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  • 特許-防水コネクタ、およびプローブ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】防水コネクタ、およびプローブ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20250207BHJP
   H01R 13/504 20060101ALI20250207BHJP
   H01R 12/72 20110101ALI20250207BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
H01R13/52 A
H01R13/504
H01R12/72
A61B5/00 B
H01R13/52 301Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021189414
(22)【出願日】2021-11-22
(65)【公開番号】P2023076173
(43)【公開日】2023-06-01
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 豊
(72)【発明者】
【氏名】石野 弘二
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0071015(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0109414(US,A1)
【文献】特開2017-196855(JP,A)
【文献】特開2016-051668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/40-13/533
H01R24/00-24/86
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに対して第一方向に嵌合される防水コネクタであって、
開口部を有している第一ケースと、
前記開口部の縁に配置されている防水部材と、
互いに反対方向を向く第一主面と第二主面を有している基板と、
前記第一主面上に配置されており、前記相手側コネクタとの電気的接続に供されるべく前記開口部を通じて露出している第一接点と、
前記第二主面上に配置されており、前記基板上に形成された回路を通じて前記第一接点と電気的に接続されている第二接点と、
前記第二点にはんだ付けされている導電線と、
前記第一方向と直交する第二方向から前記第一ケースと結合されており、前記基板と前記導電線の一部を収容する空間を区画している第二ケースと、
を備えており、
前記第一ケースは、前記第一方向および前記第二方向と直交する第三方向から見て斜めに延びる傾斜面を有しており、前記開口部は当該傾斜面に形成されており、
記第二主面は、前記第二方向を向くとともに、その全体が前記第二ケースに面している、
防水コネクタ。
【請求項2】
前記第一ケースは、前記第一主面の側から前記基板を支持する支持部を備えている、
請求項1に記載の防水コネクタ。
【請求項3】
前記第一ケースは、第一係合部を備えており、
前記第二ケースは、前記第一係合部と係合している第二係合部を備えており、
前記第一ケースと前記第二ケースとは溶着されており、
前記第一係合部と前記第二係合部は、溶着前の前記第一ケースと前記第二ケースを一時的な不可分状態にするように構成されている、
請求項1または2に記載の防水コネクタ。
【請求項4】
前記導電線を部分的に覆い、かつ弾性を有している被覆を備えており、
前記被覆は、前記第一ケースと前記第二ケースにより挟持されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の防水コネクタ。
【請求項5】
少なくとも一つの素子を含むセンサと、
請求項1から4のいずれか一項に記載の防水コネクタと、
を備えており、
前記導電線は、前記第二接点と前記センサを電気的に接続している、
プローブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水コネクタ、および当該防水コネクタを備えたプローブ装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、相手側コネクタに対して第一方向に嵌合されるコネクタを備えた電子装置を開示している。コネクタは、第一方向に開口する開口部を通じて露出する導電ピンを備えている。電子装置は、回路基板、上ケース、下ケース、および防水部材を備えている。回路基板は、導電ピンと電気的に接続されている。上ケースと下ケースは、コネクタと回路基板を収容する空間を区画するように、第一方向と直交する第二方向に結合される。防水部材は、上ケースと下ケースの間に配置されている。このようなコネクタは、自動生産設備を用いて製造されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-089878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、自動生産設備による防水コネクタの効率的な製造を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、相手側コネクタに対して第一方向に嵌合される防水コネクタであって、
開口部を有している第一ケースと、
前記開口部の縁に配置されている防水部材と、
前記開口部を通じて露出し、前記相手側コネクタとの電気的接続に供される接点が配置されている基板と、
前記接点と電気的に接続されるように前記基板にはんだ付けされている導電線と、
前記第一方向と直交する第二方向に前記第一ケースと結合されており、前記基板と前記導電線の一部を収容する空間を区画している第二ケースと、
を備えており、
前記第一ケースは、前記第一方向および前記第二方向と直交する第三方向から見て斜めに延びる傾斜面を有しており、前記開口部は当該傾斜面に形成されている。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、プローブ装置であって、
少なくとも一つの素子を含むセンサと、
上記の防水コネクタと、
を備えており、
前記導電線は、前記接点と前記センサを電気的に接続している。
【0007】
前述の通り、特許文献1に記載された構成においては、導電ピンを備えたコネクタ部材および当該導電ピンと電気的に接続された回路基板が上ケースと下ケースにより挟持されている。当該導電ピンが露出しているコネクタ部材の開口部は、上記の第一方向に対応する前方に開口している。さらに、防水のためのシール材が当該開口部の周囲に上ケースと下ケースに跨るように装着されている。
【0008】
当該構成を自動生産設備により組み立てる場合、上ケースと下ケースによりコネクタ部材と回路基板を挟持させる工程は、上下方向からのアクセスによりなされうる。しかしながら、少なくともシール材を装着するための工程は、前後方向からのアクセスを要する。加えて、シール材の防水性を損なわないようにコネクタ部材に対して装着し、かつシール材が装着されたコネクタ部材の防水性を損なわないように上ケースと下ケースで挟持する必要があるので、位置決め精度の管理が複雑化する。
【0009】
他方、上記の態様に係る構成においては、相手側コネクタとの電気的接続に供される接点が基板に設けられており、第一ケースにのみ形成された開口部を通じて当該接点が露出している。したがって、第二方向からのアクセスのみで防水コネクタを組み立てることができる。この事実は、製造用の自動生産設備の簡略化に大きく寄与する。
【0010】
加えて、特許文献1に記載された構成よりも組付けに供される部品点数を減らせるだけでなく、防水部材を設けるにあたっては、第一ケースに形成された開口部との位置関係のみを考慮すればよい。したがって、位置決め精度の管理を容易にできる。特に防水部材が第一ケースと一体成型される場合、組付けに供される部品点数をさらに減らすことができるので、位置決め精度の管理をさらに容易にできる。結果として、自動生産設備による防水コネクタの効率的な製造を可能にできる。
【0011】
さらに、第一ケースは、第一方向に沿って第二方向の寸法が小さくなるように形成された傾斜面を有しており、開口部は傾斜面において開口している。したがって、相手側コネクタとの嵌合を円滑に遂行できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る防水コネクタを右上前方から見た外観を例示している。
図2図1の防水コネクタを左下後方から見た外観を例示している。
図3図1の防水コネクタの構成要素を例示する分解斜視図である。
図4図1の防水コネクタの構成要素を例示する分解斜視図である。
図5】一実施形態に係るプローブ装置の外観を例示している。
図6図5のプローブ装置が被検者の指先に装着された状態を例示している。
図7図1の防水コネクタを上方から見た外観を例示している。
図8図7の線VIII-VIIIに沿って矢印方向から見た断面を例示している。
図9図1の防水コネクタの組立方法を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。添付の図面において、矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Uは、図示された構造の上方向を示している。矢印Dは、図示された構造の下方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。これらの方向に係る表現は、説明の便宜のために用いるものであり、図示された構造の実際の使用状態における姿勢や方向を限定するものではない。
【0014】
本明細書で用いられる「前後方向」という語は、上記の前方向と後方向に沿う方向を意味している。本明細書で用いられる「上下方向」という語は、上記の上方向と下方向に沿う方向を意味している。本明細書で用いられる「左右方向」という語は、上記の左方向と右方向に沿う方向を意味している。
【0015】
図1は、一実施形態に係る防水コネクタ10を右上前方から見た外観を例示している。図2は、防水コネクタ10を左下後方から見た外観を例示している。防水コネクタ10は、前方に配置された雌型の相手側コネクタと嵌合するように構成された雄型のコネクタである。すなわち、防水コネクタ10は、相手側コネクタに対して前方向に嵌合される。前方向は、第一方向の一例である。
【0016】
防水コネクタ10は、第一ケース11と第二ケース12を備えている。第一ケース11は、開口部11aを備えている。第一ケース11と第二ケース12は、上下方向に結合されている。上下方向は、第二方向の一例である。
【0017】
図1に例示されるように、防水コネクタ10は、防水部材13を備えている。防水部材13は、第一ケース11の開口部11aの縁に配置されている。防水部材13は、弾性を有するゴムやエラストマ樹脂などにより形成されうる。防水部材13がエラストマ樹脂により形成される場合、第一ケース11と防水部材13は、二色成形により一体成型されうる。
【0018】
図3図4に例示されるように、防水コネクタ10は、基板14を備えている。基板14は、第一主面14aと第二主面14bを有している。本明細書で用いられる「基板の主面」という語は、当該基板を構成している複数の面のうち、最も大きな面積を有している面を意味している。第一主面14aと第二主面14bは、同じ面積を有しており、互いに反対方向を向いている。
【0019】
基板14の第一主面14a上には、複数の第一接点14cが配置されている。各第一接点14cは、導電性を有する材料により形成されている。図1に例示されるように、複数の第一接点14cは、第一ケース11の開口部11aを通じて露出している。
【0020】
図4に例示されるように、基板14の第二主面14b上には、複数の第二接点14dが配置されている。各第二接点14dは、導電性を有する材料により形成されている。各第二接点14dは、基板14上に形成された回路を通じて複数の第一接点14cの対応する一つと電気的に接続されている。
【0021】
防水コネクタ10は、複数の導電線15を備えている。各導電線15の先端部は、複数の第二接点14dの対応する一つにはんだ付けされる。これにより、各導電線15は、複数の第一接点14cの対応する一つと電気的に接続される。
【0022】
図5は、一実施形態に係るプローブ装置20の外観を例示している。プローブ装置20は、光センサ21を備えている。複数の導電線15の他端は、光センサ21と複数の第一接点14cを電気的に接続するようにプローブ装置20に接続されうる。
【0023】
プローブ装置20は、支持体22を備えている。光センサ21は、発光部211と受光部212を備えている。支持体22は、発光部211と受光部212を支持している。図6に例示されるように、プローブ装置20は、光センサ21を通じて被検者の生体情報を取得するために、当該被検者の指先30に装着されるように構成されている。具体的には、発光部211と受光部212が指先30を挟んで対向する位置に配置されるように、支持体22が指先30に巻き付けられる。
【0024】
本例においては、生体情報として、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数が取得される。プローブ装置20は、光センサ21に加えてあるいは代えて、他の生体情報を取得するためセンサを備えうる。他の生体情報の例としては、血圧、血糖値、体温などが挙げられる。
【0025】
図7は、防水コネクタ10を上方から見た外観を例示している。図8は、図7における線VIII-VIIIに沿って矢印方向から見た防水コネクタ10の断面を例示している。
【0026】
第一ケース11と第二ケース12は、相互に結合されることによって収容空間16を区画するように構成されている。収容空間16は、基板14と各導電線15の一部を収容するように構成されている。換言すると、基板14に接続された各導電線15の残りの部分は、収容空間16を区画している第一ケース11および第二ケース12から引き出されている。
【0027】
図1図3に例示されるように、第一ケース11は、傾斜面11bを有している。傾斜面11bは、左右方向から見て斜めに延びている。左右方向は、第三方向の一例である。より具体的には、傾斜面11bは、防水コネクタ10の前端に向かって第一ケース11の上下方向の寸法が小さくなるように形成されている。開口部11aは、傾斜面11bにおいて前方および斜め上方に開口するように配置されている。
【0028】
図8に例示されるように、相手側コネクタ40は、相手側接点41を備えている。相手側接点41は、導電性を有する材料により形成されている。防水コネクタ10が相手側コネクタ40に嵌合されると、相手側コネクタ40に設けられた相手側接点41が、前方から開口部11aに進入し、第一接点14cと接触する。これにより、相手側コネクタ40と各導電線15との電気的接続がなされる。
【0029】
図4図9を参照しつつ、防水コネクタ10の組立方法について説明する。まず、第一ケース11が上面を下方に向けた状態で配置される(STEP1)。すなわち、第一ケース11の内側が上方を向いた状態で配置がなされる。
【0030】
続いて、基板14が第一ケース11の内側における所定の位置に配置される(STEP2)。具体的には、基板14の第一主面14aが下方を向き、第二主面14bが上方を向いた状態で配置がなされる。これにより、複数の第一接点14cは、第一ケース11の開口部11aに対向するように配置される。複数の第二接点14dは、上方に面している。
【0031】
その後、複数の導電線15が複数の第二接点14dに対してはんだ付けされる(STEP3)。
【0032】
次に、内側を下方に向けられた第二ケース12が、上方から第一ケース11と結合される(STEP4)。これにより、基板14と各導電線15の一部を収容する収容空間16が区画される。
【0033】
最後に、第一ケース11と第二ケース12が溶着されることによって不可分とされる(STEP5)。これにより、図1および図2に例示された状態の防水コネクタ10が得られる。
【0034】
特許文献1に記載された構成との比較を通じて、本実施形態に係る構成の有利性について説明する。
【0035】
前述の通り、特許文献1に記載された構成においては、導電ピンを備えたコネクタ部材および当該導電ピンと電気的に接続された回路基板が上ケースと下ケースにより挟持されている。当該導電ピンが露出しているコネクタ部材の開口部は、上記の第一方向に対応する前方に開口している。さらに、防水のためのシール材が当該開口部の周囲に上ケースと下ケースに跨るように装着されている。
【0036】
当該構成を自動生産設備により組み立てる場合、上ケースと下ケースによりコネクタ部材と回路基板を挟持させる工程は、上下方向からのアクセスによりなされうる。しかしながら、少なくともシール材を装着するための工程は、前後方向からのアクセスを要する。加えて、シール材の防水性を損なわないようにコネクタ部材に対して装着し、かつシール材が装着されたコネクタ部材の防水性を損なわないように上ケースと下ケースで挟持する必要があるので、位置決め精度の管理が複雑化する。
【0037】
他方、本実施形態に係る構成においては、相手側コネクタ40の接点との接触に供される第一接点14cが基板14に設けられており、第一ケース11にのみ形成された開口部11aを通じて第一接点14cが露出している。したがって、図4図9を参照して説明した通り、上下方向からのアクセスのみで防水コネクタ10を組み立てることができる。この事実は、製造用の自動生産設備の簡略化に大きく寄与する。
【0038】
加えて、特許文献1に記載された構成よりも組付けに供される部品点数を減らせるだけでなく、防水部材13を設けるにあたっては、第一ケース11に形成された開口部11aとの位置関係のみを考慮すればよい。したがって、位置決め精度の管理を容易にできる。特に防水部材13が第一ケース11と一体成型される場合、組付けに供される部品点数をさらに減らすことができるので、位置決め精度の管理をさらに容易にできる。結果として、自動生産設備による防水コネクタの効率的な製造を可能にできる。
【0039】
さらに、第一ケース11は、相手側コネクタ40との嵌合方向に向かって上下方向の寸法が小さくなるように形成された傾斜面11bを有しており、開口部11aは傾斜面11bにおいて開口している。したがって、図8に例示されるように、相手側コネクタ40との嵌合および相手側接点41の開口部11aへの進入を円滑に遂行できる。
【0040】
図4図8に例示されるように、本実施形態においては、複数の導電線15とのはんだ付けに供される複数の第二接点14dは、基板14の第二主面14bのみに設けられうる。換言すると、複数の導電線15は、第二ケース12と対向する基板14の第二主面14b側のみにはんだ付けされうる。
【0041】
このような構成によれば、第一ケース11の内側に上方から基板14が配置される工程(図9のSTEP2)において、第二主面14bは上方を向く。この第二主面14bに対して複数の導電線15のはんだ付けがなされ(図9のSTEP3)、続いて第二ケース12が上方から第一ケース11と結合される(図9のSTEP4)。すなわち、上方からのアクセスのみで防水コネクタ10の組立てが可能なように自動生産設備を設計できる。したがって、自動生産設備による防水コネクタ10の製造をより効率化できる。
【0042】
図4に例示されるように、第一ケース11は、第一主面14aの側から基板14を支持する支持部11cを有しうる。
【0043】
このような構成によれば、基板14の第二主面14bに対して上方から複数の導電線15のはんだ付けがなされる際に支持部11cが下方から基板14を支持するので、はんだ付けの際に加わる外力に起因する基板14の撓みを抑制できる。これにより、はんだ付けの位置決め精度に係る管理の複雑化が抑制されるので、自動生産設備による防水コネクタ10の製造をより効率化できる。
【0044】
図3図4に例示されるように、第一ケース11は、第一係合部11dを備えうる。他方、第二ケース12は、第二係合部12aを備えうる。本例においては、第二係合部12aは、第二ケース12の側部に形成された突起である。他方、第一係合部11dは、第一ケース11の側部において左右方向の内側に面する凹部である。しかしながら、突起と凹部の関係は逆であってもよい。
【0045】
第一係合部11dと第二係合部12aは、第二ケース12が第一ケース11に結合される工程(図9のSTEP4)において係合することによって、第一ケース11と第二ケース12を一時的な不可分状態にするように構成されている。
【0046】
このような構成によれば、後続する第一ケース11と第二ケース12の溶着工程(図9のSTEP5)が実行されるまでの間、第一ケース11と第二ケース12の位置ずれを抑制できる。溶着が完了するまでの第一ケース11と第二ケース12の位置決め精度に係る管理の複雑化が抑制されるので、自動生産設備による防水コネクタ10の製造をより効率化できる。
【0047】
したがって、本例に係る構成によって得られる防水コネクタ10は、第一係合部11dと第二係合部12aが係合した状態で第一ケース11と第二ケース12が溶着されている外観を呈する。
【0048】
図1から図8に例示されるように、防水コネクタ10は、被覆17を備えうる。被覆17は、電気的な絶縁性と弾性を有している。被覆17は、複数の導電線15を部分的に覆う。具体的には、被覆17は、収容空間16内に位置する部分と、収容空間16の外側に位置する部分とを含む。すなわち、被覆17は、弾性変形を伴いつつ、第一ケース11と第二ケース12により挟持される。
【0049】
このような構成によれば、第一ケース11と第二ケース12により区画された収容空間16から導電線15が引き出される部分に適切な防水性を付与できる。
【0050】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0051】
上記の実施形態においては、複数の導電線15に対応するように複数の第一接点14cと複数の第二接点14dが基板14に設けられている。しかしながら、第一接点14cの数、第二接点14dの数、導電線15の数、およびそれらの間の関係は適宜に定められうる。第一接点14cの数、第二接点14dの数、および導電線15の数は、必ずしも一致していなくてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10:防水コネクタ、11:第一ケース、11a:開口部、11b:傾斜面、11c:支持部、11d:第一係合部、12:第二ケース、12a:第二係合部、13:防水部材、14:基板、14a:第一主面、14b:第二主面、14c:第一接点、15:導電線、16:収容空間、17:被覆、20:プローブ装置、21:光センサ、40:相手側コネクタ、D:下方向、F:前方向(嵌合方向)、L:左方向、U:上方向、R:右方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9