入された排ガスが還元剤によって浄化処理される。詳しくは、導入された排ガスに還元剤としての尿素水が噴射されて加水分解され、排ガスに含まれる窒素酸化物を減少させる排ガスの浄化処理が行われる。浄化処理された排ガスが排ガス吐出部22bから車体横外側に向けて排出される。
【0026】
図2,3に示されるように、還元剤タンク23、還元剤ポンプ24およびバッテリー25は、エンジン5よりも前側に設けられている。本実施形態では、還元剤タンク23、還元剤ポンプ24およびバッテリー25は、車体横幅方向に並んでいる。前部フレーム8よりも上側に支持プレート28が設けられている。還元剤タンク23は、タンクケース23aを介して支持プレート28に支持されている。還元剤タンク23は、還元剤タンク23の上部から前上向きに延びる注液筒23bを有し、還元剤としての尿素水が注液筒23bから注入されることによって尿素水を貯留する。還元剤ポンプ24は、還元剤タンク23に貯留された尿素水を還元剤タンク23から取り出し、取り出した尿素水を還元剤ポンプ24から第2排ガス浄化装置22に延びるホース(図示せず)を介して第2排ガス浄化装置22に供給する。
【0027】
〔エンジンボンネットの構成〕
図1,2,3に示されるように、エンジンボンネット16は、エンジンルーム15のうちの第2排ガス浄化装置22が位置する後エンジンルーム部15Bを覆う後ボンネット30と、エンジンルーム15のうちの後エンジンルーム部15Bよりも車体前方側に位置する前エンジンルーム部15Fを覆う前ボンネット31と、を有している。前エンジンルーム部15Fには、第1排ガス浄化装置21、エンジン5、ラジエータ18、還元剤タンク23、還元剤ポンプ24およびバッテリー25が収容されている。前ボンネット31と後ボンネット30とは、別体に構成されている。
【0028】
〔前ボンネットの構成〕
図1,2,3に示されるように、前ボンネット31は、前エンジンルーム部15Fを上方から覆う前天板部31aと、前天板部31aの前部から下向きに延び、前エンジンルーム部15Fを前方から覆うフロントグリル部31bと、前天板部31aの両横側部から下向きに延び、前エンジンルーム部15Fを両横側方から覆う左右の前側板部31cと、を有している。
【0029】
前ボンネット31は、開閉可能な状態で支持されている。
具体的には、
図2,3,4に示されるように、エンジンルーム15の後部に、区画部材17の上部から前向きに延びるボンネット支持部材32が設けられている。
図6に示されるように、ボンネット支持部材32は、車体前後方向に延びる複数の鋼材、および、車体横幅方向に延びる複数の鋼材を組み合わせて構成されている。
図3,6に示されるように、前ボンネット31の後端部に備えられた連結部33と、ボンネット支持部材32の前部とにわたって車体横幅方向に延びる枢支軸34が設けられている。前ボンネット31は、
図4に実線で示される如く枢支軸34の車体横幅方向に延びる枢支軸芯Pを揺動支点にしてエンジンルーム15を開く上昇開き状態と、
図4の二点鎖線で示される如くエンジンルーム15を閉じる下降閉じ状態と、にわたって揺動可能な状態でボンネット支持部材32に支持されている。
【0030】
図3に示されるように、第1排ガス浄化装置21および第2排ガス浄化装置22の支持部材26から支持部材35がエンジン5の上方を通して前向きに延ばされている。支持部材35の前部に備えられたアーム部35aと、ボンネット支持部材32の前部に備えられたアーム部32aとにわたり、ボンネット支持部材32を支持部材35に支持させる支持杆36が連結されている。アーム部35aと、前ボンネット31の内部とにわたり、前ボンネット31を開き状態に付勢するダンパー37が連結されている。
【0031】
〔後ボンネットの構成〕
図1,2,3に示されるように、後ボンネット30は、後エンジンルーム部15Bを上方から覆う後天板部30aと、後エンジンルーム部15Bを両横側方から覆う左右の後側板部30bと、を有している。
図6に示されるように、後天板部30aと左右の後側板部30bとは、別体に構成されている。後天板部30aおよび左右の後側板部30bは、板金部材によって構成されている。
【0032】
後ボンネット30は、
図4,5に示されるように、区画部材17、ボンネット支持部材32、および、側板支持部材38に支持されるように構成されている。
【0033】
具体的には、側板支持部材38は、
図4,5に示されるように、フライホィールハウジング6の両横側部から上向きに延ばされている。側板支持部材38の上端部がボンネット支持部材32の前側部に連結され、側板支持部材38は、ボンネット支持部材32に対する支持部材になるように構成されている。
【0034】
図6に示されるように、後天板部30aの前部および後部のそれぞれに、連結部39が備えられている。本実施形態では、後天板部30aの前部および後部のそれぞれに、2つの連結部39が備えられている。
図3,4,5に示されるように、後天板部30aは、後部の連結部39が区画部材17にピン連結され、前部の連結部39がボンネット支持部材32の前部に備えられた支持部32bにピン連結されることによって区画部材17およびボンネット支持部材32に支持される。
【0035】
図6に示されるように、左右の後側板部30bそれぞれにおいては、後側板部30bの前部に前連結部40が備えられ、後側板部30bの後部に後連結部41が備えられている。本実施形態では、2つの前連結部40および2つの後連結部41が備えられている。
図4,5に示されるように、左右の後側板部30bそれぞれは、前連結部40が側板支持部材38に連結ボルト42によって連結され、後連結部41が区画部材17にピン連結されることによって側板支持部材38および区画部材17に支持される。
【0036】
図1に実線で示され、
図4に二点鎖線で示されるように、前ボンネット31は、閉じ状態において、前ボンネット31の前側板部31cにおける後部31dが連結ボルト42の横外側方に位置して連結ボルト42を覆うように構成されている。連結ボルト42の露出や水濡れが前ボンネット31の前側板部31cによって防止される。
【0037】
エンジンボンネット16は、エンジンルーム15のうちのフライホィールハウジング6が位置する後エンジンルーム部15Bを覆う後ボンネット30と、エンジンルーム15のうちの後エンジンルーム部15Bよりも車体前方側に位置する前エンジンルーム部15Fを覆う前ボンネット31と、を有している。前ボンネット31と後ボンネット30とは、別体に構成されている。前ボンネット31は、揺動開閉可能な状態で支持されている。
【0038】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、前ボンネット31は、前ボンネット31の後端部に備えられた車体横向きの枢支軸芯Pを揺動支点にして上下に揺動開閉可能に支持される例を示したが、これに限らない。たとえば、前ボンネット31の前端部に位置する車体横向きの枢支軸芯を揺動支点にして上下に揺動開閉可能に支持されるもの、あるいは、前ボンネット31の横側部に車体前後方向に延びる状態で位置する枢支軸芯を揺動支点にして揺動開閉可能に支持されるものであってもよい。
【0039】
(2)上記した実施形態では、後天板部30aと左右の後側板部30bとが別体に構成された例を示したが、一体に構成されたものであってもよい。
【0040】
(3)上記した実施形態では、連結ボルト42が閉じ状態の前ボンネット31の後部31dによって横側方から覆われる構成を採用した例を示したが、この構成を採用しないものであってもよい。
【0041】
(4)上記した実施形態では、還元剤タンク23および還元剤ポンプ24が前エンジンルーム部15Fにおいてエンジン5よりも前側に設けられた例を示しが、これに限らない。たとえば、還元剤タンク23および還元剤ポンプ24がエンジンルーム15の外部に設けるなど、どのような箇所に設けられるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、エンジンルームを形成するエンジンボンネットと、エンジンルームにおいて、エンジンの上方に設けられた第1排ガス浄化装置、および、エンジンの後方に設けられた第2排ガス浄化装置と、が備えられたトラクタに適用できる。
【符号の説明】
【0043】
5 エンジン
15 エンジンルーム
15B 後エンジンルーム部
15F 前エンジンルーム部
16 エンジンボンネット
21 第1排ガス浄化装置
22 第2排ガス浄化装置
23 還元剤タンク
24 還元剤ポンプ
30 後ボンネット
30a 後天板部
30b 後側板部
31 前ボンネット
31a 前天板部
31c 前側板部
31d 後部
32 ボンネット支持部材
38 支持部材(側板支持部)
42 連結ボルト
P 枢支軸芯