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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-02-06
(45)【発行日】2025-02-17
(54)【発明の名称】喫煙代用消耗品
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/30 20060101AFI20250207BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20250207BHJP
【FI】
A24B15/30
A24F40/42
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021523376
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2019079180
(87)【国際公開番号】W WO2020089077
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】1817557.0
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501024897
【氏名又は名称】インペリアル、タバコ、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IMPERIAL TOBACCO LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(72)【発明者】
【氏名】ケイト・フェリー
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ロス・シェントン
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524368(JP,A)
【文献】特表2015-517818(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148611(WO,A1)
【文献】米国特許第04306577(US,A)
【文献】特開2010-088381(JP,A)
【文献】特公昭46-008439(JP,B1)
【文献】国際公開第2017/178394(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0295916(US,A1)
【文献】特表2015-503335(JP,A)
【文献】特表2018-515119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/30
A24F 40/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風味剤の被覆が付着されたエアロゾル形成基質を含むエアロゾル形成物品であって、前記エアロゾル形成基質が、スラリータイプの再構成植物材料であり、風味剤含有量が、前記エアロゾル形成基質の最高20重量%であり、前記風味剤が、非タバコ風味剤である、エアロゾル形成物品。
【請求項2】
前記風味剤が、メントール、ペパーミント、スペアミント、リコリス、チョコレート、果実風味、バニラ、香辛料、コーヒー、ユーカリ、およびタバコ風味から選択される、請求項1に記載のエアロゾル形成物品。
【請求項3】
前記植物材料が、タバコである、請求項1または2に記載のエアロゾル形成物品。
【請求項4】
前記エアロゾル形成物品が、非燃焼加熱式(HNB)消耗品である、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアロゾル形成物品。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル形成物品と、加熱要素を含むデバイスとを含む、システム。
【請求項6】
前記デバイスが、前記加熱要素を収容するための本体を含み、前記加熱要素が、細長い加熱要素を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
請求項5または6に記載のシステムを使用する方法であって、
前記エアロゾル形成物品を前記デバイスに挿入することと、
前記加熱要素を使用して前記エアロゾル形成物品を加熱することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記エアロゾル形成物品を前記デバイスの本体内の空洞に挿入することと、前記エアロゾル形成物品を挿入するとき、前記加熱要素を前記エアロゾル形成物品に貫入させることとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
エアロゾル形成基質を製造する方法であって、前記エアロゾル形成基質が、スラリータイプの再構成植物材料であり、前記方法が、
粉砕した植物材料と水性媒体を混ぜ合わせて、スラリーを形成するステップと、
前記スラリーを表面にキャストして、シートを形成するステップと、
前記シートに風味剤を塗布して、被覆を提供するステップと
を含み、前記風味剤が、非タバコ風味である、方法。
【請求項10】
前記風味剤が、スプレー被覆によって塗布される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記風味剤が、メントール、ペパーミント、スペアミント、リコリス、チョコレート、果実風味、バニラ、香辛料、コーヒー、ユーカリ、およびタバコ風味から選択される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記風味剤が、合成的に導出されたメントールである、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記シートを乾燥させるステップを含み、前記風味剤が、乾燥後に前記シートに塗布される、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記シートをボビンに巻き取るステップを含、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記風味剤が、前記シートが前記ボビンに巻き取られた後に前記シートに塗布される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記風味剤が、前記シートが前記ボビンに巻き取られる前に前記シートに塗布される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記風味剤が、前記シートの両方の主面に提供される、請求項9から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記植物材料が、タバコである、請求項9から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
細断または切断によってシートを分割するステップを含む、請求項9から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記シートに風味剤を塗布することを、細断または切断によってシートを分割する前に行う、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
HNBデバイスのためのエアロゾル形成基質であって、
前記エアロゾル形成基質は、スラリータイプの再構成植物材料であり、
前記エアロゾル形成基質は、風味剤の被覆が付着され、
前記風味剤が、非タバコ風味である、
エアロゾル形成基質。
【請求項22】
付着風味剤含有量が、前記エアロゾル形成基質の最高20重量%である、請求項21に記載のエアロゾル形成基質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙代用システムで使用するための消耗品に関し、それだけには限らないが詳細には、非燃焼加熱式(heat-not-burn:HNB)消耗品に関する。
【背景技術】
【0002】
シガレットなどのタバコ製品の製造プロセス中、タバコ廃棄物が生み出される。タバコ廃棄物は、通常、タバコの粉、葉、または茎の形である。タバコ廃棄物を収集および処理して、再構成タバコまたは「リーコン(recon)」として知られているものを提供することができる。
【0003】
2つの別個の方法が、再構成タバコを製造するために最も一般に用いられており、これらは、i)製紙プロセス(すなわち、「紙リーコン」を提供する)、およびii)スラリーキャスト(「スラリータイプリーコン」を提供する)である。これらの別個のプロセスから得られる製品は、著しく異なる特性および特徴を有する。たとえば、スラリータイプリーコンは、一般的に、紙リーコンと比較して香り/風味およびニコチン含有量を改善しているが、通常、スラリータイプリーコンは折れやすく、多くの場合は品質の均一性に乏しい。
【0004】
スラリーキャストにおいては、タバコ廃棄物が細かい粉末に粉砕され、水性溶媒、通常は水と混合されて、結合剤と混ぜ合わせられる。結果として得られるスラリーは、さらなる粉砕を受け、タバコ材料の粒径をさらに低減することができる。次いでスラリーは、表面にキャストされ、乾燥させられて、シートを形成する。乾燥したシートは、細断され、さまざまなタバコ製品内で、たとえばシガレット充填剤として使用することができる。
【0005】
製紙プロセスにおいては、水性溶媒の存在下でタバコ廃棄物が機械的に攪拌されて、タバコを蒸解および処理し、使用可能な繊維にする。次に、タバコに存在する水溶性化合物が、水性溶媒に抽出される。水性抽出物と不溶性の繊維部分とが分離される。典型的な製紙手順を介して、「パルプ」と呼ばれることもある分離された繊維部分は、さらなる処理を受け、ベースシートを形成する。水性抽出物は、濃縮され、次いでベースシートに再添加される。次いで、ベースシートは乾燥させられ、紙を形成する。
【0006】
タバコの喫煙は、喫煙者を、潜在的に有害な物質にさらすものと一般的にみなされている。タバコが燃えること、および/またはタバコの燃焼によって引き起こされる熱、ならびにタバコの煙それ自体における燃えたタバコの成分を通して、著しい量の潜在的に有害な物質が生成されると一般的に考えられている。
【0007】
シガレットなどの従来の可燃性喫煙物品は、通常、ラッパーによって取り囲まれたタバコの細片を含む円柱状のタバコロッドを含み、通常は、巻かれたタバコロッドと当接関係で軸方向に位置合わせされた円柱状フィルタも含む。フィルタは、通常、プラグラップによって外接された濾過材料を含む。巻かれたタバコロッドおよびフィルタは、フィルタの長さ全体および巻かれたタバコロッドの隣接部分に外接する巻かれた帯状のチップペーパーによって一緒にまとめられる。このタイプの従来のシガレットは、フィルタとは反対の位置にある端部に火をつけて、タバコロッドを燃やすことによって使用される。喫煙者は、シガレットの口側端またはフィルタ端で吸い込むことによって、自身の口から主流煙を受け入れる。タバコなどの有機材料の燃焼は、タールおよび他の潜在的に有害な副産物を生み出すことが知られている。タバコの喫煙を回避するために、さまざまな喫煙代用システム(または「代用喫煙システム」)が提案されている。
【0008】
そのような喫煙代用システムは、喫煙をやめ、ニコチンへの依存を克服することを望む人々に向けたニコチン置換療法の一部を形成することができる。
【0009】
喫煙代用システムは、エアロゾル(「蒸気」とも呼ばれる)を生み出すことによって、ユーザが喫煙の行為をシミュレートするのを可能にする電子システムを含み、エアロゾルは、口を通って肺の中に吸い込まれ(吸入され)、次いで吐き出される。吸入されたエアロゾルは、通常、従来の喫煙に関連付けられた匂いおよび健康リスクのない、または匂いおよび健康リスクがより少ない、ニコチンおよび/または風味付けを有している。
【0010】
一般に、喫煙代用システムは、従来の喫煙および可燃性タバコ製品で体験したものと同様の体験および満足感をユーザに提供しながら、喫煙の習慣的行為の代用を提供することを意図している。いくつかの喫煙代用システムは、喫煙代用物品を使用し、そのような喫煙代用物品は、従来のシガレットに似せて設計されており、一端にマウスピースのついた円柱状の形である。
【0011】
喫煙代用システムの人気および使用は、過去数年間で急速に成長している。もともとはタバコの喫煙をやめたいと望む常習的な喫煙者を支援する補助として市販化されたものの、消費者は、喫煙代用システムを、望ましいライフスタイルの付属品としてますます見るようになっている。
【0012】
いくつかの異なるカテゴリの喫煙代用システムが存在し、その各々が、異なる喫煙代用アプローチを利用する。
【0013】
喫煙代用システムのための1つのアプローチが、いわゆる「非燃焼加熱式」(「HNB」)アプローチであり、このアプローチでは、タバコ(「eリキッド」ではない)は、加熱され、または加温されて蒸気を放出する。タバコは、葉タバコであっても再構成タバコであってもよい。蒸気は、ニコチンおよび/または風味付けを含有することができる。HNBアプローチにおいて、その意図は、タバコが燃やされずに加熱され、すなわちタバコが燃焼を受けないことである。
【0014】
典型的なHNB喫煙代用システムは、デバイスおよび消耗品を含むことができる。消耗品は、タバコ材料を含むことができる。デバイスおよび消耗品は、物理的にともに結合されるように構成されてよい。使用において、デバイスの加熱要素によってタバコ材料に熱が付与されてよく、タバコ材料を通る空気流が、タバコ材料における湿気を蒸気として放出させる。蒸気はまた、タバコ材料におけるキャリア(このキャリアは、たとえばプロピレングリコールおよび/または野菜グリセリンを含むことができる)、加えて、タバコから放出される揮発性化合物から形成されてもよい。放出された蒸気は、タバコを通して吸い込まれた空気流に同伴されてよい。
【0015】
入口からマウスピース(出口)へと、蒸気が消耗品を通過する(空気流に同伴される)とき、蒸気は、冷え、凝結して、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを形成する。エアロゾルは、通常、揮発性化合物を含有する。
【0016】
HNB喫煙代用システムにおいては、タバコ材料を燃やすこととは対照的に、加熱することにより、喫煙中に通例生み出されるより多くの有害な化合物をより少なくさせる、またはより少量にさせると信じられている。結果として、HNBアプローチは、タバコが燃えること、タバコの燃焼、および熱分解(pyrolytic)劣化を通して生じ得る、匂いおよび/または健康リスクを低減することができる。
【0017】
ユーザ体験を強化し、HNB喫煙代用システムの機能を改善するために、HNB消耗品の改善された設計が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本開示は、上記の課題に鑑みて考案された。
【課題を解決するための手段】
【0019】
最も一般的に、本開示は、揮発性化合物の濃度を増大させたエアロゾル形成物品、たとえばHNB消耗品に関する。
【0020】
第1の態様によれば、本発明は、風味剤の被覆が付着されたエアロゾル形成基質を含むエアロゾル形成物品(たとえば、HNB消耗品)を提供し、エアロゾル形成基質は、スラリータイプの再構成植物材料であり、風味剤含有量は、エアロゾル形成基質の最高20重量%である。
【0021】
「スラリータイプ」への言及は、製紙プロセスとは対照的に、スラリーキャストによって作られた再構成植物材料に対応する。
【0022】
風味剤の被覆が付着されたエアロゾル形成基質(それ自体が揮発性化合物を含む)を使用することによって、揮発性化合物の数/濃度を増大させて、ユーザに、より高い濃度の揮発性化合物を含有する蒸気/エアロゾルを提供することができる。これは、吸入されるときに、ユーザに、強化された気晴らし効果および/または薬用効果を提供することができる。特に、ユーザは、強化された風味を体験する。また、被覆が風味剤をエアロゾル形成基質へ均一に添加し、したがってより一貫した体験をユーザに提供する。
【0023】
任意選択の特徴について、次に説明する。これらは、単独で、または任意の態様との任意の組合せで、適用可能である。
【0024】
エアロゾル形成物品は、好ましくは、非燃焼加熱式(HNB)消耗品である。
【0025】
エアロゾル形成基質は、エアロゾルを形成することができる少なくとも1つの揮発性化合物を放出するために、加熱することが可能である。エアロゾル形成基質は、物品/消耗品の上流端に位置してよい。
【0026】
本明細書では、用語「上流」および「下流」は、蒸気/エアロゾルの流れ方向を指すことを意図しており、すなわち物品/消耗品の下流端は、エアロゾルがユーザによる吸入のために物品/消耗品を出る口側端または出口である。物品/消耗品の上流端は、下流端とは反対の位置にある端部である。
【0027】
エアロゾルを生成するために、エアロゾル形成基質は、少なくとも1つの揮発性化合物を含み、そのような揮発性化合物は、蒸発/エアロゾル化されるように意図され、吸入されるときに、ユーザに、気晴らし効果および/または薬用効果を提供することができる。好適な化学的および/または生理学的に活性な揮発性化合物は、ニコチン、コカイン、カフェイン、アヘン剤およびオピオイド、カチンおよびカチノン、カバラクトン、mysticin、ベータ・カルボリンアルカロイド、サルビノリンAからなる群を、上記の任意の組合せ、機能的等価物、および/または合成の代替物と一緒に含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、風味剤は、非タバコ風味剤である。本発明は代用喫煙消耗品を提供することを主に意図しているため、非タバコ風味の使用は、ユーザに、通常は体験されない従来とは異なった風味を提供することが有利である。したがって、変化および強化されたユーザ体験が提供される。
【0029】
エアロゾル形成基質は、植物材料を含む。植物材料は、Amaranthus dubius、 Arctostaphylos uva-ursi (Bearberry)、 Argemone mexicana、 Amica、 Artemisia vulgaris、 Yellow Tees、 Galea zacatechichi、 Canavalia maritima (Baybean)、 Cecropia mexicana (Guamura)、 Cestrum noctumum、 Cynoglossum virginianum (wild comfrey)、 Cytisus scoparius、 Damiana、 Entada rheedii、 Eschscholzia califomica (California Poppy)、 Fittonia albivenis、 Hippobroma longiflora、 Humulus japonica (Japanese Hops)、 Humulus lupulus (Hops)、 Lactuca virosa (Lettuce Opium)、 Laggera alata、 Leonotis leonurus、 Leonurus cardiaca (Motherwort)、 Leonurus sibiricus (Honeyweed)、 Lobelia cardinalis、 Lobelia inflata (Indian-tobacco)、 Lobelia siphilitica、 Nepeta cataria (Catnip)、 Nicotiana species (Tobacco)、 Nymphaea alba (White Lily)、 Nymphaea caerulea (Blue Lily)、 Opium poppy、 Passiflora incamata (Passionflower)、 Pedicularis densiflora (Indian Warrior)、 Pedicularis groenlandica (Elephant´s Head)、 Salvia divinorum、 Salvia dorrii (Tobacco Sage)、 Salvia species (Sage)、 Scutellaria galericulata、 Scutellaria lateriflora、 Scutellaria nana、 Scutellaria species (Skullcap)、 Sida acuta (Wireweed)、 Sida rhombifolia、 Silene capensis、 Syzygium aromaticum (Clove)、 Tagetes lucida (Mexican Tarragon)、 Tarchonanthus camphoratus、 Tumera diffusa (Damiana)、 Verbascum (Mullein)、 Zamia latifolia (Maconha Brava)を含むリストから選択された少なくとも1つの植物材料を、上記の任意の組合せ、機能的等価物、および/または合成の代替物と一緒に含むことができる。
【0030】
好ましくは、植物材料は、タバコである。任意のタイプのタバコが使用されてよい。これは、それだけに限定されるものではないが、鉄管乾燥タバコ、バーレイタバコ、メリーランドタバコ、暗色空気乾燥タバコ、オリエンタルタバコ、暗色火干タバコ、ペリックタバコ、およびルスチカタバコを含む。これはまた、上述したタバコのブレンドを含む。
【0031】
タバコ植物の任意の好適な部分が使用されてよい。これは、葉、茎、根、皮、種、および花を含む。
【0032】
タバコは、葉タバコ、茎タバコ、タバコ粉末、タバコダスト、タバコ派生物、膨化タバコ、均質タバコ、刻みタバコ、押出しタバコ、刻みラグタバコ、および/または再構成タバコ(たとえば、スラリーリーコンまたは紙リーコン)の1つまたは複数を含むことができる。
【0033】
エアロゾル形成基質は、均質スラリーリーコンタバコの収集シート、またはそのようなシートから形成された収集細片/ストリップを含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、エアロゾル形成基質を形成するために使用されるシートは、100g/m以上、たとえば120g/m以上など110g/m以上の坪量を有する。
【0035】
シートは、300g/m以下、たとえば250g/m以下、または200g/m以下の坪量を有することができる。
【0036】
シートは、120~190g/mの坪量を有することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、エアロゾル形成基質を形成するために使用されるシートは、1100mg/cm未満、好ましくは1000mg/cm未満、より好ましくは900mg/cm未満の密度を有する。
【0038】
いくつかの実施形態において、エアロゾル形成基質を形成するために使用されるシートは、0.09mg/mm未満、好ましくは0.085mg/mm未満、好ましくは0.08mg/mm未満、より好ましくは0.075mg/mm未満の質量/表面積を有する。
【0039】
いくつかの実施形態において、エアロゾル形成基質は、約1mm未満、好ましくは約0.5mm未満、好ましくは約0.2mmなど約0.1~0.3mmの厚さを有することができる。
【0040】
エアロゾル形成基質は、少なくとも50重量%の植物材料、たとえば少なくとも60重量%の植物材料、たとえば約65重量%の植物材料を含むことができる。エアロゾル形成基質は、80重量%以下の植物材料、たとえば75または70重量%以下の植物材料を含むことができる。
【0041】
エアロゾル形成基質は、湿潤剤、充填剤、水性/非水性溶媒、および結合剤から選択された1つまたは複数の添加物を含むことができる。
【0042】
湿潤剤は、蒸気の生成元として提供されており、結果として生じる蒸気は、揮発性の活性化合物を保持する手助けをし、目に見える蒸気を増大させる。好適な湿潤剤は、多価アルコール(たとえば、プロピレングリコール(PG)、トリエチレングリコール、1,2-ブタンジオール、および野菜グリセリン(VG))およびそのエステル(たとえば、グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテート)を含む。湿潤剤は、エアロゾル形成基質において、1~50重量%の量で存在してよい。
【0043】
エアロゾル形成基質の湿潤剤含有量は、少なくとも2重量%など、少なくとも5重量%など、少なくとも10重量%など、少なくとも20重量%など、少なくとも30重量%など、または少なくとも40重量%など、植物材料の少なくとも1重量%の下限を有することができる。
【0044】
エアロゾル形成基質の湿潤剤含有量は、多くとも40重量%など、多くとも30重量%など、または多くとも20重量%など、植物材料の多くとも50重量%の上限を有することができる。
【0045】
好ましくは、湿潤剤含有量は、1~20重量%など、エアロゾル形成基質の1~40重量%である。
【0046】
好適な結合剤は、当技術分野で知られており、エアロゾル形成基質を形成する構成要素をともに結合するように作用することができる。結合剤は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなどのデンプンおよび/またはセルロース結合剤、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、および/またはローカストビーンガムなどのガム、アルギン酸/アルギン酸ナトリウム、寒天、およびペクチンなどの有機酸およびそれらの塩を含むことができる。
【0047】
好ましくは、結合剤含有量は、エアロゾル形成基質の5~20重量%、たとえば約6~8重量%である。結合剤の上限は、好ましくは、最高10重量%など最高15重量%である。好ましくは、結合剤含有量は、5重量%を上回る。
【0048】
好適な充填剤は、当技術分野で知られており、エアロゾル形成基質を増強するように作用することができる。充填剤は、セルロース繊維、リグノセルロース繊維(たとえば、木質繊維)、ジュート繊維、およびこれらの組合せなどの繊維性(非タバコ)充填剤を含むことができる。
【0049】
好ましくは、充填剤含有量は、エアロゾル形成基質の5~10重量%、たとえば約6~9重量%である。
【0050】
エアロゾル形成基質は、水性および/または非水性溶媒を含むことができる。いくつかの実施形態において、エアロゾル形成基質は、5~10重量%、たとえば7~9重量%など6~9重量%の水分を有する。
【0051】
風味剤は、固体または液体の形で提供されてよい。風味剤は、メントール、ペパーミント、スペアミント、リコリス、チョコレート、果実風味(たとえば、柑橘類、サクランボなどを含む)、バニラ、香辛料(たとえば、ショウガ、シナモン)、コーヒー、ユーカリ、およびタバコ風味を含むことができる。風味剤は、エアロゾル形成基質上の被覆として均一に分散されても、エアロゾル形成基質上の被覆として離れた場所および/またはさまざまな濃度で提供されてもよい。好ましくは、風味剤は、エアロゾル形成基質上の被覆として均一に分散される。
【0052】
風味剤は、エアロゾル形成物品上の被覆として提供される。そのような被覆は、風味剤を含む液体の表面塗布によって、エアロゾル形成物品上に提供される。たとえば、刷毛塗、噴霧、または液体への浸漬による塗布によって提供される。被覆は、エアロゾル形成物品の表面にわたって均一であることが好ましい。
【0053】
好ましい実施形態において、被覆は、エアロゾル形成物品がそこから形成されるスラリータイプの再構成植物材料のシートに提供される。被覆は、シートの両方の主面に提供されても、別法として、シートの一方の主面にのみ提供されてもよい。好ましい実施形態において、被覆は、たとえばエアロゾル形成物品を形成するために細断または切断によってシートが分割される前に、スラリータイプの再構成植物材料のシート上に提供される。いくつかの実施形態において、被覆は、塗布されるとき、シートまたはエアロゾル形成物品の表面にわたって実質上連続している。
【0054】
被覆がエアロゾル形成物品の表面に塗布されるとき、場合により、風味剤は、エアロゾル形成物品の表面層に浸透する。好ましくは、風味剤は、エアロゾル形成物品の表面層のみに存在し、すなわちエアロゾル形成物品全体にわたっては存在しない。これらの風味剤は、ユーザによって望まれていることが分かっているが、また満足のいく風味の「当たり」をユーザに提供することが有利である。加えて、変化および強化された風味体験が実現される。
【0055】
エアロゾル形成基質の付着風味剤含有量は、少なくとも0.5重量%など、少なくとも1重量%など、少なくとも2重量%など、少なくとも5重量%など、少なくとも10重量%など、少なくとも15重量%など、エアロゾル形成基質の重量の少なくとも0.1重量%の下限を有することができる。
【0056】
エアロゾル形成基質の付着風味剤含有量は、多くとも15重量%など、多くとも10重量%など、エアロゾル形成基質の多くとも20重量%の上限を有することができる。
【0057】
好ましくは、風味剤濃度は、0.1~15重量%である。エアロゾル形成基質の0.1~5重量%の風味剤濃度が、さらに好ましい。
【0058】
好ましくは、風味剤はメントールである。
【0059】
風味剤は、合成的に導出されたメントールであることがさらに好ましい。このメントールの由来は、自然に導出されたものではないことが有利である。通常、自然に導出されたメントールは、ミントまたはミント抽出物の形で提供される。結果として、合成メントールの使用は、ミントまたはミント抽出物に存在する望ましくない構成要素の存在を除外する。
【0060】
エアロゾル形成基質は、物品/消耗品が従来のシガレットに似るように、実質上円柱状の形状で形成されてよい。エアロゾル形成基質は、5~10mm、たとえば6~9mmまたは6~8mm、たとえば約7mmの直径を有することができる。エアロゾル形成基質は、10~15mm、たとえば約12または13mmなど11~14mmの軸方向の長さを有することができる。
【0061】
エアロゾル形成基質は、ラップ層、たとえば紙ラップ層によって外接されてよい。ラップ層は、内側の箔層に重なっても、紙/箔の積層体(箔が最も内側)を含んでもよい。
【0062】
物品/消耗品は、少なくとも1つのフィルタ要素を含むことができる。物品/消耗品の下流端/口側端に、末端フィルタ要素が位置してよい。複数のフィルタ要素(たとえば、末端フィルタ要素および上流フィルタ要素)が位置してよく、これらのフィルタ要素は、互いに隣接しても隔置されてもよい。任意の上流フィルタ要素が、少なくとも部分的(たとえば全体的)に、(紙)ラップ層によって外接されてよい。
【0063】
フィルタ要素または少なくとも1つのフィルタ要素(たとえば、末端フィルタ要素および/または上流フィルタ要素)は、酢酸セルロースのトウから構成されてよい。フィルタ要素または少なくとも1つのフィルタ要素(たとえば、末端フィルタ要素および/または上流フィルタ要素)は、活性炭から構成されてよい。フィルタ要素または少なくとも1つのフィルタ要素(たとえば、末端フィルタ要素および/または上流フィルタ要素)は、紙から構成されてよい。フィルタ要素または少なくとも1つのフィルタ要素(たとえば、末端フィルタ要素および/または上流フィルタ要素)は、植物材料、たとえば押出し植物材料から構成されてよい。フィルタ要素または各フィルタ要素は、プラグラップ、たとえば紙プラグラップによって外接されてよい。
【0064】
フィルタ要素または各フィルタ要素は、実質上円柱状の形状を有することができ、その直径は、エアロゾル形成基質(その関連付けられたラップ層の有無にかかわらない)の直径に実質上一致する。フィルタ要素または各フィルタ要素の軸方向の長さは、20mm未満、たとえば8~15mm、たとえば9~13mm、たとえば10~12mmとしてよい。
【0065】
フィルタ要素または少なくとも1つのフィルタ要素は、中実フィルタ要素としてよい。フィルタ要素または少なくとも1つのフィルタ要素は、中空フィルタ要素としてよい。中空フィルタまたは各中空フィルタは、1~5mm、たとえば2~4mm、または2~3mmの口径を有することができる。
【0066】
外接するチップ層、たとえばチップペーパー層によって、末端フィルタ要素(物品/消耗品の下流端)を上流要素につなぎ合わせて、物品/消耗品を形成することができる。チップペーパーは、末端フィルタ要素の軸方向の長さより長い軸方向の長さを有することができ、したがってチップペーパーは、末端フィルタ要素と、あらゆる隣接上流要素を取り囲むラップ層とに完全に外接する。
【0067】
フィルタ要素または少なくとも1つのフィルタ要素、たとえば末端フィルタ要素は、液体風味剤、たとえば上に挙げた風味剤のいずれかを含むカプセル、たとえば押し潰せるカプセル(クラッシュボール)を含むことができる。カプセルは、物品/消耗品の喫煙中、風味剤を放出するためにユーザによって押し潰すことができる。カプセルは、末端フィルタ要素の軸方向中心に位置してよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、物品/消耗品は、エアロゾル形成基質から生成(熱交換による)されたエアロゾルを、ユーザによって吸入される前に冷却するように適合されたエアロゾル冷却要素を含むことができる。
【0069】
エアロゾル冷却要素は、エアロゾル形成基質より下流に位置する。たとえば、エアロゾル冷却要素は、エアロゾル形成基質と上流フィルタ要素との間、および/または2つのフィルタ要素同士の間にあってよい。エアロゾル冷却要素は、少なくとも部分的(たとえば完全)に、(紙)ラップ層によって外接されてよい。
【0070】
エアロゾル冷却要素は、ポリ乳酸(PLA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、およびポリエチレンテレフタレート(PET)からなる群から選択されたプラスチック材料から形成されてよい。エアロゾル冷却要素は、複数の長手方向チャネルを有する表面積の大きい構造を形成して、エアロゾルの熱交換および冷却を最大化するために、材料の圧着/収集シートから形成されてよい。
【0071】
物品/消耗品は、エアロゾル形成基質と物品/消耗品の下流端との間に空間または空洞を画定するスペーサ要素を含むことができる。スペーサ要素は、エアロゾル形成基質と上流フィルタ要素との間、および/または2つのフィルタ要素同士の間に提供されてよい。スペーサ要素は、管状要素、たとえば紙筒を含むことができる。スペーサ要素は、少なくとも部分的(たとえば全体的)に、(紙)ラップ層によって外接されてよい。
【0072】
スペーサ要素は、5~10mm、たとえば6~9mmまたは6~8mm、たとえば約7mmの外径を有することができる。スペーサ要素は、10~15mm、たとえば12~14mmまたは13~14mm、たとえば約14mmの軸方向の長さを有することができる。
【0073】
第2の態様において、第1の態様によるエアロゾル形成物品と、加熱要素を含むデバイスとを含む喫煙代用システムが提供される。
【0074】
デバイスは、HNBデバイス、すなわちエアロゾル形成基質を燃焼させずに加熱するように適合されたデバイスとしてよい。
【0075】
デバイスは、加熱要素を収容するための本体を含むことができる。加熱要素は、細長い、たとえばロッド、管状、またはブレードの加熱要素を含むことができる。加熱要素は、上述した物品/消耗品を受け取るための本体内の空洞内へ突出しても、空洞を取り囲んでもよい。
【0076】
デバイス(たとえば、本体)は、加熱要素に電力を供給するための電源、たとえば(再充電可能な)電池をさらに含むことができる。デバイスは、加熱要素への電力の供給を制御するための制御ユニットをさらに含むことができる。
【0077】
第3の態様において、第2の態様による喫煙代用システムを使用する方法を含み、この方法は、
物品/消耗品をデバイスに挿入することと、
加熱要素を使用して物品/消耗品を加熱すること
とを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、この方法は、物品/消耗品を本体内の空洞に挿入することと、物品/消耗品を挿入するとき、加熱要素を物品/消耗品に貫入させることとを含む。たとえば、加熱要素は、物品/消耗品内のエアロゾル形成基質に貫入することができる。
【0079】
第4の態様において、エアロゾル形成基質を製造する方法が提供され、エアロゾル形成基質は、スラリータイプの再構成植物材料であり、この方法は、粉砕した植物材料と水性媒体を混ぜ合わせて、スラリーを形成することと、スラリーを表面にキャストして、シートを形成することと、シートに風味剤を塗布して、被覆を提供することとを含む。
【0080】
エアロゾル形成基質もしくは物品/消耗品の別個の構成要素もしくは成分として、またはエアロゾル形成基質もしくは物品/消耗品の別個の構成要素もしくは成分の中に、風味剤を提供することと比較して、風味剤を被覆としてシートに塗布することによって、エアロゾル形成基質への風味剤のより均一の塗布が実現されることが有利である。これは、ユーザに、強化された風味およびより一貫した風味体験を提供する。また、シートへの風味剤の塗布は、主製造ラインから離れた2次環境で実施されてもよい。したがって、望ましくない風味剤による主ライン装置の汚染が回避される。したがって、いくつかの実施形態において、シートをボビンに巻き取った後に、たとえば風味剤の塗布前にボビンからシートを広げることによって、風味剤を塗布することが好ましい。こうした風味剤の塗布は、キャスト場所から離れた場所へのシートの輸送(たとえば、ボビンへの巻き取り)後に行ってよいことが有利である。
【0081】
植物材料は、120ミクロン未満の粒径に粉砕されることが好ましい。150ミクロンより大きい粒径を有することは望ましくない。なぜならこれは、スラリーをキャストすることによって形成されるシートにおいて、欠陥および不均質な領域の形成を伴うからである。特に、30~120ミクロンの粒径が好ましい。
【0082】
結合剤がまた、スラリー内に含まれてもよい。使用される結合剤の量は、5~15重量%など、5~10重量%など、最終的にスラリーから生み出されるシート内の結合剤の5~20重量%の量を提供するように選択される。粉砕されたタバコは、水性媒体と混ぜ合わせる前に、結合剤と混ぜ合わせられてよい。または別法として、結合剤は、水性媒体と粉砕されたタバコを混ぜ合わせる前に、水性媒体と混ぜ合わせられてよい。
【0083】
スラリーはまた、充填剤、湿潤剤、保存料、および/または風味を含有することができる。これらは、水性媒体と混ぜ合わせる前に、粉砕した植物材料と混ぜ合わせられてよく、または別法として、別個にスラリーに添加することができる。
【0084】
スラリーの総固体含有量は、総スラリー重量の15%~30%であることが好ましい。この好ましい範囲内で、スラリーの総固体含有量の約50~90%は、植物材料であるべきである。スラリーの植物材料含有量は必須ではないが、水性媒体への植物材料可溶性物質の浸出を回避するために、最小量の水性媒体が使用されることが好ましい。
【0085】
スラリーは、スラリーのさまざまな構成要素を混合することによって形成される。これは、スラリーを均質化するために、高エネルギーミキサまたは高剪断ミキサを使用して実現されてよい。任意選択で、スラリーは混合中に加熱されてよい。
【0086】
加えて、スラリーの均質化を補助するために、スラリーは振動されてよい。これは、スラリーが含まれているタンクまたはサイロを振動させることによって実現されてよい。
【0087】
混合後、スラリーは、乾燥器ベルトなどの可動の支持面上にキャストされて、シートを形成する。シートのキャストは、ロールコーターシステムもしくはラミネーター、または当技術分野で好適な任意の他の方法によって実現されてよい。キャストの際のシートの湿気含有量は、キャストされるスラリーの総重量の60~80パーセントであることが好ましい。次いで、キャストされたシートは、シートから余分の湿気含有量を除去するために、高温および/または減圧への露出によって乾燥される。好適な乾燥方法は、蒸気乾燥器および/または加熱空気乾燥器を含む。別法として、シートは、周囲条件下で乾燥されてもよい。
【0088】
好ましくは、風味剤は、スプレー被覆によって塗布される。
【0089】
スプレー被覆によってキャストされたシートに風味剤を塗布することによって、風味剤のより均一の塗布が実現されて、より均質な製品を提供することが有利である。したがって、より一貫したユーザ体験が得られる。
【0090】
好ましくは、風味剤は、非タバコ風味である。特に、風味剤は、メントール、ペパーミント、スペアミント、リコリス、チョコレート、果実風味、バニラ、香辛料、コーヒー、ユーカリ、およびタバコ風味から選択され、特に風味剤は、合成的に導出されたメントールである。風味剤の利点は、上述されている。
【0091】
好ましくは、植物材料は、タバコである。
【0092】
本発明は喫煙消耗品を提供することを主に意図しているため、タバコの使用は、タバコの固有の特性、たとえば口当たり、香り、およびニコチン含有量を有するスラリータイプの再構成植物材料を提供する。
【0093】
好ましくは、第4の態様の方法は、シートを乾燥させるステップを含み、風味剤は、乾燥後にシートに塗布される。
【0094】
多くの風味剤が高い揮発性を呈するため、シートを乾燥させた後の風味付けの塗布により、高温または減圧で乾燥させるときの蒸発による風味剤の損失を回避することが有利である。
【0095】
好ましくは、第4の態様の方法は、シートをボビンに巻き取るステップを含み、風味剤は、巻き取り後にシートに塗布される。
【0096】
これにより、シートの効率的な貯蔵が容易になり、主製造ラインから離れた2次環境で風味剤が塗布されることが可能になることが有利である。それによって、望ましくない風味による主ライン装置の汚染を回避する。
【0097】
別法として、風味剤は、シートをボビンに巻き取る前にシートに塗布されてもよい。
【0098】
好ましくは、第4の態様の方法は、シートからHNB消耗品を作るステップを含む。
【0099】
第5の態様によれば、第4の態様によるプロセスによって生み出されるHNBデバイスのためのエアロゾル形成基質が提供される。
【0100】
好ましくは、第5の態様によるエアロゾル形成基質は、エアロゾル形成基質の0.1~20重量%の付着風味剤含有量を有する。
【0101】
相互に排他的な場合を除いて、上記の態様のいずれか1つに関連して説明する特徴またはパラメータは、いずれの他の態様にも適用されてよいことが、当業者には認識されよう。さらに、相互に排他的な場合を除いて、本明細書に記載する任意の特徴またはパラメータは、いずれの態様に適用されてもよく、かつ/または本明細書に記載する任意の他の特徴もしくはパラメータと組み合わせてもよい。
【0102】
本発明を理解することができるように、およびそのさらなる態様および特徴を認識することができるように、添付の図面を参照して、本発明の原理を例示する実施形態について、これよりさらに詳細に論じることにする。
【図面の簡単な説明】
【0103】
図1】HNB消耗品の第1の実施形態を示す図である。
図2】HNB消耗品の第2の実施形態を示す図である。
図3】HNB消耗品の第3の実施形態を示す図である。
図4】HNBシステムを形成するデバイス内の第1の実施形態を示す図である。
図5】製造プロセスの一実施形態の例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0104】
図1に示すように、HNB消耗品1は、消耗品1の上流端にエアロゾル形成基質2を含む。
【0105】
エアロゾル形成基質2は、再構成タバコ含み、再構成タバコは、揮発性化合物としてニコチンを含み、最高20重量%の風味剤被覆が付着され、風味剤は、メントール、ペパーミント、スペアミント、リコリス、チョコレート、果実風味、バニラ、香辛料、コーヒー、ユーカリ、およびタバコ風味から選択される。
【0106】
エアロゾル形成基質2は、スラリータイプの再構成タバコのシートから生み出された収集細片の形で提供される65重量%のタバコを含む。タバコは、プロピレングリコール(PG)または野菜グリセリン(VG)などの20重量%の湿潤剤が付着され、7~9重量%の湿気含有量を有する。エアロゾル形成基質は、セルロースパルプ充填剤およびグアーガム結合剤をさらに含む。
【0107】
エアロゾル形成基質2は、消耗品が従来のシガレットに似るように、実質上円柱状の形状で形成される。エアロゾル形成基質2は、約7mmの直径および約12mmの軸方向の長さを有する。
【0108】
エアロゾル形成基質2は、紙ラップ層3によって外接される。
【0109】
消耗品1は、上流フィルタ要素4および下流(末端)フィルタ要素5を含む。2つのフィルタ要素4、5は、紙筒スペーサ6によって隔置される。どちらのフィルタ要素4、5も、酢酸セルロースのトウから形成されており、それぞれの紙プラグ層(図示せず)が巻き付けられている。
【0110】
どちらのフィルタ要素も、実質上円柱状の形状を有する。上流フィルタ4の直径は、エアロゾル形成基質2の直径に一致する。末端フィルタ要素5の直径は、わずかに大きく、エアロゾル形成基質2およびラップ層3の組み合わせた直径に一致する。上流フィルタ要素は、軸方向の長さにおいて末端フィルタ要素よりわずかに短く、末端フィルタ要素に対する12mmと比較して10mmの軸方向の長さである。
【0111】
紙筒スペーサは、2つのフィルタ部分の各々より長く、約14mmの軸方向の長さを有する。
【0112】
各フィルタ要素4、5は、長手方向に延びる中空の孔を有する中空フィルタ要素である。上流フィルタにおける孔の直径は、末端フィルタにおける孔の直径よりわずかに大きく、末端フィルタ要素に対する2mmと比較して3mmの直径を有する。
【0113】
紙筒スペーサ6および上流フィルタ部分4は、ラップ層3によって外接される。
【0114】
外接する紙チップ層7によって、末端フィルタ要素5は上流要素につなぎ合わされて、消耗品を形成する。チップ層7は、末端フィルタ部分を取り囲み、約20mmの軸方向の長さを有し、したがって紙筒スペーサ6の一部分に重なる。
【0115】
図2は、消耗品1’の第2の実施形態を示し、消耗品1’は、末端フィルタ要素5が液体メントールまたはサクランボもしくはバニラの風味剤を含む押し潰せるカプセル8(クラッシュボール)を含むことを除いて、図1に示すものと同じである。カプセル8は球状であり、3.5mmの直径を有する。カプセル8は、末端フィルタ部分5の軸方向中心に位置決めされる。
【0116】
図3は、消耗品1”の第3の実施形態を示し、消耗品1”は、ラップ層3が紙筒スペーサ6に完全に外接しておらず、したがってラップ層3の端部の下流において、チップ層7と紙筒スペーサ6との間に、環状の間隙9が存在することを除いて、第1の実施形態と同じである。
【0117】
図4は、ロッド状の加熱要素(図示せず)を含むHNBデバイス10に挿入された第1の実施形態を示す。加熱要素は、デバイスの本体12内の空洞11へ突出する。
【0118】
消耗品1は、デバイス10の本体12の空洞11に挿入され、したがって加熱ロッドが、エアロゾル形成基質2に貫入する。エアロゾル形成基質2における再構成タバコの加熱は、加熱要素に電力を供給すること(たとえば、再充電可能な電池(図示せず)による)によって行われる。タバコが加熱されると、タバコおよびエアロゾル形成体内の湿気および揮発性化合物(たとえば、ニコチン)が、蒸気として放出され、末端フィルタ部分5でユーザによる吸入によって生成される空気流内に同伴される。
【0119】
上流フィルタ要素4および紙筒スペーサ6内で蒸気が冷めると、蒸気は凝結し、ユーザによる吸入のための揮発性化合物を含有するエアロゾルを形成する。
【0120】
図5は、製造プロセスの一実施形態の例示的な図を示す。タバコは、粉砕されて、120ミクロン未満に粒径を低減させる(101)。
【0121】
次いで、粉砕されたタバコ101は、グアーガム結合剤、セルロースパルプ充填剤、プロピレングリコール、および野菜グリセリンと混ぜ合わせられて、混合物を形成する(102)。
【0122】
混合物102は、水性媒体と混ぜ合わせられて、スラリーを形成する(103)。混合物102と水性媒体との混合は、高剪断ミキサで実施される。スラリーのタバコ含有量は、スラリーの総固体含有量の約50~90%であり、総固体含有量は、スラリーの15~30重量%である。
【0123】
結果として得られるスラリーは、乾燥器ベルトにキャストされて、シートを形成する(104)。シートは、蒸気乾燥装置を使用して乾燥させられて、シートが自立した状態になるまで、シートから余分の湿気含有量を除去する(105)。
【0124】
シートは、貯蔵のためにボビンに巻き取られる(106)。巻き取ったときのキャストされたシートの湿気含有量は、タバコシートの乾燥重量の約7~15パーセントである。次いで、スプレー被覆を使用して、風味剤がシートに塗布されて、シート上に風味剤被覆を提供する(107)。
【0125】
次に、シートは、HNBデバイスに好適なHNB消耗品の全体または一部にすることができる(108)。これは、シートを適当なサイズに切断することによって実現される。シートは、HNBデバイスのためのHNB消耗品の全体または一部として使用されてよい(109)。特に、これは、HNBデバイスで使用するためのスラリータイプの再構成タバコ製品である。
【0126】
代替実施形態において、風味剤は、貯蔵のためのボビン106への巻き取り前に、乾燥したシート105に塗布される。
【0127】
上記の説明、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面に開示する特徴は、その特有の形態において、または開示された機能を実行する手段、もしくは開示された結果を得るための方法もしくはプロセスに関して、適宜表現されており、別個に、またはそのような特徴の任意の組合せで、その多種多様な形態で本発明を実現するために利用されてよい。
【0128】
本発明について、上述した例示的な実施形態とともに説明したが、多くの等価の修正形態および変形形態は、この開示が与えられたとき、当業者には明らかである。したがって、上述した本発明の例示的な実施形態は、限定的ではなく例示的であるとみなされる。本発明の範囲から逸脱することなく、記載する実施形態に対して、さまざまな変化が加えられてもよい。
【0129】
あらゆる疑問を回避するために、本明細書に提供されるあらゆる理論的説明は、読み手の理解を改善する目的で提供されたものである。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0130】
本明細書で使用されるあらゆる項目名は、構成のみを目的としたものであり、記載する主題を限定すると解釈されるべきではない。
【0131】
続く特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、別段コンテキストが要求しない限り、単語「有する(have)」、「含む(comprise)」、および「含む(include)」、ならびに「having」、「comprises」、「comprising」、および「including」などの変化形は、記述された完全体またはステップ、あるいは完全体またはステップの群を含めることを含意するように理解されることになるものの、いかなる他の完全体またはステップ、あるいは完全体またはステップの群も排除するものではない。
【0132】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、別段コンテキストが明白に指示しない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の参照を含むことに留意されたい。本明細書では、範囲は、「概ね(about)」1つの特定の値から、および/または「概ね(about)」別の特定の値までとして表されてよい。そのような範囲が表現されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、接頭辞「約(about)」の使用によって、値が近似として表現されるとき、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。数値に関連する用語「約(about)」は、任意選択であり、たとえば±10%を意味する。
【0133】
単語「好ましい(preferred)」および「好ましくは(preferably)」は、本明細書において、いくつかの状況下で特定の利益を提供することができる本発明の実施形態を指すために使用される。しかし、他の実施形態もまた、同じまたは異なる状況下で好ましいことがあることを理解されたい。したがって、1つまたは複数の好ましい実施形態への言及は、他の実施形態が有用でないことを意味または含意するものではなく、本開示の範囲または特許請求の範囲から他の実施形態を除外することを意図したものでもない。

図1
図2
図3
図4
図5